スペクトル・イメージングシステム用の集積回路
イメージングシステム用の集積回路が、光学センサアレイ(40)と、ある波長帯域を1つ又はそれ以上のセンサに向けて通過させるようにそれぞれ構成された光学フィルタアレイ(10)とを有する。光学フィルタアレイは、センサアレイと一体化されている。集積回路は、センサアレイから画素値を読み出して画像を表現する読み出し回路(30)を有する。光学フィルタの異なるものが異なる厚さを有するように構成され、干渉を用いて異なる波長帯域を通過させて、波長スペクトルの検出を可能にしている。読み出し回路は、1つの光学フィルタ下にある複数の画素が並列で読み出し可能である。厚さは、アレイ全体で非単調的に変化してもよい。読み出しまたは後の画像処理は、厚さ誤差を補償するために、スペクトルのサンプリングまたはシフト(shift)を実行する波長間の選択または補間(interpolation)を含んでもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学センサアレイと、光学フィルタアレイとを有するイメージングシステム用の集積回路、および対応したシステム、方法、コンピュータプログラムに関し、特に、アプリケーション駆動システム設計および統合化、および製造プロセス技術からの態様を含むハイパースペクトル・イメージング(HSI)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
公知のハイパースペクトル・イメージングシステムの動作:
ハイパースペクトル・イメージングとは、電磁スペクトルから情報を収集し処理するイメージングテクニックを意味する。人間の眼は可視光だけが見えるが、ハイパースペクトル・イメージングシステムは、可視光とともに紫外から赤外までの光が見える。ハイパースペクトルセンサは、http://en.wikipedia.org/wiki/Hyperspectral_imaging に記述しているように、電磁スペクトルのより大きな部分を用いて物体を観察する。
【0003】
ある物体が、電磁スペクトルのこの部分について特有の「指紋」を残す。これらの「指紋」は、分光的特徴(feature)として知られ、走査した物体を構成する材料の識別を可能にする。こうしたイメージングシステムのハイパースペクトル能力は、種々のタイプの物体を認識可能なことであり、これらの全ては人間の眼にとって同じ色に見えるであろう。
【0004】
マルチスペクトル・イメージングは、離散した幾らか狭い帯域で幾つかの画像を取り扱うのに対して、ハイパースペクトル・イメージングは、連続したスペクトル範囲に渡って狭いスペクトル帯域のイメージングを取り扱う。それは、その場面において全画素についてのスペクトルを出力できる。VIS,NIR,SWIR,MWIR,LWIRを網羅する20個の離散した帯域を持つセンサがマルチスペクトルとして考えられ、500〜700nmの範囲を20個の10nm幅の帯域で網羅する場合、20個の帯域を持つ他のセンサがハイパースペクトルとして考えられるであろう。
【0005】
ハイパースペクトルセンサは、情報を「画像」のセットとして収集する。各画像は、ある範囲の電磁スペクトルを表現しており、またスペクトル帯域としても知られている。これらの画像は、それぞれ2つの空間次元を有しており、一連の異なるスペクトル帯域の画像が立方体(cube)を形成するように有効に積み上げられた場合、第3次元がスペクトル次元となる。こうした3次元のハイパースペクトル立方体は、更なる画像処理および解析にとって有用な表現である。これらのセンサの精度は、典型的には、取得されるスペクトルの各帯域の幅であるスペクトル分解能で測定される。スキャナがより多数のかなり狭い周波数帯域で拾い上げる場合、前記物体がほんの一握りの画素で取得されるだけであっても、物体を識別することが可能である。しかしながら、空間分解能が、スペクトル分解能に加わる要因である。画素が大きすぎる場合、複数の物体が同じ画素で取得されて、識別するのが困難になる。画素が小さすぎる場合、各センサセルによって取得されるエネルギーが低くなり、信号対ノイズ比が減少して、測定される特徴の信頼性を低下させる。
【0006】
現在のハイパースペクトルカメラが、ハイパースペクトルのデータ立方体または画像立方体を出力する。これは、その場面のxy面にある2D画像のスタックからなり、スタックの各画像が異なる周波数またはスペクトル帯域からの情報を含む。取得されるスペクトル範囲は、可視光に限定されず、赤外(IR)及び/又は紫外(UV)に及ぶことがある。3D画像立方体は、本質的には2Dセンサであるセンサを用いて、ハイパースペクトル撮像装置(imager)によって取得される。従って、ある形態の走査を使用する必要があり、図1に示すように、これは、垂直に延びるスペクトル次元を備えた立方体の斜視表現、および下記のような立方体のスライスの4つの図(a)〜(d)を示す。
【0007】
上面図(a)は、取得する必要がある場面を示す。左側面図(b)は、立方体からの垂直スライスを示し、ラインスキャナによって取得された画像を表す。全てのスペクトル帯域が場面の1つの空間ラインについて取得され、その結果、ID図が得られる。ラインスキャナまたはプッシュブルーム(push broom)システムが、全てのスペクトル帯域にある2D場面の単一ラインを並列で取得する。場面の全ての空間画素を網羅するために、このタイプのシステムは、例えば、スキャナと場面の相対移動によって、異なるラインを時系列で走査する。
【0008】
右側面図(c)は、観察器(starer)によって得られる画像を示す水平スライスを示す。完全な2D場面は、1つのスペクトル帯域で取得される。観察器または観察システムは、2Dセンサアレイを用いて一度に単一のスペクトル帯域で完全な場面を取得し、異なるスペクトル帯域で走査して、3Dハイパースペクトル画像立方体を出力する。
【0009】
底面図(d)が、立方体を通る傾斜しまたは対角スライスを示し、ハイブリッドのラインスキャナ/観察器によって得られる画像を表現する。完全な2D場面が取得されるが、各空間ラインが立方体の異なる高さにあって、異なるスペクトル帯域である。この場合、完全な空間画像が取得されるが、各ラインは異なるスペクトル帯域にある。単一フレームでは、異なるスペクトル帯域は、異なる空間ラインについて取得される。完全な3D画像立方体を取得するには、全ての空間ラインについて全てのスペクトル帯域で、例えば、場面と2Dセンサアレイとの間の相対移動によって組み合わせた空間/スペクトル走査が必要である。
【0010】
公知のハイパースペクトル・イメージングシステムの構成:
ハイパースペクトル・イメージングシステムまたはカメラが、いろいろなディスクリート・コンポーネントで構成でき、例えば、到来する電磁スペクトルを受けるための光学サブシステムと、受けたスペクトル内で異なる帯域を生成する分光ユニットと、異なる帯域を検出するための画像センサアレイなどで構成される。光学サブシステムは、単一レンズまたは異なるレンズの組合せ、アパーチャ及び/又はスリットで構成できる。分光ユニットは、プリズム、グレーティング、光学フィルタ、音響光学チューナブルフィルタ、液晶チューナブルフィルタ等の1つ又はそれ以上、またはこれらの組合せで構成できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ハイパースペクトル・イメージングの主要な利点は、スペクトル全体が各ポイントで得られるため、オペレータは、サンプルについての予備知識を必要とせず、後処理により、データセットから利用可能な全ての情報を採掘することが可能になる点である。主要な不具合は、コストと複雑さである。高速なコンピュータ、高感度の検出器、大型のデータストレージ能力が、ハイパースペクトルデータを解析するために必要になる。ハイパースペクトル立方体が、おそらく数百メガバイトを超える大きな多次元データセットであるため、相当なデータストレージ能力が必要になる。これらの要素の全てが、ハイパースペクトルデータを入手し、処理するコストを大きく増加させる。
【0012】
従って、先行技術のハイパースペクトル撮像装置は、あまり低速であまりに高価であるため、研究用機器であり、あるいは、専用の産業用途向けに設計されており、柔軟性を欠いている。
【0013】
本発明の目的は、改善した装置または方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1態様は、独立請求項1に記載したようなイメージングシステム用集積回路を提供する。
【0015】
これらの特徴の効果が、光学センサアレイからの読み出しがスピードアップし、あるいはより大型なアレイが所定の読み出し速度で使用できることである。こりより高速な読み出しは、センサアレイと撮像される物体との間の相対移動によって生ずるぼやけ(blur)を低減でき、あるいは画像の分解能または質を増加できる。センサのグループは、例えば、インタリーブ式またはリニア連結式など、いろいろな方法で配列できる。グループのパターンから発生する画像アーチファクト(artifact)が、必要に応じて次の画像処理によって補償できる。
【0016】
第2態様は、独立請求項5に記載したようなイメージングシステム用集積回路を提供する。
【0017】
光学フィルタの厚さを、ラインに沿って幾つかのポイントで増加させ、他のポイントで減少させるように変化させる効果が、隣り合う光学フィルタを両方とも厚くしたり薄くしたりできる点であり、例えば、尾根(ridge)または谷(valley)を生成したり、あるいは光学フィルタの集団が、重なり合うスペクトル帯域をカバーできることである。
【0018】
第3態様は、独立請求項13に記載したようなイメージングシステム用集積回路を提供する。
【0019】
ストリップに沿った厚さのこうした変化の効果が、センシングにおいてスペクトル精度を改善したり、歩留まりを改善したり、画像処理の必要性を低減したり、あるいは、所定の歩留まりまたは精度でより大型のアレイを可能にすることである。
【0020】
第4態様は、独立請求項14に記載したようなイメージングシステム用集積回路を提供する。
【0021】
異なる光学フィルタの対応する画素の読み出し信号の間で選択しまたは補間するための波長セレクタを有する読み出し回路の効果が、例えば、スペクトル・サブサンプリングまたはスペクトル・シフトが可能になって、種々の可能性のある歪みを補償できることである。これは、ウエハについて歩留まり増加及び/又はコスト減少を可能にする。通過して検出される波長の所定の精度で、より多くの厚さ変動が許容できるからである。他の態様が、こうした集積回路を有するイメージングシステムを提供する。他の態様が、こうしたシステムを用いたイメージングの対応する方法、およびスペクトル立方体の画像処理のための対応するコンピュータプログラムを提供する。
【0022】
追加の特徴の何れもがともに組み合わせたり、態様の何れとも組み合わせが可能である。他の利点が、特に先行技術に対して当業者に明らかになるであろう。多数の変形および変更が本発明の請求項から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明の形態は説明に過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明は、実施可能であり、添付図面を参照して例として説明する。
【0024】
【図1】ハイパースペクトル画像立方体取得を示す。
【図2】ファブリペロ波長選択を用いた光学フィルタを示す。図2(a)はファブリペロの動作原理であり、多重光が反射し、光の波長、半ミラー間の距離lおよび入射角θに基づいて建設的干渉および相殺的干渉が生ずる。図2(b)は、より高次のものも選択されて、次数選択の問題が生ずる。
【図3】フィルタの光学パラメータの定義を示す。
【図4】射出瞳のサイズに対するウェッジへの入射角の依存性を示す。
【図5】入射角に対するファブリペロ干渉計の形式の光学フィルタの感度を示す。
【図6a】一体化したイメージングシステムの断面図を示す。
【図6b】一体化したイメージングシステムの上面図を示す。
【図7a】ファブリペロ干渉計のスペクトル範囲を示す。
【図7b】ファブリペロ干渉計のスペクトル範囲を示す。
【図7c】ファブリペロ干渉計のスペクトル範囲を示す。
【図7d】ファブリペロ干渉計のスペクトル範囲を示す。
【図7e】ファブリペロ干渉計のスペクトル範囲を示す。
【図8】ステップ状構造のバイナリ(binary)または対数のパターニングの原理を示す。
【図9A】ファブリペロ干渉計を製造するための概略的な処理フローを示す。
【図9B】ファブリペロ干渉計を製造するための概略的な処理フローを示す。
【図9C】ファブリペロ干渉計を製造するための概略的な処理フローを示す。
【図10A】ファブリペロ干渉計を製造するための概略的な代替の処理フローを示す。
【図10B】ファブリペロ干渉計を製造するための概略的な代替の処理フローを示す。
【図10C】ファブリペロ干渉計を製造するための概略的な代替の処理フローを示す。
【図11】フィルタ特性に対する処理許容誤差の影響を示す。
【図12】処理技術の許容誤差を許容するように設計された、一体化したイメージングシステムの形式の集積回路を示す。
【図13】エッチングの許容誤差に配慮して幾つかの帯域のオーバーラップを有する一体化したイメージングシステムを示す。
【図14】フィルタを再配列した一体化したイメージングシステムを示す。
【図15A】フィルタ性能に対する画像センサの影響を示す。
【図15B】フィルタ性能に対する画像センサの影響を示す。
【図16】一体化したイメージングシステムの読み出しを示す。
【図17】光学フィルタの下方に1ラインより多いラインのセンサを有する、一体化したイメージングシステムの読み出しを示す。
【図18】対物レンズをシステムに組み込んだ、一体化したイメージングシステムを示す。
【図19】コリメータを組み込んだ、一体化したイメージングシステムを示す。
【図20】スペクトル分解能に対するコリメーションの影響を示す。
【図21】スリットサイズと、一体化したイメージングシステムのスペクトル分解能との間の関係を示す。
【図22a】一体化したイメージングシステムのスペクトル分解能に対するアパーチャサイズの影響を示す。
【図22b】一体化したイメージングシステムのスペクトル分解能に対するアパーチャサイズの影響を示す。
【図23】本発明の実施形態に係る集積回路の概略図を示す。
【図24】本発明の実施形態に係る集積回路の概略図を示す。
【図25】厚さの増減を有する、光学フィルタの厚さについての代替のプロファイルを示す。
【図26】厚さの増減を有する、光学フィルタの厚さについての代替のプロファイルを示す。
【図27】本発明の実施形態に係る集積回路の概略図を示す。
【図28】本発明の実施形態に係る集積回路の概略図を示す。
【図29】一実施形態に係るイメージングシステムの概略図を示す。
【図30】ウェッジフィルタアレイを備えたコリメートシステムを有するイメージングシステムの光学部分の側面図を示す。
【図31】ウェッジフィルタアレイを有する集積回路を備えた非コリメートシステムの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、特定の実施形態に関して一定の図面を参照しながら説明しているが、本発明はこれによって限定されず、請求項によってのみ限定される。ここで記載した図面は、概略的に過ぎず、限定的なものでない。図面において、幾つかの要素のサイズは強調していることがあり、説明目的のため、スケールどおりに描いていない。
【0026】
用語「備える、含む(comprising)」を本明細書および請求項で用いた場合、それは、他の要素またはステップを除外していない。単一の名詞を参照する際に不定冠詞または定冠詞を用いた場合(例えば、"a", "an", "the")、これは、他に特別に言及していない限り複数の該名詞を含む。請求項で用いられる用語「備える、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された手段に限定されるものと解釈すべきでなく、他の要素またはステップを除外していない。
【0027】
説明した受信機の要素または部品は、任意の種類の情報処理を実施するために、媒体にエンコードされたロジックを含んでもよい。ロジックは、ディスクまたは他のコンピュータ読み取り可能な媒体にエンコードされたソフトウエア、及び/又は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、または他のプロセッサもしくはハードウエアにエンコードされた命令を含んでもよい。
【0028】
ソフトウエアへの参照は、プロセッサによって直接または間接に実行可能な任意の言語で任意のタイプのプログラムを包含することができる。
【0029】
ロジック、ハードウエア、プロセッサまたは回路への参照は、いずれかの程度に集積化された、任意の種類のロジックまたはアナログ回路を包含することができ、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、ASIC、FPGA、ディスクリート・コンポーネントまたはトランジスタロジックゲートなどに限定されない。
【0030】
光学への参照は、少なくとも人間が見える波長範囲内の波長、および赤外波長、および紫外帯域まで延びるより短い波長を包含することを意図しており、光学フィルタの厚さの製造変動に対する敏感さがより顕著である。幾つかの実施形態では、光学フィルタおよび光学センサは、これらの任意のサブセットのある範囲、例えば、可視波長のみ、または可視波長およびそれより短波長に限定してもよい。
【0031】
光学フィルタアレイまたは光学センサアレイへの参照は、例えば、1次元リニアアレイ、2次元アレイ、矩形状または非矩形状のアレイ、不規則間隔アレイ、非平面アレイを包含することを意図している。
【0032】
集積回路への参照は、例えば、センサアレイ上にモノリシックに集積した光学フィルタアレイを有するダイ(die)またはパッケージダイ、あるいは、光学フィルタアレイが別個に製造され、ダイまたは同じ集積回路パッケージに後で追加されたデバイスを少なくとも包含することを意図している。
【0033】
波長のスペクトルへの参照は、例えば、連続スペクトルまたはほぼ近接した離散帯域の範囲を包含することを意図している。
【0034】
画素が並列で読み出されることへの参照は、全ての画素が読み出し用の別個のラインを有する場合、そして、2つまたはそれ以上の画素が、ラインを共有し、異なる時間に許可される出力となって、部分的に並列な配列を提供する場合を包含することを意図している。
【0035】
さらに、説明および請求項での用語「第1」「第2」「第3」などは、類似の要素を区別するために使用しており、必ずしも時間的または空間的な順番を記述するためではない。ここで使用した用語は、適切な状況下で交換可能であり、ここで本発明の実施形態は、ここで説明したり図示したものとは別の順番で動作可能であると理解すべきである。
【0036】
さらに、説明および請求項での用語「上(top)」、「下(bottom)」、「の上に(over)」、「の下に(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、適切な状況下で交換可能であって、ここで説明した本発明の実施形態がここで説明または図示した以外の他の向きで動作可能であると理解すべきである。
【0037】
本明細書を通じて「一実施形態」または「実施形態」への参照は、実施形態との関連で記載した特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書を通じていろいろな場所での「一実施形態」または「実施形態」の語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照していないが、そうこともある。さらに、1つ又はそれ以上の実施形態において、本発明から当業者にとって明らかなように、特定の特徴、構造または特性は、いずれか適切な方法で組み合わせてもよい。
【0038】
同様に、本発明の例示の実施形態の説明において、本開示を合理化し、1つ又はそれ以上の種々の発明態様の理解を支援する目的で、単一の実施形態、図面、または説明において、いろいろな特徴が一緒にグループ化していることがあると理解すべきである。しかしながら、この発明の方法は、請求項の発明が、各請求項で明示的に記載したものより多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈すべきでない。むしろ下記の請求項が反映しているように、発明の態様は、単一の前述した実施形態の全ての特徴より少ない場合がある。こうして詳細な説明に追従する請求項は、この詳細な説明の中に明示的に組み込まれており、各請求項は、本発明の別々の実施形態として自立している。
【0039】
さらに、ここで説明した幾つかの実施形態が、他の実施形態に含まれる幾つかの他でない特徴を含むとともに、当業者によって理解されるように、異なる実施形態の特徴の組合せが本発明の範囲内にあって、異なる実施形態を構成することを意味する。例えば、下記の請求項において、請求した実施形態の何れも、何れの組合せで使用可能である。
【0040】
ここで提供した説明において、多数の具体的な詳細を説明している。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施してもよいことは理解されよう。別の例では、この説明の理解を曖昧にしないために、周知の方法、構造および技法は詳細には示していない。
【0041】
本発明は、本発明の幾つかの実施形態の詳細な説明によって説明している。本発明の他の実施形態が、本発明の技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って構成できることは明らかであり、本発明は、添付の請求項の用語によってのみ限定される。
【0042】
(実施形態によって対処される課題の紹介)
画像センサアレイと組み合わせた分光ユニットを有することが望ましい。この一体化コンポーネントは、光学サブシステムと組み合わせる必要があり、完全なハイパースペクトル・カメラシステムを形成する。こうしたハイパースペクトル・イメージングシステムは、コンパクトで、低コストでの製造が可能であり、再構成可能であることが必要である。ある態様では、プロセス技術態様が、システム集積化および画像処理技術と組み合わされ、集積回路製造プロセス要求を軽減する。幾つかの例では、光学センサアレイとモノリシックに一体化した分光ユニットを備えた集積回路を含み、画像センサアレイを形成しているハイパースペクトル・イメージングシステムが開示されている。
【0043】
好ましい実施形態では、分光ユニットは、半導体プロセス技術を用いて画像センサアレイと一体化され、即ち、分光ユニットは、半導体プロセス技術およびプロセスステップを用いて、画像センサアレイを含む基板上に後付けされる。こうした半導体技術の例として、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)プロセス(画像センサアレイはCMOSセンサ)や、電荷結合素子(CCD)プロセス(画像センサアレイはCCDセンサ)などである。これらの製造技術は、集積電子回路を製造するのに理想的に適している。こうしたモノリシック集積化により、低コストの製造が可能になり、より高い性能を提供できる。それは、分光ユニットを基板に取り付けるための界面層を必要としないためである。従って、迷光の影響がかなり減少する。
【0044】
大きな範囲の技術世代を考えると、大きなクリティカル寸法(CD)、例えば、130nmを有するより低コストの技術でIMECセンサを製造することを選択でき、より大きな画素およびより低い空間分解能の画像センサアレイが得られる。代替として、より小さなクリティカル寸法(CD)、例えば、45nmを有するより高コストの技術で画像センサアレイを製造することを選択でき、より小さな画素およびより高い空間分解能の画像センサアレイが得られる。
【0045】
画像センサアレイは、前面照射型センサとすることができ、この場合、分光ユニットは、センサを含む基板の上部に後付けされる。必要ならば、この基板は、後で薄型化され、これにより基板のバルクを除去して、画像センサアレイおよびこれにモノリシックに一体化した分光ユニットを含む薄いスライスを残す。代替として、画像センサアレイは、背面照射型センサとすることができ、この場合、最初にセンサを含む基板は、背面側から前方へ薄型化される。薄型化した基板の背面に、分光ユニットが後付けされる。
【0046】
好ましくは、分光ユニットは、ファブリペロフィルタのシーケンシャル1Dまたは2Dアレイである。このアレイは、単調なものにでき、ファブリペロフィルタの厚さは、アレイの片側から他の側へ単調に減少している。代替として、このアレイは、非調なものにでき、ファブリペロフィルタの厚さは、アレイの片側から他の側へ非単調に変化している。こうしたファブリペロフィルタを製造する方法を開示している。
【0047】
任意の次数のファブリペロフィルタが製造可能であるが、好ましくは、1次のファブリペロフィルタのみを画像センサアレイに形成し、高次の成分を除去及び/又は阻止するための複雑さを低減している。これによりハイパースペクトルシステムを動作させる複雑さが減少する。分光ユニットは、センサを含む基板上に直接に後付けされるため、分光ユニットは薄くでき、こうした1次のファブリペロフィルタが製造できる。分光ユニットとして1次のファブリペロフィルタを備えた、モノリシック集積化ハイパースペクトル・イメージングは、典型的には光学サブシステムに集光レンズを必要としない。
【0048】
光学サブシステムと、モノリシック集積化した分光ユニットと、画像センサアレイとを備えた完成したハイパースペクトル・イメージングシステムの例を開示している。これらの完成したイメージングシステムは、モノリシック集積化の利点を活用し、光学サブシステムを設計する際の自由度を与える。
【0049】
さらに、第1態様の実施形態に係るハイパースペクトル・イメージングシステムを設計し動作させる方法も開示している。これらの設計および動作方法は、これらのモノリシック集積化したイメージングシステムの製造特徴を活用し、より大きな製造ウインドウを許容する。
【0050】
幾つかの実施形態では、スペクトル・オーバーサンプリングを用いて、製造技術での欠陥およびプロセス許容誤差を補正している。ハイパースペクトル・イメージングシステムは、目標となる用途が必要とするものより高いスペクトル分解能および多数の帯域を有するように設計される。こうして設計されたイメージングシステムは、特に、1次のファブリペロフィルタの厳しい仕様によって、導入されるプロセス許容誤差に対して低い感度のファブリペロフィルタを有する。さらに、こうした設計により、速度の増加のために実行時間で光学システムを同調(tuning)させることによって、スペクトル分解能での設定可能な減少が可能になる。これによりコリメータおよびスリットの必要性が排除され、より低コストのハイパースペクトル・イメージングシステムが得られる。
【0051】
幾つかの実施形態では、範囲拡張(range extension)を用いて、製造技術での欠陥およびプロセス許容誤差を補正している。ファブリペロフィルタのシーケンシャル1Dまたは2Dアレイは、特定の非単調の順序付け、範囲拡張、およびステップの意図的なオーバーラップ/再生成に設計される。こうして設計されたイメージングシステムは、特に、1次のファブリペロフィルタの厳しい仕様によって、導入されるプロセス許容誤差に対して低い感度のファブリペロフィルタを有する。さらに、フィルタ、例えば、フィルタの空洞長を規定する厚さの設計は、チップ上での特定のフィルタの場所を考慮して、到来する電磁スペクトルの入射角での変動に対する依存性を低減できる。
【0052】
(モノリシック集積化)
フィルタは、画像センサアレイの上部に後付けされ、各ステップが、画像センサアレイの単一または複数の行または列に沿って整列している。ウェッジの各ステップが、異なるスペクトル帯域をフィルタ除去する。その結果、センサおよびウェッジフィルタの組合せは、プッシュブルーム(push broom)のラインスキャナー方式またはハイブリッドのラインスキャナ/観察器方式のハイパースペクトル撮像装置において使用できる。ハイパースペクトルカメラシステムが、上記で規定したような画像センサアレイに後付けされた光学フィルタを備えることができ、該システムはさらに、対物レンズ及び/又はスリット及び/又はコリメータを備える。
【0053】
一体化した分光モジュールは、このカメラのサブシステムを形成する集積回路であり、画像センサの上部に一体化された種々の光学ラインフィルタから構築される。既存のウェッジフィルタが、画像センサの生産後に組み込まれたディスクリートコンポーネントである。フィルタが直接に撮像装置の上部に後付けされる、本開示の一態様の一部であるモノリシック集積化の結果、フィルタと画像センサとの間の迷光の量が著しく低減できる。その結果、スペクトル分解能は、ディスクリートで一体化したフィルタに対して改善している。好ましくは、半導体撮像装置、例えば、CMOS撮像装置やCCD撮像装置は、ファブリペロフィルタをモノリシックに集積化するために用いられる。
【0054】
提案したハイパー分光モジュールは、モノリシックに集積化でき、フィルタ構造が画像センサの上部に直接に後付けされることを意味する。この集積化は、別々に製造され、後で撮像装置に組み込まれるフィルタ構造と比べて、極めて重要な利点および幾つかの結論を有する。モノリシック集積化の利点は、標準のCMOS生産ステップによるコスト削減、迷光の減少、第1次の設計を可能にし、集光レンズの必要性を回避することである。
【0055】
フィルタ構造を別個に製造し、そして画像センサとともにハイパー分光モジュールに組み込むハイブリッド集積化と比べて、提案した手法は、幾つかの極めて明確な利点を有する。
【0056】
第1に、両方の製造シーケンスを組み合わせて1つの組み合わせたフローにすることは、別個に製造し、後でセンサとともにモジュールに組み込むフィルタ構造のハイブリッド集積化と比べて、生産時の全体的な簡素化およびコスト削減をもたらす。これは、特にこのフィルタの場合であり、フィルタ構造の後生産は、堆積、パターニング、エッチングなど、CMOS互換の製造工程だけを必要とするためである。これらの工程を画像センサの通常の生産フローに追加することによって、高価で、エラーが起こりやすく、労働集約的な組み立て工程が防止される。例えば、ブラッグスタック内で酸化物およびアモルファスシリコンの3層を備え、空洞内で127ステップを持つフィルタでは、約50ロットターンが必要であり、標準のCMOS撮像装置に対して多かれ少なかれ20%の追加コストをもたらす。上部および下部ミラー層の堆積のためのロットターン数は、異なる層が同じツール内で交互に堆積可能てある場合に低減できる。
【0057】
フィルタ構造を撮像装置の画素の上部に直接に製造することによって、フォトンが直接フィルタから下方の画素に進行できる。前面照射型センサの場合、フォトンが最初にメタライゼーション層および幾つかの誘電体層を通過することになる。フィルタ構造を別個に製造し、画像センサの上部に積み上げた場合、両構造の間に非機能層または隙間が常に存在することになる。
【0058】
フィルタおよび基板の組合せを反転して、フィルタを支持基板と画像センサとの間に配置した場合であも、光は最初に基板を通過し、そしてフィルタを通過し、最後に薄い空気または接着剤の隙間を通過して、画像センサのフォトダイオードに衝突する。フィルタ構造を画像センサと組み合わせて、いろいろな層の間にある空気または接着剤とともに、相互の上部に積み上げた場合、下記の理由により、フィルタ構造と下地の画素列との間のこの特殊な基板は、常にある量の性能劣化を引き起こすことになる。
【0059】
(1.クロストーク)
ある画素の上方にあるフィルタ構造を出射したフォトンは、隙間を横断して、隣の画素に入射することがある。この影響は、画素へのフィルタの直接後付けによって、隙間が減少または完全に除去された場合、大きく減少することになる。フィルタ自体の厚さの結果として、いくらかクロストークが存在することがある。1つの画素の上方にあるフィルタに入射したフォトンがフィルタを通過して、隣の画素に入射することがあるためである。これは、より薄いフィルタを設計し、入射角を制御することによって低減される。
【0060】
(2.迷光)
屈折率が整合していない場合(下記の式(8)を参照)、特別な非機能層がその境界で特別な反射を引き起こし、従って、上述したクロストークに加えて特別な迷光になる。フィルタと画像センサの画素アレイとの間の有効距離Sをいろいろな入射角について減少させることによって、迷光が減少する。より小さな距離S、例えば、1nmでは、迷光が進行する距離(D)は、通常の画素寸法(例えば、1〜15_m)の範囲内である。これは、より巨視的な集積距離、例えば、1mm基板の場合でそうではない。この場合、進行した光の距離Dが数十から数百の画素に渡って及び、空間およびスペクトル分解能の重大な劣化をもたらす。幾つかの場合は、距離Dはとても大きくなることがあり、光を画素に再び集光するために、追加の集光レンズが必要になる。
【0061】
(3.迷光に加えて寄生ファブリペロ)
さらに、前項で示したように、フォトダイオードの上部にある誘電体スタックおよび金属は、光の一部を反射する。隙間とともに、ヘテロ集積化および空洞の下部ミラーのため、これは、実際のものと干渉する寄生ファブリペロを形成する。このプロセスは、モノリシック集積化とともに最適化できる。それは、撮像装置の誘電体層が下部ブラッグスタックの一部になり、類似の材料(例えば、酸化物)に製作され、これらの層の幅に対してあまり敏感でないためである。
【0062】
画像センサに後生産で組み立てられるハイブリッドフィルタ構造がこの問題にひどく悩まされる1つの重要な理由が、極めて薄いフィルタ構造の構成は、フィルタを機械的に支持し、積み上げを可能にする(透明な)支持構造の追加の挿入を別個に必要とするからである。この層をフィルタと画像センサとの間に配置した場合、非機能的隙間は、この層と、支持層と画像センサとの間にある追加の空気または接着剤の隙間とからなる。支持構造を上部に配置した場合、それは、追加の反射を発生し、別個に(例えば、反射防止コーティングを追加することによって)最適化すべきである。しかし、フィルタと画像センサとの間に空気または接着剤の層が存在することになる。この全てが、上述したようにフィルタ構造を画像センサの上部に直接に後付けすることによって、冗長になる。
【0063】
第3に、モノリシック集積化は、極めて正確なCMOS製造技術と組み合わせて、かなり小さな厚さを持つフィルタ構造の構築を可能にする。上述したように、ファブリペロフィルタ構造は、空洞長を同調させることによってある波長を選択するように設計される。より薄いフィルタは、入射角に対してあまり敏感でない。フィルタ内の内部反射は、非垂直な入射ではカバーする距離が小さいためである。より厚いフィルタが、透過ビームのより大きな変位Dに悩まされ、10mmに及ぶことがある。このことは、空間およびスペクトル分解能での重大な低下をもたらす。フィルタを通過する光は、画素の他の行または列に入射するためである。従って、この巨視的なフィルタは、集光レンズを必要とする。薄いフィルタは、このことに対してかなり鈍感であり、変位Dは、多くの場合、画素寸法未満、即ち、最大の入射角および最小の画素サイズを除いて、好ましくは1〜10nmの範囲に留まる。
【0064】
従来の生産技術は、フィルタ構造および画像センサのハイブリッド集積化と組み合わせて、1次のファブリペロフィルタを製造するのに必要な精度に到達できていない。よって、より高次のファブリペロ構造を使用する必要がある。その場合、必要な次数だけを選択するために、追加のダイクロイックまたは他のフィルタをモジュールに追加する必要がある。このことは、追加のエネルギー損失、追加のコストを生じさせ、システム全体の最適性の低下をもたらす。
【0065】
最後に、ファブリペロフィルタを画像センサから離れたある距離に置いた場合、フィルタの出力は、レンズによって集光した場合、同心円の形態をとる位相差を示す。同心円は、異なる干渉波の結果であり、異なる場所で建設的干渉および相殺的干渉を有する。集光レンズは、フィルタ内部の反射によってカバーされる大きな距離のため、これらの反射の全てを1つの画素に集光するために、巨視的なフィルタで必要とされる。開示した集積イメージングモジュールでは、フィルタ構造と画像センサとの間の距離は極めて小さく、フィルタは第1の次数について設計されるため、集光レンズの必要性がない。薄いフィルタが、この集光レンズを必要としない。それは、内部反射がかなり小さな距離をカバーし、提案したフィルタの場合、光が全て1つの画素に入射するからである(かなり多数の内部反射の後は、単一画素のサイズを超える光線に残ったエネルギーは無視できる)。位相差の結果である同心円は、そのままであるが、全て同じ画素内に集光されることになり、これらの効果は、画素の出力において全て合体される。
【0066】
アクティブIC、この場合、画像センサの上部へのフィルタ構造の直接後付けは、そのICについての汚染、機械的、温度およびその他の制限に適合すべきである。これは、例えば、フィルタの製造で使用される工程のうち、下方にある画像センサを損傷させるような材料または処理工程を使用する工程が無いことを意味する。
【0067】
後述するように、最も重要な制限の1つは、CMOS製造環境に配慮した利用可能な材料での制約である。提案したフィルタでは、材料選択は、標準的な材料を使用し、標準プロセスに完全に適合するように行った。幾つかの材料の使用、例えば、AuまたはAgが不可能である。これらはいろいろな層の中やツール内に拡散する傾向があり、これにより現在および将来の処理工程の歩留まりに悪影響を与えるためである。ある場合には、堆積が通常の処理ラインの外部で行われる場合やツールがその目的でのみ使用される場合、こうした層が最終工程(上部層)として受け入れ可能である。これは、最終工程として実施できるだけである。ウエハは、この動作の後に通常フローに入らないからである。材料選択に関係した他の制限が、処理のために利用できる温度履歴(budget)または温度ウインドウである。画像センサに損傷を与えることなく後処理を実行するために。損傷を防止するには、処理工程の最高温度をある温度、例えば、400℃を超えるべきでない。これはまた、設計に利用可能な材料および結晶化の選択肢を制限する。画像センサおよび別個に製造したフィルタ構造を後にモジュールに組み込むハイブリッド手法に関して、そこにはあまり自由度がない。
【0068】
モノリシック設計の場合、設計全体に渡って制約を考慮する必要がある。ある設計選択を画像センサ自体の設計の際に行って、フィルタの処理に対する制約を緩和する(例えば、後処理のための許容温度を上昇させるため)場合、これも考慮することができる。このことは、画像センサおよびフィルタ構造それぞれの代わりに、モジュールレベルでの最適化問題をもたらす。フィルタ構造についての制約は、常に適用される。それは、後に画像センサの上部に処理されるためである。
【0069】
(光学フィルタ)
画像センサの各画素は、1つの特定波長に対して感度を有するそれ自体の光学フィルタを有することができる。センサ上の異なる光学フィルタの編成は、その使用法に依存する。ラインセンサが、同じライン上にある各画素につき同じ波長選択性を要求しており、その場合、それをラインフィルタと称している。異なるタイプのフィルタが存在する。本開示で使用するタイプは、ファブリペロ干渉計である。
【0070】
(ファブリペロフィルタ)
図2は、ファブリペロ波長選択を示す。図2(a)は、ファブリペロの動作原理であり、多重光線が反射し、光の波長、半ミラー間の距離lおよび入射角θに基づいて建設的干渉および相殺的干渉が生ずる。図2(b)は、より高次のものも選択されて、次数選択の問題が生ずる。フィルタ動作は、周知のファブリペロ原理に基づいており、各ステップの高さが、フィルタされるスペクトル帯域に調整される。各ステップが共振空洞を形成し、その共振周波数がステップの高さによって決定される。空洞の上部および下部において、半透明ミラーが光線を部分反射するように配置される。反射のため、光路差が導入され、その結果、図2(a)に示すように、建設的干渉および相殺的干渉が生ずる(到来する波長に依存して)。
【0071】
ファブリペロフィルタは、この層の両側に2つの反射表面を備えた透明層(空洞と称される)で製作される。ファブリペロフィルタが対象とする波長範囲に関して、表面の透明度および反射率を考慮する必要がある。光の透過率は、波長の関数として、空洞の共振に対応した中心波長付近で狭いピークを示す。図2(a)に示すように、空洞内の光が複数回反射して、フィルタを通過する光について光路差および位相差を導入する。出力での多重光線は、空洞内に導入される位相シフトに依存した干渉を生じさせる。多くの干渉光線は、透過率関数が式(1)で与えられる極めて選択的な光学フィルタをもたらす。
【0072】
【数1】
【0073】
ここで、δ、導入された位相シフト(入射角θ)は、下記の式(2)に等しい。
【0074】
【数2】
【0075】
建設的干渉は、この位相シフトがゼロまたは2の倍数に等しい場合に生ずる。この場合、式(1)の分子および分母が等しく、透過率は100%である。式(3)は、ファブリペロフィルタの透過率を空洞の長さ、入射角、屈折率の関数として記述する。この式から、空洞長を変化させることによって、ファブリペロフィルタをある波長について設計可能である。建設的干渉が生ずる場合、式(1)の分子および分母が等しく、透過率は100%である。式(3)は、透過率が100%である波長間の関係を、空洞の長さ、入射角、屈折率の関数として示す。この式から、空洞長lを変化させることによって、ファブリペロフィルタをある波長について設計可能である。
【0076】
【数3】
【0077】
ファブリペロフィルタの中心波長は、重要な光学パラメータの1つに過ぎない。建設的干渉は、位相シフトが2の倍数に等しい場合に常に生ずるため、複数の波長(より高い次数と称される)がフィルタを通過することになる。図3に示すように、フィルタの2つの透過ピーク間の波長間隔は、自由スペクトル領域と称される。このパラメータが大きいほど、より高次の波長で生ずる問題が小さくなる。第1次数の波長について設計されたファブリペロ干渉計は、最大の自由スペクトル領域を提供するようになる。実際、第1次数で700nmの中心波長では、350nmでの第2次数に対して、自由スペクトル領域は350nmである。第1次数での中心波長が1400nmである場合、700nmが第2次数に選択され、第3次数は466nmであり、これは、700nmの場合、自由スペクトル領域を233nmに減少させる。第2パラメータは、フィルタの品質であり、これは中心波長に対するフィルタの帯域幅として定義される。帯域幅は、フィルタの半値全幅またはFWHMとして表され、これは、図3に示すように、最大透過率の半分での通過帯域の幅として定義される。第3パラメータは、これも光学フィルタの品質を示すもので、ファブリペロ干渉計のフィネス(finesse)Fであり、自由スペクトル領域ΔλとFWHMδλの間の関係として式(4)で定義される。固定の自由スペクトル領域では、より高いフィネスが、より低いFWHMまたはより良好なスペクトル分解能(下記参照)を自動的にもたらす。式(5)に示すように、フィネスは、反射面の反射率に依存するだけである。この反射率が大きいほど、フィネスは大きくなり、帯域幅は狭くなり、同じ自由スペクトル領域について光学フィルタのFWHMは下記のようになる。
【0078】
【数4】
【0079】
図4は、等しい空洞長で異なる反射面を備えた2つのファブリペロ干渉計を示す。入射角は0°で、空洞は、1に等しい屈折率を持つ空気で充填している。これは、同じ自由スペクトル領域について異なる半値全幅を持つ2つの異なるフィルタをもたらす。両方のフィルタの空洞は450nmであり、900nmの中心波長および450nmで2次波長を生じさせる。2つの異なる実施態様は、それぞれ低いフィネス(2)と高いフィネス(1)を有し、同じ自由スペクトル領域について低いFWHM(2)と高いFWHM(1)を生じさせる。
【0080】
ファブリペロフィルタの第4パラメータは、スペクトル分解能であり、即ち、分解できる2つの隣接スペクトル帯域の中心波長の最小差である。このパラメータは、フィルタの中心波長の位置および帯域幅の両方に依存する。2つの隣接スペクトルフィルタ帯域は、これらの透過率特性のピークが最大値の半分(3dBポイント)またはそれ未満、即ち、FWHMを計算した場所またはそれ未満で交差する場合、区別できると言われている。単一フィルタの場所を完全な波長範囲のサンプリングに関連付けた場合、空洞の長さは、処理の際に極めて正確に制御可能であり、次のスペクトル帯域を、その3dBポイントが当該3dBポイントで実際に交差するように位置決めできることが想定される。対象となるスペクトル範囲をある範囲のラインフィルタを用いてサンプリングした場合、これらの通過帯域が3dBポイントで交差するようにそれぞれ位置決めされ、ハイパー分光モジュールのスペクトル分解能は、2つの隣接フィルタのFWHMが同じである前提の下では、光学フィルタのFWHMに等しい。
【0081】
式(3)および図5に示すように、干渉計の中心波長は光の入射角に依存する。ファブリペロフィルタでは、この依存性はコサインの関係であり、約0°の角度、即ち、光学フィルタの表面に垂直な光で、あまり敏感でない。これは、波長選択の依存性がサインの関係に従うグレーティングとは対照的であり、約0°での変動に対してかなり敏感である。ファブリペロ干渉計が、入射角に対する僅かな変動を許容できる。この特徴は、速度、感度などで改善されるシステムレベルで使用できる。
【0082】
(光学フィルタの設計)
反射面:空洞の両側にある反射面の設計および性能は、ファブリペロ光学フィルタの性能にとって重要である。高いフィネスを備え、良好なスペクトル分解能を持つファブリペロ光学フィルタは、高反射ミラーを用いることによって得られるだけである。ミラーの第2の重要なパラメータはこれらの吸収率であり、これはフィルタの効率を決定するからである。全範囲のファブリペロ光学フィルタをある波長範囲について構築する必要がある場合、これらの2つパラメータ(反射率と吸収率)がこのスペクトル範囲に渡って可能な限り一定のままであることが利益である。その場合、波長範囲は、ファブリペロフィルタの空洞長のみを変化させることによって、カバー/サンプリングでき、材料およびミラー層は一定に維持できる。選択した波長範囲は、選択した画像センサの感度と整合する必要があり、これはモジュールの第2コンポーネントである。
【0083】
モノリシック集積化を提案する現在の手法は、特別な標準的でないセンサ設計を用いて、コストの増加または速度の低下をもたらしている。CMOSセンサでのCMOS互換の処理工程への切り替えは、集積化の問題を生じさせる。汚染および熱履歴に起因して、例えば、材料選択に対する影響を有するためである。下部ミラー用に、Agなどの金属が使用できない。先行技術のファブリペロフィルタはAlを使用する必要があり、フィルタの品質または光学スループット(速度)の重大な減少を生じさせる。誘電体スタックが好ましいが、汚染レベルおよび熱履歴は材料選択を制限する。プロセス準拠の材料は、選択した周波数範囲で必要なスペクトル範囲を得るために、正しいn/kの組合せを有する必要があった。低nの材料を有するこれらの誘電体材料の一例が、SiO2であり、さらにnを減少させるように調整が可能である。高nの材料の一例が、プロセスパラメータの調整、例えば、温度および水素含有量のため、減少した吸収率を持つアモルファスシリコンである。硬い酸化物がより良好な許容範囲を有するが、使用できない。標準のCMOSプロセスで許容されるものより高い温度の必要性のためである。
【0084】
こうした代替のミラーシステムの一例が、(分布)ブラッグスタックであり、これは、2つのタイプの誘電体を2つまたはそれ以上の材料の交互配置スタック(一方は低い屈折率を有し、他方は高い屈折率を有する)に組み合わせることによって形成される。ブラッグスタックの第1特性が、式(6)に示すように、その帯域幅、即ち、スペクトル範囲Δλ0であり、そこでは反射率は多かれ少なかれ一定である。
【0085】
【数5】
【0086】
この式から、帯域幅Δλ0は、中心波長λおよび選択した材料の屈折率n1,n2の両方に依存することが判る。ある中心波長付近での広いスペクトル範囲(例えば、700nm付近での600nmのスペクトル範囲)をカバーできるために、n1とn2の間で大きな差が必要になる。標準の半導体プロセスで使用される材料のリストから、SiO2は、最も低い屈折率(1:46)の1つと、極めて低い吸収係数を有する。両方のパラメータが、極めて大きなスペクトル範囲に渡って安定している。700nmの中心波長付近で600nmのスペクトル範囲(VNIR範囲)では、これは、ブラッグスタックでの第2の材料は、理想的には、0に可能な限り近い吸収係数に加えて、6:4と等しい屈折率を有する必要があることを意味する。処理フローと適合し、標準のICプロセス材料で利用可能であるこうした理想的な材料は存在せず、既存の材料を良好な屈折率およびより低い吸収率に適合させることが必要になる。SiO2の屈折率は、それを多孔性にする(屈折率1を有する空気と混合させる)ことによって低下できる。その結果、同じスペクトル範囲かつ中心波長で、5と等しいより良好で製造可能な屈折率の必要性が得られる。材料工学の他の例は、プロセス(堆積)パラメータ、例えば、温度、水素濃度などを変化させることによって、アモルファスシリコンの吸収率を低下させることである。
【0087】
【数6】
【0088】
式(7)に示すように、こうしたブラッグミラーの反射率Rは、誘電体層のペア数によって容易に制御される。層がより多くなるほど、反射率が高くなり、その特定ミラーを用いて構築されるファブリペロフィルタのフィネスが高くなる。式(7)において、n0は周囲媒体の屈折率、nsは基板の屈折率、n1は第1材料のの屈折率、n2は第2材料の屈折率、Nはブラッグスタックでのペア数である。分布ブラッグスタックの一例は、700nm付近の中心波長で540nm〜1000nmの範囲についてSiO2と人工アモルファスシリコンの組合せである。第2の例は、1500nmの中心波長で、1000nmの帯域幅、例えば、1000nm〜2000nmについてSiO2とSiGeの組合せである。ミラー層としてブラッグスタックを使用する影響が、光反射の際の追加の位相シフトである。この位相シフトは、中心波長を式(3)で求まるものから偏位させるが、この偏差は、例えば、シミュレーションツールを用いて容易に決定できる。
【0089】
(ウェッジフィルタ)
図6a〜図6bに示すようなウェッジフィルタが、ステップ状の構造からなる光学フィルタである。これらのステップは、高さが増加するように順序付けられ、この場合、単調なウェッジ状の構造を形成する。しかしながら、この順序は必須ではなく、即ち、非単調な構造も可能である。フィルタは、画像センサの上部に後付け、即ち、モノリシックに一体化され、各ステップが画像センサの複数の行または列の1つと整列している。ウェッジフィルタの各ステップが、異なるスペクトル帯域をフィルタ除去する。その結果、センサおよびウェッジフィルタの組合せは、プッシュブルーム(push broom)式、ラインスキャナ式またはハイブリッドラインスキャナ/観察器式のハイパースペクトル撮像装置に使用できる。
【0090】
既存のウェッジフィルタが、ステップ状の構造の代わりに、傾斜した構造である。より低い製造の複雑さに起因して、今日まで傾斜構造が使用されてきた。しかしながら、これらは所望のフィルタの近似に過ぎず、同じスペクトル帯域を検知することを意図した各グループのセンサ画素について一定の高さを有する必要がある。このグループは、行または列または何れか他の順序で配列できる。本明細書の残りでは、同じスペクトル帯域を検知する画素は、行または列で配列していることを想定している。従って、ウェッジフィルタの好ましい構造は、各行または列の画素(またはそのグループ)が異なる高さのファブリペロフィルタで覆われているステップ構造である。階段構造は、各(グループ)の行/列につき、異なるフィルタ特性および異なる選択波長を生じさせ、こうしてハイパースペクトル撮像装置が得られる。
【0091】
上記のフィルタは、高さが増加するように順序付けられた各ステップを有することができ、この場合、ウェッジを形成する。このフィルタは、フィルタされるスペクトル帯域に同調した各ステップの高さを有することができる。
【0092】
ファブリペロフィルタの中心波長は、式(3)を用いて決定され、空洞長L及び/又は、光の入射角θ及び/又は、空洞内の材料の屈折率nを変化させることによって同調できる。
【0093】
可変空洞は、第2の寸法を固定したままで、空洞長Lをセンサ上で1つの方向(xまたはy)に変化させることによって異なる波長についてラインフィルタの構築を可能にする。空洞長を変化させることによって、空洞材料(およびその屈折率)を一定に維持することが可能である。センサ上の異なるラインが異なる波長に対して感度を有する。式(3)を用いて、所定のスペクトル分解能について隣接ライン間の高さHの差を計算できる。一例を図6に示しており、それは、異なるステップの間で同じステップ高さを持つセンサ上で空洞長を直線的に変化させている(ステップ間の高さの差は説明のため誇張していることに留意する)。種々のステップの幅Wは、スペクトル帯域の数/スペクトル分解能およびセンサの幅に依存する。
【0094】
本実施形態は、後述するように、バイナリマスクを用いて容易に実施できる。一例を図7に示しており、完全なセンサについて選択波長の変動を示している。図7の左側において、フィルタ特性は、極めて低い透過効率を有する中心波長を持つラインフィルタについて示している。これは、使用したミラー層の反射率がこの波長範囲で最適でないためである。中心波長は、波長の増加とともに徐々に増加し、ステップ20(約600nm付近)において透過効率の大きな増加がある。これは、ブラッグスタックの反射率は、目標の性能に到達しているためである。中心波長は、ステップ120付近の1000nmまでさらに増加し、第2次数がステップ95で見える。第2次数の出現は、波長λjについて設計されたファブリペロフィルタが、λjの倍数(より高い次数と称される)である到来する波長をも通過させることの結果である。しかしながら、ファブリペロフィルタおよび下地の画像センサの両方が妥当な効率を有する波長範囲に入るより高い次数の波長だけを考慮すべきである。
【0095】
空洞長を変化させる好ましい方法は、処理の際に導入される構造の変動を伴う問題を有することであろう。図7を再び参照して、VNIR範囲において、影響される波長範囲は、ほぼ800nmから前方である。典型的なCMOSセンサが1000nmより長い波長に対して感度がないため、図7は1000nm超での透過率の降下を示しており、第2次数だけが透過するため、図7は700nmに再び低下した選択波長を示す。この波長選択の最初と最後の領域は、興味のない情報だけを取得しているように見える。これらの波長領域でのフィルタの透過率は低すぎて、第2次数の情報だけが記録されるためである。しかしながら、処理の際に許容誤差が導入され、フィルタ波長範囲のいずれかの方向への全体シフト、または異なるダイ間の変動を生じさせる場合、これらのエリアは有効なスペクトル範囲を左または右にシフト可能である。
【0096】
(製造)
1Dまたは2Dのファブリペロフィルタを製造する方法が、階段のバイナリ(binary)または対数の構造を含むことができる。階段構造の素直な実施態様が、連続的なパターニングおよびエッチング工程を用いて、k個のステップを持つ階段を形成するには多数の処理工程を必要とするであろう。ここで、kは典型的には50より大きい。いわゆるバイナリまたは対数のパターニングを用いることによって、図5に示すように、必要な工程数はlog2kに低減できる。
【0097】
バイナリパターニングの結果、例えば、1024個のステップが10個のパターニング工程だけを用いて構築できる。
【0098】
処理コスト、特に、異なる厚さを有する異なるラインフィルタを製造するのに必要なエッチング工程数を、管理下に維持するためには、図9a〜図9eまたは図10a〜図10eに示すように、バイナリマスクまたは対数マスクなどのテクニックが使用できる。
【0099】
マスクを反転させることによって、異なる立体形状がどのように生成されるかを示すために、同じ処理工程で製造された光学フィルタは、図10eにおいて同じ参照番号で与えられる。モジュールのコストを増やすことなく、ラインフィルタを再配列するには、対数マスクの必要条件を満足させるべきである。しかしながら、この再配列を達成したり、あるいは、通常のバイナリマスクの幾つかの反転を用いて、目標を達成しつつ極めて近くに接近させることが可能である。当業者にとって自明であり、1Dの再配列のみを使用するためである。
【0100】
しかしながら、ステップのこの簡単な再配列が、ラインフィルタに対して垂直な方法に沿った入射角に影響を与えるに過ぎないであろう。実際、これは、波長範囲の両側でよりバランスしたより高い感度をもたらすが、センサの中央だけである。これは、多くの用途、特に、最も関心のある領域が、走査した画像の中心である場合には有用である。
【0101】
第2の寸法、即ち、ラインフィルタの長さに沿った寸法を補償するため、追加の処理工程が必要になり、これはコストとのトレードオフを導入することになる。追加コストが動機付けとなる場合、平均の角度依存性は、第2の寸法での追加変動を追加することによって補償できる。ラインフィルタの方向に空洞長を変化させることによって、平均入射角の変動の影響を最小化できる。このテクニックでは、追加のエッチング工程が必要になり、最終的な空洞は、ラインフィルタの長さに対して平行である変化する厚さを有することになる。
【0102】
本願では、非単調的に上昇(または降下)するウェッジを使用して、エッチングでの誤差を吸収している。非単調の性質は、我々が、ウェッジの1つのステップを、必要より長くないエッチングし、より高いステップが生ずることから由来できる。この構造は、数箇所を除いて連続的に落下する。後述する図24、図25、図26の例を参照のこと。
【0103】
また、有用なことは、我々が、有益な効果を達成するようにマスクのパターニングを構成できることである。例えば、並進(translating)及び/又は反転を、我々が他のタイプのウェッジを入手する結果として参照のこと。例えば、図25に示すような「山(hill)」プロファイルを参照。これは、光の減衰をセンサ上で補償するのに有用な構造である。センサのエッジでは、より低い強度の光を意味する口径食(vignetting)がときどき起こる。これらの場所には、センサ上での最小感度を有する我々のウェッジの領域、即ち、400nmおよび1000nmが位置する。「山」を用いて、我々はこれを補償できる。我々は、センサの感度を、その前に位置する光学コンポーネントの感度と整合させる。
【0104】
モノリシックに集積化したサブシステムを備えた、完成したHSIカメラの特定の例は、本明細書の後半で説明する。第1次数についてファブリペロを設計することは、幾つかの層の厚さに対する厳しい許容誤差を強制し(nm範囲)、これは、我々の低コスト処理フローを用いて(硬度、酸化物など)達成することが困難である。先行技術のウェッジ(LVFおよび階段)は、1つの方向に増加または単調に増加する厚さを有する。この設計をプロセス変動についてより許容できるためには、追加のステップが必要になる。
【0105】
(プロセス変動および許容誤差のための製造)
ウェッジフィルタの寸法に対するプロセス技術の要求は極めて厳しいため、ステップ高さ、幅、配置、角の鋭さ、配向での変動が予想される。設計は、名目上の設計が、目標とする用途が要求するものより広い範囲の波長を目標とするようにし、これは、図12に示すように、ウェッジフィルタへの特別なステップの挿入に対応している。その結果、名目上の設計に対する製造高さの偏差が、有効なフィルタ範囲においてセンサ片側へのシフトを生じさせる。特別なステップの片側への挿入により、要求された波長範囲は、画素の異なる列を読み出すことによって回復できる(後生産の較正工程の後)。
【0106】
図11に示すように、種々の処理工程が常に許容誤差を有することを考慮して、ハイパースペクトルイメージングフィルタのセットを設計した。これらの許容誤差は、全ての普通の製造工程において発生し、これらを管理することは、通常、コストとのトレードオフである。各処理工程がある程度まで管理でき、これは、特別なプロセス開発および改良への投資によってある程度まで改善できる。その結果、多くの工程では、これらの変動について正確な限界を定量化することは極めて困難である。現在の設計の背後にある哲学は、変動の影響が設計へのソフトウエア補正または修正によって克服できる場合、これらの変動を考慮することによって、できる限り多くの高価かつ時間を要する最適化工程を回避することである。この手法を設計段階で採用することによって、要求を処理工程へ伝達することが可能である。即ち、許容される設計によって生成される緩和を考慮して、処理工程で発生する変動が所定の閾値未満に留まるようになる。この閾値は、種々の処理工程で予想される変動に基づいて、設計時間に設定される。閾値を超える変動は、もはや補償できず、仕様に適合しないモジュールとなる。下記セクションでは、処理工程の幾つかを簡潔に紹介しており、その工程の許容誤差の結果として、ある量の変動およびフィルタ構造に対する影響を紹介している。
【0107】
異なるタイプの許容誤差または変動が存在する。ウエハ全体の変動(ダイ間(inter-die))は、ダイ内(intra-die)変動よりも、最終デバイスに対して異なる影響を有するようになる。下記の説明では、特に言及しない限り、両方ともが許容誤差または変動として一般に網羅されている。
【0108】
システム設計の理論的根拠は、ハイパースペクトル・イメージングモジュールの異なるフィルタラインが、スペクトルでの異なるポイントをあるサンプリング間隔でサンプリングすることである。第1の選択肢は、スペクトルを、最大スペクトル分解能でサンプリングすることである。このレートは、レイリー(Rayleigh)の基準から導出でき、これは2つのフィルタが3dBポイントで交差する場合、スペクトル分解可能であるとされる。第2の選択肢は、スペクトルを、減少したレート、例えば、信号中の全ての周波数をカバーするシャノン(Shannon)のレートでサンプリングすることである。この場合、有効フィルタ場所での小さな変動は、スペクトルカーブをサンプリングするモジュールの使用に対して重要な影響を有さない。ある明確に定義された波長で極めて狭いスペクトルピークを検出することを目的とする用途だけが変動に悩まされることになる。このセクションでは、これらの変動の幾つかの原因および、我々がこれらに対処するために適用するテクニックを検討する。
【0109】
(画像センサの平面性)
よく管理された状態で開始するために、フィルタ構造を構築する前に、画像センサを平坦化することが重要である。これは、堆積工程そして、全ての凹凸形状を除去するCMP(化学機械研磨)工程を用いて実施できる。これにより、後のプロセスが、正確なBEOL配置に依存しなくなる。この平坦化層の厚さおよび材料は、フィルタ構造の設計の際に、ある程度は考慮できる。しかしながら、この層は、アクティブフィルタ構造の一部ではなく、適正な材料遷移(屈折率にとって重要)が正しく考慮されている限りは、フィルタ自体へ大きな影響がない。ファブリペロフィルタをこの平坦化層の上部に堆積した場合、変動がウエハ全体で充分にゆっくりである限りは(例えば、鋭いエッジがない)、この層の変動は上に伝達されることはない。CMPが、ナノメータのスケールでウエハ全体の平面性および変動を持つ表面を生成できると、この要求を満足できる。
【0110】
(堆積誤差)
ファブリペロフィルタのコンポーネントでの堆積厚さ、例えば、ブラッグスタックの層および空洞の厚さの変動が、設計したフィルタと製造したフィルタとの間の不整合をもたらすことになる。空洞の厚さに対する変動の影響は、全てのフィルタの厚さは、多かれ少なかれ等しい量だけ変化して、理論設計の左または右にスペクトル範囲のシフトを生じさせることである。設計したフィルタ場所に対して選択波長でのこの全体的シフトは、上でも下でも、その範囲を拡張することによって補償できる。所望のスペクトル範囲の両側で安全ゾーンをカバーする追加のフィルタ構造を追加することによって、空洞の堆積に対する許容誤差がカバーできる。例えば、空洞の堆積高さに対する全体変動が最大で20nmである場合、これは、追加すべき追加ステップ数に関係してくる。例えば、両者で5nmのスペクトル差では、空洞は、設計のものより10nm多くまたは少なくでき、最小の空洞長および最大の空洞長の両方で、2つの追加ステップを含む変更した範囲設計を導く。これは、必要なスペクトル帯域数、1つの帯域での空間ライン数、センサのサイズを組み合わせることによって、実際の設計と関連付けられる。これは、特別帯域の量および、堆積での最大許容変動を計算するために、入力として使用するセンサでの自由エリアを決定する。
【0111】
図12は、ラインフィルタがλjからλj+kまで、例えば、青から赤まで順序付けられたハイパースペクトル・イメージングモジュールの概略図を示す。両側には特別なラインフィルタを追加している。これらのフィルタは、設計が空洞堆積での著しい変動がなく生産された場合、公称ポイントで使用されることはない。しかしながら、初期の空洞堆積がオフである場合、特別なラインフィルタの片側が意図した範囲の内側に入って機能的になり、一方、他方の側でより多くのフィルタが使用不能になる。この範囲シフトは、製造後に、完全なフィルタ構造を幾つかの既知の波長で照射して、最高の応答を有するラインフィルタの場所をメモリに保存することによって容易に較正できる。
【0112】
ウエハ幅の堆積誤差に加えて、較正と連結して、拡張した範囲を設計することは、予想されるダイ間変動をカバーするようになる。必要な場合、このタイプの変動をカバーするために幾つかの追加のステップが追加でき、または従来のビニング(binning)やある波長範囲についてあるデバイスを選択することが追加できる。ダイ内変動は、より多くのステップを追加することによって対処できないため、ダイ内変動は制限する必要があり、2つのステップ間の差(例えば、3nm)より小さくする必要がある。ダイ内変動がこの差を超えた場合、最小の公称波長差を持つ2つのラインフィルタ間の差は、もはや定義されない。ダイ内変動は、変動ダイ間変動(ウエハ全体)より小さい。ウエハ全体の変動が、スペクトルのシフトを1つの方向に生じさせる。拡張した範囲が、このシフトに対処することが予測される。
【0113】
(エッチング誤差)
ファブリペロフィルタの空洞材料の初期堆積の後、異なるフィルタの例、例えば、異なるラインフィルタがこの空洞材料をエッチングすることによって製作できる。得られたファブリペロフィルタは、これらの個々の異なる空洞高さによって規定されることになる。個々のラインフィルタの正確な波長応答は、ステップの最終高さが規定される種々のエッチング工程の目標高さおよび処理許容誤差に依存することになる。必要とされるエッチング工程の全体数を低減するために、バイナリマスクまたは対数マスクなどのテクニックが使用でき、これにより2n個の異なる空洞高さを製造するのに必要なエッチング工程は、n個だけになる。上述したように、ある目標の空洞長を規定するのに必要とされる異なるエッチング工程での累積変動は制限すべきであり、2つのステップ間の差(例えば、3nm)未満にする。しかしながら、この要求を引き伸ばすために、幾つかの設計トリックが適用できる。ここで、オーバーラップを導入することによって、この許容誤差が完全にカバーされるように光学フィルタを設計した場合、即ち、図13に示すように、マスクの幾つかの部分が同じ波長を含む場合、適正な波長が、較正およびソフトウエアプロセスを用いて割り当て可能である。
【0114】
区画のために用いられるエッチングプロセスが無指向性プロセスである場合、1つのラインフィルタと次のものとの間の遷移を形成する鋭いエッジが丸みを示すことがある。提示した実施形態では、各ラインフィルタの幅は、画素の複数の列をカバーできる。後生産の特性付与が、角の丸みに起因してフィルタの著しい歪みを示す場合、影響を受けた列は、ソフトウエアの後処理において不能化または除去できる。これは、冗長性の形態であり、プロセス最適化のコストと生産したデバイスの性能との間のトレードオフの一部であり、この場合、使用した画素の列数の減少である。上記セクションで示したように、フィルタが最小数のスペクトル帯域について設計でき、シャノン(Shannon)のサンプリング法則は壊れない。これは、例えば、分布ブラッグスタックでの層数を減少させ、フィネスを減少させ、ファブリペロフィルタのFWHMを増加させるために使用できる。しかしながら、エッチングでの小さな変動が、フィルタを右側または左側に少しシフトさせることになる。両方の場合、スペクトルからの情報が見失われることになる。スペクトルのオーバーサンプリング(oversampling)が、ファブリペロ光学フィルタをその最大FWHMで使用し、最大スペクトル分解可能にするテクニックである。これらのフィルタのFWHMは、システムテクニックを用いて増加できる。スペクトルオーバーサンプリングによって導入される追加のスペクトル帯域は、オリジナルのものと部分的にオーバーラップするようになるが、全て関連する情報が取得されることを確認する。
【0115】
非単調増加のフィルタが、最も重大なエッチング工程について冗長な情報を供与するように選択された、同じウェッジでのスペクトルオーバーラップを提供する。スペクトルオーバーサンプリングが、1つのダイでの波長シフトに対処し、FWHMがスペクトル分解能に必要なものより小さくなるように設計される。帯域の数は、全てのスペクトル範囲をカバーするように所定のFWHMを用いて計算される。例えば、より小さなf0を有するシステム態様がFWHMを増加させるようになり、よって、隣りのフィルタがオーバーラップし始めて、1つのスペクトル分解能につき1つのフィルタを形成する。オーバーサンプリングによって、全てのスペクトル情報が検知され、較正および標準の画像処理を用いて抽出可能になる。
【0116】
(アライメント誤差)
標準のICプロセス技術を用いた場合、画素当たり数ミクロンの寸法を持つ画素の行/列の上部におけるフィルタ構造のアライメントが、先行技術の可能性の範囲内である。従って、上部レベルでのアライメントはあまり重大ではない。前の段落で検討したように、ミスアライメントが生じた場合、単一のラインフィルタが複数列の画素をカバーできるため、有害な列は不能にできる。再び、これは同じトレードオフの一部である。
【0117】
(光学減衰およびモジュール感度の設計)
画像センサおよびフィルタ構造の両方からなるハイパースペクトルモジュールを設計する場合、コンポーネント間の最適化を行うことができる。提案したハイパースペクトルモジュールは、低コスト及び/又はコンパクトシステムを目標としているため、より低い品質の光学系が予想される。この状況で対処できる1つの影響が口径食(vignetting)である。口径食は、画像中心と比べて周辺での画像輝度の減少または飽和である。この影響が、波長に依存したファブリペロフィルタおよび画像センサの効率と結合した場合、波長依存の挙動を平坦化するために、それを増強する代わりに、両方の影響を共に最適化できる。口径食は、光強度を画像の中心から側方に向けて低下させるため、走査応用のための影響は2つの成分に分割できる。走査方向に対して垂直な強度減衰の影響は、照明によって補償でき、当業者に知られているように、いわゆる照明プロファイルの使用によるものである。
【0118】
走査方向では、感度/強度の差が増強ではなく、平均化されるようにラインフィルタを再配列する可能性を活用することによって、第2の機会が存在する。画像センサがある波長範囲について設計される。例えば、CMOS撮像装置が、多くの場合、400nm〜1000nmの範囲内で使用できる。しかしながら、センサの効率は、全ての範囲で同じではない。両方の影響、口径食およびセンサ感度は、ラインフィルタのある配列についてモジュールの効率に影響する。目標波長において、例えば、400nm〜1000nmの範囲で10nm増分で単調増加するラインフィルタの素直な順序付けを選択した場合、口径食によって最も影響されるセンサのエリア(走査方向)は、最上部および最下部のフィルタラインである。素直な順序付けでは、これらは、センサ感度が最も低くなる波長についてのフィルタラインである。よって、両方の影響が加算し、ハイパースペクトルモジュールは、目標波長範囲の両側で次善の信号対ノイズ比を有することになる。
【0119】
感度を平坦化し、両影響のこの追加の挙動を克服するために、両方の影響を考慮した再配列を行うことができる。図15は、ラインフィルタが単調増加ではなく、フィルタが再配列しているハイパースペクトル・イメージングモジュールの概略図である。センサが最も低感度である波長を選択するフィルタが、センサの中央に置かれ、口径食が全くまたは殆ど生じない。よって、両方の影響が反対方向で作用し、全てのスペクトル範囲での効率が平坦化される。これは、必要に応じて、用途が許す場合には照明プロファイルと組み合わせが可能である。
【0120】
前の段落で既に検討したように、ハイパースペクトル・イメージングモジュールの設計の一部が、画像センサ上での異なるラインフィルタの分布または順序付けである。一般に、設計は、下記の部分に分割できる。
1.目標とする波長範囲の選択
2.その範囲について画像センサの選択
3.目標とするスペクトルサンプリング(スペクトル分解能)の選択
4.異なるファブリペロラインフィルタの設計
5.画像センタ上でのこれらのファブリペロラインフィルタの順序付け
【0121】
フィルタの順序付けは、原理上は問題ではない。順序付けがどうであっても、異なるフィルタ波長が、走査後のソフトウエアでハイパースペクトル画像に再編成できるためである。プロセス技術変動を許容する方法が、上記で定義されたようなフィルタを利用することによって適用され、波長範囲は、生産後の較正工程の後、同じ高さのフィルタによってカバーされた異なる行または列の画素を読み出すことによって回復される。しかしながら、生産コスト、感度などの他のシステム態様を考慮する場合、異なるタイプの順序付けも意味がある。
【0122】
最初の最も素直な順序付けは、ウェッジ順序付けと称されており、抽象的レベルのその形状は、ウェッジまたはより正確には階段に似ている。この順序付けでは、全てのラインフィルタが、単調増加のフィルタ波長に従って順序付けられる。ウェッジ順序付けのグラフィック描写を図12に示す。1つの延長が、既に検討したように、階段構造においてあるラインフィルタの繰り返しをカバーしており、そのプロセスでの許容誤差をカバーしている。ある重大なエッチング工程がオーバーエッチングした場合、ハイパースペクトル画像での幾つかのサンプリングポイントが見失われるであろう。これを防止するために、故意の設計変更が行われ、非単調増加の階段構造を意図的に作成する。幾つかの重大なポイントでは、設計は、後処理で後に除去できるあるラインフィルタの繰り返しを予測し、プロセス許容誤差がオーバーエッチングする傾向がある場合、サンプルポイントは見失われないであろう。
【0123】
この概念のグラフィック描写を図13と図14に示しており、オーバーラッピング範囲が画像センサの中間であることを明確に示している。順序付けが単調増加から外れるほど、技術的には、これはもはやウェッジとみなすことはない。
【0124】
(光学スループットを最大化するシステム態様。増加した速度が得られる)
順序除去のために、追加のフィルタの使用を回避する。順序除去のために、画像処理を使用する。
【0125】
スリットを排除し、コリメータが、このシステムでの光学スループットを増加させるが、FWGMが増加し、スペクトル分解能が減少する。スペクトルオーバーサンプリングがこれを可能にする。光学スループットを増加させるために、スペクトルオーバーサンプリングがより多くの開放アパーチャ(スリットを置換)を有効にする。
【0126】
上述したように、ファブリペロフィルタがフィルタへの光の入射角に対して敏感であり、中心波長およびFWHMがこの入射角に依存する。例えば、複数のフィルタをフィルタモジュールに組み合わせた場合、特別な光学的構成が全体的性能へのこの依存性の影響を最小化するために使用可能である。本セクションは、この光学システム、および光学スループット、スペクトル分解能、フィルタの半値全幅(FWHM)などに影響するトレードオフを検討する。
【0127】
後述する第1システムは、最善のスペクトル分解能およびFWHMを最低の光学スループットで達成している。スリットを可変アパーチャで置換することによって、絞り(stop)を開けることは、光学スループットを改善するが、FWHMおよびスペクトル分解能を悪化させる。このトレードオフを検討する。
【0128】
一体化したウェッジフィルタは、異なるシステム設定で使用できる。システム集積化に依存して、得られるウェッジフィルタ性能は、速度およびスペクトル分解能の両方で異なる。光学システムの1つの重要な態様が、一例を図18に示すように、射出瞳のサイズである。射出瞳のサイズは、ウェッジの各ステップによって形成されるファブリペロフィルタへの光の入射角の変動の大きさに直接的な影響を有する。
【0129】
一体化したウェッジフィルタの所定のステップの下方にあり、光軸からの距離xにある画素pでは、光軸と平行な入射光線と、射出瞳の上部および下部とのなす角は、αおよびβとそれぞれ称される。
【0130】
図4から判るように、αおよびβのサイズは、射出瞳のサイズに依存する。ファブリペロフィルタの選択波長は、この入射角に依存するため、その結果、一体化したウェッジフィルタの各ステップによって選択された種々の波長が得られる。この関係は、下記の3つの式で記述される。
【0131】
【数7】
【0132】
システムレベルでは、入射光の方向は、コリメータ及び/又はテレセントリックレンズの使用によって制御可能である。下記の段落は、コリメータ有りとコリメータ無しの両方でいろいろなシステム集積化を説明する。用途に応じて、両方とも現在の先行技術の手法から異なる改善を有する。
【0133】
(コリメート化。グレーティングベースのシステムより高いスペクトル分解能について使用できる)
このサブセクションは、提案したフィルタモジュールを、純粋なライン走査ハイパースペクトルカメラとして使用する可能性のある光学システム設定を説明する。この設定では、単一ラインの全ての波長が同じ時間で収集される。図1に示すように、ハイパースペクトル画像立方体は、場面をラインごとに走査して構築される。画像形成用の対物レンズが用いられ、この画像から単一ラインを選択するためのスリット。コリメータは、光学フィルタまたは撮像装置への光線の入射角を制御(最小化)するために使用される。コリメータの出力では、光線はほぼ平行である。光軸上にあるスリットの良好に選択された場所、およびスリットの極めて小さなサイズのため、これらの光線は、光軸に対して平行である。コリメータは、平凸レンズで、回転対称レンズではない。そのコリメート機能は、図示した断面の方向に限定される。その垂直な方向、スリットの方向では、コリメートの効果はない。その結果、スリットによって選択された画像ラインは、光学フィルタに対して垂直な入射角で、センタ全体に渡って複製される。その結果、そのライン内の光のエネルギーは、センタ全体に渡って広がる。光軸の上方または下方にある画像ラインに由来する光線が(例えば、スリットを広げることによって)、コリメート後に平行になるが、光軸と平行にならない。従って、コリメータを用いたシステムのスペクトル分解能は、対物レンズのf/#から独立しているが、スリットサイズに依存することになる。
【0134】
第1の設定は、図19と図30に示すように、対物レンズ82と、スリット83と、コリメータ85と、標準の画像センサの上部にウェッジフィルタを有する集積回路5とからなるラインスキャナである。コリメータの使用の結果として、ウェッジフィルタの上部への光の入射角が良好に制御され、その結果、良好なスペクトル分解能が得られる。しかしながら、スリットの使用により、システムに入る光の量(エネルギー量)は、大きく減少する。この結果、センサでの積分時間がより長くなり、全体的に速度が低下する。
【0135】
図19は、コリメート化したシステムの詳細である。距離Oにある場面は、対物レンズによって、距離dslitにあるスリット上に結像される。対物レンズの焦点は、2つのポイントfで示している。開口数NAは、対物レンズを通過する光の量に関連する。スリットを通過した光は、距離fcolにあるコリメータ上に入射する。コリメート化した光は、dwedgeにあるフィルタおよびセンサ上に投射される。スペクトル分解能に対するスリットおよびコリメートの影響は、図20に示す。角度θは、スリット高さYslitに比例し、公称波長に対するαおよびβについての選択波長の偏差を表す。図21から、公称波長に対するλαおよびλβの偏差は、スリットサイズおよび物体距離に関連した相対偏差をもたらすことが判る。80μmのスリットサイズでは、相対偏差は、10mm超の焦点距離を持つコリメータでは、1パーミル(promille)未満である。より小さなスリットサイズおよびより大きな物体距離では、この偏差はよりいっそう小さい。その結果、極めて良好なスペクトル分解能が本システムを用いて達成できる。
【0136】
達成可能なスペクトル分解能は、本システムではグレーティングベースのシステムよりも良好である。グレーティングベースのシステムでの限定要因は、画素当たりの分散に依存し、ファブリペロの式(式9)と比べて、入射角の変化に対するグレーティングの式(式10)の感度がより高いためである。対象とする入射角(θ=0)では、グレーティングの式の感度は最大であるが、ファブリペロの式ではこの感度は最小である。
【0137】
【数8】
【0138】
さらに、グレーティングベースのシステムでのスペクトル帯域幅は、mm当たりのその分散にも依存し、それはピッチpに依存する。この連続的な分散のため、全てのスペクトル帯域が単一画素に投射される。画素の面積が大きいほど、センサは高速になるが、スペクトル帯域幅はより大きくなる。提案したウェッジフィルタのスペクトル帯域幅は、これらの画素サイズから独立し、材料パラメータに依存するだけである。
【0139】
しかしながら、スリットの使用により、システムに入る光の量は、大きく減少する。これは、光学スループットにより表現され、これはどれぐらい多くの光が光学システムに入ることが許されるかの幾何測定である。スリットが、著しく減少したエリアを有するため、これらのシステムの光学スループットも劇的に減少し、カメラに入る光の量を制限し、そしてカメラの速度も制限する。
【0140】
(非コリメート化。グレーティングベースのシステムより高速なシステム用に使用できる)
代替のシステム設定がスリットを有しておらず、全ての画像フレームをセンサに投射する。図31に示すように、対物レンズ82および集積回路5が存在する。検知した画像は、物体での全ての空間情報を表することになるが、センサ上の異なるラインは異なるスペクトル帯域に対して感度があり、画像内の異なるラインは異なるスペクトル帯域からの情報を含んでいる。あるラインについて全てのスペクトル帯域を収集することは、センサ上でそのラインを走査し、続いて、異なるフレームからの同じ空間ラインに対応した全てのスペクトル情報を1つのハイパースペクトル画像立方体に組み合わせることによって行われる。
【0141】
例えば、第1ラインが、1つの特定のスペクトル帯域b1に対して感度を有するセンサの第1ラインに投射される物体を想定する。従って、第1画像ラインは、この帯域b1の情報を含むだけである。次に、物体のラインは、センサの第2ラインに移動し、これは他のスペクトル帯域b2に対して感度を有する。そして、そのラインでの第2帯域は、同じ時間で収集されることになる。第1帯域は、物体上の次のラインについて収集されるためである。この手順は、全ての物体が全ての波長帯域で走査されるまで繰り返される。
【0142】
第2システム集積化のオプションは、スリットまたはコリメータを使用せず、センサと一体化したウェッジフィルタは、対物レンズを用いてシステムに組み合わされる。スリットおよびコリメータを排除することによって、全体システムコストは減少し、システムに入る光の量は増加する。これはより高速なカメラをもたらすことができる。しかしながら、一体化ウェッジフィルタの異なるフィルタステップへの光の入射角はあまり制御されず、その結果、レンズシステムを慎重に設計していない場合、減少したスペクトル分解能をもたらす。
【0143】
図4に示したように、入射角は、対物レンズの射出瞳、そしてアパーチャに大きく依存する。図22は、ウェッジフィルタのステップによって選択された最悪の場合の波長範囲に対する対物アパーチャの影響を示す(Lambda 1=αおよびLambda 2=β)。図22aにおいて、大きなアパーチャ(f1.65)が、高速なシステムに対応し、400〜800nmで60nm程度であり、800〜1000nmでさらに小さくなるスペクトル分解能が得られる。しかしながら、アパーチャ(f22)を減少させることによって、図22bに示すように、スペクトル分解能は増加し、対象とする範囲の大部分に渡って約15nmの分解能に到達できる。しかしながら、このことは光の損失をもたらし、より低速なシステムになる。
【0144】
こうして開口数(光学スループット)を最大化し、スペクトル分解能を最適化するために、慎重なレンズ設計が必要になる。こうしたレンズの一例(これに限定されないが)が、テレセントリックレンズであり、これは光軸と平行な主光線を持つレンズである。これらのレンズは光の入射角を著しく制限し、これらのカメラ用の対物レンズとしての最適な候補である。
【0145】
(図23。並列読み出しを有する一実施形態に係る集積回路)
図23は、異なる厚さの光学フィルタ10の下方に、光学センサ40をグループ20ごとに有する集積回路を示す。読み出し回路30が、各グループについて出力回路A,Bを有し(明確化のため、1つのグループについて出力回路を図示している)、種々のスペクトル帯域を有する画像が出力可能である(マルチ波長画像)。各グループでは、光学センサの幾つかが出力回路Aと接続され、他方が出力回路Bと接続される。当然ながら、これより多くてもよい。ある場合は、センサ当たり1つの出力回路が存在して、読み出しの際、より完全な並列処理を提供してもよい。これにより、1つのグループについて光学センサを並列で読み出し可能になって、より高速に読み出され、またはより大きなグループが所定の時間で読み出し可能になる。グループは、ラインでもよく、または他の形状でもよい。並列出力が並列で出力でき、あるいは、集積回路を出る前にマルチプレクスしてもよい。各出力回路ごとの光学センサは、他の出力回路のものとインターリーブしてもよく、あるいは、例えば、ラインの連結(concatenated)セクションでもよい。
【0146】
(図24〜図26。非単調の厚さを有する実施形態)
図24は、異なる厚さの光学フィルタ10の下方に、光学センサ40をグループ20ごとに有する集積回路を示す。読み出し回路30が、種々のスペクトル帯域を有する画像が出力可能なように設けられる(マルチ波長画像)。この場合、厚さは、アレイを横断して増加し減少するように変化しており、単調に変化していない。
【0147】
図25と図26は、光学フィルタアレイを横断する厚さの他のプロファイルの例を示す。図9は、アレイの中間近くのピークを示す。図10は、オーバーラップしたスペクトル帯域を有する光学フィルタの集団を備えた鋸歯の配列(この図では分解するのに小さすぎるステップ)を示す。これは、いくらか冗長性を付与しており、これは光学フィルタの製造時の不正確さをより許容するための後の画像処理で活用できる。
【0148】
(図27〜図29。波長選択を有する実施形態)
図27は、異なる厚さの光学フィルタ10の下方に、光学センサ40をグループ20ごとに有する他の実施形態に係る集積回路を示す。読み出し回路30が、異なる光学フィルタ(2つ又はそれ以上のこうしたフィルタの集団)について出力回路C,Dと、これらの出力回路のいずれかを選択しまたはこれらの間で補間するように配置された波長セレクタ50とを有し、種々のスペクトル帯域を有する画像が出力可能である(マルチ波長画像)。これによりスペクトルサンプリングまたはスペクトル補間が可能になり、光学フィルタの厚さのより大きな許容誤差を可能にする。幾つかの光学フィルタが2つの集団に属するように、集団が互いに有効にオーバーラップしている場合、波長セレクタは、必ずしもサブサンプリングなしで、波長を有効にシフトするように制御可能である。
【0149】
図28は、図27と類似しているが、各グループごとに複数の出力回路を備え、これらは、並列読み出しおよび並列信号またはマルチプレクス信号を波長セレクタに供給し、例えば、読み出し速度を改善するように配置できる。
【0150】
図29は、図27または図28と類似しているが、画像プロセッサ53の機能として、チップ外で実装された波長セレクタを備える。これにより集積回路はより簡略化できるが、チップ外でより高いデータ伝送レートに関与できる。
【0151】
集積回路は、例えば、約1cm四方にできる。それは、標準の光学センサアレイ(FSI)を有することができ、その片面には、平坦化及び/又は反射防止コートの適用後、Alの下部半透明ミラーが形成される。ウェッジ形状の透明層は、SiO2で形成できる。上述したように、ウェッジは、アレイ全体に厚さの単調変化を有する必要はない。上部半透明ミラーがAl層で形成できる。各製造工程が、種々の公知テクニックを用いて実施できる。
【0152】
(幾つかの追加の特徴の要約)
集積回路は、集積回路全体にストリップとしてのレイアウトを有する各々の光学フィルタを有することができ、光学フィルタの個々の1つについてセンサのグループは、対応するストリップとして延びるレイアウトを有する。センサのグループは、ストリップのレイアウトに対応した、2つ又はそれ以上のラインのセンサとして構成されたレイアウトを有することができ、センサの各ラインが出力回路の異なる1つと接続される。
【0153】
読み出し回路は、異なる光学フィルタの対応した画素の読み出し信号の間を選択したり組み合わせて(例えば、間を補間したり、または組み合わせる)、特定の波長に対応した出力を同調させる波長セレクタを有することができる。
【0154】
光学フィルタの場所は、入射した照明が低い強度になる場所に配置された光学センサが低い感度になる波長について光学フィルタを有するように配置できる。典型的には、これは、中心の近くでセンサアレイのエッジから遠い。この場所は、第1スペクトル帯域についての検出が可能になる異なる厚さを有する隣接した光学フィルタの集団を提供し、第2スペクトル帯域についての検出が可能になる異なる厚さを有する隣りの集団を提供し、第1スペクトル帯域および第2スペクトル帯域は重なるように配置できる。
【0155】
センサの少なくとも幾つかがグループごとに配置でき、それぞれ光学フィルタの対応する1つからの光を受けるものである。読み出し回路は、グループの個々の1つのセンサと接続された少なくとも1つの出力回路を備えることができ、光学フィルタの異なるものに対応した異なるグループの読み出し信号の間で選択したり補間するための波長セレクタを備え、特定の光学波長に対応して同調したこれらのグループについての出力を供給する。
【0156】
その場所は、光学フィルタの所定の1つに、両方ともより厚いまたはより薄い隣接するストリップを設けて、それぞれ谷(valley)または尾根(ridge)の構造をそれぞれ提供するように配置できる(谷/尾根は、局所的またはアレイの一部または全部に渡るものにできる。非単調はランダム化した順序付けでもよく、谷/尾根が短すぎてこれ以上見えないようになる)。光学フィルタの厚さは、光学フィルタアレイ全体で異なる場所で光の異なる入射角を補償するように構成できる。長手方向のストリップフィルタの例では、入射角は、先端近傍でより大きくなる傾向があり、そのため厚さを小さくして、経路長を一定にできる。
【0157】
その場所は、異なる厚さを有する隣接する光学フィルタの集団を提供するように配置できる。読み出し回路は、その集団の異なる光学フィルタの対応した画素の読み出し信号の間で選択したり補間して、特定波長に対応した出力に同調するための波長セレクタを有する。
【0158】
波長セレクタは、光学フィルタアレイに設けられた異なる光学フィルタの量より比例的に少ない波長を表す信号を出力して、比例的なスペクトル・サブサンプリングを提供するように構成できる。
【0159】
波長セレクタは、光学フィルタアレイに設けられた異なる光学フィルタの量と同様な複数の波長を表す信号を出力して、スペクトルシフトを提供するように構成できる。
【0160】
スペクトルシフト量は、光学フィルタアレイでの場所に従って変化して、異なる場所での光学フィルタ厚さの製造変動を補償できる。
【0161】
イメージングシステムは、該集積回路と、画像を表す画素値を受信するように接続され、受信した画像の画像処理したバージョンを出力する外部の画像処理部とを有することができる。イメージングシステムは、集積回路および撮像物体の相対運動によって、物体の画像立方体を生成し保存するように構成できる。画像立方体は、x,y空間次元とスペクトル次元を有する。イメージングシステムは、波長選択または補間画像処理機能を適用して、画像立方体をスペクトル次元でサブサンプリングしたり、または、画像立方体をスペクトル次元でシフトするように構成できる。場所に係る変動は、異なる場所での光学フィルタ厚さの製造変動、光学フィルタを通る光学経路の入射角の変動による歪み、より高い次数の除去、他の光学コンポーネントからの歪みのうちのいずれか1つ又はそれ以上を補償するのに適している。
【0162】
イメージングシステムは、対物レンズ、スリット、コリメータのいずれか1つ又はそれ以上を、光学フィルタアレイに導く光学経路に有することができる。光学フィルタの少なくとも幾つかは、より高い次数の干渉を区別するのに適した厚さを有することができる。画像プロセッサは、これらの光学フィルタによって区別されるより高い次数の干渉の量に従って、画像表現の残余においてより高い次数の干渉効果を補償するように構成できる。
【0163】
幾つかの実施形態は、画像センサアレイの上部に後付けされた、ステップ状の構造を備えた光学フィルタアレイを有し、フィルタは、画像センサアレイと直接接触して位置決めされる。フィルタアレイは、ある場合には、画像センサアレイの単一の行または列の画素と整列したフィルタの各ステップを有する。ある場合には、各行または列の画素は、異なる高さのファブリペロフィルタで覆われている。ある場合には、厚さの変化は単調であり、他の場合には、これらは非単調であり、アレイ全体に尾根または谷を生成する。他の場合には、各ステップの厚さが、フィルタされるスペクトル帯域に同調している。
【0164】
フィルタアレイの厚さの単調または非単調の変化を製造する方法が、バイナリまたは対数パターニング技術の使用を含んでもよい。
【0165】
完全なHSIシステムの例が、光学センサアレイの後に画像プロセッサを、その前に光学部品を含んでもよい。
【0166】
ハイパースペクトルカメラシステムが、上記で定義したように、画像センサに後付けされた光学フィルタアレイで構成できる。該システムは、対物レンズ、及び/又はスリット、及び/又はコリメータをさらに備える。
【0167】
厚さの非単調変動の効果が、画像センサアレイの部分の周波数と異なる感度との間の関係を再編成することである(高いまたは低い周波数を、センサのエッジの代わりに中央に配置する)。それはまた、フィルタの感度を処理変動までに低減でき、よって歩留まりを増加できる。それにより、1つの波長付近で群がった幾つか異なる波長がセンサの異なるもので受けることが可能になり、そして、波長は、最善に適合するように後に選択または処理される。非単調変動は、ある集団(範囲)での幾つかのスペクトル帯域のグループ化を可能にし、これらをセンサアレイ上に任意に位置決めする。これにより、許容誤差のための再配列、減衰の補償など、多くのことが可能になる。単調ウェッジが、この幾つかが可能であるが、エッチングのため許容誤差に対処できない。これらが、堆積許容誤差が問題とならないものより大きくても小さくてもである。非単調変動は、集団内変動を集団間変動より大きくできる。他の例では、1またはそれ以上のステップの幅の増加分が、特定用途にとって最も重要な帯域について設けられる。他の代替例は、異なるステップの順序付けを適合させて、光学部分の最大感度のエリアをセンサの低感度エリアと整合させることである。センサアレイの中間は、例えば、フィルタアレイを中間部で適切な厚さにすることによって、その用途にとって最も重要な帯域のために使用できる。
【0168】
スペクトルを有効にオーバーサンプリングしたり、あるいは、セレクタが所望セットの波長の値と最も接近して整合する最適なフィルタを選択するような拡張範囲を有するのに充分なセンサおよび光学フィルタが存在する場合、較正入力に従った選択の効果が、較正入力は、多くのダイのウエハ全体でのダイ内変動またはダイ間変動のいずれか、またはウエハ間変動のプロセス変動を補償できることである。
【0169】
(典型器なシステムトレードオフ)
*ライン走査撮像装置では、良好なスペクトル分解能が、典型的にはスリットおよびコリメートレンズの組合せ使用によって得られる。これらの部品を排除することは、減少したスペクトル分解能を生じさせる。本来、スリットおよびコリメートレンズは、センサ上での光の入射角を制御するものであり、これは、多くの波長セレクタでは、重要なパラメータである。スペクトル分解能は、センサ上での光の入射角の関数として変化することが知られている。しかしながら、スリットの排除は、光学スループットを増加させ、システムの速度を増加させる。
【0170】
*撮像装置上部での波長選択コンポーネントの一体化は、迷光の量を減少させる(速度を増加させる)だけでなく、システムのコストの削減を可能にする。
【0171】
*低レベルの画像処理を伴う波長選択コンポーネントの再設計は、波長セレクタにおいてより大きな許容誤差を可能にする。
【0172】
さらに、用途依存の画像処理を提供することによって、典型的には研究機器である現在のハイパースペクトル撮像装置、および高性能のインフラ設備において経験し熟練した人間だけが使用可能であるパッケージの研究機器として提供された画像処理での不具合が克服できる。リアルタイムのハイパースペクトル画像処理が、特に、産業マシンビジョン(machine vision)および医療イメージングにおいて、こうしたハイパースペクトル技術の使用を可能にする。
【0173】
(処理するハードウエア)
例えば、画像処理のための上述した方法ステップの幾つかが、ハードウエア形態のロジックにより、あるいは、例えば、処理エンジン、例えば、マイクロプロセッサまたは、プログラマブル・ロジックデバイス(PLD)、例えば、PLA(プログラマブル・ロジックアレイ)、PAL(プログラマブル・アレイロジック)、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)を用いてソフトウエアで実施してもよい。
【0174】
内蔵プロセッサを備えた回路の例が、他のコンポーネントとともに単一チップに合成できる内蔵マイクロプロセッサの周囲にあるVLSIチップとして構築してもよい。代替として、例えば、米国インテル社が供給するペンティアムプロセッサなど、他の適切なプロセッサが使用でき、これらは内蔵する必要はない。ゼロウェイト状態SRAMメモリ、そして、例えば、キャッシュメモリをオンチップで設けてもよい。典型的には、I/O(input/output)インタフェースが、外部ストレージに、例えば、データネットワーク経由でアクセスするために設けられる。FIFOバッファがこれらのインタフェースを通じたデータ伝送からプロセッサを切り離すために使用してもよい。インタフェースは、ネットワーク接続、即ち、適切なポートおよびネットワークアドレスを提供できる。例えば、インタフェースは、ネットワークカードの形態でもよい。
【0175】
(ソフトウエア)
ソフトウエアプログラムを、内部ROM(リードオンリーメモリ)及び/又はいずれか他の不揮発性メモリに保存してもよく、例えば、これらは外部メモリに保存してもよい。外部メモリへのアクセスが、必要ならば、アドレスバス、データバスおよび制御バスを持つ外部バスインタフェースを含む従来のハードウエアによって提供してもよい。本発明の方法および装置の特徴が、プロセッサ上で実行するソフトウエアとして実装してもよい。特に、本発明に係る特定の画像処理は、プロセッサの適切なプログラミングによって実装してもよい。上述した方法および手順は、適切なコンピュータ言語、例えば、Cでコンピュータプログラムとして記述し、そして、埋込み設計での特定プロセッサ向けにコンパイルしてもよい。例えば、ソフトウエアは、Cで記述してもよく、そして公知のコンパイラおよび公知のアセンブラを用いてコンパイルしてもよい。ソフトウエアは、処理エンジン上で実行した場合、本発明の方法および画像プロセッサを提供するコードを有する。ソフトウエアプログラムをいずれか適切な機械読取可能な媒体、例えば、磁気ディスク、ディスケット、固体メモリ、テープメモリ、CR−ROMやDVD−ROMなどの光ディスクなどに保存してもよい。他の変形例が請求項の範囲内で想定できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学センサアレイと、光学フィルタアレイとを有するイメージングシステム用の集積回路、および対応したシステム、方法、コンピュータプログラムに関し、特に、アプリケーション駆動システム設計および統合化、および製造プロセス技術からの態様を含むハイパースペクトル・イメージング(HSI)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
公知のハイパースペクトル・イメージングシステムの動作:
ハイパースペクトル・イメージングとは、電磁スペクトルから情報を収集し処理するイメージングテクニックを意味する。人間の眼は可視光だけが見えるが、ハイパースペクトル・イメージングシステムは、可視光とともに紫外から赤外までの光が見える。ハイパースペクトルセンサは、http://en.wikipedia.org/wiki/Hyperspectral_imaging に記述しているように、電磁スペクトルのより大きな部分を用いて物体を観察する。
【0003】
ある物体が、電磁スペクトルのこの部分について特有の「指紋」を残す。これらの「指紋」は、分光的特徴(feature)として知られ、走査した物体を構成する材料の識別を可能にする。こうしたイメージングシステムのハイパースペクトル能力は、種々のタイプの物体を認識可能なことであり、これらの全ては人間の眼にとって同じ色に見えるであろう。
【0004】
マルチスペクトル・イメージングは、離散した幾らか狭い帯域で幾つかの画像を取り扱うのに対して、ハイパースペクトル・イメージングは、連続したスペクトル範囲に渡って狭いスペクトル帯域のイメージングを取り扱う。それは、その場面において全画素についてのスペクトルを出力できる。VIS,NIR,SWIR,MWIR,LWIRを網羅する20個の離散した帯域を持つセンサがマルチスペクトルとして考えられ、500〜700nmの範囲を20個の10nm幅の帯域で網羅する場合、20個の帯域を持つ他のセンサがハイパースペクトルとして考えられるであろう。
【0005】
ハイパースペクトルセンサは、情報を「画像」のセットとして収集する。各画像は、ある範囲の電磁スペクトルを表現しており、またスペクトル帯域としても知られている。これらの画像は、それぞれ2つの空間次元を有しており、一連の異なるスペクトル帯域の画像が立方体(cube)を形成するように有効に積み上げられた場合、第3次元がスペクトル次元となる。こうした3次元のハイパースペクトル立方体は、更なる画像処理および解析にとって有用な表現である。これらのセンサの精度は、典型的には、取得されるスペクトルの各帯域の幅であるスペクトル分解能で測定される。スキャナがより多数のかなり狭い周波数帯域で拾い上げる場合、前記物体がほんの一握りの画素で取得されるだけであっても、物体を識別することが可能である。しかしながら、空間分解能が、スペクトル分解能に加わる要因である。画素が大きすぎる場合、複数の物体が同じ画素で取得されて、識別するのが困難になる。画素が小さすぎる場合、各センサセルによって取得されるエネルギーが低くなり、信号対ノイズ比が減少して、測定される特徴の信頼性を低下させる。
【0006】
現在のハイパースペクトルカメラが、ハイパースペクトルのデータ立方体または画像立方体を出力する。これは、その場面のxy面にある2D画像のスタックからなり、スタックの各画像が異なる周波数またはスペクトル帯域からの情報を含む。取得されるスペクトル範囲は、可視光に限定されず、赤外(IR)及び/又は紫外(UV)に及ぶことがある。3D画像立方体は、本質的には2Dセンサであるセンサを用いて、ハイパースペクトル撮像装置(imager)によって取得される。従って、ある形態の走査を使用する必要があり、図1に示すように、これは、垂直に延びるスペクトル次元を備えた立方体の斜視表現、および下記のような立方体のスライスの4つの図(a)〜(d)を示す。
【0007】
上面図(a)は、取得する必要がある場面を示す。左側面図(b)は、立方体からの垂直スライスを示し、ラインスキャナによって取得された画像を表す。全てのスペクトル帯域が場面の1つの空間ラインについて取得され、その結果、ID図が得られる。ラインスキャナまたはプッシュブルーム(push broom)システムが、全てのスペクトル帯域にある2D場面の単一ラインを並列で取得する。場面の全ての空間画素を網羅するために、このタイプのシステムは、例えば、スキャナと場面の相対移動によって、異なるラインを時系列で走査する。
【0008】
右側面図(c)は、観察器(starer)によって得られる画像を示す水平スライスを示す。完全な2D場面は、1つのスペクトル帯域で取得される。観察器または観察システムは、2Dセンサアレイを用いて一度に単一のスペクトル帯域で完全な場面を取得し、異なるスペクトル帯域で走査して、3Dハイパースペクトル画像立方体を出力する。
【0009】
底面図(d)が、立方体を通る傾斜しまたは対角スライスを示し、ハイブリッドのラインスキャナ/観察器によって得られる画像を表現する。完全な2D場面が取得されるが、各空間ラインが立方体の異なる高さにあって、異なるスペクトル帯域である。この場合、完全な空間画像が取得されるが、各ラインは異なるスペクトル帯域にある。単一フレームでは、異なるスペクトル帯域は、異なる空間ラインについて取得される。完全な3D画像立方体を取得するには、全ての空間ラインについて全てのスペクトル帯域で、例えば、場面と2Dセンサアレイとの間の相対移動によって組み合わせた空間/スペクトル走査が必要である。
【0010】
公知のハイパースペクトル・イメージングシステムの構成:
ハイパースペクトル・イメージングシステムまたはカメラが、いろいろなディスクリート・コンポーネントで構成でき、例えば、到来する電磁スペクトルを受けるための光学サブシステムと、受けたスペクトル内で異なる帯域を生成する分光ユニットと、異なる帯域を検出するための画像センサアレイなどで構成される。光学サブシステムは、単一レンズまたは異なるレンズの組合せ、アパーチャ及び/又はスリットで構成できる。分光ユニットは、プリズム、グレーティング、光学フィルタ、音響光学チューナブルフィルタ、液晶チューナブルフィルタ等の1つ又はそれ以上、またはこれらの組合せで構成できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ハイパースペクトル・イメージングの主要な利点は、スペクトル全体が各ポイントで得られるため、オペレータは、サンプルについての予備知識を必要とせず、後処理により、データセットから利用可能な全ての情報を採掘することが可能になる点である。主要な不具合は、コストと複雑さである。高速なコンピュータ、高感度の検出器、大型のデータストレージ能力が、ハイパースペクトルデータを解析するために必要になる。ハイパースペクトル立方体が、おそらく数百メガバイトを超える大きな多次元データセットであるため、相当なデータストレージ能力が必要になる。これらの要素の全てが、ハイパースペクトルデータを入手し、処理するコストを大きく増加させる。
【0012】
従って、先行技術のハイパースペクトル撮像装置は、あまり低速であまりに高価であるため、研究用機器であり、あるいは、専用の産業用途向けに設計されており、柔軟性を欠いている。
【0013】
本発明の目的は、改善した装置または方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1態様は、独立請求項1に記載したようなイメージングシステム用集積回路を提供する。
【0015】
これらの特徴の効果が、光学センサアレイからの読み出しがスピードアップし、あるいはより大型なアレイが所定の読み出し速度で使用できることである。こりより高速な読み出しは、センサアレイと撮像される物体との間の相対移動によって生ずるぼやけ(blur)を低減でき、あるいは画像の分解能または質を増加できる。センサのグループは、例えば、インタリーブ式またはリニア連結式など、いろいろな方法で配列できる。グループのパターンから発生する画像アーチファクト(artifact)が、必要に応じて次の画像処理によって補償できる。
【0016】
第2態様は、独立請求項5に記載したようなイメージングシステム用集積回路を提供する。
【0017】
光学フィルタの厚さを、ラインに沿って幾つかのポイントで増加させ、他のポイントで減少させるように変化させる効果が、隣り合う光学フィルタを両方とも厚くしたり薄くしたりできる点であり、例えば、尾根(ridge)または谷(valley)を生成したり、あるいは光学フィルタの集団が、重なり合うスペクトル帯域をカバーできることである。
【0018】
第3態様は、独立請求項13に記載したようなイメージングシステム用集積回路を提供する。
【0019】
ストリップに沿った厚さのこうした変化の効果が、センシングにおいてスペクトル精度を改善したり、歩留まりを改善したり、画像処理の必要性を低減したり、あるいは、所定の歩留まりまたは精度でより大型のアレイを可能にすることである。
【0020】
第4態様は、独立請求項14に記載したようなイメージングシステム用集積回路を提供する。
【0021】
異なる光学フィルタの対応する画素の読み出し信号の間で選択しまたは補間するための波長セレクタを有する読み出し回路の効果が、例えば、スペクトル・サブサンプリングまたはスペクトル・シフトが可能になって、種々の可能性のある歪みを補償できることである。これは、ウエハについて歩留まり増加及び/又はコスト減少を可能にする。通過して検出される波長の所定の精度で、より多くの厚さ変動が許容できるからである。他の態様が、こうした集積回路を有するイメージングシステムを提供する。他の態様が、こうしたシステムを用いたイメージングの対応する方法、およびスペクトル立方体の画像処理のための対応するコンピュータプログラムを提供する。
【0022】
追加の特徴の何れもがともに組み合わせたり、態様の何れとも組み合わせが可能である。他の利点が、特に先行技術に対して当業者に明らかになるであろう。多数の変形および変更が本発明の請求項から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明の形態は説明に過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明は、実施可能であり、添付図面を参照して例として説明する。
【0024】
【図1】ハイパースペクトル画像立方体取得を示す。
【図2】ファブリペロ波長選択を用いた光学フィルタを示す。図2(a)はファブリペロの動作原理であり、多重光が反射し、光の波長、半ミラー間の距離lおよび入射角θに基づいて建設的干渉および相殺的干渉が生ずる。図2(b)は、より高次のものも選択されて、次数選択の問題が生ずる。
【図3】フィルタの光学パラメータの定義を示す。
【図4】射出瞳のサイズに対するウェッジへの入射角の依存性を示す。
【図5】入射角に対するファブリペロ干渉計の形式の光学フィルタの感度を示す。
【図6a】一体化したイメージングシステムの断面図を示す。
【図6b】一体化したイメージングシステムの上面図を示す。
【図7a】ファブリペロ干渉計のスペクトル範囲を示す。
【図7b】ファブリペロ干渉計のスペクトル範囲を示す。
【図7c】ファブリペロ干渉計のスペクトル範囲を示す。
【図7d】ファブリペロ干渉計のスペクトル範囲を示す。
【図7e】ファブリペロ干渉計のスペクトル範囲を示す。
【図8】ステップ状構造のバイナリ(binary)または対数のパターニングの原理を示す。
【図9A】ファブリペロ干渉計を製造するための概略的な処理フローを示す。
【図9B】ファブリペロ干渉計を製造するための概略的な処理フローを示す。
【図9C】ファブリペロ干渉計を製造するための概略的な処理フローを示す。
【図10A】ファブリペロ干渉計を製造するための概略的な代替の処理フローを示す。
【図10B】ファブリペロ干渉計を製造するための概略的な代替の処理フローを示す。
【図10C】ファブリペロ干渉計を製造するための概略的な代替の処理フローを示す。
【図11】フィルタ特性に対する処理許容誤差の影響を示す。
【図12】処理技術の許容誤差を許容するように設計された、一体化したイメージングシステムの形式の集積回路を示す。
【図13】エッチングの許容誤差に配慮して幾つかの帯域のオーバーラップを有する一体化したイメージングシステムを示す。
【図14】フィルタを再配列した一体化したイメージングシステムを示す。
【図15A】フィルタ性能に対する画像センサの影響を示す。
【図15B】フィルタ性能に対する画像センサの影響を示す。
【図16】一体化したイメージングシステムの読み出しを示す。
【図17】光学フィルタの下方に1ラインより多いラインのセンサを有する、一体化したイメージングシステムの読み出しを示す。
【図18】対物レンズをシステムに組み込んだ、一体化したイメージングシステムを示す。
【図19】コリメータを組み込んだ、一体化したイメージングシステムを示す。
【図20】スペクトル分解能に対するコリメーションの影響を示す。
【図21】スリットサイズと、一体化したイメージングシステムのスペクトル分解能との間の関係を示す。
【図22a】一体化したイメージングシステムのスペクトル分解能に対するアパーチャサイズの影響を示す。
【図22b】一体化したイメージングシステムのスペクトル分解能に対するアパーチャサイズの影響を示す。
【図23】本発明の実施形態に係る集積回路の概略図を示す。
【図24】本発明の実施形態に係る集積回路の概略図を示す。
【図25】厚さの増減を有する、光学フィルタの厚さについての代替のプロファイルを示す。
【図26】厚さの増減を有する、光学フィルタの厚さについての代替のプロファイルを示す。
【図27】本発明の実施形態に係る集積回路の概略図を示す。
【図28】本発明の実施形態に係る集積回路の概略図を示す。
【図29】一実施形態に係るイメージングシステムの概略図を示す。
【図30】ウェッジフィルタアレイを備えたコリメートシステムを有するイメージングシステムの光学部分の側面図を示す。
【図31】ウェッジフィルタアレイを有する集積回路を備えた非コリメートシステムの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、特定の実施形態に関して一定の図面を参照しながら説明しているが、本発明はこれによって限定されず、請求項によってのみ限定される。ここで記載した図面は、概略的に過ぎず、限定的なものでない。図面において、幾つかの要素のサイズは強調していることがあり、説明目的のため、スケールどおりに描いていない。
【0026】
用語「備える、含む(comprising)」を本明細書および請求項で用いた場合、それは、他の要素またはステップを除外していない。単一の名詞を参照する際に不定冠詞または定冠詞を用いた場合(例えば、"a", "an", "the")、これは、他に特別に言及していない限り複数の該名詞を含む。請求項で用いられる用語「備える、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された手段に限定されるものと解釈すべきでなく、他の要素またはステップを除外していない。
【0027】
説明した受信機の要素または部品は、任意の種類の情報処理を実施するために、媒体にエンコードされたロジックを含んでもよい。ロジックは、ディスクまたは他のコンピュータ読み取り可能な媒体にエンコードされたソフトウエア、及び/又は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、または他のプロセッサもしくはハードウエアにエンコードされた命令を含んでもよい。
【0028】
ソフトウエアへの参照は、プロセッサによって直接または間接に実行可能な任意の言語で任意のタイプのプログラムを包含することができる。
【0029】
ロジック、ハードウエア、プロセッサまたは回路への参照は、いずれかの程度に集積化された、任意の種類のロジックまたはアナログ回路を包含することができ、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、ASIC、FPGA、ディスクリート・コンポーネントまたはトランジスタロジックゲートなどに限定されない。
【0030】
光学への参照は、少なくとも人間が見える波長範囲内の波長、および赤外波長、および紫外帯域まで延びるより短い波長を包含することを意図しており、光学フィルタの厚さの製造変動に対する敏感さがより顕著である。幾つかの実施形態では、光学フィルタおよび光学センサは、これらの任意のサブセットのある範囲、例えば、可視波長のみ、または可視波長およびそれより短波長に限定してもよい。
【0031】
光学フィルタアレイまたは光学センサアレイへの参照は、例えば、1次元リニアアレイ、2次元アレイ、矩形状または非矩形状のアレイ、不規則間隔アレイ、非平面アレイを包含することを意図している。
【0032】
集積回路への参照は、例えば、センサアレイ上にモノリシックに集積した光学フィルタアレイを有するダイ(die)またはパッケージダイ、あるいは、光学フィルタアレイが別個に製造され、ダイまたは同じ集積回路パッケージに後で追加されたデバイスを少なくとも包含することを意図している。
【0033】
波長のスペクトルへの参照は、例えば、連続スペクトルまたはほぼ近接した離散帯域の範囲を包含することを意図している。
【0034】
画素が並列で読み出されることへの参照は、全ての画素が読み出し用の別個のラインを有する場合、そして、2つまたはそれ以上の画素が、ラインを共有し、異なる時間に許可される出力となって、部分的に並列な配列を提供する場合を包含することを意図している。
【0035】
さらに、説明および請求項での用語「第1」「第2」「第3」などは、類似の要素を区別するために使用しており、必ずしも時間的または空間的な順番を記述するためではない。ここで使用した用語は、適切な状況下で交換可能であり、ここで本発明の実施形態は、ここで説明したり図示したものとは別の順番で動作可能であると理解すべきである。
【0036】
さらに、説明および請求項での用語「上(top)」、「下(bottom)」、「の上に(over)」、「の下に(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、適切な状況下で交換可能であって、ここで説明した本発明の実施形態がここで説明または図示した以外の他の向きで動作可能であると理解すべきである。
【0037】
本明細書を通じて「一実施形態」または「実施形態」への参照は、実施形態との関連で記載した特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書を通じていろいろな場所での「一実施形態」または「実施形態」の語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照していないが、そうこともある。さらに、1つ又はそれ以上の実施形態において、本発明から当業者にとって明らかなように、特定の特徴、構造または特性は、いずれか適切な方法で組み合わせてもよい。
【0038】
同様に、本発明の例示の実施形態の説明において、本開示を合理化し、1つ又はそれ以上の種々の発明態様の理解を支援する目的で、単一の実施形態、図面、または説明において、いろいろな特徴が一緒にグループ化していることがあると理解すべきである。しかしながら、この発明の方法は、請求項の発明が、各請求項で明示的に記載したものより多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈すべきでない。むしろ下記の請求項が反映しているように、発明の態様は、単一の前述した実施形態の全ての特徴より少ない場合がある。こうして詳細な説明に追従する請求項は、この詳細な説明の中に明示的に組み込まれており、各請求項は、本発明の別々の実施形態として自立している。
【0039】
さらに、ここで説明した幾つかの実施形態が、他の実施形態に含まれる幾つかの他でない特徴を含むとともに、当業者によって理解されるように、異なる実施形態の特徴の組合せが本発明の範囲内にあって、異なる実施形態を構成することを意味する。例えば、下記の請求項において、請求した実施形態の何れも、何れの組合せで使用可能である。
【0040】
ここで提供した説明において、多数の具体的な詳細を説明している。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施してもよいことは理解されよう。別の例では、この説明の理解を曖昧にしないために、周知の方法、構造および技法は詳細には示していない。
【0041】
本発明は、本発明の幾つかの実施形態の詳細な説明によって説明している。本発明の他の実施形態が、本発明の技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って構成できることは明らかであり、本発明は、添付の請求項の用語によってのみ限定される。
【0042】
(実施形態によって対処される課題の紹介)
画像センサアレイと組み合わせた分光ユニットを有することが望ましい。この一体化コンポーネントは、光学サブシステムと組み合わせる必要があり、完全なハイパースペクトル・カメラシステムを形成する。こうしたハイパースペクトル・イメージングシステムは、コンパクトで、低コストでの製造が可能であり、再構成可能であることが必要である。ある態様では、プロセス技術態様が、システム集積化および画像処理技術と組み合わされ、集積回路製造プロセス要求を軽減する。幾つかの例では、光学センサアレイとモノリシックに一体化した分光ユニットを備えた集積回路を含み、画像センサアレイを形成しているハイパースペクトル・イメージングシステムが開示されている。
【0043】
好ましい実施形態では、分光ユニットは、半導体プロセス技術を用いて画像センサアレイと一体化され、即ち、分光ユニットは、半導体プロセス技術およびプロセスステップを用いて、画像センサアレイを含む基板上に後付けされる。こうした半導体技術の例として、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)プロセス(画像センサアレイはCMOSセンサ)や、電荷結合素子(CCD)プロセス(画像センサアレイはCCDセンサ)などである。これらの製造技術は、集積電子回路を製造するのに理想的に適している。こうしたモノリシック集積化により、低コストの製造が可能になり、より高い性能を提供できる。それは、分光ユニットを基板に取り付けるための界面層を必要としないためである。従って、迷光の影響がかなり減少する。
【0044】
大きな範囲の技術世代を考えると、大きなクリティカル寸法(CD)、例えば、130nmを有するより低コストの技術でIMECセンサを製造することを選択でき、より大きな画素およびより低い空間分解能の画像センサアレイが得られる。代替として、より小さなクリティカル寸法(CD)、例えば、45nmを有するより高コストの技術で画像センサアレイを製造することを選択でき、より小さな画素およびより高い空間分解能の画像センサアレイが得られる。
【0045】
画像センサアレイは、前面照射型センサとすることができ、この場合、分光ユニットは、センサを含む基板の上部に後付けされる。必要ならば、この基板は、後で薄型化され、これにより基板のバルクを除去して、画像センサアレイおよびこれにモノリシックに一体化した分光ユニットを含む薄いスライスを残す。代替として、画像センサアレイは、背面照射型センサとすることができ、この場合、最初にセンサを含む基板は、背面側から前方へ薄型化される。薄型化した基板の背面に、分光ユニットが後付けされる。
【0046】
好ましくは、分光ユニットは、ファブリペロフィルタのシーケンシャル1Dまたは2Dアレイである。このアレイは、単調なものにでき、ファブリペロフィルタの厚さは、アレイの片側から他の側へ単調に減少している。代替として、このアレイは、非調なものにでき、ファブリペロフィルタの厚さは、アレイの片側から他の側へ非単調に変化している。こうしたファブリペロフィルタを製造する方法を開示している。
【0047】
任意の次数のファブリペロフィルタが製造可能であるが、好ましくは、1次のファブリペロフィルタのみを画像センサアレイに形成し、高次の成分を除去及び/又は阻止するための複雑さを低減している。これによりハイパースペクトルシステムを動作させる複雑さが減少する。分光ユニットは、センサを含む基板上に直接に後付けされるため、分光ユニットは薄くでき、こうした1次のファブリペロフィルタが製造できる。分光ユニットとして1次のファブリペロフィルタを備えた、モノリシック集積化ハイパースペクトル・イメージングは、典型的には光学サブシステムに集光レンズを必要としない。
【0048】
光学サブシステムと、モノリシック集積化した分光ユニットと、画像センサアレイとを備えた完成したハイパースペクトル・イメージングシステムの例を開示している。これらの完成したイメージングシステムは、モノリシック集積化の利点を活用し、光学サブシステムを設計する際の自由度を与える。
【0049】
さらに、第1態様の実施形態に係るハイパースペクトル・イメージングシステムを設計し動作させる方法も開示している。これらの設計および動作方法は、これらのモノリシック集積化したイメージングシステムの製造特徴を活用し、より大きな製造ウインドウを許容する。
【0050】
幾つかの実施形態では、スペクトル・オーバーサンプリングを用いて、製造技術での欠陥およびプロセス許容誤差を補正している。ハイパースペクトル・イメージングシステムは、目標となる用途が必要とするものより高いスペクトル分解能および多数の帯域を有するように設計される。こうして設計されたイメージングシステムは、特に、1次のファブリペロフィルタの厳しい仕様によって、導入されるプロセス許容誤差に対して低い感度のファブリペロフィルタを有する。さらに、こうした設計により、速度の増加のために実行時間で光学システムを同調(tuning)させることによって、スペクトル分解能での設定可能な減少が可能になる。これによりコリメータおよびスリットの必要性が排除され、より低コストのハイパースペクトル・イメージングシステムが得られる。
【0051】
幾つかの実施形態では、範囲拡張(range extension)を用いて、製造技術での欠陥およびプロセス許容誤差を補正している。ファブリペロフィルタのシーケンシャル1Dまたは2Dアレイは、特定の非単調の順序付け、範囲拡張、およびステップの意図的なオーバーラップ/再生成に設計される。こうして設計されたイメージングシステムは、特に、1次のファブリペロフィルタの厳しい仕様によって、導入されるプロセス許容誤差に対して低い感度のファブリペロフィルタを有する。さらに、フィルタ、例えば、フィルタの空洞長を規定する厚さの設計は、チップ上での特定のフィルタの場所を考慮して、到来する電磁スペクトルの入射角での変動に対する依存性を低減できる。
【0052】
(モノリシック集積化)
フィルタは、画像センサアレイの上部に後付けされ、各ステップが、画像センサアレイの単一または複数の行または列に沿って整列している。ウェッジの各ステップが、異なるスペクトル帯域をフィルタ除去する。その結果、センサおよびウェッジフィルタの組合せは、プッシュブルーム(push broom)のラインスキャナー方式またはハイブリッドのラインスキャナ/観察器方式のハイパースペクトル撮像装置において使用できる。ハイパースペクトルカメラシステムが、上記で規定したような画像センサアレイに後付けされた光学フィルタを備えることができ、該システムはさらに、対物レンズ及び/又はスリット及び/又はコリメータを備える。
【0053】
一体化した分光モジュールは、このカメラのサブシステムを形成する集積回路であり、画像センサの上部に一体化された種々の光学ラインフィルタから構築される。既存のウェッジフィルタが、画像センサの生産後に組み込まれたディスクリートコンポーネントである。フィルタが直接に撮像装置の上部に後付けされる、本開示の一態様の一部であるモノリシック集積化の結果、フィルタと画像センサとの間の迷光の量が著しく低減できる。その結果、スペクトル分解能は、ディスクリートで一体化したフィルタに対して改善している。好ましくは、半導体撮像装置、例えば、CMOS撮像装置やCCD撮像装置は、ファブリペロフィルタをモノリシックに集積化するために用いられる。
【0054】
提案したハイパー分光モジュールは、モノリシックに集積化でき、フィルタ構造が画像センサの上部に直接に後付けされることを意味する。この集積化は、別々に製造され、後で撮像装置に組み込まれるフィルタ構造と比べて、極めて重要な利点および幾つかの結論を有する。モノリシック集積化の利点は、標準のCMOS生産ステップによるコスト削減、迷光の減少、第1次の設計を可能にし、集光レンズの必要性を回避することである。
【0055】
フィルタ構造を別個に製造し、そして画像センサとともにハイパー分光モジュールに組み込むハイブリッド集積化と比べて、提案した手法は、幾つかの極めて明確な利点を有する。
【0056】
第1に、両方の製造シーケンスを組み合わせて1つの組み合わせたフローにすることは、別個に製造し、後でセンサとともにモジュールに組み込むフィルタ構造のハイブリッド集積化と比べて、生産時の全体的な簡素化およびコスト削減をもたらす。これは、特にこのフィルタの場合であり、フィルタ構造の後生産は、堆積、パターニング、エッチングなど、CMOS互換の製造工程だけを必要とするためである。これらの工程を画像センサの通常の生産フローに追加することによって、高価で、エラーが起こりやすく、労働集約的な組み立て工程が防止される。例えば、ブラッグスタック内で酸化物およびアモルファスシリコンの3層を備え、空洞内で127ステップを持つフィルタでは、約50ロットターンが必要であり、標準のCMOS撮像装置に対して多かれ少なかれ20%の追加コストをもたらす。上部および下部ミラー層の堆積のためのロットターン数は、異なる層が同じツール内で交互に堆積可能てある場合に低減できる。
【0057】
フィルタ構造を撮像装置の画素の上部に直接に製造することによって、フォトンが直接フィルタから下方の画素に進行できる。前面照射型センサの場合、フォトンが最初にメタライゼーション層および幾つかの誘電体層を通過することになる。フィルタ構造を別個に製造し、画像センサの上部に積み上げた場合、両構造の間に非機能層または隙間が常に存在することになる。
【0058】
フィルタおよび基板の組合せを反転して、フィルタを支持基板と画像センサとの間に配置した場合であも、光は最初に基板を通過し、そしてフィルタを通過し、最後に薄い空気または接着剤の隙間を通過して、画像センサのフォトダイオードに衝突する。フィルタ構造を画像センサと組み合わせて、いろいろな層の間にある空気または接着剤とともに、相互の上部に積み上げた場合、下記の理由により、フィルタ構造と下地の画素列との間のこの特殊な基板は、常にある量の性能劣化を引き起こすことになる。
【0059】
(1.クロストーク)
ある画素の上方にあるフィルタ構造を出射したフォトンは、隙間を横断して、隣の画素に入射することがある。この影響は、画素へのフィルタの直接後付けによって、隙間が減少または完全に除去された場合、大きく減少することになる。フィルタ自体の厚さの結果として、いくらかクロストークが存在することがある。1つの画素の上方にあるフィルタに入射したフォトンがフィルタを通過して、隣の画素に入射することがあるためである。これは、より薄いフィルタを設計し、入射角を制御することによって低減される。
【0060】
(2.迷光)
屈折率が整合していない場合(下記の式(8)を参照)、特別な非機能層がその境界で特別な反射を引き起こし、従って、上述したクロストークに加えて特別な迷光になる。フィルタと画像センサの画素アレイとの間の有効距離Sをいろいろな入射角について減少させることによって、迷光が減少する。より小さな距離S、例えば、1nmでは、迷光が進行する距離(D)は、通常の画素寸法(例えば、1〜15_m)の範囲内である。これは、より巨視的な集積距離、例えば、1mm基板の場合でそうではない。この場合、進行した光の距離Dが数十から数百の画素に渡って及び、空間およびスペクトル分解能の重大な劣化をもたらす。幾つかの場合は、距離Dはとても大きくなることがあり、光を画素に再び集光するために、追加の集光レンズが必要になる。
【0061】
(3.迷光に加えて寄生ファブリペロ)
さらに、前項で示したように、フォトダイオードの上部にある誘電体スタックおよび金属は、光の一部を反射する。隙間とともに、ヘテロ集積化および空洞の下部ミラーのため、これは、実際のものと干渉する寄生ファブリペロを形成する。このプロセスは、モノリシック集積化とともに最適化できる。それは、撮像装置の誘電体層が下部ブラッグスタックの一部になり、類似の材料(例えば、酸化物)に製作され、これらの層の幅に対してあまり敏感でないためである。
【0062】
画像センサに後生産で組み立てられるハイブリッドフィルタ構造がこの問題にひどく悩まされる1つの重要な理由が、極めて薄いフィルタ構造の構成は、フィルタを機械的に支持し、積み上げを可能にする(透明な)支持構造の追加の挿入を別個に必要とするからである。この層をフィルタと画像センサとの間に配置した場合、非機能的隙間は、この層と、支持層と画像センサとの間にある追加の空気または接着剤の隙間とからなる。支持構造を上部に配置した場合、それは、追加の反射を発生し、別個に(例えば、反射防止コーティングを追加することによって)最適化すべきである。しかし、フィルタと画像センサとの間に空気または接着剤の層が存在することになる。この全てが、上述したようにフィルタ構造を画像センサの上部に直接に後付けすることによって、冗長になる。
【0063】
第3に、モノリシック集積化は、極めて正確なCMOS製造技術と組み合わせて、かなり小さな厚さを持つフィルタ構造の構築を可能にする。上述したように、ファブリペロフィルタ構造は、空洞長を同調させることによってある波長を選択するように設計される。より薄いフィルタは、入射角に対してあまり敏感でない。フィルタ内の内部反射は、非垂直な入射ではカバーする距離が小さいためである。より厚いフィルタが、透過ビームのより大きな変位Dに悩まされ、10mmに及ぶことがある。このことは、空間およびスペクトル分解能での重大な低下をもたらす。フィルタを通過する光は、画素の他の行または列に入射するためである。従って、この巨視的なフィルタは、集光レンズを必要とする。薄いフィルタは、このことに対してかなり鈍感であり、変位Dは、多くの場合、画素寸法未満、即ち、最大の入射角および最小の画素サイズを除いて、好ましくは1〜10nmの範囲に留まる。
【0064】
従来の生産技術は、フィルタ構造および画像センサのハイブリッド集積化と組み合わせて、1次のファブリペロフィルタを製造するのに必要な精度に到達できていない。よって、より高次のファブリペロ構造を使用する必要がある。その場合、必要な次数だけを選択するために、追加のダイクロイックまたは他のフィルタをモジュールに追加する必要がある。このことは、追加のエネルギー損失、追加のコストを生じさせ、システム全体の最適性の低下をもたらす。
【0065】
最後に、ファブリペロフィルタを画像センサから離れたある距離に置いた場合、フィルタの出力は、レンズによって集光した場合、同心円の形態をとる位相差を示す。同心円は、異なる干渉波の結果であり、異なる場所で建設的干渉および相殺的干渉を有する。集光レンズは、フィルタ内部の反射によってカバーされる大きな距離のため、これらの反射の全てを1つの画素に集光するために、巨視的なフィルタで必要とされる。開示した集積イメージングモジュールでは、フィルタ構造と画像センサとの間の距離は極めて小さく、フィルタは第1の次数について設計されるため、集光レンズの必要性がない。薄いフィルタが、この集光レンズを必要としない。それは、内部反射がかなり小さな距離をカバーし、提案したフィルタの場合、光が全て1つの画素に入射するからである(かなり多数の内部反射の後は、単一画素のサイズを超える光線に残ったエネルギーは無視できる)。位相差の結果である同心円は、そのままであるが、全て同じ画素内に集光されることになり、これらの効果は、画素の出力において全て合体される。
【0066】
アクティブIC、この場合、画像センサの上部へのフィルタ構造の直接後付けは、そのICについての汚染、機械的、温度およびその他の制限に適合すべきである。これは、例えば、フィルタの製造で使用される工程のうち、下方にある画像センサを損傷させるような材料または処理工程を使用する工程が無いことを意味する。
【0067】
後述するように、最も重要な制限の1つは、CMOS製造環境に配慮した利用可能な材料での制約である。提案したフィルタでは、材料選択は、標準的な材料を使用し、標準プロセスに完全に適合するように行った。幾つかの材料の使用、例えば、AuまたはAgが不可能である。これらはいろいろな層の中やツール内に拡散する傾向があり、これにより現在および将来の処理工程の歩留まりに悪影響を与えるためである。ある場合には、堆積が通常の処理ラインの外部で行われる場合やツールがその目的でのみ使用される場合、こうした層が最終工程(上部層)として受け入れ可能である。これは、最終工程として実施できるだけである。ウエハは、この動作の後に通常フローに入らないからである。材料選択に関係した他の制限が、処理のために利用できる温度履歴(budget)または温度ウインドウである。画像センサに損傷を与えることなく後処理を実行するために。損傷を防止するには、処理工程の最高温度をある温度、例えば、400℃を超えるべきでない。これはまた、設計に利用可能な材料および結晶化の選択肢を制限する。画像センサおよび別個に製造したフィルタ構造を後にモジュールに組み込むハイブリッド手法に関して、そこにはあまり自由度がない。
【0068】
モノリシック設計の場合、設計全体に渡って制約を考慮する必要がある。ある設計選択を画像センサ自体の設計の際に行って、フィルタの処理に対する制約を緩和する(例えば、後処理のための許容温度を上昇させるため)場合、これも考慮することができる。このことは、画像センサおよびフィルタ構造それぞれの代わりに、モジュールレベルでの最適化問題をもたらす。フィルタ構造についての制約は、常に適用される。それは、後に画像センサの上部に処理されるためである。
【0069】
(光学フィルタ)
画像センサの各画素は、1つの特定波長に対して感度を有するそれ自体の光学フィルタを有することができる。センサ上の異なる光学フィルタの編成は、その使用法に依存する。ラインセンサが、同じライン上にある各画素につき同じ波長選択性を要求しており、その場合、それをラインフィルタと称している。異なるタイプのフィルタが存在する。本開示で使用するタイプは、ファブリペロ干渉計である。
【0070】
(ファブリペロフィルタ)
図2は、ファブリペロ波長選択を示す。図2(a)は、ファブリペロの動作原理であり、多重光線が反射し、光の波長、半ミラー間の距離lおよび入射角θに基づいて建設的干渉および相殺的干渉が生ずる。図2(b)は、より高次のものも選択されて、次数選択の問題が生ずる。フィルタ動作は、周知のファブリペロ原理に基づいており、各ステップの高さが、フィルタされるスペクトル帯域に調整される。各ステップが共振空洞を形成し、その共振周波数がステップの高さによって決定される。空洞の上部および下部において、半透明ミラーが光線を部分反射するように配置される。反射のため、光路差が導入され、その結果、図2(a)に示すように、建設的干渉および相殺的干渉が生ずる(到来する波長に依存して)。
【0071】
ファブリペロフィルタは、この層の両側に2つの反射表面を備えた透明層(空洞と称される)で製作される。ファブリペロフィルタが対象とする波長範囲に関して、表面の透明度および反射率を考慮する必要がある。光の透過率は、波長の関数として、空洞の共振に対応した中心波長付近で狭いピークを示す。図2(a)に示すように、空洞内の光が複数回反射して、フィルタを通過する光について光路差および位相差を導入する。出力での多重光線は、空洞内に導入される位相シフトに依存した干渉を生じさせる。多くの干渉光線は、透過率関数が式(1)で与えられる極めて選択的な光学フィルタをもたらす。
【0072】
【数1】
【0073】
ここで、δ、導入された位相シフト(入射角θ)は、下記の式(2)に等しい。
【0074】
【数2】
【0075】
建設的干渉は、この位相シフトがゼロまたは2の倍数に等しい場合に生ずる。この場合、式(1)の分子および分母が等しく、透過率は100%である。式(3)は、ファブリペロフィルタの透過率を空洞の長さ、入射角、屈折率の関数として記述する。この式から、空洞長を変化させることによって、ファブリペロフィルタをある波長について設計可能である。建設的干渉が生ずる場合、式(1)の分子および分母が等しく、透過率は100%である。式(3)は、透過率が100%である波長間の関係を、空洞の長さ、入射角、屈折率の関数として示す。この式から、空洞長lを変化させることによって、ファブリペロフィルタをある波長について設計可能である。
【0076】
【数3】
【0077】
ファブリペロフィルタの中心波長は、重要な光学パラメータの1つに過ぎない。建設的干渉は、位相シフトが2の倍数に等しい場合に常に生ずるため、複数の波長(より高い次数と称される)がフィルタを通過することになる。図3に示すように、フィルタの2つの透過ピーク間の波長間隔は、自由スペクトル領域と称される。このパラメータが大きいほど、より高次の波長で生ずる問題が小さくなる。第1次数の波長について設計されたファブリペロ干渉計は、最大の自由スペクトル領域を提供するようになる。実際、第1次数で700nmの中心波長では、350nmでの第2次数に対して、自由スペクトル領域は350nmである。第1次数での中心波長が1400nmである場合、700nmが第2次数に選択され、第3次数は466nmであり、これは、700nmの場合、自由スペクトル領域を233nmに減少させる。第2パラメータは、フィルタの品質であり、これは中心波長に対するフィルタの帯域幅として定義される。帯域幅は、フィルタの半値全幅またはFWHMとして表され、これは、図3に示すように、最大透過率の半分での通過帯域の幅として定義される。第3パラメータは、これも光学フィルタの品質を示すもので、ファブリペロ干渉計のフィネス(finesse)Fであり、自由スペクトル領域ΔλとFWHMδλの間の関係として式(4)で定義される。固定の自由スペクトル領域では、より高いフィネスが、より低いFWHMまたはより良好なスペクトル分解能(下記参照)を自動的にもたらす。式(5)に示すように、フィネスは、反射面の反射率に依存するだけである。この反射率が大きいほど、フィネスは大きくなり、帯域幅は狭くなり、同じ自由スペクトル領域について光学フィルタのFWHMは下記のようになる。
【0078】
【数4】
【0079】
図4は、等しい空洞長で異なる反射面を備えた2つのファブリペロ干渉計を示す。入射角は0°で、空洞は、1に等しい屈折率を持つ空気で充填している。これは、同じ自由スペクトル領域について異なる半値全幅を持つ2つの異なるフィルタをもたらす。両方のフィルタの空洞は450nmであり、900nmの中心波長および450nmで2次波長を生じさせる。2つの異なる実施態様は、それぞれ低いフィネス(2)と高いフィネス(1)を有し、同じ自由スペクトル領域について低いFWHM(2)と高いFWHM(1)を生じさせる。
【0080】
ファブリペロフィルタの第4パラメータは、スペクトル分解能であり、即ち、分解できる2つの隣接スペクトル帯域の中心波長の最小差である。このパラメータは、フィルタの中心波長の位置および帯域幅の両方に依存する。2つの隣接スペクトルフィルタ帯域は、これらの透過率特性のピークが最大値の半分(3dBポイント)またはそれ未満、即ち、FWHMを計算した場所またはそれ未満で交差する場合、区別できると言われている。単一フィルタの場所を完全な波長範囲のサンプリングに関連付けた場合、空洞の長さは、処理の際に極めて正確に制御可能であり、次のスペクトル帯域を、その3dBポイントが当該3dBポイントで実際に交差するように位置決めできることが想定される。対象となるスペクトル範囲をある範囲のラインフィルタを用いてサンプリングした場合、これらの通過帯域が3dBポイントで交差するようにそれぞれ位置決めされ、ハイパー分光モジュールのスペクトル分解能は、2つの隣接フィルタのFWHMが同じである前提の下では、光学フィルタのFWHMに等しい。
【0081】
式(3)および図5に示すように、干渉計の中心波長は光の入射角に依存する。ファブリペロフィルタでは、この依存性はコサインの関係であり、約0°の角度、即ち、光学フィルタの表面に垂直な光で、あまり敏感でない。これは、波長選択の依存性がサインの関係に従うグレーティングとは対照的であり、約0°での変動に対してかなり敏感である。ファブリペロ干渉計が、入射角に対する僅かな変動を許容できる。この特徴は、速度、感度などで改善されるシステムレベルで使用できる。
【0082】
(光学フィルタの設計)
反射面:空洞の両側にある反射面の設計および性能は、ファブリペロ光学フィルタの性能にとって重要である。高いフィネスを備え、良好なスペクトル分解能を持つファブリペロ光学フィルタは、高反射ミラーを用いることによって得られるだけである。ミラーの第2の重要なパラメータはこれらの吸収率であり、これはフィルタの効率を決定するからである。全範囲のファブリペロ光学フィルタをある波長範囲について構築する必要がある場合、これらの2つパラメータ(反射率と吸収率)がこのスペクトル範囲に渡って可能な限り一定のままであることが利益である。その場合、波長範囲は、ファブリペロフィルタの空洞長のみを変化させることによって、カバー/サンプリングでき、材料およびミラー層は一定に維持できる。選択した波長範囲は、選択した画像センサの感度と整合する必要があり、これはモジュールの第2コンポーネントである。
【0083】
モノリシック集積化を提案する現在の手法は、特別な標準的でないセンサ設計を用いて、コストの増加または速度の低下をもたらしている。CMOSセンサでのCMOS互換の処理工程への切り替えは、集積化の問題を生じさせる。汚染および熱履歴に起因して、例えば、材料選択に対する影響を有するためである。下部ミラー用に、Agなどの金属が使用できない。先行技術のファブリペロフィルタはAlを使用する必要があり、フィルタの品質または光学スループット(速度)の重大な減少を生じさせる。誘電体スタックが好ましいが、汚染レベルおよび熱履歴は材料選択を制限する。プロセス準拠の材料は、選択した周波数範囲で必要なスペクトル範囲を得るために、正しいn/kの組合せを有する必要があった。低nの材料を有するこれらの誘電体材料の一例が、SiO2であり、さらにnを減少させるように調整が可能である。高nの材料の一例が、プロセスパラメータの調整、例えば、温度および水素含有量のため、減少した吸収率を持つアモルファスシリコンである。硬い酸化物がより良好な許容範囲を有するが、使用できない。標準のCMOSプロセスで許容されるものより高い温度の必要性のためである。
【0084】
こうした代替のミラーシステムの一例が、(分布)ブラッグスタックであり、これは、2つのタイプの誘電体を2つまたはそれ以上の材料の交互配置スタック(一方は低い屈折率を有し、他方は高い屈折率を有する)に組み合わせることによって形成される。ブラッグスタックの第1特性が、式(6)に示すように、その帯域幅、即ち、スペクトル範囲Δλ0であり、そこでは反射率は多かれ少なかれ一定である。
【0085】
【数5】
【0086】
この式から、帯域幅Δλ0は、中心波長λおよび選択した材料の屈折率n1,n2の両方に依存することが判る。ある中心波長付近での広いスペクトル範囲(例えば、700nm付近での600nmのスペクトル範囲)をカバーできるために、n1とn2の間で大きな差が必要になる。標準の半導体プロセスで使用される材料のリストから、SiO2は、最も低い屈折率(1:46)の1つと、極めて低い吸収係数を有する。両方のパラメータが、極めて大きなスペクトル範囲に渡って安定している。700nmの中心波長付近で600nmのスペクトル範囲(VNIR範囲)では、これは、ブラッグスタックでの第2の材料は、理想的には、0に可能な限り近い吸収係数に加えて、6:4と等しい屈折率を有する必要があることを意味する。処理フローと適合し、標準のICプロセス材料で利用可能であるこうした理想的な材料は存在せず、既存の材料を良好な屈折率およびより低い吸収率に適合させることが必要になる。SiO2の屈折率は、それを多孔性にする(屈折率1を有する空気と混合させる)ことによって低下できる。その結果、同じスペクトル範囲かつ中心波長で、5と等しいより良好で製造可能な屈折率の必要性が得られる。材料工学の他の例は、プロセス(堆積)パラメータ、例えば、温度、水素濃度などを変化させることによって、アモルファスシリコンの吸収率を低下させることである。
【0087】
【数6】
【0088】
式(7)に示すように、こうしたブラッグミラーの反射率Rは、誘電体層のペア数によって容易に制御される。層がより多くなるほど、反射率が高くなり、その特定ミラーを用いて構築されるファブリペロフィルタのフィネスが高くなる。式(7)において、n0は周囲媒体の屈折率、nsは基板の屈折率、n1は第1材料のの屈折率、n2は第2材料の屈折率、Nはブラッグスタックでのペア数である。分布ブラッグスタックの一例は、700nm付近の中心波長で540nm〜1000nmの範囲についてSiO2と人工アモルファスシリコンの組合せである。第2の例は、1500nmの中心波長で、1000nmの帯域幅、例えば、1000nm〜2000nmについてSiO2とSiGeの組合せである。ミラー層としてブラッグスタックを使用する影響が、光反射の際の追加の位相シフトである。この位相シフトは、中心波長を式(3)で求まるものから偏位させるが、この偏差は、例えば、シミュレーションツールを用いて容易に決定できる。
【0089】
(ウェッジフィルタ)
図6a〜図6bに示すようなウェッジフィルタが、ステップ状の構造からなる光学フィルタである。これらのステップは、高さが増加するように順序付けられ、この場合、単調なウェッジ状の構造を形成する。しかしながら、この順序は必須ではなく、即ち、非単調な構造も可能である。フィルタは、画像センサの上部に後付け、即ち、モノリシックに一体化され、各ステップが画像センサの複数の行または列の1つと整列している。ウェッジフィルタの各ステップが、異なるスペクトル帯域をフィルタ除去する。その結果、センサおよびウェッジフィルタの組合せは、プッシュブルーム(push broom)式、ラインスキャナ式またはハイブリッドラインスキャナ/観察器式のハイパースペクトル撮像装置に使用できる。
【0090】
既存のウェッジフィルタが、ステップ状の構造の代わりに、傾斜した構造である。より低い製造の複雑さに起因して、今日まで傾斜構造が使用されてきた。しかしながら、これらは所望のフィルタの近似に過ぎず、同じスペクトル帯域を検知することを意図した各グループのセンサ画素について一定の高さを有する必要がある。このグループは、行または列または何れか他の順序で配列できる。本明細書の残りでは、同じスペクトル帯域を検知する画素は、行または列で配列していることを想定している。従って、ウェッジフィルタの好ましい構造は、各行または列の画素(またはそのグループ)が異なる高さのファブリペロフィルタで覆われているステップ構造である。階段構造は、各(グループ)の行/列につき、異なるフィルタ特性および異なる選択波長を生じさせ、こうしてハイパースペクトル撮像装置が得られる。
【0091】
上記のフィルタは、高さが増加するように順序付けられた各ステップを有することができ、この場合、ウェッジを形成する。このフィルタは、フィルタされるスペクトル帯域に同調した各ステップの高さを有することができる。
【0092】
ファブリペロフィルタの中心波長は、式(3)を用いて決定され、空洞長L及び/又は、光の入射角θ及び/又は、空洞内の材料の屈折率nを変化させることによって同調できる。
【0093】
可変空洞は、第2の寸法を固定したままで、空洞長Lをセンサ上で1つの方向(xまたはy)に変化させることによって異なる波長についてラインフィルタの構築を可能にする。空洞長を変化させることによって、空洞材料(およびその屈折率)を一定に維持することが可能である。センサ上の異なるラインが異なる波長に対して感度を有する。式(3)を用いて、所定のスペクトル分解能について隣接ライン間の高さHの差を計算できる。一例を図6に示しており、それは、異なるステップの間で同じステップ高さを持つセンサ上で空洞長を直線的に変化させている(ステップ間の高さの差は説明のため誇張していることに留意する)。種々のステップの幅Wは、スペクトル帯域の数/スペクトル分解能およびセンサの幅に依存する。
【0094】
本実施形態は、後述するように、バイナリマスクを用いて容易に実施できる。一例を図7に示しており、完全なセンサについて選択波長の変動を示している。図7の左側において、フィルタ特性は、極めて低い透過効率を有する中心波長を持つラインフィルタについて示している。これは、使用したミラー層の反射率がこの波長範囲で最適でないためである。中心波長は、波長の増加とともに徐々に増加し、ステップ20(約600nm付近)において透過効率の大きな増加がある。これは、ブラッグスタックの反射率は、目標の性能に到達しているためである。中心波長は、ステップ120付近の1000nmまでさらに増加し、第2次数がステップ95で見える。第2次数の出現は、波長λjについて設計されたファブリペロフィルタが、λjの倍数(より高い次数と称される)である到来する波長をも通過させることの結果である。しかしながら、ファブリペロフィルタおよび下地の画像センサの両方が妥当な効率を有する波長範囲に入るより高い次数の波長だけを考慮すべきである。
【0095】
空洞長を変化させる好ましい方法は、処理の際に導入される構造の変動を伴う問題を有することであろう。図7を再び参照して、VNIR範囲において、影響される波長範囲は、ほぼ800nmから前方である。典型的なCMOSセンサが1000nmより長い波長に対して感度がないため、図7は1000nm超での透過率の降下を示しており、第2次数だけが透過するため、図7は700nmに再び低下した選択波長を示す。この波長選択の最初と最後の領域は、興味のない情報だけを取得しているように見える。これらの波長領域でのフィルタの透過率は低すぎて、第2次数の情報だけが記録されるためである。しかしながら、処理の際に許容誤差が導入され、フィルタ波長範囲のいずれかの方向への全体シフト、または異なるダイ間の変動を生じさせる場合、これらのエリアは有効なスペクトル範囲を左または右にシフト可能である。
【0096】
(製造)
1Dまたは2Dのファブリペロフィルタを製造する方法が、階段のバイナリ(binary)または対数の構造を含むことができる。階段構造の素直な実施態様が、連続的なパターニングおよびエッチング工程を用いて、k個のステップを持つ階段を形成するには多数の処理工程を必要とするであろう。ここで、kは典型的には50より大きい。いわゆるバイナリまたは対数のパターニングを用いることによって、図5に示すように、必要な工程数はlog2kに低減できる。
【0097】
バイナリパターニングの結果、例えば、1024個のステップが10個のパターニング工程だけを用いて構築できる。
【0098】
処理コスト、特に、異なる厚さを有する異なるラインフィルタを製造するのに必要なエッチング工程数を、管理下に維持するためには、図9a〜図9eまたは図10a〜図10eに示すように、バイナリマスクまたは対数マスクなどのテクニックが使用できる。
【0099】
マスクを反転させることによって、異なる立体形状がどのように生成されるかを示すために、同じ処理工程で製造された光学フィルタは、図10eにおいて同じ参照番号で与えられる。モジュールのコストを増やすことなく、ラインフィルタを再配列するには、対数マスクの必要条件を満足させるべきである。しかしながら、この再配列を達成したり、あるいは、通常のバイナリマスクの幾つかの反転を用いて、目標を達成しつつ極めて近くに接近させることが可能である。当業者にとって自明であり、1Dの再配列のみを使用するためである。
【0100】
しかしながら、ステップのこの簡単な再配列が、ラインフィルタに対して垂直な方法に沿った入射角に影響を与えるに過ぎないであろう。実際、これは、波長範囲の両側でよりバランスしたより高い感度をもたらすが、センサの中央だけである。これは、多くの用途、特に、最も関心のある領域が、走査した画像の中心である場合には有用である。
【0101】
第2の寸法、即ち、ラインフィルタの長さに沿った寸法を補償するため、追加の処理工程が必要になり、これはコストとのトレードオフを導入することになる。追加コストが動機付けとなる場合、平均の角度依存性は、第2の寸法での追加変動を追加することによって補償できる。ラインフィルタの方向に空洞長を変化させることによって、平均入射角の変動の影響を最小化できる。このテクニックでは、追加のエッチング工程が必要になり、最終的な空洞は、ラインフィルタの長さに対して平行である変化する厚さを有することになる。
【0102】
本願では、非単調的に上昇(または降下)するウェッジを使用して、エッチングでの誤差を吸収している。非単調の性質は、我々が、ウェッジの1つのステップを、必要より長くないエッチングし、より高いステップが生ずることから由来できる。この構造は、数箇所を除いて連続的に落下する。後述する図24、図25、図26の例を参照のこと。
【0103】
また、有用なことは、我々が、有益な効果を達成するようにマスクのパターニングを構成できることである。例えば、並進(translating)及び/又は反転を、我々が他のタイプのウェッジを入手する結果として参照のこと。例えば、図25に示すような「山(hill)」プロファイルを参照。これは、光の減衰をセンサ上で補償するのに有用な構造である。センサのエッジでは、より低い強度の光を意味する口径食(vignetting)がときどき起こる。これらの場所には、センサ上での最小感度を有する我々のウェッジの領域、即ち、400nmおよび1000nmが位置する。「山」を用いて、我々はこれを補償できる。我々は、センサの感度を、その前に位置する光学コンポーネントの感度と整合させる。
【0104】
モノリシックに集積化したサブシステムを備えた、完成したHSIカメラの特定の例は、本明細書の後半で説明する。第1次数についてファブリペロを設計することは、幾つかの層の厚さに対する厳しい許容誤差を強制し(nm範囲)、これは、我々の低コスト処理フローを用いて(硬度、酸化物など)達成することが困難である。先行技術のウェッジ(LVFおよび階段)は、1つの方向に増加または単調に増加する厚さを有する。この設計をプロセス変動についてより許容できるためには、追加のステップが必要になる。
【0105】
(プロセス変動および許容誤差のための製造)
ウェッジフィルタの寸法に対するプロセス技術の要求は極めて厳しいため、ステップ高さ、幅、配置、角の鋭さ、配向での変動が予想される。設計は、名目上の設計が、目標とする用途が要求するものより広い範囲の波長を目標とするようにし、これは、図12に示すように、ウェッジフィルタへの特別なステップの挿入に対応している。その結果、名目上の設計に対する製造高さの偏差が、有効なフィルタ範囲においてセンサ片側へのシフトを生じさせる。特別なステップの片側への挿入により、要求された波長範囲は、画素の異なる列を読み出すことによって回復できる(後生産の較正工程の後)。
【0106】
図11に示すように、種々の処理工程が常に許容誤差を有することを考慮して、ハイパースペクトルイメージングフィルタのセットを設計した。これらの許容誤差は、全ての普通の製造工程において発生し、これらを管理することは、通常、コストとのトレードオフである。各処理工程がある程度まで管理でき、これは、特別なプロセス開発および改良への投資によってある程度まで改善できる。その結果、多くの工程では、これらの変動について正確な限界を定量化することは極めて困難である。現在の設計の背後にある哲学は、変動の影響が設計へのソフトウエア補正または修正によって克服できる場合、これらの変動を考慮することによって、できる限り多くの高価かつ時間を要する最適化工程を回避することである。この手法を設計段階で採用することによって、要求を処理工程へ伝達することが可能である。即ち、許容される設計によって生成される緩和を考慮して、処理工程で発生する変動が所定の閾値未満に留まるようになる。この閾値は、種々の処理工程で予想される変動に基づいて、設計時間に設定される。閾値を超える変動は、もはや補償できず、仕様に適合しないモジュールとなる。下記セクションでは、処理工程の幾つかを簡潔に紹介しており、その工程の許容誤差の結果として、ある量の変動およびフィルタ構造に対する影響を紹介している。
【0107】
異なるタイプの許容誤差または変動が存在する。ウエハ全体の変動(ダイ間(inter-die))は、ダイ内(intra-die)変動よりも、最終デバイスに対して異なる影響を有するようになる。下記の説明では、特に言及しない限り、両方ともが許容誤差または変動として一般に網羅されている。
【0108】
システム設計の理論的根拠は、ハイパースペクトル・イメージングモジュールの異なるフィルタラインが、スペクトルでの異なるポイントをあるサンプリング間隔でサンプリングすることである。第1の選択肢は、スペクトルを、最大スペクトル分解能でサンプリングすることである。このレートは、レイリー(Rayleigh)の基準から導出でき、これは2つのフィルタが3dBポイントで交差する場合、スペクトル分解可能であるとされる。第2の選択肢は、スペクトルを、減少したレート、例えば、信号中の全ての周波数をカバーするシャノン(Shannon)のレートでサンプリングすることである。この場合、有効フィルタ場所での小さな変動は、スペクトルカーブをサンプリングするモジュールの使用に対して重要な影響を有さない。ある明確に定義された波長で極めて狭いスペクトルピークを検出することを目的とする用途だけが変動に悩まされることになる。このセクションでは、これらの変動の幾つかの原因および、我々がこれらに対処するために適用するテクニックを検討する。
【0109】
(画像センサの平面性)
よく管理された状態で開始するために、フィルタ構造を構築する前に、画像センサを平坦化することが重要である。これは、堆積工程そして、全ての凹凸形状を除去するCMP(化学機械研磨)工程を用いて実施できる。これにより、後のプロセスが、正確なBEOL配置に依存しなくなる。この平坦化層の厚さおよび材料は、フィルタ構造の設計の際に、ある程度は考慮できる。しかしながら、この層は、アクティブフィルタ構造の一部ではなく、適正な材料遷移(屈折率にとって重要)が正しく考慮されている限りは、フィルタ自体へ大きな影響がない。ファブリペロフィルタをこの平坦化層の上部に堆積した場合、変動がウエハ全体で充分にゆっくりである限りは(例えば、鋭いエッジがない)、この層の変動は上に伝達されることはない。CMPが、ナノメータのスケールでウエハ全体の平面性および変動を持つ表面を生成できると、この要求を満足できる。
【0110】
(堆積誤差)
ファブリペロフィルタのコンポーネントでの堆積厚さ、例えば、ブラッグスタックの層および空洞の厚さの変動が、設計したフィルタと製造したフィルタとの間の不整合をもたらすことになる。空洞の厚さに対する変動の影響は、全てのフィルタの厚さは、多かれ少なかれ等しい量だけ変化して、理論設計の左または右にスペクトル範囲のシフトを生じさせることである。設計したフィルタ場所に対して選択波長でのこの全体的シフトは、上でも下でも、その範囲を拡張することによって補償できる。所望のスペクトル範囲の両側で安全ゾーンをカバーする追加のフィルタ構造を追加することによって、空洞の堆積に対する許容誤差がカバーできる。例えば、空洞の堆積高さに対する全体変動が最大で20nmである場合、これは、追加すべき追加ステップ数に関係してくる。例えば、両者で5nmのスペクトル差では、空洞は、設計のものより10nm多くまたは少なくでき、最小の空洞長および最大の空洞長の両方で、2つの追加ステップを含む変更した範囲設計を導く。これは、必要なスペクトル帯域数、1つの帯域での空間ライン数、センサのサイズを組み合わせることによって、実際の設計と関連付けられる。これは、特別帯域の量および、堆積での最大許容変動を計算するために、入力として使用するセンサでの自由エリアを決定する。
【0111】
図12は、ラインフィルタがλjからλj+kまで、例えば、青から赤まで順序付けられたハイパースペクトル・イメージングモジュールの概略図を示す。両側には特別なラインフィルタを追加している。これらのフィルタは、設計が空洞堆積での著しい変動がなく生産された場合、公称ポイントで使用されることはない。しかしながら、初期の空洞堆積がオフである場合、特別なラインフィルタの片側が意図した範囲の内側に入って機能的になり、一方、他方の側でより多くのフィルタが使用不能になる。この範囲シフトは、製造後に、完全なフィルタ構造を幾つかの既知の波長で照射して、最高の応答を有するラインフィルタの場所をメモリに保存することによって容易に較正できる。
【0112】
ウエハ幅の堆積誤差に加えて、較正と連結して、拡張した範囲を設計することは、予想されるダイ間変動をカバーするようになる。必要な場合、このタイプの変動をカバーするために幾つかの追加のステップが追加でき、または従来のビニング(binning)やある波長範囲についてあるデバイスを選択することが追加できる。ダイ内変動は、より多くのステップを追加することによって対処できないため、ダイ内変動は制限する必要があり、2つのステップ間の差(例えば、3nm)より小さくする必要がある。ダイ内変動がこの差を超えた場合、最小の公称波長差を持つ2つのラインフィルタ間の差は、もはや定義されない。ダイ内変動は、変動ダイ間変動(ウエハ全体)より小さい。ウエハ全体の変動が、スペクトルのシフトを1つの方向に生じさせる。拡張した範囲が、このシフトに対処することが予測される。
【0113】
(エッチング誤差)
ファブリペロフィルタの空洞材料の初期堆積の後、異なるフィルタの例、例えば、異なるラインフィルタがこの空洞材料をエッチングすることによって製作できる。得られたファブリペロフィルタは、これらの個々の異なる空洞高さによって規定されることになる。個々のラインフィルタの正確な波長応答は、ステップの最終高さが規定される種々のエッチング工程の目標高さおよび処理許容誤差に依存することになる。必要とされるエッチング工程の全体数を低減するために、バイナリマスクまたは対数マスクなどのテクニックが使用でき、これにより2n個の異なる空洞高さを製造するのに必要なエッチング工程は、n個だけになる。上述したように、ある目標の空洞長を規定するのに必要とされる異なるエッチング工程での累積変動は制限すべきであり、2つのステップ間の差(例えば、3nm)未満にする。しかしながら、この要求を引き伸ばすために、幾つかの設計トリックが適用できる。ここで、オーバーラップを導入することによって、この許容誤差が完全にカバーされるように光学フィルタを設計した場合、即ち、図13に示すように、マスクの幾つかの部分が同じ波長を含む場合、適正な波長が、較正およびソフトウエアプロセスを用いて割り当て可能である。
【0114】
区画のために用いられるエッチングプロセスが無指向性プロセスである場合、1つのラインフィルタと次のものとの間の遷移を形成する鋭いエッジが丸みを示すことがある。提示した実施形態では、各ラインフィルタの幅は、画素の複数の列をカバーできる。後生産の特性付与が、角の丸みに起因してフィルタの著しい歪みを示す場合、影響を受けた列は、ソフトウエアの後処理において不能化または除去できる。これは、冗長性の形態であり、プロセス最適化のコストと生産したデバイスの性能との間のトレードオフの一部であり、この場合、使用した画素の列数の減少である。上記セクションで示したように、フィルタが最小数のスペクトル帯域について設計でき、シャノン(Shannon)のサンプリング法則は壊れない。これは、例えば、分布ブラッグスタックでの層数を減少させ、フィネスを減少させ、ファブリペロフィルタのFWHMを増加させるために使用できる。しかしながら、エッチングでの小さな変動が、フィルタを右側または左側に少しシフトさせることになる。両方の場合、スペクトルからの情報が見失われることになる。スペクトルのオーバーサンプリング(oversampling)が、ファブリペロ光学フィルタをその最大FWHMで使用し、最大スペクトル分解可能にするテクニックである。これらのフィルタのFWHMは、システムテクニックを用いて増加できる。スペクトルオーバーサンプリングによって導入される追加のスペクトル帯域は、オリジナルのものと部分的にオーバーラップするようになるが、全て関連する情報が取得されることを確認する。
【0115】
非単調増加のフィルタが、最も重大なエッチング工程について冗長な情報を供与するように選択された、同じウェッジでのスペクトルオーバーラップを提供する。スペクトルオーバーサンプリングが、1つのダイでの波長シフトに対処し、FWHMがスペクトル分解能に必要なものより小さくなるように設計される。帯域の数は、全てのスペクトル範囲をカバーするように所定のFWHMを用いて計算される。例えば、より小さなf0を有するシステム態様がFWHMを増加させるようになり、よって、隣りのフィルタがオーバーラップし始めて、1つのスペクトル分解能につき1つのフィルタを形成する。オーバーサンプリングによって、全てのスペクトル情報が検知され、較正および標準の画像処理を用いて抽出可能になる。
【0116】
(アライメント誤差)
標準のICプロセス技術を用いた場合、画素当たり数ミクロンの寸法を持つ画素の行/列の上部におけるフィルタ構造のアライメントが、先行技術の可能性の範囲内である。従って、上部レベルでのアライメントはあまり重大ではない。前の段落で検討したように、ミスアライメントが生じた場合、単一のラインフィルタが複数列の画素をカバーできるため、有害な列は不能にできる。再び、これは同じトレードオフの一部である。
【0117】
(光学減衰およびモジュール感度の設計)
画像センサおよびフィルタ構造の両方からなるハイパースペクトルモジュールを設計する場合、コンポーネント間の最適化を行うことができる。提案したハイパースペクトルモジュールは、低コスト及び/又はコンパクトシステムを目標としているため、より低い品質の光学系が予想される。この状況で対処できる1つの影響が口径食(vignetting)である。口径食は、画像中心と比べて周辺での画像輝度の減少または飽和である。この影響が、波長に依存したファブリペロフィルタおよび画像センサの効率と結合した場合、波長依存の挙動を平坦化するために、それを増強する代わりに、両方の影響を共に最適化できる。口径食は、光強度を画像の中心から側方に向けて低下させるため、走査応用のための影響は2つの成分に分割できる。走査方向に対して垂直な強度減衰の影響は、照明によって補償でき、当業者に知られているように、いわゆる照明プロファイルの使用によるものである。
【0118】
走査方向では、感度/強度の差が増強ではなく、平均化されるようにラインフィルタを再配列する可能性を活用することによって、第2の機会が存在する。画像センサがある波長範囲について設計される。例えば、CMOS撮像装置が、多くの場合、400nm〜1000nmの範囲内で使用できる。しかしながら、センサの効率は、全ての範囲で同じではない。両方の影響、口径食およびセンサ感度は、ラインフィルタのある配列についてモジュールの効率に影響する。目標波長において、例えば、400nm〜1000nmの範囲で10nm増分で単調増加するラインフィルタの素直な順序付けを選択した場合、口径食によって最も影響されるセンサのエリア(走査方向)は、最上部および最下部のフィルタラインである。素直な順序付けでは、これらは、センサ感度が最も低くなる波長についてのフィルタラインである。よって、両方の影響が加算し、ハイパースペクトルモジュールは、目標波長範囲の両側で次善の信号対ノイズ比を有することになる。
【0119】
感度を平坦化し、両影響のこの追加の挙動を克服するために、両方の影響を考慮した再配列を行うことができる。図15は、ラインフィルタが単調増加ではなく、フィルタが再配列しているハイパースペクトル・イメージングモジュールの概略図である。センサが最も低感度である波長を選択するフィルタが、センサの中央に置かれ、口径食が全くまたは殆ど生じない。よって、両方の影響が反対方向で作用し、全てのスペクトル範囲での効率が平坦化される。これは、必要に応じて、用途が許す場合には照明プロファイルと組み合わせが可能である。
【0120】
前の段落で既に検討したように、ハイパースペクトル・イメージングモジュールの設計の一部が、画像センサ上での異なるラインフィルタの分布または順序付けである。一般に、設計は、下記の部分に分割できる。
1.目標とする波長範囲の選択
2.その範囲について画像センサの選択
3.目標とするスペクトルサンプリング(スペクトル分解能)の選択
4.異なるファブリペロラインフィルタの設計
5.画像センタ上でのこれらのファブリペロラインフィルタの順序付け
【0121】
フィルタの順序付けは、原理上は問題ではない。順序付けがどうであっても、異なるフィルタ波長が、走査後のソフトウエアでハイパースペクトル画像に再編成できるためである。プロセス技術変動を許容する方法が、上記で定義されたようなフィルタを利用することによって適用され、波長範囲は、生産後の較正工程の後、同じ高さのフィルタによってカバーされた異なる行または列の画素を読み出すことによって回復される。しかしながら、生産コスト、感度などの他のシステム態様を考慮する場合、異なるタイプの順序付けも意味がある。
【0122】
最初の最も素直な順序付けは、ウェッジ順序付けと称されており、抽象的レベルのその形状は、ウェッジまたはより正確には階段に似ている。この順序付けでは、全てのラインフィルタが、単調増加のフィルタ波長に従って順序付けられる。ウェッジ順序付けのグラフィック描写を図12に示す。1つの延長が、既に検討したように、階段構造においてあるラインフィルタの繰り返しをカバーしており、そのプロセスでの許容誤差をカバーしている。ある重大なエッチング工程がオーバーエッチングした場合、ハイパースペクトル画像での幾つかのサンプリングポイントが見失われるであろう。これを防止するために、故意の設計変更が行われ、非単調増加の階段構造を意図的に作成する。幾つかの重大なポイントでは、設計は、後処理で後に除去できるあるラインフィルタの繰り返しを予測し、プロセス許容誤差がオーバーエッチングする傾向がある場合、サンプルポイントは見失われないであろう。
【0123】
この概念のグラフィック描写を図13と図14に示しており、オーバーラッピング範囲が画像センサの中間であることを明確に示している。順序付けが単調増加から外れるほど、技術的には、これはもはやウェッジとみなすことはない。
【0124】
(光学スループットを最大化するシステム態様。増加した速度が得られる)
順序除去のために、追加のフィルタの使用を回避する。順序除去のために、画像処理を使用する。
【0125】
スリットを排除し、コリメータが、このシステムでの光学スループットを増加させるが、FWGMが増加し、スペクトル分解能が減少する。スペクトルオーバーサンプリングがこれを可能にする。光学スループットを増加させるために、スペクトルオーバーサンプリングがより多くの開放アパーチャ(スリットを置換)を有効にする。
【0126】
上述したように、ファブリペロフィルタがフィルタへの光の入射角に対して敏感であり、中心波長およびFWHMがこの入射角に依存する。例えば、複数のフィルタをフィルタモジュールに組み合わせた場合、特別な光学的構成が全体的性能へのこの依存性の影響を最小化するために使用可能である。本セクションは、この光学システム、および光学スループット、スペクトル分解能、フィルタの半値全幅(FWHM)などに影響するトレードオフを検討する。
【0127】
後述する第1システムは、最善のスペクトル分解能およびFWHMを最低の光学スループットで達成している。スリットを可変アパーチャで置換することによって、絞り(stop)を開けることは、光学スループットを改善するが、FWHMおよびスペクトル分解能を悪化させる。このトレードオフを検討する。
【0128】
一体化したウェッジフィルタは、異なるシステム設定で使用できる。システム集積化に依存して、得られるウェッジフィルタ性能は、速度およびスペクトル分解能の両方で異なる。光学システムの1つの重要な態様が、一例を図18に示すように、射出瞳のサイズである。射出瞳のサイズは、ウェッジの各ステップによって形成されるファブリペロフィルタへの光の入射角の変動の大きさに直接的な影響を有する。
【0129】
一体化したウェッジフィルタの所定のステップの下方にあり、光軸からの距離xにある画素pでは、光軸と平行な入射光線と、射出瞳の上部および下部とのなす角は、αおよびβとそれぞれ称される。
【0130】
図4から判るように、αおよびβのサイズは、射出瞳のサイズに依存する。ファブリペロフィルタの選択波長は、この入射角に依存するため、その結果、一体化したウェッジフィルタの各ステップによって選択された種々の波長が得られる。この関係は、下記の3つの式で記述される。
【0131】
【数7】
【0132】
システムレベルでは、入射光の方向は、コリメータ及び/又はテレセントリックレンズの使用によって制御可能である。下記の段落は、コリメータ有りとコリメータ無しの両方でいろいろなシステム集積化を説明する。用途に応じて、両方とも現在の先行技術の手法から異なる改善を有する。
【0133】
(コリメート化。グレーティングベースのシステムより高いスペクトル分解能について使用できる)
このサブセクションは、提案したフィルタモジュールを、純粋なライン走査ハイパースペクトルカメラとして使用する可能性のある光学システム設定を説明する。この設定では、単一ラインの全ての波長が同じ時間で収集される。図1に示すように、ハイパースペクトル画像立方体は、場面をラインごとに走査して構築される。画像形成用の対物レンズが用いられ、この画像から単一ラインを選択するためのスリット。コリメータは、光学フィルタまたは撮像装置への光線の入射角を制御(最小化)するために使用される。コリメータの出力では、光線はほぼ平行である。光軸上にあるスリットの良好に選択された場所、およびスリットの極めて小さなサイズのため、これらの光線は、光軸に対して平行である。コリメータは、平凸レンズで、回転対称レンズではない。そのコリメート機能は、図示した断面の方向に限定される。その垂直な方向、スリットの方向では、コリメートの効果はない。その結果、スリットによって選択された画像ラインは、光学フィルタに対して垂直な入射角で、センタ全体に渡って複製される。その結果、そのライン内の光のエネルギーは、センタ全体に渡って広がる。光軸の上方または下方にある画像ラインに由来する光線が(例えば、スリットを広げることによって)、コリメート後に平行になるが、光軸と平行にならない。従って、コリメータを用いたシステムのスペクトル分解能は、対物レンズのf/#から独立しているが、スリットサイズに依存することになる。
【0134】
第1の設定は、図19と図30に示すように、対物レンズ82と、スリット83と、コリメータ85と、標準の画像センサの上部にウェッジフィルタを有する集積回路5とからなるラインスキャナである。コリメータの使用の結果として、ウェッジフィルタの上部への光の入射角が良好に制御され、その結果、良好なスペクトル分解能が得られる。しかしながら、スリットの使用により、システムに入る光の量(エネルギー量)は、大きく減少する。この結果、センサでの積分時間がより長くなり、全体的に速度が低下する。
【0135】
図19は、コリメート化したシステムの詳細である。距離Oにある場面は、対物レンズによって、距離dslitにあるスリット上に結像される。対物レンズの焦点は、2つのポイントfで示している。開口数NAは、対物レンズを通過する光の量に関連する。スリットを通過した光は、距離fcolにあるコリメータ上に入射する。コリメート化した光は、dwedgeにあるフィルタおよびセンサ上に投射される。スペクトル分解能に対するスリットおよびコリメートの影響は、図20に示す。角度θは、スリット高さYslitに比例し、公称波長に対するαおよびβについての選択波長の偏差を表す。図21から、公称波長に対するλαおよびλβの偏差は、スリットサイズおよび物体距離に関連した相対偏差をもたらすことが判る。80μmのスリットサイズでは、相対偏差は、10mm超の焦点距離を持つコリメータでは、1パーミル(promille)未満である。より小さなスリットサイズおよびより大きな物体距離では、この偏差はよりいっそう小さい。その結果、極めて良好なスペクトル分解能が本システムを用いて達成できる。
【0136】
達成可能なスペクトル分解能は、本システムではグレーティングベースのシステムよりも良好である。グレーティングベースのシステムでの限定要因は、画素当たりの分散に依存し、ファブリペロの式(式9)と比べて、入射角の変化に対するグレーティングの式(式10)の感度がより高いためである。対象とする入射角(θ=0)では、グレーティングの式の感度は最大であるが、ファブリペロの式ではこの感度は最小である。
【0137】
【数8】
【0138】
さらに、グレーティングベースのシステムでのスペクトル帯域幅は、mm当たりのその分散にも依存し、それはピッチpに依存する。この連続的な分散のため、全てのスペクトル帯域が単一画素に投射される。画素の面積が大きいほど、センサは高速になるが、スペクトル帯域幅はより大きくなる。提案したウェッジフィルタのスペクトル帯域幅は、これらの画素サイズから独立し、材料パラメータに依存するだけである。
【0139】
しかしながら、スリットの使用により、システムに入る光の量は、大きく減少する。これは、光学スループットにより表現され、これはどれぐらい多くの光が光学システムに入ることが許されるかの幾何測定である。スリットが、著しく減少したエリアを有するため、これらのシステムの光学スループットも劇的に減少し、カメラに入る光の量を制限し、そしてカメラの速度も制限する。
【0140】
(非コリメート化。グレーティングベースのシステムより高速なシステム用に使用できる)
代替のシステム設定がスリットを有しておらず、全ての画像フレームをセンサに投射する。図31に示すように、対物レンズ82および集積回路5が存在する。検知した画像は、物体での全ての空間情報を表することになるが、センサ上の異なるラインは異なるスペクトル帯域に対して感度があり、画像内の異なるラインは異なるスペクトル帯域からの情報を含んでいる。あるラインについて全てのスペクトル帯域を収集することは、センサ上でそのラインを走査し、続いて、異なるフレームからの同じ空間ラインに対応した全てのスペクトル情報を1つのハイパースペクトル画像立方体に組み合わせることによって行われる。
【0141】
例えば、第1ラインが、1つの特定のスペクトル帯域b1に対して感度を有するセンサの第1ラインに投射される物体を想定する。従って、第1画像ラインは、この帯域b1の情報を含むだけである。次に、物体のラインは、センサの第2ラインに移動し、これは他のスペクトル帯域b2に対して感度を有する。そして、そのラインでの第2帯域は、同じ時間で収集されることになる。第1帯域は、物体上の次のラインについて収集されるためである。この手順は、全ての物体が全ての波長帯域で走査されるまで繰り返される。
【0142】
第2システム集積化のオプションは、スリットまたはコリメータを使用せず、センサと一体化したウェッジフィルタは、対物レンズを用いてシステムに組み合わされる。スリットおよびコリメータを排除することによって、全体システムコストは減少し、システムに入る光の量は増加する。これはより高速なカメラをもたらすことができる。しかしながら、一体化ウェッジフィルタの異なるフィルタステップへの光の入射角はあまり制御されず、その結果、レンズシステムを慎重に設計していない場合、減少したスペクトル分解能をもたらす。
【0143】
図4に示したように、入射角は、対物レンズの射出瞳、そしてアパーチャに大きく依存する。図22は、ウェッジフィルタのステップによって選択された最悪の場合の波長範囲に対する対物アパーチャの影響を示す(Lambda 1=αおよびLambda 2=β)。図22aにおいて、大きなアパーチャ(f1.65)が、高速なシステムに対応し、400〜800nmで60nm程度であり、800〜1000nmでさらに小さくなるスペクトル分解能が得られる。しかしながら、アパーチャ(f22)を減少させることによって、図22bに示すように、スペクトル分解能は増加し、対象とする範囲の大部分に渡って約15nmの分解能に到達できる。しかしながら、このことは光の損失をもたらし、より低速なシステムになる。
【0144】
こうして開口数(光学スループット)を最大化し、スペクトル分解能を最適化するために、慎重なレンズ設計が必要になる。こうしたレンズの一例(これに限定されないが)が、テレセントリックレンズであり、これは光軸と平行な主光線を持つレンズである。これらのレンズは光の入射角を著しく制限し、これらのカメラ用の対物レンズとしての最適な候補である。
【0145】
(図23。並列読み出しを有する一実施形態に係る集積回路)
図23は、異なる厚さの光学フィルタ10の下方に、光学センサ40をグループ20ごとに有する集積回路を示す。読み出し回路30が、各グループについて出力回路A,Bを有し(明確化のため、1つのグループについて出力回路を図示している)、種々のスペクトル帯域を有する画像が出力可能である(マルチ波長画像)。各グループでは、光学センサの幾つかが出力回路Aと接続され、他方が出力回路Bと接続される。当然ながら、これより多くてもよい。ある場合は、センサ当たり1つの出力回路が存在して、読み出しの際、より完全な並列処理を提供してもよい。これにより、1つのグループについて光学センサを並列で読み出し可能になって、より高速に読み出され、またはより大きなグループが所定の時間で読み出し可能になる。グループは、ラインでもよく、または他の形状でもよい。並列出力が並列で出力でき、あるいは、集積回路を出る前にマルチプレクスしてもよい。各出力回路ごとの光学センサは、他の出力回路のものとインターリーブしてもよく、あるいは、例えば、ラインの連結(concatenated)セクションでもよい。
【0146】
(図24〜図26。非単調の厚さを有する実施形態)
図24は、異なる厚さの光学フィルタ10の下方に、光学センサ40をグループ20ごとに有する集積回路を示す。読み出し回路30が、種々のスペクトル帯域を有する画像が出力可能なように設けられる(マルチ波長画像)。この場合、厚さは、アレイを横断して増加し減少するように変化しており、単調に変化していない。
【0147】
図25と図26は、光学フィルタアレイを横断する厚さの他のプロファイルの例を示す。図9は、アレイの中間近くのピークを示す。図10は、オーバーラップしたスペクトル帯域を有する光学フィルタの集団を備えた鋸歯の配列(この図では分解するのに小さすぎるステップ)を示す。これは、いくらか冗長性を付与しており、これは光学フィルタの製造時の不正確さをより許容するための後の画像処理で活用できる。
【0148】
(図27〜図29。波長選択を有する実施形態)
図27は、異なる厚さの光学フィルタ10の下方に、光学センサ40をグループ20ごとに有する他の実施形態に係る集積回路を示す。読み出し回路30が、異なる光学フィルタ(2つ又はそれ以上のこうしたフィルタの集団)について出力回路C,Dと、これらの出力回路のいずれかを選択しまたはこれらの間で補間するように配置された波長セレクタ50とを有し、種々のスペクトル帯域を有する画像が出力可能である(マルチ波長画像)。これによりスペクトルサンプリングまたはスペクトル補間が可能になり、光学フィルタの厚さのより大きな許容誤差を可能にする。幾つかの光学フィルタが2つの集団に属するように、集団が互いに有効にオーバーラップしている場合、波長セレクタは、必ずしもサブサンプリングなしで、波長を有効にシフトするように制御可能である。
【0149】
図28は、図27と類似しているが、各グループごとに複数の出力回路を備え、これらは、並列読み出しおよび並列信号またはマルチプレクス信号を波長セレクタに供給し、例えば、読み出し速度を改善するように配置できる。
【0150】
図29は、図27または図28と類似しているが、画像プロセッサ53の機能として、チップ外で実装された波長セレクタを備える。これにより集積回路はより簡略化できるが、チップ外でより高いデータ伝送レートに関与できる。
【0151】
集積回路は、例えば、約1cm四方にできる。それは、標準の光学センサアレイ(FSI)を有することができ、その片面には、平坦化及び/又は反射防止コートの適用後、Alの下部半透明ミラーが形成される。ウェッジ形状の透明層は、SiO2で形成できる。上述したように、ウェッジは、アレイ全体に厚さの単調変化を有する必要はない。上部半透明ミラーがAl層で形成できる。各製造工程が、種々の公知テクニックを用いて実施できる。
【0152】
(幾つかの追加の特徴の要約)
集積回路は、集積回路全体にストリップとしてのレイアウトを有する各々の光学フィルタを有することができ、光学フィルタの個々の1つについてセンサのグループは、対応するストリップとして延びるレイアウトを有する。センサのグループは、ストリップのレイアウトに対応した、2つ又はそれ以上のラインのセンサとして構成されたレイアウトを有することができ、センサの各ラインが出力回路の異なる1つと接続される。
【0153】
読み出し回路は、異なる光学フィルタの対応した画素の読み出し信号の間を選択したり組み合わせて(例えば、間を補間したり、または組み合わせる)、特定の波長に対応した出力を同調させる波長セレクタを有することができる。
【0154】
光学フィルタの場所は、入射した照明が低い強度になる場所に配置された光学センサが低い感度になる波長について光学フィルタを有するように配置できる。典型的には、これは、中心の近くでセンサアレイのエッジから遠い。この場所は、第1スペクトル帯域についての検出が可能になる異なる厚さを有する隣接した光学フィルタの集団を提供し、第2スペクトル帯域についての検出が可能になる異なる厚さを有する隣りの集団を提供し、第1スペクトル帯域および第2スペクトル帯域は重なるように配置できる。
【0155】
センサの少なくとも幾つかがグループごとに配置でき、それぞれ光学フィルタの対応する1つからの光を受けるものである。読み出し回路は、グループの個々の1つのセンサと接続された少なくとも1つの出力回路を備えることができ、光学フィルタの異なるものに対応した異なるグループの読み出し信号の間で選択したり補間するための波長セレクタを備え、特定の光学波長に対応して同調したこれらのグループについての出力を供給する。
【0156】
その場所は、光学フィルタの所定の1つに、両方ともより厚いまたはより薄い隣接するストリップを設けて、それぞれ谷(valley)または尾根(ridge)の構造をそれぞれ提供するように配置できる(谷/尾根は、局所的またはアレイの一部または全部に渡るものにできる。非単調はランダム化した順序付けでもよく、谷/尾根が短すぎてこれ以上見えないようになる)。光学フィルタの厚さは、光学フィルタアレイ全体で異なる場所で光の異なる入射角を補償するように構成できる。長手方向のストリップフィルタの例では、入射角は、先端近傍でより大きくなる傾向があり、そのため厚さを小さくして、経路長を一定にできる。
【0157】
その場所は、異なる厚さを有する隣接する光学フィルタの集団を提供するように配置できる。読み出し回路は、その集団の異なる光学フィルタの対応した画素の読み出し信号の間で選択したり補間して、特定波長に対応した出力に同調するための波長セレクタを有する。
【0158】
波長セレクタは、光学フィルタアレイに設けられた異なる光学フィルタの量より比例的に少ない波長を表す信号を出力して、比例的なスペクトル・サブサンプリングを提供するように構成できる。
【0159】
波長セレクタは、光学フィルタアレイに設けられた異なる光学フィルタの量と同様な複数の波長を表す信号を出力して、スペクトルシフトを提供するように構成できる。
【0160】
スペクトルシフト量は、光学フィルタアレイでの場所に従って変化して、異なる場所での光学フィルタ厚さの製造変動を補償できる。
【0161】
イメージングシステムは、該集積回路と、画像を表す画素値を受信するように接続され、受信した画像の画像処理したバージョンを出力する外部の画像処理部とを有することができる。イメージングシステムは、集積回路および撮像物体の相対運動によって、物体の画像立方体を生成し保存するように構成できる。画像立方体は、x,y空間次元とスペクトル次元を有する。イメージングシステムは、波長選択または補間画像処理機能を適用して、画像立方体をスペクトル次元でサブサンプリングしたり、または、画像立方体をスペクトル次元でシフトするように構成できる。場所に係る変動は、異なる場所での光学フィルタ厚さの製造変動、光学フィルタを通る光学経路の入射角の変動による歪み、より高い次数の除去、他の光学コンポーネントからの歪みのうちのいずれか1つ又はそれ以上を補償するのに適している。
【0162】
イメージングシステムは、対物レンズ、スリット、コリメータのいずれか1つ又はそれ以上を、光学フィルタアレイに導く光学経路に有することができる。光学フィルタの少なくとも幾つかは、より高い次数の干渉を区別するのに適した厚さを有することができる。画像プロセッサは、これらの光学フィルタによって区別されるより高い次数の干渉の量に従って、画像表現の残余においてより高い次数の干渉効果を補償するように構成できる。
【0163】
幾つかの実施形態は、画像センサアレイの上部に後付けされた、ステップ状の構造を備えた光学フィルタアレイを有し、フィルタは、画像センサアレイと直接接触して位置決めされる。フィルタアレイは、ある場合には、画像センサアレイの単一の行または列の画素と整列したフィルタの各ステップを有する。ある場合には、各行または列の画素は、異なる高さのファブリペロフィルタで覆われている。ある場合には、厚さの変化は単調であり、他の場合には、これらは非単調であり、アレイ全体に尾根または谷を生成する。他の場合には、各ステップの厚さが、フィルタされるスペクトル帯域に同調している。
【0164】
フィルタアレイの厚さの単調または非単調の変化を製造する方法が、バイナリまたは対数パターニング技術の使用を含んでもよい。
【0165】
完全なHSIシステムの例が、光学センサアレイの後に画像プロセッサを、その前に光学部品を含んでもよい。
【0166】
ハイパースペクトルカメラシステムが、上記で定義したように、画像センサに後付けされた光学フィルタアレイで構成できる。該システムは、対物レンズ、及び/又はスリット、及び/又はコリメータをさらに備える。
【0167】
厚さの非単調変動の効果が、画像センサアレイの部分の周波数と異なる感度との間の関係を再編成することである(高いまたは低い周波数を、センサのエッジの代わりに中央に配置する)。それはまた、フィルタの感度を処理変動までに低減でき、よって歩留まりを増加できる。それにより、1つの波長付近で群がった幾つか異なる波長がセンサの異なるもので受けることが可能になり、そして、波長は、最善に適合するように後に選択または処理される。非単調変動は、ある集団(範囲)での幾つかのスペクトル帯域のグループ化を可能にし、これらをセンサアレイ上に任意に位置決めする。これにより、許容誤差のための再配列、減衰の補償など、多くのことが可能になる。単調ウェッジが、この幾つかが可能であるが、エッチングのため許容誤差に対処できない。これらが、堆積許容誤差が問題とならないものより大きくても小さくてもである。非単調変動は、集団内変動を集団間変動より大きくできる。他の例では、1またはそれ以上のステップの幅の増加分が、特定用途にとって最も重要な帯域について設けられる。他の代替例は、異なるステップの順序付けを適合させて、光学部分の最大感度のエリアをセンサの低感度エリアと整合させることである。センサアレイの中間は、例えば、フィルタアレイを中間部で適切な厚さにすることによって、その用途にとって最も重要な帯域のために使用できる。
【0168】
スペクトルを有効にオーバーサンプリングしたり、あるいは、セレクタが所望セットの波長の値と最も接近して整合する最適なフィルタを選択するような拡張範囲を有するのに充分なセンサおよび光学フィルタが存在する場合、較正入力に従った選択の効果が、較正入力は、多くのダイのウエハ全体でのダイ内変動またはダイ間変動のいずれか、またはウエハ間変動のプロセス変動を補償できることである。
【0169】
(典型器なシステムトレードオフ)
*ライン走査撮像装置では、良好なスペクトル分解能が、典型的にはスリットおよびコリメートレンズの組合せ使用によって得られる。これらの部品を排除することは、減少したスペクトル分解能を生じさせる。本来、スリットおよびコリメートレンズは、センサ上での光の入射角を制御するものであり、これは、多くの波長セレクタでは、重要なパラメータである。スペクトル分解能は、センサ上での光の入射角の関数として変化することが知られている。しかしながら、スリットの排除は、光学スループットを増加させ、システムの速度を増加させる。
【0170】
*撮像装置上部での波長選択コンポーネントの一体化は、迷光の量を減少させる(速度を増加させる)だけでなく、システムのコストの削減を可能にする。
【0171】
*低レベルの画像処理を伴う波長選択コンポーネントの再設計は、波長セレクタにおいてより大きな許容誤差を可能にする。
【0172】
さらに、用途依存の画像処理を提供することによって、典型的には研究機器である現在のハイパースペクトル撮像装置、および高性能のインフラ設備において経験し熟練した人間だけが使用可能であるパッケージの研究機器として提供された画像処理での不具合が克服できる。リアルタイムのハイパースペクトル画像処理が、特に、産業マシンビジョン(machine vision)および医療イメージングにおいて、こうしたハイパースペクトル技術の使用を可能にする。
【0173】
(処理するハードウエア)
例えば、画像処理のための上述した方法ステップの幾つかが、ハードウエア形態のロジックにより、あるいは、例えば、処理エンジン、例えば、マイクロプロセッサまたは、プログラマブル・ロジックデバイス(PLD)、例えば、PLA(プログラマブル・ロジックアレイ)、PAL(プログラマブル・アレイロジック)、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)を用いてソフトウエアで実施してもよい。
【0174】
内蔵プロセッサを備えた回路の例が、他のコンポーネントとともに単一チップに合成できる内蔵マイクロプロセッサの周囲にあるVLSIチップとして構築してもよい。代替として、例えば、米国インテル社が供給するペンティアムプロセッサなど、他の適切なプロセッサが使用でき、これらは内蔵する必要はない。ゼロウェイト状態SRAMメモリ、そして、例えば、キャッシュメモリをオンチップで設けてもよい。典型的には、I/O(input/output)インタフェースが、外部ストレージに、例えば、データネットワーク経由でアクセスするために設けられる。FIFOバッファがこれらのインタフェースを通じたデータ伝送からプロセッサを切り離すために使用してもよい。インタフェースは、ネットワーク接続、即ち、適切なポートおよびネットワークアドレスを提供できる。例えば、インタフェースは、ネットワークカードの形態でもよい。
【0175】
(ソフトウエア)
ソフトウエアプログラムを、内部ROM(リードオンリーメモリ)及び/又はいずれか他の不揮発性メモリに保存してもよく、例えば、これらは外部メモリに保存してもよい。外部メモリへのアクセスが、必要ならば、アドレスバス、データバスおよび制御バスを持つ外部バスインタフェースを含む従来のハードウエアによって提供してもよい。本発明の方法および装置の特徴が、プロセッサ上で実行するソフトウエアとして実装してもよい。特に、本発明に係る特定の画像処理は、プロセッサの適切なプログラミングによって実装してもよい。上述した方法および手順は、適切なコンピュータ言語、例えば、Cでコンピュータプログラムとして記述し、そして、埋込み設計での特定プロセッサ向けにコンパイルしてもよい。例えば、ソフトウエアは、Cで記述してもよく、そして公知のコンパイラおよび公知のアセンブラを用いてコンパイルしてもよい。ソフトウエアは、処理エンジン上で実行した場合、本発明の方法および画像プロセッサを提供するコードを有する。ソフトウエアプログラムをいずれか適切な機械読取可能な媒体、例えば、磁気ディスク、ディスケット、固体メモリ、テープメモリ、CR−ROMやDVD−ROMなどの光ディスクなどに保存してもよい。他の変形例が請求項の範囲内で想定できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングシステム用の集積回路であって、
光学センサアレイと、ある波長帯域を1つ又はそれ以上のセンサに向けて通過させるようにそれぞれ構成された光学フィルタアレイとを有し、
光学フィルタアレイは、センサアレイと一体化しており、
集積回路は、センサアレイから画素値を読み出して画像を表現する読み出し回路を有し、
光学フィルタの異なるものが異なる厚さを有するように構成され、干渉を用いて異なる波長帯域を通過させて、波長スペクトルの検出を可能にし、
センサの少なくとも幾つかが、光学フィルタの同じものの下方にグループで配置されており、
当該グループについての読み出し回路は、当該グループのセンサの異なるものとそれぞれ接続された2つ又はそれ以上の出力回路を備え、当該グループの複数の画素が出力回路から並列で読み出し可能であるようにした集積回路。
【請求項2】
光学フィルタの各々は、集積回路を横断するストリップとしてのレイアウトを有し、
光学フィルタの個々についてのセンサのグループは、対応するストリップとして延びるレイアウトを有する請求項1記載の集積回路。
【請求項3】
センサのグループは、ストリップのレイアウトに対応する2つ又はそれ以上のラインのセンサとして構成されたレイアウトを有し、
センサのラインの各々は、出力回路の異なるものと接続されている請求項1または2記載の集積回路。
【請求項4】
読み出し回路は、異なる光学フィルタの対応する画素の読み出し信号の間で選択しまたは組み合わせて、特定の波長に対応した出力に同調する波長セレクタを有する請求項1〜3のいずれかに記載の集積回路。
【請求項5】
イメージングシステム用の集積回路であって、
光学センサアレイと、ある波長帯域を1つ又はそれ以上のセンサに向けて通過させるようにそれぞれ構成され、光学センサアレイと一体化した光学フィルタアレイとを有し、
集積回路は、センサアレイから画素値を読み出して画像を表現する読み出し回路を有し、
光学フィルタの異なるものが異なる厚さを有するように構成され、干渉を用いて異なる波長帯域を通過させて、波長スペクトルの検出を可能にし、
光学フィルタの異なるものの場所が配置されて、光学フィルタアレイを横断する異なるフィルタのラインに沿って、その厚さが幾つかのポイントで増加し、他のポイントで減少するように変化するように構成されている集積回路。
【請求項6】
光学フィルタの場所は、光学センサが低感度である波長についての光学フィルタを、入射する照明がより高い強度を有する場所に配置するようにしている請求項5記載の集積回路。
【請求項7】
該場所は、第1スペクトル範囲についての検出が可能になる異なる厚さを有する隣接した光学フィルタの集団を提供し、第2スペクトル範囲についての検出が可能になる異なる厚さを有する隣りの集団を提供し、第1スペクトル範囲および第2スペクトル範囲は重なるように配置されている請求項5または6記載の集積回路。
【請求項8】
センサの少なくとも幾つかがグループごとに配置され、それぞれ光学フィルタの対応する1つからの光を受けるものであり、
読み出し回路は、グループの個々の1つのセンサと接続された少なくとも1つの出力回路を備え、
集積回路は、光学フィルタの異なるものに対応した異なるグループの読み出し信号の間で選択し又は補間するための波長セレクタを備え、特定の光学波長に対応して同調したこれらのグループについての出力を供給するようにした請求項5〜7のいずれかに記載の集積回路。
【請求項9】
光学フィルタの各々は、集積回路を横断するストリップとしてのレイアウトを有し、
光学フィルタの個々についてのセンサのグループは、対応するストリップとして延びるレイアウトを有する請求項5〜8のいずれかに記載の集積回路。
【請求項10】
該場所は、光学フィルタの所定の1つに、両方ともより厚いまたはより薄い隣接するストリップを設けて、それぞれ谷または尾根の構造をそれぞれ提供するように配置される請求項5〜9のいずれかに記載の集積回路。
【請求項11】
光学フィルタの厚さは、光学フィルタアレイ全体で異なる場所で光の異なる入射角を補償するように構成される請求項5〜10のいずれかに記載の集積回路。
【請求項12】
該場所は、光学フィルタの集団を提供するように配置され、
各集団は、隣接した波長の範囲をカバーし、隣接した集団は、重なり合う波長範囲を有しており、
読み出し回路は、集団の異なる光学フィルタの対応する画素の読み出し信号の間で選択し又は補間するための波長セレクタを備え、
波長セレクタは、共通の選択または補間動作を適用して、センサアレイの全体出力の波長測定をシフトさせるように構成されている請求項5〜11のいずれかに記載の集積回路。
【請求項13】
イメージングシステム用の集積回路であって、
光学または赤外のセンサアレイと、ある波長帯域を1つ又はそれ以上のセンサに向けて通過させるようにそれぞれ構成された光学フィルタアレイと、センサアレイから画素値を読み出して画像を表現する読み出し回路とを有し、
光学フィルタの異なるものが異なる厚さを有するように構成され、干渉を用いて異なる波長帯域を通過させて、波長スペクトルの検出を可能にし、
光学フィルタの各々は、集積回路を横断するストリップとしてのレイアウトを有し、
光学フィルタの個々についてのセンサのグループは、対応するストリップとして延びるレイアウトを有し、
個々の光学フィルタの厚さは、ストリップに沿って異なる場所で光の異なる入射角を補償するように、ストリップの長さに沿って構成されている集積回路。
【請求項14】
イメージングシステム用の集積回路であって、
光学センサアレイと、ある波長帯域を1つ又はそれ以上のセンサに向けて通過させるようにそれぞれ構成され、光学センサアレイと一体化した光学フィルタアレイとを有し、
集積回路は、センサアレイから画素値を読み出して画像を表現する読み出し回路を有し、
光学フィルタの異なるものが異なる厚さを有するように構成され、干渉を用いて異なる波長帯域を通過させて、波長スペクトルの検出を可能にし、
読み出し回路は、異なる光学フィルタの対応する画素の読み出し信号の間で選択し又は組み合わせるための波長セレクタを備え、特定の光学波長に対応した出力に同調させるようにした集積回路。
【請求項15】
波長セレクタは、光学フィルタアレイに設けられた異なる光学フィルタの量より比例的に少ない波長を表す信号を出力して、比例的なスペクトル・サブサンプリングを提供するように構成される請求項14記載の集積回路。
【請求項16】
波長セレクタは、光学フィルタアレイに設けられた異なる光学フィルタの量と同様な複数の波長を表す信号を出力して、出力信号について波長測定でのシフトを提供するように構成される請求項14または15記載の集積回路。
【請求項17】
波長セレクタは、シフト量を光学フィルタアレイでの場所に従って変化させて、異なる場所での光学フィルタ厚さの製造変動を補償するように構成される請求項16記載の集積回路。
【請求項18】
センサの少なくとも幾つかが、光学フィルタの同じものの下方にグループで配置されており、
当該グループについての読み出し回路は、当該グループのセンサの異なるものとそれぞれ接続された2つ又はそれ以上の出力回路を備え、当該グループの複数の画素が出力回路から並列で読み出し可能であるようにした請求項14〜17のいずれかに記載の集積回路。
【請求項19】
光学フィルタの各々は、集積回路を横断するストリップとしてのレイアウトを有し、
光学フィルタの個々についてのセンサのグループは、対応するストリップとして延びるレイアウトを有する請求項14〜18のいずれかに記載の集積回路。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の集積回路と、
画像を表す画素値を受信するように接続され、受信した画像の画像処理したバージョンを出力する外部の画像処理部とを有するイメージングシステム。
【請求項21】
イメージングシステムは、集積回路および撮像物体の相対運動によって、物体の画像立方体を生成し保存するように構成され、画像立方体はx,y空間次元とスペクトル次元を有するものである請求項20記載のイメージングシステム。
【請求項22】
イメージングシステムは、波長選択または波長組合せ画像処理機能を適用して、画像立方体をスペクトル次元でサブサンプリングするように構成される請求項20または21記載のイメージングシステム。
【請求項23】
イメージングシステムは、波長選択または波長組合せ画像処理機能を適用して、画像立方体をスペクトル次元でシフトするように構成される請求項20または21記載のイメージングシステム。
【請求項24】
イメージングシステムは、光学フィルタアレイでの場所に従って、スペクトルシフト量を変化させるように構成される請求項23記載のイメージングシステム。
【請求項25】
場所に係る変動は、異なる場所での光学フィルタ厚さの製造変動、光学フィルタを通る光学経路の入射角の変動による歪み、より高い次数の除去、他の光学コンポーネントからの歪みのうちのいずれか1つ又はそれ以上を補償するのに適している請求項24記載のイメージングシステム。
【請求項26】
イメージングシステムは、対物レンズ、スリット、コリメータのいずれか1つ又はそれ以上を、光学フィルタアレイに導く光学経路に有する請求項20〜25のいずれかに記載のイメージングシステム。
【請求項27】
光学フィルタの少なくとも幾つかは、より高い次数の干渉を区別するのに適した厚さを有し、
画像プロセッサは、これらの光学フィルタによって区別されるより高い次数の干渉の量に従って、画像表現の残余においてより高い次数の干渉効果を補償するように構成される請求項20〜26のいずれかに記載のイメージングシステム。
【請求項28】
請求項20〜27のいずれかに記載のイメージングシステムおよび、光学センサアレイの上部にモノリシックに一体化した光学フィルタアレイ。
【請求項29】
請求項20〜28のいずれかに記載のイメージングシステムを動作させて、出力
画像を生成する方法。
【請求項1】
イメージングシステム用の集積回路であって、
光学センサアレイと、ある波長帯域を1つ又はそれ以上のセンサに向けて通過させるようにそれぞれ構成された光学フィルタアレイとを有し、
光学フィルタアレイは、センサアレイと一体化しており、
集積回路は、センサアレイから画素値を読み出して画像を表現する読み出し回路を有し、
光学フィルタの異なるものが異なる厚さを有するように構成され、干渉を用いて異なる波長帯域を通過させて、波長スペクトルの検出を可能にし、
センサの少なくとも幾つかが、光学フィルタの同じものの下方にグループで配置されており、
当該グループについての読み出し回路は、当該グループのセンサの異なるものとそれぞれ接続された2つ又はそれ以上の出力回路を備え、当該グループの複数の画素が出力回路から並列で読み出し可能であるようにした集積回路。
【請求項2】
光学フィルタの各々は、集積回路を横断するストリップとしてのレイアウトを有し、
光学フィルタの個々についてのセンサのグループは、対応するストリップとして延びるレイアウトを有する請求項1記載の集積回路。
【請求項3】
センサのグループは、ストリップのレイアウトに対応する2つ又はそれ以上のラインのセンサとして構成されたレイアウトを有し、
センサのラインの各々は、出力回路の異なるものと接続されている請求項1または2記載の集積回路。
【請求項4】
読み出し回路は、異なる光学フィルタの対応する画素の読み出し信号の間で選択しまたは組み合わせて、特定の波長に対応した出力に同調する波長セレクタを有する請求項1〜3のいずれかに記載の集積回路。
【請求項5】
イメージングシステム用の集積回路であって、
光学センサアレイと、ある波長帯域を1つ又はそれ以上のセンサに向けて通過させるようにそれぞれ構成され、光学センサアレイと一体化した光学フィルタアレイとを有し、
集積回路は、センサアレイから画素値を読み出して画像を表現する読み出し回路を有し、
光学フィルタの異なるものが異なる厚さを有するように構成され、干渉を用いて異なる波長帯域を通過させて、波長スペクトルの検出を可能にし、
光学フィルタの異なるものの場所が配置されて、光学フィルタアレイを横断する異なるフィルタのラインに沿って、その厚さが幾つかのポイントで増加し、他のポイントで減少するように変化するように構成されている集積回路。
【請求項6】
光学フィルタの場所は、光学センサが低感度である波長についての光学フィルタを、入射する照明がより高い強度を有する場所に配置するようにしている請求項5記載の集積回路。
【請求項7】
該場所は、第1スペクトル範囲についての検出が可能になる異なる厚さを有する隣接した光学フィルタの集団を提供し、第2スペクトル範囲についての検出が可能になる異なる厚さを有する隣りの集団を提供し、第1スペクトル範囲および第2スペクトル範囲は重なるように配置されている請求項5または6記載の集積回路。
【請求項8】
センサの少なくとも幾つかがグループごとに配置され、それぞれ光学フィルタの対応する1つからの光を受けるものであり、
読み出し回路は、グループの個々の1つのセンサと接続された少なくとも1つの出力回路を備え、
集積回路は、光学フィルタの異なるものに対応した異なるグループの読み出し信号の間で選択し又は補間するための波長セレクタを備え、特定の光学波長に対応して同調したこれらのグループについての出力を供給するようにした請求項5〜7のいずれかに記載の集積回路。
【請求項9】
光学フィルタの各々は、集積回路を横断するストリップとしてのレイアウトを有し、
光学フィルタの個々についてのセンサのグループは、対応するストリップとして延びるレイアウトを有する請求項5〜8のいずれかに記載の集積回路。
【請求項10】
該場所は、光学フィルタの所定の1つに、両方ともより厚いまたはより薄い隣接するストリップを設けて、それぞれ谷または尾根の構造をそれぞれ提供するように配置される請求項5〜9のいずれかに記載の集積回路。
【請求項11】
光学フィルタの厚さは、光学フィルタアレイ全体で異なる場所で光の異なる入射角を補償するように構成される請求項5〜10のいずれかに記載の集積回路。
【請求項12】
該場所は、光学フィルタの集団を提供するように配置され、
各集団は、隣接した波長の範囲をカバーし、隣接した集団は、重なり合う波長範囲を有しており、
読み出し回路は、集団の異なる光学フィルタの対応する画素の読み出し信号の間で選択し又は補間するための波長セレクタを備え、
波長セレクタは、共通の選択または補間動作を適用して、センサアレイの全体出力の波長測定をシフトさせるように構成されている請求項5〜11のいずれかに記載の集積回路。
【請求項13】
イメージングシステム用の集積回路であって、
光学または赤外のセンサアレイと、ある波長帯域を1つ又はそれ以上のセンサに向けて通過させるようにそれぞれ構成された光学フィルタアレイと、センサアレイから画素値を読み出して画像を表現する読み出し回路とを有し、
光学フィルタの異なるものが異なる厚さを有するように構成され、干渉を用いて異なる波長帯域を通過させて、波長スペクトルの検出を可能にし、
光学フィルタの各々は、集積回路を横断するストリップとしてのレイアウトを有し、
光学フィルタの個々についてのセンサのグループは、対応するストリップとして延びるレイアウトを有し、
個々の光学フィルタの厚さは、ストリップに沿って異なる場所で光の異なる入射角を補償するように、ストリップの長さに沿って構成されている集積回路。
【請求項14】
イメージングシステム用の集積回路であって、
光学センサアレイと、ある波長帯域を1つ又はそれ以上のセンサに向けて通過させるようにそれぞれ構成され、光学センサアレイと一体化した光学フィルタアレイとを有し、
集積回路は、センサアレイから画素値を読み出して画像を表現する読み出し回路を有し、
光学フィルタの異なるものが異なる厚さを有するように構成され、干渉を用いて異なる波長帯域を通過させて、波長スペクトルの検出を可能にし、
読み出し回路は、異なる光学フィルタの対応する画素の読み出し信号の間で選択し又は組み合わせるための波長セレクタを備え、特定の光学波長に対応した出力に同調させるようにした集積回路。
【請求項15】
波長セレクタは、光学フィルタアレイに設けられた異なる光学フィルタの量より比例的に少ない波長を表す信号を出力して、比例的なスペクトル・サブサンプリングを提供するように構成される請求項14記載の集積回路。
【請求項16】
波長セレクタは、光学フィルタアレイに設けられた異なる光学フィルタの量と同様な複数の波長を表す信号を出力して、出力信号について波長測定でのシフトを提供するように構成される請求項14または15記載の集積回路。
【請求項17】
波長セレクタは、シフト量を光学フィルタアレイでの場所に従って変化させて、異なる場所での光学フィルタ厚さの製造変動を補償するように構成される請求項16記載の集積回路。
【請求項18】
センサの少なくとも幾つかが、光学フィルタの同じものの下方にグループで配置されており、
当該グループについての読み出し回路は、当該グループのセンサの異なるものとそれぞれ接続された2つ又はそれ以上の出力回路を備え、当該グループの複数の画素が出力回路から並列で読み出し可能であるようにした請求項14〜17のいずれかに記載の集積回路。
【請求項19】
光学フィルタの各々は、集積回路を横断するストリップとしてのレイアウトを有し、
光学フィルタの個々についてのセンサのグループは、対応するストリップとして延びるレイアウトを有する請求項14〜18のいずれかに記載の集積回路。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の集積回路と、
画像を表す画素値を受信するように接続され、受信した画像の画像処理したバージョンを出力する外部の画像処理部とを有するイメージングシステム。
【請求項21】
イメージングシステムは、集積回路および撮像物体の相対運動によって、物体の画像立方体を生成し保存するように構成され、画像立方体はx,y空間次元とスペクトル次元を有するものである請求項20記載のイメージングシステム。
【請求項22】
イメージングシステムは、波長選択または波長組合せ画像処理機能を適用して、画像立方体をスペクトル次元でサブサンプリングするように構成される請求項20または21記載のイメージングシステム。
【請求項23】
イメージングシステムは、波長選択または波長組合せ画像処理機能を適用して、画像立方体をスペクトル次元でシフトするように構成される請求項20または21記載のイメージングシステム。
【請求項24】
イメージングシステムは、光学フィルタアレイでの場所に従って、スペクトルシフト量を変化させるように構成される請求項23記載のイメージングシステム。
【請求項25】
場所に係る変動は、異なる場所での光学フィルタ厚さの製造変動、光学フィルタを通る光学経路の入射角の変動による歪み、より高い次数の除去、他の光学コンポーネントからの歪みのうちのいずれか1つ又はそれ以上を補償するのに適している請求項24記載のイメージングシステム。
【請求項26】
イメージングシステムは、対物レンズ、スリット、コリメータのいずれか1つ又はそれ以上を、光学フィルタアレイに導く光学経路に有する請求項20〜25のいずれかに記載のイメージングシステム。
【請求項27】
光学フィルタの少なくとも幾つかは、より高い次数の干渉を区別するのに適した厚さを有し、
画像プロセッサは、これらの光学フィルタによって区別されるより高い次数の干渉の量に従って、画像表現の残余においてより高い次数の干渉効果を補償するように構成される請求項20〜26のいずれかに記載のイメージングシステム。
【請求項28】
請求項20〜27のいずれかに記載のイメージングシステムおよび、光学センサアレイの上部にモノリシックに一体化した光学フィルタアレイ。
【請求項29】
請求項20〜28のいずれかに記載のイメージングシステムを動作させて、出力
画像を生成する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図7e】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22a】
【図22b】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図7e】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22a】
【図22b】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2013−512445(P2013−512445A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541470(P2012−541470)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068575
【国際公開番号】WO2011/064403
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ペンティアム
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068575
【国際公開番号】WO2011/064403
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ペンティアム
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【Fターム(参考)】
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