説明

ステロイドスルファターゼインヒビターとしてのステロイド性化合物

式I:


(式中、Gは、フルオロカルビル基であり、Rは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体を提供する。本発明はまた、薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤、またはアジュバントと任意選択的に混合した、式Iを有する化合物を含む薬学的組成物を提供する。本発明は、有効なステロイドスルファターゼインヒビターとして作用することができる新規の化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、化合物に関する。特に、本発明は、ステロイドスルファターゼを阻害することができる化合物を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
乳癌は壊滅的威力のある疾患であり、ほとんどの西洋諸国における女性の主な死因であり続けている。全世界で、年間約100万人の女性が罹患していると推測される
【0003】
英国では、世界で乳癌死亡率が最も高い国の1つであり、年間35,000を超える女性が乳癌の診断を受けており、これは、全癌症例のほぼ1/5を占める。英国女性の85歳まで生存する10人に1人が乳癌を発症すると推定されている。最新の治療方法および以前の疾患の検出によって生存率は非常に改善されたにもかかわらず、乳癌は、35歳と54歳との間の女性の主な死因であり続けている
【0004】
全ての女性は乳癌のリスクがあるにもかかわらず、多数の危険因子は同定されておらず、そのほとんどは女性ホルモンおよび妊娠歴ならびにその家族の疾患の状況(family background)に関連する。リスクがより高い女性は、一般に、この疾患の強い家族歴、初経が早かったか、閉経が遅かったか、最初の満期妊娠が30歳以降だった女性である
【0005】
最も早い段階の乳癌では、手術が最適な治療法と思われる。ほとんどの場合、乳房切除術よりもむしろ乳房温存手術手技(乳房中の腫瘍の局所的切開など)が行われる。疾患の任意の再発を防止するために、特に乳房温存手技を行った場合、しばしば、放射線療法が処方される。また、放射線療法を使用して、温存手術を行うことができるように、巨大な腫瘍を手術可能なサイズに縮小する
【0006】
進行性乳癌について、腫瘍が拡大するか再発した場合、治療目的はもはや治癒ではなく、緩和的管理(palliative control)に到達することである。これは、腫瘍の転移が骨、皮膚、リンパ、結節、または脳などの位置に到達した場合に当てはまる。患者のホルモン状態(治療すべき女性が閉経前または閉経後であるかどうか)および腫瘍型に応じて治療は異なる。一定の腫瘍は、実際、その成長および発達がエストロゲンに依存することが証明されており、ホルモン依存性乳癌(HDBC、I−1を参照のこと)と呼ばれるようになった。非HDBCは化学療法で治療され、その目的は細胞傷害薬の組み合わせを使用して腫瘍細胞を差分的に死滅させることであり、一方、HDBCは、内分泌療法に応答することに期待している。
【0007】
ホルモン依存性腫瘍の概念は1960年代初期に現れ、その時にエストロゲンの作用モデルが最初に発表された。エストロゲンがヒトにおける細胞の成長および機能を調節するために、ヒトエストロゲン受容体(hER)と呼ばれる特定のタンパク質が存在しなければならない。核内に局在するこのタンパク質は、エストロゲンと相互作用して、結合複合体を形成する。これは、特定の遺伝子由来のm−RNA産生の活性化によって転写因子として作用し、その1つまたは複数は、おそらく、有効な腫瘍細胞成長に不可欠である。
【0008】
測定可能なレベルの受容体タンパク質を有する患者を、エストロゲン受容体陽性(ER+)と分類し、その逆をエストロゲン受容体陰性(ER−)と分類する。約50%の閉経前女性および75%の閉経後女性は、乳癌発症がエストロゲンの存在に直接関連し得るER+群に分類される。薬物の使用によって細胞に対するエストロゲン刺激を喪失させる内分泌療法は、HDBC治療に対する有効なアプローチであることが証明されている。当初は、異なるストラテジーに応答する以下の2つの薬物クラスが開発された:抗エストロゲンおよびアロマターゼインヒビター。
【0009】
エストロゲン受容体のアンタゴニストとしての抗エストロゲンは、HDBCを考慮した第1の治療の1つであった。その作用は、特定の受容体タンパク質hERへの競合的結合能力に依存するので、内因性エストロゲンのその特定の結合部位へのアクセスを防止する。その結果として、天然ホルモンは、腫瘍成長を維持することができない。
【0010】
乳癌療法で一般に使用される抗エストロゲンであるタモキシフェン(以下)は、分子の毒性プロフィールが非常に低いので、最も広く使用されている。その非ステロイド性骨格にもかかわらず、タモキシフェンは、混合したアゴニスト−アンタゴニスト活性を有し、その治療可能性が制限される。さらに、長期タモキシフェン治療後の患者でいくつかの薬物耐性形態が報告されている10
【0011】
新規の純粋な抗エストロゲン薬(ICI 164384(以下)など)は発見されているが、タモキシフェンと比較して力価が低く、より力価の高い標的をデザインする必要があることが示唆されている11
【0012】
【化14】

ここ数年間に、骨または肝臓などの標的組織に対するエストロゲンアゴニズムと乳房または子宮などの生殖組織におけるアンタゴニズムおよび/または最小のアゴニズムとを組み合わせた新規の抗エストロゲン型が出現している12。選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)としてデザインされたこれらの化合物は、患者の乳癌リスクの軽減に潜在的に有効であるだけでなく、閉経後の女性における骨密度の増加および骨粗鬆症の防止も認められている。ラロキシフェンは、臨床的に使用された最初のこのクラスの化合物である13。現在、より多くのSERMが臨床試験で使用されており、これらの分子は、HDBCを有する女性の初回治療(first line treatment)としてのタモキシフェンといつか取って代わるであろう。
【0013】
1つまたはいくつかのステロイド生合成経路の酵素を阻害する治療薬の使用は、エストロゲン依存性腫瘍の発症を制御するための別の重要なストラテジーである14。アンドロゲン性C19ステロイドをエストロゲン性C18ステロイドに変換する酵素アロマターゼは、エストロゲンレベル低下のための主な標的であった。この酵素複合体は、シトクロムP450血液タンパク質を含み、アンドロゲンA環の芳香族化を触媒し、その後にC19メチル基が喪失してエストロゲンが得られる。
【0014】
アミノグルテチミド(以下)は、乳癌治療に使用された最初のアロマターゼインヒビターであった。しかし、アミノグルテチミドは、他のP450依存性酵素に対する広範な阻害効果を及ぼす多数の望ましくない副作用を示し、多数の非ステロイド性化合物を臨床試験で使用するために元の構造の改良が試みられている15。高い力価と高い酵素選択性とを組み合わせたレトロゾールなどの化合物が最近開発されており、これもより耐性が高い。
【0015】
【化15】

異なるアロマターゼインヒビター型の構造。第I世代:アミノグルテチミド、AG;第III世代、レトロゾール。
【0016】
伝統的に、アロマターゼインヒビターは、疾患がもはやタモキシフェンによって制御されない進行性HDBC患者の二次治療として留保されている。しかし、いくつかの最新のアロマターゼインヒビターの極めて良好な毒性プロフィールにより、最近、HDBCの初回治療としてのその適切性が、臨床試験で評価されている。
【0017】
過去10年の間で、他の経路がエストロゲン生合成に関与するという理由から、酵素アロマターゼの単独阻害によってHDBCに対するエストロゲン刺激を有効に減少させることができないという生化学的および臨床的に強い証拠が出現している。スルファターゼ活性がアロマターゼ活性の10倍のエストロゲンを供給することが見出されたので、スルファターゼ経路は、現在、主な乳癌エストロゲン合成経路と見なされている16
【0018】
スルファターゼ経路では、エストロゲンは、以下の2つの酵素を介して、高度に利用可能な前駆体硫酸エストロンから合成される(以下のスキーム):硫酸エストロンをエストロンに加水分解するエストロンスルファターゼ(STS)およびエストロンをエストラジオールに還元する17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β−HSD)。これらの2つの酵素は、エストロゲン枯渇ストラテジーの最新の標的である。
【0019】
【化16】

正常および腫瘍性乳房細胞中のエストロゲン起源。AR、アロマターゼ;ST:ステロイドスルホトランスフェラーゼ;STS、ステロイドスルファターゼ;17β−HSD、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ;3β−IS、3β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼΔ,Δ−イソメラーゼ;ER、エストロゲン受容体。
【0020】
エストロンスルファターゼのいくつかの潜在的なインヒビターが同定されている。これらは全て酵素基質である硫酸エストロンのフェノール環Aを模倣する置換基を有する芳香環の共通の構造的特徴を共有する。ステロイド性インヒビターの開発に関して、広範な種々の化学基が、C3に導入されており、3−O−スルファメートは、エストロン分子に最も強力であることが見出された。得られた化合物エストロン−3−O−スルファメート(以下)により、STSの強力な阻害に必要な活性ファーマコフォアとしてアリール−O−スルファメート構造が同定された。EMATEは、ステロイドスルファターゼ活性を時間および濃度依存様式で阻害することが示され17、経口投与に関してin vivoで活性であった18。しかし、エストロゲン性が高いことが明らかとなり、hERに対するアゴニスト活性を欠くSTSインヒビターをデザインすることが必要になった。
【0021】
活性ステロイド核に関連する問題を回避するために、非ステロイドベースのインヒビターを合成した。活性ファーマコフォアが保存された4−メチルクマリン−7−O−スルファメート(COUMATE、以下)などのクマリンスルファメートは、このインヒビター型のうちで最初に同定されたインヒビター型であった19。COUMATEは、EMATEより強力でないが、非エストロゲン性であることが有利である20。いくつかの三環式クマリンベースのスルファメートも開発され、その非エストロゲン特性が保持されながらCOUMATEよりもはるかに強力であることが見出された21。667COUMATEは、in vitroでEMATEより約3倍強力であり、現在、臨床試験のために臨床開発中である22
【0022】
【化17】

ステロイドスルファターゼインヒビターであるEMATE、COUMATE、および667COUMATEの構造。
【0023】
PCT/GB92/01587号は、エストロン依存性腫瘍、特に乳癌の治療で使用するための新規のステロイドスルファターゼインヒビターおよびこれを含む薬学的組成物を教示する。これらのステロイドスルファターゼインヒビターは、N,N−ジメチルエストロン−3−スルファメート、好ましくはエストロン−3−スルファメート(EMATE)などのスルファメートエステルである。EMATEはインタクトなMCF−7細胞中にて0.1mMでE1−STS活性を99%を超えて阻害することが示されているので、EMATEは強力なE1−STSインヒビターであることが公知である。EMATEはまた、時間および濃度依存性様式でE1−STS酵素を阻害し、EMATEが活性な部位特異的失活剤として作用することを示す。EMATEは、本来はE1−STS阻害のためにデザインされたが、デヒドロエピアンドロステロンスルファターゼ(DHA−STS)も阻害し、この酵素は、エストロゲン性ステロイドであるアンドロステンジオールの生合成の調節で極めて重要な役割を果たすと考えられている酵素である。また、現在、アンドロステンジオールは、乳房腫瘍成長のプロモーターとしてさらにより重要であり得ると示唆される証拠が存在する。EMATEはまた、経口または皮下のいずれかで投与した場合にラット肝臓E1−STS(99%)活性およびDHA−STS(99%)活性をほとんど完全に阻害するので、in vivoでも活性である。さらに、EMATEはラットにおいて記憶促進効果を有することが示されている。マウスでの研究により、DHA−STS活性と免疫応答の一部の調節との間の関係が示唆されている。これはヒトでも起こり得ると考えられる。EMATE中のスルファメート部分のO原子の架橋は、阻害活性に重要である。したがって、エストロン−3−N−スルファメートおよびエストロン−3−S−スルファメートのように3−O−原子を他のヘテロ原子に置換した場合、これらのアナログはより弱い非時間依存性失活剤である。
【0024】
E1−STS阻害の至適力価をEMATEで達成することができたにもかかわらず、スルファターゼ阻害中にエストロンを放出し、EMATEおよびそのエストラジオール同類物がエストロゲン活性を有することが可能である。
【0025】
エストロゲンの最終工程およびアンドロゲン合成を触媒する17β−HSDは、エストロゲン枯渇ストラテジーの標的として出現した。この酵素は、ステロイドの酸化状態(活性小)と還元形態(活性大)の相互変換を担う。好んでエストロンをエストラジオールに還元し25、小さな範囲では、アンドロゲンDHEAのアンドロステンジオール(アジオール)への変換を介するので、その活性は、エストロゲン依存性腫瘍の成長および発達を直接支持する。アジオールは、エストロゲン特性を有し、エストロゲン受容体に結合することができることが最近証明された26
【0026】
17β−HSDはイソ酵素ファミリーに属し、これまで、そのうちの11種が同定およびクローニングされている27。各型は、選択的基質親和性および定方向活性(directional activity)を有し、薬物作用の選択性を達成しなければならないことを意味する。17β−HSD 1型は、エストロンとエストラジオールとの相互変換を触媒するアイソタイプである。
【0027】
STSインヒビターと異なり、17β−HSDインヒビターはわずかしか報告されていない。17β−HSD 1型に対するほとんどのステロイド性インヒビターは、共通のD環修飾構造を有する。16α位に良好な遊離基を有する側鎖を含むエストラジオール誘導体は、強力なインヒビタークラスであることが示されている。特に、側鎖が酵素の活性部位中の求核アミノ酸残基に対して高い反応性を示す16α−(ブロモアルキル)−エストラジオール28は、有望な不可逆的インヒビターであることが見出された。16位に短いブロモアルキル部分を含むアナログは、16α−(ブロモプロピル)−エストラジオールに最も高い活性を示し、16α−(ブロモブチル)−エストラジオール(最も強力な系列(3および4))がこれに続く。しかし、これらは、エストロゲン受容体の純粋なアゴニストであることが判明した。
【0028】
【化18】

17β−HSD 1型インヒビター:16α−(ブロモプロピル)−エストラジオール(3);
16α−(ブロモプロピル)−エストラジオール(4)、およびフラボン誘導体アピゲニン。
【0029】
強力なインヒビターの内因性エストロゲン性を排除し、場合によっては同時に分子に対する抗エストロゲン特性を操作するために、公知の抗エストロゲンICI 164384のC7α−アルキルアミド側鎖を保有するいくつかの16α−(広範(broadly))−エストラジオール誘導体を合成した29。しかし、17β−HSD 1型阻害はやや不十分であり、エストロゲン特性および抗エストロゲン特性は完全に消失も導入もされなかった。
【0030】
同時に、17β−HSD 1型の非ステロイド性インヒビターがデザインされている。エストロゲンと構造的に類似するフラボノイドは、エストロゲン活性または抗エストロゲン活性を有するエストロゲン受容体に結合することができる30。アロマターゼ活性に対するその作用は十分に報告されており、最近の研究では、17β−HSD 1型によって触媒されたエストロンのエストラジオールへの変換を減少させることが示された31。フラボン誘導体(アピゲニンなど(図6))は、17β−HSD 1型に対していくらかの阻害活性を有し、阻害濃度でエストロゲン性を示さない有望な化合物としてSAR研究から出現した32
【0031】
Ahmed et al(非特許文献1)は、STSのステロイド性インヒビターおよび非ステロイド性インヒビターの構造−活性関係の研究について報告している。
【0032】
エストラジオール17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(E2HSD)などのステロイドデヒドロゲナーゼ(DH)は、エストロゲン受容体と相互作用するためのリガンドの利用可能性の調節で極めて重要な役割を果たす。E2HSD I型は、エストロン(E1)を生物活性エストロゲンであるエストラジオール(E2)に還元する一方で、E2HSD II型は、E1へのその酸化の触媒によってE2を不活化する。したがって、DH阻害活性を有する化合物、特に、E2HSD I型のインヒビターの同定は、E2形成の阻害において治療的価値があり得る。
【0033】
特許文献1は、式:
【0034】
【化19】

(式中、GはHまたは置換基である)の化合物を開示する。化合物は、特に、ステロイドスルファターゼインヒビターとしての活性を有する。
【特許文献1】国際公開第03/033518号パンフレット
【非特許文献1】Biochem Biophys Res Commun 1999 Jan 27;254(3):811−5
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0035】
(本発明の態様の概要)
本発明は、有効なステロイドスルファターゼインヒビターとして作用することができる新規の化合物を提供する。本発明は、本願の化合物が有効なステロイドスルファターゼインヒビターであることを確認する。
【0036】
図1は、硫酸エストロンおよびエストラジオールからのエストロンのin situ合成に関与するいくつかの酵素を示す。「STS」はエストロンスルファターゼを示し、「E2DH I型」はエストラジオール17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼI型またはエストラジオール17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型、3型、5型、および/または7型7を示し、「E2DH II型」はエストラジオール17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼII型またはエストラジオール17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型および/または8型を示す。
【0037】
認められるように、エストロゲンの末梢合成(peripheral synthesis)に関与する2つの酵素は、酵素エストラジオール17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼおよび酵素エストロンスルファターゼである。
【0038】
エストロゲンのin situ合成は、腫瘍中の高レベルのエストロゲンに大きく寄与すると考えられ、したがって、エストロゲン生合成の特異的インヒビターは、内分泌依存性腫瘍の治療に潜在的有用性がある。
【0039】
さらに、スルファターゼ経路を介した悪性乳房組織および子宮内膜組織中のエストロゲン形成が高濃度のエストロゲンに大きく寄与するにもかかわらず、エストロゲンのin vivo合成に寄与するさらに別の酵素経路が存在する。
【0040】
したがって、これらの癌の治療のための新規の治療法の開発が差し迫って必要である。
【0041】
したがって、本発明は、従来技術の乳癌および子宮内膜癌の治療方法に関連する1つまたは複数の問題の克服を目指す。
【0042】
したがって、1つの態様では、本発明は、エストロンスルファターゼ経路(この経路はエストロンとエストラジオールとを変換する)に影響を及ぼし(実質的に阻害し)、そして/またはステロイドデヒドロゲナーゼ経路(この経路はエストロンとエストラジオールとを変換する)に影響を及ぼす(実質的に阻害する)ことができる薬物を調製するための化合物使用を提供する。
【0043】
1つの化合物型の投与によってエストロンまたはE1Sからのエストラジオールの合成を遮断することが可能であるので、本発明のこの態様は有利である。したがって、本発明は、特に乳癌および子宮内膜癌の治療に対して相当な治療上の利点を有する化合物を提供する。
【0044】
本発明の化合物は、他の置換基を含むことができる。これらの他の置換基は、例えば、本発明の化合物の活性をさらに増加させ、そして/または安定性を増加させる(ex vivoおよび/またはin vivoで)ことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
(発明の詳細な態様)
本発明の1つの態様によれば、式I:
【0046】
【化20】

(式中、Gはフルオロカルビル基である)を有する化合物を提供する。
【0047】
本発明の1つの態様によれば、薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤、またはアジュバントと混合した、式I:
【0048】
【化21】

(式中、Gはフルオロカルビル基である)を有する化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0049】
本発明の1つの態様によれば、薬物用の式I:
【0050】
【化22】

(式中、Gはフルオロカルビル基である)を有する化合物を提供する。
【0051】
本発明の1つの態様によれば、ステロイドスルファターゼ(STS)に関連する容態または疾患の治療で使用する薬物の製造における、式I:
【0052】
【化23】

(式中、Gはフルオロカルビル基である)を有する化合物の使用を提供する。
【0053】
本発明の1つの態様によれば、有害なSTSレベルに関連する容態または疾患の治療で使用する薬物の製造における、式I:
【0054】
【化24】

(式中、Gはフルオロカルビル基である)を有する化合物の使用を提供する。
【0055】
本発明の1つの態様によれば、ステロイドスルファターゼ(STS)活性の阻害薬の製造における、式I:
【0056】
【化25】

(式中、Gはフルオロカルビル基である)を有する化合物の使用を提供する。
【0057】
本発明の1つの態様によれば、式I:
【0058】
【化26】

(式中、Gはフルオロカルビル基である)を有する化合物を投与する工程を含む、必要とする被験体のステロイドスルファターゼ(STS)活性を阻害する方法を提供する。
【0059】
本発明の1つの態様によれば、細胞周期の調整および/もしくは停止および/もしくは阻害ならびに/またはアポトーシスの調整および/もしくは誘導のための薬物の製造における、式I:
【0060】
【化27】

(式中、Gはフルオロカルビル基である)を有する化合物の使用を提供する。
【0061】
参照を容易にするために、本発明のこれらまたはさらなる態様を、適切な節の見出しをつけてここに考察する。しかし、各節の教示は、各特定の節に必ずしも制限されない。
【0062】
(好ましい態様)
環系
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、化合物は、式II:
【0063】
【化28】

(式中、Gはフルオロカルビル基であり、Rは、−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する。
【0064】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、化合物は、式III:
【0065】
【化29】

(式中、Gはフルオロカルビル基であり、Rは、−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する。
【0066】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、化合物は、式IV:
【0067】
【化30】

(式中、Gはフルオロカルビル基であり、Rは−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する。
【0068】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、化合物は、式V:
【0069】
【化31】

(式中、Gはフルオロカルビル基であり、Rは−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する。
【0070】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、化合物は、式VI:
【0071】
【化32】

(式中、Gはフルオロカルビル基であり、Rは−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する。
【0072】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、化合物は、式VII:
【0073】
【化33】

(式中、Gはフルオロカルビル基であり、Rは−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する。
【0074】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、化合物は、式VIII:
【0075】
【化34】

(式中、Gはフルオロカルビル基であり、Rは−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する。
【0076】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、化合物は、式IX:
【0077】
【化35】

(式中、Gはフルオロカルビル基であり、Rは−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する。
【0078】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、化合物は、式X:
【0079】
【化36】

(式中、Gはフルオロカルビル基であり、Rは−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する。
【0080】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、化合物は、式XI:
【0081】
【化37】

(式中、Gはフルオロカルビル基であり、Rは−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する。
【0082】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、化合物は、式XII:
【0083】
【化38】

(式中、Gはフルオロカルビル基であり、Rは−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する。
【0084】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、化合物は、式XIII:
【0085】
【化39】

(式中、Gはフルオロカルビル基であり、Rは−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する。
【0086】
非常に好ましい化合物は、式:
【0087】
【化40】

またはその薬学的に許容可能な塩もしくはエステル形態を有する。
【0088】
当該分野で周知のように、古典的ステロイド環構造は、
【0089】
【化41】

の一般式を有する。
【0090】
上記式では、環は、従来の様式で標識されている。
【0091】
生体同配体の例は、任意の1つまたは複数の環A、B、C、およびDが複素環であり、そして/または任意の1つまたは複数の環A、B、C、およびDが置換され、そして/または任意の1つまたは複数の環A、B、C、およびDが修飾されている場合であるが、生体同配体はステロイド特性を有する。
【0092】
これに関して、本発明の環系は、ステロイド環構造に類似し、ステロイド環構造の生体同配体であり得る。
【0093】
本発明の多環構造の構造を、以下:
【0094】
【化42】

(式中、各環A’、B’、およびC’は、独立して、複素環または非複素環を示し、各環は、独立して置換もしくは非置換または飽和もしくは不飽和であり得る)で示すことができる。
【0095】
例として、任意の1つまたは複数の環A’、B’、C’、およびD’を、適切な基(アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、ハロ基、ヒドロカルビル基、オキシヒドロカルビル基など)に独立して置換することがきる。
【0096】
少なくとも1つのA’、B’、およびC’は、複素環基(複素環)または非複素環基であり得る。
【0097】
少なくとも1つのA’、B’、C’、およびD’は、飽和環構造または不飽和環構造(アリール基など)であり得る。
【0098】
好ましくは、少なくとも1つのA’、B’、C’、およびD’は、アリール環である。
【0099】
好ましくは、化合物は、(全置換基を含めて)わずか約50個の炭素原子、より通常にはわずか約30〜40個の炭素原子を含むであろう。
【0100】
D’の例は、5員環または6員環である。
【0101】
本発明の化合物が基本であり得る好ましいステロイド核の環A’〜D’には、以下の環A〜Dが含まれる。
【0102】
エストロンおよび置換エストロン、つまり、以下:
エストロン 16β−OH−エストロン
4−OH−エストロン 17−デオキシエストロン
6α−OH−エストロン 2−OH−エストロン
7α−OH−エストロン 2−MeO−エストロン
16α−OH−エストロン エストロン。
【0103】
エストラジオールおよび置換エストラジオール、つまり、以下:
4−OH−17β−エストラジオール 16β−OH−17β−エストラジオール
6α−OH−17β−エストラジオール 17α−エストラジオール
7α−OH−17β−エストラジオール 17β−エストラジオール
4−OH−17α−エストラジオール 17α−エチニル−17β−エストラジオール
6α−OH−17α−エストラジオール 17β−エチニル−17α−エストラジオール
7α−OH−17α−エストラジオール 17−デオキシエストラジオール
16α−OH−17α−エストラジオール 2−OH−17α−エストラジオール
16α−OH−17β−エストラジオール 2−OH−17β−エストラジオール
16β−OH−17α−エストラジオール 2−MeO−17α−エストラジオール
2−MeO−17β−エストラジオール。
【0104】
エストリオールおよび置換エストリオール、つまり、以下:
エストリオール 17−デオキシエストリオール
4−OH−エストリオール 2−OH−エストリオール
6α−OH−エストリオール 2−MeO−エストリオール
7α−OH−エストリオール。
【0105】
デヒドロエピアンドロステロンおよび置換デヒドロエピアンドロステロン、つまり、以下:
デヒドロエピアンドロステロン 16α−OH−デヒドロエピアンドロステロン
6α−OH−デヒドロエピアンドロステロン 16β−OH−デヒドロエピアンドロステロン
7α−OH−デヒドロエピアンドロステロン 5−アンドロステンジオール。
【0106】
G基
G基はフルオロカルビル基である。本明細書中で使用する場合、用語「フルオロカルビル」は、少なくとも炭素原子およびフッ素原子を含む基を意味する。
【0107】
1つの実施形態では、G基はペルフルオロアルキル基である。より好ましくは、G基はC1〜C10ペルフルオロアルキル基である。
【0108】
本明細書中で使用する場合、用語「ペルフルオロアルキル」は、全ての水素原子がフッ素に置換されたアルキル基をいう。ペルフルオロアルキル基の例は、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルなどである。
【0109】
別の好ましい実施形態では、G基は、少なくとも炭素、フッ素、および1つのさらなる元素を含む。より好ましくは、G基は、少なくとも炭素、フッ素、および水素を含む。より好ましくは、G基は、炭素、フッ素、および水素のみを含む。
【0110】
好ましくは、G基は、1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは、1〜3個の炭素原子を含む。
【0111】
好ましくは、G基は、式−A−B(式中、Aは1〜9個の炭素原子の直鎖、分岐、または環状アルキレン基であり、Bは1〜10個の炭素原子の直鎖、分岐、または環状ペルフルオロアルキル基である)を有する。好ましくは、Aは式−(CH−(式中、nは1〜9の整数である)の基である。好ましくは、Aは2つの炭素原子を有する。好ましくは、Bは式−(CFCF(式中、mは0または1〜9の整数である)の基である。好ましくは、Bは1つの炭素原子を有する。
【0112】
好ましくは、G基は、式−(CH(CFCF(式中、nは1〜9の整数であり、mは0または1〜9の整数である)を有する。好ましくは、n+mは1と10との間である。好ましくは、nは2である。好ましくは、mは0である。
【0113】
最も好ましくは、G基は3,3,3−トリフルオロプロピル(−CHCHCF)である。
【0114】

本発明の化合物のR基は、−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである。
【0115】
1つの好ましい態様では、Rは、好ましくは、スルファメート基である。
【0116】
またはスルファメート基は、式:
【0117】
【化43】

(式中、RおよびRは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、およびアリール、またはこれらの組み合わせから独立して選択されるか、一緒になってアルキレンを示し、上記アルキル、シクロアルキル、またはアルケニルのそれぞれは、任意選択的に、1つまたは複数のヘテロ原子またはヘテロ基を含む)のスルファメート基であり得る。
【0118】
別の好ましい実施形態では、Rは−OHである。
【0119】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、RおよびRの少なくとも1つはHである。
【0120】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、RおよびRはHである。
【0121】
置換基
本発明の化合物は、本明細書中に示す環系以外の置換基を有することができる。さらに、本明細書中の環系を、一般式で示し、そのようなものとして解釈される。所与の環員上に任意の具体的に示した置換基が存在しない場合、環員を任意の部分(Hはほんの一例)に置換することができることを示す。環系は、1つまたは複数の不飽和度を含むことができ、例えば、いくつかの態様では、環系の1つまたは複数の環系が芳香環である。環系は、炭素環であり得るか、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことができる。
【0122】
本発明の化合物、特に、本発明の環系化合物は、本明細書中に示す置換基以外の置換基を含むことができる。例として、これらの他の置換基は、1つまたは複数の以下であり得る:1つまたは複数のスルファメート基、1つまたは複数のホスホネート基、1つまたは複数のチオホスホネート基、1つまたは複数のスルホネート基、1つまたは複数のスルホンアミド基、1つまたは複数のハロ基、1つまたは複数のO基、1つまたは複数のヒドロキシ基、1つまたは複数のアミノ基、1つまたは複数の硫黄含有基、1つまたは複数のヒドロカルビル基(オキシヒドロカルビル基など)。
【0123】
一般論として、本発明の化合物の環系A’B’C’D’は、種々の非干渉置換基(non−interfering substituent)を含むことができる。特に、環系A’B’C’D’は、1つまたは複数のヒドロキシ、アルキル(特に、低級(C〜C)アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルおよび他のペンチル異性体、ならびにn−ヘキシルおよび他のヘキシル異性体))、アルコキシ(特に、低級(C〜C)アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど))、アルキニル(例えば、エチニル)、またはハロゲン(例えば、フルオロ置換基)を含むことができる。
【0124】
本発明のいくつかの化合物について、環系をヒドロカルビルスルファニル基に置換することが好ましい。より好ましくは、環系の環A’を、ヒドロカルビルスルファニル基に置換する。用語「ヒドロカルビルスルファニル」は、少なくともヒドロカルビル基(本明細書中に定義)および硫黄を含む基を意味し、好ましくは−S−ヒドロカルビル、より好ましくは−S−炭化水素である。硫黄基を、任意選択的に酸化することができる。
【0125】
本発明のいくつかの化合物について、環系の環A’の少なくとも2位をヒドロカルビルスルファニル基に置換することが非常に好ましい。
【0126】
好ましくは、ヒドロカルビルスルファニル基は、−S−C1〜10アルキル、より好ましくは−S−C1〜5アルキル、より好ましくは−S−C1〜3アルキル、より好ましくは−S−CHCHCH、−S−CHCH、または−SCHである。
【0127】
本発明のいくつかの化合物について、環系の環A’をアルコキシ基に置換することが非常に好ましい。
【0128】
本発明のいくつかの化合物について、環系の環A’の少なくとも2位をアルコキシ基に置換することが非常に好ましい。
【0129】
好ましくは、アルコキシ基はメトキシである。
【0130】
本発明のいくつかの化合物について、環系の少なくとも環A’をヒドロカルビル基に置換することが非常に好ましい。
【0131】
本発明のいくつかの化合物について、環系の環A’の少なくとも2位をアルキル基に置換することが非常に好ましい。
【0132】
好ましくは、アルキル基はエチルである。
【0133】
本発明のいくつかの化合物について、化合物が少なくとも2つまたはそれを超えるスルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基を含むことが非常に好ましい。
【0134】
本発明のいくつかの化合物について、化合物が少なくとも2つのスルファメート基を含むことが非常に好ましい。
【0135】
本発明のいくつかの化合物について、化合物が少なくとも2つのスルファメート基を含み、ここで、スルファメート基が同一の環上に存在しないことが非常に好ましい。
【0136】
本発明のいくつかの化合物について、環系の環A’が少なくとも1つのスルファメート基を含み、環系のD’環が少なくとも1つのスルファメート基を含むことが非常に好ましい。
【0137】
本発明のいくつかの態様では、好ましくは、環A’が1つまたは複数のアルコキシ置換基およびアルキル置換基を含む。したがって、本発明の1つの態様によれば、式XIII:
【0138】
【化44】

(式中、RおよびRは、Hおよびヒドロカルビル基から独立して選択され、RおよびRの少なくとも1つがヒドロカルビル基である)を有する化合物を提供する。
【0139】
本発明の好ましい態様では、式XIV〜XIX:
【0140】
【化45】

【0141】
【化46】

(式中、RおよびRは、Hおよびヒドロカルビル基から独立して選択され、RおよびRの少なくとも1つがヒドロカルビル基である)を有する化合物から選択される化合物を提供する。
【0142】
好ましくは、RおよびRの少なくとも1つはアルキル基である。好ましくは、RおよびRの少なくとも1つはC〜C10アルキル基、好ましくはC〜Cアルキル基、好ましくはC〜Cアルキル基である。好ましくは、RおよびRの少なくとも1つは、−CHまたは−CHCHである。
【0143】
1つの態様では、好ましくは、Rはヒドロカルビル基であり、RはHである。
【0144】
別の好ましい態様では、RおよびRの少なくとも1つはアルコキシ基である。好ましくは、RおよびRの少なくとも1つはメトキシである。
【0145】
非常に好ましい本発明の化合物を、
【0146】
【化47】

(式中、R=(CHCF、およびR=H、R=OMe、R=−S−Me)
から選択することができる。
【0147】
さらなる態様
本発明の1つの態様によれば、薬物用の本発明の化合物を提供する。
【0148】
本発明の1つの態様によれば、薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤、またはアジュバントと任意選択的に混合した、本発明の化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0149】
本発明の1つの態様によれば、STSに関連する容態または疾患の治療で使用する薬物の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0150】
本発明の1つの態様によれば、有害なSTSレベルに関連する容態または疾患の治療で使用する薬物の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0151】
いくつかの適用のために、好ましくは、化合物は、エストロゲン効果を持たないか最小である。
【0152】
いくつかの適用のために、好ましくは、化合物はエストロゲン効果を有する。
【0153】
いくつかの適用のために、好ましくは、化合物は可逆的作用を有する。
【0154】
いくつかの適用のために、好ましくは、化合物は不可逆的作用を有する。
【0155】
1つの実施形態では、本発明の化合物は、乳癌の治療に有用である。
【0156】
本発明の化合物は、塩の形態であり得る。
【0157】
本発明は、本発明の化合物の調製に有用な新規の中間体も対象とする。例えば、本発明は、化合物の新規のアルコール前駆体を対象とする。さらなる例として、本発明は、化合物のビス保護前駆体を対象とする。これらの各前駆体の例を、本明細書中に示す。本発明はまた、本発明の化合物の合成のための前駆体のそれぞれまたは両方を含むプロセスを含む。
【0158】
本発明者らはまた、本発明のいくつかの態様では、本発明の化合物はステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)活性も阻害することができることを突き止めた。
【0159】
ステロイドデヒドロゲナーゼまたはHSDは、17βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを意味する。1つの態様では、17βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼはEC1.1.1.62である。
【0160】
好ましくは、HSDは1型、3型、5型、および/または7型である。好ましくは、HSDは、エストロン(ケトン)をエストラジオール(ヒドロキシ)に変換する。
【0161】
好ましくは、HSDは2型および/または8型である。好ましくは、HSDは、エストラジオール(ヒドロキシ)をエストロン(ケトン)に変換する。
【0162】
したがって、さらなる態様では、本発明は、以下を提供する。
・ステロイドデヒドロゲナーゼに関連する容態または疾患の治療で使用する薬物の製造における本発明の化合物の使用。
・有害なステロイドデヒドロゲナーゼレベルに関連する容態または疾患の治療で使用する薬物の製造における本発明の化合物の使用。
・ステロイドデヒドロゲナーゼ活性の阻害薬の製造における本発明の化合物の使用。
・ステロイドデヒドロゲナーゼ活性の阻害薬の製造における本発明の化合物の使用。
・(a)1つまたは複数の本発明の候補化合物を使用してステロイドデヒドロゲナーゼアッセイを実施する工程、(b)1つまたは複数の候補化合物がステロイドデヒドロゲナーゼ活性を調整することができるかどうかを決定する工程、および(c)ステロイドデヒドロゲナーゼ活性を調整することができる1つまたは複数の候補化合物を選択する工程を含む方法。
・(a)1つまたは複数の本発明の候補化合物を使用してステロイドデヒドロゲナーゼアッセイを実施する工程、(b)1つまたは複数の候補化合物がステロイドデヒドロゲナーゼ活性を調整することができるかどうかを決定する工程、および(c)ステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害することができる1つまたは複数の候補化合物を選択する工程を含む方法。
・上記方法によって同定された化合物、薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤、またはアジュバントと任意選択的に混合した化合物を含む薬物および薬学的組成物でのその使用。
【0163】
本発明のいくつかの態様では、ステロイドデヒドロゲナーゼがステロイドデヒドロゲナーゼI型であることが好ましい。
【0164】
本発明のいくつかの態様では、ステロイドデヒドロゲナーゼがステロイドデヒドロゲナーゼII型であることが好ましい。
【0165】
好ましくは、HSDは1型、3型、5型、および/または7型である。好ましくは、HSDは、エストロン(ケトン)をエストラジオール(ヒドロキシ)に変換する。
【0166】
好ましくは、HSDは2型および/または8型である。好ましくは、HSDは、エストラジオール(ヒドロキシ)をエストロン(ケトン)に変換する。
【0167】
本発明者らは、いくつかの態様では、ステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)活性を阻害するために、本発明の化合物をスルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のうちの1つで置換する必要がないことも突き止めた。したがって、いくつかの態様では、本発明は、Rが任意の置換基である本明細書中で同定した化合物を提供する。この態様では、好ましくは、RはH、OH、またはヒドロカルビル基、より好ましくはOHである。
【0168】
従って、さらなる態様では、本発明は、以下を提供する。
・式:
【0169】
【化48】

(式中、Gはフルオロカルビル基である)を有する化合物。
・ステロイドデヒドロゲナーゼに関連する容態または疾患の治療で使用する薬物の製造における化合物の使用。
・有害なステロイドデヒドロゲナーゼレベルに関連する容態または疾患の治療で使用する薬物の製造における化合物の使用。
・ステロイドデヒドロゲナーゼ活性の阻害薬の製造における化合物の使用。
・ステロイドデヒドロゲナーゼ活性の阻害薬の製造における化合物の使用。
・(a)上記式を有する1つまたは複数の本発明の候補化合物を使用してステロイドデヒドロゲナーゼアッセイを実施する工程、(b)1つまたは複数の候補化合物がステロイドデヒドロゲナーゼ活性を調整することができるかどうかを決定する工程、および(c)ステロイドデヒドロゲナーゼ活性を調整することができる1つまたは複数の候補化合物を選択する工程を含む方法。
・(a)上記式を有する1つまたは複数の本発明の候補化合物を使用してステロイドデヒドロゲナーゼアッセイを実施する工程、(b)1つまたは複数の候補化合物がステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害することができるかどうかを決定する工程、および(c)ステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害することができる1つまたは複数の候補化合物を選択する工程を含む方法。
・上記方法によって同定された化合物、薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤、またはアジュバントと任意選択的に混合した化合物を含む薬物および薬学的組成物でのその使用。
【0170】
利点
本発明の1つの重要な利点は、本発明の化合物がSTSインヒビターとして作用することができることである。
【0171】
本発明の化合物の別の利点は、これらがin vivoで強力であり得ることである。
【0172】
本発明のいくつかの化合物は、非エストロゲン性化合物であり得る。ここで、用語「非エストロゲン性」は、エストロゲン活性を示さないか、実質的に示さないことを意味する。
【0173】
別の利点は、いくつかの化合物がホルモン活性を示すか誘導する化合物に代謝することができないことである。
【0174】
本発明のいくつかの化合物はまた、経口で有効であり得るとう点で有利である。
【0175】
本発明のいくつかの化合物は、公知のSTSインヒビターと比較して、in vivoでの作用持続時間が改良されている。
【0176】
本発明のいくつかの化合物は、特に、薬物を早期から投与する必要があり得る場合、乳癌などの癌の治療および(または)非悪性容態(自己免疫疾患の防止など)に有用であり得る。
【0177】
したがって、本発明のいくつかの化合物は、内分泌依存性癌の治療以外の治療用途(自己免疫疾患の治療など)を有するとも考えられる。
【0178】
ステロイドスルファターゼ
ステロイドスルファターゼ(時折ステロイドスルファターゼまたはステリルスルファターゼと呼ばれるか、略して「STS」)は、いくつかの硫酸化ステロイド(硫酸エストロン、硫酸デヒドロエピアンドロステロン、および硫酸コレステロールなど)を加水分解する。STSは、酵素番号EC3.1.6.2を割り当てられている。
【0179】
STSは、クローニングおよび発現されている。例えば、Stein et al(J. Biol. Chem. 264:13865−13872(1989))およびYen et al(Cell 49:443−454(1987))を参照のこと。
【0180】
STSは、多数の疾患および容態に関与している酵素である。
【0181】
例として、STSの全欠損によって魚鱗癬を発症することが見出されている。研究者によれば、STS欠損は、日本で非常に流行する。この研究者(Sakura et al,J Inherit Metab Dis 1997 Nov;20(6):807−10)はまた、アレルギー疾患(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、またはアトピー性皮膚炎など)がステロイドスルファターゼ欠損に関連し得ると報告している。
【0182】
病状がSTS活性の全ての欠如によって起こることに加えて、STS活性レベルの増加も病態を引き起こし得る。例として、上で示すように、乳癌の成長および転移におけるSTSの役割を支持する強い証拠が存在する。
【0183】
STSは、他の病態にも関与している。例として、Le Roy et al(Behav Genet 1999 Mar;29(2):131−6)は、ステロイドスルファターゼ濃度とマウスの発作挙動の開始との間に遺伝相関が存在し得ることを割り出した。著者は、ステロイドの硫酸化(sulphatation)が複雑なネットワーク(変異誘発による攻撃性に関与することが示された遺伝子が含まれる)の原動力であり得るとの結論を下している。
【0184】
STS阻害
STS活性に関連するいくつかの病態は不活性な硫酸化エストロンの活性な非硫酸化エストロンへの変換に起因すると考えられる。STS活性に関与する病態では、STS活性を阻害することが望ましいであろう。
【0185】
ここで、用語「阻害する」には、有害なSTS作用の軽減および/または排除および/またはマスキングおよび/または防止が含まれる。
【0186】
STSインヒビター
本発明によれば、本発明の化合物はSTSインヒビターとして作用することができる。
【0187】
ここで、本発明の化合物に関して本明細書中で使用する場合、用語「インヒビター」は、STS活性を阻害する(有害なSTS作用の軽減および/または排除および/またはマスキングおよび/または防止など)ことができる化合物を意味する。STSインヒビターは、アンタゴニストとして作用することができる。
【0188】
化合物がエストロンスルファターゼ活性を阻害する能力を、インタクトなMCF−7乳癌細胞または胎盤ミクロソームのいずれかを使用して評価することができる。さらに、動物モデルを使用することができる。適切なアッセイプロトコールについての詳細を、以下の節に示す。他のアッセイを使用してSTS活性を決定し、それによってSTS阻害を決定することができることに留意すべきである。例えば、WO−A−99/50453号の教示を参照することもできる。
【0189】
好ましくは、いくつかの適用のために、スルファメート基が硫酸基に置換されて硫酸誘導体を形成するならば硫酸誘導体がステロイドスルファターゼ(E.C.3.1.6.2)活性を有する酵素によって加水分解可能であろう(すなわち、ステロイドスルファターゼ(EC3.1.6.2)とpH7.4および37℃でインキュベートした場合)という特徴によって化合物をさらに特徴づける。
【0190】
1つの好ましい実施形態では、化合物のスルファメート基が硫酸基に置換されて硫酸化合物が形成されるならば、ステロイドスルファターゼ(EC3.1.6.2)とpH7.4および37℃でインキュベートした場合にこの硫酸化合物はステロイドスルファターゼ(E.C.3.1.6.2)活性を有する酵素によって加水分解可能であり、200mmolar未満、好ましくは150mmolar未満、好ましくは100mmolar未満、好ましくは75mmolar未満、好ましくは50mmolar未満のKm値が得られるであろう。
【0191】
1つの好ましい実施形態では、化合物のスルファメート基が硫酸基に置換されて硫酸化合物が形成されるならば、ステロイドスルファターゼ(EC3.1.6.2)とpH7.4および37℃でインキュベートした場合にこの硫酸化合物はステロイドスルファターゼ(E.C.3.1.6.2)活性を有する酵素によって加水分解可能であり、200μmolar未満、好ましくは150μmolar未満、好ましくは100μmolar未満、好ましくは75μmolar未満、好ましくは50μmolar未満のKm値が得られるであろう。
【0192】
好ましい実施形態では、本発明の化合物は、ステロイドスルファターゼ(E.C.3.1.6.2)活性を有する酵素によって加水分解できない。
【0193】
いくつかの適用のために、好ましくは、本発明の化合物は、所望の標的(例えば、STS)に対して少なくとも約100倍の選択性、好ましくは、所望の標的に対して少なくとも約150倍の選択性、好ましくは、所望の標的に対して少なくとも約200倍の選択性、好ましくは、所望の標的に対して少なくとも約250倍の選択性、好ましくは、所望の標的に対して少なくとも約300倍の選択性、好ましくは、所望の標的に対して少なくとも約350倍の選択性を有する。
【0194】
本発明の化合物が、STS活性を阻害する能力に付加するかその代わりの他の有利な特性を有し得ることに留意すべきである。
【0195】
ステロイドデヒドロゲナーゼ
ステロイドデヒドロゲナーゼまたは略して「DH」を、以下の2つの型に分類することができる:I型およびII型。2つの酵素型(エストラジオール17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(E2HSD)など)は、エストロゲン受容体と相互作用するリガンドの利用能の調節で極めて重要な役割を果たす。I型は、エストロン(E1)を生物学的に活性なエストロゲンであるエストラジオール(E2)に還元する一方で、E2HSD II型はE1への酸化の触媒によってE2を不活化する。
【0196】
DH阻害
DH活性に関連するいくつかの病態は非活性エストロンの活性エストラジオールへの変換に起因すると考えられる。DH活性に関連する病態では、DH活性を阻害することが望ましいであろう。
【0197】
ここで、用語「阻害する」は、有害なDH作用の軽減および/または排除および/またはマスキングおよび/または防止が含まれる。
【0198】
DHインヒビター
本発明によれば、本発明の化合物はDHインヒビターとして作用することができる。
【0199】
ここで、本発明の化合物に関して本明細書中で使用する場合、用語「インヒビター」は、DH活性を阻害する(有害なDH作用の軽減および/または排除および/またはマスキングおよび/または防止など)ことができる化合物を意味する。DHインヒビターは、アンタゴニストとして作用することができる。
【0200】
化合物がステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害する能力を、E2HSD I型活性が豊富なT47D乳癌細胞またはII型インヒビター研究のためのMDA−MB−231細胞のいずれかを使用して評価することができる。両細胞株では、産物の形成は、時間および細胞数に対して直線性を有する。適切なアッセイプロトコールについての詳細を、実施例に示す。
【0201】
本発明の化合物が、DH活性を阻害する能力に付加するかその代わりの他の有利な特性を有し得ることに留意すべきである。
【0202】
スルファメート基
1つの実施形態では、環Xは置換基としてスルファメート基を有する。本明細書中で使用する場合、用語「スルファメート」には、スルファメートのエステル、スルファメートのN置換誘導体のエステル、またはその塩が含まれる。
【0203】
がスルファメート基である場合、本発明の化合物を、スルファメート化合物という。
【0204】
典型的には、スルファメート基は式:
(R)(R)N−S(O)(O)−O−
(式中、好ましくは、RおよびRは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、およびアリール、またはこれらの組み合わせから独立して選択されるか、一緒になってアルキレンを示し、上記アルキル、シクロアルキル、またはアルケニルのそれぞれは、任意選択的に、1つまたは複数のヘテロ原子またはヘテロ基を含む)を有する。
【0205】
置換される場合、本発明のN置換化合物は、1つまたは2つのN−アルキル、N−アルケニル、N−シクロアルキル、またはN−アリール置換基を含むことができ、好ましくは、最大で10個の炭素原子を含むかそれぞれ含む。Rおよび/またはRがアルキルである場合、好ましい値(value)は、RおよびRが、1〜6個の炭素原子を含む低級アルキル基(すなわち、メチル、エチル、プロピルなど)からそれぞれ独立して選択される値である。RおよびRは共にメチルであり得る。Rおよび/またはRがアリールである場合、典型的な値は、フェニルおよびトリル(PhCH;o)である。RおよびRがシクロアルキルを示す場合、典型的な値は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。RおよびRが結合して、典型的には、任意選択的に1つまたは複数のヘテロ原子またはヘテロ基が割り込まれた4〜6個の炭素原子鎖が得られるアルキレン基を示す場合、例えば、5員複素環(例えば、モルホリノ、ピロリジノ、またはペペリジノ)が得られる。
【0206】
この値内に、目的の化合物のスルファターゼ阻害活性を妨害しない1つまたは複数の基を置換基として含むアルキル、シクロアルキル、アルケニル、およびアリール置換基が含まれる。例示的な非妨害置換基には、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、アルコキシ、アルキル、およびアリールが含まれる。
【0207】
いくつかの実施形態では、スルファメート基は、X基中またはX基上の1つまたは複数の原子への融合(または会合)によって環構造を形成することができる。
【0208】
いくつかの実施形態では、1つを超えるスルファメート基が存在し得る。例として、2つのスルファメートが存在し得る(すなわち、ビス−スルファメート化合物)。これらの化合物がステロイド核を基本とする場合、好ましくは、第2(または少なくとも1つのさらなる)スルファメート基がステロイド核の17位に存在する。これらの基は、同一である必要はない。
【0209】
いくつかの好ましい実施形態では、RおよびRの少なくとも1つはHである。
【0210】
いくつかのさらに好ましい実施形態では、RおよびRはそれぞれHである。
【0211】
ホスホネート基
がホスホネート基である場合、本発明の化合物をホスホネート化合物という。
【0212】
典型的には、ホスホネート基は、式:
(R)−P(O)(OH)−O−
(式中、好ましくは、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、またはこれらの組み合わせであり、アルキル、シクロアルキル、アルケニルは、それぞれまたは任意選択的に、1つまたは複数のヘテロ原子またはヘテロ基を含む)を有する。
【0213】
置換される場合、本発明のN置換化合物は、1つまたは2つのN−アルキル、N−アルケニル、N−シクロアルキル、またはN−アリール置換基を含むことができ、好ましくは、最大で10個の炭素原子を含むかそれぞれ含む。Rがアルキルである場合、Rは1〜6個の炭素原子を含む低級アルキル基(すなわち、メチル、エチル、プロピルなど)であり得る。例として、Rはメチルであり得る。Rがアリールである場合、典型的な値は、フェニルおよびトリル(PhCH;o)である。Rがシクロアルキルを示す場合、典型的な値は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。Rが任意選択的に1つまたは複数のヘテロ原子またはヘテロ基に割り込まれた4〜6個の炭素原子鎖が得られるアルキレン基を含み得る場合でさえ、例えば、5員複素環(例えば、モルホリノ、ピロリジノ、またはピペリジノ)が得られる。
【0214】
この値内に、目的の化合物のスルファターゼ阻害活性を妨害しない1つまたは複数の基を置換基として含むアルキル、シクロアルキル、アルケニル、およびアリール置換基が含まれる。例示的な非妨害置換基には、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、アルコキシ、アルキル、およびアリールが含まれる。
【0215】
いくつかの実施形態では、ホスホネート基は、X基中またはX基上の1つまたは複数の原子への融合(または会合)によって環構造を形成することができる。
【0216】
いくつかの実施形態では、1つを超えるホスホネート基が存在し得る。例として、2つのホスホネートが存在し得る(すなわち、ビスホスホネート化合物)。これらの化合物がステロイド核を基本とする場合、好ましくは、第2(または少なくとも1つのさらなる)ホスホネート基がステロイド核の17位に存在する。これらの基は、同一である必要はない。
【0217】
チオホスホネート基
がチオホスホネート基である場合、本発明の化合物をチオホスホネート化合物という。
【0218】
典型的には、チオホスホネート基は、式:
(R)−P(S)(OH)−O−
(式中、好ましくは、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、またはこれらの組み合わせであり、アルキル、シクロアルキル、アルケニルは、それぞれまたは任意選択的に、1つまたは複数のヘテロ原子またはヘテロ基を含む)を有する。
【0219】
置換される場合、本発明のN置換化合物は、1つまたは2つのN−アルキル、N−アルケニル、N−シクロアルキル、またはN−アリール置換基を含むことができ、好ましくは、最大で10個の炭素原子を含むかそれぞれ含む。Rがアルキルである場合、Rは1〜6個の炭素原子を含む低級アルキル基(すなわち、メチル、エチル、プロピルなど)であり得る。例として、Rはメチルであり得る。Rがアリールである場合、典型的な値は、フェニルおよびトリル(PhCH;o)である。Rがシクロアルキルを示す場合、典型的な値は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。Rが任意選択的に1つまたは複数のヘテロ原子またはヘテロ基に割り込まれた4〜6個の炭素原子鎖が得られるアルキレン基を含み得る場合でさえ、例えば、5員複素環(例えば、モルホリノ、ピロリジノ、またはピペリジノ)が得られる。
【0220】
この値内に、目的の化合物のスルファターゼ阻害活性を妨害しない1つまたは複数の基を置換基として含むアルキル、シクロアルキル、アルケニル、およびアリール置換基が含まれる。例示的な非妨害置換基には、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、アルコキシ、アルキル、およびアリールが含まれる。
【0221】
いくつかの実施形態では、チオホスホネート基は、X基中またはX基上の1つまたは複数の原子への融合(または会合)によって環構造を形成することができる。
【0222】
いくつかの実施形態では、1つを超えるチオホスホネート基が存在し得る。例として、2つのチオホスホネートが存在し得る(すなわち、ビス−チオホスホネート化合物)。これらの化合物がステロイド核を基本とする場合、好ましくは、第2(または少なくとも1つのさらなる)チオホスホネート基がステロイド核の17位に存在する。これらの基は、同一である必要はない。
【0223】
スルホネート基
がスルホネート基である場合、本発明の化合物をスルホネート化合物という。
【0224】
典型的には、スルホネート基は、式:
(R)−S(O)(O)−O−
(式中、好ましくは、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、またはこれらの組み合わせであり、アルキル、シクロアルキル、アルケニルは、それぞれまたは任意選択的に、1つまたは複数のヘテロ原子またはヘテロ基を含む)を有する。
【0225】
置換される場合、本発明のN置換化合物は、1つまたは2つのN−アルキル、N−アルケニル、N−シクロアルキル、またはN−アリール置換基を含むことができ、好ましくは、最大で10個の炭素原子を含むかそれぞれ含む。Rがアルキルである場合、Rは1〜6個の炭素原子を含む低級アルキル基(すなわち、メチル、エチル、プロピルなど)であり得る。例として、Rはメチルであり得る。Rがアリールである場合、典型的な値は、フェニルおよびトリル(PhCH;o)である。Rがシクロアルキルを示す場合、典型的な値は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。Rが任意選択的に1つまたは複数のヘテロ原子またはヘテロ基に割り込まれた4〜6個の炭素原子鎖が得られるアルキレン基を含み得る場合でさえ、例えば、5員複素環(例えば、モルホリノ、ピロリジノ、またはピペリジノ)が得られる。
【0226】
この値内に、目的の化合物のスルファターゼ阻害活性を妨害しない1つまたは複数の基を置換基として含むアルキル、シクロアルキル、アルケニル、およびアリール置換基が含まれる。例示的な非妨害置換基には、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、アルコキシ、アルキル、およびアリールが含まれる。
【0227】
いくつかの実施形態では、スルホネート基は、X基中またはX基上の1つまたは複数の原子への融合(または会合)によって環構造を形成することができる。
【0228】
いくつかの実施形態では、1つを超えるスルホネート基が存在し得る。例として、2つのスルホネートが存在し得る(すなわち、ビス−ホスホネート化合物)。これらの化合物がステロイド核を基本とする場合、好ましくは、第2(または少なくとも1つのさらなる)スルホネート基がステロイド核の17位に存在する。これらの基は、同一である必要はない。
【0229】
スルホネート/ホスホネート/チオホスホネート/スルファメートの組み合わせ
本発明のいくつかの化合物について、本明細書中で定義のスルホネート、本明細書中で定義のホスホネート、チオ本明細書中で定義のホスホネート、または本明細書中で定義のスルファメートの1つおよび別の本明細書中で定義のスルホネート、本明細書中で定義のホスホネート、チオ本明細書中で定義のホスホネート、または本明細書中で定義のスルファメートが存在し得る。例として、本発明の化合物は、1つのスルファメート基および1つのホスホネート基を含み得る。
【0230】
本発明のこれらの化合物がステロイド核を基本とする場合、好ましくは、基のうちの他の基がステロイド核の17位に存在する。
【0231】
ヒドロカルビル
本明細書中で使用する場合、用語「ヒドロカルビル基」は、少なくともCおよびHを含む基を意味し、任意選択的に、1つまたは複数の他の適切な置換基を含み得る。かかる置換基の例には、ハロ、アルコキシ、ニトロ、アルキル基、環状基などが含まれ得る。置換基が環状基である可能性に加えて、置換基の組み合わせによって環状基を形成することができる。ヒドロカルビル基が1つを超えるCを含む場合、炭素は必ずしも互いに連結する必要はない。例えば、少なくとも2つの炭素が適切な元素または基を介して連結することができる。したがって、ヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含むことができる。適切なヘテロ原子は当業者に明らかであり、例えば、硫黄、窒素、および酸素が含まれる。ヒドロカルビル基の非限定的な例は、アシル基である。
【0232】
典型的なヒドロカルビル基は、炭化水素基である。ここで、用語「炭化水素」は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基のいずれか1つを意味し、これらの基は、直鎖、分岐、または環状の基、またはアリール基であり得る。用語「炭化水素」はまた、これらの基が含まれるが、任意選択的に置換されている。炭化水素が炭化水素上に置換基を有する分岐構造である場合、置換基は炭化水素骨格上または分岐上に存在し得るか、置換基は炭化水素骨格および分岐上に存在し得る。
【0233】
オキシヒドロカルビル
本明細書中で使用する場合、用語「オキシヒドロカルビル」基は、少なくともC、H、およびOを含む基を意味し、任意選択的に、1つまたは複数の他の適切な置換基を含み得る。かかる置換基の例には、ハロ基、アルコキシ基、ニトロ基、アルキル基、および環状基などが含まれ得る。置換基が環状基である可能性に加えて、置換基の組み合わせによって環状基を形成することができる。オキシヒドロカルビル基が1つを超えるCを含む場合、炭素は必ずしも互いに連結する必要はない。例えば、少なくとも2つの炭素が適切な元素または基を介して連結することができる。したがって、オキシヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含むことができる。適切なヘテロ原子は当業者に明らかであり、例えば、硫黄および窒素が含まれる。
【0234】
本発明の1つの実施形態では、オキシヒドロカルビル基は、オキシ炭化水素基である。
【0235】
ここで、用語「オキシ炭化水素」は、アルコキシ基、オキシアルケニル基、オキシアルキニル基のいずれか1つを意味し、これらの基は、直鎖、分岐、または環状の基、またはオキシアリール基であり得る。用語「オキシ炭化水素」はまた、これらの基が含まれるが、任意選択的に置換されている。オキシ炭化水素がオキシ炭化水素上に置換基を有する分岐構造である場合、置換基は炭化水素骨格上または分岐上に存在し得るか、置換基は炭化水素骨格および分岐上に存在し得る。
【0236】
典型的には、オキシヒドロカルビル基は、式:C1〜6O(C1〜3Oなど)の基である。
【0237】
癌細胞を使用したSTS活性を測定するためのアッセイ
(プロトコール1)
MCF−7細胞におけるステロイドスルファターゼ活性の阻害
ステロイドスルファターゼ活性を、インタクトなMCF−7ヒト乳癌細胞を使用してin vitroで測定する。このホルモン依存性細胞株は、ヒト乳癌細胞成長の制御の研究で広く使用されている。これは、有意なステロイドスルファターゼ活性を有し(MacIndoe et al. Endocrinology,123,1281−1287(1988);Purohit & Reed,Int. J. Cancer,50,901−905(1992))、米国(American Type Culture Collection(ATCC))および英国(例えば、The Imperial Cancer Research Fund)で利用可能である。
【0238】
細胞を、20mM HEPES、5%ウシ胎児血清、2mMグルタミン酸、非必須アミノ酸、および0.075%重炭酸ナトリウムを含む最少必須培地(MEM)(Flow Laboratories,Irvine,Scotland)中で維持する。上記培地を使用して、30複製物までを25cm2の組織培養フラスコに約1×10細胞/フラスコで播種した。細胞を、集密度80%に成長させ、培地を3日毎に交換した。
【0239】
三連の25cmの組織培養フラスコ中のMCF−7細胞のインタクトな単層を、アール平衡塩溶液(ICN Flow,High Wycombe,U.K.のEBSS)で洗浄し、エストロン−3−スルファメート(11種の濃度:0;1fM;0.01pM;0.1pM;1pM;0.01nM;0.1nM;1nM;0.01mM;0.1mM;1mM)と共に5pmol(7×10dpm)の[6,7−3H]エストロン−3−スルファート(比活性60Ci/mmol、New England Nuclear,Boston,Mass.,U.S.A.)を含む無血清MEM(2.5ml)と37℃で3〜4時間インキュベーションした。インキュベーション後、各フラスコを冷却し、培地(1ml)を、[14C]エストロン(7×103dpm)(比活性97Ci/mmol、Amersham International Radiochemical Centre,Amersham,U.K.)を含む個別の管にピペットで分注した。混合物を、トルエン(5ml)を使用して30秒間完全に震盪した。実験により、この処置によって90%を超える[14C]エストロンおよび0.1%未満の[3H]エストロン−3−スルファートが水相から除去されたことが示された。有機相の一部(2ml)を除去し、蒸発させ、シンチレーション分光分析によって残渣の3Hおよび14C含有量を決定した。エストロン−3−スルファートの加水分解量を、得られた3H数(使用した培地および有機相の体積ならびに添加した[14C]エストロンの回収率に相関する)および基質の比活性から計算した。実験の各バッチは、スルファターゼ陽性ヒト胎盤(ポジティブコントロール)および細胞を含まない細胞(基質の見かけ上の非酵素加水分解を評価するため)から調製したミクロソームのインキュベーションを含む。フラスコあたりの細胞核数を、ザポニンでの細胞単層の処理後にCoulter Counterを使用して決定する。各バッチ中の1つのフラスコを使用し、トリパンブルー排除法を使用して細胞膜の状態および生存度を評価する(Phillips,H.J.(1973)In:Tissue culture and applications,[eds:Kruse,D.F. & Patterson,M.K.];pp. 406−408;Academic Press,New York)。
【0240】
ステロイドスルファターゼ活性についての結果を、106細胞について計算したインキュベーション期間(20時間)に形成された総産物(エストロン+エストラジオール)の平均±1 S.Dとして示し、統計的有意性を示す値については、エストロン−3−スルファメートを含まないインキュベーションにおける減少率(阻害率)として示す。対応のないスチューデントt検定を使用して、結果の統計的有意性を試験した。
【0241】
胎盤ミクロソームを使用したSTS活性を決定するためのアッセイ
(プロトコール2)
胎盤ミクロソームにおけるステロイドスルファターゼ活性の阻害
正常期間の妊娠由来のスルファターゼ陽性ヒト胎盤を、鋏で完全に刻み、冷リン酸緩衝液(pH7.4、50mM)で1回洗浄し、次いで、冷リン酸緩衝液に再懸濁した(5ml/g組織)。Ultra−Turraxホモジナイザーにより、氷中での2分間の冷却期間によって間隔を開けた3回の10秒間のバーストを使用して均質化する。核酸および細胞破片(cell debris)を、2000gで30分間の遠心分離(4℃)によって除去し、上清の一部(2ml)を20℃で保存する。上清のタンパク質濃度を、Bradfordの方法によって決定する(Anal. Biochem.,72,248−254(1976))。
【0242】
タンパク質濃度100mg/ml、基質濃度20mMの[6,7−3H]エストロン−3−スルファート(比活性60Ci/mmol、New England Nuclear,Boston,Mass.,U.S.A.)、および37℃でインキュベーション時間20分を使用してインキュベーション(1ml)を行う。必要に応じて、以下の8種の化合物濃度を使用する:0(すなわち、コントロール);0.05mM;0.1mM;0.2mM;0.4mM;0.6mM;0.8mM;1.0mM。インキュベーション後、各フラスコを冷却し、培地(1ml)を、[14C]エストロン(7×103dpm)(比活性97Ci/mmol、Amersham International Radiochemical Centre,Amersham,U.K.)を含む個別の管にピペットで分注した。混合物を、トルエン(5ml)を使用して30秒間完全に震盪した。実験により、この処置によって90%を超える[14C]エストロンおよび0.1%未満の[3H]エストロン−3−スルファートが水相から除去されたことが示された。有機相の一部(2ml)を除去し、蒸発させ、シンチレーション分光分析によって残渣の3Hおよび14C含有量を決定した。エストロン−3−スルファートの加水分解量を、得られた3H数(使用した培地および有機相の体積ならびに添加した[14C]エストロンの回収率に相関する)および基質の比活性から計算した。
【0243】
STS活性を決定するための動物アッセイモデル
(プロトコール3)
in vivoでのエストロンスルファターゼ活性の阻害
本発明の化合物を、動物モデル、特に卵巣摘出ラットを使用して研究することができる。このモデルでは、エストロゲン性を示す化合物が子宮成長を刺激する。
【0244】
化合物(10mg/Kg/日を5日間)をラットに経口投与し、別の動物群にはビヒクル(プロピレングリコール)のみを投与した。さらなる群に、化合物EMATEを、10μg/日の量で5日間皮下投与した。研究終了後、肝臓組織サンプルを得て、以前に記載のように(PCT/GB95/02638を参照のこと)、基質として3H硫酸エストロンを使用してエストロンスルファターゼ活性をアッセイした。
【0245】
エストロゲン活性の決定のための動物アッセイモデル
(プロトコール4)
in vivo エストロゲン性の欠如
本発明の化合物を、動物モデル、特に卵巣摘出ラットを使用して研究することができる。このモデルでは、エストロゲン性を示す化合物が子宮成長を刺激する。
【0246】
化合物(10mg/Kg/日を5日間)をラットに経口投与し、別の動物群にはビヒクル(プロピレングリコール)のみを投与した。さらなる群に、エストロゲン性化合物EMATEを、10μg/日の量で5日間皮下投与した。研究終了後、子宮を得て秤量し、結果を、子宮重量/全身重量×100として示した。
【0247】
子宮成長に対する有意な効果を示さない化合物は、エストロゲン性ではない。
【0248】
療法
本発明の化合物を、治療薬として使用することができる(すなわち、治療に適用することができる)。
【0249】
用語「療法」には、治療効果、緩和効果、および予防効果が含まれる。
【0250】
ヒトまたは動物、好ましくは動物の雌に対して治療することができる。
【0251】
薬学的組成物
1つの態様では、本発明は、本発明の化合物および任意選択的に薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、または賦形剤(これらの組み合わせが含まれる)を含む薬学的組成物を提供する。
【0252】
薬学的組成物は、ヒトおよび動物用の薬物においてヒトまたは動物で使用することができ、典型的には、1つまたは複数の薬学的に許容可能な希釈剤、キャリア、または賦形剤のいずれかを含むであろう。治療上での使用で許容可能なキャリアまたは希釈剤は、薬学分野で周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.(A.R. Gennaro edit.1985)に記載されている。薬学的キャリア、賦形剤、または希釈剤を、意図する投与経路および標準的な薬務に関して選択することができる。薬学的組成物は、キャリア、賦形剤、または希釈剤として含むことができるか、これらに加えて、潤滑剤、懸濁剤、コーティング剤、可溶化剤を含むことができる。
【0253】
防腐剤、安定剤、色素、およびさらに香味物質を、薬学的組成物中に添加することができる。防腐剤の例には、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが含まれる。抗酸化剤および懸濁剤も使用することができる。
【0254】
異なる送達系に応じて異なる組成/処方要件が存在し得る。例として、本発明の薬学的組成物を、吸入または摂取可能な溶液用の鼻内噴霧またはエアゾールとしてミニポンプを使用するか粘膜経路によって送達されるか、非経口で(組成物を注射用形態(例えば、静脈内、筋肉内、または皮下経路による送達用)に処方する)送達されるように処方することができる。あるいは、処方物を、両方の経路によって送達されるようにデザインすることができる。
【0255】
薬剤が胃腸粘膜を介して粘膜に送達される場合、胃腸管を介した通過中に安定なママでなければならない。例えば、タンパク質分解に耐性を示し、酸性pHで安定であり、胆汁の界面活性効果に耐性を示すべきである。
【0256】
適切な場合には、薬学的組成物を、吸入、座剤またはペッサリーの形態で投与するか、ローション、溶液、クリーム、軟膏、または散布粉剤の形態で局所投与するか、皮膚パッチの使用によって投与するか、デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤を含む錠剤または単独または賦形剤と混合したカプセルまたは小球(ovule)の形態、香味物質または着色剤を含むエリキシル、溶液、もしくは懸濁液の形態で経口投与するか、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、または皮下)に注射することができる。非経口投与のために、組成物を、他の物質(例えば、溶液を血液と等張にするための十分な塩または単糖類)を含み得る滅菌水溶液の形態で使用することが最良であり得る。口腔投与または舌下投与のために、組成物を、従来の様式で処方することができる錠剤またはロゼンジの形態で投与することができる。
【0257】
薬物の組み合わせ
本発明の化合物を、1つまたは複数の他の薬剤(1つまたは複数の薬学的に活性な薬剤など)と組み合わせて使用することができる。
【0258】
例として、本発明の化合物を、他のSTSインヒビターおよび/または他のインヒビター(アロマターゼインヒビター(例えば、4−ヒドロキシアンドロステンジオン(4−OHA)など)および/またはステロイド(天然に存在するステルニューロステロイド(sterneurosteroid)である硫酸デヒドロエピアンドロステロン(DHEAS)および硫酸プレグネノロン(PS)など)および/または他の構造的に類似の有機化合物と組み合わせて使用することができる。他のSTSインヒビターの例を、上記引例中に見出すことができる。例として、本発明で使用されるSTSインヒビターには、EMATEならびに本明細書中に示す化合物5に類似する2−エチルおよび2−メトキシ17−デオキシ化合物のいずれかまたは両方が含まれる。
【0259】
さらにまたは代替物として、本発明の化合物を、生物学的応答調節物質と組み合わせて使用することができる。
【0260】
用語「生物学的応答調節物質(「BRM」)」には、サイトカイン、免疫モジュレーター、成長因子、造血調節因子、コロニー刺激因子、走化因子、溶血因子および血栓融解因子、細胞表面受容体、リガンド、白血球接着分子、モノクローナル抗体、予防ワクチンおよび治療ワクチン、ホルモン、細胞外基質成分、フィブロネクチンなどが含まれる。いくつかの適用のために、好ましくは、生物学的応答調節物質は、サイトカインである。サイトカインの例には、インターロイキン(IL)(IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−19など)、腫瘍壊死因子(TNF)(TNF−α;インターフェロンα、β、γなど);TGF−βが含まれる。いくつかの適用のために、好ましくは、サイトカインは、腫瘍壊死因子(TNF)である。いくつかの適用のために、TNFは、任意のTNF型(TNF−α、TNF−β(これらの誘導体または混合物が含まれる))であり得る。より好ましくは、サイトカインはTNF−αである。TNFに関する教示を、当該分野で(WO−A−98/08870号およびWO−A−98/13348号など)で見出すことができる。
【0261】
投与
典型的には、医師は、各被験体が最も適切な実際の投薬量を決定し、この投薬量は、特定の患者の年齢、体重、および応答によって変化するであろう。以下の投薬量は、平均的な場合の例である。勿論、より高いまたはより低い投薬量の範囲に値する個別の場合が存在し得る。
【0262】
本発明の組成物を、直接注射によって投与することができる。組成物を、非経口投与、粘膜投与、筋肉内投与、静脈内投与、皮下投与、眼内投与、経皮投与のために処方することができる。必要に応じて、薬剤を、0.01〜30mg/kg体重、(0.1〜10 mg/kg体重、より好ましくは0.1〜1mg/kg体重など)の用量で投与することができる。
【0263】
さらなる例として、本発明の薬剤を、1〜4回/日、好ましくは1回または2回/日の投薬計画にしたがって投与することができる。任意の特定の患者のために特定の投与レベルおよび投薬頻度を変化することができ、これらは、種々の要因(使用した特定の化合物の活性、化合物の代謝的安定性および作用期間、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与の様式および時間、排泄率、薬物の組み合わせ、特定の容態の重症度、ならびに治療を受ける宿主が含まれる)に依存するであろう。
【0264】
上記の典型的な送達様式の他に、用語「投与」には、脂質媒介トランスフェクション、リポソーム、免疫リポソーム、リポフェクチン、カチオン性表面両親媒性物質(cationic facial amphiphiles)(CFA)、およびこれらの組み合わせなどの技術による送達も含まれる。かかる送達機構のための経路には、粘膜経路、鼻腔内経路、経口経路、非経口経路、胃腸経路、局所経路、または舌下経路が含まれるが、これらに限定されない。
【0265】
用語「投与」には、粘膜経路による送達(例えば、吸入用の微内噴霧またはエアゾールまたは摂取可能な溶液として)、送達が注射形態による場合の非経口経路による送達(例えば、静脈内、筋肉内、または皮下など)が含まれるが、これらに限定されない。
【0266】
したがって、薬学的投与のために、本発明のSTSインヒビターを、従来の薬学的処方技術および薬学的キャリア、アジュバント、賦形剤、希釈剤などを使用した任意の適切な様式で、通常非経口投与のために処方することができる。およその有効量は、目的の化合物の各活性に応じて、平均体重(70Kg)の患者に対して1〜1000mg/日の範囲(10〜900mg/日または100〜800mg/日など)であり得る。好ましく且つより活性の高い化合物のより一般的な投薬量は、200〜800mg/日、より好ましくは200〜500mg/日、最も好ましくは200〜250mg/日の範囲であろう。化合物を、単回投与計画、分割投与計画、および/または数日間にわたる複数回投与計画で投与することができる。経口投与のために、化合物を、化合物100〜500mg/単位用量を含む錠剤、カプセル、溶液、または懸濁液に処方することができる。あるいはおよび好ましくは、非経口投与のために、化合物を、適切な非経口投与可能なキャリアに処方し、それにより、200〜800mg好ましくは200〜500mg、より好ましくは200〜250mgの範囲の単回1日投薬量が得られる。しかし、かかる有効な1日量は、有効成分の固有の活性および患者の体重に応じて変化し、かかる変動は、医師の技術および判断の範囲内である。
【0267】
低投与頻度
非常に好ましい態様によれば、本発明の化合物を、毎日より頻度の低い投薬計画で投与することができる。驚いたことに、本発明の化合物は、公知のステロイドスルファターゼインヒビターと比較して、並外れた作用持続時間を示すことが見出された。
【0268】
従って、本発明は、週1回、週2回、2週間毎、月2回、および毎月の投与からなる群から選択される投与間隔の連続的投与スケジュールを含む本発明の化合物の投与方法を提供する。
【0269】
さらに、本発明は、3日毎に約1回〜16日毎に約1回の範囲の投与周期の連続的投与スケジュールを含む本発明の化合物の投与方法を提供する。
【0270】
好ましくは、所望の治療効果を達成するまで連続的投与計画を維持する。
【0271】
週1回の投与は、本発明の化合物の単位投薬量を1週間に1回(すなわち、7日間に1回)、好ましくは各週の同日に投与することを意味する。週1回の投与計画では、単位投薬量を、一般に、約7日毎に投与する。週1回の投与計画の制限されない例は、毎週日曜日の本発明の化合物の単位用量の投与を必要とするであろう。単位投薬量を連日に投与しないことが好ましいが、週1回の投与計画は、単位投薬量を2つの異なる週の範囲に入る2つの連続する日に投与する投与計画を含み得る。
【0272】
おおよその有効用量は、目的の化合物の各活性に応じて、平均体重(70Kg)の患者について1〜1000mg/週の範囲(10〜900mg/週またはさらに100〜800mg/週など)であり得る。好ましく且つより活性な化合物のより有用な投薬量は、200〜800mg/週、より好ましくは200〜500mg/週、最も好ましくは200〜250mg/週の範囲であり得る。化合物を、単回投与計画、分割投与計画、および/または数日間にわたる複数回投与計画で投与することができる。経口投与のために、化合物を、化合物100〜500mg/単位用量を含む錠剤、カプセル、溶液、または懸濁液に処方することができる。あるいはおよび好ましくは、非経口投与のために、化合物を、適切な非経口投与可能なキャリアに処方し、それにより、200〜800mg、好ましくは200〜500mg、より好ましくは200〜250mgの範囲の単回週投薬量が得られる。
【0273】
週2回の用量は、本発明の化合物の単位投薬量を1週間に2回(すなわち、7日間に2回)、好ましくは各週の同じ2日に投与することを意味する。週2回の投与計画では、単位投薬量を、一般に、約3〜4日毎に投与する。週2回の投与計画の制限されない例は、毎週日曜日および水曜日の本発明の化合物の単位用量の投与を必要とするであろう。単位投薬量を同日または連日に投与しないことが好ましいが、週2回の投与計画は、単位投薬量を毎週または2つの異なる週の範囲に入る2つの連続する日に投与する投与計画を含み得る。
【0274】
おおよその有効用量は、目的の化合物の各活性に応じて、平均体重(70Kg)の患者について1〜1000mg/週2回の範囲(10〜900mg/週2回またはさらに100〜800mg/週2回など)であり得る。好ましく且つより活性な化合物のより有用な投薬量は、200〜800mg/週2回、より好ましくは200〜500mg/週2回、最も好ましくは200〜250mg/週2回の範囲であり得る。化合物を、単回投与計画、分割投与計画、および/または数日間にわたる複数回投与計画で投与することができる。経口投与のために、化合物を、化合物100〜500mg/単位用量を含む錠剤、カプセル、溶液、または懸濁液に処方することができる。あるいはおよび好ましくは、非経口投与のために、化合物を、適切な非経口投与可能なキャリアに処方し、それにより、200〜800mg、好ましくは200〜500mg、より好ましくは200〜250mgの範囲の単回週投薬量が得られる。
【0275】
2週間毎の投与は、本発明の化合物の単位投薬量を2週間に1回(すなわち、14日間に1回)、好ましくは各2週間の同日に投与することを意味する。週2回の投与計画では、単位投薬量を、一般に、約14日毎に投与する。2週間毎の投与計画の制限されない例は、隔週日曜日の本発明の化合物の単位用量の投与を必要とするであろう。単位投薬量を連日に投与しないことが好ましいが、2週間毎の投与計画は、単位投薬量を2つの異なる2週間の範囲に入る2つの連続する日に投与する投与計画を含み得る。
【0276】
おおよその有効用量は、目的の化合物の各活性に応じて、平均体重(70Kg)の患者について1〜1000mg/2週の範囲(10〜900mg/2週またはさらに100〜800mg/2週など)であり得る。好ましく且つより活性な化合物のより有用な投薬量は、200〜800mg/2週、より好ましくは200〜500mg/2週、最も好ましくは200〜250mg/2週の範囲であり得る。化合物を、単回投与計画、分割投与計画、および/または数日間にわたる複数回投与計画で投与することができる。経口投与のために、化合物を、化合物100〜500mg/単位用量を含む錠剤、カプセル、溶液、または懸濁液に処方することができる。あるいはおよび好ましくは、非経口投与のために、化合物を、適切な非経口投与可能なキャリアに処方し、それにより、200〜800mg、好ましくは200〜500mg、より好ましくは200〜250mgの範囲の単回2週投薬量が得られる。
【0277】
月2回の用量は、本発明の化合物の単位投薬量を暦の上での1ヶ月に2回(すなわち、2回)投与することを意味する。月2回の投与計画を使用し、単位投薬量を使用して、各月の同一の2日間に投与することが好ましい。月2回の投与計画では、各単位投薬量を、一般に、約14日毎〜16日毎に投与する。月2回の投与計画の制限されない例は、月の初めまたは初めごろのおよび15日または15日ごろ(すなわち、月の中間点)の投与を必要とするであろう。単位投薬量を同日または連日に投与しないことが好ましいが、月2回の投与計画は、単位投薬量を毎月または異なる月の範囲に入る2つの連続する日に投与する投与計画を含み得る。2つの投与計画を異なる周期で行い、それによって長期にわたって異なる投薬回数で投与されるので、月2回の投与計画を、2週間毎の投与計画と異なり、これを含まないと本明細書中で定義する。例えば、1年間にわたり、月2回の投薬計画に従うと全部で約24回分の投薬量が投与されるのに対して(1年間に暦の上で12ヶ月存在するので)、2週間毎の投与計画に従うと全部で約26回分の投薬量が投与されるであろう(1年間は約52週存在するので)。
【0278】
おおよその有効用量は、目的の化合物の各活性に応じて、平均体重(70Kg)の患者について1〜1000mg/月2回の範囲(10〜900mg/月2回またはさらに100〜800mg/月2回など)であり得る。好ましく且つより活性な化合物のより有用な投薬量は、200〜800mg/月2回、より好ましくは200〜500mg/月2回、最も好ましくは200〜250mg/月2回の範囲であろう。化合物を、単回投与計画、分割投与計画、および/または数日間にわたる複数回投与計画で投与することができる。経口投与のために、化合物を、化合物100〜500mg/単位用量を含む錠剤、カプセル、溶液、または懸濁液に処方することができる。あるいはおよび好ましくは、非経口投与のために、化合物を、適切な非経口投与可能なキャリアに処方し、それにより、200〜800mg、好ましくは200〜500mg、より好ましくは200〜250mgの範囲の単回2週投薬量が得られる。
【0279】
毎月の投与は、暦の上での1ヶ月に1回(すなわち、1回)投与することを意味する。毎月の投与計画を使用して、各月の同日に投与することが好ましい。毎月の投与計画では、各単位投薬量を、一般に、約28日毎〜32日毎に投与する。
【0280】
おおよその有効用量は、目的の化合物の各活性に応じて、平均体重(70Kg)の患者について1〜1000mg/月の範囲(10〜900mg/月またはさらに100〜800mg/月など)であり得る。好ましく且つより活性な化合物のより有用な投薬量は、200〜800mg/月、より好ましくは200〜500mg/月、最も好ましくは200〜250mg/月の範囲であり得る。化合物を、単回投与計画、分割投与計画、および/または数日間にわたる複数回投与計画で投与することができる。経口投与のために、化合物を、化合物100〜500mg/単位用量を含む錠剤、カプセル、溶液、または懸濁液に処方することができる。あるいはおよび好ましくは、非経口投与のために、化合物を、適切な非経口投与可能なキャリアに処方し、それにより、200〜800mg、好ましくは200〜500mg、より好ましくは200〜250mgの範囲の単回週投薬量が得られる。
【0281】
非常に好ましい実施形態では、本発明は、毎日を超える投与間隔のスケジュールに従って薬学的有効量の本発明の化合物を単位投薬量として哺乳動物に投与する工程を含む、治療を必要とする哺乳動物のステロイドスルファターゼに関連する容態または疾患の治療方法を提供する。好ましくは、投与間隔は、週1回、週2回、2週間毎、月2回、および毎月の投与からなる群から選択される。非常に好ましくは、投与間隔は、週1回である。
【0282】
別の非常に好ましい実施形態では、本発明は、毎日を超える投与間隔のスケジュールに従って薬学的有効量の本発明の化合物を単位投薬量として哺乳動物に投与する工程を含む、治療を必要とする哺乳動物の有害なSTSレベルに関連する容態または疾患の治療方法を提供する。好ましくは、投与間隔は、週1回、週2回、2週間毎、月2回、および毎月の投与からなる群から選択される。非常に好ましくは、投与間隔は、週1回である。
【0283】
別の非常に好ましい実施形態では、本発明は、毎日を超える投与間隔のスケジュールに従って薬学的有効量の本発明の化合物を単位投薬量として哺乳動物に投与する工程を含む、治療を必要とする哺乳動物の癌の治療方法を提供する。好ましくは、投与間隔は、週1回、週2回、2週間毎、月2回、および毎月の投与からなる群から選択される。非常に好ましくは、投与間隔は、週1回である。好ましくは、癌は、内分泌依存性癌から選択される。より好ましくは、癌は、乳癌、子宮内膜癌、または前立腺癌が選択され、乳癌が最も好ましい。
【0284】
別の非常に好ましい実施形態では、本発明は、毎日を超える投与間隔のスケジュールに従って薬学的有効量の本発明の化合物を単位投薬量として哺乳動物に投与する工程を含む、治療を必要とする哺乳動物の癌の治療方法を提供する。好ましくは、投与間隔は、週1回、週2回、2週間毎、月2回、および毎月の投与からなる群から選択される。非常に好ましくは、投与間隔は、週1回である。好ましくは、癌は、内分泌依存性癌から選択される。より好ましくは、癌は、乳癌、子宮内膜癌、または前立腺癌が選択され、乳癌が最も好ましい。
【0285】
【化49】

別の非常に好ましい実施形態では、本発明は、週1回の投与間隔のスケジュールに従って薬学的有効量の式:
【0286】
【化50】

化合物を単位投薬量として哺乳動物に投与する工程を含む、治療を必要とする哺乳動物の乳癌の治療方法を提供する。
【0287】
治療キット
さらなる実施形態では、本発明は、本発明の方法を都合良く且つ有効に実施するためのキットに関する。かかるキットは、錠剤またはカプセルなどの固体経口形態の送達に特に適切である。かかるキットは、多数の単位投薬量を含むことが好ましい。かかるキットは、およそその意図する使用に合わせた投薬量を有するカードを含むことができる。かかるキットの例は、「ブリスターパック」である。ブリスターパックは、包装産業で周知であり、薬物の単位投薬形態の包装に広く使用されている。必要に応じて、例えば、数字、文字、または他の印の形態の記憶補助(memory aid)または投薬量を投与することができる治療スケジュールの日付を指定したカレンダーを提供することができる。あるいは、ビスホスホネート投薬量と類似するか異なる形態で、プラセボ、カルシウム、または栄養補助食品を含めて、投薬量が毎日摂取されるキットを提供することができる。
【0288】
薬学的に許容可能な塩
薬学的に許容可能な塩を、有機酸および無機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホネート、ナフタレンスルホネート、スルホネート、トルエンスルホネート、カンファースルホネート(camphorsulphonic))ならびに本発明の化合物が塩基性部分を含む場合の類似の公知の許容可能な酸から形成することができる。本発明の化合物が酸性部分を含む場合、塩を有機塩基および無機塩基から形成することもできる(好ましくはアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、リチウム、またはカリウム)。
【0289】
細胞周期
本発明の化合物は、細胞周期障害の治療方法で有用であり得る。
【0290】
“Molecular Cell Biology” 3rd Ed. Lodish et al.pages 177−181で考察されるように、異なる真核細胞を非常に異なる速度で成長および分裂することができる。例えば、酵母細胞は、120分毎に分裂することができ、ウニおよび昆虫の胚細胞における受精卵の最初の分裂は、たった1530分である。これは、1つの巨大な既存の細胞が再分割するからである。しかし、ほとんどの成長中の植物細胞および動物細胞は、細胞数が2倍になるまで10〜20時間かかり、はるかに遅い速度で複製する。成人の多数の細胞(神経細胞および横紋筋細胞)は全く分裂せず、創傷治癒を補助する線維芽細胞のような他の細胞は要求に応じて成長するが、そうでなければ静止している。
【0291】
さらに、分裂する全ての真核細胞は、等しい遺伝物質を2つの娘細胞にいつでも提供できなければならない。真核生物のDNA合成は、細胞分裂周期全体で起こらないが、細胞分裂前にその一部に制限される。
【0292】
真核生物DNA合成と細胞分裂との間の関係は、全てが成長および分裂ができる哺乳動物細胞の培養物中で完全に分析されている。細菌と対照的に、真核細胞はそのDNA合成期間の一部のみで拡大し、細胞分裂(有糸分裂)の数時間前に完了する。したがって、DNA合成後および細胞分裂前に時間のギャップが生じ、分裂後および次のDNA合成ラウンドの前に別のギャップが起こることが見出された。この分析により、真核細胞周期は、M(有糸分裂)期、G期(最初のギャップ)、S(DNA合成期)期、G期(第2のギャップ)からなり、M期に戻ると結論づけた。有糸分裂の間の時期(G、S、およびG)は、集合的に間期として公知である。
【0293】
粗式中の多数の非分裂細胞(例えば、全ての静止した線維芽細胞)は、有糸分裂後およびDNA合成の直前に周期を一時停止し、かかる「静止」細胞は、細胞周期から出てG期にあるという。
【0294】
細胞が細胞周期の3つの間期の1つにある場合、蛍光標示式細胞分取器(FACS)を使用してその相対DNA含有量を測定することによって細胞を同定することが可能である。G(DNA合成前)の細胞は所定量xのDNAを有糸し、S期(DNA複製)中はxと2xとの間であり、G(またはM)中は2xのDNAを有する。
【0295】
動物細胞における有糸分裂および細胞質分裂の段階は以下である。
【0296】
(a)間期。間期のG期は、有糸分裂の開始の直前の時期である。染色体DNAを複製し、S期中にタンパク質に結合しているが、染色体は依然として個別の構造で認められない。核は、核構造のみが光学顕微鏡で認められる。DNA複製前の二倍体細胞では、2つの各形態学的染色体型が存在し、細胞は2nであると言われる。G期では、DNA複製後、細胞は4nである。各染色体DNAの4つのコピーが存在する。姉妹染色体は依然として互いに分離していないので、これらを姉妹染色分体と呼ぶ。
【0297】
(b)前期の前半。中心子(それぞれ新規に形成された娘中心子を有する)が、細胞の反対の細胞の極に向かって移動し始める。染色体は長い糸として認められる。核膜が小胞に脱凝集され始める。
【0298】
(c)前期の中盤および後半。染色体凝縮が完了する。それぞれの視覚可能な染色体構造は、そのセントロメアでまとまった2つの染色分体から構成される。各染色分体は、2つの新規に複製された娘DNA分子の1つを含む。微小管紡錘体(microtubular spindle)が中心子のすぐ隣りの領域から放射状に延び、その極により近づく。いくつかの紡錘体線維は、極から極に到達し、ほとんどが染色分体に向かい、動原体で結合する。
【0299】
(d)中期。染色体は細胞の赤道に向かって移動し、ここで、染色体は赤道面に整列し始める。姉妹染色分体はまだ分離していない。
【0300】
(e)後期。2つの姉妹染色分体は、独立した染色体に分離する。それぞれ、紡錘糸によって一方の極に結合したセントロメアを含み、この極に姉妹染色分体が移動する。したがって、各染色体の1つのコピーが各娘細胞に提供される。同時に、極−極紡錘体方向に細胞が引き延ばされる。分裂溝が形成され始めると同時に細胞質分裂が開始される。
【0301】
(f)終期。娘核周囲に新規の膜が形成される。染色体がほどけて明瞭でなくなり、核が再度視覚可能となり、各娘核の周囲に核膜が形成される。細胞質分裂がほぼ完了し、微小管および他の繊維が脱重合するにつれて紡錘体が消滅する。有糸分裂を通して、全長に達するまで各極の「娘」中心子が成長する。終期では、元の各中心子の複製が完了し、次の間期に新規の娘中心子が生成されるであろう。
【0302】
(g)間期。細胞質分裂の完了の際、細胞は、細胞周期のG期に入り、細胞周期が再度進行する。
【0303】
細胞周期は非常に重要な細胞過程であると認識される。正常な細胞周期からの逸脱により、多数の医学的障害が起こり得る。細胞周期の増加および/または制限により、癌が起こり得る。細胞周期の減少により、変性容態が起こり得る。本発明の化合物の使用は、かかる障害および容態の治療手段を提供することができる。
【0304】
したがって、本発明の化合物は、癌(ホルモン依存性癌およびホルモン非依存性癌が含まれる)などの細胞周期障害の治療での使用に適切であり得る。
【0305】
本発明の化合物、組成物、および方法によって治療することができる癌には、以下が含まれるが、これらに限定されない:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉縮)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、および奇形腫;肺:気管支癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺腫)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;胃腸管:食道(扁平上皮癌、腺腫、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(導管腺腫、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺腫、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺腫、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸、結腸直腸、直腸;胃腸管:腎臓(腺腫、ウィルムス腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺腫)、前立腺(腺腫、肉腫)、精巣(セミノーマ、奇形腫、胎児性癌、奇形腫、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝細胞癌(肝細胞癌)、肝内胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨:骨原性肉腫(骨肉種)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫、脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽腫、軟骨粘液線維腫(chondromyxofibroma)、類骨骨腫、および巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、キサントーマ、骨質奇形(ostein<’>s deformans))、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫(meningiosarcoma)、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽細胞腫、乏突起膠腫、シュワン細胞腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);産婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍(pre−tumor)子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺腫,粘液性嚢胞腺腫、分類されていない癌腫]、顆粒膜−髄膜細胞腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞種、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺腫、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胚横紋筋肉腫)、ファロピウス管(癌腫);血液学:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;および副腎:神経芽細胞腫。したがって、本明細書中に提供する場合、用語「癌細胞」には、上記で分類した容態のいずれか1つに罹患した細胞が含まれる。
【0306】
さらに、本発明の化合物は、乳癌、卵巣癌,子宮内膜癌、肉腫、黒色腫、前立腺癌、膵臓癌など、および他の固形腫瘍の癌の治療に適切であり得る。
【0307】
好ましい実施形態では、本発明の化合物は、内分泌依存性癌の治療で有用である。好ましい内分泌依存性癌は、乳癌、子宮内膜癌、前立腺癌、および卵巣癌である。
【0308】
いくつかの適用のために、細胞周期を阻害および/または防止および/または停止し、好ましくは、細胞周期を防止および/または停止する。1つの態様では、細胞周期を、G/M期で阻害および/または防止および/または停止することができる。1つの態様では、細胞周期を、不可逆的に防止および/または阻害および/または停止することができ、好ましくは、細胞周期を不可逆的に防止および/または停止する。
【0309】
用語「不可逆的に防止および/または阻害および/または停止する」は、本発明の化合物の適用後、化合物の除去の際に、化合物の影響(すなわち、細胞周期の防止および/または阻害および/または停止)が依然として認められることを意味する。より詳細には、用語「不可逆的に防止および/または阻害および/または停止した」は、本明細書中に示す細胞周期アッセイプロトコールに従ってアッセイした場合、本発明の化合物で処置した細胞はコントロール細胞よりもプロトコールIのステージ2後の成長が低いことを意味する。このプロトコールの詳細を、以下に示す。
【0310】
したがって、本発明は、細胞サイクルの防止および/または阻害および/または停止によってエストロゲン受容体陽性(ER+)およびER陰性(ER−)乳癌細胞をin vitroで阻害し、そして/またはインタクトな動物(すなわち、非卵巣摘出)においてニトロソ−メチル尿素(NMU)誘導乳腺腫瘍を退行させ、そして/または癌細胞の細胞周期を防止および/または阻害および/または停止させ、そして/または細胞周期の防止および/または阻害および/または停止によってin vivoで作用し、そして/または細胞周期アゴニストとして作用する化合物を提供する。
【0311】
細胞周期アッセイ
(プロトコール5)
手順
ステージ1
MCF−7乳癌細胞をマルチウェル培養プレートに105細胞/ウェルの密度で播種した。細胞を接着させ、密集度約30%まで成長させ、以下のように処置した。
コントロール−処置なし
目的の化合物(COI)20μM。
【0312】
細胞を、3日毎に培地/COIを交換しながらCOIを含む成長培地中で6日間成長させた。この期間の終了時に、Coulter細胞計数器を使用して、細胞を計数した。
【0313】
ステージ2
COIでの6日間培養した細胞の処置後、細胞を10細胞/ウェルの密度で再播種する。さらなる処置は付加しない。細胞を、成長培地の存在下でさらに6日間成長を継続した。この期間の終了時、細胞数を再度計数する。
【0314】
癌細胞を使用したDH活性決定のためにアッセイ
(プロトコール6)
T47DおよびMDA−MB−231乳癌細胞のインタクトな細胞単層中におけるエストロンのエストラジオールへの変換(E1→E2、E2DH I型)およびエストラジオールのエストロンへの変換(E2→E1、E2DH II型)をそれぞれ測定した。細胞を、密集度80〜90%までフラスコ中で培養した。H−E1またはH−E2(6pmol、約90Ci/mmol)を、2.5mlの培地中に種々の試験化合物(10μM)を含まないか(コントロール)または含む各フラスコに添加した。細胞を含まないフラスコに基質も添加し、並行してインキュベートした(ブランク)。
【0315】
37℃でT47D細胞については30分間またはMDA細胞については3時間のインキュベーション後、2mlの培地を、14C−E2または14C−E1(約5000cpm)および50μg E2またはE1をそれぞれ含む試験管に添加した。ステロイドを、ジエチルエーテル(4ml)を使用して水性媒質から抽出した。固体二酸化炭素−メタノール混合物中での水相の凍結後、エーテル相を個別の管にデキャントした。エーテルを、40℃の気流下で蒸発乾燥させた。残渣を、少量のジエチルエーテルに溶解し、蛍光指示薬を含むTLCプレートに適用した。E1およびE2を、DCM−酢酸エチル(4:1 v/v)を使用したTLCによって分離した。UV光下での視覚化後、各インキュベーションフラスコ由来の生成物の位置をTLCプレート上に記した。印をつけた領域を切り取り、メタノール(0.5ml)を含むシンチレーションバイアル中に入れて生成物を溶離した。H生成物の形成量および14C−E1または14C−E2の回収量を、シンチレーション分光分析後に計算した。生成物の形成量を、手順上の喪失および各フラスコ中の細胞数に対して補正した。
【0316】

示すように、本発明の化合物は、細胞周期障害の治療で有用であり得る。特定の細胞周期障害は癌である。
【0317】
癌は、依然としてほとんどの西洋諸国における主な死因である。今まで開発されてきた癌療法は、ホルモン依存性腫瘍の成長を阻害するためのホルモンの作用または合成の遮断を含んでいた。しかし、現在、ホルモン非依存性腫瘍により積極的な化学療法が使用されている。
【0318】
したがって、化学療法に関連する副作用をいくらかまたは全て欠くホルモン依存性腫瘍および/またはホルモン非依存性腫瘍の抗癌治療のための医薬品の開発は、大きな治療上の利点が得られるであろう。
【0319】
エストロゲンはその合成後に多数のヒドロキシル化反応および抱合反応を受けることが公知である。最近まで、かかる反応は代謝過程の一部であり、最終的にエストロゲンは水溶性になり、体内からの排出を強化すると考えられていた。現在、いくつかのヒドロキシ代謝(例えば、2−ヒドロキシおよび16α−ヒドロキシ)および抱合体(conjugate)(例えば、硫酸エストロン、E1S)はエストロゲンの体内での複雑な作用のいくつかの決定で重要であることが証明されている。
【0320】
研究者は、乳癌リスクを変化させる条件に関する2−および16−ヒドロキシル化エストロゲンの形成を調査している。現在、2−ヒドロキシラーゼ活性を増加させる因子が癌リスクの減少に関与する一方で、16α−ヒドロキシル化の増加によって乳癌リスクが増強され得るという証拠が存在する。2−メトキシエストラジオールが抗有糸分裂特性を有する内因性代謝産物であるという増大しつつある一連の証拠によって、エストロゲン代謝産物の生物学的役割にさらに興味が持たれている。2−MeOE2は、カテコールエストロゲンメチルトランスフェラーゼ(体内に広く分布する酵素)によって2−ヒドロキシエストラジオール(2−OHE2)から形成される。
【0321】
2−MeOE2がMeth A肉腫、B16黒色腫、またはMDA−MB−435エストロゲン受容体陰性(ER−)乳癌細胞の皮下注射から生じた腫瘍の成長をin vivoで阻害することが示されている。2−MeOE2は、内皮細胞の増殖および移動ならびin vitro血管形成も阻害する。2−MeOE2がin vivoで腫瘍成長を阻害する能力が、腫瘍細胞の増殖の直接粗がよりもむしろ腫瘍誘導血管形成の阻害能力に起因し得ることが示唆された。
【0322】
2−MeOE2がその強力な抗有糸分裂抗かおよび抗血管形成効果を発揮する機構は、依然解明中である。2−MeOE2は高濃度で微小管重合を阻害し、チューブリンへのコルヒチン結合の弱いインヒビターとして作用することができるという証拠が存在する。しかし、最近、有糸分裂を遮断する濃度で、細胞中のチューブリンフィラメントは脱重合されず、タキソール処置後で認められた形態学と同一の形態学を有することが見出された。したがって、タキソール(乳癌および卵巣癌療法のために使用される薬物)のように、2−MeOE2は、微小管の動力学の安定化によって作用することが可能である。
【0323】
新規の癌療法としての2−MeOE2の同定は重要な利点である一方で、経口投与したエストロゲンの生物学的利用能は不十分である。さらに、エストロゲンは、その最初の肝臓の通過中に広範な代謝を受け得る。乳癌療法のステロイドスルファターゼインヒビターを開発するための研究プログラムの一部として、エストロン−3−O−スルファメート(EMATE)を、強力な活性を示す部位特異的インヒビターとして同定した。予想外に、EMATEは、ラットにおいてエストラジオールの100倍の経口子宮作用活性(uterotrophic activity)を有する強いエストロゲン特性を有することが証明された。その増強されたエストロゲン性は、赤血球(rbc)による吸収に起因し、この赤血球が肝臓の通過中の不活化から保護し、長期間の徐放のための貯蔵庫として作用すると考えられる。多数のA間修飾アナログ(2−メトキシエストロン−3−O−スルファメートが含まれる)を合成および試験した。この化合物はステロイドスルファターゼインヒビターとしてEMATEと等しい効力を有する一方で、エストロゲン性を欠く。
【0324】
本発明者らは、本発明の化合物によって癌、特に乳癌の治療手段が得られると考える。
【0325】
さらにまたはあるいは、本発明の化合物は、癌(白血病および固形腫瘍(乳房、子宮内膜、前立腺、卵巣、および膵臓の腫瘍など)が含まれる)の成長の遮断で有用であり得る。
【0326】
エストロゲンに関する療法
本発明者らは、いくつかの本発明の化合物は、特に女性の体内のエストロゲンレベルの制御で有用であり得ると考える。したがって、いくつかの化合物は、出生抑制手段(経口避妊薬の錠剤、丸薬、溶液、またはロゼンジなど)として有用であり得る。あるいは、化合物は、挿入物またはパッチの形態であり得る。
【0327】
したがって、本発明の化合物は、エストロゲンに関連するホルモン容態の治療で有用であり得る。
【0328】
さらにまたはあるいは、本発明の化合物は、エストロゲンに関連する容態に加えて、ホルモン容態の治療で有用であり得る。したがって、本発明の化合物は、ホルモン活性にも影響を及ぼし、免疫応答にも影響を及ぼすことができる。
【0329】
神経変性疾患
本発明者らは、いくつかの本発明の化合物は、神経変性疾患および類似の容態の治療で有用であり得ると考える。
【0330】
例として、STSインヒビターは、健忘症、頭部損傷、アルツハイマー病、癲癇性痴呆、初老性痴呆、外傷後痴呆、老人性痴呆症、血管性痴呆、および脳卒中後痴呆などの疾患を罹患した患者または記憶強化を追求する個体の記憶機能の強化で有用であり得ると考えられる。
【0331】
TH1
本発明者らは、いくつかの本発明の化合物がTH1関連疾患(TH1 implications)で有用であり得ると考える。
【0332】
例として、マクロファージまたは他の抗原提示細胞内のSTSインヒビターの存在により、感作T細胞のTH1(高IL−2、IFNγ低IL−4)応答を増加する能力が減少し得ると考えられる。したがって、糖質コルチコイドなどの他のステロイドの正常な調節の影響が優勢になるであろう。
【0333】
炎症状態
本発明者らは、いくつかの本発明の化合物は、炎症状態(1つまたは複数の以下のいずれかに関連する容態など:自己免疫(例えば、関節リウマチ、I型およびII型糖尿病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、甲状腺炎、脈管炎、潰瘍性大腸炎、およびクローン病が含まれる)、皮膚障害(例えば、乾癬、および接触皮膚炎);移植片対宿主疾患;湿疹;喘息、ならびに移植後の臓器拒絶)の治療で有用であり得ると考える。
【0334】
例として、STSインヒビターは、DHEAもしくは関連ステロイドの免疫応答および/または炎症反応に及ぼす通常の生理学的影響を防止し得ると考えられる。
【0335】
本発明の化合物は、内因性糖質コルチコイド様効果を明らかにするための薬物の製造で有用であり得る。
【0336】
他の療法
本発明の化合物および/または組成物が他の重要な医学的意味を有し得るとも理解すべきである。
【0337】
例えば、本発明の化合物または組成物は、WO−A−99/52890号に列挙した障害の治療で有用であり得る。以下に述べる。
【0338】
さらにまたはあるいは、本発明の化合物または組成物は、WO−A−98/05635号に列挙した障害の治療で有用であり得る。参照を容易にするために、列挙の一部をここに示す:癌、炎症または炎症性疾患、皮膚科学的障害、発熱、心血管の影響、出血、凝固および急性期反応、悪液質、食欲不振、急性感染症、HIV感染、ショック状態、移植片対宿主反応、自己免疫疾患、再灌流障害、髄膜炎、片頭痛、およびアスピリン依存性抗血栓症;腫瘍成長、浸潤および拡散、血管形成、転移、悪性腹水および悪性胸膜滲出液;脳虚血、虚血性心疾患、骨関節炎、関節リウマチ、骨粗鬆症、喘息、多発性硬化症、神経変性、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、卒中、脈管炎、クローン病、および潰瘍性大腸炎;歯周炎、歯肉炎;乾癬、アトピー性皮膚炎、慢性潰瘍、表皮水疱症;角膜潰瘍形成、網膜症、および外科的創傷治癒;鼻炎、アレルギー性結膜炎、湿疹、過敏症;再狭窄、鬱血性心不全、子宮内膜癌、アテローム性動脈硬化症、またはエンドスクレロシス(endosclerosis)。
【0339】
さらにまたはあるいは、本発明の化合物または組成物は、WO−A−98/07859号に列挙した障害の治療で有用であり得る。参照を容易にするために、列挙の一部をここに示す:ヒトおよび動物用の薬物におけるサイトカインおよび細胞増殖/分化活性;免疫抑制活性または免疫賦活活性(例えば、免疫不全(ヒト免疫不全ウイルスの感染が含まれる)の治療;リンパ球成長の調節;癌および多数の自己免疫疾患の治療および移植片拒絶の防止または腫瘍免疫の誘導);造血の調節(例えば、骨髄性疾患またはリンパ性疾患の治療);骨、軟骨、腱、靭帯、および神経組織の成長促進(例えば、創傷治癒、熱傷、潰瘍、歯周疾患、および神経変性の治療);濾胞刺激ホルモンの阻害または活性化(受精能の調整);走化活性/化学運動活性(例えば、特定の細胞型の損傷部位または完成部位への移動);止血活性および血栓融解活性(例えば、血友病および卒中の治療);抗炎症活性(例えば、敗血症性ショックまたはクローン病の治療);抗菌薬として;例えば、代謝または挙動のモジュレーター;鎮痛薬;特定の欠乏障害の治療;例えば、乾癬の治療。
【0340】
さらにまたはあるいは、本発明の組成物は、WO−A−98/09985号に列挙した障害の治療で有用であり得る。参照を容易にするために、列挙の一部をここに示す:マクロファージ阻害活性および/またはT細胞阻害活性、したがって、抗炎症活性;抗免疫活性(すなわち、細胞性および/または体液性免疫応答(炎症に関連しない応答が含まれる)に対する阻害効果);マクロファージおよびT細胞が細胞外基質成分およびフィブロネクチンに接着する能力の阻害ならびにT細胞におけるfas受容体発現の上方制御;望ましくない免疫応答および炎症(関節炎(関節リウマチが含まれる)、過敏症、アレルギー反応、喘息、全身性エリテマトーデス、膠原病、および他の自己免疫疾患に関連する炎症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化、アテローム硬化型心疾患、再灌流障害、心停止、心筋梗塞、血管炎症障害、呼吸急迫症候群、または他の心配疾患に関連する炎症、消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎、および胃腸管の他の疾患、肝線維症、肝硬変、または他の肝疾患、甲状腺炎または他の腺疾患、糸球体腎炎または他の腎臓疾患および泌尿器疾患、耳炎または耳鼻咽喉科疾患、皮膚炎または皮膚疾患、歯周疾患または他の歯科疾患、精巣炎または精巣−精巣炎、不妊症、精巣外傷または他の免疫関連精巣疾患、胎盤機能障害、胎盤機能不全、習慣性流産、子癇、子癇前症、および他の免疫および/または炎症関連産婦人科疾患、後部ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜炎、全部ブドウ膜炎、結膜炎、脈絡網膜炎、ブドウ膜網膜炎、視神経炎、眼内炎症(例えば、網膜炎または嚢胞様黄斑浮腫、好感性眼炎、強膜炎、網膜色素変性、神経変性ホンデュ疾患(degenerative fondus disease)の免疫および炎症成分、眼外傷の炎症性分、感染に起因する眼炎、増殖性硝子体網膜症、急性虚血性視神経症、過剰な瘢痕化(例えば、緑内障濾過手術後)、眼移植片および他の免疫および炎症関連癌眼科疾患に対する免疫および/または炎症反応、中枢神経系(CNS)または任意の他の器官の両方において、免疫および/または炎症抑制が有利であろう自己免疫疾患、免疫容態、または免疫障害に関連する炎症、パーキンソン病、パーキンソン病の合併症および/または治療由来の副作用、 エイズ関連痴呆複合症、デビック病、シデナム舞踏病、アルツハイマー病、および他の変性疾患、CNSの容態および障害、卒中の炎症成分、ポストポリオ症候群、精神障害、脊髄炎、脳炎、亜急性硬化性汎脳炎、脳脊髄炎、急性ニューロパシー、亜急性ニューロパシー、慢性ニューロパシー、ギラン・バレー症候群、シデナム舞踏病、重症筋無力症、偽脳腫瘍(pseudo−tumour cerebri)、ダウン症候群、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症の免疫および炎症成分、CNS圧迫、CNS外傷、またはCNS感染の炎症成分、筋萎縮症および筋ジストロフィー、免疫および炎症関連疾患、中枢神経系または末梢神経系の容態または障害、外傷後炎症、敗血症性ショック、感染症の炎症成分、手術、骨髄移植の炎症性合併症または副作用、または他の移植合併症および/または副作用、遺伝子療法の炎症および/または免疫合併症および副作用(例えば、ウイルスキャリアでの感染またはAIDS関連感染))の阻害、体液性および/または細胞性免疫応答の抑制または阻害、例えば、単球またはリンパ球の量の減少による単球または白血球増殖疾患(例えば、白血病)の治療または改善、天然細胞または人工細胞、組織、および臓器(角膜、骨髄、臓器、レンズ、ペースメーカー、天然または人工の皮膚組織など)移植における移植片拒絶の防止および/または治療。
【0341】
スルファメート化合物の調製
本発明のスルファメート化合物を、適切なアルコールの適切な塩化物との反応によって調製することができる。例として、本発明のスルファメート化合物を、適切なアルコールの式:RNSOClの適切なスルファモイルクロリドとの反応によって調製することができる。
【0342】
典型的な反応実施条件を以下に示す。
【0343】
水素化ナトリウムおよびスルファモイルクロリドを、0℃の無水ジメチルホルムアミドを含む撹拌したアルコール溶液に添加する。次いで、反応物を室温に加温し、さらに24時間撹拌し続ける。反応混合物を冷却した飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ、得られた水相をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機抽出物を、無水MgSOで乾燥させる。濾過後に溶媒を真空下で蒸発させ、トルエンと同時蒸発させて粗残渣を得、これをフラッシュクロマトグラフィによってさらに精製する。
【0344】
好ましくは、アルコールを、スルファモイルクロリドとの反応前に誘導体化する。必要に応じて、アルコール中の官能基を公知の様式で保護し、反応終了時に保護基を除去することができる。
【0345】
好ましくは、スルファメート化合物を、Page et al(1990 Tetrahedron 46;2059−2068)の教示にしたがって調製する。
【0346】
ホスホネート化合物を、Page et al(1990 Tetrahedron 46;2059−2068)およびPCT/GB92/01586号の教示の適切な組み合わせによって調製することができる。
【0347】
スルホネート化合物を、Page et al(1990 Tetrahedron 46;2059−2068)およびPCT/GB92/01586号の教示の適切な組み合わせによって調製することができる。
【0348】
チオホスホネート化合物を、Page et al(1990 Tetrahedron 46;2059−2068)およびPCT/GB91/00270号の教示の適切な適応によって調製することができる。
【0349】
好ましい調製物を、以下の本文にも示す。
【0350】
概要
まとめると、本発明は、ステロイドスルファターゼインヒビターおよび/またはステロイドデヒドロゲナーゼインヒビターとして使用するための化合物およびこの化合物の薬学的組成物を提供する。
【実施例】
【0351】
本発明を、例示のみを目的としてここに説明する。
【0352】
実施例
概要
乳癌は、欧州および北米で非常に重要な疾患である。英国では、任意の他の癌型よりも多数が乳癌で死亡している。ホルモン依存性乳癌は、閉経後の女性の約2/3に相当する。これは、腫瘍がその成長および発達のためにエストロゲンに依存する乳癌型に相当する。
【0353】
エストロゲン生合成における1つまたは複数の酵素経路を阻害する薬物の使用によってエストロゲン循環レベルを制御する内分泌療法は、HDBCに反応する。異なる標的を考慮することができ、ほとんどの研究は、抗エストロゲンおよびアロマターゼインヒビターに専念している。酵素ステロイドスルファターゼおよび17β−HSD 1型は、強力な標的としてその後に出現した。
【0354】
STSのいくつかの強力なインヒビターが開発されている一方で、17β−HSD 1型はあまり関心が寄せられておらず、わずかな活性分子しか報告されていない。EMATEのD環誘導体が17β−HSD 1型の強力なインヒビターであるという事実に応じて、本発明者らは、エストロゲン性が減少したEMATEアナログのデザインおよび合成を開始した。これにより、D環がピペリジンジオン部分であり、N原子が種々の側鎖を有する一連の化合物を得た。
【0355】
乳癌細胞に対して実施したSTSに対する生物試験により、プロピルまたはピコリル側鎖を有する誘導体の非常に高い活性が明らかとなった。1nMのIC50で、これらは、EMATEよりもはるかに強力である。
【0356】
実験
1−一般的方法
全ての化学物質は、Aldrich Chemical Co.(Gillingham,Dorset,UK)またはLancaster Synthesis(Morecambe,Lancashire,U.K.)のいずれかから購入した。A.R.グレードの全ての有機溶媒は、Fisons plc(Loughborough,U.K.)から提供された。無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)(それぞれ、全てのN−アルキル化反応およびスルファモイル化反応で使用)をAldrichから購入し、使用後に陽圧のN下で保存した。スルファモイルクロリドを、ApelとBergerの方法48の適合によって調製し、Woo et al.16に記載のようにトルエン溶液として保存した。適切な体積のこの溶液を、使用直前に新たに真空下で濃縮した。
【0357】
E1SおよびE1を、Sigma Chemical Co.(Poole,U.K.)から購入した。[6,7−H]E1S(比活性50Ci/mmol)および[4−14C]E1(比活性、52mCi/mmol)を、New England Nuclear(Boston,MA)から購入した。[6,7−H]E1(比活性、97Ci/mmol)を、Amersham International Radiochemical Centre(Amersham,U.K.)から入手した。
【0358】
薄層クロマトグラフィ(TLC)を、プレコーティングプレート(Merck TLCアルミニウムシートシリカゲル60 F254、製品番号5554)で実施した。生成物および出発材料(SM)を、UV光下での観察またはリンモリブデン酸のメタノール溶液での処理およびその後の加熱のいずれかによって検出した。フラッシュカラムクロマトグラフィを、シリカゲル(Sorbsil C60)で行った。Perkin−Elmer Spectrum RXI FT−IRを使用したKBrディスクとしてIRスペクトルを決定し、ピーク位置をcm−1で示す。H NMRおよびDEPT編集13C NMR スペクトルを、JMN−GX 400 NMR分光計で記録し、化学シフトを内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)と比較して、100万分の1(ppm、δ)で報告する。以下の略語を使用して、H NMRおよび13C NMRスペクトルの共鳴を記載する:br、ブロード;s、シングレット;d、ダブレット;t、トリプレット;q、カルテット;m、マルチプレット、および組み合わせ(dd、ダブレットのダブレットなど)。ABシステムの化学シフト(δおよびδ)を、各ダブレットの中間およびJABまたはJBAと標識した対応するカップリング定数を取ることによって概算した。例として、化合物21についての付録2に示す式に従ってδおよびδを計算した。Waters 996 PDA検出器を備えたWaters Millenium32装置でHPLC分析を行った。Waters Radialpack C18(2mL/分でのメタノール/水勾配で溶離した8×100mmカラム)で軌跡を記録した。マススペウトルを、Mass Spectrometry Service Center,University of Bathで記録した。マトリックスとしてm−ニトロベンジルアルコール(NBA)を使用してFAB−MSを行い、Microanalysis Service,University of Bathによって元素分析を行った。Reichert−Jung Thermo Galen Koflerブロックを使用して融点を決定し、補正しなかった。
【0359】
3−ベンジルオキシ−エストロン
【0360】
【化51】

水素化ナトリウム(60%鉱物油の分散物、0.68g、20.34mmol)を、0℃のN雰囲気下でエストロン(5.0g、18.49mmol)を含む無水DMF(50ml)の撹拌溶液に添加し、得られた懸濁液を1時間撹拌した。次いで、臭化ベンジル(2.42mL、20.34mmol)を添加し、反応混合物を、80℃で4時間加熱した。得られた溶液を氷水に注ぎ、分離した有機画分を酢酸エチル(150ml)に抽出し、水(4×50ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空下で蒸発させた。得られた淡黄色の粗生成物を、イソプロピルアルコールから再結晶して、白色フレーク状結晶として3−ベンジルオキシ−エストロンを得た(4.73g、71%):mp129〜131℃[lit.26(石油エーテル)132〜134℃]。IR(KBr)νmax3100,2950−2840,1730,1600,1500cm−1
【0361】
【化52】

3−ベンジルオキシ−マリアノール酸
【0362】
【化53】

ヨウ素(7.6g、29.94mmol)を含む95mLのMeOH溶液およびKOH(13.7g)を含む27mL水および61mLのMeOHの溶液を滴下するか、混合物の色が橙色/褐色のままであるように、2−ベンジルオキシ−エストロン(3.8g、10.54mmol)を含むMeOH(1L)の撹拌溶液に滴下した。45分間にわたって添加し、得られた淡黄色溶液を、N雰囲気下にて室温で一晩撹拌した。次いで、混合物を濃縮し、水(800mL)に注いだ。5M HClでの酸性化後、有機画分を、エーテル(600ml)に抽出し、チオ硫酸ナトリウム水溶液(4×100ml)、水(4×100ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空下で蒸発した。得られた黄色泡(4.54g)をKOH(7.6g)を含むMeOH/HO 1:2(228ml)溶液に溶解し、4時間加熱還流した。最終褐色混合物を、水(800mL)に注ぎ、5M HClでの酸性化後、有機物を酢酸エチル(300ml)で抽出した。ブライン(4×200ml)での洗浄後、有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空下で蒸発させて、黄色残渣(4.32g)を得た。これをクロロホルム/ヘキサン5:3から再結晶して、クリーム状の粉末として3−ベンジルオキシ−マリアノール酸を得た(3.25g、75%):mp212〜215℃[lit.18(aq.MeOH)226〜227℃].IR(KBr)νmax3050−2650,1700,1600−1500cm−1
【0363】
【化54】

MS m/z(FAB+)408.2[41,M],91.1[100,(CHAr)].
2528について計算したHRMS m/z(FAB+):408.1937.実測値:408.1940。
【0364】
3−ベンジルオキシ−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド
【0365】
【化55】

3−ベンジル−マリアノール酸(3.25g、7.96mmol)および尿素(3.25g、54.11mmol)を、180℃のN雰囲気下で45分間加熱した。得られた褐色残渣を砕き、アセトン(200ml)を添加して、褐色懸濁液を得た。この混合物を約100mLに濃縮し、シリカゲルを添加し、溶媒を除去した。得られた粉末を、フラッシュクロマトグラフィカラムに移した。クロロホルム/アセトン(96:4)での溶離により、白色固体として3−ベンジルオキシ−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミドを得た(2.75g、89%)。分析のために、サンプルEtOHから再結晶して、無色の針状物質を得た:mp 225〜226℃.IR(KBr)νmax 3260,2900−2870,1720,1700,1600−1500cm−1
【0366】
【化56】

MS m/z(FAB+)390.2[58,(M+H)],91.1[100,(CHAr)].
2528NOについて計算したHRMS m/z(FAB+):390.2069.実測値:390.2059.
2527NOの解析による計算値:C,77.09;H,6.99;N,3.60.実測値:C,76.90;H,6.99;N,3.73。
【0367】
3−ベンジルオキシ−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(CMS01179)
2830NO MW 485.54
【0368】
【化57】

3−ベンジルオキシ−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(2.0g、5.14mmol)を含む無水アセトニトリル(250ml)溶液に、炭酸カリウム(0.780g、5.66mmol、1.1当量)、ヨウ化カリウム(0.1g)、3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパン(1.61g、10.3mmol、2当量)、および18−クラウン−6(2.98g、11.31mmol、2.2当量)を添加し、反応物を82℃で24時間加熱した。冷却およびアセトニトリルの蒸発後、得られた橙色泡を酢酸エチル(200mL)に溶解し、ブライン(2×200ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィ(直径5cmカラムを使用し、20%酢酸エチル/ヘキサンでフラッシュした200gシリカ)によって、白色結晶性固体として表題化合物を溶離した(1.36g、54%);mp180〜182℃;R:0.52(20%酢酸エチル/ヘキサン);
【0369】
【化58】

HPLC(70%CHCN水溶液)t=XXX(100%);
LCMS(AP),m/z394.26(M,100%).
2830NOの解析による計算値:C69.26,H6.23,N2.28.実測値:C,H,N%。
【0370】
3−ヒドロキシ−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(CMS01181,STX1937)
2124NO MW395.42
【0371】
【化59】

10% Pd/C(0.10g)を添加した3−ベンジルオキシ−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(1.10g、2.27mmol)を含むメタノール(40ml)およびテトラヒドロフラン(40ml)溶液を、水素雰囲気下で3時間撹拌した。セライトによる濾過による触媒の除去後、溶媒の蒸発により、白色固体を得た。再結晶(ジエチルエーテル/ヘキサン)により、白色結晶性固体として表題化合物を得た(0.870g、97%);mp194〜196℃;R:0.41(20%酢酸エチル/ヘキサン);
【0372】
【化60】

2124NOの解析による計算値:C63.79,H6.12,N3.52.実測値:C,H,N%
HRMS(ES+)実測値396.1765;C2125NO(M+H)は396.1781。
【0373】
3−スルホモイルオキシ−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(CMS01188,STX1938)
2125S MW474.49
【0374】
【化61】

0.6Mスルファモイルクロリドを含むトルエン(5.80mL、3.50mmol、2.5当量)を、室温の減圧下で蒸発させた。得られた白色固体を、無水N,N−ジメチルアセトアミド(2.5ml)に溶解し、0℃の窒素下で冷却した。この撹拌溶液に、滴下様式で3−ヒドロキシ−N−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(0.55g、1.39mmol)を含むN,N−ジメチルアセトアミド(2.5ml)溶液を添加し、次いで、外部冷却を除去し、反応物を室温に一晩加温した。得られた淡褐色懸濁液を酢酸エチル(50ml)で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液(3×50ml)およびブライン(50ml)で洗浄し、次いで、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。得られたゴムを、最少量のジクロロメタン(5ml)に溶解し、ジエチルエーテル(25ml)を添加し、少量のヘキサン(100ml)を添加して、沈殿を開始させた。再結晶(ジクロロメタン/ヘキサン)により、白色結晶性固体として表題化合物を得た(0.584g、88%);
mp192〜194℃;
:0.18(20%酢酸エチル/ヘキサン);
【0375】
【化62】

HRMS(ES+)実測値497.1325;C2125NaOS(M+Na)は497.1334
XXX(M)について計算したHRMS(FAB),実測値;
2125Sの解析による計算値:C53.16,H5.13,N5.90.実測値:C,H,N%。
【0376】
公知のステロイドスルファターゼインヒビターを使用した本発明の化合物のIC50値の比較
JEG−3細胞中で計算したSTX1938のIC50値。STX1938のIC50は35pMであり、それと比較して、同一アッセイで測定したSTX213については180pMである。
【0377】
比較のために、STX1938およびSTX213の構造を示す。
【0378】
【化63】

図2は、STX1938の単回p.o.投与から15日後のラット肝臓におけるSTS活性の阻害を示す。比較のために、69%のSTX213 STS活性が回収された(すなわち、たった31%しか阻害されなかった)。
【0379】
STX1938のin vivo有効性
試験手順
MCF−7STS細胞(STSを過剰発現する細胞)
MCF−7細胞を、10%FCSを含むRPMI中で日常的に培養した。STSのcDNAを、ネオマイシン耐性遺伝子を含むpCI−Neoベクターにクローニングし、MCF−7細胞にトランスフェクションした。適切なクローンを、G418を使用して選択し、細胞株を確立し、酵素の発現および活性について評価した。
【0380】
マウス
卵巣提出雌胸腺欠損MF−1ヌードマウス(nu/nu)(6〜8週齢)を、Harlan Olacから得た。MCF−7STS細胞のインキュベーションの24時間前に、動物に硫酸エストラジオール(E2S)を皮下注射した。インキュベーション当日に、5×10 MCF−7STS細胞(50μlを含むマトリゲル)を、マウスの右側腹部に皮下注射した。細胞インキュベーション後、マウスにE2S(100μg/50μl)を注射し、24時間後にこれらのステロイドの別の注射を行った。次いで、研究が終了するまで、マウスにE2Sを1週間に3回投与した。腫瘍が約80mmに到達した時、1mg/kgの化合物の経口投与を開始した(100μl;ビヒクル10%THF:90%プロピレングリコール)。腫瘍の測定および動物の体重を毎週記録した。投与停止後の多数の時点で、腫瘍および肝臓組織のサンプルを血液と共に回収した。
【0381】
研究1
マウスに、研究期間中に0.1mg/kg、1mg/kg、および10mg/kgのSTX1938を週あたり5/7日間経口投与した。
【0382】
研究2
STX1938対STX64の有効性を比較するために、マウスに、1mg/kgのいずれかの化合物を1週間に1回7週間にわたって投与した。
【0383】
腫瘍
腫瘍を毎週測定し、その体積を、式:長さ×幅/2を使用して計算した。
【0384】
STS活性の測定
腫瘍または肝臓組織のサンプルを、リン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4、250mMスクロースを含む)中で均質化した。二連のアリコートを、非標識基質(Sigma.Poole,Dorset,UK)を使用して最終濃度に調整した[H−E1S](53Ci/mmol、2〜3nM、Perkin Elmer,Boston MA)と4時間インキュベーションした。[4−14C]エストロンを反応混合物中でインキュベーションして、手順上の喪失をモニタリングした。インキュベーション後、生成物エストロンを、トルエン分配によって反応混合物から単離した。トルエンアリコートを除去し、Hおよび14C放射能を、液体シンチレーション分光分析によって測定した。硫酸エストロン量を、検出されたH数から計算し、手順上の喪失を補正した。
【0385】
血漿エストラジオール濃度
血漿エストラジオール濃度を、特定の放射免疫アッセイ手順によって測定した。
【0386】
データ分析
スチューデントt検定を使用して、異なる群についての腫瘍体積の差の有意性を評価した。
【0387】
結果
研究1
1mg/kgおよび10mg/kgのSTX1938の投与により、ヌードマウスのE2S刺激腫瘍の成長が有意に減少した(図3)。1mg/kgおよび10mg/kgの用量での腫瘍STS活性は、ほとんど完全に阻害された(図4)。
【0388】
研究2
STX1938での1週間に1回の投与によって腫瘍成長は有意に減少する一方で、この投与スケジュールでSTX64は無効であった(図5)。STX1938の毎週の投与により、腫瘍(図7)および肝臓(図6)のSTSがほとんど完全に阻害された。この酵素の活性は、投与終了後に長期間阻害し続けた。対照的に、STX64は、この投与スケジュールで、肝臓および腫瘍のSTS活性を、25〜50%しか減少させなかった。血漿エストラジオールレベルは、STX1938の投与停止後に長期間にわたって有意に減少した(図8)。
【0389】
概要
STX1938は、強力なSTSインヒビターであり、1mg/kgおよび10mg/kgの用量で、STSを過剰発現するMCF−7乳癌細胞由来のE2S刺激異種移植片の成長を有意に阻害する。腫瘍STS活性は、STX1938によってほぼ完全に阻害される。
【0390】
1週間に1回の投与スケジュールを使用した場合、STX1938は、STSを過剰発現するMCF−7細胞由来の異種移植片腫瘍のE2S刺激成長を遮断することができる。腫瘍および肝臓のSTS活性も完全に阻害される。毎週投与した場合のSTX64を超えるSTX1938の有効性は、STX64と比較してin vivoでの作用持続時間がより長いことに起因すると考えられる。これにより、STX1938は1週間に1回投与する治療薬としての開発に適切であることが示唆される。
【0391】
上記明細書中で言及した全ての刊行物、特許、および特許出願は、本明細書中で参考として援用される。
【0392】
本発明の種々の修正形態および変更形態は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく当業者に明らかであろう。本発明を特定の好ましい実施形態と共に記載しているが、特許請求の範囲に記載の発明がかかる特定の実施形態に過度に制限されないと理解すべきである。実際、化学、生物、または関連分野の当業者に自明の記載の発明実施の形態の種々の修正形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
【0393】
略語
Å オングストローム
Ac アセチル
Acc MS 正確な(accurate)質量分析
Adiol アンドロステンジオール
Adione アンドロステンジオン
AG アミノグルセチミド(aminogluthethimide)
aq 水溶液
Ar アリール
arom 芳香族
BMA 3−ベンジル−マリアノール酸
Bn ベンジル
br ブロード
℃ 摂氏
13C NMR カーボンNMR
ca 約
cm センチメートル
COUMATE 4−メチルクマリン−7−O−スルファメート
δ 化学シフト(ppm)
d ダブレット
dd ダブレットのダブレット
DHEA デヒドロエピアンドロステロン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
E1 エストロン
E2 エストラジオール
EMATE エストロン−3−O−スルファメート
ER エストロゲン受容体
eq 当量
FAB 高速原子衝撃
g グラム
h 時間
hER ヒトエストロゲン受容体
1H NMR プロトンNMR
HPLC 高速液体クロマトグラフィ
17β−HSD 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ
Hz ヘルツ
IC50 50%阻害濃度
IR 赤外線
J 結合定数(Hz)
λmax 極大吸収波長
lit. 文献番号
μ マイクロ
m マルチプレット
M モル/リットル
m−NBA メタ−ニトロベンジルアルコール
m−RNA 伝令RNA
MHz メガヘルツ
min 分
mmol ミリモル
mol モル
mp 融点
MS 質量分析法
m/z 質量電荷比
NADPH ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
nM ナノモル
NMR 核磁気共鳴
ppm 100万分の1
保持因子
r.t. 室温
S.D. 標準偏差
Pd−C パラジウム−炭素
TBAF テトラブチルアンモニウムフルオリド
TBDMS tert−ブチル−ジメチルシリル
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィ
TMS テトラメチルシラン
ν シグナル周波数(Hz)
vs 対。
【0394】
参考文献
【0395】
【数1】

【0396】
【数2】

【0397】
【数3】

【0398】
【数4】

【0399】
【数5】

【図面の簡単な説明】
【0400】
【図1】図1である。
【図2】図2である。
【図3】図3である。
【図4】図4である。
【図5】図5である。
【図6】図6である。
【図7】図7である。
【図8】図8である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
Gはフルオロカルビル基であり、Rは、−OH、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基、またはスルホンアミド基のいずれか1つである)を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項2】
式II:
【化2】

を有する請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項3】
式III:
【化3】

を有する請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項4】
式IV:
【化4】

を有する請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項5】
式VII:
【化5】

を有する請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項6】
式VIII:
【化6】

を有する請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項7】
式XI:
【化7】

を有する請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項8】
式XII:
【化8】

を有する請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項9】
Gが、式−A−B(式中、Aは1〜9個の炭素原子の直鎖、分岐、または環状アルキレン基であり、Bは1〜10個の炭素原子の直鎖、分岐、または環状ペルフルオロアルキル基である)の基である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項10】
Aは式:−(CH−(式中、nは1〜9の整数である)の基である、請求項9に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項11】
A基は2つの炭素原子を有する、請求項9または請求項10に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項12】
Bは式:−(CFCF(式中、mは0または1〜9の整数である)の基である、請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項13】
G基は、式:−(CH(CFCF(式中、nは1〜9の整数であり、mは0または1〜9の整数である、請求項9に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項14】
n+mは1と10との間である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
G基は3,3,3−トリフルオロプロピル(−CHCHCF)である、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項16】
はスルファメート基である、請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項17】
式:
【化9】

を有する請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項18】
またはスルファメート基は、式:
【化10】

(式中、RおよびRは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、およびアリール、またはこれらの組み合わせから独立して選択されるか、一緒になってアルキレンを示し、該アルキル、シクロアルキル、またはアルケニルのそれぞれは、任意選択的に、1つまたは複数のヘテロ原子またはヘテロ基を含む)である、請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項19】
少なくとも1つのRおよびRはHである、請求項18に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項20】
およびRはHである、請求項19に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項21】
式XII:
【化11】

(式中、Gはフルオロカルビル基であり、
はOHまたは式:
【化12】

のスルファメート基であり、
ここで、RおよびRは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、およびアリール、またはこれらの組み合わせから独立して選択されるか、一緒になってアルキレンを示し、該アルキル、シクロアルキル、またはアルケニルのそれぞれは、任意選択的に、1つまたは複数のヘテロ原子またはヘテロ基を含む)を有する、請求項1〜請求項20のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項22】
式:
【化13】

を有する請求項21に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは複合体。
【請求項23】
薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤、またはアジュバントと任意選択的に混合した、請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の化合物を含む薬学的組成物。
【請求項24】
薬物用の請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
ステロイドスルファターゼ(STS)に関連する容態または疾患の治療で使用する薬物の製造における請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項26】
有害なSTSレベルに関連する容態または疾患の治療で使用する薬物の製造における請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項27】
ステロイドスルファターゼ(STS)活性の阻害薬の製造における請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項28】
ステロイドスルファターゼ(STS)活性の阻害薬の製造における請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項29】
癌の治療薬の製造における請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項30】
前記癌が内分泌依存性癌から選択される、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
前記癌が、乳癌、子宮内膜癌、または前立腺癌である、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
1日1回を超える投与間隔のスケジュールに従って薬学的有効量の本発明の化合物を哺乳動物に投与する工程を含む、治療を必要とする哺乳動物のステロイドスルファターゼに関連する容態または疾患の治療薬の製造における、請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項33】
前記化合物を単位投薬量として投与する、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記投与間隔が、1週間に1回、1週間に2回、2週間毎、1ヶ月に2回、および毎月の投与から選択される、請求項32に記載の使用。
【請求項35】
前記投与間隔が1週間に1回である、請求項32に記載の使用。
【請求項36】
実施例のいずれか1つに関して実質的に本明細書中に記載される化合物。
【請求項37】
実施例のいずれか1つに関して実質的に本明細書中に記載される組成物。
【請求項38】
実施例のいずれか1つに関して実質的に本明細書中に記載される方法。
【請求項39】
実施例のいずれか1つに関して実質的に本明細書中に記載される使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−528334(P2009−528334A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556839(P2008−556839)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000686
【国際公開番号】WO2007/099304
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(500232695)ステリックス リミテッド (13)
【Fターム(参考)】