説明

スクイズ容器用キャップ

【課題】容器本体をスクイズする前の内容液の漏出や液垂れを効果的に回避できると共に、容器本体をスクイズしてから内容液が吐出されるまでの時間や、トラップルームに残留した内容液を回収する時間を短縮できるスクイズ容器用キャップを提供する。
【解決手段】スクイズ変形可能な容器本体12の口首部12aに取り付けて用いられて、注出ノズル19の先端の吐出口13aから内容液を吐出させるスクイズ容器用キャップ10であって、注出ノズル19が立設する天面部10aの下面側に、中空の有底筒体15による液溜め用のトラップルーム14が設けられている。有底筒体15の底部15aに、注出ノズル19への注出口16の25〜300%の開口面積を有する容器本体12とトラップルーム14との間の内容液の流入流出口17が開口形成されており、有底筒体15の底部15aには、流入流出口17に向って下り勾配で傾斜する傾斜面18が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクイズ容器用キャップに関し、特に、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体の口首部に取り付けて用いられるスクイズ容器用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
スクイズ容器は、容器本体の胴部を手で把持してスクイズ(圧搾)することで容器本体を変形させて、内容液をノズルの先端の吐出口から吐出箇所に向けて所定量吐出させるものである。スクイズ容器は、通常、内容液の補充や交換ができるように、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体の口首部に、注出ノズルを有するキャップを着脱可能に取り付けて用いる場合が多い。このようなスクイズ容器では、例えば注出ノズルの先端の吐出口を覆う外蓋を取り外した後に、把持したスクイズ容器を傾倒又は倒立させて吐出口を吐出箇所に向けた状態で、容器本体をスクイズすることにより、内容液を所定量吐出させる。
【0003】
このようなスクイズ容器は、スクイズした状態を開放すると、容器本体の変形が元に戻って内部が負圧になる、いわゆるバックサクション効果によって液が吸引されることにより、注出ノズルの先端の吐出口周囲に残った内容液を容器本体の内部に引き戻すことができる。
【0004】
一方、スクイズ容器は、容器本体の胴部を把持して傾倒又は倒立させると、容器本体の内圧や内容液の自重によって、容器本体をスクイズしなくても、内容液が注出ノズルの先端の吐出口から漏出したり液垂れしたりする場合がある。このような予期しない内容液の漏出や液垂れは、スクイズ容器の外観の汚れや使用時の手の汚れ等の要因になることから、注出ノズルが立設するキャップの天面部の下面側に、中空の有底筒体による液溜め用のトラップルームを設けることで、内容液の漏出や液垂れを防止する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−226377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、キャップの天面部の下面側に設けられた有底筒体の周壁部の上端寄り位置に、内容液の注出時にトラップルーム内に内容液を流入させるための液流入穴が、周方向に間隔をおいて複数開口形成されており、周壁部の下端寄り位置には、トラップルーム内に残留した内容液を容器本体へ戻すための小径の液戻し穴が、一箇所に開口形成されている。また、キャップの天面部から立設する注出ノズルは、天面部の下面側にも突出していて、この突出部分の下端面が注出口として開口しており、液流入穴の形成位置は、容器の正立状態でこの突出部分の下端面の注出口よりも上側に位置するように設定されている。
【0007】
そして、特許文献1では、スクイズ容器の使用時に、これを逆さまに倒立させた状態で把持して容器本体を押圧することで、内容液は、液流入穴を介してトラップルームに流入すると共に、流入した内容液は、倒立した注出ノズルの突出部分の下端面の注出口を超えて溜まることで、始めて注出口から注出ノズルを経てこれの先端の吐出口から吐出されることになる。これによって、容器本体をスクイズする前の内容液の漏出や液垂れを、効果的に回避することが可能になる。
【0008】
また、特許文献1では、内容液の注出後、スクイズ容器を正立状態に復帰させると、トラップルームに残留した内容液は、有底筒体の周壁部の下端寄り位置に形成された小径の液戻し穴から容器本体の内部へと戻される。
【0009】
しかしながら、特許文献1のスクイズ容器に取り付けて用いられるキャップは、トラップルームの存在によって、容器本体をスクイズする前の、予期しない内容液の漏出や液垂れを効果的に回避できる一方で、トラップルームは相当の大きさの中空部となっているため、例えば容器本体をスクイズした後に内容液が注出ノズルの吐出口から吐出されるまでの時間がかかり過ぎたり、トラップルームに残留した内容液が容器本体に回収されるまでの時間がかかり過ぎたりするといった、種々の使い難さを生じることになる。
【0010】
特に、スクイズ容器を逆さまに倒立させた状態とすることなく、傾倒させたままの状態で容器本体をスクイズして使用する場合には、トラップルームの内部に内容液が流入し難くなって、内容液が吐出されるまでの時間がさらに増大することになる。
【0011】
本発明は、相当の大きさの中空部であるトラップルームを有効利用して容器本体をスクイズする前の内容液の漏出や液垂れを効果的に回避できると共に、容器本体をスクイズしてから内容液が吐出されるまでの時間や、トラップルームに残留した内容液が容器本体に回収される時間を短縮して、使い易さを向上させることのできるスクイズ容器用キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体の口首部に取り付けて用いられ、該容器本体の胴部のスクイズ変形により注出ノズルの先端の吐出口から内容液を吐出させるスクイズ容器用キャップであって、当該キャップの前記注出ノズルが立設する天面部の下面側に、中空の有底筒体による液溜め用のトラップルームが設けられており、前記有底筒体の底部に、前記容器本体と前記トラップルームとの間の内容液の流入口及び流出口を兼ねる、前記注出ノズルへの注出口の開口面積の25〜300%の開口面積を有する流入流出口が開口形成されており、前記有底筒体の底部には、前記容器本体の正立状態において前記流入流出口に向って下り勾配で傾斜する傾斜面が形成されていると共に、前記流入流出口が前記底部の最下部に開口しているスクイズ容器用キャップを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスクイズ容器用キャップによれば、相当の大きさの中空部であるトラップルームを有効利用して容器本体をスクイズする前の内容液の漏出や液垂れを効果的に回避できると共に、容器本体をスクイズしてから内容液が吐出されるまでの時間や、トラップルームに残留した内容液が容器本体に回収される時間を短縮して、使い易さを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係るスクイズ容器用キャップを取り付けたスクイズ容器の断面図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係るスクイズ容器用キャップの断面図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係るスクイズ容器用キャップを構成する有底筒体の(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図4】容器本体をスクイズすることで、トラップルームを介して注出口から注出ノズルへ内容液を注出させる状況を説明するスクイズ容器用キャップの略示断面図である。
【図5】(a)は本発明の他の実施形態に係るスクイズ容器用キャップを構成する有底筒体の斜視図、(b)は(a)の有底筒体によるトラップルームを介して注出口から注出ノズルへ内容液を注出させる状況を説明するスクイズ容器用キャップの略示断面図である。
【図6】(a),(b)は、本発明の更に他の実施形態に係るスクイズ容器用キャップを例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の好ましい一実施形態に係るスクイズ容器用キャップ10を取り付けたスクイズ容器11の断面図である。図1に示すように、スクイズ容器用キャップ10は、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体12の口首部12aに取り付けて用いられる。スクイズ容器用キャップ10は、先端に吐出口13aが開口形成された注出ノズル19を有しており、使用者が容器本体12の胴部12bを把持してスクイズ容器11を傾倒又は倒立させることで注出ノズル19の先端の吐出口13aを吐出箇所に向けた後に、容器本体12の胴部12bをスクイズ(圧搾)し容器本体12を変形させることにより、内容液を胴部12bからスクイズ容器用キャップ10の注出ノズル19に送り出して、吐出口13aから所定量吐出させることができる。また、スクイズ容器用キャップ10は、天面部10aの下面側に液溜め用のトラップルーム14を備えることで、注出ノズル19の吐出口13aを吐出箇所に向けた後、容器本体12の胴部12bをスクイズするまでの間に、内容液が容器本体12の内圧や内容液の自重によって吐出口13aから漏出したり液垂れしたりするのを回避できる機能を備える。さらに、スクイズ容器用キャップ10は、胴部12bをスクイズした際には、内容液をスムーズに吐出させる機能を備えると共に、トラップルーム14に残留した内容液を容器本体12にスムーズに回収させることができる機能を備える。
【0016】
すなわち、本実施形態に係るスクイズ容器用キャップ10は、スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体12の口首部12aに取り付けて用いられ、容器本体12の胴部12bのスクイズ変形により注出ノズル19の先端の吐出口13aから内容液を吐出させるキャップである。スクイズ容器用キャップ10には、図2にも示すように、当該キャップ10の注出ノズル19が立設する天面部10aの下面側に、中空の有底筒体15による液溜め用のトラップルーム14が設けられている。また、図3(a),(b)にも示すように、有底筒体15の底部15aに、容器本体12とトラップルーム14との間の内容液の流入口及び流出口を兼ねる流入流出口17が開口形成されている。流入流出口17は、注出ノズル19への注出口16の開口面積に対し、25〜300%の開口面積を有している。また、底部15aは、容器本体12の正立状態において流入流出口17に向って下り勾配で傾斜する傾斜面18が形成されていると共に、流入流出口17が底部15aの最下部に開口している。
【0017】
本実施形態のスクイズ容器用キャップ10では、流入流出口17は、平面視して天面部10aに開口する注出ノズル19への注出口16とずれた位置に配設されている(図1及び図2の断面図では、流入流出口17と注出口16は、左右方向にずれた位置に配設されている)。さらに、注出ノズル19への注出口16が、天面部10aの下面側に突出する注出ノズル19の内側突出部分19aの下端開口として開口している。
【0018】
容器本体12に収容可能な内容液としては、計量して使用する液状組成物が含まれ、例えば衣料用液体洗浄剤、柔軟剤、漂白剤、液体入浴剤等が挙げられる。また、食油、調味料等の液状の食品であっても良い。
【0019】
本実施形態では、容器本体12は、スクイズ変形可能な可撓性を有するボトル形状のプラスチック容器であって、図1に示すように、内容液が収容される胴部12bと、胴部12bの上端部から上方に突出して形成された、上端が開口面となった口首部12aとからなる。口首部12aには、スクイズ容器用キャップ10が、公知の各種の螺合手段や嵌合手段を介して着脱可能に装着される。また、容器本体12は、公知の各種の合成樹脂を用いて、例えばブロー成形によって容易に形成することができる。
【0020】
スクイズ容器用キャップ10は、図2に示すように、例えばプラスチック製の成形品であって、円形の天面部10aと、天面部10aの周縁部分から一体として下方に延設する、円環スカート形状の周壁部10bとを含んで構成される。天面部10aには、これの中央部分から上方に突出して、注出ノズル19が設けられている。本実施形態では、注出ノズル19は、内径が例えば6mm程度の円筒形状のノズルとなっており、天面部10aから垂直に立設すると共に、下端部分が天面部10aを越えて下面側に突出して、内側突出部分19aを形成している。注出ノズル19の中空内部は、内容液を注出させる吐出流路13となっている。注出ノズル19の先端には吐出口13aが、内側突出部分19aの下端には注出口16が、内径が例えば6mm程度の円形開口として形成されている。
【0021】
なお、注出ノズル19の吐出口13aは、これを開閉可能に覆う公知の各種の蓋体(図示せず)によって、適宜閉塞しておくことが可能である。
【0022】
また、スクイズ容器用キャップ10の円環スカート形状の周壁部10bには、例えば内側面に雌ネジ突条が設けられており、この雌ネジ突条が、例えば容器本体12の口首部12aの外周面に設けられた雄ネジ突条に螺合されることにより、キャップ10が着脱可能に口首部12aに装着される。さらに、周壁部10bの内側に同心状に配置されて、天面部10aの下面から下方に向かって突出する装着スリーブ20が一体として設けられている。この装着スリーブ20の内側に、中空の有底筒体15を下方から嵌め込むように装着して係止することで、天面部10aの下面側に、液溜め用のトラップルーム14が形成される。装着スリーブ20の形状としては、周壁部10bに同心状に配置される、環状のスリーブや、複数の係止リブ等を周方向にスリーブ状に連設配置した構造のものとすることができる。また、この装着スリーブ20の下端内側面には、有低筒体15を嵌め込んだ際にこれの下端周縁部が係止される係止用のリブを設けても良い。
【0023】
トラップルーム14が形成するための有底筒体15は、図3(a),(b)に示すように、例えばプラスチック製の成形品であって、装着スリーブ20の内周面形状と密着可能な外周面形状を備える、直径が例えば30mm程度、高さが例えば10〜20mm程度の大きさの円筒形状の嵌着周壁部15bと、流入流出口17が開口形成された底部15aとが一体成形された、上端が開口面となった中空の装着部材である。
【0024】
本実施形態では、有底筒体15の底部15aは、その略全体が、一方向に傾斜する平坦な傾斜面18となっており、傾斜面18の最下部に位置する底部15aの周縁部分に、流入流出口17が開口形成されている。これによって、傾斜面18は、容器本体12の正立状態において流入流出口17に向って下り勾配で傾斜する。また、流入流出口17は、有底筒体15の底部15aの周縁部分に開口形成されることで、キャップ10の天面部10aの中央部分に開口形成された注出ノズル19への注出口16とは、平面視してずれた位置に配設されると共に、流入流出口17と注出口16とは、互いに対向しないように配置される。
【0025】
本発明では、有底筒体15の底部15aに形成された流入流出口17の開口面積を注出口16の開口面積の25〜300%の大きさとなっている。有底筒体15の底部15aに形成された流入流出口17の開口面積が注出口16の開口面積と比べて大き過ぎると、容器本体12からトラップルーム14に内容液が多量に流入し易くなって、トラップルーム14による液溜め機能が充分に発揮されなくなる。反対に、流入流出口17の開口面積が注出口16の開口面積と比べて小さ過ぎると、トラップルーム14に内容液が流入し難くなって、容器本体12をスクイズしても内容液をスムーズに吐出させることができなくなる。またトラップルーム14に残留した内容液を容器本体12にスムーズに回収させることができなくなる。有底筒体15の底部15aに形成された流入流出口17の開口面積を注出口16の開口面積に対して上記範囲とすることにより、後述するトラップルーム14による液溜め機能と、容器本体12をスクイズした際に内容液をスムーズに吐出させる機能と、トラップルーム14に残留した内容液を容器本体12にスムーズに回収させる機能とを、バランスよく効果的に発揮させることが可能になる。
【0026】
このような観点から、流入流出口17の開口面積は、注出口16の開口面積の50〜250%の大きさとなっていることが好ましく、75〜200%の大きさとなっていることが更に好ましく、内容液のスムーズな吐出機能と、トラップルームの残留液の容器本体への回収機能とを、バランスよく効果的に発揮させるために100〜150%の大きさとなっていることが特に好ましい。
【0027】
そして、上述の構成を有する本第1実施形態のスクイズ容器用キャップ10によれば、相当の大きさの中空部であるトラップルーム14を有効利用して容器本体12をスクイズする前の内容液の漏出や液垂れを効果的に回避することが可能になると共に、容器本体12をスクイズしてから内容液が吐出されるまでの時間や、トラップルーム14に残留した内容液が容器本体12に回収される時間を短縮して、使い易さを向上させることが可能になる。
【0028】
すなわち、本実施形態のスクイズ容器用キャップ10によれば、天面部10aの下面側に有底筒体15によるトラップルーム14が設けられており、有底筒体15の底部15aに注出ノズル19への注出口16の25〜300%の開口面積を有する流入流出口17が開口形成されており、また有底筒体15の底部15aには、容器本体12の正立状態で流入流出口17に向って傾斜する傾斜面18が形成されていて、流入流出口17が底部15aの最下部に開口している。これによって、スクイズ容器11の使用時に、例えば注出ノズル19を下方に配置して傾倒させた状態で容器本体12をスクイズすることで内容液を吐出させる際に、スクイズ容器11を傾倒させてからスクイズするまでの例えば1〜3秒程度の僅かな間、図4に示すように、容器本体12から注出ノズル19に向かう内容液を、流入流出口17を介して適度な流量でトラップルーム14に流入させて、相当の大きさの中空部となっているトラップルームに一旦液溜めして滞留させることが可能になるので、容器本体12の内圧や内容液の自重による、予期しない内容液の漏出や液垂れを効果的に回避することが可能になる。
【0029】
また、容器本体12がスクイズされる時には、内容液は、流入流出口17を介して適度な流量でトラップルーム14に流入して、トラップルームの内部に相当程度の量が既に滞留していることから、容器本体12をスクイズことで、注出ノズル19への注出口16の周囲に内容液が迅速に充填されて注出口16に流入することにより、吐出流路13及び吐出口13aを介して内容液をスムーズに吐出させることが可能になる。
【0030】
さらに、スクイズ操作を解放してスクイズ容器11を再び正立状態に戻せば、トラップルーム14に残留した内容液は、傾斜面18に沿って底部15aの最下部に配設された流入流出口17に向けてスムーズに流下して行くとともに、相当の開口面積を有する流入流出口17から容器本体12にスムーズに回収されることになる。
【0031】
また、本実施形態では、流入流出口17は、平面視して注出ノズル19への注出口16とずれた位置に配設されているので、スクイズ容器11の使用時に、スクイズ容器11を例えば急な傾きで傾倒させたり、逆さまに倒立させた状態としても、流入流出口17から注出口16へ直接向う内容液の流れが生じるのを回避することが可能になり、これによってトラップルーム14による液溜め機能をより効果的に発揮させることが可能になる。
【0032】
さらに、本実施形態では、有底筒体15の底部15aは、その略全体が、一方向に傾斜する平坦な傾斜面18となっており、傾斜面18の最下部に位置する底部15aの周縁部分に、流入流出口17が開口形成されているので、例えば図4に示すように、有底筒体15の底部15aの流入流出口17が下側に配置されるようにスクイズ容器11を傾倒させて容器本体12をスクイズする際に、注出ノズル19への注出口16より下方部分のトラップルーム14に十分な大きさの液黙り空間を確保することが可能になると共に、液黙り空間として寄与しない注出口16より上方部分の空間を小さくすることが可能になり、これによって内容液をよりスムーズに吐出させることが可能になる。
【0033】
さらにまた、本実施形態では、注出ノズル19への注出口16が、天面部10aの下面側に突出する注出ノズル19の内側突出部分19aの下端開口として開口しているので、流入流出口17から流入した内容液が、注出口16へ向かって直接流れ込まずに、トラップルーム14内に留まってから吐出されるために、液垂れを抑制することが可能になる。
【0034】
図5(a)は、本発明の他の実施形態に係るスクイズ容器用キャップを構成する天面部10aの下面側にトラップルーム14を形成するための有底筒体15’を示すものである。本他の実施形態によれば、スクイズ容器用キャップの有底筒体15’以外の部分は、上記実施形態のスクイズ容器用キャップ10と同様の構成を備えており、有底筒体15’は、上記実施形態のスクイズ容器用キャップ10の有底筒体15と略同様の構成を備えている。すなわち、本他の実施形態のスクイズ容器用キャップでは、有底筒体15’は、底部15aと周壁部15bからなり、底部15aは、その略全体が、一方向に傾斜する平坦な傾斜面18となっており、傾斜面18の最下部に流入流出口17が開口形成されている。さらに、図5(b)にも示すように、平面視してずれた位置に配設された流入流出口17と注出口16との間の部分には、有底筒体15’の底部15aから注出ノズル19の内側突出部分19aの下端開口(注出口16)を超える高さ位置まで立設して、好ましくは円弧断面形状を有する障壁21が設けられている。
【0035】
そして、本他の実施形態のスクイズ容器用キャップによっても、上記実施形態のスクイズ容器用キャップ10と同様の作用効果を奏する他、平面視してずれた位置に配設された流入流出口17と注出口16との間の部分に障壁21が設けられていることにより、例えば有底筒体15の底部15aの流入流出口17が上側に配置されるようにスクイズ容器11を傾倒させて容器本体12をスクイズする際に、流入流出口17から注出口16へ直接向う内容液の流れを障壁21によって遮断することで、スクイズ容器11がスクイズされるまでの間の予期しない内容液の漏出や液垂れを、さらに効果的に回避することが可能になる。
【0036】
本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、注出ノズルへの注出口は、天面部の下面側に突出する内側突出部分に開口している必要は必ずしもない。また、平面視してずれた位置に配設された流入流出口と注出口との間の部分に障壁を設ける必要は必ずしもなく、障壁は、円弧断面形状以外の、例えば平坦な断面形状を有するものであっても良い。
【0037】
さらに、有底筒体の底部に形成された傾斜面は、その略全体が、一方向に傾斜する傾斜面となっている必要は必ずしもなく、底部の最下部に開口する流入流出口は、底部の周縁部分に一箇所に形成される必要は必ずしもない。例えば図6(a)に示すように、傾斜面18を有底筒体15の底部15aの周縁から中央部分に向って下り勾配で傾斜するすり鉢状の傾斜面とすると共に、流入流出口17を底部15aの中央部分に開口形成することもできる。図6(a)では、中央部に形成された流入流出口に対し、注出ノズル19は、キャップ10の円形天面部10aの中央から周縁側にずれた位置に形成されている。また、例えば図6(b)に示すように、傾斜面18を底部15aの中央から周縁部分に向って下り勾配で傾斜するマウンド状の傾斜面とすると共に、流入流出口17を底部の周縁部分に2箇所に開口形成することもできる。
【符号の説明】
【0038】
10 スクイズ容器用キャップ
10a 天面部
11 スクイズ容器
12 容器本体
12a 口首部
13 吐出流路
13a 吐出口
14 トラップルーム
15,15’ 有底筒体
15a 有底筒体の底部
15b 有底筒体の嵌着周壁部
16 注出ノズルへの注出口
17 流入流出口
18 傾斜面
19 注出ノズル
19a 内側突出部分
20 装着スリーブ
21 障壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体の口首部に取り付けて用いられ、該容器本体の胴部のスクイズ変形により注出ノズルの先端の吐出口から内容液を吐出させるスクイズ容器用キャップであって、
当該キャップの前記注出ノズルが立設する天面部の下面側に、中空の有底筒体による液溜め用のトラップルームが設けられており、
前記有底筒体の底部に、前記容器本体と前記トラップルームとの間の内容液の流入口及び流出口を兼ねる、前記注出ノズルへの注出口の開口面積の25〜300%の開口面積を有する流入流出口が開口形成されており、
前記有底筒体の底部には、前記容器本体の正立状態において前記流入流出口に向って下り勾配で傾斜する傾斜面が形成されていると共に、前記流入流出口が前記底部の最下部に開口しているスクイズ容器用キャップ。
【請求項2】
前記流入流出口は、平面視して前記天面部に開口する前記注出ノズルへの注出口とずれた位置に配設されている請求項1記載のスクイズ容器用キャップ。
【請求項3】
前記注出ノズルへの注出口が、前記天面部の下面側に突出する前記注出ノズルの内側突出部分の下端開口として開口している請求項1又は2記載のスクイズ容器用キャップ。
【請求項4】
平面視してずれた位置に配設された前記流入流出口と前記注出口との間の部分には、前記有底筒体の底部から前記注出ノズルの内側突出部分の下端開口を超える高さ位置まで立設して、障壁が設けられている請求項3記載のスクイズ容器用キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−235943(P2011−235943A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110491(P2010−110491)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】