説明

スピーカ装置及びツィータユニット

【課題】放熱性の向上を図ったツィータユニット及び当該ツィータユニットを備えるスピーカ装置を提供すること。
【解決手段】ウーファユニットとツィータユニットとを同軸上に配置したスピーカ装置において、ツィータユニットは、磁気回路を構成するヨークと、非磁性体の金属で形成され、一端がヨークに当接して当該ヨークの熱を伝える伝熱部材とを備え、この伝熱部材の他端をウーファユニットに設けられ、伝熱部材を介して伝えられた熱を外部に放出する放熱部に係止した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウーファユニット(低音域用スピーカ)とツィータユニット(高音域用スピーカ)とを同軸上に配置したスピーカ装置及びツィータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ウーファユニットとツィータユニットとを同軸上に配置したスピーカ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のスピーカ装置は、例えば、自動車の車両のような狭い空間に当該スピーカ装置を設置する場合にも、装置の大型化を伴うことなく、広い再生周波数帯域を確保することができるため広く利用されている。
【特許文献1】特開2005−303484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この種のスピーカ装置では、ツィータユニットの外周部に爪等のロック機構を備える樹脂性のカバー体を設け、このロック機構によりツィータユニットをウーファユニットに取り付けている。このため、ツィータユニットの外周部が樹脂性のカバー体で覆われることにより、当該ツィータユニットの放熱性が悪化するといった問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、放熱性の向上を図ったツィータユニット及び当該ツィータユニットを備えるスピーカ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、ウーファユニットとツィータユニットとを同軸上に配置したスピーカ装置において、前記ツィータユニットは、磁気回路を構成するヨークと、非磁性体の金属で形成され、一端が前記ヨークに当接して当該ヨークの熱を伝える伝熱部材とを備え、この伝熱部材の他端を前記ウーファユニットに設けられ、前記伝熱部材を介して伝えられた熱を外部に放出する放熱部に係止したことを特徴とする。
本構成によれば、ツィータユニットのヨークに生じた熱は伝熱部材を通じて、ウーファユニットに設けた放熱部に伝達され、この放熱部でウーファユニットの外部に放出されるため、ツィータユニットの放熱性を向上することができる。これによれば、ツィータユニットに熱がこもることが防止されるため、このツィータユニットに流れる定格電流値を大きくとることができ、高出力化を図ることができる。また、伝熱部材は、非磁性体の金属で形成されているため、ツィータユニットのヨークとウーファユニットの放熱部との磁気干渉を防止することができる。
【0006】
この構成において、前記伝熱部材は、この伝熱部材の他端に形成された第1の締結部を備え、前記放熱部は、前記第1の締結部に係合して、前記ツィータユニットを前記ウーファユニットに締結する第2の締結部を備える構成としても良い。この構成によれば、第1の締結部と第2の締結部とを係合させることにより、ツィータユニットの放熱と、このツィータユニットのウーファユニットへの締結とを同時に実現できるため、部品点数を削減することができ、スピーカ装置の構成を簡素化することができる。
【0007】
また、前記第1の締結部は、雄ねじ又は雌ねじのいずれか一方であり、前記第2の締結部は、前記雄ねじ又は雌ねじのいずれか他方である構成としても良い。この構成によれば、伝熱部材を回転させることにより、第1の締結部と第2の締結部とが螺合するため、この第1の締結部を第2の締結部に係脱させることができ、ツィータユニットをウーファユニットに簡単に着脱することができる。また、雄ねじと雌ねじとが係合することにより、伝熱部材と放熱部との伝熱面積(接触面積)を広く確保できるため、熱伝導性が向上し、ツィータユニットの放熱性を向上することができる。
【0008】
また、前記伝熱部材は、前記ツィータユニットのヨークに面接触する頭部と、前記ウーファユニットの放熱部に設けられた雌ねじに係合する雄ねじとを備えるボルトである構成としても良い。この構成によれば、ボルトを回転させることにより、このボルトの雄ねじと放熱部の雌ねじとが螺合するため、このボルトを雌ねじに係脱させることができ、ツィータユニットをウーファユニットに簡単に着脱することができる。また、既存のボルトを利用することにより、ツィータユニットの製作コストの低減化を図ることができる。
【0009】
また、前記放熱部は、前記ウーファユニットの磁気回路を構成するヨークである構成としても良い。この構成によれば、外部に熱を放出できる放熱部を別個にウーファユニットに設ける必要がないため、ウーファユニット、ひいてはスピーカ装置の構成を簡素化することができる。
【0010】
また、本発明は、車両の居室内に設けられた金属製の取付具に配置されるツィータユニットであって、磁気回路を構成するヨークと、非磁性体の金属で形成され、一端が前記ヨークに当接して当該ヨークの熱を伝える伝熱部材とを備え、この伝熱部材の他端を前記取付具を構成し、前記伝熱部材を介して伝えられた熱を外部に放出する放熱部に係止したことを特徴とする。
この構成によれば、ツィータユニットのヨークに生じた熱は伝熱部材を通じて、金属製の取付具を構成する放熱部に伝達され、この放熱部で外部に放出されるため、ツィータユニットの放熱性を向上することができる。これによれば、ツィータユニットに熱がこもることが防止されるため、このツィータユニットに流れる定格電流値を大きくとることができ、高出力化を図ることができる。また、伝熱部材は、非磁性体の金属で形成されているため、ヨークと放熱部との磁気干渉を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ツィータユニットのヨークに生じた熱は伝熱部材を通じて、ウーファユニットに設けた放熱部に伝達され、この放熱部でウーファユニットの外部に放出されるため、ツィータユニットの放熱性を向上することができる。これによれば、ツィータユニットに熱がこもることが防止されるため、このツィータユニットに流れる定格電流値を大きくとることができ、高出力化を図ることができる。また、伝熱部材は、非磁性体の金属で形成されているため、ツィータユニットのヨークとウーファユニットの放熱部との磁気干渉を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態にかかるスピーカ装置10の部分断面図であり、図2は、図1からツィータユニットを外した状態を示すスピーカ装置10の部分断面図である。このスピーカ装置10は、例えば、車両のドアトリム(不図示)に搭載される車載用スピーカとして利用されるものである。
スピーカ装置10は、図1に示すように、ウーファユニット(低音域用スピーカ)11と、ツィータユニット(高音域用スピーカ)12とを同軸上に配置して構成されたコアキシャルスピーカである。
ウーファユニット11は、円盤状に形成された基部15Aとこの基部15Aの中心から突出した円柱状のボス部15Bとからなるヨーク(放熱部)15と、このヨーク15の基部15A上に積層配置されたマグネット16と、このマグネット16上に積層配置されたトッププレート17と、このトッププレート17に固定されたフレーム18とを備える。本構成では、ヨーク15、マグネット16及びトッププレート17を備えてウーファユニット11の磁気回路19が構成される。
【0013】
また、上記ボス部15Bの外周部とトッププレート17との隙間には、巻装されたボイスコイル20が配置され、このボイスコイル20には非導電体で形成される円筒形状のボビン21が接続されている。このボビン21の端部には、振動板としてのコーン紙22が接着されて取り付けられ、このコーン紙22は、その周縁部がフレーム18に取り付けられている。また、上記ボビン21は、緩衝部材としてのダンパ23を介してフレーム18に取り付けられている。
【0014】
また、ヨーク15には、図1及び図2に示すように、このヨーク15のボス部15Bの略中央に、後述するツィータユニット12のリード線30が通過する貫通孔25が形成され、この貫通孔25の内周面には雌ねじ(第2の締結部)25Aが形成されている。
【0015】
一方、ツィータユニット12は、図2に示すように、円形皿状に形成されたヨーク31と、このヨーク31上に積層配置されるマグネット32と、このマグネット32上に積層配置されるプレート33と、このプレート33に固定されるフレーム34と、このフレーム34に取り付けられるドーム型の振動板35とを備える。この図2では、図示を省略したが、振動板35には、ボビンを介してボイスコイルが接続され、このボイスコイルはプレート33とヨーク31との隙間に配置される。また、このボイスコイルは、ヨーク31の周囲に設けられた一対の端子39に接続されており、これら端子39には上記リード線30が接続されている。なお、本構成では、ヨーク31、マグネット32及びプレート33を備えてツィータユニット12の磁気回路36が構成される。
【0016】
本構成では、ツィータユニット12は、ヨーク31の背面31A側(図2中下面)に当接して当該ヨーク31に生じた熱を外部に伝える伝熱部材38と、この伝熱部材38に保持され、上記ヨーク31の背面31Aを覆う樹脂性のカバー体37とを備える。このカバー体37は、ツィータユニット12が報音動作する際の振動を吸収する機能とともに、このツィータユニット12をウーファユニット11に取り付けた際に、ツィータユニット12の磁気回路36とウーファユニット11の磁気回路19とが接触することを防止し、当該両ユニットの磁気回路19、36の干渉を防止する機能を有する。また、カバー体37は円形の基部37Aを備え、この基部37Aの略中央には、伝熱部材38が貫通する貫通孔37Bと、この貫通孔37Bに形成された雌ねじ37Cとを備える。
【0017】
伝熱部材38は、例えば、アルミニウムのように熱伝導性が高く、非磁性体である金属によって形成された部材である。具体的には、伝熱部材38は、ヨーク31の背面31Aに当接する頭部38Aと、上記カバー体37を貫通する軸部38Bとを有する非磁性体の金属で形成されたボルトが用いられている。
伝熱部材38の頭部38Aは、例えば、シリコン樹脂材等の熱伝導性を有する材料を用いてヨーク31の背面31Aに接着されている。これにより、ヨーク31が伝熱部材38を支持できるとともに、このヨーク31の熱を伝熱部材38に伝達することが可能となる。また、軸部38Bには、上記カバー体37に形成された雌ねじ37Cに係合する雄ねじ(第1の締結部)40が形成されている。これにより、カバー体37は、このカバー体37の雌ねじ37Cが伝熱部材38の雄ねじ40と係合することにより、この伝熱部材38に支持される。
【0018】
また、伝熱部材38は、図3(A)、(B)に示すように、頭部38Aの径方向に沿って設けられた溝部41と、この溝部41と略同径であって当該伝熱部材38の軸部38Bに沿って設けられた孔部42とを備える。これら溝部41及び孔部42には、上記リード線30が配置され、当該溝部41及び孔部42を通じてツィータユニット12の外部に引き出される構成となっている。これにより、伝熱部材38の頭部38Aとヨーク31の背面31Aとの密着性を確保しつつ、リード線30の引き回しを容易に行うことができる。
【0019】
本構成では、ツィータユニット12は、上記伝熱部材38を介して、ウーファユニット11のヨーク15のボス部15Bに係止されている。具体的には、図1に示すように、伝熱部材38の軸部38Bに形成された雄ねじ40を、上記ヨーク15のボス部15Bに形成された雌ねじ25Aに係合させることにより、ツィータユニット12をウーファユニット11に取り付けている。
この構成によれば、ツィータユニット12のフレーム34と手指で摘み、このツィータユニット12を回転させることにより、上記した雄ねじ40と雌ねじ25Aとが係脱するため、当該ツィータユニット12を容易にウーファユニット11に着脱することができる。この場合、ウーファユニット11は、図2に示すように、ヨーク15のボス部15Bとツィータユニット12のカバー体37との接触面に弾性体26が配置されている。これにより、ツィータユニット12をウーファユニット11にねじ込んだ際に、これらツィータユニット12とウーファユニット11との密着性を高めることができる。
また、ツィータユニット12のヨーク31とウーファユニット11のヨーク15とが伝熱部材38によって熱的に連結されるため、上記ツィータユニット12のヨーク31に生じた熱は、伝熱部材38を通じて、ウーファユニット11のヨーク15に伝達される。これにより、ツィータユニット12の放熱性が向上される。
ここで、雄ねじ40及び雌ねじ25Aのピッチは細かいものが望ましい。ねじピッチを細かいものにすることにより、伝熱部材38とヨーク15との伝熱面積(接触面積)が増加するため、ツィータユニット12の放熱性をより向上させることができる。
また、伝熱部材38は、上述のように、非磁性体の金属で形成されている。これによれば、伝熱部材38でツィータユニット12のヨーク31とウーファユニット11のヨーク15とを連結した場合であっても、両ヨーク15、31の磁気干渉を防止することができる。
【0020】
本実施形態によれば、ウーファユニット11とツィータユニット12とを同軸上に配置したスピーカ装置10において、ツィータユニット12は、磁気回路36を構成するヨーク31と、非磁性体の金属で形成され、一端がヨーク31に当接して当該ヨーク31の熱を伝える伝熱部材38とを備え、この伝熱部材38の他端をウーファユニット11のヨーク15に係止したため、ツィータユニット12のヨーク31に生じた熱は伝熱部材38を通じて、ウーファユニット11のヨーク15に伝達され、このヨーク15でウーファユニット11の外部に放出されるため、ツィータユニット12の放熱性を向上することができる。
これによれば、ツィータユニット12に熱がこもることが防止されるため、このツィータユニット12に流れる定格電流値を大きくとることができ、高出力化を図ることができる。また、伝熱部材38は、非磁性体の金属で形成されているため、ツィータユニット12のヨーク31とウーファユニット11のヨーク15との磁気干渉を防止することができる。
【0021】
また、本実施形態によれば、伝熱部材38は、この伝熱部材38の他端に形成された雄ねじ40を備え、上記ヨーク15はこの雄ねじ40に係合して、ツィータユニット12をウーファユニット11に締結する雌ねじ25Aを備えるため、上記雄ねじ40と雌ねじ25Aとを螺合させることにより、ツィータユニット12の放熱と、このツィータユニット12のウーファユニット11への締結とを同時に実現できるため、部品点数を削減することができ、スピーカ装置10の構成を簡素化することができる。
また、伝熱部材38を回転させることにより、雄ねじ40と雌ねじ25Aとが螺合するため、伝熱部材38をヨーク15に係脱させることができ、ツィータユニット12をウーファユニット11に簡単に着脱することができる。また、雄ねじ40と雌ねじ25Aとが係合することにより、伝熱部材38とヨーク15との伝熱面積(接触面積)を広く確保できるため、熱伝導性が向上し、ツィータユニット12の放熱性を向上することができる。
【0022】
また、本実施形態によれば、伝熱部材38は、ツィータユニット12のヨーク31に面接触する頭部38Aと、ウーファユニット11のヨーク15に設けられた雌ねじ25Aに係合する雄ねじ40とを備えるボルトであるため、既存のボルトを利用することにより、ツィータユニット12の製作コストの低減化を図ることができる。
【0023】
また、本実施形態によれば、伝熱部材38の他端をウーファユニット11の磁気回路19を構成するヨーク15に係止したため、外部に熱を放出するための放熱部を、ヨーク15とは別個にウーファユニット11に設ける必要がなく、ウーファユニット11、ひいてはスピーカ装置10の構成を簡素化することができる。
【0024】
次に、別の実施形態について説明する。
上記した実施形態では、放熱部としてウーファユニットのヨーク15を利用する構成について説明したが、この放熱部をヨーク15とは別個に設ける構成としても良い。
この構成では、図4に示すように、ウーファユニット11は、ヨーク15の背面(図中下面)に配置される放熱板(放熱部)50を備える構成となっている。この図4において、上記実施形態と同一の構成を有する部材については同一の符号を付して説明を省略する。
放熱板50は、ヨーク15の背面に配置される金属板であり、外気に接触して放熱性を高めるようになっている。また、放熱板50の略中央には貫通孔50Aが設けられ、この貫通孔50Aの内周面には、伝熱部材38の軸部38Bに形成された雄ねじ40に係合する雌ねじ50Bが形成されている。
この構成によれば、上記実施形態と同様に、ツィータユニット12のヨーク31に生じた熱は伝熱部材38を通じて、ウーファユニット11の放熱板50に伝達され、この放熱板50でウーファユニット11の外部に放出されるため、ツィータユニット12の放熱性を向上することができる。さらに、ウーファユニット11のヨーク15に形成した貫通孔25に雌ねじを設ける必要がなく、ヨーク15の構成を簡素化することができる。
【0025】
また、別の実施形態を説明する。
上記実施形態では、ウーファユニット11とツィータユニット12とが同軸上に配置されたコアキシャル型のスピーカ装置10におけるツィータユニット12の放熱構造について説明したが、この別の実施形態では、ツィータユニット12単体の放熱構造に関する。この実施形態でも、上記実施形態と同一の構成を備える部材には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
この別の実施形態では、ツィータユニット12は、図5に示すように、例えば、車両の居室内に設けられた金属製の取付具60に配置されている。この取付具60は、ツィータユニット12を支持する部材であり、スピーカスタンドやブラケット等を含み、車両のダッシュボード70の上に載置されている。
本構成では、取付具(放熱体)60は、ツィータユニット12の外周面を保持する円筒形状の本体61と、この本体61内の空間を軸方向に仕切るように設けられ、上記ツィータユニット12の底面を支持する支持部62とを備える。
本体61の底部は軸方向に対して斜めに形成されており、上記取付具60に配置されたツィータユニット12が、例えば、運転者に指向するようになっている。
支持部62は、その略中央に軸方向に沿って延びる円筒部63が形成され、この円筒部63の内周面に上記ツィータユニット12が備える伝熱部材38の雄ねじ40に係合する雌ねじ64が形成されている。
この構成によれば、ツィータユニット12のフレーム34と手指で摘み、このツィータユニット12を回転させることにより、上記した雄ねじ40と雌ねじ64とが係脱するため、当該ツィータユニット12を容易に取付具60に着脱することができる。
【0027】
この別の実施形態によれば、車両の居室内に設けられた金属製の取付具60に配置されるツィータユニット12であって、磁気回路36を構成するヨーク31と、非磁性体の金属で形成され、一端がヨーク31に当接して当該ヨーク31の熱を伝える伝熱部材38とを備え、この伝熱部材38の他端を、伝熱部材38を介して伝えられた熱を外部に放出する放熱部としての取付具60に係止したため、ツィータユニット12のヨーク31に生じた熱は伝熱部材38を通じて、放熱部としての取付具60に伝達され、この取付具60で外部に放出されるため、ツィータユニット12の放熱性を向上することができる。これによれば、ツィータユニット12に熱がこもることが防止されるため、このツィータユニット12に流れる定格電流値を大きくとることができ、高出力化を図ることができる。また、伝熱部材38は、非磁性体の金属で形成されているため、ヨーク31と取付具60との磁気干渉を防止することができる。
【0028】
以上、本発明を実施するための最良の形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。例えば、上記実施形態では、伝熱部材38の他端に雄ねじ40を形成し、この雄ねじ40を放熱部に形成された雌ねじに係合する構成としているが、これに限るものではなく、伝熱部材の他端に雌ねじを形成し、放熱部に突出部を形成し、この突出部の周囲に雄ねじを形成する構成としても良いことは勿論である。この構成によっても、雄ねじと雌ねじとが係合することによって、ツィータユニットの放熱と、このツィータユニットのウーファユニットへの締結とを同時に実現できるため、部品点数を削減することができ、スピーカ装置の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係るスピーカ装置の部分断面図である。
【図2】ウーファユニットからツィータユニットを外した状態を示す部分断面図である。
【図3】放熱部材の構成を示す図であり、(A)は放熱部材の上面図、(B)は放熱部材の部分側断面図である。
【図4】別の実施形態にかかるスピーカ装置の部分断面図である。
【図5】別の実施形態にかかるツィータユニットの部分断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 スピーカ装置
11 ウーファユニット
12 ツィータユニット
15 ヨーク(放熱部)
15A 基部
15B ボス部
16 マグネット
17 トッププレート
19 磁気回路
25 貫通孔
25A 雌ねじ(第2の締結部)
30 リード線
31 ヨーク
32 マグネット
33 プレート
35 振動板
36 磁気回路
37 カバー体
38 伝熱部材
40 雄ねじ(第1の締結部)
50 放熱板(放熱部)
50B 雌ねじ(第2の締結部)
60 取付具(放熱部)
64 雌ねじ(第2の締結部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウーファユニットとツィータユニットとを同軸上に配置したスピーカ装置において、
前記ツィータユニットは、磁気回路を構成するヨークと、非磁性体の金属で形成され、一端が前記ヨークに当接して当該ヨークの熱を伝える伝熱部材とを備え、この伝熱部材の他端を前記ウーファユニットに設けられ、前記伝熱部材を介して伝えられた熱を外部に放出する放熱部に係止したことを特徴とするスピーカ装置。
【請求項2】
前記伝熱部材は、この伝熱部材の他端に形成された第1の締結部を備え、前記放熱部は、前記第1の締結部に係合して、前記ツィータユニットを前記ウーファユニットに締結する第2の締結部を備えることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ装置。
【請求項3】
前記第1の締結部は、雄ねじ又は雌ねじのいずれか一方であり、前記第2の締結部は、前記雄ねじ又は雌ねじのいずれか他方であることを特徴とする請求項2に記載のスピーカ装置。
【請求項4】
前記伝熱部材は、前記ツィータユニットのヨークに面接触する頭部と、前記ウーファユニットの放熱部に設けられた雌ねじに係合する雄ねじとを備えるボルトであることを特徴とする請求項1又は2に記載のスピーカ装置。
【請求項5】
前記放熱部は、前記ウーファユニットの磁気回路を構成するヨークであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスピーカ装置。
【請求項6】
車両の居室内に設けられた金属製の取付具に配置されるツィータユニットであって、
磁気回路を構成するヨークと、非磁性体の金属で形成され、一端が前記ヨークに当接して当該ヨークの熱を伝える伝熱部材とを備え、この伝熱部材の他端を前記取付具を構成し、前記伝熱部材を介して伝えられた熱を外部に放出する放熱部に係止したことを特徴とするツィータユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−27673(P2009−27673A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191736(P2007−191736)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】