説明

ステンレス鋼製角筒容器の製造方法およびその製造装置

【課題】ステンレス鋼製角筒容器を高生産能率かつ低製造コストで生産する。
【解決手段】A工程(ステンレス鋼製材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して未完角筒容器を成形する。)、B工程(最終段のプレス絞り加工中に未完角筒容器を構成する容器本体と一体でかつ上部開口縁直辺から外側に広がる製品外フランジ部に折曲部を成形する。)、C工程(該折曲部が成形された製品外フランジ部を残したままの状態で当該未完角筒容器全体に焼鈍処理を施す。)およびD工程(焼鈍処理後の未完角筒容器から製品外フランジ部をトリム加工して完成角筒容器を製造する。)をこの順で実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ステンレス鋼製材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して角筒容器を成形しかつその後に製品外フランジ部をトリムして製品(角筒容器)を製造するステンレス鋼製角筒容器の製造方法およびその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの多角筒状の容器(例えば、電池部品、電子部品)の中には、ステンレス鋼製材料(薄板形状)をプレス絞り加工して成形されものが多い。具体的には、選択形状(円形、楕円形、多角形)のステンレス鋼製材料(ブランク)をダイスにセットしかつパンチで圧力を加えて絞り加工しつつ角筒容器(例えば、四角容器)を成形する。なお、材料厚さとダイス・パンチ間のクリアランスの関係から、絞り加工とシゴキ加工に区分されることもあるが、この明細書中のプレス絞り加工とは、絞り加工および/またはシゴキ加工を意味するものとする。
【0003】
ここに、ステンレス鋼製材料は、種類(オーステナイト系、フェライト系等)によって多少の難易はあるものの、他の材料(例えば、銅合金、アルミニウム合金)と比較して絞り性が極めて低い。歴史的には、室温でのプレス絞り加工では形状精度が悪く、またプレス絞り速度が遅いので生産性が低いとされていた。
【0004】
そこで、人為的にプレス絞り加工温度を制御して薄板形状の絞り性を向上さる温間プレス絞り加工方法が提案(特許文献1)されている。この提案(前者提案)は、ブランクの形状・寸法およびダイス穴形状を等方性塑性体のすべり線場理論に基づき特定しかつダイスおよび/または板押えの温度(60〜150度)、パンチの温度(−10〜10度)を保持しかつ金型断熱を担保する角筒容器の成形方法である。さらに、一段のプレス絞り速度の向上を目指した連続再絞り加工が提案(特許文献2)されている。この提案(後者提案)は、ダイスおよび/または板押えの温度を加熱(60〜150度)し、パンチの温度を冷却(0〜30度)しかつダイス内に潤滑油を圧送する成形方法である。
【0005】
特許文献2の記載(図1)によれば、前者提案方式では、第1〜5段の絞り加工後に焼鈍処理を入れ、第7、8段の絞り加工後にも焼鈍処理が必要である。後者提案方式では、中間の焼鈍処理を省き第1〜5段の絞り加工を連続して行えばよい。つまり、人手操作を必要としていた焼鈍処理工程を一掃できる。したがって、プレス絞り加工による成形速度を速くできるから、製造コストを低減できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−309519号公報
【特許文献2】特開2009−113059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ステンレス鋼製角筒容器の需要拡大は目覚しく、さらなる品質高度化、生産高能率化および低コスト化の要請は高まるばかりである。例えば、電気自動車用のリチウムイオン電池に供される場合を考えただけでも、これら要請に応えることは、世界的な産業経済および環境保全に貢献できるところ絶大である。
【0008】
しかるに、従来のステンレス鋼製角筒容器に関しては、角筒容器の成形方法や成形装置については多くの提案が成されているが、材料から製品(角筒容器)までの一連の製造方法や製造装置についての提案はほとんど見受けられない。つまり、プレス絞り加工、焼鈍処理等のそれぞれの個別的な技術改良に留まっているのが実情である。
【0009】
すなわち、リチウムイオン電池用ケースの場合、供給されたステンレス鋼製材料(ブランク)から角筒容器を成形しかつ封口板をレーザー溶接する直前の角筒容器(製品)に仕上げるまでの全体工程についての改良・改善が成されなければ、リチウムイオン電池の製造に関する真の生産性向上やコスト低減に寄与できない。
【0010】
本出願人などの角筒容器の成形工程に関する検討、分析によると、前者提案方式の場合に比較して、中間(焼鈍処理)工程が無いので、後者提案方法の方が有利である。しかし、多段のプレス絞り加工を連続して行える後者提案方式の場合は、温度管理に費やす設備的、取扱的、材料限定的な負担が大きい。かくして、中間(焼鈍処理)工程を一掃しかつ温度調整機能を設けないでも、多段連続プレス絞り加工だけで所定の形状精度を満たす角筒容器を成形可能とするための再試行が成されている。昨今では、室温での多段連続プレス絞り加工のみで角筒容器を成形でき得ると、見通しされつつある。
【0011】
さて、角筒容器の製造に関して言えば、プレス絞り加工に関する前者提案方式、後者提案方式、その他のいずれの場合でも、プレス絞り加工後の角筒容器から製品外となるフランジ部をトリム(除去)加工したものが製品(角筒容器)とされる。例えば図3、図4に示す角筒容器70を構成する容器本体71から、これと一体の製品外フランジ部81をトリムする。このトリム加工は、成形(加工)直後の角筒容器が高硬度であるために手間取り長時間を必要とする場合もある。また、刃先の劣化が早いので頻繁な刃先交換が必要となる。これら点も、経済性、生産性に不利であった。しかも、硬度が高ければ高い程、トリム加工時に角筒容器の形状が機械的に変形する虞が強くなる。
【0012】
次に、トリム加工後の角筒容器にはプレス絞り加工に伴う大きな歪が蓄積(残存)している。このまま放置すると、形状変化が生じかつ経時的に変化が大きくなり不良品となる。例えば、封口板の密封取付けとの関係から角筒容器の些の形状精度変化さえも許し難いとされる傾向にある。この対策として、トリム加工後に焼鈍処理することで歪を除去するものとされている。しかし、トリム加工後の角筒容器をそのまま焼鈍処理すると、焼鈍温度に起因する形状変化が生じてしまう。多くの場合、対向する上部開口縁直辺(例えば、図3の74LL,74LR)が接近する方向の変形(内向き変形)となる。つまり、角筒容器の平面的な上部開口縁形状が鼓形状となる。これでは、焼鈍処理を施すことが本末転倒の結果を招くことになる。
【0013】
かくして、この焼鈍処理に際しては、トリム加工時に発生した変形の矯正および焼鈍処理時の熱的変形の規制(発生防止)の観点から、形状矯正治具が用いられる。この形状矯正治具は、例えば、寸法が高精度で表面が平滑なステンレス鋼製ブロックを主構成要素として成る。しかも、多数の形状矯正治具を装着した形状矯正治具装置と構築されかつ設置されている。
【0014】
つまり、各形状矯正治具に各角筒容器を正確にセットする。焼鈍処理中は、トリム加工時に発生した機械的変形の矯正のための戻り変形を認めつつ、内向き熱的変形を強制的に規制乃至矯正する。焼鈍処理(歪除去および形状補正)後に角筒容器を形状矯正治具から取り出す(リセットする)。このセット・リセット作業には多大な労力・時間が掛かる。作業熟練も必要である。形状矯正治具の採用は、専用の作業員の配置が必要で、操作・取扱いが難しくなり、生産サイクルの長期化ひいては生産(製造)コストの増加を招くという不利不便がある。この製造全体工程上の不利不便は、プレス絞り加工工程における多少の改善では到底払拭できないほどの大きな欠点である。
【0015】
しかも、形状矯正治具は、製品(角筒容器)の寸法、形態、形状精度が異なるごとに準備しなければなければならず、一度に焼鈍炉30内に収める数量を揃えることになるので、初期投入費用が莫大額となる。経年劣化による新品交換も必要になるのでランニングコストが上がる。いずれも製品単価に及ぼす影響が非常に大きい。つまり、プレス絞り加工後の形状矯正治具を使用した焼鈍処理が必要不可欠とされていたので、結果として大幅な製品コスト低減を阻止する要因となっていた。
【0016】
さらに、今後は、トリム加工時に発生した変形の矯正および焼鈍処理時の熱的変形の規制(発生防止)とは別の観点、つまり製品機能上や製品低硬度上の観点からプレス絞り加工後の角筒容器を焼鈍処理すべきとの指摘が多くなる傾向にある。焼鈍処理と形状矯正治具との見直しが重要課題になると推測する。
【0017】
本発明の目的は、生産能率が高くかつ大幅な製造コスト低減を達成できるステンレス鋼製角筒容器の製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
角筒容器の製造工程全体を顧みれば、プレス絞り加工により角筒容器を成形し、成形後に邪魔となるフランジ部をトリムし、形状矯正治具を用いての焼鈍処理を施して製品(角筒容器)を得るという慣行に疑いなきものとされて来た。各工程別に、マイナーチェンジ的な改良が進められているものの、製造(生産)工程全体に及ぶ改善がなされていない。生産能率および製造コストに影響を及ぼす割合は、焼鈍処理に際して形状矯正治具(装置)を用いる点が一番大きいと分析される。しかし、形状矯正治具の構造や角筒容器のセット・リセット作業方法などについて個々の改良はされていても、全体的観点からの見直しはされていない。
【0019】
本発明は、この慣行を打破するものである。すなわち、形状矯正治具を用いた焼鈍処理中における前工程に起因した機械的変形の矯正および当該処理中の熱的変形の規制(予防矯正)に関する本質および製造工程全体の見直し(分析)に基づき創生されたものである。特に、発想の逆転により、プレス絞り加工においては極めて重要視されるもののプレス絞り加工後には無用の長物として取り扱われている製品外フランジ部を巧みに有効利用しかつ最終段のプレス絞り加工工程中に形状変化未然防止機能化することにより、従来欠点の完全払拭乃至大幅削減ができるように構築されている。
【0020】
なお、この発明において、“最終段のプレス絞り加工”には、スリーブ絞り加工(スリーブを利用した絞り加工)および/またはスリーブ無しの絞り加工(スリーブを利用しないでパンチとダイスによる絞り加工)が含まれる。また、これらを実行する回数、前後関係あるいは組合せは限定されない。
【0021】
詳しくは、請求項1の発明に係る角筒容器の製造方法は、ステンレス鋼製材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して未完角筒容器を成形するとともに最終段のプレス絞り加工中に未完角筒容器を構成する容器本体と一体の製品外フランジ部に変形部を成形し、次いで製品外フランジ部を残したままの未完角筒容器全体に焼鈍処理を施し、しかる後に未完角筒容器から製品外フランジ部をトリム加工して完成角筒容器を製造することを特徴とする。
【0022】
請求項2の発明に係るステンレス鋼製角筒容器の製造方法は、A工程(ステンレス鋼製材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して未完角筒容器を成形する。)、B工程(最終段のプレス絞り加工中に未完角筒容器を構成する容器本体と一体でかつ上部開口縁直辺から外側に広がる製品外フランジ部に折曲部を成形する。)、C工程(該折曲部が成形された製品外フランジ部を残したままの未完角筒容器全体に焼鈍処理を施す。)およびD工程(焼鈍処理後の未完角筒容器から製品外フランジ部をトリム加工して完成角筒容器を製造する。)をこの順で実行することを特徴とする。
【0023】
また、請求項3の発明は、未完角筒容器の平面形状が長方形とされかつ折曲部が上部開口縁長直辺側の製品外フランジ部のそれぞれに成形されている。請求項4の発明は、折曲部が上部開口縁長直辺と平行な仮想軸線を中心に折り曲げられている。
【0024】
請求項5の発明は、スリーブの形状とパンチの下降運動を利用して折曲部が成形される。また、請求項6の発明は、焼鈍処理が移動中の未完角筒容器に連続して行われる。請求項7の発明は完成角筒容器が2次電池ケースとされている。
【0025】
さらに、請求項8の発明に係るステンレス鋼製角筒容器の製造方法は、A1工程(ステンレス鋼製材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して未完角筒容器を成形する。)、B1工程(最終段のプレス絞り加工中に未完角筒容器を構成する容器本体と一体でかつ上部開口縁直辺から外側に広がる製品外フランジ部に当該フランジ部の断面2次モーメントを大きくするための機械的加工を施す。)、C1工程(大きな断面2次モーメントを持つ製品外フランジ部を残したままの未完角筒容器全体に焼鈍を施す。)およびD1(焼鈍処理後の未完角筒容器から製品外フランジ部をトリム加工して完成角筒容器を製造する。)をこの順で実行することを特徴とする。
【0026】
請求項9の発明に係るステンレス鋼製角筒容器の製造装置は、ステンレス鋼系材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して未完角筒容器を成形するプレス機の後方に焼鈍炉とトリム機とを配置し、プレス機が、最終段のプレス絞り加工中に未完角筒容器を構成する容器本体と一体でかつ各上部開口縁長直辺から外側に広がる製品外フランジ部のそれぞれに当該上部開口縁長直辺と平行な仮想軸線に沿って延びる折曲部を成形可能とされ、焼鈍炉が該折曲部が成形された製品外フランジ部を残したままの未完角筒容器全体を受け入れて焼鈍処理可能とされ、トリム機が焼鈍処理後の未完角筒容器から製品外フランジ部を除去するトリム加工が可能とされ、プレス機と焼鈍炉とトリム機との当該各工程を実行することにより完成角筒容器を製造可能に形成されていることを特徴とする。
【0027】
また、請求項10の発明は、プレス機がパンチに被嵌されたスリーブの形状とパンチの下降運動を利用して折曲部を成形する。請求項11の発明は、焼鈍炉がトリム機に向かって移動中の未完角筒容器全体に連続焼鈍処理可能である。請求項12の発明は、トリム機が未完角筒容器の姿勢をプレス絞り加工時の姿勢とは上下反転させた状態でトリム加工可能に形成されている。
【0028】
請求項13の発明は、ステンレス鋼製のリチウムイオン電池ケースの製造装置である。
【発明の効果】
【0029】
請求項1の発明によれば、変形部の成形により従来形状矯正治具を一掃できるから、生産性が高くかつ大幅な製造コスト低減を達成できるとともに形状精度が良好なスンレス鋼製角筒容器を提供できる。
【0030】
請求項2の発明によれば、折曲部の成形により従来形状矯正治具を一掃できるから、請求項1の発明の場合と同様に、生産性が高くかつ大幅な製造コスト低減を達成できるとともに形状精度が良好なスンレス鋼製角筒容器を提供できる。
【0031】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の奏する効果に加え、折曲部成形の容易化を図りつつ、製品外フランジ部のトリム加工時の機械的変形矯正機能および焼鈍処理時熱的変形の規制機能を効率的に向上できる。請求項4の発明によれば、請求項3の発明の場合と比較して、上記2つの効果を一段と強化助長できる。
【0032】
請求項5の発明によれば、プレス絞り加工中に一段と確実に折曲部を成形できる。また、請求項6の発明によれば、焼鈍処理時間の長短に拘わらずに全体生産サイクルタイムの一層の短縮化に寄与できる。
【0033】
請求項7の発明によれば、電気自動車等に求められる低コストで高品質の充放電器を提供でき、世界環境保全にも貢献できる。
【0034】
請求項8の発明によれば、請求項1または2の発明の場合と同様に生産性が高くかつ大幅な製造コスト低減を達成できるとともに形状精度が良好なスンレス鋼製角筒容器を提供できる。しかも、請求項1または2の発明の場合に比較して、製品外フランジ部への成形に関する適応性を拡大できる。
【0035】
請求項9の発明によれば、生産性が高くかつ大幅な製造コスト低減を達成できるとともに形状精度が良好なスンレス鋼製角筒容器を提供可能な請求項1、2および請求項8の各発明を確実に実施することができる。具現化が容易でかつ設備コストが低い。
【0036】
請求項10の発明によれば、構造簡単であり、プレス絞り加工中に一段と確実かつ安定して折曲部を成形できる。
【0037】
請求項11の発明によれば、人手が掛からずに安定した焼鈍処理ができる。しかも、焼鈍処理時間の長短に拘わらずにプレス絞り加工工程の生産サイクルタイムに同期させた運用が容易である。
【0038】
請求項12の発明によれば、未完角筒容器の形状精度を担保しながら正確かつ容易なトリム加工ができる。
【0039】
請求項13の発明によれば、特に電気自動車等に求められる低コストで高品質の充放電器を提供でき、世界環境保全にも貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るステンレス鋼製角筒容器の製造装置を説明するための平面図である。
【図2】同じく、最初(1)段〜5段のプレス絞り加工工程を説明するため図である。
【図3】同じく、未完角筒容器の平面図である。
【図4】同じく、図3の矢視線A−Aに基づく縦断面図である。
【図5】同じく、最終(6)段におけるプレス絞り加工工程(折曲部成形工程を含む。)を説明するための図である。
【図6】同じく、最終(6)段のプレス絞り加工が終了した後の未完角筒容器を説明するための平面図である。
【図7】同じく、図6の矢視線B−Bに基づく縦断面図である。
【図8】同じく、ステンレス鋼製角筒容器(未完角筒容器)の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
(第1の実施の形態)
本ステンレス鋼製角筒容器の製造装置1は、図1〜図8に示す如く、最終段のプレス機(10−N)の後方に焼鈍炉30とトリム機40とをこの順序で配置し、A工程(複数段のプレス絞り加工による未完角筒容器の成形)、B工程(最終段のプレス絞り加工中に製品外フランジ部に折曲部を成形)、C工程(製品外フランジ部を残したままの状態で焼鈍処理を施す)およびD工程(焼鈍処理後に製品外フランジ部のトリム加工)をこの順で実行して完成角筒容器70を製造するための角筒容器製造方法を確実に実施することができる。
【0043】
すなわち、本ステンレス鋼製角筒容器の製造装置1は、ステンレス鋼製材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して未完角筒容器を成形するとともに最終段のプレス絞り加工中に未完角筒容器を構成する容器本体と一体の製品外フランジ部に変形部を成形し、次いで製品外フランジ部を残したままの未完角筒容器全体に焼鈍処理を施し、しかる後に未完角筒容器から製品外フランジ部をトリム加工して完成角筒容器を製造可能である。
【0044】
なお、この実施の形態では、“最終段のプレス絞り加工中”を、最終段のスリーブ絞り加工中として説明する。つまり、変形部(折曲部85、85A)の成形をスリーブ絞り加工において行う場合である。もとより、このスリーブ絞り加工は、スリーブ無し絞り加工の前後のいずれにおいて実施される場合でもよい。
【0045】
本願明細書中でいう未完角筒容器とは容器本体71と製品外フランジ部81とが一体である状態の角筒容器70を指すものとし、完成角筒容器とは焼鈍処理終了後のトリム加工により容器本体71から製品外フランジ部81を除去(トリム加工)した後の角筒容器70を指すものとする。図3、図4、図6および図7を参照されたい。
【0046】
図1において、本ステンレス鋼製角筒容器の製造装置1は、プレス機10と焼鈍炉30とトリム機40とを材料(ブランク)の搬送方向(図1で左側から右側へ向かう)に配置し、各機械において当該各工程を実行することにより、所定の形状精度および硬度の完成角筒容器を低コストで製造可能に形成されている。
【0047】
ステンレス鋼製材料(ブランク)乃至未完角筒容器70は、プレス機10内では自動間歇搬送され、焼鈍炉30内では自動連続搬送されてトリム機40側へ搬出される。作業員は、サイクルタイム毎に搬出された未完角筒容器をトリム機40にセットしてトリム加工すればよい。従来例の場合のように一時に多数の未完角筒容器を多数の形状矯正治具にセット・リセットする慎重な取付け・取り外し作業を必要としないから、作業員の精神的・肉体的負担が大幅に軽減され、待ち時間も少なく能率が高い。歩留まりも大幅に向上する。
【0048】
つまり、従来例の問題点(製品外フランジ部81をトリムした後に格別な形状矯正治具を用いて焼鈍処理する。)を一掃することができるから、形状矯正治具に関する初期経済負担およびランニングコストの零(0)化を達成きるとともに製品(角筒容器)の形態(形状、大きさ)ごとに対応させた形状矯正治具の準備や交換作業が不必要である。これらの点からしても、製品コストを大幅に削減できるわけである。
【0049】
ステンレス鋼製材料(ブランク)から製造される完成角筒容器(製品)70は、2次電池の一種であるリチウムイオン電池の電池ケースとした場合について説明する。この実施の形態では、SUS430(フェライト系ステンレス鋼)、SUS304(オーステナイト系ステンレス鋼)を選択して実施した。
【0050】
さて、プレス機10は、ステンレス鋼製材料(ブランク)に複数(n)段のプレス絞り加工を順番に施して角筒容器(未完角筒容器)を成形することができる。n段のnは、例えば5〜8の中から選択されるが、この実施の形態では、n=6に選択している。
【0051】
各段のプレス絞り加工を実行するn(6)台の単機型プレス機10をブランク搬送方向に配列し、単機型プレス機10間のブランク(乃至未完角筒容器)の移送(自動間歇搬送)は搬送ロボットで行われる。すなわち、この実施形態におけるプレス絞り加工用プレス機10は、材料組成、プレス機械の構造、角筒容器の形態、プレス絞り加工工程の数の選択、プレス絞り速度、絞り加工態様、潤滑性等々の研究と改良により、自動的連続成形が可能に構築されている。上記の前者提案の場合のように途中に焼鈍処理工程を必要としない。また、後者提案の場合のような温度調整は行っていない。
【0052】
プレス機10のプレス絞り加工速度は、例えば6〜15spmの中から指定した値を設定することができる。今、10spmを設定したとすると、最終段用のプレス機(10−N)から焼鈍炉30側へ1分間に10個の未完角筒容器が搬出される。
【0053】
なお、プレス機10は、単機型プレス機械に限定されない。例えば、n(6)段分のプレス絞り加工用ステージ(ダイス、パンチの組)を共通ベッド(ボルスタ)に配置して、各ステージ間はブランク(乃至未完角筒容器)を同期移送するいわゆるトランスファープレス機10から構築してもよい。
【0054】
なおまた、この実施の形態に係るプレス機10は、上記の通り、n段のプレス絞り加工を連続して順番に施して未完角筒容器を成形可能に形成されているが、これに限定する必要はない。補助的に、任意のプレス絞り加工工程間に上記の前者提案方法(装置)の場合の中間焼鈍処理工程を導入し、あるいは、任意または全部のプレス絞り加工を上記の後者提案方法(装置)の場合のような温度調整をしながら実行可能に構築してもよい。従来例において使用された形状矯正治具の一掃化に基づく本発明の格別の効果(生産性向上およびコスト低減)の顕著性に比較すれば、それら負担は比較的に軽いと言えるからである。もとより、本実施の形態のように、中間焼鈍処理および温度調整を一切不用とするプレス絞り加工方法(装置)とすれば、その効果を飛躍的に向上できること明白である。
【0055】
未完角筒容器70(詳しくは、容器本体71)の平面形状は、図3、図6に示すように、各2つの長直辺(74L)と短直辺(74S)とからなる長方形である。完成角筒容器(容器本体)の横断面形状も同じである。この容器本体の上部は開口され、底部は塞がれている。いわゆる有底角筒容器である。
【0056】
製品(完成角筒容器)の寸法がW30〜60mm×L150〜200mm×H80〜130mmから選択された範囲内であれば、上記の通り、中間焼鈍処理を取り入れずかつプレス絞り加工毎の温度調整をしなくても、連続的に多段プレス絞り加工して未完角筒容器を成形できることを確認している。
【0057】
ここに、1段〜5段用の各段用のプレス械10は、図2に示すごとく、図示しないベッドにダイス11が取付けられ、図示しないスライドにパンチ21が設けられている。パンチ21には、板押え24と一体のスリーブ23が被嵌装着されている。このスリーブ23の基本的機能は、製品外フランジ部81をダイス11のガイド面13に押えつつ、プレス絞り加工を順調に遂行可能とするために必要とするパンチ力に対する適宜な抗力を発生させかつプレス絞り加工の進展に応じて必要十分な素材(製品外フランジ部81)の量(長さ)をダイス穴12内に円滑・安定供給することである。
【0058】
かくして、スリーブ23の形態は、外周面全体が曲率半径の大きな緩やかで滑らかな曲面形状、曲面形状と平面形状の組合せあるいは平面形状の組合せとされる。この実施の形態では、2つの平面形状の組合せとしている。両者のつなぎ目は曲面形状である。
【0059】
したがって、各(1〜5)段でのプレス絞り加工終了後の各未完角筒容器70は、図3、図4に示すごとく、平面形状が長方形の容器本体71となる。各段では、主に容器本体の深さ寸法が異なる。最終段に向かって次第に深くなる。容器本体71の上部開口73の周縁つまり各上部開口縁直辺74から外側に広がる傾斜平面形状の製品外フランジ部81(81L、81R、81B、81A)が一体に成形されている。上部開口縁直辺74は、左右の上部開口縁長直辺74LL,74LRと前後の上部開口縁短直辺74SB,74SAからなる。最終段に向かって次第に製品外フランジ部81の外への広がり(幅長)は狭く(短く)なる。
【0060】
以下では、図6に示すように各上部開口縁長直辺74LL,74LRと平行な仮想軸線をXL、XRおよび第2の仮想軸線をXLA、XRAとし、各上部開口縁短直辺74SB,74SAと平行な仮想軸線をYB、YAおよび第2の仮想軸線をYBA、YAAとする。
【0061】
本発明の技術的特徴の1つは、最終(6)段のプレス絞り加工工程中において、製品外フランジ部81のそれぞれに折曲部85を成形することである。この第1の実施形態の場合は、全方向の製品外フランジ部81L、81R、81B、81Aのそれぞれに折曲部85を成形するものとしている。
【0062】
すなわち、最終段用のプレス機(10−N)は、最終段のプレス絞り加工中に、未完角筒容器70の一部を構成する製品外フランジ部81のそれぞれに折曲部85を成形可能に形成されている。この実施の形態では、第2の折曲部85Aも成形している。かかる折曲部85,85Aは、プレス絞り加工に悪影響を及ぼさない範囲内で成形されるが、曲率が大きい(曲率半径が小さい)ものとされる。つまり、プレス絞り加工のみを施すためのブランク(製品外フランジ部)としては必要ない大曲率の折曲部を積極的に成形するのである。これが、本発明(請求項2、請求項9)の最大の技術的特徴である従来形状矯正治具の一掃化を達成するための要件である。この折曲部は、後記する折曲部成形手段により成形される。
【0063】
ここで、製品外フランジ部81に折曲部85(85A)を成形することと従来使用の形状矯正治具の一掃化との関係および技術的根拠を説明しておく。
【0064】
トリム加工後の形状が長方形の角筒容器70をそのまま焼鈍処理すると、上記の通り、形状変化が発生しまうことが実証されている。つまり、図3に示す角筒容器の左右の上部開口縁直辺(長直辺74LL,74LR)が接近する方向に変形(内向き変形)するので、上部開口縁形状が鼓形状(内側に凸の弓なり形状である。)になると確認されている。
【0065】
この変形は、基本的には熱応力と熱(温度)変形の問題であるが、形状複雑でかつ平面応力も関係する。そこで、仮説的思考の下に便宜的に簡易考察してみた。
【0066】
実証されている上部開口縁長直辺74LL,74LRの内向き変形曲線は、丁度、上部開口縁長直辺の中央域(位置)に集中荷重(あるいは全域に等分布荷重)が掛かった場合の両端支持梁(上部開口縁長直辺)の撓み曲線に似ている。機械的には、上部開口縁長直辺(両端支持梁)の強度を上げれば、最大撓みの値を小さくできる。しかし、製品仕様上、容器本体71等の肉厚を勝手に厚くすることはできない。
【0067】
一方、トリム加工以前は、角筒容器71と製品外フランジ部81とは一体であり、製品外フランジ部81は外側に広がる平面板形状である。このフランジ部81を、上部開口縁長直辺74LL,74LRと平行な複数の両端支持梁を一体的に組み合わせた重ね両端支持梁構造であると仮定すると、重ね両端支持梁構造の強化策を講ずれば上部開口縁長直辺74LL,74LRに加わる荷重に基づく上部開口縁直直辺の内向き変形を小さくできる筈である。
【0068】
つまり、従来使用の形状矯正治具が、型外からはみ出でないように強制的に規制することで角筒容器の変形を抑える型枠(外的)規制方式であったのに対して、内的に撓み変形を極小化するフランジ(内的)規制方式の具現化を目指した。
【0069】
まず、プレス絞り加工終了後の未完角筒容器(製品外フランジ部が付いている。)に焼鈍処理を施してみた。形状矯正治具は採用しない。すると、製品外フランジ部81をトリムした後に焼鈍処理した場合に比較して、上部開口縁長直辺の内向き変形を軽減できた。従来例によるトリム加工後の角筒容器を焼鈍処理した場合の内向き変形に比較して2/10〜4/10の変形に抑えることができた。つまり、上記の仮定はほぼ正しいと理解される。
【0070】
したがって、製品外フランジ部81を一段と大きくすれば、その内向き変形発生を未然防止できるものと推測できる。しかし、製品外フランジ部の大きさ(量)は、プレス絞り加工特性、絞り深さ、プレス機10の構造等々に整合しかつ必要十分でかつ最小とするように選択されるので、現実的にはその大きさや厚さを変更することは許され難い。
【0071】
引き続き、上記の重ね両端支持梁の断面2次モーメントを大きくすることで、同一荷重に対する撓み(変形)を最小化する実験を行った。断面2次モーメント(の値)は、梁高さ(h)の3乗と梁幅(w)との積に比例する。そこで、組み合わされた複数梁の断面2次モーメントを大きく焼鈍処理したところ、変形は発生しなかった。梁数および当該各断面2次モーメントの大きさを変えた実験を繰り返した結果、その1つの梁の断面2次モーメントを適宜な大きさにするだけでも、焼鈍処理中に内向き熱変形が生じないことを突き止めた。なお、1つの両端支持梁の断面2次モーメントの変更(強化)は、容器本体71に対する製品外フランジ部全体の剛性を高くすることにもなりかつこの高剛性化が角筒容器70の変形防止効果を助長することも考えられる。
【0072】
次に、従来形状矯正治具を一掃できたとしても、製品外フランジ部81の断面2次モーメントを拡大変更するための格別な装置を設けなければならないとすると、生産的、経済的な効果が希釈化されてしまう。ここに、製品外フランジ部自体を利用して製品外フランジ部の断面2次モーメントを大きくすることができる筈であると考える。しかも、製品外フランジ部81の存在が必須とされるプレス機10のプレス絞り加工中に大きくすることができないかとする新規発想に至った。かくして、最終(6)段のプレス絞り加工中において、プレス機10に組み込まれた折曲部成形手段により折曲部85(85A)を成形可能に構築したのである。
【0073】
折曲部成形手段(折曲成形部)は、図5に示す最終段のプレス機(10−N)に組み込み易くかつ構造簡単であることを前提として、スリーブ23の外周面の一部に設けた折曲成形凹部25と、この折曲成形凹部25に対向(対応)するダイス11側の折曲成形凸部15から形成されている。この実施の形態では、第2の折曲成形凸部25Aと、これに対向(対応)する第2の折曲成形凹部15Aとを設けている。
【0074】
すなわち、折曲成形部は、スリーブ外周面全体がプレス絞り加工の必要性から決められた平面(あるいは、小曲率面)形状であるのに比較して、大きな段差部(あるいは、大きな曲率)とされている。製品外フランジ部81の左右それぞれに折曲部85、85Aを成形するために、ダイス内の未完角筒容器の上部開口縁長直辺74LL,74LRに対応する位置つまりスリーブ23の左右の位置に各一対として設けてある。この実施の形態では、上部開口縁短直辺74SB,74SAに対応する位置つまりスリーブ23の前後の位置にも各一対が設けられている。
【0075】
なお、容器本体71の平面的寸法(前後方向寸法)が一段と細長である場合には、上部開口縁短直辺74SB,74SAの内向き変形は起こり難いから、仮想軸線YB、YA(および第2の仮想軸線YBA、YAA)を中心とする折曲部85(85A)は成形しないでも支障なく実施することができる場合も多い。ただし、未完角筒容器70が例えば正四角の場合には、各上部開口縁直辺74LL,74LR、YB、YAに対応する位置つまりスリーブの全周に設けるべきである。
【0076】
また、折曲成形部は、スリーブ外周面の上下方向の一部領域において水平方向に延びる。図6、図7に示すように、製品外フランジ部81に仮想軸線XL,XRに沿って延びる帯形状の折曲部85を成形することができる。第2の仮想軸線XLA,XRAに沿って延びる帯形状の折曲部85Aも成形する。このリブ的な形状・機能を持つ折曲部85、85Aを成形することにより、仮想両端支持梁の断面2次モーメントを大きくすることができるから、焼鈍処理中に各上部開口縁長直辺74LL,74LRに加わる熱的要因荷重に基づき発生される当該各上部開口縁長直辺の内向き撓み(曲がり変形)の値を最小化することができる。
【0077】
すなわち、折曲成形部(25、15)、(25A、15A)を設ける位置(スリーブ23の水平方向の一部領域)は、最終段のプレス絞り加工中において、当該プレス絞り加工終了間際に残っている製品外フランジ部81に、予め決められた仮想軸線XL,XR、XLA,XRAを中心とした折り曲げ加工により目標の折曲部85、85Aを成形することができる位置とされる。仮想軸線YB,YA、YBA,YAAを中心とした折り曲げ加工についても同様である。
【0078】
この実施の形態においては、仮想軸線XL,XRが上部開口縁長直辺74LL,74LRと当該製品外フランジ部(81L,81R)の外側端とのほぼ中間の位置とされている。仮想軸線YB,YAが上部開口縁長直辺74SB,74SAと当該製品外フランジ部(81B,81AS)の外側端とのほぼ中間の位置とされている。
【0079】
図5において、最終段用のプレス機(10−N)の基本的構造は他のプレス機(10−1)、…、[10−(N−1)]の構造と同様であるが、スリーブ側に上記した折曲成形凹部25,折曲成形凸部25Aが設けられかつダイス側に折曲成形凸部15,折曲成形凹部15Aが設けられている。また、この実施の形態では、折曲成形凸部25Aおよび折曲成形凹部15Aは、ダイス11側にスリーブ23側の起立面23Vに対向する起立面11Vとダイス11側にスリーブ23側の水平面23Hに対向する水平面11Hとから形成されている。
【0080】
したがって、製品外フランジ部81には最終的に、図5、図7に示す傾斜部81Kと水平部81Hとの交点が折曲部85とされ、水平部81Hと起立面81Vとの交点が第2の折曲部85Aとされる。つまり、図2、図4の場合に比較して平板形状の製品外フランジ部81に2つの折曲部85、85Aを含む向きが逆向きの2つの三角山形状変形部(リブ相当)を成形できる。よって、角筒容器70(容器本体71)に対する断面2次モーメントを著しく大きできるわけである。
【0081】
この折曲部85、85Aの成形は、最終段のプレス絞り加工中でなければならない。他の段(それ以前の段)において折曲部を成形してしまうとダイス11(ダイス穴12)内への材料(製品外フランジ部81)の円滑な供給が妨げられてしまうからである。また、折曲部85、85Aの成形時期は、最終段のプレス絞り加工中のパンチの下降開始時から下死点到達時までの期間中に行われればよい。この実施の形態では、スリーブ23の形態との関係においてパンチ下降運動を利用して折曲部を成形する。詳しくは、スリーブ絞りの最終段階で折曲部85、85Aを成形する。その後に、容器本体71の精度出しがスリーブ無し絞りによって行われる。
【0082】
次に、焼鈍炉30は、図示省略した炉本体内にコンベアを装備した構造であり、コンベアの搬送速度は設定変更(例えば、400〜500mm/分)できる。折曲部85、85Aが成形された製品外フランジ部81を残したままの未完角筒容器70を受け入れてその全体に焼鈍処理を施すことができる。従来例のようにプレス絞り加工後の大きな歪を内在する未完角筒容器を長時間放置する事態を払拭できるから、無用な変形発生を誘発することがなくかつ不必要で過度の焼鈍処理を回避できる。炉内搬送方式をループ方式、水平方向の複数列並走方式、上下方向の複数並走方式とすれば、炉本体の搬送方向寸法を小さくすることができる。
【0083】
この焼鈍炉30は、トリム機40に向かって移動中の未完角筒容器全体に連続焼鈍処理可能である。所定温度(例えば、800〜900度)で所定時間(10〜30分)の焼鈍処理を行える。なお、焼鈍炉30は、バッチ式の炉から形成しても実施することができる。
【0084】
そして、プレス機10の生産サイクルタイムに合わせて未完角筒容器を入口側から受入れかつ出口側から焼鈍処理後の未完角筒容器を送出すことができる値に設定することができる。すなわち、焼鈍炉30が例えば5mで1列搬送の場合、プレス絞り加工速度が10個/分(10spm)、焼鈍処理時間が10分、搬送速度が500mm/分であるから、生産サイクルタイムは1分間となる。
【0085】
なお、より十分な降温冷却時間を必要とする場合には、焼鈍炉30の後に降温冷却装置を設けてもよい。この実施の形態では、焼鈍炉30の後にバッチ式の降温冷却炉を設けてある。
【0086】
トリム機40は、プレス機構造方式として構成され、焼鈍処理後の未完角筒容器70から製品外フランジ部81を除去するトリム加工を行う。未完角筒容器の姿勢をプレス絞り加工時の姿勢とは上下反転させた状態として製品外フランジ部を除去するので、トリムカット後のスクラップ(製品外フランジ部)の排出が容易で、安定したトリム加工ができる。
【0087】
因みに、従来例(前者提案方法)の場合は、プレス絞り加工工程内にトリム加工工程が組み込まれているので、未完角筒容器の姿勢を反転しかつトリム加工後に再反転させることが至難であるから、不安定運転となる。機械設備経済の負担も過大となる。
【0088】
未完角筒容器の硬度が焼鈍処理により下げられているから、トリム機40の容量は従来例の場合に比較して半減でき、無理なくトリム加工できかつ刃先寿命も長く、経済的である。製品(完成角筒容器)の形状精度を高く維持できる。つまり、高硬度状態でトリムする従来例の場合に比較して過度な機械的外力による容器変形を招来しない。
【0089】
このトリム機40の取扱いは簡単である。作業者は、生産サイクルタイム毎に未完角筒容器を金型にセットして製品外フランジ部を除去すればよい。また、短時間内に多数の角筒容器を形状矯正治具にセットし、焼鈍処理時間中に待機し、その後に慌しくリセットする従来作業と比較すれば、作業員の精神的、肉体的負担は大幅に軽減でき、生産能率を飛躍的に向上できる。
【0090】
かかる実施の形態に係る角筒容器の製造装置では、次のようにして角筒容器の製造方法が実施される。
【0091】
(プレス絞り加工)
図1、図2において、第1段プレス機(10−1)において、スリーブ23(板押え24)がブランク(製品外フランジ部81)をダイス11(ガイド面13)に押付ける。パンチ21の下降により、ブランクはダイス穴12内でプレス絞り加工されて図3、図4に示す未完角筒容器70(容器本体71)に成形される。ブランク(製品外フランジ部81)はスリーブ23の先端を通しダイス穴12内に供給される。各段プレス機(10−2)〜(10−5)において、同様にプレス絞り加工が行われる。容器本体71の深さは次第に大きく、製品外フランジ部81の残り量は少なくなる。ステンレス鋼製材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して未完角筒容器を成形(A工程)する工程の大部分が実行される。
【0092】
(最終段でのプレス絞り加工)
図1、図5において、第6段プレス機(10-N)において、それ以前の場合と同様にプレス絞り加工されるが、この最終段では製品寸法精度を重視する工程なのでスリーブ絞りによる絞りおよびスリーブ無し絞り加工による精度出し絞り深さは軽微でありブランク供給量も微量である。パンチ21が最下位置(下死点)に到達した後に、パンチ21が上昇して次のプレス絞り加工待ち状態となる。
【0093】
(最終段での製品外フランジ部への折曲部の成形)
上記の最終段プレス絞り加工中(スリーブ絞り加工中)に折曲部85(85A)が成形される。この実施の形態では、容器本体71の精度出し用のスリーブ無し絞り加工に先立って実行されるスリーブ絞り加工の最終段階において変形部(折曲部)が成形される。すなわち、その最終段階において、板押え24およびパンチ21の下降とともにスリーブ23がブランク(製品外フランジ部81)をダイス11側に押付けると、折曲成形凹部25(折曲成形凸部25A)と折曲成形凸部15(、折曲成形凹部15A)との協働により折曲部85(85A)が成形される。同時的に起立面23Vと起立面11Vとの協働により起立部81Vが成形されかつ水平面23Hと水平面11Hとの協働により水平部81Hが成形される。すなわち、スリーブ絞り加工の最終段階に未完角筒容器70を構成する容器本体71と一体でかつ上部開口縁直辺74LL,74LRから外側に広がる製品外フランジ部81(81L,81R)に曲率の大きな折曲部85(85A)を積極的に成形(B工程)することができる。同様に、上部開口縁直辺74SB,74SAから外側に広がる製品外フランジ部81(81B,81A)に曲率の大きな折曲部85(85A)を成形できる。ステンレス鋼製角筒容器である未完角筒容器70(容器本体71)の形態を図6、図7に示す。外観斜視図を図8に示す。
【0094】
(焼鈍処理)
最終段のプレス絞り加工終了後に折曲部が成形された製品外フランジ部81を残したままの未完角筒容器を受入れかつ未完角筒容器全体に焼鈍処理を施す(C工程)。この際、折曲部85,85Aが成形された製品外フランジ部81が、容器本体71の熱変形を規制する。製品寸法精度を保証することができる。また、この焼鈍処理は、製品の光沢や硬度を所望のものに仕上げることにも有効である。
【0095】
(トリム加工)
上部開口73を下向きにしてダイス側の上向き受台に角筒容器71を嵌装させることで未完角筒容器をトリム機40にセットする。パンチを下降させ、焼鈍処理後の未完角筒容器から製品外フランジ部81をトリム加工して完成角筒容器を製造する(D工程)。この際、製品外フランジ部81を含む全体(70)が焼鈍処理されているので、プレス絞り加工終了直後の高硬度でトリムしていた従来例の場合に比較して、トリム加工が極めて容易でかつ無理で過大な機械的外力を加えない。したがって、製品(角筒容器)70の寸法精度を維持できる。
【0096】
(製品取り出し)
以上のA,B、CおよびD工程をこの順で実行することにより、ステンレス鋼製角筒容器70を製造することができる。
【0097】
しかして、この実施の形態によれば、最終段のプレス機(10−N)の後方に焼鈍炉30とトリム機40とをこの順序で配置したステンレス鋼製角筒容器の製造装置1であるから、A工程(未完角筒容器の成形)、B工程(製品外フランジ部に折曲部を成形)、C工程(製品外フランジ部を残したままでの焼鈍処理)およびD工程(製品外フランジ部のトリム加工)をこの順で実行する角筒容器製造方法を確実に実施することができる。低コストで具現化容易である。
【0098】
この角筒容器製造方法によれば、従来形状矯正治具およびその取扱作業を一掃できるから、生産性が高くかつ大幅な製造コスト低減を達成できる。すなわち、形状精度が高く廉価なステンレス鋼製角筒容器を提供できる。
【0099】
また、プレス機10がパンチ21に被嵌されたスリーブ23の形状とパンチ21の下降運動を利用して折曲部85,85Aを成形可能であるから、プレス絞り加工中に一段と確実かつ安定して折曲部を成形できる。構造簡単である。
【0100】
折曲部が2つ山形形状部(85,85A)から形成されているので、構造簡単でありながら容器本体71に対する剛性を非常に大きくすることができる。なお、折曲部の形態は山形形状部(85,85A)に限定されない。
【0101】
また、焼鈍処理が移動中の未完角筒容器70に連続して行われるので、焼鈍処理時間の長短に拘わらずに全体生産サイクルタイムの一層の短縮化に寄与できる。
【0102】
さらに、焼鈍炉30は、トリム機40に向かって移動中の未完角筒容器に連続焼鈍処理可能であるから、人手が掛からずに安定した焼鈍処理ができる。しかも、焼鈍処理時間の長短に拘わらずにプレス絞り加工工程の生産サイクルタイムに同期させた運用が容易である。
【0103】
さらに、トリム機40がプレス絞り加工時の姿勢とは上下反転させた姿勢の未完角筒容器から製品外フランジ部をトリム加工できるので、未完角筒容器の形状精度を担保しながら正確かつ迅速・容易にトリムできる。
【0104】
さらにまた、完成角筒容器が、2次電池(リチウムイオン電池)用ケースであるから、電気自動車等に求められる低コストで高品質の充放電器を提供できるとともに世界環境保全にも大きく貢献できる。
【0105】
(第2の実施の形態)
この実施の形態は、基本的製造方法・装置が第1の実施形態の場合と同様であるが、第1の実施の形態が製品外フランジ部81に折曲部85,85Aを成形していたのに比較して製品外フランジ部81の断面2次モーメントを大きくするための機械的加工を積極的に施すように構築されている。
【0106】
すなわち、本発明(請求項8)に係るA1工程(ステンレス鋼製材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して未完角筒容器を成形する。)、B1工程(最終段のプレス絞り加工中に未完角筒容器を構成する容器本体と一体でかつ上部開口縁直辺から外側に広がる製品外フランジ部に当該フランジ部の断面2次モーメントを大きくするための機械的加工を施す。)、C1工程(大きな断面2次モーメントを持つ製品外フランジ部を残したままの未完角筒容器全体に焼鈍を施す。)およびD1(焼鈍処理後の未完角筒容器から製品外フランジ部をトリム加工して完成角筒容器を製造する。)をこの順で実行することができる。
【0107】
なお、A1工程は第1の実施の形態に係るA工程と同等で、D1工程はD工程と同等である。
【0108】
ここに、第1の実施の形態で記述したように断面2次モーメントの増大化に着目すれば、各上部開口縁長直辺74LL,74LR(各上部開口縁短直辺74SB,74SA)と平行な仮想軸線XL,XR、XLA,XRA(YB,YA、YBA,YAA)を中心とした折り曲げ加工により折曲部85、85Aを成形する態様に限られず、他の態様でも断面2次モーメントを大きくすることができる。例えば、重ね方式による部分的な見掛け板厚の増大や、水平方向に不連続な折曲部、垂直方向に延びる折曲部、水平・垂直方向の組合せ溝、水平複数列のリブ構造、垂直複数列のリブ構造、撓み曲線に対応するアーチ型帯形状の筋目等を製品外フランジ部81に積極的に成形すればよい。
【0109】
しかして、この実施の形態によれば、第1の実施形態の場合と同様に生産性が高くかつ大幅な製造コスト低減を達成できるとともに、形状精度が良好なステンレス鋼製角筒容器を提供できる。しかも、第1の実施形態の場合に比較して、製品外フランジ部81への折曲部などの形態・構造や成形方法に関する適応性を大幅に拡大できる。
【0110】
(第3の実施の形態)
この実施の形態は、基本的製造方法・装置が第1、2の実施形態の場合と同様であるが、第1、2の実施の形態が製品外フランジ部81に折曲部を成形しあるいは製品外フランジ部の断面2次モーメントを大きくするための機械的加工を積極的に施すように構築されていたが、製品外フランジ部81に変形部を成形可能に構築されている。
【0111】
この実施の形態では、本発明(請求項1)に係るステンレス鋼製角筒容器の製造方法を実施することができる。すなわち、ステンレス鋼製材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して未完角筒容器を成形するとともに最終段のプレス絞り加工中に未完角筒容器を構成する容器本体71と一体の製品外フランジ部81に変形部を成形し、次いで製品外フランジ部を残したままの未完角筒容器全体に焼鈍処理を施し、しかる後に未完角筒容器から製品外フランジ部をトリム加工して完成角筒容器を製造することができる。
【0112】
焼鈍処理中の角筒容器の熱的変形問題は極めて複雑である。その現象を第1、2の実施形態を踏まえて一層広く分析すれば、焼鈍処理中に製品外フランジ部が角筒容器側の熱的変形に引き摺られなければ角筒容器側の変形を防止できること明らかである。つまり、製品外フランジ部81の剛性を高めればよい。
【0113】
要は、断面2次モーメントのみに限らず、角筒容器(容器本体81)の熱的変形に抗することのできる製品外フランジ部81の性質[強度・剛性・断面係数]を改変すればよい。つまり、製品外フランジ部81が平板形状であることからすれば、その形状を改変することができるように積極的に機械加工を付与すれば、その剛性等を変えられる。
【0114】
具体的に、製品フランジ部81に変形部(例えば、波板形状、ランダム位置の凹凸組合せ形状、縦横溝形状等)を成形すればよい。もとより、第1の実施形態に係る折曲部85、85Aの成形および第2の実施形態に係る断面2次モーメントを大きくする機械的加工も、変形部を成形することになると理解される。
【0115】
しかして、この実施の形態によれば、従来形状矯正治具およびその取扱作業を一掃できるから、生産性が高くかつ大幅な製造コスト低減を達成できる。すなわち、形状精度が高く廉価なステンレス鋼製角筒容器を提供できる。しかも、第1、2の実施形態の場合に比較して、製品外フランジ部81への変形態様、その形態および構造やその成形方法に関する適応性を一段と大幅に拡大できる。
【0116】
なお、以上の各実施の形態では、ステンレス鋼製角筒容器が2次電池用ケース(リチウムイオン電池用ケースを含む。)とされていたが、ステンレス鋼製角筒容器はこれらに限定されるものでなく、電子部品、化学機器等々にも適応される。
【符号の説明】
【0117】
1 角筒容器の製造装置
10 プレス機
11 ダイス
15 折曲成形凸部
15A 折曲成形凹部
21 パンチ
23 スリーブ
25 折曲成形凹部
25A 折曲成形凸部
30 焼鈍炉
40 トリム機
70 角筒容器
71 容器本体
74 上部開口縁
74L 上部開口縁長直辺
74S 上部開口縁短直辺
81 製品外フランジ部
85、85A 折曲部(変形部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼製材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して未完角筒容器を成形するとともに最終段のプレス絞り加工中に未完角筒容器を構成する容器本体と一体の製品外フランジ部に変形部を成形し、次いで製品外フランジ部を残したままの未完角筒容器全体に焼鈍処理を施し、しかる後に未完角筒容器から製品外フランジ部をトリム加工して完成角筒容器を製造することを特徴とする、ステンレス鋼製角筒容器の製造方法。
【請求項2】
A工程:ステンレス鋼製材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して未完角筒容器を成形する。
B工程:最終段のプレス絞り加工中に未完角筒容器を構成する容器本体と一体でかつ上部開口縁直辺から外側に広がる製品外フランジ部に折曲部を成形する。
C工程:該折曲部が成形された製品外フランジ部を残したままの未完角筒容器全体に焼鈍処理を施す。
D工程:焼鈍処理後の未完角筒容器から製品外フランジ部をトリム加工して完成角筒容器を製造する。
以上のA,B、CおよびD工程をこの順で実行することを特徴とする、ステンレス鋼製角筒容器の製造方法。
【請求項3】
前記未完角筒容器の平面形状が各2つの長直辺と短直辺とからなる長方形とされかつ前記折曲部が上部開口縁長直辺側の製品外フランジ部のそれぞれに成形されている、請求項2記載のステンレス鋼製角筒容器の製造方法。
【請求項4】
前記折曲部は、前記上部開口縁長直辺と平行な仮想軸線を中心に折り曲げられている、請求項3記載のステンレス鋼製角筒容器の製造方法。
【請求項5】
前記折曲部はパンチに被嵌されたスリーブの形状とパンチの下降運動を利用して成形される、請求項2〜4のいずれか1項に記載されているステンレス鋼製角筒容器の製造方法。
【請求項6】
前記焼鈍処理が移動中の未完角筒容器全体に連続して行われる、請求項5〜6のいずれか1項に記載されているステンレス鋼製角筒容器の製造方法。
【請求項7】
前記完成角筒容器が2次電池ケースである、請求項2〜6のいずれか1項に記載されているステンレス鋼製角筒容器の製造方法。
【請求項8】
A1工程:ステンレス鋼製材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して未完角筒容器を成形する。
B1工程:最終段のプレス絞り加工中に未完角筒容器を構成する容器本体と一体でかつ上部開口縁直辺から外側に広がる製品外フランジ部に当該フランジ部の断面2次モーメントを大きくするための機械的加工を施す。
C1工程:大きな断面2次モーメントを持つ製品外フランジ部を残したままの未完角筒容器全体に焼鈍を施す。
D1:焼鈍処理後の未完角筒容器から製品外フランジ部をトリム加工して完成角筒容器を製造する。
以上のA1,B1、C1およびD1工程をこの順で実行することを特徴とする、ステンレス鋼製角筒容器の製造方法。
【請求項9】
ステンレス鋼系材料に複数段のプレス絞り加工を順番に施して未完角筒容器を成形するプレス機の後方に焼鈍炉とトリム機とを配置し、
プレス機が、最終段のプレス絞り加工中に未完角筒容器を構成する容器本体と一体でかつ各上部開口縁長直辺から外側に広がる製品外フランジ部のそれぞれに当該上部開口縁長直辺と平行な仮想軸線に沿って延びる折曲部を成形可能とされ、
焼鈍炉が、該折曲部が成形された製品外フランジ部を残したままの未完角筒容器全体を受け入れて焼鈍処理可能とされ、
トリム機が、焼鈍処理後の未完角筒容器から製品外フランジ部を除去するトリム加工が可能とされ、
プレス機と焼鈍炉とトリム機との当該各工程を実行することにより完成角筒容器を製造可能に形成されている、ステンレス鋼製角筒容器の製造装置。
【請求項10】
前記プレス機が、最終段のプレス絞り加工において、パンチに被嵌されたスリーブの形状とパンチの下降運動を利用して前記折曲部を成形可能に形成されている、請求項9記載のステンレス鋼製角筒容器の製造装置。
【請求項11】
前記焼鈍炉は、前記トリム機に向かって移動中の未完角筒容器全体に連続焼鈍処理可能である、請求項9または10に記載されているステンレス鋼製角筒容器の製造装置。
【請求項12】
前記トリム機は、前記未完角筒容器の姿勢を前記プレス絞り加工時の姿勢とは上下反転させた状態として前記製品外フランジ部を除去するトリム加工が可能に形成されている、請求項9〜11のいずれか1項に記載されているステンレス鋼製角筒容器の製造装置。
【請求項13】
前記完成角筒容器が、リチウムイオン電池ケースである、請求項9〜12のいずれか1項に記載されているステンレス鋼製角筒容器の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−251311(P2011−251311A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126488(P2010−126488)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000100861)アイダエンジニアリング株式会社 (153)
【Fターム(参考)】