説明

スケール

【課題】 ある直線に対して、所定角度で延びる直線の長さを簡単に計測することができるスケールを提供する。
【解決手段】 本発明のスケール20は、第1直線21の長さを計測するように配置して、第1直線21の一端から、第1直線21に対して少なくとも1つの所定角度αで延びる第2直線22の、第1直線21の他端から第1直線21に垂直に延びる直線と交差する点までの長さの計測を可能にする目盛り23を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1直線の長さを計測するように配置して、第1直線に対して所定角度で延びる第2直線の長さの計測を可能にするスケールに関する。
【背景技術】
【0002】
配管工事において、同一直線上にない筋違いとされた2つの配管を連通させるためには、エルボなどのL字形の連結部材と、連結用パイプとが使用される。エルボの曲がり部の長さは径によって決められているため、連結用パイプの長さは、2つの配管の芯間距離を計測し、それに角度に対応した係数を乗じ、上記2つのエルボの曲がり部の長さを差し引くことにより決定している。
【0003】
特に、プラント建設工事および建築設備配管工事においては、限られた場所に、塔や槽、反応器などを設置し、それらの間に配管を配設するため、また、基礎および建造物を構築し、壁板間、屋根裏、床下といった狭い空間に配管を配設するため、同一直線上にない筋違いとされた2つの配管が多数存在し、それらの配管を連通させるための連結用パイプが多数必要とされる。連通用パイプは、連通させる2つの配管ごとにその長さが決定され、製作される。連結用パイプの長さは、2つの配管の芯間距離を計測し、上記のようにして計算することにより決定しており、この方法では、時間がかかるといった問題があった。
【0004】
距離を計る定規と分度器を一体とし、収納および持ち運びを便利にした直線分度器定規が提案されている(特許文献1参照)。この定規は、距離目盛りについた定規本体の透明部に、穴を開け、2つの穴相互距離を2sin(角度/2)倍した直線角度目盛りをつけたことを特徴としている。しかしながら、この定規は、直線の長さと、直線上で角度の測定および角度の設定を行うことができるのみで、2つの直線の長さを1つの測定で得ることはできない。
【0005】
また、筋違い等の斜線取りを簡単な作業で行うことができるようにするため、筋違い用定規が提案されている(特許文献2参照)。この定規は、縦尺と、縦尺にスライド可能に組み付けられ、縦尺と直交する方向へ配設された横尺と、縦尺に回動可能に組み付けられ、横尺に交差可能な斜尺とを備え、少なくとも縦尺、横尺には同一目盛り幅の目盛りを記し、斜尺には回動基端部に斜尺と直交して配設された角度尺を固定的に設けたことを特徴とするものである。この定規は、斜尺に記されている目盛りを、横尺、斜尺の合わせ点で読むことで、筋違いの長さを得ることができる。
【0006】
しかしながら、この定規は、横尺、斜尺を位置合わせし、読みにくい斜尺に記されている目盛りを読む必要があり、計測操作が面倒である。配管は、45°で連結されるのが一般的であり、この45°の場合のみを計測できれば良いことが多い。したがって、簡単な計測で、任意の角度方向への距離、特に、45°方向への距離を簡単に得ることができるスケールや装置が望まれている。
【特許文献1】特開平8−142588号公報
【特許文献2】特開平8−068601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、第1直線の長さの計測で、第1直線に対して所定角度で延びる第2直線の長さを簡単に計測することができるスケールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明のスケールを提供することにより解決される。本発明の請求項1の発明によれば、第1直線の長さを計測するように配置して、前記第1直線の一端から該第1直線に対して少なくとも1つの所定角度で延びる第2直線の、前記第1直線の他端から該第1直線に垂直に延びる直線と交差する点までの長さの計測を可能にする目盛りを備えた、スケールが提供される。
【0009】
本発明の請求項2の発明によれば、前記スケールは、該スケールの長さ方向に対して垂直に延び、該スケールの長さ方向にスライド可能なガイド定規を備える、スケールが提供される。
【0010】
本発明の請求項3の発明によれば、前記スケールは、同一直線上にない第1の管および第2の管のそれぞれに当接させるための、反対方向に延びる2つの前記ガイド定規を備える、スケールが提供される。
【0011】
本発明の請求項4の発明によれば、前記第1の管および前記第2の管は、鋼管であり、前記スケールは、一端を固定するための磁石を備える、スケールが提供される。
【0012】
本発明の請求項5の発明によれば、前記スケールは、同一直線上にない第1の管と第2の管とを、曲がり部の長さが径によって決められた2つのL字形連結部材と連結用パイプとを用いて前記所定角度で斜めに連通させる場合の、前記連結用パイプの長さを計測するために用いられるものであり、前記第1の管および前記第2の管のいずれか一方の所定位置に合わせられる、2つの前記曲がり部の長さに対応して前記目盛りから離間された基準線をさらに備える、スケールが提供される。
【0013】
本発明の請求項6の発明によれば、前記スケールは、複数の前記径に対応する複数の前記基準線を備える、スケールが提供される。
【0014】
本発明の請求項7の発明によれば、前記スケールは、平面スケールまたは多面スケールであり、各面に、1つの前記径に対応する基準線と前記目盛りとを備える、スケールが提供される。
【0015】
本発明の請求項8の発明によれば、前記スケールは、円筒形または楕円筒形スケールであり、周囲に、前記複数の径に対応する基準線と、複数の前記目盛りとを備える、スケールが提供される。
【0016】
本発明の請求項9の発明によれば、前記スケールは、前記径に応じた複数の定規から構成され、前記径に応じて前記定規の幅が異なることを特徴とする、スケールが提供される。
【0017】
本発明の請求項10の発明によれば、前記スケールは、同一直線上にない第1の管と第2の管とを、曲がり部の長さが径によって決められた2つのL字形連結部材と連結用パイプとを用いて前記所定角度で斜めに連通させる場合の、前記連結用パイプの長さを計測するために用いられるものであり、前記第1の管および前記第2の管のいずれか一方の所定位置に合わせられる、2つの前記曲がり部の長さに対応して前記目盛りから離間された基準溝と、該スケールの長さ方向に対して垂直に延び、該スケールの長さ方向にスライド可能で、貫通孔を備えるガイド定規と、前記貫通孔を通して前記基準溝に挿入され、前記ガイド定規のスライドを抑止させるスライド抑止部材とを備える、スケールが提供される。
【0018】
本発明の請求項11の発明によれば、前記スケールは、前記角度に応じた複数の定規から構成される、スケールが提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明のスケールを提供することにより、配管工事において、同一直線上にない筋違いとされた2つの管の芯間距離を計測することで、それらの管を連通させるために必要とされる連結用パイプの長さを簡単に得ることができる。多数の筋違い箇所がある配管工事において、各箇所における計測時間が大幅に短縮でき、これにより、工期を短縮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を、以下に図面を参照して詳細に説明するが、本発明は、図面に開示される実施の形態に限定されるものではない。本発明のスケールを説明する前に、配管について図1を参照して説明する。図1には、同じ方向に向いて延びる第1の管10と、第2の管11とが示されている。しかしながら、第1の管10と第2の管11は、同一直線上にない筋違いとなっている。これらの管を連通させ、1つのラインを構築するため、L字形連結部材としてフランジ付きエルボ12、13がそれぞれに連結され、エルボ12、13間に、連結用パイプ14が連結される。これにより、流体を、第1の管10から、エルボ12、連結用パイプ14、エルボ13を通して、第2の管11へと、またはその逆方向へと流すことができる。一般に、この配管工事では、第1の管10および第2の管11がそれぞれ配設されており、第1の管10の中心と第2の管11の中心との間の芯間距離Lを、スケールを用いて計測し、その計測値からエルボ12、13間の距離を算出し、必要な長さの連結用パイプ14を製作し、連結用パイプ14を連結することによりラインを完成させている。なお、芯間距離Lは、第1の管10の水平方向の一方に向いた管壁から、第2の管11の同じ方向に向いた管壁までの距離と同じであり、現実には、この管壁から管壁までの距離を計測することにより、芯間距離Lを計測している。
【0021】
エルボには、90°エルボなど角度に応じたエルボがあるが、上記の場合、一般的に45°エルボが使用される。エルボは、曲がり部の長さa(エルボの中央からフランジが設けられている端部までの長さ)が、使用するエルボの径によって規格で決められている。エルボには、連結のために、図1に示すようにフランジが設けられたものや、ねじ溝が設けられたものなどがある。
【0022】
従来の方法では、芯間距離Lを計測した後、電卓などを使用してエルボ12、13間の距離を算出している。この方法は、このような筋違い箇所が多数存在する工事では時間を要し、計算ミスなどにより材料の無駄を生じ、工期を長引かせる結果を招く。そこで、本発明のスケールを提供し、簡単に、上記距離を得ることができるようにする。
【0023】
図2は、本発明のスケールの第1実施形態を示した図である。図2に示すスケール20は、第1直線21の長さを計測するように配置して、第1直線21の一端から、第1直線21に対して角度αで延びる第2直線22の、第1直線21の他端から第1直線21に垂直に延びる直線と交差する点までの長さの計測を可能にする目盛り23を備えている。
【0024】
図2に示す実施の形態では、目盛り23の目盛り幅は、1mm間隔で小目盛り、10mm間隔で大目盛りを刻んだ一般に使用されるスケールの1/√2倍、すなわち0.71倍とされ、0.71mm間隔で小目盛り、7.1mm間隔で大目盛りを刻んだ目盛り23とされている。なお、大目盛りに付けられる目盛り数値24は、上記一般に使用されるスケールと同様、0、10、20、…のように付けられている。
【0025】
スケール20は、鋼製、プラスチック製、竹製、木製とすることができる。また、スケール20は、必要な長さ、幅とすることができる。目盛り23は、目盛り線を刻むか、インクなどで目盛り線を引くなどして、スケール20に設けられる。目盛り23の大目盛りに付けられる目盛り数値24は、刻字するか、印字するなどして設けられる。この目盛り数値24は、数字の縁のみを黒色のインクなどを使用して記し、夜間でも使用可能なように、その数値の内部を、蛍光塗料を使用して塗りつぶしたものとすることもできる。また、数字の縁のみを刻字し、その内部を蛍光塗料で塗りつぶしたものとすることもできる。
【0026】
図2に示すスケール20には、0〜100までを表す目盛り23が1つのみ設けられているが、本発明のスケールは、異なる目盛り幅を有する目盛りを両面のそれぞれに備えていてもよいし、片側の面に目盛りを複数備えていてもよい。また、角度は、45°に限らず、30°、60°などいかなる角度であってもよい。なお、30°であれば、上記一般に使用される定規の√3/2倍、すなわち0.87倍、60°であれば、上記一般に使用される定規の0.5倍とされる。この異なる角度に対応するため、スケール20を、複数の定規から構成することもできる。この場合の各定規は、1つの角度に対応する目盛り23を備えるものとすることができる。以下、角度を45°として説明するが、本発明ではこれに限定されるものではない。
【0027】
図3は、実際に本発明のスケールを使用して計測し、配管工事を行っているところを例示した図である。配管工事では、同一直線上にない筋違いの第1の管10および第2の管11はそれぞれ、余長をもった長さに切断されている。第1の管10と第2の管11とを接続する接続ユニットを製作するため、まず、図3(a)に示すように、スケール20を、第1の管10と第2の管11との間の芯間距離を計測するように配置する。図3(a)に示すように、第2の管11に当接させて配置すると、第1の管10に当接せず、正確な長さを計測することができないため、ガイド棒30を用いることができる。ガイド棒30の一辺をスケール20の目盛りの零点に合わせ、ガイド棒30のその一辺を、第1の管10の、第2の管11に向いた管壁に位置合わせし、スケール20を第2の管11へと渡す。位置合わせされた第1の管10の管壁が向く方向と同じ方向に向いた第2の管11の管壁と、スケール20の目盛りとが一致する目盛り数値を読むことにより、点b、cで表される45°方向への第1の管10と第2の管11との間の距離Lを計算することなく得ることができる。エルボ12、13の曲がり部の長さaは、上述したように、径によって規格で決められており、この長さaに2を乗じ(エルボが2つあるため)、上記2点間の距離Lから差し引くことにより、簡単に、第1の管10と第2の管11との間に連結されるべき連結用パイプ14の長さを得ることができる。
【0028】
次に、得られた長さの連結用パイプ14を製作し、連結用パイプ14の両端にエルボ12、13をそれぞれ連結し、エルボ12、13および連結用パイプ14からなる接続ユニットを製作する。図3(b)に示すように、第2の管11に、フランジを取り付け、破線で示す第1の管10の余長Yを切断し、フランジを取り付ける。最後に、フランジが取り付けられた第1の管10と、フランジが取り付けられた第2の管11との間に、接続ユニットを配置し、接続ユニットを第1の管10および第2の管11に、ボルトおよびナットを使用して連結する。これにより、図1に示すような、筋違いの第1の管10と第2の管11とを接続ユニットで連結したラインを完成する。余長Yは、接続ユニットを第2の管11に連結し、第1の管10に押し当てることにより、接続ユニットの連結に不要な管長さとして決定される。
【0029】
図4は、本発明のスケールの第2実施形態を示した図である。図4に示すスケール40は、図2に示す目盛り23を備え、さらに、スケール40の長さ方向に対して垂直に延び、スケール40の長さ方向にスライド可能なガイド定規41を備えている。図4に示すガイド定規41は、スケール本体42の長さ方向に対して垂直に延びるガイド棒43と、スケール本体42を挿通させる2つの穴44とガイド棒43を挿嵌させる挿嵌孔45と目盛りを読むための窓46とを備え、スケール本体42をその長さ方向にスライド可能にさせる滑動部材47と、滑動部材47に設けられるねじ切りされた穴に螺合され、スケール本体42に当接して滑動部材47のスライドを抑止させるねじ48とを含む構成とされている。
【0030】
ガイド棒43は、末端43aが滑動部材47に収容されており、このガイド棒43の先端43bを、例えば、第1の管10の上記水平方向の一方に向いた管壁に位置合わせし、窓46を通して確認しながら、先端43bの一辺に連続する末端43aの一辺に目盛りの零点を合わせ、ねじ48でスライドを抑止させ、第2の管11に渡すように配置される。第2の管11の、第1の管10と同じ方向に向いた管壁の位置に合った目盛りを読むことにより、45°方向の第1の管10の上記管壁から第2の管11の上記管壁までの長さを得ることができる。上述したように、第1の管10および第2の管11に連結されるエルボ12、13のそれぞれの曲がり部の長さaは、エルボの径によって決められていることから、上記管壁間の長さから2つのエルボの曲がり部の長さを差し引くことにより、連結用パイプの長さを得ることができる。
【0031】
本発明においてガイド定規41は、目盛りの零点を合わせるために使用することに限られるものではなく、上記管壁間の距離を計測するためにガイド定規41を使用することもできる。
【0032】
図5は、本発明のスケールの第3実施形態を示した図である。図5に示すスケール50は、図4に示すガイド定規41が2つ設けられており、その2つのガイド定規51、52が互いに反対方向に延びるように設けられている。このスケール50は、一方のガイド定規51を、目盛りの零点を合わせるために使用し、他方のガイド定規52を、目盛りを読み取るために使用することができる。配管工事において、図1および図3に示すような筋違いとされた2つの配管は、それらの長さ方向に対して垂直となる方向から見て、重なり合った部分がないように、少ない余長をもって切断される。このような、2つの配管が、長さ方向にも、その長さ方向に対して垂直となる垂直方向にも離間している場合の、45°方向への長さを計測するために、図5に示すスケール50を採用することができる。
【0033】
図4および図5に示す実施形態では、ガイド棒と滑動部材とが別個のものとされているが、一体形成されていてもよい。ガイド定規は、必要に応じて必要な長さのものとすることもできるし、複数の長さものとして構成し、必要に応じて付けかえて使用することもできる。滑動部材は、スケール本体をスライドさせることができればいかなる構造であってもよい。滑動部材のスライドは、ねじを設けず、手で抑止してもよい。また、ねじおよびねじ穴は、スケール本体のいかなる面に当接するように設けられていてもよい。ガイド定規は、スケール本体と同様、鋼製、プラスチック製、竹製、木製のものとすることができる。
【0034】
図6は、本発明のスケールの第4実施形態を示した図である。図6に示すスケール60は、図2に示す目盛り23および目盛り数値24のほか、一端を固定するための磁石61を備えている。この磁石61は、図1および図3に示す第1の管10および第2の管11が鋼管である場合に、いずれかの管に着けて一端を固定することを可能にし、スケール60における計測を容易にする。本発明において磁石61は、一端を固定することができるものであればいかなる大きさ、形状であってもよい。また、硬質塩化ビニル管などのプラスチック管が使用される場合には、磁石61に代えて、粘着テープなどを使用して一時的に固定することができる。また、スケール60を鋼材から作製する場合、単に、磁石61を着けた構成であってもよく、この場合、2つの磁石61を着けた構成とし、1つの磁石を、第1の管とスケールの一端とを着けるために使用し、もう1つの磁石を、第2の管とスケールの他端とを着けるために使用することができる。
【0035】
図7は、本発明のスケールの第5実施形態を示した図である。図7に示すスケール70は、図1および図3に示すような同一直線上にない第1の管10と第2の管11とを、曲がり部の長さaが径によって決められた2つのエルボ12、13と連結用パイプ14とを用いて角度45°で斜めに連通させる場合の、連結用パイプ14の長さを得るために使用される。図7に示すスケール70は、目盛り71および目盛り71に付けられる目盛り数値72に加え、2つの曲がり部の長さaに対応して目盛り71から離間された基準線73を備えている。
【0036】
目盛り71および目盛り数値72は、スケール70に向かって右側に設けられ、基準線73は、目盛り71から離間して左側に設けられている。基準線73は、目盛り71と同様、刻むか、インクなどで線を引くなどして設けられる。本発明では、基準線73がエルボの径に対応するため、基準線73の周囲のいずれかの位置に、径サイズをインチで示した「3/4」などのように刻字または印字することができる。基準線73は、目盛り71の目盛り数値72が0を示す位置から、2つの曲がり部の長さaに対応する長さほど離間して設けられる。具体的には、2つの曲がり部の長さaに0.71を乗じて得た長さほど離間して設けられる。これにより、基準線73を一方の管の、例えば上記管壁に位置合わせし、他方の管の上記管壁に合った目盛り71を読むことで、直接、図1および図3に示す連結用パイプ14の長さを得ることができる。図7に示すスケール70を使用することにより、曲がり部の長さaを差し引く計算をしなくて済み、より簡単に連結用パイプ14の長さを得ることができる。なお、この図7を含め、以降、図面に基準線を示すが、この基準線は例示的に示したものであり、図面に示した基準線の目盛りからの距離は、2つのエルボの曲がり部の長さに対応した長さにはなっていない。
【0037】
図8は、本発明のスケールの第6実施形態を示した図である。図8に示すスケール80は、図7に示すスケール70と同様の、目盛り81、目盛り数値82、基準線83を備える構成であるが、基準線83が、エルボの径に対応して複数設けられている。エルボの曲がり部の長さaは、上述したようにエルボの径によって決められており、径が大きくなるにつれてその長さaも長くなる。配管工事では、異なる複数の径の管が使用され、管同士を接続するために使用されるエルボも、複数の径のものが使用される。したがって、スケールも、複数の径に対応できるものが好ましい。図8に示すスケール80は、このような複数の径に対応可能なものである。
【0038】
複数の基準線83は、エルボの径が大きくなるにつれて目盛り81から離れて設けられる。また、それぞれの基準線83の周囲の所定位置には、径を示す文字84が刻字または印字されている。図8に示す実施形態では、目盛り81に近隣するものから順に、「3/4」、「1」、「1−1/2」、「2」、「2−1/2」、「4」の文字84を記した基準線83が設けられている。文字84を、インチを表す数値で示しているが、小数表示であってもよい。
【0039】
図9は、本発明のスケールの第7実施形態を示した図である。図9(a)に一方の側から見たスケールを、図9(b)にその裏側となる他方の側から見たスケールをそれぞれ示す。図9(a)、(b)に示すスケール90は、目盛り91とスライド溝92とを備えるスケール本体93と、1つの共通零点94と各エルボの径に対応する基準零点95とを備え、スライド溝92に嵌合するスライド定規96とから構成されている。図9(a)、(b)に示すスケール90は、スケール本体93の一方の面に目盛り91が設けられ、その裏面となる他方の面にスライド溝92が設けられている。目盛り91は、図2に示す目盛り23と同様のものとされ、スライド溝92は、所定間隔で離間して設けられた2つのスライドレール92a、92bと、スライド定規96のスライドを停止させるストッパ92cとから構成されている。なお、共通零点94および基準零点95は、各エルボの径に対応する基準線を構成するものであり、スライド定規96上の線として表されている。
【0040】
また、スライド定規96は、スケール本体93の長さ方向にスライド可能とされ、目盛り数値0を示す目盛り91と、各エルボの径に対応する基準零点95とを位置合わせすることにより、共通零点94を、そのエルボの径に対応する基準線として計測することができる。
【0041】
図9(a)、(b)に示す実施の形態では、図9(a)に示すスライド定規96の一方の面、すなわちスケール本体93と同じ方向に向いた面に共通零点94が設けられていて、その裏面となる図9(b)に示す他方の面に各エルボの径に対応する基準零点95が設けられており、また、スライドレール92a、92bに目盛り数値0を示す目盛り線97が設けられており、上記目盛り91の代わりに目盛り線97と、基準零点95とを位置合わせすることができるようになっている。
【0042】
本発明においてスライド溝92は、スライド定規96の末端を収容するように、開口を備えた構造とすることもでき、この場合、開口を上記目盛り数値0の位置に合うように形成し、この開口とスライド定規96の基準零点95とを位置合わせすることができる。また、スライド定規96の同じ面に、共通零点94と各エルボの径に対応する基準零点95とを設け、スケール本体93の目盛り数値0を示す目盛り91に近隣して窓を設けた構成とし、その目盛り数値0を示す目盛り91と、窓を通して表示される基準零点95とを位置合わせすることもできる。さらに、本発明では、スライド定規96のスライドを抑止させるためのスライドロック機構を備えることもできる。このスライドロック機構としては、例えば、スケール本体93を貫通し、スライド定規96に延びるねじ穴と、そのねじ穴に通されるねじとから構成し、ねじをねじ穴に通し、スライド定規96に当接させることにより、スライドを抑止させることができる。また、スライドレール92a、92bに嵌合溝を設け、スライド定規96の各基準零点95に対応する位置に、その嵌合溝に嵌合する突起を設けた構成にすることもできる。本発明では、図1および図3に示す第1の管10および第2の管11が鋼管である場合、スライド溝92に嵌合されないスライド定規96の先端側に、図6に示す磁石61を設けることができる。
【0043】
図10は、本発明のスケールの第8実施形態を示した図である。図10に示すスケール100は、多面スケールとされている。図10に示す実施形態では、スケール100は、六面スケールとされ、6つの平面を備えている。スケール100の6つの平面の各々には、基準線と、目盛りと、目盛り数値とが設けられている。
【0044】
例えば、1つの平面101aには、エルボの径「3/4」に対応する基準線102aと、目盛り103aとが設けられ、その1つの平面101aの隣の平面101bには、エルボの径「1」に対応する基準線102bと、目盛り103bとが設けられ、さらに隣の図示しない平面には、径「1−1/2」に対応する基準線、目盛りが、その隣の平面には、径「2」に対応する基準線、目盛りが、というように異なる径に対応する基準線と、同じ目盛り幅の目盛りとが設けられる。エルボの径に応じて平面を選択し、基準線を位置合わせし、目盛りを読むことにより、位置合わせにおいて基準線を間違えることがなく、簡単に計測することができる。この場合も、基準線の周囲の所定位置に、エルボの径を表す文字が設けられる。
【0045】
図11は、本発明のスケールの第9実施形態を示した図である。図11に示すスケール110は、円筒形スケールとされている。図11に示す実施形態では、スケール110は、周囲に、複数の基準線111と、複数の目盛り112とが設けられている。複数の基準線111は、複数のエルボの径に対応しており、スケール110に向かって左側に基準線111が設けられ、右側に目盛り112が設けられている。
【0046】
1つの基準線111と、目盛り112とが対となっていて、その対が、円筒スケールの周囲にわたって、所定間隔で設けられている。基準線111に近隣した所定位置には、基準線111がどの径に対応するものであるかを示す文字113が設けられている。図11に示すスケール110を使用して計測する場合、管の径から、使用するエルボの径を得、その径から、文字113を基に、上記対を選択する。選択した対に含まれる基準線111を位置合わせし、目盛り112を読むことにより、連結用パイプの長さを得ることができる。
【0047】
図12は、本発明のスケールの第10実施形態を示した図である。図12に示すスケール120は、複数の定規121から構成される。各定規121は、互いに異なる1つの基準線122と、目盛り123とを備える。スケールを使用して長さまたは距離を計測する場合には、エルボの径によって使用する定規が異なるため、複数の定規の中からエルボの径を基に選択しなければならない。図8、図10および図11に示すスケールでは、基準線の周囲の所定位置に設けられる文字によって識別でき、使用すべき基準線および目盛りが選択される。図12に示す実施形態では、より簡単に識別できるように、エルボの径に対応する定規121の幅を変えている。
【0048】
具体的には、エルボの径「3/4」に対しては平面定規の幅を10mm、径「1」に対しては15mm、径「1−1/2」に対しては20mmといったように変えることができる。幅の相違を明確にするために、定規の幅は、互いに5mm以上異なることが好ましい。また、各定規121の縁部に穴124を設け、穴124にリング125を通すことにより、これら定規121を1組のスケールとして持ち運ぶことができる。
【0049】
これまで連結用パイプの長さを計測するために、基準線を備えるものとして説明してきたが、本発明では基準線に限られるものではなく、例えば、図13に示すように、基準溝を備える構成にすることもできる。図13は、本発明のスケールのさらに別の実施形態を示した図である。図13に示すスケール130は、図4に示すガイド定規41と同様の、ガイド定規131を備えているが、図7および図8に示す基準線73、83に代えて、スケール本体132に基準溝133を備え、ガイド定規131に貫通孔134が設けられ、図4に示すねじ48に代えて、基準溝133に挿入してガイド定規131のスライドを抑止させるスライド抑止部材135を備える構成とされている。
【0050】
基準溝133は、図13に示す実施の形態では円形で、スケール本体132の厚さの約半分の深さを有する溝とされているが、矩形などいかなる形状および深さの溝であってもよい。貫通孔134は、基準溝133と同じ形状とされ、スライド抑止部材135は、貫通孔134を通して基準溝133に挿入することができ、かつガイド定規131がスライドしないように抑止させることができるよう、同じ形状とされ、基準溝133に挿嵌する大きさとされる。
【0051】
図13に示すスケール130を使用して計測する場合、まず、エルボの径に対応する基準溝133と、ガイド定規131に設けられた貫通孔134とを位置合わせし、スライド抑止部材135を、貫通孔134を通して基準溝133に差し込み、挿嵌する。これにより、基準溝133の位置でガイド定規131のスライドを抑止させることができる。ガイド定規131を一方の管の所定方向に向く管壁に位置合わせし、他方の管にスケール本体132を渡すように配置する。他方の管の、上記方向と同じ方向に向いた管壁に合った目盛りを読み、45°方向への長さを計測する。
【0052】
これまで、本発明のスケールを、図面を参照して詳細に説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、スケールを、巻き尺によって構成し、その巻き尺の両面に目盛りを設け、一方の面にエルボのある径に対応する基準線と目盛りとを、他方の面に別の径に対応する基準線と目盛りとを設けることもできる。また、巻き尺の先端に、上記スライド定規を設けた構成にすることもできる。平面スケールは、図2に示すスケールのほか、三角スケール、四角スケールなどとし、各辺に目盛り、基準線を設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】配管を例示した図。
【図2】本発明のスケールの第1実施形態を示した図。
【図3】図2に示すスケールの使用例を示した図。
【図4】本発明のスケールの第2実施形態を示した図。
【図5】本発明のスケールの第3実施形態を示した図。
【図6】本発明のスケールの第4実施形態を示した図。
【図7】本発明のスケールの第5実施形態を示した図。
【図8】本発明のスケールの第6実施形態を示した図。
【図9】本発明のスケールの第7実施形態を示した図。
【図10】本発明のスケールの第8実施形態を示した図。
【図11】本発明のスケールの第9実施形態を示した図。
【図12】本発明のスケールの第10実施形態を示した図。
【図13】本発明のスケールのさらに別の実施形態を示した図。
【符号の説明】
【0054】
10…第1の管
11…第2の管
12、13…エルボ
14…連結用パイプ
20、40、50,60、70、80、90、100、110、120、130…スケール
21…第1直線
22…第2直線
23、71、81、91、103a、103b、112、123…目盛り
24、72、82…目盛り数値
30、43…ガイド棒
41、51、52、131…ガイド定規
42、93、132…スケール本体
43a…末端
43b…先端
44、124…穴
45…挿嵌孔
46…窓
47…滑動部材
48…ねじ
61…磁石
73、83、102a、102b、111、122…基準線
84、113…文字
92…スライド溝
92a、92b…スライドレール
92c…ストッパ
94…共通零点
95…基準零点
96…スライド定規
97…目盛り線
101a、101b…平面
121…定規
125…リング
133…基準溝
134…貫通孔
135…スライド抑止部材
a…曲がり部の長さ
L…距離
Y…余長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1直線の長さを計測するように配置して、前記第1直線の一端から該第1直線に対して少なくとも1つの所定角度で延びる第2直線の、前記第1直線の他端から該第1直線に垂直に延びる直線と交差する点までの長さの計測を可能にする目盛りを備えた、スケール。
【請求項2】
前記スケールは、該スケールの長さ方向に対して垂直に延び、該スケールの長さ方向にスライド可能なガイド定規を備える、請求項1に記載のスケール。
【請求項3】
前記スケールは、同一直線上にない第1の管および第2の管のそれぞれに当接させるための、反対方向に延びる2つの前記ガイド定規を備える、請求項2に記載のスケール。
【請求項4】
前記第1の管および前記第2の管は、鋼管であり、前記スケールは、一端を固定するための磁石を備える、請求項3に記載のスケール。
【請求項5】
前記スケールは、同一直線上にない第1の管と第2の管とを、曲がり部の長さが径によって決められた2つのL字形連結部材と連結用パイプとを用いて前記所定角度で斜めに連通させる場合の、前記連結用パイプの長さを計測するために用いられるものであり、前記第1の管および前記第2の管のいずれか一方の所定位置に合わせられる、2つの前記曲がり部の長さに対応して前記目盛りから離間された基準線を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスケール。
【請求項6】
前記スケールは、複数の前記径に対応する複数の前記基準線を備える、請求項5に記載のスケール。
【請求項7】
前記スケールは、平面スケールまたは多面スケールであり、各面に、1つの前記径に対応する基準線と前記目盛りとを備える、請求項6に記載のスケール。
【請求項8】
前記スケールは、円筒形または楕円筒形スケールであり、周囲に、前記複数の径に対応する基準線と、複数の前記目盛りとを備える、請求項6に記載のスケール。
【請求項9】
前記スケールは、前記径に応じた複数の定規から構成され、前記径に応じて前記定規の幅が異なることを特徴とする、請求項6に記載のスケール。
【請求項10】
前記スケールは、同一直線上にない第1の管と第2の管とを、曲がり部の長さが径によって決められた2つのL字形連結部材と連結用パイプとを用いて前記所定角度で斜めに連通させる場合の、前記連結用パイプの長さを計測するために用いられるものであり、前記第1の管および前記第2の管のいずれか一方の所定位置に合わせられる、2つの前記曲がり部の長さに対応して前記目盛りから離間された基準溝と、該スケールの長さ方向に対して垂直に延び、該スケールの長さ方向にスライド可能で、貫通孔を備えるガイド定規と、前記貫通孔を通して前記基準溝に挿入され、前記ガイド定規のスライドを抑止させるスライド抑止部材とを備える、請求項1に記載のスケール。
【請求項11】
前記スケールは、前記角度に応じた複数の定規から構成される、請求項1〜10のいずれか1項に記載のスケール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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