説明

スプロケットの回転角を検出する装置

【課題】スプロケットの回転角を高精度かつ省スペースで検出することができる装置を提供する。
【解決手段】スプロケット23の回転角毎に異なる態様に変化するパターン形成面27aをスプロケット23に備え、スプロケット23の回転角毎に変化するパターン形成面27aの態様を複数のフォトセンサ27dにより検知し、フォトセンサ27dによる検知信号の組み合わせに基づいて対角検出部27cによりスプロケット23の絶対回転角を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープをピッチ送りするスプロケットの回転角を検出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テープフィーダは、電子部品を等ピッチで収納したテープをピッチ送りして電子部品を所定のピックアップ位置に順次供給する機能を備えており、ピックアップ位置に供給された電子部品は、電子部品実装装置の移載ヘッドによりピックアップして基板等の実装対象物に実装される。テープフィーダにおけるテープ送り機構として、テープに等ピッチで設けられた送り孔に係合するスプロケットと、スプロケットをインデックス回転させるモータとを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この装置では、モータに直結する回転ディスクとスプロケットを無端ベルトで連結し、回転ディスクの回転角を検出するエンコーダ値に基づいてモータの駆動を制御し、ピッチ送り後のテープの停止位置を調整することにより電子部品が所定のピックアップ位置に供給されるようになっている。
【特許文献1】特開平10−139272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、スプロケットの回転角を検出するためのエンコーダを構成する回転ディスクをスプロケットと独立して直列に備える上記構成では、必要スペースおよび重量ともに大きくなる。また、スプロケットと無端ベルトにより連結した回転ディスクの回転角によりスプロケットの回転角を検出するため、誤差が生じ易く検出精度に問題があった。
【0004】
そこで本発明は、スプロケットの回転角を高精度かつ省スペースで検出することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、テープに等ピッチで設けられた送り孔に係合する係合部を円周上に備え、インデックス回転して前記テープをピッチ送りするスプロケットの回転角を検出する装置であって、前記スプロケットに備えられて回転角毎に異なる態様に変化する被検知部と、前記被検知部の前記態様を検知する検知部と、前記検知部により検知された前記被検知部の前記異なる態様に基づいて前記スプロケットの回転角を検出する。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記態様が、前記スプロケットの回転軸を中心とした複数の同心円上にそれぞれ異なるパターンで備えられており、前記検知部が前記各パターンをそれぞれ検知する複数のセンサからなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スプロケットの回転角毎に異なる態様に変化する被検知部がスプロケットに備えられており、スプロケットの回転と同期して回転する被検知部の態様に基づいてスプロケットの回転角が検出されるので、スプロケットの回転角を高精度に検出する装置を省スペースで実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の構成を示す側面図、図2は本発明の一実施の形態のテープフィーダの構成を示す側面図、図3は本発明の一実施の形態のエンコーダの構成を示す説明図、図
4(a)、(b)、(c)は本発明の一実施の形態のエンコーダの被検知部を示す説明図、図5は本発明の一実施の形態のテープフィーダおよびフィーダ調整装置の制御系を示す構成図、図6(a)は本発明の一実施の形態の誤差テーブルを図式化した説明図、図6(b)は本発明の一実施の形態の補正量テーブルを図式化した説明図、図6(c)は本発明の一実施の形態の補正量テーブルを図式化した説明図、図7は本発明の一実施の形態のフィーダ調整方法を示すフローチャートである。
【0009】
まず、本発明の一実施の形態における電子部品実装装置の全体構成について説明する。図1において、基台1上に基板2の搬送を行う基板搬送装置3が配設されている。基板搬送装置3にはクランプ機構が備えられており、搬入された基板2を所定に位置に位置決めして保持するようになっている。なお、本発明においては、基板2の搬送方向をX方向とし、これに水平面内で直交する方向をY方向とする。
【0010】
基板搬送装置3のY方向における側方には、電子部品供給装置であるテープフィーダ4が複数配設されている。テープフィーダ4はキャリア5に保持されており、オペレータがキャリア5に装着されたハンドル6を操作することにより基台1に対して着脱自在となっている。キャリア5にはテープリール7が装着されており、電子部品を等ピッチで収納したテープ8が巻回されている。
【0011】
基台1の上方には、移載ヘッド10がXY方向に水平移動自在に配設されている。移載ヘッド10には複数のノズルユニット11が装着されており、各ノズルユニット11の下部には、電子部品を吸着するノズル12がZ方向に昇降自在でθ方向(Z軸周り)に回転自在に装着されている。基板搬送装置3とテープフィーダ4の間には、ノズルに吸着された電子部品を撮像する撮像手段であるカメラ13が配設されている。テープフィーダ4から供給される電子部品をピックアップしたノズル12は、カメラ13の上方を経由して基板2の上方に移動するようになっており、カメラ13により撮像された電子部品の画像を画像処理することによりノズル12に吸着された状態の電子部品の位置および姿勢が認識され、この認識結果に基づいてノズル12の位置および回転角度を調整した後に基板2の所定の実装箇所に所定の実装姿勢で電子部品を実装する。
【0012】
次に、本発明の一実施の形態におけるテープフィーダ4の構成について説明する。図2において、テープフィーダ4は、外枠20の内部でテープ8の送り動作を行ってテープ8に等ピッチで収納された電子部品を供給口21にピッチ送りする機能を有している。外枠20内の先端部にはテープ送り機構22が配設されている。テープ送り機構22は、テープ8の送り方向に等ピッチで形成された送り孔8aに係合する係合部23aが外周に形成されたスプロケット23と、スプロケット23の回転駆動手段であるモータ24と、モータ24の回転駆動をスプロケット23に伝達する伝達機構25と、モータ24の回転駆動を制御するフィーダ制御部26から構成されている。フィーダ制御部26には記憶領域26aが含まれており、制御プログラムや電子部品の収納ピッチ等の各種のデータが記憶されている。
【0013】
モータ24が電子部品の収納ピッチに対応して間歇回転するように制御されると、スプロケット23がインデックス回転を行い、テープリール7に巻回されたテープ8が後端部から外枠20内に引き込まれて先端部にピッチ送りされる。これにより、テープに収納された電子部品が順次供給口21に供給される。供給口21は、外枠20の上部に装着されてテープ8の送りを案内するテープガイド28の一部に開口されて形成されている。テープガイド28の一部は、テープ8の表面から剥離されたカバーテープ8bの折り返し部となっており、カバーテープ剥離機構29によりテープ8の表面からカバーテープ8bを剥離する。これにより、電子部品が露出した状態で供給口21に供給され、供給口21の上方に位置合わせされたノズル12によりピックアップされる。
【0014】
図2において、スプロケット23には、スプロケット23の絶対回転角を検出するエンコーダ27が装着されている。図3において、エンコーダ27は、スプロケット23の側面に設けられたパターン形成面27aと、パターン形成面27aに形成された凹凸パターンを検知するセンサ27bと、センサ27bにより検知された凹凸パターンを解析してスプロケット23の絶対回転角を検出する絶対角検出部27cから構成されており、絶対角認識部27cはフィーダ制御部26に含まれている。
【0015】
パターン形成面27aには、スプロケット23の回転軸23bを中心とした6つの異径の同心円上にそれぞれ異なる凹凸パターンが形成されており、内側の同心円から外側に向かうに従って凹凸の間隔を粗から密に変化させている。これにより、認識ラインa上に位置する6つの凹凸の組み合わせがスプロケット23の回転角毎に異なるようになっている。
【0016】
センサ27bは、認識ラインa上のパターン形成面27aと対向した位置(図中点線で示す)にパターン形成面27aと所定距離をおいて固定されており、6つの異径の同心円上の凹凸を検知する6つのフォトセンサ27dを備えている。フォトセンサ27dは、被検知部となるパターン形成面27aとの間の距離を検出することにより対向する位置に凹部または凸部の何れかが位置していることを検知する。6つのフォトセンサ27dによる検知信号は対角検出部27cに送信され、6つの凹凸パターンの組み合わせによりスプロケット23の絶対回転角が検出される。
【0017】
なお、パターン形成面27aに形成するパターンと、このパターンを検知するセンサ27bには種々の態様のものを使用することができる。例えば、上記のフォトセンサ27dのような光センサを用いたものとしては反射型の他に透過型のものを使用することもできる。この場合、パターン形成面27aには、パターン孔を形成したり反射率の異なる素材をパターン配列し、スプロケット23の絶対回転角毎に異なる態様に変化させる。また、磁気センサを用いる場合には、スプロケット23の絶対回転角毎に磁気の強さに変化を与えたり磁界を変化させたりするような磁気パターンをパターン形成面27aに形成する。さらに、静電センサを用いる場合には、スプロケット23の絶対回転角毎に静電容量に変化を与えたり電界を変化させたりするような静電パターンをパターン形成面27aに形成する。さらに、パターン形成面27aに電気的な抵抗値の異なる素材をパターン配列し、これに接触した電気回路の電流または電圧の変化を検知することによりスプロケット23の絶対回転角を検出するように構成することも可能である。
【0018】
また、パターン形成面27aは、スプロケット23の側面に一体的に形成するか、予め形成されたパターン形成面27aを既存のスプロケット23の側面に装着するかは問わない。図4(a)に示すように、スプロケット23の側面にパターン形成面27aを一体的に形成する場合は、スプロケット23の製造時に凹凸やパターン孔を同時に形成する他、既に製造されたスプロケット23の側面に直接加工を施すことで形成することができる。また、パターン形成面27aを既存のスプロケット23の側面に装着する場合、図4(b)に示すように、スプロケット23の側面23cに直接装着してもよく、スプロケット23の回転と同期して回転するのであれば、図4(c)に示すように、スプロケット23の側面23cとの間にスペーサ23dを介して装着してもよい。
【0019】
このように、スプロケット23の回転角毎に異なる態様に変化するパターン形成面27aがスプロケット23と同期して回転するように備えられており、パターン形成面27aの態様に基づいてスプロケットの絶対回転角が検出されるため、回転角検出用のディスク等をテープ送り機構22に連結して組み込む必要がなく、省スペースでスプロケット23の絶対回転角を高精度に検出することができる。
【0020】
図5において、伝達機構25は、モータ24の回転軸に取り付けられた駆動歯車25aと、第1中間歯車25bと、第2中間歯車25cとスプロケット23の回転軸に取り付けられた被動歯車25dの歯車列により構成されている。第1中間歯車25bおよび第2中間歯車25cには、それぞれ第1小歯車25eおよび第2小歯車25fが形成されており、駆動歯車25aと第1中間歯車25bが対となり、第1小歯車25eと第2中間歯車25cが対となり、第2小歯車25fと被動歯車25dが対となっている。各対となる3列の歯車列は、それぞれ減速比が整数となるように歯数が設定されており、スプロケット23が1回転する間に、駆動歯車25a、第1中間歯車25b(第1小歯車25e)、第2中間歯車25c(第2小歯車25f)がそれぞれ複数回回転するようになっている。例えば、駆動歯車25aの歯数Zaが10、第1中間歯車25bの歯数Zbが40、第2中間歯車25cの歯数Zcが40、被動歯車25dの歯数Zdが100、第1小歯車25eの歯数Zeが10、第2小歯車25fの歯数Zfが20である場合、第1列目の減速比はZb/Za=4、第2列目の減速比はZc/Ze=4、第3列目の減速比はZd/Zf=5となる(最終減速比は4×4×5=80)。すなわち、スプロケット23が1回転する間に第2中間歯車25c(第2小歯車25f)は5回転し、第1中間歯車25b(第1小歯車25e)は20回転し、駆動歯車25aは80回転する。
【0021】
一般に歯車には加工精度に起因する寸法誤差が存在しており、複数の歯車により構成される歯車列では各歯車の誤差が積み上げられるため、駆動歯車の回転角と被動歯車の回転角との間の相関を把握することができない。しかし、上述したように被動歯車と対となる中間歯車や駆動歯車が被動歯車の回転数の整数倍の回転数となる場合には、駆動歯車が1回転する間に中間歯車や駆動歯車の誤差が周期的に表れるので、駆動歯車の絶対回転角毎の誤差は1回転周期で繰り返されることになる。
【0022】
次に、本発明の一実施の形態におけるフィーダ調整装置について説明する。テープフィーダ4においては、テープ8に等ピッチで収納された電子部品が供給口21に順次供給される際、送り位置にばらつきが生じないようにピッチ送り毎のテープ8またはスプロケット23の停止位置が正確に調整されている必要がある。そのため、フィーダ調整装置は、テープフィーダ4におけるピッチ送り後の停止位置を調整するためのモータ24の駆動量の補正量の演算を行い、この演算結果に基づいて、テープフィーダ4に備えられたフィーダ制御部26はモータ24の駆動量の制御を行う。
【0023】
図5において、テープフィーダ4側にはフィーダ接続部32が設けられており、フィーダ制御部26と接続されている。フィーダ調整装置側にはフィーダ調整装置接続部33が設けられており、フィーダ調整装置制御部31と接続されている。フィーダ調整時にテープフィーダ4がフィーダ調整装置の所定の位置に装着されると、フィーダ接続部32とフィーダ調整装置接続部33が接続され、フィーダ制御部26とフィーダ調整装置制御部31の間で制御指令や各種データの送受信が可能になる。フィーダ調整装置にはカメラ30等の撮像手段が備えられており、フィーダ調整装置に装着されたテープフィーダ4の供給口21の上方となる位置に配設されている(図2参照)。
【0024】
フィーダ調整装置制御部31には、画像処理領域31aおよび記憶領域31b、演算処理領域31cが含まれている。画像処理領域31aは、カメラ30により撮像された画像の処理を行って撮像対象の位置認識を行う。記憶領域31bには、テープ8およびスプロケット23の基準停止位置等の各種データや制御プログラム等が記憶されている。演算処理領域31cは、画像処理領域31aにおいて認識されたテープ8の停止位置またはスプロケット23の停止位置と記憶領域31bに記憶された基準停止位置との誤差を測定する。
【0025】
すなわち、モータ24の駆動をスプロケット23に伝達する伝達機構25を構成する歯車25a〜25fに寸法誤差ない場合には、電子部品の収納ピッチに対応してモータ24が間歇回転した場合、1ピッチ毎のテープ8の移動距離およびスプロケット23の回転角は一定となり、送り孔8aと送り孔8aに係合した係合部23aは常に同じ停止位置(基準停止位置)で認識される。しかし、上述したように歯車25a〜25fには寸法誤差が存在しているので、1ピッチ毎のテープ8の移動距離およびスプロケット23の回転角は一定とならず、テープ8の停止位置およびスプロケット23の停止位置と基準停止位置との間に誤差が生じる。
【0026】
そのため、フィーダ調整装置においては、スプロケット23が1回転する間におけるテープ8の停止位置およびスプロケット23の停止位置と基準停止位置との間の誤差を測定し、エンコーダ27により検出されるスプロケット23の絶対回転角と関連付けて誤差テーブル(図6(a)参照)を作成し、記憶領域31bに記憶する。
【0027】
図6(a)は、記憶領域31bに記憶される誤差テーブルを図式化したものを例示している。横軸は、エンコーダ27により検出されるスプロケット23の絶対回転角(エンコーダ検出値)であり、縦軸は、画像処理領域31aにおいて認識されたテープ8の停止位置またはスプロケット23の停止位置と記憶領域31bに記憶された基準停止位置との誤差である。ここに例示した図式では、スプロケット23の絶対回転角が0°〜240°、330°〜360°(0°)の領域において、テープ8の停止位置またはスプロケット23の停止位置が基準停止位置を通過しており(図中+側に表示)、240°〜330°の領域において、テープ8の停止位置またはスプロケット23の停止位置が基準停止位置に到達していないことが分かる(図中−側に表示)。そのため、スプロケット23の絶対回転角が0°〜360°の何れであってもテープ8の停止位置またはスプロケット23の停止位置が基準停止位置となるように、絶対回転角毎の補正量を演算し、補正量テーブルを作成して記憶部31bに記憶する。
【0028】
図6(b)は、記憶領域31bに記憶される補正量テーブルを図式化したものを例示している。横軸はスプロケット23の絶対回転角(エンコーダ検出値)であり、縦軸は補正量である。図6(a)に例示する誤差テーブルとの比較から明らかなように、補正量テーブルと誤差テーブルは横軸を軸として対称な図形を描いている。すなわち、テープ8の停止位置またはスプロケット23の停止位置が基準停止位置を通過する(図6(a)中+側に表示)0°〜240°、330°〜360°(0°)の領域において、マイナスの補正量としてテープ8の停止位置またはスプロケット23の停止位置が基準停止位置となるように調整する。また、テープ8の停止位置またはスプロケット23の停止位置が基準停止位置に到達しない(図6(a)中−側に表示)240°〜330°の領域において、プラスの補正量としてテープ8の停止位置またはスプロケット23の停止位置が基準停止位置となるように調整する。
【0029】
記憶領域31bに記憶された補正量テーブルは、フィーダ制御部26の記憶領域26aに送信される。図6(c)において、テープフィーダ4を電子部品実装装置に装着して電子部品の供給を行う際、エンコーダ27によりスプロケット23の絶対回転角αが検出されると、記憶領域26aに記憶された補正量テーブルに基づいて絶対回転角αに対応した補正開始位置βを特定することができる。フィーダ制御部26は、補正量テーブルに基づいてモータ24の駆動量を制御しし、これにより、テープ8の停止位置またはスプロケット23の停止位置が基準停止位置となるように調整される。
【0030】
このように、本実施の形態におけるフィーダ調整装置は、スプロケットに備えられた被動歯車との減速比がそれぞれ整数倍となる歯車列からなる減速機構によりスプロケットをインデックス回転させてテープのピッチ送りを行う駆動手段を備えたテープフィーダにつ
いて、スプロケットの絶対回転角毎の補正量を表す補正量テーブルを作成し、この補正量テーブルに基づいてテープフィーダの駆動をフィードフォワード制御することによりピッチ送り後のテープの停止位置またはインデックス回転後のスプロケットの停止位置が基準停止位置に調整される。そのため、加工精度が比較的低い歯車を使用した減速機構を備えたテープフィーダであっても機構的な精度に影響されることなくピッチ送り後のテープの停止位置の精度を向上させることが可能になる。なお、フィーダ調整装置は必ずしも専用の装置である必要はなく、電子部品実装装置に配設することも可能である。
【0031】
次に、本発明の一実施の形態におけるフィーダ調整方法について説明する。このフィーダ調整方法は、上述したテープフィーダを備えたフィーダ調整装置に適用することができる。以下、図7に示すフローチャートを参照してフィーダ調整方法について工程順に説明する。
【0032】
まず、スプロケット23が1回転する間におけるテープ8のピッチ送り後の停止位置またはスプロケット23のインデックス回転後の停止位置の測定を行う(ST1・・・測定工程)。次に、エンコーダ27により検出されたスプロケット23の絶対回転角と測定工程(ST1)において測定されたテープ8のピッチ送り後の停止位置またはスプロケット23のインデックス回転後の停止位置と基準停止位置との誤差からスプロケット23の絶対回転角毎の誤差の演算を行う(ST2・・・演算工程)。ST2において演算された誤差からスプロケット23の絶対回転角毎の補正量の演算を行う(ST3・・・演算工程)。ST3において演算された補正量テーブルがテープフィーダ4側のフィーダ制御部26に送信される(ST4・・・送信工程)。
【0033】
以上の工程により、テープフィーダ4のフィーダ制御部26に補正量テーブルが記憶され、テープ8のピッチ送り後の停止位置またはスプロケット23のインデックス回転後の停止位置が基準停止位置となるように調整される。
【0034】
このように、本実施の形態におけるフィーダ調整方法は、スプロケットに備えられた被動歯車との減速比がそれぞれ整数倍となる歯車列からなる減速機構によりスプロケットをインデックス回転させてテープのピッチ送りを行う駆動手段を備えたテープフィーダについて、スプロケットの絶対回転角毎の補正量を表す補正量テーブルを作成し、この補正量テーブルに基づいてテープフィーダの駆動をフィードフォワード制御することによりピッチ送り後のテープの停止位置またはインデックス回転後のスプロケットの停止位置が基準停止位置に調整される。そのため、加工精度が比較的低い歯車を使用した減速機構であっても機構的な精度に影響されることなくピッチ送り後のテープの停止位置を高精度に調整することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、スプロケットの回転角毎に異なる態様に変化する被検知部がスプロケットに備えられており、スプロケットの回転と同期して回転する被検知部の態様に基づいてスプロケットの回転角が検出されるので、スプロケットの回転角を高精度に検出する装置を省スペースで実現することができるという利点を有し、テープフィーダを使用した電子部品実装分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の構成を示す側面図
【図2】本発明の一実施の形態のテープフィーダの構成を示す側面図
【図3】本発明の一実施の形態のエンコーダの構成を示す説明図
【図4】(a)本発明の一実施の形態のエンコーダの被検知部を示す説明図(b)本発明の一実施の形態のエンコーダの被検知部を示す説明図(c)本発明の一実施の形態のエンコーダの被検知部を示す説明図
【図5】本発明の一実施の形態のテープフィーダおよびフィーダ調整装置の制御系を示す構成図
【図6】(a)本発明の一実施の形態の誤差テーブルを図式化した説明図(b)本発明の一実施の形態の補正量テーブルを図式化した説明図(c)本発明の一実施の形態の補正量テーブルを図式化した説明図
【図7】本発明の一実施の形態のフィーダ調整方法を示すフローチャート
【符号の説明】
【0037】
8 テープ
8a 送り孔
23 スプロケット
23a 係合部
23b 回転軸
27a パターン形成面
27b センサ
27d フォトセンサ
27c 絶対角検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープに等ピッチで設けられた送り孔に係合する係合部を円周上に備え、インデックス回転して前記テープをピッチ送りするスプロケットの回転角を検出する装置であって、
前記スプロケットに備えられて回転角毎に異なる態様に変化する被検知部と、前記被検知部の前記態様を検知する検知部と、前記検知部により検知された前記被検知部の前記異なる態様に基づいて前記スプロケットの回転角を検出する絶対角検出手段とを備えた装置。
【請求項2】
前記態様が、前記スプロケットの回転軸を中心とした複数の同心円上にそれぞれ異なるパターンで備えられており、前記検知部が前記各パターンをそれぞれ検知する複数のセンサからなる請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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