説明

ステント検査システム

切断チューブの長手方向表面及び側壁を検査するための装置、システム及び方法が開示される。いくつかの実施例では、この装置は、切断チューブの長手方向表面の画像を取得するように構成されるライン・カメラと、切断チューブの側壁の画像を取得するように構成される、ライン・カメラと連結されるエリア・カメラと、マンドレル及び駆動部と、多軸動作載物台と、垂直動作載物台と、回転動作載物台とを含む。いくつかの実施例では、このシステムは、カメラ・モジュールと、チューブ位置決めモジュールと、動作制御モジュールと、解析モジュールとを含む。いくつかの実施例では、この方法は、ライン・カメラ及びエリア・カメラを位置決めする段階と、切断チューブを移動させる段階と、切断チューブの長手方向表面及び側壁の画像を取得する段階と、原型切断チューブの相当する画像を提供する段階と、切断チューブの画像を原型切断チューブのものと比較する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、2006年6月5日出願の米国特許仮出願第60/811,341号の利益を主張し、同出願全体が本明細書で開示されたかのようにそれを採用する。
【0002】
ステントは、一般にステンレス鋼などの材料から作られる、小さな、複雑に切断されたチューブである。心臓血管ステントは、閉塞した動脈を開いたまま維持するための足場として作用するように、血管内に永久的に配置される。使用に際して、心臓血管ステントは、カテーテル上で動脈内に挿入され、ステントが搭載されるカテーテルの端部の非常に小さな風船を拡大させることによって通常展開される。
【0003】
心臓血管ステントは、適切に機能するための厳しい要件に合致しなければならない。ステントに粗い又は鋭い縁部がいくらかでもある場合は、血液細胞又はステントが挿入される血管を損傷させることになる。これはさらなる動脈硬化性プラーク、塞栓又は血栓につながり、結果的に潜在的に生命にかかわる事態になる可能性がある。
【0004】
ステントを切断するためにレーザーが通常使用される。高度に正確であるが、この方法は時折欠陥部分を生じさせる可能性がある。ステントは小さくなる傾向にあり、約1mmの直径に近づいている。処理後、ステント上の個々の切断外観はサイズで50から200ミクロンまでの範囲である。したがって、レーザーパワー、チュービング直径、又は機械的な不安定などの製造工程パラメータ内の小さな変化が欠陥を生じさせる可能性がある。そのような欠陥は、公差外れの外観サイズ又は奇形の外観を含む可能性がある。
【0005】
ステントは心臓及び他の血流の重要な領域に使用されるので、ステントの機能の故障は生命にかかわる可能性がある。したがって、ステントの製造者は通常100%検査手続を採用する。50倍率光学立体顕微鏡を使用する作業者が、通常可視欠陥について検査する。寸法検査は、外形投影機を使用する作業者によって通常行われる。別法として、この検査は視覚システムを使用することによって自動的に行うことができる。
【0006】
検査に対するこの手動又は自動手法のいずれかに伴う問題点は多数存在する。第1に、ヒューマン・エラーが製品の可視検査を決して完全に効果的なものでなくする。その上、そのような手動検査は比較的遅く、したがって製造工程の比較的コストの高い局面となる。さらに、通常手動検査に使用されるような、オーバーレイを使用する外形投影機の合否判定基準は、そうではない場合工程制御に有効であるであろうような、どのような数値的寸法データも一般に提供しない。
【0007】
ステントは通常高度に研磨され、多くの複雑な形状を伴うひどく曲がった幾何学的形状を有する。検査作業の1つの理想的な手法は、見つけられたままの幾何学的形状を公称モデル又はCADモデルと比較することである。全体的に剛体の部品にこの種の検査を行うためのシステムの多くの実用的な市販の実施例が存在するが、これらのシステムは、曲がりやすいステントに対して実用的ではない。
【0008】
いつでも最終検査ができるようになっている部品を示すCADモデルのみが、通常利用可能である。製造サイクルに沿った異なる段階でCADモデルを作り出す手段を有し、そのモデルを工程内検査に利用できるようにすることは、工程制御のために役立つであろう。
【0009】
ステントの幾何学的形状の一部分である高度に輪郭を示す外観を撮像する手段は見出されていない。ステントの外側及び内側を撮像するための方法は知られているが、特に切断部間の隙間が狭いとき、これらの切断金属チューブの側壁を撮像するための実際的な方法は開発されてきていない。その上、円筒状を除く任意の幾何学的形状のステントについてライン走査カメラを使用するための手段も実証されてきていない。
【発明の概要】
【0010】
切断チューブの長手方向表面及び側壁の画像を取得するための装置が開示される。いくつかの実施例では、この装置は以下を含む:切断チューブの長手方向表面の画像を取得するように構成される、ライン・カメラ;切断チューブの側壁の画像を取得するように構成される、ライン・カメラと連結される、回転可能な360度エリア・カメラ;ライン・カメラ及びエリア・カメラに対して切断チューブを位置決めするために、切断チューブを保持し且つY軸の周りを軸まわりに回転させるようになされたマンドレル及び駆動部;ライン・カメラ及びエリア・カメラに対してマンドレル、駆動部、及び切断チューブを位置決めするために、X軸に沿って且つY軸に沿ってマンドレル、駆動部、及び切断チューブを移動させるための多軸動作載物台;切断チューブに対してライン・カメラ及びエリア・カメラを位置決めするために、Z軸に沿ってライン・カメラ及びエリア・カメラを移動させるための垂直動作載物台;及び切断チューブに対してライン・カメラ及びエリア・カメラを位置決めするために、実質的にX’軸の周りにライン・カメラ及びエリア・カメラを回転させるための回転動作載物台。
【0011】
切断チューブの長手方向表面及び側壁を検査するためのシステムが開示される。いくつかの実施例では、このシステムは以下を含む:ライン・カメラと回転可能な360度エリア・カメラを含むカメラ・モジュールであって、ライン・カメラは切断チューブの長手方向表面の画像を取得するように構成され、エリア・カメラは切断チューブの側壁の画像を取得するように構成されるカメラ・モジュール;切断チューブを保持し、且つ切断チューブを第1の軸の周りに軸まわりに回転させるようになされたマンドレル及び駆動部と、マンドレル、駆動部、及び切断チューブを第1の軸に沿って且つ第2の軸に沿って移動させるための多軸動作載物台と、ライン・カメラ及びエリア・カメラをZ軸に沿って移動させるための垂直動作載物台とを含む、チューブ位置決めモジュール;ライン及びエリア・カメラに対して切断チューブを位置決めするために、多軸動作載物台と垂直動作載物台を制御するための動作制御モジュール;及び切断チューブの長手方向表面及び側壁の画像を原型切断チューブの長手方向表面及び側壁の画像と比較するための解析モジュール。
【0012】
切断チューブの長手方向表面及び側壁を検査する方法が開示される。いくつかの実施例では、この方法は以下の段階を含む:切断チューブの画像を取得するためにライン・カメラ及びエリア・カメラを位置決めする段階;切断チューブの画像を取得するために、ライン・カメラ及びエリア・カメラに対して切断チューブを移動させる段階;ライン・カメラを使用して切断チューブの長手方向表面の画像を取得する段階;エリア・カメラを使用して切断チューブの側壁の画像を取得する段階;原型切断チューブの側壁及び長手方向表面の画像を提供する段階;原型切断チューブの側壁及び長手方向表面上の複数の位置にワープ・ゲージを配置する段階;ワープ・ゲージの位置と切断チューブの長手方向表面及び側壁の取得された画像の対応する位置の間の差ベクトルを発生させる段階;最も近接するワープ・ゲージの荷重平均値に基づき切断チューブの長手方向表面及び側壁の縁部点を修正し、それによって切断チューブの側壁及び長手方向表面のワープされた画像を発生させる段階;切断チューブの長手方向表面及び側壁のこのワープされた画像を原型切断チューブの側壁及び長手方向表面の画像と比較する段階。
【0013】
図面は、本発明を例示する目的のための開示される主題の実施例を示す。しかしながら、本出願は図面に示す正確な配置及び手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】開示される主題のいくつかの実施例による切断チューブの長手方向表面及び側壁の画像を取得するための装置の前面等角投影図である。
【図2】開示される主題のいくつかの実施例による切断チューブの長手方向表面及び側壁の画像を取得するための装置の側面断面図及び概略図である。
【図3】開示される主題のいくつかの実施例によるエリア・カメラの拡大部分断面図である。
【図4】開示される主題のいくつかの実施例によるライン・カメラの拡大部分断面図である。
【図5】開示される主題のいくつかの実施例によるライン・カメラを使用して取得したテーパのついたステントの画像である。
【図6】開示される主題のいくつかの実施例によるライン・カメラを使用して取得したテーパのついたステントの別の画像である。
【図7】開示される主題のいくつかの実施例によるライン・カメラを使用して取得したテーパのついたステントの別の画像である。
【図8】開示される主題のいくつかの実施例による切断チューブの長手方向表面及び側壁を検査する方法のチャートである。
【図9A】開示される主題のいくつかの実施例によるCADモデルに対するステント画像のワーピングの概略図である。
【図9B】開示される主題のいくつかの実施例によるCADモデルに対するステント画像の狂いの別の概略図である。
【図9C】開示される主題のいくつかの実施例によるCADモデルに対するステント画像のワーピングの別の概略図である。
【図9D】開示される主題のいくつかの実施例によるCADモデルに対するステント画像のワーピングの別の概略図である。
【図9E】開示される主題のいくつかの実施例によるCADモデルに対するステント画像のワーピングの別の概略図である。
【図10A】開示される主題のいくつかの実施例による規定された公差限界内にある欠陥のあるステントの概略図である。
【図10B】開示される主題のいくつかの実施例による規定された公差限界内にある欠陥のあるステントのグラフである。
【図10C】開示される主題のいくつかの実施例による規定された公差限界内にある欠陥のあるステントの別のグラフである。
【0015】
一般に、開示される主題は、ステントなどの切断チューブを検査するための装置、システム、及び方法に関する。複数のカメラ及び位置決め載物台が、ステントの長手方向表面及び側壁の様々な画像を取得するために使用される。この取得された画像は、不完全部を突き止めるために「理想」ステントの原型画像、例えばコンピュータ支援製図(CAD)モデルと比較される。
【0016】
見つけられたままのステントをCADモデルと比較するために、ステントの画像が取得され、ステントの形態を代表するステントの縁部が抽出される。以下でさらに論じるように、ステントの画像取得は、部品の平らな「展開された(unrolled)」図を得るためのライン・カメラ・ベースのシステムを使用して最良に行われる。次いで、断面毎に、測定されたままのステントからの縁部がCADモデルの対応する断面にオーバーレイされ、最良に適合させられる。逸脱の大きさは合否判定基準として使用することができる。
【0017】
この断面毎のシステムは、従来の特許にすでに記載されたようにパターン・ベースの手法を使用することができ、あるいはステント・パターン上の所与の1つ又は複数の点が与えられ、それをCADモデルからステントの縁部を示す抽出されたデータへと整合することができる。これらの照合点の間を、偏差を見つけるためにこのシステムはCADモデルと測定されたままのデータの両方に沿って追跡する。
【0018】
発見される必要のある典型的な欠陥はむしれ(gouge)又は鋭い縁部である。しかしながら、ステントは曲がり易いため、見つけられたままの縁部とCADモデルの間の不整合がこの曲がり易さから単純に存在する可能性がある。したがって不整合に対応するために、偏差解析に先立って、ステントの縁部データは通常CADモデルに対してワープされ、又はその逆にされる。データのワーピングは、さらに以下で説明する。
【0019】
次に図、特に図1〜3を参照すると、開示される主題の一実施例は、ステント106などの切断チューブの長手方向表面102及び側壁104の画像を取得するための装置100である。装置100は、ライン・カメラ108、回転可能な360度エリア・カメラ110、マンドレル112及び駆動部114、多軸動作載物台116、垂直動作載物台118、並びに回転動作載物台120を含む。
【0020】
ライン・カメラ108は、ステント106の長手方向表面102の画像を取得するように構成される。レンズ121を含むライン・カメラ108は、その全体が本明細書で開示されたかのように本明細書によって採用される、米国特許第6,660,403号に記載されるものと同様である。
【0021】
エリア・カメラ110は通常、ただし常にではないがライン・カメラ108と連結される。エリア・カメラ110は、ステント106の側壁104の画像を取得するように構成される。ステント106は近接して切断された側壁104を有する多くの複雑な外観を有する場合があるので、エリア・カメラ110は通常、ただし常にではないがレンズ111と組み合わされたカメラ110を含む。歯車G及びモータMを含むことができる回転機構122によって、ステントを複数の角度から見ることができるようにカメラ110を回転させることができる。360度ボール・グリッド・アレイ検査用に使用されるものなどのレンズは、円周り360度の任意の角度からステント106を見る能力を提供する。
【0022】
マンドレル112及び駆動部114は、ライン・カメラ108及びエリア・カメラ110に対してステントを位置決めするために、ステント106を保持し且つステント106をY軸123の周りに軸まわりに回転させるようになされている。
【0023】
一般にマンドレル112及び駆動部114用の支持表面として働く多軸動作載物台116は、ライン・カメラ108及びエリア・カメラ110に対してマンドレル、駆動部、及び切断チューブを位置決めするために、X軸124に沿って且つY軸123に沿ってマンドレル、駆動部、及びステント106を移動させるために調整される。
【0024】
垂直動作載物台118は、ステント106に対してライン・カメラ及びエリア・カメラを位置決めするために、Z軸126に沿って垂直にライン・カメラ108及びエリア・カメラ110を移動させるために使用される。
【0025】
次に図4を参照すると、ステント106などのステントはテーパのついた形態、すなわち円錐128のよう形状にも製造される。回転動作載物台120が、ステント106に対してライン・カメラ及びエリア・カメラを位置決めするために、実質的にX’軸130の周りにライン・カメラ108及びエリア・カメラ110を回転させるために使用される。このように、ステント106はライン・カメラ108の全画像の全域で焦点に合わせることができる。別法として、ステント106を保持する回転載物台、すなわち多軸動作載物台116はそれ自体、同じ幾何学的形状を達成するためにX’’軸131の周りを回転するように構成することができる。
【0026】
次に図5〜7を参照すると、図5にテーパのついたチューブに切断された長方形のライン・カメラ108からの出力が示されている。図6に示すように、テーパに沿った長手方向位置に基づいてピクセル・サイズが変化するので、幾何学的形状のゆがみが修正される。次いで図7に示すように、ピクセルのゆがんだ形状は、市販の画像処理ハードウエア及びソフトウエアによってより容易に処理することができる正方形のピクセルに修正される。
【0027】
従来方式で画像化されるとき、円錐128から取得される画像のピクセルは、最早正方形又は長方形の形状を有さない。それらはわずかに曲がった頂部及び底部を伴うより台形状になる。さらに、ピクセルの幅は、その長手方向位置でステントの直径に基づいて変化する。画像の平面図では、極を持つピクセル表示が作り出される。このようにライン・カメラ108の調整を可能にすることによって、極性ベースのピクセル・システムを画像処理に先立って直交系にマッピングすることができ、それによって一般に長方形又は正方形ピクセル上でのみ作動する画像処理ハードウエア及びソフトウエアの使用が容易になる。
【0028】
図2に概略的に示すように、いくつかの実施例では、装置100は、多軸動作載物台116、垂直動作載物台118、回転動作載物台120、及び回転機構122を制御するための動作制御システム132を含むことができる。動作制御システム132は、所定のパラメータに基づいて載物台116、118、及び120の各々を制御するモータ134と相互作用するコンピュータ化されたプログラム(図示せず)をランさせるためのパーソナル・コンピュータ又は同様な装置(図示せず)を含むことができる。
【0029】
再び図1〜3及び図8を参照すると、開示される主題の別の態様は、ステント106の長手方向表面102及び側壁104を検査するためのシステム200である。システム200は、カメラ・モジュール202、チューブ位置決めモジュール204、動作制御モジュール206、及び分析モジュール208を含む。
【0030】
カメラ・モジュール202は、ライン・カメラ108及びエリア・カメラ110を含む。ライン・カメラ108は、ステント106の長手方向表面102の画像を取得するように構成され、エリア・カメラ110は、ステントの側壁104の画像を取得するように構成される。
【0031】
チューブ位置決めモジュール204は、ステント106を保持し、ステントを第1の軸123の周りに軸まわりに回転させるようになされたマンドレル112及び駆動部114と、このマンドレル、駆動部、及びステントを第1の軸に沿って、且つ第2の軸124に沿って移動させるための多軸動作載物台116と、ライン・カメラ108及びエリア・カメラ110をZ軸126に沿って移動させるための垂直動作載物台118とを含む。
【0032】
動作制御モジュール206は、ライン・カメラ及びエリア・カメラ108及び110それぞれに対してステント106を位置決めするために、多軸動作載物台116及び垂直動作載物台118を制御する。動作制御モジュール206は、ライン・カメラ108及びエリア・カメラ110を第2の軸130の周りに回転させるために、回転動作載物台120も含むことができる。
【0033】
分析モジュール208は、ステント106の長手方向表面102及び側壁104の画像を原型切断チューブ(図示せず)の長手方向表面及び側壁の画像と比較する。
【0034】
次に図8及び(軸に関して)図1を参照すると、開示される主題の別の態様は、切断チューブ又はステントの長手方向表面及び側壁を検査する方法300である。302で、方法300は、切断チューブの画像を取得するためにライン・カメラ及びエリア・カメラを位置決めする段階を含む。いくつかの実施例では、このライン・カメラ及びエリア・カメラは、それらをZ軸に沿って移動させることによって位置決めされる。いくつかの実施例では、このライン・カメラ及びエリア・カメラは、ライン・カメラ及び前記エリア・カメラを実質的にX’軸の周りに回転させることによって位置決めされる。304で、切断チューブは切断チューブの画像を取得するためにライン・カメラ及びエリアY軸まわり・カメラに対して移動させられる。いくつかの実施例では、この切断チューブはそれらをY軸まわりに回転させることによって移動させられる。いくつかの実施例では、この切断チューブは、X軸及びY軸のうちの少なくとも1つに沿ってそれらを移動させることによって移動させられる。306で、切断チューブの長手方向表面の画像がライン・カメラを使用して取得される。308で、切断チューブの側壁の画像がエリア・カメラを使用して取得される。310で、原型切断チューブの側壁及び長手方向表面の画像が提供される。312で、ワープ・ゲージが原型切断チューブの側壁及び長手方向表面上の複数の位置に配置される。314で、ワープ・ゲージの位置と切断チューブの長手方向表面及び側壁の取得された画像の相当する位置の間の差ベクトルが発生させられる。316で、切断チューブの長手方向表面及び側壁の縁部点が、最も近接するワープ・ゲージの荷重平均に基づいて修正され、それによって切断チューブの側壁及び長手方向表面のワープされた画像を発生させる。318で、切断チューブの長手方向表面及び側壁のこのワープされた画像が原型切断チューブの側壁及び長手方向表面の画像と比較される。
【0035】
方法300で論じたように、曲がり易い材料を使用して製造されるステントに対して、ステントとCADモデル/原型ステント間のどのような不整合にも対応するように、ステントの縁部データがCADモデル又は原型ステントに対してワープされることが好ましい。
【0036】
次に図9A〜9Eを参照すると、ワーピングは、検査が必要なステント断面の理想化された表示を示すCADモデル400を最初に作り出す又は得ることによって実施される。図9A及び9Bに図示するように、これは.bmpフォーマット画像又は他の画像ファイルの形態であることもでき、原型ステント401と呼ぶことができる。原型ステント400上に、多数のワープ・ゲージ402が検査されたままのステント404の実際の縁部の位置を発見するために配置される。ワープ・ゲージ402は、典型的なビデオ縁部検出用具のように見えるが、図9Cに図示するように、それらの機能は、ステント404の画像408内にあるステント外観の位置と原型ステント401によって示されるような理想的な位置の間の差ベクトル406を発生させることである。
【0037】
全てのワープ・ゲージが差ベクトルを発生させた後、この縁部点は、逐点ベースで最も近接するワープ・ゲージの荷重平均に基づいて修正することができる。このワープ・ゲージが原型ステント上に余りにも密に配置されていない限り、この技術は見つけられたままのデータを低周波数ベースでCADモデル/原型ステントに合致するように曲げる効果を有するであろう。しかしながら、より高い周波数、例えばより急激な変化のところにある重大な欠陥は、留保され且つ偏差と見なされる場合がある。
【0038】
図9Dに示すように、ワーピングに先立って、ステント404の画像410は欠陥412を明らかにする。図9Eに示すように、画像410をCADモデル400にワーピングした後、ステント404のワープされた画像414は、依然として欠陥412を明らかにする。
【0039】
ストラットなどのステント外観の場合は、このストラットの全域での寸法を保存するが、依然としてこの外観をCADモデルにワープすることを好むであろう。これを行うために、このワープ用具は差ベクトルをストラットのどちら側にも一緒に結びつけ、ストラットを両縁部で等分に移動させる。
【0040】
高周波数偏差から低周波数偏差を識別する考え方を拡張することで、CADモデル比較方法を部品の公称製造公差範囲内にある欠陥を発見するために使用できる。所与の縁部に沿った偏差値の列は関数として処理され、その関数の一次導関数は、1つの偏差値から次の偏差値への変化率を見出すために使用される。実際の偏差が公差限界内にとどまる場合があるが、これらの値内に急な変化が存在する場合、それはステント内の潜在的に可能性のある傷を示す。
【0041】
次に図10A〜10Cを参照すると、(破線502によって定義するような)公差制限に適合する、測定されたままのステント500が図示されている。しかしながら、点B及びDのところで明らかにされるように、ステント500は欠陥がある。図10Bは、どのようにステント500内の欠陥が公差限界内にあるかを示す。図10Cは、ステント500に沿った偏差値の一次導関数が、データ内で点B及びDのところに部分欠陥を表示する急なスパイクを明らかにするのを示す。この公差バンドは、ステントの緩やかに変化する形状を受け入れるが、データ内の高周波偏差又は急なスパイクは不合格にするように設定することができる。
【0042】
1セットのデータから最良適合曲線又は線を抽出する方法に対する技術はよく知られている。所与のステントを表示する1セットの縁部をビットマップ形式などの画像から得、それらの縁部を.dxfなどのCADモデルを定義するために使用することは妥当である。しかしながら、原型ステント又はCADモデルを実際の部品から作り出すために、たった1つの部品からだけではなく代表的な部品の組み合わせからデータを取得することは有利であろう。
【0043】
これを行うために、代表的なサンプル、例えば30個の部品に対して画像ファイルが走査され生成される。各部品から、その部品を示す縁部データ点が生成される。それらのうちの1つから第1のCADモデル又は原型ステントが生成される。最良適合のための最小二乗回帰式又は他のよく知られた技術が、データをモデルに最良適合させるために使用される。別のデータ・セットが反復して導入され、その度毎にそれらをCADモデルに最良適合させる。これによって、全てのデータ・セットが互いの上に効果的にロードされることになる。
【0044】
線又は弧などのCADモデルの各要素を、データの集合体セットに最良適合させるように平行移動又は回転によって調整することができる。唯一の制約は、適合反復の終りに隣接する要素が依然として接合していなければならないことである。これが行われた後、部品のサンプルの平均値を代表する原型が生成されている。このモデルをさらに改良するために、引き続くデータ・セットの各々は、さらにより良い登録されたデータ・セットを作り出すために、この新たに調整されたCADモデルに再度最良適合させることができる。もう一度、CADモデルの各要素は、より正確に登録されたデータの集合体セットに最良適合させるように、平行移動又は回転によって調整することができる。これは偏差の改善が漸減して小さくなるまで反復して繰り返すことができる。
【0045】
自動的な最良適合ルーチンの1つの共通する問題点は、それらが絶対的な最良適合ではない局所的な最適化最小値を発見しそれにとらわれる場合があることである。さらにこれらの技術は、試みることができる回転及び平行移動増分が極めて多数であることに起因して、計算集約的である可能性がある。これらの問題点に対処するために、CADモデル上の2つの位置調整点と、部品縁部がそこから抽出される部品画像上の同じ位置に対応する2つの同様な位置調整点の両方を配置することができる。再度図9Aを参照すると、この位置調整点のうちの1つは「アンカー(anchor)」点600であり、もう1つは「スキュー(skew)」点602である。
【0046】
作動時に、このシステムは第1に、データ内のアンカー点がモデル内のアンカー点の上になるように、データ・セット内のこのアンカー点及び全ての他の対応する点を平行移動させる。次いで、モデルとデータ・セットのスキュー点間の角度差に基づいて、データ・セットのスキュー点がモデルのスキュー点及びアンカー点によって画定される線に沿って位置するように、データ・セットの点がアンカー点の周りに回転させられる。これがたった2つの動作でモデルとデータの間の非常に妥当な位置調整をもたらす。ここから、伝統的な最小二乗及び他の方法を、非常に正確な最良適合を見出すために使用することができる。
【0047】
上記の技術の全ては、外形における部品の欠陥を発見するために有用である。上記で説明したように、ステントの側壁に沿った欠陥を発見するために、異なる技術が使用される。作業者には展開された形式でステントの図が示され、手動で側壁検査が必要な点を定めることができる。ニチノール・ステントの場合、2つのストラットが接合する角は高い応力領域であり、側壁検査を必要とするものと考えられる。検査のための確定点を直接画像上に又は部品の最初から最後まで繰り返されるパターン区域内に配置することができる。別法として、作業者は、検査する予定の側壁の全ての区域を要求し、機械に検査点を画像上に自動的に配置するように要求することができる。
【0048】
システム処理能力を改善するために、1つの検査位置から次の検査位置に停止せず駆動するためにカメラの動作をピタッと止めるために、光放射ダイオード(LED)をパルス・モードで使用することができる。検査する予定の側壁を含む画像の領域は、最初の展開された走査から計算することができる。この情報は、意味のあるピクセルのみが画像処理ホストに伝達されるようにカメラに渡すことができ、又はこの情報は、画像処理ホストに直接渡し、解析する必要のあるピクセルの数を制限するためのマスクとして使用することができる。
【0049】
次いで画像が提供する場のより大きな深さが必要な場合、視野ベクトルを計算し、多数の画像をわずかに異なる部品までの距離のところでそれぞれ取得することができる。これらの画像は、市販のソフトウエアからの良く知られた技術を使用して焦点の拡張された深さの単一の画像に収束させることができる。これによって、展開された画像から最初に導きだされた幾何学的形状からこれらの複数の画像を取り出すための適切な光学ベクトルの計算が可能になる。
【0050】
上記で説明した使用に加え、開示される主題による側壁視野カメラは、ステントの最初の展開された画像上の見出された潜在的に可能性のある欠陥とともに、潜在的に可能性のある欠陥を確認するためにより高い倍率でより近接した観察を行うために使用することもできる。
【0051】
開示される主題は、その実施例に対して説明され且つ図示されてきたが、開示される実施例の特徴は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の範囲内で追加の実施例を作り出すために組み合わされ、再構成され等することができ、それに対し又はその中に様々な他の変更、省略、及び付加を行うことができることを、当業者は理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断チューブの長手方向表面の画像を取得するように構成される、ライン・カメラと、
前記切断チューブの側壁の画像を取得するように構成される、前記ライン・カメラと連結される、回転可能な360度エリア・カメラと、
前記ライン・カメラ及び前記エリア・カメラに対して前記切断チューブを位置決めするために、前記切断チューブを保持し且つ前記切断チューブをY軸の周りに軸まわりに回転させるようになされたマンドレル及び駆動部と、
前記ライン・カメラ及び前記エリア・カメラに対して前記マンドレル、駆動部、及び切断チューブを位置決めするために、X軸に沿って且つY軸に沿って前記マンドレル、駆動部、及び切断チューブを移動させるための多軸動作載物台と、
前記切断チューブに対して前記ライン・カメラ及び前記エリア・カメラを位置決めするために、Z軸に沿って前記ライン・カメラ及び前記エリア・カメラを移動させるための垂直動作載物台と、
前記切断チューブに対して前記ライン・カメラ及び前記エリア・カメラを位置決めするために、実質的にX’軸の周りに前記ライン・カメラ及び前記エリア・カメラを回転させるための回転動作載物台とを備える、切断チューブの長手方向表面及び側壁の画像を取得するための装置。
【請求項2】
前記多軸動作載物台、前記垂直動作載物台、及び前記回転動作載物台を制御するための動作制御システムをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ライン・カメラがステントの長手方向表面の画像を取得するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記エリア・カメラがステントの側壁表面の画像を取得するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ライン・カメラ及びエリア・カメラに対して前記マンドレル、駆動部、及び切断チューブを位置決めするために、X’’軸の周りに前記マンドレル、駆動部、及び切断チューブを回転させるための回転マンドレル載物台をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記エリア・カメラを回転させるための回転機構をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
ライン・カメラと回転可能な360度エリア・カメラを含むカメラ・モジュールであって、前記ライン・カメラが切断チューブの長手方向表面の画像を取得するように構成され、前記エリア・カメラが前記切断チューブの側壁の画像を取得するように構成されるカメラ・モジュールと、
前記切断チューブを保持し、且つ前記切断チューブを第1の軸の周りに軸まわりに回転させるようになされたマンドレル及び駆動部と、前記マンドレル、駆動部、及び切断チューブを前記第1の軸に沿って且つ第2の軸に沿って移動させるための多軸動作載物台と、前記ライン・カメラ及び前記エリア・カメラをZ軸に沿って移動させるための垂直動作載物台とを含む、チューブ位置決めモジュールと、
前記ライン・カメラ及びエリア・カメラに対して前記切断チューブを位置決めするために、前記多軸動作載物台と前記垂直動作載物台を制御するための動作制御モジュールと、
前記切断チューブの前記長手方向表面及び前記側壁の前記画像を原型切断チューブの長手方向表面及び側壁の画像と比較するための解析モジュールとを備える、切断チューブの長手方向表面及び側壁を検査するためのシステム。
【請求項8】
前記動作制御モジュールが前記ライン・カメラ及び前記エリア・カメラを第2の軸の周りに回転させるための回転動作載物台を含み、前記第2の軸が前記第1の軸に対して実質的に直角に位置決めされるように成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ライン・カメラがステントの長手方向表面の画像を取得するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記エリア・カメラがステントの側壁表面の画像を取得するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記カメラ・モジュールが前記エリア・カメラを回転させるための回転機構を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
切断チューブの画像を取得するためにライン・カメラ及びエリア・カメラを位置決めする段階と、
前記切断チューブの画像を取得するために、前記切断チューブを前記ライン・カメラ及びエリア・カメラに対して移動させる段階と、
前記ライン・カメラを使用して前記切断チューブの長手方向表面の画像を取得する段階と、
前記エリア・カメラを使用して前記切断チューブの側壁の画像を取得する段階と、
原型切断チューブの側壁及び長手方向表面の画像を提供する段階と、
前記原型切断チューブの前記側壁及び長手方向表面上の複数の位置にワープ・ゲージを配置する段階と、
前記ワープ・ゲージの位置と前記切断チューブの長手方向表面及び側壁の前記取得された画像の相当する位置の間の差ベクトルを発生させる段階と、
最も近接するワープ・ゲージの荷重平均値に基づき前記切断チューブの長手方向表面及び側壁の縁部点を修正し、それによって前記切断チューブの前記側壁及び長手方向表面のワープされた画像を発生させる段階と、
前記切断チューブの長手方向表面及び側壁の前記ワープされた画像を原型切断チューブの前記側壁及び長手方向表面の前記画像と比較する段階とを含む、切断チューブの長手方向表面及び側壁を検査する方法。
【請求項14】
前記ライン・カメラがステントの長手方向表面の画像を取得するように構成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記エリア・カメラがステントの側壁の画像を取得するように構成される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記移動させる段階が、前記切断チューブをY軸まわりに回転させる段階を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記移動させる段階が、前記切断チューブをX軸及びY軸のうちの少なくとも1つに沿って移動させる段階を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記位置決め段階が、前記切断チューブに対して前記ライン・カメラ及び前記エリア・カメラを位置決めするために、前記ライン・カメラ及び前記エリア・カメラをZ軸に沿って移動させる段階を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記位置決め段階が、前記切断チューブに対して前記ライン・カメラ及び前記エリア・カメラを位置決めするために、前記ライン・カメラ及び前記エリア・カメラを実質的にX’軸の周りに回転させる段階を含む、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(A)】
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【図9(B)】
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【図9(C)】
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【図9(D)】
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【図9(E)】
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【図10(A)】
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【図10(B)】
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【図10(C)】
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【公表番号】特表2009−540298(P2009−540298A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514494(P2009−514494)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/070399
【国際公開番号】WO2007/143647
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(508270738)ヴィジコン インスペクション テクノロジーズ エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】