説明

ストップランプスイッチ

【課題】接点へのシリコンガスの侵入に起因する導通不良が生じないようにしたストップランプスイッチを提供する。
【解決手段】実施の形態に係るストップランプスイッチ1は、シャフト14が挿入される第1のケース10と、シャフト14の移動によりオン状態及びオフ状態に切り替わるスイッチ機構12が配置された第2のケース11と、第2のケース11との位置決めを行う位置決め部材としての突起202a〜202dを有して第1のケース10と第2のケース11の間に介在し、スイッチ機構12が配置される空間への外気の進入を防止するダイヤフラム2と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストップランプスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両は、ブレーキペダルを踏んだとき、後続の車両にブレーキの操作を知らせるため、車両の後面に設けられたストップランプが点灯するようになっている。ストップランプは、ブレーキペダルの操作に連動して動作するストップランプスイッチを介して車両に搭載されたバッテリーに接続されている。
【0003】
例えば、特許文献1に示されるように、可動接点を移動させるプッシュロッドを、固定接点を収納するケースカバー内に往復動可能に設置し、ブレーキペダルの操作に連動して上記プッシュロッドを移動させ、可動接点を固定接点に対して接触/離間させることによりスイッチ動作をさせるストップランプスイッチがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−235632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のストップランプスイッチによると、近傍にシリコン充填材、シリコンゴム、シリコン系接着剤等が存在したり、車両内で整髪料を使用したりすると、車両内が高温度なった場合に、シリコンガスが発生しやすく、このシリコンガスが部材相互間の隙間を通してスイッチ内部に侵入すると、固定接点と可動接点が接触した際に生じるアークにより、接点表面にシリカ(SiO)による絶縁膜が生成され、導通不良を生じるおそれがある。
【0006】
従って、本発明の目的は、接点へのシリコンガスの侵入に起因する導通不良が生じないようにしたストップランプスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、シャフトが挿入される第1のケースと、前記シャフトの移動によりオン状態及びオフ状態に切り替わるスイッチ機構が配置された第2のケースと、前記第2のケースとの位置決めを行う位置決め部材を有して前記第1のケースと前記第2のケースの間に介在し、前記スイッチ機構が配置される空間への外気の進入を防止するダイヤフラムと、を備えたストップランプスイッチを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接点へのシリコンガスの侵入に起因する導通不良が生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態に係るストップランプスイッチの要部断面図である。
【図2】図2(a)は、実施の形態に係るダイヤフラムの上面図であり、(b)は、ダイヤフラムの下面図であり、(c)は、ダイヤフラムの図2(a)のA−A線断面図である。
【図3】図3は、実施の形態に係るブレーキシステムの接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係るストップランプスイッチは、シャフトが挿入される第1のケースと、シャフトの移動によりオン状態及びオフ状態に切り替わるスイッチ機構が配置された第2のケースと、第2のケースとの位置決めを行う位置決め部材を有して第1のケースと第2のケースの間に介在し、スイッチ機構が配置される空間への外気の進入を防止するダイヤフラムと、を備える。
【0011】
[実施の形態]
(ストップランプスイッチの構成)
図1は、実施の形態に係るストップランプスイッチの要部断面図である。このストップランプスイッチ1は、車両に搭載され、後述するブレーキペダルの操作により、ブレーキランプの点灯を示す点灯信号、及び消灯を示す消灯信号を出力するスイッチである。本実施の形態に係るストップランプスイッチ1は、ブレーキペダルが操作されていないとき、オン状態、すなわち、消灯信号を出力するように構成されている。また、ストップランプスイッチ1は、ブレーキペダルが操作されたとき、オフ状態、すなわち、点灯信号を出力するように構成されている。図1は、スイッチ機構12がオン状態、つまり、消灯信号を出力する状態を示すものとする。
【0012】
ストップランプスイッチ1は、主に、ダイヤフラム2と、第1のケース10と、第2のケース11と、スイッチ機構12と、シャフト14と、を備えて概略構成されている。
【0013】
ストップランプスイッチ1は、ブレーキペダルの操作により、シャフト14及びダイヤフラム2を介してスイッチ機構12をオン状態又はオフ状態に切り替えるものである。
【0014】
(第1のケース10及び第2のケース11について)
第1のケース10及び第2のケース11は、例えば、強度、耐薬品性、耐摩耗性、難燃性等を備える材料を用いて形成され、PA(ポリアミド)、POM(ポリアセタール)、66ナイロン等の樹脂を用いて形成される。
【0015】
第1のケース10は、例えば、両端部が開放された円筒形状を有する円筒部100aと、円筒部100aの一方端部に設けられ、円筒部100a側の反対側が開放された筒形状を有する収容部100bと、を備えて概略構成されている。
【0016】
円筒部100aは、先端部から収容部100bにかけて貫通する開口101が形成され、その開口101には、シャフト14が挿入されている。シャフト14の中心軸を延長した中心軸線は、円筒部100aの開口101の中心、及び収容部100bの開口の中心を通っている。
【0017】
円筒部100aは、例えば、シャフト14の中心軸線の垂直方向の断面積が、中心軸線の垂直方向の収容部100bの断面積よりも小さい。
【0018】
シャフト14は、例えば、円柱形状を有し、PA、POM、66ナイロン等の樹脂を用いて形成される。シャフト14は、例えば、開口101からその端部140が突出している。ブレーキペダルが操作されたとき、ブレーキペダルにより、シャフト14が開口101内に押し込まれてスイッチ機構12はオフ状態となる。
【0019】
シャフト14は、中心軸線に沿って図1の紙面の上下方向に移動する。なお、以下において、上、下、右及び左の方向に関して記載した際には、特に断らない限り、図面の紙面に対しての上下左右方向であるものとする。
【0020】
上記の端部140とは反対側のシャフト14の端部141は、収容部100b内に突出し、ダイヤフラム2を介しスイッチ機構12の後述するコンタクトフォルダ13と接触している。シャフト14は、ダイヤフラム2を介して、コンタクトフォルダ13内のリターンスプリング15による弾性力が、図1の上方向に付加されている。
【0021】
円筒部100aは、例えば、開口101の側面103と、シャフト14の側面142と、の間に間隙102が形成される。この間隙102は、車両内部で発生したシリコンガスを含む外気の進入経路となる。従って、例えば、シャフト14の側面142、及び円筒部100aの側面103にシリコンガスを吸収する膜を形成しても良い。シリコンガスを吸収する膜は、例えば、炭素鎖有機分子を含む化学吸着膜又はシロキサン結合を含むシロキサン系化学吸着膜を用いて形成される。なお、シリコンガスに触れそうな部材、例えば、シャフト14、第1のケース10及び第2のケース11等は、上記に示した樹脂材料にシリコンガスを吸着する特性を有する材料を混合した材料を用いて成形加工して形成されても良い。
【0022】
収容部100bは、例えば、シャフト14の中心軸線の垂直方向の断面において、矩形状を有し、その4つの隅は曲線形状となっている。この収容部100bは、開放された端部の内壁に開口107aが形成されている。この開口107aは、第2のケース11の凸部113aが凹部内に入り込む位置に形成される。後述するダイヤフラム2の突起が押しつぶされたことにより発生する弾性力により、第1のケース10に挿入された第2のケース11は、互いに離れようとするので、凸部113aが開口107aの内壁と接触し、第1のケース10と第2のケース11は、一体となって保持される。
【0023】
また、収容部100bは、開口107aに対向する内壁に開口107bを有する。この開口107bは、第2のケース11の凸部113bが凹部内に入り込むように構成されている。なお、開口107a及び開口107bは、例えば、収容部100bの内壁に沿って繋がっていても良いし、部分的に設けられても良い。開口107a及び開口107bは、例えば、部分的に設けられているとき、この開口107a及び開口107bに対応して第2のケース11の凸部が設けられる。
【0024】
また、収容部100bは、第2のケース11の被収容部110bの先端部であって、ダイヤフラム2の外周部200と接触する端面115と対向する位置に、凹部105が形成されている。この凹部105は、ダイヤフラム2のシール部201が弾性変形した状態で接触するものであり、ダイヤフラム2の外周部200に応じて収容部100bに形成されている。この接触により、ダイヤフラム2と収容部100bとの間の空間104に滞留するシリコンガスを含む外気を遮断する。つまり、ダイヤフラム2は、空間104に滞留するシリコンガス等の、スイッチ機構12側の空間106への進入を防止する。つまり、スイッチ機構12の周辺の空間106は、外気と遮断された密閉空間である。
【0025】
第2のケース11は、コネクタの端子17a及び端子17bが設けられたコネクタ部110aと、第1のケース10の収容部100bに収容される被収容部110bと、を備えて概略構成されている。
【0026】
第2のケース11は、両端が開放され、全体が略筒形状を有している。第2のケース11は、内部に設けられた仕切り壁110cにより、コネクタ部110aと被収容部110bとに分かれている。コネクタ部110aは、コネクタ部110a側の仕切り壁110cに端子17a及び端子17bが設けられ、対応する車両の端子と接続し、この端子17a及び端子17bを介してブレーキランプの点灯を示す点灯信号、及び消灯を示す消灯信号が出力される。
【0027】
被収容部110bは、例えば、収容部100bの形状を一回り小さくした形状を有している。つまり、被収容部110bが第1のケース10の収容部100bに収容された状態で、シャフト14の中心軸線を中心とし、この中心から外周に向けて被収容部110b、収容部100bが位置する。
【0028】
被収容部110bの内壁には、互いに対向する凹部114a及び凹部114bを有する。この凹部114aには、スイッチ機構12の凸部120aが入り込み、凹部114bには、スイッチ機構12の凸部120bが入り込んで、スイッチ機構12が被収容部110bに保持されるように構成されている。
【0029】
第2のケース11は、上記の凸部113aのコネクタ部110a側の隣に凹部111aが設けられ、凸部113bの隣に凹部111bが設けられている。凹部111aは、第1のケース10の端部108aが入り込み、凹部111bには、第1のケース10の端部108bが入り込むように構成されている。従って、収容部100bの側面の開口107aに凸部113aが入り込み、被収容部110bの側面の凹部111aに端部108aが入り込み、収容部100bの側面の開口107bに凸部113bが入り込み、被収容部110bの側面の凹部111bに端部108bが入り込むことで、第1のケース10と第2のケース11は一体となって保持される。
【0030】
仕切り壁110cの被収容部110b側には、スプリング受け125が設けられている。このスプリング受け125は、中央にリターンスプリング15が挿入される凹部を有し、その凹部の周囲にコンタクトスプリング16が挿入されている。
【0031】
(スイッチ機構12について)
スイッチ機構12は、第2のケース11の被収容部110bに設けられる。このスイッチ機構12は、主に、コンタクトフォルダ13と、リターンスプリング15と、コンタクトスプリング16と、スイッチケース120と、固定接点122a及び固定接点122bと、可動接点123a及び可動接点123bと、を備えて概略構成されている。
【0032】
スイッチケース120は、例えば、第2のケース11の被収容部110bの形状を一回り小さくした形状を有している。つまり、被収容部110bが第1のケース10の収容部100bに収容された状態で、シャフト14の中心軸線を中心とし、この中心から外周に向けて、スイッチケース120、被収容部110b、収容部100bが位置する。
【0033】
このスイッチケース120の上部の右側面には、被収容部110bの凹部114aに入り込む凸部120aが形成されている。また、スイッチケース120の上部の左側面には、被収容部110bの凹部114bに入り込む凸部120bが形成されている。凸部120a及び凸部120bが凹部114a及び凹部114bに入り込むことにより、凸部120aの上部と凹部114aの側面、及び凸部120bの上部と凹部114bの側面が接触し、被収容部110bとスイッチケース120が一体となって保持される。
【0034】
スイッチケース120の上部には、シャフト14の中心軸線を中心とする開口121cが設けられている。この開口121c内には、コンタクトフォルダ13の端部が挿入され、コンタクトフォルダ13は、シャフト14の移動に伴ってこの開口121c内を移動する。
【0035】
スイッチケース120の内壁の右側上部には、固定接点122aを固定する板形状のコンタクトベース121aが設けられている。また、スイッチケース120の内壁の左側上部には、固定接点122bを固定する板形状のコンタクトベース121bが設けられている。固定接点122a、固定接点122b、コンタクトベース121a及びコンタクトベース121bは、導電性に優れる銅、又は銅合金を用いて形成されている。
【0036】
コンタクトベース121aは、例えば、端子17aと電気的に接続されている。固定接点122aは、コンタクトベース121aにカシメ付けされている。つまり、固定接点122aは、コンタクトベース121aを介して端子17aと電気的に接続されている。
【0037】
コンタクトベース121bは、例えば、端子17bと電気的に接続されている。固定接点122bは、コンタクトベース121bにカシメ付けされている。つまり、固定接点122bは、コンタクトベース121bを介して端子17bと電気的に接続されている。
【0038】
コンタクトベース121aとコンタクトベース121bの直下には、スイッチケース120を一回り小さくしたコンタクトベース124が設けられている。このコンタクトベース124は、シャフト14の中心軸線から離れた外周が、下方向にL字形状に曲げ加工されている。コンタクトベース124は、中心軸線を中心とする開口124aを有する。この開口124aには、リターンスプリング15が挿入されている。
【0039】
また、コンタクトベース124は、開口124aよりも円周の大きいコンタクトスプリング16が、スプリング受け125とコンタクトベース124の間に設けられている。従って、コンタクトベース124は、コンタクトスプリング16により、第2のケース11と離れる方向、つまり、上方向の弾性力を付加されている。
【0040】
また、可動接点123a及び可動接点123bは、コンタクトベース124にカシメ付けされている。可動接点123aは、固定接点122aと対向するように設けられている。可動接点123bは、固定接点122bと対向するように設けられている。可動接点123a、可動接点123b、コンタクトベース124は、導電性に優れる銅、又は銅合金を用いて形成されている。
【0041】
つまり、ブレーキペダルが操作されていないとき、固定接点122aは、可動接点133aと接触し、固定接点122bは、可動接点133bと接触する。従って、ブレーキペダルが操作されていないとき、端子17aは、コンタクトベース121a、固定接点122a、可動接点123a、コンタクトベース124、可動接点123b、固定接点122b及びコンタクトベース121bを介して端子17bと電気的に接続している。
【0042】
コンタクトフォルダ13は、シャフト14側の反対側が開放された円筒形状を有する。コンタクトフォルダ13は、シャフト14の中心軸線を中心とする開口130を有する。この開口130には、リターンスプリング15が挿入されている。このリターンスプリング15は、コンタクトフォルダ13と仕切り壁110cの間に設けられるので、上方向の弾性力をコンタクトフォルダ13に付加する。つまり、リターンスプリング15は、コンタクトフォルダ13、ダイヤフラム2を介してシャフト14に弾性力を付加している。
【0043】
(ダイヤフラム2について)
図2(a)は、実施の形態に係るダイヤフラムの上面図であり、(b)は、ダイヤフラムの下面図であり、(c)は、ダイヤフラムの図2(a)のA−A線断面図である。
【0044】
ダイヤフラム2は、例えば、柔軟性に優れたゴム等を用いて形成される。また、ダイヤフラム2は、シリコンガスに対する耐性を有する材料から形成されることが望ましい。ダイヤフラム2の厚みaは、例えば、0.25〜0.35mmである。本実施の形態に係る厚みaは、一例として、0.35mmである。
【0045】
ダイヤフラム2は、図2(a)〜(c)に示すように、上面視にて、隅が曲線となる正方形状を有し、その中央部分である中央部204は、外周部200に比べて盛り上がった位置にある円形状を有している。この形状は、コンタクトフォルダ13の先端の形状、及びシャフト14の端部141の形状に基づいている。また、図2(a)に示すように、ダイヤフラム2の上面からの外形は、被収容部110bの端面115の形状と略同一である。
【0046】
これは、ダイヤフラム2は、被収容部110bの端面115に外周部200を乗せた状態で、組み付けが行われるためである。この組み付けの際は、リターンスプリング15が自由長であるため、コンタクトフォルダ13が被収容部110bの先端よりも外側に突出するが、ダイヤフラム2の中央部204は、その突出量を考慮して形成されている。つまり、組み付けの際、ダイヤフラム2の接触面200eが、被収容部110bの端面115との接触を保つように中央部204の突出量bが決められる。この突出量bは、接触面200eから中央部204までの高さとして、一例として、4.85mmである。なお、接触面200eとは、図1、図2(b)及び(c)に示すように、外周部200の後述するシール部201の裏面のことであり、被収容部110bの端面115と接触する面である。
【0047】
ダイヤフラム2の外周部200は、その上面にシール部201を有する。このシール部201は、先端が曲面となる凸形状を有する。シール部201は、第1のケース10と第2のケース11が組み付けられる際、収容部100bと被収容部110bとにより挟まれることで弾性変形し、スイッチ機構12側への外気の進入を防止する。この際、シール部201は、収容部100bの凹部105内に入り込んでいる。
【0048】
このシール部201の接触面200eからの高さcは、一例として、1.3mmであり、その幅dは、一例として、1.0mmである。
【0049】
外周部200と中央部204の間には、湾曲部203が形成される。この湾曲部203は、中央部204と接続する円錐形状の部分と、中央部204と反対側の円錐形状の端部が、A−A線の断面において曲線形状となる部分と、を含んで概略構成されている。この曲線形状となる部分は、円錐の端部を円形に囲むように形成され、主に、接触面200eよりも下側に形成される。曲線形状となる部分は、例えば、断面形状が略半円形状となる溝のような形状となっている。湾曲部203は、リターンスプリング15の伸縮を許容するように構成され、リターンスプリング15の伸縮による、シール部201のシール性能の低下を防止する。
【0050】
ダイヤフラム2は、図2(a)に示すように、湾曲部203と4つの隅との間に4つの領域200a〜200dが形成され、その領域200a〜200dのそれぞれの裏面に位置決め部材としての突起202a〜202dが形成されている。
【0051】
突起202a〜202dは、接触面200eから下方に突出して形成されている。突起202a〜202dは、中央部204の中心に対して外側の面が曲面となり、内側の面が平面となっている。突起202a〜202dの外側の曲面は、被収容部110bのダイヤフラム2が配置される端部の隅の形状に応じた曲面となっている。これは、ダイヤフラム2と被収容部110bの位置決めを容易にするためである。
【0052】
接触面200eから突起202aの先端までの距離eは、一例として、1.3mmである。この距離eは、他の突起202b〜202dについても同様である。
【0053】
(ブレーキシステム3の構成)
図3は、実施の形態に係るブレーキシステムの接続図である。このブレーキシステム3は、車両に搭載され、ブレーキペダルが操作されてからストップランプが点灯又は消灯するまでのシステムの概要を示している。
【0054】
車両に搭載された各機器の電気系統の電源となると共に図示しない発電機により充電されるバッテリー31には、ストップランプスイッチ1、増幅回路33、及びストップランプ34A及びストップランプ34Bを負荷とするリレー35が接続されている。
【0055】
ストップランプスイッチ1は、ブレーキペダル36の踏み込み操作に連動してシャフト14が往復動するもので、バッテリー31と増幅回路33との間に接続されている。
【0056】
増幅回路33は、ストップランプスイッチ1を通して+の電圧Vが付与されると出力トランジスタがオフになり、ストップランプスイッチ1がオフになると出力トランジスタがオンになる回路構成を有している。
【0057】
すなわち、増幅回路33は、抵抗33aと、電圧Vが抵抗33aを介して印加されるとオンになるトランジスタ33bと、トランジスタ33bのコレクタと電源+B間に接続された抵抗33cと、トランジスタ33bのコレクタにベースが接続されると共にコレクタがリレー35に接続されたNPN型の出力トランジスタ33dとを備えて構成されている。なお、増幅回路33は、FET(Field effect transistor)、IC(Integrated Circuit)等による構成であってもよい。
【0058】
ストップランプ34A及びストップランプ34Bは、車両の後部の左右に設置された赤色灯である。
【0059】
リレー35は、増幅回路33の出力トランジスタに接続された励磁コイル35aと、励磁コイル35aに通電されたときに駆動されるアーマチュア35bと、アーマチュア35bの一端に取り付けられた可動接点35cと、アーマチュア35bの駆動時に可動接点35cが接触する固定接点35dとを備えて構成されている。
【0060】
以下に本実施の形態に係るストップランプスイッチ1の動作について説明する。
【0061】
(ストップランプスイッチ1の動作)
ストップランプスイッチ1は、ブレーキペダル36が操作されないときには、図1に示すように、オン状態にある。このとき、ストップランプスイッチ1は、コンタクトスプリング16の弾性力により、コンタクトベース124が図1の上方向に押し上げられ、可動接点123aが固定接点122aに接触し、可動接点123bが固定接点122bに接触する。この接触により、端子17aは、コンタクトベース121a、固定接点122a、可動接点123a、コンタクトベース124、可動接点123b、固定接点122b及びコンタクトベース121bを介して端子17bと電気的に接続する。
【0062】
このとき、増幅回路33は、ストップランプスイッチ1及び抵抗33aを介してトランジスタ33bに電圧Vが供給されて導通し、出力トランジスタ33dのベースがグランドレベルとなり、出力トランジスタ33dは非導通となる。従って、リレー35の励磁コイル35aに電圧が供給されないため、励磁コイル35aは非励磁の状態にあり、ストップランプ34A及びストップランプ34Bは消灯している。
【0063】
車両の運転者が、車両を減速又は停止させるために足でブレーキペダル36を踏み込むと、この踏み込み操作に連動してストップランプスイッチ1のシャフト14が第2のケース11側へ移動する。
【0064】
シャフト14が第2のケース11側に移動すると、ダイヤフラム2の中央部204に接触するコンタクトフォルダ13を第2のケース11側に移動させ、リターンスプリング15が収縮する。さらに、シャフト14が移動すると、コンタクトフォルダ13の端面131がコンタクトベース124の上部に接触し、コンタクトベース124を図1の下方向に移動させ、コンタクトスプリング16を収縮させる。このコンタクトスプリング16の収縮に伴うコンタクトベース124の移動により、可動接点123a及び可動接点123bが移動し、固定接点122a及び固定接点122bとの接続が解除される。つまり、ストップランプスイッチ1は、オフ状態となる。
【0065】
ストップランプスイッチ1がオフ状態になると、増幅回路33のトランジスタ33bがオフ状態となり、抵抗33cを介して出力トランジスタ33dのベースに電圧Vが供給され、出力トランジスタ33dがオン状態になる。これにより、リレー35の励磁コイル35aに電流が流れ、可動接点35cと一対の固定接点35dが接触し、ストップランプ34A及びストップランプ34Bにバッテリー31から電流が流れ、ストップランプ34A及びストップランプ34Bが点灯する。
【0066】
次に、運転者が、ブレーキペダル36から足を離すと、シャフト14はコンタクトスプリング16及びリターンスプリング15によって押し戻され、可動接点123a及び可動接点123bが固定接点122a及び固定接点122bと接触した後、シャフト14は、リターンスプリング15により、さらに、押し戻される。この結果、可動接点123a及び可動接点123bが固定接点122a及び固定接点122bと接触することとなり、ストップランプスイッチ1はオン状態となる。
【0067】
ストップランプスイッチ1がオン状態になると、増幅回路33のトランジスタ33bがオン状態になり、電圧Vがグランドレベルとなり、出力トランジスタ33dはオフ状態になる。これにより、リレー35は非励磁になり、可動接点35cが固定接点35dから離れてオフとなり、ストップランプ34A及びストップランプ34Bは消灯する。
【0068】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係るストップランプスイッチ1によれば、第1のケース10及び第2のケース11の間のダイヤフラム2を設けたことにより、ストップランプスイッチ1がシリコンガスを含む外気中に設置された場合でも、ダイヤフラム2によってスイッチ機構12が配置された空間106内にシリコンガスが進入することを防止するので、接点の導通不良を生じないようにすることができる。
【0069】
つまり、ストップランプスイッチ1が設置されている車両内の外気にシリコンガスが発生しているとき、シリコンガスを含む外気は、シャフト14の側面142と円筒部100aの側面103との間の間隙102、及び第1のケース10と第2のケース11の隙間を通して、スイッチ機構12が収容されている空間106内に侵入しようとする。
【0070】
しかし、シリコンガスの侵入経路にはダイヤフラム2が設けられているため、シリコンガスを含む外気は、ダイヤフラム2によってシールされ、固定接点122a、固定接点122b、可動接点123a及び可動接点123bへは到達しない。従って、固定接点122a及び固定接点122bに可動接点123a及び可動接点123bが接触してアークが生じても、接点表面にシリカ(SiO)は生成されない。従って、接点の導通状態が良好に保持される。
【0071】
また、ダイヤフラム2は、突起202a〜202dを有しているので、組み付けが容易となる。つまり、この突起202a〜202dにより、ダイヤフラム2と第2のケース11との位置決めが容易となるからである。さらに、ダイヤフラム2は、中央部204が接触面200eよりも盛り上がっているので、リターンスプリング15が自然長の状態でも、第2のケース11の端面115との接触を保ちつつ第2のケース11に取り付けることができる。
【0072】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1…ストップランプスイッチ、2…ダイヤフラム、3…ブレーキシステム、10…第1のケース、11…第2のケース、12…スイッチ機構、13…コンタクトフォルダ、14…シャフト、15…リターンスプリング、16…コンタクトスプリング、17a…端子、17b…端子、31…バッテリー、33…増幅回路、33a…抵抗、33b…トランジスタ、33c…抵抗、33d…出力トランジスタ、34A…ストップランプ、34B…ストップランプ、35…リレー、35a…励磁コイル、35b…アーマチュア、35c…可動接点、35d…固定接点、36…ブレーキペダル、100a…円筒部、100b…収容部、101…開口、102…間隙、103…側面、104…空間、105…凹部、106…空間、107a…開口、107b…開口、108a…端部、108b…端部、110a…コネクタ部、110b…被収容部、110c…仕切り壁、111a…凹部、111b…凹部、113a…凸部、113b…凸部、114a…凹部、114b…凹部、115…端面、120…スイッチケース、120a…凸部、120b…凸部、121a…コンタクトベース、121b…コンタクトベース、121c…開口、122a…固定接点、122b…固定接点、123a…可動接点、123b…可動接点、124…コンタクトベース、124a…開口、125…スプリング受け、130…開口、131…端面、133a…可動接点、133b…可動接点、140…端部、141…端部、142…側面、200…外周部、200a〜200d…領域、200e…接触面、201…シール部、202a〜202d…突起、203…湾曲部、204…中央部、a…厚み、b…突出量、c…高さ、d…幅、e…距離、V…電圧、V…電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトが挿入される第1のケースと、
前記シャフトの移動によりオン状態及びオフ状態に切り替わるスイッチ機構が配置された第2のケースと、
前記第2のケースとの位置決めを行う位置決め部材を有して前記第1のケースと前記第2のケースの間に介在し、前記スイッチ機構が配置される空間への外気の進入を防止するダイヤフラムと、
を備えたストップランプスイッチ。
【請求項2】
前記位置決め部材は、前記第2のケースの端部の内壁に応じた形状を有する請求項1に記載のストップランプスイッチ。
【請求項3】
前記位置決め部材は、前記第2のケースを前記第1のケースに組み込んで一体とする際、前記第1のケース及び前記第2のケースに挟まれて弾性変形を行うことで前記外気の進入を防止する凸部が外周に沿って形成される請求項1又は2に記載のストップランプスイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−64375(P2012−64375A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206359(P2010−206359)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】