説明

スクリーンマスク、該スクリーンマスクを用いるプラズマディスプレイパネルの製造方法及び該プラズマディスプレイパネルを用いるプラズマ表示装置

【課題】
プラズマディスプレイパネルの各単位セルを囲う井桁状の隔壁に蛍光体層をスクリーン印刷法により形成する場合の歩留及び品質を向上させるスクリーンマスクを提供する。
【解決手段】スクリーンマスク20Bの開口部22Bの面放電電極対が延びる方向(x−x方向)の隔壁13上に該当する箇所に、蛍光体材料の吐出を所定量抑制するための吐出抑制部24,…,24が設けられているので、x−x方向の隔壁13上への同蛍光体材料の溢れが抑制されると共に、蛍光体材料の吐出量の不足が生じにくくなり、表示画面の品質の良いプラズマディスプレイパネル及びプラズマ表示装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スクリーンマスク、該スクリーンマスクを用いるプラズマディスプレイパネルの製造方法及び該プラズマディスプレイパネルを用いるプラズマ表示装置に係り、特に、プラズマディスプレイパネルの各単位セルを囲う井桁状の隔壁に蛍光体層をスクリーン印刷法により形成する場合に用いて好適なスクリーンマスク、該スクリーンマスクを用いるプラズマディスプレイパネルの製造方法及び該プラズマディスプレイパネルを用いるプラズマ表示装置
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(Prasma Display Panel、以下、「PDP」という)を主要部として含むプラズマ表示装置は、従来から広く用いられているCRT(Cathode Ray Tube)あるいは液晶表示装置などのディスプレイ装置と比較して、ちらつきが少なく、表示コントラスト比が大きいこと、薄型で大画面表示が可能であること、応答速度が速いことなど、多くの利点を有している。このため、近年では、プラズマ表示装置は、公共の表示装置や大型平面テレビジョンなどのディスプレイ装置として利用されることが多くなっている。
【0003】
このプラズマ表示装置は、動作方式により、PDPの表示電極(後述する走査電極と維持電極とからなる面放電電極対)が透明誘電体層で被覆されて間接的に交流放電の状態で動作させるAC型のものと、同表示電極が放電空間に露出されて直流放電の状態で動作させるDC型のものとに略大別される。特に、前者は、比較的簡単な構造で、上述したような大画面化が容易に実現されるので、近年、広く用いられている。このようなPDPでは、それぞれガラスなどの透明電極からなる前面基板と背面基板とが対向するように配置され、両基板間にプラズマを発生させる放電空間が形成されている。
【0004】
また、AC型のPDPは、3電極面放電型の構成のものが多く用いられる。この3電極面放電型のPDPでは、PDPの単位セル(放電セル)を形成する上記一対の基板のうちの前面基板の内面に、水平方向(行方向)に沿って互いに平行に走査電極と維持電極(一般には、電気的に連結されているので、「共通電極」ともいう)とからなる面放電電極(「表示電極」、「行電極」ともいう)群が配置されている。また、背面基板の内面に、上記行電極群と直交するように、垂直方向(列方向)にデータ電極(「アドレス電極」ともいう)からなる列電極が配置されている。このPDPは、前面基板側の放電空間で行われる面放電時に発生する高エネルギのイオンが背面基板の内側に形成されている蛍光体層を衝撃することが少ないので、長寿命化がはかれ、最も広く採用されている。また、上記蛍光体層は、背面基板の内側に赤(R),緑(G),青(B)の各色のものが配置され、加法混色により多色発光が可能となっている。
【0005】
図1は、上記3電極面放電型のPDPの要部の構成を示す分解斜視図である。
このPDPは、同図に示すように、ガラスからなる前面基板1及び背面基板2を備えている。前面基板1上には、放電ギャップGを隔てて互いに平行に配置された透明の走査電極3及び維持電極4(面放電電極対)が設けられ、かつ、バス電極5及びバス電極6が同走査電極3及び維持電極4にそれぞれ重なるように配置されている。バス電極5及びバス電極6は、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、Ag(銀)などの金属材料で構成され、走査電極3及び維持電極4の抵抗値を小さくする。さらに、これらの電極を覆う透明誘電体層10、及び同透明誘電体層10を放電から保護するための酸化マグネシウムなどからなる保護層11が形成されている。また、背面基板2上には、走査電極3及び維持電極4と直交するように配置されたデータ電極7、及び同データ電極7を覆うための白色誘電体層12が形成されている。また、上記面放電電極対とデータ電極7との交差領域に単位セルが形成される。さらに、白色誘電体層12の表面には、隣接する単位セルとの間を分離するための隔壁13が設けられ、かつ白色誘電体層12の表面及び隔壁13の側面に緑(G),青(B),赤(R)に対応する各蛍光体層9が順次繰り返して塗布されている。
【0006】
ここで、近年では、PDPに高精細化が要求されており、行電極である走査電極3及び維持電極4のピッチを狭くする必要がある。ところが、単純に行電極のピッチを狭くすると、垂直方向(すなわち、データ電極が延びる方向)に隣り合う単位セル間で放電が干渉し合って誤放電が発生し、これに伴って画質が劣化することがある。このため、上記隔壁13は、垂直方向にのみに延びるのではなく、水平方向(すなわち、走査電極3及び維持電極4が延びる方向)にも延びて垂直方向に隣接する単位セルを区切る部分をも備えた井桁状に形成され、同単位セルが閉セル構造とされたPDPが主流となっている。
【0007】
前面基板1と背面基板2との間には、He(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Xe(キセノン)などの放電用ガスが単独あるいは混合して充填され、隔壁13により形成された放電空間8では、上記放電ガスの放電により発生する真空紫外光が蛍光体層9に照射されることにより可視光に変換され、前面基板1から表示発光が観測される。蛍光体層9は、様々な色を表現するために、赤(R),緑(G),青(B)の3原色に塗り分けて配列されている。
【0008】
図2は、図1のPDPの概略の製造工程図である。
このPDPの製造工程では、同図2に示すように、工程A1において、前面基板1が洗浄される。工程A2において、スパッタ法などにより前面基板1の内面にITOなどが成膜された後、フォトリソグラフィ法により所望の形状にパターニングされて走査電極3及び維持電極4が形成される。この後、スパッタ法などにより走査電極3及び維持電極4上にAlなどが成膜された後、フォトリソグラフィ法により所望の形状にパターニングされてバス電極6が形成される。工程A3において、スクリーン印刷法などにより走査電極3及び維持電極4を覆うようにPbOなどの透明誘電体層10が形成される。工程A4において、EB(Electron Beam 、電子ビーム)蒸着法により透明誘電体層10上にMgOなどの材料を蒸着して保護層11が形成される。
【0009】
一方、工程B1において、背面基板2が洗浄される。工程B2において、スパッタ法などにより背面基板2の内面にAlなどが成膜された後、フォトリソグラフィ法により所望の形状にパターニングされてデータ電極7が形成される。工程B3において、スクリーン印刷法によりデータ電極7を覆うように白色誘電体層12が形成される。工程B4において、サンドブラスト法などによりデータ電極7上に隔壁13が形成される。工程B5において、白色誘電体層12及び隔壁13を覆うように蛍光体層9が形成される。次に、工程C1において、前面基板1と背面基板2とが対向した状態で固定されて組み立てられる。工程C2において、前面基板1及び背面基板2の周辺部がシールフリット(封着材)により封着される。工程C3において、前面基板1と背面基板2との間の空間が排気されてガス封入が行われ、PDPが完成する。
【0010】
上記工程B5における蛍光体層9の形成については、従来より印刷法やフォトリソグラフィ法などの様々な手法が試みられてきたが、現在では、生産性及びコスト共に利点の大きいスクリーン印刷法により行われることが多い。
【0011】
図3及び図4は、図2中の工程B5における蛍光体層9のスクリーン印刷法による形成を説明する図である。
スクリーン印刷法では、同図3に示すように、スクリーンマスク20が用いられる。スクリーンマスク20は、枠21内にメッシュ(網目)が張設され、同メッシュに乳剤でパターニングすることにより、図4中に示す開口部22が開口幅aでデータ電極7が延びる方向に連続して形成されて構成されている。このスクリーンマスク20を押さえながらスキージ(Squeege )23をy−y方向に走行させることにより、たとえば緑(G)に対応したペースト状の蛍光体材料Pが開口部22を経て隔壁13の緑色発光用の単位セルを囲う面に吐出される。また、スクリーンマスク20と同様の図示しないスクリーンマスクにより、青(B)に対応した蛍光体材料Pが開口部を経て隔壁13の青色発光用の単位セルを囲う面に吐出される。同様に、赤(R)に対応した蛍光体材料Pが開口部を経て隔壁13の赤色発光用の単位セルを囲う面に吐出される。これにより、図1中の蛍光体層9が形成される。
【0012】
図5は、図4中のスクリーンマスク20の要部の構成を示す平面図である。
このスクリーンマスク20の開口部22は、同図5に示すように、隔壁13のy−y方向(すなわち、データ電極7が延びる方向)に沿った開口幅aのストライプ状に形成されている。また、スクリーンマスク20に代えて、図6に示すスクリーンマスク20Aが用いられることもある。スクリーンマスク20Aでは、同図6に示すように、単位セルに対応する部分のみが開口された開口幅aのドット状の開口部22Aが形成されている。
【0013】
上記のスクリーンマスクの他、従来、この種の技術としては、たとえば、次のような文献に記載されるものがあった。
特許文献1に記載されたカラープラズマディスプレイのスクリーン版(スクリーンマスク)では、スクリーン版のパターン部が表示領域より長さ方向に大きく広げられることにより、同表示領域の最外周部におけるペースト起因のスクリーン版の目詰まりが抑えられ、連続印刷性の向上を図ることができる。
【特許文献1】特開2004−082384号公報(要約書、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記従来のスクリーンマスクでは、次のような問題点があった。
すなわち、図5に示すストライプ状の開口部22を有するスクリーンマスク20を用いた場合、x−x方向(すなわち、走査電極3及び維持電極4が延びる方向)に延びる方向の隔壁13上に該当する箇所に同開口部22があるため、同隔壁13上に蛍光体材料Pが付着したり、同蛍光体材料Pが隣接する他の色に対応した単位セル側に溢れ、完成後のPDPの表示画面に混色を招くことがあるという問題点がある。
【0015】
また、図6に示すドット状の開口部22Aを有するスクリーンマスク20Aを用いた場合、上記スクリーンマスク20のような問題点は発生しないが、同開口部22Aが非連続に形成されているので、ストライプ状の開口部22と比べて、蛍光体材料Pの吐出量の不足が生じやすい。このため、隔壁13の単位セルを囲う面に対して十分な蛍光体材料Pが吐出されず、完成後のPDPの各画素の点灯状態が不均一になるという問題点がある。この発明が解決しようとする課題としては、これらの問題点が一例として挙げられる。
【0016】
また、特許文献1に記載されたスクリーン版では、表示領域の最外周部におけるペースト起因のスクリーン版の目詰まりが抑えられるが、この発明とは主旨が異なり、上記の問題点は、改善されない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、放電ギャップを隔てて互いに平行に配置された走査電極及び維持電極からなる複数の面放電電極対と、前記各面放電電極対と交差する複数のデータ電極と、前記面放電電極対と前記データ電極との交差領域に形成された複数の単位セルと、少なくとも前記データ電極が延びる方向に形成されて前記各単位セルを囲う隔壁とを有するプラズマディスプレイパネルの製造に用いられ、前記隔壁の前記各単位セルを囲う面に対し、前記データ電極が延びる方向に連続した所定幅の開口部を経てペースト状の所定の蛍光体材料を吐出して蛍光体層を形成するためのスクリーンマスクに係り、前記開口部は、前記データ電極が延びる方向の前記各単位セルの境界となる箇所に、前記蛍光体材料の吐出を所定量抑制するための吐出抑制手段が設けられていることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
開口部に設けられた吐出抑制手段により、データ電極が延びる方向の各単位セルの境界となる箇所において、蛍光体材料の吐出が所定量抑制されるので、蛍光体材料が隣接する他の色に対応した単位セル側に溢れることがなく、完成後のPDPの表示画面に混色が発生しない。このため、PDPの歩留り及び表示画面の品質を向上できる。
【0019】
また、隔壁が面放電電極対及びデータ電極が延びる方向の井桁状に形成され、吐出抑制手段が、同面放電電極対が延びる方向の同隔壁上に該当する箇所に設けられているので、同隔壁上に蛍光体材料が付着したり、蛍光体材料の吐出量が不足することがないため、完成後のPDPの各画素の点灯状態が均一になる。このため、PDPの歩留り及び表示画面の品質を向上できる。
【実施例】
【0020】
図7は、この発明の一実施例であるスクリーンマスクの要部の構成を示す平面図である。 この例のスクリーンマスク20Bは、同図に示すように、隔壁13のy−y方向(すなわち、図1中のデータ電極7が延びる方向)に沿ったストライプ状に形成された開口幅aの開口部22Bを有し、かつ、x−x方向(すなわち、図1中の面放電電極対が延びる方向)の隔壁13上に該当する箇所に、ペースト状の蛍光体材料Pの吐出を所定量抑制するための吐出抑制部24,…,24が設けられている。特に、この実施例では、吐出抑制部24,…,24は、図1中の面放電電極対が延びる方向の隔壁13上に該当する箇所の開口部22Bの幅が所定量狭くなって開口幅bとなる矩形状に形成されている。
【0021】
通常、隔壁13の頂部の開口幅に対するスクリーンマスク20Bの開口部22Bの開口率は、図8に示すように、30〜40%程度が実用範囲となり、同開口率が30%程度よりも小さいと蛍光体材料Pの吐出量が少なくなって隔壁13に対する充填不足が生じ、また、40%程度よりも大きいと、スクリーンマスク20Bと隔壁13との位置ずれに対するマージンが圧迫されたり、蛍光体材料Pが隣接する他の色に対応した単位セル側に溢れることにより、完成後のPDPの表示画面に混色が発生する。このため、たとえば42型VGA(Video Graphics Array)クラスのPDPの場合、隔壁頂部の開口幅が約0.30mmなので、開口部22Bの開口幅aは100μmに設定される。また、50型XGA(eXtended Graphics Array )クラスのPDPの場合、隔壁頂部の開口幅が約0.20mmなので、開口部22Bの開口幅aは75μmに設定される。
【0022】
ここで、開口幅bは、開口幅aに対して、たとえば20〜40%程度狭く設定される。すなわち、開口幅aが100μmの場合、開口幅bは60〜80μm、また、開口幅aが75μmの場合、開口幅bは45〜60μmとなる。
【0023】
この例のスクリーンマスク20Bを用いるPDPの製造方法では、図2中の工程B5で行われる蛍光体層9のスクリーン印刷法による形成において、スクリーンマスク20Bを押さえながら図3中のスキージ23をy−y方向に走行させることにより、赤(R),緑(G),青(B)の各色に対応するペースト状の蛍光体材料Pが開口部22Bを経て隔壁13の各単位セルを囲う面にそれぞれ吐出されて図1中の蛍光体層9が形成される。この場合、吐出抑制部24,…,24により、面放電電極対が延びる方向の隔壁13上に該当する箇所の開口部22Bの幅が狭くなっているので、蛍光体材料Pの吐出量が抑えられ、水平方向(x−x方向)の隔壁13上への同蛍光体材料Pの溢れが抑制される。このため、完成後のPDPの表示画面に混色を招くことがない。また、開口部22Bは、非連続ではなく連続しているため、蛍光体材料Pの吐出量の不足が生じにくい。このため、完成後のPDPの各画素の点灯状態が不均一になることがない。
【0024】
図9は、図7のスクリーンマスク20Bにより形成された蛍光体層を有するPDPが用いられるプラズマ表示装置の電気的構成の一例を示す概略のブロック図である。
このプラズマ表示装置は、アナログインタフェース30と、PDPモジュール40とから構成されている。アナログインタフェース30は、クロマ・デコーダを備えるY/C(輝度色)分離回路31と、A/D(アナログ/デジタル)変換回路32と、PLL(位相ロック)回路を有する同期信号制御回路33と、画像フォーマット変換回路34と、逆γ変換回路35と、システム・コントロール回路36と、PLE(Peak Luminance Enhancement)制御回路37とから構成されている。PDPモジュール40は、デジタル信号処理制御回路41と、パネル部42と、DC/DCコンバータを内蔵するモジュール内電源回路43とから構成されている。デジタル信号処理制御回路41は、入力インタフェース信号処理回路44と、フレームメモリ45と、メモリ制御回路46と、ドライバ制御回路47とから構成されている。
【0025】
パネル部42は、PDP52と、同PDP52の走査電極を駆動する走査ドライバ48Aと、同PDP52の維持電極を駆動する維持ドライバ48Bと、データ電極を駆動するデータドライバ49A,49Bと、PDP52及び走査ドライバ48Aにパルス電圧を供給する高圧パルス回路50A,50Bと、同高圧パルス回路50A,50Bで発生する余剰電力を回収する電力回収回路51とから構成されている。
【0026】
このプラズマ表示装置では、概略的には、インタレースに対応したアナログ映像信号がアナログ・インタフェース30でデジタル映像信号に変換され、同デジタル映像信号がPDPモジュール40に供給される。たとえば、図示しないテレビチューナなどから出力されたアナログ映像信号は、Y/C分離回路31でR,G,Bの各色の輝度信号に分離された後、A/D変換回路32でデジタル映像信号に変換される。
【0027】
また、PDP52の入力信号に対する表示輝度の特性は線形的に比例するが、通常の映像信号はCRTの特性に合わせて予め補正(γ変換)されている。このため、A/D変換回路32においてアナログ映像信号のA/D変換が行われた後、逆γ変換回路35で逆γ変換が行われる。この逆γ変換において、線形特性に復元されたデジタル映像信号が生成される。このデジタル映像信号は、R,G,B映像信号としてPDPモジュール40へ出力される。
【0028】
また、アナログ映像信号には、A/D変換用のサンプリングクロック及びデータクロック信号が含まれていないため、同期信号制御回路33に内蔵されているPLL回路で、アナログ映像信号と同時に供給される水平同期信号を基準としてサンプリングクロック及びデータクロック信号が生成され、PDPモジュール40へ出力される。また、アナログインタフェース30のPLE制御回路37は、PDPモジュール40に対して輝度の制御を行う。具体的には、平均輝度レベルが所定値以下である場合には表示輝度を上昇させ、平均輝度レベルが所定値を超える場合には表示輝度を低下させる。PLE制御回路37では、平均輝度レベルに応じて輝度制御データが設定され、入力インタフェース信号処理回路44内の図示しない輝度レベル制御回路へ送出される。
【0029】
システム・コントロール回路36からは、各種制御信号がPDPモジュール40へ送出される。たとえば、入力インタフェース信号処理回路44に入力されたR,G,B映像信号の平均輝度レベルは、同入力インタフェース信号処理回格44内の図示しない入力信号平均輝度レベル演算回路により計算され、たとえば10ビットデータとして出力される。デジタル信号処理制御回路41では、入力インタフェース信号処理回路44でこれらの各種信号が処理された後、制御信号がパネル部42に送出される。同時に、メモリ制御回路46及びドライバ制御回路47からメモリ制御信号及びドライバ制御信号がパネル部42に送出される。
【0030】
PDP52は、たとえば1365×768画素(単位セル)を有し、図1に示す構成になっている。同PDP52では、走査ドライバ48Aで走査電極が駆動され、維持ドライバ48Bで維持電極が駆動され、かつデータドライバ49A,49Bでデータ電極が駆動されることにより、これらの画素(単位セル)のうちの所定の画素(単位セル)の発光又は非発光が制御され、R,G,B映像信号に対応した表示が行われる。この場合、ドライバ制御回路47により、表示画面の1フィールド期間が、階調レベルに基づいて重み付けされた複数のサブフィールドに分割され、かつ、同各サブフィールドに、走査期間、維持期間及び予備放電期間が設定される。
【0031】
走査期間では、各走査電極に走査パルスが線順次に印加されると同時に各データ電極に同走査パルスに同期した表示データパルスが印加されることにより、選択された単位セルにアドレス放電が発生する。維持期間では、各維持電極と各走査電極とに維持パルスが交互に印加されて各単位セルが発光する。予備放電期間では、維持期間で発光した単位セルに対する維持消去放電、及び全ての単位セルに対するプライミング放電が行われる。また、ロジック用電源により、デジタル信号処理制御回路41及びパネル部42にロジック用電力が供給される。また、表示用電源からモジュール内電源回路43に直流電力が供給され、この直流電力の電圧が所定の電圧に変換された後、パネル部42に供給される。
【0032】
以上のように、この実施例では、スクリーンマスク20Bの開口部22Bの面放電電極対が延びる方向の隔壁13上に該当する箇所に、蛍光体材料Pの吐出を所定量抑制するための吐出抑制部24,…,24が設けられているので、x−x方向の隔壁13上への同蛍光体材料Pの溢れが抑制されると共に、蛍光体材料Pの吐出量の不足が生じにくくなり、表示画面の品質の良いプラズマディスプレイパネル及びプラズマ表示装置が提供される。
【0033】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、図7中の吐出抑制部24,…,24は矩形状に形成されているが、図10に示す開口部22Cのように、テーパ状の吐出抑制部24A,…,24Aを形成しても、上記実施例とほぼ同様の作用、効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】3電極面放電型のPDPの要部の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1のPDPの概略の製造工程図である。
【図3】図2中の工程B5における蛍光体層9のスクリーン印刷法による形成を説明する図である。
【図4】図2中の工程B5における蛍光体層9のスクリーン印刷法による形成を説明する図である。
【図5】図4中のスクリーンマスク20の要部の構成を示す平面図である。
【図6】図4中のスクリーンマスク20に代えて用いられるスクリーンマスク20Aの構成を示す平面図である。
【図7】この発明の一実施例であるスクリーンマスクの要部の構成を示す平面図である。
【図8】スクリーンマスクの開口率と蛍光体材料の吐出量との関係を示す図である。
【図9】図7のスクリーンマスク20Bにより形成された蛍光体層を有するPDPが用いられるプラズマ表示装置の電気的構成の一例を示す概略のブロック図である。
【図10】スクリーンマスクの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
3 走査電極
4 維持電極
7 データ電極
9 蛍光体層
13 隔壁
20B スクリーンマスク
22B,22C 開口部
24,24A 吐出抑制部(吐出抑制手段)
G 放電ギャップ
P 蛍光体材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ギャップを隔てて互いに平行に配置された走査電極及び維持電極からなる複数の面放電電極対と、前記各面放電電極対と交差する複数のデータ電極と、前記面放電電極対と前記データ電極との交差領域に形成された複数の単位セルと、少なくとも前記データ電極が延びる方向に形成されて前記各単位セルを囲う隔壁とを有するプラズマディスプレイパネルの製造に用いられ、前記隔壁の前記各単位セルを囲う面に対し、前記データ電極が延びる方向に連続した所定幅の開口部を経てペースト状の所定の蛍光体材料を吐出して蛍光体層を形成するためのスクリーンマスクであって、
前記開口部は、
前記データ電極が延びる方向の前記各単位セルの境界となる箇所に、前記蛍光体材料の吐出を所定量抑制するための吐出抑制手段が設けられていることを特徴とするスクリーンマスク。
【請求項2】
前記隔壁は、
前記面放電電極対及びデータ電極が延びる方向の井桁状に形成され、
前記吐出抑制手段は、
前記面放電電極対が延びる方向の前記隔壁上に該当する箇所に設けられていることを特徴とする請求項1記載のスクリーンマスク。
【請求項3】
前記吐出抑制手段は、
前記面放電電極対が延びる方向の前記隔壁上に該当する箇所の前記開口部の幅を所定量狭くすることにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のスクリーンマスク。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載のスクリーンマスクを用いることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の製造方法により製造されたプラズマディスプレイパネルを用いることを特徴とするプラズマ表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−87706(P2007−87706A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273699(P2005−273699)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000232151)パイオニアプラズマディスプレイ株式会社 (27)
【Fターム(参考)】