スタチン、特にアトルバスタチンの調製において有用な方法および中間体化合物
式(7):
【化1】
[式中、R1が水素もしくは炭化水素基を表し、R2が水素もしくは置換基を表し、R3が水素もしくは炭化水素基を表し、Xが水素もしくは置換基を表す]
の化合物もしくはこの塩の調製方法が与えられ;
a)式(1)[式中、Yがハロ基、好ましくはClもしくはBrを表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]の化合物をシアノ化し、式(2)の化合物を与え;
b)式(2)の化合物を還元し、式(3)の化合物を与え;
c)式(3)の化合物を、式(4)の化合物とカップリングさせ、式(5)の化合物を与え;
d)Wが−OP2を表す場合、式(5)の化合物を脱保護し、次いで酸化して、式(6)の化合物を与え;
e)式(5)の化合物(Wが=Oを表す場合)もしくは式(6)の化合物を開環反応に付し、残っている全ての保護基を除去し、式(7)の化合物もしくはこの塩を与える
ことを含む。
【化1】
[式中、R1が水素もしくは炭化水素基を表し、R2が水素もしくは置換基を表し、R3が水素もしくは炭化水素基を表し、Xが水素もしくは置換基を表す]
の化合物もしくはこの塩の調製方法が与えられ;
a)式(1)[式中、Yがハロ基、好ましくはClもしくはBrを表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]の化合物をシアノ化し、式(2)の化合物を与え;
b)式(2)の化合物を還元し、式(3)の化合物を与え;
c)式(3)の化合物を、式(4)の化合物とカップリングさせ、式(5)の化合物を与え;
d)Wが−OP2を表す場合、式(5)の化合物を脱保護し、次いで酸化して、式(6)の化合物を与え;
e)式(5)の化合物(Wが=Oを表す場合)もしくは式(6)の化合物を開環反応に付し、残っている全ての保護基を除去し、式(7)の化合物もしくはこの塩を与える
ことを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタチン、特にアトルバスタチンの調製において有用な方法および中間体化合物に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明によれば、式(7):
【0003】
【化1】
【0004】
[式中、R1が水素もしくは炭化水素基を表し、R2が水素もしくは置換基を表し、R3が水素もしくは炭化水素基を表し、Xが水素もしくは置換基を表す]
の化合物もしくはこの塩の調製方法が与えられ:
a)式(1):
【0005】
【化2】
【0006】
[式中、Yがハロ基、好ましくはClもしくはBrを表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物をシアノ化し、式(2):
【0007】
【化3】
【0008】
の化合物を与え;
b)式(2)の化合物を還元し、式(3):
【0009】
【化4】
【0010】
の化合物を与え;
c)式(3)の化合物を、式(4):
【0011】
【化5】
【0012】
の化合物とカップリングさせ、式(5):
【0013】
【化6】
【0014】
の化合物を与え;
d)Wが−OP2を表す場合、式(5)の化合物を脱保護し、次いで酸化して、式(6):
【0015】
【化7】
【0016】
の化合物を与え;
e)式(5)の化合物(Wが=Oを表す場合)もしくは式(6)の化合物を開環反応に付し、残っている全ての保護基を除去し、式(7):
【0017】
【化8】
【0018】
の化合物もしくはこの塩を与える
ことを含む。
【0019】
R1およびR3によって表される場合の炭化水素基は独立に、アルキル基、アルケニル基、およびアリール基、ならびに、アリールアルキル基(アラルキル基。例えばベンジル基)およびアルキルアリール基(アルカリール基)のようなこれらの如何なる組み合わせをも包含する。
【0020】
R1およびR3によって表される場合のアルキル基は、20までの炭素原子、特に1〜7炭素原子、好ましくは1〜5炭素原子を含む、直鎖もしくは分岐アルキル基を包含する。該アルキル基が分岐している場合、該基はしばしば、10までの分岐鎖炭素原子、好ましくは4までの分岐鎖(炭素)原子を含む。ある実施形態では、該アルキル基が環状であってもよく、その最大の環中に通常3〜10炭素原子を含み、任意に1つ以上の架橋環を備えている。R1およびR3によって表される場合のアルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、t−ブチル基、およびシクロヘキシル基を包含する。
【0021】
R1およびR3によって表される場合のアルケニル基は、C2〜20、好ましくはC2〜6のアルケニル基を包含する。1つ以上の炭素=炭素2重結合が存在していてもよい。該アルケニル基は、1つ以上の置換基、特にフェニル置換基を有してよい。アルケニル基の例は、ビニル基、スチリル基、およびインデニル基を包含する。
【0022】
R1およびR3によって表される場合のアリール基は、1つの環もしくは2つ以上の縮合した環を含有してもよく、シクロアルキル、アリール、もしくはヘテロ環(複素環)を包含してよい。R1およびR3によって表される場合のアリール基の例は、フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、アニシル基、ナフチル基、およびフェロセニル基を包含する。
【0023】
R1およびR3のいずれかが置換炭化水素基である場合、該置換基(単数もしくは複数)は、全ての本反応ステップもしくは本方法全体の速度もしくは選択性に悪影響を及ぼさないようなものであるべきである。任意の置換基は、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、アシル基、炭化水素基、複素環基、炭化水素オキシ基、(モノもしくはジ炭化水素)アミノ基、炭化水素チオ基、エステル基、カルバメート基、カーボネート基、アミド基、スルホニル基、およびスルホンアミド基を包含し、ここで、該炭化水素基は、上記R1に関して定義されたとおりである。1つ以上の置換基が存在してもよい。1つより多い置換基を持っているR1もしくはR3基の例は、−CF3および−C2F5を包含する。
【0024】
XおよびR2によって表される場合の置換基は独立に、R1に関して上に定義されたとおりの炭化水素基、電子供与基、電子吸引基、ハロゲン基、および複素環基を包含する。置換基は通常、任意に置換されたアルコキシ(好ましくはC1〜4アルコキシ)、任意に置換されたアリール(好ましくはフェニル)、任意に置換されたアリールオキシ(好ましくはフェノキシ)、ポリアルキレンオキシド(好ましくは、ポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシド)、カルボキシ、ホスフェート、スルホ、ニトロ、シアノ、ハロ、ウレイド、−SO2F、ヒドロキシ、エステル、−NRaRb、−CORa、−CONRaRb、−NHCORa、−OCONRaRb、カルボキシエステル、スルホン、および−SO2NRaRbからなる群から選択され、ここで、RaおよびRbは各々独立して、H、任意に置換されたアリール、特にフェニル、もしくは任意に置換されたアルキル(特にC1〜4アルキル)、または、−NRaRb、−CONRaRb、−OCONRaRb、および−SO2NRaRbの場合、RaおよびRbはこれらが結合した窒素原子と一緒に、脂肪族環もしくは芳香環システムまたはこれらの組み合わせを表してもよい。
【0025】
好ましくは、式(7):
【0026】
【化9】
【0027】
[式中、R1がC1〜6アルキル基のようなアルキル基、好ましくはイソプロピル基を表し、R2がアリール基、好ましくはフェニル基を表し、R3がアリール基、好ましくは4−フルオロフェニル基を表し、Xが式−COZの基を表し、ここで、Zが−OR4(R4がアルキル基、好ましくはメチル基もしくはエチル基)または−NR5R6(R5およびR6各々が独立に、H、アルキル、もしくはアリールを表し、好ましくは、R5がHでありR6がフェニルである)を表す]
の化合物もしくはこの塩の調製方法が与えられ:
a)式(1):
【0028】
【化10】
【0029】
[式中、Yがハロ基、好ましくはClもしくはBrを表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物をシアノ化し、式(2):
【0030】
【化11】
【0031】
の化合物を与え;
b)式(2)の化合物を還元し、式(3):
【0032】
【化12】
【0033】
の化合物を与え;
c)式(3)の化合物を、式(4):
【0034】
【化13】
【0035】
の化合物とカップリングさせ、式(5):
【0036】
【化14】
【0037】
の化合物を与え;
d)Wが−OP2を表す場合、式(5)の化合物を脱保護し、次いで酸化して、式(6):
【0038】
【化15】
【0039】
の化合物を与え;
e)式(5)の化合物(Wが=Oを表す場合)もしくは式(6)の化合物を開環反応に付し、残っている全ての保護基を除去し、式(7):
【0040】
【化16】
【0041】
の化合物もしくはこの塩を与える
ことを含む。
【0042】
より好ましくは、R1がイソプロピル基であり、R2がフェニル基であり、R3が4−フルオロフェニル基であり、Xが、−CO2Me基、−CO2Et基、もしくは−CONHPh基である。
【0043】
P1およびP2によって表される場合の保護基は、アルコールを保護する基を包含し、この例は、当業界においてよく知られている。特に(好ましい)例は、テトラヒドロピラニル基を包含する。好ましい保護基は、シリル基、例えばトリアリールシリル基、特にトリアルキルシリル基、および、炭化水素基である。特に好ましいのは、ベンジル、メチル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、およびt−ブチルジフェニルシリル基である。
【0044】
P1およびP2によって表される場合の保護基は、同一でも異なっていてもよい。保護基P1とP2とが異なる場合、このことは有利に、P1もしくはP2一方のみの選択的除去に備えられることがある。好ましくは、保護基P1とP2とが異なる場合、P1がベンジル基もしくはシリル基であり、P2がメチル基ある。
【0045】
式(1)の化合物のシアノ化は、ハロ基をシアニドにより置き換えるための、当業界において知られている方法により、達成され得る。好ましくは、本方法は、式(1)の化合物を、シアニド源と接触させることを含む。好ましいシアニド源は、シアニド塩、特にアンモニウムシアニドもしくはアルカリ金属シアニド、特にナトリウムシアニドもしくはカリウムシアニドを包含する。特に好ましい方法は、式(1)の化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒存在下、例えば50〜120℃、好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜90℃、典型的には約80℃の温度において、5モル当量のKCNと接触させることを含む。
【0046】
式(2)の化合物の還元は、ニトリル基の還元のために、当業界において知られている還元系を使用して、達成され得る。好ましい還元系は、ラネーニッケルと水素とを用いる還元、カーボン上のパラジウム(いわゆるパラ炭、Pd/C)のような触媒存在下に水素を用いる還元、LiAlH4のようなヒドリド(H−)試薬を使用する還元を包含する。最も好ましいのは、ボラン−THFのようなボランを使用する還元である。パラ炭により触媒される水素化が採用される場合、好ましい条件は、約40℃のような高められた温度において、約0.01〜100モル当量のアンモニア存在下、メタノール溶媒の使用を含む。
【0047】
式(3)の化合物の、式(4)の化合物とのカップリングは、対応するカップリングに関して国際公開第89/07598号パンフレット中に与えられたものに類似の条件を採用してもよい。該条件は好ましくは、トルエンもしくはシクロヘキサンまたはこれらの混合溶媒のような炭化水素溶媒中、式(3)および(4)の化合物を還流させ、次いで、塩酸(HClaq.)のような水性の酸と接触させることを含む。
【0048】
Wが−OP2を表す場合、その保護基は、与えられた保護基の除去のための、当業界において知られた方法によって除去されて、ヒドロキシ基を形成してもよい。例えば、シリル系保護基は、テトラブチルアンモニウムフルオリドのようなフッ化物イオン源との接触により除去されてもよく、ベンジル基は、パラ炭存在下での水素との反応のような、水素による分解により除去されてもよい。
【0049】
Wが−OP2を表す化合物の脱保護により形成される化合物の酸化は、ピラノールの、ピラノンへの酸化のための、当業界において知られている条件を採用してもよく、Comprehensive Organic Transformations, R. C. Larock, 2nd Ed (1999) p 1670, published by Wiley VCH 中に与えられるものを包含し、本明細書において援用される。好ましい酸化系は、Ag2CO3/セライト、特にセライトJ2(Ag2CO3と共に)、臭素(Br2)、スワーン酸化、もしくはデス=マーチン過酸化沃素(periodinane)酸化を包含する。
【0050】
Wが=Oを表す場合の式(5)の化合物の開環、または、式(6)の化合物の開環は、ピラノンの開環のための、当業界において知られている条件を採用してもよい。好ましくは、該環(ピラノン環)は、水酸化ナトリウムのような塩基との接触により、開環される。溶媒としてメタノールが、手軽に用いられる。
【0051】
残った保護基は、与えられた保護基の除去のための、当業界において知られている方法により除去されてもよい。例えば、シリル系保護基は、テトラブチルアンモニウムフルオリドのようなフッ化物イオン源との接触により除去されてもよく、ベンジルエーテルは、水素による分解により除去されてもよく、メチルアセタールは、水性稀釈酸を用いる処理により除去されてもよい。
【0052】
Xが式−COOR4の基を表す場合、これが本方法中のいずれの段階においても、例えば、式(4)、(5)、(6)、もしくは(7)対応化合物の、式HNR5R6の化合物との反応により、Xが−CONR5R6を表す基へと変換されてもよいことが、認識される。
【0053】
Wが−OHを表す場合、式(2)および(3)の化合物も酸化に付されてよく、Wが−O−保護基(P)を表す場合、脱保護および酸化に付されてよく、Wが=Oを表す対応化合物を形成することも、認識される。
【0054】
式(1)の好ましい化合物は、式:
【0055】
【化17】
【0056】
[式中、W、P1、およびYは、前記したとおり]
の化合物である。
【0057】
式(2)の好ましい化合物は、式:
【0058】
【化18】
【0059】
[式中、WおよびP1は、前記したとおり]
の化合物である。
【0060】
式(3)の好ましい化合物は、式:
【0061】
【化19】
【0062】
[式中、WおよびP1は、前記したとおり]
の化合物である。
【0063】
式(5)の好ましい化合物は、式:
【0064】
【化20】
【0065】
[式中、R1、R2、R3、W、X、およびP1は、前記したとおり]
のものである。
【0066】
式(6)の好ましい化合物は、式:
【0067】
【化21】
【0068】
[式中、R1、R2、R3、およびXは、前記したとおり]
のものである。
【0069】
式(7)の好ましい化合物は、式:
【0070】
【化22】
【0071】
[式中、R1、R2、R3、およびXは、前記したとおり]
のものである。
【0072】
式(7)の化合物は有利に、医薬的に許容可能な塩、特にカルシウム塩へと変換される。
【0073】
式(4)の化合物は有利に、J. Med. Chem., 1991, 34, pp 357-366 中に与えられる方法により、調製される。式(4)の特に好ましい化合物は、式:
【0074】
【化23】
【0075】
の化合物である。
【0076】
式(1)の化合物は有利に、例えば米国特許第5,795,749号明細書中に与えられる方法を使用して、アセトアルデヒドや2−ハロアセトアルデヒドの酵素触媒縮合により、調製される。
【0077】
式(2)および(3)、ならびにWが−OP2である場合の式(5)の化合物は、本発明の更なる態様を形作る。
【0078】
式(2)および(3)の好ましい化合物において、P1が保護基であり、好ましくはWが−OP2を表す。P1が保護基でありWが−OP2を表す場合、好ましくはP1とP2とが異なっている。
【0079】
式(2)および(3)のより好ましい化合物は、P1がベンジル基もしくはシリル基で、Wが−OP2を表し、P2がメチル基である化合物である。
【0080】
式(5)の好ましい化合物は、P1が、水素、ベンジル基、もしくはシリル基で、Wが=Oもしくは−OP2を表し、P2がメチル基である化合物である。
【0081】
式(5)のより好ましい化合物は、R1がC1〜6アルキル基であり、R2がアリール基であり、R3がアリール基であり、XがCOZであり、ここで、ZがOR4(R4がアルキル)もしくはZがNR5R6(R5およびR6各々が独立に、水素、アルキル、もしくはアリール)であり、P1が、水素、ベンジル基、もしくはシリル基で、Wが=Oもしくは−OP2を表し、P2がメチル基である化合物である。
【0082】
式(5)の最も好ましい化合物は、R1がイソプロピル基であり、R2がフェニル基であり、R3が4−フルオロフェニル基であり、XがCOZであり、ここで、ZがOR4(R4がメチル基もしくはエチル基)もしくはZがNR5R6(R5が水素でR6がフェニル)、P1が、水素、ベンジル基、もしくはシリル基で、Wが=Oもしくは−OP2を表し、P2がメチル基である化合物である。
【0083】
本発明が、以下の実施例により例示される。
【実施例】
【0084】
実施例1:Y=Cl、P1=H、W=−OP2(P2=Me)である式1の化合物、クロロラクトールメチルアセタール((2S,4R)−2−(クロロメチル)−6−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール)の調製
粗クロロラクトール(15g)をメタノール(MeOH、150mL)に溶解し、硫酸0.1mL存在下に2時間、40℃まで加熱した。溶媒をロータリー・エバポレーターにより除去し、暗褐色の流動性オイルとして生成物を与えた。該生成物をジクロロメタン(DCM)に溶解し、重炭酸ナトリウム(重曹)溶液を用いて洗浄した。溶媒をロータリー・エバポレーターにより除去し、暗褐色の流動性オイルとして生成物を与え、これをカラム・クロマトグラフィーにより精製した(16.1g)。
m/z:179、149、および113;
1Hnmr(CDCl3):3.6〜3.7(m、2H)、4.1(m、1H)、1.5〜1.6(m、2H)、4.0(m、1H)、1.3〜1.6(m、2H)、4.9(m、1H)、3.3および3.5(s、3H);
13Cnmr(CDCl3):32、36、45、55および56、64、65、94
【0085】
実施例2:Y=Cl、P1=ベンジル、W=−OP2(P2=Me)である式1の化合物、O−ベンジル−クロロラクトールメチルアセタール((2S,4R)−4−(ベンジルオキシ)−2−(クロロメチル)−6−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン)の調製
クロロラクトールメチルアセタール(1g)をTHF(5mL)に溶解し、室温において、THF(5mL)中の水素化ナトリウム(NaH、0.33g、鉱油中60%)に付した。ベンジルブロミド(1.9g)を滴下し、全体を2時間80℃まで加熱した。メタノール(2mL)を加え、全体をDCMと水との間で(DCM/水)分配し、次いで、水を用いて洗浄した。有機相を乾燥し、溶媒をロータリー・エバポレーターにより除去し、オレンジ色の流動性オイル(2.1g)を与えた。
m/z:270、238、203、132、91;
1Hnmr(CDCl3):1.6〜2.0(m、4H)、3.4および3.5(s、3H)、3.6(m、2H)、3.8(m、1H)、4.0(m、1H)、4.5(m、2H)、4.7(m、1H)、7.3〜7.5(m、5H);
13Cnmr(CDCl3):32および33、46、55および56、58、66、74、96および98、128〜131
【0086】
実施例3:P1=ベンジル、W=−OP2(P2=Me)である式2の化合物、シアノ−O−ベンジル−ラクトールメチルアセタール([(2R,4R)−4−(ベンジルオキシ)−6−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]アセトニトリル)の調製
O−ベンジル−クロロラクトールメチルアセタール(5g)をカリウムシアニド(青酸カリ、5g)含有DMSO(50mL)に溶解し、80℃において4日間加熱した。次いで、全体をジエチルエーテル(50mL)と水(50mL)との間で分配した。有機相を除去、乾燥し、溶媒をロータリー・エバポレーターにより除去し、暗色のオイルを与え、これをカラム・クロマトグラフィーにより精製した。
m/z:261、229、184、123、107、91;
1Hnmr(CDCl3):1.6〜1.9(m、4H)、2.5(m、2H)、3.4および3.5(s、3H)、3.6(m、1H)、3.8(m、1H)、4.5(s、2H);
13Cnmr(CDCl3):24、34、36、54、56、58、68、73、98および100、117、122〜128
【0087】
実施例4:P1=ベンジル、W=−OP2(P2=Me)である式3の化合物、アミノエチル−O−ベンジル−ラクトールメチルアセタール(2−[(2R,4R)−4−(ベンジルオキシ)−6−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]エタナミン)の調製
ボラン−THF錯体(1M溶液、1.19mL)を10℃において、窒素置換フラスコへと投入し、THF(2.5mL)により稀釈した。シアノ−O−ベンジル−ラクトールメチルアセタール(0.05g)を10℃において、THF(7.5mL)中へ溶解し、該ボランへ付した。次いで、この結果の混合物を9時間加熱還流した。該混合物を冷却し、メタノール(10mL)を用いて反応を止め、減圧下に濃縮した。更に2回、メタノール(2×10mL)を加え、この混合物を2回濃縮、乾燥させた。最終濃縮物は、オイルを与えた(45mg)。
TLC(CH2Cl2=DCM):Rf=0.05に新たなスポット、ニンヒドリン発色有り(+)、ニトリル体残存せず
m/z:265、233、107、91;
1Hnmr(CDCl3):1.6〜1.9(m、6H)、3.4および3.45(s、3H)、3.5(2H)、3.6(m、1H)、3.8(m、1H)、4.5(s、2H)、4.7(m、1H)、7.1(m、5H);
13Cnmr(CDCl3):24、26、34、36、54、56、58、68、73、98および100、122〜128
【0088】
実施例5:R1=イソプロピル(iPr)、R2=フェニル(Ph)、R3=4−FC6H4、X=エトキシカルボニル(CO2Et)、P1=ベンジル、W=−OP2(P2=Me)である式5の化合物、ピロールエステルO−ベンジル−ラクトールメチルアセタールの調製
アミノエチル−O−ベンジル−ラクトールメチルアセタール(1.00g)をTHF(10mL)に溶解した。ジケトエステル(1.12g)を加え、次いで、酢酸(2mL)を加え、この混合物を2日間80℃まで加熱した。減圧下に濃縮後、この反応全体をジエチルエーテル(10mL)と水(10mL)との間で分配した。有機相を集めて合わせ、乾燥し(MgSO4、硫マグ)、溶媒を減圧下に除去し、褐色のオイルを与え、これをカラム・クロマトグラフィーにより精製した(0.38g)。
m/z:599、567、460、107、91;
1Hnmr(CDCl3):1.15(t、3H)、1.3(d、6H)、1.6〜1.9(m、6H)、3.4および3.45(s、3H)、3.5(2H)、3.6(m、2H)、3.8(m、1H)、4.1(q、2H)、4.5(s、2H)、4.7(m、1H)、7.1(m、14H);
19Fnmr:ジケトエステル体の106ppmから、生成物の115ppmへとシフト
【0089】
実施例6:R1=iPr、R2=Ph、R3=4−FC6H4、X=C(O)NHPh、P1=ベンジル、W=−OP2(P2=Me)である式5の化合物、ピロールアニリドO−ベンジル−ラクトールメチルアセタールの調製
ピロールエステルO−ベンジル−ラクトールメチルアセタール(0.30g)をDMF(5mL)に溶解した。アニリン(1.0g)を加え、この混合物を18時間80℃まで加熱した。冷却および減圧下での濃縮後、この反応全体をジエチルエーテル(5mL)と水(5mL)との間で分配した。有機相を集めて合わせ、水(5mL)を用いて更に洗浄し、乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去し、褐色のオイルを与え、これをカラム・クロマトグラフィーにより精製した(0.26g)。
m/z:646、614、507、107、91;
1Hnmr(CDCl3):1.3(d、6H)、1.6〜1.9(m、6H)、3.4および3.45(s、3H)、3.5(2H)、3.6(m、2H)、3.8(m、1H)、4.5(s、2H)、4.7(m、1H)、6.8(br.s、1H)、7.1(m、19H)
【0090】
実施例7:R1=iPr、R2=Ph、R3=4−FC6H4、X=C(O)NHPh、P1=H、W=−OP2(P2=Me)である式5の化合物、ピロールアニリドOH体ラクトールメチルアセタール(リピトールラクトール−OMe)の調製
ピロールアニリドO−ベンジル−ラクトールメチルアセタール(0.15g)をメタノール(5mL)に溶解した。10%Pd/C(0.1g)を窒素下に加えた。この系を水素置換し、水素雰囲気下に6時間加熱した。濾過により該Pd/Cを除去し、減圧下にこの反応全体を濃縮した後、残渣の褐色オイルをカラム・クロマトグラフィーにより精製した。
m/z:556、524、506;
1Hnmr(CDCl3):1.3(d、6H)、1.6〜1.9(m、6H)、3.4および3.45(s、3H)、3.5(2H)、3.6(m、2H)、3.8(m、1H)、4.7(m、1H)、6.8(br.s、1H)、7.1(m、14H)
【0091】
実施例8:R1=iPr、R2=Ph、R3=4−FC6H4、X=C(O)NHPh、P1=H、W=−OP2(P2=H)である式5の化合物、ピロールアニリドOH体ラクトール(リピトールラクトール)の調製
ピロールアニリドOH体ラクトールメチルアセタール(0.050g)をメタノール(2mL)に溶解し、水(2mL)を加え、次いで、0.1N塩酸(HCl、1mL)を加えた。室温において2時間攪拌した後、この混合物を減圧下に濃縮し、無色オイルとして生成物を与えた。
m/z:542、524、506;
1Hnmr(CDCl3):1.3(d、6H)、1.6〜1.9(m、6H)、3.45(2H)、3.6(m、2H)、3.8(m、1H)、5.0(m、1H)、6.8(br.s、1H)、7.1(m、14H);
13Cnmr(CDCl3):91.6ppm(ラクトールのC);
FTIR:1652cm−1(アミド)
【0092】
実施例9:R1=iPr、R2=Ph、R3=4−FC6H4、X=C(O)NHPh、P1=Hである式6の化合物、ラクトンの調製
ジクロロメタン(DCM、0.5mL)中の該ピロールアニリドOH体ラクトール(35mg、0.065ミリモル)をデス=マーチン過酸化沃素(30mg、0.07ミリモル)に加え、室温において2.5時間攪拌した。この反応を1M苛性ソーダとジエチルエーテルとの間で分配した。次いでこれらの相を分離し、有機相の体積を減圧下に減らし、粗生成物オイルを与えた。
1Hnmr(500MHz、CDCl3):9.8、7.5、7.28、7.2、7.08、7.02、6.98、5.2、4.5、4.1、4.0、3.9、3.2、2.6、2.4、1.6、1.4;
13Cnmr(125.72MHz、DMSO):169.6、165.9、139.3、135.9、134.7、133.3、129.4、128.8、128.4、127.5、127.2、125.3、122.9、120.7、119.3、117.6、115.4、25.5、22.1、22.3、39.5、34.5、72.8、36.8、61.0、38.3
【0093】
実施例10:R1=iPr、R2=Ph、R3=4−FC6H4、X=C(O)NHPhである式7の化合物、アトルバスタチンの調製(ラクトンの加水分解)
該ラクトン(1.1g)をエタノール(EtOH、10mL)に溶解した。水(2mL)およびCa(OH)2(0.15g)を加え、この懸濁を3時間60℃まで加温した。更に10mLの温水を加え、次いで、この混合物が室温までゆっくりと冷めるようにした。生じた沈澱を濾過し、乾燥させ、アトルバスタチンカルシウム塩(0.3g)を与えた。この塩は、オーセンティック・サンプル(基準試料)と混合した時の融点、NMR、および質量分析により、オーセンティック・サンプルと同一であった。
【0094】
実施例11:R1=iPr、R2=Ph、R3=4−FC6H4、X=C(O)NHPh、P1=H、W=−OP2(P2=H)である式5の化合物、ピロールアニリドOH体ラクトール(リピトールラクトール)の、該ラクトン・オーセンティック源からの、独立した(別個の)調製
オーセンティック・サンプルのラクトン(530mg)を無水DMF(5mL)に溶解し、次いで、イミダゾール(174mg)、次いで、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)クロリド(371mg)を加えた。この混合物を室温において攪拌した。6時間後、ジエチルエーテル(Et2O、30mL)および水(30mL)を加えることにより、この反応を止めた。分離した有機相を更に水(2×20mL)を用いて洗浄し、乾燥させ、減圧下に濃縮して、シリル化ラクトンを白色粉末として与えた(470mg、73%)。
【0095】
該シリル化ラクトン(233mg)を無水ジクロロメタン(DCM、5mL)に溶解し、次いで、窒素下に−78℃まで冷却した。ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL、0.31mL、1Mトルエン溶液)を滴下し、この混合物を−78℃において10分間攪拌した。次いで、ロッシェル塩10%水溶液(1mL)を加えることにより、この反応を止め、室温まで戻した。更にジクロロメタン(DCM、10mL)および水(10mL)を加えた後、得られた2相を分離し、有機相を乾燥させ、減圧下に濃縮した。残渣のオイルをカラム・クロマトグラフィーにより精製した(ヘキサン中Et2O50%)。
FTIR:1668cm−1(アミド)。1735cm−1における伸縮(ラクトンのもの)はもはや存在せず。
【0096】
得られたシリル化ラクトール(100mg)を無水THFに溶解した。0℃において、HF.ピリジン(0.1mL)を加え、室温まで戻した。この全体をエーテルおよび重曹溶液を用いてクウェンチした(この反応を止めた)。得られた相(2相)を分離し、水相をエーテルを用いて逆に抽出した。有機相を合わせ、乾燥させ、エバポレーションして、オイルを生成した(75mg)。
m/z:542、524、506;
1Hnmr(CDCl3):1.3(d、6H)、1.6〜1.9(m、6H)、3.45(2H)、3.6(m、2H)、3.8(m、1H)、5.0(m、1H)、6.8(br.s、1H)、7.1(m、14H);
13Cnmr(CDCl3):91.6ppm(ラクトールのC);
FTIR:1652cm−1(アミド)
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタチン、特にアトルバスタチンの調製において有用な方法および中間体化合物に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明によれば、式(7):
【0003】
【化1】
【0004】
[式中、R1が水素もしくは炭化水素基を表し、R2が水素もしくは置換基を表し、R3が水素もしくは炭化水素基を表し、Xが水素もしくは置換基を表す]
の化合物もしくはこの塩の調製方法が与えられ:
a)式(1):
【0005】
【化2】
【0006】
[式中、Yがハロ基、好ましくはClもしくはBrを表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物をシアノ化し、式(2):
【0007】
【化3】
【0008】
の化合物を与え;
b)式(2)の化合物を還元し、式(3):
【0009】
【化4】
【0010】
の化合物を与え;
c)式(3)の化合物を、式(4):
【0011】
【化5】
【0012】
の化合物とカップリングさせ、式(5):
【0013】
【化6】
【0014】
の化合物を与え;
d)Wが−OP2を表す場合、式(5)の化合物を脱保護し、次いで酸化して、式(6):
【0015】
【化7】
【0016】
の化合物を与え;
e)式(5)の化合物(Wが=Oを表す場合)もしくは式(6)の化合物を開環反応に付し、残っている全ての保護基を除去し、式(7):
【0017】
【化8】
【0018】
の化合物もしくはこの塩を与える
ことを含む。
【0019】
R1およびR3によって表される場合の炭化水素基は独立に、アルキル基、アルケニル基、およびアリール基、ならびに、アリールアルキル基(アラルキル基。例えばベンジル基)およびアルキルアリール基(アルカリール基)のようなこれらの如何なる組み合わせをも包含する。
【0020】
R1およびR3によって表される場合のアルキル基は、20までの炭素原子、特に1〜7炭素原子、好ましくは1〜5炭素原子を含む、直鎖もしくは分岐アルキル基を包含する。該アルキル基が分岐している場合、該基はしばしば、10までの分岐鎖炭素原子、好ましくは4までの分岐鎖(炭素)原子を含む。ある実施形態では、該アルキル基が環状であってもよく、その最大の環中に通常3〜10炭素原子を含み、任意に1つ以上の架橋環を備えている。R1およびR3によって表される場合のアルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、t−ブチル基、およびシクロヘキシル基を包含する。
【0021】
R1およびR3によって表される場合のアルケニル基は、C2〜20、好ましくはC2〜6のアルケニル基を包含する。1つ以上の炭素=炭素2重結合が存在していてもよい。該アルケニル基は、1つ以上の置換基、特にフェニル置換基を有してよい。アルケニル基の例は、ビニル基、スチリル基、およびインデニル基を包含する。
【0022】
R1およびR3によって表される場合のアリール基は、1つの環もしくは2つ以上の縮合した環を含有してもよく、シクロアルキル、アリール、もしくはヘテロ環(複素環)を包含してよい。R1およびR3によって表される場合のアリール基の例は、フェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、アニシル基、ナフチル基、およびフェロセニル基を包含する。
【0023】
R1およびR3のいずれかが置換炭化水素基である場合、該置換基(単数もしくは複数)は、全ての本反応ステップもしくは本方法全体の速度もしくは選択性に悪影響を及ぼさないようなものであるべきである。任意の置換基は、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、アシル基、炭化水素基、複素環基、炭化水素オキシ基、(モノもしくはジ炭化水素)アミノ基、炭化水素チオ基、エステル基、カルバメート基、カーボネート基、アミド基、スルホニル基、およびスルホンアミド基を包含し、ここで、該炭化水素基は、上記R1に関して定義されたとおりである。1つ以上の置換基が存在してもよい。1つより多い置換基を持っているR1もしくはR3基の例は、−CF3および−C2F5を包含する。
【0024】
XおよびR2によって表される場合の置換基は独立に、R1に関して上に定義されたとおりの炭化水素基、電子供与基、電子吸引基、ハロゲン基、および複素環基を包含する。置換基は通常、任意に置換されたアルコキシ(好ましくはC1〜4アルコキシ)、任意に置換されたアリール(好ましくはフェニル)、任意に置換されたアリールオキシ(好ましくはフェノキシ)、ポリアルキレンオキシド(好ましくは、ポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシド)、カルボキシ、ホスフェート、スルホ、ニトロ、シアノ、ハロ、ウレイド、−SO2F、ヒドロキシ、エステル、−NRaRb、−CORa、−CONRaRb、−NHCORa、−OCONRaRb、カルボキシエステル、スルホン、および−SO2NRaRbからなる群から選択され、ここで、RaおよびRbは各々独立して、H、任意に置換されたアリール、特にフェニル、もしくは任意に置換されたアルキル(特にC1〜4アルキル)、または、−NRaRb、−CONRaRb、−OCONRaRb、および−SO2NRaRbの場合、RaおよびRbはこれらが結合した窒素原子と一緒に、脂肪族環もしくは芳香環システムまたはこれらの組み合わせを表してもよい。
【0025】
好ましくは、式(7):
【0026】
【化9】
【0027】
[式中、R1がC1〜6アルキル基のようなアルキル基、好ましくはイソプロピル基を表し、R2がアリール基、好ましくはフェニル基を表し、R3がアリール基、好ましくは4−フルオロフェニル基を表し、Xが式−COZの基を表し、ここで、Zが−OR4(R4がアルキル基、好ましくはメチル基もしくはエチル基)または−NR5R6(R5およびR6各々が独立に、H、アルキル、もしくはアリールを表し、好ましくは、R5がHでありR6がフェニルである)を表す]
の化合物もしくはこの塩の調製方法が与えられ:
a)式(1):
【0028】
【化10】
【0029】
[式中、Yがハロ基、好ましくはClもしくはBrを表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物をシアノ化し、式(2):
【0030】
【化11】
【0031】
の化合物を与え;
b)式(2)の化合物を還元し、式(3):
【0032】
【化12】
【0033】
の化合物を与え;
c)式(3)の化合物を、式(4):
【0034】
【化13】
【0035】
の化合物とカップリングさせ、式(5):
【0036】
【化14】
【0037】
の化合物を与え;
d)Wが−OP2を表す場合、式(5)の化合物を脱保護し、次いで酸化して、式(6):
【0038】
【化15】
【0039】
の化合物を与え;
e)式(5)の化合物(Wが=Oを表す場合)もしくは式(6)の化合物を開環反応に付し、残っている全ての保護基を除去し、式(7):
【0040】
【化16】
【0041】
の化合物もしくはこの塩を与える
ことを含む。
【0042】
より好ましくは、R1がイソプロピル基であり、R2がフェニル基であり、R3が4−フルオロフェニル基であり、Xが、−CO2Me基、−CO2Et基、もしくは−CONHPh基である。
【0043】
P1およびP2によって表される場合の保護基は、アルコールを保護する基を包含し、この例は、当業界においてよく知られている。特に(好ましい)例は、テトラヒドロピラニル基を包含する。好ましい保護基は、シリル基、例えばトリアリールシリル基、特にトリアルキルシリル基、および、炭化水素基である。特に好ましいのは、ベンジル、メチル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、およびt−ブチルジフェニルシリル基である。
【0044】
P1およびP2によって表される場合の保護基は、同一でも異なっていてもよい。保護基P1とP2とが異なる場合、このことは有利に、P1もしくはP2一方のみの選択的除去に備えられることがある。好ましくは、保護基P1とP2とが異なる場合、P1がベンジル基もしくはシリル基であり、P2がメチル基ある。
【0045】
式(1)の化合物のシアノ化は、ハロ基をシアニドにより置き換えるための、当業界において知られている方法により、達成され得る。好ましくは、本方法は、式(1)の化合物を、シアニド源と接触させることを含む。好ましいシアニド源は、シアニド塩、特にアンモニウムシアニドもしくはアルカリ金属シアニド、特にナトリウムシアニドもしくはカリウムシアニドを包含する。特に好ましい方法は、式(1)の化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒存在下、例えば50〜120℃、好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜90℃、典型的には約80℃の温度において、5モル当量のKCNと接触させることを含む。
【0046】
式(2)の化合物の還元は、ニトリル基の還元のために、当業界において知られている還元系を使用して、達成され得る。好ましい還元系は、ラネーニッケルと水素とを用いる還元、カーボン上のパラジウム(いわゆるパラ炭、Pd/C)のような触媒存在下に水素を用いる還元、LiAlH4のようなヒドリド(H−)試薬を使用する還元を包含する。最も好ましいのは、ボラン−THFのようなボランを使用する還元である。パラ炭により触媒される水素化が採用される場合、好ましい条件は、約40℃のような高められた温度において、約0.01〜100モル当量のアンモニア存在下、メタノール溶媒の使用を含む。
【0047】
式(3)の化合物の、式(4)の化合物とのカップリングは、対応するカップリングに関して国際公開第89/07598号パンフレット中に与えられたものに類似の条件を採用してもよい。該条件は好ましくは、トルエンもしくはシクロヘキサンまたはこれらの混合溶媒のような炭化水素溶媒中、式(3)および(4)の化合物を還流させ、次いで、塩酸(HClaq.)のような水性の酸と接触させることを含む。
【0048】
Wが−OP2を表す場合、その保護基は、与えられた保護基の除去のための、当業界において知られた方法によって除去されて、ヒドロキシ基を形成してもよい。例えば、シリル系保護基は、テトラブチルアンモニウムフルオリドのようなフッ化物イオン源との接触により除去されてもよく、ベンジル基は、パラ炭存在下での水素との反応のような、水素による分解により除去されてもよい。
【0049】
Wが−OP2を表す化合物の脱保護により形成される化合物の酸化は、ピラノールの、ピラノンへの酸化のための、当業界において知られている条件を採用してもよく、Comprehensive Organic Transformations, R. C. Larock, 2nd Ed (1999) p 1670, published by Wiley VCH 中に与えられるものを包含し、本明細書において援用される。好ましい酸化系は、Ag2CO3/セライト、特にセライトJ2(Ag2CO3と共に)、臭素(Br2)、スワーン酸化、もしくはデス=マーチン過酸化沃素(periodinane)酸化を包含する。
【0050】
Wが=Oを表す場合の式(5)の化合物の開環、または、式(6)の化合物の開環は、ピラノンの開環のための、当業界において知られている条件を採用してもよい。好ましくは、該環(ピラノン環)は、水酸化ナトリウムのような塩基との接触により、開環される。溶媒としてメタノールが、手軽に用いられる。
【0051】
残った保護基は、与えられた保護基の除去のための、当業界において知られている方法により除去されてもよい。例えば、シリル系保護基は、テトラブチルアンモニウムフルオリドのようなフッ化物イオン源との接触により除去されてもよく、ベンジルエーテルは、水素による分解により除去されてもよく、メチルアセタールは、水性稀釈酸を用いる処理により除去されてもよい。
【0052】
Xが式−COOR4の基を表す場合、これが本方法中のいずれの段階においても、例えば、式(4)、(5)、(6)、もしくは(7)対応化合物の、式HNR5R6の化合物との反応により、Xが−CONR5R6を表す基へと変換されてもよいことが、認識される。
【0053】
Wが−OHを表す場合、式(2)および(3)の化合物も酸化に付されてよく、Wが−O−保護基(P)を表す場合、脱保護および酸化に付されてよく、Wが=Oを表す対応化合物を形成することも、認識される。
【0054】
式(1)の好ましい化合物は、式:
【0055】
【化17】
【0056】
[式中、W、P1、およびYは、前記したとおり]
の化合物である。
【0057】
式(2)の好ましい化合物は、式:
【0058】
【化18】
【0059】
[式中、WおよびP1は、前記したとおり]
の化合物である。
【0060】
式(3)の好ましい化合物は、式:
【0061】
【化19】
【0062】
[式中、WおよびP1は、前記したとおり]
の化合物である。
【0063】
式(5)の好ましい化合物は、式:
【0064】
【化20】
【0065】
[式中、R1、R2、R3、W、X、およびP1は、前記したとおり]
のものである。
【0066】
式(6)の好ましい化合物は、式:
【0067】
【化21】
【0068】
[式中、R1、R2、R3、およびXは、前記したとおり]
のものである。
【0069】
式(7)の好ましい化合物は、式:
【0070】
【化22】
【0071】
[式中、R1、R2、R3、およびXは、前記したとおり]
のものである。
【0072】
式(7)の化合物は有利に、医薬的に許容可能な塩、特にカルシウム塩へと変換される。
【0073】
式(4)の化合物は有利に、J. Med. Chem., 1991, 34, pp 357-366 中に与えられる方法により、調製される。式(4)の特に好ましい化合物は、式:
【0074】
【化23】
【0075】
の化合物である。
【0076】
式(1)の化合物は有利に、例えば米国特許第5,795,749号明細書中に与えられる方法を使用して、アセトアルデヒドや2−ハロアセトアルデヒドの酵素触媒縮合により、調製される。
【0077】
式(2)および(3)、ならびにWが−OP2である場合の式(5)の化合物は、本発明の更なる態様を形作る。
【0078】
式(2)および(3)の好ましい化合物において、P1が保護基であり、好ましくはWが−OP2を表す。P1が保護基でありWが−OP2を表す場合、好ましくはP1とP2とが異なっている。
【0079】
式(2)および(3)のより好ましい化合物は、P1がベンジル基もしくはシリル基で、Wが−OP2を表し、P2がメチル基である化合物である。
【0080】
式(5)の好ましい化合物は、P1が、水素、ベンジル基、もしくはシリル基で、Wが=Oもしくは−OP2を表し、P2がメチル基である化合物である。
【0081】
式(5)のより好ましい化合物は、R1がC1〜6アルキル基であり、R2がアリール基であり、R3がアリール基であり、XがCOZであり、ここで、ZがOR4(R4がアルキル)もしくはZがNR5R6(R5およびR6各々が独立に、水素、アルキル、もしくはアリール)であり、P1が、水素、ベンジル基、もしくはシリル基で、Wが=Oもしくは−OP2を表し、P2がメチル基である化合物である。
【0082】
式(5)の最も好ましい化合物は、R1がイソプロピル基であり、R2がフェニル基であり、R3が4−フルオロフェニル基であり、XがCOZであり、ここで、ZがOR4(R4がメチル基もしくはエチル基)もしくはZがNR5R6(R5が水素でR6がフェニル)、P1が、水素、ベンジル基、もしくはシリル基で、Wが=Oもしくは−OP2を表し、P2がメチル基である化合物である。
【0083】
本発明が、以下の実施例により例示される。
【実施例】
【0084】
実施例1:Y=Cl、P1=H、W=−OP2(P2=Me)である式1の化合物、クロロラクトールメチルアセタール((2S,4R)−2−(クロロメチル)−6−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール)の調製
粗クロロラクトール(15g)をメタノール(MeOH、150mL)に溶解し、硫酸0.1mL存在下に2時間、40℃まで加熱した。溶媒をロータリー・エバポレーターにより除去し、暗褐色の流動性オイルとして生成物を与えた。該生成物をジクロロメタン(DCM)に溶解し、重炭酸ナトリウム(重曹)溶液を用いて洗浄した。溶媒をロータリー・エバポレーターにより除去し、暗褐色の流動性オイルとして生成物を与え、これをカラム・クロマトグラフィーにより精製した(16.1g)。
m/z:179、149、および113;
1Hnmr(CDCl3):3.6〜3.7(m、2H)、4.1(m、1H)、1.5〜1.6(m、2H)、4.0(m、1H)、1.3〜1.6(m、2H)、4.9(m、1H)、3.3および3.5(s、3H);
13Cnmr(CDCl3):32、36、45、55および56、64、65、94
【0085】
実施例2:Y=Cl、P1=ベンジル、W=−OP2(P2=Me)である式1の化合物、O−ベンジル−クロロラクトールメチルアセタール((2S,4R)−4−(ベンジルオキシ)−2−(クロロメチル)−6−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン)の調製
クロロラクトールメチルアセタール(1g)をTHF(5mL)に溶解し、室温において、THF(5mL)中の水素化ナトリウム(NaH、0.33g、鉱油中60%)に付した。ベンジルブロミド(1.9g)を滴下し、全体を2時間80℃まで加熱した。メタノール(2mL)を加え、全体をDCMと水との間で(DCM/水)分配し、次いで、水を用いて洗浄した。有機相を乾燥し、溶媒をロータリー・エバポレーターにより除去し、オレンジ色の流動性オイル(2.1g)を与えた。
m/z:270、238、203、132、91;
1Hnmr(CDCl3):1.6〜2.0(m、4H)、3.4および3.5(s、3H)、3.6(m、2H)、3.8(m、1H)、4.0(m、1H)、4.5(m、2H)、4.7(m、1H)、7.3〜7.5(m、5H);
13Cnmr(CDCl3):32および33、46、55および56、58、66、74、96および98、128〜131
【0086】
実施例3:P1=ベンジル、W=−OP2(P2=Me)である式2の化合物、シアノ−O−ベンジル−ラクトールメチルアセタール([(2R,4R)−4−(ベンジルオキシ)−6−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]アセトニトリル)の調製
O−ベンジル−クロロラクトールメチルアセタール(5g)をカリウムシアニド(青酸カリ、5g)含有DMSO(50mL)に溶解し、80℃において4日間加熱した。次いで、全体をジエチルエーテル(50mL)と水(50mL)との間で分配した。有機相を除去、乾燥し、溶媒をロータリー・エバポレーターにより除去し、暗色のオイルを与え、これをカラム・クロマトグラフィーにより精製した。
m/z:261、229、184、123、107、91;
1Hnmr(CDCl3):1.6〜1.9(m、4H)、2.5(m、2H)、3.4および3.5(s、3H)、3.6(m、1H)、3.8(m、1H)、4.5(s、2H);
13Cnmr(CDCl3):24、34、36、54、56、58、68、73、98および100、117、122〜128
【0087】
実施例4:P1=ベンジル、W=−OP2(P2=Me)である式3の化合物、アミノエチル−O−ベンジル−ラクトールメチルアセタール(2−[(2R,4R)−4−(ベンジルオキシ)−6−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル]エタナミン)の調製
ボラン−THF錯体(1M溶液、1.19mL)を10℃において、窒素置換フラスコへと投入し、THF(2.5mL)により稀釈した。シアノ−O−ベンジル−ラクトールメチルアセタール(0.05g)を10℃において、THF(7.5mL)中へ溶解し、該ボランへ付した。次いで、この結果の混合物を9時間加熱還流した。該混合物を冷却し、メタノール(10mL)を用いて反応を止め、減圧下に濃縮した。更に2回、メタノール(2×10mL)を加え、この混合物を2回濃縮、乾燥させた。最終濃縮物は、オイルを与えた(45mg)。
TLC(CH2Cl2=DCM):Rf=0.05に新たなスポット、ニンヒドリン発色有り(+)、ニトリル体残存せず
m/z:265、233、107、91;
1Hnmr(CDCl3):1.6〜1.9(m、6H)、3.4および3.45(s、3H)、3.5(2H)、3.6(m、1H)、3.8(m、1H)、4.5(s、2H)、4.7(m、1H)、7.1(m、5H);
13Cnmr(CDCl3):24、26、34、36、54、56、58、68、73、98および100、122〜128
【0088】
実施例5:R1=イソプロピル(iPr)、R2=フェニル(Ph)、R3=4−FC6H4、X=エトキシカルボニル(CO2Et)、P1=ベンジル、W=−OP2(P2=Me)である式5の化合物、ピロールエステルO−ベンジル−ラクトールメチルアセタールの調製
アミノエチル−O−ベンジル−ラクトールメチルアセタール(1.00g)をTHF(10mL)に溶解した。ジケトエステル(1.12g)を加え、次いで、酢酸(2mL)を加え、この混合物を2日間80℃まで加熱した。減圧下に濃縮後、この反応全体をジエチルエーテル(10mL)と水(10mL)との間で分配した。有機相を集めて合わせ、乾燥し(MgSO4、硫マグ)、溶媒を減圧下に除去し、褐色のオイルを与え、これをカラム・クロマトグラフィーにより精製した(0.38g)。
m/z:599、567、460、107、91;
1Hnmr(CDCl3):1.15(t、3H)、1.3(d、6H)、1.6〜1.9(m、6H)、3.4および3.45(s、3H)、3.5(2H)、3.6(m、2H)、3.8(m、1H)、4.1(q、2H)、4.5(s、2H)、4.7(m、1H)、7.1(m、14H);
19Fnmr:ジケトエステル体の106ppmから、生成物の115ppmへとシフト
【0089】
実施例6:R1=iPr、R2=Ph、R3=4−FC6H4、X=C(O)NHPh、P1=ベンジル、W=−OP2(P2=Me)である式5の化合物、ピロールアニリドO−ベンジル−ラクトールメチルアセタールの調製
ピロールエステルO−ベンジル−ラクトールメチルアセタール(0.30g)をDMF(5mL)に溶解した。アニリン(1.0g)を加え、この混合物を18時間80℃まで加熱した。冷却および減圧下での濃縮後、この反応全体をジエチルエーテル(5mL)と水(5mL)との間で分配した。有機相を集めて合わせ、水(5mL)を用いて更に洗浄し、乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去し、褐色のオイルを与え、これをカラム・クロマトグラフィーにより精製した(0.26g)。
m/z:646、614、507、107、91;
1Hnmr(CDCl3):1.3(d、6H)、1.6〜1.9(m、6H)、3.4および3.45(s、3H)、3.5(2H)、3.6(m、2H)、3.8(m、1H)、4.5(s、2H)、4.7(m、1H)、6.8(br.s、1H)、7.1(m、19H)
【0090】
実施例7:R1=iPr、R2=Ph、R3=4−FC6H4、X=C(O)NHPh、P1=H、W=−OP2(P2=Me)である式5の化合物、ピロールアニリドOH体ラクトールメチルアセタール(リピトールラクトール−OMe)の調製
ピロールアニリドO−ベンジル−ラクトールメチルアセタール(0.15g)をメタノール(5mL)に溶解した。10%Pd/C(0.1g)を窒素下に加えた。この系を水素置換し、水素雰囲気下に6時間加熱した。濾過により該Pd/Cを除去し、減圧下にこの反応全体を濃縮した後、残渣の褐色オイルをカラム・クロマトグラフィーにより精製した。
m/z:556、524、506;
1Hnmr(CDCl3):1.3(d、6H)、1.6〜1.9(m、6H)、3.4および3.45(s、3H)、3.5(2H)、3.6(m、2H)、3.8(m、1H)、4.7(m、1H)、6.8(br.s、1H)、7.1(m、14H)
【0091】
実施例8:R1=iPr、R2=Ph、R3=4−FC6H4、X=C(O)NHPh、P1=H、W=−OP2(P2=H)である式5の化合物、ピロールアニリドOH体ラクトール(リピトールラクトール)の調製
ピロールアニリドOH体ラクトールメチルアセタール(0.050g)をメタノール(2mL)に溶解し、水(2mL)を加え、次いで、0.1N塩酸(HCl、1mL)を加えた。室温において2時間攪拌した後、この混合物を減圧下に濃縮し、無色オイルとして生成物を与えた。
m/z:542、524、506;
1Hnmr(CDCl3):1.3(d、6H)、1.6〜1.9(m、6H)、3.45(2H)、3.6(m、2H)、3.8(m、1H)、5.0(m、1H)、6.8(br.s、1H)、7.1(m、14H);
13Cnmr(CDCl3):91.6ppm(ラクトールのC);
FTIR:1652cm−1(アミド)
【0092】
実施例9:R1=iPr、R2=Ph、R3=4−FC6H4、X=C(O)NHPh、P1=Hである式6の化合物、ラクトンの調製
ジクロロメタン(DCM、0.5mL)中の該ピロールアニリドOH体ラクトール(35mg、0.065ミリモル)をデス=マーチン過酸化沃素(30mg、0.07ミリモル)に加え、室温において2.5時間攪拌した。この反応を1M苛性ソーダとジエチルエーテルとの間で分配した。次いでこれらの相を分離し、有機相の体積を減圧下に減らし、粗生成物オイルを与えた。
1Hnmr(500MHz、CDCl3):9.8、7.5、7.28、7.2、7.08、7.02、6.98、5.2、4.5、4.1、4.0、3.9、3.2、2.6、2.4、1.6、1.4;
13Cnmr(125.72MHz、DMSO):169.6、165.9、139.3、135.9、134.7、133.3、129.4、128.8、128.4、127.5、127.2、125.3、122.9、120.7、119.3、117.6、115.4、25.5、22.1、22.3、39.5、34.5、72.8、36.8、61.0、38.3
【0093】
実施例10:R1=iPr、R2=Ph、R3=4−FC6H4、X=C(O)NHPhである式7の化合物、アトルバスタチンの調製(ラクトンの加水分解)
該ラクトン(1.1g)をエタノール(EtOH、10mL)に溶解した。水(2mL)およびCa(OH)2(0.15g)を加え、この懸濁を3時間60℃まで加温した。更に10mLの温水を加え、次いで、この混合物が室温までゆっくりと冷めるようにした。生じた沈澱を濾過し、乾燥させ、アトルバスタチンカルシウム塩(0.3g)を与えた。この塩は、オーセンティック・サンプル(基準試料)と混合した時の融点、NMR、および質量分析により、オーセンティック・サンプルと同一であった。
【0094】
実施例11:R1=iPr、R2=Ph、R3=4−FC6H4、X=C(O)NHPh、P1=H、W=−OP2(P2=H)である式5の化合物、ピロールアニリドOH体ラクトール(リピトールラクトール)の、該ラクトン・オーセンティック源からの、独立した(別個の)調製
オーセンティック・サンプルのラクトン(530mg)を無水DMF(5mL)に溶解し、次いで、イミダゾール(174mg)、次いで、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)クロリド(371mg)を加えた。この混合物を室温において攪拌した。6時間後、ジエチルエーテル(Et2O、30mL)および水(30mL)を加えることにより、この反応を止めた。分離した有機相を更に水(2×20mL)を用いて洗浄し、乾燥させ、減圧下に濃縮して、シリル化ラクトンを白色粉末として与えた(470mg、73%)。
【0095】
該シリル化ラクトン(233mg)を無水ジクロロメタン(DCM、5mL)に溶解し、次いで、窒素下に−78℃まで冷却した。ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL、0.31mL、1Mトルエン溶液)を滴下し、この混合物を−78℃において10分間攪拌した。次いで、ロッシェル塩10%水溶液(1mL)を加えることにより、この反応を止め、室温まで戻した。更にジクロロメタン(DCM、10mL)および水(10mL)を加えた後、得られた2相を分離し、有機相を乾燥させ、減圧下に濃縮した。残渣のオイルをカラム・クロマトグラフィーにより精製した(ヘキサン中Et2O50%)。
FTIR:1668cm−1(アミド)。1735cm−1における伸縮(ラクトンのもの)はもはや存在せず。
【0096】
得られたシリル化ラクトール(100mg)を無水THFに溶解した。0℃において、HF.ピリジン(0.1mL)を加え、室温まで戻した。この全体をエーテルおよび重曹溶液を用いてクウェンチした(この反応を止めた)。得られた相(2相)を分離し、水相をエーテルを用いて逆に抽出した。有機相を合わせ、乾燥させ、エバポレーションして、オイルを生成した(75mg)。
m/z:542、524、506;
1Hnmr(CDCl3):1.3(d、6H)、1.6〜1.9(m、6H)、3.45(2H)、3.6(m、2H)、3.8(m、1H)、5.0(m、1H)、6.8(br.s、1H)、7.1(m、14H);
13Cnmr(CDCl3):91.6ppm(ラクトールのC);
FTIR:1652cm−1(アミド)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(7):
【化1】
[式中、R1が水素もしくは炭化水素基を表し、R2が水素もしくは置換基を表し、R3が水素もしくは炭化水素基を表し、Xが水素もしくは置換基を表す]
の化合物もしくはこの塩の調製方法であって:
a)式(1):
【化2】
[式中、Yがハロ基、好ましくはClもしくはBrを表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物をシアノ化し、式(2):
【化3】
の化合物を与え;
b)式(2)の化合物を還元し、式(3):
【化4】
の化合物を与え;
c)式(3)の化合物を、式(4):
【化5】
の化合物とカップリングさせ、式(5):
【化6】
の化合物を与え;
d)Wが−OP2を表す場合、式(5)の化合物を脱保護し、次いで酸化して、式(6):
【化7】
の化合物を与え;
e)式(5)の化合物(Wが=Oを表す場合)もしくは式(6)の化合物を開環反応に付し、残っている全ての保護基を除去し、式(7):
【化8】
の化合物もしくはこの塩を与える
ことを含む調製方法。
【請求項2】
式(7):
【化9】
[式中、R1がC1〜6アルキル基のようなアルキル基、好ましくはイソプロピル基を表し、R2がアリール基、好ましくはフェニル基を表し、R3がアリール基、好ましくは4−フルオロフェニル基を表し、Xが式−COZの基を表し、ここで、Zが−OR4(R4がアルキル基、好ましくはメチル基もしくはエチル基)または−NR5R6(R5およびR6各々が独立に、H、アルキル、もしくはアリール、好ましくは、R5がHでありR6がフェニルである)を表す]
の化合物もしくはこの塩の、請求項1に記載の調製方法であって:
a)式(1):
【化10】
[式中、Yがハロ基、好ましくはClもしくはBrを表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物をシアノ化し、式(2):
【化11】
の化合物を与え;
b)式(2)の化合物を還元し、式(3):
【化12】
の化合物を与え;
c)式(3)の化合物を、式(4):
【化13】
の化合物とカップリングさせ、式(5):
【化14】
の化合物を与え;
d)Wが−OP2を表す場合、式(5)の化合物を脱保護し、次いで酸化して、式(6):
【化15】
の化合物を与え;
e)式(5)の化合物(Wが=Oを表す場合)もしくは式(6)の化合物を開環反応に付し、残っている全ての保護基を除去し、式(7):
【化16】
の化合物もしくはこの塩を与える
ことを含む調製方法。
【請求項3】
R1がイソプロピル基であり、R2がフェニル基であり、R3が4−フルオロフェニル基であり、Xが、−CO2Me基、−CO2Et基、もしくは−CONHPh基である、請求項2に記載の調製方法。
【請求項4】
式(2):
【化17】
の化合物の調製方法であって、式(1):
【化18】
[式中、Yがハロ基、好ましくはClもしくはBrを表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物をシアノ化することを含む調製方法。
【請求項5】
式(3):
【化19】
の化合物の調製方法であって、式(2):
【化20】
[式中、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物の還元を含む調製方法。
【請求項6】
P1がベンジル基もしくはシリル基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2がメチル基を表す、請求項4または5に記載の調製方法。
【請求項7】
式(5):
【化21】
の化合物の調製方法であって、式(3):
【化22】
の化合物を、式(4):
【化23】
の化合物とカップリングさせることを含み、式中、R1がC1〜6アルキル基のようなアルキル基、好ましくはイソプロピル基を表し、R2がアリール基、好ましくはフェニル基を表し、R3がアリール基、好ましくは4−フルオロフェニル基を表し、Xが式−COZの基を表し、ここで、Zが−OR4(R4がアルキル基、好ましくはメチル基もしくはエチル基)または−NR5R6(R5およびR6各々が独立に、H、アルキル、もしくはアリールを表し、好ましくは、R5がHでありR6がフェニルである)を表し、P1が水素もしくは保護基、好ましくはベンジル基もしくはシリル基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここで、P2が水素もしくは保護基を表し、好ましくは、P2がメチル基であるOP2を表す調製方法。
【請求項8】
式(2):
【化24】
[式中、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物。
【請求項9】
P1が保護基であり、好ましくはWが−OP2を表し、より好ましくはP1とP2とが異なっている、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
P1がベンジル基もしくはシリル基であり、Wが−OP2を表し、ここでP2がメチル基である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
式(3):
【化25】
[式中、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物。
【請求項12】
P1が保護基であり、好ましくはWが−OP2を表し、より好ましくはP1とP2とが異なっている、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
P1がベンジル基もしくはシリル基であり、Wが−OP2を表し、ここでP2がメチル基である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
式(5):
【化26】
[式中、R1がC1〜6アルキル基のようなアルキル基、好ましくはイソプロピル基を表し、R2がアリール基、好ましくはフェニル基を表し、R3がアリール基、好ましくは4−フルオロフェニル基を表し、Xが式−COZの基を表し、ここで、Zが−OR4(R4がアルキル基、好ましくはメチル基もしくはエチル基)または−NR5R6(R5およびR6各々が独立に、H、アルキル、もしくはアリールを表し、好ましくは、R5がHでありR6がフェニルである)を表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが−OP2を表し、ここで、P2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物。
【請求項1】
式(7):
【化1】
[式中、R1が水素もしくは炭化水素基を表し、R2が水素もしくは置換基を表し、R3が水素もしくは炭化水素基を表し、Xが水素もしくは置換基を表す]
の化合物もしくはこの塩の調製方法であって:
a)式(1):
【化2】
[式中、Yがハロ基、好ましくはClもしくはBrを表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物をシアノ化し、式(2):
【化3】
の化合物を与え;
b)式(2)の化合物を還元し、式(3):
【化4】
の化合物を与え;
c)式(3)の化合物を、式(4):
【化5】
の化合物とカップリングさせ、式(5):
【化6】
の化合物を与え;
d)Wが−OP2を表す場合、式(5)の化合物を脱保護し、次いで酸化して、式(6):
【化7】
の化合物を与え;
e)式(5)の化合物(Wが=Oを表す場合)もしくは式(6)の化合物を開環反応に付し、残っている全ての保護基を除去し、式(7):
【化8】
の化合物もしくはこの塩を与える
ことを含む調製方法。
【請求項2】
式(7):
【化9】
[式中、R1がC1〜6アルキル基のようなアルキル基、好ましくはイソプロピル基を表し、R2がアリール基、好ましくはフェニル基を表し、R3がアリール基、好ましくは4−フルオロフェニル基を表し、Xが式−COZの基を表し、ここで、Zが−OR4(R4がアルキル基、好ましくはメチル基もしくはエチル基)または−NR5R6(R5およびR6各々が独立に、H、アルキル、もしくはアリール、好ましくは、R5がHでありR6がフェニルである)を表す]
の化合物もしくはこの塩の、請求項1に記載の調製方法であって:
a)式(1):
【化10】
[式中、Yがハロ基、好ましくはClもしくはBrを表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物をシアノ化し、式(2):
【化11】
の化合物を与え;
b)式(2)の化合物を還元し、式(3):
【化12】
の化合物を与え;
c)式(3)の化合物を、式(4):
【化13】
の化合物とカップリングさせ、式(5):
【化14】
の化合物を与え;
d)Wが−OP2を表す場合、式(5)の化合物を脱保護し、次いで酸化して、式(6):
【化15】
の化合物を与え;
e)式(5)の化合物(Wが=Oを表す場合)もしくは式(6)の化合物を開環反応に付し、残っている全ての保護基を除去し、式(7):
【化16】
の化合物もしくはこの塩を与える
ことを含む調製方法。
【請求項3】
R1がイソプロピル基であり、R2がフェニル基であり、R3が4−フルオロフェニル基であり、Xが、−CO2Me基、−CO2Et基、もしくは−CONHPh基である、請求項2に記載の調製方法。
【請求項4】
式(2):
【化17】
の化合物の調製方法であって、式(1):
【化18】
[式中、Yがハロ基、好ましくはClもしくはBrを表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物をシアノ化することを含む調製方法。
【請求項5】
式(3):
【化19】
の化合物の調製方法であって、式(2):
【化20】
[式中、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物の還元を含む調製方法。
【請求項6】
P1がベンジル基もしくはシリル基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2がメチル基を表す、請求項4または5に記載の調製方法。
【請求項7】
式(5):
【化21】
の化合物の調製方法であって、式(3):
【化22】
の化合物を、式(4):
【化23】
の化合物とカップリングさせることを含み、式中、R1がC1〜6アルキル基のようなアルキル基、好ましくはイソプロピル基を表し、R2がアリール基、好ましくはフェニル基を表し、R3がアリール基、好ましくは4−フルオロフェニル基を表し、Xが式−COZの基を表し、ここで、Zが−OR4(R4がアルキル基、好ましくはメチル基もしくはエチル基)または−NR5R6(R5およびR6各々が独立に、H、アルキル、もしくはアリールを表し、好ましくは、R5がHでありR6がフェニルである)を表し、P1が水素もしくは保護基、好ましくはベンジル基もしくはシリル基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここで、P2が水素もしくは保護基を表し、好ましくは、P2がメチル基であるOP2を表す調製方法。
【請求項8】
式(2):
【化24】
[式中、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物。
【請求項9】
P1が保護基であり、好ましくはWが−OP2を表し、より好ましくはP1とP2とが異なっている、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
P1がベンジル基もしくはシリル基であり、Wが−OP2を表し、ここでP2がメチル基である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
式(3):
【化25】
[式中、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが=Oもしくは−OP2を表し、ここでP2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物。
【請求項12】
P1が保護基であり、好ましくはWが−OP2を表し、より好ましくはP1とP2とが異なっている、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
P1がベンジル基もしくはシリル基であり、Wが−OP2を表し、ここでP2がメチル基である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
式(5):
【化26】
[式中、R1がC1〜6アルキル基のようなアルキル基、好ましくはイソプロピル基を表し、R2がアリール基、好ましくはフェニル基を表し、R3がアリール基、好ましくは4−フルオロフェニル基を表し、Xが式−COZの基を表し、ここで、Zが−OR4(R4がアルキル基、好ましくはメチル基もしくはエチル基)または−NR5R6(R5およびR6各々が独立に、H、アルキル、もしくはアリールを表し、好ましくは、R5がHでありR6がフェニルである)を表し、P1が水素もしくは保護基を表し、Wが−OP2を表し、ここで、P2が水素もしくは保護基を表す]
の化合物。
【公表番号】特表2006−528655(P2006−528655A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521652(P2006−521652)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003206
【国際公開番号】WO2005/012246
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(506028100)アヴェシア・ファーマシューティカルズ・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】AVECIA PHARMACEUTICALS LIMITED
【住所又は居所原語表記】PO Box 42, Hexagon Tower, Blackley, Manchester M9 8ZS, United Kingdom
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003206
【国際公開番号】WO2005/012246
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(506028100)アヴェシア・ファーマシューティカルズ・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】AVECIA PHARMACEUTICALS LIMITED
【住所又は居所原語表記】PO Box 42, Hexagon Tower, Blackley, Manchester M9 8ZS, United Kingdom
【Fターム(参考)】
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