スクリュー搬送装置
【課題】スクリューの兼用率の向上と、搬送速度の高速化の両立を図ること。
【解決手段】コンベアの搬送速度がスクリュー本体の搬送速度より卓越し、折曲ガイドをスクリュー本体の直交方向に向けて移動可能に設置し、スクリュー本体の入口部の谷径を他の部位より小径に形成して、折曲ガイドとの間に対向距離の等しい搬送空間を形成した。
【解決手段】コンベアの搬送速度がスクリュー本体の搬送速度より卓越し、折曲ガイドをスクリュー本体の直交方向に向けて移動可能に設置し、スクリュー本体の入口部の谷径を他の部位より小径に形成して、折曲ガイドとの間に対向距離の等しい搬送空間を形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリュー搬送装置に関し、特にスクリューを交換せずに一本のスクリューで搬送できる被搬送物のサイズ範囲(スクリューの兼用率)を高めたスクリュー搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラベリングや充填目的で、容器等の被搬送物の供給タイミングを合せて搬送する手段としてスクリュー搬送装置が広く知られている(特許文献1)。
図8を参照して説明すると、従来のスクリュー搬送装置はらせん状のスクリュー70と、該スクリュー70に並設した直線ガイド73とを具備している。
スクリュー70はその全長に亘って形成したらせん状の羽根71と、羽根71の間に形成したらせん溝72とを有する。
らせん溝72は被搬送物74を収容可能な谷径d2と山径d1を有し、スターホイール75へ向けた被搬送物74の供給速度と供給間隔が漸増するように、そのリードとピッチが形成されている。
谷径d2と山径d1はスクリュー70の全長に亘ってそれぞれ等しい。
【0003】
従来のスクリュー70による搬送原理について説明すると、隣接して供給される被搬送物74の周面間にらせん状の羽根71の始端が入り込み、スクリュー70の回転に伴いらせん状の羽根71のピッチにしたがって被搬送物74がスクリュー70の軸方向に引き離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−250838号公報(図2)
【特許文献2】特開2004−115206号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のスクリュー搬送装置にはつぎの問題点がある。
<1>スクリュー70のらせん溝72の溝幅Aを、基本的に被搬送物74の径B(横断寸法)に合わせて形成してあるため、一本のスクリュー70で搬送できる被搬送物74の寸法範囲がきわめて小さい。
図9を参照して詳しく説明する。同図のスクリュー70は直径Xの被搬送物74Sを搬送するためのもので、このスクリュー70で直径2Xの被搬送物74Lの搬送に兼用しようとした場合を例にすると、直径2Xの被搬送物74Lを搬送するためにはらせん溝72を斜線で示した範囲を広げる必要があるが、溝幅を広げると、直径Xの被搬送物74Sの密着した周面間に入り込むための入口部側のらせん状の羽根71(ねじ山)が削り取られてなくなってしまい、直径Xの被搬送物74Sを引き離すことができなくなる。つまり被搬送物74Sの搬送が不能となる。
被搬送物74の兼用率は最小径の被搬送物74Sの密着した周面の間に入れるらせん状の羽根71の始端側が、被搬送物74を滞留させるることができる山高さを維持できる範囲となる。
スクリュー70の谷径d2と山径d1の寸法等により兼用率が若干変わるが、従来は兼用率が最大で1.4倍が限界とされていた。
<2>一台のマシンで異なる径の被搬送物74を取り扱えれば、多種少数生産への対応性がよくなる。
上記した<1>の理由から、一台のマシンで異なる径の被搬送物74に対応するには、径の異なる被搬送物74に対応した複数サイズのスクリュー70を保有すればよいが、パーツコストが嵩む問題と保管スペース確保の問題がある。
さらに、スクリュー70の交換に多くの時間と労力を要し、その間はマシンの運転停止を強いられて運転効率が悪くなるといった問題もある。
<3>スクリュー兼用率を高める手段として、らせん溝72の溝幅Aを被搬送物74の径Bに対して大きめに形成する方法が試みられている(特許文献2)。
この方法は、らせん溝72と被搬送物74との間に大きな隙間(A−B)を生じるため、搬送中において被搬送物74が前後に傾倒したり、小刻みな揺れを繰り返したりする。被搬送物74に傾倒や小刻みな揺れを生じると、被搬送物74の供給精度に悪影響を及ぼすだけでなく、被搬送物74の損傷原因となる。
上述した理由から、らせん溝72の溝幅Aを大きくすることには限界がある。
<4>従来のスクリューは兼用率が低いだけでなく、兼用タイプのスクリューは搬送速度も低速を強いられ、被搬送物74の搬送処理効率が悪かった。
生産効率を向上するためには、被搬送物74の搬送速度の高速化に対応可能で、かつスクリュー兼用率をさらに増大させる技術の提案が求められている。
【0006】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、つぎのスクリュー搬送装置を提供することを目的とする。
<1>スクリューの兼用率の向上と、搬送速度の高速化の両立を図ること。
<2>多種少数生産の対応性に優れること。
<3>低コスト化を図ること。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1発明は、複数の被搬送物を搭載するコンベアの上方に配置し、外周面にらせん溝を有するスクリュー本体と、前記コンベアの上方で、該スクリュー本体と対向して配置した折曲ガイドとを具備し、スクリュー本体のらせん溝内に被搬送物を収容して搬送するスクリュー搬送装置であって、コンベアの搬送速度がスクリュー本体の搬送速度より卓越し、前記折曲ガイドを前記スクリュー本体の直交方向に向けて移動可能に設置し、前記スクリュー本体の入口部の谷径を他の部位より小径にした異径軸を形成し、前記異径軸の間に被搬送物を滞留させる段差面を形成したことを特徴とする。
本願の第2発明は、前記第1発明において、前記スクリュー本体は入口部を小径に形成した異径軸と、入口部を除いた異径軸の外周面に形成したらせん状の羽根とにより構成し、前記異径軸は入口部の範囲に亘って形成した小径軸と、前記他の部位に亘って形成した大径軸とにより構成し、前記小径軸と大径軸との間に段差面を形成し、前記大径軸の外周面と羽根の側面との間に一定溝幅のらせん溝を形成したことを特徴とする。
本願の第3発明は、前記第1発明または第2発明において、前記折曲ガイドは少なくともガイド面の一部にスクリュー本体の軸心に対して傾斜する傾斜ガイドを形成したことを特徴とする。
本願の第4発明は、前記スクリュー本体は小径軸の搬送方向上流側にテーパ軸を一体に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスクリュー搬送装置はつぎの効果を奏する。
<1>折曲ガイドをスクリュー本体の直交方向に向けて移動可能に設置するとともに、スクリュー本体の入口部の谷径を他の部位より小径に形成して、折曲ガイドとの間に対向距離の等しい搬送空間を形成するだけで、スクリューの兼用率の向上と、被搬送物の搬送速度の高速化の両立を図ることができる。
<2>一台のスクリュー搬送装置で異径の被搬送物を安定して搬送できて、多種少数生産の対応性に優れる。
<3>スクリュー本体の交換が不要であるので、多数のスクリュー本体を保管する必要もなくなり、装置の低コスト化が図れる。
<4>折曲ガイドをスライド調整するだけで異形の被搬送物へ変更できるから、変更に要する時間を大幅に短縮できて、生産効率の低下を回避できる。
<5>スクリュー本体の小径軸の搬送方向上流側にテーパ軸を一体に形成すれば、被搬送物が扁平形や角形であっても、被搬送物の噛み込みを防止して円滑に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1に係るスクリュー搬送装置の平面モデル図。
【図2】図1におけるII-IIの断面図。
【図3】スクリュー本体と折曲ガイドの説明図。
【図4A】スクリュー搬送装置による被搬送物の搬送方法を説明するためのモデル図。
【図4B】スクリュー搬送装置による被搬送物の搬送方法を説明するためのモデル図。
【図4C】スクリュー搬送装置による被搬送物の搬送方法を説明するためのモデル図。
【図4D】スクリュー搬送装置による被搬送物の搬送方法を説明するためのモデル図。
【図5】異径の被搬送物を搬送するスクリュー搬送装置の説明図。
【図6】らせん溝が他の形状を呈する実施例2に係るスクリュー搬送装置の説明図。
【図7】スクリュー本体にテーパ軸を形成した実施例3に係るスクリュー搬送装置の説明図。
【図8】従来のスクリュー搬送装置の説明図。
【図9】従来のスクリュー搬送装置の兼用率の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照しながら本発明を実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
<1>スクリュー搬送装置の概要
図1にスクリュー搬送装置10の平面モデル図を示し、図2にその横断面図を示し、図3にコンベアを省略したスクリュー搬送装置10の平面モデル図を示す。
本例では便宜上、被搬送物74が断面円形を呈する場合について説明するが、被搬送物74の断面形状に楕円形や多角形等の公知の形状を含むものである。
【0012】
スクリュー搬送装置10は多数の被搬送物74を所定の間隔を隔てて一つ単位で搬送し、供給タイミングに合わせて図外のスターホイール等へ供給するための装置で、一方向に回転するスクリュー本体20と、該スクリュー本体20に並設した折曲ガイド30を具備していて、公知のコンベア40の上方に配設されている。
【0013】
スクリュー本体20の左端は軸受27に枢支され、スクリュー本体20の右端はモータ等の駆動源28に枢支されていて、最終的にスクリュー本体20が一方向へ向けて回転する。
【0014】
本例ではコンベア40に搭載した被搬送物74が、スクリュー本体20と折曲ガイド30の対向空間(誘導空間)を経て図面の左方から右方へ向けて移動して、図外のスターホイール等へ供給される。
【0015】
<2>スクリュー本体
スクリュー本体20は異径軸21と、異径軸21の周面に形成されたらせん状の羽根25とよりなり、スクリュー本体20の左方から右方へ向けて順に入口部20a、変速部20bおよび出口部20cを形成している。
【0016】
出口部20cは被搬送物74を等速で搬送する区間であり、入口部20aと変速部20bは被搬送物74を変速搬送する区間である。
入口部20a、変速部20bおよび出口部20cの各長さは、スクリュー搬送装置10の使途に応じて適宜選択可能である。
以下にスクリュー本体20の各部について詳説する。
【0017】
<2.1>異径軸
従来のスクリュー本体はらせん溝の谷径がスクリュー本体の全長に亘って同径であったが、本発明ではスクリュー本体20のらせん溝26の入口側の谷径を異径に形成する。
すなわち、本発明では入口部20aの範囲に亘って形成した小径軸21aと、変速部20bおよび出口部20cの範囲に亘って形成した大径軸21bとにより異径軸21を構成する。
【0018】
小径軸21aは大径軸21bと同軸線上に位置し、小径軸21aの軸径d3は大径軸21bの軸径d4より小さい。
小径軸21aはその軸径d3が均一であり、大径軸21bもその軸径d4が均一である。
【0019】
小径軸21aの終端と大径軸21bの始端との間には、被搬送物74を滞留させるための段差面21cを形成していて、この段差面21cの終端部かららせん状の羽根25の形成を開始するようにした。
すなわち、本発明では、小径軸21aと大径軸21bの間の段差面21cで被搬送物74を滞留させ(進行を遅らせる)、この間に被搬送物74をスクリュー本体20の軸心と直交する方向に変位させて、密着した被搬送物74の周面間にらせん状の羽根25を入り込ませるようにした。
換言すれば小径軸21aと大径軸21bの間の段差面21cの形成範囲に亘り径が漸増変化していて、被搬送物74を小径軸21aから大径軸21bへ円滑に移行できるようになっている。
「径が漸増変化する」とは、テーパ面を意味するものではなく、その外周面が軸心との平行性を保ったまま拡径する面を意味する。
【0020】
要はスクリュー本体20の入口部20aの軸径d3を他の変速部20bおよび出口部20cの軸径d4(谷径)より小径に形成してあって、折曲ガイド30との間に対向距離の等しい搬送空間を形成していればよい。
【0021】
本発明が異径軸21を採用したのは、被搬送物74を入口部20aの終端から変速部20bの始端へ受け渡す際に、隣接して供給される被搬送物74をスクリュー本体20の軸心と直交する方向に強制的に変位させて被搬送物74を引き離すためである。
換言すれば、被搬送物74の径の影響を受けずに隣接して供給される被搬送物74を搬送方向と直交する方向へずらして引き離すようにすることでスクリュー本体20の兼用率を高めるためである。
【0022】
具体的な異径軸21の大径軸21bと小径軸21aの軸径差(d4−d3)は、使用予定の被搬送物74の最大径と最小径等を考慮して適宜選択するものとする。
【0023】
<2.2>らせん状の羽根
スクリュー本体20の入口部20aは小径軸21aの周面に羽根がなく、小径軸21aのみで構成する。
【0024】
変速部20bおよび出口部20cには、大径軸21bの外周面にらせん状の羽根25が形成されている。
らせん状の羽根25の山径d5は、始端部を除いて変速部20bおよび出口部20cの範囲に亘ってそれぞれ均一である。
【0025】
らせん状の羽根25のリードとピッチは、被搬送物74の供給速度と供給間隔の漸増に合わせて形成してある。
【0026】
<2.3>らせん溝
大径軸21bの外周面と羽根25の側面との間には、谷径d4の連続したらせん溝26が形成されている。
らせん溝26の谷径d4は、変速部20bおよび出口部20cの範囲に亘ってそれぞれ均一である。
【0027】
らせん状の羽根25のリードとピッチは、被搬送物74の供給速度と供給間隔の漸増に合わせて形成してある。
【0028】
<2.4>らせん溝の溝幅について
図3を参照してらせん溝26の溝幅Aと被搬送物74の関係について説明する。
符号74Lは搬送可能な最大径B1の被搬送物を示し、符号74Sは搬送可能な最小径B2の被搬送物を示す。
らせん溝72の溝幅Aはらせん溝72の全長に亘って変化し、搬送可能な最大径B1の被搬送物74Lは勿論のこと、最小径B2の被搬送物74Sも収容可能な寸法と深さを有している。
【0029】
<3>折曲ガイド
図1,2において、コンベア40の上方にはスクリュー本体20と平行に折曲ガイド30が配置されている。
スクリュー本体20と向かい合って配置された折曲ガイド30は、スクリュー本体20の入口部20aから出口部20cの受け渡しポジションの手前まで伸びている板製や棒製のガイド部材で、スクリュー本体20との対向面には折曲ガイド30の左方から右方へ向けて順に入口ガイド31、傾斜ガイド32、出口直線ガイド33を連続して形成している。
【0030】
<3.1>折曲ガイドのスライド
折曲ガイド30はスクリュー本体20の直交方向に向けてスライド移動が可能で、被搬送物74の径に応じて折曲ガイド30とスクリュー本体20との対向距離を調節することができる。
【0031】
図2に示すように、本例では折曲ガイド30にスクリュー本体20の直交方向に向けて長穴34を設け、ボルト類35で固定部材36に支持させたスライド構造を示すが、公知のスライド調節構造や機構を適用できる。
【0032】
<3.2>ガイド面
折曲ガイド30はスクリュー本体20の異径軸21の軸径変化に対応したガイド面を有している。
図3を参照して折曲ガイド30のガイド面について詳しく説明する。
本例では、入口ガイド31と出口直線ガイド33は共にスクリュー本体20の軸心と平行であり、傾斜ガイド32はスクリュー本体20の軸心に対して傾斜角θを介して傾斜していて、これらの連続したガイド31〜33が被搬送物74のガイド面として機能する。
【0033】
傾斜ガイド32の傾斜角θは、スクリュー本体20と協働して被搬送物74を円滑に搬送できるように、異径軸21の軸径差(d4−d3)を考慮して適宜選定する。
【0034】
<3.3>折曲ガイドとスクリュー本体の位置関係
折曲ガイド30とスクリュー本体20との相対的な位置関係について説明すると、折曲ガイド30の入口ガイド31はスクリュー本体20の入口部20aの搬送方向上流側に位置し、傾斜ガイド32はスクリュー本体20の入口部20aから変速部20bの始端部にかけて対向して位置し、出口直線ガイド33はスクリュー本体20の変速部20bに対向して位置する。
【0035】
<3.4>対向間隔
また折曲ガイド30とスクリュー本体20の対向間隔について説明すると、入口ガイド31と入口部20aとの間隔L1と、出口直線ガイド33と変速部20bとの間隔L2はほぼ等しく形成してあって、スクリュー本体20と折曲ガイド30との間で被搬送物74を円滑に搬送できるようになっている。
【0036】
<4>コンベア
図1,2に示すように、コンベア40は一方向へ向けて回転する公知のコンベアである。
本発明では、異径の被搬送物74の搬送に対応するため、コンベア40の搬送速度が、スクリュー搬送装置10の搬送速度に対して僅かに速く設定されている。
コンベア40の搬送速度をスクリュー本体20の搬送速度より卓越するように速度差を設けたのは、らせん状の羽根25の移送側(下流側)の側面に被搬送物74を当接させた状態を維持して、被搬送物74の傾倒やガタツキを防止するためである。
【0037】
[搬送方法]
つぎにスクリュー搬送装置10による異径の被搬送物74の搬送方法について説明する。
【0038】
<1>搬送方法
図1において、スクリュー搬送装置10が運転を開始すると、コンベア40に搭載されて直進する被搬送物74は、被搬送物74の径に合わせて予めスライド調整済の折曲ガイド30とスクリュー本体20の入口側の搬送空間に達する。
【0039】
直進を続ける被搬送物74は、折曲ガイド30の傾斜する傾斜ガイド32と、スクリュー本体20の段差面21cで滞留されながら、段差面21cに案内されてスクリュー本体20の軸心から離隔する位置に変位する。このとき、被搬送物74は、小径軸21aの終端から大径軸21bの始端へ移動する。
【0040】
スクリュー本体20の軸心と直交方向に変位した被搬送物74がスクリュー本体20の大径軸21bの始端に達すると、隣接する被搬送物74と被搬送物74との間にらせん状の羽根25の始端が入り込み、先行する被搬送物74が後行の被搬送物74から引き離される。
この間、後行する被搬送物74はスクリュー本体20の段差面21cに滞留される。
らせん溝26に収容された先行する被搬送物74は折曲ガイド30の出口直線ガイド33にガイドされて図面右方へ搬送される。
【0041】
スクリュー本体20による上記した被搬送物74の搬送方法を説明するためのモデル図を図4A〜図4Dに示す。図4A〜図4Dはスクリュー本体20を90度単位で回転したときの各被搬送物74の位置と、各軸21a,21bと羽根25等の位置関係を示したものである。
【0042】
最終的に被搬送物74はスクリュー本体20の出口部20cの受け渡しポジション位置で図外のスターホイール等と出会ってスクリュー搬送装置10外へ供給される。
【0043】
<2>被搬送物の径を変更する場合
本発明では、図3で説明したようにスクリュー本体20の入口側の軸を異径に形成するとともに、この異径軸21の径差に対応するように折曲ガイド30の一部に傾斜ガイド32を形成してある。
したがって、大径サイズの被搬送物74(74L)から小径サイズの被搬送物74(74S)へ変更する場合には、図5に示すように、小径サイズの被搬送物74に合わせて折曲ガイド30をスクリュー本体20の接近方向に平行移動するだけの簡単な操作を行うだけで、異径の被搬送物74(74S)の供給が可能となる。
【0044】
被搬送物74を大径サイズから小径サイズへ変更した場合、らせん溝26と被搬送物74との間に隙間を生じるが、ベルトコンベア40とスクリュー搬送装置10との搬送速度差によって、被搬送物74の径の大小に拘わらず、被搬送物74をらせん状の羽根25の進行側の側面に当接するように偏倚させて支持するので、被搬送物74の傾倒や揺れを効果的に防止することができる。
したがって、被搬送物74の高速搬送が可能となる。
【0045】
このように本発明では、被搬送物74を径の異なるものに変更する場合には、折曲ガイド30をスライド調整するだけでよく、従来のように複数サイズのスクリュー本体を保有したり、スクリュー本体20とガイドを交換したりする必要がなくなる。
したがって、パーツコストの問題や保管スペースの問題も解消できる。
さらに折曲ガイド30のスライド調整は短時間で行えるから、マシンの運転停止時間を非常に短縮できて運転効率への影響が少なくて済む。
【0046】
<3>スクリューの兼用率について
図3に示すように、スクリュー本体20の兼用率は、基本的に異径軸21の大径軸21bと小径軸21aの軸径差(d4−d3)、及び最大径、最小径の比率によるリード構成等により求められる。
例えば、小径軸21aの軸径を40mm、大径軸21bの軸径を65mmとした場合、被搬送物74Lの最大径B2は80mm、被搬送物74Sの最小径B2は40mmとなって、スクリュー本体20の兼用率を2.0にすることができる。
したがって、スクリューの兼用率の向上を図ることが可能となる。
【実施例2】
【0047】
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0048】
前記した実施例では、らせん溝26の収容形状が台形タイプである場合について説明したが、図6に示すように、台形の裾部半円形を組み合わせたタイプを適用してもよいし、図6に示した半円形タイプを適用することも可能である。
らせん溝72の収容形状は、搬送可能な最大径B1と最小径B2の被搬送物74L、74Sを収容して搬送可能な形状であればよい。
【0049】
本例においても既述した実施例と同様に、スクリュー本体20の入口側の軸を異径に形成するとともに、この異径軸21の径差に対応するように折曲ガイド30の一部に傾斜ガイド32を形成している。
【実施例3】
【0050】
図7は被搬送物74が目薬容器等のように断面形状が扁平形、または角形を呈する場合に適用した他の実施例に係るスクリュー搬送装置10を示す。
【0051】
本例のスクリュー搬送装置10の基本構成は既述した実施例と同様である。
すなわち、本例におけるスクリュー本体20は異径軸21と、異径軸21の周面に形成されたらせん状の羽根25とにより構成し、異径軸21を構成する小径軸21aの終端と大径軸21bの始端との間に、被搬送物74を滞留させてスクリュー本体20の直交方向に向けて変位させるための段差面21cを形成していて、この段差面21cの終端部かららせん状の羽根25の形成を開始している。
【0052】
スクリュー本体20と対向して配置された折曲ガイド30は、スクリュー本体20の直交方向に向けてスライド移動が可能で、折曲ガイド30の左方から右方へ向けて順に入口ガイド31、傾斜ガイド32、出口直線ガイド33を連続して形成している。
【0053】
またスクリュー搬送装置10の基本的な作用効果は既述した実施例と同様であるので説明を省略する。
【0054】
本例においては、スクリュー本体20の入口部に相当する異径軸21の始端側、すなわち小径軸21aの搬送方向上流側にテーパ軸22を一体に形成している。
テーパ軸22の左方の最大径は小径軸21aより大きく、テーパ軸21dの右方の最小径は小径軸21aと等しい。
【0055】
スクリュー本体20の入口部にテーパ軸22を一体に形成したのは、つぎの理由からである。
スクリュー本体20の入口部に相当する異径軸21の始端側にテーパ軸22がないと、スクリュー本体20の軸心と平行に供給した被搬送物74の先端側が入口部の小径軸21aの箇所で外方へせり出してガイドとの間で噛み込んでしまうおそれがある。
【0056】
本例では被搬送物74の噛み込みを防止するため、テーパ軸22の傾斜したテーパ面を利用して、小径軸21aに到達する直前の被搬送物74をスクリュー本体20の向心方向へ向けて傾けて供給するようにした。
被搬送物74をスクリュー本体20の向心方向へ向けて傾けて供給すれば、被搬送物74の先端側が入口部の小径軸21aの箇所で外方へせり出すのを防止でき、これにより折曲ガイド30との間で被搬送物74の噛み込みを防止して円滑に搬送することができる。
【符号の説明】
【0057】
10・・・・・スクリュー搬送装置
20・・・・・スクリュー本体
20a・・・・入口部
20b・・・・変速部
20c・・・・出口部
21・・・・・異径軸
21a・・・・小径軸
21b・・・・大径軸
21c・・・・段差面
22・・・・・テーパ軸
25・・・・・らせん状の羽根
26・・・・・らせん溝
30・・・・・折曲ガイド
31・・・・・入口ガイド
32・・・・・傾斜ガイド
33・・・・・出口直線ガイド
40・・・・・コンベア
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリュー搬送装置に関し、特にスクリューを交換せずに一本のスクリューで搬送できる被搬送物のサイズ範囲(スクリューの兼用率)を高めたスクリュー搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラベリングや充填目的で、容器等の被搬送物の供給タイミングを合せて搬送する手段としてスクリュー搬送装置が広く知られている(特許文献1)。
図8を参照して説明すると、従来のスクリュー搬送装置はらせん状のスクリュー70と、該スクリュー70に並設した直線ガイド73とを具備している。
スクリュー70はその全長に亘って形成したらせん状の羽根71と、羽根71の間に形成したらせん溝72とを有する。
らせん溝72は被搬送物74を収容可能な谷径d2と山径d1を有し、スターホイール75へ向けた被搬送物74の供給速度と供給間隔が漸増するように、そのリードとピッチが形成されている。
谷径d2と山径d1はスクリュー70の全長に亘ってそれぞれ等しい。
【0003】
従来のスクリュー70による搬送原理について説明すると、隣接して供給される被搬送物74の周面間にらせん状の羽根71の始端が入り込み、スクリュー70の回転に伴いらせん状の羽根71のピッチにしたがって被搬送物74がスクリュー70の軸方向に引き離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−250838号公報(図2)
【特許文献2】特開2004−115206号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のスクリュー搬送装置にはつぎの問題点がある。
<1>スクリュー70のらせん溝72の溝幅Aを、基本的に被搬送物74の径B(横断寸法)に合わせて形成してあるため、一本のスクリュー70で搬送できる被搬送物74の寸法範囲がきわめて小さい。
図9を参照して詳しく説明する。同図のスクリュー70は直径Xの被搬送物74Sを搬送するためのもので、このスクリュー70で直径2Xの被搬送物74Lの搬送に兼用しようとした場合を例にすると、直径2Xの被搬送物74Lを搬送するためにはらせん溝72を斜線で示した範囲を広げる必要があるが、溝幅を広げると、直径Xの被搬送物74Sの密着した周面間に入り込むための入口部側のらせん状の羽根71(ねじ山)が削り取られてなくなってしまい、直径Xの被搬送物74Sを引き離すことができなくなる。つまり被搬送物74Sの搬送が不能となる。
被搬送物74の兼用率は最小径の被搬送物74Sの密着した周面の間に入れるらせん状の羽根71の始端側が、被搬送物74を滞留させるることができる山高さを維持できる範囲となる。
スクリュー70の谷径d2と山径d1の寸法等により兼用率が若干変わるが、従来は兼用率が最大で1.4倍が限界とされていた。
<2>一台のマシンで異なる径の被搬送物74を取り扱えれば、多種少数生産への対応性がよくなる。
上記した<1>の理由から、一台のマシンで異なる径の被搬送物74に対応するには、径の異なる被搬送物74に対応した複数サイズのスクリュー70を保有すればよいが、パーツコストが嵩む問題と保管スペース確保の問題がある。
さらに、スクリュー70の交換に多くの時間と労力を要し、その間はマシンの運転停止を強いられて運転効率が悪くなるといった問題もある。
<3>スクリュー兼用率を高める手段として、らせん溝72の溝幅Aを被搬送物74の径Bに対して大きめに形成する方法が試みられている(特許文献2)。
この方法は、らせん溝72と被搬送物74との間に大きな隙間(A−B)を生じるため、搬送中において被搬送物74が前後に傾倒したり、小刻みな揺れを繰り返したりする。被搬送物74に傾倒や小刻みな揺れを生じると、被搬送物74の供給精度に悪影響を及ぼすだけでなく、被搬送物74の損傷原因となる。
上述した理由から、らせん溝72の溝幅Aを大きくすることには限界がある。
<4>従来のスクリューは兼用率が低いだけでなく、兼用タイプのスクリューは搬送速度も低速を強いられ、被搬送物74の搬送処理効率が悪かった。
生産効率を向上するためには、被搬送物74の搬送速度の高速化に対応可能で、かつスクリュー兼用率をさらに増大させる技術の提案が求められている。
【0006】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、つぎのスクリュー搬送装置を提供することを目的とする。
<1>スクリューの兼用率の向上と、搬送速度の高速化の両立を図ること。
<2>多種少数生産の対応性に優れること。
<3>低コスト化を図ること。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1発明は、複数の被搬送物を搭載するコンベアの上方に配置し、外周面にらせん溝を有するスクリュー本体と、前記コンベアの上方で、該スクリュー本体と対向して配置した折曲ガイドとを具備し、スクリュー本体のらせん溝内に被搬送物を収容して搬送するスクリュー搬送装置であって、コンベアの搬送速度がスクリュー本体の搬送速度より卓越し、前記折曲ガイドを前記スクリュー本体の直交方向に向けて移動可能に設置し、前記スクリュー本体の入口部の谷径を他の部位より小径にした異径軸を形成し、前記異径軸の間に被搬送物を滞留させる段差面を形成したことを特徴とする。
本願の第2発明は、前記第1発明において、前記スクリュー本体は入口部を小径に形成した異径軸と、入口部を除いた異径軸の外周面に形成したらせん状の羽根とにより構成し、前記異径軸は入口部の範囲に亘って形成した小径軸と、前記他の部位に亘って形成した大径軸とにより構成し、前記小径軸と大径軸との間に段差面を形成し、前記大径軸の外周面と羽根の側面との間に一定溝幅のらせん溝を形成したことを特徴とする。
本願の第3発明は、前記第1発明または第2発明において、前記折曲ガイドは少なくともガイド面の一部にスクリュー本体の軸心に対して傾斜する傾斜ガイドを形成したことを特徴とする。
本願の第4発明は、前記スクリュー本体は小径軸の搬送方向上流側にテーパ軸を一体に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスクリュー搬送装置はつぎの効果を奏する。
<1>折曲ガイドをスクリュー本体の直交方向に向けて移動可能に設置するとともに、スクリュー本体の入口部の谷径を他の部位より小径に形成して、折曲ガイドとの間に対向距離の等しい搬送空間を形成するだけで、スクリューの兼用率の向上と、被搬送物の搬送速度の高速化の両立を図ることができる。
<2>一台のスクリュー搬送装置で異径の被搬送物を安定して搬送できて、多種少数生産の対応性に優れる。
<3>スクリュー本体の交換が不要であるので、多数のスクリュー本体を保管する必要もなくなり、装置の低コスト化が図れる。
<4>折曲ガイドをスライド調整するだけで異形の被搬送物へ変更できるから、変更に要する時間を大幅に短縮できて、生産効率の低下を回避できる。
<5>スクリュー本体の小径軸の搬送方向上流側にテーパ軸を一体に形成すれば、被搬送物が扁平形や角形であっても、被搬送物の噛み込みを防止して円滑に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1に係るスクリュー搬送装置の平面モデル図。
【図2】図1におけるII-IIの断面図。
【図3】スクリュー本体と折曲ガイドの説明図。
【図4A】スクリュー搬送装置による被搬送物の搬送方法を説明するためのモデル図。
【図4B】スクリュー搬送装置による被搬送物の搬送方法を説明するためのモデル図。
【図4C】スクリュー搬送装置による被搬送物の搬送方法を説明するためのモデル図。
【図4D】スクリュー搬送装置による被搬送物の搬送方法を説明するためのモデル図。
【図5】異径の被搬送物を搬送するスクリュー搬送装置の説明図。
【図6】らせん溝が他の形状を呈する実施例2に係るスクリュー搬送装置の説明図。
【図7】スクリュー本体にテーパ軸を形成した実施例3に係るスクリュー搬送装置の説明図。
【図8】従来のスクリュー搬送装置の説明図。
【図9】従来のスクリュー搬送装置の兼用率の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照しながら本発明を実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
<1>スクリュー搬送装置の概要
図1にスクリュー搬送装置10の平面モデル図を示し、図2にその横断面図を示し、図3にコンベアを省略したスクリュー搬送装置10の平面モデル図を示す。
本例では便宜上、被搬送物74が断面円形を呈する場合について説明するが、被搬送物74の断面形状に楕円形や多角形等の公知の形状を含むものである。
【0012】
スクリュー搬送装置10は多数の被搬送物74を所定の間隔を隔てて一つ単位で搬送し、供給タイミングに合わせて図外のスターホイール等へ供給するための装置で、一方向に回転するスクリュー本体20と、該スクリュー本体20に並設した折曲ガイド30を具備していて、公知のコンベア40の上方に配設されている。
【0013】
スクリュー本体20の左端は軸受27に枢支され、スクリュー本体20の右端はモータ等の駆動源28に枢支されていて、最終的にスクリュー本体20が一方向へ向けて回転する。
【0014】
本例ではコンベア40に搭載した被搬送物74が、スクリュー本体20と折曲ガイド30の対向空間(誘導空間)を経て図面の左方から右方へ向けて移動して、図外のスターホイール等へ供給される。
【0015】
<2>スクリュー本体
スクリュー本体20は異径軸21と、異径軸21の周面に形成されたらせん状の羽根25とよりなり、スクリュー本体20の左方から右方へ向けて順に入口部20a、変速部20bおよび出口部20cを形成している。
【0016】
出口部20cは被搬送物74を等速で搬送する区間であり、入口部20aと変速部20bは被搬送物74を変速搬送する区間である。
入口部20a、変速部20bおよび出口部20cの各長さは、スクリュー搬送装置10の使途に応じて適宜選択可能である。
以下にスクリュー本体20の各部について詳説する。
【0017】
<2.1>異径軸
従来のスクリュー本体はらせん溝の谷径がスクリュー本体の全長に亘って同径であったが、本発明ではスクリュー本体20のらせん溝26の入口側の谷径を異径に形成する。
すなわち、本発明では入口部20aの範囲に亘って形成した小径軸21aと、変速部20bおよび出口部20cの範囲に亘って形成した大径軸21bとにより異径軸21を構成する。
【0018】
小径軸21aは大径軸21bと同軸線上に位置し、小径軸21aの軸径d3は大径軸21bの軸径d4より小さい。
小径軸21aはその軸径d3が均一であり、大径軸21bもその軸径d4が均一である。
【0019】
小径軸21aの終端と大径軸21bの始端との間には、被搬送物74を滞留させるための段差面21cを形成していて、この段差面21cの終端部かららせん状の羽根25の形成を開始するようにした。
すなわち、本発明では、小径軸21aと大径軸21bの間の段差面21cで被搬送物74を滞留させ(進行を遅らせる)、この間に被搬送物74をスクリュー本体20の軸心と直交する方向に変位させて、密着した被搬送物74の周面間にらせん状の羽根25を入り込ませるようにした。
換言すれば小径軸21aと大径軸21bの間の段差面21cの形成範囲に亘り径が漸増変化していて、被搬送物74を小径軸21aから大径軸21bへ円滑に移行できるようになっている。
「径が漸増変化する」とは、テーパ面を意味するものではなく、その外周面が軸心との平行性を保ったまま拡径する面を意味する。
【0020】
要はスクリュー本体20の入口部20aの軸径d3を他の変速部20bおよび出口部20cの軸径d4(谷径)より小径に形成してあって、折曲ガイド30との間に対向距離の等しい搬送空間を形成していればよい。
【0021】
本発明が異径軸21を採用したのは、被搬送物74を入口部20aの終端から変速部20bの始端へ受け渡す際に、隣接して供給される被搬送物74をスクリュー本体20の軸心と直交する方向に強制的に変位させて被搬送物74を引き離すためである。
換言すれば、被搬送物74の径の影響を受けずに隣接して供給される被搬送物74を搬送方向と直交する方向へずらして引き離すようにすることでスクリュー本体20の兼用率を高めるためである。
【0022】
具体的な異径軸21の大径軸21bと小径軸21aの軸径差(d4−d3)は、使用予定の被搬送物74の最大径と最小径等を考慮して適宜選択するものとする。
【0023】
<2.2>らせん状の羽根
スクリュー本体20の入口部20aは小径軸21aの周面に羽根がなく、小径軸21aのみで構成する。
【0024】
変速部20bおよび出口部20cには、大径軸21bの外周面にらせん状の羽根25が形成されている。
らせん状の羽根25の山径d5は、始端部を除いて変速部20bおよび出口部20cの範囲に亘ってそれぞれ均一である。
【0025】
らせん状の羽根25のリードとピッチは、被搬送物74の供給速度と供給間隔の漸増に合わせて形成してある。
【0026】
<2.3>らせん溝
大径軸21bの外周面と羽根25の側面との間には、谷径d4の連続したらせん溝26が形成されている。
らせん溝26の谷径d4は、変速部20bおよび出口部20cの範囲に亘ってそれぞれ均一である。
【0027】
らせん状の羽根25のリードとピッチは、被搬送物74の供給速度と供給間隔の漸増に合わせて形成してある。
【0028】
<2.4>らせん溝の溝幅について
図3を参照してらせん溝26の溝幅Aと被搬送物74の関係について説明する。
符号74Lは搬送可能な最大径B1の被搬送物を示し、符号74Sは搬送可能な最小径B2の被搬送物を示す。
らせん溝72の溝幅Aはらせん溝72の全長に亘って変化し、搬送可能な最大径B1の被搬送物74Lは勿論のこと、最小径B2の被搬送物74Sも収容可能な寸法と深さを有している。
【0029】
<3>折曲ガイド
図1,2において、コンベア40の上方にはスクリュー本体20と平行に折曲ガイド30が配置されている。
スクリュー本体20と向かい合って配置された折曲ガイド30は、スクリュー本体20の入口部20aから出口部20cの受け渡しポジションの手前まで伸びている板製や棒製のガイド部材で、スクリュー本体20との対向面には折曲ガイド30の左方から右方へ向けて順に入口ガイド31、傾斜ガイド32、出口直線ガイド33を連続して形成している。
【0030】
<3.1>折曲ガイドのスライド
折曲ガイド30はスクリュー本体20の直交方向に向けてスライド移動が可能で、被搬送物74の径に応じて折曲ガイド30とスクリュー本体20との対向距離を調節することができる。
【0031】
図2に示すように、本例では折曲ガイド30にスクリュー本体20の直交方向に向けて長穴34を設け、ボルト類35で固定部材36に支持させたスライド構造を示すが、公知のスライド調節構造や機構を適用できる。
【0032】
<3.2>ガイド面
折曲ガイド30はスクリュー本体20の異径軸21の軸径変化に対応したガイド面を有している。
図3を参照して折曲ガイド30のガイド面について詳しく説明する。
本例では、入口ガイド31と出口直線ガイド33は共にスクリュー本体20の軸心と平行であり、傾斜ガイド32はスクリュー本体20の軸心に対して傾斜角θを介して傾斜していて、これらの連続したガイド31〜33が被搬送物74のガイド面として機能する。
【0033】
傾斜ガイド32の傾斜角θは、スクリュー本体20と協働して被搬送物74を円滑に搬送できるように、異径軸21の軸径差(d4−d3)を考慮して適宜選定する。
【0034】
<3.3>折曲ガイドとスクリュー本体の位置関係
折曲ガイド30とスクリュー本体20との相対的な位置関係について説明すると、折曲ガイド30の入口ガイド31はスクリュー本体20の入口部20aの搬送方向上流側に位置し、傾斜ガイド32はスクリュー本体20の入口部20aから変速部20bの始端部にかけて対向して位置し、出口直線ガイド33はスクリュー本体20の変速部20bに対向して位置する。
【0035】
<3.4>対向間隔
また折曲ガイド30とスクリュー本体20の対向間隔について説明すると、入口ガイド31と入口部20aとの間隔L1と、出口直線ガイド33と変速部20bとの間隔L2はほぼ等しく形成してあって、スクリュー本体20と折曲ガイド30との間で被搬送物74を円滑に搬送できるようになっている。
【0036】
<4>コンベア
図1,2に示すように、コンベア40は一方向へ向けて回転する公知のコンベアである。
本発明では、異径の被搬送物74の搬送に対応するため、コンベア40の搬送速度が、スクリュー搬送装置10の搬送速度に対して僅かに速く設定されている。
コンベア40の搬送速度をスクリュー本体20の搬送速度より卓越するように速度差を設けたのは、らせん状の羽根25の移送側(下流側)の側面に被搬送物74を当接させた状態を維持して、被搬送物74の傾倒やガタツキを防止するためである。
【0037】
[搬送方法]
つぎにスクリュー搬送装置10による異径の被搬送物74の搬送方法について説明する。
【0038】
<1>搬送方法
図1において、スクリュー搬送装置10が運転を開始すると、コンベア40に搭載されて直進する被搬送物74は、被搬送物74の径に合わせて予めスライド調整済の折曲ガイド30とスクリュー本体20の入口側の搬送空間に達する。
【0039】
直進を続ける被搬送物74は、折曲ガイド30の傾斜する傾斜ガイド32と、スクリュー本体20の段差面21cで滞留されながら、段差面21cに案内されてスクリュー本体20の軸心から離隔する位置に変位する。このとき、被搬送物74は、小径軸21aの終端から大径軸21bの始端へ移動する。
【0040】
スクリュー本体20の軸心と直交方向に変位した被搬送物74がスクリュー本体20の大径軸21bの始端に達すると、隣接する被搬送物74と被搬送物74との間にらせん状の羽根25の始端が入り込み、先行する被搬送物74が後行の被搬送物74から引き離される。
この間、後行する被搬送物74はスクリュー本体20の段差面21cに滞留される。
らせん溝26に収容された先行する被搬送物74は折曲ガイド30の出口直線ガイド33にガイドされて図面右方へ搬送される。
【0041】
スクリュー本体20による上記した被搬送物74の搬送方法を説明するためのモデル図を図4A〜図4Dに示す。図4A〜図4Dはスクリュー本体20を90度単位で回転したときの各被搬送物74の位置と、各軸21a,21bと羽根25等の位置関係を示したものである。
【0042】
最終的に被搬送物74はスクリュー本体20の出口部20cの受け渡しポジション位置で図外のスターホイール等と出会ってスクリュー搬送装置10外へ供給される。
【0043】
<2>被搬送物の径を変更する場合
本発明では、図3で説明したようにスクリュー本体20の入口側の軸を異径に形成するとともに、この異径軸21の径差に対応するように折曲ガイド30の一部に傾斜ガイド32を形成してある。
したがって、大径サイズの被搬送物74(74L)から小径サイズの被搬送物74(74S)へ変更する場合には、図5に示すように、小径サイズの被搬送物74に合わせて折曲ガイド30をスクリュー本体20の接近方向に平行移動するだけの簡単な操作を行うだけで、異径の被搬送物74(74S)の供給が可能となる。
【0044】
被搬送物74を大径サイズから小径サイズへ変更した場合、らせん溝26と被搬送物74との間に隙間を生じるが、ベルトコンベア40とスクリュー搬送装置10との搬送速度差によって、被搬送物74の径の大小に拘わらず、被搬送物74をらせん状の羽根25の進行側の側面に当接するように偏倚させて支持するので、被搬送物74の傾倒や揺れを効果的に防止することができる。
したがって、被搬送物74の高速搬送が可能となる。
【0045】
このように本発明では、被搬送物74を径の異なるものに変更する場合には、折曲ガイド30をスライド調整するだけでよく、従来のように複数サイズのスクリュー本体を保有したり、スクリュー本体20とガイドを交換したりする必要がなくなる。
したがって、パーツコストの問題や保管スペースの問題も解消できる。
さらに折曲ガイド30のスライド調整は短時間で行えるから、マシンの運転停止時間を非常に短縮できて運転効率への影響が少なくて済む。
【0046】
<3>スクリューの兼用率について
図3に示すように、スクリュー本体20の兼用率は、基本的に異径軸21の大径軸21bと小径軸21aの軸径差(d4−d3)、及び最大径、最小径の比率によるリード構成等により求められる。
例えば、小径軸21aの軸径を40mm、大径軸21bの軸径を65mmとした場合、被搬送物74Lの最大径B2は80mm、被搬送物74Sの最小径B2は40mmとなって、スクリュー本体20の兼用率を2.0にすることができる。
したがって、スクリューの兼用率の向上を図ることが可能となる。
【実施例2】
【0047】
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0048】
前記した実施例では、らせん溝26の収容形状が台形タイプである場合について説明したが、図6に示すように、台形の裾部半円形を組み合わせたタイプを適用してもよいし、図6に示した半円形タイプを適用することも可能である。
らせん溝72の収容形状は、搬送可能な最大径B1と最小径B2の被搬送物74L、74Sを収容して搬送可能な形状であればよい。
【0049】
本例においても既述した実施例と同様に、スクリュー本体20の入口側の軸を異径に形成するとともに、この異径軸21の径差に対応するように折曲ガイド30の一部に傾斜ガイド32を形成している。
【実施例3】
【0050】
図7は被搬送物74が目薬容器等のように断面形状が扁平形、または角形を呈する場合に適用した他の実施例に係るスクリュー搬送装置10を示す。
【0051】
本例のスクリュー搬送装置10の基本構成は既述した実施例と同様である。
すなわち、本例におけるスクリュー本体20は異径軸21と、異径軸21の周面に形成されたらせん状の羽根25とにより構成し、異径軸21を構成する小径軸21aの終端と大径軸21bの始端との間に、被搬送物74を滞留させてスクリュー本体20の直交方向に向けて変位させるための段差面21cを形成していて、この段差面21cの終端部かららせん状の羽根25の形成を開始している。
【0052】
スクリュー本体20と対向して配置された折曲ガイド30は、スクリュー本体20の直交方向に向けてスライド移動が可能で、折曲ガイド30の左方から右方へ向けて順に入口ガイド31、傾斜ガイド32、出口直線ガイド33を連続して形成している。
【0053】
またスクリュー搬送装置10の基本的な作用効果は既述した実施例と同様であるので説明を省略する。
【0054】
本例においては、スクリュー本体20の入口部に相当する異径軸21の始端側、すなわち小径軸21aの搬送方向上流側にテーパ軸22を一体に形成している。
テーパ軸22の左方の最大径は小径軸21aより大きく、テーパ軸21dの右方の最小径は小径軸21aと等しい。
【0055】
スクリュー本体20の入口部にテーパ軸22を一体に形成したのは、つぎの理由からである。
スクリュー本体20の入口部に相当する異径軸21の始端側にテーパ軸22がないと、スクリュー本体20の軸心と平行に供給した被搬送物74の先端側が入口部の小径軸21aの箇所で外方へせり出してガイドとの間で噛み込んでしまうおそれがある。
【0056】
本例では被搬送物74の噛み込みを防止するため、テーパ軸22の傾斜したテーパ面を利用して、小径軸21aに到達する直前の被搬送物74をスクリュー本体20の向心方向へ向けて傾けて供給するようにした。
被搬送物74をスクリュー本体20の向心方向へ向けて傾けて供給すれば、被搬送物74の先端側が入口部の小径軸21aの箇所で外方へせり出すのを防止でき、これにより折曲ガイド30との間で被搬送物74の噛み込みを防止して円滑に搬送することができる。
【符号の説明】
【0057】
10・・・・・スクリュー搬送装置
20・・・・・スクリュー本体
20a・・・・入口部
20b・・・・変速部
20c・・・・出口部
21・・・・・異径軸
21a・・・・小径軸
21b・・・・大径軸
21c・・・・段差面
22・・・・・テーパ軸
25・・・・・らせん状の羽根
26・・・・・らせん溝
30・・・・・折曲ガイド
31・・・・・入口ガイド
32・・・・・傾斜ガイド
33・・・・・出口直線ガイド
40・・・・・コンベア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被搬送物を搭載するコンベアの上方に配置し、外周面にらせん溝を有するスクリュー本体と、前記コンベアの上方で、該スクリュー本体と対向して配置した折曲ガイドとを具備し、スクリュー本体のらせん溝内に被搬送物を収容して搬送するスクリュー搬送装置であって、
コンベアの搬送速度がスクリュー本体の搬送速度より卓越し、
前記折曲ガイドを前記スクリュー本体の直交方向に向けて移動可能に設置し、
前記スクリュー本体の入口部の谷径を他の部位より小径にした異径軸を形成し、
前記異径軸の間に被搬送物を滞留させる段差面を形成したことを特徴とする、
スクリュー搬送装置。
【請求項2】
前記スクリュー本体は入口部を小径に形成した異径軸と、入口部を除いた異径軸の外周面に形成したらせん状の羽根とにより構成し、前記異径軸は入口部の範囲に亘って形成した小径軸と、前記他の部位に亘って形成した大径軸とにより構成し、前記小径軸と大径軸との間に段差面を形成し、前記大径軸の外周面と羽根の側面との間に一定溝幅のらせん溝を形成したことを特徴とする、請求項1に記載のスクリュー搬送装置。
【請求項3】
前記折曲ガイドは少なくともガイド面の一部にスクリュー本体の軸心に対して傾斜する傾斜ガイドを形成したことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のスクリュー搬送装置。
【請求項4】
前記スクリュー本体は小径軸の搬送方向上流側にテーパ軸を一体に形成したことを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のスクリュー搬送装置。
【請求項1】
複数の被搬送物を搭載するコンベアの上方に配置し、外周面にらせん溝を有するスクリュー本体と、前記コンベアの上方で、該スクリュー本体と対向して配置した折曲ガイドとを具備し、スクリュー本体のらせん溝内に被搬送物を収容して搬送するスクリュー搬送装置であって、
コンベアの搬送速度がスクリュー本体の搬送速度より卓越し、
前記折曲ガイドを前記スクリュー本体の直交方向に向けて移動可能に設置し、
前記スクリュー本体の入口部の谷径を他の部位より小径にした異径軸を形成し、
前記異径軸の間に被搬送物を滞留させる段差面を形成したことを特徴とする、
スクリュー搬送装置。
【請求項2】
前記スクリュー本体は入口部を小径に形成した異径軸と、入口部を除いた異径軸の外周面に形成したらせん状の羽根とにより構成し、前記異径軸は入口部の範囲に亘って形成した小径軸と、前記他の部位に亘って形成した大径軸とにより構成し、前記小径軸と大径軸との間に段差面を形成し、前記大径軸の外周面と羽根の側面との間に一定溝幅のらせん溝を形成したことを特徴とする、請求項1に記載のスクリュー搬送装置。
【請求項3】
前記折曲ガイドは少なくともガイド面の一部にスクリュー本体の軸心に対して傾斜する傾斜ガイドを形成したことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のスクリュー搬送装置。
【請求項4】
前記スクリュー本体は小径軸の搬送方向上流側にテーパ軸を一体に形成したことを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のスクリュー搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−60258(P2013−60258A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199783(P2011−199783)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000189844)植原樹脂工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000189844)植原樹脂工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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