説明

スピロケタール

本発明は、原虫感染症、寄生虫感染症、細菌感染症、細胞増殖性障害および抗炎症性障害を処置するかまたは予防する方法において有用であるスピロケタール化合物に関する。スピロケタール化合物は免疫抑制剤としても、および害虫を制御する方法においても有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は生物活性分子に関する。より具体的には、本発明は潜在的な治療上有用性のあるスピロケタールおよび/または医薬もしくは農薬としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
バイオディスカバリ(Bio-discovery)は成長中の分野であり、これでは植物、微生物、サンゴおよび他の海洋生物を含めて、自然環境由来の生物活性天然物を調査かつスクリーングする。生物活性天然物の探索では、一連の処置、例えばがんの処置、抗原虫処置、抗寄生虫処置、抗真菌処置、抗生物質処置および抗炎症処置に使用可能な治療上有用性を示しうる特性を持った分子について、または殺虫活性について生物学的材料をスクリーニングする。
【発明の開示】
【0003】
発明の概要
本発明は、細胞毒性剤、抗原虫剤、抗寄生虫剤、抗生物質剤および抗炎症剤もしくは免疫抑制剤としての潜在的に新しい治療的用途、または薬学用もしくは農業用の殺虫剤としての潜在性を有する新しいスピロケタール誘導体の発見に起因する。
【0004】
本発明の一つの局面では、式(I)の化合物、または薬学的に、農学的にもしくは殺虫的に許容されるその塩を提供する。

式中:
X、YおよびZが-S-、-O-、-NH-、-N(C1〜C6アルキル)、および-C(R)2からそれぞれ独立して選択され;
nが1〜10であり;
mが1〜16であり;
R1〜R28が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-Si(R)3、-B(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rからそれぞれ独立して選択され;
Rが水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルケニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキルおよび-C1〜C10トリハロアルキルから選択され; あるいは
R1 (またはR2もしくはR3)の一つまたは複数がR4 (またはR5)に連結され、R4 (またはR5)がR6 (またはR7)に連結され、R6 (またはR7)がR8 (またはR9)に連結され、R8 (またはR9)がR10 (またはR11)に連結され、R10 (またはR11)がR12に連結され、R12がR13 (またはR14)に連結され、R13 (またはR14)がR15 (またはR16)に連結され、R15 (またはR16)がR17 (またはR18)に連結され、R19 (またはR20)がR21に連結され、R22 (またはR23)がR24 (またはR25)に連結され、R26 (またはR27)がR28に連結されてR、-(C=W)Rおよび-W(C=W)Rによりさらに置換されているC1〜C8二置換(縮合)飽和または不飽和炭素環および複素環を形成し;
R1 (またはR2もしくはR3)の一つまたは複数がR4 (またはR5)に連結され、R4 (またはR5)がR6 (またはR7)に連結され、R6 (またはR7)がR8 (またはR9)に連結され、R8 (またはR9)がR10 (またはR11)に連結され、R10 (またはR11)がR12に連結され、R12がR13 (またはR14)に連結され、R13 (またはR14)がR15 (またはR16)に連結され、R15 (またはR16)がR17 (またはR18)に連結され、R19 (またはR20)がR21に連結され、R22 (またはR23)がR24 (またはR25)に連結され、R26 (またはR27)がR28に連結されて二重結合連結、エポキシドまたはチオエポキシドを形成し;
R1およびR2 (またはR1およびR3) (またはR2およびR3)、R4およびR5、R6およびR7、R8およびR9、R10およびR11、R13およびR14、R15およびR16、R17およびR18、R19およびR20、R22およびR23、R24およびR25、R24 (またはR25)の一つまたは複数がR26 (またはR27)に連結され、R26およびR27がWへの二重結合を形成し、ならびにWが硫黄、酸素、NHまたはN(C1〜C6アルキル)から選択され;
R1およびR2 (またはR3)の一つまたは複数がR4およびR5に連結され、R4およびR5がR6およびR7に連結され、R6およびR7がR8およびR9に連結され、R8およびR9がR10およびR11に連結されて三重結合を形成する。
【0005】
いくつかの態様において、R1〜R28のいずれか一つまたは複数がC2〜C20アルケニルである場合、R1〜R28の一つまたは複数がアリールまたはヘテロアリール基をさらに含んでもよい。
【0006】
いくつかの態様において、R1〜R28のいずれか一つまたは複数がC2〜C20アルケニルである場合、アルケニル単位が単数または複数であってもよい。
【0007】
さらに他の態様において、R1〜R28のいずれか一つまたは複数がC2〜C20アルキニルである場合、R1〜R28の一つまたは複数がアリールまたはヘテロアリール基をさらに含んでもよい。
【0008】
なおさらに他の態様において、R1〜R28のいずれか一つまたは複数がC2〜C20アルキニルである場合、アルキニル単位が単数または複数であってもよい。
【0009】
一つの態様において、式(I)の化合物は、式(II)の化合物、または薬学的に、農学的にもしくは殺虫的に許容されるその塩である。

式中
X、YおよびZが-O-、-S-、-NH-、-N(C1〜C6アルキル)-および-CH2-から独立して選択され;
R50が-CH3、-C3〜C8シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールから選択され;
R51、R52、R57、R58、R61、R62、R67、R68、R69およびR70が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C1Oハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択され;
R53〜R56が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR54およびR55が一緒になって二重結合を形成するかもしくは-O-であるか; またはR53およびR54もしくはR55およびR56が一緒になってカルボニル基を形成し;
R59およびR60が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR59およびR60が一緒になってカルボニル基を形成し;
R63〜R66が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR64およびR65が一緒になって二重結合を形成するかもしくは-O-であるか; またはR63およびR64もしくはR65およびR66が一緒になってカルボニル基を形成し;
R71およびR72が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR71およびR72が一緒になってカルボニル基を形成し;
R73〜R76が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR74およびR75が一緒になって二重結合を形成するかもしくは-O-であるか; またはR73およびR74もしくはR75およびR76が一緒になってカルボニル基を形成し;
R77およびR78が水素、-C1〜C10アルキル、-C2〜C10アルケニルおよび-C2〜C10アルキニルから独立して選択され;
Wが-O-、-S-、-NH-および-N(C1〜C6アルキル)-から選択され;
Rが水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキルおよび-C1〜C10トリハロアルキルから選択され;
pおよびqが独立して0または1であり; ならびに
rが1〜8の整数であり;
ここでそれぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールが置換されてもよい。
【0010】
式IIまたは薬学的に、農学的にもしくは殺虫的に許容されるその塩のいくつかの態様において、
X、YおよびZが-O-および-S-から独立して選択され;
R50が-CH3、-C3〜C8シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールから選択され;
R51、R52、R57、R58、R61、R62、R67、R68、R69およびR70が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C1Oハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択され;
R53〜R56が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR54およびR55が一緒になって二重結合もしくは-O-を形成し;
R59が水素でありかつR60が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR59およびR60が一緒になってカルボニル基を形成し;
R63およびR64が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択され;
R65が水素でありかつR66が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR65およびR66が一緒になってカルボニル基を形成するか; またはR64およびR65が一緒になって二重結合を形成し;
R71が水素でありかつR72が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR71およびR72が一緒になってカルボニル基を形成し;
R73〜R76が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR74およびR75が一緒になって二重結合もしくは-O-を形成し;
R77およびR78が水素および-C1〜C10アルキルから独立して選択され;
Wが-O-、-S-、-NH-および-N(C1〜C6アルキル)-から選択され;
Rが水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルケニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキルおよび-C1〜C10トリハロアルキルから選択され;
pおよびqが0または1であり; ならびに
rが1〜8の整数であり;
ここでそれぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールが置換されてもよい。
【0011】
いくつかの態様において、式Iの化合物は、式IIIの化合物、または薬学的に、農学的にもしくは殺虫的に許容されるその塩である。

式中:
R50が-CH3、-C3〜C8シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールから選択され;
R51、R52、R57およびR58が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C1Oハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(O)Rおよび-OC(O)Rから独立して選択され;
R53〜R56が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(O)Rおよび-OC(O)Rから独立して選択されるか; またはR54およびR55が一緒になって二重結合もしくは-O-を形成し;
R59が水素でありかつR60が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR59およびR60が一緒になってカルボニル基を形成し;
R63およびR64が水素であり;
R65が水素でありかつR66が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR65およびR66が一緒になってカルボニル基を形成するか; またはR64およびR65が一緒になって二重結合を形成し;
R71が水素でありかつR72が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR71およびR72が一緒になってカルボニル基を形成し;
R73〜R76が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR74およびR75が一緒になって二重結合もしくは-O-を形成し;
Rが水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルケニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキルおよび-C1〜C10トリハロアルキルから選択され;
pおよびqが0または1であり; ならびに
rが1〜8の整数であり;
ここでそれぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールが置換されてもよい。
【0012】
式IIの化合物の好ましい態様において、以下の一つまたは複数が適用される。
X、YおよびZが独立して酸素または硫黄; とりわけ酸素であり;
R50が-CH3、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール、とりわけ-CH3、フェニルまたはヘテロアリール、さらにとりわけ-CH3、フェニルまたはベンゾジオキソランであり;
R51、R52、R57およびR58が水素、-C1〜C6アルキル、-C2〜C6アルケニル、-C2〜C6アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C6ハロアルキル、-C1〜C6ジハロアルキル、-C1〜C6トリハロアルキル、-COC1〜C6アルキル、-CO2H、CO2C1〜C6アルキル、-OH、-OC1〜C6アルキル、-SH、-SC1〜C6アルキル、-NH2、-NHC1〜C6アルキル、-N(C1〜C6アルキル)2および-OC(O)C1〜C6アルキル; とりわけ; 水素、C1〜C6アルキル、-COC1〜C6アルキル、-CO2H、CO2 C1〜C6アルキル、-OH、-OC1〜C6アルキルおよび-OC(O)C1〜C6アルキル; とりわけ水素から独立して選択され;
R53〜R56が水素、-C1〜C6アルキル、-C2〜C6アルケニル、-C2〜C6アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C6ハロアルキル、-C1〜C6ジハロアルキル、-C1〜C6トリハロアルキル、-COC1〜C6アルキル、-CO2H、CO2C1〜C6アルキル、-OH、-OC1〜C6アルキル、-SH、-SC1〜C6アルキル、-NH2、-NHC1〜C6アルキル、-N(C1〜C6アルキル)2および-OC(O)C1〜C6アルキルから独立して選択されるか、またはR54およびR55が一緒になって二重結合もしくは-O-; とりわけ; 水素、C1〜C6アルキル、-COC1〜C6アルキル、-CO2H、CO2C1〜C6アルキル、-OH、-OC1〜C6アルキルおよび-OC(O)C1〜C6アルキルを形成するか、またはR54およびR55が一緒になって二重結合もしくは-O-; とりわけ; 水素を形成するか、またはR54およびR55が一緒になって二重結合もしくは-O-を形成し;
R59が水素でありかつR60が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR59およびR60が一緒になってカルボニル基; とりわけR60が-OHである場合、-OC1〜C10アルキルおよび-OC(O)C1〜C10アルキルを形成するか; またはR59およびR60が一緒になってカルボニル基を形成し;
R61、R62、R67、R68、R69およびR70が水素、-C1〜C6アルキル、-C2〜C6アルケニル、-C2〜C6アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C6ハロアルキル、-C1〜C6ジハロアルキル、-C1〜C6トリハロアルキル、-COC1〜C6アルキル、-CO2H、CO2C1〜C6アルキル、-OH、-OC1〜C6アルキル、-SH、-SC1〜C6アルキル、-NH2、-NHC1〜C6アルキル、N(C1〜C6アルキル)2および-OC(O)C1〜C6アルキル; とりわけ水素、-C1〜C3アルキル、-OH、-OC1〜C6アルキルおよび-OC(O)C1〜C6アルキル; さらにとりわけ水素から独立して選択され;
R63およびR64が水素、-C1〜C6アルキル、-C2〜C6アルケニル、-C2〜C6アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C6ハロアルキル、-C1〜C6ジハロアルキル、-C1〜C6トリハロアルキル、-COC1〜C6アルキル、-CO2H、CO2C1〜C6アルキル、-OH、-OC1〜C6アルキル、-SH、-SC1〜C6アルキル、-NH2、-NHC1〜C6アルキル、N(C1〜C6アルキル)2および-OC(O)C1〜C6アルキル; とりわけ水素、-C1〜C3アルキル、-OH、-OC1〜C6アルキルおよび-OC(O)C1〜C6アルキル; さらにとりわけ水素から独立して選択され;
R65が水素でありかつR66が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR59およびR60が一緒になってカルボニル基; とりわけR60が-OHである場合、-OC1〜C10アルキルおよび-OC(O)C1〜C10アルキルを形成するか; またはR59およびR60が一緒になってカルボニル基を形成し;
あるいはR64およびR65が二重結合または-O-; とりわけ二重結合を形成する場合;
R71が水素でありかつR72が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR71およびR72が一緒になってカルボニル基; とりわけR72が-OHである場合、-OC1〜C10アルキルおよび-OC(O)C1〜C10アルキルを形成するか; またはR71およびR72が一緒になってカルボニル基を形成し;
R73、R74、R75およびR76が水素、-C1〜C6アルキル、-C2〜C6アルケニル、-C2〜C6アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C6ハロアルキル、-C1〜C6ジハロアルキル、-C1〜C6トリハロアルキル、-COC1〜C6アルキル、-CO2H、CO2C1〜C6アルキル、-OH、-OC1〜C6アルキル、-SH、-SC1〜C6アルキル、-NH2、-NHC1〜C6アルキル、N(C1〜C6アルキル)2および-OC(O)C1〜C6アルキルから独立して選択されるか、またはR74およびR75が一緒になって二重結合または-O-; とりわけ水素、-C1〜C3アルキル、-OH、-OC1〜C6アルキルおよび-OC(O)C1〜C6アルキルを形成するか、またはR74およびR75が一緒になって二重結合または-O-; さらにとりわけ水素を形成するか、またはR74およびR75が一緒になって二重結合または-O-を形成し;
R77およびR78が水素および-C1〜C3アルキル; とりわけ水素およびメチル、さらにとりわけ水素から独立して選択され;
rが3〜7の整数である。
【0013】
いくつかの態様において、本発明の化合物は以下から選択される:
EBI-23ともいわれる

;EBI-24ともいわれる

;EBI-25ともいわれる

;EBI-42ともいわれる

;EBI-72ともいわれる

;EBI-73ともいわれる


【0014】
本発明の他の化合物は以下を含む。



【0015】
「アルキル」という用語は、1〜20個の炭素原子を有する置換されてもよい直鎖状および分枝状炭化水素基をいう。必要に応じて、アルキル基は指定数の炭素原子、例えば、直鎖状または分枝状の配置で1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキル基が含まれる-C1〜C6アルキルを有してもよい。アルキル基の限定するものではない例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s-およびt-ブチル、ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、ヘキシル、ヘプチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシルが挙げられる。
【0016】
「アルケニル」という用語は、2〜20個の炭素原子を有し、かつ少なくとも一つの二重結合を有する置換されてもよい不飽和の直鎖状または分枝状炭化水素基をいう。必要に応じて、アルケニル基は指定数の炭素原子、例えば、直鎖状または分枝状の配置で2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルケニル基が含まれるC2〜C6アルケニルを有してもよい。アルケニル基の限定するものではない例としては、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、s-およびt-ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプタ-1,3-ジエン、ヘキサ-1,3-ジエン、ノナ-1,3,5-トリエンなどが挙げられる。
【0017】
「アルキニル」という用語は、2〜20個の炭素原子を有し、かつ少なくとも一つの三重結合を有する置換されてもよい不飽和の直鎖状または分枝状炭化水素基をいう。必要に応じて、アルキニル基は指定数の炭素原子を有してもよく、例えば、C2〜C6アルキニル基は直鎖状または分枝状の配置で2、3、4、5または6個の炭素原子を有する。アルキニル基の限定するものではない例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどが挙げられる。
【0018】
「シクロアルキル」および「炭素環(の)」という用語は、置換されてもよい飽和または不飽和の単環式、二環式または三環式炭素基をいう。必要に応じて、シクロアルキル基は指定数の炭素原子を有してもよく、例えば、C3〜C6シクロアルキルは、3、4、5または6個の炭素原子を有する炭素環基である。限定するものではない例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニルなどを挙げることができる。
【0019】
「アリール」とは、少なくとも一つの環が芳香性である、各環中に7個までの原子を有するC6〜C14員の単環式、二環式または三環式炭素環系を意味する。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニルおよびビフェニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アリールは1〜3個のベンゼン環を含んでもよい。二つまたはそれ以上の芳香環が存在する場合には、それらの環は、隣接した環が共通の結合を共有するように一緒に縮合されてもよい。
【0020】
「複素環(の)」または「ヘテロシクリル」とは、環の中に3〜8個の原子を有し、かつそれらの原子のうち1〜4個がヘテロ原子である非芳香環をいい、該環は単独であり、または0〜4個のヘテロ原子を含んだ3員〜7員の脂環式環から選択される第二の環に縮合されており、該ヘテロ原子がO、NおよびSから独立して選択される。複素環は部分的におよび完全に飽和した複素環基を含む。複素環系は、任意の数の基炭素原子またはヘテロ原子を介して別の部分に付着されてもよく、飽和でも不飽和でもよく、これは全ての形態の糖質部分を含む。複素環の限定するものではない例としては、ピロリジニル、ピロリニル、ピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピラゾリニル、ジチオリル、オキサチオリル、ジオキサニル、ジオキシニル、オキサジニル、アゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、オキセピニルおよびチアピニル、イミダゾリニル、チオモルホリニルなどが挙げられる。
【0021】
本明細書において用いられる「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも一つの環が芳香性であり、かつ少なくとも一つの環が、硫黄、酸素および窒素から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、各環中7個の原子までの安定な単環式または二環式環を意味する。ヘテロアリールはオキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フリル、1-イソベンゾフラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、プリニル、フタラジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,3,4-オキサトリアゾリル、1,2,3,5-オキサトリアゾリル、1,3,5-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、チオナフテニル、イソチオナフテニル、インドレニニル、2-イソベンザゾリル、1,5-ピリンジニル、ピラノ[3,4-b]ピロリル、イソインダゾリル、インドキサジニル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、ピリド[3,4-b]ピリジニル、ピリド[3,2-b]ピリジニル、ピリド[4,3-b]ピリジニル、アクリジニル、カルバゾリル、キナオキサリニル、ピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、チオフェニル、イソキノリニル、ピリジニル、テトラヒドロキノリニル、ベンズアゼピニル、ベンゾジオキサニル、ベンズオキセピニル、ベンゾジアゼピニル、ベンゾチアゼピニルおよびベンゾチエピニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0022】
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル基は、Rが上記に定義される通りである-F、-Cl、-Br、-I、-CO2R、-CN、-OR、-SR、-N(R)2、-NO2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(=O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2から独立して選択される一つまたは複数の置換基で置換することができる。
【0023】
本明細書において用いられる「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)およびヨウ素(ヨード)をいう。
【0024】
本発明のさらに別の局面では、式(I)または式(II)の化合物の薬学的に、農学的にまたは殺虫的に許容される塩を提供する。
【0025】
本明細書において用いられる「薬学的に許容される塩」、「農学的に許容される塩」または「殺虫的に許容される塩」という用語は、全身投与または局所投与に向けて毒性学的に安全な、あるいは植物または農業環境、産業環境もしくは家庭環境への適用に適した塩をいう。薬学的に、農学的にまたは殺虫的に許容される塩は、アルカリおよびアルカリ土類、アンモニウム、アルミニウム、鉄、アミン、グルコサミン、クロライド、硫酸塩、スルホン酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、バイタレート(bitarate)、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ナプシル酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、テレフタル酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチン酸塩(pectinate)ならびにs-メチルメチオニン塩、ピペラジンなどを含む群から選択することができる。
【0026】
本発明の化合物は不斉中心を保有でき、したがって二つ以上の立体異性形態で存在できることも認識されると考えられる。すなわち、本発明は同様に、一つまたは複数の不斉中心で実質的に純粋な、例えば、約95%もしくは97% eeのまたは99% eeを超えるような、約90% eeを超える異性形態、およびそのラセミ混合物を含む、混合物での化合物に関する。そのような異性体は天然源からの単離により、不斉合成により、例えばキラル中間体を用いて、またはキラル分割により得ることができる。本発明の化合物は幾何異性体として存在することができる。本発明は同様に、実質的に純粋なシス(Z)もしくはトランス(E)形態またはその混合物での化合物に関する。
【0027】
本発明の化合物は、植物もしくは植物部分からの単離により、または単離化合物の誘導体化により、または関連化合物の誘導体化により得ることができる。
【0028】
本発明のなおさらに別の局面では式(I)または式(II)の一つまたは複数の化合物を単離する方法であり、植物または植物部分から該一つまたは複数の化合物を抽出する段階を含む方法を提供する。
【0029】
好ましくは、植物はクスノキ(Lauraceae)科のものである。
【0030】
好ましくは、属はリツェア(Litsea)、シナモマム(Cinnamomum)、クリプトカリヤ(Cryptocarya)、ベイルシュミージア(Beilschmiedia)、エンジアンドラ(Endiandra)、ネオリツェア(Neolitsea)およびリンデラ(Lindera)である。
【0031】
好ましくは、種はリツェア種(Litsea spp.)、例えばリツェアセビフェラ(Litsea sebifera)、リツェアポリアンサ(Litsea polyantha)、リツェアカッシアエフォリア(Litsea cassiaefolia)、リツェアエリプチカ(Litsea elliptica)、リツェアフェルギニア(Litsea ferruginea)、リツェアフィルマ(Litsea firma)、リツェアガルシエ(Litsea garciae)、リツェアオポシチフォリア(Litsea oppositifolia)、リツェアオーストラリス(Litsea australis)、リツェアベネッティー(Litsea bennettii)、リツェアビンドニアナ(Litsea bindoniana)、リツェアブレビウムベラータ(Litsea breviumbellata)、リツェアコノルシー(Litsea connorsii)、リツェアファウセッチアナ(Litsea fawcettiana)、リツェアグルチノサ(Litsea glutinosa)、リツェアグランチカ(Litsea granitica)、リツェアリーフェアナ(Litsea leefeana)、リツェアマクロフィラ(Litsea macrophylla)、リツェアレチキュラータ(Litsea reticulata)、とりわけリツェアブレビウムベラータ、リツェアコノルシーおよびリツェアリーフェアナ; シナモマム種(Cinnamomum spp.)、例えばシナモマムアキュミナチフォリウム(Cinnamomum acuminatifolium)、シナモマムアキュミナチッシマム(Cinnamomum acuminatissimum)、シナモマムアキュタタム(Cinnamomum acutatum)、シナモマムアフリカナム(Cinnamomum africanum)、シナモマムアグレガタム(Cinnamomum aggregatum)、シナモマムアライニー(Cinnamomum alainii)、シナモマムアラタム(Cinnamomum alatum)、シナモマムアルビフローラム(Cinnamomum albiflorum)、シナモマムアルシニー(Cinnamomum alcinii)、シナモマムアレクセイ(Cinnamomum alexei)、シナモマムアリベルティー(Cinnamomum alibertii)、シナモマムアルテルニフォリウム(Cinnamomum alternifolium)、シナモマムアルティッシマム(Cinnamomum altissimum)、シナモマムアマンニー(Cinnamomum ammannii)、シナモマムアモエナム(Cinnamomum amoenum)、シナモマムアンプレキシカウレ(Cinnamomum amplexicaule)、シナモマムアンプリフォリウム(Cinnamomum amplifolium)、シナモマムアナカルディウム(Cinnamomum anacardium)、シナモマムアンダーソニー(Cinnamomum andersonii)、シナモマムアンガスチフォリウム(Cinnamomum angustifolium)、シナモマムアンガスチテパラム(Cinnamomum angustitepalum)、シナモマムアンチララム(Cinnamomum antillarum)、シナモマムアペリアナム(Cinnamomum appelianum)、シナモマムアルバスキュラム(Cinnamomum arbusculum)、シナモマムアーチボルディアナム(Cinnamomum archboldianum)、シナモマムアレオラトコステ(Cinnamomum areolatocostae)、シナモマムアレオラータム(Cinnamomum areolatum)、シナモマムアレオラータム、シナモマムアルファケンセ(Cinnamomum arfakense)、シナモマムアルゲンテウム(Cinnamomum argenteum)、アロマチカムアロマチカム(Cinnamomum aromaticum)、シナモマムアルセネイ(Cinnamomum arsenei)、シナモマムアサ-グレイ(Cinnamomum asa-grayi)、シナモマムアッサミカム(Cinnamomum assamicum)、シナモマムアウブレティー(Cinnamomum aubletii)、シナモマムアウレオ-フルバム(Cinnamomum aureo-fulvum)、シナモマムオーストラレ(Cinnamomum australe)、シナモマムオーストロ-シネンセ(Cinnamomum austro-sinense)、シナモマムオーストロ-ユンナネンセ(Cinnamomum austro-yunnanense)、シナモマムバヒアナム(Cinnamomum bahianum)、シナモマムバヒエンセ(Cinnamomum bahiense)、シナモマムバイレヤナム(Cinnamomum baileyanum)、シナモマムバイロニー(Cinnamomum baillonii)、シナモマムバランセ(Cinnamomum balansae)、シナモマムバモエンセ(Cinnamomum bamoense)、シナモマムバルバート-アキシラタム(Cinnamomum barbato-axillatum)、シナモマムバルベヤナム(Cinnamomum barbeyanum)、シナモマムバルロウィー(Cinnamomum barlowii)、シナモマムバルテイフォリウム(Cinnamomum bartheifolium)、シナモマムバルティー(Cinnamomum barthii)、シナモマムバザニア(Cinnamomum bazania)、シナモマムベッカリー(Cinnamomum beccarii)、シナモマムベジョルゴタ(Cinnamomum bejolghota)、シナモマムベンガレンス(Cinnamomum bengalense)、シナモマムビアフラナム(Cinnamomum biafranum)、シナモマムビントゥレンセ(Cinnamomum bintulense)、シナモマムビルマニカム(Cinnamomum birmanicum)、シナモマムブルメイ(Cinnamomum blumei)、シナモマムボディニエリ(Cinnamomum bodinieri)、シナモマムボニー(Cinnamomum bonii)、シナモマムボンプランディ(Cinnamomum bonplandii)、シナモマムボーニエンセ(Cinnamomum borneense)、シナモマムバーゴービアナム(Cinnamomum bourgeauvianum)、シナモマムブートニー(Cinnamomum boutonii)、シナモマムブラチサイルサム(Cinnamomum brachythyrsum)、シナモマムブラクテフォリアセウム(Cinnamomum bractefoliaceum)、シナモマムブルマンニー(Cinnamomum burmannii)、シナモマムカンフォーラ(Cinnamomum camphora)、シナモマムカシア(Cinnamomum cassia) (同義語C.アロマティカム(C. aromaticum))、シナモマムカウディフェラム(Cinnamomum caudiferum)、シナモマムチャートフィラム(Cinnamomum chartophyllum)、シナモマムシトリオドラム(Cinnamomum citriodorum)、シナモマムコントラクタム(Cinnamomum contractum)、シナモマムフィリペス(Cinnamomum filipes)、シナモマムグランデュリフェラム(Cinnamomum glanduliferum)、シナモマムグロースセンス(Cinnamomum glaucescens)、シナモマムイリシオイデス(Cinnamomum ilicioides)、シナモマムインプレッシネルビウム(Cinnamomum impressinervium)、シナモマムイナース(Cinnamomum iners)、シナモマムジャポニカム(Cinnamomum japonicum)、シナモマムジャバニカム(Cinnamomum javanicum)、シナモマムジェンセニアナム(Cinnamomum jensenianum)、シナモマムコトエンセ(Cinnamomum kotoense)、シナモマムカントンジェンス(Cinnamomum kwangtungense)、シナモマムリアンギイー(Cinnamomum liangii)、シナモマムロンジパニキュラタム(Cinnamomum longepaniculatum)、シナモマムロンギペショラタム(Cinnamomum longipetiolatum)、シナモマムロウレイロイ(Cinnamomum loureiroi)、シナモマムマイレイ(Cinnamomum mairei)、シナモマムミクランサム(Cinnamomum micranthum)、シナモマムミガオ(Cinnamomum migao)、シナモマムモリフォリウム(Cinnamomum mollifolium)、シナモマムオリベリ(Cinnamomum oliveri)、シナモマムオスモフロエウム(Cinnamomum osmophloeum)、シナモマムパルテノキシロン(Cinnamomum parthenoxylon)、シナモマムパウシフロラム(Cinnamomum pauciflorum)、シナモマムフィリピネンセ(Cinnamomum philippinense)、シナモマムピングビエネンセ(Cinnamomum pingbienense)、シナモマムピットスポロイデス(Cinnamomum pittosporoides)、シナモマムプラチフィラム(Cinnamomum platyphyllum)、シナモマムポルフィリウム(Cinnamomum porphyrium)、シナモマムプロピンキューム(Cinnamomum propinquum)、シナモマムレチキュラタム(Cinnamomum reticulatum)、シナモマムリギディッシマム(Cinnamomum rigidissimum)、シナモマムサクサタイル(Cinnamomum saxatile)、シナモマムセプテントリオナーレ(Cinnamomum septentrionale)、シナモマムスバベニウム(Cinnamomum subavenium)、シナモマムタマラ(Cinnamomum tamala)、シナモマムテヌイピラム(Cinnamomum tenuipilum)、シナモマムトンキネンセ(Cinnamomum tonkinense)、シナモマムトリプリネルベ(Cinnamomum triplinerve)、シナモマムツァンギー(Cinnamomum tsangii)、シナモマムツォイ(Cinnamomum tsoi)、シナモマムバリディネルブ(Cinnamomum validinerve)、シナモマムウェルム(Cinnamomum verum)、シナモマムビレンス(Cinnamomum virens)、シナモマムウィルソニー(Cinnamomum wilsonii)およびシナモマムラウバティー(Cinnamomum laubatii)、とりわけシナモマムラウバティー(Cinnamomum laubatii)、シナモマムオリベリ(Cinnamomum oliveri)、シナモマムビレンスおよびシナモマムカンフォーラ; またはクリプトカリヤ種(Cryptocarya spp.)、例えばC.アルバ(C. alba)、C.アングラタ(C. angulata)、C.アリスタタ(C. aristata)、C.アシェルソニアナ(C. ashersoniana)、C.キネンシス(C. chinensis)、C.シナモミフォリア(C. cinnamomifolia)、C.コルガタ(C. corrugata)、C.クラッシネルビア(C. crassinervia)、C.カニンガミアナ(C. cunninghamiana)、C.デンシフローラ(C. densiflora)、C.フェレア(C. ferrea)、C.フォエチダ(C. foetida)、C.ギガントカルパ(C. gigantocarpa)、C.グロースセンス(C. glaucescens)、C.グランディス(C. grandis)、C.ヒポスポディア(C. hypospodia)、C.インバソリウム(C. invasorium)、C.ラエビガタ(C. laevigata)、C.レプトスペルモイデス(C. leptospermoides)、C.マッキンノニアナ(C. mackinnoniana)、C.マッソイア(C. massoia)、C.マイズネリ(C. meissneri)、C.メンブラナシー(C. membranaceae)、C.マルチパニキュラータ(C. multipaniculata)、C.ムライ(C. murrayi)、C.ニグラ(C. nigra)、C.ニテンス(C. nitens)、C.オブラタ(C. oblata)、C.オドラタ(C. odorata)、C.パラワネンシス(C. palawanensis)、C.プレウロスペルマ(C. pleurosperma)、C.プルリコスタタ(C. pluricostata)、C.リギダ(C. rigida)、C.スコルテキニー(C. scortechinii)、C.トランスベルサ(C. transversa)、C.トメントサ(C. tomentosa)、C.トリプリネルビス(C. triplinervis)、C.ブルガリス(C. vulgaris)、C.アングラタ(C. angulata)、C.バマガナ(C. bamagana)、C.ベレンデンケラナ(C. bellendenkerana)、C.ビドウィリー(C. bidwillii)、C.ブラッシー(C. brassii)、C.ブルキアナ(C. burckiana)、C.クラークソニアナ(C. clarksoniana)、C.クラウディアナ(C. claudiana)、C.ココソイデス(C. cocosoides)、C.クニンガミー(C. cunninghamii)、C.エンディアンドリフォリア(C. endiandrifolia)、C.エリソキシロン(C. erythoxylon)、C.エクソフォリアタ(C. exfoliata)、C.フロイディー(C. floydii)、C.フォベオラタ(C. foveolata)、C.グローコカルパ(C. glaucocarpa)、C.レウコフィラ(C. leucophylla)、C.リビデュラ(C. lividula)、C.マクドナルディー(C. macdonaldii)、C.メイスネリアナ(C. meisneriana)、C.メラノカルパ(C. melanocarpa)、C.マイクロニューラ(C. microneura)、C.オボバタ(C. obovata)、C.オノプリエンコアナ(C. onoprienkoana)、C.プチダ(C. putida)、C.ロードスペルマ(C. rhodosperma)、C.サッカラタ(C. saccharata)、C.スクレロフィラ(C. sclerophylla)、C.スマラグディナ(C. smaragdina)、C.種ブーンジー(C. sp Boonjee)、C.種ガドガッラ(C. sp Gadgarra)、C.トリプリネルビスバールリパリア(C. triplinervis var. riparia)、とりわけC.アングラタ、C.バマガナ、C.ベレンデンケラナ、C.ビドウィリー、C.ブラッシー、C.クラークソニアナ、C.ココソイデス、C.コルガタ、C.クニンガミー、C.エクソフォリアタ、C.グロースセンス、C.グランディス、C.ヒポスポディア、C.ラエビガタ、C.レウコフィラ、C.リビデュラ、C.マクドナルディー、C.マッキンノニアナ、C.メラノカルパ、C.マイクロニューラ、C.ムライ、C.オブラタ、C.オノプリエンコアナ、C.プレウロスペルマ、C.プチダ、C.ロードスペルマ、C.トリプリネルビスバールリパリア、C.ブルガリス; ベイルシュミージアバンクロフティー(Beilschmiedia bancroftii)、ベイルシュミージアブルンネア(Beilschmiedia brunnea)、ベイルシュミージアカストリシネンシス(Beilschmiedia castrisinensis)、ベイルシュミージアコリーナ(Beilschmiedia collina)、ベイルシュミージアエリプチカ(Beilschmiedia elliptica)、ベイルシュミージアオブツシフォリア(Beilschmiedia obtusifolia)、ベイルシュミージアオリガンドラ(Beillschmiedia oligandra)、ベイルシュミージアペニンスラリス(Beilschmiedia peninsularis)、ベイルシュミージアレカルバ(Beilschmiedia recurva)、ベイルシュミージアトーラム(Beilschmiedia tooram)、ベイルシュミージアボルキー(Beilschmiedia volckii)、とりわけベイルシュミージアバンクロフティー、ベイルシュミージアカ
ストリシネンシス、ベイルシュミージアペニンスラリス、ベイルシュミージアレカルバ、ベイルシュミージアトーラム、ベイルシュミージアボルキー; エンジアンドラアクミナタ(Endiandra acuminata)、エンジアンドラアンスロポファゴラム(Endiandra anthropophagorum)、エンジアンドラベレンデンケラナ(Endiandra bellendenkerana)、エンジアンドラベッサフィラ(Endiandra bessaphila)、エンジアンドラコリンシー(Endiandra collinsii)、エンジアンドラコンプレッサ(Endiandra compressa)、エンジアンドラクーペラナ(Endiandra cooperana)、エンジアンドラコウレヤナ(Endiandra cowleyana)、エンジアンドラクラッシフロラ(Endiandra crassiflora)、エンジアンドラジクロフィラ(Endiandra dichrophylla)、エンジアンドラディエルシアナ(Endiandra dielsiana)、エンジアンドラディスコロール(Endiandra discolor)、エンジアンドラフロイディー(Endiandra floydii)、エンジアンドラグラウカ(Endiandra glauca)、エンジアンドラグロボーサ(Endiandra globosa)、エンジアンドラグライ(Endiandra grayi)、エンジアンドラハイエシー(Endiandra hayesii)、エンジアンドラヒポテフラ(Endiandra hypotephra)、エンジアンドラインプレッシコスタ(Endiandra impressicosta)、エンジアンドラインシグニス(Endiandra insignis)、エンジアンドライントロルサ(Endiandra introrsa)、エンジアンドラジョネシー(Endiandra jonesii)、エンジアンドラレプトデンドロン(Endiandra leptodendron)、エンジアンドラリムノフィラ(Endiandra limnophila)、エンジアンドラロンギペディセラータ(Endiandra longipedicellata)、エンジアンドラマイクロニューラ(Endiandra microneura)、エンジアンドラモノチラ種モノチラ(Endiandra monothyra subsp monothyra)、エンジアンドラモノチラ種トリコフィラ(Endiandra monothyra subsp trichophylla)、エンジアンドラモンタナ(Endiandra montana)、エンジアンドラムエレリ(Endiandra muelleri)、エンジアンドラパルメルストニー(Endiandra palmerstonii)、エンジアンドラフェオカルパ(Endiandra phaeocarpa)、エンジアンドラサンケイヤナ(Endiandra sankeyana)、エンジアンドラシデロキシロン(Endiandra sideroxylon)、エンジアンドラシエベリ(Endiandra sieberi)、エンジアンドラビレンス(Endiandra virens)、エンジアンドラウォルフェイ(Endiandra wolfei)、エンジアンドラキサントカルパ(Endiandra xanthocarpa)、とりわけエンジアンドラベッサフィラ、エンジアンドラコンプレッサ、エンジアンドラグロボーサ、エンジアンドラインシグニス、エンジアンドラジョネシー、エンジアンドラマイクロニューラ、エンジアンドラモノチラ種モノチラ、エンジアンドラモンタナ、エンジアンドラパルメルストニー、エンジアンドラサンケイヤナ; ネオリツェアオーストラリエンシス(Neolitsea australiensis)、ネオリツェアブラッシー(Neolitsea brassii)、ネオリツェアデアルバタ(Neolitsea dealbata)、とりわけネオリツェアデアルバタ; ならびにリンデラクイーンスランジカ(Lindera queenslandica)である。
【0032】
植物の部分は果実、種子、樹皮、葉、花、根および木を含むことができる。
【0033】
好ましくは、抽出物は種子、外果皮または中果皮から得られる。
【0034】
例えば、植物の種子、葉および樹皮から得られたバイオマスを、例えばメタノールのような極性溶媒での、初回の溶媒抽出に供する。その後、最初の抽出物を濃縮し、水で希釈し、第二の溶媒、例えば、酢酸エチルでの抽出に供する。二回目の抽出からの溶媒試料をプールし、分取HPLC分画による分離に供する。この画分を分析的HPLCにより分析し、試料中に見出された化合物の保持時間に準じてプールする。プールされた画分を秤量し、バイオアッセイし、分析的HPLCにより分析する。一回または複数回の分取HPLCによるさらなる分画を行って、特定の化合物を単離する。各化合物をバイオアッセイし、その構造をUV、NMRおよび質量分析技術によって同定する。
【0035】
本発明の他の化合物は植物または植物の部分から、とりわけリツェア属、シナモマム属およびクリプトカリヤ属から単離された化合物を誘導体化することにより得ることができる。
【0036】
天然化合物の誘導体は当技術分野において公知の技術により得ることができる。例えば、ヒドロキシ基はクロム酸、ジョーンズ(Jones)試薬、KMnO4のような酸化剤、mCPBA (メタクロロ過安息香酸)のような過酸またはジメチルジオキシラン(DMDO)およびメチル(トリフルオロメチル)ジオキシラン(TFDO)のようなジオキシランへの曝露によってケトン、アルデヒドまたはカルボン酸に酸化することができる。酸化剤は、分子内の他の官能基が酸化されるようにまたは酸化されないように選択することができる。例えば、第一級アルコールは、RuCl2(PPh3)3-ベンゼンのような試薬を用い第二級アルコールの存在下においてアルデヒドまたはカルボン酸に選択的に酸化することができる。第二級アルコールは、Cl2-ピリジンまたはNaBrO3-硝酸セリウムアンモニウムを用い第一級アルコールの存在下においてケトンに選択的に酸化することができる。アルコールは、二重および三重結合の存在下においてならびにジョーンズ試薬を用い隣接する立体中心の位置でエピマー化なしに酸化することができる。あるいは、選択される試薬は選択性が低く、結果的に二つ以上の官能基での酸化をもたらすことがことができる。
【0037】
ヒドロキシ基は、エーテル化またはアシル化によって誘導体化することもできる。例えば、エーテルは、塩基の存在下でのアルコキシドイオンの形成および適切なハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アルキニルまたはハロゲン化アリールとのアルコキシドの反応により調製することができる。同様に、アシル化は、アルコキシドイオンの形成および適切なカルボン酸または活性化カルボン酸(無水物のような)との反応により達成することができる。
【0038】
アシル基は当技術分野において公知のように、酸または塩基加水分解によってアルコールをもたらすように加水分解することができる。
【0039】
シリル基は温和な塩基およびシリルクロライド試薬、例えばTHF中のMe3SiClおよびトリエチルアミン、またはTHF中のMeSiNHCO2SiMe3のような作用物質を用いてシリルエーテルをもたらすようにヒドロキシ基に導入することができる。
【0040】
スルホネートは適当なスルホネート基との反応によりヒドロキシ基に容易に導入することができる。例えば、メタンスルホネートはジクロロメタン中MsClおよびトリエチルアミンでのヒドロキシ基の処理により導入することができる。トシレート基はTsClおよびピリジンとのヒドロキシ基の反応により導入することができる。アリルスルホネートはジクロロメタン中アリルスルホニルクロライドおよびピリジンとのヒドロキシ基の反応により導入することができる。
【0041】
ケトンはα-不飽和ケトンを含めて、二重結合を還元せずに水素化アルミニウムリチウムおよび他の金属水素化物のような還元剤によって第二級アルコールに還元することができる。
【0042】
二重結合および三重結合は触媒的還元、例えば、H2/Pdを用いて単結合に還元することができる。二重結合は過酸、例えばmCPBAのような酸化剤またはDMDOおよびTFDOのような、ジオキシランを用いてエポキシドに酸化することもできる。二重結合を付加反応に供して、ハロ基、ヒドロキシまたはアルコキシ基およびアミンのような置換基を導入することもできる。
【0043】
当業者なら、例えば、合成方法論に関するテキストを参照することで、単離化合物の誘導体を得るのに適した条件を判定することができるものと思われ、そのテキストの例はSmith M.B. and March J., March's Advanced Organic Chemistry, Fifth Edition, John Wiley & Sons Inc., 2001およびLarock R.C., Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers Ltd., 1989である。さらに、官能基の選択的操作には他の官能基の保護が必要になることがある。望ましくない副反応を阻止するのに適した保護基は、Green and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons Inc., 3rd Edition, 1999に示されている。
【0044】
本発明の化合物は市販の出発材料から合成することもできる。EBI-23を合成するための三つの合成経路を以下に示す。

【0045】
合成法1:
EBI-23 (1)への第一のアプローチは二つの部分、つまりラクトン(2)およびチオール(3)の収束合成に基づいた。

【0046】
チオール3は以下のプロトコルにより9段階で不斉的に調製した(スキーム1)。エポキシド4を ヤコブセン(Jacobsen)の触媒(R,R)によりR-立体異性体5に分割した。エポキシド5をヨウ化銅(I)の存在下においてビニル臭化マグネシウムで開環し、得られたアルコールをTBSエーテル(6)として保護した。TBSエーテル6を、メタ-クロロ過安息香酸(mCPBA)により、その後ヤコブセンの触媒(S,S)での速度論的分割によりエポキシド7に転換した。エポキシド7を同じ手順に供してエポキシド8を得、これをジチアン9と反応させてジチアン3を得た。

【0047】
あるいは、8を以下のスキーム1.1により調製することができる。

【0048】
EBI-23の右側部分、すなわちラクトン2はピロン13から得られ、これは文献(例えば、Harris et al., Strategies and Tactics in Organic Synthesis, 2004, 5, 221およびO'Doherty et al., Organic Letters 2000, 2, 2983-2986, Tetrahedron Letters 2000, 41, 183-187)にしたがって構築される。ジオール10をモノTBS保護し(すなわち11)、次いで環拡大し(NBS/H2O)、ラクトール12を得る。ジョーンズ酸化に続き立体選択的なルーシェ(Luche)還元により13を生成し、これをTBS保護および第一級TBSエーテルの選択的な脱保護の後、二つの異なるプロトコルによって臭化物(ラクトン) 2に変換することができる。第一のプロトコルではアルコール(13)をメシレート14に転換し、これは臭化リチウムとのFinkelstein (フィンケルステイン)反応を受けて2を与える。第二の手順では、テトラブロモメタンおよびトリフェニルホスフィンを用いてアルコール13を2に直接的に転換する(スキーム2)。

【0049】
両部分、すなわち2および3を、ジチアン3のブチルリチウム脱プロトン化およびこの陰イオンの臭化物2への付加によってカップリングする(15)。得られたジチアンを水銀塩により脱保護してケトン16を得、これはTBS脱保護および引き続き酸触媒による閉環を受けてEBI-23を与える(スキーム3)。

【0050】
合成法2:
経路2 (スキーム4)はグラブス(Grubb's )閉環メタセシス(RCM)戦略に基づく。トリオール3の公知のエポキシド17との反応に引き続きアシル化(塩化アクロリル)およびRCMによってラクトン15にいち早く到達するはずであり、これは水銀塩および引き続き酸触媒での処理によってEBI-23を与える。

【0051】
合成法3:
経路3 (スキーム5)ではエポキシド8がナトリウムアセチリドその後TBS保護により、アセチレン18に転換されるという点において、アセチレン化学反応を利用する。18のブチルリチウムでの処理および2-フルフラールとの反応によって、フラン19を得る。フラン19は環拡大、ジョーンズ酸化、ルーシェ還元およびTBS保護を受けて20を与え、これは酸への曝露によってEBI-23をあらわにする。残念ながら、このアプローチでは一つの位置での立体制御に欠ける。

【0052】
さまざまに置換された出発材料の使用によって、スピロケタール生成物に置換がもたらされると考えられる。
【0053】
本発明のさらなる局面では、式(I)もしくは式(II)の一つもしくは複数の化合物、または薬学的に許容されるその塩の有効量、ならびに薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤を含む、疾患または状態の処置または予防のための薬学的組成物を提供する。
【0054】
薬学的用途および組成物のための剤形および速度は、当業者によって容易に判定可能である。
【0055】
剤形は錠剤、分散液、懸濁液、注射液、溶液、シロップ、トローチ、カプセル、座薬、エアロゾル、経皮パッチなどを含む。これらの剤形は同様に、薬学的組成物の制御放出のため、特に設計された、または改良された注射用または移植用装置を含むことができる。治療剤の制御放出は、例えば、アクリル樹脂、ワックス、高級脂肪族アルコール、ポリ乳酸およびポリグリコール酸を含む疎水性ポリマーならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなある種のセルロース誘導体で治療剤を被覆することにより達成することができる。さらに、制御放出は、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアの使用によって影響されることがある。
【0056】
薬学的に許容される担体および全身投与用に許容される担体を、本発明の組成物に組み入れることもできる。
【0057】
薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤または許容される賦形剤を含むことが適切である。「薬学的に許容される賦形剤」とは、全身投与において安全に使用できる固体もしくは液体の増量剤、希釈剤または封入物質を意味する。特定の投与経路に応じ、当技術分野において周知のさまざまな担体を使用することができる。これらの担体または賦形剤は、糖、デンプン、セルロースおよびその誘導体、麦芽、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝溶液、乳化剤、生理食塩水、等張生理食塩水、ならびに発熱物質を含まない水を含む群から選択することができる。
【0058】
本発明の薬学的組成物をヒトまたはヒト以外に供与するために、任意の適当な投与経路を利用することができる。例えば、経口、直腸、非経口、舌下、口腔、静脈内、関節内、筋肉内、皮内、皮下、吸入、眼内、腹腔内、脳室内、経皮などの経路を利用することができる。
【0059】
投与に適した本発明の薬学的組成物は、各々が本発明の一つまたは複数の薬学的に活性な化合物の所定量を、粉末もしくは顆粒としてまたは水性液体、非水性液体、水中油乳濁液もしくは油中水乳濁液の溶液もしくは懸濁液として含有する、バイアル、カプセル、サシェまたは錠剤のような個別の単位で提示することができる。このような組成物は製薬の方法のいずれかによって調製することができるが、全ての方法が本発明の一つまたは複数の薬学的に活性な化合物を、一つまたは複数の必要な成分を構成する担体と結び付ける段階を含む。一般的に、該組成物は、本発明の薬剤を液体担体もしくは細分された固体担体またはその両方と均質かつ十分に混合し、その後、必要に応じて、生成物を所望の体裁に成形することにより調製される。
【0060】
粉末において、担体は、細分された活性要素との混合物の中に存在する細分された固体である。
【0061】
錠剤において、活性要素は、必要な結合能を有する担体と適当な割合で混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。
【0062】
粉末および錠剤は、5または10〜約70%の活性化合物を含有することが好ましい。適当な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。「調製物」という用語は、カプセルをもたらす担体としての封入材料との活性化合物の配合物であって、カプセル中で活性要素が、他の担体有りまたは無しで、担体によって取り囲まれており、したがって該活性要素が該担体と結び付いているものを含むことが意図される。同様に、カシェ剤および薬用ドロップも含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸剤、カシェ剤および薬用ドロップは、経口投与に適した固体形態として使用することができる。
【0063】
座薬を調製する場合には、脂肪酸グリセリドの混合物またはカカオバターのような、低融点ワックスを最初に溶かし、この中に活性要素を撹拌により、均質に分散させる。次いで、溶融均質混合物を好都合なサイズの型に流し込み、冷却させ、それによって固化させる。
【0064】
膣投与に適した配合物は、活性成分に加え当技術分野において適切であることが公知の担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレイとして与えることができる。
【0065】
液体形態の調製物は、溶液、懸濁液、および乳濁液、例えば、水溶液または水性プロピレングリコール溶液を含む。例えば、非経口の注射液体調製物はポリエチレングリコール水溶液中の溶液として配合することができる。
【0066】
本発明による化合物はこのように、非経口投与(例えば注射、例えばボーラス注射または連続注入による)のために配合されてもよく、アンプル、充填済み注射器、少容量注入物中の単位用量形態でまたは防腐剤を加えた多用量容器中で与えられてもよい。この組成物は油性または水性媒体中の懸濁液、溶液または乳濁液のような形態をとってもよく、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散化剤のような配合剤を含有してもよい。あるいは、活性成分は使用の前、適当な媒体、例えば無菌の発熱物質を含まない水を用いた構成の目的で、無菌固体の無菌単離によりまたは溶液からの凍結乾燥により得られた、粉末形態であってもよい。
【0067】
経口で用いるのに適した水溶液は、活性要素を水に溶解し、必要に応じて、適当な着色料、香料、安定化剤および増粘化剤を添加することにより調製することができる。
【0068】
経口で用いるのに適した水性懸濁液は、細分された活性要素を天然もしくは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはその他周知の懸濁化剤のような、粘着性物質を用いて水中に分散させることにより作製することができる。
【0069】
同様に、使用の直前に、経口投与用の液体形態の調製物に転換されることを目的とする固体形態の調製物も含まれる。そのような液体形態は溶液、懸濁液、および乳濁液を含む。これらの調製物は活性要素に加えて、着色料、香料、安定剤、緩衝剤、人工および天然の甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含んでもよい。
【0070】
表皮への局所投与の場合、本発明による化合物は軟膏、クリームもしくはローションとして、または経皮パッチとして配合されてもよい。軟膏およびクリームは、例えば、適当な増粘化剤および/またはゲル化剤の添加とともに水性または油性基剤を用いて配合されてもよい。ローションは水性または油性基剤を用いて配合されてもよく、概して、一つまたは複数の乳化剤、安定化剤、分散化剤、懸濁化剤、増粘化剤、または着色剤も含むと考えられる。
【0071】
口内での局所投与に適した配合物としては、香料基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントの中に活性剤を含む薬用ドロップ; ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアのような不活性基剤の中に活性成分を含む香剤; ならびに適当な液体担体の中に活性成分を含むうがい薬が挙げられる。
【0072】
溶液または懸濁液は従来の手段により、例えば点滴器、ピペットまたはスプレイを用いて鼻腔内に直接的に適用される。この配合物は単一または多用量形態で供与されてもよい。点滴器またはピペットの後者の場合、これは患者が適切な所定量の溶液または懸濁液を投与することで達成されることができる。スプレイの場合、これは例えば計量噴霧スプレイポンプにより達成されることができる。経鼻での送達および保持を改善するため、本発明による化合物はシクロデキストリンを用いて封入されてもよく、または鼻粘膜での送達および保持を促進することが予想されるそれらの作用物質とともに配合されてもよい。
【0073】
気道への投与を、活性成分がクロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、もしくはジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはその他の適当なガスなどの適当な高圧ガスの入った加圧パック中で供与されるエアロゾル配合物によって達成することもできる。エアロゾルは同様に、レシチンのような界面活性剤を含有することが好都合な場合がある。薬物の用量は計量バルブの供与によって制御されてもよい。
【0074】
あるいは、活性成分は、乾燥粉末、例えばラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体およびポリビニルピロリドン(PVP)のような適当な粉末基剤中の化合物の粉末混合物の形態で供与されてもよい。
【0075】
好都合には、粉末担体は鼻腔中でゲルを形成するであろう。粉末組成物は、単位用量形態で、例えば、ゼラチンのカプセルもしくはカートリッジで、または粉末を吸入器によって投与できるブリスターパックで与えられてもよい。
【0076】
鼻腔内配合物を含めて、気道への投与を目的とする配合物では、化合物は一般に、例えば、1〜10ミクロンまたはそれ以下の桁の小さな粒径を有するであろう。そのような粒径は当技術分野において公知の手段により、例えば微細化により得ることができる。
【0077】
本発明の活性化合物および本発明の組成物の活性化合物は、細菌感染症、原虫感染症、寄生虫感染症、細胞増殖性障害、炎症性障害または害虫侵入からなる群より選択される一つまたは複数の疾患または状態を予防する、阻害するかまたは改善するのに十分な量で存在する。当業者は本発明の化合物およびそれを含有する薬学的組成物の適当な投薬量を容易に判定することができる。
【0078】
本発明のさらなる局面において、本発明による一つもしくは複数の化合物、または薬学的に許容されるその塩の有効量をそのような処置の必要がある被験体に投与する段階を含む、疾患または状態を処置するかまたは予防する方法が提供される。
【0079】
本発明のさらに別の局面において、疾患または状態の処置または予防のための医用薬剤の製造での、本発明による一つもしくは複数の化合物、または薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
【0080】
限定するものではない態様において、本発明の化合物は、抗寄生虫活性(例えば内部寄生虫および/もしくは外部寄生虫、例えば捻転胃虫(Haemonchus contortus)に対する)、抗生物質活性(例えば枯草菌(Bacillus subtilis)に対する)、抗原虫活性(例えばジアルジア(Giardia sp.)種ポートランド(Portland)に対する)、細胞毒性活性(例えば基底細胞がんおよび/もしくは扁平上皮細胞がんおよび/もしくは黒色腫および/もしくは線維肉腫および/もしくはマウス骨髄腫に対する)、ならびに/または抗腫瘍活性(例えば白血病、黒色腫、前立腺がん、乳がん、卵巣がんおよび/もしくは他の固形腫瘍がんに対する)、抗炎症活性もしくは免疫抑制活性ならびに/または殺虫活性から選択される一つまたは複数の活性を有する。
【0081】
本発明の一つの局面において、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与する段階を含む、細菌感染症を処置するかまたは予防する方法が提供される。
【0082】
好ましい態様において、式(I)および式(II)の化合物は、EBI-23、EBI-24およびEBI-25の一つである。
【0083】
細菌感染症は、グラム陽性菌またはグラム陰性菌、とりわけバチルス(Bacillus)属(例えば枯草菌(B. subtilis)、炭疽菌(B. anthracis)、セレウス菌(B. cereus)、B.ファルミス菌(B. firmis)、リケニホルミス菌(B. licheniformis)、メガテリウム菌(B. megaterium)、B.プミラス菌(B. pumilus)、B.コアグランス菌(B. coagulans)、B.パントテンチカス菌(B. pantothenticus)、B.アルベイ菌(B. alvei)、ブレビス菌(B. brevis)、B.サーキュランス菌(B. circulans)、B.ラテロスポラス菌(B. laterosporus)、B.マセランス菌(B. macerans)、B.ポリミクサ菌(B. polymyxa)、ステアロサーモフィラス菌(stearothermophilus)、B.チューリンジェンシス菌(B. thuringiensis)、スフェリカス菌(sphaericus))、スタフィロコッカス属(Staphylococcus) (例えば黄色ブドウ球菌(S. aureus)、S.エピデルミディス菌(S. epidermidis)、S.ヘモリチカス菌(S. haemolyticus)、腐生ブドウ球菌(S. saprophyticus))、ストレプトコッカス属(Streptococcus) (例えば化膿連鎖球菌(S. pyogenes)、肺炎双球菌(S. pneumoniae)、連鎖球菌(S. agalactiae)、化膿連鎖球菌(S. pyogenes)、連鎖球菌(S. agalactiae)、S.ディスガラクティエ菌(S. dysgalactiae)、S.エクイシミリス菌(S. equisimilis)、S.エクイ菌(S. equi)、S.ズーエピデミカス菌(S. zooepidemicus)、S.アンギノサス菌(S. anginosus)、S.サリバリウス菌(S. salivarius)、S.ミレリ菌(S. milleri)、S.サングイス菌(S. sanguis)、口腔連鎖球菌(S. mitior)、S.ミュータンス菌(S. mutans)、S.フェカリス菌(S. faecalis)、S.フェシウム菌(S. faecium)、S.ボビス菌(S. bovis)、S.エクイナス菌(S. equinus)、S.ウベラス菌(S. uberus)、S.アビウム菌(S. avium))、エロコッカス属(Aerococcus)、双子菌属(Gemella)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、リステリア属(Listeria)、クルシア属(Kurthia)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、エリジペロスリックス属(Erysipelothrix)、アラクニア属(Arachnia)、アクチノミセス属(Actinomyces)、プロピオン酸菌属(Propionibacterium)、ロチア属(Rothia)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、ノカルジア属(Nocardia)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)の細菌を含むグラム陽性菌によって引き起こされうる。
【0084】
本発明の別の局面において、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与する段階を含む、寄生虫感染症を処置するかまたは予防する方法が提供される。
【0085】
好ましい態様において、寄生虫は、ヘルミンス(蠕虫)、とりわけ線虫、吸虫および条虫、とりわけ捻転胃虫(Haemonchus contortus)、旋毛虫(Trichinella spiralis)、消化管線虫(H. placei)、松材線虫(Bursaphelenchus xylophilus)、オステルタギアサーカムシンクタ(Ostertagia circumcincta)、O.オステルタギ(O. ostertagi)、牛捻転胃虫(Mecistocirrus digitatus)、トリコストロンギラスアクセイ(Trychostrongylus axei)、鞭虫(Trichuris trichiura)、イヌ鞭虫(T. vulpis)、ネコ鞭虫(T. campanula)、ブタ鞭虫(T. suis)、ヒツジ鞭虫(T. ovis)、ブノストマムトリゴノセファラム(Bunostomum trigonocephalum)、B.フレボヨマム(B. phleboyomum)、オエソファゴストマムコロンビアナム(Oesophagostomum columbianum)、O.ラディアタム(O. radiatum)、クーペリアカーチセイ(Cooperia curticei)、C.パンクタタ(C. punctata)、C.オンコフォラ(C. oncophora)、C.ペクチナタ(C. pectinata)、乳頭糞線虫(Strongyloides papillosus)、チャベルチアオビナ(Chabertia ovina)、ズビニ鉤虫(Ancylostoma duodenale)、ブラジル鉤虫(A. braziliense)、ネコ鉤虫(A. tubaeforme)、イヌ鉤虫(A. caninum)、回虫(Ascaris lumbricoides)、蟯虫(Enterobius vermicularis)、グレゴリー蟯虫(E. gregorii)、回虫(Ascaris lumbricoides)、ウェステルマン肺吸虫(Paragonimus Westermani)、肝吸虫(Clonorchis sinensis)、アメリカ産肝蛭(Fasciola hepatica)、有鉤条虫(Taenia solium)、無鉤条虫(T. saginata)、肺毛頭虫(Capillaria aerophila)、アメリカ鉤虫(Necator americanus)、トリカリス属(Trichuris)、ベイリスアスカリス属(Baylisascaris)、アフェレンコイデス属(Aphelenchoides)、メリオドギン属(Meliodogyne)、ヘテロデラ属(Heterodera)、グロボデラ属(Globodera)、ナコブス属(Nacobbus)、プラチレンカス属(Pratylenchus)、ジチレンカス属(Ditylenchus)、キシフィネマ属(Xiphinema)、ロンギドラス属(Longidorus)、トリコドラス属(Trichodorus)、ネマトディルス属(Nematodirus)の種である。
【0086】
この態様において、好ましい化合物はEBI-23およびEBI-24を含む。
【0087】
本発明のさらに別の局面において、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与する段階を含む、細胞増殖性障害を処置するかまたは予防する方法が提供される。
【0088】
好ましい態様において、細胞増殖性障害は、とりわけ白血病、黒色腫、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、基底細胞がん、扁平上皮細胞がん、線維肉腫、結腸がん、肺がん、新生物および他の固形腫瘍がんから選択されるがんである。
【0089】
この態様において、好ましい化合物はEBI-23、EBI-24、EBI-25およびEBI-42を含む。
【0090】
本発明はさらに、腫瘍などの細胞増殖性障害の処置において有用である他の作用物質または手順に被験体を供することとの本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩の投与のような、治療法の併用を企図する。例えば、本発明の化合物は他の化学療法薬との併用で、または放射線療法などの他の処置との併用で投与することができる。適当な化学療法薬はシクロホスファミド、ドキソルビシン、エトポシドリン酸、パクリタキセル、トポテカン、カンプトセシン、5-フルオロウラシル、タモキシフェン、スタウロスポリン、アバスチン、エルビタックス、イマチニブおよびビンクリスチンを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物は化学療法薬と同時に、別々にまたは連続的に投与することができる。
【0091】
本発明のさらに別の態様において、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与する段階を含む、原虫感染症を処置するかまたは予防する方法が提供される。
【0092】
好ましい態様において、原虫感染症はジアルジア種(Giardia spp.)感染症、トリコモナス種(Trichomonas spp.)感染症、アフリカトリパノソーマ症(African trypanosomiasis)、アメーバ赤痢、バベシア症、バランチジウム腸炎、シャーガス病(Chaga's disease)、コクシジウム症、マラリアおよびトキソプラズマ症、とりわけジアルジア種感染症およびトリコモナス種感染症から選択される。
【0093】
この態様において、好ましい化合物はEBI-23、EBI-24およびEBI-25を含む。
【0094】
本発明のさらに別の局面において、細菌感染症、寄生虫感染症、原虫感染症または細胞増殖性障害を処置するかまたは予防するための医用薬剤の製造での本発明の化合物の使用が提供される。
【0095】
本発明のさらに別の局面において、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与する段階を含む、炎症性障害を処置するかまたは予防する方法が提供される。
【0096】
好ましい態様において、炎症性障害は一般的な炎症、関節リウマチ、結腸炎、または自己免疫障害などの、免疫系の機能低下と関連する障害である。好ましい態様において、本発明の化合物は免疫調節、とりわけ免疫抑制の能力がある。本発明の化合物は臓器移植における免疫抑制剤としても有用である。
【0097】
理論により束縛されることを望むわけではないが、反応性タンパク質チオールによる求核置換反応に感受性の高い、α-β不飽和ケトン部分がタグリエノン(taglienone)化合物に存在することは、反応性構造および潜在的にエタクリン酸の薬理学的活性に相応する。後者の化合物はグルタチオン転移酵素および他のチオール感受性タンパク質を阻害し、チオール含量の枯渇によって電離放射線のような抗がん剤を増強し、利尿薬として臨床的に使用される。エタクリン酸は同様に、マクロファージからの前炎症性メディエータIL-6、IL-10、酸化窒素およびHMGB1の分泌の阻害を含めて、前炎症性NF-κBシグナル伝達経路を阻害する(Killeen et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 2006, 316:1070-9)。
【0098】
本発明の化合物は好ましい構造的部類である。何故なら疎水性尾部の構造における多くの変化がタンパク質結合部位の微小環境に応じて、さまざまな生物活性の可能性を与えうるからである。例えば、エタクリン酸は、細胞停止を達成するのにEBI-23よりも10倍高い濃度を必要とし、腫瘍細胞に対する選択性を示さなかった。
【0099】
本発明のさらに別の局面において、本発明による化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与する段階を含む、利尿の方法が提供される。
【0100】
利尿薬の製造における本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【0101】
本明細書において用いられる「被験体」という用語は、ヒト、霊長類、家畜動物(例えば、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ロバ)、臨床試験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ)、鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、オウム、コカトゥー、ハト、フィンチ、猛禽類、走鳥類、ウズラ、カナリア)、捕獲野生動物(例えば、キツネ、カンガルー、シカ)ならびに爬虫類(例えば、トカゲおよびヘビ)を含む。好ましくは、被験体はヒト、伴侶動物、家畜動物または臨床試験動物である。さらにより好ましくは、被験体はヒト、伴侶動物または家畜動物である。
【0102】
「有効量」とは、所望の反応を得るのに、あるいは処置される特定状態の発症を遅延するのにまたは処置される特定状態の進行を阻害するのにまたは処置される特定状態の発症もしくは進行を完全に停止するのに少なくとも部分的に必要な量を意味する。この量は、処置される個体の健康および身体状態、処置される個体の分類群、望まれる保護の程度、組成物の配合、医学的状況の評価、ならびに他の関連要因に応じて異なる。この量は、通常の試行錯誤を通じて判定できる比較的広い範囲の中に入るものと予想される。例えば、ヒト患者に関して有効量は、およそ1投薬量につき体重1 kg当たり0.1 ng〜体重1 kg当たり1 gの範囲内にありうる。投薬量は好ましくは、1投薬量につき体重1 kg当たり1 μg〜1 gの範囲内であり、例えば、1投薬量につき体重1 kg当たり1 mg〜1 gの範囲内である。一つの態様において、投薬量は1投薬量につき体重1 kg当たり1 mg〜500 mgの範囲内である。別の態様において、投薬量は1投薬量につき体重1 kg当たり1 mg〜250 mgの範囲内である。さらに別の態様において、投薬量は1投薬量につき体重1 kg当たり1 mg〜100 mgの範囲内であり、例えば、1投薬量につき体重1 kg当たり50 mgまでである。さらに別の態様において、投薬量は1投薬量につき体重1 kg当たり1 μg〜1 mgの範囲内である。用法用量は最適な治療反応をもたらすように調整することができる。例えば、数回の分割用量を毎日、毎週、毎月もしくは他の適当な時間間隔で投与してもよく、または状況の危急性によって示されるように用量を比例的に減らしてもよい。
【0103】
本明細書における「処置」および「予防」への言及は、その最も広い意味合いで考慮されるべきである。「処置」という用語は、必ずしも被験体が完全回復まで処置されることを意味するものではない。同様に「予防」は、必ずしも被験体が最終的に疾患状態にかからないことを意味するものではない。したがって、処置および予防は特定状態の症状の改善、または特定状態を発症する危険性を阻止するかもしくは別の方法で低減することを含む。「予防」という用語は、特定状態の重篤性または発症の低減と考えることができる。「処置」は既存の状態の重篤性を低減することもできる。
【0104】
本発明の別の局面において、本発明の化合物は殺虫剤として用いるのに適している。本発明はそれゆえ、本発明の化合物、または薬学的に、農学的にもしくは殺虫的に許容されるその塩およびは薬学的に、農学的にもしくは殺虫的に許容される担体を含む殺虫性組成物をさらに提供する。
【0105】
殺虫性組成物は乳化性の濃縮物、流動性の、湿潤性の粉末、可溶性の粉末、溶液、エアロゾル、ダスト、顆粒またはベイトの形態であってよい。殺虫性組成物の配合における当業者は、そのような配合物を調製することができると考えられる。
【0106】
殺虫性組成物に適した担体は、油、とりわけ石油、乳化剤、溶媒、例えば水もしくは炭化水素、界面活性剤、エアロゾルスプレイ要素、例えばCFC、タルクまたはクレイを含むが、これらに限定されるものではない。
【0107】
本発明のさらに別の局面において、本発明の化合物、または薬学的に、農学的にもしくは殺虫的に許容されるその塩の有効量を被験体および/または農業環境もしくは害虫が蔓延しているる他の環境に適用する段階を含む、害虫を制御する方法が提供される。
【0108】
害虫は好ましくは、昆虫、とりわけハエ、甲虫、バッタ、イナゴ、チョウおよび蛾ならびにそれらの幼虫または若虫、とりわけハエ(双翅目(Diptera))、例えば真性ハエ(true flies)、ノミ、シラミ、ダニ、蚊、ブヨおよび小昆虫である。
【0109】
いくつかの態様において、害虫は植物にはびこる。このような害虫の例としては、アシルソシフォンコンドイ(Acyrthosiphon kondoi) (コンドウヒゲナガアブラムシ)、アシルソシフォンピスム(Acyrthosiphon pisum) (エンドウヒゲナガアブラムシ)、アグロティス種(Agrotis spp.) (ヨトウムシ)、アグリプナスバリアビリス(Agrypnus variabilis) (オキナワカンシャクシコメツキ)、アノプログナサス種(Anoplognathus spp.) (クリスマスビートル)、アホジウスタスマニア(Aphodius tasmaniae) (黒頭牧草コフキコガネ)、アウストロアスカアルファルファ(Austroasca alfalfae) (ルサーンリーフホッパー(lucerne leaf hopper))、ブラシトリカトランケート(Bathytricha truncate) (サトウキビおよびトウモロコシメイガ(sugarcane and maize stemborer))、ベミシアタバシ(Bemisia tabaci) (タバココナジラミ)、ブラシカウダスヘリクリシイ(Brachycaudus helichrysi) (ムギワラギクオマルアブラムシ)、ブレビコリンブラシカエ(Brevicoryne brassicae) (ダイコンアブラムシ)、ブラコファガスロッジ(Bruchophagus roddi) (アルファルファタネコバチ)、ブルカスピソラム(Bruchus pisorum) (エンドウゾウムシ)、ブリオビア種(Bryobia spp.) (ブリオビアマイト(bryobia mite))、シャンパアリエタリア(Ciampa arietaria) (ブラウンパスチャールーパー(brown pasture looper))、コルトイセテステルミニフェラ(Chortoicetes terminifera) (オーストラリアンプレイグローカスト(Australian plague locust))、クリソデイティスアンジェンティフェナ(Chrysodeitis angentifena) (タバコルーパー(tobacco looper))、クリソデイティスエリオソマ(Chrysodeitis eriosoma) (グリーンルーパー(green looper))、コンタリニアソルギコラ(Contarinia sorghicola) (ソルガムタマバエ)、デロセラス種(Deroceras spp.) (ナメクジ)、ジアクリシアオリカルセア(Diachrysia oricalcea) (ソイビーンルーパー)、エチエラベヒリー(Etiella behrii) (ヒメイチモジマダラメイガ)、フランクリニエラシュルツイ(Frankliniella schultzei) (トマトアザミウマ)、グラフォグナサスレウコロマ(Graphognathus leucoloma) (ホワイトフリンジドウィービル(white fringed weevil))、ハロチデウスデストラクター(Halotydeus destructor) (レッドレッグドアースマイト(redlegged earth mite))、ヘドノタペディオノマ(Hednota pedionoma) (パスチャーウェブワーム(pasture webworm))、ヘリコベルパアルミゲラ(Helicoverpa armigera) (オオタバコガ)、ヘリコベルパプンクチゲラ(Helicoverpa punctigera) (ネイティブバドウォーム(native budworm))、ヘリックス種(Helix spp.) (カタツムリ)、ヘテロニカスアラター(Heteronychus arator) (アフリカンブラックビートル(African black beetle))、レウカニアコンベクタ(Leucania convecta) (一般的なヨトウ(common armyworm))、リパフィスエリシミ(Lipaphis erysimi) (ニセダイコンアブラムシ)、リストロデレスディフィシリス(Listroderes difficilis) (ヤサイゾウムシ)、メラナカンサススクテラリス(Melanacanthus scutellaris) (ブラウンビーンバグ(brown bean bug))、メロフィアスジバルサナ(Merophyas divulsana) (ルサーンリーフローラー(lucerne leaf roller))、ミザスペルシカエ(Myzus persicae) (モモアカアブラムシ)、ナラリビディペス(Nala lividipes) (ブラックフィールドイヤウィグ(black field earwig))、ミティムナコンベクター(Mythimna convector) (一般的なヨトウ(common armyworm))、ネザラビリデュラ(Nezara viridula) (ミナミアオカメムシ)、ニシウスビニター(Nysius vinitor) (ラザグレン虫)、ニシウスクリーブランデンシス(Nysius clevelandensis) (グレークラスターバグ(grey cluster bug))、オンコペラルフォブルンネア(Oncopera rufobrunnea) (アンダーグラウンドグラスグラブ(underground grass grub))、オロンジナ種(Orondina spp.) (ハリガネムシモドキ(false wireworm))、オスノニウスバテシ(Othnonius batesi) (ブラックソイルスカルブ(black soil scarabs))、ペンタレウスメジャー(Penthaleus major) (ムギダニ)、ペルセクタニアエウィンギー(Persectania ewingii) (南部アワヨトウ)、ペトロビアラテンズ(Petrobia lateens) (ブラウンウィートマイト(brown wheat mite))、ピエリスラパエ(Pieris rapae) (モンシロチョウ)、ピエゾドラスヒブネリ(Piezodorus hybneri) (イチモンジカメムシ)、プルテラキシロステラ(Plutella xylostella) (ヨウトガ/コナガ)、ロパロシフムマイディス(Rhopalosiphum maidis) (トウモロコシアブラムシ)、セリセスディス種(Sericesthis spp.) (小褐色のコフキコガネ(small brownish cockchafers))、シトナディスコイデウス(Sitona discoideus) (シトナウィービル(sitona weevil))、スミンサラスビリディス(Sminthurus viridis) (キマルトビムシ)、スポドプテラエクシガ(Spodoptera exigua) (シロイチモジヨトウ)、スポドプテラレチュラ(Spodoptera letura) (クラスターキャラピラースポドプテラマウリチア(cluster caterpillar Spodoptera mauritia) (ローンアーミーウォーム(lawn armyworm))、ストモプテリクスシンプレクセラ(Stomopteryx simplexella) (ソイビーンモス(soybean moth))、テトラニカスルデニ(Tetranychus ludeni) (アシノワハダニ)、テトラニカスウルチカエ(Tetranychus urticae) (ナミハダニ)、テリオアフィストリフォリf.マキュラタ(Therioaphis trifolii f. maculata) (マダラアルファルファアブラムシ)、スリプスタバシ(Thrips tabaci) (ネギアザミウマ)、スリプスイマジニス(Thrips imaginis) (プレイグスリプス(plague thrips))、ジジナラブラダス(Zizina labradus) (グラスブルーバタフライ(grass blue butterfly))、ジグリタディバ(Zygrita diva) (ルサーンクラウンボーラー(lucerne crown borer))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0110】
他の態様において、害虫は被験体および/または植物以外の環境にはびこる。このような害虫の例としては、シラミ、オオアリ種(Camponotus spp.)、ヒメトビイロケアリ(Lasius alienus)、アカンソミオプスインテルジェクタス(Acanthomyops interjectus)、イエヒメアリ(Monomorium pharaonis)、ソレノプシスモレスタ(Solenopsis molesta)、テトラモリウムケピタム(Tetramorium caepitum)、モノモリウムミニマム(Monomorium minimum)、プレノレピスイムペアズ(Prenolepis impairs)、フォルミカエクセクトイデス(Formica exsectoides)、イリドミルメックスプルイノサス(Iridomyrmex pruinosus)、クレマストガスターリネオラタ(Cremastogaster lineolata)、コヌカアリ(Tapinoma sessile)、ヒゲナガアメイロアリ(Paratrechina longicorins)を含むアリ、ゴキブリ、蚊、レプトグラサスオシデンタリス(Leptoglassus occidentalis)、アクロステルナムヒラレ(Acrosternum hiare)、クロロクロアサイ(Chlorochroa sayi)、ポディウスマクリベントリス(Podius maculiventris)、カメムシ(Murgantia histrionica)、ナガカメムシ(Oncopeltus fasciatus)、ナビスアルタネイテス(Nabis alternates)、レプトプテルナドラブラタ(Leptopterna dolabrata)、リガスリネオラリス(Lygus lineolaris)、アデルポコリスラピダス(Adelpocoris rapidus)、ポエシロカプサスリネアタス(Poecilocapsus lineatus)、オリウスインシディオサス(Orius insidiosus)、プラタナスグンバイムシ(Corythucha ciliata)を含むナンキンムシ、ハナバチ、カリバチ、クロゴケグモ、ヒラタチャタテ、トネリコバカエデムシ(boxelder bug)、ドクイトグモ、チネオラ種(Tineola spp.)、チネア種(Tinea spp.)、トリコファガ種(Trichophaga spp.)を含むイガ、カツオブシムシ、ムカデ、クローバーハダニ、集団バエおよびイエバエ(cluster and face flies)、タバコシバンムシおよびジンサンシバンムシ、アケタ種(Acheta spp.)、グリルス種(Gryllus spp.)、グリルス種(Gryllus spp.)、ネモビウス種(Nemobius spp.)、カンタン種(Oecanthus spp.)、セウソフィラス種(Ceuthophilus spp.)、ネオカーチラ種(Neocurtilla spp.)を含むコオロギ、アシナガオジサン、イエカ(domestic flies)、ドレインフライ(drain flies)、ハサミムシ、モンスズメバチ、ネコノミ(Ctenocephalides felis)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、クテノセファリデス種(Ctenocephalides spp.)、ヨーロッパネズミノミ(Nosopsyllus fasciatus)、ノソプシラス種(Nosopsyllus spp.)、ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)、キセノプシラ種(Xenopsylla spp.)、ウサギノミ(Cediopsylla simplex)、セディオプシラ種(Cediopsylla spp.)を含むノミ、キノコバエ、ゴミムシ、ハラジロカツオブシムシおよびトビカツオブシムシ、ウマ/ウシ/シカ/ブタハエ、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)、デルマトファゴイデス種(Dermatophagoides spp.)を含むイエダニ、トリサシダニ(Ornithonyssus sylviarum)、ワクモ(Dermanyssus gallinae)、イエダニ(Ornithonyssus bacoti)、イエネズミダニ(Liponyssoides sanuineus)、ニキビダニ(Demodex folliculorum)、ヒトヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei hominis)、シラミダニ(Pyemotes tritici)、アシブトコナダニ(Acarus siro)、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、デルマトファゴイデス種(Dermatophagoides sp.)を含むダニ、ヒトジラミ、ノミバエ、ノシメマダラメイガ、ヤスデ、ジガバチ、ナミテントウ、家食い虫(house borer)、ブヨおよびガガンボ、周期ゼミおよび「ドッグデイ(dog-day)」ゼミ、ヒラタキクイムシ、丸頭および平頭食い虫(roundheaded and flatheaded borers)、ニセサソリ、キジラミまたはハジラミ、ヒョウホンムシ、カバキコマチグモ、ケシキスイ類(sap beetles)、シロアリ、セイヨウシミおよびマダラシミ、ワラジムシおよびダンゴムシ、トビムシ、刺毛の毛虫(stinging hair caterpillars)、タランチュラ、ショウジョウバエ、カリバチおよびスズメバチ、波止場のキクイムシ(wharf borer)、木ゴキブリ(woods cockroach)、イエロージャケットカリバチ(yellowjacket wasps)、コキノコムシ、ゾウムシ(seed weevils)、ノコギリヒラタムシおよびオオメノコギリヒラタムシ、ヒラタコクヌストモドキおよびコクヌストモドキ、グラナリアゾウムシおよびコクゾウムシ、ノシメマダラメイガ、ゴミムシダマシ、チョウバエ、カクマダニ種(Dermacentar spp.)、マダニ種(Ixodes spp.)、コイタマダニ種(Rhipicenphalus spp.)を含むマダニ、クマバチ、ノミ、サシガメ、ヒトジラミ、ツツガムシ、未解明の虫(mystery bugs)、モンスズメバチ、刺毛の毛虫、クロアシダニ、カゲロウ、黒バエ、ハリガネムシ、コオロギ、マイマイガ、バッタ、ブヨ、小昆虫、イナゴ、ヒトスジシマ蚊(Aedes albopictus)、エデスカナデンシス(Aedes Canadensis)、エデストリセリアタス(Aedes triseriatus)、エデスチビッタタス(Aedes tivittatus)、キンイロヤブ蚊(Aedes vexans)、ヤブカ種(Aedes spp.)、アノフェレスクァドリマクラタス(Anopheles quadrimaculatus)、ハマダラ蚊種(Anopheles spp.)、コキーレッチジアペルターバンス(Coquillettidia perturbans)、ヌマ蚊種(Coquillettidia spp.)、キュレックスピピエンス(Culex pipiens)、イエ蚊種(Culex spp.)を含む蚊が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
農学的に有効な量は当業者が公知の方法により判定することができ、典型的には、1ヘクタール当たり5 g〜500 gに及ぶであろう。
【0112】
害虫が蔓延している環境は、農業環境、家庭環境または産業環境でありうる。
【0113】
本明細書において用いられる「農業環境」という用語は、農業、例えば、作物、樹木、および商業的に重要な他の植物の育成が行われる環境をいう。農業環境は植物それ自体だけでなく、それらが生育する際の植物周囲の土壌および領域も、植物の部分、例えば、種子、穀物、葉または果実を貯蔵できる区域も含む。
【0114】
「家庭環境」は、ヒトまたは動物が居住する環境を含み、カーペット、カーテン、食器棚、寝具類および家内の空気のような屋内環境を含むことができる。「産業環境」は、製品の製造、貯蔵または販売のような産業目的に使用される環境を含む。産業環境は倉庫、製造工場、小売店、貯蔵施設などを含む。
【0115】
この局面において、本発明の好ましい化合物はEBI-24およびEBI-25を含む。
【0116】
本発明は農薬としての本発明の化合物の使用をさらに提供する。
【0117】
したがって、本発明の化合物は作物、牧草地、森林および他の農業環境への送達に、好ましくは、一種もしくは複数種の害虫の軽減および/または根絶に適した方法で配合することができる。
【0118】
詳細な説明
活性スクリーニング
式(I)および式(II)の化合物を含有するリツェアリーフェアナ(外果皮および中果皮)、シナモマムラウバティー(種子)ならびにクリプトカリヤリビデュラ(外果皮および中果皮)からの溶媒抽出試料をさまざまな微生物スクリーニング技術のバイオアッセイ法、特にNemaTOX、ProTOX、MycoTOX、CyTOX、DipteraTOXおよびTriTOXでのスクリーニングによって治療活性を判定するために試験した。記述を簡単にするため、これらのバイオアッセイ法を、抽出および化学構造解明法の前に簡潔に記述する。
【0119】
NemaTOX (あるいは本明細書においてNeといわれる)は、自由生活性の生活環段階を有する全ての寄生線虫に適用可能な駆虫薬バイオアッセイ法であり、活性を検出するためのおよび寄生線虫に対する化合物の種範囲を規定するためのおよび効力に及ぼす他の駆虫薬類に対する既存の耐性の影響を試験するためのスクリーニングとして使用することができる。捻転胃虫をこのアッセイ法に利用した。
【0120】
幼虫生育に及ぼす効果は、Gill et al. (1995) Int. J. Parasitol. 25: 463-470が記述している方法によりこのアッセイ法で判定される。手短に言うと、このアッセイ法では、試験試料を含有する寒天マトリックスの表面に線虫卵を適用し、感染性期L3まで生育させた(6日)。この時点で幼虫生育期に達しており、任意の異常な特徴(奇形、麻痺、毒性)を顕微鏡検査により注意深く観察した。
【0121】
ProTOX (あるいは本明細書においてBsといわれる)は、最も好気性および嫌気性の細菌に広く適用可能な抗菌薬バイオアッセイ法である。このバイオアッセイ法は、試験化合物が色素原と一緒に組み込まれている固相寒天基剤を特徴とする。細菌がウェル中で増殖する場合に、色素原は二段階過程で青色から無色の化合物に代謝される。強力な殺菌活性を有する化合物は色素原の細菌による代謝を阻害するのに対し、静菌性化合物は中間のピンク色で示されるように有限の代謝を誘導する。ProTOXは、好気性および微好気性条件の下でさまざまなグラム陽性菌およびグラム陰性菌に広く適用可能である。ProTOXアッセイ法は枯草菌を用いて行われた。
【0122】
手短に言うと、ProTOXでは、試験試料を含有する寒天マトリックスの表面に細菌(24時間の培養液)を適用し、48時間増殖させた。このアッセイ法を24時間および48時間の時点でモニターし、活性ウェルを注意深く観察した。公知の抗生物質は、濃度および時間依存的な、一貫した色の遷移を生じる。これらのパターンは、関心のある特徴の初期認識のための重要な目安となった。一般に殺菌性作用は24時間と48時間の両時点で色の変化を与えないのに対し、静菌性作用は24時間の時点で活性であるが、48時間の時点ではあまり強力ではないかまたは不活性である。
【0123】
MycoTOX (あるいは本明細書においてTrといわれる)は、植物および動物の糸状菌病原体に対する活性を検出するために使用される非色素性のバイオアッセイ法である。このバイオアッセイ法は、試験化合物が組み込まれている固相寒天基剤を特徴とする。糸状菌の増殖パターンは寒天表面にて容易に明らかであるので、菌糸増殖の程度、胞子形成(調査中の種に関連する場合)および成熟による色の変化が測定される。強力な抗真菌活性を有する化合物は、真菌胞子の発芽を阻害し、過剰な真菌増殖を伴う不活性な化合物を含んだウェルとは著しい対照をもたらす。より低濃度のそのような化合物、またはより静真菌性の作用機序を示す化合物は、菌糸増殖、胞子形成度の低下またはコロニー成熟に特有の他のパターンの低下を示す。
【0124】
MycoTOXは、試験化学物質を含有する寒天マトリックスの表面に適用されかつ最長1週間の期間(種に応じて)増殖される真菌(胞子懸濁液または菌糸断片)を伴う。アッセイ法を不連続な2時点でモニターして生活環中の重要な生育段階(例えば、菌糸増殖および胞子形成の程度)を特定し、活性ウェルを注意深く観察した。モニタリング時間は調査中の真菌種に依った。
【0125】
MycoTOXアッセイ法は紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)を用いて行った。
【0126】
CyTOX (あるいは本明細書においてCyといわれる)は、潜在的な抗腫瘍作用を特定するために使われるマイクロタイタープレートバイオアッセイ法である。CyTOXは、幅広い腫瘍および非腫瘍細胞株に対して広く適用される色素性のバイオアッセイ法である。CyTOXでの色の遷移は、細胞代謝および代謝回転に比例し、それゆえに作用の診断的分類を公知の細胞毒性作用および抗腫瘍作用の枠組みのなかで裏付けるのに有用な認識パターンとなる。
【0127】
CyTOXは、試験化合物が新規の色素原と一緒に組み込まれている液体培地を特徴とする。細胞が増殖および分裂する場合に、色素原は一段階過程で紫色から無色の代謝物に代謝される。CyTOXは、哺乳類細胞の毒性の目安としてNS1マウス骨髄腫細胞株を用いて日常的に行われる。
【0128】
手短に言うと、CyTOXでは、試験化学物質を含有する培地に細胞を、適用し、72時間増殖させた。このアッセイ法を24、48および72時間の時点でモニターし、活性ウェルを特定した。
【0129】
DipteraTOX
DipteraTOXは本明細書においてDipG、DipPおよびDipHといわれる。DipGは幼虫のグレージング(grazing)なしを表す。DipPは蛹形成なしを表し、DipHはハエの孵化なしを表す。DipG、DipPまたはDipHにおけるAの値は非常に活性なことを表し、Pの値は活性なことを表す。DipteraToxでは、試験化学物質250 μg/mLを含有する寒天マトリックスの表面にハエの卵を適用し、最長2週間の期間、孵化、生育および蛹化させる。アッセイ法を不連続な2時点でモニターして、第1週の時点で寒天マトリックスのグレージングの程度および第2週の時点で成虫のハエの存在を判定した。活性を第7日および第14日の時点で活性または不活性と定性的に記録して、それぞれ、摂食できないことおよび成虫期まで生育できないことを示した。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)をこのアッセイ法に利用した。
【0130】
TriTOX (あるいは本明細書においてGiといわれる)は、病原性の、嫌気性の/微好気性の原虫、例えばジアルジア種およびトリコモナス種の抗原虫活性のスクリーニングのためのマイクロタイタープレートに基づく色素性のバイオアッセイ法である。このバイオアッセイ法は嫌気性条件の下で行われ、種特異的な色素原を特徴とする。最小阻害濃度(近似値LD99)を以下の方法により測定する。 未知物の原液を連続的に1/2希釈して、2,048倍の範囲にわたる12濃度を得る。各濃度の一定分量を96ウェルマイクロタイタープレートのウェルに適用し、培地で希釈する。色素原の色の変化に基づいて、試験物質を活性または不活性と記録する。化合物が活性である最も低い濃度を最小阻害濃度(MIC)として書き留める。さらに、顕微鏡検査を行って、毒性の種類およびそれゆえに作用機序と一致しうる形態変化の任意のパターンを特定する。ジアルジア種をこのアッセイ法に利用した。
【0131】
本発明が容易に理解され、実際に実施されうるために、以下の限定するものではない例によって特に好ましい態様をこれから記述する。
【0132】
実施例1
方法
抽出
リツェアリーフェアナ(外果皮および中果皮)、シナモマムラウバティー(種子)ならびにクリプトカリヤリビデュラ(外果皮および中果皮)から、種子、葉および樹皮を含む、バイオマス試料を回収し、以下の抽出過程に供する。これらの試料およびそれらのその後の画分は以下の例のなかで、リツェアリーフェアナ、シナモマムラウバティーおよびクリプトカリヤリビデュラそれぞれからの試料およびその後の画分に対してEB116、EB115およびEB77といわれる。
【0133】
第1段階 - 抽出
バイオマスをメタノールでたっぷりと覆い、振盪し(およそ2 L、終夜)、その後にろ過を行って、第一の抽出物を得た。この過程を二回(およそ2 L、およそ5時間)繰り返して、第二の抽出物を得た。各抽出物を分析的HPLCにより調べ、バイオアッセイした(図1)。結果として生じたメタノール抽出物を合わせ、溶媒を回転蒸発により除去して水性濃縮物を得た。
【0134】
第2段階 - 溶媒分配
抽出物からの水性濃縮物を水で400 mLに希釈した。希釈試料(コード「Cr」)をHPLCおよびバイオアッセイ法のために副試料採取し、その後、分液漏斗中にて等量の酢酸エチル(EtOAc)とともに振盪し、個々の層EtOAc1およびH2O1を回収した。いずれの層にも不溶性の沈殿物が生じることがあった。この沈殿物を、ろ過により回収し、メタノールに溶解した(コード「Me」)。下の水層(H2O1)をもう二回酢酸エチルで抽出して、残存するH2O3層のほかにEtOAc2およびEtOAc3を得た。全層の副試料を分析的HPLCおよびバイオアッセイ法により調べた(図2A)。
【0135】
結果として生じた酢酸エチル抽出物をプールし、溶媒を回転蒸発により除去して残留物を得、これを秤量する。場合によって、分析的HPLCから、EtOAc抽出物がかなりの量の極端に親油性の(RT >9分)材料を含むことが示された。この材料を除去するため、10:9:1のヘキサン:メタノール:水による分配を行った(図2B)。
【0136】
第3段階 - 分取HPLC分画
溶媒分配からの残留物を分析的HPLCにより詳しく調べて、存在する代謝産物の分離に最適なクロマトグラフィー条件を見出した。これらの最適な条件を用いて、残留物(およそ2 g)を分取逆相HPLC (C18、単回注入)により100画分に分画した(図3)。全100画分の副試料を分析的HPLCにより調べた。HPLC追跡による分析の後、この100画分を20〜30のプール画分(プール)に統合した。このうちのいくつかは>80%の純度でありうる。これらのプール画分を秤量し、バイオアッセイし、分析的HPLCにより調べた。
【0137】
EB116、EB115およびEB77の溶媒分配のまとめ
リツェアリーフェアナ(EB116)、シナモマムラウバティー(EB115)、およびクリプトカリヤリビデュラ(EB77)のバイオマス試料は上記の第1段階および第2段階を用いて、抽出および溶媒分配を受けた。表1は、酢酸エチルでの溶媒分配後に得られた抽出可能物の量を要約する。
【0138】
(表1)抽出物の酢酸エチル分配後の重量

1重量: 供給され研究に使用された植物材料の全試料グラム重量。2EtOAc: 酢酸エチル抽出物。3%抽出: 全試料重量の割合として表わされた酢酸エチル抽出物。#酢酸エチル抽出の間の材料の沈殿0.6 g。%酢酸エチル抽出の間の材料の沈殿31.6 g。
【0139】
分取HPLC
分取HPLCは、静的混合器、Shimadzu SPD-M10AVPダイオードアレイ検出器およびShimadzu SCL-10AVPシステム制御装置を有する二つのShimadzu LC-8A分取液体クロマトグラフからなるシステムにて行った。使用したカラムは、C18を充填した50×100 mm (直径×長さ)のPlatinum EPS (Alltech)であった。
【0140】
およそ2グラムの酢酸エチル抽出材料をジメチルスルホキシド(4 mL)に溶解し、典型的には条件が20分間にわたる30%〜100%アセトニトリル/水の勾配溶出に続いて10分間アセトニトリルでの60 mL/分の分取HPLCに供した。100画分(20 mL)を回収し、窒素下で蒸発させ、その後にHPLC分析に基づいて混ぜ合わせた。
【0141】
UV分析
上記の通りShimadzu SPD-M10AVPダイオードアレイ検出器でのHPLCの間にUVスペクトルを得た。
【0142】
NMR分析
全てのNMRスペクトルはd6-ジメチルスルホキシドの中で得て、残りのジメチルスルホキシドシグナルまたは重クロロホルム(CDCl3)を基準としおよび残りのクロロホルムシグナルを基準とした。1D NMRスペクトル1Hおよび13C [APT]は、Varian Gemini 300BB (Palo Alto C.A. USA)分光計にてそれぞれ300および75 MHzで得た。2D NMRスペクトルHSQC、HMBC、COSYおよびTOCSY、ならびに1D NMR 1Hスペクトルは、Bruker DRX600 (600 MHz) NMR分光計にて得た。
【0143】
NMRデータの分析は、ともにAdvanced Chemistry Development, Inc. (Toronto, ON, Canada)が提供している6.0版の、ACD/SpecManagerおよびACD/Structure Elucidatorを用いて行った。
【0144】
エレクトロスプレイ質量分析(Electrospray Mass Sepctrometry; ES-MS)法
全ての正のエレクトロスプレイ質量スペクトルは、Finnigan/Mat TSQ7000 LCMS/MS (San Jose C.A. USA)にて行った。
【0145】
実施例2
EB116: 抽出および溶媒分配
EB116の抽出および溶媒分配によって材料780 gを得た。抽出物および溶媒分配層の各々を上記のバイオアッセイ法により生物活性について試験した。表2から抽出物および酢酸エチル溶媒分配層の全てが高いNe、Bs、TrおよびCy活性を含有することを認めることができる。
【0146】
(表2) 抽出物および溶媒分配物の活性

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。
【0147】
結果的に生じた水性濃縮抽出物をHPLCに供した。使用したカラムは、C18を充填した50×100 mm (直径×長さ)のPlatinum EPS (Alltech)であった。およそ2グラムの抽出材料をジメチルスルホキシド(4 mL)に溶解し、典型的な条件が20分間にわたる30%〜100%アセトニトリル/水の勾配溶出に続いて10分間アセトニトリルでの60 mL/分の分取HPLCに供した。
【0148】
比較の目的で、第一の酢酸エチル分配層および第三の水層を、HPLCにより分析した。第三の水/酢酸エチル溶媒分配の第三の水層中には、関心対象の化合物がほとんどまたは全く残存していなかった。
【0149】
EB116: 分取HPLC分画
上記の第3段階において記述されているのと同様の方法で、EB116酢酸エチル溶媒分配サンプルをプールし、分取HPLCクロマトグラフを用いてさらに後処理した。
【0150】
分取HPLCを用いて100画分をもたらした。これらの分画は、分取HPLCクロマトグラフにおいて示された化合物の相対濃度に応じてプールした。
【0151】
各画分または分取HPLCから得られたプール画分の生物活性を上記のバイオアッセイ法によって測定した。この結果は以下表3にまとめられている。
【0152】
(表3) 分取HPLCプールの活性

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。
5mg重量。
【0153】
EB115: 抽出および溶媒分配
EB115の抽出および溶媒分配によって材料902 gを得た。抽出物および溶媒分配層の各々を上記のバイオアッセイ法により生物活性について試験した。表4から抽出物および酢酸エチル溶媒分配層の全てが高いNe、Bs、TrおよびCy活性を含有することを認めることができる。
【0154】
(表4) 抽出物および溶媒分配物の活性

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。
【0155】
結果的に生じた水性濃縮抽出物をHPLCに供した。使用したカラムは、C18を充填した50×100 mm (直径×長さ)のPlatinum EPS (Alltech)であった。およそ2グラムの抽出材料をジメチルスルホキシド(4 mL)に溶解し、典型的な条件が20分間にわたる30%〜100%アセトニトリル/水の勾配溶出に続いて10分間アセトニトリルでの60 mL/分の分取HPLCに供した。
【0156】
比較の目的で、第一の酢酸エチル分配層および第三の水層を、HPLCにより分析した。第三の水/酢酸エチル溶媒分配の第三の水層中には、関心対象の化合物がほとんどまたは全く残存していなかった。
【0157】
EB115: 分取HPLC分画
上記の第3段階において記述されているのと同様の方法で、EB115酢酸エチル溶媒分配サンプルをプールし、分取HPLCクロマトグラフを用いてさらに後処理した。
【0158】
分取HPLCを用いて100画分をもたらした。これらの分画は、分取HPLCクロマトグラフにおいて示された化合物の相対濃度に応じてプールした。
【0159】
各画分または分取HPLCから得られたプール画分の生物活性を上記のバイオアッセイ法によって測定した。この結果は以下表5にまとめられている。
【0160】
(表5) 分取HPLCプールの活性

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。
5mg重量。
【0161】
EB77: 抽出および溶媒分配
EB77の抽出および溶媒分配によって材料416 gを得た。抽出物および溶媒分配層の各々を上記のバイオアッセイ法により生物活性について試験した。表6から抽出物および酢酸エチル溶媒分配層の全てが高いNe、Bs、TrおよびCy活性を含有することを認めることができる。
【0162】
(表6) 抽出物および溶媒分配物の活性

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。
【0163】
結果的に生じた水性濃縮抽出物をHPLCに供した。使用したカラムは、C18を充填した50×100 mm (直径×長さ)のPlatinum EPS (Alltech)であった。およそ2グラムの抽出材料をジメチルスルホキシド(4 mL)に溶解し、典型的な条件が20分間にわたる30%〜100%アセトニトリル/水の勾配溶出に続いて10分間アセトニトリルでの60 mL/分の分取HPLCに供した。
【0164】
比較の目的で、第一の酢酸エチル分配層および第三の水層を、HPLCにより分析した。第三の水/酢酸エチル溶媒分配の第三の水層中には、関心対象の化合物がほとんどまたは全く残存していなかった。
【0165】
EB77: 分取HPLC分画
上記の第3段階において記述されているのと同様の方法で、EB77酢酸エチル溶媒分配サンプルをプールし、分取HPLCクロマトグラフを用いてさらに後処理した。
【0166】
分取HPLCを用いて100画分をもたらした。これらの分画は、分取HPLCクロマトグラフにおいて示された化合物の相対濃度に応じてプールした。
【0167】
各画分または分取HPLCから得られたプール画分の生物活性を上記のバイオアッセイ法によって測定した。この結果は以下表7にまとめられている。
【0168】
(表7) 分取HPLCプールの活性

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。5mg重量。
【0169】
実施例3
化学構造の解明
EBI-23
勾配分取HPLCの実行からの類似材料のプール(画分59〜63、370 mg)をメタノールに溶解し、分取HPLC (5 μmのPhenomenex Luna C18(2) 20×100 mmカラムを通じ、30分間にわたる55%の水/アセトニトリル均一溶媒溶出で10 mL/分)に供した。
【0170】
画分27〜32を混ぜ合わせ、真空下で濃縮し、凍結乾燥し、得られた生成物をUV分光法、HPLC分析、ES-MSおよびNMRにより分析した(表8)。HPLC、ES-MSおよびNMR分析から、EB116.LA3.31-27/32が本明細書においてEBI-23といわれる以下の化合物を含有することが分かった。

【0171】
(表8) 75/600 MHzでのDMSO-d6中のEBI-69に対するNMRデータ


【0172】
表9のバイオアッセイの結果、ならびに実施例4「さらなるインビトロ活性」に記載される結果、実施例5「EBI-23およびEBI-24抗炎症性のスクリーニングの詳細および結果」および実施例18「免疫調節(Immunomudulation): 混合リンパ球反応の阻害」に記載される結果から、化合物EBI-23が(A) 細胞毒性剤としての効力を有し、それゆえ腫瘍、白血病、リンパ腫および関連障害のような細胞増殖性疾患の処置および予防において有用でありうる、(B) 抗寄生虫剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の外部寄生虫および/または内部寄生虫のような、寄生虫による蔓延の処置において有用でありうる、(C) 抗生剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の細菌による感染の処置または予防において有用でありうる、(D) 抗原虫剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の原虫による感染の処置または予防において有用でありうる、(E) 抗炎症剤としての効力を有し、それゆえ抗炎症状態の処置または予防において有用でありうる、ならびに(F) 免疫抑制剤としての効力を有することが明らかに示唆される。
【0173】
(表9) EBI-23のバイオアッセイ法

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。5mg重量。
【0174】
EBI-24
上記の分取HPLCから、画分36〜40を混ぜ合わせた。画分36〜40を真空下で濃縮し、凍結乾燥し、得られた生成物をUV分光法、HPLC分析、ES-MSおよびNMRにより分析した(表10)。HPLC、ES-MSおよびNMR分析から、EB116. LA3.31-36/40が本明細書においてEBI-24といわれる以下の化合物を含有することが分かった。

【0175】
(表10) 75/600 MHzでのDMSO-d6中のEBI-24に対するNMRデータ


【0176】
表11のバイオアッセイの結果、ならびに実施例4「さらなるインビトロ活性」に記載される結果、実施例5「EBI-23およびEBI-24抗炎症性のスクリーニングの詳細および結果」および実施例18「免疫調節(Immunomudulation): 混合リンパ球反応の阻害」に記載される結果から、化合物EBI-24が(A) 細胞毒性剤としての効力を有し、それゆえ腫瘍、白血病、リンパ腫および関連障害のような細胞増殖性疾患の処置および予防において有用でありうる、(B) 抗寄生虫剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の外部寄生虫および/または内部寄生虫のような、寄生虫による蔓延の処置において有用でありうる、(C) 抗生剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の細菌による感染の処置または予防において有用でありうる、(D) 抗原虫剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の原虫による感染の処置または予防において有用でありうる、(E) 殺虫剤としての効力を有し、それゆえ広範囲の昆虫種を含む昆虫の根絶および/または増殖阻害において有用に使用されうる、(F) 抗炎症剤としての効力を有し、それゆえ抗炎症状態の処置または予防において有用でありうる、ならびに(G) 免疫抑制剤としての効力を有することが明らかに示唆される。
【0177】
(表11) EBI-24のバイオアッセイ法

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。5mg重量。
【0178】
EBI-25
上記の分取HPLCから、画分56〜63を混ぜ合わせた。画分56〜63を真空下で濃縮し、凍結乾燥し、得られた生成物をUV分光法、HPLC分析、ES-MSおよびNMRにより分析した(表12)。HPLC、ES-MSおよびNMR分析から、EB116. LA3.31-56/63が本明細書においてEBI-25といわれる以下の化合物を含有することが分かった。

【0179】
(表12)75/600 MHzでのDMSO-d6中のEBI-25に対するNMRデータ


【0180】
表13のバイオアッセイの結果、および実施例4「さらなるインビトロ活性」に記載される結果から、化合物EBI-25が(A) 細胞毒性剤としての効力を有し、それゆえ腫瘍、白血病、リンパ腫および関連障害のような細胞増殖性疾患の処置および予防において有用でありうる、(B) 抗生剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の細菌による感染の処置または予防において有用でありうる、(C) 抗原虫剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の原虫による感染の処置または予防において有用でありうる、ならびに(D) 殺虫剤としての効力を有し、それゆえ広範囲の昆虫種を含む昆虫の根絶および/または増殖阻害において有用に使用されうることが明らかに示唆される。
【0181】
(表13) EBI-25のバイオアッセイ法

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。5mg重量。
【0182】
EBI-37
EB115 (シナモマムラウバティー)のプール画分42〜44を単離し、UV分光法、HPLC分析、ES-MSおよびNMRにより分析した。HPLC、ES-MSおよびNMR分析から、EB115. LA3.31-60-40/42が、EBI-23と同一の、EBI-37といわれる化合物を含有することが分かった。
【0183】
表14のバイオアッセイの結果から、化合物EBI-37が(A) 細胞毒性剤としての効力を有し、それゆえ腫瘍、白血病、リンパ腫および関連障害のような細胞増殖性疾患の処置および予防において有用でありうる、(B) 抗生剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の細菌による感染の処置または予防において有用でありうる、ならびに(C) 抗原虫剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の原虫による感染の処置または予防において有用でありうることが明らかに示唆される。
【0184】
(表14) EBI-37のバイオアッセイ法

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。5mg重量。
【0185】
EBI-38
EB115の画分47〜49をプールし、真空下で濃縮し、凍結乾燥し、得られた生成物をUV分光法、HPLC分析、ES-MSおよびNMRにより分析した。HPLC、ES-MSおよびNMR分析から、EB115. LA3.60-47/49が本明細書においてEBI-38といわれる化合物を含有し、EBI-24と同一であると思われることが分かった。
【0186】
表15のバイオアッセイの結果から、化合物EBI-38が(A) 細胞毒性剤としての効力を有し、それゆえ腫瘍、白血病、リンパ腫および関連障害のような細胞増殖性疾患の処置および予防において有用でありうる、(B) 抗寄生虫剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の外部寄生虫および/または内部寄生虫のような、寄生虫による蔓延の処置において有用でありうる、(C) 抗生剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の細菌による感染の処置または予防において有用でありうる、ならびに(D) 抗原虫剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の原虫による感染の処置または予防において有用でありうることが明らかに示唆される。
【0187】
(表15) EBI-38のバイオアッセイ法

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。5mg重量。
【0188】
EBI-39
EB115の画分62〜64を真空下で濃縮し、凍結乾燥し、得られた生成物をUV分光法、HPLC分析、ES-MSおよびNMRにより分析した。HPLC、ES-MSおよびNMR分析から、EB115.LA3.60-62/64が、EBI-25と同一であると思われる、本明細書においてEBI-39といわれる化合物を含有することが分かった。
【0189】
表16のバイオアッセイの結果から、化合物EBI-39が(A) 細胞毒性剤としての効力を有し、それゆえ腫瘍、白血病、リンパ腫および関連障害のような細胞増殖性疾患の処置および予防において有用でありうる、(B) 抗生剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の細菌による感染の処置または予防において有用でありうる、ならびに(C) 抗原虫剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の原虫による感染の処置または予防において有用でありうることが明らかに示唆される。
【0190】
(表16)EBI-31のバイオアッセイ法

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。5mg重量。
【0191】
EBI-42
EB115の画分83〜86を混ぜ合わせ、真空下で濃縮し、凍結乾燥し、得られた生成物をUV分光法、HPLC分析、ES-MSおよびNMRにより分析した(表17)。HPLC、ES-MSおよびNMR分析から、EB115. LA3.60-83/86が本明細書においてEBI-42といわれる以下の化合物を含有することが分かった。

【0192】
(表17)75/600 MHzでのDMSO-d6中のEBI-42に対するNMRデータ


【0193】
表18のバイオアッセイの結果、および実施例4「さらなるインビトロ活性」に記載される結果から、化合物EBI-42が細胞毒性剤としての効力を有し、それゆえ腫瘍、白血病、リンパ腫および関連障害のような細胞増殖性疾患の処置および予防において有用でありうることが明らかに示唆される。
【0194】
(表18) EBI-42のバイオアッセイ法

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。5mg重量。
【0195】
EBI-69
EB77の画分92〜100を混ぜ合わせ、真空下で濃縮し、凍結乾燥し、得られた生成物をUV分光法、HPLC分析、ES-MSおよびNMRにより分析した。HPLC、ES-MSおよびNMR分析から、EB77.LA4.92-100が、EBI-23と同一であると思われる、本明細書においてEBI-69といわれる以下の化合物を含有することが分かった。
【0196】
表19のバイオアッセイの結果、および実施例4「さらなるインビトロ活性」に記載される結果から、化合物EBI-69が(A) 細胞毒性剤としての効力を有し、それゆえ腫瘍、白血病、リンパ腫および関連障害のような細胞増殖性疾患の処置および予防において有用でありうる、(B) 抗寄生虫剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の外部寄生虫および/または内部寄生虫のような、寄生虫による蔓延の処置において有用でありうる、(C) 抗生剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の細菌による感染の処置または予防において有用でありうる、(D) 抗原虫剤としての効力を有し、それゆえヒトおよび/または動物の原虫による感染の処置または予防において有用でありうる、ならびに(E) 殺虫剤としての効力を有し、それゆえ広範囲の昆虫種を含む昆虫の根絶および/または増殖阻害において有用に使用されうることが明らかに示唆される。
【0197】
(表19) EBI-69のバイオアッセイ法

4活性の有る最終ウェル中の化学物質の重量として計算されたμg/mLでのLD99、しかしながら終点に達していないので実際の値はもっと低い可能性がある。5Wtはmg重量である。
【0198】
EB116の画分9を真空下で濃縮し、凍結乾燥し、得られた生成物をES-MSおよびNMRにより分析した。NMRおよび質量分析データから、この画分は、本明細書においてEBI-72といわれる以下の化合物の一方または両方を含む化合物をもたらした。

【0199】
R1はAcでありかつR2はHであるか、またはR1はHでありかつR2はAcである。

【0200】
EB116の画分10および11をプールし、真空下で濃縮し、凍結乾燥し、得られた生成物をES-MSおよびNMRにより分析した。NMRおよび質量分析データから、この画分は、本明細書においてEBI-73といわれる以下の化合物の一方または両方を含む化合物をもたらした。

【0201】
R1はAcでありかつR2はHであるか、またはR1はHでありかつR2はAcである。

【0202】
実施例4
さらなるインビトロ活性
EBI-23
さらなるインビトロアッセイ法を行い、EBI-23が30 μg/mLで正常ヒト線維芽細胞(NFF)に対する細胞毒性活性を有すること; および以下の細胞株:
3 μg/mLで白血病K562細胞株;
1 μg/mLで黒色腫MM96L細胞株;
1 μg/mLで黒色腫MM418c5細胞株;
3 μg/mLで前立腺DU145細胞株;
1 μg/mLで乳房MCF-7細胞株;
1 μg/mLで卵巣C180-13S細胞株
に対する抗腫瘍活性を有することを実証した。
【0203】
EBI-24
さらなるインビトロアッセイ法を行い、EBI-24が10 μg/mLで正常ヒト線維芽細胞(NFF)に対する細胞毒性活性を有すること; および以下の細胞株:
10 μg/mLで白血病K562細胞株;
3 μg/mLで黒色腫MM96L細胞株;
10 μg/mLで黒色腫MM418c5細胞株;
10 μg/mLで前立腺DU145細胞株;
10 μg/mLで乳房MCF-7細胞株;
3 μg/mLで卵巣C180-13S細胞株
に対する抗腫瘍活性を有することを実証した。
【0204】
EBI-25
さらなるインビトロアッセイ法を行い、EBI-25が30 μg/mLで正常ヒト線維芽細胞(NFF)に対する細胞毒性活性を有すること; および以下の細胞株:
30 μg/mLで白血病K562細胞株;
10 μg/mLで黒色腫MM96L細胞株;
10 μg/mLで黒色腫MM418c5細胞株;
30 μg/mLで前立腺DU145細胞株;
300 μg/mLで乳房MCF-7細胞株;
3 μg/mLで卵巣C180-13S細胞株
に対する抗腫瘍活性を有することを実証した。
【0205】
EBI-42
さらなるインビトロアッセイ法を行い、EBI-42が10 μg/mLで正常ヒト線維芽細胞(NFF)に対する細胞毒性活性を有しないこと; ならびに以下の細胞株;
10 μg/mLで黒色腫MM96L細胞株; および
10 μg/mLで卵巣C180-13S細胞株
に対する抗腫瘍活性を有することを実証した。
【0206】
実施例5
EBI-23およびEBI-24抗炎症性のスクリーニングの詳細および結果
次の三つの主要なアッセイ法を行った; 形質転換、退行および混合リンパ球反応(MLRs)。Moss et. al., (DJ, Rickinson AB, Pope JH: Long-term T-cell-mediated immunity to Epstein-Barr virus in man. III. Activation of cytotoxic T cells in virus-infected leukocyte cultures. Int J Cancer 1979, 23:618-625). Complete regression of virus-induced transformation in cultures of seropositive donor leukocytesを参照されたい。
【0207】
退行およびMLRの両定量的実験の結果は、視覚的におよび[メチル-3H]チミジン(3H-T)の添加により得た。3H-Tはヌクレオシド類似体であり、増殖細胞のDNAに取り込まれる。細胞が増殖している場合には、カウント/分(cpm)は高く; 細胞が死んでいる場合には、cpmは低い。
【0208】
形質転換および退行
形質転換のバックグラウンド
EBV血清陰性および血清陽性供与者の末梢血単核細胞(PBMC)にEBVを感染させた。PBMC集団のなかに含まれるB細胞のほんの数パーセントが不死化リンパ芽球様細胞株(LCL)に形質転換された。
【0209】
退行のバックグラウンド
(表21)EBV特異的な記憶T細胞により誘導されたEBV血清陽性のPMBCでの退行

【0210】
退行は、EBV特異的な記憶T細胞により誘導されたEBV血清陽性のPMBCにおいてのみ起こる。
【0211】
EB116およびEB115の両方法から単離されたEBI-23およびEBI-24での実験:
EBVを予め感染させたEBV血清陽性および血清陰性供与者のPBMCに、EBI-23およびEBI-24を個別に2 μg/mLの濃度で添加して、形質転換の阻害および/または退行をモニターした。
【0212】
その後、結果を視覚的におよび3H-Tの添加により測定する場合、細胞を28日間インキュベートして定量的データを得た。
【0213】
結果:
個々の形質転換の概要は、EBV血清陰性供与者の末梢血単核細胞(PBMC)からの視覚的データおよび3H-T cpmデータにより判定した。使用した対照はこれらのPBMCから化学物質を差引いたものであった。3H-T cpmのカットオフ値は、この対照値±5倍の較差により各個々のアッセイ法について判定した。この5倍の較差は、対照からの3H-T cpmデータおよび全試験ウェルの目視検査の比較時に選択した。
【0214】
個々の退行の概要は、EBV血清陽性供与者のPBMCからの視覚的データおよび3H-T cpmデータにより判定した。対照はこれらのPBMCから化学物質を差引いたものであった。3H-T cpmのカットオフ値は、この対照値±100倍の較差により各個々のアッセイ法について判定した。この100倍の較差は、全試験ウェルの3H-T cpmおよび視覚的データとの対照からの3H-T cpmおよび視覚的データの比較時に選択した。陽性対照は、退行を阻害することが公知の化学物質サイクロスポリン(CSA)とインキュベートされた細胞からのcpmであったのに対し、陰性対照はPBMCからウイルスおよび化学物質を差引いたものであった。
【0215】
混合リンパ球反応(MLR):
MLRのバックグラウンドおよび方法
同種異系T細胞反応に及ぼすEB115およびEB116から単離されたEBI-23およびEBI-24の効果の研究
PBMCを、放射線照射した、HLA不適合のLCLと混合し、6日後にT細胞活性化/増殖についてモニターした。
【0216】
結果
個々のMLRの概要は、PBMC + HLA不適合のLCLに加えてEB化学物質からの視覚的データおよび3H-T cpmにより判定した。対照はこれらのPBMC + LCLから化学物質を差引いたものであった。3H-T cpmのカットオフ(cut of)値は、この対照値±5倍の較差により各個々のアッセイ法について判定した。この5倍の較差は、全試験ウェルの3H-T cpmおよび視覚的データとの対照からの3H-T cpmおよび視覚的データの比較時に選択した。陽性対照は、MLRを阻害することが公知の化学物質サイクロスポリン(CSA)とインキュベートされた細胞からのcpmであったのに対し、陰性対照はPBMC単独およびLCL単独であった。
【0217】
特異的な化学物質のスクリーニングの結果:
EBI-23およびEBI-24は、形質転換の強力な阻害を示した。
【0218】
実施例6
水素化によるEBI-23の誘導体化
メタノール200 μL中EBI-23 1 mgを室温で24時間PtO2 4 mgにより処理して、以下を得た。

【0219】
実施例7
アセチル化によるEBI-23の誘導体化
無水酢酸およびピリジン(1:1) 400 μL中EBI-23 1 mgを17時間室温で撹拌して、以下を得た。

【0220】
実施例8
水素化によるEBI-24の誘導体化
メタノール200 μL中EBI-24 1 mgを室温で24時間PtO2 4 mgにより処理して、以下を得た。

【0221】
実施例9
酸化によるEBI-24の誘導体化
アセトン200 μL中EBI-24 1 mgを新たに調製したジメチルジオキシラン(DMDO)溶液50 μLにより処理し、0℃で1時間および室温で3時間撹拌して、以下を得た。

【0222】
実施例10
アセチル化によるEBI-24の誘導体化
無水酢酸およびピリジン(1:1) 400 μL中EBI-24 1 mgを17時間室温で撹拌して、以下を得た。

【0223】
実施例11
水素化によるEBI-24の誘導体化
メタノール200 μL中EBI-25 1 mgを室温で24時間PtO2 4 mgにより処理して、以下を得た。

【0224】
実施例12
酸化によるEBI-25の誘導体化
アセトン200 μL中EBI-25 1 mgを新たに調製したジメチルジオキシラン(DMDO)溶液50 μLにより処理し、0℃で1時間および室温で3時間撹拌して、以下を得た。

【0225】
実施例13
アセチル化によるEBI-25の誘導体化
無水酢酸およびピリジン(1:1) 400 μL中EBI-25 1 mgを17時間室温で撹拌して、以下を得た。

【0226】
実施例14
EBI-23、EBI-24およびEBI-25の誘導体化の影響
一連の誘導体化反応をEBI-23、EBI-24およびEBI-25の1 mg量にて行った。質量スペクトルを行って誘導体の性質を確認したが、それらの生成物を、ヒト腫瘍細胞株における増殖阻害活性のこの予備スクリーニングのためには精製しなかった。これらの結果を、誘導体化の間に損失はなかったと想定して比較した。
【0227】
EBI-23は水素化および酸化により(おそらく二重結合の消失によって)その活性の大部分を失ったのに対し、OHのアセチル化または二重結合のエポキシ化ではさほど影響がなかった。長い側鎖の中に二重結合を有する関連構造のEBI-24は、EBI-23よりも10倍効能が低く、水素化によってのみ活性の消失が引き起こされた。EBI-25はこの系のうち最も効能が低かった。これは、おそらくアセチル化OHの影響を弱める極性増大の結果として、エポキシ化の後にいっそう活性になった。
【0228】
実施例15
EBI-23の形態学的効果および細胞周期効果
IC50に近い用量では、アポトーシスなどの特徴的な形態変化はこれらの化合物により観察されなかった。これはPKC (原型化合物PMA)、DNA損傷(原型シスプラチン)、キナーゼ(原型スタウロスポリン)、ミトコンドリアまたは原形質膜(細胞溶解)のような標的を除外する傾向がある。
【0229】
1 μg/mLのEBI-23による処理から24時間後のいくつかの細胞株のフローサイトメトリーによって、さまざまな程度のG2/M停止が示唆される。しかしながら、これはチューブリンリガンドにより処理された細胞に特有の丸い形態によって達成されなかった。DNA断片は検出されず、あるとしてもほとんど無いアポトーシスが起きたという目視観察の結果を補強するものであった。
【0230】
実施例16
C57BL/6系マウスでのEBI-23によるB16黒色腫の増殖の阻害
マウスでのMTDを判定するための予備実験の後、C57BL/6系マウスにB16黒色腫細胞を移植し(部位当たり細胞0.5百万個、マウスsc(皮下)当たり2部位、マウス3匹/群)、処置を24時間後に開始した。この初期研究の場合、最終のエタノールレベルが2%であるように、エタノール溶液を生理食塩水に希釈することでEBI-23を調製した。このようにして得られた混濁溶液を7日間毎日マウスに腹腔内注射した。腫瘍サイズおよび体重を長時間にわたり測定した。
【0231】
結果(図5)から用量依存的な反応が示され、250 μg/マウス/日の用量によるB16増殖の顕著な低下、および80 μgで測定可能な反応が示された。
【0232】
高用量ではいくらかの体重減少が認められたことを除き、マウスはこの計画を十分に許容した。EBI-23の限定的供給のため、処置を13日で中断した。
【0233】
実施例17
ヌードマウスにおけるDU145前立腺腫瘍の処置
ヌードマウスにおけるDU145前立腺腫瘍に及ぼすEBI-23の作用を詳しく調べた。マウスを、14日目まで200 mg/マウス/日、その後400 mg/マウス/日により処置した。この結果を図6および7に示す。
【0234】
実施例18
免疫調節: 混合リンパ球反応の阻害
γ線照射したリンパ芽球様細胞(LCL、Esptein-Barrウイルス形質転換B細胞; 17,000個)をヒト末梢血リンパ球(PBMC; マイクロタイターウェル当たり50,000個)、次いで薬物に添加し、上記のように37℃でインキュベートし、第4日目に[3H]-チミジンで標識した。細胞を溶解し、シンチレーション計測のためガラス繊維マット上で洗浄した。同じ薬物濃度を対照のLCL (細胞10,000個/ウェル)に対するアッセイ法により直接的毒性について試験した。
【0235】
MLRでは、非増殖性B細胞株により発現される同種抗原に対する増殖反応を起こす正常ヒトT細胞の能力を測定する。陽性対照の化合物、つまり臨床上用いられる免疫抑制薬サイクロスポリンAは、MLRを完全に阻害した。EBI-23は1 μg/mLでMLRを阻害することが分かった。これは一般的毒性によるものではなかった。何故なら、対照LCLの増殖は影響を受けなかったからである。
【0236】
細胞増殖を阻害するのに必要なレベルよりもやや高い用量でのEBI-23によるMLRの阻害から、EBI-23が免疫抑制薬としての可能性を有することが示唆される。理論により束縛されることを望むわけではなく、実際に、抗がん活性はラクトン環中の求核剤によるβ置換の可能性から分子レベルで生じうる。このような求核剤は特異的な細胞タンパク質中のアミノまたは反応性チオール基を含み、EBI-23ファミリーの個別的成員の化学反応性および脂肪族尾部から与えられる特異性を有しうる。
【0237】
実施例19
いくつかの植物抽出物を以下のHPLC分離系の一つでHPLCによる精製に供した。
カラム: Phenomenex luna 5u 250×4.60 mm C18
流量: 0.5 ml/分
溶媒系: メタノール/水
勾配:

【0238】
単離化合物をいくつかのヒトおよび非ヒトがん細胞株に対して試験した。ヒト腫瘍細胞株は乳がん細胞株MCF-7、MDA-MB-231およびT47D、前立腺がん細胞株DU145およびPC3、卵巣がん細胞株CI80-13S、黒色腫細胞株MM96L、D04、SkMel5、MM418c5、結腸がん細胞株HT29、白血病細胞株K562およびHL60であった。マウス細胞株はB16マウス黒色腫およびLK2 UV誘発性の扁平上皮細胞がん(SCC)であった。新生児包皮線維芽細胞(NFF)を正常の対照細胞として使用した。10%ウシ胎仔血清を含有するRPMI 1640培地中にて、5%二酸化炭素/空気中37℃で細胞を培養した。
【0239】
結果を表22に示す。
【0240】
(表22) スピロケタールの記述および抗がん活性

【0241】
本明細書の全体を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprises)」という語、および「含む(comprise)」または「含む(comprising)」のような変形は、記述された整数または整数もしくは段階の群の包含を意味するが、しかしその他任意の整数または整数の群の排除を意味しないことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0242】
【図1】式(I)の化合物の最初の溶媒抽出に関するフローチャート。
【図2A】図1から得られた水性濃縮物に対する溶媒分配を示すフローチャート。
【図2B】図1から得られた酢酸エチル残留物に対する溶媒分配を示すフローチャート。
【図3】分取HPLCクロマトグラフィーでの段階を示すフローチャート。
【図5】C57BL/6系マウスにおけるEBI-23でのB16黒色腫細胞の処置を図式的に示す。
【図6】処置開始の時間から描いたヌードマウスにおけるDU145前立腺腫瘍の処置を図式的に示す。
【図7】腫瘍細胞注射の時間から描いたヌードマウスにおけるDU145前立腺腫瘍の処置を図式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物、または薬学的に、農学的にもしくは殺虫的に許容されるその塩:

式中
X、YおよびZが-O-、-S-、-NH-、-N(C1〜C6アルキル)-および-CH2-から独立して選択され;
R50が-CH3、-C3〜C8シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールから選択され;
R51、R52、R57、R58、R61、R62、R67、R68、R69およびR70が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C1Oハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択され;
R53〜R56が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR54およびR55が一緒になって二重結合を形成するかもしくは-O-であるか; またはR53およびR54もしくはR55およびR56が一緒になってカルボニル基を形成し;
R59およびR60が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR59およびR60が一緒になってカルボニル基を形成し;
R63〜R66が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR64およびR65が一緒になって二重結合を形成するかもしくは-O-であるか; またはR63およびR64もしくはR65およびR66が一緒になってカルボニル基を形成し;
R71およびR72が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR71およびR72が一緒になってカルボニル基を形成し;
R73〜R76が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR74およびR75が一緒になって二重結合を形成するかもしくは-O-であるか; またはR73およびR74もしくはR75およびR76が一緒になってカルボニル基を形成し;
R77およびR78が水素、-C1〜C10アルキル、-C2〜C10アルケニルおよび-C2〜C10アルキニルから独立して選択され;
Wが-O-、-S-、-NH-および-N(C1〜C6アルキル)-から選択され;
Rが水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルケニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキルおよび-C1〜C10トリハロアルキルから選択され;
pおよびqが独立して0または1であり; ならびに
rが1〜8の整数であり;
ここでそれぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールが置換されてもよい。
【請求項2】
X、YおよびZが-O-および-S-から独立して選択され;
R50が-CH3、-C3〜C8シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールから選択され;
R51、R52、R57、R58、R61、R62、R67、R68、R69およびR70が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C1Oハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択され;
R53〜R56が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR54およびR55が一緒になって二重結合もしくは-O-を形成し;
R59が水素でありかつR60が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR59およびR60が一緒になってカルボニル基を形成し;
R63およびR64が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択され;
R65が水素でありかつR66が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR65およびR66が一緒になってカルボニル基を形成するか; またはR64およびR65が一緒になって二重結合を形成し;
R71が水素でありかつR72が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR71およびR72が一緒になってカルボニル基を形成し;
R73〜R76が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR74およびR75が一緒になって二重結合もしくは-O-を形成し;
R77およびR78が水素および-C1〜C10アルキルから独立して選択され;
Wが-O-、-S-、-NH-および-N(C1〜C6アルキル)-から選択され;
Rが水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルケニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキルおよび-C1〜C10トリハロアルキルから選択され;
pおよびqが0または1であり; ならびに
rが1〜8の整数であり;
ここでそれぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールが置換されてもよい、
請求項1記載の化合物、または薬学的に、農学的にもしくは殺虫的に許容されるその塩。
【請求項3】
式(III)の化合物、または薬学的に、農学的にもしくは殺虫的に許容されるその塩である、請求項1記載の化合物:

式中:
R50が-CH3、-C3〜C8シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールから選択され;
R51、R52、R57およびR58が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C1Oハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(O)Rおよび-OC(O)Rから独立して選択され;
R53〜R56が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(O)Rおよび-OC(O)Rから独立して選択されるか; またはR54およびR55が一緒になって二重結合もしくは-O-を形成し;
R59が水素でありかつR60が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR59およびR60が一緒になってカルボニル基を形成し;
R63およびR64が水素であり;
R65が水素でありかつR66が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR65およびR66が一緒になってカルボニル基を形成するか; またはR64およびR65が一緒になって二重結合を形成し;
R71が水素でありかつR72が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR71およびR72が一緒になってカルボニル基を形成し;
R73〜R76が水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルキニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシアルキル、ハロ、-CN、-NO2、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキル、-C1〜C10トリハロアルキル、-COR、-CO2R、-OR、-SR、-N(R)2、-NROR、-ON(R)2、-SOR、-SO2R、-SO3R、-SON(R)2、-SO2N(R)2、-SO3N(R)2、-P(R)3、-P(O)(R)3、-OSi(R)3、-OB(R)2、-C(W)Rおよび-WC(W)Rから独立して選択されるか; またはR74およびR75が一緒になって二重結合もしくは-O-を形成し;
Rが水素、-C1〜C20アルキル、-C2〜C20アルケニル、-C2〜C20アルケニル、-C3〜C8シクロアルキル、-C6〜C14アリール、-C5〜C14ヘテロアリール、-C3〜C14ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、-C1〜C10ハロアルキル、-C1〜C10ジハロアルキルおよび-C1〜C10トリハロアルキルから選択され;
pおよびqが0または1であり; ならびに
rが1〜8の整数であり;
ここでそれぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールが置換されてもよい。
【請求項4】
X、YおよびZが酸素である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R50が-CH3、フェニルまたはヘテロアリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R51、R52、R57およびR58が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R53〜R56が水素、-C1〜C6アルキル、-COC1〜C6アルキル、-CO2H、CO2C1〜C6アルキル、-OH、-OC1〜C6アルキルおよび-OC(O)C1〜C6アルキルから独立して選択されるかまたはR54およびR55が一緒になって二重結合もしくは-O-を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
R59が水素でありかつR60が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR59およびR60が一緒になってカルボニル基を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
R61、R62、R67、R68、R69およびR70が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
R63およびR64が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
R65が水素でありかつR66が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR59およびR60が一緒になってカルボニル基を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
R64およびR65が二重結合を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
R71が水素でありかつR72が-OH、-OC1〜C10アルキル、-OC2〜C10アルケニル、-Oシクロアルキル、-Oアリール、-Oヘテロシクリル、-Oヘテロアリール、-OC1〜C10アルキルシクロアルキル、-OC1〜C10アルキルアリール、-OC1〜C10アルキルヘテロシクリル、-OC1〜C10アルキルヘテロアリールおよび-OC(O)Rから選択されるか; またはR71およびR72が一緒になってカルボニル基を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
R73、R74、R75およびR76が水素であるか、またはR73およびR76が水素でありかつR74およびR75が一緒になって二重結合もしくは-O-を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
R77およびR78が独立して水素またはメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
請求項1記載の化合物および薬学的に、農学的にまたは殺虫的に許容される担体を含む、薬学的、農学的または殺虫的組成物。
【請求項17】
請求項1記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与する段階を含む、細菌感染症を処置するかまたは予防する方法。
【請求項18】
請求項1記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与する段階を含む、寄生虫感染症を処置するかまたは予防する方法。
【請求項19】
請求項1記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与する段階を含む、細胞増殖性障害を処置するかまたは予防する方法。
【請求項20】
第二の化学療法薬の投与をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
請求項1記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与する段階を含む、原虫感染症を処置するかまたは予防する方法。
【請求項22】
請求項1記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与する段階を含む、炎症性障害を処置するかまたは予防する方法。
【請求項23】
請求項1記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を被験体に投与する段階を含む、利尿の方法。
【請求項24】
細菌感染症、寄生虫感染症、原虫感染症、細胞増殖性障害もしくは炎症性障害を処置するかもしくは予防するための医用薬剤の製造でのまたは利尿医用薬剤の製造のための請求項1記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項25】
請求項1記載の化合物、または薬学的に、農学的にもしくは殺虫的に許容されるその塩の有効量を被験体または害虫が蔓延している環境に適用する段階を含む、害虫を制御する方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−520698(P2009−520698A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546040(P2008−546040)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/AU2006/002000
【国際公開番号】WO2007/070984
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(508186794)エコバイオティクス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】