説明

スケール付着を防止する方法

【課題】
飲料用水、工業用水などを用いる一過式あるいは循環式装置において、水に磁気処理することによりスケール防止方法を提供する。
【解決手段】
飲料用水又は工業用水の流速がある一過性水系または循環水系において、該水系の経路に磁束密度0.5T以上の磁場を作用させ、スケール生成物質を析出させて浮遊させるとともに、常時、流れの全部又は一部を濾過して、浮遊・析出物である前記スケール生成物質を除去することを特徴とするスケール付着を防止する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
飲料用水、工業用水などの用水を用いる装置の経路の一部に強磁場発生器を設置して、用水に含まれるスケール生成物質を除去しスケール障害を防止しる水処理技術の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スケール生成物の障害防止には化学薬品を用いる方法、微生物を用いる方法、物理処理を用いる方法など様々な方法が提案されている。
近年、化学薬品や微生物を用いた水処理方法は安全性などの問題から、物理処理による水処理技術が注目され、多くの水処理方法が市販されているが、効果や管理の問題でまだ十分な成果が出ているとは考えられない。
また、物理処理による水処理技術であっても、本発明者らによって、特許文献1に、実用上の再現性もある磁気利用によるスケール防止方法が提案されている。
なお、本発明者によって、磁気利用による防食技術も特許文献2に提案されている。
【特許文献1】特公平7−94039号公報
【特許文献2】特願2004−84884号
【0003】
従来の上記特許文献1には、用水に含まれるスケール付着防止には最適な磁束密度のあることを開示している。この先行技術は、用水中のスケール生成成分を磁気処理することにより、スケール付着を起こし難い性質に変化させてスケール障害を防止する方法であり、この方法では、スケールの付着率を非常に高い確率で防止できることを示しているが、完全に防止できる結果は示していない。
すなわち、極くわずかの付着であっても、スケールが付着してくると、それが成長して、いつかはスケール障害が発生することが、本発明者らによって判明した。この際、通常は、スケールが伝熱面に平均0.2〜0.5mm程度付着すると運転が不能となり、熱交換器の洗浄が必要になる。
【0004】
スケール付着防止方法には、前記のようなスケール生成成分を析出させない方法以外に、スケール生成成分を関与する系から除外する方法があり、主な方法としては、イオン交換樹脂、膜濾過法などがあるが、これらの設備を使用すると設備・管理などが複雑になったりコスト高になったり、あるいは、化学薬品を無視できない量を使用することになったりするなどの問題があるため改善が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたもので、その課題は、飲料用水、工業用水などを経路において、磁力のスケール生成成分の溶解による物理処理方法とスケール生成成分を系外に除去する方法を組み合わせ、簡単で経済的な優れたスケール障害の防止方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
クーリングタワー等を運転すると時間の経過と共に水が蒸発し水中に含まれる不純物が濃縮される。クーリングタワーで冷却された循環水は熱交換器で熱交換をして再びクーリングタワーに戻ってくる。循環水は循環の回数が増えるに従い少しずつ濁りが発生し、そして、濁りが増加するとスケールが発生する。
この濁りの発生は水の中に含まれている不純物の種類や濃度、循環水の温度や流速など様々な条件によって変化する複雑さを持っているが、スケールが付着してくると、それが成長して、いつかはスケール障害が発生することが判明した。
本発明は、この濁りをコントロールできれば、スケール防止が可能となることに着目した。
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、 飲料用水又は工業用水の流速がある一過性水系または循環水系において、該水系の経路に磁束密度0.5T以上の磁場を作用させ、スケール生成物質を析出させて浮遊させるとともに、常時、流れの全部又は一部を濾過して、浮遊・析出物である前記スケール生成物質を除去することを特徴とするスケール付着を防止する方法である。
請求項2の発明は、前記磁束密度0.5T以上の磁場が、磁束密度0.8T乃至1.2Tの磁場であることを特徴とする請求項1に記載のスケール付着を防止する方法である。
請求項3の発明は、前記浮遊・析出物の濾過は、全水量の一部であって、3%以上を濾過することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスケール付着を防止する方法である。
請求項4の発明は、飲料用水又は工業用水の流速がある一過性水系または循環水系において、分散剤、又は防食剤、又は防スライム剤、並びに、防スライム機器を併用したことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のスケール付着を防止する方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、飲料用水、工業用水などを経路において、磁力によって、逆に、スケール生成成分を析出させて浮遊させ、この浮遊物の全部又は一部を常に濾過して浮遊・析出物であるスケール生成成分を除去することで、長時間経過しても管内壁のスケール付着などのスケール障害が防止できるものである。
すなわち、スケール生成成分を浮遊させ溶解による物理処理方法と濾過というスケール生成成分を系外に除去する方法を組み合わせたことで、他の薬品等でも発生した付着スケールをも溶解除去することで、安心して使用でき、簡単で経済的な優れたスケール障害の防止方法である。
また、前掲特許文献2に開示したように、通過水流に磁束密度0.8T乃至2Tとした磁場を作用させて、腐食しやすい金属の腐食を防止することから、スケール防止作用の他に、用水の磁気防食作用も有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
先行技術である前掲の特許文献1では、工業用水を循環させて用いる装置の経路の一部に、通過水流を0.5m/sec以上に加速すると共に、高磁場におけるスケール防止を狙いとして、炭酸カルシウム及びケイ酸を主成分とした難溶性物質がスケールとして付着するのを防止する方法であるが、クーリングタワーを濃縮させながら運転すると時間の経過と共に水が蒸発し、循環水は少しずつ濁りが発生する。この濁りは磁気処理の方法によっても異なり、濁りによる浮遊・析出物は磁気処理をすると磁場の強さに比例して次のような形態変化を発見した。
すなわち、無処理や低磁場では難溶性物質が一般的なスケール状態の硬い固形物となる。しかし、磁場が少し高くなり、磁束密度0.5T(テスラ)(1テスラ=10000ガウス)以上の高磁場になると、スケール状態となってはいるが、強制的にスケールを発生させる為か、崩れやすい固形物が浮遊物状態に変化する。
【0010】
従来の無処理や低磁場での循環水の処理では、難溶性物質の比重が比較的重く、クーリングタワーなどのピットの底部に蓄積しブローでは除去できない固形物である。しかし、高磁場になると浮遊物の比重は軽くなり循環水の中で均等に分散して浮遊し、ブローによって系外に排出もできるように変化する。
すなわち、無処理や低磁場での循環水での難溶性物質の比重は約1.1〜1.2、柔らかといわれる炭酸カルシウム主成分の真珠でも硬度は2.5〜4.5を示し、素手ではつぶれない程度であるのに対して、磁束密度0.5T(テスラ)難溶性物質の比重は約1.0〜1.1、硬度は素手でつぶれるようになる程度であり、磁束密度1T(テスラ)難溶性物質の比重は約0.9〜1.0、硬度は素手で容易に微粉末にまで粉砕出来る程度であった。
【0011】
以上のことから、固体化しない浮遊・析出物を形成する最適磁場が磁束密度0.5T以上であれば、効率的なスケール防止効果が可能となることを知見し、その上で、高磁場の特定の範囲で固体化しない浮遊スケール生成成分の析出量が多くなり、その析出スケール生成成分が浮遊し崩れやすくなることから、これを濾過して除去すればよいことに想到した。すなわち、本発明者が提案した先行技術は特定範囲の高磁場でスケール自体を少なくする方法であるが、これとは逆に、強制的にスケール生成成分を析出させてこれを取り除くようにして、結論として、長期的には管内壁のスケール付着などのスケール障害が防止できることに想到した。
そこで、本発明者は、この浮遊スケール生成成分が析出する最適磁場の値を精力的に調査すると同時に、どの程度スケール生成成分を取り除けば継続してスケールが付着しないようになるかを実験し本発明に想到した。
【0012】
飲料用水や一般用水では、スケール形成の主成分となるイオンにはカルシウムイオン、マグネシウムイオン、炭酸イオン、イオン状シリカなどがある。
マグネシウムイオンは、カルシウムイオンに類似した性質を持つが、飲料水や用水中ではカルシウムイオンに比較して含有量が少ない。炭酸イオンは、空気中の二酸化炭素と平衡を保って溶存しているため、一般にはコントロールはし難い。イオン状シリカは、基本的に補給水以外からの補給はなく、コントロールがし易い。したがつて、代表として、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの加算値である全硬度とイオン状シリカについて調べた。
【0013】
(実施例)
[試験1]
このクーリングタワーで使用する給水(用水)は、地下水を使用した。この地下水の水質は、pH6.2、酸消費量(pH4.8)20 (mgCaCO3 /L)、塩化物イオン10(mgCl- /L)、全硬度 68(mgCaCO3/L)、硫酸イオン 23(mgSO42- /L)、イオン状シリカ 29(mg SiO2 /L)、全鉄 0.03(mg Fe /L)以下、電気伝導率 24.6(mS/m)であった。
試験機は、冷却能力7,800(kcal/h)、循環水量26(L/min)のクーリングタワーを用いて入口水37℃出口水温32℃になるよう熱交換器を入れてコントロールし、約7日実施した。磁気処理装置を通過する水はクーリングタワーのピットから取り入れ磁気処理後再びピットに戻すよう組み立てた。磁気処理装置を通過する処理水の流速は12(L/min)で行った。運転は、塩化物イオンが150(mgCl-/L)、200(mgCl-/L)になるように電気伝導率計を使用してブローを行ってコントロールした。なお実験結果は平均値を記した。
なお、電場の発生は、前掲特許文献1と同様に、磁場の強さと通過する水の速度に関係するので、あまりにゆっくりした速度では、スケール付着を防止する効果がなく、処理水の流速は0.5(L/min)以上が必要である。
【0014】
スケール障害は、循環水中で沈殿析出する量に比例するため、スケール防止には析出量予測が重要となる。しかし、水中には様々な物質が溶解しているため、それぞれの物質溶解性の他、物質間同志の相互作用も加わり単純にスケール付着量は予測できない。
しかし、一般的な予測析出量として次のような方法で予測する。補給水の中の成分が濃縮されても、沈殿や析出がなければ補給水の中に溶けている成分濃度は濃縮倍数に比例する。したがって、
(数式1)
析出量=補給水の濃度×濃縮倍数−循環水中の濃度
となる 。
濃縮倍数計算には、塩化物イオン濃度が、循環水の濃縮倍数に比例することを利用して、一般に循環水中の塩化物イオン濃度を補給水中の塩化物イオン濃度で割った値を使用する。
【0015】
以上の方法で、循環水中の塩化物イオン濃度と全硬度の関係から析出量が計算できるので、この値を「計算析出全硬度量(mgCaCO3/L)」とする。
ところで、クーリングタワー等の実機(実験装置でもある)運転による循環水中の塩化物イオン濃度を一定にして運転することは、非常に困難である。そのため、ある程度のばらつきは避けられない。しかし、塩化物イオン濃度が高くなるにつれ析出量は増加するので、析出する量を比較するには塩化物イオン濃度を一定にする補正が必要である。
そこで、補正方法として計算析出全硬度量を循環水中の塩化物イオン濃度で割った値を比較上の基準とし「計算析出全硬度量/Cl」とし(表1)に示した。
同じようにしてイオン状シリカについては「計算析出シリカ量/Cl」とした。
結果を(表1)に示した。
【0016】
(表1)

【0017】
上記の(表1)の平均計算による全硬度析出量・シリカ析出量の磁場依存性について、図1のグラフに示した。
図1のグラフから、全硬度・シリカ共に磁束密度1Tまでは増加し1Tで最大値を取り1.35Tまでは減少し、その後再び増加し、磁束密度1.5T以上では一定または減少傾向の値をとる。
このグラフから、磁束密度が0.5T〜2.0Tの磁場を作用させれば、全硬度で[計算析出全硬度量/Cl]が4.7以上で[析出シリカ量/Cl]が2.7以上であり、磁束密度が0.8T〜1.2T、1.5T〜1.7Tの磁場を作用させれば、全硬度で[計算析出全硬度量/Cl]が5.0以上で[計算析出シリカ量/Cl]が3.0以上であることが判り、析出量が最大となるのは磁束密度が1T付近である。したがって、磁束密度が1T前後の0.8T〜1.2Tで析出量が多く、より有効に作用することが判る。この結果は予測された傾向とほぼ同じ傾向を示した。
以上の結果から、スケール生成成分を除去するには、ほぼ1T付近の磁場強度で磁気処理することによって、強制的に溶解性の沈殿物を発生させ、その沈殿物を濾過して除去することにより、結果として、用水におけるスケール付着成分を除去し、スケールの付着を防止するようにした。
【0018】
なお、(表1)では、析出量の比となっているため数字の比較では効果が少ないように見えるが、計算沈殿量ではかなりの効果がある。ちなみに、1.0Tと1.35Tのイオン状シリカの計算析出シリカ量それぞれ714mgSiO2/L(3.4×Cl濃度実測値210mg/L=SiO2計算析出量713mg/L)、486mgSiO2/L(2.7×Cl濃度実測値180mg/L=SiO2計算析出量495mg/L)となる。この数字は、給水のイオン状シリカ濃度の29mgSiO2/Lと比較すると効果が明確である。スケール化は析出物の量に依存するので、このように大量に発生する析出物を除去できればスケール防止効果がかなり期待できる。
また、この試験の際、生成した難溶性物質の比重は、磁束密度0.5T、0.8Tの場合は約1.0、磁束密度1Tの場合は約0.9、磁束密度1.2T以上は概ね1.0であり、硬度も素手で容易に微粉末にまで粉砕出来る程度であった。これは、通常、無処理での難溶性物質での比重約1.1〜1.2に比べて小さく、硬度も低いものである。
【0019】
[試験2]
そこで、磁束密度0.5T〜2.0Tについて濾過装置を入れて、[試験1]と同じ装置で磁気処理を実施したところ、スケールの付着は見られず効果が確認された。
また、飲料水及び用水の濾過は全量濾過が望ましいことは当然であるが、濾過量を全量ではなく、一部にすれば経済的に有利であることから、クーリングタワーなどの循環系にあっては全保有水量に対して濾過する循環水の割合を変えてスケール付着状態を調べた。
試験方法は[試験1]に準じたが、その結果、濾過量を全保有水量の3(%)の時はスケールが僅かに付いたが、5(%)、10(%)にするとスケール付着は見られなかった。
以上の結果から、全量濾過でなくても、全保有水量の3(%)以上、好ましくは、5(%)以上を濾過すればスケール付着を防止できることが判った。したがって、全保有水量の10(%)以下、より好ましくは、15(%)以下でも十分であった。
しかも、使用する濾過器は市販の製品で十分対応が可能であり、析出物や浮遊物が除去できればよいことが判った。
【0020】
[試験3]
[試験3]の方法については、[試験1]の装置と同じであり、これまでの試験結果からスケール生成成分が除去できる方法が判ったが、スケール生成成分が除去できる有効なスケール生成成分濃度が不明である。
そこで、全硬度やイオン状シリカ濃度の値を調べるために、異なる濃縮度から析出傾向を算出して、析出開始濃度を予測した。予測方法は、数回の実験により塩化物イオンと析出量の関係を近似1次方程式に表す。この方程式を使用し析出量がゼロとなる塩化物濃度を求め、その塩化物濃度の時の全硬度やイオン状シリカを給水の塩化物イオン濃度と全硬度・イオン状シリカの関係から換算して算出する。なお、析出開始濃度は低い値が予想されるので、新たに塩化物イオン濃度で20(mgCl-/L)になるように濃縮倍数を制御して実験を行い、得られたデータを加えて算出した。
結果は(表2)、及び[図2]のグラフである。
【0021】
(表2)

【0022】
図2のグラフより、全硬度及びイオン状シリカのの析出開始濃度は、明確な磁場依存性は見られない。
スケール発生防止には、全硬度やイオン状シリカ濃度は低い方がよく、日本冷凍空調工業会ガイドラインでは循環水では少なくとも全硬度で200(mg/L)以下、イオン状シリカでは50(mg/L)以下にすることが奨励されている。ここで、濃縮されるはずの循環水のイオン状シリカ値について見てみると、補給水のイオン状シリカが30(mg/L)以下という数値からは意外に低い値を示している。しかし、シリカの溶解度は25℃で120(mg/L)あり、pHや温度が上昇すると溶解度も上昇すると同ガイドラインにも記されている。したがって、クーリングタワーの一般的な運転状態pH8〜9,循環水温度30〜40℃では更に溶解度が上昇しイオン状シリカ濃度が120(mg/L)以下では固体状析出が難かしいことが多い。
本実施例では、全硬度であれば、析出開始濃度が50〜80(mg/L)付近にあり、イオン状シリカでは20〜40(mg/L)付近にある。
例えば、1Tで磁気処理する場合は用水や循環水中の濃度が全硬度では61(mg/L)以上、イオン状シリカでは30(mg/L)以上の濃度になれば、析出物を濾過する方法で十分スケール防止効果が可能となる。
すなわち、全硬度やイオン状シリカ濃度が、本実施例では、200(mg/L)以下の低濃度であっても、高磁気装置と濾過装置を併用すれば十分にスケール防止効果が得られ、スケール防止効果が得られる成分濃度は、200(mg/L)以下でも、イオン状シリカでは20(mg/L)以上、望ましくは40(mg/L)以上、全硬度では50(mg/L)以上、望ましくは80(mg/L)以上あれば、浮遊・析出物を発生しスケール防止効果が得られる。
【0023】
(表2)の値は、多くの成分が溶解している一般用水や循環水に該当するが、イオン状シリカ濃度では、40(mg/L)以上あればイオン状シリカスケール生成成分の除去によるスケール防止効果が得られる。
全硬度では80(mg/L)以上あればスケール生成成分除去によるスケール防止効果が得られる。また、磁場が磁束密度0.5T〜2.0Tの範囲ではイオン状シリカでは40(mg/L)以上あればスケール防止効果がえられる。同じ範囲の全硬度では80(mg/L)以上あればスケール防止効果が得られる。
また、前掲の本発明者による特許文献2には、用水に用いる装置の経路の一部に、流速のある通過水流を使用するとともに、通過水流に磁束密度0.8T乃至2Tとした磁場を作用させて、腐食しやすい金属の腐食を防止することが開示されているが、当然のことながら、本実施例の磁束密度0.5T乃至2.0Tの範囲であることから、磁束密度0.8T乃至2Tの範囲に含まれ、本発明のスケール防止作用の他に、用水の磁気防食作用も有する。
【0024】
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されないことは勿論であり、例えば、この発明の効果を阻害しない限りにおいて、上述した実施例に、分散剤、又は防食剤、又は防スライム剤、並びに、防スライム機器を併用してもよい。
上記において、分散剤としては、高分子分散剤、リン酸系分散剤(リン酸塩,重合リン酸塩、ホスホン酸塩、ピロリン酸塩、リン酸エステル)、無機アルカリ剤等を用いればよく、防食剤としては、無機系防食剤(亜硝酸塩、無機アルカリ剤、モリブデン酸塩)、有機系防食剤(ヒドラジン、ホスホン酸塩)等を用いればよく、防スライム剤としては、ヒドラジン、塩素系殺菌剤、有機窒素系殺菌剤等を用いればよい。
また、防スライム機器としては、 紫外線殺菌、オゾン発生器、電気分解、セラミック製品等を使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のスケール方法は、磁気処理と濾過装置の組み合わせでのスケール防止だけでなく、防食効果も有することから、水に関する装置について産業界で幅広く応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明での実施例1の磁束密度と用水での計算析出量比との関係をグラフにした図である。
【図2】本発明での実施例2磁束密度と用水でスケール生成成分析出開始濃度の関係をグラフにした図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用水又は工業用水の流速がある一過性水系または循環水系において、該水系の経路に磁束密度0.5T以上の磁場を作用させ、スケール生成物質を析出させて浮遊させるとともに、常時、流れの全部又は一部を濾過して、浮遊・析出物である前記スケール生成物質を除去することを特徴とするスケール付着を防止する方法。
【請求項2】
前記磁束密度0.5T以上の磁場が、磁束密度0.8T乃至1.2Tの磁場であることを特徴とする請求項1に記載のスケール付着を防止する方法。
【請求項3】
前記浮遊・析出物の濾過は、全水量の一部であって、3%以上を濾過することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスケール付着を防止する方法。
【請求項4】
飲料用水又は工業用水の流速がある一過性水系または循環水系において、分散剤、又は防食剤、又は防スライム剤、並びに、防スライム機器を併用したことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のスケール付着を防止する方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−297346(P2006−297346A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126884(P2005−126884)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(592022268)平成理研株式会社 (1)
【Fターム(参考)】