説明

スケールおよびノギス

【課題】簡易かつ精度高く計測することができるスケールを提供する。
【解決手段】定規面と、略平行方向に区分する主目盛と、主目盛を斜め方向に分割する副目盛とを備る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計測のためのスケールに関する。
【背景技術】
【0002】
図10を参照しながら従来のスケールについて説明する。従来のスケール301は、平板状の側面の一辺であって計測の基準となる定規辺302と、定規辺302を複数区分に等分割する第1の主目盛303と、第1の主目盛303を更に等分割する第2の主目盛304から構成されている。図8の第1の主目盛303の1目盛の間隔は1cm、第2の主目盛304の1目盛の間隔は1cmを10分割した1mmである。
【0003】
この従来のスケール301の分解能は第2の主目盛の1目盛間隔に制限されるため、第2の主目盛の1目盛間隔以下の精度で正確に長さを測ることができないという問題があった。例えば、図10のスケール301で計測対象となる計測線7の位置を測定する場合について説明する。計測線7は、5mmと6mmとの間にあることがわかるのみで、正確な位置を計測することはできない。また、第2主目盛の間隔を細かくしても、目盛の線や目盛にも幅があり、これら幅以下の間隔で目盛を分割することはできない。つまり、通常の目盛線等幅以下の0.1mmの精度で計測することは困難であった。
【0004】
また、従来のスケール301の目盛以下の精度で計測する方法として、ノギス等で用いられている副尺(バーニヤ)を使う方法があるが、使い方に熟練技術を要し、手軽に計測することができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡易かつ精度高く距離を計測することができるスケールを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスケールは、平板状の側面を少なくとも一つ有するスケールであって、前記平板状の側面の一辺であり計測の基準となる定規辺と、該定規辺の所定間隔を複数に等分割するように前記定規辺に対して斜め方向に設けられた第1の目盛とを備えたことを特徴とする。
【0007】
第1の目盛よりも広い間隔で前記定規辺を複数に等分割する第2の目盛を備え、第1の目盛は、第2の主目盛の所定間隔を複数に等分割する構成としてもよい。
【0008】
前記定規辺と角度θ(0°<θ<90°)をなす補助線を備え、第1の目盛は該補助線上に設けられている構成としてもよい。
【0009】
前記定規辺と平行で等間隔毎に複数設けられた第1の基準線と、第1の基準線と所定角度θ(0°<θ<90°)で交わる第2の基準線とを備え、第1の目盛が第1の基準線と第2の基準線との交点とする構成としてもよい。
【0010】
一つの第2の基準線と複数の第1の基準線との交点が(n−1)個(n>1)設けられ、第2の基準線の長さがL1、一つの第2の基準線と複数の第1の基準線との交点がn個(n>1)に等分割する前記所定間隔がL2のとき、
L1=L2/cosθ(0°<θ<90°)
が成立することを特徴とする。
【0011】
平板状の側面を少なくとも1つ有し、この側面の一辺であり計測の基準となる定規辺と、該定規辺と平行で等間隔毎に複数設けられた第1の基準線と、第1の基準線と角度θ(0°<θ<90°)により交わる第2の基準線とを備え、一つの第2の基準線と複数の第1の基準線との交点で、前記定規辺の所定間隔L2を複数に等分割する構成としてもよい。
【0012】
前記定規辺を複数に等分割する第2の目盛を備え、一つの第2の基準線と複数の第1の基準線との交点は、第2の目盛の所定間隔L2を複数に等分割する構成としてもよい。
【0013】
一つの第2の基準線と複数の第1の基準線との交点が(n−1)個設けられ、第2の基準線の長さがL1のとき、
L1=L2/cosθ(0°<θ<90°)
が成立し、前記所定間隔L2をn個に等分割する構成としてもよい。
【0014】
本発明のノギスは、平板状の側面を少なくとも1つ有し、この側面の一辺であり計測の基準となる本尺定規辺と、本尺定規辺の所定間隔を複数に等分割するように前記本尺定規辺に対して斜め方向に設けられた第1の目盛と、第1の目盛よりも広い間隔で前記本尺定規辺を複数に等分割する第2の目盛とを有する本体部と、副尺定規辺と、透明部材よりなる透明板とを有する可動部と、前記透明板には、外側測定面、内側測定面又は深さ測定用ディプスパーを閉じたときに、第2の目盛の「0」の位置と一致する位置に設けられ、副尺定規辺に対して垂直な副尺線が設けられており、前記可動部は前記本尺定規辺と前記副尺定規辺とが平行となるように本体部に対してスライドすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のスケールであれば、第1の目盛(副目盛)が定規辺に対して斜め方向に設けられているので、定規辺と平行方向に目盛を設けるよりも目盛間隔を長くすることができ、目視による計測が容易になる。
【0016】
また、第1の目盛(副目盛)により第2の目盛(主目盛)間隔以下の精度での計測が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す内容は、例示であって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
(第1の実施形態)
第1の実施形態のスケールは、定規辺の所定間隔を複数に等分割するように定規辺に対して斜め方向に設けられた副目盛を備える。ここで、定規辺とは、平板状の側面を少なくとも一つ備えたスケールにおいて、平板状の側面の一辺であって、計測の基準となる直線を意味する。いわゆる、スケールの計測の基準となる縁である。
【0019】
副目盛を定規辺に対して斜め方向に設けることで、定規辺に対して平行方向に目盛を設けるよりも、1目盛間の間隔を長くとることができ、目視による計測が容易になる。
【0020】
第1の実施形態の構成について、図1とその拡大図である図2を参照しながら更に詳細に説明する。スケール1は、平板状の側面を少なくとも一つ備える。この平板状の側面の一辺が定規辺2である。定規辺2は、直線であり、計測の基準となる。
【0021】
第1の主目盛3は、定規辺を1cm毎に等分割する。第2の主目盛4の1目盛間隔は、第1の主目盛3の間隔1cmを10等分した、1mmである。なお、第1の主目盛3と第2の主目盛4とを以下総称して「主目盛」という。
【0022】
補助線5は直線であり、定規辺2と角度θ(0°<θ<90°)をなして平行に複数設けられている。図1では、主目盛3の目盛「0」から2mm毎に設けられている。副目盛6は、同一補助線5に等間隔に9個設けられており、補助線5を10等分する。副目盛6は、定規辺2の方向の距離2mmを10等分した、0.2mmを示す目盛となる。なお、この補助線5は副目盛6を設けるためのものであり、必ずしも必要ではない。
【0023】
図2には、副目盛6−aと6−bとが描かれており、この2つの副目盛を一例として副目盛6について説明する。
【0024】
副目盛6−aと6−bとは、定規辺2と角度θをなす補助線5上に距離l1を隔てて設けられている。この距離l1は、同一の補助線5上の副目盛6間の間隔である。
【0025】
投影点6’−aは副目盛6−aを定規辺2に垂直に投影した点である。投影点6’−bは副目盛6−bを定規辺2に垂直に投影した点である。投影点6’−aと6’−bとの距離をl2とする。
【0026】
副目盛6−aと6−bとは、投影点6’−aと6’−bとにより定規辺2を距離l2に区分する。副目盛6は、補助線5上に等間隔l1毎に設けられているので、副目盛6は定規辺2の所定間隔を間隔l2に等分割する。これは、副目盛6が、定規辺2の所定間隔を複数に等分割するように、定規辺2に対して斜め方向に設けられている構成を意味する。
【0027】
副目盛6−aと6−bとの距離l1、投影点6’−aと6’−bとの距離l2、定規辺2と補助線5とがなす角度θとの間には、
l1=l2/cosθ
の関係が成立し、cosθが1よりも小さいので、l1>l2となる。
【0028】
副目盛6を定規辺2に対して斜め方向に設けることで、定規辺2を距離l2に分割する際、副目盛6の目盛間隔をl2よりも長くすることができる。この構成により、計測の際に目視が容易となる。また、距離l2が1mm以下に小さくなっても副目盛6を設けることが可能となる。
【0029】
なお、第1の実施形態では、副目盛6により等分割する定規辺2の距離が2mm、副目盛6が補助線5を10等分することから、距離l2は0.2mmとなる。
【0030】
図1のスケール1で計測対象となる計測線7の位置を計測する場合について考える。計測線7は第2の主目盛4の5mmと6mmとの間に位置し、第1の主目盛3の目盛「0」の位置から数えて3本目の補助線5の8個目の副目盛6と交わっているので、5.6mmであることがわかる。このように、第1の主目盛3と第2の主目盛4と副目盛6とから、第2の主目盛4よりも精度高い分解能での計測が可能となる。なお、本実施形態のスケール1で計測する対象は、点と直線の距離に限られるものではなく、点と点との距離であってもよいことは言うまでもない。
【0031】
なお、本実施形態の主目盛3、4は必須の構成要素ではない。例えば、定規辺2と副目盛6とを備えていれば、定規辺2の所定間隔を等分割するスケールとして本発明に含まれる。副目盛6を定規辺2に対して斜め方向に設ければ、定規辺2と平行な方向に目盛を設けるよりも、目盛間隔を長くとることができ、目視が容易になる。
【0032】
また、第1の主目盛3及び第2の主目盛4との少なくとも一方を備えたスケールも本発明に含まれる。主目盛3、4は計測の手助けとなるものであって、計測対象に応じて選択的に設ければよい。
【0033】
また、主目盛3、4や副目盛6の目盛間隔、数等は、計測対象に応じて当業者が適宜設計変更可能であり、本実施例に制限されるものではない。
【0034】
(第2の実施形態)
第2の実施形態のスケールは、定規辺と平行で等間隔毎に設けられた第1の基準線と、第1の基準線と角度θ(0°<θ<90°)で交わる第2の基準線とを備え、第1の基準線と第2の基準線との交点が第1の実施形態の副目盛として機能する目盛となる。つまり、第1の基準線と第2の基準線との交点が定規辺の所定間隔を等分割する。ここで、定規辺とは、平板状の側面を少なくとも一つ備えたスケールにおいて、平板状の側面の一辺であって、計測の基準となる直線を意味する。
【0035】
定規辺の所定間隔L2をn個(nは自然数)に等分割する場合について説明する。第1の基準線は、定規辺と平行で等間隔毎に複数設けられる。一つの第2の基準線と複数の第1の基準線との交点は少なくとも(n−1)個設けられる。この交点が、定規辺の所定間隔L2をn個に等分割する第1の実施形態の副目盛として機能する。第1の基準線は一つの第2の基準線をn個に等分割する本数設けられば良く、適宜設計変更可能である。なお、一つの第2の基準線の少なくとも一端と接するように第1の基準線を更に設けてもよい。第2の基準線の長さをL1としたとき、
L1=L2/cosθ
の関係が成立し、cosθが1より小さいので、L1>L2となる。
【0036】
第2の基準線の一端と接する第1の基準線と定規辺とを兼ね合わせた構成であれば、第1の基準線の数を1本減らすことも可能である。また、第2の基準線の一端と接する第1の基準線と定規辺と対向する辺とを兼ね合わせた構成であれば、第1の基準線の数を1本減らすことも可能である。
【0037】
定規辺と平行な第1の基準線を等間隔毎に複数設けているので、計測対象とスケールの位置の確認がしやすい。計測する際には、計測線と定規辺とを直角に置く必要があるが、計測線と定規辺とが直角からずれることがある。このとき、定規辺と平行な第1の基準線が等間隔毎に設けられていれば、定規辺と計測線との位置関係だけでなく、個々の第1の基準線と計測線との位置関係(直角になっているか)を確認でき、計測線と定規辺とが直角となるように、より正確にスケールの配置が可能となる。また、定規辺と計測線との配置が直角からずれている場合、この角度のずれは定規辺から離れれば離れるほど大きく見えるため、目視では困難な定規辺と計測線との角度のずれも、定規辺からより遠い第1の基準線と計測線との交点によって、角度ずれの発見が容易となる。
【0038】
図3を参照しながら、第2の実施形態について更に詳細に説明する。主目盛13は、定規辺12を5mm毎に等分割する。そして、10mm間隔毎に主目盛の値が大きく表示されている。第1の基準線14は、定規辺12に対して平行に等間隔毎に11本設けられている。第2の基準線15は、主目盛13の0から2mm間隔毎に平行に複数設けられている。
【0039】
第1の基準線14と第2の基準線15との交点16は、定規辺12及び主目盛13の間隔2mmを10個に等分割する0.2mm間隔の目盛として機能する。
【0040】
図3のスケール11で計測対象となる計測線7の位置を計測する場合を考える。計測線7は第2の基準線15と主目盛13から、16mmと18mmとの間であることがわかる。次に、16mmの第2の基準線において、定規辺12から1個目の交点と2個目の交点との中間で計測線7と交差している。第2の基準点の交点間の距離は0.2mmを示しているから、定規辺12から1個目の交点と2個目の交点との中間は0.3mmを示す。このことから、計測線7の位置は、16.3mmであることがわかる。
【0041】
本実施形態の主目盛13は計測をし易くするものでしかなく、必須の構成要素ではない。つまり、定規辺12と第1の基準線14と第2の基準線15とを備えていれば、第1の基準線14と第2の基準線15との交点が第1の実施形態の副目盛として機能し、計測が可能である。また、主目盛13の間隔、数、表示方法、及び第1の基準線14と第2の基準線との角度θ、間隔等は、当業者が計測対象に応じて適宜設計可能であり、本実施形態に限定されない。
【0042】
また、図3のスケール11の定規辺12に近い方から数えて、1本目の第1の基準線14及び11本目の第1の基準線14と、第2の基準線15の両端とが接している構成では、スケール11への目盛印刷の精度が悪いとき、目盛位置が読み取り難い場合がある。つまり、第2の基準線15の両端が綺麗に印刷されていない場合には、第2の基準線の両端15と第1の基準線と交点がわからず、目盛を読み取れない。そこで、1本目の第1の基準線14及び11本目の第1の基準線14と、第2の基準線15とが交わる構成にしてもよい。この構成にすれば、目盛印刷の精度に読み取り精度が左右される可能性を低くすることができる。
【0043】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の構成は、基本的に第2の実施形態と同じであり、第3の基準線17を備えている点でのみ相違する。以下、第2の実施形態と同じ構成については説明を省略する。第3の基準線は、定規辺及び第1の基準線と角度(180°−θ)をなす(0°<θ<90°)。第1の基準線と第3の基準線との交点は、定規辺の所定間隔を複数に等分割する第1の実施形態の副目盛としても機能する。
【0044】
第3の基準線は、第2の基準線と線対称に設けられている。そのため、第1の基準線と第2の基準線との交点(1,2)と、第1の基準線と第3の基準線との交点(1,3)とも線対称となり、双方の交点が副目盛として機能する。
【0045】
第3の実施形態のスケールであれば、1つの副目盛を表す基準線相互間の交点が交点(1,2)と交点(1,3)との2つある。この2つの交点が定規辺に垂直に離れて存在するため、計測の際に計測線を2つの交点に合わせることで、計測線を定規辺に対して垂直に配置することが容易になるという効果がある。
【0046】
図4のスケール11で、計測対象となる計測線7の位置を計測する場合について考える。計測線7は、第2の基準線15と第3の基準線16と主目盛13から、16mmと18mmとの間であることがわかる。計測線7と第2の基準線とは、定規辺12から1個目の交点と2個目の交点との中間で交わっているので、16mmに0.3mmを加えた16.3mmの位置であることがわかる。また、計測線7と第3の基準線16とは、定規辺12から8個目の交点と9個目の交点との中間で交わっているので、18mmから1.7mmを引いた16.3mmの位置であることがわかる。
【0047】
計測対象となる計測線7が定規辺12に対して垂直のとき、計測線7は、交点(1,2)と交点(1,3)との双方と交わることとなる。計測線7が交点(1,2)と交点(1,3)との双方と交わっているかを確認することで、計測線7が定規辺12に対して垂直に配置(計測線7と定規辺12とが直角で交わるようにスケール11が配置)されているか否かを確認することができる。これにより、定規辺12を計測線7に対して直角に配置させることが容易となり、結果として正確な計測が可能となる。
【0048】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、本尺目盛を有する本体部と、副尺線を有する可動部とから構成されるノギスに関するものである。
【0049】
第2の実施形態と同様に、本体部には、定規辺に平行な第1の基準線と、第2の基準線とがあり、第1の基準線と第2の基準線との交点が、本尺目盛を等分割するように斜め方向に設けられた第2の実施形態の副目盛として機能する。以下、第1の基準線と第2の基準線との交点からなる目盛を副本尺目盛という。
【0050】
可動部は、可動部を本体部に沿ってスライドさせるときに、本尺目盛が記されたと面と重なる透明板を備えている。この透明板には、目盛「0」の位置に副尺定規辺に対して垂直に引かれた副尺線が引かれている。透明板は透明材料からなり、本体部と可動部とを重ね合わせたとき、可動部上から透明板の下の本体部の本尺目盛と副本尺目盛とを読み取ることができる。
【0051】
本体部に対して可動部をスライドさせて、外側測定面または内側測定面で挟んだものの長さを本尺目盛または副本尺目盛と、副尺線との交点から計測する。本体部の第1の基準線と第2の基準線の数、間隔等を第2の実施形態と同様にすれば、第1の基準線と第2の基準線との交点は、0.2mmを示す目盛となり、本実施形態のスケールでも実際には0.2mm以下の分解能を有することとなる。
【0052】
従来のスケールでは、可動部の副尺目盛の「0」の位置と、本尺目盛から1mm単位の値を確定し(第1工程)、本尺目盛と副尺目盛が一直線上にある点から0.1mm以下の値を確定(第2工程)して計測していた。第4の実施形態のノギスは、第1の基準線と第2の基準線との交点からなる本尺目盛が、1mm以下の目盛として機能し、該目盛と可動部の副尺線との交点から1mm以下の精度で計測できる。すなわち、第4の実施形態のノギスであれば、従来の第2工程を経ることなく、1mm以下の精度で計測可能である。
【0053】
図5〜図8を参照しながら、第4の実施形態について更に詳細に説明する。図5は、第4の実施形態のノギス100の全体図である。第4の実施形態のノギス100は、本体部101に第1の基準線104、第2の基準線105とを備えている点、可動部110に副尺線115とを備えている点以外は、従来のノギスの構成と同じであり、本体部101と可動部110とから構成される外側測定面120と内側測定面130とを備えている。
【0054】
図6は、本体部101の全体図である。本体部101には、本尺定規辺102を1cm間隔に等分割する本尺目盛103と、第2の実施形態と同様に第1の基準線104と、第2の基準線105とを備えている。つまり、第1の基準線104は本尺定規辺102に平行であり、第2の基準線105は本尺定規辺102と所定角度をなしている。本尺定規辺102は、平板状の側面の一辺であって、計測の基準となる直線である。第2の実施形態と同様に、第2の基準線105は2mm毎に平行に複数設けられており、第1の基準線104は第2の基準線105を10等分するように設けられている。第1の基準線104と第2の基準線105との交点は、0.2mmを示す副本尺目盛106となる。
【0055】
図7は、可動部110の全体図である。可動部110には、副尺定規辺112と、透明板117とを備える。副尺定規辺112は、本体部101と可動部110とを重ね合わせた際に本体部101の本尺定規辺102と平行となる直線である。透明板117は、本体部101の本尺目盛103と副本尺目盛106とが描かれた面上をスライドする平板上の透明板117である。
【0056】
透明板117は、内側測定面130の対となる部分のうち一つと副尺定規辺112とで挟むように配置されている。副尺定規辺112は、透明板117と外側測定面120の対となる部分のうちの一つとで挟むように配置されている。外側測定面120と、内側測定面130の構成は、従来のノギスと同じ構成であるので説明を省略する。
【0057】
副尺定規辺112付近には、目盛「0」の副尺目盛113が記されている。透明板117には、副尺目盛113の目盛「0」の位置に、副尺定規辺112と垂直となるように副尺線115が引かれている。可動部110は、本体部101の本尺定規辺102に対して副尺定規辺112が平行となるように、本体部101上をスライドする。なお、副尺目盛113の目盛「0」の位置は、外側測定面、内側測定面又は深さ測定用ディプスパー(不図示)を閉じたときに、本尺目盛103の目盛の「0」の位置と一致する位置である。また、副尺目盛113の目盛「0」は目盛「0」に限られるものではなく「▲」等位置を表すものであればよい。
【0058】
第4の実施形態のノギス100で目盛を読む方法について、図8を参照しながら説明する。図8は、外側測定面120で測定対象物(測定対象物は図面には記載していない。)を挟んだときのノギス100を拡大した図である。副尺線115と本尺目盛103または副本尺目盛106との交点から目盛を読む。第2の基準線102は2mm間隔毎に引かれているので、副尺線115と、本尺定規辺102から1本目の第1の基準線104との交点が、本尺目盛の4.2cmと4.4cmとの間にあることがわかる。次に、副尺線115が4.2cmの第2の基準線105の本尺定規辺102から3つ目の副本尺目盛106と交わるので、4.2cmに0.2mm×3=0.6mmを足した4.26cmであることがわかる。このように、第4の実施形態のノギスであれば、可動部110の副尺線115と、本体部101の本尺目盛103及び副本尺目盛106との交点を読むだけで1mm以下の精度で計測することができ、従来のノギスよりも簡易に目盛を読み取ることができる。
【0059】
(本発明の用途例)
本発明のスケールの用い方の一例を図9を参照しながら説明する。図面や以下の記述中で示す内容は、例示であって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0060】
本発明のスケールは、オートレベルで観測する際に用いると便利である。オートレベルとは、望遠鏡の視準線を水平に保つことによって、ある2点間の高低差を比較することができ、基準面からの各ポイントの高さを観測する機械である。なお、オートレベルの望遠鏡は左右にしか動かすことができず、高さは上下に動くエレベータ等で調節する。
【0061】
図8には、マーク201と、本発明のスケール202と、測定物203とが描かれている。測定物203から、マーク201の中心位置までの高さhをオートレベルにより計測する。スケール202は、定規辺と隣り合う目盛「0」近くの縁が測定物203の基準面に合うように配置されている。マーク201には、中心がわかりやすいように円と目盛と十字線が描かれている。
【0062】
オートレベルの望遠鏡を覗くと十字線が見える。この十字線の十字をマーク201の中心(十字)に合わせて、オートレベルの高さを合わせる。次にオートレベルをスケール202の方向に動かす。オートレベルは高さを保ちながら水平方向に動くので、望遠鏡の水平線の高さを保ったまま、スケール202上に視点を移動させることが可能である。そして、望遠鏡の水平線と、スケール202の副目盛との交点とを読むことで、高さhを1mm以下の精度で計測することが可能となる。
【0063】
なお、望遠鏡を左右方向と上下方向とに動かすことができるトランシットを用いた計測でも、本発明のスケールを用いると簡易に精度よく計測することが可能となる。
【0064】
本発明のスケールと、オートレベルまたはトランシットとを用いれば、基準マークや基準線に対して被据付機器の位置決めを精度良く行うことが可能となる。
【0065】
なお、「発明を実施するための形態」の副目盛は、「特許請求の範囲」の第1の目盛に、「発明を実施するための形態」の主目盛は、「特許請求の範囲」の第2の目盛に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1の実施形態のスケールの構成を示す正面図。
【図2】第1の実施形態のスケールの一部構成を拡大した正面図。
【図3】第2の実施形態のスケール構成を示す正面図。
【図4】第3の実施形態のスケール構成を示す正面図。
【図5】第4の実施形態のノギスの構成を示す正面図。
【図6】第4の実施形態のノギスの本体部の構成を示す正面図。
【図7】第4の実施形態のノギスの可動部の構成を示す正面図。
【図8】第4の実施形態のノギスでの測定方法を説明する図。
【図9】本発明のスケールで測定する方法の1一例を説明する図。
【図10】従来の構成のスケールを示す正面図。
【符号の説明】
【0067】
1:スケール、2:定規辺、3:第1の主目盛、4:第2の主目盛、5:補助線、6:副目盛、7:計測線、
111:スケール、12:定規辺、13:主目盛、14:第1の基準線、15:第2の基準線、16:第1の基準線と第2の基準線との交点、17:第3の基準線、
100:ノギス、101:本体部、102:本尺定規辺、103:本尺目盛、104:第1の基準線、105:第2の基準線、106:副本尺目盛、110:可動部、111:仮想長方形、112:副尺定規辺、113:副尺目盛、115:副尺線、117:透明板、
201:マーク、202:スケール、203:測定物、
301:従来のスケール、302:定規辺、303:第1の主目盛、304:第2の主目盛

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の側面を少なくとも一つ有するスケールであって、
前記平板状の側面の一辺であり計測の基準となる定規辺と、
該定規辺の所定間隔を複数に等分割するように前記定規辺に対して斜め方向に設けられた第1の目盛とを備えたことを特徴とするスケール。
【請求項2】
第1の目盛よりも広い間隔で前記定規辺を複数に等分割する第2の目盛を備え、第1の目盛は、第2の目盛の所定間隔を複数に等分割することを特徴とする請求項1に記載のスケール。
【請求項3】
前記定規辺と角度θ(0°<θ<90°)をなす補助線を備え、
第1の目盛は該補助線上に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のスケール。
【請求項4】
前記定規辺と平行で等間隔毎に複数設けられた第1の基準線と、
第1の基準線と所定角度θ(0°<θ<90°)で交わる第2の基準線とを備え、第1の目盛が第1の基準線と第2の基準線との交点であることを特徴とする請求項1または2に記載のスケール。
【請求項5】
一つの第2の基準線と複数の第1の基準線との交点が(n−1)個(n>1)設けられ、
第2の基準線の長さがL1、
一つの第2の基準線と複数の第1の基準線との交点がn個に等分割する前記所定間隔がL2のとき、
L1=L2/cosθ(0°<θ<90°)
が成立することを特徴とする請求項4に記載のスケール。
【請求項6】
平板状の側面を少なくとも1つ有し、この側面の一辺であり計測の基準となる定規辺と、
該定規辺と平行で等間隔毎に複数設けられた第1の基準線と、
第1の基準線と角度θ(0°<θ<90°)により交わる第2の基準線とを備え、一つの第2の基準線と複数の第1の基準線との交点で、前記定規辺の所定間隔L2を複数に等分割することを特徴とするスケール。
【請求項7】
前記定規辺を複数に等分割する第2の目盛を備え、
一つの第2の基準線と複数の第1の基準線との交点は、第2の目盛の所定間隔L2を複数に等分割することを特徴とする請求項6に記載のスケール。
【請求項8】
一つの第2の基準線と複数の第1の基準線との交点が(n−1)個(n>1)設けられ、
第2の基準線の長さがL1のとき、
L1=L2/cosθ
が成立し、前記所定間隔L2をn個に等分割することを特徴とする請求項6または7に記載のスケール。
【請求項9】
平板状の側面を少なくとも1つ有し、この側面の一辺であり計測の基準となる本尺定規辺と、
本尺定規辺の所定間隔を複数に等分割するように前記本尺定規辺に対して斜め方向に設けられた第1の目盛と、
第1の目盛よりも広い間隔で前記本尺定規辺を複数に等分割する第2の目盛とを有する本体部と、
副尺定規辺と、
透明部材よりなる透明板とを有する可動部と、
前記透明板には、外側測定面、内側測定面又は深さ測定用ディプスパーを閉じたときに、第2の目盛の「0」の位置と一致する位置に設けられ、副尺定規辺に対して垂直な副尺線とが設けられており、
前記可動部は前記本尺定規辺と前記副尺定規辺とが平行となるように本体部に対してスライドすることを特徴とするノギス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−244248(P2009−244248A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117845(P2008−117845)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】