説明

ストリップの連続熱処理ライン及びその操業方法

【課題】 ストリップの連続熱処理ラインにおいて、ラインを停止させず、かつ複数の能力を有した炉帯を炉内に導入せずに、均熱処理の必要なヒートサイクルと不要なヒートサイクルの切替を行ない得るストリップの連続熱処理ライン及びその操業方法を提供する。
【解決手段】 ストリップのコイル払出し装置(1)と、ストリップ表面の前処理設備(20)と、ストリップの熱処理を行う横型炉(7)と、その他の後処理加工を行う設備(21)と、コイル巻取り装置(14)を有するストリップの連続熱処理ラインにおいて、前記横型炉(7)をストリップの通板方向に対して前半部分(5)と後半部分(6)に分離可能とし、処理されるストリップのヒートサイクルに応じて前記後半部分(6)の炉体(17)を着脱可能に配置したことを特徴とするストリップの連続熱処理ライン、及びその操業方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリップを処理するヒートサイクルに応じて連続的に熱処理するストリップの連続熱処理ライン及びその操業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ストリップの連続熱処理ラインには、ラインの開始地点でコイル状のストリップを払出し、ストリップ表面の洗浄などの熱処理を行なう準備の為の幾つかの前処理を連続的に行ったのち、加熱帯、保温帯、冷却帯等により構成される熱処理炉内にストリップを通板させることで連続的に熱処理を行ない、その後、その他の処理を行ってから、再びストリップをコイル状に巻き取る設備がある。
【0003】
一般的なストリップの連続熱処理ラインとしては、金属ストリップの連続焼鈍−溶融亜鉛メッキラインや、連続焼鈍ライン、金属ストリップの連続塗装ラインがあり、これらの連続熱処理ラインは加熱能力、冷却能力等により決まる、加熱帯、保温帯、冷却帯の長さは熱処理加工のヒートサイクルにより決定される。
【0004】
しかしながら、一つの熱処理ラインで実現できるヒートサイクルの種類には制限があり、種々のヒートサイクルを実現することは困難となっている。とりわけヒートサイクルにおいて、均熱処理が必要な場合、炉内に所定温度を保持する保温帯を有している必要があるが、均熱処理が不要な品種の熱処理を行なう場合、上記の保温帯は不要である。さらに、均熱処理が不要な品種に均熱処理を施した場合、所望の品質性能を得ることが出来ない恐れがある為、均熱処理不要の品種に炉内の保温帯を通板させることは出来ない。
【0005】
均熱処理するヒートサイクルと、処理しないヒートサイクルを別々に設置することは設備費が嵩む。それゆえ、一つの熱処理ラインで均熱処理が必要なヒートサイクルと、不要なヒートサイクルを実施可能とするならば、それぞれのサイクルを如何に切替えるのか、という点が大きな課題となっている。
【0006】
特許文献1及び2には、前記課題を解決する方策が開示されている。
【0007】
特許文献1は、冷延鋼帯の溶融めっきと連続焼鈍とを行うことが可能な装置であって、熱処理されたストリップを溶融めっきポットに導くことなくバイパスして熱処理炉に導入する方法を開示している。即ち、連続熱処理ラインにおいても、熱処理炉で行う均熱処理が必要なヒートサイクルと不要なヒートサイクルを切替える為に、ストリップのパスラインを切替える方法が考えられる。均熱処理が不要なヒートサイクルから必要なヒートサイクルに切替える場合、パスラインを切替え、ストリップをライン内の横型炉に連なるように配した均熱の為の別の炉体にストリップを通板させている。そして、再び均熱不要のヒートサイクルに切替える際は、上記の別の炉体を迂回するルートにストリップのパスラインを切替えている。
【0008】
特許文献2では、連続熱処理ラインにおいて同一炉帯に加熱・保温・冷却等の複数の能力を付与させた連続式多目的炉の発明を開示している。上記方法では均熱処理を行なう保温帯に、保温能力と加熱能力の二つを付与し、均熱処理の必要なヒートサイクルと不要なヒートサイクルに合わせて、選択的に上記の二つの能力を使い分け、ヒートサイクルに応じて、保温帯でストリップの加熱を行なっている。
【0009】
また特許文献3では、金属ストリップの連続塗装ラインにおいて、塗装塗膜の品質維持のため、ヒートサイクルに均熱処理を導入したヒートサイクルを開示している。この文献で開示されているヒートサイクルを実行する熱処理炉で、均熱処理不要の品種を生産する場合は、均熱処理に供していた炉体の保温帯を、加熱処理か冷却処理に供する必要がある。
【0010】
一方、金属ストリップの連続塗装を行なう連続塗装ラインでは、ストリップに塗装後、所定の温度まで加熱した後、所定温度で一定時間、保温し、塗装塗膜の均熱処理を行なう必要があるフッ素系の塗装(以下、均熱必要塗装種という)と、所定の温度まで加熱したならば、均熱処理を必要としないポリエステル系の塗装(以下、均熱不要塗装種という)がある。均熱不要塗装種を、加熱後、均熱処理した場合、塗膜の色調が変化する等の不具合が起こるため、従来では熱処理炉(連続塗装ラインの場合はオーブン)の出側で所定の温度に達するように温度管理を行っている。
【0011】
そこで現在では、決まった炉長のオーブンで、均熱必要塗装種を処理する際は、炉の前半部分を加熱に、後半部分を均熱処理の為の保温に供しており(図6で示すヒートサイクルA)、均熱不要塗装種を処理する際は、前半−後半の両方で加熱を行なっている(図6で示すヒートサイクルB)。この方法もまた、前述の特許文献2に類されるものであり、先述のように、炉体後半部分に保温と加熱の能力を付与し、ヒートサイクルに応じて選択的に使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−346359号公報
【特許文献2】特開平9−20928号公報
【特許文献3】特開平3−77675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1で開示されているヒートサイクル切替のためのストリップのパスライン切替という手段は、確かに有効であり、実施例も多数ある。しかしストリップのパスラインを切替えるためには連続走行しているストリップをストップさせ、ラインを停止させる必要がある。
【0014】
パスラインの切替は、まずラインを完全に停止させ、切替前と切替後のルートの分岐点と合流点でストリップを切断する。そして、分岐点から合流点までの間にあるストリップを適時、切断し、炉内や処理機器からスレッディング装置等を使用して抜き取る。その後、ライン入側のペイオフリールのコイルを徐々に払出して、分岐点で切断したストリップの端部を引張り、変更したいパスラインのルートを走らせ、ルート上の炉体や処理機器を通して合流点までストリップを通板させる。最後に、最初に合流点で切断したストリップの端と合流点まで引張ったストリップの端を溶接する。
【0015】
以上の工程で、パスライン切替前と切替後のルートの合流点からライン出側のテンションリールまでのストリップと、ライン入側のペイオフリールから切替後のパスラインを通ってルート合流点まで伸びたストリップが一本のストリップとなり、パスラインの切替作業が完了する。
【0016】
その後、テンションリールを回転させると、ストリップは切替後のパスラインを連続走行することになり、切替後のヒートサイクルでストリップを熱処理することが可能となる。
【0017】
しかし、上記工程は非常に多大な時間を要すことから、ラインの生産停止時間が長くなり、生産上のコストが莫大となる課題を抱えている。加えて、上記作業の大半が作業者らの人力によって行われるものであり、複数の作業者に負荷が大きく、なおかつ危険な作業を強いており安全上の大きな課題を抱えている。
【0018】
特許文献2で開示されている方法は、特許文献1とは異なり、ヒートサイクルの切替に多くの時間を要さず、また作業者に危険な作業を強いることもない。
【0019】
しかし、同一炉帯に加熱・保温・冷却等の複数の能力を付与するためには、同じ炉帯に加熱の為のヒーター、冷却のためのクーラー、保温の為の断熱材や、温度制御機構を炉内に配する必要がある。また、ヒートサイクルの切替の度に、異なる熱的条件の下に炉帯が曝されることから、大きな熱負荷を受ける為、炉体や、炉内機器を耐熱剛性に大きく配慮した設計としなければならない。
【0020】
このように、特許文献2の手段を実行する場合、多額の設備投資を必要とするという課題が存在する。
【0021】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的はストリップの連続熱処理ラインにおいて、ラインを停止させること無く、かつ、複数の能力を有した炉帯を炉内に導入せずに、均熱処理の必要なヒートサイクルと不要なヒートサイクルの切替を行なうことが可能なストリップの連続熱処理ライン及びその操業方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を要旨とする。
本発明によるストリップの連続熱処理ラインは、ストリップのコイル払出し装置(1)と、ストリップ表面の前処理設備(20)と、ストリップの熱処理を行う横型炉(7)と、その他の後処理加工を行う設備(21)と、コイル巻取り装置(14)を有するストリップの連続熱処理ラインにおいて、前記横型炉(7)をストリップの通板方向に対して前半部分(5)と後半部分(6)に分離可能として、処理されるストリップのヒートサイクルに応じて後半部分(6)の炉体が前半部分(5)の炉体に対して着脱可能に配置した横型炉を備えることを特徴とするストリップの連続熱処理ライン及びその操業方法である。
【0023】
前記の横型炉後半部分(6)をライン上から取外す際は、上部炉体(17)と炉床(18)に分割し、上部炉体(17)を吊上げてからライン外に搬送し、仮置きする。横型炉(7)の出側は、レール(16)上の台車(23)に載った出側シール機構(8)によりシールされており、炉体後半部分(6)を取り外す場合は、この出側シール機構(8)が炉体前半部分(5)の出側に移動することで炉体前半部分(5)の出側シールを行ない、以上の工程により炉長の変更が完了する。なお、レール(16)は、横型炉の炉体下部にストリップの通板方向に平行に敷設している。
【0024】
また、横型炉(7)の出側に配されたストリップの処理加工設備(21)も上記のレール(16)上の台車(23)に載っており、通板方向の前後に移動可能な構成としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるストリップの連続熱処理ラインでは、上記の前後に分離可能にした横型炉(7)の後半部分(6)は保温能力のみを有しており、均熱処理の必要なヒートサイクルを実施する際は、炉体後半部分(6)を保温に供する。そして、均熱処理の不要なヒートサイクルを実施する場合は、炉体後半部分(6)をライン上から取り外すことでストリップが保温帯を通板する、つまり均熱処理を受けることを回避する。
【0026】
上記の炉体の取外しは、ストリップの上側にある上部の炉体(17)のみを取外すため、特許文献1のようにストリップを切断すること無く、ヒートサイクルを切替えることが可能でなる。よってラインの生産停止時間を短縮できることから生産コストを削減することが可能となる。
【0027】
加えて、本発明による横型炉の取外し方法は、特許文献1と異なり、ストリップの切断、溶接、切替前のパスライン上の炉体や処理機器からのストリップの抜出し、切替後のパスライン上の炉体と処理機器へのストリップの通板、といった作業が無い為、ヒートサイクル切替の為に、作業者にかける負荷と危険性を低減することが可能となる。
【0028】
さらに本発明によれば、特許文献2とは異なり、同一の炉帯に、加熱・保温・冷却といった複数の能力を付与することなくヒートサイクルの切替が可能となる。よって同一の炉帯に、ヒーターやクーラーといった異なる種類の熱機器を配する必要が無くなることから、設備投資費を抑制することが可能となる。
【0029】
また本発明によれば、一つの炉帯は同じ熱的環境の下にしか曝されない為、複数の異なる熱的条件の下に炉帯が曝されることになる特許文献2の多目的炉と異なり、炉殻本体や炉内機器を過度に耐熱剛性を考慮した仕様とする必要が無く、設備投資費を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による均熱必要塗装種を生産している状態の連続塗装ラインの概略図。
【図2】本発明による均熱不要塗装種を生産している状態の連続塗装ラインの概略図。
【図3】図1のA−A断面図。
【図4】図2,5のB−B断面/本発明による横型炉後半部分の分離状況を示す模式図。
【図5】本発明による後処理設備がストリップの通板方向の前後に移動する連続熱処理ラインの概略図(a)及び同図のa−a断面図。
【図6】従来技術による連続塗装ラインのヒートサイクル。
【図7】本発明による連続塗装ラインのヒートサイクル。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明によるストリップの連続熱処理ラインの好ましい実施形態について、金属ストリップの連続塗装ラインを例に挙げ添付図面を参照しながら詳しく説明する。但し、本発明の技術範囲は、以下に説明する実施形態によって何ら限定解釈されることはない。
【0032】
図1は、本発明の均熱必要塗装種を生産している連続塗装処理ラインの概要を示している。図中1はコイル状ストリップ(以下、単にストリップという)2を払い出すペイオフリールであり、払い出されたストリップ2は前処理加工装置20を通って矢印3の方向(通板方向)に進む。
前処理加工装置20は、横型炉7の入側にある入側シール4を通って横型炉7に進入する。横型炉7は前半部分5と後半部分6からなっており、後半部分6は図2に示すように、該部分6の上部炉体17を炉床18から、及び前半部分5から分離可能に構成されている。
横型炉7の出側には出側シール機構8が設けられ、横型炉の炉床18の両側に敷設されたレール16上を走行する台車23上に載置されている。
【0033】
図中21は横型炉7の出側に設けたストリップの後処理加工設備であり、例えばストリップの表面処理をするエンボス処理9、ラミネーター10、及びドライヤー11、冷却機構12を、前記レール16上を走行する台車23上に設置している。
13は走行するストリップの張力を調整するブライドルロール、14は処理されたストリップをコイルに巻き戻すテンションリールである。
【0034】
図2は、本発明の均熱不要塗装種を生産している状態の連続塗装ラインの概要を示す図であり、横型炉7の後半部分6の上部炉体17を炉床18から取り外した状態を示している。即ち、均熱必要処理状態の後半部分6は、図3(図1のA−A線断面図)に示すように、炉床18と上部炉体17が一体となっているが、均熱処理不要状態である後半部分6は、図4に示すように上部炉体17はクレーン等(図示せず)で吊り上げて垂直方向に移動し(a)、炉体を吊り上げた状態でライン外に搬送し(b)、上部炉体17をライン外に設けてある上部炉体受け座19に仮置きする。
【0035】
図5は、均熱不要塗装処理する場合における本発明による後処理加工設備21がストリップの通板方向を前後に移動する連続熱処理ラインを示している。なお、図では後処理加工設備が前半部分5の出側に移動した状態を示している。共通する符号は同一内容を示しており、共通部分の符号の説明は省略する場合がある。
【0036】
前述のように、金属ストリップの連続塗装ラインでは、塗装塗膜の加熱後に均熱処理を行なう必要がある均熱必要塗装種と、均熱処理を不要とする均熱不要塗装種がある。よって一つのラインで両方の種類を生産するためには、加熱処理と均熱処理を含むヒートサイクルと、加熱処理のみのヒートサイクルを如何に切替えるのかという点が課題となる。
【実施例】
【0037】
(第1実施形態:図1,2)
本発明に従う連続塗装ラインでは、保温に供している炉体の後半部分(6)を均熱必要塗装種と均熱不要塗装種の生産に合わせて着脱することで、新たに図7に示すヒートサイクルCを導入する。
【0038】
均熱必要塗装種の処理を行なう際、ヒートサイクルは、横型炉(7)の前半部分(5)の出側で所定の温度に到達するように加熱を行ない、保温能力しか有さない横型炉後半部分(6)で均熱処理を行なうサイクルとなる(図7のヒートサイクルA)。
【0039】
そこから、均熱不要塗装種の生産に切り替える場合、ダミーコイルをコイル払出し装置(ペイオフリール(1))に装填し、ダミー材の通板中に先述の横型炉後半部分の取外し作業を行なう。
【0040】
横型炉の取外し作業の手順としては、まず、ダミーコイルの通板が開始されるのと同時に、前半・後半を含む横型炉(7)の炉内のガスパージ作業を行なう。次に炉内パージが完了すると、横型炉後半部分(6)の出側と出側シール機構(8)の接合部のロックと横型炉後半部分(6)と前半部分(5)の接合部のロックを解除し、上部炉体(17)と炉床(18)を接合していたロックも解除する。そして図4に示すように、炉体後半部分(6)の直上に配されたクレーン(図示せず)等で上部の炉体(17)を吊り上げてライン外まで搬送し、工場内の適当な位置に設けた受座(19)上に上部炉床を仮置きする。
【0041】
その後、炉体前半部分(5)のシールを行なうため、出側シール機構(8)を炉体前半部分(5)の出側まで移動させる。出側シール機構(8)は、横型炉(7)の炉体両側に、通板方向に平行に敷設されたレール(16)上の台車(23)上に載っており、通板方向の前後に移動可能である。
図3及び4に示すように、レール(16)の幅は炉体の幅よりも広く、台車(23)は後半部炉体(17)の炉床(18)を跨いだ状態で移動を行なう。上記のような形態で、台車に載った出側シール機構(8)を炉体前半部分(5)の出側まで移動させ、出側シール機構(8)と前半部炉体(5)の接合を行ない、炉体のシールを完了する。
なお、その際もダミー材は通板しており、出側のシール機構でストリップを拘束するあらゆる機構(シールロール等)は全てストリップの通過を開放した状態で台車が移動するものとし、適時ブライドルリール(13)を使用してストリップの張力調整を行なうことが好ましい。
またその場合、後半部炉体(17)の炉床(18)の上部に位置するようテーブルロール(15)を設置することで、ストリップが垂れ下がることを防止しても良い。
【0042】
以上の過程で炉体後半部分(b)のラインからの取外しが完了し、ラインに残った保温帯を有さず、加熱帯のみを持つ横型炉により、均熱不要塗装種をヒートサイクルC(図7)で処理することが可能となる。
次に、再び均熱必要塗装種の生産へ戻る際は、概ね上記工程の逆を辿るものとなる。
【0043】
(第2実施形態:図5)
第2の実施形態は、第1実施形態の変形例であり、横型炉後半部分(6)の取外し機構は第1実施形態と共通である。しかし、第1実施形態では後半部分の炉体を取り除いた後、ストリップは後半炉体(6)の炉長分だけ、ラインを走行してから後処理加工設備(21)により処理加工を受けるのに対して、第2実施形態では、後処理加工設備群(21)が先述の出側シール機構(21)と同じくレール上の台車(23)に載っており、炉体後半部(6)が取り除かれた後の、前半部炉体(5)の出側まで移動することを特徴とする。
図5(b)は同図(a)のa−a線断面図である。
【0044】
金属ストリップの連続塗装ラインでは、塗装後の塗膜表面にラミネート処理を施す場合がある。このラミネート処理は、ストリップが熱処理炉を出た直後に行なう必要があるため、炉長の如何にかかわらず、ラミネート処理を行う場合ラミネーター(10)は、常に炉の出側の直後に配される必要がある。
【0045】
そこで、図5に示すように、ラミネーター等の、ライン後半部分に位置する処理加工設備群(21)を、炉体下部に敷かれたレール上の台車(23)に載せることで移動可能とし、後半炉体が取外された後の、前半炉体の出側に移動させることで、ヒートサイクルに関係なく、常に炉の出側直後での後処理を可能とする。またこの場合、後半炉体の炉床(18)の上にテーブルロール(15)を設置することで、ストリップが垂れ下がることを防止しても良い。
【0046】
なお、第1、第2実施形態に記載した構造は、別々に実施される必要はなく、これらに記載した構造のいずれかを抽出して組み合わせるようにしてもよい。
【0047】
以上、本発明の一実施形態および実施例について例示をしたが、本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲で多くの修正および変形が可能であることは当業者にとって明らかであり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1.ペイオフリール 2.ストリップ
3.ストリップの通板方向 4.入側シール機構
5.横型炉前半部分 6.横型炉後半部分
7.横型炉 8.出側シール機構
9.エンボス 10.ラミネーター
11.ドライヤー 12.冷却機構
13.ブライドルリール 14.テンションリール
15.テーブルロール
16.出側シール機構、及び後工程−処理設備移動台車の搬送用車輪(レール)
17.横型炉後半部分−上部炉体 18.横型炉後半部分−炉床
19.上部炉体−受け座 20.ストリップの前処理加工設備
21.ストリップの後処理加工設備 23.台車


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリップのコイル払出し装置(1)と、ストリップ表面の前処理設備(20)と、ストリップの熱処理を行う横型炉(7)と、その他の後処理加工を行う設備(21)と、コイル巻取り装置(14)を有するストリップの連続熱処理ラインにおいて、前記横型炉(7)をストリップの通板方向に対して前半部分(5)と後半部分(6)に分離可能とし、処理されるストリップのヒートサイクルに応じて前記後半部分(6)の炉体(17)を着脱可能に配置したことを特徴とするストリップの連続熱処理ライン。
【請求項2】
分割された横型炉(7)の後半部分(6)を上部炉体(17)と炉床(18)に分割し、上部炉体(17)を吊り上げてライン外に搬送して仮置き可能にしてなることを特徴とする請求項1に記載のストリップの連続熱処理ライン。
【請求項3】
炉体後半部分(6)の出側に設けた出側シール機構(8)を、横型炉(7)の炉体下部に設けたレール(16)上の台車(23)に載置し、上部炉体(17)をライン外に搬送した後、出側シール機構(8)を炉体前半部分(5)の出側に移動させて炉体前半部分(5)の出側に出側シール機構(8)を配設可能とすることを特徴とする請求項1または2に記載のストリップの連続熱処理ライン。
【請求項4】
横型炉(7)の出側に配設されたストリップの処理加工設備(21)が、横型炉(7)の炉体下部に設けたレール(16)上の台車(23)に載置されていることを特徴とする請求項1に記載のストリップの連続熱処理ライン。
【請求項5】
少なくともストリップのコイル払出し装置(1)と、ストリップ表面の前処理設備(20)と、ストリップの熱処理を行う横型炉(7)と、その他の後処理加工を行う設備(21)と、コイル巻取り装置(14)を有し、ストリップの連続熱処理を行う連続熱処理ラインの操業方法において、前記横型炉(7)を前半部分(5)と後半部分(6)に分割可能とし、処理するストリップのヒートサイクルに応じて前記分割した横型炉(7)の後半部分(6)を取り外し、所定のヒートサイクルでストリップを熱処理することを特徴とするストリップの連続熱処理ラインの操業方法。
【請求項6】
ダミーコイルをラインに通板させ、ダミー材の通板中に横型炉(7)の後半部分(6)を上部炉体(17)と炉床(18)に分割し、上部炉体(17)を吊り上げてライン外に搬送してから仮置きすることを特徴とする請求項5に記載のストリップの連続熱処理ラインの操業方法。
【請求項7】
横型炉(7)の後半部分(6)の出側に配した出側シール機構(8)を横型炉(7)の炉体下部に設けたレール(16)上を移動させ、炉体前半部分(5)の出側に配設して、炉体前半部分(5)のシールを行うことを特徴とする請求項5又は6に記載のストリップの連続熱処理ラインの操業方法。
【請求項8】
ストリップの処理サイクルに応じて、炉体下部に設けたレール(16)上に配したストリップの後処理加工設備(21)を通板方向の前後に移動させることを特徴とする請求項5に記載のストリップの連続熱処理ラインの操業方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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