説明

ステアリング装置

【課題】組み付け性を向上させるとともに、良好な操舵フィーリングを確保することができるステアリング装置を提供する。
【解決手段】ステアリング装置は、ラックハウジング21(エンドハウジング27)とラック軸5との間に介装されて該ラック軸5を摺動可能に支持するラックブッシュ23を備えた。このラックブッシュ23は、ラック軸5の軸方向への移動が規制されるようにしてラックハウジング21に設けられる設置部31と、ラック軸5を摺動可能に支持する支持部32と、設置部31と支持部32とを互いに連結する連結部33とを備えた。そして、連結部33を、軸方向の力が作用したときに、ねじれ変形することで軸方向に伸縮するように形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のステアリング装置には、ステアリング(ステアリングホイール)の操舵に伴うステアリングシャフトの回転を、ラックアンドピニオン機構によってラック軸の往復動に変換することにより、転舵輪の舵角を変更するようにしたものがある。一般に、こうしたラック軸は、ラックハウジング内において、ラックガイド(サポートヨーク)によりピニオン軸に噛合するように押し付けられた状態で支持されるとともに、同ラックハウジングとの間に介装された1又は2以上のラックブッシュにより支持されている。
【0003】
ところで、ラック軸はラックブッシュに対して摺動することにより軸方向に移動するため、操舵開始時(ラック軸の移動開始時)においては、ラック軸とラックブッシュとの間に作用する摩擦力(静止摩擦力)を超える操舵力で操舵しなければならず、これが所謂引っ掛かり感となって操舵フィーリングの悪化を招いている。特に、車両の進行方向を僅かに変更したい場合(例えば、路面に描かれた車線の延伸方向に沿うように、車両の進行方向を僅かに修正するような場合)においては、上記引っ掛かりが原因となってラック軸を僅かに移動させるような微妙な操舵がしづらいことがあった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、ラックブッシュの軸方向両側に隙間が形成されるようにして同ラックブッシュをラックハウジング内に設け、この隙間に弾性部材を介在させたステアリング装置が開示されている。このステアリング装置では、操舵開始時において、弾性部材が弾性変形することによりラック軸がラックブッシュとともに軸方向に移動するようになっており、操舵開始時に生じる引っ掛かり感を低減して良好な操舵フィーリングを実現することができる。また、弾性部材の弾性変形により、ラック軸がラックブッシュに対して摺動することなく軸方向に移動するため、ラック軸を僅かに移動させることが容易になり、的確に車両の進行方向を変更できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4192626号公報
【特許文献2】特開2009−286164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載のステアリング装置では、ラックブッシュの軸方向両端に設けられた弾性部材が弾性変形することにより、ラック軸がラックブッシュに対して摺動することなく移動可能な構成になっていることから、軸方向の力に対して安定して弾性部材が弾性変形するように、精度よく同弾性部材を組み付ける必要がある。そのため、ステアリング装置の組み付けに係る作業が煩雑になるという問題があり、この点においてなお改善の余地があった。
【0007】
なお、特許文献2には、ラックブッシュが、ラックハウジングに係合する凸部が外周部に形成された筒状の基部と、同基部の両端から軸方向へそれぞれ延びるばね部と、各ばね部の軸方向の先端部に設けられたラック支持部とからなり、凸部を中心として軸方向に略対称の形状に形成されたステアリング装置が開示されている。このステアリング装置では、ラックブッシュ自体が軸方向に伸縮可能に構成されているため、その組み付け性を改善することが可能ではある。しかし、特許文献2の構成では、ばね部が基部からラック支持部に向かうにつれて先細となる略テーパ状に形成されており、ラックブッシュが伸縮する際に径方向に変位するため、例えば同ばね部がラック軸に摺接することで、ラックブッシュの伸縮が妨げられる虞がある。従って、操舵開始時において、ばね部が変形することによりラック軸を安定して移動させることは困難であり、良好な操舵フィーリングを確保することができるとは言い難い。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、組み付け性を向上させるとともに、良好な操舵フィーリングを確保することができるステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ラックハウジング内において軸方向に往復動可能に設けられたラック軸と、前記ラックハウジングと前記ラック軸との間に介装されて該ラック軸を摺動可能に支持するラックブッシュとを備えたステアリング装置において、前記ラックブッシュは、前記ラック軸の軸方向への移動が規制されるようにして前記ラックハウジングに設けられる設置部と、前記ラック軸を摺動可能に支持する支持部と、前記設置部と前記支持部とを互いに連結する連結部と、を備え、前記連結部は、前記軸方向の力が作用したときに、ねじれ変形することで該軸方向に伸縮するように形成されたことを要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、操舵開始時において、ラック軸と支持部との間に摩擦力が作用すると、ハウジングに対して軸方向への移動が規制されるようにして設置部が設けられているため、連結部は同摩擦力に応じて軸方向に圧縮又は引張される。このように軸方向の力が作用すると、連結部(ラックブッシュ)は、その一端部と他端部とが互いに相対回転するようにしてねじれ変形することにより軸方向に弾性的に伸縮する。これにより、ラック軸がラックブッシュの支持部に対して摺動せずに軸方向に移動可能となり、操舵開始時に生じる引っ掛かり感を低減して良好な操舵フィーリングを実現することができる。そして、上記構成では、ラックブッシュ自体が軸方向に伸縮するため、従来(特許文献1参照)のように弾性部材を別途組み付ける場合に比べ、高い組み付け精度が要求されず、組み付け性の向上を図ることができる。また、連結部は、ねじれ変形することにより軸方向に伸縮するように形成されるため、軸方向に伸縮する際に径方向に変位することが抑制される。従って、例えばラックブッシュの一部がラック軸に摺接して、その伸縮が妨げられることが防止されるため、操舵開始時に同ラック軸を安定して移動させることができ、良好な操舵フィーリングを確保できるようになる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のステアリング装置において、前記連結部は、筒状に形成されるとともに、前記軸方向に延びるスリットを有し、前記スリットは、その一端と他端とが前記連結部の周方向において互いにずれた位置に形成されたことを要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、連結部が軸方向に圧縮されると、スリットの軸方向における一端と他端とのずれ量が大きくなるように同スリットが変形することで連結部がねじれ変形し、ラックブッシュ(連結部)が軸方向に縮む。また、連結部が軸方向に引張されると、一端と他端とのずれ量が小さくなるようにスリットが変形することで連結部がねじれ変形し、ラックブッシュ(連結部)が軸方向に伸びる。従って、例えば連結部を螺旋状に巻いた湾曲板状に形成する場合に比べ、伸縮する際に連結部内で摺動抵抗が発生し難いため、安定してラックブッシュを軸方向に伸縮させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のステアリング装置において、前記設置部と前記ラックハウジングとの間には、該設置部を回転可能に支持する軸受が設けられたことを要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、設置部が軸受を介してハウジングに回転可能に設けられているため、同設置部が回転することにより連結部が円滑にねじれ変形できるようになる。これにより、より安定してラックブッシュを軸方向に伸縮させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のステアリング装置において、前記スリットは、その一端が他端に対して前記連結部の周方向一方側にずれるように形成された第1スリットと、その一端が他端に対して前記連結部の周方向他方側にずれるように形成された第2スリットとを含み、前記連結部は、前記第1スリットが形成された第1連結部と、前記第2スリットが形成された第2連結部とを含むことを要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、第1スリットの軸方向における一端が他端に対して周方向にずれた方向と、第2スリットの軸方向における一端が他端に対して周方向にずれた方向とが逆方向になるため、第1スリットが形成された第1連結部に生じるねじれの向きと、第2スリットが形成された第2連結部に生じるねじれの向きとが逆向きになる。従って、第1連結部と第2連結部との間で、これらのねじれが相殺されるため、ラックブッシュが軸方向に伸縮する際に、設置部と支持部とが互いに相対回転することが抑制される。これにより、設置部に軸受を設けずとも、より安定してラックブッシュを軸方向に伸縮させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載のステアリング装置において、前記ラックブッシュは、前記設置部の軸方向両側にそれぞれ前記支持部が設けられてなることを要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、ラック軸を支持する支持部が設置部の両側に設けられるため、設置部の片側にのみ支持部を設ける場合に比べ、ラックブッシュの径方向の支持剛性を向上させることができ、ラック軸のがたつきを抑えることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載のステアリング装置において、前記ラックブッシュは、前記支持部の軸方向両側にそれぞれ前記設置部が設けられてなることを要旨とする。
【0020】
上記構成によれば、ラック軸を支持する支持部の両側に設置部が設けられるため、支持部の片側のみに設置部が設けられる場合に比べ、ラックブッシュの径方向の支持剛性を向上させることができ、ラック軸のがたつきを抑えることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項2〜6のいずれか一項に記載のステアリング装置において、前記ラックブッシュよりも高剛性の材料からなる筒状の補強部材を備え、前記補強部材は、前記連結部が該補強部材に対して摺動することにより前記軸方向に伸縮するように、前記ラックブッシュに装着されたことを要旨とする。
【0022】
上記構成によれば、ラックブッシュに筒状の補強部材が装着されることで、設置部に対して支持部が径方向に相対変位し難くなる、すなわちラックブッシュの径方向の剛性が高くなる。これにより、ラックブッシュの径方向の支持剛性を向上させることができ、ラック軸のがたつきを抑えることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載のステアリング装置において、前記連結部は、螺旋状に巻かれてなる湾曲板状に形成されたことを要旨とする。
上記構成によれば、連結部は、螺旋状に巻かれた湾曲板状に形成されるため、軸方向の力が作用したときにねじれ変形することで軸方向に伸縮する。このように連結部が湾曲板状に形成されるため、連結部にスリットを形成する場合に比べ、ラックブッシュの剛性が低下することを抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、組み付け性を向上させるとともに、良好な操舵フィーリングを確保することが可能なステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ステアリング装置の概略構成図。
【図2】第1実施形態のラック軸の支持構造を示す断面図。
【図3】第1実施形態のラックブッシュ近傍の拡大断面図。
【図4】第1実施形態の支持部におけるA−A断面図。
【図5】第1実施形態のラック軸が軸方向一端側に移動し始めた状態を示す作用説明図。
【図6】第1実施形態のラック軸が軸方向他端側に移動し始めた状態を示す作用説明図。
【図7】第2実施形態のラックブッシュ近傍の拡大断面図。
【図8】図7のB−B断面図。
【図9】別のラックブッシュ近傍の拡大断面図。
【図10】別のラックブッシュ近傍の拡大断面図。
【図11】別のラックブッシュ近傍の拡大断面図。
【図12】別のラックブッシュ近傍の拡大断面図。
【図13】別のラックブッシュ近傍の拡大断面図。
【図14】(a)別のラックブッシュにおける支持部近傍の拡大断面図、(b)別の支持部におけるA−A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ステアリング装置1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されている。これにより、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。なお、ステアリングシャフト3は、コラム軸8、中間軸9、及びピニオン軸10を連結してなる。また、ラック軸5の両端には、ボールジョイント12を介してタイロッド13がそれぞれ回動自在に連結されている。このタイロッド13の先端は、転舵輪14が組み付けられた図示しないナックルに連結されている。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド13を介してナックルに伝達されることにより、転舵輪14の舵角、即ち車両の進行方向が変更される。
【0027】
次に、ラック軸の支持構造について説明する。
図2に示すように、ラックアンドピニオン機構4を構成するラック軸5は、ラックハウジング21内において、ラックガイド(サポートヨーク)22によりピニオン軸10に噛合するように押し付けられた状態で支持されるとともに、同ラックハウジング21との間に介装されたラックブッシュ23に対して摺動可能に支持されている。
【0028】
詳述すると、ラックハウジング21は、円筒状に形成されたラックチューブ25と、同ラックチューブ25の基端側に設けられるギアハウジング26と、同ギアハウジング26の先端側に設けられるエンドハウジング27とにより構成されている。このギアハウジング26内には、ラック軸5に噛合されたピニオン軸10が収容されるとともに、ラック軸5をピニオン軸10に押し付けた状態で支持するラックガイド22が設けられている。また、エンドハウジング27内には、ラック軸5を摺動可能な状態で径方向に支持する筒状のラックブッシュ23が同ラック軸5と同軸上に設けられている。
【0029】
(ラックブッシュ)
次に、本実施形態のステアリング装置におけるラックブッシュの構造について説明する。
【0030】
図3に示すように、ラックブッシュ23は、エンドハウジング27(ラックハウジング21)に対して軸方向への移動が規制されるようにして設けられる設置部31と、ラック軸5を摺動可能に支持する支持部32と、これら設置部31と支持部32とを互いに連結する連結部33とを備えている。本実施形態では、ラックブッシュ23は、ゴムからなる弾性材料により構成されており、設置部31、支持部32及び連結部33は一体に形成されている。
【0031】
詳述すると、設置部31は、略円筒状に形成されており、軸受34を介してエンドハウジング27に回転可能に支持されることで、エンドハウジング27に対して軸方向への移動が規制された状態で設けられている。具体的には、エンドハウジング27は略円筒状に形成されるとともに、その軸方向における略中央には、ラックブッシュ23が収容される収容部35が形成されている。この収容部35の内径は、設置部31(ラックブッシュ23)の外径よりも大きく形成されている。また、エンドハウジング27の軸方向一端側(図3における左側)には、その内径が収容部35の内径よりも大きい大径部36が形成されており、同大径部36には、軸受34が圧入されることにより固定されている。そして、ラックブッシュ23の設置部31は、軸受34の内輪に挿入されることにより、軸受34を介してエンドハウジング27に対して軸方向への移動が規制された状態で径方向に支持されている。なお、エンドハウジング27の軸方向他端側(図3における右側)には、ラックチューブ25が固定されている(図2参照)。
【0032】
支持部32は、略円筒状に形成されており、ラック軸5が軽圧入されることで同ラック軸5を摺動可能に支持している。具体的には、支持部32の内径はラック軸5の外径よりも僅かに小さく形成されており、ラック軸5が滑らかに摺動可能な嵌め合い状態となっている。なお、支持部32の外径は、設置部31の外径と略等しく形成されており、エンドハウジング27と接触しないようになっている。また、図3及び図4に示すように、支持部32の肉厚は、軸方向及び周方向に沿って略均一に形成されており、支持部32はラック軸5に対して面接触するようになっている。
【0033】
図3に示すように、連結部33は、略円筒状に形成されており、その軸方向一端側に設置部31が一体的に設けられるとともに、軸方向他端側に支持部32が一体的に設けられている。また、連結部33の外径及び内径は、設置部31の外径及び内径と略同一となるように形成されており、エンドハウジング27及びラック軸5と接触しないようになっている。
【0034】
そして、連結部33は、ラック軸5の軸方向に圧縮又は引張されると、その一端部33aと他端部33bとが互いに相対回転するねじれ変形することにより軸方向に伸縮するように形成されている。なお、本実施形態では、連結部33(ラックブッシュ23)は、最大で1mm程度伸縮するように構成されている。これにより、操舵開始時において、ラック軸5はラックブッシュ23が軸方向に伸縮することにより、支持部32に対して摺動せずに軸方向に移動するようになっている。
【0035】
本実施形態では、連結部33には、径方向に貫通するとともに軸方向に延びる複数のスリット37が形成されており、これら各スリット37は、その一端が他端に対して連結部33の周方向一方側にずれた位置に形成されている。具体的には、各スリット37は、径方向視で、ラック軸5の軸線Lに対して時計回りに傾斜した直線状に形成されている。換言すれば、各スリット37は、軸線Lを中心とし、その内径が一定の螺旋状に形成されている。なお、各スリット37は、連結部33の周方向に等角度間隔で形成されている。
【0036】
このように構成されたステアリング装置1では、操舵開始時において、ラック軸5と支持部32との間に摩擦力(静止摩擦力)が作用すると、設置部31がエンドハウジング27に対して軸方向への移動が規制された状態で設けられているため、連結部33は摩擦力に応じて軸方向に圧縮又は引張される。
【0037】
具体的には、図5に示すように、ラック軸5が軸方向一端側に移動するように操舵すると、連結部33の一端部33aが他端部33bに対して相対回転しながら圧縮されることで同連結部33は軸方向に縮み、支持部32が軸方向一端側に移動する。そして、このようにラックブッシュ23が軸方向に縮むことにより、ラック軸5は支持部32に対して摺動せずに軸方向一端側に移動する。このとき、連結部33は、各スリット37のラック軸5の軸線Lに対する傾斜角が大きくなるように、すなわちスリット37の一端と他端との周方向におけるずれ量が大きくなるように弾性変形する。また、一端部33aの他端部33bに対する相対回転は、軸受34により設置部31が滑らかに回転することで吸収される。
【0038】
そして、連結部33が元の形状に戻ろうとする復元力が、ラック軸5と支持部32との間に作用する静止摩擦力を超えると、ラック軸5は支持部32に対して摺動することにより軸方向一端側に移動する。ここで、ラック軸5が支持部32に対して摺動すると、これらラック軸5と支持部32との間には動摩擦力が作用するようになる。そして、ラック軸5が摺動し始めた状態では復元力は静止摩擦力と略等しくなっており、動摩擦力は静止摩擦力よりも小さいため、ラック軸5が摺動し始めると、連結部33の復元力が動摩擦力と略等しくなるまでラックブッシュ23は元の形状に近づく(弾性回復する)。そのため、運転者がステアリング2を一方向に操舵した後に、一旦停止し、再び同方向に操舵する場合であっても、ラックブッシュ23は軸方向に縮むことが可能となるため、操舵開始時の引っ掛かり感を低減して良好な操舵フィーリングが実現される。
【0039】
一方、図6に示すように、ラック軸5が軸方向他端側に移動するように操舵すると、連結部33の一端部33aが他端部33bに対して相対回転しながら引張されることで同連結部33は軸方向に伸び、支持部32が軸方向他端側に移動する。そして、このようにラックブッシュ23が軸方向に伸びることにより、ラック軸5は支持部32に対して摺動せずに軸方向他端側に移動する。このとき、連結部33は、各スリット37のラック軸5の軸線Lに対する傾斜角が小さくなるように、すなわちスリット37の一端と他端との周方向におけるずれ量が小さくなるように弾性変形する。また、一端部33aの他端部33bに対する相対回転は、軸受34により設置部31が滑らかに回転することで吸収される。さらに、ラック軸5が軸方向一端側に移動するときと同様に、連結部33の復元力が、ラック軸5と支持部32との間に作用する静止摩擦力を超えると、ラック軸5は支持部32に対して摺動し、連結部33は元の形状に近づく。
【0040】
なお、図5及び図6において、軸方向に移動する前のラック軸5、及び伸縮する前の状態のラックブッシュ23を二点鎖線で示す。また、設置部31、支持部32及び連結部33の動きを、それぞれ太線の矢印により模式的に示す。
【0041】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)ステアリング装置1は、ラックハウジング21(エンドハウジング27)とラック軸5との間に介装されて該ラック軸5を摺動可能に支持するラックブッシュ23を備えた。このラックブッシュ23は、ラック軸5の軸方向への移動が規制されるようにしてラックハウジング21に設けられる設置部31と、ラック軸5を摺動可能に支持する支持部32と、設置部31と支持部32とを互いに連結する連結部33とを備えた。そして、連結部33を、軸方向の力が作用したときに、ねじれ変形することで軸方向に伸縮するように形成した。
【0042】
上記構成によれば、連結部33が軸方向に圧縮又は引張されると、連結部33(ラックブッシュ23)はその一端部33aと他端部33bとが互いに相対回転するようにしてねじれ変形することにより軸方向に弾性的に伸縮する。これにより、ラック軸5が同ラックブッシュ23の支持部32に対して摺動せずに軸方向に移動可能となり、操舵開始時に生じる引っ掛かり感を低減して良好な操舵フィーリングを実現することができる。そして、上記構成では、ラックブッシュ23自体が軸方向に伸縮するため、従来(特許文献1参照)のように弾性部材を別途組み付ける場合に比べ、高い組み付け精度が要求されず、組み付け性の向上を図ることができる。また、連結部33は、ねじれ変形することにより軸方向に伸縮するように形成されるため、軸方向に伸縮する際に径方向に変位することが抑制される。従って、例えばラックブッシュ23の一部がラック軸5に摺接して、その伸縮が妨げられることが防止されるため、操舵開始時に同ラック軸5を安定して移動させることができ、良好な操舵フィーリングを確保できるようになる。
【0043】
(2)連結部33を筒状に形成するとともに、同連結部33に軸方向に延びる複数のスリット37を形成した。そして、スリット37を、径方向視でラック軸5の軸線Lに対して傾斜した直線状に形成した。上記構成によれば、連結部33が軸方向に圧縮されると、スリット37の軸線Lに対する傾斜角が大きくなるように、すなわち一端と他端とのずれ量が大きくなるように同スリット37が変形することで連結部33がねじれ変形し、ラックブッシュ23(連結部33)が軸方向に縮む。また、連結部33が軸方向に引張されると、スリット37の軸線Lに対する傾斜角が小さくなるように、すなわち一端と他端とのずれ量が小さくなるように同スリット37が変形することで連結部33がねじれ変形し、ラックブッシュ23(連結部33)が軸方向に伸びる。従って、例えば連結部33を螺旋状に巻いた湾曲板状に形成する(第2実施形態として後述する)場合に比べ、伸縮する際に連結部33内で摺動抵抗が発生し難いため、安定してラックブッシュ23を軸方向に伸縮させることができる。
【0044】
(3)設置部31とエンドハウジング27の大径部36との間に、該設置部31を回転可能に支持する軸受34を設けたため、設置部31が回転することにより連結部33が円滑にねじれ変形できるようになる。これにより、より安定してラックブッシュ23を軸方向に伸縮させることができる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
図7及び図8に示すように、本実施形態のラックブッシュ41は、ラック軸5の軸線Lを中心とし、その内径が徐々に小さくなる螺旋状に巻かれてなる略湾曲板状に形成されている。そして、ラックブッシュ41は、エンドハウジング27に対して軸方向への移動が規制されるようにして設けられる設置部42と、ラック軸5を摺動可能に支持する支持部43と、これら設置部42と支持部43とを互いに連結する連結部44とを備えている。
【0047】
詳述すると、設置部42は、螺旋の一部を構成する略円弧状に湾曲した湾曲板状に形成されている。図8に示すように、この設置部42は、連結部44に接続される接続端部42a(設置部42の内径が最も小さくなる位置)での外径がエンドハウジング27の内径と略等しく形成されており、エンドハウジング27の内周面に密着している。また、図7に示すように、設置部42におけるラック軸5の軸方向一端側には、径方向外側に延出された略円弧状のストッパ45が形成されている。一方、エンドハウジング27(ラックハウジング21)には、その周方向に延びる環状溝46が形成されている。そして、設置部42は、ストッパ45が環状溝46に係合することにより、ラックハウジング21に対して軸方向への移動が規制された状態で設けられている。
【0048】
支持部43は、螺旋の一部を構成する略円弧状に湾曲した湾曲板状に形成されている。図8に示すように、この支持部43は、連結部44に接続される接続端部43a(支持部43の内径が最も大きくなる位置)での内径がラック軸5の外径よりも小さく形成されており、同ラック軸5を滑らかに摺動可能に支持している。なお、設置部42がエンドハウジング27内に挿入されることで、同設置部42はエンドハウジング27の内周に倣った形状になるとともに、支持部43にラック軸5が軽圧入されることで、同支持部43はラック軸5の外周に倣った形状になる。
【0049】
そして、連結部44は、これら設置部42と支持部43とを滑らかに接続するように、その内径が徐々に小さくなる螺旋を構成する略円弧状に湾曲した湾曲板状に形成されている。
【0050】
このように構成されたステアリング装置1では、ラック軸5が軸方向一端側に移動するように操舵すると、連結部44の一端部33aが他端部33bに対して周方向一方側に相対回転しながら圧縮されることで、ラックブッシュ41が軸方向に縮む。一方、ラック軸5が軸方向他端側に移動するように操舵すると、連結部44の一端部33aが他端部33bに対して周方向他方側に相対回転しながら引張されることで、ラックブッシュ41が軸方向に伸びる。そして、ラック軸5は、ラックブッシュ41が伸縮可能な範囲では、同ラックブッシュ41が伸縮することにより、支持部43に対して摺動せずに軸方向に移動する。
【0051】
また、連結部44が元の形状に戻ろうとする復元力が、ラック軸5と支持部43との間に作用する静止摩擦力を超えると、上記第1実施形態と同様に、ラック軸5は支持部43に対して摺動することにより軸方向に移動し、ラックブッシュ41は元の形状に近づく。
【0052】
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(4)連結部44を、ラック軸5の軸線Lを中心とした螺旋状に巻かれてなる湾曲板状に形成したため、連結部44にスリット37を形成する場合に比べ、ラックブッシュ41の剛性が低下することを抑制できる。
【0053】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記第1実施形態では、ラックブッシュ23の設置部31とエンドハウジング27の大径部36との間に軸受34を設けたが、これに限らず、軸受34を設けずに設置部31がエンドハウジング27に対して直接固定されるようにしてもよい。
【0054】
このように、軸受34を設けない場合には、例えば図9に示すように、その一端が他端に対して連結部33の周方向一方側にずれるように形成された第1スリット51と、その一端が他端に対して周方向他方側にずれるように形成された第2スリット52とを連結部33に形成することが好ましい。具体的には、同図に示すように、第1スリット51は、径方向視で、ラック軸5の軸線Lに対して時計回りに傾斜した直線状に形成されている。また、第2スリット52は、径方向視で、ラック軸5の軸線Lに対して、第1スリット51とは逆方向の反時計回りに傾斜した直線状に形成されている。なお、第1スリット51及び第2スリット52のラック軸5の軸線Lに対する傾斜角及び軸方向長さは略等しくなるように形成されている。
【0055】
また、設置部31には径方向外側に延出されるとともに、エンドハウジング27の大径部36内に配置されるフランジ部53が形成されている。そして、大径部36の開口端側(図9における左側)にストッパ部材54を固定することで、ラックブッシュ23は、エンドハウジング27に対して軸方向への移動が規制された状態で設けられている。この構成では、第1スリット51が軸線Lに対して傾斜した方向と、第2スリット52が軸線Lに対して傾斜した方向とが逆方向になるため、第1スリット51が形成された第1連結部55に生じるねじれの向きと、第2スリット52が形成された第2連結部56に生じるねじれの向きとが逆向きになる。従って、第1連結部55と第2連結部56との間で、これらのねじれが相殺されるため、ラックブッシュ23が軸方向に伸縮する際に、設置部31と支持部32とが互いに相対回転することが抑制される。これにより、設置部31に軸受を設けずとも、より安定してラックブッシュ23を軸方向に伸縮させることができる。
【0056】
・上記第1実施形態では、ラックブッシュ23を、設置部31の軸方向他端側のみに連結部33を介して支持部32が設けられる構成としたが、これに限らず、例えば図10に示すように、設置部31の軸方向両端にそれぞれ一端側連結部57及び他端側連結部58を介して支持部32が設けられる構成としてもよい。なお、この構成では、同図に示すように、一端側連結部57に形成される一端側スリット59と、他端側連結部58とに形成される他端側スリット60との軸線Lに対する傾斜方向がそれぞれ同じになるように形成することが好ましい。すなわち、操舵開始時において、一端側連結部57が圧縮(引張)されるときには、他端側連結部58が伸張(引縮)されるため、一端側スリット59及び他端側スリット60の傾斜方向を同一にすることで、一端側連結部57及び他端側連結部58のねじれ変形に伴う設置部31の回転方向が同じになる。この構成では、ラック軸5を支持する支持部32が設置部31の両側に設けられるため、設置部31の片側にのみ支持部32を設ける場合に比べ、ラックブッシュ23の径方向の支持剛性を向上させることができ、ラック軸5のがたつきを抑えることができる。
【0057】
・上記第1実施形態では、ラックブッシュ23を、支持部32の軸方向一端側のみに連結部33を介して設置部31が設けられる構成としたが、これに限らず、例えば図11に示すように、支持部32の軸方向両端にそれぞれ一端側連結部61及び他端側連結部62を介して設置部31が設けられる構成としてもよい。なお、同図に示すように、収容部35の軸方向両側に大径部36が形成され、各設置部31はそれぞれ軸受34に支持されている。また、一端側連結部61に形成された一端側スリット63の軸線Lに対する傾斜方向と、他端側連結部62に形成された他端側スリット64の軸線Lに対する傾斜方向とは、それぞれ同じでも異なっていてもよい。この構成では、支持部32の片側のみに設置部31が設けられる場合に比べ、ラックブッシュ23の径方向の支持剛性を向上させることができ、ラック軸5のがたつきを抑えることができる。
【0058】
さらに、ラックブッシュ23が、設置部31及び支持部32をそれぞれ2つ以上備え、各設置部31と各支持部32との間に連結部33が介在される構成としてもよい。
・上記第1実施形態において、例えば金属材料等からなる筒状の補強部材66を、連結部33が同補強部材66に対して摺動することにより軸方向に伸縮可能となるようにラックブッシュ23に装着してもよい。
【0059】
具体的には、例えば図12に示すように、ラックブッシュ23の内側に補強部材66を配置し、同補強部材66を支持部32に対して固定するとともに連結部33及び設置部31に対して摺動可能に設けてもよい。より詳しくは、補強部材66は、その外径が設置部31(連結部33)の内径と略等しくなるとともに、その内径がラック軸5の外径よりも大きく形成されており、ラック軸5と接触しないように形成されている。また、支持部32には、補強部材66の軸方向他端側が挿入される凹部67が形成されている。そして、補強部材66は、軸方向他端部が凹部67に挿入されることにより固定されている。この構成によれば、ラックブッシュ23に筒状の補強部材66が装着されることで、設置部31に対して支持部32が径方向に相対変位し難くなる、すなわちラックブッシュ23の径方向の剛性が高くなる。これにより、ラックブッシュ23の径方向の支持剛性を向上させることができ、ラック軸5のがたつきを抑えることができる。
【0060】
また、例えば図13に示すように、ラックブッシュ23の外周側に補強部材66を設け、同補強部材66を設置部31及び軸受34の内輪に対して固定するとともに連結部33及び支持部32に対して摺動可能に設けてもよい。より詳しくは、補強部材66は、その内径が設置部31(連結部33及び支持部32)の外径と略等しくなるとともに、その外径がエンドハウジング27の内径よりも小さく形成されており、エンドハウジング27と接触しないように形成されている。また、補強部材66は、ラックブッシュ23(連結部33)の伸縮に伴って同設置部31と一体で回転するようになっている。この構成でも、上記図12に示す構成と同様の作用効果を奏する。なお、補強部材66は、ラックブッシュ23よりも高剛性の材料であれば、金属材料以外の材料でもよい。
【0061】
・上記第1実施形態では、スリット37を軸線Lに対して傾斜した直線状に形成したが、これに限らず、連結部33に軸方向の力が作用したときに一端部33aと他端部33bとが互いに相対回転するねじれ変形することで軸方向に伸縮すればよく、例えばスリット37を円弧状等の他の形状にしてよい。
【0062】
・上記第1実施形態では、支持部32がラック軸5に対して面接触するように形成したが、これに限らず、図14(a)に示すように、支持部32の内周に断面円弧状の環状突起71を形成し、ラック軸5に対して線接触するようにしてもよい。また、図14(b)に示すように、支持部32の内周に複数の突起72を周方向に等角度間隔で形成し、ラック軸5に対して点接触するようにしてもよい。同様に、上記第2実施形態において、支持部32がラック軸5に対して線接触又は点接触するようにしてもよい。
【0063】
・上記第1実施形態では、連結部33に複数のスリット37を形成したが、これに限らず、連結部33にスリット37を1つだけ形成してもよい。
・上記第2実施形態では、ラックブッシュ23全体を螺旋状に形成し、設置部31及び支持部32を螺旋の一部を構成するように湾曲した湾曲板状に形成した。しかし、これに限らず、設置部31及び支持部32をそれぞれ内径が一定の円弧を構成するように湾曲した湾曲状に形成してもよい。
【0064】
・上記第2実施形態おいて、設置部31とエンドハウジング27との間に軸受34を設けてもよい。
・上記各実施形態では、ラックブッシュ23,41をゴムからなる弾性材料により構成したが、これに限らず、樹脂材料等の他の弾性材料により構成してもよい。
【0065】
・上記各実施形態では、ステアリング装置1は、ラックブッシュ23,41を1つのみ備える構成としたが、これに限らず、2以上のラックブッシュ23,41を備える構成としてもよい。
【0066】
・上記各実施形態では、本発明をラックチューブ25、ギアハウジング26及びエンドハウジング27によりラックハウジング21が構成されたステアリング装置1に具体化した。しかし、これに限らず、これらラックチューブ25、ギアハウジング26及びエンドハウジング27が一体で形成された一体式のラックハウジングを有するステアリング装置に具体化してもよい。また、ステアリング装置1は、マニュアル式のものに限らずパワーステアリング装置に具体化してもよく、その形式は、油圧式でも電動式であってもよい。
【0067】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(ア)ラックハウジングとラック軸との間に介装されて該ラック軸を摺動可能に支持するラックブッシュにおいて、前記ラックブッシュは、前記ラック軸の軸方向への移動が規制されるようにして前記ラックハウジングに設けられる設置部と、前記ラック軸を摺動可能に支持する支持部と、前記設置部と前記支持部とを互いに連結する連結部と、を備え、前記連結部は、前記軸方向の力が作用したときに、ねじれ変形することで該軸方向に伸縮するように形成されたことを特徴とするラックブッシュ。上記構成によれば、請求項1と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…ステアリング装置、5…ラック軸、21…ラックハウジング、23,41…ラックブッシュ、25…ラックチューブ、26…ギアハウジング、27…エンドハウジング、31,42…設置部、32,43…支持部、33,44…連結部、34…軸受、37…スリット、51…第1スリット、52…第2スリット、55…第1連結部、56…第2連結部、66…補強部材、L…軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラックハウジング内において軸方向に往復動可能に設けられたラック軸と、前記ラックハウジングと前記ラック軸との間に介装されて該ラック軸を摺動可能に支持するラックブッシュとを備えたステアリング装置において、
前記ラックブッシュは、
前記ラック軸の軸方向への移動が規制されるようにして前記ラックハウジングに設けられる設置部と、
前記ラック軸を摺動可能に支持する支持部と、
前記設置部と前記支持部とを互いに連結する連結部と、を備え、
前記連結部は、前記軸方向の力が作用したときに、ねじれ変形することで該軸方向に伸縮するように形成されたことを特徴とするステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のステアリング装置において、
前記連結部は、筒状に形成されるとともに、前記軸方向に延びるスリットを有し、
前記スリットは、その一端と他端とが前記連結部の周方向において互いにずれた位置に形成されたことを特徴とするステアリング装置。
【請求項3】
請求項2に記載のステアリング装置において、
前記設置部と前記ラックハウジングとの間には、該設置部を回転可能に支持する軸受が設けられたことを特徴とするステアリング装置。
【請求項4】
請求項2に記載のステアリング装置において、
前記スリットは、その一端が他端に対して前記連結部の周方向一方側にずれるように形成された第1スリットと、その一端が他端に対して前記連結部の周方向他方側にずれるように形成された第2スリットとを含み、
前記連結部は、前記第1スリットが形成された第1連結部と、前記第2スリットが形成された第2連結部とを含むことを特徴とするステアリング装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のステアリング装置において、
前記ラックブッシュは、前記設置部の軸方向両側にそれぞれ前記支持部が設けられてなることを特徴とするステアリング装置。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のステアリング装置において、
前記ラックブッシュは、前記支持部の軸方向両側にそれぞれ前記設置部が設けられてなることを特徴とするステアリング装置。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか一項に記載のステアリング装置において、
前記ラックブッシュよりも高剛性の材料からなる筒状の補強部材を備え、
前記補強部材は、前記連結部が該補強部材に対して摺動することにより前記軸方向に伸縮するように、前記ラックブッシュに装着されたことを特徴とするステアリング装置。
【請求項8】
請求項1に記載のステアリング装置において、
前記連結部は、螺旋状に巻かれてなる湾曲板状に形成されたことを特徴とするステアリング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−16975(P2012−16975A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154077(P2010−154077)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】