説明

ストレッチ包装方法及びストレッチ包装機

【課題】搬入手段の物品載置部に載置される被包装物の載置位置が幅方向の如何なる位置であっても、被包装物が載置された載置位置に対応して被包装物を正しく包装することができるストレッチ包装方法及びストレッチ包装機を提供する。
【解決手段】搬入手段の幅方向の中心と、搬入手段上に載置された被包装物Wの幅方向の中心とのズレL及び被包装物の横幅を検出し、検出したデータに基づいて、フィルム移送機構によって包装部に張架するフィルムの張架位置を調整し、且つ被包装物の上面を覆うフィルムの外周縁部のうち、フィルムの繰り出し方向と対向する左右端部の折り込みを、夫々独立して駆動する一対の折り込み板8、8’を被包装物の端部近傍位置まで移動させる第一包装ステップと、前記第一包装ステップの終了位置から前記一対の折り込み板を、被包装物の中心方向に向かって所定量移動させる第二包装ステップとで折り込むようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストレッチフィルムを用いて包装するストレッチ包装方法及びストレッチ包装機に関し、更に詳しくは被包装物(トレイに品物を収容した状態)を包装するフィルムの端部を被包装物の底面側に折り込む折り込み機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のストレッチ包装機は、作業者が被包装物を物品載置部に載置すると、該物品載置部に載置された被包装物を搬入手段が包装機内の昇降機構(エレベータ)に向けて搬入し、昇降機構の真上の包装部に張架したフィルムに向けて前記被包装物を前記昇降機構によって押し上げて該被包装物の上面をフィルムで覆い、且つ、そのフィルムの外周端部を被包装物の底面側に折り込む動作を、左右方向の折り込みと、前或いは後方向のどちらか一方の折り込みとを略同時に進行させ、被包装物の排出時に残り(前或いは後のどちらか一方)のフィルム端部の折り込みを行い、最後に折り込んだフィルムの端部をヒートシールして包装を完了するというものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、前記物品載置部への被包装物の載置位置が幅方向のどちらかに偏って載置された場合、該被包装物の上面を覆うフィルムの長さ方向の略中央位置より左右どちらかに偏った位置に被包装物が押し上げられ、その結果、被包装物の上面を覆うフィルムの外周端部を被包装物の底面側に正しく折り込むことができず、包装不良が発生する、或いは小さいサイズの被包装物の場合には、左右の折り込み板の何れか一方端と被包装物の端部とが大きく離れ、折り込み板が被包装物の方向に移動しても該折り込み板は被包装物の下側に至らず、被包装物の端部と折り込み板との間に隙間が発生し、この隙間により折り込み板の一方が被包装物を支えることができず、被包装物が転倒する(ひっくり返る)というトラブルが発生する。
【0004】
その為、上記トラブルの発生を防止する為には、作業者は被包装物を物品載置部の幅方向の略中央部に置くように注意を払いながら載置作業を行わなければならず、作業者にとっては注意を払いながら被包装物を物品載置部の略中央部に載置する作業は負担であり、且つその手間は煩わしいものである。
【0005】
上記の問題を解決するために、物品載置部に載置された被包装物を、物品載置部の幅方向の略中央部に移動修正するセンタリング装置を備えた包装機もあるが、前記センタリング装置は、載置される物品を収容するトレイの材質や、トレイ自体の凍結及びトレイの底面に付着する商品の脂等により、インフィード部或いはセンタリング部で前記トレイが滑ってしまい、正しくセンタリングができない現象が発生するという問題点を有する。そして、そのセンタリング不良は、包装不良、折り込み板による被包装物の挟み潰し、被包装物の転倒等、本来解決すべき問題が発生するという問題を有する。
【0006】
【特許文献1】特開2005−119696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、搬入手段の物品載置部に載置される被包装物の載置位置が幅方向の如何なる位置であっても、該被包装物が載置された載置位置に対応して該被包装物を正しく包装することができるストレッチ包装方法及びストレッチ包装機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する為に本発明の包装方法は、所定長さにカットしたフィルムをフィルム移送機構によって包装機の所定位置に張架し、他方、前記フィルム移送機構のフィルム移送方向と直交して配置された搬入手段により搬入された被包装物を昇降機構によって前記張架したフィルムの下方から押し上げると共に、該フィルムの左右及び前後端部を被包装物の底面側に折り込んで被包装物を包装する包装方法において、前記搬入手段の幅方向の中心と、該搬入手段上に載置された被包装物の幅方向の中心とのズレ及び該被包装物の横幅を検出する検出ステップと、前記検出したデータに基づいて、前記フィルム移送機構によって包装部に張架するフィルムの張架位置を調整するフィルム張架ステップと、前記包装部に張架したフィルムの下方から被包装物を昇降機構で押し上げ、該被包装物の上面をフィルムで覆う押し上げステップと、前記フィルムの外周縁部のうち、前記フィルムの繰り出し方向(左右側部)と対向する一対の折り込み板を夫々独立して被包装物の端部近傍位置まで移動させる第一包装ステップと、前記第一包装ステップの終了位置から前記一対の折り込み板を、被包装物の中心方向に向かって所定量移動させる第二包装ステップと、を有することを特徴とする(請求項1)。
【0009】
前記一対の折り込み板の移動は、それぞれ独立して移動する構成とする。そして、前記第一包装ステップにおける一対の折り込み板の移動開始は、同時に移動を開始する方法、或いは時間差を置いて移動を開始する方法の何れでもよく、また、前者及び後者とも同じ速度で移動させる、或いは速度差をつけて移動させる等の方法が挙げられる。例えば、両方の折り込み板の速度が同じである場合、移動距離の長い方の折り込み板が先に移動を開始し、残りの距離がもう一方の短い距離と略同じになった時点で他方の折り込み板が移動を開始し、両方の折り込み板が略同時に被包装物の端部近傍位置に到達するようにする方法、或いは両方の折り込み板の移動速度を異ならしめて同時に移動させ、同時に所定位置に到達するようにする方法等、何れでもよい。
又、前記第二包装ステップにおける所定量移動とは、第一包装ステップの終了位置(被包装物の端部近傍位置)から被包装物の中心方向に向かって同じ量移動させることに限らず、例えばトレイ(被包装物)の形状によって一対の折り込み板(左右折り込み板)の移動量(折り込み量)を異ならしめることも含むものである。
【0010】
上記手段によれば、被包装物を包装機内の昇降機構まで搬送する搬入手段の物品載置部に置かれる被包装物の位置(搬入手段における幅方向の位置)が検出手段によって検出され、その検出データに基づいて被包装物を包装するフィルムの長さが決定され、所定長さに切断されて包装部(昇降機構の略真上位置)に移送張架される。この時、所定長さに切断されたフィルムは、前記被包装物の載置位置に応じて該フィルムの長さ方向の略中央位置が昇降機構に支持された被包装物の略中心と略合致する位置に移送張架される。それにより、被包装物の端部より下方に突出するフィルムの外周端部までの長さ(被包装物の底面側に折り込まれるフィルムの折り返し代の長さ)は、左側と右側とも略同じ長さになる。そして、被包装物の上面を覆うフィルムは、前記フィルムの繰り出し方向と対向して配置された一対の折り込み板(左右折り込み板)及び前記一対の折り込み板と略直角に交差して配置した折り込み板(後折り込み板)によって前記フィルムの三方が該被包装物の底面側に折り込まれ、残りの周辺は被包装物の排出動作によって被包装物の底面側に折り込まれる。
又、被包装物(トレイ)の形状により、フィルムの左右端部の折り込み量を変えることで更に安定した包装を実現することができる。
【0011】
前記一対の折り込み板によるフィルムの折り込みは、第一包装ステップで一対の折り込み板が夫々対応する被包装物の端部近傍位置まで移動する。即ち、被包装物が搬送手段の幅方向の中心線に対して幅方向何れかの方向(左方向又は右方向)に偏って配置された場合、該被包装物の端部から一対の折り込み板までの距離は一方が長く、他方は短くなるが、第一包装ステップでは、一対の折り込み板がそれぞれ被包装物の対応する端部に向かって移動する。そして、両方の折り込み板が被包装物の端部近傍位置に移動後、両折り込み板は第二包装ステップで被包装物の中心方向に向かって同じ速度で同じ量移動するため、フィルムの外周端部の折り込みは均等に行われる。
従って、フィルム外周端部の折り込み時、一対の折り込み板は確実に被包装物を支持し、一方の折り込み板のみによる片支持の現象は発生せず、被包装物が転倒する、或いは被包装物を挟んで潰すといったことはなく、安定した包装を実現することができる。
又、搬入手段の物品載置部上に、被包装物が幅方向の中心に対して偏って載置された場合でも、載置位置に対応して包装できるので、作業者は被包装物の載置位置に注意を払いながら行う煩わしさが解消される。
【0012】
被包装物の上面を覆うフィルムの外周端部を該被包装物の底面側に折り込む前記第一包装ステップと第二包装ステップは、両ステップの間に休止時間があってもよいが、休止時間を設けずに第一包装ステップと第二包装ステップを連続して行うようにしてもよい(請求項2)。
上記手段によれば、1個当たりの包装時間を短縮でき、それにより単位時間当たりの包装作業(包装個数)を高めることができる。
【0013】
又、上記ストレッチ包装方法を実施するストレッチ包装機は、所定長さにカットしたフィルムをフィルム移送機構によって包装機の所定位置に張架し、他方、前記フィルム移送機構のフィルム移送方向と直交して配置された搬入手段により搬入された被包装物を昇降機構によって前記張架したフィルムの下方から押し上げると共に、該フィルムの左右及び前後端部を被包装物の底面側に折り込んで被包装物を包装するストレッチ包装機において、前記被包装物の搬入方向と直交する方向に対向配置した一対の折り込み板を夫々独立してスライドさせる駆動手段と、前記搬入手段に載置される被包装物の搬入方向と直交する方向の端部位置を検出する検出手段を備え、前記検出手段が検出した搬入手段上における被包装物の端部位置データに基づき前記一対の折り込み板を前記駆動手段により前記検出された被包装物の両端部位置に移動近接させ、更に前記一対の折り込み板を前記被包装物の略中央に向かって移動させてフィルムの端部を前記被包装物の底面側に折り込む構成を特徴とする(請求項3)。
前記被包装物の載置位置を検出する検出手段は、搬入手段の物品載置部の手前側略中央位置に二つのセンサを配置し、この両センサを略中央位置より物品載置部幅方向の両外縁部方向に向かって該センサを互いに離反する方向に移動させて被包装物の両端位置を検出する方式、又は搬入手段の物品載置部の手前両側にセンサを配置し、この両センサを待機位置(初期位置)より物品載置部幅方向の中心方向に向かって移動させて被包装物の両端位置を検出する方式、或いは予め複数個の光センサを前記物品載置部の手前位置に幅方向に等間隔で配置し、その光センサが遮られた数とその両端位置により検出する方式、又はカメラを用い撮像画像により検出する方式等、何れでもよい。
【0014】
上記手段によれば、搬入手段の物品載置部上に、幅方向の中心に対して偏って載置された場合でも、載置位置に対応して一対の折り込み板の移動量を調整して包装できるので、作業者は被包装物の載置位置に注意を払いながら行う煩わしさが解消される。それにより、常に安定した包装を行うことができる。
【0015】
又、前記フィルム移送機構は、前記検出手段の検出データに基づいて所定長さにカットしたフィルムを、該フィルムの長さ方向の略中心が、前記昇降機構上に載承された被包装物の略中央と重なる位置に移送するように構成してもよい(請求項4)。
【0016】
上記手段によれば、所定長さにカットされて包装部に移送張架される位置が、被包装物の載置位置に応じて変更され、常に被包装物の略中央位置にフィルムの長さ方向の略中心が重なるように張架される。それにより、被包装物の端部より下方に突出するフィルムの外周端部までの長さ(被包装物の底面側に折り込まれるフィルムの折り返し代の長さ)は、左側と右側とも略同じ長さになる。これにより、被包装物を確実に包装することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のストレッチ包装方法は請求項1記載の構成により、搬入手段の物品載置部上に載置された位置に基づいて、所定長さにカットしたフィルムの張架位置を調整し、且つ被包装物を覆うフィルムの外周端部の折り込みは、一対の折り込み板が独立して移動し、被包装物の端部近傍位置から中心方向に向かって所定量折り込む為、被包装物は一対の折り込み板によって確実に両支持される。従って、一対の折り込み板が単一の動力で一緒に移動した従来の包装方法において生じた片支持による被包装物の転倒、或いは被包装物を挟み潰すといった問題を解消することができる。
又、上記手段によれば、1個当たりの包装時間を短縮でき、それにより単位時間当たりの包装作業(包装個数)を高めることができる。
更に、請求項3記載のストレッチ包装機によれば、搬入手段の物品載置部上に、幅方向の中心に対して偏って載置された場合でも、載置位置に対応して一対の折り込み板の移動量を調整して包装できるので、作業者は被包装物の載置位置に注意を払いながら行う煩わしさが解消される。それにより、常に安定した包装を行うことができる。
更に又、請求項4記載の構成により、被包装物の端部より下方に突出するフィルムの外周端部までの長さ(被包装物の底面側に折り込まれるフィルムの折り返し代の長さ)は、左側と右側とも略同じ長さになり、被包装物を確実に包装することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
今日、一般的に知られているエレベータ方式の包装方法は、包装部に張架したフィルムに対し、被包装物を昇降機構(エレベータ)によって下方から押し上げ、それにより被包装物の上面を前記フィルムで覆い、そのフィルムの外周端部の三辺を、フィルムの繰り出し方向と対向して配置した一対の折り込み板(左右折り込み板)と、前記一対の折り込み板と略直交するように配置した後折り込み板とによって被包装物の底面側に折り込み、残りの一辺は被包装物を排出する時に前折り込みローラによって被包装物の底面側に折り込むもので、前記一対の折り込み板(左右折り込み板)は単一の動力で一緒に動作し、且つ搬入手段上に載置される被包装物の載置位置、例えば、搬入手段の幅方向の一方側(左側又は右側)に偏って載置されるに関係なく常に一定の量だけ移動するようになっている。
本発明のストレッチ包装方法は、上記したエレベータ方式の包装方法におけるフィルムの折り込み、及び包装部に張架するフィルムの張架位置を、被包装物を包装機内に搬入する搬入手段に対する載置位置によって変更し、且つ前記一対の折り込み板(左右折り込み板)の折り込み動作がそれぞれ独立して行われ、前記載置位置に対応するようにしたものである。
【0019】
具体的には、搬入手段の幅方向の中心と、該搬入手段上に載置された被包装物の幅方向の中心とのズレ及び該被包装物の横幅を検出する検出ステップと、前記検出したデータに基づいて、前記フィルム移送機構によって包装部に張架するフィルムの張架位置を調整するフィルム張架ステップと、前記包装部に張架したフィルムの下方から被包装物を昇降機構で押し上げ、該被包装物の上面をフィルムで覆う押し上げステップと、前記フィルムの外周縁部のうち、前記フィルムの繰り出し方向と対向する一対の折り込み板を被包装物の端部近傍位置まで移動させる第一包装ステップと、前記第一包装ステップの終了位置から前記一対の折り込み板を、被包装物の中心方向に向かって所定量移動させる第二包装ステップと、を有する。
【0020】
そして、被包装物を所定長さにカットしたフィルムによる包装は、第一包装ステップと第二包装ステップによる左右端部の折り込み、更に後折り込み板による後側端部の折り込み、及び被包装物の排出により前折り込みローラで行われる前側端部の折り込みとで完了するが、前記第一包装ステップと第二包装ステップは、両ステップの間に一対の折り込み板の動作が一時的に休止する休止時間(瞬間的に停止)を設けてもよいが、作業性及び生産性を考慮した場合は前記休止時間を設けることなく、第一包装ステップに連続して第二包装ステップを行うのが有効である。
【0021】
又、前記第二包装ステップは一対の折り込み板(左右折り込み板)が被包装物の端部近傍位置から該被包装物の中心方向に向かって移動し、フィルムの端部を被包装物の底面側に折り込む工程であるが、一対の折り込み板は夫々独立して移動するため、その移動量は同じ量(長さ)に限らず、例えば、トレイ(被包装物)の形状に応じて夫々の折り込み板の移動量を変えてもよく、そうすることでトレイ形状に対応した包装を行うことができる。
【0022】
以下、上記包装方法を実施するストレッチ包装機の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は、今日一般的に周知のストレッチフィルムを使用したストレッチ包装機Aの概略を示し、機枠1の正面、即ち手前側前部(図面では右側)に、平板状トレイaに商品bを載せた被包装物Wを載置する載置部2が配置され、その載置部2に置かれた被包装物Wをプッシャコンベヤ(搬入手段)3により機枠1内部に配置したエレベータ(昇降機構)4まで搬送する。尚、載置部2は、被包装物Wの重量を計測する計量部の計量皿として構成されている。
又、前記載置部2に載置された被包装物Wが機枠1内部に搬入される方向と対向する側(載置部の手前側)に、前記載置部2に載置された被包装物Wの幅方向(搬送方向と直交する方向)の左右両端位置を検出する検出手段14が前記載置部2の略中央位置に二つ設けられている。
前記検出手段14はフォトセンサで構成され、載置部2に被包装物Wが載置されると前記略中央位置に設けられた検出部が所定のスピードで前記載置部の幅方向の両外縁部方向に向かって前記センサが互いに離反する方向に移動し、被包装物Wの端部までの距離を検出する(光が遮断される:ダークオン)、その両端部までの検出距離を後述する制御部のCPUに送信する。前記CPUは検出手段14が被包装物Wの幅方向の両端部までの検出距離とその両端部の位置とから該被包装物Wが載置された左右両端の位置データ(座標)と、その被包装物Wの横幅を算出する。尚、載置部2の両外縁部より略中央位置へ検出手段14を移動させて前記被包装物Wの横幅を算出する場合は、前記載置部の基準長と前記検出部の移動速度と前記検出した被包装物Wの両端位置とから算出する方法を用いてもよい。後者は大きいトレイの場合、前者は小さいトレイの場合に被包装物Wの横幅とその座標とを短い時間で求めることができる。検出部の動作は何れか一方の動作か或いは前者と後者とを組み合わせて動作させるようにしてもよい。
【0023】
上記エレベータ4の上方には包装部5が設けられ、その包装部5の側方(プッシャコンベヤと直角に交差した方向)に包装に使用するフィルムロール6がセットされ、該フィルムロール6から繰り出されるフィルム6’をフィルム移送機構7により引き出し、所定長さにカットした後に包装部5まで移送し、水平に張架保持する。
【0024】
上記エレベータ(昇降機構)4は、昇降部と被包装物を載承支持するヘッド部とで構成されており、ヘッド部は左右折り込み板8,8’との当接により屈折し、フィルム端部の折り込み動作が阻害されないようになっている。即ち、左右折り込み板8,8’の移動により被包装物Wの左右側部寄りを支持しているヘッド部が屈折されてフィルム端部を被包装物Wの底面側に折り込むと同時に、前記屈折されたヘッドに代わって左右折り込み板8,8’が被包装物Wの左右側部の底面を支持する。
【0025】
上記包装部5には、前記フィルム移送機構7の上方に位置させて被包装物Wの上面を覆うフィルム6’の端部を該被包装物Wの底面側に折り込む左右折り込み板(一対の折り込み板)8,8’と後折り込み板9、後折り込み板9の上方に位置して、左右及び後側のフィルム端部が被包装物Wの底部側に折り込まれた被包装物Wを排出する排出プッシャ10、及びその排出プッシャ10の摺動方向前方位置に前側のフィルム端部を折り込む前折り込みローラ11が配設されている。
【0026】
上記フィルム移送機構7は、フィルムロール6から繰り出されるフィルム6’の幅方向の側端部を挟持する上下一対の無端状の弾性ベルト7a,7bと、下側の弾性ベルト7bを上側の弾性ベルト7a側へ圧接するクランプ板7cと、上側の弾性ベルト7a内に配設した当て板7dとで構成され、これらが包装部5を挟んで前後に配置されている。そして、前記一対の無端状の弾性ベルト7a,7bは、フィルム6’を挟持して搬送し得るように、夫々往路側が同方向に駆動回転するように構成されている。
又、下側の弾性ベルト7b内に配置されるクランプ板7cは、その長手方向が複数個(例えば3個)に分割され、不図示の電磁ソレノイド等によって下側の弾性ベルト7bの往路側に対して圧接/離反するように構成されている。そして、前記分割されたクランプ板7cはフィルムの折り込み動作に従って順番に圧接状態から離反状態に切り替わり、フィルムの挟持が解放される。
【0027】
そして、前記フィルム移送機構7は、前記検出手段14が検出した被包装物Wの左右両端の位置データ(座標)と、該被包装物Wの横幅寸法に基づき、フィルムロール6から繰り出し所定長さにカットしたフィルム6’を、前記エレベータ4上に支持される被包装物Wの略真上に移送張架するように駆動が制御される。
【0028】
前記左右折り込み板8,8’は、各々独立した駆動機構を備えており(図5参照)、前記検出手段14が検出した被包装物Wの幅方向の左右両端の位置データ(座標)と該被包装物Wの横幅寸法に基づき、各々の待機位置より前記被包装物Wの左右端部の位置データ(座標)に向けての移動がCPUにより制御される。
又、左右折り込み板8,8’は上下二枚の板8a,8bで構成され、その左右の上側板8aと下側板8bとの間に後折り込み板9が摺動可能に挿入配置されている。尚、左右折り込み板8,8’は図示する扁平中空の帯板状に限らず、一枚板で構成し、その左右折り込み板の上に後折り込み板を摺動可能に配置してもよい。左右折り込み板8,8’の移動の制御内容については後段で説明する。
【0029】
又、前折り込みローラ11の前方には、被包装物Wの底部側に折り込まれたフィルムの端部の重なり部分を加熱して密着させるヒータ部12と、その前方に排出手段13が配設されている。
【0030】
図5は上述したストレッチ包装機の電気的構成を示すブロック図で、包装機構制御部15は、主として包装機の機構部の制御を行うもので、CPU16によって制御される。
CPU16にはバス16aを介してROM17、RAM18、操作部19、検出部20(検出手段14)、表示部21、及び機構駆動部22、エレベータモータ23、搬入モータ24、フィルム搬送モータ25、左折り込み板駆動モータ(駆動手段)26、右折り込み板駆動モータ(駆動手段)26’、後折り込み板駆動モータ27、商品排出モータ28が接続され、前記各機構部の動作タイミングとその制御はタイマ29を用いて行う。
ROM17には、CPU16が実行するプログラム、包装制御データテーブルが記憶されている。
RAM18には、CPU16がROM17の包装制御データテーブルを実行する場合に用いる各種レジスタ及びフラグのエリア等が記憶されている。
操作部19は、装置の起動、停止等のための各種スイッチ及びデータの入力等を行うキーボードからなる。
検出部20は、載置部2に載置された被包装物Wの左右端部の位置を検出する左右一対のフォトセンサで構成され、所定の速度で幅方向中心方向に向かって移動するように構成されている。
表示部22は、タッチパネルで構成されており、CPU16の指令に基づいて入力データの表示、プリセットデータの表示、各種メッセージの表示を行うもので、別名コンソールとも呼ばれている。
【0031】
機構駆動部22は、包装を実行する場合に包装機の各機構部を駆動する為の回路で、本発明に関係する部分を挙げると、エレベータ4を動作させるエレベータモータ23、被包装物Wを搬入するプッシャコンベア3を動作させる搬入モータ24、フィルム移送機構7を動作させるフィルム搬送モータ25、左折り込み板8を動作させる左折り込み板駆動モータ26、右折り込み板8’を動作させる右折り込み板駆動モータ26’、後折り込み板9を動作させる後折り込み板駆動モータ27、左右及び後側のフィルム端部が被包装物Wの底部側に折り込まれた被包装物Wを排出する排出プッシャ10を動作させる商品排出モータ28の駆動を制御する。
【0032】
タイマ29は、タイマ値をCPU16に出力する。CPU16は各機構部を動作させる為に予め設定された各機構部制御情報(不図示:各機構部の動作と被包装物をセンサで検出してから始動するまでの時間設定や各機構部の駆動或いは移動量とそのシーケンス等が設定されたもの)と該タイマ値と各機構部に設けられたセンサ(不図示:例えば、物品載置部上に載置された被包装物がエレベータ上に移送載置されたか否かを検出するセンサや、エレベータが上昇し上限位置に達した時にエレベータ上に被包装物が載置されているか否かを検出するセンサ等)の出力値とに基づいて、フィルム搬送モータ25、左折り込み板駆動モータ26、右折り込み板駆動モータ26’、後折り込み板駆動モータ27、商品排出モータ28を駆動する。即ち、機構駆動部22は包装する時のエレベータの動作と、プッシャコンベア3の動作、フィルム6’の搬送動作、左右折り込み板8,8’及び後折り込み板9の動作、排出プッシャ10の動作とのタイミングを合わせて、各部を駆動する。尚、各機構部の動作タイミングとその制御は、タイマ29に基づいて制御するものに限らず、エンコーダを用いて行ってもよい。エンコーダを用いて制御する場合は、エンコーダの回転軸を前記エレベータモータ23の回転軸と機械的に結合し、エレベータモータ23の回転に応じたパルスをCPU16に出力する。CPU16は該パルスをカウントし、機構駆動部22は該カウント値に基づいて、フィルム搬送モータ25、左折り込み板駆動モータ26、右折り込み板駆動モータ26’、後折り込み板駆動モータ27、商品排出モータ28を駆動させる。即ち、機構駆動部22は包装する時のエレベータの動作と、プッシャコンベア3の動作、フィルム6’の搬送動作、左右折り込み板8,8’及び後折り込み板9の動作、排出プッシャ10の動作とのタイミングを合わせて、各部を駆動させることができる。
【0033】
次に、フィルム6’の搬送張架と左右折り込み板8,8’の折り込み動作を図2及び図4に基づいて説明する。
先ず、被包装物Wがプッシャコンベア3の始端側に配置された載置部2上に、該コンベアの幅方向の中心線Oに対し被包装物Wの幅方向の中心O’が右側に距離Lだけズレて載置された場合、その被包装物Wの載置時における左右端部の位置が検出手段14の検出部の移動によって検出され、その検出部の移動距離がCPU16に送信される。そして、前記載置部2は計量部の計量皿を兼ねる為、計量が安定し重量が確定するとプッシャコンベア3が作動して被包装物Wは前記載置部2に載置された時の幅方向の位置状態のままエレベータ4に向けて搬送され、エレベータ4上に移乗される。それにより、エレベータ4に載承された状態においても被包装物Wの幅方向の中心はエレベータ4の幅方向(プッシャコンベアの搬送方向と直角に交差する方向の横幅)の中心線に対して右側に距離Lだけズレて支持される。尚、プッシャコンベア4による搬送途中において前記重量計測及び横幅寸法の他に被包装物Wの高さ、縦(搬送方向に沿った長さ)の各寸法が測定され、その測定値に基づいてフィルムの繰り出し長さが決定される。
【0034】
前記被包装物Wの測定値に基づいて所定長さにカットしたフィルム6’はフィルム移送機構7によってエレベータ4の真上の包装部5に搬送張架される。この時、前記フィルム移送機構7を動作させるフィルム搬送モータ25は前記検出手段14が検出した被包装物Wの左右端部の位置データに基づいてCPU16によって制御され、フィルム6’の長さ方向の中心が、エレベータ4上に載承された被包装物Wの幅方向の中心O’の略真上位置に位置するように搬送張架される。即ち、フィルム6’はセンタリングされて張架される。
【0035】
エレベータ4上に載架された被包装物Wは、エレベータ4の上昇によって包装部5に張架されたフィルム6’に下方から突き上げられ、被包装物Wの上面がフィルム6’で覆われる。この時、フィルム6’と被包装物Wは前記したようにセンタリングされているため、被包装物Wの端部から下方に突出するフィルム6’の外周端部までの長さは左側と右側、前側と後側は略同じ長さとなる。
【0036】
エレベータ4の上昇で被包装物Wの上面がフィルム6’で覆われた後、左右折り込み板8,8’が被包装物Wの中央方向に向かって摺動してフィルム6’の左右端部を被包装物Wの底面側に折り込む。
ここで、左右折り込み板8,8’はそれぞれ独立した駆動モータ26,26’によって先ず待機位置から被包装物Wの左側端部、右側端部の近傍位置まで移動(第一包装ステップ)し、次に被包装物Wの中央方向に向かって所定量摺動(第二包装ステップ)してフィルム6’の左右端部を被包装物Wの底面側に折り込む。
【0037】
前記第一包装ステップは、フィルム端部の折り込みを安定して確実にするための準備で、被包装物Wが載置部2に載置された状態に応じて左右折り込み板8,8’を被包装物Wの端部近傍位置まで摺動させる。即ち、図4に示すように、左折り込み板8は被包装物Wの左側端部近傍までの距離L1を、右折り込み板8’は被包装物Wの右側端部近傍までの距離L2(L1>L2)を摺動する。前記左右折り込み板8,8’の摺動は、同時に摺動を開始してもよいが、移動距離の長い左折り込み板8が先に摺動を開始し、残りの距離が右折り込み板8’の移動距離L2と同じになった時、右折り込み板8’が摺動を開始し、略同時に被包装物Wの左右端部近傍に到達するように制御されている。尚、第一包装ステップにおける左右折り込み板8,8’の摺動は、上記方法に限らず、左右折り込み板8,8’の移動速度を異ならしめて同時に移動を開始する方法等、その制御は適宜可能である。
【0038】
前記第一包装ステップで被包装物Wの端部近傍位置に位置する左右折り込み板8,8‘は、第二包装ステップで該被包装物Wの中央方向に向かって所定距離(同じ距離)摺動してフィルム6’の左側端部と右側端部を被包装物Wの底面側に折り込む。即ち、図4に示すように左折り込み板8は距離L1’、右折り込み板8’は距離L2’(L1’=L2’)を移動する。これにより、左右折り込み板8,8’によるフィルム6’の左右端部の折り込み量は略同じ量となり、安定した包装の基礎が形成される。
前記第二包装ステップにおける左右折り込み板8,8’の移動量は同じ距離とは限らず、例えば、被包装物Wのトレイの形状等に応じて左右端部の折り込み量を変えるようにしてもよい。
【0039】
左右折り込み板8,8’が第二包装ステップで被包装物Wの端部近傍位置から中央に向かって所定量摺動することにより被包装物Wは左右折り込み板8,8’で支えられ、同時にエレベータ4は下降を開始する。
【0040】
左右端部の折り込みに続いて、後折り込み板9が前方に向けて水平状態で摺動し、フィルム6’の後端部を被包装物Wの底面側に折り込む。
後折り込み板9の摺動に続いて、排出プッシャ10が作動し、左右端部と後端部が底面側に折り込まれた被包装物Wをヒータ部12に向けて押し出す。この排出プッシャ10による押し出しにより、フィルム6’の前端部は前折り込みローラ11で被包装物Wの底面側に折り込まれる。
被包装物Wの上面を覆うフィルム6’の左右端部、後端部、前端部が底面側に折り込まれた被包装物Wは、排出プッシャ10でヒータ部12に排出され、このヒータ部12を通過する際に前記折り込まれたフィルムの端部が加熱されて密着される。そして、ヒータ部12から排出手段13へ排出される。
【0041】
上記構成のストレッチ包装機により、被包装物Wの中心を載置部の幅方向中心に対して左右方向にズラして載置した場合でも、所定長さにカットしたフィルム6’はフィルム移送手段7によって載置された位置に応じてセンタリングされて搬送張架される。そして、エレベータの上昇によって被包装物の上面を覆うフィルム6’の左右端部は、左右折り込み板8,8’の第一包装ステップ、第二包装ステップの動作によって確実に被包装物の底面側に入り込み、被包装物を安定して支持すると共に、フィルム6’の左右端部を安定して綺麗に折り込むことができる。
【0042】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)図示のストレッチ包装機は、被包装物の供給側と包装済みの被包装物の排出側が同じ側である前搬入・前排出タイプの包装機であるが、前搬入・後排出タイプのストレッチ包装機であってもよい。
(2)実施の形態における検出手段は、検出部を左右両側に設け、その検出部が所定の速度で中央方向に移動することで被包装物の端部を検出する構成としたが、これに限定されず、例えば、載置部の手前側に複数個の光センサを等間隔で設け、この光センサが遮られた数とその両端位置により、被包装物が載置された両端位置と、被包装物の横幅寸法を検出する方法、或いはカメラによる撮像によって検出する方法等、何れでもよい。
(3)実施の形態における左右折り込み板は、上下二枚板からなる構成を示しているが、一枚板でも勿論よいものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るストレッチ包装機の一例を示す該略図。
【図2】包装部の平面図。
【図3】左右折り込み板、後折り込み板、排出プッシャの構成を示す斜視図。
【図4】左右折り込み板の動作説明図。
【図5】ストレッチ包装機の電気的構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0044】
A…ストレッチ包装機 W…被包装物
2…載置部 3…プッシャコンベア(搬入手段)
4…エレベータ(昇降機構) 5…包装部
6’…フィルム 7…フィルム移送機構
8,8’…左右折り込み板 14…検出手段
26,26’…折り込み板駆動モータ(駆動手段)
L1,L2…第一包装ステップ
L1’,L2’…第二包装ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さにカットしたフィルムをフィルム移送機構によって包装機の所定位置に張架し、他方、前記フィルム移送機構のフィルム移送方向と直交して配置された搬入手段により搬入された被包装物を昇降機構によって前記張架したフィルムの下方から押し上げると共に、該フィルムの左右及び前後端部を被包装物の底面側に折り込んで被包装物を包装する包装方法において、
前記搬入手段の幅方向の中心と、該搬入手段上に載置された被包装物の幅方向の中心とのズレ及び該被包装物の横幅を検出する検出ステップと、
前記検出したデータに基づいて、前記フィルム移送機構によって包装部に張架するフィルムの張架位置を調整するフィルム張架ステップと、
前記包装部に張架したフィルムの下方から被包装物を昇降機構で押し上げ、該被包装物の上面をフィルムで覆う押し上げステップと、
前記フィルムの外周縁部のうち、前記フィルムの繰り出し方向と対向する一対の折り込み板を夫々独立して被包装物の端部近傍位置まで移動させる第一包装ステップと、
前記第一包装ステップの終了位置から前記一対の折り込み板を、被包装物の中心方向に向かって所定量移動させる第二包装ステップと、
を有することを特徴とするストレッチ包装方法。
【請求項2】
前記第一包装ステップと第二包装ステップは、連続して行うことを特徴とする請求項1記載のストレッチ包装方法。
【請求項3】
所定長さにカットしたフィルムをフィルム移送機構によって包装機の所定位置に張架し、他方、前記フィルム移送機構のフィルム移送方向と直交して配置された搬入手段により搬入された被包装物を昇降機構によって前記張架したフィルムの下方から押し上げると共に、該フィルムの左右及び前後端部を被包装物の底面側に折り込んで被包装物を包装するストレッチ包装機において、
前記被包装物の搬入方向と直交する方向に対向配置した一対の折り込み板を夫々独立してスライドさせる駆動手段と、
前記搬入手段に載置される被包装物の搬入方向と直交する方向の端部位置を検出する検出手段を備え、
前記検出手段が検出した搬入手段上における被包装物の端部位置データに基づき前記一対の折り込み板を前記駆動手段により前記検出された被包装物の両端部位置に移動近接させ、更に前記一対の折り込み板を前記被包装物の略中央に向かって移動させてフィルムの端部を前記被包装物の底面側に折り込むことを特徴とするストレッチ包装機。
【請求項4】
前記フィルム移送機構は、前記検出手段の検出データに基づいて所定長さにカットしたフィルムを、該フィルムの長さ方向の略中心が、前記昇降機構上に載承された被包装物の略中央と重なる位置に移送することを特徴とする請求項3記載のストレッチ包装機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−143613(P2010−143613A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322713(P2008−322713)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】