説明

スナウトの支持装置

【課題】スナウトの熱膨張による取付け時の傾斜角度の変化を防止しスナウト先端部の位置の把握が可能なスナウトの支持装置を提供する。
【解決手段】上端部が連続焼鈍炉11の出側に連結したスナウト12をスナウト12の下部側が溶融金属めっき浴13に所定の傾斜角度θで浸漬するようにスナウト12の上部側を保持するスナウトの支持装置10において、上部がスナウト12の上部にピン支持され、水平面となす角度が傾斜角度θとなるように支持されたガイドフレーム14と、ガイドフレーム14にスナウト12をスナウト12の温度変動に応じてその長手方向に自由に伸縮させながら取付けるスナウト取付け手段15とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スナウトの熱膨張による取付け時の傾斜角度の変化を防止するスナウトの支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続溶融金属めっき装置では、連続焼鈍炉で処理された鋼板が溶融金属めっき浴(めっきポット)内に進入するまでの間に外気によって酸化されるのを防止するため、連続焼鈍炉出側と溶融金属めっき浴の間にダクト状のスナウトが設けられている。ここで、スナウトは、連続焼鈍炉出側とベローズを介して接続され、スナウトの上部が支点ピンにて回転可能に軸支されると共に、スナウトの側部がスナウトの取付け時の傾斜角度の調整を行なう角度調整手段を介して支持されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平3−134146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
連続焼鈍炉出側と溶融金属めっき浴の間にスナウトを取付けて連続溶融金属めっき処理を開始すると、スナウトや角度調整手段の温度は徐々に上昇してくるが、角度調整手段の温度上昇はスナウトの温度上昇に比べて小さいため、スナウトに生じた熱膨張によりスナウトは支点ピンを中心に回転する。その結果、スナウトの先端は溶融金属めっき浴内で移動し、スナウトの先端の水平方向移動量は100mmにも及ぶことがある。一方、溶融金属めっき浴周りには機械部品が密集しており、スナウトの先端側の位置決めが重要になっている。そこに、スナウトの熱膨張によりその先端側の位置が変化すると、溶融金属めっき浴周りの機械部品の位置決め許容幅は小さくなり、特に、スナウトの先端金物内を通板する鋼板に隣接して設けられるスナウトポンプの位置決めは非常に困難になるという問題がある。ここで、スナウトの取付け時に傾斜角度の調整を行なった角度調整手段を用いて、熱膨張により変化したスナウトの取付け角度を元に戻すことが考えられるが、スナウトに温度変化が生じる度に調整を行なうことになり非常に煩雑となる。なお、スナウトの温度変化を求めて自動で角度調整手段を操作してスナウトの傾斜角度が変化しないようにする自動調整機構を設けることもできるが、自動調整機構の設置スペースが常に確保できるとは限らず、設備コストが上昇するという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、スナウトの熱膨張による取付け時の傾斜角度の変化を防止しスナウト先端部の位置の把握が可能なスナウトの支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係るスナウトの支持装置は、上端部が連続焼鈍炉の出側に連結したスナウトを該スナウトの下部側が溶融金属めっき浴に所定の傾斜角度で浸漬するように該スナウトを保持するスナウトの支持装置において、
上部が前記スナウトの上部にピン支持され、水平面となす角度が前記傾斜角度となるように支持されたガイドフレームと、
前記ガイドフレームに前記スナウトを該スナウトの温度変動に応じてその長手方向に自由に伸縮させながら取付けるスナウト取付け手段とを有している。
【0007】
第1の発明に係るスナウトの支持装置において、前記スナウト取付け手段は、前記スナウトの上部側に設けられた車輪と、前記ガイドフレームに水平面となす角度が前記傾斜角度となるように設けられ該車輪を支持して移動させるレールとを有する構成とすることができる。
第1の発明に係るスナウトの支持装置において、前記スナウト取付け手段は、前記ガイドフレームに設けられ前記スナウトの上部側に下方から当接して該スナウトを支持する車輪を有する構成とすることもできる。
【0008】
前記目的に沿う第2の発明に係るスナウトの支持装置は、上部がピン支持されると共に連続焼鈍炉の出側に連結され、下部が溶融金属めっき浴に所定の傾斜角度で浸漬するように該スナウトを保持するスナウトの支持装置において、
前記スナウトを該スナウトの温度変動に応じてその長手方向に自由に伸縮可能に支持すると共に、水平面となす角度を前記傾斜角度となるように調整するスナウト支持手段を有している。
【0009】
第2の発明に係るスナウトの支持装置において、前記スナウト支持手段は、前記スナウトに下方から当接して該スナウトを支持する車輪と、該車輪の高さ位置を調整する昇降機構とを有する構成とすることができる。
第2の発明に係るスナウトの支持装置において、前記スナウト支持手段は、前記スナウトの側部に該スナウトの長手方向に平行に設けられたレールと、該レールに下方から当接して移動する車輪と、該車輪の高さ位置を調整する昇降機構とを有する構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1〜6記載のスナウトの支持装置においては、スナウトの温度変動に応じてスナウトをその長手方向に自由に伸縮させて傾斜角度の変化を防止するので、操業中にスナウトの温度が変化してもスナウトが溶融金属めっき浴周りの機械部品と干渉するのが防止できる。また、スナウトの熱膨張は長手方向にのみ現われるためスナウト先端位置を容易に把握でき、例えば、溶融金属めっき浴内のシンクロール径の減少に伴って、スナウトが溶融金属めっき浴周りの機械部品と干渉しないようにスナウトの進入角度を調整して、スナウトの軸心上を鋼板が通過するようにできる。
特に、請求項2〜6記載のスナウトの支持装置においては、簡単な構成なので、設備コストの低減と、メンテナンスの負担を減少できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係るスナウトの支持装置の側面図、図2(A)は同スナウトの支持装置の一部省略正面図、(B)は(A)のP−P矢視側面図、図3は本発明の第2の実施の形態に係るスナウトの支持装置の側面図、図4は本発明の第3の実施の形態に係るスナウトの支持装置の側面図、図5(A)は本発明の第4の実施の形態に係るスナウトの支持装置の側面図、(B)は(A)のQ−Q矢視断面図、図6は本発明の第5の実施の形態に係るスナウトの支持装置の側面図である。
【0012】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るスナウトの支持装置10は、上端部が連続焼鈍炉11の出側に連結したスナウト12をスナウト12の下部側が溶融金属めっき浴13に所定の傾斜角度θ、即ちスナウト12の取付け時に設定した傾斜角度で浸漬するようにスナウト12の上部側を保持するものである。そして、スナウトの支持装置10は、上部がスナウト12の上部にピン支持され、水平面となす角度が傾斜角度θとなるように支持されたガイドフレーム14と、ガイドフレーム14にスナウト12をスナウト12の温度変動に応じてその長手方向に自由に伸縮させながら取付けるスナウト取付け手段15とを有する。以下詳細に説明する。
【0013】
ここで、スナウト12は、例えば、断面視して矩形状の上部筒体16と、上部筒体16にフランジ接続し断面視して矩形状の下部筒体17を有している。そして、上部筒体16の上部が金属ベローズ18を介して連続焼鈍炉11の出口19に接続し、下部筒体17の下部にはスナウト先端金物20が外装され、スナウト先端金物20の先側が溶融金属めっき浴13に浸漬している。
【0014】
図2(A)、(B)に示すように、ガイドフレーム14は、例えば、上部筒体16の両側に配置される側板部材21、22と、側板部材21、22の下部側に突出して設けられた腕部材23(図2(A)では、腕部材23の記載を省略している)とを有している。更に、ガイドフレーム14は、上部筒体16の上部側の両側にそれぞれ設けられた取付け部材24、25を貫通して両端側が側板部材21、22に嵌入するピン部材の一例である上部シャフト26を有している。そして、上部シャフト26は、取付け部材24と側板部材21の間及び取付け部材25と側板部材22との間にそれぞれ設けられた軸受27、28により支えられ、軸受27、28は、例えば、連続焼鈍炉11の設備架構を構成する梁部材29に取付けられている。また、腕部材23と梁部材29との間には、スナウト12の下部側が溶融金属めっき浴13に所定の傾斜角度θで浸漬するようにスナウト12の取付け角度を決める角度調整機構の一例であるターンバックル30が自在継手31を用いて取付けられている。
【0015】
スナウト取付け手段15は、スナウト12の上部側の両側に設けられた車輪32、33と、ガイドフレーム14の側板部材21、22にそれぞれ設けられ車輪32、33を支持してその上を移動させる第1のレール34と、第1のレール34と共に車輪32、33を径方向から挟むように第1のレール34と平行に配置された第2のレール35とを有している、すなわち、車輪32、33は、第1のレール34と第2のレール35の間に僅少の隙間を有して配置されている。ここで、車輪32、33は、上部筒体16の下部側の両側にそれぞれ設けられた取付け部材36、37で両側が支えられた下部シャフト38の両端部に設けられている。また、車輪32、33が第1のレール34で支えられた際に、上部シャフト26の軸心と下部シャフト38の軸心に直交し、しかも上部シャフト26の軸心と下部シャフト38の軸心を結ぶ線分とスナウト12の軸心が平行になるように、第1のレール34はその取付け位置を調整して側板部材21、22にそれぞれ設けられている。そして、第1のレール34で車輪32、33を支えることにより、スナウト12の上部側を保持することができる。
【0016】
以上のような構成とすることにより、ガイドフレーム14をその上部がスナウト12の上部にピン支持された状態で設けることができる。また、ターンバックル30を操作してその長さを変化させることで腕部材23と梁部材29間の距離を調整でき、ガイドフレーム14を上部シャフト26を支点として傾動することができ、ガイドフレーム14の軸心と水平面とのなす角度を、スナウト12を取付け時の傾斜角度θに合わせることができる。そして、上部シャフト26の軸心と下部シャフト38の軸心を結ぶ線分とスナウト12の軸心が平行なので、ガイドフレーム14の軸心と水平面とのなす角度を傾斜角度θに調整すると、スナウト12をその下部側が溶融金属めっき浴13に傾斜角度θで浸漬するように配置することができる。
【0017】
続いて、本発明の第1の実施の形態に係るスナウトの支持装置10の作用について説明する。
図1に示すように、スナウトの支持装置10を用いて、上端部が連続焼鈍炉11の出側に連結し、下部側が溶融金属めっき浴13に傾斜角度θで浸漬するよう常温において角度調整を行ないスナウト12を保持する。そして、連続焼鈍炉11の出側に配置されたターンダウンロール39を介して鋼板40をスナウト12を経由して溶融金属めっき浴13内に導入し、溶融金属めっき浴13中に設けられたシンクロール41で搬送方向を変えて図示しないめっき機に搬送するめっき処理を開始する。ここで、めっき処理が開始されると、スナウト12内には連続焼鈍炉11を通過した加熱状態の鋼板40が通過し、スナウト12の下部側は溶融金属めっき浴13からの熱により加熱されるため、スナウト12の温度は徐々に上昇する。
【0018】
ここで、スナウト12は、スナウト12の上部筒体16の上部がガイドフレーム14の上部にピン支持され、上部筒体16の下部側が車輪32、33を介してガイドフレーム14に設けた第1のレール34で支持されている。このため、スナウト12内に長手方向に変化する温度分布が形成されてスナウト12に長手方向の膨張が発生する場合、スナウト12の膨張は車輪32、33を介してスナウト12が第1のレール34上を移動する直線運動で吸収される。そして、第1のレール34は、水平面とのなす角度が傾斜角度θとなるようにガイドフレーム14に取付けられているので、スナウト12が熱膨張しても、スナウト12の傾斜角度θは変化しない。また、連続焼鈍炉11の操業温度が低下したり、溶融金属めっき浴13の操業温度が低下することにより、スナウト12の温度が低下してスナウト12が長手方向に収縮する場合も、スナウト12の収縮は車輪32、33を介してスナウト12が第1のレール34上を移動する直線運動で吸収され、スナウト12が収縮しても、スナウト12の傾斜角度θは変化しない。
【0019】
図3に示すように、本発明の第2の実施の形態に係るスナウトの支持装置42は、第1の実施の形態に係るスナウトの支持装置10と比較して、ガイドフレーム43の側板部材44、45の下部側に突出して設けられた腕部材46の下面と連続焼鈍炉11の設備架構の設置基台(図示せず)に立設された支持部材47との間にターンバックル48を自在継手49を用いて取付けたことが特徴となっている。このため、同一の構成部材には同一の符号を付して説明は省略する。腕部材46と支持部材47との間にターンバックル48を設けることで、スナウト12の傾斜角度θの調整が容易にできる。なお、スナウトの支持装置42の作用はスナウトの支持装置10の作用と同じなので、説明は省略する。
【0020】
図4に示すように、本発明の第3の実施の形態に係るスナウトの支持装置50は、第2の実施の形態に係るスナウトの支持装置42と比較して、スナウト取付け手段51の構成が異なることが特徴となっている。このため、スナウト取付け手段51に関してのみ説明し、スナウトの支持装置42と同一の構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
スナウト取付け手段51は、ガイドフレーム43の側板部材44、45にそれぞれ取付け台52を介して設けられスナウト12の上部側、すなわち上部筒体16に下方から当接して上部筒体16を支持する車輪53を有している。これによって、上部筒体16を上部シャフト26と車輪53で支えることができ、腕部材46と支持部材47との間に設けたターンバックル48を操作して上部筒体16の取付け角度を調整することで、スナウト12を傾斜角度θで設置することができる。
【0021】
続いて、本発明の第3の実施の形態に係るスナウトの支持装置50の作用について説明する。
図4に示すように、スナウトの支持装置50を用いて、上端部が連続焼鈍炉11の出側に連結し、下部側が溶融金属めっき浴13に傾斜角度θで浸漬するよう常温において角度調整を行ないスナウト12を保持する。そして、鋼板40のめっき処理を開始すると、スナウト12内に長手方向に変化する温度分布が形成されてスナウト12に長手方向の膨張が発生する。ここで、スナウト12は上部シャフト26と車輪53で支えられているため、スナウト12はその長手方向に自由に膨張できる。このため、スナウト12が膨張してもスナウト12の傾斜角度θは変化しない。また、めっき処理の操業条件が変化してスナウト12の温度が低下しスナウト12が長手方向に収縮する場合も、スナウト12の収縮はその長手方向に自由にできるため、スナウト12の傾斜角度θは変化しない。
【0022】
図5(A)、(B)に示すように、本発明の第4の実施の形態に係るスナウトの支持装置54は、上部がピン支持されると共に連続焼鈍炉11の出口19に金属ベローズ18を介して連結したスナウト12を、スナウト12の下部側が溶融金属めっき浴13に所定の傾斜角度θで浸漬するように保持するもので、スナウト12をスナウト12の温度変動に応じてその長手方向に自由に伸縮可能に支持すると共に、水平面となす角度を傾斜角度θとなるように調整するスナウト支持手段55を有している。以下詳細に説明する。
【0023】
スナウト12の上部側の両側には、それぞれ中央部に挿通孔を備えた支持部材(図示せず)が設けられ、支持部材にはシャフト59が挿通している。そして、シャフト59の両側は軸受60によりそれぞれ支えられ、軸受60は、連続焼鈍炉11の設備架構を構成する架構梁材61に取付けられている。これによって、スナウト12の上部をピン支持した状態で連続焼鈍炉11の出側に連結することができる。
【0024】
スナウト支持手段55は、スナウト12の、例えば、中間部両側にスナウト12の長手方向に平行にそれぞれ設けられたレール62、63と、レール62、63に下方から当接して移動する車輪64、65と、車輪64、65の高さ位置をそれぞれ調整する昇降機構66とを有する。ここで、昇降機構66は、連続焼鈍炉11の設備架構を構成する架構梁材61の下部にピン67を用いて回動可能に連結された腕部材68と、腕部材68に長さ調整部材の一例であるターンバックル69を介して連結し先部に車輪64、65を回転可能に取りつけた車輪支持部材70とを有している。このような構成とすることにより、車輪64、65をレール62、63に下方から当接させて、ターンバックル69を操作して架構梁材61の下面に対する車輪64、65の高さ位置を調整することにより、スナウト12をシャフト59を支点として傾動することができ、スナウト12の軸心と水平面とのなす角度を、スナウト12の取付け時の傾斜角度θに合わせることができる。
【0025】
続いて、本発明の第4の実施の形態に係るスナウトの支持装置54の作用について説明する。
図5(A)、(B)に示すように、スナウトの支持装置54を用いて、上部を連続焼鈍炉11の出側に連結し、下部側が溶融金属めっき浴13に傾斜角度θで浸漬するよう常温において角度調整を行ないスナウト12を保持する。そして、連続焼鈍炉11で処理された鋼板40をスナウト12を経由して溶融金属めっき浴13内に進入させてめっき処理を開始すると、スナウト12の温度は徐々に上昇し、スナウト12内には長手方向に変化する温度分布が形成される。このため、スナウト12には長手方向の膨張が発生するが、スナウト12の膨張は、スナウト12がレール62、63を介して車輪64、65を回転させながら移動する直線運動で吸収される。このため、スナウト12が熱膨張しても、スナウト12の傾斜角度θは変化しない。また、連続焼鈍炉11の操業温度が低下したり、溶融金属めっき浴13の操業温度が低下することにより、スナウト12の温度が低下してスナウト12が長手方向に収縮する場合も、スナウト12の収縮は、スナウト12がレール62、63を介して車輪64、65を回転させながら移動する直線運動で吸収され、スナウト12が収縮しても、スナウト12の傾斜角度θは変化しない。
【0026】
図6に示すように、本発明の第5の実施の形態に係るスナウトの支持装置71は、本発明の第4の実施の形態に係るスナウトの支持装置54と比較して、スナウト支持手段72の構成が異なることが特徴となっている。このため、スナウト支持手段72についてのみ説明し、同一の構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0027】
スナウト支持手段72は、スナウト12の、例えば中間部外壁の両側にそれぞれ設けられた受け板73に下方から当接してスナウト12を支持する車輪74と、車輪74の高さ位置を調整する昇降機構75とを有している。ここで、昇降機構75は、車輪74を回転可能に支持する支持台76と、基台の一部を構成する基台梁材77に立設状態で設けられ長さ調整部材の一例であるターンバックル78を介して支持台76を昇降可能に支える支持部材79と、支持部材79の両側に設けられ支持台76の昇降時の横揺れを防止するガイド部材80と、ガイド部材80を取付け基台梁材77に固定された枠体81とを有している。このような構成とすることにより、車輪74を受け板73に下方から当接させて、ターンバックル78を操作して車輪74の高さ位置を調整することにより、スナウト12をシャフト59を支点として傾動することができ、スナウト12の軸心と水平面とのなす角度を、スナウト12の取付け時の傾斜角度θに合わせることができる。
【0028】
続いて、本発明の第5の実施の形態に係るスナウトの支持装置71の作用について説明する。
図6に示すように、スナウトの支持装置71を用いて、上部が連続焼鈍炉11の出側に連結し、下部側が溶融金属めっき浴13に傾斜角度θで浸漬するよう常温において角度調整を行ないスナウト12を保持する。そして、連続焼鈍炉11で処理された鋼板40をスナウト12を経由して溶融金属めっき浴13内に進入させてめっき処理を開始すると、スナウト12の温度は徐々に上昇し、スナウト12内には長手方向に変化する温度分布が形成される。このため、スナウト12に長手方向の膨張が発生するが、スナウト12は受け板73を介して下方から当接する車輪74で支持されているので、スナウト12は長手方向に自由に膨張できる。このため、スナウト12が熱膨張しても、スナウト12の傾斜角度θは変化しない。また、連続焼鈍炉11の操業温度が低下したり、溶融金属めっき浴13の操業温度が低下することにより、スナウト12の温度が低下してスナウト12が長手方向に収縮する場合も、スナウト12はスナウト12の長手方向に自由に収縮できるので、スナウト12が収縮しても、スナウト12の傾斜角度θは変化しない。
【0029】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、第3の実施の形態に係るスナウトの支持装置において、スナウトの両側にその長手方向に平行なレールを取付け、ガイドフレームに設けた車輪をこのレールの下方から当接させてしてスナウトを支持するようにすることもできる。
また、第5の実施の形態では、スナウトをスナウトに設けた受け板を介して車輪で支持したが、車輪をスナウトの側部下面に直接当接させて支持することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るスナウトの支持装置の側面図である。
【図2】(A)は同スナウトの支持装置の一部省略正面図、(B)は(A)のP−P矢視側面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るスナウトの支持装置の側面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るスナウトの支持装置の側面図である。
【図5】(A)は本発明の第4の実施の形態に係るスナウトの支持装置の側面図、(B)は(A)のQ−Q矢視断面図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係るスナウトの支持装置の側面図である。
【符号の説明】
【0031】
10:スナウトの支持装置、11:連続焼鈍炉、12:スナウト、13:溶融金属めっき浴、14:ガイドフレーム、15:スナウト取付け手段、16:上部筒体、17:下部筒体、18:金属ベローズ、19:出口、20:スナウト先端金物、21、22:側板部材、23:腕部材、24、25:取付け部材、26:上部シャフト、27、28:軸受、29:梁部材、30:ターンバックル、31:自在継手、32、33:車輪、34:第1のレール、35:第2のレール、36、37:取付け部材、38:下部シャフト、39:ターンダウンロール、40:鋼板、41:シンクロール、42:スナウトの支持装置、43:ガイドフレーム、44、45:側板部材、46:腕部材、47:支持部材、48:ターンバックル、49:自在継手、50:スナウトの支持装置、51:スナウト取付け手段、52:取付け台、53:車輪、54:スナウトの支持装置、55:スナウト支持手段、59:シャフト、60:軸受、61:架構梁材、62、63:レール、64、65:車輪、66:昇降機構、67:ピン、68:腕部材、69:ターンバックル、70:車輪支持部材、71:スナウトの支持装置、72:スナウト支持手段、73:受け板、74:車輪、75:昇降機構、76:支持台、77:基台梁材、78:ターンバックル、79:支持部材、80:ガイド部材、81:枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部が連続焼鈍炉の出側に連結したスナウトを該スナウトの下部側が溶融金属めっき浴に所定の傾斜角度で浸漬するように該スナウトを保持するスナウトの支持装置において、
上部が前記スナウトの上部にピン支持され、水平面となす角度が前記傾斜角度となるように支持されたガイドフレームと、
前記ガイドフレームに前記スナウトを該スナウトの温度変動に応じてその長手方向に自由に伸縮させながら取付けるスナウト取付け手段とを有することを特徴とするスナウトの支持装置。
【請求項2】
請求項1記載のスナウトの支持装置において、前記スナウト取付け手段は、前記スナウトの上部側に設けられた車輪と、前記ガイドフレームに水平面となす角度が前記傾斜角度となるように設けられ該車輪を支持して移動させるレールとを有することを特徴とするスナウトの支持装置。
【請求項3】
請求項1記載のスナウトの支持装置において、前記スナウト取付け手段は、前記ガイドフレームに設けられ前記スナウトの上部側に下方から当接して該スナウトを支持する車輪を有することを特徴とするスナウトの支持装置。
【請求項4】
上部がピン支持されると共に連続焼鈍炉の出側に連結され、下部が溶融金属めっき浴に所定の傾斜角度で浸漬するように該スナウトを保持するスナウトの支持装置において、
前記スナウトを該スナウトの温度変動に応じてその長手方向に自由に伸縮可能に支持すると共に、水平面となす角度を前記傾斜角度となるように調整するスナウト支持手段を有することを特徴とするスナウトの支持装置。
【請求項5】
請求項4記載のスナウトの支持装置において、前記スナウト支持手段は、前記スナウトに下方から当接して該スナウトを支持する車輪と、該車輪の高さ位置を調整する昇降機構とを有することを特徴とするスナウトの支持装置。
【請求項6】
請求項4記載のスナウトの支持装置において、前記スナウト支持手段は、前記スナウトの側部に該スナウトの長手方向に平行に設けられたレールと、該レールに下方から当接して移動する車輪と、該車輪の高さ位置を調整する昇降機構とを有することを特徴とするスナウトの支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−68044(P2009−68044A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235399(P2007−235399)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【Fターム(参考)】