説明

スクイズ容器

【課題】容器本体と別体の押圧規制部材を必要とすることなく、一体成形で製造することのできるスクイズ容器であって、容器本体の押圧位置に応じて内溶液の吐出量を異ならせることができ、かつ簡便に使用することのできるスクイズ容器を提供する。
【解決手段】一体成形によるスクイズ容器1Aであって、容器本体10の周壁が、上下方向に計量目盛11が配列した正面部14と、正面部14に対向する背面部15を有する。背面部15は、複数の上下方向に伸びた凹部又は凸部が波状に形成された凹凸領域を有し、容器本体10の横断面における正面部14と背面部15との最大距離Lが、容器本体10の上下方向の高さに応じて異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクイズ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有する容器本体を、外方から押圧して内容液を吐出させるスクイズ容器において、容器本体内に押圧量を規制する規制筒ないし押圧係止部材を設け、押圧部位を容器本体の上下方向で変えることにより、内容液の吐出量を異ならせる方法(特許文献1)や、押圧部位を容器本体の周方向で変えることにより内容液の吐出量を異ならせる方法(特許文献2)がある。
【0003】
【特許文献1】実開昭62−101769号公報
【特許文献2】特開2006−182429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、容器本体の押圧位置によって異なる量の内容液を吐出させるスクイズ容器は、計量性を得るために、通常の場合、容器本体と別体に規制筒等の押圧規制部材を使用することになり、製造コストが高くなる。
【0005】
また、容器本体の押圧位置により所定量の内容液を吐出させるためには、容器本体を挟んで押圧する2方向のそれぞれについて位置を確認することが必要となる。例えば、特許文献2に記載の容器において、吐出量が「多」となるように内容液を吐出させるためには、片手で容器本体を把持するにあたり、親指を「多」の目印に当て、残りの指を「多」の目印とちょうど反対側の位置で鉛直方向に揃えて当てなくてはならない。
【0006】
この場合、容器が円筒状であったり、容器又は手が濡れていたりすることにより、滑りやすい状態であると、親指と残りの指で押圧した位置が、本来の目印とその反対側の位置とからずれることがある。
【0007】
これに対し、本発明は、容器本体と別体の押圧規制部材を必要とすることなく、一体成形で製造することのできるスクイズ容器であって、容器本体の押圧位置に応じて内溶液の吐出量を異ならせることができ、かつ計量性のよいスクイズ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、一体成形によるスクイズ容器であって、容器本体の周壁が、上下方向に計量目盛が配列した正面部と、正面部に対向する背面部を有し、背面部は、複数の上下方向に伸びた凹部又は凸部が波板状に形成された凹凸領域を有し、容器本体の横断面における正面部と背面部との最大距離が、容器本体の上下方向の高さに応じて異なっているスクイズ容器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスクイズ容器によれば、容器本体の周壁の背面部は、複数の上下方向に伸びた凹部又は凸部が波板状に形成された凹凸領域を有することにより撓み難く、正面部は撓みやすい。そこで、正面部に親指を掛け、背面部の凹凸領域に残りの指を掛け、容器本体を押圧して所定量の内容液を吐出させるに際し、親指の位置を計量目盛の付設位置に応じて定めるだけでよく、残りの指はその位置を確認する必要がない。したがって、所定量の内容液を吐出させるスクイズ操作を手軽に行うことが可能となる。
【0010】
さらに、本発明のスクイズ容器は、容器本体と別体の押圧規制部材が省略されているので、低コストに得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は、同一又は同等の構成要素を表している。
【0012】
図1は、本発明の一実施例のスクイズ容器1Aの(a)正面側斜視図、(b)側面側斜視図、(c)背面側斜視図、及び(d)その横断面図である。
【0013】
このスクイズ容器1Aは、内容液を収容する容器本体10と、容器本体10の吐出ノズル12に着脱自在に装着されるノズルキャップ20を備えている。
【0014】
容器本体10は、プラスチック材料を用いて、ブロー成形により一体成形したものであり、その周壁は、横断面が弧状に突出した正面部14と概略直線状の背面部15とを有する。ここで、プラスチック材料としては、たとえばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルクロライド(PVC)等の熱可塑性樹脂が好ましい。なお、容器本体10を形成するプラスチック材料としては、内容液の液面を容器本体10の外方から視認できる程度に透明性又は半透明性を有するものが好ましい。
【0015】
また、容器本体10の容量としては、片手でスクイズ容器1Aを持ち上げ、スクイズ操作を行えるようにする点から、1000mL以下が好ましく、500mL以下がより好ましい。
【0016】
正面部14は、可撓性を有し、その表面には上下方向に配列した計量目盛11が付設されている。個々の計量目盛11は線状に突出しており、計量目盛11上を図1(b)の矢印のように押圧した場合の内容液の吐出量(例えば、10mL、20mL、30mL)が適当な数値間隔で付されている。
【0017】
なお、計量目盛の付設方法については、計量時に識別可能な状態で付設されていればよく、例えば、容器の成形時に一緒に形成してもよく、容器成形後に印刷等により付与しても良い。前者の場合には、上記に記載した線状に突出させるほか、凹部で目盛を付しても良い。
【0018】
また、一回のスクイズ当たりの吐出量は、内容液の用途、性質等に応じて適宜設定される。
【0019】
背面部15は、図1(c)、(d)に示すように、その全面が、複数の上下方向に伸びた凹部が波板状に形成された凹凸領域になっている。より具体的には、上下方向に連続的に伸びた断面矩形の溝16が波板状に複数並列している。そのため、背面部15は、正面部14に比して極めて撓みにくく、特に水平方向に折れ曲がり難くなっており、指で正面部14と背面部15を挟んで押圧しても、背面部15は実質的に変形しない。なお、溝16のピッチや高さは、使用するプラスチック材料の種類や厚さ等にもよるが、溝深さL2を1mm以上、溝幅L3を1mm以上、ピッチL4を2mm以上とすることが好ましい。
【0020】
また、本発明において、背面部15の凹部又は凸部が上下方向に伸びるとは、凹部又は凸部が厳密に容器本体10の上下方向(即ち、起立方向)に伸びている場合に限らず、背面部15を水平方向に折れ曲がり難くするものである限り、斜め上下方向に伸びていても良い。
【0021】
さらに、本発明において、凹部又は凸部が波板状に形成されるとは、凹部と凸部とでシートの厚みが実質的に変わらないことをいう。これにより、シートの厚みを、凹部と凸部で異ならせる場合に対して、容器の樹脂量を低減でき、また均一な肉厚にできるために成形能力が向上し、成形時の変形を防止できるという利点がある。したがって、図1の溝16の底部におけるプラスチックシート厚と、溝と溝との間の凸部におけるプラスチックシート厚も実質的に同一である。
【0022】
容器本体10の全体的な外形としては、その下端部10bの内径に対して上端部10aの内径が狭いテーパー状であり、背面部15は底面から略垂直に起立している。そのため、容器本体10の横断面における正面部14と背面部15との最大距離L(図1(d))が、容器本体の上下方向の高さに応じて異なり、より具体的には、この距離Lは上下方向の位置が高いほど小さくなっている。
【0023】
このスクイズ容器1Aから所望の吐出量で内容液を吐出させるには、正面部14の計量目盛11の配列領域においてその吐出量に応じた位置に親指を当て、その反対側の背面部15に残りの指を当て、図2に示すように、正面部14と背面部15とが接するまで容器本体10を押圧する。これにより、親指の位置に応じた量で、吐出孔13から内溶液を吐出させることができる。この場合、背面部15はほとんど変形しないため、背面部15において、残りの指は容器本体10を握りやすい位置におけばよく、吐出量に応じた位置に合わせることは不要である。さらに、背面部15は、その全面が底面から略垂直に起立していることにより、正面部14の計量目盛11の配列領域に相対する位置も底面に垂直な面を有しているので、残りの指を当てやすい。したがって、このスクイズ容器1Aによれば、極めて簡便に所望の吐出量で吐出孔13から内容液を吐出させることができる。また、正面部14の横断面形状が、背面部15から弧状に突出したものとなっているので、内容液を吐出させた後の容器本体10の形状の復元性も確保することができ、かつ減圧変形に対しても耐性を有するものとなる。
【0024】
なお、本発明において、背面部15に設ける凹凸領域は、図1(c)に示すように背面部15の全面に設けると、強度上、製造上及び使用し易さの点から好ましいが、必ずしも全面に設ける必要はない。正面部14の計量目盛11の配列領域に相対する位置が、底面に対して垂直な凹凸領域となっている場合には、背面部15の上下両端部や両側縁部は平坦でもよく、後述するように(図4)、中央部を正面部14側に突出させる場合に、背面部15の両側縁部と上端部を凹凸領域とし、中央部には溝やリブを形成しなくてもよい。
【0025】
本発明において、背面部15の凹凸領域を形成する凹部又は凸部は、種々の形状をとることができる。例えば、凹部の断面形状を、図3Aに示す容器本体10の横断面図のように連続的なV字型溝16bにしてもよく、図3Bに示す容器本体10の横断面図のように連続的な半円筒状溝16cにしてもよい。図3Cに示すように、上下方向に伸びたディンプル状溝16dを断続的に形成してもよく、図3Dに示すように、上下方向に伸びた角型溝16eを断続的に形成してもよい。さらに、図3Eに示すように、斜め上下方向に連続的に伸びた溝16をハ字型に配列させてもよい。
【0026】
さらに、図4に示すスクイズ容器1Bのように、背面部15の両側縁部と上端部に、上下方向に伸びた溝16を並列させた凹凸領域を形成し、背面部15の中央部には、正面部14側に突出させた突出部17を形成してもよい。これにより、容器本体10の横断面における正面部14と背面部15との最大距離Lを図1のスクイズ容器1Aに比して小さくできるので、内容液を突出させるときに必要とされる正面部14の押込量を小さくし、一度の押圧による吐出量を少なくすることができる。
【0027】
なお、この突出部17には、複数の上下方向に伸びた凹部又は凸部からなる凹凸領域を形成しなくてもよい。背面部15の両側縁部と上端部に凹凸領域を形成することにより、正面部14と背面部15を指で把持して容器本体10を押圧するときに、背面部15の凹凸領域に指を当てることができるので、背面部15の変形を防止することができる。したがって、このスクイズ容器1Bにおいても、所定量の内容液を吐出させるにあたり、背面部15に当てる指の位置を確認することが不要となる。
【0028】
なお、本発明スクイズ容器において、吐出ノズル12やノズルキャップ20の形状には制限はなく、その用途に応じて、ブラシや刷毛等の塗布具を備えたものとしてもよい。
【0029】
また、容器本体10の成形方法としては、ブロー成形の他、インジェクションブロー成形等によることもできる。容器本体の形状、製造コストの点からは、ブロー成形が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のスクイズ容器は、洗濯用洗剤、柔軟剤、漂白剤、自動食器洗い洗剤等の吐出容器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】スクイズ容器の正面側斜視図、側面側斜視図、背面側斜視図、及び横断面図である。
【図2】押圧時のスクイズ容器の斜視図である。
【図3A】スクイズ容器の側面側斜視図、背面側斜視図、及び横断面図である。
【図3B】スクイズ容器の側面側斜視図、背面側斜視図、及び横断面図である。
【図3C】スクイズ容器の側面側斜視図、背面側斜視図、及び横断面図である。
【図3D】スクイズ容器の側面側斜視図、背面側斜視図、及び横断面図である。
【図3E】スクイズ容器の側面側斜視図、背面側斜視図、及び横断面図である。
【図4】スクイズ容器の正面側斜視図、側面側斜視図、背面側斜視図、及び横断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1A、1B スクイズ容器
10 容器本体
10a 上端部
10b 下端部
11 計量目盛
12 吐出ノズル
13 吐出孔
14 正面部
15 背面部
16、16b、16c、16d、16e 溝
17 突出部
20 ノズルキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体成形によるスクイズ容器であって、容器本体の周壁が、上下方向に計量目盛が配列した正面部と、正面部に対向する背面部を有し、背面部は、複数の上下方向に伸びた凹部又は凸部が波板状に形成された凹凸領域を有し、容器本体の横断面における正面部と背面部との最大距離が、容器本体の上下方向の高さに応じて異なっているスクイズ容器。
【請求項2】
凹凸領域の凹部として、上下方向に連続的に溝が形成されている請求項1記載のスクイズ容器。
【請求項3】
凹凸領域の凹部として、上下方向に断続的に溝が形成されている請求項1記載のスクイズ容器。
【請求項4】
背面部は、少なくとも、正面部の計量目盛と対向する領域に、凹凸領域を有する請求項1〜3のいずれかに記載のスクイズ容器。
【請求項5】
背面部の両側縁部と上端部が凹凸領域となり、背面部の中央部が正面部側に突出している請求項1記載のスクイズ容器。
【請求項6】
容器本体の外形が、下端部内径に対して上端部内径が狭いテーパー状であり、正面部の少なくとも計量目盛の配列領域に相対する位置において、背面部が底面に垂直な面を有している請求項1〜5のいずれかに記載のスクイズ容器。
【請求項7】
ブロー成形により成形されている請求項1〜6のいずれかに記載のスクイズ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−143587(P2010−143587A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319273(P2008−319273)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】