説明

スクロール型圧縮機用チップシールおよびその製造方法

【課題】PTFE製のスクロール型圧縮機用チップシールに、製造工程中の加熱(焼成)による形状変化や寸法変化が起こらないものとし、内外径面の仕上げ旋削加工を不要とし、特に肉厚などの寸法精度の高さに利点のあるスクロール型圧縮機用チップシールおよびその製造方法とすることである。
【解決手段】四フッ化エチレン樹脂粉末を主成分とする筒形圧縮成形体1の内周面1aに仕上げ寸法の円柱型(心棒)の金型2を嵌め、次いで焼成し、円筒形圧縮成形体1の内周面に金型による溶融成形層(内周表面)6を形成した筒形焼成体にし、これを輪切りにして、その軸方向の所定位置に間隔を開けて切割線を形成し、この切割線から開いてスクロール型圧縮機の渦巻溝に収容可能な紐状物を形成し、これをスクロール型圧縮機用チップシールにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スクロール型圧縮機用チップシールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なスクロール型圧縮機の概略構成について、図6乃至図8を利用して説明すると、基板10の片面に渦巻壁11を形成した一対のスクロール部材12、13を対向位置に配置して渦巻壁11を偏心状態にかみ合わせ、その一対のスクロール部材12、13を相対的に公転運動させて渦巻壁11間に形成された作動空間14を外周から中心に向けて移動させながら作動空間14内の流体を圧縮し、その圧縮流体を中心部の吐出口15から吐出させるものである。
【0003】
上記スクロール型圧縮機においては、作動空間14内の流体の漏洩を防止するために、渦巻壁11の軸方向の端面に渦巻状のシール溝16(図6)を形成し、そのシール溝16内に渦巻状で長手方向に幅が均等なチップシール7を収納する。
そして、図8に示すように、チップシール7を作動空間14内の流体圧力によって、対向するスクロール部材12または13の基板10に圧接させるようにしている。
【0004】
また、図9に示すように、従来のチップシールの製造方法の例として、フッ素樹脂を主成分とする樹脂組成物製のシートSを素材とし、これから渦巻線状のチップシール17を型(図示せず。)で打ち抜く方法が知られている。
【0005】
また、フッ素樹脂を主成分とする樹脂組成物を押出し成形法で円筒状成形体に成形し、外周面から内周面に向かって渦巻状に旋削加工し、これを輪切りに切削するスクロール型圧縮機用チップシールの製造方法が知られている(特許文献1参照)。
【0006】
また、別法として、フッ素樹脂を主成分とする樹脂組成物を圧縮成形法で円筒状または円柱状に成形し、これをスカイブ加工してシート状体とし、さらにこのシート状体を棒状体に切削加工して成形するスクロール型圧縮機用チップシールの製造方法も知られている(特許文献2参照)。
【0007】
また、フッ素樹脂に対して採用される場合のあるいわゆるオートモールド成形により、一定の内・外径寸法に圧縮成形した筒状素材を焼成し、幅方向に切り落としてチップシールとする方法もある。因みに、オートモールド成形では、PTFE粉末を計量した後、金型内に自動的に充填し、ラムによって圧縮力を加えて予備成形して金型から取り出し、これをPTFEの融点以上で焼成する。
【0008】
【特許文献1】特開2000−240578号公報(請求項1)
【特許文献2】特開2000−240579号公報(請求項2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記した従来の製法のうち、PTFE製のシートからチップシールを打ち抜き成形すると、破断面が粗くなってシール性が劣るチップシールになりやすく、また打ち抜いたシートから多量の打ち抜き残材が生ずるので、製品の歩留まりが悪くなり、すなわち製造工程における材料損失が大きくて製品コスト高になるという欠点がある。
【0010】
また、前記した第2の製法によって圧縮成形した円筒状成形体の外周面から内周面に向かって渦巻状に旋削加工すると、樹脂材料の配合物の種類やその配合量の調整が容易でなくなり、旋削工程の途中で破損しやすくなるという問題点がある。
【0011】
また、切削加工する場合に、切削の幅(すなわちリングの高さ)を1〜3mm程度という小さな所定値にすることは容易でなく、筒状素材を焼成する際には、熱による形状変化や寸法変化が起きるので、寸法精度を充分に高めて精密な寸法と形状でチップシールを作製できなかった。
【0012】
さらにまた、前記した第3の製法でスカイブ加工を採用する場合、加工当初からシート厚が安定するまでに相当の長さを試験的にスカイブ加工する必要があり、またスカイブ加工が可能な被加工体の大きさ(径)には制約があり、すなわち被加工体が細い棒状となるような最後までスカイブ加工できないので、材料損失が大きく製品コスト高になる欠点がある。
【0013】
ところで、フッ素樹脂に採用されるオートモールド成形では、内外径寸法の仕上げ旋削が不要となるので工数が短縮されるが、焼成時の熱により形状変化や寸法変化が起こり、旋削加工と同様な精度で形状や寸法の精度が得られなかった。
【0014】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決してPTFE製のスクロール型圧縮機用チップシールに、製造工程中の加熱(焼成)による形状変化や寸法変化が起こらないものとし、従来の内外径面の仕上げ旋削加工を不要とし、もしくは製造工程での寸法変化を予測したりその修正をしたりすることをも容易として製品の寸法精度を高める製造方法とし、特に肉厚などの寸法精度の高さに利点のあるスクロール型圧縮機用チップシールおよびその製造方法とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、この発明では、四フッ化エチレン樹脂粉末を主成分とする紐状のスクロール型圧縮機用チップシールを設け、この紐状のスクロール型圧縮機用チップシールは圧縮機の渦巻溝に収容された際、渦巻中心側に配置される側壁面および渦巻外側に配置される側壁面のうち、少なくとも渦巻中心側の側壁面が金型で成形された溶融成形層からなるスクロール型圧縮機用チップシールとしたのである。
【0016】
上記したように構成されるこの発明のスクロール型圧縮機用チップシールは、圧縮成形体の少なくとも渦巻中心側の側壁面が溶融成形層で形成され、この面は金型を用いて溶融成形されたことにより寸法精度の高い仕上げ面となる。また、少なくとも一方の側壁面に加熱収縮して金型に密接してこの面に凹凸がなくなることにより、対向する他方の側壁面も平滑になって凹凸も無くなり、両側壁面間の肉厚は一定になる。
【0017】
また、スクロール型圧縮機用チップシールの製造方法に係る発明では、四フッ化エチレン樹脂を筒形に圧縮成形し、この筒形圧縮成形体を焼成した際に熱収縮により前記筒形圧縮成形体の内周と密接する内周面仕上げ用の金型を設け、または前記筒形圧縮成形体の内・外周面と密接する内・外周面仕上げ用の金型を設け、この金型を嵌めた筒形圧縮成形体を四フッ化エチレン樹脂の融点以上に加熱焼成して内周面または内・外周面に溶融成形層を形成し、得られた筒形焼成体を輪切りにして得た環状物の軸方向に切割線を形成し、この切割線から開いてスクロール型圧縮機の渦巻溝に収容可能な紐状物を形成することからなるスクロール型圧縮機用チップシールの製造方法としたのである。
【0018】
上記した工程からなるこの発明のスクロール型圧縮機用チップシールの製造方法では、筒形圧縮成形体の内周面および外周面に仕上げ寸法の金型を嵌め、この状態で前記金型を四フッ化エチレン樹脂の融点以上に加熱することで、筒形圧縮成形体が加熱時に収縮して内・外径が小さくなると共にそれらの表面が溶融し、その際に所定寸法の内周面仕上げ用の金型に接して内周面が射出成形された場合と同様に滑らかな状態になり、または内・外周面仕上げ用の金型を用いた場合には内周面と共に外周面も射出成形されたように滑らかな状態になり、結果として寸法精度の高い溶融成形層からなる表面を有するチップシール焼成体が形成される。
【0019】
このチップシール素材からスクロール型圧縮機用チップシールを製造するには、筒形焼成体を輪切りにして得た環状物の軸方向に1本以上の切割線を形成すると共に、前記切割線から開いて紐状のチップシールを得る。この紐状のチップシールは、渦巻状のシール溝であるスクロール型圧縮機の渦巻溝に嵌め込んで用いられる。
【0020】
その際、上記の内周面、または内周面と共に外周面に溶融成形層を形成した筒形圧縮成形体は、表面も所期した精密な寸法でもって形成されており、内周面および外周面については旋削加工をせずとも、これを仕上げ面にできるスクロール型圧縮機用チップシールを効率よく製造できる。なお、上記内周面は、チップシールの渦巻中心側の側壁面を形成し、上記外周面は渦巻外側の側壁面を形成する面である。
【0021】
また、このようなスクロール型圧縮機用チップシールの製造方法において、切割線を2本形成すると共に、この2本の切割線の間隔を広狭調整することにより、所要長さの環状物を得ることができる。
【0022】
すなわち、2本の切割線の間隔を広くすれば、切割線から開いて紐状とした際に短い紐状物が得られ、逆に2本の切割線の間隔を狭くすれば、切割線から開いて紐状とした際に長い紐状物が得られ、このような長さ調節により、紐状物を渦巻溝に収容した際の最終長さを調整することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明は、四フッ化エチレン樹脂粉末を主成分としたスクロール型圧縮機用チップシールの渦巻中心側の側壁面および渦巻外側の側壁面のうち、少なくとも一方の面を金型で形成された溶融成形層で形成したので、前記側壁面が射出成形されたように滑らかに形成され、かつ仕上げ寸法で形成され、そのため、製造工程中の加熱(焼成)による形状変化や寸法変化が予め予測でき、特にチップシールの肉厚(両側壁面間厚)などの寸法精度に優れたスクロール型圧縮機用チップシールになるという利点がある。
【0024】
また、この発明のスクロール型圧縮機用チップシールの製造方法では、筒形圧縮成形体の内周面、または内周面と外周面の両面に仕上げ寸法の金型を嵌めて四フッ化エチレン樹脂の融点以上に加熱することにより、所定寸法の金型に接した面が滑らかな溶融成形面として形成される。そのため、加熱(焼成)工程での形状変化や寸法変化がなく、仕上げ旋削加工が不要となり、その分だけ工程数の少ないスクロール型圧縮機用チップシールの製造方法になるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1〜図6に示すように、実施形態のスクロール型圧縮機用チップシールの製造方法は、渦巻中心側の側壁面が仕上げ寸法の金型2(図2)で成形された溶融成形層6(図6)からなるチップシール7の製造方法である。
【0026】
この発明のチップシールの組成は、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)粉末を主成分とする。因みに、四フッ化エチレン樹脂粉末、すなわちポリテトラフルオロエチレン(CAS9002−84−0)の粉末は、融点(327℃)以上に加熱されても溶融粘度が非常に高く、ゴム状弾性体にとどまり、流動性を示さないものであり、整粒により粒径をできるだけそろえた市販のモールディングパウダーまたはファインパウダーを用いることができる。
【0027】
四フッ化エチレン樹脂粉末を主成分とする筒形圧縮成形体1は、PTFE粉末を円筒などの筒体成形用の金型内に充填して定法により予備成形としての圧縮成形を行なったものである。
【0028】
PTFEは、ガラス繊維および炭素繊維やウイスカなどの補強材や、黒鉛などの固体潤滑材が配合されたPTFE組成物であってもよい。因みに、成形のサイクルは、通常どおり10〜15秒程度であればよく、加圧保持時間を数秒以内とする場合には、予備成形圧力を1000〜2000kgf/cm2と高めにする。また、成形品の肉厚に対応させて加圧保持時間を長くし、実際の最適な成形圧力、サイクルは目的のチップシールの大きさに合わせて実験的手法により適宜に定めることができる。
【0029】
また、この発明に用いる金型2は、筒形圧縮成形体1の内周面および外周面のうち少なくとも内周面を成形するものであり、内周面成形用の金型2は、筒形圧縮成形体が焼成時の熱収縮により収縮した際に密接可能な径に設計された円柱(心棒)状の金型または円筒状の金型であり、熱膨張率が低く防錆力のあるステンレス鋼からなるものを採用することが好ましい。例えば、肉厚5mm〜10mm程度の筒形焼成体の内径は、筒形圧縮成形体の内径の95〜99%程度になるので、このような寸法で僅かに圧縮成形体より小さな金型を作製することが仕上げ寸法用金型として好ましい。
【0030】
また、外周面成形用の金型は、特に圧縮成形体を密接させる必要はなく、単に焼成時に外周面に均一な加熱を可能にする熱伝導性の良いハウジングであればよい。すなわち、この金型も熱伝導性が良くて熱膨張率の低い材質のものが好ましく、例えば防錆性も考慮するとステンレス鋼製のものが適当である。
【0031】
図1、2に示すように、チップシールの製造工程は、先ず、四フッ化エチレン樹脂粉末を主成分とする筒形圧縮成形体1の内周面1aに仕上げ寸法の円柱型(心棒)の金型2を嵌め、次いでその圧縮成形品の全体を四フッ化エチレン樹脂の融点以上(327℃以上、好ましくは330〜380℃程度)に加熱して焼成し、円筒形圧縮成形体1の内周面1aに金型2による溶融成形層(内周表面)6を形成した筒形焼成体にする。
【0032】
次に、図3に示すように筒形焼成体を輪切りにし、次いで図4に示すように軸方向の所定位置に間隔を開けて切割線3、4を形成すると共に、切割線3、4の間の部分を取り除いて図5に示すような一部切り欠きの環状物5を得る。
【0033】
次に、環状物5を切割線3、4から開いて紐状(図示せず。)とし、この紐状物を図6と同じ状態で渦巻溝状型(図示せず。)に収容してチップシール7(図6)を得る。
【0034】
このようにすると、四フッ化エチレン樹脂製のスクロール型圧縮機用チップシール7が、焼成前に予想した通りの製品寸法であり、側壁面の仕上げ旋削加工を不要なチップシール7になる。
【実施例1】
【0035】
四フッ化エチレン樹脂〔PTFE〕約70重量%およびガラス繊維約25重量%を乾式混合した後、これを円筒形の圧縮成型用金型に入れて2000kg/cm2の圧力で予備成形し、図1および図2に示す形状の筒形圧縮成形体1を製造し、次にこの筒形圧縮成形体1の内周面に仕上げ寸法の円柱型でステンレス鋼製の金型2を嵌め、次いでその圧縮成形品の全体を370℃で焼成し、筒形圧縮成形体1の内周面1aの表層部分に金型2による溶融成形層6を形成した。
【0036】
得られた焼成後の筒形焼成体1´の寸法は、外径100mm、内径95mm、高さ40mmであり、これを輪切りにして得た環状物5の5個づつの焼成前と焼成後の肉厚t(外径と内径の差)、高さh(筒形圧縮成形体の軸方向の幅)の最大寸法と最小寸法を計測しそれらの差を調べた。
【0037】
その結果、肉厚tの最大寸法と最小寸法の差は0.05mm以下であり、高さhの最大寸法と最小寸法の差は0.02mmであり、これを用いてチップシールの性能を充分に満足するものであった。
すなわち、環状物5に切割線を形成して、ここから開いて紐状としたところ、仕上げ旋削加工が不要であり、寸法精度の高いスクロール型圧縮機用チップシールが得られた。
【0038】
[比較例1]
仕上げ寸法の円柱型の金型2を内周面1aに嵌めなかったこと以外は、実施例1と全く同様にして比較例1の筒形圧縮成形体1を焼成(いわゆるフリー状態で焼成)して環状物を製造し、この環状物の(5個)の焼成前と焼成後の外径、肉厚t、高さhの最大寸法と最小寸法の差を計測した。
【0039】
その結果、焼成後の環状物の外径は100mm未満に収縮しており、肉厚tの最大寸法と最小寸法の差は0.2mm以上であり、高さhの最大寸法と最小寸法の差は0.05mm以上であり、実施例1に比べて肉厚tは4倍以上大きく、これではチップシールの性能を充分に満足するものとはいえないものであった。
すなわち、この環状物を実施例1の場合と全く同じ条件で切割線から開いて紐状としたところ、形状変化や寸法変化があり精度の不良なスクロール型圧縮機用チップシールであった。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態の製造方法で用いる筒形圧縮成形体を示す斜視図
【図2】実施形態の製造工程で筒形圧縮成形体の内周面に金型を嵌めた状態を示す斜視図
【図3】実施形態の製造工程で筒形圧縮成形体を輪切りにした状態を示す斜視図
【図4】実施形態の製造工程で切割線を入れた状態を示す斜視図
【図5】実施形態の製造工程で環状物を示す斜視図
【図6】スクロール型圧縮機のスクロール部材を示す斜視図
【図7】スクロール型圧縮機の概略図
【図8】図7のVIII-VIII線に沿った断面図
【図9】従来の製造方法を示す平面図
【符号の説明】
【0041】
1 筒形圧縮成形体
1a 内周面
2 金型
3、4 切割線
5 環状物
6 溶融成形層
7、17 チップシール
10 基板
11 渦巻壁
12、13 スクロール部材
14 作動空間
15 吐出口
16 シール溝
S シート
h 高さ
t 肉厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四フッ化エチレン樹脂粉末を主成分とする紐状のスクロール型圧縮機用チップシールを設け、この紐状のスクロール型圧縮機用チップシールは圧縮機の渦巻溝に収容された際、渦巻中心側に配置される側壁面および渦巻外側に配置される側壁面のうち、少なくとも渦巻中心側の側壁面が金型で成形された溶融成形層からなるスクロール型圧縮機用チップシール。
【請求項2】
四フッ化エチレン樹脂を筒形に圧縮成形し、この筒形圧縮成形体を焼成した際に熱収縮により前記筒形圧縮成形体の内周と密接する内周面仕上げ用の金型を設け、この金型を嵌めた筒形圧縮成形体を四フッ化エチレン樹脂の融点以上に加熱焼成して内周面に溶融成形層を形成し、得られた筒形焼成体を輪切りにして得た環状物の軸方向に切割線を形成し、この切割線から開いてスクロール型圧縮機の渦巻溝に収容可能な紐状物を形成することからなるスクロール型圧縮機用チップシールの製造方法。
【請求項3】
四フッ化エチレン樹脂を筒形に圧縮成形し、この筒形圧縮成形体を焼成した際に熱収縮により前記筒形圧縮成形体の内・外周面と密接する内・外周面仕上げ用の金型を設け、この金型を嵌めた筒形圧縮成形体を四フッ化エチレン樹脂の融点以上に加熱焼成して内・外周面に溶融成形層を形成し、得られた筒形焼成体を輪切りにして得た環状物の軸方向に切割線を形成し、この切割線から開いてスクロール型圧縮機の渦巻溝に収容可能な紐状物を形成することからなるスクロール型圧縮機用チップシールの製造方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載のスクロール型圧縮機用チップシールの製造方法において、切割線を2本形成すると共に、この2本の切割線の間隔を広狭調整することにより、所要長さの環状物を得ることを特徴とするスクロール型圧縮機用チップシールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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