説明

ステンレス鋼用超音波フェーズドアレイ装置および方法

検討される構成および方法は、ステンレス鋼材料、特に、到達困難な位置のステンレス鋼材料の非破壊超音波検査を対象とし、ここで、フェーズドアレイプローブが、縦波を使用して操作され、プローブは、ビーム角度が変更される場合、実質的に完全な超音波範囲を提供する角度でさらに操作される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年1月21日に出願された、参照により本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第60/646,038号明細書に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野は、超音波検査であり、特に、ステンレス鋼の到達困難な溶接部の検査に関する。
【背景技術】
【0003】
ステンレス鋼溶接領域は、オーステナイト溶接金属で通常発見される比較的大きな異方性粒子が、超音波ビームをしばしば曲げるおよび/または散乱させるため、超音波検査(UT)を使用して検査することが通常困難である。通常、そのような悪影響は、モード変換と、異なる方向および異なる位置の粒子間での音速の変化によって生成されるビーム減衰との組み合わせである。
【0004】
モード変換は、UTにおいて一般的な作用であり、超音波ビームが、ある傾斜角で、異なる音速の2つの材料間の界面に当たる場合、しばしば発生する。ビームが界面に作用する場合、ビームは、異なるモードおよび異なる波分類(例えば、縦波、横波および表面波)の反射され屈折されたビームに分割される。モード変換は、通常、入射ビームを分割して、その強度を低減し、誤った表示を生成する可能性がある望まれない反射光を生成する。
【0005】
さらに、モード変換を生成するステンレス鋼の異方性特質は、ビームひずみの一因ともなり、超音波ビームが材料を移動する場合、超音波ビームの減衰および散乱を引き起こす可能性がある。超音波ビームが、材料を通って熱を発生する場合、減衰とは、一般的に、音響エネルギーの吸収をいう。音が吸収される場合、信号対雑音比が低減され、信号とバックグラウンドノイズとを区別することを困難にする。信号散乱は、主超音波ビームからの少量の音響エネルギーの偏向である。偏向は、粒子境界、介在物および欠陥(散乱は、粒子サイズと超音波波長との関係に高く依存する)などの材料中での音波ビームと不連続との相互作用の結果である。UTを使用してステンレス鋼溶接領域を検査する場合、減衰とビーム散乱の両方は、よく認識された問題である。
【0006】
モード変換およびビームひずみの影響の少なくとも一部は、適切なプローブおよび分析技術を使用して取り組まれ、最小限にされ得る。例えば、低周波数プローブを使用して減衰の望まれない影響を低減することが知られている。しかし、低周波数を使用すると、通常、感度および分解能の低減がもたらされる。散乱による低信号対雑音比は、集束プローブを使用することにより緩和可能である。集束されたビームが、標準双晶プローブと共に使用される場合、そのようなプロセスは、多くの場合、異なる角度および異なる焦点の多数のプローブを必要とするため、検査時間が大幅に増大する問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、ステンレス鋼のUTに関連する問題の一部は、少なくともある程度克服される可能性がある一方、そのような改良のすべてまたはほとんどすべては、高度に熟練した専門家、および/またはUT時間の著しい増大を必要とする。したがって、多数のUT法および装置は、当分野で知られている一方、それらのすべてまたはほとんどすべては、1つまたは複数の不都合を受ける。したがって、改良された超音波検査装置および方法を提供する必要が今もなおある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、縦波を使用しながらビーム角度を変化することによって、到達困難な領域の実質的に完全な超音波検査を可能とするのに十分なプローブ角度でフェーズドアレイプローブが使用される、超音波検査のための構成および方法を対象とする。
【0009】
したがって、本発明の対象の一態様では、ステンレス鋼材料を検査する方法は、超音波フェーズドアレイプローブが準備される1つのステップを有し、ビーム角度を変えるようにプローブが操作され、プローブは、さらに、縦波モードで操作される。別のステップでは、縦波モードでビーム角度を変化することによって、表面より下の材料の実質的にすべてが走査可能な角度で、プローブは検査されるステンレス鋼材料の表面上に設置される。
【0010】
本発明の対象の他の態様では、ステンレス鋼材料の溶接において潜在的欠陥を検出することを人に指示する方法は、超音波フェーズドアレイプローブを使用するために情報が提供されるステップであり、ビーム角度を変えることが可能なようにプローブが構成および操作されるステップを含む。他のステップでは、縦波モードでプローブを操作するために情報が提供される。さらに他のステップでは、縦波モードでビーム角度を変化させることによって、表面より下の材料の実質的にすべてが走査可能な角度で、プローブをステンレス鋼材料の表面上に設置するために情報が提供され、さらなるステップでは、プローブを操作して、ステンレス鋼材料の潜在的欠陥を走査するために情報が提供される。
【0011】
ビーム角度は、20度〜70度で変わることが最も好ましく、一方、プローブ角度は、60度〜80度である。通常、表面より下の検査される材料は、分岐接続継手(例えば、傾斜角がつけられた出口継手と固定鋳造ヘッダーおよび/または改良ティーとの間で)、および/または完全溶込みグルーブ溶接を含み、さらに隅肉強化材を含み得る。他の材料の中で、検討される材料としては、高圧用途(つまり、少なくとも100psia)および/または高温操作(つまり、300℃より高い)に適したものが挙げられる。一般に、そのような材料としては、様々なステンレス鋼や他の合金材料が挙げられる。
【0012】
したがって、検討される方法で検知可能な欠陥としては、特に、パイプライン、ボイラーなどを含めて、工業的用途用材料(および特に溶接)において、亀裂、溶融不良、不完全浸透、アンダーカット、表面多孔性、および露出されたスラグ巻き込みが挙げられ、ここで、欠陥は、25mm以下または少なくとも25mmの深さで、より通常、30mm以下または少なくとも30mmの深さで検知されてもよい。
【0013】
本発明の様々な目的、特徴、態様および利点は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明者らは、焦点および/または焦点位置の所定位置を考慮するように、複数の送信素子が同等に制御されるフェーズドアレイプローブを使用することにより、UTが著しく改良され得ることを発見した。フェーズドアレイプローブは、縦波を使用して操作され、検査される材料全体にわたる超音波ビームの実質的に完全なスイープを可能とする表面に対してプローブ角度を有することが最も好ましい。したがって、最も通常、フェーズドアレイプローブは、ビーム角度が実質的に変わることが可能なように操作される。
【0015】
単一送信素子を有する知られている超音波プローブ間の例となる比較が、図1に示される。左側に単結晶、右側に多素子プローブが示される。単結晶プローブは、固定焦点を有し、十分な後方反射を提供する方向での探傷に限定される。対照的に、本明細書で検討される多素子プローブは、それらの焦点を調節することができ、超音波ビームを向けて、ほとんどの方向および深さの亀裂を検知し大きさを測定する。個々の素子が互いに制御される位相で操作されるため、プローブおよび方法が検討された検査は、UT−PA(フェーズドアレイ超音波検査)ともいう。別の観点から見て、UT−PA技術は、同期して操作できる音波を開発するために、独立して制御される多数の圧電素子の配列に基づく。
【0016】
図2は、個々の素子間で制御された遅延の結果、例として生じる波形および方向を示す。上の図において、素子の操作遅延が、外部素子から中心素子に増加して、集束ビームをもたらし、一方、下の図において、左側の素子から右側の素子に、非線形に遅延が増加して、角度のあるビームをもたらす。UT−PAのそのように向上した性能は、より良好なサイジング特性およびマッピング特性を有するより高い分解能を提供することが認識されるべきであり、それは、従来のUT法を使用する場合に必要な時間の何分の1かで行うことができる。さらに、検討される技術は、分岐接続継手および隅肉強化材を有する完全溶込みグルーブ溶接を含めて、アクセス困難な溶接に対して溶接部の完全性の検査を可能とすることも評価されるべきである。溶接部のこれらの種類の検査は、発電施設、石油施設およびガス施設、特に、高圧、高温および腐食環境下で操作するものに必要である。
【0017】
歴史的に、溶接部の外観検査および放射線透過検査(RT)が使用されていたが、これらの方法は、高価で、時間がかかり、多くの場合、新規のUT−PA法の利点とマッチさせることができない。本明細書で概して検討されるUT−PA法は、従来のUTより必要とする時間が少なく、RTほど有害でなく、100%体積検査を可能とする。本明細書で検討されるUT−PAの他の利点は、今後、欠陥伝播を追跡するための瞬間デジタル検査記録の使用容易性、精度の向上および進歩が挙げられる。
【0018】
本発明者らは、他の材料は別にして、フェーズドアレイ超音波が、鋳造ステンレス鋼、特に、ASTM A608改良20Cr−32Ni−Nbステンレス鋼の検査に適する技術を示すことが分かった。検討される方法および装置を使用することによって、分岐接続継手およびグルーブ溶接などのアクセスすることが困難な領域の溶接完全性が、非破壊的に検査することができる。この安全で、使いやすく、効率的な技術は、溶接体積の100%に適用することができ、瞬間デジタル結果と共に、溶接および検査方法を提供する。本UT−PA法は、また、潜在的な問題領域に焦点を合わせる簡単なコスト効率の高い方法を提供し、このように、高価な修理の必要性を低減する。対照的に、大半の従来のUTは、アクセス困難な領域のすべてにおいて連続的に実行することができない。アクセス困難な領域の非破壊検査の他の方法は、ユーザを様々な危険(例えば、放射線、化学薬品など)にさらす目視確認や比較的高価な試験方法を必要とする。
【0019】
本明細書で検討されるUT−PA法と他の検査方法との比較が、以下の表1に示され、ここで、UT−TOFDは、飛行時間検知超音波検査という。検知(POD)結果の可能性は、オランダの溶接研究所の調査からである。
【表1】

【実施例】
【0020】
以下の実施例は、ASTM A608改良20Cr32Ni−Nb固定鋳造ヘッダーとHP45改良ティーの両方へのASTM B564出口継手の分岐接続において、本発明の対象による非破壊UT−PA技術の種々の態様について記載する。実施例において、強化された継手に関して正確で速い検査結果が得られた。典型的な単一溶接接続部は、図3に示され、それは、UT−PAを使用して検査される分岐接続部の代表である。
【0021】
検査中の設備の継手および材料としては、(1)ASME B16.25、ID=28.5mm、最大OD=89.5mmおよび平均肉厚t=30.5mmの斜面設計および寸法のUNS N08811 ASTM B564 MSS SP−97−2001出口継手、(2)ID=279.4mm、肉厚t=38.1mmのASTM A608改良20Cr−32Ni−Nbパイプヘッダー、および(3)HP45改良ティーであった。
【0022】
パイプ壁構成が、従来のRT法による検査を非常に困難にし、多大な時間を必要とする位置に、溶接部がある可能性があるため、分岐接続部に関する溶接完全性を検討する際に、建設現場でかなりの困難性によく突き当たる。さらに、特に、サンプル放射線透過検査が好ましくない結果を提供する場合、代替の試験方法が、非常に望まれた。コードは、分岐接続部を、「ランパイプに溶接され、MSS SP−97に一致する分岐出口継手を含めて、接合溶接、ソケット溶接、ねじ式またはフランジ接合によって分岐管に接続された一体的に強化された継手」として定義する。RT検査について、これは、溶接許容基準が、いかなる亀裂、溶融不良、不完全浸透、アンダーカット、表面多孔性または露出されたスラグ巻き込みを有することを認めないことを意味する。
【0023】
RTサンプル試験中に、合計25の出口継手が、二重壁露光法で検査された。欄「周囲の長さ、留め継ぎ溝および分岐接続部」下のB31.3表341.3.2分類M流体のように、6(24%)が不良品であった。この種の二重壁露光を行うことに関連した課題は、含まれる広範囲な時間および努力に関係があった(完全な接続部を検査するために約6時間)。例えば、検査される600を超える分岐接続部で、RT法は、作業員がノンストップに働いて完成するために5か月を超えて必要とした。本明細書に提示された新しいフェーズドアレイ技術は、10日間の仕事で検査を遂行することにより、非常に望ましい代案であることが証明された。別のRT検査は、単壁露光技術を使用した。この技術は、接続構成およびパイプ壁のサイズによるある位置で許容された。これらの検査結果は、検査されたサンプル45のうち、合計29の不良品の接続部を示し、64.4%の不良品発生率である。しかし、これらの溶接に関する「形状不鮮明度」の要因は、2インチ未満の材料厚みに関して、セクションV、第2条、段落T−274.2に準拠してなかった。
【0024】
UT−PAの使用のために検討すべき2つの主な問題があった。1つは、コードに対するUT−PA技術の準拠であり、もう1つは、溶接構成に現在利用可能なツールのためのその適用可能性であった。設計条件は、1標準平方インチ当たり485psigの圧力および1625°F(885℃)の温度を必要とする。設計は、一般的な精製所施設およびASME B31.3プロセス配管のためのAPI 560加熱炉に基づいた。RTを使用するこれらの溶接用許容基準は、ASMEコードB31.3表341.3.2に入った。ASMEVIII圧力容器コード、ケース2235−6は、「RTの代わりのUTの使用」を可能とし、API−560およびB31.3の記載は、UT検査を支持した。API−560コード、段落14.2.2.7は、「溶接または材料構成が、放射線検査を解釈することを困難にし、ノズル溶接などを行うことが不可能とする場合、超音波検査で代用してもよい」と記載する。さらに、ASME B31.3コード、段落341.5.3、不確実性を解決する検査は、「いかなる方法も疑わしい表示を解決するために使用されてもよい」と記載する。
【0025】
較正
UT−PA装置を較正するために、実際の出口継手サンプルは、「較正ブロック」として得られ使用された。図4は、較正のためのこれらのサンプルの使用を示す。側面に開けられた穴を有する較正片は、溶接された分岐からティー接続サンプルに準備された。このサンプルは、溶接準備、プロセスおよび熱処理の点から、検討されるすべての接続の代表である。図5に示されるように、R/D TechOmniscan機器は、ほとんどのステンレス鋼の用途に適する5.0MHzで16の素子プローブおよびウルトラゲル接触媒質と共に使用された。UT−PA技術は、CGSB UTレベルIIまたはSNT UTレベルIIで適切であり、単に結果のスクリーン上の処理前に2、3日間のトレーニングを必要とするのみである。技術に関するサンプル出力は、図6に示されている。
【0026】
選択されたプローブ角度が、予期された欠陥方向に適切であるべきことに留意されたい。したがって、超音波ビームの入射角が、最大のエコー振幅に垂直の欠陥にあたることが好ましい。しかし、欠陥方向が、あらかじめ知られていない場合、この適切なプローブ角度の決定は困難である。この状況について、溶接は、出口継手の平坦面から走査された。本明細書で使用される最も一般なプローブ角度は、5度〜85度、より一般的には25度〜80度、最も一般には60〜80度である。
【0027】
一般に、横(ねじれ)波長だけが、溶接検査のために一般に可能である。しかし、そのようなパラメーターが、実行可能でなくおよび/または実現可能でない場合には、必要な部分の走査幅が達成可能なように、縦(直線)波長を使用することが可能であることが認識されるべきである。ねじれ波は、縦波のおよそ半分の波長を有し、単に、30〜35度の範囲角度に広げることができる。対照的に、縦波は、図4(「較正ブロック」としてUT−PA機器に使用されるサンプル接続)での例証の2倍に広げることができる。したがって、縦波を使用して、10度から80度の扇形範囲、およびより通常には、20度から75度が達成可能であることが認識されるべきである。適切なプローブ角度と結合して、走査された領域の実質的に完全な範囲が達成可能である。本明細書で使用される用語「実質的に完全」および「実質的にすべて」は、少なくとも90%、より通常には少なくとも95%、最も通常には少なくとも97%〜100%をいう。走査は、超音波ビームの1度の増分でプログラムされ、0.8mmの角分解能を有していた。
【0028】
溶接材料の粒子は、ASTM E−112−96表4(部分は、構造および溶接溶融面を示すために溶接軸に垂直に切断された)に基づいて、8の平均サイズであることが分かった。穴は、溶融部にそれぞれ開けられた。溶融部および溶接材料を介して正確に較正する目的は、溶接構造の影響を補うことであった。図6は、最大振幅が検知された接続部の位置からのスクリーン図を示し、配列の範囲を示し、それは、この用途のために20〜75度である。また、それは、最大エネルギーが、表示から反射された角度、67度の縦波を表示する。スクリーン深さの規模は、溶接された接続部上でプローブの位置に依存して、テーパーが距離に影響するため、欠陥深さを決定するために使用することができない。同様に、溶接材料の速度変化は、これをあまり正確でなくすることが可能である。しかし、OD表面からの推定された距離は、結果の表に付与され、それは、表示が配列内のどこに現われるかに基づく。報告された表示の比較的短い音響経路に基づいて、それらは、接続部の溶接された側の溶接ゾーンに位置されると考えられる。欠陥サイズは、目標で、配列(約10〜12mm)の断面に基づいて推定される。推定サイズは、直接、比例して画像から得られる。
【0029】
感度は、側面に開けられた穴の大きさによって主に決まり、30.5mmの溶接厚みのためのB31.3条件にしたがって、1/8インチ(3.2mm)の直径である。感度較正は、表示を測定するために、感度の追加の6dBで走査して、1/8インチの直径の穴上で実行された。表示とデータ収集の評価については、追加の6dBは取り除かれた。
【0030】
UT−PAとRTとの相関性
ASME B31.3コード、段落344.6.2の超音波許容基準によれば、表示の振幅が基準面を超え、その長さが10.2mmを超える場合、線形タイプの不連続は許容されない。これは、0.2mmの測定不確実性がある分野の用途用の10mmの長さに等しい。その結果、表示は、2つの基準を超えなければならなかった。まず、欠陥は、全体のスクリーン高さにわたって80%以上を表示されなければならず、次に、欠陥は、不良品と考えられるために、10mm以上でなければならない。
【0031】
10.2mmの長さが、文字「F」=T/3からもたらされ、ここで、Tが、溶接によって連結された最も薄い構成要素の名目上の肉厚である。線形タイプの不連続のために、表示の振幅が基準面を超え、その長さが19〜57mmの厚みのT/3を超える場合(検討される実際の厚みは30.5mmであった)、サンプルは、不良品と考えられる(ASMEセクションVIII部門Iは、許容基準に関しての主コードとしてとられ、次いで、基準は、ASME B31.3と同じになっているべきである)。
【0032】
RTとUT−PAとの相関性の試みが、25の分岐接続部のサンプルで達成された。これは、信号、またはある場合には、UT−PAがRTより多くの欠陥を見つけたという証拠を提供する表示の100%の相関性をもたらした。厳密なコード基準が、これら25の接続部に適用された場合、UT−PAは、8%を越えるRT(RTの20%に比較してUT−PAの28%)を不良品とした。B31.3段落344.6.2によって規定されるように、UT−PA不良品は、欠陥の長さに基づいたことに留意すべきであり、一方、B31.3表344.3.2によって示されるように、RT不良品は、欠陥の長さおよび欠陥の幅に基づいた。したがって、UT−PA法で他のすべての溶接を検査し続けることに決めた。UT−PA法およびRT法に関する相関性検査のデータサンプルは、図9および図11に示される。
【0033】
UT−PAとRTとの相関性の分析から、欠陥の位置およびサイジングに基づいて、UT−PAの効率および正確さの証拠が提供された。表2は、使用される両方の検査方法の特性を要約する。
【表2】

【0034】
UT−PAの結果
本明細書に提示されたUT−PA法は、合計100より多い接続部が、検査された600を超える許容基準を満足せずに、20.5%の不良品発生率を示した。分岐上に約100の出口継手およびティー位置上に約30の継手があった。
【0035】
不良品発生の理由となる欠陥を有する、検査され特定された接続部に加えて、完全な走査は、任意の表示ですべての接続部で要求され行われた。不良品発生接続部だけが、修理または交換された。不良品が発生しなかった10mm未満の長さを有する合計442の接続部があった。これらの特定された表示は、同一のUT−PA技術を使用して、今後監視されるであろう。その時、将来の超音波の結果は、このUT−PA検査中に得られた記録と照合されるであろう。したがって、欠陥の挙動または伝播は、特定することができ、したがって、修理または置換のために対策が必要とされる。
【0036】
このため、多数の長所および利点が、本明細書に提示されるようなUT−PA法を使用して達成されることは認識されるべきである。特に、UT−PA技術は、電子ビーム操作および焦点を合わせることを可能にして、強化された分岐接続部の45度のテーパー領域などの限定された走査表面から溶接領域を被覆する。さらに、検討される技術は、100%の体積評価を提供し、デジタルの結果は、表示の断面画像および集められたデータの永久記録を提供する。さらに、UT−PAは、RTと比較してより速い結果を付与し、特に厚い壁のために、通常、相当な現像および露光時間を必要とする。さらに、UT−PAは、ほとんどの金属溶接および金属材料において良好な検査結果を達成し、使いやすく、検査を行う人に対して危険性はない。
【0037】
上記分析された複合溶接は、重い壁接合溶接および析出硬化固定高合金鋳造を有するHP45改良金属を含むヘッダー溶接に対する強化継手を含み、それらは、検査することが比較的困難であった(ある場合には、プローブ角度は、約70度まで修正される必要があり、波形が縦波に変更されて、ルートと充てん量の両方を得るために必要な範囲およびエネルギーを得られた)ことが特に評価されるべきである。したがって、特に、重く薄い壁HP45からの優れた結果に基づいて、UT−PAも、多数の他の金属および合金、特に、炭素鋼、低合金およびステンレス鋼に適すると考えられることが認識されるべきである。さらに、検討される材料のための様々の他の使用の中で、UT−PAは、スタブイン、スタブオンおよび圧力容器および設備に対する出口タイプの接続溶接の検査には特に有利であると考えられる。
【0038】
このように、UT−PAが、RTが使用することができない検査の信頼できる方法であることが認識されるべきである。例えば、新しいUT−PA技術は、将来の予防維持を容易に読み込み支持する記録の優れた提示と共に、より多くの詳細な結果を提供する。さらに、トレーニングおよび解釈結果と関連してコストが最小となり、コードコンプライアンスは、他のRT法でよりも大きな確実性で達成され得る。
【0039】
したがって、本発明者らは、ステンレス鋼材料を検査する方法を検討し、その方法は、超音波フェーズドアレイプローブが提供される1ステップを有し、ここで、プローブは、ビーム角度が変えられるように操作され、プローブは、さらに、縦波モードで操作される。別のステップで、縦波モードでビーム角度を変化することによって、表面より下の材料の実質的にすべてを走査することが可能な角度で、プローブは、検査されるステンレス鋼材料の表面上に設置される。別の観点から見て、本発明者らは、超音波フェーズドアレイプローブを使用するために情報が準備されるステップであり、ビーム角度が変えられることが可能なようにプローブが構成および操作されるステップを含む、ステンレス鋼材料の溶接において潜在的欠陥を検出することを人に指示する方法を検討する。他のステップで、縦波モードでプローブを操作するために情報が準備される。さらに他のステップで、縦波モードでビーム角度の変化によって、表面より下の材料の実質的にすべてが走査可能な角度で、プローブをステンレス鋼材料の表面上に設置するために情報が準備され、さらに他のステップで、プローブを操作して、ステンレス鋼材料の潜在的欠陥を走査するために情報が準備される。
【0040】
このように、ステンレス鋼材料の非破壊フェーズドアレイ超音波検査の具体的な実施形態および用途が開示されている。しかし、本明細書の発明の概念から逸脱することなく、既に記載されたものに加えて、さらに多くの変形が可能であることが当業者に明らかとなるに違いない。したがって、本発明の対象は、添付の請求項の精神以外においては限定されない。さらに、明細書および請求の範囲の両方を解釈する際に、すべての用語は、文脈と一致してできるだけ広く解釈されるべきである。特に、用語「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」は、要素、構成要素またはステップを包括的に参照し、参照された要素、構成要素またはステップが、存在し、または明らかに言及されない他の要素、構成要素またはステップと利用または組み合わされる可能性があることを示して、解釈されるべきである。さらに、参照の用語の定義または使用は、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書で提供される用語の定義に矛盾または反する場合、本明細書で提供される用語の定義が適用され、参照におけるその用語の定義は適用されない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】単結晶トランスデューサ(左)を備えたプローブとフェーズドアレイトランスデューサ(右)を備えたプローブとの超音波経路および角度を示す概略図である。
【図2】ビーム角度および焦点深度に対するフェーズドアレイ中のトランスデューサの遅延作動の影響を示す概略図である。
【図3】走査表面を示す例示的な溶接された接続部の写真である。
【図4】図3の溶接された接続部の概略断面図である。
【図5】本発明の対象の例示的な構成の写真である。
【図6】ビーム角度が20〜75度の間で変えられる走査の例示的な画面出力である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼材料を検査する方法であって、
ビーム角度を変えるように操作され、さらに、縦波モードで操作される、超音波フェーズドアレイプローブを準備するステップと、
縦波モードでビーム角度を変化させることによって、表面より下の材料の実質的にすべてが走査可能な角度で、プローブを検査されるステンレス鋼材料の表面上に設置するステップと、
プローブを操作して、ステンレス鋼材料の潜在的欠陥を走査するステップとを含む、方法。
【請求項2】
ビーム角度が、20度〜70度で変わる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プローブ角度が、60度〜80度である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
表面より下の材料が、分岐接続継手および完全溶込みグルーブ溶接の少なくとも1つを、任意に隅肉強化材と共に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
分岐接続継手が、傾斜角がつけられた出口継手と、固定鋳造ヘッダーおよび改良ティーの少なくとも1つとの間にある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
欠陥が、亀裂、溶融不良、不完全浸透、アンダーカット、表面多孔性および露出されたスラグ巻き込みからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
表面より下の材料が、少なくとも25mmの厚さである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
表面より下の材料が、高圧操作に適するステンレス鋼を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステンレス鋼材料の溶接に潜在的欠陥を検出することを人に指示する方法であって、
ビーム角度を変えることが可能なように構成および操作される、超音波フェーズドアレイプローブを使用するために情報を提供するステップと、
縦波モードでプローブを操作するために情報を提供するステップと、
縦波モードでビーム角度を変化させることによって、表面より下の材料の実質的にすべてが走査可能な角度で、プローブをステンレス鋼材料の表面上に設置するために情報を提供するステップと、
プローブを操作して、ステンレス鋼材料の潜在的欠陥を走査するために情報を提供するステップとを含む、方法。
【請求項10】
ビーム角度が、20度〜70度で変わる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
プローブ角度が、60度〜80度である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
表面より下の材料が、分岐接続継手および完全溶込みグルーブ溶接の少なくとも1つを、任意に隅肉強化材と共に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
分岐接続継手が、傾斜角がつけられた出口継手と、固定鋳造ヘッダーおよび改良ティーの少なくとも1つとの間にある、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
欠陥が、亀裂、溶融不良、不完全浸透、アンダーカット、表面多孔性および露出されたスラグ巻き込みからなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
表面より下の材料が、少なくとも25mmの厚さである、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
表面より下の材料が、高圧操作に適するステンレス鋼を含む、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−528963(P2008−528963A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552105(P2007−552105)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/017383
【国際公開番号】WO2005/108973
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)
【Fターム(参考)】