ステントデリバリーシステム
【課題】ステントデリバリーシステムにおいて、生体管腔内へのステントの放出状態を確実且つ容易に確認する。
【解決手段】ステントデリバリーシステム10には、自己拡張型のステント16の外側チューブ体14に対する放出状態を確認可能なステント放出状態確認機構20が設けられる。このステント放出状態確認機構20は、内側チューブ体12の第1先端チューブ26に設けられる通電体54と、前記通電体54に臨む外側チューブ体14における第2先端チューブ46の内周面に設けられる一対の電極56a、56bと、前記電極56a、56bに対してリード線58を介して接続される電源60、電源スイッチ61及び表示灯62とを備え、前記ステント16が外側チューブ体14に対して再収納可能な長さ以上に放出された際、電極56a、56bと通電体54とが非接触となり、表示灯62が消灯することによって再収納が不可能となったことが確認される。
【解決手段】ステントデリバリーシステム10には、自己拡張型のステント16の外側チューブ体14に対する放出状態を確認可能なステント放出状態確認機構20が設けられる。このステント放出状態確認機構20は、内側チューブ体12の第1先端チューブ26に設けられる通電体54と、前記通電体54に臨む外側チューブ体14における第2先端チューブ46の内周面に設けられる一対の電極56a、56bと、前記電極56a、56bに対してリード線58を介して接続される電源60、電源スイッチ61及び表示灯62とを備え、前記ステント16が外側チューブ体14に対して再収納可能な長さ以上に放出された際、電極56a、56bと通電体54とが非接触となり、表示灯62が消灯することによって再収納が不可能となったことが確認される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管等の生体管腔内にステントを送達、留置するためのステントデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、血管、胆管、気管、食道、尿道等の生体管腔内に生じた狭窄部や閉塞部の改善のため、金属線材等によって多数の側壁開口を有する円筒形状に形成され、生体管腔内で拡張可能なステントが用いられることがある。
【0003】
例えば、自己拡張機能を備えたステント(自己拡張型ステント)は、内管の周囲に外管を配置したデリバリー用のカテーテルの先端部において、内管と外管の間の間隙にステントを圧縮・収納した状態で生体管腔内へと送達され、外管が基端側に後退されることで放出されて拡張し、所望の管腔内に留置することができる。
【0004】
上述したステントの留置操作中において、何らかの理由で前記ステントの留置位置の変更が必要となる場合があるが、この場合、術者が前記ステントの拡張状態(放出状態)を確認して、前記ステントを外管に再収納することが可能か否かを知る必要がある。
【0005】
そこで、外管の先端部に放射線不透過性材料からなるマーカーを設けると共に、ステントの基端部における内管に放射線不透過性材料からなるストッパを設け、放射線画像において、術者が前記マーカーと前記ストッパの位置関係を見ることにより、前記ステントの放出状態を確認し、前記ステントの外管への再収納が可能か否かを判断するステントデリバリーシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−313893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術に係るステントデリバリーシステムでは、ステントの放出状態を放射線画像でしか確認することができないため、確認作業が難しく、また、確認を行う術者の経験等に起因して画像に基づく放出状態の判断にばらつきが生じることが懸念される。
【0008】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、自己拡張型ステントの放出状態を確実且つ容易に確認することが可能なステントデリバリーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、内管と、生体管腔内挿入時には中心軸方向に圧縮されて前記内管の先端側外面に配置され、生体管腔内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステントと、前記内管の外面側に配置されることで前記ステントを内腔に収納可能であると共に、前記内管に対して基端方向に移動することにより、前記内腔に収納された前記ステントを放出可能な外管とを備えるステントデリバリーシステムであって、
前記内管に対する前記外管の移動距離に基づき、前記ステントの該外管からの放出状態を確認可能な確認手段を備え、
前記確認手段は、前記外管に設けられた第1の導電体と、
前記外管の移動によって前記第1の導電体に対する接触状態を切換自在な第2の導電体と、
前記第1の導電体もしくは第2の導電体に接続され該第1の導電体と第2の導電体の通電状態に基づいて前記外管から途中まで放出された前記ステントが前記外管に再収納可能か否かを確認可能なインジケータと、
を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、生体管腔内にステントを留置するためのステントデリバリーシステムにおいて、外管に設けられた第1の導電体と、前記外管の移動によって前記第1の導電体に対する接触状態を切り換えることが可能な第2の導電体と、前記第1の導電体もしくは第2の導電体に接続され該第1の導電体と第2の導電体の通電状態に基づいて前記外管から放出された前記ステントが前記外管に再収納可能か否かを確認可能なインジケータとを有した、前記ステントの前記外管からの放出状態を確認可能な確認手段が設けられる。従って、外管を内管に対して移動させステントを生体管腔内へと留置する際、前記内管に対する前記外管の移動距離に基づいて第1の導電体と第2の導電体の接触状態が切り換わって通電状態が変化し、前記第1の導電体もしくは第2の導電体からインジケータへと出力された出力結果に基づいて術者が前記外管からのステントの放出状態を確認することが可能となる。
【0011】
従って、外管から生体管腔内へとステントが放出される途中、何らかの理由で前記ステントの留置位置の変更が必要となった場合に、前記ステントを前記外管へと再収納可能か否かをインジケータで確実且つ容易に確認し、迅速に判断することができる。
【0012】
また、第2の導電体を、内管に設けるとよい。また、前記第2の導電体を、ステントとするとよい。
【0013】
さらにまた、インジケータを、通電時に発光する表示灯とするとよい。
【0014】
またさらに、ステントを、Ni−Ti合金から形成するとよい。
【0015】
また、内管に対して外管を軸方向に移動させるための操作部をさらに設け、前記操作部にインジケータを設けるとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0017】
すなわち、外管に設けられた第1の導電体と、前記外管の移動によって前記第1の導電体に対する接触状態を切り換えることが可能な第2の導電体と、前記第1の導電体もしくは第2の導電体に接続され該第1の導電体と第2の導電体の通電状態に基づいて前記外管から放出された前記ステントが前記外管に再収納可能か否かを確認可能なインジケータとを有した前記ステントの前記外管からの放出状態を確認可能な確認手段を設けることにより、外管を内管に対して移動させステントを生体管腔内へと留置する際、前記内管に対する前記外管の移動距離に基づいて通電状態が変化し、第1の導電体もしくは第2の導電体からインジケータへと出力された出力結果に基づいて前記外管からのステントの放出状態を確認することができる。その結果、外管から生体管腔内へとステントが放出される途中、何らかの理由で前記ステントの留置位置の変更が必要となった場合に、前記ステントを前記外管に再び収納可能か否かをインジケータで確実且つ容易に確認して迅速に判断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るステントデリバリーシステムの全体構成図である。
【図2】図1のステントデリバリーシステムにおける内側チューブ体及び外側チューブ体を示す一部省略断面図である。
【図3】図2の内側チューブ体及び外側チューブ体の先端近傍を示す拡大断面図である。
【図4】図4Aは、図2のステントデリバリーシステムにおいて内側チューブ体及び外側チューブ体の先端近傍を示す一部省略断面図であり、図4Bは、図4Aに対して外側チューブ体が基端側に移動してステントが途中まで放出された状態を示す拡大断面図である。
【図5】図2のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図1に示すステントデリバリーシステムを構成する操作部の外観斜視図である。
【図7】図6に示す操作部の分解斜視図である。
【図8】図6及び図7に示す操作部の内部側面図である。
【図9】外側チューブ体の先端からステントが途中まで放出された状態、又は、途中まで放出されたステントを前記外側チューブ体の内部に収容する場合を示す拡大断面図である。
【図10】図10Aは、本発明の第2の実施の形態に係るステントデリバリーシステムにおける内側チューブ体及び外側チューブ体の先端近傍を示す一部省略断面図であり、図10Bは、図10Aに対して外側チューブ体が基端側に移動してステントが途中まで放出された状態を示す拡大断面図である。
【図11】図11Aは、本発明の第3の実施の形態に係るステントデリバリーシステムにおける内側チューブ体及び外側チューブ体の先端近傍を示す一部省略断面図であり、図11Bは、図11Aに対して外側チューブ体が基端側に移動してステントが途中まで放出された状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るステントデリバリーシステムについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0020】
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係るステントデリバリーシステムを示す。
【0021】
このステントデリバリーシステム10は、図1に示されるように、管状に形成された内側チューブ体(内管)12と、該内側チューブ体12の外周側に設けられる外側チューブ体(外管)14と、前記内側チューブ体12と外側チューブ体14との間に収納された拡張可能なステント16と、前記外側チューブ体14を前記内側チューブ体12に対して移動させるための操作部18と、前記外側チューブ体14の先端に対するステント16の放出状態を確認可能なステント放出状態確認機構20とを含む。
【0022】
なお、図1において、内側チューブ体12及び外側チューブ体14の左側を「基端(後端)」側(矢印A方向)、前記内側チューブ体12及び外側チューブ体14の右側を「先端」側(矢印B方向)と呼び、他の各図についても同様とする。
【0023】
内側チューブ体12は、図1〜図3に示されるように、ガイドワイヤ22(図2参照)を挿通するためのガイドワイヤルーメン24が形成された第1先端チューブ26と、前記第1先端チューブ26の基端側(矢印A方向)に連結部材28を介して連結された第1基端チューブ30と、前記第1基端チューブ30の基端に接続されたコネクタ32とを有する。この内側チューブ体12は、管状体からなり、第1先端チューブ26及び第1基端チューブ30の先端及び基端がそれぞれ開口すると共に、前記第1先端チューブ26の先端が、外側チューブ体14の先端から突出するように配置される。なお、上述したガイドワイヤ22は、例えば、ステントデリバリーシステム10を生体管腔内の病変部に導くために用いられる。そして、内側チューブ体12は、外側チューブ体14の内部において第1先端チューブ26の基端と第1基端チューブ30の先端とが連結部材28を介して連結されると共に、前記第1基端チューブ30は、その先端から基端まで貫通するルーメン31を有し、該ルーメン31にはコネクタ32を通じて生理食塩水等の液体が注入され、ステントデリバリーシステム10の内部をフラッシュすることができる。
【0024】
なお、第1先端チューブ26は可撓性の高い樹脂製材料で、第1基端チューブ30は強度が高い金属製材料で、それぞれ構成されているのが好ましい。
【0025】
また、第1基端チューブ30の基端側(コネクタ32より若干先端側)には、後述するリード線58をルーメン31から外側に出すための側孔33が形成されている。なお、リード線58と側孔33(図7参照)の隙間には絶縁性材料が埋め込まれているので、前記側孔33から生理食塩水等の液体が漏れることはない。
【0026】
第1先端チューブ26には、ステント16の軸方向への移動を規制するステント保持機構34が設けられる。
【0027】
このステント保持機構34は、図3に示されるように、内側チューブ体12の外周面に設けられ、外側チューブ体14の内部にステント16が収納された際に、該ステント16の基端側(矢印A方向)となる位置に設けられるステント係止部36と、該ステント係止部36に対して第1先端チューブ26の先端側(矢印B方向)に設けられ、後述するステント16の縮径部38が係合されるステント係合部40とを備える。ステント係止部36とステント係合部40とは、それぞれ環状に形成され、それぞれ外側チューブ体14側となる半径外方向に突出すると共に、第1先端チューブ26の軸方向(矢印A、B方向)に沿って互いに所定間隔離間して配置される。なお、ステント係合部40の高さは、ステント係止部36の高さに対して低く形成される。
【0028】
これにより、ステント16は、外側チューブ体14の内部に収納された状態で、その基端がステント係止部36に当接し、且つ、縮径部38が前記ステント係止部36とステント係合部40との間に保持されることによって第2先端チューブ46の先端から外部に露呈することがない位置で保持される。
【0029】
なお、第2先端チューブ46の先端からステント16が放出される際、その基端がステント係止部36に当接することにより、前記ステント16は所定位置に位置決めされた状態で拡張する。また、途中まで放出されたステント16が外側チューブ体14の内部へと再収納される際、その縮径部38がステント係合部40に当接することにより、前記ステント16は所定位置に位置決めされた状態で保持される。
【0030】
また、第1先端チューブ26の先端には、半径外方向に膨出し、外側チューブ体14の先端方向への移動を規制するストッパ部42が形成される。これにより、外側チューブ体14が内側チューブ体12の先端に対して軸方向(矢印B方向)に突出してしまうことが阻止される。
【0031】
一方、第1先端チューブ26の基端は、該第1先端チューブ26の半径外方向に向かって緩やかに湾曲しており、外側チューブ体14の後述するガイドワイヤ導出孔44と連通可能に設けられる。
【0032】
外側チューブ体14は、管状体からなり、内部に内側チューブ体12の第1先端チューブ26が配置される第2先端チューブ46と、該第2先端チューブ46の基端側(矢印A方向)に連結され内部に第1基端チューブ30が配置される第2基端チューブ48とを有する。
【0033】
なお、第2先端チューブ46の先端は、生体管腔内の病変部にステント16を留置する際の放出口として機能すると共に、途中まで放出された前記ステント16を回収する際の収納口としても機能する。
【0034】
また、第2先端チューブ46の基端には、第2先端チューブ46の内腔と外部とを連通する開口したガイドワイヤ導出孔44が形成され、内部に設けられた第1先端チューブ26のガイドワイヤルーメン24の開口と連通可能に設けられる。このガイドワイヤ導出孔44を通じて内側チューブ体12のガイドワイヤルーメン24にガイドワイヤ22を挿通させることが可能である。
【0035】
この第2先端チューブ46の先端部には、その外周面に造影マーカー50が設けられる。この造影マーカー50は、例えば、造影材料から環状に形成される。
【0036】
ステント16は、図3に示されるように、多数の開口を有したメッシュ状で、軸方向に沿って所定長さL1を有した略円筒形状に形成される。このステント16は、生体管腔内への挿入時には外側チューブ体14の第2先端チューブ46の内部において中心軸方向となる半径内方向に圧縮されて配置され、前記外側チューブ体14の先端から前記生体管腔内の病変部に放出されることにより、半径外方向に拡張して圧縮前の形状へと復元可能な自己拡張型ステントである。なお、ステント16を構成する材料としては、例えば、Ni−Ti合金等の超弾性合金が好適である。
【0037】
また、ステント16の先端及び基端には、例えば、造影材料から環状に形成された造影マーカー52a、52bが設けられると共に、前記基端には、半径内方向に縮径した縮径部38が形成される。
【0038】
さらに、ステント16は、例えば、図4A及び図4Bに示されるように、軸方向に沿った長さL1の約半分が外側チューブ体14の外部に放出されるまでは再収納可能であり、再収納可能な長さLc以上が前記外側チューブ体14の外部に放出されてしまうと外側チューブ体14への再収納が不可能となる。
【0039】
ステント放出状態確認機構20は、図4A及び図4Bに示されるように、内側チューブ体12の第1先端チューブ26に設けられる通電体(第2の導電体)54と、前記通電体54に臨む外側チューブ体14における第2先端チューブ46の内周面に設けられる一対の電極(第1の導電体)56a、56bと、前記電極56a、56bに対してリード線58を介して接続される電源(電池)60、電源スイッチ61及び表示灯(インジケータ)62とを含む。なお、電源60、電源スイッチ61及び表示灯62は、後述する操作部18に設けられている。
【0040】
この通電体54は、例えば、導電性を有する金属製材料からリング状に形成され、第1先端チューブ26の基端とステント保持機構34との間において、前記第1先端チューブ26の外周面に固定される。また、通電体54は、第1先端チューブ26の外周面より半径外方向に突出し、その外周径は、第2先端チューブ46の内周径と略同等に形成される。一方、通電体54は、軸方向に沿って所定幅を有し、ステント16の基端から所定距離L2だけ離間した位置に設けられる。
【0041】
電極56a、56bは、第2先端チューブ46の内周面に沿って設けられ、一方の電極56aと他方の電極56bとが内側チューブ体12を挟んで互いに対向するように配置され、且つ、前記内周面に露呈するように設けられる。また、電極56a、56bは、図5に示されるように、ガイドワイヤ導出孔44に対して略垂直となるように設けられている。そして、電極56a、56bは、内側チューブ体12の外周面に設けられた通電体54に接触可能に設けられ、リード線58を通じて電源60から電流が供給される。
【0042】
また、電極56a、56bの先端は、図4Aに示されるように、ステント16が外側チューブ体14に収納された収納時において、通電体54とステント16との間に配置され、該電極56a、56bの内周面に前記通電体54が接触した状態となる。なお、電極56a、56bの基端は、第2先端チューブ46の基端まで延在し、後述するリード線58にそれぞれ接続される。そして、電極56a、56bと通電体54とが接触することによって電源60から供給された電流が一方の電極56aから通電体54を介して他方の電極56bへと流れ、表示灯62が通電されて点灯した状態となる。
【0043】
リード線58は、ルーメン31内を通って、第1基端チューブ30の基端側まで延びている。そして、第1基端チューブ30の側孔33及び後述する第1収納溝80のリード線導出孔81を介して、内側チューブ体12及び前記第1収納溝80の外側に出ている。そして、電源60、電源スイッチ61及び表示灯62に接続されている。なお、各リード線58は絶縁性材料で被覆されており、互いに短絡することがない。
【0044】
一方、図4Bに示されるように、外側チューブ体14が後退してステント16が途中まで外部へと放出された際に、電極56a、56bの先端が、前記通電体54より基端側(矢印A方向)となる位置に配置され、前記電極56a、56bと前記通電体54とが非接触状態となる。これにより、表示灯62への通電が遮断されて消灯する。
【0045】
詳細には、外側チューブ体14が基端側(矢印A方向)へと移動し、例えば、ステント16が前記外側チューブ体14の外部へと放出される際、該ステント16の外側チューブ体14への再収納が可能な長さLcが外部に放出された状態で、電極56a、56bの先端が、通電体54より基端側(矢印A方向)に位置した非対向状態となるように配置される。すなわち、ステント16の外側チューブ体14への再収納が不可能となった状態で、電極56a、56bが通電体54と非接触となり、点灯状態にあった表示灯62が消灯する。
【0046】
換言すれば、電極56a、56bの先端は、ステント16の外側チューブ体14への収納時において、通電体54の基端からの距離L3が、ステント16の先端から外側チューブ体14の先端までの距離L4と、該ステント16の軸方向に沿った長さの半分Lcとを加えた長さ(L4+Lc)となる位置に配置される。
【0047】
なお、ステント16の再収納可能な長さLcは、該ステント16の材質、形状等によって変わるため、前記ステント16に応じて適宜設定し、該長さLcに基づいて電極56a、56bの先端と通電体54との相対的な位置を設定するようにすればよい。
【0048】
操作部18は、図1、図6〜図8に示されるように、ハウジング64と、該ハウジング64の内部に収納され外側チューブ体14に接続されるラック部材66と、前記ラック部材66に噛合される第1歯車98を有し該ラック部材66を直線変位させる回転ローラ68とを含む。
【0049】
ハウジング64は、その中央部が丸みを帯びた形状で形成され、厚さ方向の中央から2分割された第1ハウジング70及び第2ハウジング72から構成される。このハウジング64には、第1及び第2ハウジング70、72の内部において、略中央部に回転ローラ68を収納可能なローラ収納部74を有し、該回転ローラ68の一部が前記ローラ収納部74に形成されたローラ孔76を介して外部に露呈する。
【0050】
また、回転ローラ68は、第1及び第2ハウジング70、72の内壁面に形成された一対の軸受78によって回転自在に支持される。
【0051】
また、第2ハウジング72の内部には、ラック部材66が軸方向(矢印A、B方向)に移動可能に収納され保持される第1及び第2収納溝80、82がそれぞれ形成され、前記第1収納溝80が前記第2ハウジング72の基端側(矢印A方向)、前記第2収納溝82が前記第2ハウジング72の先端側(矢印B方向)に設けられる。この第1収納溝80と第2収納溝82との間にはローラ収納部74が配置される。また、第1収納溝80の基端側(コネクタ収納部84より若干先端側)には、リード線58を前記第1収納溝80の外側に出すためのリード線導出孔81が設けられている(図7及び図8参照)。
【0052】
そして、第1ハウジング70と第2ハウジング72とを組み合わせることにより、第1及び第2収納溝80、82によってラック部材66が先端及び基端側へと直線的に移動可能な状態で保持される。
【0053】
また、第1収納溝80の基端(矢印A方向)には、コネクタ32が収納されるコネクタ収納部84が形成され、前記コネクタ32が前記コネクタ収納部84に収納されることによってハウジング64に対して固定される。これにより、内側チューブ体12を構成する第1基端チューブ30の基端がコネクタ32を介して操作部18に固定される。
【0054】
なお、コネクタ収納部84は、ハウジング64の基端側(矢印A方向)に開口しており、前記ハウジング64の外部から液体注入具(図示せず)をコネクタ32に対して接続可能に形成される。
【0055】
一方、ハウジング64の先端には、外側チューブ体14の第2基端チューブ48を摺動可能に保持する先端ノズル86が装着され、該先端ノズル86の内部には、前記第2基端チューブ48が挿通される貫通孔(図示せず)が形成される。そして、先端ノズル86がハウジング64の先端に装着された状態で、キャップ88を前記先端に対して螺合することにより、前記先端ノズル86が固定される。すなわち、外側チューブ体14は、その内部に内側チューブ体12が挿通された状態で先端ノズル86を通じてハウジング64内に挿入され、ラック部材66と連結されている。
【0056】
ラック部材66は、直線状に形成され、且つ、略対称形状に形成された一組の第1及び第2ブロック体90、92からなり、外側チューブ体14における第2基端チューブ48の基端が、前記第1ブロック体90と前記第2ブロック体92との間に挟持されることによって固定される。
【0057】
そして、第1及び第2ブロック体90、92からなるラック部材66が、ハウジング64の内部において第1及び第2収納溝80、82に挿入されることによって該ハウジング64の先端及び基端側に向かって直線的に移動可能な状態で保持されることとなる。
【0058】
また、第1ブロック体90は、ハウジング64の内部において回転ローラ68に臨むように設けられ、該回転ローラ68に臨む側面には軸方向(矢印A、B方向)に沿って凹凸状に形成された複数の歯部94が設けられる。
【0059】
回転ローラ68の中心部には、互いに離間する方向に突出した一対の回転軸96が設けられ、第1及び第2ハウジング70、72の軸受78にそれぞれ挿入される。
【0060】
また、回転ローラ68の一側面には、回転軸96を中心として半径外方向に第1歯車98が設けられ、ラック部材66の歯部94に噛合される。そして、回転ローラ68が回転することによってラック部材66が第1及び第2収納溝80、82に沿って直線的に移動することとなる。また、回転ローラ68の外周部位は、その一部がハウジング64のローラ孔76を介して外部に露呈し、この露呈した部位を介して術者が前記回転ローラ68を回転させる。
【0061】
そして、上述した操作部18では、例えば、図8に示されるように、術者が回転ローラ68をハウジング64に対して所定方向(矢印C方向)に回転させることにより、前記ハウジング64の内部においてラック部材66が第1及び第2収納溝80、82に沿ってコネクタ32側(矢印A方向)へと移動し、それに伴って、外側チューブ体14がハウジング64の基端側へと移動(後進)する。これにより、ステント16が、外側チューブ体14の先端から放出される。
【0062】
一方、ステント16を途中まで放出した後に、回転ローラ68を前記とは反対方向(矢印D方向)に回転させることにより、前記ラック部材66が第1及び第2収納溝80、82に沿ってコネクタ32から離間する方向(矢印B方向)へと移動し、それに伴って、前記外側チューブ体14が内側チューブ体12の先端側に移動(前進)してステント16が前記外側チューブ体14の内部に再収納される。
【0063】
また、操作部18には、図8に示されるように、回転ローラ68の回転動作を規制することにより、ラック部材66の移動動作を規制可能なロック機構100が設けられる。
【0064】
このロック機構100は、第1ハウジング70の側面に開口した孔部にスライド変位自在に設けられたスライド部材102と、該スライド部材102に臨むように回転ローラ68の一側面に形成されたピン溝104とからなる。スライド部材102は、孔部を介して第1ハウジング70の先端及び基端側(矢印A、B方向)に直線変位自在に保持されている。そして、スライド部材102がハウジング64の基端側に位置した状態において、該第1ハウジング70の内部に突出したピン105が回転ローラ68のピン溝104に挿入されることにより、該回転ローラ68の回転動作が規制される。
【0065】
そのため、ラック部材66が軸方向に移動することがなく、それに伴って、外側チューブ体14の前進又は後進動作が規制される。
【0066】
また、スライド部材102をハウジング64の先端側に移動させることにより、ピン105がピン溝104から回転ローラ68の半径外方向に離脱し、該ピン105による回転ローラ68の回転規制状態が解除されるため、前記回転ローラ68の回転作用下にラック部材66が軸方向(矢印A、B方向)に移動可能な状態となる。
【0067】
さらに、操作部18には、回転ローラ68を間欠的に回転動作させるための間欠機構106が設けられている。この間欠機構106は、回転ローラ68において第1歯車98とは反対側の側面に設けられた第2歯車108と、第2ハウジング72に保持され該第2歯車108の歯部に係合されるノッチ部材110とを含む。ノッチ部材110は、例えば、弾性変形可能な薄板状に形成され、第2ハウジング72に保持された部位から第2歯車108の中心に向かって延在し、該第2歯車108の歯部に係合される。
【0068】
そして、回転ローラ68が回転する際、第2歯車108に係合されたノッチ部材110が弾性変形し、歯部の凹部から隣接する凸部を乗り越え再び凹部へと係合されるため、回転動作を間欠的に行うことができる。
【0069】
本発明の第1の実施の形態に係るステントデリバリーシステム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、生体管腔内(例えば、血管内)にガイドワイヤ22が挿入され、その先端が前記生体管腔内の病変部に予め留置されている状態とする。
【0070】
先ず、ステントデリバリーシステム10のフラッシュ作業を完了させた後、生体外に露呈しているガイドワイヤ22の基端を、内側チューブ体12の先端からガイドワイヤルーメン24へと挿通させ、前記ガイドワイヤ22に沿って前記内側チューブ体12及び外側チューブ体14を生体管腔内へと進行させていく。このガイドワイヤ22の基端は、内側チューブ体12の開口及び外側チューブ体14のガイドワイヤ導出孔44を通じて外側チューブ体14の外部へと導出される。
【0071】
そして、外側チューブ体14の先端が病変部に到達したことを造影マーカー50によって確認した後、操作部18のスライド部材102を先端側(矢印B方向)へと移動させ、ピン105を回転ローラ68のピン溝104から離脱させることにより、回転ローラ68の回転規制状態を解除させる。そして、前記回転ローラ68を所定方向(矢印C方向)へと回転させる。
【0072】
これにより、第1歯車98の回転に伴ってラック部材66がハウジング64内で基端側(矢印A方向)へと移動し、それに伴って、外側チューブ体14が前記操作部18の基端側へと徐々に移動する。その結果、図9に示されるように、外側チューブ体14に収容されたステント16が、先端部側から徐々に露出し始めるのと同時に半径外方向に拡張し始める。そして、ステント16が、外側チューブ体14に対して完全に露出した状態となることにより、円筒状に拡張した状態で病変部に留置される。
【0073】
最後に、ステントデリバリーシステム10を構成する内側チューブ体12及び外側チューブ体14を基端側(矢印A方向)へと引くことにより、ステント16のみが病変部に留置された状態で生体外へと抜去される。
【0074】
次に、ステント16の留置操作中、何らかの理由で前記ステント16の留置位置の変更が必要となった場合について図4A及び図4Bを参照しながら説明する。
【0075】
この場合、ステント16を外側チューブ体14の内部に再収納し、内側チューブ体12及び前記外側チューブ体14と共に前記ステント16を移動させる必要があるため、術者が該ステント16の外側チューブ体14への再収納が可能か否かをステント放出状態確認機構20の表示灯62で確認する。
【0076】
図4Aに示されるように、この表示灯62が点灯している場合には、ステント16が外側チューブ体14から全く放出されていないか、又は、放出された該ステント16の放出量(突出長さ)が再収納可能な範囲内(再収納可能な長さLc以下)にある状態となる。すなわち、電極56a、56bが通電体54と接触した状態にある。
【0077】
そのため、外側チューブ体14を基端側へと移動させている場合には、操作部18の回転ローラ68を前記とは反対方向(図8中、矢印D方向)に回転させ、ラック部材66を先端側(矢印A方向)へと移動させることにより、外側チューブ体14を前記内側チューブ体12の先端側に向かって移動させる。これにより、拡張しているステント16は基端側から、その外周面が外側チューブ体14の先端によって半径内方向に圧縮されながら徐々に覆われていく。
【0078】
なお、操作部18を全く操作しておらず、ステント16が外側チューブ体14の内部に完全に収納されている状態では、上述した前記操作部18の操作は不要である。
【0079】
そして、ステント16の縮径部38がステント係合部40に当接することにより、該ステント16が再び半径内方向に圧縮された状態で前記外側チューブ体14内に保持される。
【0080】
その後、ステント16が病変部における所望の位置となるように内側チューブ体12及び外側チューブ体14を移動させた後、再び回転ローラ68を所定方向に回転させ前記外側チューブ体14を後進させることによって前記ステント16が再び放出されて拡張し所望の病変部に留置される。
【0081】
一方、図4Bに示されるように、表示灯62が消灯している場合には、ステント16が既に外側チューブ体14から管腔内へと放出され、しかも、該ステント16の放出量(突出長さ)が再収納可能な長さLcを超えている状態にある。すなわち、電極56a、56bの先端が、通電体54に対して基端側(矢印A方向)に移動した非接触状態にある。
【0082】
そのため、術者は、外側チューブ体14に対するステント16の再収納を諦め、例えば、前記ステント16を生体管腔内へ留置した後、別のステントデリバリーシステムを用いて所望の病変部へとステントを留置する。
【0083】
以上のように、第1の実施の形態では、ステント16の放出状態を確認可能なステント放出状態確認機構20を設けることにより、前記ステント16の外側チューブ体14からの放出状態を、術者がステントデリバリーシステム10の外部から容易且つ確実に確認することができるため、前記ステント16を外側チューブ体14に再収納可能か否かの判断を迅速且つ確実に行うことができる。
【0084】
また、ステント放出状態確認機構20によって術者によるステント16の再収納可否の判断にばらつきが生じることが回避され、常に確実且つ安定した判断を下すことができる。
【0085】
さらに、ステント16の再収納が不可能な状態において、誤って再収納作業を行ってしまうことを回避できるため、該作業を行った際に懸念される生体管腔内の損傷を確実に防止することができる。
【0086】
なお、上述したステント放出状態確認機構20では、インジケータとして機能する表示灯62を点灯・消灯させることによって視覚的にステント16の再収納可否を確認可能な構成としているが、これに限定されるものではなく、例えば、前記表示灯62の代わりにスピーカ等の音声出力手段を設け、ステント16の再収納可否を音声によって確認可能な構成としてもよいし、また、前記表示灯62の代わりにヒータ等の加温手段を設け、術者がステント16の再収納可否を体感できるような構成としてもよい。また、上述した表示灯62、音声出力手段及び加温手段を同時に設けるようにしてもよく、この場合には、単一の確認手段を設けた場合と比較し、より一層確実にステント16の再収納可否を確認することが可能となる。
【0087】
また、上述したステント放出状態確認機構20では、電極56a、56bがリード線58に接続された構成としているが、これに限定されるものではなく、例えば、内側チューブ体12に設けられた第2の導電体がリード線58に接続されている構成としてもよい。この場合、外側チューブ体14の内周全面にリング状の導電体(第1の導電体)を設け、前記第2の導電体は、内側チューブ体12の外周上において2つに分割されていることが好ましい。そして、2つに分割された第2の導電体は、前記第1の導電体と非接触状態にある時、互いに絶縁されて表示灯62が消灯する。
【0088】
次に、第2の実施の形態に係るステントデリバリーシステム150を図10A及び図10Bに示す。なお、上述した第1の実施の形態に係るステントデリバリーシステム10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0089】
この第2の実施の形態に係るステントデリバリーシステム150では、ステント放出状態確認機構152を構成する電極(第1の導電体)154a、154bの先端に、通電体(第2の導電体)158に接触可能な接点部156a、156bを設けると共に、ステント16の外側チューブ体14への再収納が不可能な場合に表示灯62を点灯させる点で、第1の実施の形態に係るステントデリバリーシステム10と相違している。
【0090】
このステント放出状態確認機構152は、図10A及び図10Bに示されるように、一対の電極154a、154bが、外側チューブ体14を構成する第2先端チューブ46の内部に設けられ、該電極154a、154bの先端に設けられ半径内方向に突出した接点部156a、156bが、前記第2先端チューブ46の内周面へと露呈している。なお、電極154a、154bの基端には、第1の実施の形態に係るステントデリバリーシステム10のステント放出状態確認機構20と同様に、リード線58、電源(電池)60、電源スイッチ61及び表示灯62が電気的に接続されている。
【0091】
なお、電極154a、154bは、第2先端チューブ46の内周面に露呈することなく、接点部156a、156bのみが前記内周面に露呈している。
【0092】
接点部156a、156bは、図10Aに示されるように、ステント16が外側チューブ体14内に収納された収納時において、通電体158とステント16との間に配置され、前記通電体158と前記接点部156a、156bとが非接触な状態となり、表示灯62への通電が遮断されているため消灯した状態となっている。
【0093】
一方、図10Bに示されるように、接点部156a、156bは、外側チューブ体14が後退し、ステント16が該外側チューブ体14の先端から再収納可能な長さLc以上放出された際、通電体158と接触可能な位置に設けられ、接点部156a、156bと通電体158とが接触することによって電源60から供給された電流が一方の電極154aから通電体158を介して他方の電極154bへと流れ、表示灯62が通電されて点灯した状態となる。
【0094】
換言すれば、接点部156a、156b及び電極154a、154bの先端は、ステント16の外側チューブ体14への収納時において、通電体158の先端からの距離L5が、ステント16の先端から外側チューブ体14の先端までの距離L4と、該ステント16の軸方向に沿った長さの半分Lcとを加えた長さ(L4+Lc)となる位置に配置される。
【0095】
以上のように、第2の実施の形態では、ステント16の放出状態を確認可能なステント放出状態確認機構152を設けることにより、前記ステント16の外側チューブ体14からの放出状態を、術者がステントデリバリーシステム150の外部から容易且つ確実に確認することができるため、前記ステント16を外側チューブ体14に再収納可能か否かの判断を迅速且つ確実に行うことができる。しかも、ステント16が外側チューブ体14に収納されている状態で表示灯62を消灯させ、該ステント16の外側チューブ体14への再収納が不可能な場合にのみ該表示灯62を点灯させているため、ステント放出状態確認機構152の消費電力を低減することができる。
【0096】
次に、第3の実施の形態に係るステントデリバリーシステム200を図11A及び図11Bに示す。なお、上述した第1及び第2の実施の形態に係るステントデリバリーシステム10、150と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0097】
この第3の実施の形態に係るステントデリバリーシステム200では、上述した通電体を設けることなく、ステント16を該通電体として用いたステント放出状態確認機構202を備える点で、第1及び第2の実施の形態に係るステントデリバリーシステム10、150と相違している。
【0098】
このステント放出状態確認機構202は、図11A及び図11Bに示されるように、外側チューブ体14を構成する第2先端チューブ46の内周面に沿って設けられた一対の電極(第1の導電体)204a、204bと、通電体(第2の導電体)として機能するステント16とを含み、図11Aに示されるように、前記ステント16が前記外側チューブ体14の内部に収納された状態において、前記電極204a、204bの先端が前記ステント16の外周面に臨む位置となり、一方、図11Bに示されるように、電極204a、204bは、前記ステント16が前記外側チューブ体14に対して再収納可能な長さLc以上で放出された際に、該ステント16に対して非対向する位置となるように配置される。
【0099】
換言すれば、電極204a、204bの先端は、ステント16の外側チューブ体14への収納時において、ステント16の基端からの距離L6が、ステント16の先端から外側チューブ体14の先端までの距離L4と、該ステント16の軸方向に沿った長さの半分Lcとを加えた長さ(L4+Lc)となる位置に配置される。
【0100】
また、表示灯62は、図11Aに示されるステント16の収納状態、又は、該ステント16の再収納可能な状態において、電極204a、204b及びステント16を通じて通電するため点灯状態となり、一方、図11Bに示されるステント16の再収納不可な状態では、電極204a、204bとステント16とが非接触となるため通電が遮断されて消灯状態となる。
【0101】
以上のように、第3の実施の形態では、導電性を有した金属製材料からステント16を形成することにより、該ステント16を上述した第1及び第2の実施の形態におけるステントデリバリーシステム10、150における通電体54、158の代わりとして用いることが可能となるため、該ステント16とは別個に通電体を設ける場合と比較し、その部品点数及びコストを削減することが可能となる。また、ステントデリバリーシステム200の軽量化を図ることもできる。
【0102】
なお、本発明に係るステントデリバリーシステムは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0103】
10、150、200…ステントデリバリーシステム
12…内側チューブ体 14…外側チューブ体
16…ステント 18…操作部
20、152、202…ステント放出状態確認機構
26…第1先端チューブ 30…第1基端チューブ
34…ステント保持機構 46…第2先端チューブ
48…第2基端チューブ 54、158…通電体
56a、56b、154a、154b、204a、204b…電極
58…リード線 60…電源
62…表示灯 64…ハウジング
66…ラック部材 68…回転ローラ
100…ロック機構 106…間欠機構
156a、156b…接点部
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管等の生体管腔内にステントを送達、留置するためのステントデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、血管、胆管、気管、食道、尿道等の生体管腔内に生じた狭窄部や閉塞部の改善のため、金属線材等によって多数の側壁開口を有する円筒形状に形成され、生体管腔内で拡張可能なステントが用いられることがある。
【0003】
例えば、自己拡張機能を備えたステント(自己拡張型ステント)は、内管の周囲に外管を配置したデリバリー用のカテーテルの先端部において、内管と外管の間の間隙にステントを圧縮・収納した状態で生体管腔内へと送達され、外管が基端側に後退されることで放出されて拡張し、所望の管腔内に留置することができる。
【0004】
上述したステントの留置操作中において、何らかの理由で前記ステントの留置位置の変更が必要となる場合があるが、この場合、術者が前記ステントの拡張状態(放出状態)を確認して、前記ステントを外管に再収納することが可能か否かを知る必要がある。
【0005】
そこで、外管の先端部に放射線不透過性材料からなるマーカーを設けると共に、ステントの基端部における内管に放射線不透過性材料からなるストッパを設け、放射線画像において、術者が前記マーカーと前記ストッパの位置関係を見ることにより、前記ステントの放出状態を確認し、前記ステントの外管への再収納が可能か否かを判断するステントデリバリーシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−313893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術に係るステントデリバリーシステムでは、ステントの放出状態を放射線画像でしか確認することができないため、確認作業が難しく、また、確認を行う術者の経験等に起因して画像に基づく放出状態の判断にばらつきが生じることが懸念される。
【0008】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、自己拡張型ステントの放出状態を確実且つ容易に確認することが可能なステントデリバリーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、内管と、生体管腔内挿入時には中心軸方向に圧縮されて前記内管の先端側外面に配置され、生体管腔内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステントと、前記内管の外面側に配置されることで前記ステントを内腔に収納可能であると共に、前記内管に対して基端方向に移動することにより、前記内腔に収納された前記ステントを放出可能な外管とを備えるステントデリバリーシステムであって、
前記内管に対する前記外管の移動距離に基づき、前記ステントの該外管からの放出状態を確認可能な確認手段を備え、
前記確認手段は、前記外管に設けられた第1の導電体と、
前記外管の移動によって前記第1の導電体に対する接触状態を切換自在な第2の導電体と、
前記第1の導電体もしくは第2の導電体に接続され該第1の導電体と第2の導電体の通電状態に基づいて前記外管から途中まで放出された前記ステントが前記外管に再収納可能か否かを確認可能なインジケータと、
を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、生体管腔内にステントを留置するためのステントデリバリーシステムにおいて、外管に設けられた第1の導電体と、前記外管の移動によって前記第1の導電体に対する接触状態を切り換えることが可能な第2の導電体と、前記第1の導電体もしくは第2の導電体に接続され該第1の導電体と第2の導電体の通電状態に基づいて前記外管から放出された前記ステントが前記外管に再収納可能か否かを確認可能なインジケータとを有した、前記ステントの前記外管からの放出状態を確認可能な確認手段が設けられる。従って、外管を内管に対して移動させステントを生体管腔内へと留置する際、前記内管に対する前記外管の移動距離に基づいて第1の導電体と第2の導電体の接触状態が切り換わって通電状態が変化し、前記第1の導電体もしくは第2の導電体からインジケータへと出力された出力結果に基づいて術者が前記外管からのステントの放出状態を確認することが可能となる。
【0011】
従って、外管から生体管腔内へとステントが放出される途中、何らかの理由で前記ステントの留置位置の変更が必要となった場合に、前記ステントを前記外管へと再収納可能か否かをインジケータで確実且つ容易に確認し、迅速に判断することができる。
【0012】
また、第2の導電体を、内管に設けるとよい。また、前記第2の導電体を、ステントとするとよい。
【0013】
さらにまた、インジケータを、通電時に発光する表示灯とするとよい。
【0014】
またさらに、ステントを、Ni−Ti合金から形成するとよい。
【0015】
また、内管に対して外管を軸方向に移動させるための操作部をさらに設け、前記操作部にインジケータを設けるとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0017】
すなわち、外管に設けられた第1の導電体と、前記外管の移動によって前記第1の導電体に対する接触状態を切り換えることが可能な第2の導電体と、前記第1の導電体もしくは第2の導電体に接続され該第1の導電体と第2の導電体の通電状態に基づいて前記外管から放出された前記ステントが前記外管に再収納可能か否かを確認可能なインジケータとを有した前記ステントの前記外管からの放出状態を確認可能な確認手段を設けることにより、外管を内管に対して移動させステントを生体管腔内へと留置する際、前記内管に対する前記外管の移動距離に基づいて通電状態が変化し、第1の導電体もしくは第2の導電体からインジケータへと出力された出力結果に基づいて前記外管からのステントの放出状態を確認することができる。その結果、外管から生体管腔内へとステントが放出される途中、何らかの理由で前記ステントの留置位置の変更が必要となった場合に、前記ステントを前記外管に再び収納可能か否かをインジケータで確実且つ容易に確認して迅速に判断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るステントデリバリーシステムの全体構成図である。
【図2】図1のステントデリバリーシステムにおける内側チューブ体及び外側チューブ体を示す一部省略断面図である。
【図3】図2の内側チューブ体及び外側チューブ体の先端近傍を示す拡大断面図である。
【図4】図4Aは、図2のステントデリバリーシステムにおいて内側チューブ体及び外側チューブ体の先端近傍を示す一部省略断面図であり、図4Bは、図4Aに対して外側チューブ体が基端側に移動してステントが途中まで放出された状態を示す拡大断面図である。
【図5】図2のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図1に示すステントデリバリーシステムを構成する操作部の外観斜視図である。
【図7】図6に示す操作部の分解斜視図である。
【図8】図6及び図7に示す操作部の内部側面図である。
【図9】外側チューブ体の先端からステントが途中まで放出された状態、又は、途中まで放出されたステントを前記外側チューブ体の内部に収容する場合を示す拡大断面図である。
【図10】図10Aは、本発明の第2の実施の形態に係るステントデリバリーシステムにおける内側チューブ体及び外側チューブ体の先端近傍を示す一部省略断面図であり、図10Bは、図10Aに対して外側チューブ体が基端側に移動してステントが途中まで放出された状態を示す拡大断面図である。
【図11】図11Aは、本発明の第3の実施の形態に係るステントデリバリーシステムにおける内側チューブ体及び外側チューブ体の先端近傍を示す一部省略断面図であり、図11Bは、図11Aに対して外側チューブ体が基端側に移動してステントが途中まで放出された状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るステントデリバリーシステムについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0020】
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係るステントデリバリーシステムを示す。
【0021】
このステントデリバリーシステム10は、図1に示されるように、管状に形成された内側チューブ体(内管)12と、該内側チューブ体12の外周側に設けられる外側チューブ体(外管)14と、前記内側チューブ体12と外側チューブ体14との間に収納された拡張可能なステント16と、前記外側チューブ体14を前記内側チューブ体12に対して移動させるための操作部18と、前記外側チューブ体14の先端に対するステント16の放出状態を確認可能なステント放出状態確認機構20とを含む。
【0022】
なお、図1において、内側チューブ体12及び外側チューブ体14の左側を「基端(後端)」側(矢印A方向)、前記内側チューブ体12及び外側チューブ体14の右側を「先端」側(矢印B方向)と呼び、他の各図についても同様とする。
【0023】
内側チューブ体12は、図1〜図3に示されるように、ガイドワイヤ22(図2参照)を挿通するためのガイドワイヤルーメン24が形成された第1先端チューブ26と、前記第1先端チューブ26の基端側(矢印A方向)に連結部材28を介して連結された第1基端チューブ30と、前記第1基端チューブ30の基端に接続されたコネクタ32とを有する。この内側チューブ体12は、管状体からなり、第1先端チューブ26及び第1基端チューブ30の先端及び基端がそれぞれ開口すると共に、前記第1先端チューブ26の先端が、外側チューブ体14の先端から突出するように配置される。なお、上述したガイドワイヤ22は、例えば、ステントデリバリーシステム10を生体管腔内の病変部に導くために用いられる。そして、内側チューブ体12は、外側チューブ体14の内部において第1先端チューブ26の基端と第1基端チューブ30の先端とが連結部材28を介して連結されると共に、前記第1基端チューブ30は、その先端から基端まで貫通するルーメン31を有し、該ルーメン31にはコネクタ32を通じて生理食塩水等の液体が注入され、ステントデリバリーシステム10の内部をフラッシュすることができる。
【0024】
なお、第1先端チューブ26は可撓性の高い樹脂製材料で、第1基端チューブ30は強度が高い金属製材料で、それぞれ構成されているのが好ましい。
【0025】
また、第1基端チューブ30の基端側(コネクタ32より若干先端側)には、後述するリード線58をルーメン31から外側に出すための側孔33が形成されている。なお、リード線58と側孔33(図7参照)の隙間には絶縁性材料が埋め込まれているので、前記側孔33から生理食塩水等の液体が漏れることはない。
【0026】
第1先端チューブ26には、ステント16の軸方向への移動を規制するステント保持機構34が設けられる。
【0027】
このステント保持機構34は、図3に示されるように、内側チューブ体12の外周面に設けられ、外側チューブ体14の内部にステント16が収納された際に、該ステント16の基端側(矢印A方向)となる位置に設けられるステント係止部36と、該ステント係止部36に対して第1先端チューブ26の先端側(矢印B方向)に設けられ、後述するステント16の縮径部38が係合されるステント係合部40とを備える。ステント係止部36とステント係合部40とは、それぞれ環状に形成され、それぞれ外側チューブ体14側となる半径外方向に突出すると共に、第1先端チューブ26の軸方向(矢印A、B方向)に沿って互いに所定間隔離間して配置される。なお、ステント係合部40の高さは、ステント係止部36の高さに対して低く形成される。
【0028】
これにより、ステント16は、外側チューブ体14の内部に収納された状態で、その基端がステント係止部36に当接し、且つ、縮径部38が前記ステント係止部36とステント係合部40との間に保持されることによって第2先端チューブ46の先端から外部に露呈することがない位置で保持される。
【0029】
なお、第2先端チューブ46の先端からステント16が放出される際、その基端がステント係止部36に当接することにより、前記ステント16は所定位置に位置決めされた状態で拡張する。また、途中まで放出されたステント16が外側チューブ体14の内部へと再収納される際、その縮径部38がステント係合部40に当接することにより、前記ステント16は所定位置に位置決めされた状態で保持される。
【0030】
また、第1先端チューブ26の先端には、半径外方向に膨出し、外側チューブ体14の先端方向への移動を規制するストッパ部42が形成される。これにより、外側チューブ体14が内側チューブ体12の先端に対して軸方向(矢印B方向)に突出してしまうことが阻止される。
【0031】
一方、第1先端チューブ26の基端は、該第1先端チューブ26の半径外方向に向かって緩やかに湾曲しており、外側チューブ体14の後述するガイドワイヤ導出孔44と連通可能に設けられる。
【0032】
外側チューブ体14は、管状体からなり、内部に内側チューブ体12の第1先端チューブ26が配置される第2先端チューブ46と、該第2先端チューブ46の基端側(矢印A方向)に連結され内部に第1基端チューブ30が配置される第2基端チューブ48とを有する。
【0033】
なお、第2先端チューブ46の先端は、生体管腔内の病変部にステント16を留置する際の放出口として機能すると共に、途中まで放出された前記ステント16を回収する際の収納口としても機能する。
【0034】
また、第2先端チューブ46の基端には、第2先端チューブ46の内腔と外部とを連通する開口したガイドワイヤ導出孔44が形成され、内部に設けられた第1先端チューブ26のガイドワイヤルーメン24の開口と連通可能に設けられる。このガイドワイヤ導出孔44を通じて内側チューブ体12のガイドワイヤルーメン24にガイドワイヤ22を挿通させることが可能である。
【0035】
この第2先端チューブ46の先端部には、その外周面に造影マーカー50が設けられる。この造影マーカー50は、例えば、造影材料から環状に形成される。
【0036】
ステント16は、図3に示されるように、多数の開口を有したメッシュ状で、軸方向に沿って所定長さL1を有した略円筒形状に形成される。このステント16は、生体管腔内への挿入時には外側チューブ体14の第2先端チューブ46の内部において中心軸方向となる半径内方向に圧縮されて配置され、前記外側チューブ体14の先端から前記生体管腔内の病変部に放出されることにより、半径外方向に拡張して圧縮前の形状へと復元可能な自己拡張型ステントである。なお、ステント16を構成する材料としては、例えば、Ni−Ti合金等の超弾性合金が好適である。
【0037】
また、ステント16の先端及び基端には、例えば、造影材料から環状に形成された造影マーカー52a、52bが設けられると共に、前記基端には、半径内方向に縮径した縮径部38が形成される。
【0038】
さらに、ステント16は、例えば、図4A及び図4Bに示されるように、軸方向に沿った長さL1の約半分が外側チューブ体14の外部に放出されるまでは再収納可能であり、再収納可能な長さLc以上が前記外側チューブ体14の外部に放出されてしまうと外側チューブ体14への再収納が不可能となる。
【0039】
ステント放出状態確認機構20は、図4A及び図4Bに示されるように、内側チューブ体12の第1先端チューブ26に設けられる通電体(第2の導電体)54と、前記通電体54に臨む外側チューブ体14における第2先端チューブ46の内周面に設けられる一対の電極(第1の導電体)56a、56bと、前記電極56a、56bに対してリード線58を介して接続される電源(電池)60、電源スイッチ61及び表示灯(インジケータ)62とを含む。なお、電源60、電源スイッチ61及び表示灯62は、後述する操作部18に設けられている。
【0040】
この通電体54は、例えば、導電性を有する金属製材料からリング状に形成され、第1先端チューブ26の基端とステント保持機構34との間において、前記第1先端チューブ26の外周面に固定される。また、通電体54は、第1先端チューブ26の外周面より半径外方向に突出し、その外周径は、第2先端チューブ46の内周径と略同等に形成される。一方、通電体54は、軸方向に沿って所定幅を有し、ステント16の基端から所定距離L2だけ離間した位置に設けられる。
【0041】
電極56a、56bは、第2先端チューブ46の内周面に沿って設けられ、一方の電極56aと他方の電極56bとが内側チューブ体12を挟んで互いに対向するように配置され、且つ、前記内周面に露呈するように設けられる。また、電極56a、56bは、図5に示されるように、ガイドワイヤ導出孔44に対して略垂直となるように設けられている。そして、電極56a、56bは、内側チューブ体12の外周面に設けられた通電体54に接触可能に設けられ、リード線58を通じて電源60から電流が供給される。
【0042】
また、電極56a、56bの先端は、図4Aに示されるように、ステント16が外側チューブ体14に収納された収納時において、通電体54とステント16との間に配置され、該電極56a、56bの内周面に前記通電体54が接触した状態となる。なお、電極56a、56bの基端は、第2先端チューブ46の基端まで延在し、後述するリード線58にそれぞれ接続される。そして、電極56a、56bと通電体54とが接触することによって電源60から供給された電流が一方の電極56aから通電体54を介して他方の電極56bへと流れ、表示灯62が通電されて点灯した状態となる。
【0043】
リード線58は、ルーメン31内を通って、第1基端チューブ30の基端側まで延びている。そして、第1基端チューブ30の側孔33及び後述する第1収納溝80のリード線導出孔81を介して、内側チューブ体12及び前記第1収納溝80の外側に出ている。そして、電源60、電源スイッチ61及び表示灯62に接続されている。なお、各リード線58は絶縁性材料で被覆されており、互いに短絡することがない。
【0044】
一方、図4Bに示されるように、外側チューブ体14が後退してステント16が途中まで外部へと放出された際に、電極56a、56bの先端が、前記通電体54より基端側(矢印A方向)となる位置に配置され、前記電極56a、56bと前記通電体54とが非接触状態となる。これにより、表示灯62への通電が遮断されて消灯する。
【0045】
詳細には、外側チューブ体14が基端側(矢印A方向)へと移動し、例えば、ステント16が前記外側チューブ体14の外部へと放出される際、該ステント16の外側チューブ体14への再収納が可能な長さLcが外部に放出された状態で、電極56a、56bの先端が、通電体54より基端側(矢印A方向)に位置した非対向状態となるように配置される。すなわち、ステント16の外側チューブ体14への再収納が不可能となった状態で、電極56a、56bが通電体54と非接触となり、点灯状態にあった表示灯62が消灯する。
【0046】
換言すれば、電極56a、56bの先端は、ステント16の外側チューブ体14への収納時において、通電体54の基端からの距離L3が、ステント16の先端から外側チューブ体14の先端までの距離L4と、該ステント16の軸方向に沿った長さの半分Lcとを加えた長さ(L4+Lc)となる位置に配置される。
【0047】
なお、ステント16の再収納可能な長さLcは、該ステント16の材質、形状等によって変わるため、前記ステント16に応じて適宜設定し、該長さLcに基づいて電極56a、56bの先端と通電体54との相対的な位置を設定するようにすればよい。
【0048】
操作部18は、図1、図6〜図8に示されるように、ハウジング64と、該ハウジング64の内部に収納され外側チューブ体14に接続されるラック部材66と、前記ラック部材66に噛合される第1歯車98を有し該ラック部材66を直線変位させる回転ローラ68とを含む。
【0049】
ハウジング64は、その中央部が丸みを帯びた形状で形成され、厚さ方向の中央から2分割された第1ハウジング70及び第2ハウジング72から構成される。このハウジング64には、第1及び第2ハウジング70、72の内部において、略中央部に回転ローラ68を収納可能なローラ収納部74を有し、該回転ローラ68の一部が前記ローラ収納部74に形成されたローラ孔76を介して外部に露呈する。
【0050】
また、回転ローラ68は、第1及び第2ハウジング70、72の内壁面に形成された一対の軸受78によって回転自在に支持される。
【0051】
また、第2ハウジング72の内部には、ラック部材66が軸方向(矢印A、B方向)に移動可能に収納され保持される第1及び第2収納溝80、82がそれぞれ形成され、前記第1収納溝80が前記第2ハウジング72の基端側(矢印A方向)、前記第2収納溝82が前記第2ハウジング72の先端側(矢印B方向)に設けられる。この第1収納溝80と第2収納溝82との間にはローラ収納部74が配置される。また、第1収納溝80の基端側(コネクタ収納部84より若干先端側)には、リード線58を前記第1収納溝80の外側に出すためのリード線導出孔81が設けられている(図7及び図8参照)。
【0052】
そして、第1ハウジング70と第2ハウジング72とを組み合わせることにより、第1及び第2収納溝80、82によってラック部材66が先端及び基端側へと直線的に移動可能な状態で保持される。
【0053】
また、第1収納溝80の基端(矢印A方向)には、コネクタ32が収納されるコネクタ収納部84が形成され、前記コネクタ32が前記コネクタ収納部84に収納されることによってハウジング64に対して固定される。これにより、内側チューブ体12を構成する第1基端チューブ30の基端がコネクタ32を介して操作部18に固定される。
【0054】
なお、コネクタ収納部84は、ハウジング64の基端側(矢印A方向)に開口しており、前記ハウジング64の外部から液体注入具(図示せず)をコネクタ32に対して接続可能に形成される。
【0055】
一方、ハウジング64の先端には、外側チューブ体14の第2基端チューブ48を摺動可能に保持する先端ノズル86が装着され、該先端ノズル86の内部には、前記第2基端チューブ48が挿通される貫通孔(図示せず)が形成される。そして、先端ノズル86がハウジング64の先端に装着された状態で、キャップ88を前記先端に対して螺合することにより、前記先端ノズル86が固定される。すなわち、外側チューブ体14は、その内部に内側チューブ体12が挿通された状態で先端ノズル86を通じてハウジング64内に挿入され、ラック部材66と連結されている。
【0056】
ラック部材66は、直線状に形成され、且つ、略対称形状に形成された一組の第1及び第2ブロック体90、92からなり、外側チューブ体14における第2基端チューブ48の基端が、前記第1ブロック体90と前記第2ブロック体92との間に挟持されることによって固定される。
【0057】
そして、第1及び第2ブロック体90、92からなるラック部材66が、ハウジング64の内部において第1及び第2収納溝80、82に挿入されることによって該ハウジング64の先端及び基端側に向かって直線的に移動可能な状態で保持されることとなる。
【0058】
また、第1ブロック体90は、ハウジング64の内部において回転ローラ68に臨むように設けられ、該回転ローラ68に臨む側面には軸方向(矢印A、B方向)に沿って凹凸状に形成された複数の歯部94が設けられる。
【0059】
回転ローラ68の中心部には、互いに離間する方向に突出した一対の回転軸96が設けられ、第1及び第2ハウジング70、72の軸受78にそれぞれ挿入される。
【0060】
また、回転ローラ68の一側面には、回転軸96を中心として半径外方向に第1歯車98が設けられ、ラック部材66の歯部94に噛合される。そして、回転ローラ68が回転することによってラック部材66が第1及び第2収納溝80、82に沿って直線的に移動することとなる。また、回転ローラ68の外周部位は、その一部がハウジング64のローラ孔76を介して外部に露呈し、この露呈した部位を介して術者が前記回転ローラ68を回転させる。
【0061】
そして、上述した操作部18では、例えば、図8に示されるように、術者が回転ローラ68をハウジング64に対して所定方向(矢印C方向)に回転させることにより、前記ハウジング64の内部においてラック部材66が第1及び第2収納溝80、82に沿ってコネクタ32側(矢印A方向)へと移動し、それに伴って、外側チューブ体14がハウジング64の基端側へと移動(後進)する。これにより、ステント16が、外側チューブ体14の先端から放出される。
【0062】
一方、ステント16を途中まで放出した後に、回転ローラ68を前記とは反対方向(矢印D方向)に回転させることにより、前記ラック部材66が第1及び第2収納溝80、82に沿ってコネクタ32から離間する方向(矢印B方向)へと移動し、それに伴って、前記外側チューブ体14が内側チューブ体12の先端側に移動(前進)してステント16が前記外側チューブ体14の内部に再収納される。
【0063】
また、操作部18には、図8に示されるように、回転ローラ68の回転動作を規制することにより、ラック部材66の移動動作を規制可能なロック機構100が設けられる。
【0064】
このロック機構100は、第1ハウジング70の側面に開口した孔部にスライド変位自在に設けられたスライド部材102と、該スライド部材102に臨むように回転ローラ68の一側面に形成されたピン溝104とからなる。スライド部材102は、孔部を介して第1ハウジング70の先端及び基端側(矢印A、B方向)に直線変位自在に保持されている。そして、スライド部材102がハウジング64の基端側に位置した状態において、該第1ハウジング70の内部に突出したピン105が回転ローラ68のピン溝104に挿入されることにより、該回転ローラ68の回転動作が規制される。
【0065】
そのため、ラック部材66が軸方向に移動することがなく、それに伴って、外側チューブ体14の前進又は後進動作が規制される。
【0066】
また、スライド部材102をハウジング64の先端側に移動させることにより、ピン105がピン溝104から回転ローラ68の半径外方向に離脱し、該ピン105による回転ローラ68の回転規制状態が解除されるため、前記回転ローラ68の回転作用下にラック部材66が軸方向(矢印A、B方向)に移動可能な状態となる。
【0067】
さらに、操作部18には、回転ローラ68を間欠的に回転動作させるための間欠機構106が設けられている。この間欠機構106は、回転ローラ68において第1歯車98とは反対側の側面に設けられた第2歯車108と、第2ハウジング72に保持され該第2歯車108の歯部に係合されるノッチ部材110とを含む。ノッチ部材110は、例えば、弾性変形可能な薄板状に形成され、第2ハウジング72に保持された部位から第2歯車108の中心に向かって延在し、該第2歯車108の歯部に係合される。
【0068】
そして、回転ローラ68が回転する際、第2歯車108に係合されたノッチ部材110が弾性変形し、歯部の凹部から隣接する凸部を乗り越え再び凹部へと係合されるため、回転動作を間欠的に行うことができる。
【0069】
本発明の第1の実施の形態に係るステントデリバリーシステム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、生体管腔内(例えば、血管内)にガイドワイヤ22が挿入され、その先端が前記生体管腔内の病変部に予め留置されている状態とする。
【0070】
先ず、ステントデリバリーシステム10のフラッシュ作業を完了させた後、生体外に露呈しているガイドワイヤ22の基端を、内側チューブ体12の先端からガイドワイヤルーメン24へと挿通させ、前記ガイドワイヤ22に沿って前記内側チューブ体12及び外側チューブ体14を生体管腔内へと進行させていく。このガイドワイヤ22の基端は、内側チューブ体12の開口及び外側チューブ体14のガイドワイヤ導出孔44を通じて外側チューブ体14の外部へと導出される。
【0071】
そして、外側チューブ体14の先端が病変部に到達したことを造影マーカー50によって確認した後、操作部18のスライド部材102を先端側(矢印B方向)へと移動させ、ピン105を回転ローラ68のピン溝104から離脱させることにより、回転ローラ68の回転規制状態を解除させる。そして、前記回転ローラ68を所定方向(矢印C方向)へと回転させる。
【0072】
これにより、第1歯車98の回転に伴ってラック部材66がハウジング64内で基端側(矢印A方向)へと移動し、それに伴って、外側チューブ体14が前記操作部18の基端側へと徐々に移動する。その結果、図9に示されるように、外側チューブ体14に収容されたステント16が、先端部側から徐々に露出し始めるのと同時に半径外方向に拡張し始める。そして、ステント16が、外側チューブ体14に対して完全に露出した状態となることにより、円筒状に拡張した状態で病変部に留置される。
【0073】
最後に、ステントデリバリーシステム10を構成する内側チューブ体12及び外側チューブ体14を基端側(矢印A方向)へと引くことにより、ステント16のみが病変部に留置された状態で生体外へと抜去される。
【0074】
次に、ステント16の留置操作中、何らかの理由で前記ステント16の留置位置の変更が必要となった場合について図4A及び図4Bを参照しながら説明する。
【0075】
この場合、ステント16を外側チューブ体14の内部に再収納し、内側チューブ体12及び前記外側チューブ体14と共に前記ステント16を移動させる必要があるため、術者が該ステント16の外側チューブ体14への再収納が可能か否かをステント放出状態確認機構20の表示灯62で確認する。
【0076】
図4Aに示されるように、この表示灯62が点灯している場合には、ステント16が外側チューブ体14から全く放出されていないか、又は、放出された該ステント16の放出量(突出長さ)が再収納可能な範囲内(再収納可能な長さLc以下)にある状態となる。すなわち、電極56a、56bが通電体54と接触した状態にある。
【0077】
そのため、外側チューブ体14を基端側へと移動させている場合には、操作部18の回転ローラ68を前記とは反対方向(図8中、矢印D方向)に回転させ、ラック部材66を先端側(矢印A方向)へと移動させることにより、外側チューブ体14を前記内側チューブ体12の先端側に向かって移動させる。これにより、拡張しているステント16は基端側から、その外周面が外側チューブ体14の先端によって半径内方向に圧縮されながら徐々に覆われていく。
【0078】
なお、操作部18を全く操作しておらず、ステント16が外側チューブ体14の内部に完全に収納されている状態では、上述した前記操作部18の操作は不要である。
【0079】
そして、ステント16の縮径部38がステント係合部40に当接することにより、該ステント16が再び半径内方向に圧縮された状態で前記外側チューブ体14内に保持される。
【0080】
その後、ステント16が病変部における所望の位置となるように内側チューブ体12及び外側チューブ体14を移動させた後、再び回転ローラ68を所定方向に回転させ前記外側チューブ体14を後進させることによって前記ステント16が再び放出されて拡張し所望の病変部に留置される。
【0081】
一方、図4Bに示されるように、表示灯62が消灯している場合には、ステント16が既に外側チューブ体14から管腔内へと放出され、しかも、該ステント16の放出量(突出長さ)が再収納可能な長さLcを超えている状態にある。すなわち、電極56a、56bの先端が、通電体54に対して基端側(矢印A方向)に移動した非接触状態にある。
【0082】
そのため、術者は、外側チューブ体14に対するステント16の再収納を諦め、例えば、前記ステント16を生体管腔内へ留置した後、別のステントデリバリーシステムを用いて所望の病変部へとステントを留置する。
【0083】
以上のように、第1の実施の形態では、ステント16の放出状態を確認可能なステント放出状態確認機構20を設けることにより、前記ステント16の外側チューブ体14からの放出状態を、術者がステントデリバリーシステム10の外部から容易且つ確実に確認することができるため、前記ステント16を外側チューブ体14に再収納可能か否かの判断を迅速且つ確実に行うことができる。
【0084】
また、ステント放出状態確認機構20によって術者によるステント16の再収納可否の判断にばらつきが生じることが回避され、常に確実且つ安定した判断を下すことができる。
【0085】
さらに、ステント16の再収納が不可能な状態において、誤って再収納作業を行ってしまうことを回避できるため、該作業を行った際に懸念される生体管腔内の損傷を確実に防止することができる。
【0086】
なお、上述したステント放出状態確認機構20では、インジケータとして機能する表示灯62を点灯・消灯させることによって視覚的にステント16の再収納可否を確認可能な構成としているが、これに限定されるものではなく、例えば、前記表示灯62の代わりにスピーカ等の音声出力手段を設け、ステント16の再収納可否を音声によって確認可能な構成としてもよいし、また、前記表示灯62の代わりにヒータ等の加温手段を設け、術者がステント16の再収納可否を体感できるような構成としてもよい。また、上述した表示灯62、音声出力手段及び加温手段を同時に設けるようにしてもよく、この場合には、単一の確認手段を設けた場合と比較し、より一層確実にステント16の再収納可否を確認することが可能となる。
【0087】
また、上述したステント放出状態確認機構20では、電極56a、56bがリード線58に接続された構成としているが、これに限定されるものではなく、例えば、内側チューブ体12に設けられた第2の導電体がリード線58に接続されている構成としてもよい。この場合、外側チューブ体14の内周全面にリング状の導電体(第1の導電体)を設け、前記第2の導電体は、内側チューブ体12の外周上において2つに分割されていることが好ましい。そして、2つに分割された第2の導電体は、前記第1の導電体と非接触状態にある時、互いに絶縁されて表示灯62が消灯する。
【0088】
次に、第2の実施の形態に係るステントデリバリーシステム150を図10A及び図10Bに示す。なお、上述した第1の実施の形態に係るステントデリバリーシステム10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0089】
この第2の実施の形態に係るステントデリバリーシステム150では、ステント放出状態確認機構152を構成する電極(第1の導電体)154a、154bの先端に、通電体(第2の導電体)158に接触可能な接点部156a、156bを設けると共に、ステント16の外側チューブ体14への再収納が不可能な場合に表示灯62を点灯させる点で、第1の実施の形態に係るステントデリバリーシステム10と相違している。
【0090】
このステント放出状態確認機構152は、図10A及び図10Bに示されるように、一対の電極154a、154bが、外側チューブ体14を構成する第2先端チューブ46の内部に設けられ、該電極154a、154bの先端に設けられ半径内方向に突出した接点部156a、156bが、前記第2先端チューブ46の内周面へと露呈している。なお、電極154a、154bの基端には、第1の実施の形態に係るステントデリバリーシステム10のステント放出状態確認機構20と同様に、リード線58、電源(電池)60、電源スイッチ61及び表示灯62が電気的に接続されている。
【0091】
なお、電極154a、154bは、第2先端チューブ46の内周面に露呈することなく、接点部156a、156bのみが前記内周面に露呈している。
【0092】
接点部156a、156bは、図10Aに示されるように、ステント16が外側チューブ体14内に収納された収納時において、通電体158とステント16との間に配置され、前記通電体158と前記接点部156a、156bとが非接触な状態となり、表示灯62への通電が遮断されているため消灯した状態となっている。
【0093】
一方、図10Bに示されるように、接点部156a、156bは、外側チューブ体14が後退し、ステント16が該外側チューブ体14の先端から再収納可能な長さLc以上放出された際、通電体158と接触可能な位置に設けられ、接点部156a、156bと通電体158とが接触することによって電源60から供給された電流が一方の電極154aから通電体158を介して他方の電極154bへと流れ、表示灯62が通電されて点灯した状態となる。
【0094】
換言すれば、接点部156a、156b及び電極154a、154bの先端は、ステント16の外側チューブ体14への収納時において、通電体158の先端からの距離L5が、ステント16の先端から外側チューブ体14の先端までの距離L4と、該ステント16の軸方向に沿った長さの半分Lcとを加えた長さ(L4+Lc)となる位置に配置される。
【0095】
以上のように、第2の実施の形態では、ステント16の放出状態を確認可能なステント放出状態確認機構152を設けることにより、前記ステント16の外側チューブ体14からの放出状態を、術者がステントデリバリーシステム150の外部から容易且つ確実に確認することができるため、前記ステント16を外側チューブ体14に再収納可能か否かの判断を迅速且つ確実に行うことができる。しかも、ステント16が外側チューブ体14に収納されている状態で表示灯62を消灯させ、該ステント16の外側チューブ体14への再収納が不可能な場合にのみ該表示灯62を点灯させているため、ステント放出状態確認機構152の消費電力を低減することができる。
【0096】
次に、第3の実施の形態に係るステントデリバリーシステム200を図11A及び図11Bに示す。なお、上述した第1及び第2の実施の形態に係るステントデリバリーシステム10、150と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0097】
この第3の実施の形態に係るステントデリバリーシステム200では、上述した通電体を設けることなく、ステント16を該通電体として用いたステント放出状態確認機構202を備える点で、第1及び第2の実施の形態に係るステントデリバリーシステム10、150と相違している。
【0098】
このステント放出状態確認機構202は、図11A及び図11Bに示されるように、外側チューブ体14を構成する第2先端チューブ46の内周面に沿って設けられた一対の電極(第1の導電体)204a、204bと、通電体(第2の導電体)として機能するステント16とを含み、図11Aに示されるように、前記ステント16が前記外側チューブ体14の内部に収納された状態において、前記電極204a、204bの先端が前記ステント16の外周面に臨む位置となり、一方、図11Bに示されるように、電極204a、204bは、前記ステント16が前記外側チューブ体14に対して再収納可能な長さLc以上で放出された際に、該ステント16に対して非対向する位置となるように配置される。
【0099】
換言すれば、電極204a、204bの先端は、ステント16の外側チューブ体14への収納時において、ステント16の基端からの距離L6が、ステント16の先端から外側チューブ体14の先端までの距離L4と、該ステント16の軸方向に沿った長さの半分Lcとを加えた長さ(L4+Lc)となる位置に配置される。
【0100】
また、表示灯62は、図11Aに示されるステント16の収納状態、又は、該ステント16の再収納可能な状態において、電極204a、204b及びステント16を通じて通電するため点灯状態となり、一方、図11Bに示されるステント16の再収納不可な状態では、電極204a、204bとステント16とが非接触となるため通電が遮断されて消灯状態となる。
【0101】
以上のように、第3の実施の形態では、導電性を有した金属製材料からステント16を形成することにより、該ステント16を上述した第1及び第2の実施の形態におけるステントデリバリーシステム10、150における通電体54、158の代わりとして用いることが可能となるため、該ステント16とは別個に通電体を設ける場合と比較し、その部品点数及びコストを削減することが可能となる。また、ステントデリバリーシステム200の軽量化を図ることもできる。
【0102】
なお、本発明に係るステントデリバリーシステムは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0103】
10、150、200…ステントデリバリーシステム
12…内側チューブ体 14…外側チューブ体
16…ステント 18…操作部
20、152、202…ステント放出状態確認機構
26…第1先端チューブ 30…第1基端チューブ
34…ステント保持機構 46…第2先端チューブ
48…第2基端チューブ 54、158…通電体
56a、56b、154a、154b、204a、204b…電極
58…リード線 60…電源
62…表示灯 64…ハウジング
66…ラック部材 68…回転ローラ
100…ロック機構 106…間欠機構
156a、156b…接点部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管と、生体管腔内挿入時には中心軸方向に圧縮されて前記内管の先端側外面に配置され、生体管腔内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステントと、前記内管の外面側に配置されることで前記ステントを内腔に収納可能であると共に、前記内管に対して基端方向に移動することにより、前記内腔に収納された前記ステントを放出可能な外管とを備えるステントデリバリーシステムであって、
前記内管に対する前記外管の移動距離に基づき、前記ステントの該外管からの放出状態を確認可能な確認手段を備え、
前記確認手段は、前記外管に設けられた第1の導電体と、
前記外管の移動によって前記第1の導電体に対する接触状態を切換自在な第2の導電体と、
前記第1の導電体もしくは第2の導電体に接続され該第1の導電体と第2の導電体の通電状態に基づいて前記外管から途中まで放出された前記ステントが前記外管に再収納可能か否かを確認可能なインジケータと、
を有することを特徴とするステントデリバリーシステム。
【請求項2】
請求項1記載のステントデリバリーシステムにおいて、
前記第2の導電体は、前記内管に設けられることを特徴とするステントデリバリーシステム。
【請求項3】
請求項1記載のステントデリバリーシステムにおいて、
前記第2の導電体は、前記ステントであることを特徴とするステントデリバリーシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のステントデリバリーシステムにおいて、
前記インジケータは、通電時に発光する表示灯であることを特徴とするステントデリバリーシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のステントデリバリーシステムにおいて、
前記ステントは、Ni−Ti合金から形成されることを特徴とするステントデリバリーシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のステントデリバリーシステムにおいて、
前記ステントデリバリーシステムは、前記内管に対して前記外管を軸方向に移動させるための操作部をさらに備え、前記インジケータは、前記操作部に設けられることを特徴とするステントデリバリーシステム。
【請求項1】
内管と、生体管腔内挿入時には中心軸方向に圧縮されて前記内管の先端側外面に配置され、生体管腔内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能なステントと、前記内管の外面側に配置されることで前記ステントを内腔に収納可能であると共に、前記内管に対して基端方向に移動することにより、前記内腔に収納された前記ステントを放出可能な外管とを備えるステントデリバリーシステムであって、
前記内管に対する前記外管の移動距離に基づき、前記ステントの該外管からの放出状態を確認可能な確認手段を備え、
前記確認手段は、前記外管に設けられた第1の導電体と、
前記外管の移動によって前記第1の導電体に対する接触状態を切換自在な第2の導電体と、
前記第1の導電体もしくは第2の導電体に接続され該第1の導電体と第2の導電体の通電状態に基づいて前記外管から途中まで放出された前記ステントが前記外管に再収納可能か否かを確認可能なインジケータと、
を有することを特徴とするステントデリバリーシステム。
【請求項2】
請求項1記載のステントデリバリーシステムにおいて、
前記第2の導電体は、前記内管に設けられることを特徴とするステントデリバリーシステム。
【請求項3】
請求項1記載のステントデリバリーシステムにおいて、
前記第2の導電体は、前記ステントであることを特徴とするステントデリバリーシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のステントデリバリーシステムにおいて、
前記インジケータは、通電時に発光する表示灯であることを特徴とするステントデリバリーシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のステントデリバリーシステムにおいて、
前記ステントは、Ni−Ti合金から形成されることを特徴とするステントデリバリーシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のステントデリバリーシステムにおいて、
前記ステントデリバリーシステムは、前記内管に対して前記外管を軸方向に移動させるための操作部をさらに備え、前記インジケータは、前記操作部に設けられることを特徴とするステントデリバリーシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−187177(P2012−187177A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51347(P2011−51347)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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