説明

スタイラス、スタイラスを用いたユーザ入力装置、ユーザ入力装置を含むシステム及び方法

本発明は、スタイラスが面(122、422)に十分に接触するとき、発光ビーム(B、B’)の特性を急激に変化させるように構成される発光スタイラス(110、201、230、240、310、340)を提供する。光ビーム(B、B’)における急激な変化は、光感知検出器(430)のアレイによって検出可能であり、光ビームが入力面(122、422)を透過するとき、この光感知検出器を用いて、光ビーム(B、B’)の位置を決定することができる。スタイラス(110、201、230、240、310、410)が入力面(122、422)に接触しているとき、検出器(430)は、発光における急激な変化を検出し、スタイラスホバーモードからスタイラスタッチダウンモードへの変化を信号で伝えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光スタイラスおよびユーザ入力装置における発光スタイラスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチセンサは、ユーザにとって電子システム、通常、情報を表示するためのディスプレイを備える電子システムと直観的に対話するためのますます普及している方式となりつつある。多くの用途では、情報はタッチ感知領域を通じて表示され、その結果、ユーザは表示された情報と直接対話するように見える。入力装置の技術に応じて、ユーザは、指または何か別のタッチ器具、たとえばスタイラスなどを用いた装置と対話してもよい。スタイラスが用いられるとき、(たとえば、携帯情報端末または他の携帯型装置における抵抗型タッチスクリーンと共に用いられるもので代表されるような)受動オブジェクトであってもよく、(シグネチャキャプチャ装置と共に用いられるもので代表されるような)能動オブジェクトであってもよい。能動スタイラスは、送信であろうと受信であろうとその両方であろうと、タッチ位置または他の情報を決定するために、入力装置と信号を通信することができる。能動スタイラスとしては、無線周波数信号を送信または受信するもの(RFペン)、電磁誘導信号キャプチャのために磁界を用いるもの(電磁誘導ペン)および発光または受光を行うもの(光ペン)が挙げられる。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、光感知型ユーザ入力装置と共に用いるためのスタイラスを提供する。スタイラスは、先端が入力装置の入力面と接触しないときには、スタイラスの先端を介して光ビームを発するように構成される発光装置を有し、光ビームは、スタイラスの先端が入力面に十分に接触するときには、急激に変化する特性を有し、光ビームの急激な変化は光感知型ユーザ入力装置によって検出可能である。
【0004】
本発明はまた、入力装置の入力面を通って透過される光を検出するために配置された複数の光センサと、先端が入力面に接触しているかどうかに関係なく、先端を介して光ビームを発するように構成され、光ビームがセンサによって検出可能な、スタイラスと、センサに連結され、基準面における光ビームの位置を決定するように構成される電子機器とを有する入力装置を提供する。先端が入力面に接触するとき、光ビームの特性はセンサによって検出可能な態様で急激に変化する。本発明はまた、そのような入力装置の入力面を介して見ることができる情報を表示するように配置された電子ディスプレイを有するシステムを提供する。
【0005】
本発明はさらに、光ビームを発するための発光スタイラスおよび入力装置の入力面を通って透過される光を検出するために配置された複数の光センサを有する入力装置の使用方法を提供する。方法は、スタイラスが入力面に接触していないときに光ビームを検出し、スタイラスが入力面に接触しているときに光ビームを検出し、スタイラスが入力面に十分に接触しているときに光ビームの特性を急激に変化させ、光ビームの急激に変化する特性を検出する、ことを有する。
【0006】
本発明の上記の概要は、本発明のそれぞれ開示された実施形態またはすべての実装例について記載することを意図しているわけではない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態をさらに詳細に具体化している。
【0007】
本発明は、添付図面と共に、本発明の種々の実施形態に関する以下の詳細な説明を検討すれば、より完全に理解される。
【0008】
本発明は種々の修正および代替の態様に適用可能であるが、その仕様が図に一例として示され、詳細に説明される。しかし、記載された特定の実施形態に本発明を限定するわけではないことを理解すべきである。逆に言えば、本発明の精神および範囲に包含されるすべての修正物、等価物および代替物を網羅することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、発光スタイラスと、たとえばユーザ入力装置として、光学位置ディジタイザと共に発光スタイラスを用いることに関する。本発明によれば、スタイラスの先端が入力面と接触中であるか否かに基づき、発光ビームの特性を変化させることができる。使用に際して、スタイラスは、センサのアレイによって検出可能な光のビームを発することができる。センサを用いて、基準面における光ビームの位置、例えば入力面における光ビームの位置を決定することができる。スタイラスが入力面に接触していないときには、光ビームは一定の検出可能な特性を呈する。スタイラスが入力面に接触しているときには、光ビームの1つ以上の特性が、センサによって検出することができる態様で急激に変化する。したがって、ユーザ入力システムは、入力面の上でホバーしているか、または入力面と接触しているかのいずれに応じて、光ビームの位置のほかに、スタイラスの状態を決定することができる。
【0010】
動作の異なるモードを表すため、異なる機能を選択するためなどに、ホバー情報または接触情報を用いることができる。たとえば、ホバーモード(スタイラスが入力面と接触していない)にあるときには、発光ビームを用いて、カーソルを移動したり、アイコンを反転表示したり、メニューアイテムにチェックマークを付けたりすることができる。ユーザがシステムにホバーモード中に反転表示したアイテムに関連する機能を実行させたい場合には、反転表示されたアイテムの位置にある入力面とスタイラスを接触させることができる。別の例として、シグネチャキャプチャまたは紙上のインクペンを用いる場合を模擬する別の特定の機能のために、接触モードを用いることができる。一部の実施形態において、入力面がスタイラスと接触しているかどうかに関係なく、光センサのアレイによって検出可能な態様で光ビームの特性を変化させることができるように、スイッチをスタイラスに設けることができる。この補助スイッチを用いて、入力面とスタイラスの接触によって選択されるものと同一の動作機能または異なる動作機能を選択することができる。補助スイッチは、ビームの入/切機能の制御、左または右のマウスボタンのクリック動作の表示などを行うことができる。多くの実施形態では、発光スタイラスと、入力面を介してみることができる電子ディスプレイを備えた入力装置と、を連結することが望ましい場合もある。
【0011】
図1(a)は、先端112を介して光ビームBを発するように構成された発光スタイラス110を示す。光ビームBは、入力面122に向けられることができる。入力面122に関連する光センサのアレイ(図示せず)によって、光ビームを検出することができる。たとえば、入力面122を透過する光を感知するために、光センサを配置することができる。入力面122が層120からなる面である場合には、層120の中に光センサを埋設することができるか、または層120の反対側の面124上に光センサを配置することができるか、または入力面122がスタイラス110とセンサとの間に介在されるように、任意の他の態様で光センサを設けることができる。たとえば、光センサは、電子ディスプレイの一部として形成されることができ、層120は、そのようなディスプレイの層またはそのようなディスプレイの上に(接触していようと離れていようと)配置される層であってもよい。スタイラス110が入力面122を介して光を発しており、かつ入力面に接触していないときには、スタイラスは、「ホバー(hover)」モードにあると言うことができる。
【0012】
図1(b)は、スタイラスの先端112が入力面122に接触中である場合の同一の発光スタイラス110を示す。スタイラスの先端112が入力面122(または任意の他の面)に接触しているとき、発光ビームの特性が急激に変化する。変化した光ビームはB’で表す。先端に連結され、面と先端との十分な接触によって作動されるスイッチ機構を用いて、光ビームにおける急激な変化を作動することができる。光ビームB’は、図1(a)の光ビームBと同様の態様で光センサのアレイ(図示せず)によって検出されるため、入力面122を透過することができる。スタイラス110が入力面122を介して発光しており、かつ入力面に接触しているときには、スタイラスは、「インキング(inking)」モードにあると言うことができる。
【0013】
先端112が入力面122と接触しているときに現れる光ビームに対する変化は、ホバーモードとインキングモードとの間を区別するために、光センサによって検出可能な別個の急激な変化である。急激な変化は、非平行ビーム源が入力面の真上から入力面に接触するまで移動するときの検出器の平面におけるビーム幅の差などの滑らかで連続的に徐々に増える変化とは区別される。先端が面に接触するときに変化することができる発光ビームの特性としては、たとえば、光ビーム強度(たとえば、より高い強度、より低い強度、異なる断面の強度プロファイルなど)、光ビーム波長(たとえば、ある色から別の色へ、より狭い帯域の波長からより広い帯域の波長へなど)、光ビームの拡がり(たとえば、平行ビームから拡がるビームへ、スポットサイズにおける変化など)、光ビームの変調(たとえば、ビームの周波数変調、デューティーサイクルの変化または変調ビームのパルス幅など)、光ビームの偏光または配向などが挙げられる。光センサは、急激な変化(たとえば、強度、動作周期、ビーム幅などにおける変化)を直接検出することができてもよく、または急激な変化の検出可能な影響(光ビームと検出器との間に偏光子またはカラーフィルタを用いるシステムでは、ビームの偏光または色における急激な変化がビーム強度の検出可能な変化を結果として生じることができる)によって、間接的に急激な変化を検出することができてもよい。
【0014】
任意の数の機構を用いて、面とスタイラスの接触時の光ビームの検出可能な急激な変化を生成することができる。機構の種類は、生成されることになっている変化に左右されうる。たとえば、電子機器によって変化を生成することができる場合には、電子スイッチをスタイラスの先端に接続し、面にスタイラスの先端が接触すると、ある発光状態から別の発光状態に装置が切り替わるようにすることが望ましい場合もある。別の例として、光学素子によって変化を生成することができる場合には、スタイラスの先端にレンズまたはアパーチャを構成し、面にスタイラスの先端が接触すると、光源とレンズまたはアパーチャとの間の距離を変化させ、それによって、検出可能な態様でビームの拡がりを変化させることが望ましい場合もある。別の例として、機構は、アパーチャサイズ、カラーフィルタまたは偏光フィルタの状態または類似のものを変化させる機械スイッチであってもよい。
【0015】
本発明において有用な発光スタイラスは、任意の適切な形態をとることができ、人間の手によって簡単に保持し手操作することができることが望ましい。発光スタイラスは一般に、スタイラスの先端を画定するアパーチャ、レンズ、光導体、光ファイバまたは類似のものによって光を発するように配置される発光ダイオード(LED)などの発光装置を収容するハウジングを備える。本発明において、スタイラスが入力面を接触するときに、ホバーモードとインキングモードとを区別するために、光センサのアレイによって検出可能な態様で、発光ビームの特性を急激に変化させる信号を出すため、または発光ビームの特性の急激な変化を制御するために用いられるスイッチまたは何か別の機構に先端が連結される。本発明の発光スタイラスはまた、たとえば、光ビームの入切切替を行うため、先端スイッチを作動させることなく、光ビームの特性を変化させるためなどの光ビームを手動制御するために、ユーザがアクセスしやすいスイッチを組み込むことができる。本発明の発光スタイラスに適切に実装しうるいくつかの構成要素を有する光ペンの例は、以下の公報、すなわち米国特許出願公開第2003/0122749号明細書、国際公開第03/058588号パンフレット、国際公開第03/071345号パンフレット、米国特許第6,600,478号明細書、米国特許第6,337,918号明細書、米国特許第6,377,249号明細書、米国特許第6,404,416号明細書、米国特許第5,600,348号明細書、米国特許第5,838,308号明細書、特開平10−187348号公報、特開平10−283113号公報、特開昭58−086674号公報、特開昭60−198630号公報、特開昭60−200388号公報、特開昭61−006729号公報、特開昭61−075423号公報、特開昭61−122738号公報、特開昭62−092021号公報、特開平7−028584号公報に開示されている。
【0016】
本発明のスタイラスによって発せられる光ビームは、入力面を通って透過される光を感知するように構成された光感知検出器のアレイによって検出されることができる。いずれの検出器が発光を感知するかを知ることによって、入力面または他の基準面における光ビームの位置を決定することができる。したがって、電子システムまたはディスプレイの種々の機能を位置情報と関連付けることによって、ユーザ入力装置として、発光スタイラスおよび検出器のアレイを用いることができる。光感知検出器の具体的なアレイはフォトダイオードのアレイであり、それらのフォトダイオードは、以下の公報、すなわち国際公開第03/071345号パンフレット、米国特許第6,337,918号明細書、米国特許第5,838,308号明細書、特開平10−187348号公報、特開平10−283113号公報、特開昭58−086674号公報、特開昭60−198630号公報、特開昭60−200388号公報、特開昭61−006729号公報、特開昭61−075423号公報、特開平11−282628号公報および特開2003−66417号公報に開示されている。他の適切な光検出器のアレイとしては、国際公報国際公開第03/058588号パンフレットに開示されている有機エレクトロルミネッセントディスプレイ(OLED)が挙げられる。OLED装置は、発光のほかに、光も検出することができる。国際公開第03/058588号パンフレットに開示されているように、OLED装置の発光機能および検出機能を適切に調節することによって、ディスプレイピクセルは、表面上は同時に2つの機能を行うことができる。したがって、既存のOLEDディスプレイに新たな電子機器を取り付けて、既存のディスプレイを二重機能ディスプレイおよび入力装置に改造することが可能である。また、アクティブマトリックス液晶ディスプレイ(AMLCD)に既に設けられているピクセルトランジスタを用いて、光を検出することができる。たとえば、発光スタイラスは、好ましくは、スタイラスによって発せられる光を周辺光から区別することができるように変調された発光を用いて、AMLCDのピクセルトランジスタに光誘起電流を生成しやすい光の波長を発するように構成されることができる。本発明は、これらの光検出器アレイおよび任意の他の適切な光検出器アレイを考慮する。光検出器アレイは、ユーザ入力システムに連結する個別の装置として設けられてもよく、ユーザ入力システムにおける個別の層として設けられてもよく、またはディスプレイ装置の一体部分として設けられてもよい。光検出器がLCDなどのディスプレイ装置に組み込まれる場合には、ピクセル領域の減少がほとんどないか、全くないようにするために、ブラックマトリックスによって覆われる領域の中にそのような検出器を配置することが望ましい場合もある。そのような場合には、光が光検出器に達することができるように、ブラックマトリックスのアパーチャを光検出器と一直線を成すように形成することが望ましい場合もある。ブラックマトリックスのパターン形成中に、これを行うことができる。
【0017】
ディスプレイがカラーフィルタに組み込まれる実施形態では、光検出器のアレイと合わせて、カラーフィルタを用いることができれば好都合である。たとえば、光検出器がLCDの青色フィルタを透過する光を受光するように配置された場合には、青色フィルタによって透過される波長帯の光のみ(または大部分)を発するスタイラスからの発光を用いることが可能である。周辺光が含んでいる青色光は比較的低い強度レベルであるため、スタイラスによって発せられる青色光のみの検出により、雑音の低減のために、信号対雑音比を増大させることができる。他の用途では、カラーフィルタを用いて、ホバーモードとインキングモードを区別することができる。たとえば、1組のカラーフィルタによって透過される光(たとえば、青色)を感知するように、光検出器のあるアレイを配置し、別の組のカラーフィルタによって透過される光(たとえば、赤色)を感知するように、光検出器の別のアレイを配置することができる。スタイラスが入力面に接触していないときには、スタイラスは、青色フィルタに後置される検出器によってのみ検出される青色光を発することができる。スタイラスが入力面に接触しているときには、赤色フィルタに後置される検出器によってのみ検出される赤色光を発することができる。他の組み合わせもまた、用いることができる。そのような目的のために、たとえば、カラーフィルタではなく、偏光フィルタを用いて、信号対雑音比の増大またはスタイラスのモードの区別を行うために、他のフィルタを利用する類似の構成もまた、用いることができる。カラーフィルタのように、OLED装置を用いて波長を識別することができることもまた、留意すべきである。特定の色の光を発するOLED装置もまた、吸収する対応波長でさらに効果的である。したがって、OLED装置が検出器アレイとして用いられるとき、信号対雑音比を増大させるため、または1つ以上のスタイラスによって発せられる光を区別するために、OLED装置を用いることができる。
【0018】
図2(a)〜図2(c)は、本発明によるスタイラスによって発せられる光ビームの特性を急激に変化させるための機構の一部の非限定実施例を概略的に示す。図2(a)は、任意の適切なスタイラス形状を用いることができるが、ペンの形状に設けられるハウジング210を備える発光スタイラス201の一部を示す。ハウジング210は、光導波路214を介して光を発するように構成される発光装置212を入れる。光導波路214はハウジングの開口部を通って突出し、光導波路の突出部分は発光スタイラスの先端として作用する。先端から発せられる光は、光のビームとして出てくる。ハウジング210はまた、ばね機構およびスイッチ機構を備えるスイッチアセンブリを入れる。ばね機構は、光導波路214の周囲に巻きつけられるばね216を備える。ばね216は、ハウジング210の内部に装着される第1の静止ばね止め224と、光導波路に装着される第2のばね止め226と、に対して押し付けられる。先端が面と接触していないとき、光導波路に装着される電極222は第1のスイッチ電極218と係合し、ばね216の作用により接触を維持する。これにより、発光装置212が一定の集合の特性を有する光を発するようにさせる第1の回路が完成する。先端が面と接触しているとき、電極222が第2のスイッチ電極220と係合するように、先端はハウジングの中で押し戻される。これにより、発光装置212が光検出器アレイによって識別可能な異なる集合の特性を有する光を発するようにさせる第2の回路が完成する。たとえば、スイッチ電極218を備える回路は、スイッチ電極220を備える回路とは異なる抵抗器を備えていてもよく、それによって、光ビームの強度を変化させる。スイッチ機構はまた、光ビームの変調、光ビームの色などに影響を及ぼしてもよい。別の例として、2つ以上の発光装置を用いることができ、先端スイッチが1つまたは複数の装置を作動させるように制御する。
【0019】
図2(b)は発光スタイラス230の2つの図を示しており、上図はスタイラスが面と接触していないときの先端位置を示し、下図はスタイラスが面と接触しているときの先端位置を示す。スタイラス230は、光導波路232を通って光を発するように構成された発光装置238を備える。アパーチャ234は、スタイラスの先端を形成し、アパーチャの出口と光導波路の端部との間の距離に基づき、光導波路の端部から発せられる光ビームの拡がりを制御する。図示されているように、先端が面と接触していないとき、アパーチャの出口は光導波路の端部からさらに遠くなり、より狭いビームの拡がりBを生じる。先端が面と接触しているとき、アパーチャの出口は光導波路の端部にさらに近くなり、より広いビームの拡がりB’を生じる。ばね239を用いて、圧力が先端に印加されていないときのホバーモードのアパーチャ位置を維持し、面との接触時にはアパーチャを光源にさらに近い内側に移動することができる。
【0020】
図2(c)は、同一の発光スタイラス240の2つの図を示しており、下図はスタイラスが面と接触していないときの先端位置を示し、上図はスタイラスが面と接触しているときの先端位置を示す。スタイラス240は、光導波路242を通って光を発するように構成された発光装置245を備える。シリンダ246が光導波路の先端付近に配置され、シリンダは光ビームBを発するように配置されたレンズ248を収容する。シリンダ246は、ばね248からの推進の助けによって、スタイラスの内外で可動である先端を形成する。示された図では、先端が面と接触していないとき、シリンダ246は完全に伸び、比較的集束された平行ビームの光Bを形成するレンズ位置となる。先端が面と接触しているとき、シリンダ246は押し込まれ、ビームB’によって示されているように、レンズ248に光ビームを拡げさせる。
【0021】
図3は、先端スイッチ(図示せず)が作動しているかどうかに関係なく、発光ビームBを作動するか、または発光ビームBの特性を変化させるための側面スイッチ320または補助スイッチ320を備える発光スタイラス310を示す。側面スイッチは、電気接点の形成または遮断を行う圧力作動式スイッチであってもよく、信号を生じる。信号は、スタイラスのビームにおける変化、たとえば、ビーム強度、変調ビームのデューティーサイクル、ビームの変調の周波数、ビームの色、ビームにおける光の偏光ビームのオン・オフ状態などにおける変化であってもよい。スタイラスのビームにおける変化は、ユーザ入力装置の光センサによって検出されてもよく、右または左のマウスクリックの等価物またはスタイラスの状態における変化として解釈されてもよい。側面スイッチ320は、スタイラスのハウジングの指定領域に対するタッチ接触が行われるときに作動する静電感知トランスデューサであってもよい。
【0022】
図4は、ユーザ入力装置において本発明の発光スタイラスを利用する1つの方法を示す。スタイラス410は、先端が面と接触していないときには、先端412を介して光のビームBを発し、先端が面と接触しているときには先端412を介して光のビームB’を発するように構成される。光ビームBは比較的平行化されているのに対し、光ビームB’はスタイラス410の先端からの距離と共に拡がる円錐形状を有する。図4はまた、光ビームBおよびB’に対して透過性である層420も示し、層420は入力面422を表す。光検出器430のアレイは装置に関連付けられ、光検出器は基板420を透過する光を感知するように配置される。光検出器430は、中心間が距離Sで離隔され、入力面422から下に距離Pで設置される。光ビームBは、検出器430の平面でビームスポット直径Dを有する。ビームBがすべての位置で検出される可能性を増大するために、スポット直径Dは検出器の間隔S程度であることが望ましい。この場合には、ビーム位置決定の位置解像度は、1/Sに等しい。光ビームB’はスタイラス410の先端からの距離と共に拡がり、光検出器の平面においてビーム直径D’を有し、D’は検出器の間隔Sより大きい。少なくとも2つの検出器が所定のすべての位置で光ビームB’によって照らされるほどD’が十分に大きい場合には、光ビームの位置は補間技術を用いることによって、1/Sより大きい解像度で決定されてもよい。したがって、本発明を用いて、ホバーモードで用いられるスタイラスから光ビームを測位し、スタイラスが入力面に接触しているときにはさらに大きな解像度で光ビームを測位することができる。一部の用途では、スタイラスがホバーモードにあるときには、より低い位置解像度が適切であるか、または望ましい場合もある。これはまた、たとえばレーザポインタのように大きな距離から検出することができるさらに平行化されるレーザ状のビームの使用を可能にすることができる。次に、同一のシステムを用いて、スタイラスが入力面に接触しているときに、より高い解像度の位置検出を行うことができる。
【0023】
本発明は、上述の特定の実施例に限定されるものと考えるべきではなく、添付の特許請求の範囲に完全に記載されているように、本発明のすべての態様を網羅するものと考えるべきである。本発明を適用可能である種々の修正、等価な方法のほか、種々の構造は、本明細書を検討すれば、本発明に関係する当業者には容易に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1a】本発明に係る発光スタイラスの使用の概略的に示す図である。
【図1b】本発明に係る発光スタイラスの使用の概略的に示す図である。
【図2a】発光スタイラスによって発せられた光の特性を変化させるためのスイッチ機構の一実施形態を概略的に示す図である。
【図2b】発光スタイラスによって発せられた光の特性を変化させるためのスイッチ機構の別の実施形態を概略的に示す図である。
【図2c】発光スタイラスによって発せられた光の特性を変化させるためのスイッチ機構の別の実施形態を概略的に示す図である。
【図3】補助スイッチを備える発光スタイラスを概略的に示す図である。
【図4】本発明によるユーザ入力装置における発光スタイラスの使用の1つの方法を概略的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光感知型ユーザ入力装置と共に用いるためのスタイラスであって、
先端が前記入力装置の入力面と接触しないときには、前記スタイラスの前記先端を介して光ビームを発するように構成される発光装置を有し、前記光ビームは、前記スタイラスの前記先端が前記入力面に十分に接触するときには、急激に変化する特性を有し、前記光ビームの急激な変化は前記光感知型ユーザ入力装置によって検出可能である、
ことを特徴とするスタイラス。
【請求項2】
前記先端に連結されるスイッチをさらに有し、前記スイッチは前記急激な変化を作動させるように構成される、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項3】
前記急激な変化は、ビーム強度の変化である、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項4】
前記急激な変化は、ビーム波長の変化である、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項5】
前記急激な変化は、ビーム変調の変化である、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項6】
前記ビーム変調の変化は、周波数変調の変化である、請求項5に記載のスタイラス。
【請求項7】
前記ビーム変調の変化は、前記変調におけるデューティーサイクルの変化である、請求項5に記載のスタイラス。
【請求項8】
ビーム変調の前記変化は、前記変調におけるパルス幅の変化である、請求項5に記載のスタイラス。
【請求項9】
前記急激な変化は、前記ビームの断面サイズである、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項10】
前記急激な変化は、偏光の変化である、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項11】
前記光ビームを制御するための補助スイッチをさらに有する、請求項1に記載のスタイラス。
【請求項12】
前記補助スイッチは、前記光ビームのオンとオフの切替を行う、請求項11に記載のスタイラス。
【請求項13】
前記補助スイッチは、前記先端が前記入力面に接触する状態を模擬させるような前記光ビームにおける前記急激な変化を起す、請求項11に記載のスタイラス。
【請求項14】
前記補助スイッチは、前記ビーム強度を変化させる、請求項11に記載のスタイラス。
【請求項15】
前記補助スイッチは、前記ビーム変調を変化させる、請求項11に記載のスタイラス。
【請求項16】
前記補助スイッチは、前記ビーム波長を変化させる、請求項11に記載のスタイラス。
【請求項17】
前記補助スイッチは、前記ビームを集束する、請求項11に記載のスタイラス。
【請求項18】
前記補助スイッチは、前記ビームの焦点を外す、請求項11に記載のスタイラス。
【請求項19】
ユーザ入力装置であって、
前記入力装置の入力面を通って透過される光を検出するために配置された複数の光センサと、
先端が前記入力面に接触しているかどうかに関係なく、前記先端を介して光ビームを発するように構成され、前記光ビームが前記センサによって検出可能な、スタイラスと、
前記センサに連結され、基準面における前記光ビームの位置を決定するように構成される電子機器とを有し、
前記先端が前記入力面に接触するとき、前記光ビームの特性が、前記センサによって検出可能な態様で急激に変化することを特徴とするユーザ入力装置。
【請求項20】
前記入力面は、電子ディスプレイの外面を有する、請求項19に記載のユーザ入力装置。
【請求項21】
前記電子ディスプレイは、液晶ディスプレイを有する、請求項20に記載のユーザ入力装置。
【請求項22】
前記電子ディスプレイは、有機エレクトロルミネッセントディスプレイを有する、請求項20に記載のユーザ入力装置。
【請求項23】
前記複数の光センサは、前記電子ディスプレイのピクセルを制御するトランジスタアレイに組み込まれる、請求項20に記載のユーザ入力装置。
【請求項24】
前記基準面は、前記入力面である、請求項19に記載のユーザ入力装置。
【請求項25】
前記光センサは選択された範囲の波長の中で光を検出するように構成され、前記光ビームは前記選択された範囲の波長の中の色を示す、請求項19に記載のユーザ入力装置。
【請求項26】
前記光センサによって受光される光をフィルタリングするように配置されるカラーフィルタをさらに有する、請求項25に記載のユーザ入力装置。
【請求項27】
前記カラーフィルタは青色フィルタであり、前記スタイラスは青色光を発するように構成される、請求項26に記載のユーザ入力装置。
【請求項28】
請求項19に記載のユーザ入力装置と、
前記入力装置の前記入力面を介して情報を表示するように配置される電子ディスプレイと、
を有することを特徴とするシステム。
【請求項29】
前記電子ディスプレイは、液晶ディスプレイである、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記複数の光センサは、前記液晶ディスプレイに組み込まれる、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記電子ディスプレイは、複数の有機エレクトロルミネッセント発光装置を有する請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
前記有機エレクトロルミネッセント発光装置の少なくとも一部が、前記光センサとして用いられる、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
光ビームを発するための発光スタイラスおよび入力装置の入力面を通って透過される光ビームを検出するために配置された複数の光センサを有する入力装置の使用方法であって、
前記スタイラスが前記入力面に接触していないときに前記光ビームを検出し、
前記スタイラスが前記入力面に接触しているときに前記光ビームを検出し、
前記スタイラスが前記入力面に十分に接触しているときに前記光ビームの特性を急激に変化させ、
前記光ビームの急激に変化する前記特性を検出する、
ことを含む方法。
【請求項34】
前記スタイラスが前記入力面に接触していないときに、基準面における前記光ビームの位置を決定する、ことをさらに有する請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記スタイラスが前記入力面に接触しているときに、基準面における前記光ビームの位置を決定する、ことをさらに有する請求項33に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−512620(P2007−512620A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541159(P2006−541159)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/033800
【国際公開番号】WO2005/057397
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】