説明

スタッカー

【課題】本発明は、紙片を整然と整列した状態で綺麗に積載できるスタッカーを提供することを課題とする。
【解決手段】紙片を積載する底面部27と、底面部27の一側に配置され、紙片64の幅方向一側端を当接させてガイドする側面部28と、紙片64を底面部27に搬送する搬送部22と、少なくとも第1のローラ体41および第2のローラ体42からなり、搬送部22とで紙片64を挟持することで底面部27に向かって紙片64を引き込む引き込みローラ36と、を有し、第1のローラ体41は、第2のローラ体42よりも側面部28から離れた位置に位置し、かつ第2のローラ体42よりも摩擦力が高い材質からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ等から排出された紙片を引込み、順次積載するスタッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
スタッカーは、プリンタに接続され、プリンタで印字され、切断された複数枚の紙片を順次積載し、これらの紙片を積載した束として纏めることで用紙の取り扱いを容易とする目的として使われている。
例えば、特許文献1には、長尺状の連続紙をロール状に巻回したロール紙を回転可能に保持し、連続紙上に所定の情報を印字後に一単位の紙片毎に切断するプリンタに接続したスタッカーが開示され、このスタッカーは、主として紙片を積載する底板と、底板の一側に配置された側壁板と、底板上に紙片を引き込むためのフィードローラおよびニップローラを有している。
【0003】
【特許文献1】特開平10−157908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプリンタにはロール紙を装填しており、カッターユニットで所定長さに切断された紙片はロール紙の巻き方向にカールした状態でフィードローラとニップローラで挟み込んで引き込む際に紙片が側壁板とは離れる方向に斜めに搬送され、整然と整列した状態で紙片を積載できない恐れがあった。
また、特にプリンタから排出される速度が速い場合において、側壁板とは離れる方向に斜めに搬送され、用紙ジャムの原因となっていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、紙片を整然と整列した状態で綺麗に積載できるスタッカーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るスタッカーは、紙片を積載する底面部と、紙片を前記底面部に搬送する搬送部と、底面部の一側に配置され、紙片の幅方向一側端を当接させてガイドする側面部と、前記搬送部と協働して紙片を前記底面部に向かって引き込む引き込みローラとを有するスタッカーであって、前記引き込みローラは、複数のローラ体より構成され、前記スタッカーの側面部から離れた位置に位置するローラ体の摩擦力が前記側面部側に位置するローラ体の摩擦力が大きいことを特徴とする。
また、前記スタッカーの側面部から離れた位置に位置するローラ体はゴム材料で形成され、前記側面部側に位置するローラ体はプラスチック材料で形成されていることを特徴とする。
また、前記搬送部によって底面部上に搬送される紙片の前端を当接させてガイドし、前記底面部に着脱可能な用紙ストッパーをさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
複数のローラ体より構成した引き込みローラのスタッカーの側面部から離れた位置に位置するローラ体の摩擦力が前記側面部側に位置する他のローラ体の摩擦力よりも大きくしたので側面部側に位置する他のローラ体よりも側面部から離れた位置に位置するローラ体による搬送距離が長くなり、紙片の積載基準面となる側面部方向に向かって紙片を搬送することで整然と整列した状態で紙片を積載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施の形態に係るスタッカーおよびスタッカーに接続したプリンタの概略側断面図で、図2はスタッカーの概略斜視図である。
図1に示すようにスタッカー20は、プリンタ1に接続され、このプリンタ1から排出される単葉用紙を順次下から積み上げるように構成されている。
【0009】
まず、プリンタ1は、主として長尺状の連続紙61をロール状に巻回したロール紙60を回転可能に支持する供給部2と、ロール紙60から引き出される連続紙61の位置を検出するセンサ3と、連続紙61に印字を施すとともに搬送する印字部4と、インクリボン66を印字部4に供給し、巻き取るインクリボンユニット5と、連続紙61を所定長さの紙片64(図2参照)として切断する切断部6を有している。
【0010】
供給部2は、ロール紙60を保持する図示しない用紙供給軸から構成され、ロール紙60を用紙供給軸に回転可能に支持する。
【0011】
センサ3は、光反射型センサであり、連続紙61に向かって光を出射する発光部と、発光部から出射された光を受光する受光部から構成されている。尚、連続紙61には、その長手方向に一定間隔で印刷された図示しない位置検出マークが設けられており、この位置検出マークをセンサ3で検出することで連続紙61の位置を認識可能に構成されている。
また、連続紙61に孔を設け、この孔を挟む対向位置に発光部と受光部をそれぞれ配置した光透過型センサとしても良い。
【0012】
印字部4は、インクリボン66に熱を与えて連続紙61にインクを転写させることで印字を行うサーマルヘッド7と、サーマルヘッド7に対向配置され、図示しないモータに接続して回転駆動することにより連続紙61をスタッカー20に向かって搬送するプラテンローラ8を有している。
【0013】
インクリボンユニット5は、リボン供給部9とリボン巻取部10を有し、ロール状に巻回されたインクリボン66をリボン供給部9からサーマルヘッド7を介してリボン巻取部10に保持し、図示しないモータに接続されたリボン巻取部10を回転駆動させることによりインク転写後のインクリボン66をリボン巻取部10に巻き取る。
【0014】
切断部6は、固定刃およびこの固定刃に対して進退移動可能な可動刃を有するギロチン式のカッタであり、連続紙61を所定長さの紙片64に切断する。尚、切断部6は、固定刃の刃先に沿って回転移動する可動刃を有するサークルカッタやロータリカッタ等公知のカッタでも良い。
【0015】
プリンタ1は、図示しない制御部を備え、制御部は、所定の制御プログラムを記憶するROMと、ROMに記憶されている制御プログラムに従って動作し、各部を制御するCPUと、CPUが動作する上で必要となる各種データを記憶するRAMと、モータにパルス信号を供給し、プラテンローラ8による連続紙61の搬送を制御する搬送制御部と、CPUから供給される印字すべき文字、図形などの印字データに対応する制御信号を生成してサーマルヘッド7に供給し、印字動作を行わせる印字制御部と、CPUの制御下、センサ3の発光部を制御し、連続紙61に向かって光を出射させるとともに、受光部から出力される電気信号を受け取り、デジタルのデータに変換してCPUに供給する検出部と、現在の日時を計時するカレンダICと、プリンタ1の各種設定情報などを記憶するフラッシュROMと、スタッカー20やホストコンピュータなどと接続し、スタッカー20との通信やホストコンピュータからの印字データを受信するインタフェースと、を有している。
これら各部は、データバスを介してCPUに接続され、CPUの管理下においてインタフェースから受信した印字データに従ってサーマルヘッド7により連続紙61に印字を行い、切断部6により長尺状の連続紙61を所定長さの紙片64として切断する。
【0016】
プリンタ1の切断部6で切断された紙片64は、プリンタ1の連続用紙61の搬送方向下流側に配置されたスタッカー20に順次積載される。図2は、スタッカーの概略斜視図であり、図1および図2に基づきスタッカーの構成について説明する。
スタッカー20は、主としてスタッカー本体21と、搬送部22と、駆動部23と、用紙押さえ部24と、フルスタック検出部25と、用紙ストッパー26を有している。
スタッカー本体21は、紙片64を積載する底面部27と、底面部27の一側に配置され、紙片64の幅方向一側端を当接させてガイドする側面部28を有している。
底面部27には、後述する搬送部22の複数の搬送ベルト34を底面部27よりも上方に表出させる複数の長孔29が紙片64の搬送方向に沿って形成されている。また、底面部27の紙片64を積載する積載面は金属材質からなり、紙片64の搬送方向下流側が上流側よりも低く傾斜している。尚、底面部27の内部には駆動部23が配置されている。
側面部28は、底面部27に対して垂直方向に形成されたガイド孔30と、ガイド孔30と平行に配置され、底面部27上に積載される紙片64の長手方向の(上流側)端部をガイドするガイド板31を側面部28から突出させて設けている。また、側面部28の内部に配置され、ガイド孔30の底面部27から離反した端部(最上端)位置にフルスタック検出部25が配置されている。
【0017】
搬送部22は、駆動部23であるモータ32にタイミングベルト40を介して接続され、モータ32の駆動に伴い回転駆動する駆動ローラ33と、駆動ローラ33に搬送ベルト34を介して接続され、搬送ベルト34によって駆動ローラ33と同期して回転する搬送ローラ35、35を有し、駆動ローラ33を図1における反時計方向に回転させることで搬送ベルト34によって紙片64を用紙ストッパー26に当接する位置まで搬送する。
また、駆動ローラ33の上方近傍には紙片64の表面を押える引込みローラ36が設けられ、引込みローラ36と駆動ローラ33位置の搬送ベルト34によって紙片64を挟みこんで底面部27上へ紙片64を引込む構成となっている。尚、搬送ベルト34および駆動ローラ33および搬送ローラ35、35から構成される搬送部22を底面部27に複数(本実施の形態では3つ)設け、紙片64の搬送を安定化させている。
【0018】
引込みローラ36は、側面部28に支持され、回転中心としての軸43と、軸43の長手方向に設けた第1のローラ体41と第2のローラ体42を有している。第1のローラ体41は、側面部28側に位置し、その外周面がゴム材料により形成され、第2のローラ体42は、側面部28から離れた位置に位置し、その外周面がプラスチック材料により形成されている。
【0019】
用紙押さえ部24は、底面部27に積載される紙片64の表面を押さえ、ロール紙60のロール方向にカールした紙片64のカールの影響を最小限に抑え、紙片64を整然と整列させて積載する役目を果たしている。また、用紙押さえ部24は、側面部28に設けられたガイド孔30に沿って上下動可能であり、側面部28内部側に設けた図示しない錘が固定されている。用紙押さえ部24は、底面部27に順次積載される紙片64によってガイド孔30に沿って少しずつ上方に持ち上げられ、錘の重量によって用紙押さえ部24を介して紙片64を底面部27側に常時押付けることによりカールをできるだけ水平な状態に矯正する。
【0020】
フルスタック検出部25は、ガイド孔30の最上端近傍に位置し、用紙押さえ部24に当接することで検出信号を発するマイクロスイッチであり、この検出信号はスタッカー20の底面部27上に最大量の紙片64を積層した(フルスタック)ことを示す検出信号である。この検出信号によりスタッカー20の動作を停止させると共に、インタフェースを介して接続されたプリンタ1の制御部に検出信号を発することでプリンタ1の動作を停止させる。
【0021】
用紙ストッパー26は、搬送部22によって底面部27上に搬送される紙片64の前端を当接させてガイドする用紙前端ストッパー37と、用紙前端ストッパー37に対して着脱可能な用紙側面ガイド38を有している。用紙前端ストッパー37は、底面部27に当接する底位置に図示しない磁石を備えており、金属材質で構成された底面部27の積載面に対して着脱可能に構成され、底面部27に積層される紙片64の長手方向の長さに応じて用紙前端ストッパー37の用紙搬送方向の位置を任意の位置に固定することができる。また、用紙前端ストッパー37には位置決め溝39が設けられており、用紙側面ガイド38の図示しない凸部が位置決め溝39に係合することで用紙側面ガイド38を用紙前端ストッパー37の幅方向の任意の位置に位置決め可能に構成され、底面部27に積層される紙片64の幅方向の長さに応じて用紙側面ガイド38の用紙搬送方向と直交する方向の位置を任意の位置に固定することができる。
【0022】
以上のように構成したスタッカーによる紙片の積載動作について説明する。プリンタ1から排出された紙片64は、引込みローラ36および駆動ローラ33位置の搬送ベルト34に挟持され、搬送ベルト34によって用紙ストッパー26(下流)側に搬送される。このとき、紙片64の先端が用紙ストッパー26に当接するまで引込みローラ36である第1のローラ41と第2のローラ体42に搬送され、プラスチック材料で形成された第2のローラ42よりもゴム材料で形成された第1のローラ体41が摩擦力が高いので、第2のローラ42よりも第1のローラ41の方が紙片64を搬送する距離が長くなる。すなわち、図2に示す矢印方向である側面部28に向かって紙片64を搬送することで、紙片64が用紙ストッパー26に当接するまで側面部28にガイドされながら搬送され、整然と整列した状態で底面部27上に紙片64が積載される。次いで、順次紙片64が引き込みローラ36によって引き込まれ、すでに積載された紙片64の下側に入り込んで積載され、積載量が増えるに従って用紙押さえ部24をガイド孔30に沿って上方に押し上げていく。用紙押さえ部24がガイド孔30の最上端位置まで押し上げられると、フルスタック検出部25が検出信号を発し、スタッカー20とプリンタ1の動作を停止させ、紙片64の積載動作を停止させる。
【0023】
本発明の実施の形態において、プリンタ1から排出される紙片64をスタッカー20側に引き込む、第1のローラ体41と第2のローラ体42を摩擦力の異なる材質で形成し、
スタッカー20の側面部28から離れた位置に配置された第1のローラ体41を側面部28から近い位置に配置された第2のローラ体42よりも摩擦力の高い材質で構成したことで、第2のローラ体42よりも第1のローラ体41による搬送距離が長くなり、紙片64の積載基準面となる側面部28方向に向かって紙片64を搬送し、整然と整列した状態で紙片64を積載することができる。
【0024】
また、本発明の実施の形態において、第1のローラ体41をゴム材料、第2のローラ体42をプラスチック材料としたが、これに限定するものではなく第1のローラ体41が第2のローラ体42よりも摩擦力が高い材質となるような組み合わせであれば他の材質からなるローラ体であっても良い。
【0025】
また、本発明の実施の形態において、引き込みローラ36を第1のローラ体41と第2のローラ42の2つのローラ体を有する構成としたが、2つ以上の複数のローラ体を有する構造としても良い。例えば、側面部から離れた第1のローラ体と、側面部に近い第3のローラ体と、第1のローラ体および第3のローラ体の間に位置する第2のローラから構成し、第2のローラ体を第3のローラ体よりも摩擦力を大きく、かつ第1のローラ体を第2のローラ体よりも摩擦力を大きくするように構成しても良い。この3つのローラ体から構成することで、側面部から第1のローラ体までの距離よりも幅方向のサイズが小さい紙片であっても、第2のローラ体と第3のローラ体で底面部に引き込むため、どんな幅サイズの紙片でも整然と整列させることができる。
【0026】
また、本発明の実施の形態において、引き込みローラ36を回転軸を中心として回転可能に構成したが、図示しない駆動機構によって回転駆動させても良い。
【0027】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態によるスタッカーおよびスタッカーに接続したプリンタの概略側断面図である。
【図2】スタッカーの概略斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 プリンタ
2 供給部
3 センサ
4 印字部
5 インクリボンユニット
6 切断部
7 サーマルヘッド
8 プラテンローラ
9 リボン供給軸
10 リボン巻取軸
20 スタッカー
21 スタッカー本体
22 搬送部
23 駆動部
24 用紙押さえ部
25 フルスタック検出部
26 用紙ストッパー
27 底面部
28 側面部
29 長孔
30 ガイド孔
31 ガイド板
32 モータ
33 駆動ローラ
34 搬送ベルト
35 搬送ローラ
36 引込みローラ
37 用紙前端ストッパー
38 用紙側面ガイド
39 位置決め溝
40 タイミングベルト
60 ロール紙
61 連続紙
64 紙片
66 インクリボン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙片を積載する底面部と、
紙片を前記底面部に搬送する搬送部と、
底面部の一側に配置され、紙片の幅方向一側端を当接させてガイドする側面部と、
前記搬送部と協働して紙片を前記底面部に向かって引き込む引き込みローラとを有するスタッカーであって、
前記引き込みローラは、複数のローラ体より構成され、前記スタッカーの側面部から離れた位置に位置するローラ体の摩擦力が前記側面部側に位置するローラ体の摩擦力が大きいことを特徴とするスタッカー。
【請求項2】
前記スタッカーの側面部から離れた位置に位置するローラ体はゴム材料で形成され、前記側面部側に位置するローラ体はプラスチック材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載のスタッカー。
【請求項3】
前記搬送部によって底面部上に搬送される紙片の前端を当接させてガイドし、前記底面部に着脱可能な用紙ストッパーをさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載のスタッカー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−290879(P2008−290879A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141003(P2007−141003)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【Fターム(参考)】