説明

ストッパ部材、そうした部材を含む流体ディスペンサ、そして、そうしたディスペンサの製造方法

流体ディスペンサ(P)の開口部(31)に設置するためのストッパ部材(C)であって、前記ストッパ部材は、特徴として、流体投与口(17)が形成されたベース本体(1)と、ベース本体(1)に静止様態で設置される組立部品(20)と、そして、投与口(17)を閉じるための閉じ蓋(25)であって、ヒンジ(26)によって組立部品に接続されている、という蓋(25)と、を有し、前記蓋(25)については、特徴として、部品(20)と蓋(25)とが単一部品として作られており、蓋(25)は初期状態、初めて蓋が開けられる前の時点では、少なくとも1つの素材ブリッジ(28)によって組立部品(20)に接続されており、前記ブリッジ(28)は初めて開けられる際に破壊されるものである、という前記ストッパ部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体貯蔵器の開口に設置されて流体ディスペンサを構成する、というストッパ部材に関する。また、本発明の用途は更に、流体ディスペンサ、および、こうした流体ディスペンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ストッパ部材は、数多くの分野(特に、香水、化粧品、さらに医薬品の分野)で、あらゆる種類のディスペンサに使用されている。ストッパ部材の第1の機能は、ストッパ部材が設置されている貯蔵器の中に格納された流体の選択的な投与を可能にすることである。
本発明のストッパ部材が形成するストッパ部材は、「自動力のない」種類(すなわち、ポンプも弁も組み入れられていない種類)とされるものである。言い換えれば、流体は、ストッパ部材によって形成された内部チャンバの中で圧力を受けない。本発明のストッパ部材はむしろ、ストッパによって閉じることのできる投与開口部を有した従来型の閉鎖装置に類似している。
【0003】
しかし、「自動力のない」閉鎖装置に固有の問題は、ストッパ部材が以前に流体投与のために開けられたことが一度もないことをユーザに保証するのが難しい、という事実にある。流体ディスペンサを購入するユーザは、そのディスペンサが未使用であることの保証を求める。その問題の緩和を目的に、従来技術でも既に、ストッパ部材と組み合わされた未使用保証システムが数多く存在している。例えば、ストッパ部材をフィルムの中に包装して、初めての使用の時にはフィルムを破らないとストッパ部材に触れられない、という形が可能である。ネジ型ストッパ部材に未使用保証ストリップを持たせておいて、これにより、栓が外されるのを防ぐ、という形も可能である。初回使用時、ユーザは、ストリップを引き抜く、または、力を加えてストッパを開く、という動作を行い、それによってストリップは破られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本発明のストッパ部材はネジ型ではなく、周縁ストリップを引き抜いたり破壊したりするやり方は、本発明には適していない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明が提供するのは、流体ディスペンサの開口部に設置するためのストッパ部材であって、前記ストッパ部材は、特徴として、流体投与口が形成されたベース本体と、ベース本体に静止様態で設置される組立部品と、そして、投与口を閉じるための閉じ蓋であって、ヒンジによって組立部品に接続されている、という蓋と、を有し、前記蓋(25)については、特徴として、部品と蓋とが単一部品として作られており、蓋は初期状態、初めて蓋が開けられる前の時点では、少なくとも1つの素材ブリッジによって組立部品に接続されており、前記ブリッジは初めて開けられる際に破壊されるものである、というストッパ部材である。
【発明の効果】
【0006】
これにより、閉じ蓋が組立部品に接続された形で、その組立部品をベース本体に装着することが可能となる。組立部品は、閉じ蓋とベース本体との間で、中間部品または接続部品としての機能を果たす。組立部品がなければ、破壊可能な素材のブリッジを、初回使用時前の時点で閉じ蓋を閉位置に保持する、という形に作ることは不可能であろう。ブリッジが破壊された後は、ヒンジを劣化させることなしに、蓋を何回も開閉することができる。つまり、蓋は元の位置に戻すことができる。
【0007】
また、本発明の別の興味深い特徴として、蓋は、前記組立部品の内部に入った形となる。これは、蓋が組立部品の中に入った状態となることを意味する。組立部品は、内部空間を形作るリング形状を有し、その空間はリングの内周縁と高さとによって規定されている、という形にすることができる。蓋は内部空間から上方向に突き出ることはない。これにより、ストッパ部材の設計は特に平たいものとなる。また、効果的な構成として、前記少なくとも1つのブリッジは、蓋の外周縁から径方向外向きに延びて、組立部品に接続している。
【0008】
また、別の構成では、蓋が、環状のスロット部によって組立部品から隔てられていること、とする。スロット部は径方向に見て蓋を囲む形となる。
また、効果的な構成として、蓋には開閉ピンが形成されており、前記ピンは、ベース本体の投与開口部に耐漏洩様態で嵌まる。開閉ピンだけが、組立部品の内部空間から下向きに突き出ている。
【0009】
また、本発明の効果的な特徴として、本体と部品と蓋とは単一部品として作られており、部品はヒンジによって本体に接続されており、部品は本体に装着され固定されている。本体と部品との間で接続部として働くヒンジについては、ストッパ部材の組み付け後も保持することができる。または、その反対に、取り外すこともできる。変形例では、当然、本体の成型を、組立部品および閉じ蓋を含んだ成型部から分けて、別に行うこともできる。そうして、2つの部品を一体化して、閉状態のストッパ部材を構成する。
【0010】
また、本発明の別の特性として、組立部品には、実質的に平らなシール用領域が形作られており、当該領域は、貯蔵器の開口部と耐漏洩接触する。それに加えて、または変形例として、本体には、実質的に平らなシール用領域が形作られており、当該領域は、貯蔵器の開口部と耐漏洩接触する。こうした構成により、貯蔵器の開口部は、組立部品または本体の上、さらには組立部品と本体との間においても密封することができる。密封には熱シール処理を用いるのが効果的である。シール処理する領域は、実質的または完全に平らであり、そのため、平らな周縁エッジによって規定された開口を有する可撓性シートを、当該領域の上に熱シール処理することが可能となる。このように、本発明のストッパ部材は流体貯蔵器と共に用いることができ、その貯蔵器とは、1枚または2枚の可撓性シートから作られた可撓性ポーチの形とすることができ、2枚の可撓性シートの一方には平らなエッジを有した開口が形成されており、当該エッジは組立部品および/または本体のシール処理用の領域に熱シール処理される、というものである。よって、周囲をシール処理した可撓性ポーチと、ポーチの面のうち1つに形成された開口に設置されたストッパ部材とだけによって構成された流体ディスペンサを作ることも可能である。こうしたディスペンサは厚みを非常に小さくすることができ、約3〜5mm(ミリメートル)の範囲、またはそれよりも小さくなる。ディスペンサの厚みは、基本的にストッパ部材の厚みによって決まる。可撓性シートの厚みは問題にならないからである。結果、こうした平たいディスペンサは、雑誌出版物に挿入可能な流体サンプルとして使用することができる。
【0011】
また、本発明の別の特徴として、部品には、切れ目のない閉じた周縁接触領域が形作られており、当該領域は、本体と耐漏洩接触するものである。組立部品は、閉ループを形成する環状の形とすることができ、閉じ蓋は、当該環状の部品の内側に置いて、ヒンジと1つまたは2つの破壊可能な素材のブリッジとを介して部品に接続された形とすることができる。この構成では、環状の部品は、例えば接着剤や熱シール処理を用いて、ベース本体上に耐漏洩様態で固定することができる。その耐漏洩接触は、部品と本体との周縁部全体にわたって広がる形とすることができ、そうすると、流体がベース本体と組立部品との間から逃れ出ることはない。熱シール処理の技法として適当なのは、超音波を用いた熱シール処理である。
【0012】
本発明はまた、ストッパ部材が設置される開口の形作られた少なくとも1枚の可撓性シートで成る、容積可変の貯蔵器を有した流体ディスペンサを定義する。好適な構成として、貯蔵器は、1枚または2枚の可撓性シートで構成されたポーチによって形成されている。変形例では、貯蔵器を、可撓性シートと他の素材(例えば、熱形成シェルなど)とから形成することもできる。更に、熱形成シェル上にストッパ部材を設置すること、ストッパ部材を収容するための開口を形成すること、も不可能ではない。効果的な構成として、開口部は平らな周縁エッジによって形作られており、当該エッジは、耐漏洩様態で、部品および/または本体の上にシールされている。平らな周縁エッジは、可撓性シートにも、さらには熱形成シェルにも形成することができる。理解しておくべき点として、開口はシートのうち1枚に作られるのであり、従来技術のポーチで一般的な配置であった、接合された2枚のシートのエッジの間に作られるのではない。
【0013】
また、本発明の別の特徴として、シートには、流体と接触することになる内側と、外側とが形作られ、ストッパ部材はシートの内側にシール処理で付けられる。ストッパ部材をシール処理する作業は、可撓性シートで流体貯蔵器を作るよりも前に実行するのが効果的である。言い換えれば、半分に折り畳んだ1枚のシートから流体貯蔵器を作る場合、ストッパ部材は、前記シートを折り畳む前に、シート上にシール処理される。
【0014】
また、本発明は、流体ディスペンサを製造する方法であって、1回だけの熱シール処理ステップを有し、当該ステップにおいては、部品は本体の上に熱シール処理で付けられ、シートはストッパ部材の上に熱シール処理で付けられる、という方法を実現する。これによれば、両方のシール部を、単一の熱シール処理ユニットによって作ることができ、当該ユニットは、例えば、超音波による熱シール処理用のユニットとすることができる。
【0015】
以下、本発明について、非限定的な例としての実施の形態を示す図面を参照しながら、より詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の非限定的な実施の形態を構成するストッパ部材の構造および機能について、以下に詳細に述べる。そして、その後に、このストッパ部材(または他のストッパ部材)の、本発明のディスペンサへの組み入れについて述べる。
図1乃至6に示すストッパ部材は、全体を参照文字Cで示す。それは基本的に3つの構成要素で成る。すなわち、ベース本体1、組立部品20、蓋25である。組立部品20と蓋25とは、単一の部材として製造し、単一成型部2を形成する形とすることができる。蓋25はヒンジ26を介して組立部品20に接続することができ、当該ヒンジは可撓性素材のブリッジの形とすることができる。
【0017】
本実施の形態では、ベース本体1はワッシャまたはディスクの形で、周縁環状エッジ11に中央領域14が囲まれた形で成る。領域14とエッジ11とには共通の底面13が形作られている。更に、エッジ11には上面12が形作られ、当該上面は、好ましい構成として、実質的または完全に平らかつ環状である。中央領域14は、その外周縁において、周縁エッジ11の上面12から突出している。そうして、領域14は突出リム16を形作り、その形状は環状である。中央領域14の上面には凹型皿15が形成されており、その皿の中心には穴が開けられて投与開口部17となっている。開口部17は中央領域をまっすぐに貫通して、底面13に開いている。皿15は流体収集容器として働く。
【0018】
ベース本体1は、プラスチック材料の射出成型によって作るのが好ましい。本実施の形態では、それは環状または丸い形状になっている。しかし、他の幾何学形状(例:多角形、横長の形状)を考えることもできる。また、本実施の形態では、ベース本体の底面13は完全に平らであるが、任意または特定のプロフィールを備えた形に底面13を作り、それによって流体の投与開口部17への流れを促進することも考えられる。
【0019】
この非限定的な実施の形態において、組立部品20はリングの形をしており、当該リングは完全に閉じているのが好ましい。しかし、組立部品の形状については、部分的に環状となったもの、多角形のものまで考えられる。どのような形をしていても、組立部品はベース本体に取り付け可能でなければならない。本実施の形態では、環状の組立部品20は環状の周縁接触領域22を有し、当該領域は組立部品の底面に形作られている。また、その反対側で、組立部品には突起環状ビード23が形成されており、その位置は部品の内周縁部である。組立部品20の上面には、ビード23から径方向外向きに平らなシール用領域が形成されており、その形状は実質的または完全に平らである。シール用領域21は、固定面として働き、それは、後述するように、本発明のディスペンサの可撓性ポーチを構成する可撓性シートを固定するためのものである。
【0020】
効果的な構成として、蓋25は、組立部品20と一体の形で作られており、また、図に見られるように、ディスクまたはワッシャの形状を有して、組立部品20の内部に配置されている。蓋25は組立部品の内周縁部(更に厳密に言えば、突出ビード23)に接続されており、その接続手段は、図3、4、5に見られるように、可撓性ヒンジ26、さらに1以上の素材ブリッジ28である。蓋25の上面は、突出ビード23の頂上と同じ面に位置づけることができる。蓋25の外周縁エッジは、複数の環状スロット部29によって突出ビード23から隔てられており、スロット部29同士は素材ブリッジ28および可撓性ヒンジ26によって隔てられている。蓋25の中央には開閉ピン27が形作られており、ピンは蓋の底面から延びている。ピンを除いて、蓋は全体が組立部品の中に納まっている。ピンは中央から外れた位置にあってもよいが、その場合は投与開口部17の位置も中央からずらす。
【0021】
図1、2に示すように、組み立ての完了した状態では、組立部品20はベース本体1上に装着されており、組立部品20の接触領域22がベース本体1の周縁エッジ11の上面12に接する状態となっている。領域22と面12との接触については、全周にわたって耐漏洩状態とするのが効果的である。この耐漏洩接触を実現するための手段としては、例えば、耐漏洩クランピング、耐漏洩スナップ留め、接着剤、熱シール処理などがあり、いずれか適当なものを用いることができる。超音波による熱シール処理の技術が特に適している。図1、2において留意すべきは、組立部品20が、中央領域14に形成された突出リム16を囲んで、隙間のない形で収容されることになる、という点である。組立部品20の外径はベース本体1の外径と同一とするのが効果的である。こうした形でベース本体1に装着された後の組立部品20は、ヒンジ26を中心にして開位置(図2参照)と閉位置(図1参照)との間でピボット運動が可能であり、閉位置では、開閉ピン27がベース本体1の投与開口部17に耐漏洩様態で嵌っている。蓋は、ヒンジ26を破壊することなしに、望みどおりに開閉することができる。
【0022】
しかし、ストッパ部材Cが図1のように組み立てられた時点では、蓋25は、可撓性ヒンジ26だけでなく、素材ブリッジ28によっても組立部品20に接続されており、ブリッジは無傷である。これは、蓋が初めて使用される、または開けられる前の時点での、ストッパ部材Cの形である。こうした当初の形では、素材ブリッジ28が無傷であることが、ユーザまたは購入者に対し、ストッパ部材が未開封であることを目に見える形で確実に示すことになる。言い換えれば、素材ブリッジ28は、以前に使用されたことがないことをユーザに保証する機能を果たす。
【0023】
留意すべき点は、こうしたストッパ部材Cが、3つの別個の部品(すなわち、本体1、組立部品20、蓋25)だけから作られていることである(ただし、これら部品は単一の部材として作ることもできる)。成型作業に用いられる技術の制限のため、破壊可能な素材のブリッジ28と可撓性ヒンジ26とを介してベース本体1に直接的に蓋25を接続することは不可能である。この特別な形を可能にするのは、中間組立部品20の仕様であり、当該部品20が、ベース本体1と蓋25との間の接続部を形成する。組立部品20は蓋25と一体の形に作ることもできるが、その際は、破壊可能な素材のブリッジ28と可撓性ヒンジ26とを介して一体に接続する。その後、組立部品20は組立本体1上の所定位置に、好ましくは耐漏洩様態で、装着され固定される。ベース本体1と、組立部品20および蓋25から形成された成型部2とは、図4、5、6に見られるように、2つの部品に作ることができるが、変形例として、本体1と成型部2とを、図3に示すように、ヒンジ24を介して接続された単一の部材として作ることもできる。この形では、2つの部品は、ヒンジ24を変形させることで、一方を他方の上に装着することができる。
【0024】
留意すべき点として、本発明のストッパ部材Cに見られる厚みは非常に小さく、約2〜5mmの範囲にある。これを可能にしているのは、組立部品20が一部ベース本体1の内側に入る形で(リム16を囲んで)はめ込まれているという事実、そして、蓋25が組立部品20の内側に配置されており、そこから上には突き出ていないという事実である。従って、ストッパ部材Cの厚みは、実質的に蓋25の開閉ピン27の高さに相当する。
【0025】
図1乃至6を参照しながら説明したストッパ部材Cを組み込むことのできる流体ディスペンサの効果的な製造方法について、以下、図7、8を参照しながら詳細に説明する。上述した流体ディスペンサには、他の何らかの種類のストッパ部材を組み込むこともできる。しかし、以下の説明の中では、図7、8で用いられているストッパ部材は図1乃至6のストッパ部材とする。
【0026】
図7は、様々な製造ステップ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)を非常に概略的な形で示した図であり、これらステップは、本発明の流体ディスペンサの製造方法の中で実施される。この製造方法では、第1の材料として、可撓性シート3の切れ目のないストリップとストッパ部材Cとが用いられる。この第1の材料の加工のために、本発明の製造方法ではツールも使用する。例えば、パンチ4や熱シールユニット(図8)などである。
【0027】
可撓性シート3のストリップは、初期状態では平らであり、ロールから展開することができる。すなわち、シート3の幅は予め決められている。図7を見ると、ステップ(a)、(b)ではシート3は完全に平らであり、ステップ(c)、(d)では折り畳み工程にあり、そして、ステップ(e)、(f)、(g)、(h)では完全に半分に折り畳まれた状態である、ということが見て取れる。本発明の製造方法は、図7では、ステップ(a)から始まって左から右へと進行する。可撓性シート3のストリップは、ロールから展開された後、パンチ用またはカット用の最初のステーションまで進められる。そこで、シートはパンチ用ツール4でカットされ、開口31が形成される。本実施の形態において、前記開口の形状は円形である。留意すべき点として、このパンチ処理の作業は、シート3が平らな状態(すなわち、折り目のない状態)である間に実施される。従って、開口のエッジ32は、実質的または完全に平らな状態で穴を囲んでいる。
【0028】
第2ステップ(b)では、シート3はまだ平らであり、ストッパ部材Cはこの後、シート3の開口31に設置される。
まだ平らなシート3の上の所定位置にストッパ部材Cを置くと、その次のステップ(c)では、ストッパ部材Cを開口31の中に固定することができ、その手段としては、例えば超音波を使った熱シール技法がある。留意すべき点として、ストッパ部材Cは、その蓋が下を向き、その底面13が上を向く形で、シート3上の所定位置に置かれる。
【0029】
ステップ(d)では、シート3は半分に折り畳まれ、ストッパ部材Cの反対側が目に見えるようになる。
ステップ(e)では、折り畳み作業が完了する。その結果、シート3は半分に折り畳まれて、下側エッジを介して一体につながった2枚のパネルが形成されている。
ステップ(f)では、折り畳まれた状態のシートを、2つまたは3つの側面で熱シール処理する。その際、下側のエッジを熱シール処理するか否かは任意である。それは、このエッジではシートに切れ目のないからである。シール部Sが作られた結果、折り畳まれた状態で接合されたシート3により、2枚のパネルが形成された状態となる。その結果、小型のポーチPが得られるが、これは、少なくとも2つの縦側面シール部Sと任意に熱シール処理される下側エッジとにより形作られる。ストッパ部材Cは、折り畳まれたシートの2つのパネルのうちの一方の上にあって、シール部Sからは離れている。
【0030】
ステップ(g)では、流体FがポーチPのうち熱シール処理されていない側面から、ポーチPに充填される。これを実行するには、ポーチPを半分開いて口が開いた状態にすれば充分である。
その次のステップ(h)は、ポーチPの熱シール処理を完成させるものであり、ステップ(g)で実施された流体Fの充填に使われた側面に熱シール処理を行う。これにより、ポーチPに格納された流体Fは、周縁シール部Sによって外部から隔絶される。唯一可能な出口はストッパ部材Cであるが、部材Cはこの時点では閉じられている。
【0031】
製造ステップの最後は、ポーチPを1つずつ切り離すことであり、これにより1個の流体ディスペンサDが出来上がる。
本製造方法において留意すべき点は、ポーチPの形成よりも前、さらには、可撓性シートが折り畳まれるよりも前に、ストッパ部材Cが可撓性シート3上に設置される、ということである。ストッパ部材Cがシート3上に設置されるのは、前記シートがまだ平らな状態にある間、すなわち、ポーチを作るための折り目がない状態にある間となる。
【0032】
また、注目すべき点として、ストッパ部材Cが設置されるのは内側(すなわち、シート3の内側3i)であり、この内側はその後、ポーチの内壁を形成することになる。
シート3が平らな状態である間にストッパ部材を前記シート上(さらに言えば、ポーチの内側を形成する3iの側)に固定する、という本技法により、本流体ディスペンサの製造方法は相当に簡単なものとなる。平らなシートの上にストッパ部材を設置する作業は、すでに形成が完了して流体も充填されたポーチの内側に設置する作業よりも、はるかに容易である。
【0033】
図8は、可撓性シート3の開口31にストッパ部材Cを設置するステップ(c)の実行内容を、より詳細に示したものである。このステップでは熱シール処理ユニットを用い、当該ユニットは、図8では、2つのあご5によって概略的に表されている。一例として、これらのあごは、超音波による熱シール処理を行うユニット(アンヴィルとソノトロードとを有するもの)のあごと見なすことができる。図8はまた、ストッパ部材C(図1乃至6に示したストッパ部材)の詳細を示す。ベース本体1と、組立部品20および蓋25を含んだ成型部2とが見て取れる。好適な実施の形態では、開口31のエッジ32を、組立部品20の外周縁上、シール用領域21の上に熱シール処理する。実際には、図7に示すステップ(c)まで、図は反対に描かれている。図7のステップ(c)では、シート3が内側3iから示され、内側3iがその後ポーチPの内側を形成するのに対し、図8におけるシート3は、その内側が下を向き、外側3eが上を向く、という形で示されている。シート3が半分に折り畳まれると、ベース本体1の位置はポーチの内側となり、蓋25および突出ビード23だけが、シートの開口31を通して目に見える。
【0034】
変形例では、シート3の開口のエッジ32を熱シール処理する位置について、ベース本体1の下側(すなわち、底面13に対して)とすることもでき、さらには、ベース本体1と成型部2との間とすることもできる。これは図8に示してあり、シート3は点線で示してある。一例として、シート3を、ベース1と成型部2との間で接続用または熱シール処理用のインタフェースとして用いることもできる。
【0035】
本発明のもう1つの効果的な特徴として、組立部品20と蓋25とを含んだ成型部2をベース本体1に固定する処理と、シート3をストッパ部材Cに固定する処理とが同じタイミングで行われる。効果的な実施の形態では、熱シール処理ユニット5が、ストッパ部材C上へのシート3の熱シール処理と、ベース本体1上への成型部2の熱シール処理とを同時に行う。つまり、2箇所の別個のシール処理が、単一の熱シール処理ユニットによって、単一の作業の間に行われる。
【0036】
上述した製造方法では、図1乃至6に示して説明したストッパ部材Cを使用するのが効果的であるが、これに限定されるわけではない。しかしながら、本発明の製造方法においては、他の何らかの種類のストッパ部材を用いることもできる。
可撓性シート3を作る材料は、適したものであればなんでもよく、例えば、金属またはプラスチックの複合フィルムの形とすることができる。可撓性シート3であれば、形状記憶をほとんど又は全く持たないポーチPを製造することができるであろう。言い換えれば、ポーチが変形した際、それは変形した状態を保つ。
【0037】
本発明の特徴によれば、流体ディスペンサDを、ポーチの形成前にストッパ部材が所定位置に置かれる、という形で、容易かつ低コストで製造することができる。加えて、効果的な構成として、ストッパ部材には、成型や組立を複雑にすることなしに、未使用保証手段を組み入れることができる。最後に、約2〜5mmという最小限の厚み(ストッパ部材の厚みにほぼ相当する厚み)しか持たないディスペンサDを得ることができる。その結果、ディスペンサDは、広告用サンプルとして、雑誌に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のストッパ部材を閉状態において示す縦断面図である。
【図2】ストッパ部材を開状態において示す、図1と同様の図である。
【図3】単一部品として作られたストッパ部材を、開いた状態で示す斜視図である。
【図4】2つの部品で成るストッパ部材の一部を上方向から見た斜視図である。
【図5】2つの部品で成るストッパ部材の一部を下方向から見た斜視図である。
【図6】ストッパ部材のうち、図4、5に示した部分と組み合わされる部分を下方向から見た斜視図である。
【図7】図1乃至6のストッパ部材を組み込むことが可能な流体ディスペンサの製造方法を概略的に示す図である。
【図8】シート上へのストッパ部材のシールと当該ストッパ部材の組立とを同時に行うことを可能とする、1回の熱シール処理の操作を示す概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ディスペンサ(P)の開口部(31)に設置するためのストッパ部材(C)であって、前記ストッパ部材は、特徴として、
流体投与口(17)が形成されたベース本体(1)と、
ベース本体(1)に静止様態で設置される組立部品(20)と、そして、
投与口(17)を閉じるための閉じ蓋(25)であって、ヒンジ(26)によって組立部品に接続されている、という蓋(25)と、を有し、
前記蓋(25)については、特徴として、
部品(20)と蓋(25)とが単一部品として作られており、蓋(25)は初期状態、初めて蓋が開けられる前の時点では、少なくとも1つの素材ブリッジ(28)によって組立部品(20)に接続されており、前記ブリッジ(28)は初めて開けられる際に破壊されるものである、
という前記ストッパ部材。
【請求項2】
蓋(25)は、前記組立部品の内部に入った形となること、
を特徴とする請求項1に記載のストッパ部材。
【請求項3】
前記少なくとも1つのブリッジ(28)は、蓋の外周縁から径方向外向きに延びて、組立部品(20)に接続していること、
を特徴とする請求項1または2に記載のストッパ部材。
【請求項4】
蓋(25)が、環状のスロット部(29)によって組立部品(20)から隔てられていること、
を特徴とする請求項1乃至3に記載のストッパ部材。
【請求項5】
蓋(25)には開閉ピン(27)が形成されており、前記ピン(27)は、ベース本体(1)の投与開口部(17)に耐漏洩様態で嵌まること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のストッパ部材。
【請求項6】
本体(1)と部品(20)と蓋(25)とは単一部品として作られており、部品(20)はヒンジ(24)によって本体(1)に接続されており、部品(20)は本体(1)に装着され固定されていること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のストッパ部材。
【請求項7】
組立部品(20)には、実質的に平らなシール用領域(21;22)が形作られており、当該領域(21;22)は、貯蔵器の開口部(31)と耐漏洩接触すること、
を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のストッパ部材。
【請求項8】
本体(1)には、実質的に平らなシール用領域(12;13)が形作られており、当該領域(12;13)は、貯蔵器の開口部(31)と耐漏洩接触すること、
を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のストッパ部材。
【請求項9】
部品(20)には、切れ目のない閉じた周縁接触領域(22)が形作られており、当該領域(22)は、本体(1)と耐漏洩接触するものであること、
を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のストッパ部材。
【請求項10】
流体ディスペンサ(D)であって、
開口部(31)が形作られた少なくとも1枚の可撓性シート(3)を有する、容量が可変の流体貯蔵器(P)と、そして、
シート(3)の開口部(31)に設置された形の、請求項1乃至9のいずれかに記載のストッパ部材と、
を有する前記流体ディスペンサ。
【請求項11】
開口部(31)は平らな周縁エッジ(32)によって形作られており、当該エッジ(32)は、耐漏洩様態で、部品(20)および/または本体(1)の上にシールされていること、
を特徴とする請求項10に記載の流体ディスペンサ。
【請求項12】
シート(3)には、流体と接触することになる内側と、外側とが形作られ、ストッパ部材(C)はシートの内側にシール処理で付けられること、
を特徴とする請求項11に記載の流体ディスペンサ。
【請求項13】
ストッパ部材の厚みは、5mmを下回るものであり、効果的な構成としては3mm以下であり、それによってディスペンサは非常に平らになること、
を特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の流体ディスペンサ。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれかに記載の流体ディスペンサを製造する方法であって、1回だけの熱シール処理ステップを有し、当該ステップにおいては、部品(20)は本体(1)の上に熱シール処理で付けられ、シート(3)はストッパ部材(C)の上に熱シール処理で付けられる、という前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−534271(P2009−534271A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507126(P2009−507126)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【国際出願番号】PCT/FR2007/051125
【国際公開番号】WO2007/125241
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】