説明

ステアリングスイッチ

【課題】この発明は、不意に振動が伝わっても確実且つ簡単に操作でき車両の走行安全性を損なうことのないステアリングスイッチを提供することを課題とする。
【解決手段】車両のステアリングに取り付けられるステアリングスイッチ10は、ステアリングを握った手の親指によって操作される操作片11を有する。操作片11は、第1保持部材に対して突没可能に保持されており、上下左右方向に揺動可能となっている。操作片11の端部は指の腹に沿って湾曲して凹んでおり、その左右方向両端に突起11bが突設されている。このステアリングスイッチ10は、押し込み方向、および上下左右4方向への傾倒を検知してスイッチングされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のステアリングスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のステアリングスイッチとして、例えば、下記特許文献1に開示されたスイッチ構造が知られている。このスイッチ構造は、オーディオ用スイッチやカーナビ用スイッチなど多数のスイッチをステアリングに備え付けたものである。
【0003】
オーディオ用スイッチとしては、CD、MD、カセットテープを選択するためのスイッチ、ボリュームを調整するためのスイッチ、選局の際に使用されるスイッチなどがある。また、カーナビ用スイッチとしては、音声入力の際に使用するスイッチ、地図を広域表示または詳細表示するためのスイッチ、現在地を表示させるためのスイッチ、音声案内をもう一度聞くためのスイッチなどがある。
【0004】
つまり、この特許文献1に開示されたスイッチ構造では、スイッチを操作する際に、複数のスイッチの間で指を頻繁に移動させる必要がある。
【特許文献1】特開2001−171525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、車両の走行中に複数のスイッチを操作する場合、手元に視線を移してスイッチの場所を確認する必要があり、安全走行に支承をきたす可能性がある。また、スイッチの場所を覚えれば手探りである程度操作可能となるが、車両のステアリングには、悪路を走行中など、不意に振動が伝わることがあり、このような場合、一旦スイッチから指を離してしまうと、次に操作したいスイッチの場所を目視により確認する必要がある。
【0006】
この発明の目的は、不意に振動が伝わっても確実且つ簡単に操作でき車両の走行安全性を損なうことのないステアリングスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のステアリングスイッチは、車両のステアリングを握る手の親指によって操作される操作片と、この操作片をその押し込み方向に突没可能に保持する第1保持部材と、上記操作片を上下に揺動させる方向に上記第1保持部材を揺動可能に保持した第2保持部材と、上記操作片を左右に揺動させる方向に上記第2保持部材を揺動可能に保持した第3保持部材と、上記操作片が押し込まれたことを検知する第1検知部と、上記操作片が上方に揺動されたことを検知する第2検知部と、上記操作片が下方に揺動されたことを検知する第3検知部と、上記操作片が右方に揺動されたことを検知する第4検知部と、上記操作片が左方に揺動されたことを検知する第5検知部と、を有する。
【0008】
上記発明によると、ステアリングを握って親指の腹を操作片に接触させた状態のまま、複数種類のスイッチ操作ができる。つまり、操作片を押し込む動作を第1検知部で検知でき、操作片を上方に揺動させる動作を第2検知部で検知でき、操作片を下方へ揺動させる動作を第3検知部で検知でき、操作片を右方へ揺動させる動作を第4検知部で検知でき、操作片を左方へ揺動させる動作を第5検知部で検知できる。このため、親指を操作片から離すことなく5つのスイッチング動作を行うことができ、たとえ、車両の走行時にステアリングに振動が伝わる条件下であっても、手元を目視確認する必要がなく、確実且つ簡単なスイッチ操作が可能となる。
【0009】
特に、5つのスイッチング動作は、全て、操作片を押し込む動作を基本としており、ステアリングをしっかり握った状態で無理のない操作が可能となる。つまり、操作片を第1保持部材に押し込む動作の他に、操作片を揺動させる動作は、操作片を所望する方向にわずかに傾けながら押圧することで実施できる。このため、ステアリングを握る動作に連動して5つのスイッチング動作が可能となる。
【0010】
また、本発明のステアリングスイッチは、車両のステアリングを握る手の親指によって操作される操作片と、この操作片を左右方向にスライド可能に支持した支持部材と、この支持部材を上記操作片の押し込み方向に突没可能に且つ上下方向に揺動可能に保持した保持部材と、上記操作片が押し込まれたことを検知する第1検知部と、上記操作片が上方に揺動されたことを検知する第2検知部と、上記操作片が下方に揺動されたことを検知する第3検知部と、上記操作片が右方にスライドされたことを検知する第4検知部と、上記操作片が左方にスライドされたことを検知する第5検知部と、を有する。
【0011】
上記発明によると、ステアリングを握って親指の腹を操作片に接触させた状態のまま、複数種類のスイッチ操作ができる。つまり、操作片を押し込む動作を第1検知部で検知でき、操作片を上方に揺動させる動作を第2検知部で検知でき、操作片を下方へ揺動させる動作を第3検知部で検知でき、操作片を右方へスライドさせる動作を第4検知部で検知でき、操作片を左方へスライドさせる動作を第5検知部で検知できる。このため、親指を操作片から離すことなく5つのスイッチング動作を行うことができ、たとえ、車両の走行時にステアリングに振動が伝わる条件下であっても、手元を目視確認する必要がなく、確実且つ簡単なスイッチ操作が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
この発明のステアリングスイッチは、上記のような構成および作用を有しているので、不意に振動が伝わっても確実且つ簡単に操作でき、車両の走行安全性を損なうことがない。また、この発明のステアリングスイッチによると、接触部を軸方向に押し込む操作を「機能実行」とすることで、機能の選択から実行までをこのスイッチのみで完結することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1には、この発明の第1の実施の形態に係るステアリングスイッチ10を備えたステアリング1の外観斜視図を示してある。ここでは、ステアリングスイッチ10を左手の親指で操作可能なように、ステアリング1の左側に片寄った位置に配置した例について説明するが、右手の親指で操作するようにステアリング1の右側に片寄った位置にステアリングスイッチ10を設けても良い。
【0014】
本実施の形態のステアリングスイッチ10は、ステアリングホイール2を握った運転者の左手の親指で操作可能な位置、具体的には、ステアリングホイール2の内側にある4本のスポークのうち左手に近い横方向に延びたスポーク4に取り付けられている。
【0015】
図2には、上述したステアリングスイッチ10の外観斜視図を示してある。また、図3には、このステアリングスイッチ10の分解斜視図を示してある。なお、図3では、図示明瞭化のため後述するケース19の図示を省略してある。このケース19は、この発明の第3保持部材として機能する。
【0016】
図2に示すように、ステアリングスイッチ10は、左手の親指によって操作される略矩形板状の操作片11を有する。この操作片11は、その長手方向が左右方向に延び且つその厚さ方向が上下方向に向く姿勢で、ケース19の前面19aにある十字形の開口19b(以下、十字開口19bと称する)から突出するように設けられている。なお、この操作片11は、十字開口19bに沿って、矢印で図示した上下左右方向に揺動可能である。
【0017】
この操作片11の親指が接触する端面には、親指の腹に沿って凹んだ凹部11aが設けられている。言い換えると、操作片11の端面にある凹部11aの左右両側には、指を引掛けるための2つの突起11bが突設されている。これら2つの突起11bは、後述するように操作片11を左右に揺動させる際に、凹部11aに接触している親指を引掛けるよう機能する。
【0018】
このように、操作片11の端面に上述した凹部11aおよび2つの突起11bを設けたため、凹部11aに指を接触させた運転者は、操作片11の適当な揺動方向を指の感触で容易に判断できる。また、操作片11の2つの突起11bが親指を引掛けるよう機能するため、特に操作片11を左右に揺動させる際に指がずれることがない。さらに、操作片11の厚さ方向が上下の揺動方向となっているため、操作片11を上下に揺動させる際に親指を引掛け易い。
【0019】
この操作片11の基端部は、図3に示すように、第1保持部材12によって突没可能に保持されている。第1保持部材12は、親指によって操作片11の端面が押されていないとき、操作片11を図1に示すホーム位置へ突出させる図示しない復帰ばねを収容している。つまり、第1保持部材12が、親指によって押し込まれた操作片11の基端部を受け入れるとともに、復帰ばねは、操作片11が押し込まれて指が離れた後、図1に示すホーム位置へ操作片11を復帰させるよう機能する。なお、第1保持部材12の左右両端には、操作片11を上下に揺動させる際の回転中心となる回転軸12aが突設されている。
【0020】
このように操作片11を保持した第1保持部材12は、左右2つの回転軸12aを介して、略矩形枠状の第2保持部材14の内側に揺動可能に取り付けられている。つまり、操作片11を上下に揺動させると、第1保持部材12が回転軸12aを中心に第2保持部材14に対して上下方向に揺動する。なお、第2保持部材14の下壁および上壁には、操作片11を左右に揺動させる際の回転中心となる回転軸14aが突設されている。
【0021】
そして、第1保持部材12を上下方向に揺動可能に保持した第2保持部材14は、上下2つの回転軸14aを介して、ケース19の内側に揺動可能に取り付けられている。つまり、操作片11を左右に揺動させると、第1保持部材12を保持した第2保持部材14が回転軸14aを中心にケース19に対して左右方向に揺動する。
【0022】
一方、ケース19の前面19aに形成された十字開口19bは、操作片11を挿通するとともに操作片11の上下左右方向への揺動を許容する。このように、ケース19内に複数の構成要素を収容したステアリングスイッチ10は、操作片11がステアリング1の前面に露出するよう、スポーク4に埋設されている。
【0023】
また、図3で第2保持部材14の下方には、5つの変形凸部16a〜16eを有する矩形のラバーコンタクト16、および上記各変形凸部16a〜16eに対向する5つの導通電極18a〜18eを有する基板18が配置されている。これらラバーコンタクト16および基板18は、ケース19内に収容配置される。また、第2保持部材14の内側で第1保持部材12とラバーコンタクト16との間には、4本の押圧ピン13b、13c、13d、13eが設けられている。
【0024】
押圧ピン13bは、操作片11が上方に揺動されて第1保持部材12が回転軸12aを中心に揺動されたとき、第1保持部材12によって軸方向に押圧され、対応する変形凸部16bを押し込む。押圧ピン13cは、操作片11が下方に揺動されて第1保持部材12が回転軸12aを中心に揺動されたとき、第1保持部材12によって軸方向に押圧され、対応する変形凸部16cを押し込む。押圧ピン13dは、操作片11が右方に揺動されて第2保持部材14とともに第1保持部材12が回転軸14aを中心に揺動されたとき、第1保持部材12によって軸方向に押圧され、対応する変形凸部16dを押し込む。押圧ピン13eは、操作片11が左方に揺動されて第2保持部材14とともに第1保持部材12が回転軸14aを中心に揺動されたとき、第1保持部材12によって軸方向に押圧され、対応する変形凸部16eを押し込む。
【0025】
また、操作片11の第1保持部材12によって保持された図示しない基端部には、操作片11を真っ直ぐ押し込んだときに、ラバーコンタクト16のもう1つの変形凸部16aを押し込む押圧ピン12bが突設されている。つまり、操作片11を押し込んだとき、操作片11を上方に揺動させたとき、操作片11を下方へ揺動させたとき、操作片11を右方へ揺動させたとき、および操作片11を左方へ揺動させたときに、ラバーコンタクト16の5つの変形凸部16a〜16eが選択的に押し込まれるようになっている。
【0026】
これら5つの変形凸部16a〜16eの内面には、導通を得るための図示しない電極が取り付けられている。また、基板18の表面には、上述したように、ラバーコンタクト16の5つの変形凸部16a〜16eに対応して5つの導通電極18a〜18eが設けられている。しかして、これら導通電極18a〜18eには、ラバーコンタクト16の変形凸部16a〜16eが押し込まれたとき、変形凸部16a〜16eの上述した図示しない電極が接触し、両者が電気的に導通してスイッチングされる。このとき、各変形凸部16a〜16eが押し込まれて変形する際、操作片11にクリック感を伝える振動が発生され、運転者は、スイッチ入力がなされたことを感じることができる。
【0027】
なお、操作片11の押圧ピン12b、変形凸部16a、変形凸部16aの電極、および導通電極18aが本発明の第1検知部として機能する。また、操作片11を上方へ揺動させたときに機能する押圧ピン13b、変形凸部16b、変形凸部16bの電極、および導通電極18bが第2検知部として機能し、操作片11の下方への揺動時に機能する構成が第3検知部として機能し、操作片11の右方への揺動時に機能する構成が第4検知部として機能し、操作片11の左方への揺動時に機構する構成が第5検知部として機能する。
【0028】
図4および図5には、上記構造のステアリングスイッチ10によって操作される操作画面の例を示してある。例えば、図4の操作画面でカーナビゲーションシステムを作動させる場合、操作片11を左右に揺動させて“情報”タブを選択し、操作片11を真っ直ぐ押し込んで選択を決定する。この後、操作片11を上下に揺動させて“ナビモード”を選択し、操作片11を押し込んで選択を決定する。
【0029】
また、図5に示す空調のモード画面を表示させた状態で、操作片11を上下左右に揺動させて、吹き出し口の選択または室内温度を設定し、操作片11を真っ直ぐ押し込むことで空調のON/OFFをスイッチングする。つまり、本実施の形態のステアリングスイッチ10は、上下左右4方向に加えて押し込み方向の合計5つのスイッチングが可能である。
【0030】
特に、本実施の形態のステアリングスイッチ10によると、ステアリングホイール2を握った運転者の左手の親指を操作片11に接触させたままの状態で、5つのスイッチング動作が可能で、複数のスイッチを操作片11から指を離すことなく操作することができる。このため、スイッチ操作のために手元に視線を移す必要がなく、走行安全性を確保した上で、確実且つ容易にスイッチ操作ができる。
【0031】
より詳細には、本実施の形態のステアリングスイッチ10によると、操作片11を真っ直ぐ押し込む動作、操作片11を僅かに上方に揺動させつつ押し込む動作、操作片11を僅かに下方に揺動させつつ押し込む動作、操作片11を僅かに右方に揺動させつつ押し込む動作、および操作片11を僅かに左方に揺動させつつ押し込む動作によって、操作片11を操作できる。
【0032】
このため、ステアリングホイール2を握る動作に連動して5つのスイッチのスイッチング動作が可能で、腕をステアリング1に対して固定した状態で、僅かな指の動きだけでスイッチングが可能となる。特に、操作片11を揺動させる際には、凹部11aに接触せしめた指を操作片11を揺動させたい方向に僅かに移動させながら押し込むことで、スイッチングが可能である。この際、特に、操作片11の2つの突起11bが指のずれを防止するよう機能するとともに、指の左右方向への動きを押し込み方向の力に変える機能をも有する。
【0033】
以上のように、本実施の形態によると、車両が凸凹の道路を走行している条件下で、ステアリング1に振動が伝わるような場合であっても、操作片11に接触せしめた指がずれることがなく、操作片11に接触させたままの状態で確実且つ容易に5つのスイッチングが可能である。
【0034】
次に、図6乃至図10を参照して、この発明の第2の実施の形態に係るステアリングスイッチ20について説明する。図6には、このステアリングスイッチ20の外観斜視図を示してあり、図7には、図6の線VII-VIIでステアリングスイッチ20を切断した断面図を示してあり、図8には、図6の線VIII-VIIIでステアリングスイッチ20を切断した断面図を示してある。また、図9には、ステアリングスイッチ20の操作片21のスライド動作を説明するための図を示してあり、図10には、操作片21のスライド時における接点について説明するための図を示してある。
【0035】
図6に示すように、ステアリングスイッチ20は、親指によって操作される板状の操作片21を有する。この操作片21は、その長手方向が左右方向に延び且つその厚さ方向が上下方向に向く姿勢で、ケース29の前面29aにある矩形の開口29bから突出するように設けられている。なお、この開口29bからは、操作片21を左右方向にスライド可能に支持した支持部材22の一部が露出している。ケース29は、操作片21を押し込み可能に且つ上下方向に揺動可能なように支持部材22を保持しており、この発明の保持部材として機能する。つまり、操作片21は、支持部材22に対して、図中矢印左右方向にスライド可能であり、図中上下方向に揺動可能である。
【0036】
この操作片21の親指が接触する端面には、親指の腹に沿って凹んだ凹部21aが設けられている。言い換えると、操作片21の端面にある凹部21aの左右両側には、指を引掛けるための2つの突起21bが突設されている。これら2つの突起21bは、後述するように操作片21を左右方向にスライドさせる際に、凹部21aに接触している親指を引掛けるよう機能する。
【0037】
このように、操作片21の端面に上述した凹部21aおよび2つの突起21bを設けたため、凹部21aに指を接触させた運転者は、操作片21の適当な操作方向を指の感触で容易に判断できる。また、操作片21の2つの突起21bが親指を引掛けるよう機能するため、特に、操作片21を左右方向にスライドさせる際に指がずれることがない。さらに、操作片21の厚さ方向が上下の揺動方向となっているため、操作片21を上下に揺動させる際に親指を引掛け易い。
【0038】
この操作片21は、図7に示すように、支持部材22によって左右方向にスライド自在に支持されている。操作片21の図中下端近くには、左右方向内側に向けて突出した2本のピン21cが突設されており、各ピン21cには、復帰ばね21dが環装されている。これら復帰ばね21dは、左右にスライドさせた操作片21を図7に示すホーム位置へ復帰させるよう機能する。
【0039】
図8に示すように、支持部材22の図中下方には、3本の押圧脚部22a、22b、22cが突設されている。中央の押圧脚部22aは、操作片21が真っ直ぐ押し込まれたときに復帰ばね27aの付勢力に抗して中央の押圧ピン23aを押圧するよう機能する。また、操作片21の上方への揺動側に突設された押圧脚部22bは、操作片21が上方へ揺動されたときに復帰ばね27bの付勢力に抗して対向する押圧ピン23bを押圧するよう機能する。さらに、操作片21の下方への揺動側に突設された押圧脚部22cは、操作片21が下方へ揺動されたときに復帰ばね27cの付勢力に抗して対向する押圧ピン23cを押圧するよう機能する。
【0040】
揺動側の上下2本の押圧ピン23b、23cは、中央の押圧ピン23aより僅かに短くされている。或いは、揺動側の上下2本の押圧脚部22b、22cが、中央の押圧脚部22aより僅かに短くされていても良い。いずれにしても、操作片21を真っ直ぐ押し込んだときに上下の押圧ピン23b、23cが押し込まれることのないよう、押圧ピン23b、23cの長さ、或いは押圧脚部22b、22cが短くされていれば良い。
【0041】
これら3本の押圧ピン23a、23b、23cの下方であってケース29内底部近くには、3つの変形凸部24a、24b、24cを有するラバーコンタクト24、および上記各変形凸部24a、24b、24cに対向する3つの導通電極26a、26b、26cを有する基板26が配置されている。これら3つの変形凸部24a、24b、24cの内面には、それぞれ対向する導通電極26a、26b、26cとの間で導通を得るための電極25a、25b、25cが取り付けられている。
【0042】
しかして、これら電極25a、25b、25cは、ラバーコンタクト24の変形凸部24a、24b、24cが押圧ピン23a、23b、23cによって選択的に押し込まれたとき、基板26の対応する導通電極26a、26b、26cに接触し、両者が電気的に導通してスイッチングされる。このとき、各変形凸部24a、24b、24cが押し込まれて変形する際、操作片21にクリック感を伝える振動が発生され、運転者は、スイッチ入力がなされたことを感じることができる。
【0043】
なお、支持部材22の中央の押圧脚部22a、中央の押圧ピン23a、中央の変形凸部24a、変形凸部24aの電極25a、および導通電極26aが、本発明の第1検知部として機能する。また、操作片21を上方へ揺動させたときに機能する押圧脚部22b、押圧ピン23b、変形凸部24b、変形凸部24bの電極25b、および導通電極26bが本発明の第2検知部として機能し、操作片21を下方へ揺動させたときに機能する押圧脚部22c、押圧ピン23c、変形凸部24c、変形凸部24cの電極25c、および導通電極26cが本発明の第3検知部として機能する。
【0044】
ここで、操作片21を左右方向にスライドさせたことを検知するための構成について、図9および図10を参照して説明する。図9(a)には、操作片21を支持部材22に対してホーム位置に配置した状態の模式図を示してあり、図9(b)には、操作片21を左方へスライドさせた状態の模式図を示してある。また、図10(a)には、図9(a)に対応させて、操作片21をホーム位置に配置したときの電極の重なり具合を説明するための図を示してあり、図10(b)には、図9(b)に対応させて、操作片21を左方にスライドさせたときの電極の重なり具合を説明するための図を示してある。
【0045】
図10に示すように、操作片21が支持部材22に対向した面には、左右方向に延びた長円状の導通電極31が設けられている。一方、支持部材22が操作片21に対向した面には、操作片21のスライドの途中でこの導通電極31に接触する4つの電極32、33、34、35が左右方向に互いに離間して並設されている。また、支持部材22の4つの電極32、33、34、35には、それぞれ、基板24の図示しない配線パターンに接続されたリード線32a、33a、34a、35a(図7、図10参照)が接続されている。
【0046】
しかして、図9(a)に示すホーム位置に操作片21が配置されている状態では、図10(a)に示すように、操作片21の導通電極31は、支持部材22側の中央の2つの電極33、34に接触するように重なる位置に配置されている。この状態では、リード線32a、33aは導通しておらず、リード線34a、35aも導通していない。つまり、この状態ではスライド方向に関するスイッチはOFF状態となっている。
【0047】
これに対し、例えば、図9(b)に示すように、操作片21が左方にスライドされた状態では、図10(b)に示すように、操作片21側の導通電極31が、支持部材22側の左側の2つの電極32、33に接触するように重なる位置に配置される。つまり、この状態で、リード線32a、33aが導通することになり、操作片21が左方へスライドされたことがセンシングされる。なお、ここでは図示を省略したが、操作片21を右方へスライドさせた場合には、操作片21側の導通電極31が支持部材22側の右側の2つの電極34、35に重なるように接触し、操作片21が右方へスライドされたことがセンシングされることになる。
【0048】
すなわち、上述した操作片21側の導通電極31、支持部材22側の電極34、35、およびリード線34a、35aが、本発明の第4検知部として機能し、上述した導通電極31、支持部材22側の電極32、33、およびリード線32a、33aが、本発明の第5検知部として機能することになる。
【0049】
以上のように、本実施の形態のステアリングスイッチ20によると、ステアリングホイール2を握った運転者の左手の親指を操作片21に接触させたままの状態で、5つのスイッチング動作が可能で、複数のスイッチを操作片21から指を離すことなく操作することができる。このため、スイッチ操作のために手元に視線を移す必要がなく、走行安全性を確保した上で、確実且つ容易にスイッチ操作ができる。
【0050】
より詳細には、本実施の形態のステアリングスイッチ20によると、操作片21を真っ直ぐ押し込む動作、操作片21を僅かに上方に揺動させつつ押し込む動作、操作片21を僅かに下方に揺動させつつ押し込む動作、操作片21を僅かに右方にスライドさせる動作、および操作片21を僅かに左方にスライドさせる動作によって、操作片21を操作できる。
【0051】
このため、ステアリングホイール2を握る動作に連動して5つのスイッチのスイッチング動作が可能で、腕をステアリング1に対して固定した状態で、僅かな指の動きだけでスイッチングが可能となる。この際、特に、操作片21の2つの突起21bが指のずれを防止するよう機能し、操作片21を左右方向にスライドさせる際に指が滑ることを防止できる。
【0052】
つまり、本実施の形態によると、車両が凸凹の道路を走行している条件下で、ステアリング1に振動が伝わるような場合であっても、操作片21に接触せしめた指がずれることがなく、操作片21に接触させたままの状態で確実且つ容易に5つのスイッチングが可能である。
【0053】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0054】
例えば、操作片11、21にドライバーの指が触れたとき、或いは操作片11、21が操作されたとき、ステアリングスイッチ10の操作がなされることを車両側で判断し、図11または図12に示す画面をドライバーの前方にあるメーター内のディスプレイを介して表示するようにしても良い。つまり、ステアリングスイッチの5つの操作方向に任意の機能を割り当てた場合、ドライバーが5つ全ての機能を操作方向に関連させて覚えることは難しい場合もあるので、5つの操作方向を画面表示することで、ドライバーによる操作を効果的にアシストできる。
【0055】
図11に示す画面では、操作片11、21を左方向に傾倒或いはスライドさせたときに「NAVI」を選択でき、右方向に傾倒或いはスライドさせたときに「AUDIO」を選択でき、上下方向に傾倒させたときに「ボリュームコントロール」が可能で、操作片11、21を押し込んだときに「機能実行」ができることをドライバーにガイダンスしている。この場合の「機能実行」は、操作片11、21を左右いずれかの方向に傾倒或いはスライドさせてナビ或いはオーディオを選択した後、選択した機能を実行するための決定入力となる。
【0056】
また、図12に示す画面では、操作片11、21を押し込んだときに「AUDIO」機能を実行させることができ、操作片11、21を右方向に傾倒或いはスライドさせたときに「Aircon」機能を実行させることができることをガイダンスしており、「NAVI」「AUDIO」「Aircon」機能はそれぞれ「選択」即「実行」となる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係るステアリングスイッチを備えたステアリングの外観斜視図。
【図2】図1のステアリングスイッチを示す外観斜視図。
【図3】図2のステアリングスイッチの分解斜視図。
【図4】図2のステアリングスイッチで操作する操作画面例を示す図。
【図5】図2のステアリングスイッチで操作するエアーコンディショニング装置の操作画面例を示す図。
【図6】この発明の第2の実施の形態に係るステアリングスイッチを示す外観斜視図。
【図7】図6のステアリングスイッチを線VII-VIIで切断した断面図。
【図8】図6のステアリングスイッチを線VIII-VIIIで切断した断面図。
【図9】操作片をホーム位置に配置した状態を示す模式図(a)、および操作片を左方へスライドさせた状態を示す模式図(b)。
【図10】操作片をホーム位置に配置したときの電極の重なり具合を説明するための図(a)、および操作片を左方へスライドさせたときの電極の重なり具合を説明するための図(b)。
【図11】ステアリングスイッチの操作方向をガイダンスする画面の一例を示す図。
【図12】ステアリングスイッチの操作方向をガイダンスする画面の他の例を示す図。
【符号の説明】
【0058】
1…ステアリング、2…ステアリングホイール、4…スポーク、10、20…ステアリングスッチ、11、21…操作片、11a…凹部、11b…突起、12…第1保持部材、13b〜13e…押圧ピン、14…第2保持部材、16…ラバーコンタクト、16a〜16e…変形凸部、18…基板、18a〜18e…導通電極、19、29…ケース、19a…十字開口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングを握る手の親指によって操作される操作片と、
この操作片をその押し込み方向に突没可能に保持する第1保持部材と、
上記操作片を上下に揺動させる方向に上記第1保持部材を揺動可能に保持した第2保持部材と、
上記操作片を左右に揺動させる方向に上記第2保持部材を揺動可能に保持した第3保持部材と、
上記操作片が押し込まれたことを検知する第1検知部と、
上記操作片が上方に揺動されたことを検知する第2検知部と、
上記操作片が下方に揺動されたことを検知する第3検知部と、
上記操作片が右方に揺動されたことを検知する第4検知部と、
上記操作片が左方に揺動されたことを検知する第5検知部と、
を有することを特徴とするステアリングスイッチ。
【請求項2】
上記操作片の親指が接触する端面には、親指を引掛けるための突起が凸設されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングスイッチ。
【請求項3】
上記突起は、上記操作片の端面の左右両側に突設されていることを特徴とする請求項2に記載のステアリングスイッチ。
【請求項4】
車両のステアリングを握る手の親指によって操作される操作片と、
この操作片を左右方向にスライド可能に支持した支持部材と、
この支持部材を上記操作片の押し込み方向に突没可能に且つ上下方向に揺動可能に保持した保持部材と、
上記操作片が押し込まれたことを検知する第1検知部と、
上記操作片が上方に揺動されたことを検知する第2検知部と、
上記操作片が下方に揺動されたことを検知する第3検知部と、
上記操作片が右方にスライドされたことを検知する第4検知部と、
上記操作片が左方にスライドされたことを検知する第5検知部と、
を有することを特徴とするステアリングスイッチ。
【請求項5】
上記操作片の親指が接触する端面には、親指を引掛けるための突起が凸設されていることを特徴とする請求項4に記載のステアリングスイッチ。
【請求項6】
上記突起は、上記操作片の端面の左右両側に突設されていることを特徴とする請求項5に記載のステアリングスイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−214750(P2009−214750A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61475(P2008−61475)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】