説明

ストラップ

【課題】
装飾性を高め、かつ装飾品としてのネックレスの審美性を念頭に置いた上で、更にネックストラップとして利用した際の安全性や使い勝手を確保したストラップの提供。
【解決手段】
携帯電話およびカードケースを含む被吊体をユーザーの身体の一部に吊り下げるストラップであって、チェーン用の駒または環を環状に連結してなるチェーン本体と、当該チェーン本体に固定されると共に、当該チェーン本体を通すことのできる大きさに形成されたリング体と、前記チェーン本体が挿通される環状部分と、当該環状部分に接続されて、前記被吊体を連結して保持する保持部分とからなる連結具とからなるストラップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーや、IDカード、名札、比較的軽量な携帯機器(携帯電話、MP3プレイヤーなどを含む)乃至はそれらを収容するケースやホルダ等の種々の物品(すなわち「被吊体」)を、利用者の身体の一部に吊り下げるためのストラップに関し、特にチェーンを用いて形成され、且つ首に吊り下げて使用するのに適したストラップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ストラップは携帯電話機や携帯ゲーム機などの携帯機器の落下を防止したり、名札やIDカードを吊り下げるための下げ紐として広く使用されている。このような目的で使用されているストラップとしては、手首または指を通して使用するのに適したショートストラップと、首にかけて使用するのに適したネックストラップが提供されている。
【0003】
特に近年では、携帯電話機や音楽再生装置、あるいは携帯ゲーム機器が小型軽量化されたことや、企業におけるセキュリティー性の向上の観点からICチップ等を内蔵した社員証等のIDカードや名札などの使用も増えている事等もあり、被吊体を使用者が首に引っ掛けて吊り下げるネックストラップが普及している。
【0004】
かかるネックストラップとしては、本来の機能、すなわち物を吊り下げる機能を確保するために、樹脂や繊維を用いて形成された吊り紐と、吊り下げ対象物(被吊体)を保持する保持具を当該吊り紐の先端に一体化して設けて構成されている。
【0005】
そして当該ネックストラップは、吊り下げた携帯電話やIDカードなどを任意に持ち上げて使用する場合等を考慮して、吊り下げ位置を任意に調整可能にしたものも提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1(実用新案登録第3075753号公報)では、携帯電話をネックストラップにぶら下げた場合、身長に応じた適宜な位置に簡単に調節することができ、しかもネックストラップに対する携帯電話の装着及び取外しが容易な携帯電話用ストラップとして、ネック用ストラップ紐の両端を上方から下方に向けて刺し通し、ストラップ紐の適宜位置に移動できるように加工した第一のホルダーと、この第一のホルダーに嵌合可能に加工した第二のホルダーと、この第二のホルダーに刺し通した紐と、この紐に取付けた携帯電話とからなり、かつ前記携帯電話を取付けた紐の長さも第二のホルダーに設けた長さアジャスト機構により調節自在に構成した携帯電話用ストラップが提案されている。
【0007】
また係るネックストラップに関しては、使用者の安全性を考慮することも検討されている。例えば特許文献2(特開2004−113769公報)では、ポータブル機器を支持するネックストラップに大きな力が作用した時にユーザーの首を傷つけないネックストラップを提供するべく、ユーザーがネックストラップを着ける時に、ユーザーの首と接触しない首非接触部分に、ネックストラップに働く外力が安全範囲を超えるとネックストラップが首から外れる瞬間切離しユニットを組み付ける事が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3075753号公報
【特許文献2】特開2004−113769公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、携帯電話やカードケースなどを吊り下げるネックストラップとしては、従来から各種提案されている。しかしながら、従来提供されている何れのネックストラップも、製造コストの問題や、利用者に対する負担を軽減する為の軽量化の要請、および使用時における利用者への安全性などを考慮して、合成樹脂や布製の紐又は帯を用いて形成されるのが実情である。
【0010】
しかしながら、従来から提供されている樹脂製或いは布製のストラップでは、装飾性に関して未だ改良の余地を有する。そこで本発明は、装飾性を高めたストラップの提供を第一の課題とする。
【0011】
特にネックストラップについては、これを装飾具として考えれば、従来から各種の装飾用のネックレスも提供されており、これらは金属を用いて構成されたものも多数提供されている。
【0012】
しかしながら、装飾用のネックレスは、そもそも被吊体を吊り下げることを前提に構成されていないことから、利用者の安全性や、装着時において任意に被吊体を利用することについては、何ら手立てが講じられていないのが通例である。
【0013】
よって本発明では、装飾品としてのネックレスの審美性を念頭に置いた上で、更にネックストラップとして利用した際の安全性や使い勝手を確保したストラップを提供することを第2の課題とする。
【0014】
更に、従来から提供されているネックストラップは、樹脂や繊維を用いて形成された吊り紐の先端部分に、吊り下げ対象物(被吊体)を保持する為の保持具を固着して形成されており、当該保持具は、吊り紐を移動することができない。この為、吊り紐がずれた場合などには、当該保持具も左右何れかに偏ってしまうこともあった。
【0015】
そこで本発明は、吊り紐に対する保持具の設置方法を改良し、かかる保持具の偏りをなくしたストラップを提供することを第3の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題の少なくとも何れかを解決するため、本発明ではエンドレスの輪に形成した鎖を用いたネックストラップを提供するものであり、吊り下げ対象物(被吊体)を保持する為の保持具は、当該エンドレスの鎖を自在に移動できるように設けたネックストラップを提供するものである。
【0017】
すなわち本発明に係るネックストラップは、
携帯電話およびカードケースを含む被吊体をユーザーの身体の一部に吊り下げるためのストラップであって、チェーン用の駒または環を環状に連結してなるチェーン本体と、
当該チェーン本体に固定されると共に、当該チェーン本体を通すことのできる大きさに形成されたリング体と、
前記チェーン本体が挿通される環状部分と、当該環状部分に接続されて、前記被吊体を連結して保持する保持部分とからなる連結具と
からなることを特徴とするストラップである。
【0018】
上記チェーン本体は、チェーンを構成する駒または環を環状に連結して構成されたものであり、直線状のチェーンの両端を着脱自在に繋げる為の留め具を介在させることなく、チェーンを構成する駒または環だけで形成したものである。すなわち、装飾用のネックレスに用いられているような止め輪や孔あきプレートで構成されているような止め具は、当該チェーンで構成される環の中には存在しないものとして形成されている。
【0019】
前記チェーン本体を構成するチェーンは、ボールチェーン、アズキチェーン、キヘイチェーン、ベネチアチェーン、アンカーチェーン、フォックステールチェーンなど、各種のチェーンを用いて構成することができる。また、当該チェーン本体は、樹脂や金属を用いて形成することができるが、装飾品としての価値を高めるためには金属を用いて形成されることが望ましい。特に、ネックストラップに大きな力が作用した時に利用者の首を傷つけないように、比較的や柔らかい金属、例えばアルミニウムや金などを用いて形成するのが望ましい。特に製造コスト、装飾性、および安全性の点を考慮すれば、アルミニウムを用いて形成されたチェーンを使用するのが望ましい。
【0020】
そして上記チェーン本体は、それを構成する駒又は環が同じ大きさ及び形状の駒又は環だけで構成されているのが望ましい。同じ形状及び大きさにすることにより、後述するリング体に通す場合にも、引っかかることなく、円滑に通ることができる。
【0021】
また、チェーン本体に使用されるチェーンは、利用者の安全性を考慮して、一定の力で引っ張られたときに、少なくとも何れかの駒または環が開くように構成されることが望ましい。よって、当該チェーン本体を構成する全てまたは何れかの駒または環はロウ付けしないで形成することが望ましい。特に、当該チェーン本体を構成する夫々の駒又は環は、環状に形成された端部同士が、ロウ付けなど接着又は融着されていない事が望ましい。
【0022】
而して、本発明に係るストラップを構成するチェーン本体は、当該チェーン本体の何れか一点を200N以下の力で、望ましくは40〜200Nの力で、特に望ましくは40〜16Nの力で引っ張ったときに切断するように、その引っ張り強度が調整されている事が望ましい。
【0023】
また、上記チェーン本体の長さは、利用者が吊り下げる部位に応じて適宜調整することが望ましく、例えば利用者の首にぶら下げて使用するネックストラップの場合には、全周が約70〜100cm、望ましくは約75〜85cmの長さになるように形成することが望ましい。
【0024】
そして上記リング体は、少なくともチェーン本体に固定される必要がある。例えば、チェーン本体を構成する何れかの駒または環に刺し通して(貫通させて)設けることができる。また、当該リング体は、その内径が、当該チェーン本体を通すことのできる大きさに形成される。何れかの部位をチェーン本体に設けると共に、チェーン本体を通すことのできる大きさの内径に形成することにより、当該孔部分にチェーン本体を通せば、環状部分が連なった大凡「8」字形状にすることができ、しかも当該チェーン本体で形成される相互の環状部分の大きさの割合を自在に調整することができる。そしてチェーン本体をエンドレスに形成することにより、当該チェーン本体は、何れかの部位が当該リング体に引っかかることなく通ることができる。
【0025】
かかるリング体は、円環状に形成する他、三角、四角などの多角形に形成された環状、或いは星型やハート型、或いは動物や植物を模した形状などの各種意匠形状に形成することができる。また、このリング体には、イヤリングやブローチ、或いはペンダントヘッドなどを装着することにより、装飾性をいっそう高めることもできる。
【0026】
また前記連結具は、環状部分と保持部分とからなり、環状部分はその中に前記チェーン本体を通し、当該チェーン本体を自在に移動することができるように構成され、保持部分は、この環状部分に固定され、被吊体を連結して保持するように形成される。例えば、当該保持部分はフックや紐体など、さまざまな形状に形成することができる。また環状部分と保持部分とは、被吊体を任意にストラップから取り外すことができるように、着脱自在に連結するように形成することができる。更に、当該保持部分は、保持する被吊体を任意に引き出したり、元の状態に吊り下げたりすることができるように、リール状に巻かれた紐などにより伸縮自在に形成することもできる。
【0027】
以上のように構成されたネックストラップによれば、チェーン本体を、これに固定されたリング体を通して長さを調整すれば、首にかける部分の長さを調整することができ、利用者の都合に合わせた形状および長さに自在に調整することができる。また、チェーンを用いて形成することにより、これまでのストラップにない装飾性を発現させることができる。更に、チェーン本体をエンドレスの環状に形成することで、これに設けた連結具は自在に移動することができ、それ自体または被吊体の質量により、当該被吊体は左右何れかに偏ることなく、常に中央に存在することができる。
【0028】
また本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決するために、以下のストラップを提供する。
すなわち、携帯電話およびカードケースを含む被吊体をユーザーの身体の一部に吊り下げるためのストラップであって、当該ストラップは、
チェーン用の駒または環を環状に連結してなるチェーン本体と、
当該チェーン本体に固定されると共に、当該チェーン本体における任意の部位に着脱自在に係止する係止部を備える係止具と、
前記チェーン本体が挿通される環状部分と、当該環状部分に接続されて、前記被吊体を連結して保持する保持部分とからなる連結具と
からなることを特徴とするストラップである。
【0029】
かかるストラップでは、上記したストラップにおけるリング体に換えて係止部を使用するか、或いはリング体を持ちいて係止具を形成したものである。かかる係止具は、チェーン本体に固定されると共に、当該チェーン本体における他の部位に着脱自在な係止部を備えて構成されている。かかる係止部としては、例えばフック、ピン、クリップ等を用いることができ、当該係止部をチェーン本体の任意の箇所に係止させる事で、使用時における長さ、すなわち利用者における連結具の保持位置を任意に調整することができる。
【0030】
なお、この係止具は、前記ストラップにおけるリング体を備えて構成することができ、この場合、当該係止具はチェーン本体に設けられるリング体と、このリング体に設けられる係止部とからなるものとすることができる。
【0031】
また本発明におけるストラップは、装飾性を高める観点からすれば、上記リング体を外して、チェーン本体と連結具だけで使用することもできる。この場合、利用者の身長などの関係から長さを調整する必要が生じ、そのためにリング体を使用することもできるが、チェーン本体を構成する一部の駒や環を取り去り、残った部分のチェーン本体を繋ぐことにより、装飾性を高めることもできる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように構成されたストラップによれば、チェーンを用いることにより装飾性を高めることができ、更に夫々の駒または環を利用して、これに係止部を引っ掛けることで、任意に長さを調整することもできる。
【0033】
そして、チェーン本体を構成する夫々の駒または環をロウ付けせずに構成すれば、意図しない外力が付加された場合には、少なくとも何れかの駒または環が開くことにより、当該チェーン本体が切断されることから、確実に利用者の安全を図ることができる。この点、任意の一箇所に瞬間切離しユニットなどのように切り離すための構造を設けた場合には、外力の作用位置及び作用の仕方によっては切り離すことができないことも考えられるが、前述したチェーンを使用することにより、どこからでも切り離しを行うことができるようになる。
【0034】
更に、チェーン本体を使用し、且つこれを通すようにした連結部で被吊体を吊り下げることにより、連結部または被吊体は、その自重で常に下方に存在することになり、左右何れか一方にずれることはない。また、チェーンの凹凸が適度に連結部を保持することから、当該連結部が必要以上に不安定に移動することもない。
【0035】
よって本発明により、装飾品としてのネックレスの審美性を念頭に置いた上で、更にネックストラップとして利用した際の安全性や使い勝手を確保したストラップ、特にネックストラップが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態にかかるストラップの全体形状を示す面図であり、(A)正面図、(B)右側面図、(C)左側面図、(D)底面図、(E)平面図である。
【図2】実施の形態に係るストラップの詳細な構造を示す略図である。
【図3】チェーン本体を構成する駒を示す要部拡大図である。
【図4】実施の形態に係るストラップの使用例の1つを示す略図である。
【図5】実施の形態に係るストラップの他の使用例を示す略図である。
【図6】実施の形態に係るストラップの更に他の使用例を示す略図である。
【図7】実施例における試験方法を示す略図である。
【図8】引っ張り試験の結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面に基づいて本発明に係るストラップ10の1つの実施形態を説明する。図1は、この実施の形態にかかるストラップ10の全体形状を示す面図であり、(A)正面図、(B)右側面図、(C)左側面図、(D)底面図、(E)平面図である。この各面図において、鎖線で示している、被吊体20を吊り下げる為の連結具7は、使用目的において適宜変更することができるものことから、この図1における実線で表された部分が、この実施の形態におけるストラップ10の形状を特定する部分である。なお、この図1において、連結具7はこの実施の形態に係るストラップ10において、形状を特定する上での要部ではないことから、背面図は省略している。また図2は、この実施の形態に係るストラップ10の詳細な構造を示す略図であり、図3はチェーン本体2を構成する駒1を示す要部拡大図であり、図4はこの実施の形態に係るストラップ10の使用例の1つを示す略図であり、図5および6は、それぞれこの実施の形態に係るストラップ10の他の使用例を示す略図である。
【0038】
先ずこの実施の形態に係るストラップ10の全体構成について、図1を参照しながら説明すると、このストラップ10は、チェーンの駒1だけを環状に連結してなるチェーン本体2と、このチェーン本体2における何れかの駒1に通して設けられたリング体4と、当該チェーン本体2に対してスライド自在に設けられた連結具7とで構成されている。
【0039】
チェーン本体2は、本実施の形態においては外径1.5mmのアルミニウム線材を用いて形成されたキヘイチェーンが使用されており、当該チェーンを構成する駒1は、図3に示すように、それぞれが線材を曲げて環状に構成されており、その先端部同士をロウ付けすることなく、単に湾曲させて形成されている。このように形成することにより、当該チェーン本体2に、一定の外力が作用した場合には、それぞれの駒1は環が開き、チェーン本体2が切断されることになる。これにより、利用者の安全性を高めることができ、ストラップ10、特に首に吊り下げて使用するネックストラップ10において好適に使用することができる。
【0040】
また、この実施の形態に係るチェーン本体2は、全周約40.5cmの長さに形成されており、幅は2〜7mm、望ましくは3〜6mmに形成される。
【0041】
リング体4は、本実施の形態では図2に示すように、チェーン本体2を構成する駒1にとめてあり、少なくともチェーン本体2を通すことのできる内径に形成される。このリング体4も、望ましくは金属、特に望ましくはアルミニウムを用いて形成するが、その他の金属、例えばステンレスなどを用いて形成することもできる。何故ならば、仮に当該リング体4に必要以上の外力が作用した場合であっても、当該リング体4を保持する駒1が切断されることから、利用者の安全性を確保することができるためである。よって、仮に当該リング体4がステンレスなど、容易に切断しない金属で構成される場合には、利用者の安全性を重視する上では、少なくとも当該リング体4を保持する駒1はロウ付けすることなく、単に曲折して成形したリングとして形成されることが望ましい。
【0042】
かかるリング体4は、如何なる形状に形成することもでき、各種多角形、星型などの衣装形状に形成することもできる。また、一重のリングに形成する他、二重のリング、それ以上に多層に巻いたリング体4であっても良い。また、使用態様において要求される機能次第では、リング体4に代えて、フックその他各種の止め具を使用することもできる。
【0043】
また連結具7は、少なくともチェーン本体2をスライドすることができるように設けられ、かつ被吊体20を保持できる部分を備えて形成される。この実施の形態では、チェーン本体2を通す環状部分8と、この環状部分8に一体化されて被吊体20を保持する保持部分6とで構成されている。このうち、環状部分8は、前記チェーン本体2の最大外径よりも大きな内径を有するものとして形成されており、これにより、図2に示すように、当該チェーン本体2を自由にスライドすることができる。
【0044】
例えば、前記チェーン本体2に設けられるリング体4の大きさを、当該連結具7の環状部分8を通ることのできる大きさに形成すれば、当該保持具はチェーン本体2を一周して移動することができる。これにより当該連結具7は、その自重により、或いは当該連結具7に繋げられたカードケースや携帯電話などの被吊体20の自重により、常に下方に位置することができ、左右の何れかに偏って吊り下がることはなくなる。
【0045】
次に、図4を参照しながら、このストラップ10の使用態様を説明する。図4に示す態様は、上記のように構成されたストラップ10において、何れかの駒1に設けられたリング体4内に、当該チェーン本体2を通した状態を示している。このような形態において、チェーン本体2は、リング体4を中心として略「8」字状の形態となる。そして、当該リング体4内をチェーン本体2が自由に移動することができることから、「8」字状を形成するチェーン本体2の上側の輪(以下、「第一の輪」とする)の大きさと下側の輪(以下、「第二の輪」とする)の大きさを変化させることができる。しかも、連結具7は、チェーン本体2をスライド自在であることから、大きさが変えられた下側のチェーン本体2においても、その自重により、常に中心に存在することができる。このように形態を変化させることのできるストラップ10では、第一の輪を利用者の首にかけた場合には、首から当該リングの位置まで窄んだ形状を形成し、当該リング体4よりも下方の第二の輪は、連結具7まで直線状に下垂することになる。そして、このリング体4の位置は任意に変更できることから、利用者の服装などにより、好みの形状を形作ることができる。
【0046】
また図5および6は、利用者の身長などに応じて、チェーン本体2の長さの調整を自在とした態様のストラップ10を示す略図である。
【0047】
先ず図5に示すストラップ10では、前記図1に示したようなリング体5を開閉自在に形成し、当該リング体5が固定されている駒1とは別の駒1に当該開放したリング体5を取り付けて閉じることにより、ストラップ10全体の長さを調整可能に形成している。よって、このように長さ調整を行うリング体5とする場合には、当該リング体5は開閉自在乃至は他の駒1に対して着脱自在となるように形成する必要がある。このように、チェーン本体2の2箇所をつなぐリング体5とする場合にも、その形状は円形、楕円形、多角形、各種意匠形状に形成することができる。
【0048】
また図6に示すストラップ10では、前記図1に示したストラップ10において、リング体4にフック状の係止部9を設けるか、或いは任意の構造でチェーン本体2に固定された係止部9を具備する係止具3を設けている。この係止具3における係止部9は、少なくともチェーン本体2を構成する何れかの駒1に係止できる形状に形成されており、本実施の形態では、チェーン本体2としてキヘイチェーンが使用されていることから,これを構成する各駒1の孔部に通すことのできる大きさ及び形状のフックとして形成されている。但し、この係止部9は、必ずしもフック状に形成する必要はなく、例えばクリップ状に形成して、当該クリップで、チェーン本体2における何れかの部位を挟持するようにしても良い。
【0049】
かかる図5に示すストラップ10では、基部がチェーン本体2の何れかに固定された係止具の先端側に存在する係止部を、当該チェーン本体2の任意の場所に係止することにより、基部よりも上に存在するチェーン本体2が撓み、撓んだ分だけ、ストラップ10全体の長さを短くすることができる。特に、チェーン本体2における係止具よりも上方に存在する部分は、通常の使用状態においては利用者の首にかけて使用した際、少なからず摩擦抵抗などにより首(または襟)に巻きついた状態になることから、このような長さ調整方法により、十分に機能することができる。
【0050】
そして上記図5および6に示したストラップ10において、長さ調整を行う場合、チェーン本体2を止める位置は、利用者が首に装着した状態において、首の後ろ側(すなわち背中側)で行ったり、首の前側(すなわち胸側)で行うことができる。
【0051】
上記本実施の形態にかかるストラップ10によれば、利用者がストラップ10を首にかけて使用した際、被吊体20乃至はチェーン本体2が引っ張られるなど、何らかの外力が作用した場合にも簡易に切断されることから、利用者の安全性を向上させることができる。しかもチェーン本体2は、それを構成する各駒1が切断するように構成できることから、何れの部分が引っ張られた場合にも、当該部分から切断されることで、利用者の安全性を確保することができる。更に、チェーン本体2の長さ、更には被吊体20の吊り下げ位置を任意に調整できることから、利用者の都合に合わせて簡易に被吊体20を引き上げることのできるストラップ10が実現する。
【0052】
以上、上記した実施の形態では、アルミニウムを用いて構成されたキヘイチェーンを用いてチェーン本体2を構成した例を示したが、その他にもボールチェーンなど、各種のチェーンを使用することができる。
【0053】
また連結具7は、クリップや単なる紐で構成することもできる。当該連結具7は被吊体20を吊り下げることができるものであれば十分だからである。
【0054】
更に上記実施形態では、リング体4や係止具を1つ設けた例を示したが、これらは1つに限らず複数も受けることができ、また上記機能を確保できるのであれば、各種形状に構成することができる。
【0055】
而して本発明にかかるストラップ10は、上記発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【実施例1】
【0056】
利用者の安全性を検証するべく、インストロン社製の万能材料試験機(モデル番号:5567)を使用し、図7に示す方法で、以下のストラップについて引っ張り試験を行った。その結果を図8に示す。
「試験対象ストラップ1」:アルミニウム製で1.5mmの線材を用いて形成されたキヘイチェーンであって、チェーン幅が5.6mmで、各駒はロウ付けされていないのもの。
「試験対象ストラップ2」:アルミニウム製で1.5mmの線材を用いて形成されたキヘイチェーンであって、チェーン幅が3.9mmで、各駒はロウ付けされていないのもの。
【0057】
図8の結果からも明らかなように、この引っ張り試験において、ストラップ(1)は最大荷重146Nで切断され、ストラップ(2)は最大荷重86Nで切断された。よって、このストラップを用いれば、使用時において不意に大きな力で引っ張られた場合でも使用者に損傷を与える前に切断され、使用者の安全性を確保できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0058】
上記本発明にかかるストラップは、携帯電話やカードケースなどを吊がげる為のストラップとして利用されるものであるが、更にチェーンを用いると共に様々な形状に簡易に変化させることができる為、身飾品としても利用され得るストラップとなる。
【符号の説明】
【0059】
1 駒
2 チェーン本体
3 係止具
4 リング体
5 リング体
6 保持部分
7 連結具
8 環状部分
9 係止部
10 ストラップ
20 被吊体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話およびカードケースを含む被吊体をユーザーの身体の一部に吊り下げるためのストラップであって、当該ストラップは、
チェーン用の駒または環を環状に連結してなるチェーン本体と、
当該チェーン本体に固定されると共に、当該チェーン本体を通すことのできる大きさに形成されたリング体と、
前記チェーン本体が挿通される環状部分と、当該環状部分に接続されて、前記被吊体を連結して保持する保持部分とからなる連結具と
からなることを特徴とするストラップ。
【請求項2】
携帯電話およびカードケースを含む被吊体をユーザーの身体の一部に吊り下げるためのストラップであって、当該ストラップは、
チェーン用の駒または環を環状に連結してなるチェーン本体と、
当該チェーン本体に固定されると共に、当該チェーン本体における任意の部位に着脱自在に係止する係止部を備える係止具と、
前記チェーン本体が挿通される環状部分と、当該環状部分に接続されて、前記被吊体を連結して保持する保持部分とからなる連結具と
からなることを特徴とするストラップ。
【請求項3】
前記チェーン本体は、その何れか一点を200N以下の力で引っ張ったときに切断するように構成されている請求項1または2に記載のストラップ。
【請求項4】
前記チェーン本体は、同じ大きさ及び形状の駒又は環だけで構成されている、請求項1〜3の何れか一項に記載のストラップ。
【請求項5】
前記チェーン本体を構成する夫々の駒又は環は、環状に形成された端部同士が接着又は融着されていない、請求項1〜4の何れか一項に記載のストラップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−269035(P2010−269035A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124668(P2009−124668)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(591118579)栄広商会株式会社 (2)
【Fターム(参考)】