スピーカ
【課題】組み立て時に、煩雑な作業を行うことなくセンサ部の位置調整を行うことが可能なスピーカを提供する。
【解決手段】このスピーカ20は、装置本体の外側面に取り付けられたマグネット5と、音を発生させるためのコーン紙2と、コーン紙2の振動を検知するための圧電フィルム6と、マグネット5の外面に移動可能に取り付けられるとともに、圧電フィルム6を支持する圧電フィルム支持部材7とを備えることにより、圧電フィルム支持部材7をマグネット5の外面を移動させながら圧電フィルム6の位置調整を行う。
【解決手段】このスピーカ20は、装置本体の外側面に取り付けられたマグネット5と、音を発生させるためのコーン紙2と、コーン紙2の振動を検知するための圧電フィルム6と、マグネット5の外面に移動可能に取り付けられるとともに、圧電フィルム6を支持する圧電フィルム支持部材7とを備えることにより、圧電フィルム支持部材7をマグネット5の外面を移動させながら圧電フィルム6の位置調整を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スピーカに関し、特に、音を発生させるための振動板を備えたスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音を発生させるための振動板を備えたスピーカが知られている。また、振動板の振動を検知するためのセンサ部が設けられたスピーカが知られている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
上記特許文献1には、加速度センサ(センサ部)を有する円筒状の取付体と、ボイスコイルボビンと、ダストキャップとを備えた動電型スピーカが開示されている。この特許文献1に記載の動電型スピーカでは、円筒状の取付体を、接着剤が塗布されたボイスコイルボビンの内周面に沿って接着した後に、ダストキャップをボイスコイルボビンの筒穴部分を塞ぐように接合するように構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、裏面側に圧電センサ(センサ部)を含むセンターキャップと、ボビンとを備えたスピーカユニットが開示されている。この特許文献2に記載のスピーカユニットでは、圧電センサをセンターキャップの裏面に接着した後に、センターキャップをボビンの筒穴部分を塞ぐように接合するように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、円板状の加速度センサ(センサ部)と、一方端部に切欠き部を含むボイスコイルボビンと、振動板と、ダストキャップとを備えたスピーカが開示されている。この特許文献3に記載のスピーカでは、平面的に見て、加速度センサの半分がボイスコイルボビンの内周面側に突出するように切欠き部に接着されるとともに、加速度センサからの配線がボイスコイルボビンの内側から外側に貫通して出力端子に接続されている。そして、切欠き部および加速度センサを覆うようにしてボイスコイルボビンに振動板が取り付けられるとともに、ダストキャップが切欠き部および加速度センサを塞ぐように振動板に接合されている。
【0006】
また、従来では、圧電素子により振動板を振動させることによって音を発生させるスピーカが知られている(たとえば、特許文献4)。
【0007】
上記特許文献4には、円形状の振動板と、圧電素子とを備えたスピーカ装置が開示されている。この特許文献4に記載のスピーカ装置では、振動板の上面および下面にそれぞれ圧電素子が固着されているとともに、この2つの圧電素子のそれぞれに正負が逆の電気信号を印加することにより振動板が撓んで音圧が発生するように構成されている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−041690号公報
【特許文献2】特開平07−059188号公報
【特許文献3】特開平06−245293号公報
【特許文献4】特開2007−006459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の動電型スピーカでは、加速度センサは振動系の内部に配置されるので、組み立て時に加速度センサの位置調整を行う場合に作業が行いにくいという不都合がある。したがって、組み立て時に、加速度センサの位置調整を行う場合の作業が煩雑であるという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献2に記載のスピーカユニットでは、圧電センサは振動系の内部に配置されるので、組み立て時に圧電センサの位置調整を行う場合に作業が行いにくいという不都合がある。したがって、組み立て時に、圧電センサの位置調整を行う場合の作業が煩雑であるという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献3に記載のスピーカでは、加速度センサはボイスコイルボビンの内側から外側に配線が施されているとともに振動系の内部に配置されるので、組み立て時に加速度センサの円周方向における位置調整を行う場合に作業が行いにくいという不都合がある。したがって、組み立て時に、加速度センサの位置調整を行う場合の作業が煩雑であるという問題点がある。
【0012】
また、上記特許文献4に記載のスピーカ装置では、振動板の振動を検知するためのセンサ部を備えた構造については開示も示唆もされていないので、本発明と前提とする構造が異なる。したがって、上記特許文献4に記載のスピーカ装置には、振動板の振動のみを検知することが困難であるという本発明が解決しようとする課題(問題点)すら存在しないとともに、その課題を解決するための手段の動機付けとなる記載も見当たらない。
【0013】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、組み立て時に、煩雑な作業を行うことなくセンサ部の位置調整を行うことが可能なスピーカを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0014】
この発明の一の局面によるスピーカは、装置本体と、装置本体の外側面に取り付けられたマグネット部と、音を発生させるための振動板と、振動板の振動を検知するためのセンサ部と、マグネット部の外面に移動可能に取り付けられ、センサ部を支持するセンサ支持部材とを備える。
【0015】
この一の局面によるスピーカでは、上記のように、マグネット部の外面に移動可能に取り付けられるセンサ部支持部材を備えるように構成することによって、センサ部支持部材をマグネット部の外面を移動させながらセンサ部支持部材に支持されたセンサ部の位置調整を行うことができるとともに、センサ部支持部材に支持された状態で位置調整を行ったセンサ部をコイルボビンなどの振動系の外側に接合するので、容易にセンサ部の位置調整を行うことができる。したがって、組み立て時に、センサ部の位置調整を行う場合であっても容易にセンサ部の位置調整を行うことができるので、煩雑な作業を行うことなくセンサ部の位置調整を行うことができる。また、振動板の振動を検知するためのセンサ部を支持するセンサ支持部材をマグネット部に取り付けるように構成することによって、センサ部を支持するセンサ支持部材が取り付けられるマグネット部はスピーカを構成する種々の部材のうちで重量の大きい部材であるので、振動板の振動に起因してスピーカの装置本体全体が振動したとしてもセンサ支持部材が装置本体とともに振動することを抑制することができる。したがって、センサ部は装置本体の振動を検知することなく振動板の振動のみを検知することができる。
【0016】
上記一の局面におけるスピーカにおいて、好ましくは、マグネット部はリング状に形成されるとともに、センサ部支持部材は、マグネット部に移動可能に取り付けられるとともに、センサ部を支持するセンサ支持部と、マグネット部に取り付けられるマグネット取付部とを含み、センサ部支持部材のマグネット取付部は、平面的に見て、マグネット部と同心円状のC字形状に形成されるとともに、C字形状の部分は180度以上の角度に渡って形成される。このように構成すれば、センサ部支持部材を、C字形状に形成されたマグネット取付部により確実にマグネット部に取り付けることができる。
【0017】
上記一の局面におけるスピーカにおいて、好ましくは、センサ部支持部材のC字形状の部分の内径は、マグネット部の外径よりも小さくなるように形成されており、C字形状のマグネット取付部は、C字形状を開く方向に撓み変形可能なように形成されるとともに、マグネット部に嵌め込まれるように取り付けられるように形成される。このように構成すれば、マグネット取付部のC字形状の部分を撓ませることによって容易にセンサ部支持部材をマグネット部に取り付けることができる。また、センサ部支持部材のC字形状の部分の内径がマグネット部の外径よりも小さくなるように形成することによって、マグネット取付部をマグネットに取り付けた際にセンサ部支持部材を容易に保持することができる。
【0018】
上記一の局面におけるスピーカにおいて、好ましくは、センサ部支持部材のマグネット取付部の内側面は、マグネット部の側面、上面および下面を覆う凹状の断面形状を有するように形成されている。このように構成すれば、マグネット取付部はマグネット部の側面、上面および下面を覆うようにしてマグネット部に取り付けられるので、より確実にセンサ部支持部材をマグネット部に保持することができる。
【0019】
上記一の局面におけるスピーカにおいて、好ましくは、センサ部支持部材のマグネット取付部の内側面のマグネット部に嵌め込まれる部分の両先端部は、テーパ面を有する。このように構成すれば、マグネット部にマグネット取付部を容易に嵌め込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態によるスピーカの全体構成を示した斜視図である。図2は、本発明の一実施形態によるスピーカの側面図である。図3は、本発明の一実施形態によるスピーカの断面図である。図4〜図11は、本発明の一実施形態によるスピーカの構造を説明するための図である。まず、図1〜図11を参照して本発明の一実施形態によるスピーカ20の構造について説明する。
【0022】
本発明の一実施形態によるスピーカ20は、図1および図2に示すように、金属製のフレーム1と、振動することにより音が発生するコーン紙2と、ダンパ3と、円柱状のヨーク4と、リング状に形成されているとともにヨーク4の外面側に配置されたマグネット5とを備えている。また、本発明の一実施形態によるスピーカ20は、MFB(Motional FeedBack)方式によって制御されるように構成されている。なお、MFBとは、コーン紙2の振動を検知するとともに、検知した振動の周波数に基づいてコーン紙2の振動を制御する方式である。本発明の一実施形態によるスピーカ20は、MFB方式によるコーン紙2の振動を検知するセンサとしての機能を有する圧電フィルム6を備えている。なお、コーン紙2および圧電フィルム6は、本発明の「振動板」および「センサ部」の一例である。
【0023】
ここで、本実施形態では、スピーカ20は、圧電フィルム6を支持するための圧電フィルム支持部材7を備えている。なお、センサ部支持部材7は、本発明の「センサ部支持部材」の一例である。
【0024】
また、本発明の一実施形態によるスピーカ20は、図3および図4に示すように、コーン紙2の根元部分には円筒形状のコイルボビン8が接合されているとともに、コーン紙2とコイルボビン8との接合部には、コイルボビン8の内側の空洞部分を塞ぐようにキャップ9が設けられている。また、コイルボビン8およびキャップ9が接合されたコーン紙2は、コーン紙2の一方端部(コイルボビン8と接合していない側の端部)が一様にコーンエッジ10に接着されているとともに、コーンエッジ10がフレーム1に接着されることによってフレーム1に保持されている。また、コイルボビン8には、ボイスコイル11が巻きつけられているとともに、コイルボビン8に巻きつけられたボイスコイル11はマグネット5に囲まれるような位置に配置されている。なお、スピーカ20は、ボイルコイル11に電流を流すことによって、フレミング左手の法則に基づいて、ボイスコイル11に流れる電流とマグネット5に発生する磁界とにより発生する力がボイスコイル11およびコイルボビン8を介してコーン紙2に伝達される。そして、伝達された力により振動するコーン紙2によって空気が振動することにより音波が発生されるように構成されている。
【0025】
また、ダンパ3は、図1および図3に示すように、円形状に形成されているとともに、フレーム1の内側面に沿って接合されている。また、ダンパ3には、中心部分にコイルボビン8が貫通するように配置されているとともに、貫通部分でコイルボビン8と接合することによってコイルボビン8を支持している。また、ダンパ3は、コイルボビン8を支持しているとともに、コーン紙2およびコイルボビン8が正常に振動するために伸縮可能なように構成されている。
【0026】
また、圧電フィルム6は圧電素子の1つであり、振動を測定するセンサとしての機能を有する。ここで、圧電素子とは、素子に力が加えられた際に、素子の内部に力に比例して分極が発生する(圧電効果)ような素子のことをいい、一般的に、分極により発生した電圧を検知することによって素子に加えられた力を検知するセンサとして利用される。なお、本発明の一実施形態によるスピーカ20に設置された圧電フィルム6は、株式会社クレハ製のKFピエゾフィルムを使用している。
【0027】
ここで、本実施形態では、図5に示すように、圧電フィルム支持部材7は、圧電フィルム6を支持する圧電フィルム支持部7aと、マグネット5に取り付けるためのマグネット取付部7bとから構成されているとともに、圧電フィルム支持部7aおよびマグネット取付部7bは一体的に形成されている。また、圧電フィルム支持部材7は、図6および図7に示すように、平面的に見て、マグネット5と同心円状のC字形状に形成されているとともに、C字形状の部分(図6の角度α)は、180度以上の角度に渡って形成されている。また、圧電フィルム支持部材7の圧電フィルム支持部7aは、マグネット取付部7bが平面的に見て左右対称になる位置(線分AA´上)に配置されているとともに、圧電フィルム支持部7aとマグネット取付部7bとの接合部分は肉厚構造に形成されている。
【0028】
また、本実施形態では、図7に示すように、圧電フィルム支持部材7におけるマグネット取付部7bのC字形状の部分の内径(r1)は、マグネット5の外径(r2)よりも小さくなるように形成されており、C字形状のマグネット取付部7bは、C字形状に開く方向に撓み変形可能なように形成されているとともに、マグネット5に嵌め込まれるように取り付けられるように形成されている。また、図8に示すように、圧電フィルム支持部材7のマグネット取付部7bの内側面は、マグネット5の側面、上面および下面を覆う凹状の断面形状を有するように形成されている。
【0029】
また、本実施形態では、図5に示すように、圧電フィルム支持部材7のマグネット取付部7bの内側面のマグネット5に嵌め込まれる部分の両先端部7cは、テーパ面を有する。また、図5〜7に示すように、マグネット取付部7bの両先端部7cにおけるマグネット5の上面および下面を覆う部分は面取り形状が施されている。また、図9に示すように、マグネット取付部7bの内側面の側面とマグネット5とは密着するように形成されているとともに、マグネット取付部7bの内側面の上面および下面とマグネット5とは、それぞれ、幅Wの隙間が設けられるように形成されている。具体的には、幅Wは、約0.2mm程度になるように形成されている。
【0030】
また、図5および図10に示すように、圧電フィルム支持部7aにおけるマグネット取付部7bと接合される側とは逆の方向側の端部には、圧電フィルム6を保持するための保持部7dが形成されているとともに、圧電フィルム6は、圧電フィルム支持部7aの端部と保持部7dとに挟み込まれるようにして圧電フィルム支持部材7に保持されるように形成されている。具体的には、保持部7dの両側面には、圧電フィルム支持部7aに向かう方向にそれぞれ凸部7eが形成されているとともに、圧電フィルム支持部7aの両側面には、保持部7dの凸部7eに対応するような凹部7fが形成されており、保持部7dの凸部7eと圧電フィルム支持部7aの凹部7fとが嵌合可能なように形成されている。また、保持部7dの凸部7eには穴部7gが形成されているとともに、圧電フィルム支持部7aの凹部7fには凸部7eの穴部7gに対応するネジ穴7hが形成されており、保持部7dは、ネジ12により穴部7gを介してネジ穴7hに螺合されることにより圧電フィルム支持部7aに固定される。そして、圧電フィルム6の一方端部は、圧電フィルム支持部7aの端部と保持部7dとに挟まれることにより保持される。
【0031】
また、図11に示すように、圧電フィルム6の他方端部は、コイルボビン8に接着剤13によって接着されることにより固定されている。また、圧電フィルム6は、一方端部が圧電フィルム支持部7aおよび保持部7dにより固定されているとともに、他方端部は、フレーム1の穴部1a(図2および図3参照)を介してボイスコイル11に接着されている。
【0032】
次に、図4、図5、図10および図11を参照して、本発明の一実施形態によるスピーカ20の取り付け動作について説明する。
【0033】
まず、図5および図10に示すように、圧電フィルム6の一方端部を上記したように圧電フィルム支持部7aおよび保持部7dにより固定する。そして、図5のような圧電フィルム6が支持された状態で、図4に示すように、圧電フィルム支持部材7のマグネット取付部7bを、スピーカ20のマグネット5に嵌合するようにして取り付ける。
【0034】
ここで、本実施形態では、圧電フィルム支持部材7は、マグネット5に取り付けた状態において、マグネット5の周状に沿って回転させることが可能(図4のX方向)である。よって、まず、圧電フィルム6の一方端部を取り付けた後に、圧電フィルム支持部材7をマグネット5に取り付ける。そして、圧電フィルム支持部材7を図4のX方向に回転させることによって圧電フィルム6のコイルボビン8への接着する部分の位置決めを行う。そして、位置決めを行った後に、図11に示すように、圧電フィルム6の他方端部をボイスボビン8に接着させる。
【0035】
本実施形態では、上記のように、マグネット5の外面に移動可能に取り付けられる圧電フィルム支持部材7を備えるように構成することによって、圧電フィルム支持部材7をマグネット5の外面を移動させながら圧電フィルム支持部材7に支持された圧電フィルム6の位置調整を行うことができるとともに、圧電フィルム支持部材7に支持された状態で位置調整を行った圧電フィルム6をコイルボビン8などの振動系の外側に接合するので、容易に圧電フィルム6の位置調整を行うことができる。したがって、組み立て時に、圧電フィルム6の位置調整を行う場合であっても容易に行うことができるので、煩雑な作業を行うことなく圧電フィルム6の位置調整を行うことができる。また、コーン紙2の振動を検知するための圧電フィルム6を支持する圧電フィルム支持部材7をマグネット5に取り付けるように構成することによって、圧電フィルム6を支持する圧電フィルム支持部材7が取り付けられるマグネット部5は、スピーカ20を構成する種々の部材のうちで重量の大きい部材であるので、コーン紙2の振動に起因してスピーカ20の装置本体全体が振動したとしても圧電フィルム支持部材7が装置本体とともに振動することを抑制することができる。したがって、圧電フィルム6は装置本体の振動を検知することなくコーン紙2の振動のみを検知することができる。
【0036】
また、本実施形態では、マグネット5はリング状に形成され、圧電フィルム支持部材7を、圧電フィルム6を支持する圧電フィルム支持部7aと、マグネット5に取り付けられるマグネット取付部7bとを含むとともに、マグネット5に移動可能に取り付けるように形成し、圧電フィルム支持部材7のマグネット取付部7bを、平面的に見て、マグネット5と同心円状のC字形状に形成するとともに、C字形状の部分を180度以上の角度に渡って形成するように構成することによって、圧電フィルム支持部材7を、C字形状に形成されたマグネット取付部7bにより確実にマグネット5に取り付けることができる。
【0037】
また、本実施形態では、圧電フィルム支持部材7のC字形状の部分の内径を、マグネット5の外径よりも小さくなるように形成し、C字形状のマグネット取付部7bを、C字形状を開く方向に撓み変形可能なように形成するとともに、マグネット5に嵌め込むように取り付けるように形成することによって、マグネット取付部7bのC字形状の部分を撓ませることにより容易に圧電フィルム支持部材7をマグネット5に取り付けることができる。また、圧電フィルム支持部材7のC字形状の部分の内径をマグネット5の外径よりも小さくなるように形成することによって、マグネット取付部7bをマグネット5に取り付けた際に圧電フィルム支持部材7を容易に保持することができる。
【0038】
また、本実施形態では、圧電フィルム支持部材7のマグネット取付部7bの内側面を、マグネット5の側面、上面および下面を覆う凹状の断面形状を有するように形成するように構成することによって、マグネット取付部7bを、マグネット5の側面、上面および下面を覆うようにしてマグネット5に取り付けるので、より確実に圧電フィルム支持部材7bをマグネット5に保持することができる。
【0039】
また、本実施形態では、圧電フィルム支持部材7のマグネット取付部7bの内側面のマグネット5に嵌め込まれる部分の両先端部7cを、テーパ面を有するように構成することによってマグネット5にマグネット取付部7bを容易に嵌め込むことができる。
【0040】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0041】
たとえば、本実施形態では、スピーカにおけるコーン紙の振動を検知するためのセンサとして圧電フィルムを設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、コーン紙の振動を検知可能なセンサであれば、圧電フィルム以外のセンサでも適用可能である。
【0042】
また、本実施形態では、圧電フィルム支持部材のマグネット取付部を、リング状のマグネットの形状に対応するようにC字形状に形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、マグネット取付部をO字形状に形成してもよい。この場合は、O字形状のマグネット取付部が分割可能に形成されるとともに、分割したマグネット取付部をそれぞれマグネットに取り付けた後に連結することが可能な構造でなければならない。
【0043】
また、本実施形態では、圧電フィルム支持部材において、圧電フィルム支持部とマグネット取付部とを一体的に形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、圧電フィルム支持部とマグネット取付部とをそれぞれ別部材として形成してもよい。
【0044】
また、本実施形態では、マグネット取付部の内側面のマグネットに嵌め込まれる部分の両先端部にテーパ面を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、丸型形状など、テーパ面以外の形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明の一実施形態によるスピーカの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカの側面図である。
【図3】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカの断面図である。
【図4】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカからフレームおよびダンパを外した状態における斜視図である。
【図5】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカに取り付ける圧電フィルム支持部材の斜視図である。
【図6】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカに取り付ける圧電フィルム支持部材の平面図である。
【図7】図3に示した本発明の一実施形態によるスピーカからフレームおよびダンパを外した状態における平面図である。
【図8】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカの圧電フィルム支持部材のマグネット取付部とマグネットとの嵌合部分の断面図である。
【図9】図8に示した圧電フィルム支持部材のマグネット取付部とマグネットとの嵌合部分の断面図の拡大図である。
【図10】図5に示した圧電フィルム支持部材における分解斜視図である。
【図11】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカに設置する圧電フィルムの固定方法を説明する拡大図である。
【符号の説明】
【0046】
2 コーン紙(振動板)
5 マグネット(マグネット部)
6 圧電フィルム(センサ部)
7 圧電フィルム支持部材(センサ部支持部材)
7a 圧電フィルム支持部(センサ支持部)
7b マグネット取付部
20 スピーカ
【技術分野】
【0001】
この発明は、スピーカに関し、特に、音を発生させるための振動板を備えたスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音を発生させるための振動板を備えたスピーカが知られている。また、振動板の振動を検知するためのセンサ部が設けられたスピーカが知られている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
上記特許文献1には、加速度センサ(センサ部)を有する円筒状の取付体と、ボイスコイルボビンと、ダストキャップとを備えた動電型スピーカが開示されている。この特許文献1に記載の動電型スピーカでは、円筒状の取付体を、接着剤が塗布されたボイスコイルボビンの内周面に沿って接着した後に、ダストキャップをボイスコイルボビンの筒穴部分を塞ぐように接合するように構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、裏面側に圧電センサ(センサ部)を含むセンターキャップと、ボビンとを備えたスピーカユニットが開示されている。この特許文献2に記載のスピーカユニットでは、圧電センサをセンターキャップの裏面に接着した後に、センターキャップをボビンの筒穴部分を塞ぐように接合するように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、円板状の加速度センサ(センサ部)と、一方端部に切欠き部を含むボイスコイルボビンと、振動板と、ダストキャップとを備えたスピーカが開示されている。この特許文献3に記載のスピーカでは、平面的に見て、加速度センサの半分がボイスコイルボビンの内周面側に突出するように切欠き部に接着されるとともに、加速度センサからの配線がボイスコイルボビンの内側から外側に貫通して出力端子に接続されている。そして、切欠き部および加速度センサを覆うようにしてボイスコイルボビンに振動板が取り付けられるとともに、ダストキャップが切欠き部および加速度センサを塞ぐように振動板に接合されている。
【0006】
また、従来では、圧電素子により振動板を振動させることによって音を発生させるスピーカが知られている(たとえば、特許文献4)。
【0007】
上記特許文献4には、円形状の振動板と、圧電素子とを備えたスピーカ装置が開示されている。この特許文献4に記載のスピーカ装置では、振動板の上面および下面にそれぞれ圧電素子が固着されているとともに、この2つの圧電素子のそれぞれに正負が逆の電気信号を印加することにより振動板が撓んで音圧が発生するように構成されている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−041690号公報
【特許文献2】特開平07−059188号公報
【特許文献3】特開平06−245293号公報
【特許文献4】特開2007−006459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の動電型スピーカでは、加速度センサは振動系の内部に配置されるので、組み立て時に加速度センサの位置調整を行う場合に作業が行いにくいという不都合がある。したがって、組み立て時に、加速度センサの位置調整を行う場合の作業が煩雑であるという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献2に記載のスピーカユニットでは、圧電センサは振動系の内部に配置されるので、組み立て時に圧電センサの位置調整を行う場合に作業が行いにくいという不都合がある。したがって、組み立て時に、圧電センサの位置調整を行う場合の作業が煩雑であるという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献3に記載のスピーカでは、加速度センサはボイスコイルボビンの内側から外側に配線が施されているとともに振動系の内部に配置されるので、組み立て時に加速度センサの円周方向における位置調整を行う場合に作業が行いにくいという不都合がある。したがって、組み立て時に、加速度センサの位置調整を行う場合の作業が煩雑であるという問題点がある。
【0012】
また、上記特許文献4に記載のスピーカ装置では、振動板の振動を検知するためのセンサ部を備えた構造については開示も示唆もされていないので、本発明と前提とする構造が異なる。したがって、上記特許文献4に記載のスピーカ装置には、振動板の振動のみを検知することが困難であるという本発明が解決しようとする課題(問題点)すら存在しないとともに、その課題を解決するための手段の動機付けとなる記載も見当たらない。
【0013】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、組み立て時に、煩雑な作業を行うことなくセンサ部の位置調整を行うことが可能なスピーカを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0014】
この発明の一の局面によるスピーカは、装置本体と、装置本体の外側面に取り付けられたマグネット部と、音を発生させるための振動板と、振動板の振動を検知するためのセンサ部と、マグネット部の外面に移動可能に取り付けられ、センサ部を支持するセンサ支持部材とを備える。
【0015】
この一の局面によるスピーカでは、上記のように、マグネット部の外面に移動可能に取り付けられるセンサ部支持部材を備えるように構成することによって、センサ部支持部材をマグネット部の外面を移動させながらセンサ部支持部材に支持されたセンサ部の位置調整を行うことができるとともに、センサ部支持部材に支持された状態で位置調整を行ったセンサ部をコイルボビンなどの振動系の外側に接合するので、容易にセンサ部の位置調整を行うことができる。したがって、組み立て時に、センサ部の位置調整を行う場合であっても容易にセンサ部の位置調整を行うことができるので、煩雑な作業を行うことなくセンサ部の位置調整を行うことができる。また、振動板の振動を検知するためのセンサ部を支持するセンサ支持部材をマグネット部に取り付けるように構成することによって、センサ部を支持するセンサ支持部材が取り付けられるマグネット部はスピーカを構成する種々の部材のうちで重量の大きい部材であるので、振動板の振動に起因してスピーカの装置本体全体が振動したとしてもセンサ支持部材が装置本体とともに振動することを抑制することができる。したがって、センサ部は装置本体の振動を検知することなく振動板の振動のみを検知することができる。
【0016】
上記一の局面におけるスピーカにおいて、好ましくは、マグネット部はリング状に形成されるとともに、センサ部支持部材は、マグネット部に移動可能に取り付けられるとともに、センサ部を支持するセンサ支持部と、マグネット部に取り付けられるマグネット取付部とを含み、センサ部支持部材のマグネット取付部は、平面的に見て、マグネット部と同心円状のC字形状に形成されるとともに、C字形状の部分は180度以上の角度に渡って形成される。このように構成すれば、センサ部支持部材を、C字形状に形成されたマグネット取付部により確実にマグネット部に取り付けることができる。
【0017】
上記一の局面におけるスピーカにおいて、好ましくは、センサ部支持部材のC字形状の部分の内径は、マグネット部の外径よりも小さくなるように形成されており、C字形状のマグネット取付部は、C字形状を開く方向に撓み変形可能なように形成されるとともに、マグネット部に嵌め込まれるように取り付けられるように形成される。このように構成すれば、マグネット取付部のC字形状の部分を撓ませることによって容易にセンサ部支持部材をマグネット部に取り付けることができる。また、センサ部支持部材のC字形状の部分の内径がマグネット部の外径よりも小さくなるように形成することによって、マグネット取付部をマグネットに取り付けた際にセンサ部支持部材を容易に保持することができる。
【0018】
上記一の局面におけるスピーカにおいて、好ましくは、センサ部支持部材のマグネット取付部の内側面は、マグネット部の側面、上面および下面を覆う凹状の断面形状を有するように形成されている。このように構成すれば、マグネット取付部はマグネット部の側面、上面および下面を覆うようにしてマグネット部に取り付けられるので、より確実にセンサ部支持部材をマグネット部に保持することができる。
【0019】
上記一の局面におけるスピーカにおいて、好ましくは、センサ部支持部材のマグネット取付部の内側面のマグネット部に嵌め込まれる部分の両先端部は、テーパ面を有する。このように構成すれば、マグネット部にマグネット取付部を容易に嵌め込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態によるスピーカの全体構成を示した斜視図である。図2は、本発明の一実施形態によるスピーカの側面図である。図3は、本発明の一実施形態によるスピーカの断面図である。図4〜図11は、本発明の一実施形態によるスピーカの構造を説明するための図である。まず、図1〜図11を参照して本発明の一実施形態によるスピーカ20の構造について説明する。
【0022】
本発明の一実施形態によるスピーカ20は、図1および図2に示すように、金属製のフレーム1と、振動することにより音が発生するコーン紙2と、ダンパ3と、円柱状のヨーク4と、リング状に形成されているとともにヨーク4の外面側に配置されたマグネット5とを備えている。また、本発明の一実施形態によるスピーカ20は、MFB(Motional FeedBack)方式によって制御されるように構成されている。なお、MFBとは、コーン紙2の振動を検知するとともに、検知した振動の周波数に基づいてコーン紙2の振動を制御する方式である。本発明の一実施形態によるスピーカ20は、MFB方式によるコーン紙2の振動を検知するセンサとしての機能を有する圧電フィルム6を備えている。なお、コーン紙2および圧電フィルム6は、本発明の「振動板」および「センサ部」の一例である。
【0023】
ここで、本実施形態では、スピーカ20は、圧電フィルム6を支持するための圧電フィルム支持部材7を備えている。なお、センサ部支持部材7は、本発明の「センサ部支持部材」の一例である。
【0024】
また、本発明の一実施形態によるスピーカ20は、図3および図4に示すように、コーン紙2の根元部分には円筒形状のコイルボビン8が接合されているとともに、コーン紙2とコイルボビン8との接合部には、コイルボビン8の内側の空洞部分を塞ぐようにキャップ9が設けられている。また、コイルボビン8およびキャップ9が接合されたコーン紙2は、コーン紙2の一方端部(コイルボビン8と接合していない側の端部)が一様にコーンエッジ10に接着されているとともに、コーンエッジ10がフレーム1に接着されることによってフレーム1に保持されている。また、コイルボビン8には、ボイスコイル11が巻きつけられているとともに、コイルボビン8に巻きつけられたボイスコイル11はマグネット5に囲まれるような位置に配置されている。なお、スピーカ20は、ボイルコイル11に電流を流すことによって、フレミング左手の法則に基づいて、ボイスコイル11に流れる電流とマグネット5に発生する磁界とにより発生する力がボイスコイル11およびコイルボビン8を介してコーン紙2に伝達される。そして、伝達された力により振動するコーン紙2によって空気が振動することにより音波が発生されるように構成されている。
【0025】
また、ダンパ3は、図1および図3に示すように、円形状に形成されているとともに、フレーム1の内側面に沿って接合されている。また、ダンパ3には、中心部分にコイルボビン8が貫通するように配置されているとともに、貫通部分でコイルボビン8と接合することによってコイルボビン8を支持している。また、ダンパ3は、コイルボビン8を支持しているとともに、コーン紙2およびコイルボビン8が正常に振動するために伸縮可能なように構成されている。
【0026】
また、圧電フィルム6は圧電素子の1つであり、振動を測定するセンサとしての機能を有する。ここで、圧電素子とは、素子に力が加えられた際に、素子の内部に力に比例して分極が発生する(圧電効果)ような素子のことをいい、一般的に、分極により発生した電圧を検知することによって素子に加えられた力を検知するセンサとして利用される。なお、本発明の一実施形態によるスピーカ20に設置された圧電フィルム6は、株式会社クレハ製のKFピエゾフィルムを使用している。
【0027】
ここで、本実施形態では、図5に示すように、圧電フィルム支持部材7は、圧電フィルム6を支持する圧電フィルム支持部7aと、マグネット5に取り付けるためのマグネット取付部7bとから構成されているとともに、圧電フィルム支持部7aおよびマグネット取付部7bは一体的に形成されている。また、圧電フィルム支持部材7は、図6および図7に示すように、平面的に見て、マグネット5と同心円状のC字形状に形成されているとともに、C字形状の部分(図6の角度α)は、180度以上の角度に渡って形成されている。また、圧電フィルム支持部材7の圧電フィルム支持部7aは、マグネット取付部7bが平面的に見て左右対称になる位置(線分AA´上)に配置されているとともに、圧電フィルム支持部7aとマグネット取付部7bとの接合部分は肉厚構造に形成されている。
【0028】
また、本実施形態では、図7に示すように、圧電フィルム支持部材7におけるマグネット取付部7bのC字形状の部分の内径(r1)は、マグネット5の外径(r2)よりも小さくなるように形成されており、C字形状のマグネット取付部7bは、C字形状に開く方向に撓み変形可能なように形成されているとともに、マグネット5に嵌め込まれるように取り付けられるように形成されている。また、図8に示すように、圧電フィルム支持部材7のマグネット取付部7bの内側面は、マグネット5の側面、上面および下面を覆う凹状の断面形状を有するように形成されている。
【0029】
また、本実施形態では、図5に示すように、圧電フィルム支持部材7のマグネット取付部7bの内側面のマグネット5に嵌め込まれる部分の両先端部7cは、テーパ面を有する。また、図5〜7に示すように、マグネット取付部7bの両先端部7cにおけるマグネット5の上面および下面を覆う部分は面取り形状が施されている。また、図9に示すように、マグネット取付部7bの内側面の側面とマグネット5とは密着するように形成されているとともに、マグネット取付部7bの内側面の上面および下面とマグネット5とは、それぞれ、幅Wの隙間が設けられるように形成されている。具体的には、幅Wは、約0.2mm程度になるように形成されている。
【0030】
また、図5および図10に示すように、圧電フィルム支持部7aにおけるマグネット取付部7bと接合される側とは逆の方向側の端部には、圧電フィルム6を保持するための保持部7dが形成されているとともに、圧電フィルム6は、圧電フィルム支持部7aの端部と保持部7dとに挟み込まれるようにして圧電フィルム支持部材7に保持されるように形成されている。具体的には、保持部7dの両側面には、圧電フィルム支持部7aに向かう方向にそれぞれ凸部7eが形成されているとともに、圧電フィルム支持部7aの両側面には、保持部7dの凸部7eに対応するような凹部7fが形成されており、保持部7dの凸部7eと圧電フィルム支持部7aの凹部7fとが嵌合可能なように形成されている。また、保持部7dの凸部7eには穴部7gが形成されているとともに、圧電フィルム支持部7aの凹部7fには凸部7eの穴部7gに対応するネジ穴7hが形成されており、保持部7dは、ネジ12により穴部7gを介してネジ穴7hに螺合されることにより圧電フィルム支持部7aに固定される。そして、圧電フィルム6の一方端部は、圧電フィルム支持部7aの端部と保持部7dとに挟まれることにより保持される。
【0031】
また、図11に示すように、圧電フィルム6の他方端部は、コイルボビン8に接着剤13によって接着されることにより固定されている。また、圧電フィルム6は、一方端部が圧電フィルム支持部7aおよび保持部7dにより固定されているとともに、他方端部は、フレーム1の穴部1a(図2および図3参照)を介してボイスコイル11に接着されている。
【0032】
次に、図4、図5、図10および図11を参照して、本発明の一実施形態によるスピーカ20の取り付け動作について説明する。
【0033】
まず、図5および図10に示すように、圧電フィルム6の一方端部を上記したように圧電フィルム支持部7aおよび保持部7dにより固定する。そして、図5のような圧電フィルム6が支持された状態で、図4に示すように、圧電フィルム支持部材7のマグネット取付部7bを、スピーカ20のマグネット5に嵌合するようにして取り付ける。
【0034】
ここで、本実施形態では、圧電フィルム支持部材7は、マグネット5に取り付けた状態において、マグネット5の周状に沿って回転させることが可能(図4のX方向)である。よって、まず、圧電フィルム6の一方端部を取り付けた後に、圧電フィルム支持部材7をマグネット5に取り付ける。そして、圧電フィルム支持部材7を図4のX方向に回転させることによって圧電フィルム6のコイルボビン8への接着する部分の位置決めを行う。そして、位置決めを行った後に、図11に示すように、圧電フィルム6の他方端部をボイスボビン8に接着させる。
【0035】
本実施形態では、上記のように、マグネット5の外面に移動可能に取り付けられる圧電フィルム支持部材7を備えるように構成することによって、圧電フィルム支持部材7をマグネット5の外面を移動させながら圧電フィルム支持部材7に支持された圧電フィルム6の位置調整を行うことができるとともに、圧電フィルム支持部材7に支持された状態で位置調整を行った圧電フィルム6をコイルボビン8などの振動系の外側に接合するので、容易に圧電フィルム6の位置調整を行うことができる。したがって、組み立て時に、圧電フィルム6の位置調整を行う場合であっても容易に行うことができるので、煩雑な作業を行うことなく圧電フィルム6の位置調整を行うことができる。また、コーン紙2の振動を検知するための圧電フィルム6を支持する圧電フィルム支持部材7をマグネット5に取り付けるように構成することによって、圧電フィルム6を支持する圧電フィルム支持部材7が取り付けられるマグネット部5は、スピーカ20を構成する種々の部材のうちで重量の大きい部材であるので、コーン紙2の振動に起因してスピーカ20の装置本体全体が振動したとしても圧電フィルム支持部材7が装置本体とともに振動することを抑制することができる。したがって、圧電フィルム6は装置本体の振動を検知することなくコーン紙2の振動のみを検知することができる。
【0036】
また、本実施形態では、マグネット5はリング状に形成され、圧電フィルム支持部材7を、圧電フィルム6を支持する圧電フィルム支持部7aと、マグネット5に取り付けられるマグネット取付部7bとを含むとともに、マグネット5に移動可能に取り付けるように形成し、圧電フィルム支持部材7のマグネット取付部7bを、平面的に見て、マグネット5と同心円状のC字形状に形成するとともに、C字形状の部分を180度以上の角度に渡って形成するように構成することによって、圧電フィルム支持部材7を、C字形状に形成されたマグネット取付部7bにより確実にマグネット5に取り付けることができる。
【0037】
また、本実施形態では、圧電フィルム支持部材7のC字形状の部分の内径を、マグネット5の外径よりも小さくなるように形成し、C字形状のマグネット取付部7bを、C字形状を開く方向に撓み変形可能なように形成するとともに、マグネット5に嵌め込むように取り付けるように形成することによって、マグネット取付部7bのC字形状の部分を撓ませることにより容易に圧電フィルム支持部材7をマグネット5に取り付けることができる。また、圧電フィルム支持部材7のC字形状の部分の内径をマグネット5の外径よりも小さくなるように形成することによって、マグネット取付部7bをマグネット5に取り付けた際に圧電フィルム支持部材7を容易に保持することができる。
【0038】
また、本実施形態では、圧電フィルム支持部材7のマグネット取付部7bの内側面を、マグネット5の側面、上面および下面を覆う凹状の断面形状を有するように形成するように構成することによって、マグネット取付部7bを、マグネット5の側面、上面および下面を覆うようにしてマグネット5に取り付けるので、より確実に圧電フィルム支持部材7bをマグネット5に保持することができる。
【0039】
また、本実施形態では、圧電フィルム支持部材7のマグネット取付部7bの内側面のマグネット5に嵌め込まれる部分の両先端部7cを、テーパ面を有するように構成することによってマグネット5にマグネット取付部7bを容易に嵌め込むことができる。
【0040】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0041】
たとえば、本実施形態では、スピーカにおけるコーン紙の振動を検知するためのセンサとして圧電フィルムを設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、コーン紙の振動を検知可能なセンサであれば、圧電フィルム以外のセンサでも適用可能である。
【0042】
また、本実施形態では、圧電フィルム支持部材のマグネット取付部を、リング状のマグネットの形状に対応するようにC字形状に形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、マグネット取付部をO字形状に形成してもよい。この場合は、O字形状のマグネット取付部が分割可能に形成されるとともに、分割したマグネット取付部をそれぞれマグネットに取り付けた後に連結することが可能な構造でなければならない。
【0043】
また、本実施形態では、圧電フィルム支持部材において、圧電フィルム支持部とマグネット取付部とを一体的に形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、圧電フィルム支持部とマグネット取付部とをそれぞれ別部材として形成してもよい。
【0044】
また、本実施形態では、マグネット取付部の内側面のマグネットに嵌め込まれる部分の両先端部にテーパ面を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、丸型形状など、テーパ面以外の形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明の一実施形態によるスピーカの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカの側面図である。
【図3】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカの断面図である。
【図4】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカからフレームおよびダンパを外した状態における斜視図である。
【図5】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカに取り付ける圧電フィルム支持部材の斜視図である。
【図6】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカに取り付ける圧電フィルム支持部材の平面図である。
【図7】図3に示した本発明の一実施形態によるスピーカからフレームおよびダンパを外した状態における平面図である。
【図8】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカの圧電フィルム支持部材のマグネット取付部とマグネットとの嵌合部分の断面図である。
【図9】図8に示した圧電フィルム支持部材のマグネット取付部とマグネットとの嵌合部分の断面図の拡大図である。
【図10】図5に示した圧電フィルム支持部材における分解斜視図である。
【図11】図1に示した本発明の一実施形態によるスピーカに設置する圧電フィルムの固定方法を説明する拡大図である。
【符号の説明】
【0046】
2 コーン紙(振動板)
5 マグネット(マグネット部)
6 圧電フィルム(センサ部)
7 圧電フィルム支持部材(センサ部支持部材)
7a 圧電フィルム支持部(センサ支持部)
7b マグネット取付部
20 スピーカ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体の外側面に取り付けられたマグネット部と、
音を発生させるための振動板と、
前記振動板の振動を検知するためのセンサ部と、
前記マグネット部の外面に移動可能に取り付けられ、前記センサ部を支持するセンサ部支持部材とを備えた、スピーカ。
【請求項2】
前記マグネット部は、リング状に形成されており、
前記センサ部支持部材は、前記センサ部を支持するセンサ支持部と、前記マグネット部に取り付けられるマグネット取付部とを含み、
前記センサ部支持部材のマグネット取付部は、平面的に見て、前記マグネット部と同心円状のC字形状に形成されているとともに、前記C字形状の部分は180度以上の角度に渡って形成されている、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記センサ部支持部材のC字形状の部分の内径は、前記マグネット部の外径よりも小さくなるように形成されており、
前記C字形状のマグネット取付部は、前記C字形状を開く方向に撓み変形可能なように形成されているとともに、前記マグネット部に嵌め込まれるように取り付けられるように形成されている、請求項2に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記センサ部支持部材のマグネット取付部の内側面は、前記マグネット部の側面、上面および下面を覆う凹状の断面形状を有するように形成されている、請求項2または3に記載のスピーカ。
【請求項5】
前記センサ部支持部材のマグネット取付部の内側面の前記マグネット部に嵌め込まれる部分の両先端部は、テーパ面を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載のスピーカ。
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体の外側面に取り付けられたマグネット部と、
音を発生させるための振動板と、
前記振動板の振動を検知するためのセンサ部と、
前記マグネット部の外面に移動可能に取り付けられ、前記センサ部を支持するセンサ部支持部材とを備えた、スピーカ。
【請求項2】
前記マグネット部は、リング状に形成されており、
前記センサ部支持部材は、前記センサ部を支持するセンサ支持部と、前記マグネット部に取り付けられるマグネット取付部とを含み、
前記センサ部支持部材のマグネット取付部は、平面的に見て、前記マグネット部と同心円状のC字形状に形成されているとともに、前記C字形状の部分は180度以上の角度に渡って形成されている、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記センサ部支持部材のC字形状の部分の内径は、前記マグネット部の外径よりも小さくなるように形成されており、
前記C字形状のマグネット取付部は、前記C字形状を開く方向に撓み変形可能なように形成されているとともに、前記マグネット部に嵌め込まれるように取り付けられるように形成されている、請求項2に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記センサ部支持部材のマグネット取付部の内側面は、前記マグネット部の側面、上面および下面を覆う凹状の断面形状を有するように形成されている、請求項2または3に記載のスピーカ。
【請求項5】
前記センサ部支持部材のマグネット取付部の内側面の前記マグネット部に嵌め込まれる部分の両先端部は、テーパ面を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載のスピーカ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−306336(P2008−306336A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150078(P2007−150078)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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