説明

スクリーン巻取機構

【課題】1本の巻取ローラで複数枚のスクリーンを選択的に露出させることができ、かつスクリーンの交換作業を簡単なものとする。
【解決手段】正逆回転可能な巻取ローラ1に対し複数のスクリーン4を取り付けるスクリーン機構において、巻取ローラ1には捨て布2とジョイント材3とを介してスクリーン4が着脱可能に連結され、捨て布2とジョイント材3を収納ボックス5から交換作業のし易い高さまで降下させてスクリーンの交換作業を実施可能とし、さらにスクリーン4の捨て布2の長さを含めた長さは全てのスクリーン4を巻取ローラ1の回転により巻き上げた状態で、外側に巻かれたスクリーン4の下端縁4bが巻取ローラ1の最頂部を通過するときにその内側に巻かれた次のスクリーン4の下端縁4bがローラ1の最頂部に達する前に巻取ローラ1の最頂部を通過した先のスクリーン4が巻取ローラ1から解けて垂下する関係としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公告媒体や背景などとして用いられるスクリーンを巻回して任意に引き出せるスクリーン巻取機構に関する。さらに詳述すると、本発明は、複数枚のスクリーンを1本の巻取ローラに同時に巻き取り、その内の任意の一枚を前面に表示可能とするスクリーン巻取機構に関する。
【背景技術】
【0002】
店頭や店内での広告媒体や撮影スタジオなどでの撮影用背景などとして、巻取ローラに巻き取られたスクリーンを利用することが提案されている。例えば、スクリーン状の広告媒体を店の入り口の横や窓の外などに垂らしたり、あるいは敷地に設置された固定具に紐などを使って張ることがある。また、撮影スタジオなどでは、天井や壁面、撮影範囲の外に収まる高さに巻取ローラを据え付けて、撮影時に必要な色や図柄、図案が施されたスクリーンを選択して降ろし、背景として用いることもある。
【0003】
この種のスクリーンは、広告内容を時間帯や期間、季節などに合わせ変更したり、あるいは撮影対象や撮影条件などに応じて取り替え可能とすることが求められる。そこで、この要望に応じるものとして、巻取ローラを2本並列に配置し、各巻取ローラにスクリーンの一端をそれぞれ連結して、スクリーンを巻取り及び巻解き可能とし、いずれか一方の巻取りパイプに連結されたスクリーンを巻解いて、他方の巻取りパイプに連結されたスクリーンを巻取るようにしたものが提案されている(特許文献1)。また、撮影スタジオなどでは色や図案などが異なる多くの巻取ローラを天井などに予め装備しておき、必要に応じて巻取ローラを選択したり、巻取ローラ毎スクリーンを交換したりするようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平4−80492号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数本の巻取ローラを前後に並列に配置すると、店舗の壁面などからの張り出し寸法が大きくなる上に、1本の巻取ローラを備える広告装置に比較すると、高価になるという問題がある。しかも、特許文献1記載の発明では、2枚までのスクリーンしか取替可能に使えないし、スクリーンを交換したいときにはローラ毎取り替える必要がある。
【0006】
また、従来のスクリーン巻取機構は、巻取ローラに直接スクリーンが取付けられていることから、スクリーンの交換は巻取ローラ毎取り外して行われるか、巻取ローラからスクリーンだけを取り外し再度新しいスクリーンを巻取ローラに取り付ける必要がある。一方、巻取ローラは、通常、普通には手の届かない高所に設置されている。このことから、スクリーン交換作業には、脚立や足場などを使って巻取ローラ毎の交換か、巻取ローラをそのまま残してスクリーンだけを交換することが一般的であり。このため、スクリーンの交換作業が煩雑で簡単なものではなく、作業に手間取る問題を有している。
【0007】
しかも、高い場所での巻取ローラあるいはスクリーンの交換作業は、脚立や足場などを使っても不安定な姿勢での作業となるため、誰にも簡単にスクリーンを交換することはできない。
【0008】
また、屋外などでの使用では、敷地に設置された固定具にスクリーンの下端縁を紐などを使って固定したり、スクリーンの下端縁に重石などを吊り下げたりあるいは地面の上の重石に紐などで結び付けて固定したりして、スクリーンの固定を図っているが、突風に吹かれたり強い風を受けると、スクリーンが大きく煽られて重石を持ち上げたり、はためくことで騒音を発生させたり、引き裂けるなどの問題がある。
さらに、巻取ローラから繰り出されるスクリーンの量・長さが一定していない用途では、スクリーン毎に異なる降下量を設定することが望まれるが、この場合に繰り出し量を自動的に設定値に決定することができない。
【0009】
本発明は、スクリーンの交換作業が簡単なスクリーン巻取機構を提供することを目的とする。また、本発明は、1本の巻取ローラで複数枚のスクリーンを選択的に露出させることができるスクリーン巻取機構を提供することを目的とする。さらに、本発明は、屋外での使用の際に、突風などを受けてもスクリーンが大きく煽られたり、はためくことがないスクリーン巻取機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明は、回転機構によって正逆回転可能に配置された1本の巻取ローラに対し、複数枚のスクリーンが連結されて重ねて巻き取り可能に支持されているスクリーン巻取機構において、前記巻取ローラには少なくとも1枚の捨て布が連結され、かつ該捨て布の下端には前記スクリーンを着脱自在に連結可能とするジョイント材を備え、該ジョイント材を介して前記スクリーンを着脱自在に連結する一方、前記捨て布は前記巻取ローラを逆転させて前記スクリーンを垂れ下がらせると共に、前記捨て布の下端の前記ジョイント材を収納ボックスから交換作業のし易い高さまで降下させる長さを有し、さらに前記スクリーンの前記捨て布の長さを含めた長さは全てのスクリーンを前記巻取ローラの回転により巻き上げた状態で、外側に巻かれたスクリーンの下端縁が前記巻取ローラの最頂部を通過するときにその内側に巻かれた次のスクリーンの下端縁が前記巻取ローラの最頂部に達する前に前記巻取ローラの最頂部を通過した先のスクリーンが前記巻取ローラから解けて垂下する関係を相互に有するようにしている。
【0011】
ここで、巻取ローラに対する複数枚のスクリーンの取付は、少なくとも1枚の捨て布と1つのジョイント材によって取り付けるようにしても良いが、好ましくは捨て布並びにジョイント材をスクリーン毎に装備することである。
【0012】
また、請求項3記載の発明にかかるスクリーン巻取機構は、スクリーンが、その下端に筒状縁部を有し、該筒状縁部にコイルスプリングを内蔵すると共に該コイルスプリングの両端が筒状縁部の外に配置される係留環にそれぞれ接続され、係留環を介して屋外の敷地側に設置された固定具に係留されるものである。
【0013】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項1または2記載のスクリーン巻取機構において、巻取ローラはモータ駆動式であり、スクリーンの下端縁が巻取ローラの最頂部を通過したことを検知するセンサと、巻取ローラの基準位置からの回転方向と回転数を検出するセンサと、スイッチ操作によりモータのスクリーンを巻上げる方向への正回転とスクリーンを降ろす方向への逆回転とを制御し、かつ各センサからの出力信号を得て各スクリーン毎に予めティーチング操作により記憶された停止位置及び回転方向情報に従ってモータを制御し、スイッチあるいはプログラムにより選択されたスクリーンの下端縁が巻取ローラの最頂部を通過してその次のスクリーンの下端縁が巻取ローラの最頂部に達する前まで巻取ローラを正転させ、その後巻取ローラを逆回転させて前面に垂下したスクリーンが予め設定された位置まで降下するように制御する制御装置とを備えるようにして、電動式スクリーン機構とすることも可能である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のスクリーン巻取機構によれば、1本の巻取りローラに対して複数のスクリーンを同時に巻き取らせ、巻取りローラを回転させることにより最前面に露出させるスクリーンを切り換えながら降下させることができるので、スクリーン毎に巻取りローラを備える必要がないので、場所をとらず設備費も少なくできる。
【0015】
また、スクリーンの交換作業は、スクリーンをジョイント材と捨て布毎引き出し、収納ボックスから交換作業のし易い高さまで降下させると共に、ジョイント材に対してスクリーンあるいは捨て布に対してジョイント材をジョイント材を含めてあるいは含めずにスクリーンを着脱することができるので、脚立や足場などを用意しなくとも、立ち姿勢のままスクリーン交換作業を実施でき、スクリーンの交換作業がより簡単かつ安全に行える。
【0016】
また請求項2記載のスクリーン巻取機構によれば、スクリーンを交換するときに、交換したスクリーンを前面に切り換えた状態でスクリーンを降下させることができるので、複数枚のスクリーンを装着していても前面に露出したスクリーンだけを取り外せば良く、他のスクリーンが邪魔とならず、スクリーンの交換作業が容易である。
【0017】
さらに請求項3記載のスクリーン機構によれば、突風や強い風などがスクリーンに作用しても、コイルスプリングの伸縮によりスクリーンの下端縁の動きが吸収されるため、スクリーンがばたばたとはためいたりすることがない。しかも、前面の1枚だけを固定すれば残りのスクリーンは壁面あるいは窓との間で挟まれて押さえられることから、全てのスクリーンのばたつきが押さえられる。したがって、店頭広告などの屋外でのスクリーン機構の使用に適している。
【0018】
さらに請求項4記載のスクリーン機構によれば、制御装置のスイッチ操作だけで任意のスクリーンを選択して自動的に所定位置まで吊り下げ、かつ収納し、前面に表示させるスクリーンを切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1から図7に、本発明のスクリーン巻取機構を広告媒体として適用した実施形態の一例を示す。この実施形態のスクリーン型屋外広告装置は、手動で巻取ローラを回転させるチェーン巻き上げ式のスクリーン巻取機構であり、例えば店舗の外の壁面あるいは窓枠等に巻取ローラが据え付けられる一方、スクリーンの下端が敷地に設置されたアンカー部材に係留されることで張られ、スクリーンを広告媒体として利用したものである。尚、本発明のスクリーン巻取機構は、上述の店頭広告としての利用に限られず、例えば窓、天井、壁、梁等のあらゆる場所に巻取ローラを取り付けることによって、室内やショーウインド内及び屋外などでの情報を表示する広告装置としてあるいは目隠しやパーテーション、案内表示等として使用することができると共に、撮影スタジオで使用する撮影用背景としても使用できるものである。
【0021】
このスクリーン巻取機構は、巻取ローラ1と、上端縁2aが巻取ローラ1に取り付けられた捨て布2と、この捨て布2の下端縁2bに取り付けられたジョイント材3と、該ジョイント材3に上端縁4aが着脱自在に装着された複数枚のスクリーン4と、巻取ローラ1を回転させるための回転機構16とにより構成されている。
【0022】
巻取ローラ1はほぼ円柱形状を成し、その両端は、収納ボックス5にビス止めなどで固着された左右一対のブラケット6によって回転自在に支持されている。各ブラケット6は収納ボックス5に隠れた位置に設置されており、巻取ローラ1が収納ボックス5の外に露出せず、正面側から顧客の視野に入ったり、雨露に濡れないないように配慮されている。そして、一方のブラケット6には、巻取ローラ1の駆動源となるチェーン巻き上げ式の回転機構16が設けられている。この回転機構は、ボックスに内蔵されたプーリをクラッチバネを介して巻取ローラ1に連結したものであり、プーリに巻き掛けられている操作用チェーン17を使ってプーリを回転させることで、巻取ローラ1を正転あるいは逆転させるように設けられている。プーリと巻取ローラとの間にクラッチバネが介在されることによって、プーリの回転は巻取ローラ1には伝達されるが、第1〜第4のスクリーン4の自重による巻取ローラ1の回転はプーリに伝達されないようになっており、操作用チェーン17によるプーリの回転を停止すると、巻取ローラ1の正回転、逆回転のいずれの回転をも阻止することができるようになっている。尚、チェーン巻き上げ式の回転機構は周知技術であるため、その詳細な構造の図示は省略する。
【0023】
この巻取ローラ1の外周面には、2本の取付溝1aが当該巻取ローラ1の全長にわたり形成されている。取付溝1aは捨て布2を取り付けるためのもので、例えば開口部分が溝奥の空間に比べて狭く形成されている。そして、各取付溝1aには、例えば、2枚ずつの捨て布2が抜け落ち防止の芯材7を用いてそれぞれ装着され、合計4枚の捨て布2が巻取ローラ1に着脱自在に固定されている。各捨て布2の長さは、巻取ローラ1に巻回された状態の断面視で周方向の任意の位置に各捨て布2の下端(先端)に備えられるスクリーン取付手段例えばジョイント材3が配置される長さとされている。本実施形態では、互いに90゜間隔でジョイント材3が配置されるような捨て布2の長さ関係に設定されている。
【0024】
捨て布2は、各スクリーン4毎に備えても良いし、1枚の捨て布2とジョイント材3に対して全てのスクリーン4を取り付けるようにしても、あるいは本実施形態のように1枚の捨て布2とジョイント材3に対して2枚ずつのスクリーン4を取り付けるようにしても良い。スクリーン4の交換作業の時を除いて、通常のスクリーン切替のときには捨て布2の部分までスクリーン4が解かれることはないことから、各スクリーンが1箇所のジョイント部材に取り付けられても、全てのスクリーンが完全に巻き取られた状態において、各スクリーンの下端縁が互いに周方向に順次ずれて配置される長さとされていれば、図1から図4に示す本実施形態のものと同じ切替動作をすることができる。
【0025】
捨て布2の上端2a及び下端2bには、例えば捨て布の縁が折り返されて縫製(袋縫い)された筒状縁部(以下、筒状縁部2a,2bという)が設けられており、その中に取付溝1aの開口よりも大きく空間よりも小さな芯材7を通すことによって巻取ローラ1の取付溝1aから筒状縁部2aが鉛直方向(スクリーン移動方向)には離脱できないように設けられている。この上端の筒状縁部2aは巻取ローラ1の取付溝1a内に差し込まれてからその筒状縁部2aに芯材7を挿入することで、取付溝1aからの抜けが阻止される継手を構成する。また、捨て布2の下端の筒状縁部2bはジョイント材3に形成された第1取付溝3a内に差し込まれており、その筒状縁部2bに芯材8を挿入することで第1取付溝3aからの抜けが阻止され且つ捨て布2に対するジョイント材3の幅方向へのスライドを可能にする継手を構成している。捨て布2は、巻取ローラ1に巻回されたときに、それぞれの下端のスライド材3が巻取ローラ上に90°置きに配置されるような長さ関係を持っている。即ち、本実施形態の場合、1本の取付溝1aに対して2枚の捨て布2を取り付けるようにしているので、これらが90°置きに配置される長さ、即ち90°の円周長さの分だけ長さが異なるように設けられている。また、この捨て布2の長さは、例えばスクリーン4の交換作業の行い易さ等を考慮して決定されるが、少なくともジョイント材3がスクリーンの交換作業し易い高さ例えば大人の目線の高さ程度(地上から150〜170cm程度)まで降下する長さとすることが好ましい。そして、この捨て布2及びその下端のジョイント材3は、スクリーン4の交換作業時以外の通常の使用時には巻取ローラ1に巻回された状態にあり、収納ボックス5の外に露出することがない。したがって、通常は、収納ボックス5からはスクリーン4だけが引き出されており、美観を損なうことがない。
【0026】
ジョイント材3は、スクリーン4の幅とほぼ同じ幅を有している。本実施形態の場合、ジョイント材3には、少なくとも2本の第1,2取付溝3a,3bが当該ジョイント材3の全長にわたって形成されており、例えば一方の取付溝3aには捨て布2の下端の筒状縁部2bが、他方の取付溝3bにはスクリーン4の上端の筒状縁部4aが着脱自在に取り付けられるように設けられている。各第1,2取付溝3a,3bは、図4に示すように、溝入口の開口部分が溝奥の空間部分に比べて狭く形成されている。したがって、捨て布2あるいはスクリーン4の縁の筒状縁部2b,4aに芯材8,9を通した状態で各溝3a,3bの側方の開口部から差し込むことによって、あるいは各溝3a,3bにあらかじめ差し込まれた捨て布2及びスクリーン4の筒状縁部2b,4aに芯材8,9を後から挿入することによって容易に着脱可能な継手を構成できる。第1の取付溝3aはジョイント材3の上端面に、第2の取付溝3bはジョイント材3の下端面にそれぞれ形成されている。ここで、ジョイント材3の横断面形状は特に限定されるものではないが、例えば本実施形態の場合には表側の面を曲面に、裏側の面は平坦面に形成したアルミ押し出し材で形成されている。
【0027】
スクリーン4は、その用途に応じて必要な大きさを有しており、その上端及び下端には袋縫いによる筒状縁部4a,4bが形成されている。本実施形態では、4枚のスクリーンつまり4種類の広告が1本の巻取ローラ1に巻き取られるように設けられている。ここで、4枚のスクリーン4は、垂下状態において互いに前後に重ね合わされるようになっており、最前面に露出するスクリーンだけを見ることができるようになっている。各スクリーンは同じ長さに設定されていても、背後のスクリーンは、巻取ローラ1を一回り通過している分だけ下降する長さが前面側のスクリーンよりも短くなることから、前面に位置するスクリーン4よりも下端の筒状縁部4bが上に上がり、前方からは見えない状態となる。尚、屋外広告装置を対象とする本実施形態の場合、スクリーンには、例えば期間限定商品や季節毎の特別メニュー、特に力を入れている商品の広告が表示され、それらが時間帯毎に切り替え表示されるような使い方がされる。
【0028】
スクリーン4の上端の筒状縁部4aはジョイント材3の第2取付溝3b内に差し込まれており、その筒状縁部4aに芯材9を挿入することで先端が膨出した突条を形成して、スクリーン4の引き出し方向への第2取付溝3bからの抜けを阻止し且つジョイント材3に対するスクリーン4の幅方向へのスライドを可能にする継手が構成されている。また、スクリーン4の下端の筒状縁部4bには、スクリーン4の下端縁の形状を保つと共に重石を兼ねたパイプ10が差し込まれている。なお、各芯材8,9としては、各筒状縁部2b,4aへの挿入を容易にするために例えばピアノ線などの使用が好ましい。また、ジョイント材3は、例えば捨て布2に対してかしめ等によって固着されても良いし、スクリーン4側に固着されても良いし、あるいは双方に対し着脱可能な構造となっていても良く、少なくともスクリーン4あるいは捨て布2のいずれか一方に対して着脱可能な連結構造、例えば幅方向にスライド可能な連結構造とされていれば足りる。尚、ジョイント材3とスクリーン4とを取り外し可能に取り付けるための手段としては、本実施形態のような取付溝3bと筒状縁部4aと芯材9との組み合わせに限られるものではなく、例えば、ジョイント材3の下部にスプリングによってスクリーン4の上端の筒状縁部4aを強固に挟み付けるクリップ機構を形成し、スクリーン4の上端の筒状縁部4aを挟み付ける方法で取り外し可能に取り付けても良い。
【0029】
各スクリーン4は、その下端の筒状縁部4bにコイルスプリング11を内蔵すると共に該コイルスプリング11の両端が各筒状縁部4bの外に配置される係留環12にそれぞれ接続され、係留環12を介して屋外の敷地に設置された固定具・アンカー部材15と係留可能に設けられている。本実施形態では、例えば図5〜図7に詳細に示すように、スクリーン4の下端の筒状縁部4bに重石を兼ねたパイプ10が挿入され、該パイプ10にコイルスプリング11とその両端に連結される連結ワイヤ13とを内蔵してから、パイプ10の外に配置される係留環12にそれぞれ連結されている。さらに、係留環12は、縒り戻し機能を有する連結フック14を介して敷地などに予め設置されているアンカー部材15に係留されることにより、コイルスプリング11を介して一定の張力を与えて弾力的にスクリーン4の下端をアンカー部材15に係留させるようにしている。したがって、スクリーン4に風などの外力が作用しても、コイルスプリング11の伸縮によりその動きが吸収されるため、スクリーン4がばたばたとはためいたりすることがない。尚、店頭での日除け幕のように、店先で斜めに張られる場合には、その次の鉛直方向に垂れ下がっているスクリーンをも固定具に係留させて固定することで、その後ろのスクリーン4のばたつきを押さえることができる。
【0030】
以上のように構成されたスクリーン巻取機構によれば、次のようにして広告装置として用いることができる。
【0031】
(広告の表示)
まず、回転機構16の操作用チェーン17を操作して、巻取ローラ1を正転させて露出させたい広告内容が表示されたスクリーン4が垂れ下がったときに、その次のスクリーン4の下端縁4bが巻取ローラ1の最頂部に達する前に、操作用チェーン17を逆方向に操作して、スクリーン4の巻きを解いて降ろす方向へと巻取ローラ1を逆回転させると、垂下した直後のスクリーンを最前面としたままの状態で全てのスクリーンが下降し始める。これにより、選択されたスクリーンが前面に露出した状態のまま降下する。このとき、スクリーン4の下端縁4bは所定の停止位置よりもやや下まで、つまりアンカー部材15に繋がれている連結フック14にスクリーン4の下端縁4bの両端から垂れ下がるように配置された係留環12が引っ掛け易い位置まで降下される。その後、操作用チェーン17を操作して巻取ローラ1を正転させてスクリーン4を僅かに巻き上げ、コイルスプリング11を伸ばしてテンションを掛けるようにする。これによりスクリーン4は張り詰められる。この状態は、スクリーン4が弾力的に支持されている状態なので、突風や強い風が吹いても、スクリーン4が風を受け流すことができるため、大きく煽られたり、はためいてバタバタと騒音を発生させたりすることがない。また、最前のスクリーン以外の後方のスクリーンは、アンカー部材15に係留された最前のスクリーン4と建物の壁面との間に挟まれてばたつくことがないので、必ずしもアンカー部材15に係留させる必要はない。また、最も前面のスクリーンを建物の壁面から大きく離れたアンカー部材に係留させることにより傾斜させる場合には、その次の垂下状態となるスクリーンを壁面に近い場所に設置されたアンカー部材15に係留させることで、2枚目以降のスクリーンのばたつきを無くすようにすることが好ましい。
【0032】
(広告内容の切替)
他のスクリーンを露出させて広告内容を切替えたい場合には、次のように行う。まず、操作用チェーン17の操作により巻取ローラ1を逆転させてスクリーン4を降下させてアンカー部材15に係留されている最前のスクリーン4に弛みを与えて下端縁4bの両端の係留環12から連結フック14を取り外す。その後、再度操作用チェーン17を操作して、巻取ローラ1を正転させてスクリーン4を巻き取る。このとき、全てのスクリーン4が巻取られて行くが、各スクリーン4が順次他のスクリーンの上に重なるように外径側に巻取られるために、その内外径差によって、各スクリーン毎に下端縁4bの位置が異なる。このため、最も背後にあるスクリーン4の下端縁4bが最も早く巻取ローラの最頂部に達し、次いでその手前側のスクリーン4の下端縁4bが達するようにして、背後側のスクリーン4から順次巻取ローラ1の最頂部に達するようにして巻き取られて行く。この状態でさらに巻取ローラ1を正回転させると、巻取ローラ1の最頂部を通過したスクリーン4の下端縁4bが巻取ローラ1から落下して垂下するため、巻取ローラ1の最頂部を下端縁4bが通過した直後のスクリーン4が最も前面に配設されることとなる。
【0033】
そこで、最前面側に露出させたいスクリーン4が垂れ下がると共に、その次のスクリーンの下端縁4bが巻取ローラ1の最頂部に達する前に、操作用チェーン17を逆方向に操作して、スクリーン4の巻きを解いて降ろす方向へと巻取ローラ1を逆回転させると、垂下した直後のスクリーン4を最前面としたままの状態で全てのスクリーン4が下降し始める。そして、上述の広告装置の設置と同様にして、アンカー部材15に係留環12を連結フック14を介して係留させる。これにより、選択されたスクリーンが前面に露出して、広告内容の切替が完了する。
【0034】
(スクリーンの交換)
次に、スクリーン4の交換方法について説明する。
先ず、巻取ローラ1を逆転させて全てのスクリーン4の巻きを解いて垂れ下がらせると共に、巻取ローラ1に取り付けられた捨て布2の下端のジョイント材3を収納ボックス52から完全に露出させて交換作業のし易い高さまで降下させる。そして、スクリーン4をジョイント材3に対して幅方向にスライドさせることにより、捨て布2にジョイント材3を残して状態でスクリーン4を取り外す。このとき、芯材9は先にスクリーン4の下端の筒状縁部4bから取り外しておくことがスクリーンのジョイント材3の中でのスライドを容易なものとすることから望ましい。勿論、交換するスクリーン4がアンカー部材15に係留されているときには、その両端の係留環12から連結フック14を取り外してから、スクリーン4をジョイント材3から取り外す。
【0035】
そして、新しいスクリーン4の上端の筒状縁部4aをジョイント材3の第2取付溝3bにスライド挿入し、さらに芯材9を挿入して筒状縁部4aの脱落を防止するようにする。この様にして新しいスクリーン4をジョイント材3に取り付けた後、巻取ローラ1を正転させて、例えば少なくとも捨て布2とジョイント材3が収納ボックス5内に隠れるまで巻き上げることで、スクリーン4の交換作業が終了する。このとき、捨て布2とジョイント材3とは、作業者の作業し易い高さ例えば目の高さまで降ろされているので、スクリーン4の交換作業は非常に効率的に行われる。尚、スクリーン4の着脱・交換は、場合によってはジョイント材3毎に行うようにして、巻取ローラ1には捨て布2だけを残すようにしても良い。
【0036】
また、一部のスクリーン4のみを交換しようとする場合には、交換しようとするスクリーンを前面に出してからスクリーン4をスクリーン交換作業のし易い高さまで降下させることが好ましい。そこで、まず広告内容の切替動作と同様に、操作用チェーン17の操作により巻取ローラ1を正転させて、交換対象となるスクリーン4の下端縁4bが巻取ローラの最頂部を通過して前方へ落下して垂れ下がる一方、その次のスクリーンの下端縁4bが巻取ローラ1の最頂部に達する前に巻取ローラ1を逆回転させて全てのスクリーン4を降ろす。巻取ローラ1を逆回転させると、垂下した直後のスクリーンを最前面としたままの状態で全てのスクリーンが下降し始める。したがって、交換対象となるスクリーンを前にしてスクリーンの交換作業を実施できる。
【0037】
ここで、捨て布2の長さを、ジョイント材3がスクリーン交換作業がし易い位置まで下げられたときにも巻取ローラ1に捨て布2が重なって巻かれて残っている状態が確保されている場合には、スクリーン巻き取り状態におけるスクリーン切替操作で任意のスクリーンを前面に配置してからスクリーンをスクリーン交換作業がし易い位置まで降下させれば、交換しようとする任意のスクリーンが前面となっているのでスクリーンの交換作業が容易である。
【0038】
尚、本実施形態の手動式スクリーン巻取機構は、屋外広告装置として適用した場合について主に説明したが、特にこれに限られるものではなく、屋内用広告装置あるはスタジオ撮影用背景としても利用することができる。この場合には、屋外での使用とは異なり強い風の影響に対して配慮する必要がないことら、スクリーンの下端縁のパイプにコイルスプリングと係留環とを備える必要はない。
【0039】
次に、図8から図10に本発明の第2実施形態を示す。この図において、第1実施形態と同一の部材は同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この実施形態では、巻取ローラの回転機構(巻取装置)の方式をギア式とした点でのみ第1の実施形態と異なっている。尚、クランクシャフトを用いたギア式回転機構は周知技術であるため、その詳細な構造の図示は省略する。
【0040】
本実施形態のスクリーン巻取機構は巻取ローラ1の回転機構として、クランクシャフト19によって操作するようにしたものである。該回転機構15は、その詳細な構造を特に図示していないが、巻取ローラ2の端部に第1のベベルギアを取り付けると共に、クランクシャフト19とフック部18を介して連結される第2のベベルギアを第1のベベルギアに噛み合わせ、第2のベベルギアを下からクランクシャフト19によって回転させることで巻取ローラ2を回転させ、スクリーン4を巻取ローラ2から引き出したり、スクリーン4を巻取ローラ2で巻き取るようにしている。ここで、クランクシャフト19は、いたずらなどを防ぐために、巻取ローラ1に対して着脱自在とすることが好ましい。
【0041】
次に、本発明のさらに他の実施形態として、図11から図17にモータ駆動式のスクリーン巻取機構をスタジオ撮影用背景として利用した例を示す。尚、以下に説明する他の実施形態において上述の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、本実施形態では、スクリーンの引き出し位置は固定されず、モータ22を使用して巻取ローラ1を回転させるため、スクリーン4の下端は固定具に係留させずに不拘束とすることが好ましい。そこで、各スクリーンの下端部には弛みを無くすために錘石となる図示していないウエイトバーなどが設けられている。
【0042】
本実施形態のスクリーン巻取機構は、巻取ローラ1がモータ駆動式であり、スクリーン4の下端縁4bが巻取ローラ1の最頂部を通過したことを検知するセンサ(以下、原点センサーと呼ぶ)20と、巻取ローラ1の基準位置からの回転方向と回転数を検出するセンサ21と、スイッチ操作によりモータ22のスクリーン4を巻上げる方向への正回転とスクリーン4を降ろす方向への逆回転とを制御し、かつ各センサ20,21からの出力信号を得て各スクリーン4毎に予めティーチング操作により記憶された停止位置及び回転方向情報に従ってモータ22を制御し、スイッチあるいはプログラムにより選択されたスクリーン4の下端縁4bが巻取ローラ1の最頂部つまり原点センサー20の位置を通過してその次のスクリーン4の下端縁4bが巻取ローラ1の最頂部(原点センサーの位置)に達する前まで巻取ローラ1を正転させ、その後巻取ローラ1を逆回転させて前面に垂下したスクリーン4が予め設定された位置まで降下するように制御する制御装置26とを備えるものである。
【0043】
原点センサー20は、近接スイッチ例えばシードスイッチとマグネットを一体に組み合わせた磁気形近接スイッチが採用され、スクリーン4の下端縁に縫い付けられた磁性体の検出体(例えば鉄板)23を非接触で検出することにより、スクリーン4の下端縁4bが巻取ローラ1の最頂部を通過したことを検知するものである。磁気形近接スイッチ20は巻取ローラ1を支えるフレーム25にブラケット24を介して取り付けられ、巻取ローラ1の最頂部あるいはそれよりもやや前方(巻取ローラ1の最頂部を通過した位置)に設置されている。したがって、スクリーン4の下端縁4bに縫い付けられた検出体23が巻取ローラ1の最頂部を通過したときに検出信号を出力する。
【0044】
巻取ローラ1の回転を検出するセンサ21としては、例えばロータリーエンコーダが採用されている。本実施形態の場合には、インクリメンタル方式のエンコーダが採用され、磁気形近接スイッチ20によるスクリーン下端縁の検出体23の検出時の位置を基準位置として、制御装置(中央演算処理装置27を含むコンピュータ)26側の高速カウンター30でパルスの数を計数することで巻取ローラ1の回転方向と回転数を検出するように設けられている。高速カウンター30でカウントされた巻取ローラ1の回転方向と回転数はティーチング内容と関連付けられてカウンターメモリ28に記憶され、制御装置に付属するパネルスイッチ操作で選択された動作指令内容に応じてカウンターメモリ28から読み出されたパルス数と回転方向に巻取ローラ1をモータ駆動させるように設けられている。ロータリーエンコーダ21は、巻取ローラ1に直結あるいは間接的に連結されて連動回転するように装備されている。
【0045】
制御装置26は、制御プログラムを格納したROMなどを備える中央演算処理部27と、カウンターメモリ28、ティーチング内容を記憶するティーチングメモリ29と、高速カウンター30と、スクリーン選択のためのNo.1〜No.4までのパネルスイッチ31a〜31dと、選択されたスクリーンに予め設定された床上位置まで降下させる指示を出す床上位置スイッチ32と、選択されたスクリーンに予め設定された延長位置まで降下させる指示を出すパネル延長スイッチ34と、選択されたスクリーンを原点位置まで巻き上げて収納する指令を出すパネル収納スイッチ34と、選択されたスクリーンを任意量だけ上昇させるためのパネルアップスイッチ35uと、選択されたスクリーンを任意量だけ降下させるためのパネルダウンスイッチ35dと、各スクリーン4の停止位置と停止動作とを関連付ける操作を実行するための停止スイッチ36とを備える。尚、パネルアップスイッチ35uはスイッチを押している間中スクリーンを巻き上げる。パネルダウンスイッチ35dはスイッチを押している間中スクリーンを出し続ける。また、制御装置26には、通常、解除機能付き非常停止スイッチ(図示省略)や、電源スイッチ(図示省略)などが必要に応じて設けられている。尚、本実施例では、スクリーン4を指してパネルと表現することもある。
【0046】
停止スイッチ36は、長押し例えば3秒程度押すと、床上位置パネルスイッチ32とパネル延長スイッチ34とが点滅し、いずれか一方のスイッチ32,34を選択することにより、現在の停止位置を選択されたスイッチに割り付けティーチングメモリ29とカウンターメモリ28とに記憶されるようにプログラムされている。例えば、床上位置の設定の場合には、スクリーン4を床上の所望の位置まで下降させた状態で停止スイッチ36を長押し、床上位置パネルスイッチ32とパネル延長スイッチ34とが点滅したときに、床上げ設定スイッチを押すことで、その床上位置がカウンターメモリ28に床上位置選択動作がティーチングメモリ29にそれぞれ対応させて記憶される。他方、パネル延長の設定の場合には、スクリーンを所望の位置まで降ろして引き出されたところで停止スイッチ36を長押し、床上位置パネルスイッチ32とパネル延長スイッチ34とが点滅したときに、床パネル延長スイッチ34を押すことで、そのパネル延長位置がカウンターメモリ28にパネル延長位置選択動作がティーチングメモリ29にそれぞれ対応させて記憶される。
【0047】
パネル収納スイッチ24は、スクリーン4がどの位置にあっても、原点位置まで収納される。つまり、近接スイッチ20を動作させるスクリーン下端縁の検出体23が巻取ローラ1の最頂部即ち磁気形近接スイッチ20と対向する位置まで巻き上げられる。しかも、収納時には第1番目のスクリーンが必ず手前になるようにされている。つまり、初期設定時を除いて、通常運転時には収納状態のスクリーンは第一番目のスクリーンが最も手前に配置される。
【0048】
以上のように構成されたスクリーン巻取機構によれば、まずティーチングにより初期設定を行う。初期設定は各スクリーン毎に個別に実施される。
まず、選択パネル即ち前面に出すスクリーン(パネル)を決定する(S01)。このとき、選択パネルスイッチ31a〜31dを長押し(例えば2秒以上)にすることによって、初期設定モードに入るようにプログラムされている。例えば、パネルNo.1に割り付けられた1番目のスクリーンの初期設定を例に挙げて説明する。まず、パネルNo.1を押して1番目のスクリーンを選択する。次いで、ティーチング操作として床上位置を設定する(S02)。床上位置の設定は、パネルダウンスイッチ35dを押して1番目のスクリーン4を降ろす。パネルダウンスイッチ35dを押し続けている間中、スクリーン4は降下することから、スクリーンの下端縁4bが床上の所望する位置にまで降りたと判断したときに、パネルダウンスイッチ35dを離す・開放することによって任意の位置でスクリーン4を停止させる(S02−1)。そして、停止ボタン36を長押し(S02−2)することにより床上位置パネルスイッチ32とパネル延長スイッチ34とが点滅を始めたら、床上位置スイッチ32を押して(S02−3)そのときの高速カウンター30の値を床上位置として制御装置26のティーチングメモリ29とカウンターメモリ28とに記憶させる。
【0049】
また、延長位置の設定(S03)は、パネルダウンスイッチ35dを押し、押し続けている間中、スクリーン4を降下させ任意位置・任意長さまで引き出す。そして、パネルダウンスイッチ34dを離す・開放することによって任意の位置で停止させる(S03−1)。その後、停止ボタン36を長押しすることにより(S03−2)床上位置パネルスイッチ32とパネル延長スイッチ34とが点滅し始めたら、パネル延長スイッチ34を押して(S03−3)延長位置を同様に制御装置に記憶させる(S03−4)。これにより、1番目のスクリーンに対する床上位置と延長位置との設定が完了する。そこで、パネル収納スイッチ34を押して、巣かクリーン4を上昇させ、完全巻き上げる(S04)。このとき、1番目のスクリーンが必ず前面となるようにスクリーン頭出し操作されて停止する(S04−1)。勿論、設定すべき位置が1箇所しか存在しないとき、あるいは場合によって数カ所存在する場合には、それに応じて操作ボタンや組み合わせを変更することで対処される。
【0050】
この初期設定操作を順次各スクリーンに実施することで、全てのスクリーンの上昇・下降の自動位置決めが実行可能となる。ここで、スクリーンの選択は、第1番目のスクリーンの下端の検出体23を原点センサー20が検出したときを基準(スクリーン頭出し)として、その基準からの検出パルス数をカウントして対応するスクリーン番号を認識する。例えば、第1番目のスクリーンの下端の検出体23を原点センサー20が検出したとき、全ての数値メモリをクリアして第1番目のスクリーン通過のフラグをたて、これを基準としてその基準からの検出パルス数をカウントして対応するスクリーン番号を認識する。例えば、第三番目のスクリーンが選択された状態から第一番目のスクリーンを選択する場合には(3)→(2)→(1)と、第一番目のスクリーンが選択された状態から第四番目のスクリーンを選択する場合には(1)→(4)→(3)→(2)→(1)→(4)と、第四番目のスクリーンが選択された状態から第三番目のスクリーンを選択する場合には(4)→(3)→(2)→(1)→(4)→(3)と、第三番目のスクリーンが選択された状態から第二番目のスクリーンを選択する場合には(3)→(2)→(1)→(4)→(3)→(2)と、第二番目のスクリーンが選択された状態から第一番目のスクリーンを選択する場合には(2)→(1)と、回転して選択される。また、選択されたスクリーンの昇降動作は、各スクリーン毎の原点センサ20の位置(基準位置)からの回転方向と回転数を検出することにより行われる。そして、全てのスクリーンの初期設定が終えたところで、初期設定操作を完了する。
【0051】
以上のようにして初期設定が完了したスクリーンに対しては、スイッチ操作により選択された任意のスクリーンが自動的に前面に配置されかつ予め設定された任意の位置まで自動的に下降させることができる。即ち、選択パネルを決定すると(S1)、選択されたパネルが原点センサー20の検出信号に基づく上述のスクリーン出し操作によって該当するスクリーン番号のスクリーンが前面に垂れ下げられる(S2)。そこで、床上位置あるいは延長位置のいずれかを選択して、スクリーンを予め設定された任意の位置まで自動的に下降させる(S3)。勿論、スクリーン長さの微調整を必要とする場合には、パネルアップスイッチ35uあるいはパネルダウンスイッチ35dを用いて、必要な長さ調整を行う。
【0052】
例えば、対象となるスクリーン例えば1番目のスクリーンがボタンで選択され、次いで選択動作例えば床上位置スイッチ32が選択されると、第一のスクリーンが前面に配置された状態で予めティーチングにより設定された位置まで降下し、自動的にその位置で停止する。また、床上位置からさらにパネル延長スイッチ33を押すと、第一のスクリーンがさらに降下して予めティーチングにより設定されたパネル延長位置までの長さだけ降されてから自動的にその位置で停止する。また、これら設定位置では不都合がある場合などには、必要に応じてパネルアップスイッチ35uあるいはパネルダウンスイッチ35dを操作してスクリーンを上昇あるいは下降させて高さあるいは長さ(延長位置)などを微調整することができる。この場合、カウンターメモリ28に記憶された床上位置並びにパネル延長位置の情報はクリアされることはない。
【0053】
そして、パネル収納スイッチ34の操作でパネル収納を選択すると、モータ22の駆動により巻取ローラ1が逆転してスクリーン4を原点位置まで巻き上げる(スクリーン頭出し操作)。このとき、パネル収納時には、必ず第1番目のスクリーンが前面となるように回転が制御される。例えば、選択されていたスクリーンが1番であっても、巻き上げが完了した後も正転を続けて、再度1番が現れたところで停止する。したがって、収納状態でスクリーンが選択されると、選択されたスクリーンが第位置番目のスクリーンから何番目かを制御装置26側で判断して該当する順番の原点位置センサー20の出力が得られるまで正転させ、得られた後はモータ22を逆転させてスクリーンを降ろす。また、パネル収納スイッチ34を選択せずに(押さずに)、直接パネル選択スイッチ31a〜31dを押すこともできる。この場合には、スクリーンを巻き上げると同時に選択したスクリーンまで回転して停止する。このときには、初期設定で述べたように、第一番目のスクリーンが通過したときにカウンターメモリ28を一旦リセットし、始めからカウントすることにより、該当する順番のスクリーンが前面に配置されるようにする。例えば、No.3のパネルが選択されている状態でNo.4のパネルを選択する場合には、巻き上げられるスクリーンは第三番目と判明していることから、(2)→(1)→(4)→(3)→(2)→(1)→(4)と切り替わります。このときは、2つ目の磁性体(検出体)を検知したときに一旦メモリをクリアし、それから4個めの検出信号で(1)を確認して、次の検出信号で(4)と判定し、巻取ローラ1の正転を停止し、その後逆転してスクリーン4を降ろすという制御を行っている。
【0054】
以上のように構成された電動式スクリーン巻取機構は、例えば撮影スタジオなどにおける撮影用背景として利用することが好ましい。この場合、撮影シーンに応じて最適な背景生地を選択して、それを前面に切り替えてから降ろして使える。勿論、本実施形態の電動式スクリーン巻取機構は、屋内用広告装置などとして利用することもできる。この場合には、例えばタイマーなどの併用により、あるいは近接センサーなどの併用により、設定時間毎にあるいは人が近づいたときにスクリーンを切り換えることで広告内容を変更することができる。
【0055】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、1つのジョイント材に対して4枚のスクリーンを1箇所に連結し、あるいは1つのジョイント材に4箇所の溝を設けて各溝毎にスクリーンを連結するようにしても良い。
【0056】
さらに、上述の実施形態では、捨て布の下端のスクリーン取付手段として、スクリーン4の上端縁部4aを抜け落ち防止の芯材9とスクリーン幅方向の溝を組み合わせてスクリーン幅方向にスライド可能に連結するジョイント材3を採用しているがこれに特に限られず、例えば、ジョイント材3の下部にスクリーン4の上端縁4aを強固に挟み付けるスプリング内蔵のクリップ機構を備えたものにより、スクリーン4の上端縁4aを挟み付ける方法で取り外し可能に取り付けるようにしても良い。
【0057】
また、巻取ローラは、場合によってはD形横断面形状として捨て布の巻き上げに伴って円形外周面の欠落した平坦面部分にジョイント材が位置してほぼ円形を成し、スクリーンの巻き取り形状を崩さずにほぼ円形に巻き取ることができるので、巻き形状を崩すことなく巻取ローラ1をバランス良く回転させることができ、振動や騒音の発生等を抑えることができる。
【0058】
また、上述の実施形態として挙げたスクリーン巻取機構の用途は、広告や撮影用背景に限られず、店舗内・室内等の目隠し、間仕切り(例えば、商談コーナ等の目隠し,間仕切り等)、ショーウインドウやレジ等の背景、案内表示(例えば、平成○年○○学会受付、第○回○○展示会入口等)、インテリア等として使用することができる。
【0059】
また、上述の説明では、巻取ローラ2からスクリーン4を真っ直ぐ下に垂らすようにしているが、必要に応じてスクリーン4を水平に引き出したり斜めに引き出して広げても良く、あるいは、スクリーン4を湾曲したガイドなどに沿って引き出すことにより曲面的に広げても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明のスクリーン巻取機構をスクリーン型屋外広告装置に適用した第1の実施形態を示す正面図である。
【図2】同広告装置の収納ボックスを断面し、回転機構とスクリーンとを側面から見た断面図である。
【図3】同広告装置の平面図である。
【図4】巻取ローラと捨て布とジョイント材とスクリーンとの関係を示す拡大断面図である。
【図5】スクリーンとスクリーンの下端を固定具に係留させるための手段を示す正面図である。
【図6】スクリーンの下端の筒状縁部に挿入されたコイルスプリングと係留環とワイヤとの関係を示す拡大図である。
【図7】スクリーンとスクリーンの下端を固定具に係留させるための手段を示す側面図である。
【図8】本発明のスクリーン巻取機構をスクリーン型屋外広告装置に適用した第2の実施形態を示す正面図である。
【図9】同広告装置の収納ボックスを断面し、回転機構とスクリーンとを側面から見た断面図である。
【図10】同広告装置における巻取ローラを回転させるためのハンドルの正面図である。
【図11】本発明のスクリーン巻取機構を電動式スタジオ用背景装置に適用した実施形態を示す斜視図である。
【図12】同スタジオ用背景装置の正面図である。
【図13】同スタジオ用背景装置の平面図で、据付用金具の図示を省略している。
【図14】同スタジオ用背景装置の巻取ローラ部分での横断面図である。
【図15】同スタジオ用背景装置の制御装置の一例を示すブロック図である。
【図16】同スタジオ用背景装置の制御プログラムのフローチャート図である。
【符号の説明】
【0061】
1 巻取ローラ
2 捨て布
3 ジョイント材
4 スクリーン
4a スクリーンの上端縁(筒状縁部)
4b スクリーンの下端縁(筒状縁部)
10 パイプ
11 コイルスプリング
12 係留環
13 連結ワイヤ
14 連結フック
15 固定具(アンカー部材)
16 回転機構
20 巻取ローラの最頂部を通過したことを検知するセンサ(原点センサ)
21 エンコーダ
22 巻取ローラの基準位置からの回転方向と回転数を検出するセンサ(エンコーダ)
23 磁性体(検出体)
26 制御装置
27 中央演算ユニット
28 カウンターメモリ
29 ティーチングメモリ
30 高速カウンター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機構によって正逆回転可能に配置された1本の巻取ローラに対し、複数枚のスクリーンが連結されて重ねて巻き取り可能に支持されているスクリーン巻取機構において、前記巻取ローラには少なくとも1枚の捨て布が連結され、かつ該捨て布の下端には前記スクリーンを着脱自在に連結可能とするジョイント材を備え、該ジョイント材を介して前記スクリーンを着脱自在に連結する一方、前記捨て布は前記巻取ローラを逆転させて前記スクリーンを垂れ下がらせると共に、前記捨て布の下端の前記ジョイント材を収納ボックスから交換作業のし易い高さまで降下させる長さを有し、さらに前記スクリーンの前記捨て布の長さを含めた長さは全てのスクリーンを前記巻取ローラの回転により巻き上げた状態で、外側に巻かれたスクリーンの下端縁が前記巻取ローラの最頂部を通過するときにその内側に巻かれた次のスクリーンの下端縁が前記巻取ローラの最頂部に達する前に前記巻取ローラの最頂部を通過した先のスクリーンが前記巻取ローラから解けて垂下する関係を相互に有するものであるスクリーン巻取機構。
【請求項2】
前記捨て布並びにジョイント材は、前記スクリーン毎に装備されているものである請求項1記載のスクリーン巻取機構。
【請求項3】
前記スクリーンは、その下端に筒状縁部を有し、該筒状縁部にコイルスプリングを内蔵すると共に該コイルスプリングの両端が前記筒状縁部の外に配置される係留環にそれぞれ接続され、前記係留環を介して屋外の敷地側に設置された固定具に係留されるものである請求項1または2記載のスクリーン巻取機構。
【請求項4】
前記巻取ローラはモータ駆動式であり、前記スクリーンの下端縁が前記巻取ローラの最頂部を通過したことを検知するセンサと、前記巻取ローラの基準位置からの回転方向と回転数を検出するセンサと、スイッチ操作により前記モータのスクリーンを巻上げる方向への正回転と前記スクリーンを降ろす方向への逆回転とを制御し、かつ前記各センサからの出力信号を得て各スクリーン毎に予めティーチング操作により記憶された停止位置及び回転方向情報に従って前記モータを制御し、スイッチあるいはプログラムにより選択されたスクリーンの下端縁が前記巻取ローラの最頂部を通過してその次のスクリーンの下端縁が前記巻取ローラの最頂部に達する前まで前記巻取ローラを正転させ、その後前記巻取ローラを逆回転させて前面に垂下した前記スクリーンが予め設定された位置まで降下するように制御する制御装置とを備えるものである請求項1または2記載のスクリーン巻取機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2010−59720(P2010−59720A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227888(P2008−227888)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(391030686)株式会社協和興業 (6)
【Fターム(参考)】