説明

スペクトルドップラにおける自動ゲイン調節のための方法及び装置

医療用超音波についてのスペクトル(パルス波(PW)及び/又は連続波(CW))ドップラにおける自動ゲイン調節のための方法は、信号及びノイズの副集合に解析されるようにスペクトルレベル(スペクトグラム)の二次元(2D)アレイを分離する段階を有する。信号及びノイズの副集合の各々について、デルタゲインが、所定の表示に基づくデザイン仕様を達成するために演算される。続いて、別個の信号及びノイズのデルタゲインは1つのデルタゲイン値に結合され、その値は、その場合、スペクトルドップラモードがライブ状態又はフリーズ状態のどちらかであることに依存して後続のスペクトルドップラ信号又は画像メモリに記憶されているスペクトグラムに適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療用超音波システムに関し、特に、医療用超音波システムのスペクトル(パルス波(PW)又は連続波(CW))ドップラモードにおける自動ゲイン調節のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲインは、血流/組織運動検出可能性、可視化及び数量化に顕著に影響を与えるため、最も重要で、頻繁に操作されるスペクトルドップラ制御の1つである。しかしながら、スペクトルドップラゲインは、信号の特徴及びノイズの性質における変化に応じて最適なソノグラム表示を維持するように、検査を通して頻繁で注意深い調節を必要とする。信号の特徴の変化は、例えば、サンプルボリュームが新しい血管位置に移動されるときに生じる可能性がある。更に、ノイズの性質の変化は、例えば、サンプルボリュームサイズ、パルス繰り返し周波数(PRF)等のような因子により影響される可能性がある。
【0003】
したがって、当該技術分野における問題点を克服するためのスペクトルドップラゲイン制御の最適化を実行するための改善された方法及び超音波診断撮像システムが要請されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態にしたがって、スペクトルドップラゲイン制御の自動最適化は、時間を要し、退屈な手動のゲイン調節のあり方に対処する。一実施形態においては、スペクトルドップラゲイン制御の自動最適化は、超音波診断撮像システムの自動ゲインアルゴリズムの形で実施される。
【0005】
図においては、同じ参照番号は同じ要素を表す。更に、図はスケーリングして表されていないことに留意する必要がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明の実施形態にしたがった自動ゲインアルゴリズムを組み込んでいる超音波診断撮像システム10の部分ブロック図である。音波診断撮像システム10に関連して、超音波トランスデューサアレイ12が、ハウジング14内に備えられている。超音波トランスデューサアレイ12は、例えば、患者16を撮像するように、対象のオブジェクト(又はその一部)に隣接して又は近接して位置するように適合される。トランスデューサアレイ12は、例えば、当該技術分野において知られている、二次元アレイのような何れかの適切なトランスデューサアレイを有することが可能である。更に、そのトランスデューサは、撮像されるべきオブジェクトを走査するように、所望に応じて、経路に沿って移動されるように構成されることが可能である。
【0007】
超音波診断撮像システム10は、制御エレクトロニクスユニット18を有する。超音波トランスデューサアレイ12は、信号線20を介して制御エレクトロニクスユニット18に結合している。制御エレクトロニクスユニット18は、入力/出力装置22(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン、音響/音声入力、トグルスイッチ、プッシュボタンスイッチ等)及び表示装置24を有する、及び/又はそれらと接続し、制御エレクトロニクスユニットは、視覚表示のために映像ディスプレイに撮像化データ信号を供給する。制御エレクトロニクスユニット18は、例えば、目的の装置で用いるために適切である信号線26におけるデータ信号送信を介して、プリンタ、大容量記憶装置、コンピュータネットワーク(即ち、遠隔データ記憶、解析及び/又は表示のため)等の他の装置(図示せず)に超音波画像データを更に供給することが可能である。一実施形態においては、制御エレクトロニクスユニット18は、送信器28(例えば、送信ビームフォーマ)、ディジタルビームフォーマ30(例えば、受信ビームフォーマ)、システム制御器32及び画像処理器34を更に有する。
【0008】
システム制御器32は、信号線26を介してI/O装置22に結合されている。システム制御器32はまた、信号線38を介して送信器28に適切な送信ビームフォーマ制御信号を供給する。送信ビームフォーマ制御信号は、ここで更に説明されるように、超音波トランスデューサアレイにより所望のビーム操作を与えるようになっている。送信ビームフォーマ制御信号に応じて、送信器28は、信号線20を介して超音波トランスデューサアレイ12に、対応する超音波トランスデューサ制御信号を供給する。
【0009】
更に、システム制御器32はまた、信号線40を介してディジタルビームフォーマ30に適切な受信ビームフォーマ制御信号を供給する。受信ビームフォーマ制御信号は、ここで更に説明されるように、本発明の実施形態にしたがって所望のビーム形成を与えるようになっている。ディジタルビームフォーマ30は、信号線42を介して画像処理器34に超音波画像データを供給する。更に、システム制御器32は、信号線44を介して画像処理器/メモリ34に結合している。システム制御器32からの制御信号に応じて及びディジタルビームフォーマ30からの超音波画像データに応じて、画像処理器/メモリ34は、信号線46を介して表示装置24に画像データを供給し、画像データは表示装置24で用いるために適切である。エレクトロニクスユニット18の構成要素は、ここで説明されるように、種々の機能を実行するために、当該技術分野で知られている何れの適切な構成要素を有することが可能である。
【0010】
超音波ビームの送信は送信器28により制御される。送信器28は、所定の角度又は操作方向及び焦点において並びにアレイに沿った所定の原点から各々のビームを送信するように、アレイトランスデューサ12の要素の各々の動作の時間及びフェージングを制御する。各々の操作線に沿って及びそれから戻るエコーは、アナログ−ディジタル変換(図示せず)によりディジタル化され、ディジタルビームフォーマ30に結合されているそのアレイの要素により受信される。ディジタルビームフォーマ30は、各々の走査線に沿ってフォーカシングされたコヒーレントなディジタルエコーサンプルの系列を形成するようにアレイ要素からのエコーを遅延させる及び加算する。送信器28及びビームフォーマ30はシステム制御器32の制御下で動作され、そのシステム制御器はまた、例えば、自動化プロトコルにしたがって又は超音波システムのユーザによって動作されるユーザインターフェース22の制御の設定に対応する。システム制御器32は、所望の角度、焦点において所望の数の走査線群を送信するように、エネルギー及び周波数を送信するように、送信器28を制御する。システム制御器32はまた、適切に遅延するようにディジタルビームフォーマ30を制御し、用いられる画像深さ及びアパーチャのために複数の受信エコー信号を結合する。
【0011】
本発明の実施形態にしたがって、画像データは画像処理器34により表示フォーマットで与えられ、画像処理器/メモリは、特定の超音波診断撮像アプリケーションの要求のために適切な画像レンダリング処理器を有することが可能である。画像データは表示提示にレンダリングされる。そのレンダリングは、ユーザインターフェース22により選択される制御信号をレンダリングすることに制御され、システム制御器32により処理器34に適用されることが可能である。
【0012】
図2は、本発明の一実施形態にしたがった自動ゲインアルゴリズムと結合した超音波診断撮像システム10のスペクトルドップラ処理経路の簡略化されたブロック図である。この実施形態においては、自動ゲインアルゴリズムは、スペクトルドップラ処理経路50を前提としている。図2のスペクトルドップラ処理経路50についての下での説明は、自動ゲインアルゴリズムによりなされる種々の前提に焦点を当てる。
【0013】
ドップラ信号はI成分52及びQ成分54を有し、それらの成分は共に、I及びQ対を形成する。ドップラ信号のI及びQ対は、スペクトル解析ステージによりスペクトル解析を受ける。スペクトル解析ステージ56は、以下で“非圧縮スペクトルレベル”と呼ばれる、出力58におけるスペクトルパワーの評価を与える。血流に対応するドップラ信号について、ドップラ信号は、スペクトル解析に先だってウオールフィルタリングステージを通過する。対照的に、ウオールフィルタリングは、典型的には、目的が表示されるようになっているときには用いられず、例えば、組織ドップラモードにおいて運動している組織と関連する速度を数量化する。
【0014】
出力58における非圧縮スペクトルレベルは、圧縮段階60に対して入力される。圧縮ステージ60は、後続のステージの制限された動的範囲を割り当てるようにスペクトルレベルを圧縮する。圧縮ステージ60は、出力62に圧縮スペクトルレベルを与える。
【0015】
出力62における圧縮スペクトルレベルは、スペクトルドップラディスプレイを駆動するために出力66においてRGBトリプレットを生成するように、利用可能な階調又は彩度マップステージ、例えば、グレーマップステージ64の1つへの入力として供給される。
【0016】
スペクトルドップラディスプレイに供給されることに加えて、圧縮スペクトルレベルはまた、二次元アレイとして画像メモリ68に記憶される。圧縮スペクトルレベルの二次元アレイの行及び列はそれぞれ、ドップラ周波数及び時間に対応している。しかしながら、画像メモリは、圧縮ステージ60からの出力を受信するように示されている一方、画像メモリ68は、図2のブロック図の異なる部分に移動されることが可能である。例えば、画像メモリ68は、本発明の自動ゲインアルゴリズムの実施形態の本質に影響を与えることなく、スペクトル解析ブロック56及び圧縮ブロック60の間に位置することが可能である。
【0017】
本発明の一実施形態にしたがって、呼び出し又は動作イベントに応じて、自動ゲインアルゴリズムは、画像メモリに記憶されているスペクトルドップラデータの所定量にアクセスし、別個のノイズ及び信号ゲイン最適化基準に関してそれらのデータを解析し、ゲイン最適化基準に適合するように後続のスペクトルドップラ信号に適用される“最適”デルタゲイン係数を導き出す。自動ゲインアルゴリズムは、解析されたデータの関数として“最適”デルタゲイン係数を導き出す。更に、スペクトルドップラデータの所定量は、例えば、自動ゲインアルゴリズムの呼び出しに先だって、スペクトルドップラデータの最後の1乃至2秒を表現することが可能である。更に、スペクトルドップラデータの所定量はまた、特定のスペクトルドップラ自動ゲインアルゴリズムに必要なみなしデータの何れの他の量を表現することが可能である。
【0018】
呼び出し又は動作イベントは、自動ゲインアルゴリズム又は本発明の方法と関連して用いられることが可能である所定の離散的/連続的動作にしたがった何れの適切な行動又はイベントに対応する。自動ゲインアルゴリズムは、複数の異なる方法で動作される又は呼び出されることが可能である。更に具体的には、自動ゲイン動作は、例えば、超音波診断撮像システムにおける専用キーを押すこと、ボイスコマンド等による明示的なユーザの行動の結果として、離散的に起こることが可能である。更に、自動ゲイン動作は、バックグラウンド処理として自動ゲインアルゴリズムを連続的に実行し、現時点で用いられているゲインと十分に異なる新しいゲイン予測に応じて(即ち、閾値に関連して)新しいゲイン予測を受け入れることにより、連続的に起こることが可能である。更に、付加ロジックが、真に最適なゲイン予測に収束するようにドップラ自動ゲインアルゴリズムの複数の繰り返しを必要とする飽和のような状態を検出するように用いられることが可能である。更に、自動ゲイン動作は、超音波診断撮像システムにおける撮像からスペクトルドップラモードへの移行のような特定のイベントの結果として起こることが可能である。
【0019】
一実施形態においては、自動ゲインアルゴリズムは、i)解析されるべきドップラスペクトル(Doppler spectogram)を信号及びノイズの副集合にセグメント化すること、ii)ドップラスペクトルの信号及びノイズの副集合の各々について、所定の表示に基づくデザイン仕様を達成するために必要なデルタゲインを演算すること、及びiii)全体的な(信号プラスノイズ)スペクトルドップラデータに適用されるように全体的なデルタゲインに別個の信号及びノイズのデルタゲインを結合させるように所定のルールを適用することを有する。
【0020】
上記段落に関連して、信号又はノイズの副集合についての所定の表示に基づくデザイン仕様が、値の対に関して表現される。例えば、信号の副集合についての値の対は{DesSigPrc,DesSigMapLev}で表される。同様に、ノイズの副集合についての値の対は{DesNoisPrc,DesNoisMapLev}で表される。所定の表示に基づくデザイン仕様についての値の対は、対象のデータ(即ち、信号又はノイズ)が、それらのデザインの百分率(DesPrc)がスペクトルドップラディスプレイにおいてデザインマップレベル(DesMapLev)にマッピングされるようである必要がある。
【0021】
ノイズについてのデザイン仕様は、ノイズピクセルの上限の1乃至10%が表示視認性のすぐ上である必要があるという前提に基づいている。これは、例えば、256の階調のうちの約10乃至20の階調に相当する。対照的に、信号についてのデザイン仕様は、ノイズピクセルの上限の1乃至10%が表示飽和のすぐ上である必要があるという前提に基づいている。これは、例えば、256の階調のうちの約200乃至240の階調に相当する。
【0022】
信号デルタゲインを演算するように、自動ゲインアルゴリズムは先ず、デザインマップレベル(DesSigMapLev)に相当する信号の非圧縮スペクトルレベル(DEsSigUncompSpectrLev)を求める。自動ゲインアルゴリズムは、図2の圧縮ステージ60及びグレーマップステージ64のそれぞれにより規定される変換の逆を演算することにより、これを達成する。好適には、DesSigUndompSpectrLevはデシベル単位で、即ち、DesSigUncompSpectrLev=10*LOG10(DesSigUncompSpectrLev_Linear)dBで表される。自動ゲインアルゴリズムは、その場合、信号ピクセルのDesSigPrc百分率に現時点で、相当する非圧縮スペクトルレベルを求める。好適には、CurSigUncompSpectrLevがまた、デシベル単位で表される。自動ゲインアルゴリズムは、非圧縮スペクトルレベルの関数として信号ピクセルの累積分散関数(CDF)によりCurSigUncompSpectrLevを求める。これは、画像メモリに記憶されている値の範囲の関数として信号CDFを生成し、次いで、非圧縮スペクトルレベルに画像メモリに記憶されている値の範囲を変換するように逆変換を用いること又は、非圧縮スペクトルレベルの関数として信号CDFの生成により後続される対応する非圧縮スペクトルレベルに画像メモリに記憶されている信号値の逆変換により得られる。最終的に、自動ゲインアルゴリズムは、DeltaGainSig=DesSigUncompSpectrLev−CurSigUncompSpectrLev dBのように信号デルタゲインを求める。ノイズデルタゲインを演算するように、自動ゲインアルゴリズムは、上記で概要を説明した信号の方法に同様に従う。即ち、自動ゲインアルゴリズムは先ず、デザインマップレベル(DesNoisMapLev)に相当するdBを単位とするノイズの非圧縮スペクトルレベル(DesNoisUncompSpectrLev)を求める。自動ゲインアルゴリズムは、次いで、ノイズピクセルの百分率DesNoisPrcに現時点で相当するdBを単位とする非圧縮スペクトルレベル(CurNoisUncompSpectrLev)を求める。最終的に、自動ゲインアルゴリズムは、次式によりノイズデルタゲインを導き出す。
【0023】
DeltaGainNois=DesNoisUncompSpectrLev−CurNoisUncompSpectrLev dB
上記のように、信号又はノイズの副集合についての最適なゲイン予測は、対象の副集合に属すソノグラムピクセルのヒストグラムを生成することと、累積分散関数によりそのヒストグラムのx番目の百分率を演算することと、スペクトル解析ステージに先だってドップラデータに適用されるときに、x番目の百分率が表示のN番目の階調に対してマッピングされるようにするデルタゲイン(又は、乗算係数)を演算することとを有する。最適化基準は、比較的単純(即ち、信号ピクセルの大部分が飽和より下にあることを確実にするように、例えば、階調230にマッピングされた95番目の信号、又は、ノイズピクセルが丁度可視的になることを確実にするように、例えば、階調10にマッピングされた95番目のノイズ)に保たれることが可能である。階調に対する複数の百分率の仕様を有することが可能である更に複雑な基準が、所定の超音波アプリケーションの事項における自動ゲインアルゴリズムの統合の間に特定の医療の要求に応じて開発されることが可能である。更に、上記の演算は、図2の単純化されたブロック図には示されていないが、何れの他のモジュール(即ち、フィルタリング、間引き)の効果を明示的に考慮することが可能である。
【0024】
本発明の実施形態にしたがった上記の自動ゲインアルゴリズムの手順について、後続の図及び下記の実施例により更に説明を加える。
【0025】
図3Aは、自動ゲインアルゴリズムへの入力として用いられるドップラスペクトル(Doppler Spectrogram)70の階調表示を示している。そのスペクトルの横軸は2秒の時間の持続期間に対応している。図3Bは、バイナリ画像として示されている図3Aのスペクトルのセグメント化されたバージョン72(前景は信号、背景はノイズ)である。換言すれば、図3Aにおいては、信号として分類されるピクセルは白色(前景)74で示され、ノイズとして分類されるピクセルは黒色(背景)76で示されている。
【0026】
図4は、全体的なドップラマップのグラフ表現80であり、その図は、線82で示されているように、非圧縮スペクトルレベルとスペクトルドップラディスプレイにおける階調レベルとの間の一致性を規定するように非圧縮ステージ及びグレーマップステージを有する全体的なドップラ信号経路を考慮している。大きいダイナミックレンジのために、非圧縮スペクトルレベルはデシベルスケールで10*Log10(非圧縮スペクトルレベル)をプロットされていることに留意されたい。また、非圧縮スペクトルレベルと階調レベルとの間の一致性は、非点収差マップがグレーマップに代えて用いられる、即ち、カラーマップが赤色(R)、緑色)G)及び青色(B)のトリプレットを特定するときでさえ、確立されることが可能であることに留意されたい。この場合、階調−相当値Gが、R、G及びB成分の組み合せにより得られる。自動ゲインアルゴリズムを説明するために下記で用いられる特定の実施例を与えるように、2つのマーカーがまた、図4に示されている。第1マーカー84はアスタリスクであり、52.4dBの非圧縮スペクトルレベルが階調レベル240に対してマッピングされていることが示されている。第2マーカー86は×印であり、13.5dBの非圧縮スペクトルレベルが階調レベル20に対してマッピングされていることが示されている。
【0027】
図5は、図3の2秒のドップラスペクトルからの信号ピクセルの累積分散関数のグラフ表現90である。線92で表されている信号CDF又は累積ヒストグラムは、非圧縮スペクトルレベルの関数(デシベルスケールで表されている)としての信号ピクセルのヒストグラムを演算し、次いで、0から開始するこのヒストグラムを積分することにより得られる。2つのマーカーは、図5のプロットに重ね合わされている。第1マーカー94は四角形であり、信号ピクセルの99番目の百分率が58dBの非圧縮スペクトルレベルに現時点で相当することを示している。第2マーカー96は円形であり、52.4dBのx座標及び0.99(又は、99%、即ち、99番目の百分率)のy座標を有する点が規定されている。
【0028】
図6は、図3の2秒のドップラスペクトルからのノイズピクセルの累積分散関数(CDF)のグラフ表現100である。線102で表されているノイズCDF又は累積ヒストグラムは、非圧縮スペクトルレベルの関数(デシベルスケールで表されている)としてのノイズピクセルのヒストグラムを演算し、次いで、0から開始するこのヒストグラムを積分することにより得られる。2つのマーカーは、図6のプロットに重ね合わされている。第1マーカー104は四角形であり、ノイズピクセルの99番目の百分率が21dBの非圧縮スペクトルレベルに現時点で相当することを示している。第2マーカー106は円形であり、13.5dBのx座標及び0.99(又は、99%、即ち、99番目の百分率)のy座標を有する点が規定されている。
【0029】
信号デルタゲインを予測する実施例として、信号デザイン仕様はDesSigPrc=99及びDesSigMapLev=240であり、用いられる全体的なドップラマップは図4にプロットされているドップラマップであることが前提とする。この図により、階調DesSigMapLev=240は非圧縮スペクトルレベルDesSigUncompSpectrLev=52.4dBに対応することが演繹される。他方、図5にプロットされている信号CDFにより、DesSigPrc=99番目の信号の百分率は、非圧縮スペクトルレベルCurSigUncompSpectrLev=58dBに現時点で対応することが演繹される。それ故、−5.6dBの信号デルタゲインが、その信号デザイン仕様に適合するために必要である。換言すれば、DeltaGainSig=DesSigUncompSpectrLev−CurSigUncompSpectrLev=52.4−58dB=−5.6dBである。したがって、−5.6dBの信号デルタゲインは、ドップラ仕様表示において階調レベル240に対して信号ピクセルの99番目の百分率をマッピングする信号デザイン仕様が適合されることを可能にする。
【0030】
ノイズデルタゲインを予測する実施例として、ノイズデザイン仕様はDesNoisPrc=99及びDesNoisMapLev=20であり、用いられる全体的なドップラマップは図4にプロットされているドップラマップであることが前提とされる。この図により、階調DesNoisMapLev=20は非圧縮スペクトルレベルDesNoisUncompSpectrLev=13.5dBに対応することが演繹される。他方、図6にプロットされている信号CDFにより、DesNoisPrc=99番目のノイズの百分率は、非圧縮スペクトルレベルCurNoisUncompSpectrLev=21dBに現時点で対応することが演繹される。それ故、−7.5dBの信号デルタゲインが、そのノイズデザイン仕様に適合するために必要である。換言すれば、DeltaGainNois=DesNoisUncompSpectrLev−CurNoisUncompSpectrLev=13.5−21dB=−7.5dBである。したがって、−7.5dBのノイズデルタゲインは、ドップラ仕様表示において階調レベル20に対してノイズピクセルの99番目の百分率をマッピングする信号デザイン仕様が適合されることを可能にする。
【0031】
代替の実施形態においては、信号及び/又はノイズデザイン仕様は、一般に、2つ以上の百分率値とドップラマップレベル値との対を有する。例えば、信号デザイン仕様は、値のN個の対に関して、和
【0032】
【数1】

又は他の代替の方法で重み付けされた、単純なルール(DeltaGainSig=MAX{DeltaGainSig},MIN{DeltaGainSig},etc)により単独の信号デルタゲインを生成するように結合された結果として得られる信号デルタゲインDeltaGainSig(n=1,2,...,N)により、信号範囲の異なるセグメント(低レベル、中間レベル、高レベル、...)について最適な基準を特定する{DesSigPrc,DesSigMapLev}のように表され、ここで、n=1,2,...,Nである。
【0033】
更に、本発明の自動ゲインアルゴリズムにより、信号及びノイズデルタゲインは全体的なデルタゲインに結合されることが可能である。信号及びノイズデルタゲインを全体的なデルタゲインに結合することは、1つ又はそれ以上の異なるアルゴリズムにより達成されることが可能であり、特定のアルゴリズムの選択は、解析されるべきデータ(例えば、周辺血管、心臓血流又は心臓組織ドップラ)の種類及びユーザの特定の好みのような因子に依存する。特定のアプリケーションにおいて有用であると認識された2つの方法について、下記で概要を説明する。
【0034】
第1方法においては、全体的なデルタゲインは、次式にしたがって、個々のデルタゲインの重み付けされた組合せとして決定され、
DeltaGain=a*DeltaGainSig+b*DeltaGainNois
ここで、a及びbはアプリケーションに特定の係数及び有効なデータ依存性係数である。例えば、係数a及びbは、次のような簡単なルールにより決定されることが可能である。
【0035】
IF(DeltaGainSig<DeltaGainNois)

a=1;
b=0;

ELSE{
a=0.25;
b=0.75;

更に、一部の場合、係数a及びbは、次式のように、信号対ノイズ比(SNR)及びアプリケーション特定ルックアップテーブル(LUT)等のデータ依存性特徴に関して決定されることが可能である。
【0036】
a=LUT(SNR)
b=LUT(SNR)
第2方法においては、全体的なデルタゲインはノイズデルタゲインにより決定され、圧縮ステージ又はグレーマップステージの特徴は、それ故、信号デザイン仕様に適合するように修正される。実施例を挙げると、上記の図4乃至6からの特定の値を用いて、次式のようになる。
【0037】
DeltaGain=DeltaGainNois=−7.5dB
DeltaGainが適用された後、DesSig Prc=99番目の百分率は、次式の新しい非圧縮スペクトルレベルに一致する。
【0038】
NewSigUncompSpectrLev=CurSigUncompSpectrLev+DeltaGain=58−7.5=50.5dB
したがって、圧縮ステージ及び/又はグレーマップステージは、図3の全体的なドップラマップが、x座標NewSigUncompSpectrLev=50.5dB及びy座標DesSigMapLev=240により規定される点を通過することを確実にするように修正される。
【0039】
したがって、画像メモリに記憶されているスペクトルドップラソノグラム値を解析する自動ゲインアルゴリズムについて、ここでは説明している。自動ゲインアルゴリズムは、システムのスペクトルドップラディスプレイにおけるソノグラムの最適表現に対応する適切なゲイン値を導き出す。その解析は、ソノグラムの信号成分及びノイズ成分を考慮する。更に、その解析は、例えば、熟達したユーザによって、実行される手動のゲイン最適化の最近似が達成されるように、現時点で選択されているグレー又は非点収差マップ及び現時点のスペクトル圧縮特性を考慮する。更に、そのアルゴリズムは、ライブ又はフローズンスペクトルドップラデータにおいて適用されることが可能である。
【0040】
ライブスペクトルドップラにより、自動ゲインアルゴリズムは、画像メモリに記憶されているソノグラムデータの最後のx秒を解析し、次のような動作であって、a)ノイズの統計(理論的に導き出される、ルックアップテーブルに記憶される又はヒストグラム解析及び画像処理技術により動的に評価される)についての知識に基づいて、ソノグラムデータを信号及びノイズの副集合にセグメント化し、b)信号の副集合が特定の表示に基づく信号最適化基準に適合するように信号ゲインを評価し(例えば、飽和のすぐ下のグレーレベルに信号ピクセルの特定の百分率をマッピングするように)、c)ノイズの副集合が特定の表示に基づくノイズ最適化基準に適合するようにノイズゲインを評価し(例えば、視認性のすぐ上のグレーレベルにノイズピクセルの特定の百分率をマッピングするように)、d)特定のルール及び/又はデータ駆動ルックアップテーブルを用いることにより、信号及びノイズゲインを全体的なゲイン値に結合する、動作を実行する。
【0041】
代替として、全体的なゲインは、ノイズゲインにより決定され、次いで、信号デザイン仕様は、圧縮ステージ及び/又はグレーマップステージの適切な修正により適合される。自動的に評価された最適なゲインは、その場合、例えば、電子制御ユニットを介して超音波診断撮像システムに通信され、その超音波診断撮影システムは、フロントエンド及び/又はバックエンドドップラゲイン値を、それに応じて更新する。上記のサイクル(データ解析、ゲイン評価、ゲイン適用)は、強力な飽和のような意欲的な場合に最適値の方への漸次の収束を可能にするように、複数の所定回数、繰り返されることが可能である。
【0042】
ライブスペクトルドップラに付加して、自動ゲインアルゴリズムはまた、スペクトルドップラがフリーズしている間に、用いられることが可能である。その主な違いは、最適なゲインが、ここでは、画像メモリに既に記憶されているスペクトルデータに適用されることである。フリーズ状態の動作の場合、自動ゲインアルゴリズムにより解析されるソノグラムデータは、画像メモリに記憶されているデータ(即ち、画像メモリに記憶されているデータ全て、スペクトルデータの表示された部分のみ、又は画像メモリスペクトルデータの何れの任意の部分)に関連する任意の持続時間/位置を有することが可能である。更に、ソノグラムデータの複数の関連性のないセグメントが自動ゲインアルゴリズムにより解析されることが可能であり、その場合に、結果として得られる複数の最適なゲインは、画像メモリに記憶されているデータ全てに適用されるように1つの最適値に結合されることが可能であり、それら複数のゲインの各々は、特定のゲインの導出のための入力として用いられるそれらの画像メモリデータセグメントに個々、適用されることが可能である。
【0043】
他の実施形態にしたがって、超音波診断撮像システム10は、ここで説明している自動ゲインアルゴリズムの種々の機能を実行するために、当該技術分野において知られているプログラミング技術を用いて構成されるコンピュータプログラムを更に有する。特に、コンピュータ読み出し可能媒体において記憶されている指令に応じて及び処理器により実行可能であるように、処理器は、自動ゲインアルゴリズムを実行するように動作する。
【0044】
本発明の実施形態はまた、コンピュータソフトウェア又はコンピュータプログラムプロダクトを有する。コンピュータプログラムプロダクトは、ここで説明しているような自動ゲインアルゴリズムの方法を実行するための指令の集合を有するコンピュータ読み出し可能媒体を有する。コンピュータ読み出し可能媒体は、所定の超音波診断撮像システムのアプリケーションのための何れの適切なコンピュータ読み出し可能媒体を有することが可能である。更に、コンピュータ読み出し可能媒体はネットワーク通信媒体を有することが可能である。ネットワーク通信媒体の例には、例えば、インターネット、イントラネット(登録商標)又はエクストラネットがある。
【0045】
上で、幾つかの単に例示としての実施形態について説明しているが、当業者は、それらの本発明の実施形態の新規な教示及び有利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正が可能であることを容易に理解できるであろう。例えば、本発明の実施形態は、何れの超音波走査を支持するスペクトルドップラに適用されることが可能である。したがって、そのような修正の全ては、同時提出の特許請求の範囲に記載の本発明の実施形態の範囲内に入るように意図されている。請求項においては、手段及び機能の表現は、列挙された機能並びに構造上の相当物ばかりでなく、相当する構造物のような構造を網羅するように意図されている。
【0046】
用語“を有する”及びその派生用語は、全体として何れの請求項及び明細書において列挙されている要素又は段階以外の要素又は段階の存在を排除するものではない。要素の単数表現は、そのような要素の複数の存在を排除するものではなく、また、その逆も真である。1つ又はそれ以上の実施形態が、複数の別個の要素を有するハードウェアにより、及び/又は適切にプログラムされたコンピュータにより実施されることが可能である。複数の手段を列挙している装置請求項において、それらの手段の幾つかが同一のハードウェアにより実施されることが可能である。互いに異なる従属請求項に記載されているということは、それらの手段を組み合わせることが有利に用いられないことを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態にしたがったAutoGainアルゴリズムを組み込んでいる超音波診断撮像システムの部分的なブロック図である。
【図2】本発明の実施形態にしたがったAutoGainアルゴリズムに関連する超音波診断撮像システムのスペクトルドップラ処理経路の簡略化されたブロック図である。
【図3A】バイナリ画像として表示されるドップラスペクトグラムの階調表示である
【図3B】バイナリ画像として表示される図3Aのスペクトグラムのセグメント化バージョンである。
【図4】ドップラ処理経路における全てのステージの効果を有し、ドップラスペクトグラムディスプレイにおいて用いられる非圧縮スペクトルレベルと階調レベルとの間の一致性を特定する全体的なドップラマップのグラフ表現である。
【図5】対応する信号の非圧縮スペクトルレベルの範囲に対する信号ピクセルに対応する累積分散関数(CDF)のグラフ表現である。
【図6】対応するノイズの非圧縮スペクトルレベルの範囲に対するノイズピクセルに対応する累積分散関数(CDF)のグラフ表現である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波撮像システムのためのスペクトルドップラにおける自動ゲイン調節のための方法であって:
スペクトルドップラデータのドップラスペクトログラムを信号及びノイズアレイの副集合に分離する段階であって、前記ドップラスペクトログラムは解析されるスペクトルレベルの二次元アレイを有する、段階;
前記信号及びノイズアレイの副集合の各々について、所定の表示に基づくデザイン仕様を達成するためにデルタゲインを決定する段階;
別個の信号及びノイズデルタゲインを全体的なデルタゲインに結合する段階であって、前記全体的なデルタゲインは、ディスプレイへの前記スペクトルドップラデータの表示に先行してスペクトルドップラデータに適用されるためのものである、段階;
を有する
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記信号又はノイズの副集合についての前記所定の表示に基づくデザイン仕様は値の対に関して表現され、前記値の対は、対象の所定の信号又はノイズの副集合について、信号又はノイズのデザインの割合が、スペクトルドップラディスプレイにおいて対応する信号又はノイズデザインマップレベルに対してマッピングされる、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記信号アレイの副集合についての前記デザイン仕様は、信号ピクセルの1乃至10%の上限が表示の飽和のすぐ上である必要があるという前提に基づいている、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、信号デルタゲインの決定は、前記信号デザインマップレベル(SigDesMapLev)に対応するdB単位の信号の非圧縮スペクトルレベル(DesSigUncompSpectrLev)を求めることと、前記信号ピクセルの前記信号デザインの割合(DesSigPrc)に現時点で対応するdB単位の信号の非圧縮スペクトルレベル(CurSigUncompSpectrLev)を求めることと、前記DesSigUncompSpectrLevと前記CurSigUncompSpectrLevとの間の差分を演算することとを有する、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、前記信号の副集合についての前記デザイン仕様は、単一の信号デルタゲインを生成するように結合されている、結果として得られる信号デルタゲインDeltaGainSign(n=1,2,...,N)に伴って、低レベル、中間レベル又は高レベルの1つ又はそれ以上に対応する信号範囲の異なるセグメントについての最適な基準を特定するN個の対の値(DesSigPrc,DesSigMapLev)を更に有し、ここでn=1,2,...,Nである、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記ノイズアレイの副集合についての前記デザイン仕様は、ノイズピクセルの1乃至10%の上限が表示視認性の上である必要があるという前提に基づいている、方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法であって、ノイズデルタゲインの決定は、前記ノイズデザインマップレベル(NoisDesMapLev)に対応するdB単位のノイズの非圧縮スペクトルレベル(DesNoisUncompSpectrLev)を求めることと、前記ノイズピクセルの前記ノイズデザインの割合(DesNoisPrc)に現時点で対応するdB単位のノイズの非圧縮スペクトルレベル(CurNoisUncompSpectrLev)を求めることと、前記DesNoisUncompSpectrLevと前記CurNoisUncompSpectrLevとの間の差分を演算することとを有する、方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法であって、前記ノイズの副集合についての前記デザイン仕様は、単一のノイズデルタゲインを生成するように結合されている、結果として得られるノイズデルタゲインDeltaGainNoisn(n=1,2,...,N)に伴って、低レベル、中間レベル又は高レベルの1つ又はそれ以上に対応するノイズ範囲の異なるセグメントについての最適な基準を特定するN個の対の値(DesNoisPrc,DesNoisMapLev)を更に有し、ここでn=1,2,...,Nである、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記結合する段階は、前記別項の信号及びノイズデルタゲインを前記全体的なデルタゲインの値に結合するように所定のルールを適用する段階を有する、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記所定のルールは、解析される超音波データの種類又はユーザ特有の好みの関数である、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記所定のルールは、前記別個の信号及びノイズデルタゲインの重み付けされた結合としての前記全体的なデルタゲインの値を決定する、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記重み付けされた結合はデータ依存性特徴の関数として決定される係数を有し、前記データ依存性特徴は、信号対ノイズ比と、アプリケーション特有のルックアップテーブルとを有する、方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、前記所定のルールは、前記ノイズデルタゲインの関数としての前記全体的なデルタゲインを決定することと、前記信号デザイン仕様に適合するように圧縮又はマッピングの特徴を修正することとを有する、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって:
スペクトルドップラディスプレイを駆動するため動作イベントに応じてAutoGain方法を動作させる段階であって、前記動作イベントは、離散的イベント、連続的イベント、又は離散的イベント及び連続的イベントの組合せである、段階;
を更に有する方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって:
動作イベントに応じてAutoGain方法を動作させる段階であって、前記動作イベントは、離散的イベント、連続的イベント、又は離散的イベント及び連続的イベントの組合せである、段階;
を更に有する方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記離散的イベントは、明示的なユーザの行動、又は超音波システムのスペクトルドップラモードへの撮像モードからの移行を有する、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記連続的イベントは、閾値に関して、現時点で用いている全体的なデルタゲインと実質的に異なる新しい全体的なデルタゲインに応じて新しい全体的なデルタゲインを受け入れ、バックグラウンド処理として連続的に実行する前記AutoGain方法を有する、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、前記連続的イベントは、先行する全体的なデルタゲインより最適である新しい全体的なデルタゲインに収束するように前記AutoGain方法の複数の繰り返しを有する、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法であって、前記ドップラスペクトグラムはライブスペクトルドップラデータを数秒のオーダーで有する、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、前記ドップラスペクトグラムは画像メモリに予め記憶されているスペクトルドップラデータを有し、前記AutoGain方法は:
フリーズした状態の動作に対応する、前記予め記憶されているスペクトルドップラデータを解析する段階であって、前記予め記憶されているスペクトルドップラデータは、前記画像メモリに記憶されている全体的なスペクトルドップラデータに対して任意の持続時間又は位置の一を有することが更に可能である、段階;
を更に有する、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって:
予め記憶されているスペクトルドップラデータの複数のセグメントを解析する段階であって、前記複数のセグメントは、全体的な前記画像メモリをカバーするように互いに対してシフトされている、前記画像メモリに記憶されているスペクトルドップラデータの2つ又はそれ以上の部分を有することが可能である、段階であり、更に、a)得られる複数の最適なデルタゲインは、前記画像メモリに記憶されている前記スペクトルドップラデータ全てに適用される1つの最適なデルタゲインの値に結合されることが可能である、又は、b)前記複数の最適なデルタゲインの各々は、対応するデルタゲインを導き出すために入力として用いられる前記画像メモリデータセグメントの対応する一に個別に適用されることが可能である、段階;
を更に有する、方法。
【請求項22】
スペクトルドップラにおいて自動ゲイン調節(AutoGain)を有する超音波撮像システムであって:
超音波トランスデューサアレイ;
スペクトルドップラデータのドップラスペクトグラムを生成するために前記超音波トランスデューサアレイに結合されている電子制御ユニットであって、(a)前記ドップラスペクトグラムを信号及びノイズアレイの副集合に分離し、前記ドップラスペクトグラムは解析されるスペクトルレベルの二次元アレイを有し、(b)前記信号及びノイズアレイの副集合の各々について、所定の表示に基づくデザイン仕様を達成するためにデルタゲインを決定し、そして(c)別個の前記信号及びノイズデルタゲインを全体的なデルタゲインに結合し、前記全体的なデルタゲインは、ディスプレイにおける前記スペクトルドップラデータの表示に先行してスペクトルドップラデータに適用されるためのものである、電子制御ユニット;
を有する超音波撮像システム。
【請求項23】
コンピュータプログラムであって:
スペクトルドップラにおいて自動ゲイン調節(AutoGain)を実行するために指令の集合を有するコンピュータ読み出し可能媒体であって、前記指令は:
(a)スペクトルドップラデータのドップラスペクトグラムを信号及びノイズアレイの副集合に分離し、前記ドップラスペクトグラムは解析されるスペクトルレベルの二次元アレイを有し、
(b)前記信号及びノイズアレイの副集合の各々について、所定の表示に基づくデザイン仕様を達成するためにデルタゲインを決定し、そして
(c)別個の前記信号及びノイズデルタゲインを全体的なデルタゲインに結合し、前記全体的なデルタゲインは、ディスプレイにおける前記スペクトルドップラデータの表示に先行してスペクトルドップラデータに適用されるためのものである、
ように処理器により実行可能である、コンピュータ読み出し可能媒体;
を有するコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−532606(P2008−532606A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500306(P2008−500306)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際出願番号】PCT/IB2006/050655
【国際公開番号】WO2006/095287
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】