説明

スプリンクラ消火設備

【課題】早期にスプリンクラヘッドの作動を検出することが可能なスプリンクラ消火設備を得る。
【解決手段】予作動弁22と、予作動弁22の二次側に設けられ、スプリンクラヘッド2が接続された二次側配管12と、二次側配管12と接続され、二次側配管12内を負圧にする真空ポンプ24と、予作動弁22の一次側に設けられ、基端側に給水ポンプ21が接続される一次側配管11と、を備えたスプリンクラ消火設備において、二次側配管12から分岐して配管17を設け、この配管17に、常時は閉じ、かつ二次側配管12の急激な圧力上昇により開放するアクセラレータ44を設け、このアクセラレータ44の二次側に真空スイッチ41を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラ消火設備に関し、特に、予作動弁の二次側にある二次側配管を負圧状態にしたスプリンクラ消火設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、スプリンクラヘッドが接続された二次側配管内を圧縮空気で充填し、その二次側配管の基端側に予作動弁を設けた予作動式のスプリンクラ消火設備がある。この設備は、スプリンクラヘッドと同じ防護区画に設置された火災感知器が動作すると、予作動弁が開放し、二次側配管に充水するように構成されている。
このような予作動式のスプリンクラ消火設備では、火災感知器とスプリンクラヘッドの両方が動作したときに水が放水されるので水損が生じにくいが、スプリンクラヘッドが接続される立ち下がり管部分に溜まった水と圧縮空気との影響で、立ち下がり管部分で腐食を起こすことがある。
【0003】
そこで、二次側配管に真空ポンプを接続し、配管内を真空状態(負圧状態)にした真空式の予作動式スプリンクラ消火設備が提案されている(例えば特許文献1参照)。この設備では、二次側配管内は、圧縮空気の代わりに真空となるので、酸素分圧が低く、前述のような腐食が起こりにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6−26292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の真空式の予作動式スプリンクラ消火設備は、二次側配管に圧力検出手段が設けてあり、負圧状態からの二次側配管内の圧力上昇などを検知できるように構成されている。そして、この圧力検出手段の検出値がある閾値を超えたとき、スプリンクラヘッドが作動したと判断していた。しかしながら、二次側配管内の体積と比較してスプリンクラヘッドの放水口は小さいため、二次側配管内の真空圧の低下(圧力の上昇)には時間がかかってしまう。このため、スプリンクラヘッド作動時に、例えば真空ポンプを起動したばかりで、二次側配管内の真空圧が高く、現在の真空圧とその閾値との圧力差が大きい場合、その閾値まで圧力が上昇するのには時間がかかり、スプリンクラヘッドの作動検出が遅くなってしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、早期にスプリンクラヘッドの作動を検出することが可能なスプリンクラ消火設備を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスプリンクラ消火設備は、予作動弁と、予作動弁の二次側に設けられ、スプリンクラヘッドが接続された二次側配管と、二次側配管と接続され、二次側配管内を負圧にする真空ポンプと、予作動弁の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、を備えたスプリンクラ消火設備において、二次側配管内の圧力の所定時間当たりの変化量を直接的又は間接的に検出する検出手段を設けたものである。
【0008】
また、二次側配管内の圧力の所定時間当たりの変化量の絶対値が所定の閾値を超えた場合、検出手段は、スプリンクラヘッドが作動したと判断するものである。
【0009】
また、本発明に係るスプリンクラ消火設備は、予作動弁と、予作動弁の二次側に設けられ、スプリンクラヘッドが接続された二次側配管と、二次側配管と接続され、二次側配管内を負圧にする真空ポンプと、予作動弁の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、を備えたスプリンクラ消火設備において、二次側配管から分岐して配管を設け、この配管に、常時は閉じ、かつ二次側配管の急激な圧力上昇により開放するアクセラレータを設け、このアクセラレータの二次側に真空スイッチを設けたものである。
【0010】
また、本発明に係るスプリンクラ消火設備は、予作動弁と、予作動弁の二次側に設けられ、スプリンクラヘッドが接続された二次側配管と、二次側配管と接続され、二次側配管内を負圧にする真空ポンプと、予作動弁の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、を備えたスプリンクラ消火設備において、二次側配管から分岐して、端部に前記真空ポンプが接続される真空配管を設け、真空配管に、オリフィスと、差圧スイッチまたはフロースイッチのいずれかを並列に接続し、差圧スイッチまたはフロースイッチの検出値が所定の値より大きくなったときに、スプリンクラヘッドが作動したと判断するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、スプリンクラヘッドの放水口が開放し、負圧(真空圧)となっている二次側配管の圧力が急激に上昇(真空圧が急激に低下)すると、配管に設けられたアクセラレータが開放し、真空スイッチが動作するので、スプリンクラヘッドの作動を早期に検出することができる。
【0012】
また、本発明においては、二次側配管内の圧力の所定時間当たりの変化量に基づき、スプリンクラヘッドの作動を検出する。このため、スプリンクラヘッドの作動を早期に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備を示すシステム構成図である。
【図2】実施の形態1に係る流水遮断弁31の別の一例を示す断面模式図である。
【図3】実施の形態2に係るスプリンクラ消火設備を示すシステム構成図の要部拡大図である。
【図4】実施の形態2に係るスプリンクラ消火設備の別の一例を示すシステム構成図の要部拡大図である。
【図5】実施の形態2に係るスプリンクラ消火設備のさらに別の一例を示すシステム構成図の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備を示すシステム構成図である。このスプリンクラ消火設備は、スプリンクラヘッド2、予作動弁22、一次側配管11、二次側配管12、真空配管14、真空ポンプ24、定流量弁23、流水遮断弁31及び真空スイッチ41等から構成されている。
【0015】
防護区画1には、複数のスプリンクラヘッド2が設けられている。また、防護区画1には、防護区画1内で発生した火災を感知する火災感知器3が設けられている。この火災感知器3は、火災受信機4を介して制御盤5と電気的に接続されている。また、制御盤5は、後述の予作動弁22、流水遮断弁31及び真空スイッチ41等とも電気的に接続されている。制御盤5は、タイマーを備えており、真空スイッチ41からの検出値をもとに、所定時間当たりの検出値の変化量を演算し、所定の閾値と比較することで、スプリンクラヘッド2が作動したかどうかを判断する。
【0016】
これら各スプリンクラヘッド2は立ち下がり配管13に接続されている。また、立ち下がり配管13のそれぞれは、二次側配管12に接続されている。この二次側配管12の一方の端部は、電動のパイロット弁を有し、火災時に電気的に開放される(通常は閉止している)予作動弁22の一方の端部に接続されている。予作動弁22の他方の端部は、一次側配管11の一方の端部に接続されている。また、一次側配管11の他方の端部(基端側)は、給水ポンプ21の吐出口に接続されている。この一次側配管11には、定流量弁23が設けられている。例えば、定流量弁23は、予作動弁22の一次側近傍や、給水ポンプ21の二次側近傍に設けられている。ここで定流量弁23が、本発明の流量制御手段に相当する。
一方、二次側配管12の他方の端部は、末端試験弁25の一方の端部に接続されている。末端試験弁25の他方の端部には、排水配管16が接続されている。スプリンクラ消火設備の水漏れ試験等によって二次側配管12に充填された水は、末端試験弁25及び予作動弁22に備えた図示しない排水弁を開くことにより、外部に排出される。通常の監視状態においては、末端試験弁25は閉じられた状態となっている。
【0017】
また、二次側配管12には、真空配管14の一方の端部が接続されている。真空配管14の他方の端部には、真空ポンプ24が接続されている。
この真空配管14には、二次側配管12との接続部側から真空ポンプ24側に向けて、電動弁等である流水遮断弁31、真空スイッチ41及びオリフィス42が順に設けられている。また、オリフィス42と真空ポンプ24との間の真空配管14には、配管15を介してサブタンク43が接続されている。サブタンク43は、ある一定の体積を有するタンクで、真空ポンプ24が起動することにより、内部が、二次側配管12や真空配管14と同じ真空圧になっている。このサブタンク43は、ある一定の体積を有することから、二次側配管12等で配管に空気が流入して、内部の圧力が上昇しようとする場合、サブタンク43内の圧力が上昇することで、二次側配管12内の圧力上昇を打ち消すように作用し、急激に圧力上昇が生じるのを防止し、配管内の真空圧を一定に維持しようとする。なお、流水遮断弁31と真空スイッチ41の位置は逆にしてもよい。また、本実施の形態1では給水手段として給水ポンプ24を用いているが、例えば建物の屋上等に設けられる高架水槽や、加圧された水源等を給水手段として用いてもよい。
【0018】
<スプリンクラ消火設備の動作>
本実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備は、通常の監視状態においては、真空ポンプ24を起動させて二次側配管12内及び真空配管14内が真空状態となっている、真空式の予作動式スプリンクラ消火設備である。以下、このスプリンクラ消火設備の動作について説明する。まず、スプリンクラヘッド2の作動を検出する動作について説明する。続いて、スプリンクラ消火設備の消火動作について説明する。
【0019】
(スプリンクラヘッド作動検出動作)
スプリンクラヘッド2の作動を検出する動作について説明する。
上述のように、通常の監視状態において、二次側配管12内及び真空配管14内は真空状態となっている。これら二次側配管12内及び真空配管14内は、立ち下がり配管13とスプリンクラヘッド2との接続部等から徐々に空気が流入し、真空圧が下がってくる(大気圧に近づいてくる)。二次側配管12内及び真空配管14内の圧力がある真空圧以下となったことを真空スイッチ41で検出した場合、真空ポンプ24を作動させて、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧を一定以上の真空圧に保っている。なお、二次側配管12内の真空圧が低下する場合には、スプリンクラヘッドの作動によるものと、配管からの空気流入による場合とがあるが、それぞれを一つの真空スイッチ41で検出するようにしてもよいが、別途、それぞれの圧力上昇を検出する専用のスイッチを設けるようにしてもよい。
【0020】
防護区画1で火災が発生し、スプリンクラヘッド2が作動すると(スプリンクラヘッド2の放水口が開放されると)、スプリンクラヘッド2の放水口から二次側配管12内及び真空配管14内に防護区画1の空気が流入する。これにより、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧が低下する。
【0021】
そこで、本実施の形態では、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧を真空スイッチ41で検出し、真空スイッチ41の検出値の所定時間当たりの変化量に基づいて、スプリンクラヘッド2の作動を検出している。より具体的には、通常の監視状態において配管の接続部等から空気が流入する場合には、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の低下速度は小さい。つまり、通常の監視状態における真空スイッチ41の検出値の所定時間当たりの変化量は小さい。一方、スプリンクラヘッド2作動時における二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の低下は、通常の監視状態の場合よりも大きくなる。つまり、スプリンクラヘッド2作動時における真空スイッチ41の検出値の所定時間当たりの変化量は、通常の監視状態の場合よりも大きくなる。真空スイッチ41の検出値の所定時間当たりの変化量のこの違いによって、スプリンクラヘッド2の作動を検出している。換言すると、真空スイッチ41の検出値の所定時間当たりの変化量の絶対値が所定の閾値よりも大きくなったときに、制御盤5はスプリンクラヘッド2が作動したと判断している。
【0022】
ここで、スプリンクラヘッド2の作動検出を真空スイッチ41の検出値の所定時間当たりの変化量に基づいて行う理由について説明する。
【0023】
従来のスプリンクラ消火設備は、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧がある閾値よりも小さくなったとき(ある閾値よりも大気圧に近い値となったとき)、スプリンクラヘッド2が作動したと判断していた。しかしながら、二次側配管12内及び真空配管14内の体積と比較してスプリンクラヘッド2の放水口は小さく、また二次側配管12内の圧力と防護区画1の圧力差が小さいため、スプリンクラヘッド2から二次側配管12に流入する空気量が少ないので、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の低下(圧力の上昇)には時間がかかってしまう。このため、スプリンクラヘッド作動時に例えば真空ポンプ24を起動したばかりで二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧が高く、現在の真空圧とある閾値との圧力差が大きい場合、閾値まで圧力が上昇するのには時間がかかり、スプリンクラヘッドの作動検出が遅くなってしまう。
【0024】
一方、本実施の形態1では、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧(真空スイッチ41の検出値)の所定時間当たりの変化量の絶対値が所定の閾値よりも大きくなったときに、スプリンクラヘッド2が作動したと判断している。このため、スプリンクラヘッド作動時における二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧にかかわらず、早期にスプリンクラヘッド2の作動を検出することができる。なお、本実施の形態1では、真空ポンプ24の作動中にスプリンクラヘッド2が作動したとき、二次側配管12の圧力が変化しなくなり、真空スイッチ41が作動しなくなることを防ぐため、真空スイッチ41と真空ポンプ24の間の真空配管14にオリフィス42を設けている。なお、本実施の形態1では、火災感知器3が火災を感知すると、真空ポンプ24の運転は停止させるか、又は、火災検出時には真空圧が低下しても真空ポンプ24を起動しないように制御する。このため、オリフィス42を設ける必要は必ずしもない。なおオリフィス42を省略することで、二次側配管内の圧力を所定圧にするのに要する時間を減らすことができる。
【0025】
(消火動作)
続いて、スプリンクラ消火設備の消火動作について説明する。
通常の監視状態においては、一次側配管11の予作動弁22まで水が充填され、二次側配管12内及び真空配管14内に水が充填されていない状態となっている。
【0026】
防護区画1で火災が発生すると、火災感知器3は火災を感知する。そして、火災受信機4は制御盤5に火災信号を発信する。また、その後スプリンクラヘッド2が作動し、二次側配管12の真空圧が低下すると、制御盤5は、真空スイッチ41の検出値の所定時間当たりの変化量に基づき、スプリンクラヘッド2の作動を検出する。火災信号とスプリンクラヘッド2の作動の両方を検知した場合、制御盤5は、予作動弁22を開放して二次側配管12に水を供給する(充填する)。これにより、立ち下がり配管13を介して作動したスプリンクラヘッド2から防護区画1に放水し、防護区画1で発生した火災を消火する。なお、予作動弁22が開放されると、予作動弁22に設けられた流水信号用スイッチ22aは、制御盤5及び受信機4に流水信号を発信する。
【0027】
このとき、一次側配管11に設けられた定流量弁23により、二次側配管12に流入する水の流量は一定の流量に制限される。このため、二次側配管12に流入する水の流量が過流量となることを防止できる。ウォーターハンマーは、配管内を流れる水の流量が大きいほど発生しやすい。したがって、一次側配管11に定流量弁23を設けることにより、二次側配管12に流入する水の流量が過流量となることを防止でき、二次側配管12等でのウォーターハンマーの発生を抑制することができる。
【0028】
なお、定流量弁23の設置位置は二次側配管12の予作動弁22近傍に設けてもよい。二次側配管12の予作動弁22近傍に定流量弁23を設けることで、過流量が二次側配管12に流れなくなり、ウォーターハンマーの発生を抑制することが可能である。また、定流量弁23に代えて、オリフィスを設けてもよい。二次側配管12に流入する水の流量を、一定の流量に制限することが可能だからである。
【0029】
また、本実施の形態1では、制御盤5は、予作動弁22の開放に連動して、真空配管14に設けた流水遮断弁31を閉止する。このため、予作動弁22が開放して二次側配管12に水が供給されても、流水遮断弁31より下流部の真空配管14に水が流入することを防止できる。つまり、真空ポンプ24に水が流入することを防止できる。したがって、真空ポンプ24が水を吸引して、過負荷で停止したり故障を起こすことを防止できる。
【0030】
なお、本実施の形態1では、予作動弁22の開放と流水遮断弁31の閉止とを、制御盤5を介して電気的に連動させた。これに限らず、予作動弁22の開放と流水遮断弁31の閉止とを、機械的に連動させてもよい。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態1に係る流水遮断弁31の別の一例を示す断面模式図である。
この流水遮断弁31は、常時は開放し、所定の水圧がかかると閉止する自動排水弁の構造と同じものが使用される。つまり、流水遮断弁31の筐体には、二次側配管12側となる端部に、穴部32が形成されている。また、流水遮断弁31の筐体には、真空ポンプ24側となる端部に、穴部32よりも直径が小さな穴部33が形成されている。穴部32と穴部33は、テーパー部34によって接続され、連通している。また、穴部32の内部には、その直径が穴部33の直径よりも大きなボール35が設けられている。穴部33の内部には、渦巻バネ36が設けられている。この渦巻バネ36は、真空ポンプ24側となる端部がバネ押え37により支持されている。
【0032】
このような流水遮断弁31においては、真空ポンプ24が作動すると、ボール35がテーパー部34に向かって移動する。このとき、ボール35は、渦巻バネ36に付勢される。本実施の形態1では、この付勢力が真空ポンプ24の吸引力よりも大きくなるような渦巻バネ36を選定している。これにより、ボール35が穴部32と穴部33との間を閉止することを防止できる。このため、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧を一定以上の真空圧に保つことができる。火災時には、予作動弁22が開放して、流水遮断弁31にも水が供給されるが、渦巻バネ36の付勢力は、真空配管14に流入するこの水の押圧力よりも小さくなっている。したがって、予作動弁22の開放と流水遮断弁31の閉止とを、機械的に連動させることができる。
【0033】
実施の形態2.
実施の形態1以外の構成によっても、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の所定時間当たりの変化量を検出することは可能である。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態2に係るスプリンクラ消火設備を示すシステム構成図の要部拡大図である。
二次側配管12には、真空配管14とは別に、配管17が接続されている。そして、真空スイッチ41は、この配管17に設けられている。また、真空スイッチ41よりも二次側配管12から遠い側の配管17には、オリフィス45が設けられている。真空スイッチ41よりも二次側配管12側の配管17には、常時は閉じ、かつ二次側配管12の急激な圧力上昇により開放するアクセラレータ44が設けられている。つまり、アクセラレータ44は、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の所定時間当たりの変化量が所定値以上のときに開放する。通常時においては、アクセラレータ44が閉じており、配管17の末端は大気に開放しているから、真空スイッチ41は大気圧を検出している。
【0035】
(スプリンクラヘッド作動検出動作)
防護区画1で火災が発生し、スプリンクラヘッド2が作動すると、スプリンクラヘッド2の放水口から二次側配管12内及び真空配管14内に空気が流入する。これにより、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧が低下する。このため、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の所定時間当たりの変化量が所定値以上となり、アクセラレータ44が開放する。そして、二次側配管12と配管17が連通する。このとき、オリフィス45を設けているので、真空スイッチ41の検出値は、すぐには大気圧とならず、二次側配管12内の真空圧に近い値となる。このため、通常の監視状態において大気圧を検出していた真空スイッチ41の検出値は、低下していく。そして、真空スイッチ41の検出値が所定の値よりも小さくなった場合(所定の真空圧よりも高くなった場合)、制御盤5は、スプリンクラヘッド2が作動したと判断する。つまり、図3に示す構成では、スプリンクラヘッド2の作動をアクセラレータ44が検出し、アクセラレータ44がスプリンクラヘッド2の作動を検出したことを(アクセラレータ44が作動したことを)、真空スイッチ41を介して制御盤5が検出する。
【0036】
このように構成されたスプリンクラ消火設備においても、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の所定時間当たりの変化量に基づいてスプリンクラヘッド2の作動を検出しているので、早期にスプリンクラヘッド2の作動を検出することができる。
【0037】
なお、アクセラレータ44の作動は、真空スイッチ41以外で検出してもよい。例えば、アクセラレータ44を開閉する弁体の動作をスイッチ等で検出してもよい。また、アクセラレータ44を用いてスプリンクラヘッド2の作動を検出する場合は、オリフィス42を真空配管14に設けなくともよい。
【0038】
図4は、本発明の実施の形態2に係るスプリンクラ消火設備の別の一例を示すシステム構成図の要部拡大図である。
図4に示すスプリンクラ消火設備は、実施の形態1に示すスプリンクラ消火設備の真空スイッチ41に代えて、差圧スイッチ46が設けられている。この差圧スイッチ46は、オリフィス42と並列に接続されている。通常時においては、差圧スイッチ46の一次側と二次側は同圧のため、差圧スイッチ46はオフとなっている。
【0039】
(スプリンクラヘッド作動検出動作)
防護区画1で火災が発生し、スプリンクラヘッド2が作動すると、スプリンクラヘッド2の放水口から二次側配管12内及び真空配管14内に空気が流入する。これにより、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧が低下する。このとき、オリフィス42を設けているので、オリフィス42の一次側と二次側で圧力差が生じる。この圧力差は、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の所定時間当たりの変化量が大きいほど、大きな値となる。つまり、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の所定時間当たりの変化量が大きいほど、差圧スイッチ46の検出値が大きくなる。差圧スイッチ46の検出値が所定の値よりも大きくなった場合、スプリンクラヘッド2が作動したと判断する。
【0040】
ここで、差圧スイッチ46(及び後述のフロースイッチ)を用いた場合、真空ポンプ24の作動によって、オリフィス42の一次側と二次側で圧力差が生じ、スプリンクラヘッド2の作動を誤検出してしまうという懸念がある。しかしながら、火災感知器3が火災を感知した際に真空ポンプ24の運転を制御盤5が停止することで、スプリンクラヘッド2の作動の誤検出を防止することができる。なお、火災受信機4が真空ポンプ24を制御するようにしてもよい。
【0041】
このように構成されたスプリンクラ消火設備においても、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の所定時間当たりの変化量に基づいてスプリンクラヘッド2の作動を検出しているので、早期にスプリンクラヘッド2の作動を検出することができる。
【0042】
なお、差圧スイッチ46を用いる際、差圧スイッチ46から真空ポンプ24までの体積(容積)を大きくしておくとよい。差圧スイッチ46の検出値が大きくなるからである。このため、サブタンク43を設けておくことが好ましい。
【0043】
また、差圧スイッチ46を用いてスプリンクラヘッド2の作動を検出する場合、オリフィス42が必要となってくる。このため、通常の監視状態において二次側配管12内及び真空配管14内を真空ポンプ24で吸引する際、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の上昇が遅くなってしまう。このため、図5に示すように、差圧スイッチ46及びオリフィス42と並列に、電磁弁等の開閉弁47を設けてもよい。真空ポンプ24によって二次側配管12内及び真空配管14内を吸引する際、開閉弁47を開放することにより、二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の上昇の遅延を防止することができる。
【0044】
また、実施の形態1又は実施の形態2で示した真空スイッチ41や差圧スイッチ46に代えて、フロースイッチを用いてもよい。二次側配管12内及び真空配管14内の真空圧の所定時間当たりの変化量が大きくなるほど、フロースイッチを流れる空気の流量も多くなるからである。差圧スイッチ46に代えてフロースイッチを用いた場合、フロースイッチに流れる空気は主流でないため、フロースイッチのゴミ詰まりを防止できるという効果もある。なお、フロースイッチは真空配管に直列に接続しても、オリフィスを介して並列に接続してもよいが、並列接続の場合には流量計に流れる空気は主流でないことから、流量計のゴミ詰まりを防止できる。
ところで、フロースイッチや差圧スイッチは、スプリンクラヘッドの作動時ではない、真空ポンプ運転時にも作動してしまう場合がある。そこで、真空ポンプの運転状態も考慮して現在の状態を把握するようにしてもよい。例えば、フロースイッチが動作したときに、真空ポンプが動作していれば、それは真空引き中であることを示し、逆にスイッチがオンであって、真空ポンプの動作が停止に切り替わる状態のとき、スイッチがオン状態を継続するなら、火災であると判定できる。同様に、真空ポンプの動作が停止に切り替わる状態のとき、スイッチがオン状態からオフに切り替わるようであれば、そのときのスイッチのオン状態は誤警報であると判断する。
なお、本実施の形態においては、真空ポンプによって二次側配管が負圧にされるスプリンクラ消火設備を例にして説明したが、例えば、二次側配管内が加圧充水されたり、または圧縮空気が充填されたスプリンクラヘ消火設備に本発明を適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 防護区画、2 スプリンクラヘッド、3 火災感知器、4 火災受信機、5 制御盤、10 消火水槽、11 一次側配管、12 二次側配管、13 立ち下がり配管、14 真空配管、15 配管、16 排水配管、17 配管、21 給水ポンプ、22 予作動弁、22a 放水信号用スイッチ、23 定流量弁、24 真空ポンプ、25 末端試験弁、31 流水遮断弁、32 穴部、33 穴部、34 テーパー部、35 ボール、36 渦巻バネ、37 バネ押え、41 真空スイッチ、42 オリフィス、43 サブタンク、44 アクセラレータ、45 オリフィス、46 差圧スイッチ、47 開閉弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予作動弁と、
該予作動弁の二次側に設けられ、スプリンクラヘッドが接続された二次側配管と、
該二次側配管と接続され、前記二次側配管内を負圧にする真空ポンプと、
前記予作動弁の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、
を備えたスプリンクラ消火設備において、
前記二次側配管内の圧力の所定時間当たりの変化量を直接的又は間接的に検出する検出手段を設けたことを特徴とするスプリンクラ消火設備。
【請求項2】
前記二次側配管内の雰囲気の所定時間当たりの変化量の絶対値が所定の閾値を超えた場合、前記検出手段は、前記スプリンクラヘッドが作動したと判断することを特徴とする請求項1に記載のスプリンクラ消火設備。
【請求項3】
予作動弁と、
該予作動弁の二次側に設けられ、スプリンクラヘッドが接続された二次側配管と、
該二次側配管と接続され、前記二次側配管内を負圧にする真空ポンプと、
前記予作動弁の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、
を備えたスプリンクラ消火設備において、
前記二次側配管から分岐して配管を設け、
該配管に、常時は閉じ、かつ前記二次側配管の急激な圧力上昇により開放するアクセラレータを設け、該アクセラレータの二次側に真空スイッチを設けたことを特徴とするスプリンクラ消火設備。
【請求項4】
予作動弁と、
該予作動弁の二次側に設けられ、スプリンクラヘッドが接続された二次側配管と、
該二次側配管と接続され、前記二次側配管内を負圧にする真空ポンプと、
前記予作動弁の一次側に設けられ、基端側に給水手段が接続される一次側配管と、
を備えたスプリンクラ消火設備において、
前記二次側配管から分岐して、端部に前記真空ポンプが接続される真空配管を設け、
該真空配管に、オリフィスと、差圧スイッチまたはフロースイッチのいずれかを並列に接続し、
前記差圧スイッチまたはフロースイッチの検出値が所定の値より大きくなったときに、前記スプリンクラヘッドが作動したと判断することを特徴とするスプリンクラ消火設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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