説明

スピロインドリン及びその前駆体を調製する方法

本発明は、4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルを少なくとも70%の収率で形成するような条件のもとで、水溶性相間移動剤、濃縮塩基水溶液、及び非混合性有機溶剤の存在下で(2−フルオロフェニル)アセトニトリルと、Xが脱離基である、保護N,N−ビス(2−X−エチル)アミンを接触させる工程を含む方法に関する。前記4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルは、スピロインドリン類を調製するのに有用であり、CCR2受容体の修飾薬である化合物の前駆体として利用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,2−ジヒドロスピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]及びその2−フルオロフェニルピペリジンカルボニトリル前駆体を調製する方法に関する。本発明の化合物は、CCR2ケモカイン受容体を修飾する一部類の化合物の前駆体として有用である。
【背景技術】
【0002】
CCR2は、単球及び幾つかの他の血液白血球の細胞表面上で発現するケモカイン受容体である。CCR2は、炎症部位及び感染部位で産生される単球走化性蛋白質MCP−1及び他のCCケモカインと結合する。MCP−1/CCR2の相互作用により単球が炎症部位に動員されることは、複数の炎症性疾患を含む数多くの病気の発症を促すことと関連付けられており、前記疾患として、リウマチ性関節炎、アテローム動脈硬化症、多発性硬化症、閉塞性細気管支炎症候群、喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、腎臓病、肺胞炎、腎炎、肝硬変、先天性心臓疾患、ウィルス性髄膜炎、脳梗塞、神経症、川崎病、アルツハイマー病、脳卒中、急性神経損傷、HIV感染症、AIDS、自己免疫疾患、癌、敗血症、網膜症、炎症性腸疾患、移植後動脈硬化、特発性肺線維症、乾癬、HIV関連認知症、狼瘡、紅斑症、肝炎、膵炎、クローン病、代謝症候群、眼の適応症及び糖尿病が挙げられる。
【0003】
米国出願第12/142899号では、一部類のスピロインドリンが開示され、CCR2ケモカイン受容体の修飾薬として有効であると記載されている。この系列の化合物の前駆体のうちの1つは、1,1−ジメチルエチル4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−シアノ−1−ピペリジンカルボキシレートであり、85℃のDMSO中で、(4−クロロ−2−フルオロフェニル)アセトニトリルとN,N−ビス(2−クロロエチル)−t−ブチルカルバメートとをNaHの存在下で接触させることにより調製されるものとして開示されている。所望の産物の収率は、38%と報告されている。更にこの米国出願には、この産物の環化及び脱保護が記載されている。
【0004】
米国特許出願第2005/0054628号(段落[0276])では、4−(4−ブロモフェニル)−4−シアノ−ピペリジン−1−カルボン酸、t−ブチルエステルをほぼ51%の収率で調製する方法が開示されている。この方法は、相間移動剤としてヘキサデシルトリブチルホスホニウムブロミドを利用し、110℃のトルエンと水の混合液中で、10M NaOHを利用して実行される。
【0005】
Cammack及びReeves、J. Heterocyclic Chem., 23, 73 (1986)では、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド及びトリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミドが、100℃で実行された類似の反応のための好ましい相間移動触媒として開示されている。ヘキサデシルトリブチルホスホニウムブロミドを利用した所望のシアノフェニルピペリジンの収率は、63%であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国出願第12/142899号
【特許文献2】米国特許出願第2005/0054628号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J. Heterocyclic Chem., 23, 73 (1986)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの結果を踏まえて、4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルを調製する更に効率的な方法を発見することは、当該技術分野の進歩であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルを少なくとも70%の収率で形成するような条件のもとで、水溶性相間移動剤、濃縮塩基水溶液、及び、前記濃縮塩基水溶液と混合しない有機溶剤の存在下で(2−フルオロフェニル)アセトニトリルと、Xが脱離基である、保護N,N−ビス(2−X−エチル)アミンを接触させる工程を含む方法に関する。
【0010】
本発明は、以下の工程:
a)保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルを形成するような条件のもとで、水溶性相間移動剤、濃縮塩基水溶液、及び、前記濃縮塩基水溶液と混合しない有機溶剤の存在下で(2−フルオロフェニル)アセトニトリルと保護N,N−ビス(2−X−エチル)アミンを接触させること、並びに、
b1)保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルを脱保護し、次に、還元、環化して、1,2−ジヒドロスピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]を形成すること、又は、
b2)保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルを還元、環化し、次に、脱保護して、1,2−ジヒドロスピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]を形成すること
のどちらかを含む方法にも関する。
【0011】
4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリル及び1,2−ジヒドロスピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]は、CCR2ケモカイン受容体の修飾薬であると実証されている一部類のスピロインドリンの前駆体として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の態様では、本発明は、保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルを少なくとも70%の収率で形成するような条件のもとで、水溶性相間移動剤、濃縮塩基水溶液、及び、前記濃縮塩基水溶液と混合しない有機溶剤の存在下で(2−フルオロフェニル)アセトニトリルと、Xが脱離基である、保護N,N−ビス(2−X−エチル)アミンを接触させる工程を含む方法に関する。
【0013】
用語「保護N,N−ビス(2−X−エチル)アミン」は、以下の構造を指す:
【化1】

【0014】
式中、各Xは、脱離基であり、各Rは、保護基である。
【0015】
好ましくは、各Xは、独立して、Cl、Br、I、トシラート、メシラート、ブロシラート、又はベシラートであり、Clが好ましく、Rは、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)又はベンジル−O−C(O)−基(CBz基)であり、t−ブトキシカルボニルが好ましい。従って、好ましい保護N,N−ビス(2−X−エチル)アミンは、1,1−ジメチルエチルビス(2−クロロエチル)カルバメートである:
【化2】

【0016】
用語「(2−フルオロフェニル)アセトニトリル」は、以下の構造式を指す:
【化3】

【0017】
式中、各Rは、独立して、ハロ、CF、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、OCF、CN、C〜C−アルキル−C(O)−NH−、C〜C−アルキル−NH−C(O)−、−CH−N(R、−CH−O−R、C〜C−S(O)−、COOH、又はヘテロアリールであり、式中、
各Rは、独立して、H、C〜C−アルキルであるか、又は、前記Rが結合する窒素原子と共に、5又は6員複素環アルキル基を形成し、
は、H、C〜C−アルキル、ベンジル、又はフェニルであり、
rは、0、1、又は2であり、
nは、0、1、又は2であり、好ましくは、nは、1である。
【0018】
好ましくは、各Rは、独立して、Cl、F、Br、CF、CN、CH、OCF、C〜C−S(O)−、又はメトキシであり、より好ましくは、各Rは、独立して、CH、F、Cl、又はCNであり、最も好ましくは、各Rは、Clである。
【0019】
(2−フルオロフェニル)アセトニトリルは、好ましくは、(4−クロロ−2−フルオロフェニル)アセトニトリルである。
【化4】

【0020】
用語「保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリル」は、以下の構造で表記される:
【化5】

【0021】
式中、R、R、及びnは、前に定義されたようなものである。特に好ましい4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルは、1,1−ジメチルエチル4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−シアノ−1−ピペリジンカルボキシレートである:
【化6】

【0022】
保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルは、有利には、好ましくはin situにて、保護基を取り除く適切な薬剤と本化合物を接触させることにより脱保護される。例えば、Boc−保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルは、ジオキサン等の適切な溶剤中にHClを添加することにより、対応する4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルに変換され得る。脱保護された産物は、好ましくは、図示されるような、その酸性塩として単離される。
【化7】

【0023】
式中、Yは、Cl、Br、SO2−、又はHDSO等の対イオンである。
【0024】
脱保護された産物は、以下の方式に従って、改質された水素化アルミニウムリチウム等の適切な還元剤を利用して還元し、続いて、環化することにより、対応するスピロインドリンに環化され得る:
【化8】

【0025】
用語「改質された水素化アルミニウムリチウム」は、水素化物捕捉剤で処理されているLAHを指し、前記改質された薬剤は、THF、2−メチル−THF、グリム、t−ブチルメチルエーテル、ジグリム、ジエチルエーテル、及びジオキサンを含む非プロトン性ドナー溶剤の存在下で、脱保護された産物と接触される。本明細書で用いられる場合、用語「水素化物捕捉剤」は、LAHから単一の水素化物を消費する薬剤である。適切な水素化物捕捉剤の実例として、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及び酢酸エチルを含むプロトン性及び反応性カルボニル化合物が挙げられる。
【0026】
用語「水溶性相間移動触媒」は、塩基水溶液と非混合性有機溶剤とを含む2相系の塩基水溶液中に優先的に分配される相間移動触媒を指す。好ましくは、相間移動剤は、使用される濃度で、完全に水溶性であり、従って、塩基水溶液に実質上完全に分配される。好ましくは、水溶性相間移動剤は、メチルトリブチルアンモニウムクロリド(アリカート(登録商標)175第四級アンモニウム塩として市販)又はテトラブチルアンモニウムブロミド(アリカート(登録商標)100第四級アンモニウム塩として市販)等の水溶性テトラアルキルアンモニウム塩相間移動剤である。メチルトリブチルアンモニウムクロリドは、より好ましい水溶性相間移動剤である。
【0027】
本明細書で用いられる場合、「非混合性有機溶媒」は、塩基水溶液相と分離し、区分された相を形成する1つ以上の有機溶媒を指す。そのような溶剤の実例として、トルエン、THF、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン、シクロヘキサン、ペプタン、酢酸イソプロピル、及びメチルt−ブチルエーテル、並びに、それらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
濃縮塩基水溶液は、好ましくは、LiOH、NaOH、又はKOH等の10重量%〜約50重量%の水酸化物水溶液である。NaOH水溶液が、好ましい塩基であり、50重量%のNaOH水溶液が、より好ましい。反応は、通常、約25℃、より好ましくは約35℃から、約60℃、より好ましくは約50℃までの範囲の温度で実行される。
【実施例】
【0029】
以下の実施例は、単に説明目的のためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0030】
実施例1 1,1−ジメチルエチル4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−シアノ−1−ピペリジンカルボキシレート
(4−クロロ−2−フルオロフェニル)アセトニトリル(8.00g、47.2mmol)及びN,N−ビス(2−クロロエチル)−t−ブチルカルバメート(11.42g、47.2mmol)のトルエン攪拌溶液(50mL)に、50重量%NaOH(40mL)及びアリカート(登録商標)175メチルトリブチルアンモニウムクロリド(水中で75重量%、1.55mL、4.72mmol)の水溶液が加えられた。反応混合物は、40℃に加熱され、激しく攪拌された(700rpm)。14時間後、反応混合物は、23℃に冷却され、トルエン(20mL)と水(100mL)で希釈された。それらの層は、分離され、水層がトルエン(40mL)で抽出された。混合有機層は、5%HCL(40mL)と飽和NaOH水溶液(40mL)で洗浄された。有機層は、無水硫酸ナトリウム上で乾燥され、濾過された。有機濾液の分析では、1,1−ジメチルエチル4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−シアノ−1−ピペリジンカルボキシレート(重量百分率検定により15.6g、定量的)が示された。
【0031】
比較実施例
1,1−ジメチルエチル4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−シアノ−1−ピペリジンカルボキシレートの本発明のプロセスの範囲ではない調製は、米国出願第12/142899号に中間体6として開示され、以下の比較例で再現される。
【0032】
(4−クロロ−2−フルオロフェニル)アセトニトリル(2.3g、13.7mmol、1.0当量)が、23℃の、NaH(2.1g、52.5mmol、3.8当量)のDMSO懸濁液(20mL)に加えられた。その結果得られた黄色の懸濁液は、10分間攪拌され、色が、赤褐色に変わった。DMSO(20mL)中のBoc−N(CHCHCl)(N,N−ビス(2−クロロエチル)−t−ブチルカルバメート)(3.7g、15.3mmol、1.1当量)が、反応混合物に加えられ(気泡が観察された)、その結果得られた懸濁液は、85℃に加熱され、追加で1.5時間攪拌された。反応混合物は、23℃に冷却され、次に、酢酸エチル−ヘキサン1:1混合物(300mL)に注がれた。有機成分は、水(100mL)とNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄された。有機層は、無水硫酸ナトリウム上で乾燥された。次に、乾燥された溶液は、濾過され、濾液は、濃縮された。残留物は、フラッシュシリカクロマトグラフィー(ヘキサン中に0%〜30%の酢酸エチル)により精製され、ビス−アルキル化産物である1,1−ジメチルエチル4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−シアノ−1−ピペリジンカルボキシレート(1.9g、5.6mmol、38%)を、黄色の結晶固体として与えた。MS(ED)m/e239[M−Boc+H]
【0033】
意外にも、メチルトリブチルアンモニウムクロリド等の相間移動剤の利用により、所望の中間体の収率が、約38%から平均で73%へ劇的に増加することが発見され、定量的に、最良の収率であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルを少なくとも70%の収率で形成するような条件のもとで、水溶性相間移動剤、濃縮塩基水溶液、及び非混合性有機溶剤の存在下で(2−フルオロフェニル)アセトニトリルと、Xが脱離基である、保護N,N−ビス(2−X−エチル)アミンを接触させる工程を含む方法。
【請求項2】
前記保護N,N−ビス(2−X−エチル)アミンが、以下の構造により表記され、
【化1】

[式中、各Xは、独立して、Cl、Br、I、トシラート、メシラート、ブロシラート、又はベシラートであり、Rは、t−ブトキシカルボニル基又はベンジル−O−C(O)−基である]
前記(2−フルオロフェニル)アセトニトリルが、以下の構造により表記され、
【化2】

[式中、各Rは、独立して、Cl、F、Br、CF、CN、CH、OCF、C〜C−S(O)−、又はメトキシである]
4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルが、以下の構造により表記される、
【化3】

請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水溶性相間移動剤が、メチルトリブチルアンモニウムクロリド又はテトラブチルアンモニウムブロミドである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記水溶性相間移動剤が、メチルトリブチルアンモニウムクロリドである、請求項2〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
各Xが、Clであり、Rが、t−ブトキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
がt−ブトキシカルボニル基である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記(2−フルオロフェニル)アセトニトリルが、(4−クロロ−2−フルオロフェニル)アセトニトリルであり、前記保護N,N−ビス(2−X−エチル)アミンが、1,1−ジメチルエチルビス(2−クロロエチル)カルバメートである、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記濃縮塩基水溶液が、約50重量%のNaOH水溶液であり、反応が、25℃〜約60℃の範囲の温度で実行される、請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記反応が、35℃〜約50℃の範囲の温度で実行される、請求項2〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルが、脱保護され、前記4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリル又は前記4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルの酸性塩のいずれかを形成する、請求項2〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリル又は前記4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルの前記酸性塩のどちらかが、前記4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルの前記酸性塩の中和、還元、及び環化により、1,2−ジヒドロスピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]に変換される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリル又は前記4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルの前記酸性塩のどちらかが、適切な溶剤中での水素化アルミニウムリチウムを用いた処理により変換される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1,1−ジメチルエチルビス(2−クロロエチル)カルバメートと(4−クロロ−2−フルオロフェニル)アセトニトリルを、
a)濃縮塩基水溶液、
b)非混合性有機溶剤、及び
c)水溶性相間移動剤
の存在下で約25℃〜約60℃の範囲の温度で接触させて、1,1−ジメチルエチル4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−シアノ−1−ピペリジンカルボキシレートを形成することを含む方法。
【請求項14】
前記濃縮塩基水溶液が、50重量%のNaOH水溶液である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記水溶性相間移動剤がメチルトリブチルアンモニウムクロリドであり、前記非混合性有機溶剤がトルエンである、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記1,1−ジメチルエチル4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−シアノ−1−ピペリジンカルボキシレートが、HClと接触されて、4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルのHCl塩を形成する、請求項13〜15の1項に記載の方法。
【請求項17】
前記4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルの前記HCl塩が、6−クロロ−1,2−ジヒドロスピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]を形成するような条件のもとで、水素化アルミニウムリチウムと接触される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
以下の工程:
a)保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルを形成するような条件のもとで、水溶性相間移動剤、濃縮塩基水溶液、及び前記非混合性有機溶剤の存在下で(2−フルオロフェニル)アセトニトリルと保護N,N−ビス(2−X−エチル)アミンを接触させること、並びに、
b1)前記保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルを脱保護し、次に、還元、環化して、1,2−ジヒドロスピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]を形成すること、又は、
b2)前記保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルを還元、環化し、次に、脱保護して、1,2−ジヒドロスピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]を形成すること
のどちらかを含む方法。
【請求項19】
前記保護N,N−ビス(2−X−エチル)アミンが、1,1−ジメチルエチルビス(2−クロロエチル)カルバメートであり、
前記(2−フルオロフェニル)アセトニトリルが、(4−クロロ−2−フルオロフェニル)アセトニトリルであり、
前記水溶性相間移動剤が、メチルトリブチルアンモニウムクロリドであり、前記保護4−(2−フルオロフェニル)−4−ピペリジンカルボニトリルが、1,1−ジメチルエチル4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−シアノ−1−ピペリジンカルボキシレートであり、前記カルボキシレートは、HClで脱保護されて、前記1,1−ジメチルエチル4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−シアノ−1−ピペリジンカルボキシレートのHCl塩を形成し、改質された水素化アルミニウムリチウムを用いて非プロトン性ドナー溶液の存在下で還元、環化されて、6−クロロ−1,2−ジヒドロスピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]を形成する、
請求項18に記載の方法。

【公表番号】特表2012−511007(P2012−511007A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539681(P2011−539681)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/066525
【国際公開番号】WO2010/065704
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】