ステント
【課題】高い柔軟性と放射支持力を確保し、血管拡張性を高めフォーショートニング並びにフレアー現象を抑えることができるステントを提供する。
【解決手段】略管状体に形成されかつ管状体の内部より半径方向に伸張可能なステント1において、〔1〕セル6は、二つのストラットを、拡張しうる屈曲部12により接続して構成し、〔2〕セル6を接続する連結部5は、屈曲部12を有する略U字形状を有し、特定の曲率半径Rを有する孤により形成され、〔3〕当該連結部5は、拡張後も略U字状形態を実質的に保持しており、〔4〕セル6のステント軸方向C2の長さに対すると前記連結部5の全体の長さの比率を、0.9から1.3になるように充分大きく形成して、ラジアルフォースを高く維持しながら、ステント1自体に柔軟性を付与し、〔5〕上記セル6と上記連結部5の配置において、縮経に必要な空間部Sを形成し、セル縮径時の干渉が防止される。
【解決手段】略管状体に形成されかつ管状体の内部より半径方向に伸張可能なステント1において、〔1〕セル6は、二つのストラットを、拡張しうる屈曲部12により接続して構成し、〔2〕セル6を接続する連結部5は、屈曲部12を有する略U字形状を有し、特定の曲率半径Rを有する孤により形成され、〔3〕当該連結部5は、拡張後も略U字状形態を実質的に保持しており、〔4〕セル6のステント軸方向C2の長さに対すると前記連結部5の全体の長さの比率を、0.9から1.3になるように充分大きく形成して、ラジアルフォースを高く維持しながら、ステント1自体に柔軟性を付与し、〔5〕上記セル6と上記連結部5の配置において、縮経に必要な空間部Sを形成し、セル縮径時の干渉が防止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管等の生体内に生じた狭窄部の改善に使用されるステントの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
図11、図12は、現在使用されているステント201、241の平面図である(例えば特許文献1を参照。)(なお、図11、図12において、それぞれ(A)は拡張前、(B)は拡張後の平面図を示す。)。
各ステント201、241は次の特徴と課題があった。すなわち、図11のステント201は、環状ユニット204を構成するセル206は3本の直線部207を平行に接続し、各セル206間の湾曲部206Aが他の環状ユニット204を構成するセル206近傍の空間206Bに対向して配置されている構造である。このため適度の放射支持力(ステントを拡張して血管壁に固定した時に、血管壁方向からの外圧に対抗してステントの拡張状態を維持しようとする力)と柔軟性に優れていることが知られている。しかし、Aの部分において拡張時やデリバリー時に血管の屈曲部で曲線を描きながら挿入されるのでセル206の一部が外側突出し引っ掛かり、デリバリーが困難となる場合があった(以下、これをフレアー現象と称する。)。
【0003】
また図12のステント241は、環状ユニット244を構成するセル246は、略<形状ストラット247が連結部245により連結されている構造である。このため放射支持力が強く、拡張時や血管の屈曲部通過時に略<形状ストラット247が外側に反ることがない等の利点を持つが、柔軟性に欠けるという課題があった。これは連結部245に屈曲部が1つであり連結部245の長さも短いことが原因であった。
【0004】
【特許文献1】特表平10−503670号公報(図7〜図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明者らは以上の課題を解決し柔軟性と放射支持力するステントを提供するために鋭意検討を重ねた結果次の発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕本発明は、略管状体に形成されかつ管状体の内部より半径方向に伸張可能なステント(1、1A、1B)であって、複数のセル(6、6A、6B)を上下に連結し、当該複数のセル(6、6A、6B)をステント(1、1A、1B)の中心軸(C1)を取り囲むように複数配列することにより環状ユニット(4、4A、4B)を構成し、複数の前記環状ユニット(4、4A、4B)がステント(1、1A、1B)の軸方向に配置され、前記隣り合う環状ユニット(4、4A、4B)同士は少なくとも一箇所が連結部(5、5A、5B)により連結されるものにおいて、
(1)前記セル(6、6A、6B)は、二つのストラットを有し、当該ストラットを、拡張しうる屈曲部(12,12A、12B)により接続することにより構成され、
(2)前記連結部は、屈曲部を有する略U字形状を有するものであり、当該屈曲部はそれぞれ曲率半径Rを有する孤により形成され、当該Rは、0.05mm以上0.2mm以下であり、
(3)当該連結部は、拡張後も略U字形状を実質的に保持しており、
(4)前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)に対すると前記連結部の全体の長さ(5L’、5AL’、5BL’)の比率を、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)を100とすると前記連結部の全体の長さ(5L’、5AL’、5BL’)を90から130になるように充分大きく形成して、ラジアルフォースを高く維持しながら、ステント自体に柔軟性を付与し、
(5)上記セル(6、6A、6B)と上記連結部の配置において、(i)当該セルの拡張しうる屈曲部(12、12A、12B)により接続されている二つのストラット間、(ii)当該ストラットと当該U字状の連結部間及び(iii)当該U字状の連結部の屈曲部同士間にはそれぞれ半径方向に充分な空間部Sを形成するように配置されており、
ステント(1、1A、1B)の径φを縮小させた時に、セル(6、6A、6B)と連結部(5、5A、5B)がそれぞれお互いにステントの半径方向に立体的に重なることがなく、相互間のステントの半径方向の当該空間部S内に納まるように形成され、セル縮径時の干渉が防止されていることを特徴とするステント(1、1A、1B)を提供する。
【0007】
〔2〕本発明はまた、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)と前記連結部のステント軸方向の長さ(5L、5AL、5BL)の比率を、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)を100とすると前記連結部のステント軸方向の長さ(5L、5AL、5BL)を50から100に形成したことを特徴とする〔1〕に記載のステント(1、1A、1B)を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のステントは高い柔軟性と放射支持力を充分に確保するとともに、血管拡張性を高めフォーショートニング並びにフレアー現象を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明のステントの平面図(図2は図1の拡大図、図3は拡張後の本発明のステントの状態を示す拡大図、図4はセルを構成するストラットの概念図)である。ステント1は略管状体に形成されかつ管状体の内部より半径方向に伸張可能であって、複数のセル6を上下に連結し、これらをステント1の中心軸C1を取り囲むように複数配列することにより環状ユニット4を構成し、複数の前記環状ユニット4がステント1の軸方向に延設され、前記環状ユニット4同士は少なくとも一箇所が連結部5により連結されている。
【0010】
本発明で前記セル6とは、ステント1の表面を構成する模様の一つの構成単位を意味し、図2のように少なくとも一つ以上の鋭角Xを有する屈曲部12を有し、これを介して略直線部11と曲線部13を接続して構成される全ての形態を含む。さらに前記セル6はステント軸方向の中心線C2で上下に区画した場合、中心線C2に対して上下非対称に形成され、屈曲部12の拡張後の角度θを図3のように30゜以上となるように形成している。屈曲部12の拡張後の角度θとは図3のように屈曲部12上の点Oと略直線部11及び曲線部13の点O側に近い略直線部15との間に形成される角度を意味する。セル6は屈曲部12を介して略直線部11と曲線部13を連結することにより構成され、曲線部13は鈍角Yを有する小屈曲部14を2箇所以上形成するのが良い。
【0011】
セル6を構成する略直線部11及び屈曲部12、小屈曲部14を有する曲線部13(略S形状部ともいう)は、ステントの拡張後において中心軸C1に対し垂直に近くなるほうが、ステントの放射支持力が大きくなる。これにより屈曲部12の拡張後の角度θは180゜に近づくほどステントの放射支持力が大きくなることを見出した。すなわちステントの設計においては、少なくともφ2.5mmに拡張した時において、屈曲部12の拡張後の角度θは、少なくとも30゜以上に設計するのが良い。また、これらはセル6の配置数にも関係するため、セル6の半径方向の配置数は、4個以上が好ましい。さらに拡張後の径としてφ3.0mm以上となる場合においては6個以上、好ましくは6個から12個配置するのが良い。またステント軸方向においては10mmあたり3個以上好ましくは4個から8個配置し、ステント拡張の目標径(規格径、例えばφ3.0mm、φ4.0mm)となった時点において、例えば先に述べたように屈曲部12の拡張後の角度θが、少なくとも30゜以上、好ましくは45゜から140゜、より好ましくは45゜から120゜の間に設計するのが良い。目標径において140゜を越えるように設計することは、ステントの放射支持力には有効であるが、屈曲部12の変形量が大きくなり強度に問題が出ること、拡張に伴うステントの全長短縮(フォーショートニング)が大きくなり、ステント留置時の位置決めが困難となる等の問題が起こり好ましくない。
【0012】
また、セル6のストラットの形状はステント軸方向の中心線C2に対して図4(a)のように対称に形成するよりも図4(b)のように非対称に形成するほうがストラット全体の相対的な長さが大きくなり(例えば図4(a)と(b)を比較すると必ず2a<b+cとなる)、ステント自体の拡張性を高めるとともにフォーショートニングの抑制効果を高めることができる。
【0013】
前記連結部5は、例えばステント1では、図1ないし図2に例示するように、少なくとも屈曲部を有する略U字形状を有する。
図1ないし図2の例示では、当該略U字形状が、中央の略直線部7の両側に二個接続されている場合であるが、この略U字形状は、後述する条件(セル6のステント軸方向の長さ6Lに対すると連結部の全体の長さ5L’の比率を、たとえばセル6のステント軸方向の長さ6Lを100とすると連結部の全体の長さ5L’を90から130になるように充分大きく形成すること)を充足すれば一個で十分である。
【0014】
屈曲部8の端部は接続部9を介してそれぞれ異なる環状ユニット4を構成する前記セル6の端部と接続されている。前記連結部5は前記セル6の両端に左右非対称に接続されている。連結部5は略直線部7と屈曲部8を合わせた全体の長さが1mm以上で長いほど柔軟性は向上すると考えられ良いが、長くすると比例してたとえば略S形状の連結部5が大きくなり、当該ステントをバルーンカテーテルにマウントする時(バルーンカテーテル上で若干ステントの径を縮小することがある)や、血管の屈曲部通過時にステント血管に沿って湾曲した時に、上下の連結部5が干渉しあい、逆に柔軟性を損なうこととなる。そのため、全体の長さが1mm以上、好ましくは1mmから2mmが良い。さらに屈曲部8を構成する弧のR(曲率半径)も上述の理由により、R=0.05mm以上、好ましくは0.05mmから0.2mmに形成するのが良い。
【0015】
さらに本発明では前記セル6のステント軸方向の長さ6Lと前記連結部5のステント軸方向5の長さ方向5Lの比率を、6Lを100とすると5Lを50から100に形成するのが好ましいが設計の都合上、50から90に形成するのが良い。さらに前記セル6のステント軸方向の長さ6Lと前記連結部5の略直線部7と屈曲部8を合わせた全体の長さ5L’の比率を、6Lを100とすると5L’を50から150、好ましくは60から130、より好ましくは80から130、さらに好ましくは90から130、より一層好ましくは90から110に形成するのが好ましい。これらによりステントの拡張後やデリバリー時のフレアー現象を抑制するとともにラジアルフォースを高く維持しかつステント自体に柔軟性を付与することができる。
【0016】
本発明のステント1のパターンの特徴は次のとおりである。セル6は連結部5を介してステント軸方向に非対称に配置されているがステント軸方向に同じ向きで同じ高さに配置されている。ステント軸方向のセル6は仮にn列目から(n+1)列目にステント軸方向に移動させて見た時、相互に重なり合うように配置されている。また同じ列のセル6も同列の上または下にスライドさせて見た時、相互に重なり合うようにステント半径方向に同じ向きに配置されている。ここで略直線部11は、中心線C2に対し略水平(略平行)であるが、屈曲部12の拡張後の角度θが30゜未満とならない範囲で若干角度をつけ斜めにしても良い。
【0017】
連結部5もセル6を介してステント軸方向に非対称に配置されているが、ステント軸方向に同じ向きでかつ同じ高さに配置されている。ステント軸方向の連結部5は仮にn列目から(n+1)列目にステント軸方向に移動させて見た時、相互に重なり合うように配置されている。また同じ列の連結部5も同列の上または下にスライドさせて見た時、相互に重なり合うようにステント半径方向に同じ向きに配置されている。また、セル6を構成するストラットの幅は連結部5を構成するストラットの幅よりも大きく形成され、ステント軸方向のセル6と連結部5の高さは同じ高さでなく相互に異なる高さとなるようにずらして配置されている。
【0018】
以上のように本発明のステント1は前記屈曲部12の拡張後の角度θ、セル6のステント軸方向の長さ6Lとステント軸方向の長さ5Lの比率、前記連結部5とセル6の形態、連結部5とセル6のステントの半径方向並びに軸方向の配置(パターン)により、血管へのデリバリー時に、図5に示すようにステント1の径を縮小させた時に、セル6と連結部5がそれぞれお互いにステントの半径方向に立体的に重なることがなく、相互間のステントの半径方向の空間S内に納まるように形成されている。
【0019】
図6及び図8は本発明のステントのその他の実施例を示す平面図(図7及び図9は図6及び図8の一部拡大平面図)である。図6(図7)のステント1Aは、図1のステント1と比較して、(a)セル6Aがステント1Aの軸方向の中心線C2に対して鋭角Xを有する略直線部11Aを屈曲部12Aを介して曲線部13Aと接続することにより構成されている(ステント1は、セル6がステント1の軸方向の中心線C2に対して略水平(略平行)に配置された略直線部11を屈曲部12を介して曲線部13と接続することにより構成されている)点、(b)セル6Aが連結部5Aを介してステント1Aの軸方向に左右対称に配置されている点、(c)ステント1A軸方向のセル6Aは仮にn列目から(n+2)列目に一列置きにステント1Aの軸方向に見た場合、相互に重なり合うように配置されている点等が異なるのみで、その他の各構成部材及びこれらの定義等はステント1と実質的に同じであるから詳細な説明は省略する。
【0020】
また図8(図9)のステントは1Bは、図1、図6(図7)のステント1、1Aと比較して、(a)セル6Bがステント1Bの軸方向の中心線C2に対して鋭角Xを有する略直線部11Bを屈曲部12Bを介してステント1の軸方向の中心線C2に対して略水平(略平行)に配置された略直線部13Bと接続することにより構成されている(ステント1、1Aは、セル6、6Aが略直線部11、11Aを屈曲部12を介して曲線部13、13Aと接続することにより構成されている)点等がステント1、1Aと異なるのみで、(b)セル6Bが連結部5Bを介してステント1Bの軸方向に左右対称に配置されている点及び(c)ステント1B軸方向のセル6Bは仮にn列目から(n+2)列目に一列置きにステント1Bの軸方向に見た場合、相互に重なり合うように配置されている点等はステント1と異なり、ステント1Aと実質的に同じである。その他の各構成部材及びこれらの定義等はステント1、1A実質的に同じであるから詳細な説明は省略する。
【0021】
また本発明の前記図1、6、8に例示したステント1、1A、1Bでは、各環状ユニット4、4A、4Bを構成するセル6、6A、6Bの連結部5、5A、5Bは、ステント1、1A、1Bの半径方向に隙間無く連続して配置されているが、半径方向に少なくとも一個以上の空間を空けて配置(一個置きあるいは一個または二個置きに空間を空けて配置する)ことにより、ステント1、1A、1B全体がより柔軟となり、分岐した血管へのデリバリー性が向上することが期待される。
【0022】
本発明のステント1(1A、1B)はSUS316L等のステンレス鋼、Ti−Ni合金、Cu−Al−Mn合金等の形状記憶合金、チタン合金、タンタル等からなる金属パイプから例えばレーザー加工法等により形成される。またこれらの金属より形成されたステントにウレタン等の高分子材料やヘパリン、ウロキナーゼ等の生理活性物質、アルガトロバン等の抗血栓薬剤を被覆させるのも良い。
【0023】
実施例1
図10に示す略<形状のセル17と略S形状の接続部18からなる構成部19により構成されるステントA(B)において、拡張後の角度の違いによる放射支持力の差を評価するため、円周方向に構成部19の配置数が異なるステントA、Bを製作し放射支持力を評価した。
ステントA:構成部19の配置数 8
セル17のストラット幅 0.12mm
3mm拡張後の1θ角度 60゜
ステントB:構成部19の配置数 6
セル17のストラット幅 0.12mm
3mm拡張後の1θ角度 81゜
放射支持力の評価は、ステントをチャンバー内に配置したシリコンチューブ内にφ3mmまで拡張して留置した後、チャンバー内に空気にて圧力をかけステントの外径変化を測定することにより行った。
【0024】
【表1】
表1に示すように、拡張後の角度の大きいステントBが−0.04mm(外径が0.04mm減少した)で変化量が少なく放射支持力が大きいことが確認できた。
【0025】
実施例2
図1に示すステント1を製作し、放射支持力をステント201、241と比較し、柔軟性をステント201と比較し評価した。放射支持力の評価は実施例1と同じ方法で行い、柔軟性は4点曲げ法にて評価した。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
以上のように、本発明のステント1は表2の結果よりステント201、241より外径変化量が少なく、表3の結果よりステント201より曲げ強度が小さいことが確認できた。したがって本発明のステント1は高い放射支持力と柔軟性を併せ持つステントであることが理解できる。
【0028】
実施例3
ステント1A、1Bも実施例1、2と同様に放射支持力と柔軟性を測定し評価したところ、ステント1と実質的に同様の結果が得られた。
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
実施例4
本発明のステント1、1A及び1Bについて、φ3.0mmに拡張したときのフォーショートニング値を測定した。測定は、拡張前の各ステント長(L1とする)を測定し、φ3.0mmまで拡張した後のステント長(L2)を計測し、全長の縮小率を算出しフォーショートニング値とした。比較例としてステント201、241も測定した。
【0032】
【表6】
表6の結果より、本発明のステント1、1A、1Bは、ステント201、241よりもフォーショートニング値が小さいことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のステントは、高い柔軟性と放射支持力を充分に確保するとともに、血管拡張性を高めフォーショートニング並びにフレアー現象を抑えることができ、医療分野における産業上の利用可能性は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のステントの平面図
【図2】図1の拡大図
【図3】拡張後の本発明のステントの状態を示す拡大図
【図4】セルを構成するストラットの概念図
【図5】血管へのデリバリー時に、ステント1の径を縮小させた時の拡大図
【図6】本発明のステントのその他の実施例を示す平面図
【図7】図6の一部拡大平面図
【図8】本発明のステントのその他の実施例を示す平面図
【図9】図8の一部拡大平面図
【図10】本発明のステントの参考例の拡大図
【図11】従来のステントの平面図
【図12】従来のステントの平面図
【符号の説明】
【0035】
1、1A、1B ステント
4、4A、4B 環状ユニット
5、5A、5B 連結部
6、6A、6B セル
7 略直線部
8 屈曲部
9 接続部
11、11A、11B、13B 略直線部
12、12A、12B 屈曲部
13、13A 曲線部
14、14A 小屈曲部
15 略直線部
17 略<形状のセル
18 略S形状の接続部
19 ステントA、Bにおける構成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管等の生体内に生じた狭窄部の改善に使用されるステントの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
図11、図12は、現在使用されているステント201、241の平面図である(例えば特許文献1を参照。)(なお、図11、図12において、それぞれ(A)は拡張前、(B)は拡張後の平面図を示す。)。
各ステント201、241は次の特徴と課題があった。すなわち、図11のステント201は、環状ユニット204を構成するセル206は3本の直線部207を平行に接続し、各セル206間の湾曲部206Aが他の環状ユニット204を構成するセル206近傍の空間206Bに対向して配置されている構造である。このため適度の放射支持力(ステントを拡張して血管壁に固定した時に、血管壁方向からの外圧に対抗してステントの拡張状態を維持しようとする力)と柔軟性に優れていることが知られている。しかし、Aの部分において拡張時やデリバリー時に血管の屈曲部で曲線を描きながら挿入されるのでセル206の一部が外側突出し引っ掛かり、デリバリーが困難となる場合があった(以下、これをフレアー現象と称する。)。
【0003】
また図12のステント241は、環状ユニット244を構成するセル246は、略<形状ストラット247が連結部245により連結されている構造である。このため放射支持力が強く、拡張時や血管の屈曲部通過時に略<形状ストラット247が外側に反ることがない等の利点を持つが、柔軟性に欠けるという課題があった。これは連結部245に屈曲部が1つであり連結部245の長さも短いことが原因であった。
【0004】
【特許文献1】特表平10−503670号公報(図7〜図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明者らは以上の課題を解決し柔軟性と放射支持力するステントを提供するために鋭意検討を重ねた結果次の発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕本発明は、略管状体に形成されかつ管状体の内部より半径方向に伸張可能なステント(1、1A、1B)であって、複数のセル(6、6A、6B)を上下に連結し、当該複数のセル(6、6A、6B)をステント(1、1A、1B)の中心軸(C1)を取り囲むように複数配列することにより環状ユニット(4、4A、4B)を構成し、複数の前記環状ユニット(4、4A、4B)がステント(1、1A、1B)の軸方向に配置され、前記隣り合う環状ユニット(4、4A、4B)同士は少なくとも一箇所が連結部(5、5A、5B)により連結されるものにおいて、
(1)前記セル(6、6A、6B)は、二つのストラットを有し、当該ストラットを、拡張しうる屈曲部(12,12A、12B)により接続することにより構成され、
(2)前記連結部は、屈曲部を有する略U字形状を有するものであり、当該屈曲部はそれぞれ曲率半径Rを有する孤により形成され、当該Rは、0.05mm以上0.2mm以下であり、
(3)当該連結部は、拡張後も略U字形状を実質的に保持しており、
(4)前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)に対すると前記連結部の全体の長さ(5L’、5AL’、5BL’)の比率を、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)を100とすると前記連結部の全体の長さ(5L’、5AL’、5BL’)を90から130になるように充分大きく形成して、ラジアルフォースを高く維持しながら、ステント自体に柔軟性を付与し、
(5)上記セル(6、6A、6B)と上記連結部の配置において、(i)当該セルの拡張しうる屈曲部(12、12A、12B)により接続されている二つのストラット間、(ii)当該ストラットと当該U字状の連結部間及び(iii)当該U字状の連結部の屈曲部同士間にはそれぞれ半径方向に充分な空間部Sを形成するように配置されており、
ステント(1、1A、1B)の径φを縮小させた時に、セル(6、6A、6B)と連結部(5、5A、5B)がそれぞれお互いにステントの半径方向に立体的に重なることがなく、相互間のステントの半径方向の当該空間部S内に納まるように形成され、セル縮径時の干渉が防止されていることを特徴とするステント(1、1A、1B)を提供する。
【0007】
〔2〕本発明はまた、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)と前記連結部のステント軸方向の長さ(5L、5AL、5BL)の比率を、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)を100とすると前記連結部のステント軸方向の長さ(5L、5AL、5BL)を50から100に形成したことを特徴とする〔1〕に記載のステント(1、1A、1B)を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のステントは高い柔軟性と放射支持力を充分に確保するとともに、血管拡張性を高めフォーショートニング並びにフレアー現象を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明のステントの平面図(図2は図1の拡大図、図3は拡張後の本発明のステントの状態を示す拡大図、図4はセルを構成するストラットの概念図)である。ステント1は略管状体に形成されかつ管状体の内部より半径方向に伸張可能であって、複数のセル6を上下に連結し、これらをステント1の中心軸C1を取り囲むように複数配列することにより環状ユニット4を構成し、複数の前記環状ユニット4がステント1の軸方向に延設され、前記環状ユニット4同士は少なくとも一箇所が連結部5により連結されている。
【0010】
本発明で前記セル6とは、ステント1の表面を構成する模様の一つの構成単位を意味し、図2のように少なくとも一つ以上の鋭角Xを有する屈曲部12を有し、これを介して略直線部11と曲線部13を接続して構成される全ての形態を含む。さらに前記セル6はステント軸方向の中心線C2で上下に区画した場合、中心線C2に対して上下非対称に形成され、屈曲部12の拡張後の角度θを図3のように30゜以上となるように形成している。屈曲部12の拡張後の角度θとは図3のように屈曲部12上の点Oと略直線部11及び曲線部13の点O側に近い略直線部15との間に形成される角度を意味する。セル6は屈曲部12を介して略直線部11と曲線部13を連結することにより構成され、曲線部13は鈍角Yを有する小屈曲部14を2箇所以上形成するのが良い。
【0011】
セル6を構成する略直線部11及び屈曲部12、小屈曲部14を有する曲線部13(略S形状部ともいう)は、ステントの拡張後において中心軸C1に対し垂直に近くなるほうが、ステントの放射支持力が大きくなる。これにより屈曲部12の拡張後の角度θは180゜に近づくほどステントの放射支持力が大きくなることを見出した。すなわちステントの設計においては、少なくともφ2.5mmに拡張した時において、屈曲部12の拡張後の角度θは、少なくとも30゜以上に設計するのが良い。また、これらはセル6の配置数にも関係するため、セル6の半径方向の配置数は、4個以上が好ましい。さらに拡張後の径としてφ3.0mm以上となる場合においては6個以上、好ましくは6個から12個配置するのが良い。またステント軸方向においては10mmあたり3個以上好ましくは4個から8個配置し、ステント拡張の目標径(規格径、例えばφ3.0mm、φ4.0mm)となった時点において、例えば先に述べたように屈曲部12の拡張後の角度θが、少なくとも30゜以上、好ましくは45゜から140゜、より好ましくは45゜から120゜の間に設計するのが良い。目標径において140゜を越えるように設計することは、ステントの放射支持力には有効であるが、屈曲部12の変形量が大きくなり強度に問題が出ること、拡張に伴うステントの全長短縮(フォーショートニング)が大きくなり、ステント留置時の位置決めが困難となる等の問題が起こり好ましくない。
【0012】
また、セル6のストラットの形状はステント軸方向の中心線C2に対して図4(a)のように対称に形成するよりも図4(b)のように非対称に形成するほうがストラット全体の相対的な長さが大きくなり(例えば図4(a)と(b)を比較すると必ず2a<b+cとなる)、ステント自体の拡張性を高めるとともにフォーショートニングの抑制効果を高めることができる。
【0013】
前記連結部5は、例えばステント1では、図1ないし図2に例示するように、少なくとも屈曲部を有する略U字形状を有する。
図1ないし図2の例示では、当該略U字形状が、中央の略直線部7の両側に二個接続されている場合であるが、この略U字形状は、後述する条件(セル6のステント軸方向の長さ6Lに対すると連結部の全体の長さ5L’の比率を、たとえばセル6のステント軸方向の長さ6Lを100とすると連結部の全体の長さ5L’を90から130になるように充分大きく形成すること)を充足すれば一個で十分である。
【0014】
屈曲部8の端部は接続部9を介してそれぞれ異なる環状ユニット4を構成する前記セル6の端部と接続されている。前記連結部5は前記セル6の両端に左右非対称に接続されている。連結部5は略直線部7と屈曲部8を合わせた全体の長さが1mm以上で長いほど柔軟性は向上すると考えられ良いが、長くすると比例してたとえば略S形状の連結部5が大きくなり、当該ステントをバルーンカテーテルにマウントする時(バルーンカテーテル上で若干ステントの径を縮小することがある)や、血管の屈曲部通過時にステント血管に沿って湾曲した時に、上下の連結部5が干渉しあい、逆に柔軟性を損なうこととなる。そのため、全体の長さが1mm以上、好ましくは1mmから2mmが良い。さらに屈曲部8を構成する弧のR(曲率半径)も上述の理由により、R=0.05mm以上、好ましくは0.05mmから0.2mmに形成するのが良い。
【0015】
さらに本発明では前記セル6のステント軸方向の長さ6Lと前記連結部5のステント軸方向5の長さ方向5Lの比率を、6Lを100とすると5Lを50から100に形成するのが好ましいが設計の都合上、50から90に形成するのが良い。さらに前記セル6のステント軸方向の長さ6Lと前記連結部5の略直線部7と屈曲部8を合わせた全体の長さ5L’の比率を、6Lを100とすると5L’を50から150、好ましくは60から130、より好ましくは80から130、さらに好ましくは90から130、より一層好ましくは90から110に形成するのが好ましい。これらによりステントの拡張後やデリバリー時のフレアー現象を抑制するとともにラジアルフォースを高く維持しかつステント自体に柔軟性を付与することができる。
【0016】
本発明のステント1のパターンの特徴は次のとおりである。セル6は連結部5を介してステント軸方向に非対称に配置されているがステント軸方向に同じ向きで同じ高さに配置されている。ステント軸方向のセル6は仮にn列目から(n+1)列目にステント軸方向に移動させて見た時、相互に重なり合うように配置されている。また同じ列のセル6も同列の上または下にスライドさせて見た時、相互に重なり合うようにステント半径方向に同じ向きに配置されている。ここで略直線部11は、中心線C2に対し略水平(略平行)であるが、屈曲部12の拡張後の角度θが30゜未満とならない範囲で若干角度をつけ斜めにしても良い。
【0017】
連結部5もセル6を介してステント軸方向に非対称に配置されているが、ステント軸方向に同じ向きでかつ同じ高さに配置されている。ステント軸方向の連結部5は仮にn列目から(n+1)列目にステント軸方向に移動させて見た時、相互に重なり合うように配置されている。また同じ列の連結部5も同列の上または下にスライドさせて見た時、相互に重なり合うようにステント半径方向に同じ向きに配置されている。また、セル6を構成するストラットの幅は連結部5を構成するストラットの幅よりも大きく形成され、ステント軸方向のセル6と連結部5の高さは同じ高さでなく相互に異なる高さとなるようにずらして配置されている。
【0018】
以上のように本発明のステント1は前記屈曲部12の拡張後の角度θ、セル6のステント軸方向の長さ6Lとステント軸方向の長さ5Lの比率、前記連結部5とセル6の形態、連結部5とセル6のステントの半径方向並びに軸方向の配置(パターン)により、血管へのデリバリー時に、図5に示すようにステント1の径を縮小させた時に、セル6と連結部5がそれぞれお互いにステントの半径方向に立体的に重なることがなく、相互間のステントの半径方向の空間S内に納まるように形成されている。
【0019】
図6及び図8は本発明のステントのその他の実施例を示す平面図(図7及び図9は図6及び図8の一部拡大平面図)である。図6(図7)のステント1Aは、図1のステント1と比較して、(a)セル6Aがステント1Aの軸方向の中心線C2に対して鋭角Xを有する略直線部11Aを屈曲部12Aを介して曲線部13Aと接続することにより構成されている(ステント1は、セル6がステント1の軸方向の中心線C2に対して略水平(略平行)に配置された略直線部11を屈曲部12を介して曲線部13と接続することにより構成されている)点、(b)セル6Aが連結部5Aを介してステント1Aの軸方向に左右対称に配置されている点、(c)ステント1A軸方向のセル6Aは仮にn列目から(n+2)列目に一列置きにステント1Aの軸方向に見た場合、相互に重なり合うように配置されている点等が異なるのみで、その他の各構成部材及びこれらの定義等はステント1と実質的に同じであるから詳細な説明は省略する。
【0020】
また図8(図9)のステントは1Bは、図1、図6(図7)のステント1、1Aと比較して、(a)セル6Bがステント1Bの軸方向の中心線C2に対して鋭角Xを有する略直線部11Bを屈曲部12Bを介してステント1の軸方向の中心線C2に対して略水平(略平行)に配置された略直線部13Bと接続することにより構成されている(ステント1、1Aは、セル6、6Aが略直線部11、11Aを屈曲部12を介して曲線部13、13Aと接続することにより構成されている)点等がステント1、1Aと異なるのみで、(b)セル6Bが連結部5Bを介してステント1Bの軸方向に左右対称に配置されている点及び(c)ステント1B軸方向のセル6Bは仮にn列目から(n+2)列目に一列置きにステント1Bの軸方向に見た場合、相互に重なり合うように配置されている点等はステント1と異なり、ステント1Aと実質的に同じである。その他の各構成部材及びこれらの定義等はステント1、1A実質的に同じであるから詳細な説明は省略する。
【0021】
また本発明の前記図1、6、8に例示したステント1、1A、1Bでは、各環状ユニット4、4A、4Bを構成するセル6、6A、6Bの連結部5、5A、5Bは、ステント1、1A、1Bの半径方向に隙間無く連続して配置されているが、半径方向に少なくとも一個以上の空間を空けて配置(一個置きあるいは一個または二個置きに空間を空けて配置する)ことにより、ステント1、1A、1B全体がより柔軟となり、分岐した血管へのデリバリー性が向上することが期待される。
【0022】
本発明のステント1(1A、1B)はSUS316L等のステンレス鋼、Ti−Ni合金、Cu−Al−Mn合金等の形状記憶合金、チタン合金、タンタル等からなる金属パイプから例えばレーザー加工法等により形成される。またこれらの金属より形成されたステントにウレタン等の高分子材料やヘパリン、ウロキナーゼ等の生理活性物質、アルガトロバン等の抗血栓薬剤を被覆させるのも良い。
【0023】
実施例1
図10に示す略<形状のセル17と略S形状の接続部18からなる構成部19により構成されるステントA(B)において、拡張後の角度の違いによる放射支持力の差を評価するため、円周方向に構成部19の配置数が異なるステントA、Bを製作し放射支持力を評価した。
ステントA:構成部19の配置数 8
セル17のストラット幅 0.12mm
3mm拡張後の1θ角度 60゜
ステントB:構成部19の配置数 6
セル17のストラット幅 0.12mm
3mm拡張後の1θ角度 81゜
放射支持力の評価は、ステントをチャンバー内に配置したシリコンチューブ内にφ3mmまで拡張して留置した後、チャンバー内に空気にて圧力をかけステントの外径変化を測定することにより行った。
【0024】
【表1】
表1に示すように、拡張後の角度の大きいステントBが−0.04mm(外径が0.04mm減少した)で変化量が少なく放射支持力が大きいことが確認できた。
【0025】
実施例2
図1に示すステント1を製作し、放射支持力をステント201、241と比較し、柔軟性をステント201と比較し評価した。放射支持力の評価は実施例1と同じ方法で行い、柔軟性は4点曲げ法にて評価した。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
以上のように、本発明のステント1は表2の結果よりステント201、241より外径変化量が少なく、表3の結果よりステント201より曲げ強度が小さいことが確認できた。したがって本発明のステント1は高い放射支持力と柔軟性を併せ持つステントであることが理解できる。
【0028】
実施例3
ステント1A、1Bも実施例1、2と同様に放射支持力と柔軟性を測定し評価したところ、ステント1と実質的に同様の結果が得られた。
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
実施例4
本発明のステント1、1A及び1Bについて、φ3.0mmに拡張したときのフォーショートニング値を測定した。測定は、拡張前の各ステント長(L1とする)を測定し、φ3.0mmまで拡張した後のステント長(L2)を計測し、全長の縮小率を算出しフォーショートニング値とした。比較例としてステント201、241も測定した。
【0032】
【表6】
表6の結果より、本発明のステント1、1A、1Bは、ステント201、241よりもフォーショートニング値が小さいことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のステントは、高い柔軟性と放射支持力を充分に確保するとともに、血管拡張性を高めフォーショートニング並びにフレアー現象を抑えることができ、医療分野における産業上の利用可能性は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のステントの平面図
【図2】図1の拡大図
【図3】拡張後の本発明のステントの状態を示す拡大図
【図4】セルを構成するストラットの概念図
【図5】血管へのデリバリー時に、ステント1の径を縮小させた時の拡大図
【図6】本発明のステントのその他の実施例を示す平面図
【図7】図6の一部拡大平面図
【図8】本発明のステントのその他の実施例を示す平面図
【図9】図8の一部拡大平面図
【図10】本発明のステントの参考例の拡大図
【図11】従来のステントの平面図
【図12】従来のステントの平面図
【符号の説明】
【0035】
1、1A、1B ステント
4、4A、4B 環状ユニット
5、5A、5B 連結部
6、6A、6B セル
7 略直線部
8 屈曲部
9 接続部
11、11A、11B、13B 略直線部
12、12A、12B 屈曲部
13、13A 曲線部
14、14A 小屈曲部
15 略直線部
17 略<形状のセル
18 略S形状の接続部
19 ステントA、Bにおける構成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略管状体に形成されかつ管状体の内部より半径方向に伸張可能なステント(1、1A、1B)であって、複数のセル(6、6A、6B)を上下に連結し、当該複数のセル(6、6A、6B)をステント(1、1A、1B)の中心軸(C1)を取り囲むように複数配列することにより環状ユニット(4、4A、4B)を構成し、複数の前記環状ユニット(4、4A、4B)がステント(1、1A、1B)の軸方向に配置され、前記隣り合う環状ユニット(4、4A、4B)同士は少なくとも一箇所が連結部(5、5A、5B)により連結されるものにおいて、
〔1〕前記セル(6、6A、6B)は、二つのストラットを有し、当該ストラットを、拡張しうる屈曲部(12,12A、12B)により接続することにより構成され、
〔2〕前記連結部は、屈曲部を有する略U字形状を有するものであり、当該屈曲部はそれぞれ曲率半径Rを有する孤により形成され、当該Rは、0.05mm以上0.2mm以下であり、
〔3〕当該連結部は、拡張後も当該略U字形状を実質的に保持しており、
〔4〕前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)に対すると前記連結部の全体の長さ(5L’、5AL’、5BL’)の比率を、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)を100とすると前記連結部の全体の長さ(5L’、5AL’、5BL’)を90から130になるように充分大きく形成して、ラジアルフォースを高く維持しながら、ステント自体に柔軟性を付与し、
〔5〕上記セル(6、6A、6B)と上記連結部の配置において、(i)当該セルの拡張しうる屈曲部(12、12A、12B)により接続されている二つのストラット間、(ii)当該ストラットと当該U字状の連結部間及び(iii)当該U字状の連結部の屈曲部同士間にはそれぞれ半径方向に充分な空間部Sを形成するように配置されており、
ステント(1、1A、1B)の径φを縮小させた時に、セル(6、6A、6B)と連結部(5、5A、5B)がそれぞれお互いにステントの半径方向に立体的に重なることがなく、相互間のステントの半径方向の当該空間部S内に納まるように形成され、セル縮径時の干渉が防止されていることを特徴とするステント(1、1A、1B)。
【請求項2】
前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)と前記連結部のステント軸方向の長さ(5L、5AL、5BL)の比率を、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)を100とすると前記連結部のステント軸方向の長さ(5L、5AL、5BL)を50から100に形成したことを特徴とする請求項1に記載のステント(1、1A、1B)。
【請求項1】
略管状体に形成されかつ管状体の内部より半径方向に伸張可能なステント(1、1A、1B)であって、複数のセル(6、6A、6B)を上下に連結し、当該複数のセル(6、6A、6B)をステント(1、1A、1B)の中心軸(C1)を取り囲むように複数配列することにより環状ユニット(4、4A、4B)を構成し、複数の前記環状ユニット(4、4A、4B)がステント(1、1A、1B)の軸方向に配置され、前記隣り合う環状ユニット(4、4A、4B)同士は少なくとも一箇所が連結部(5、5A、5B)により連結されるものにおいて、
〔1〕前記セル(6、6A、6B)は、二つのストラットを有し、当該ストラットを、拡張しうる屈曲部(12,12A、12B)により接続することにより構成され、
〔2〕前記連結部は、屈曲部を有する略U字形状を有するものであり、当該屈曲部はそれぞれ曲率半径Rを有する孤により形成され、当該Rは、0.05mm以上0.2mm以下であり、
〔3〕当該連結部は、拡張後も当該略U字形状を実質的に保持しており、
〔4〕前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)に対すると前記連結部の全体の長さ(5L’、5AL’、5BL’)の比率を、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)を100とすると前記連結部の全体の長さ(5L’、5AL’、5BL’)を90から130になるように充分大きく形成して、ラジアルフォースを高く維持しながら、ステント自体に柔軟性を付与し、
〔5〕上記セル(6、6A、6B)と上記連結部の配置において、(i)当該セルの拡張しうる屈曲部(12、12A、12B)により接続されている二つのストラット間、(ii)当該ストラットと当該U字状の連結部間及び(iii)当該U字状の連結部の屈曲部同士間にはそれぞれ半径方向に充分な空間部Sを形成するように配置されており、
ステント(1、1A、1B)の径φを縮小させた時に、セル(6、6A、6B)と連結部(5、5A、5B)がそれぞれお互いにステントの半径方向に立体的に重なることがなく、相互間のステントの半径方向の当該空間部S内に納まるように形成され、セル縮径時の干渉が防止されていることを特徴とするステント(1、1A、1B)。
【請求項2】
前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)と前記連結部のステント軸方向の長さ(5L、5AL、5BL)の比率を、前記セル(6、6A、6B)のステント軸方向の長さ(6L、6AL、6BL)を100とすると前記連結部のステント軸方向の長さ(5L、5AL、5BL)を50から100に形成したことを特徴とする請求項1に記載のステント(1、1A、1B)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−26428(P2006−26428A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244030(P2005−244030)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【分割の表示】特願2001−205598(P2001−205598)の分割
【原出願日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願人】(000200035)川澄化学工業株式会社 (103)
【出願人】(504184721)株式会社日本ステントテクノロジー (28)
【出願人】(503229454)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【分割の表示】特願2001−205598(P2001−205598)の分割
【原出願日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願人】(000200035)川澄化学工業株式会社 (103)
【出願人】(504184721)株式会社日本ステントテクノロジー (28)
【出願人】(503229454)
【Fターム(参考)】
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