スペクトル情報測定方法、カラーセンサおよびバーチャルスライド装置
【課題】被写体のスペクトル情報をより正確に取得することができる。
【解決手段】試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する画素111−6に、電荷を所定の測定時間蓄積するように制御するステップと、試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて電荷を蓄積する複数の画素111−1〜111−5に、電荷を所定の測定時間蓄積するように制御するステップと、所定の測定時間に画素111−6が蓄積する電荷の変化量から、基準信号を生成し出力するステップと、所定の測定時間に複数の画素111−1〜111−5が蓄積する電荷の変化量から、複数の測定信号を生成し出力するステップと、複数の測定信号のいずれか1つ以上が基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定するステップと、を有する。
【解決手段】試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する画素111−6に、電荷を所定の測定時間蓄積するように制御するステップと、試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて電荷を蓄積する複数の画素111−1〜111−5に、電荷を所定の測定時間蓄積するように制御するステップと、所定の測定時間に画素111−6が蓄積する電荷の変化量から、基準信号を生成し出力するステップと、所定の測定時間に複数の画素111−1〜111−5が蓄積する電荷の変化量から、複数の測定信号を生成し出力するステップと、複数の測定信号のいずれか1つ以上が基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定するステップと、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル情報測定方法、カラーセンサおよびバーチャルスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料のスペクトル情報を取得するためのカラーセンサの読み出し回路の例として、スイッチングノイズを除去しながら高感度で読み出す読み出し回路の例が知られている(例えば、特許文献1参照)。以下、図8を参照して、従来知られている固体撮像装置の構成を説明する。図8は、従来知られている固体撮像装置の構成を示した概略図である。図示する例では、固体撮像装置100は、積分回路部B1と、CDS(Correlated Double Sampling)回路部B2と、S/H(Sample Hold)回路部B3とから構成されている。
【0003】
積分回路部B1は、光を受光して光電流を生成するためのフォトダイオード10のアノードを演算増幅器50の非反転入力端子に、カソードを反転入力端子に接続し、演算増幅器50の非反転入力端子は基準電圧源20に接続する。また、演算増幅器50の反転入力端子と出力端子の間に光電流を蓄積するための積分コンデンサ40と積分時間を制御するためのスイッチング手段30を並列に接続する。
【0004】
CDS回路部B2は、容量素子60の一端を、画素部B1を構成する演算増幅器50の出力端子に、他端を演算増幅器90の反転入力端子に接続し、演算増幅器90の非反転入力端子を基準電圧源70に接続する、また、容量素子80の一端を演算増幅器90の反転入力端子に、他端をスイッチング手段120の一端とスイッチング手段140の一端とに接続する。また、スイッチング手段120の他端を基準電圧源130に接続し、スイッチング手段140の他端を演算増幅器90の出力端子に接続する。また、スイッチング手段110の一端を容量素子80の一端と演算増幅器90の反転入力端子と容量素子60の接続点に、他端を演算増幅器90の出力端子に接続する。
【0005】
S/H回路部B3は、スイッチング手段150の一端を、CDS回路部B2を構成する演算増幅器90の出力端子に、他端を演算増幅器170の非反転入力端子に接続し、サンプルホールド用の容量素子160の一端を演算増幅器170の非反転入力端子に、他端を接地する。また、演算増幅器170の反転入力端子と出力端子に接続し、演算増幅器170の出力端子には信号出力端子180を接続する。
【0006】
次に、図9のタイミングチャートを参照しながら、固体撮像装置の動作について説明する。図9は、従来知られている固体撮像装置100の動作タイミングを示したタイミングチャートである。このタイミングチャートのスイッチング手段のチャート上では、Highの区間で各スイッチング手段を導通状態にし、Lowレベルで非導通状態にする。また、φRはスイッチング手段30のスイッチ制御タイミングを示し、φRCはスイッチング手段110、120のスイッチ制御タイミングを示し、φTはスイッチング手段140のスイッチ制御タイミングを示し、φSHはスイッチング手段150のスイッチ制御タイミングを示す。また、電圧V1は演算増幅器50の出力端子の電圧を示し、電圧V2は演算増幅器90の出力端子の電圧を示し、電圧Voutは信号出力端子180の電圧を示す。また、時間軸方向には期間T1〜T4の4つの期間に区分されている。
【0007】
期間T1はリセット期間であり、φR、φRC、φSHはHigh状態に設定し、φTはLow状態に設定する。期間T1では、電圧V1は基準電圧源20の電圧Vr1になり、電圧V2は基準電圧源70の電圧Vr2になり、電圧VoutはCDS回路部B2の出力端子の電圧Vr2に等しくなる。
【0008】
期間T2では、φRC、φSHはHigh状態に設定し、φR、φTはLow状態に設定する。フォトダイオード10で発生した光電流を容量素子40に蓄積する。この時、φRCをHigh状態に設定し始めた時間からの経過期間をTINTGWとすると、画素部B1の出力端子の電圧V1は下式(1)で示される。
V1=Vr1+(Ipd×TINTGW)/C0 ・・・(1)
ここで、容量素子40の容量値をC0、フォトダイオード10で発生した光電流量をIpd、基準電圧源20の電圧をVr1とした。
【0009】
しかし、実際にはスイッチング手段30のスイッチ動作に起因するクロックフィールドスルーが画素部B1の出力端子の電圧V1に重畳される。結果として電圧V1は式(2)のようになる。
V1=Vr1+(Ipd×TINTGW)/C0+Vn ・・・(2)
ここで、クロックフィールドスルー分の電圧変化をVnとした。
【0010】
期間T3では、φT、φSHはHigh状態に設定し、φR、φRCはLow状態に設定する。このとき、画素部B1の出力端子の電圧V1は式(3)で表すことができる。
V1=Vr1+(Ipd×TINTG)/C0+Vn ・・・(3)
ここで、φR、φRCをLow状態に設定し始めた時間からの経過期間をTINTとした。
【0011】
この期間で、スイッチング手段140、150が導通状態、スイッチング手段110、120が非導通状態になり、CDS回路部B2の出力端子の電圧V2は一旦、基準電圧源130の電圧Vr3になる。その後、演算増幅器90、容量素子60、80により電荷増幅回路が構成されているためCDS回路部B2の出力端子の電圧V2は式(4)で表すことができる。
V2=Vr3−(C1/C2)×(Ipd×TINTG)/C0 ・・・(4)
ここで、容量素子60の容量値をC1、容量素子80の容量値をC2とした。
【0012】
この期間、スイッチング手段150が導通状態となり演算増幅器170はボルテージフォロワ回路を構成し、信号出力端子180の電圧VoutはCDS回路部B2の出力端子の電圧V2と同じ電圧になる。よって、信号出力端子180の電圧Voutは下式(5)のようになる。
Vout=Vr3−(C1/C2)×(Ipd×TINTG)/C0 ・・・(5)
この期間の動作により、スイッチング手段30のスイッチ動作に起因するクロックフィードスルー電圧Vnを除去することができる。
【0013】
期間T4では、φR、φRCはHigh状態に設定し、φT、φSHはLow状態に設定する。スイッチング手段150が非導通状態となり、信号出力端子180に式(5)で示した電圧が保持される。CDS回路部B2の容量素子の容量比で増幅して信号を読み出すことが出来る。また、CDS回路部B2の相関二重読出しにより画素部B1の容量素子40に接続されたスイッチング手段30のスイッチ動作に起因するリセットノイズを除去することができる。
【0014】
また、従来知られている固体撮像装置をカラーセンサに応用することができる。図10は、従来知られている固体撮像装置を応用したカラーセンサの構成を示した概略図である。図示するカラーセンサ200において、従来知られている固体撮像装置100の積分回路部B1に対応する回路を積分回路部B10として示しており、従来知られている固体撮像装置100のCDS回路部B2に対応する回路をゲイン回路B20として示している。なお、従来知られているS/H回路部B3に対応する回路については図示していない。
【0015】
図示する例では、カラーセンサ200は、積分回路部B10−1〜B10−6と、ゲイン回路B20−1〜B20−6と、積分時間演算部38−1〜38−6と、ゲイン演算部39−1〜39−6と、駆動制御回路310とを備えている。また、積分回路部B10−1〜B10−6は、被写体のスペクトル情報をそれぞれの波長透過帯にわけて検出する画素31−1〜31−6と、基準電圧端子32−1〜32−6と、スイッチ素子33−1〜33−6と、容量素子34−1〜34−6と、演算増幅器35−1〜35−6とを備えている。なお、基準電圧端子32−1〜32−6と、スイッチ素子33−1〜33−6と、容量素子34−1〜34−6と、演算増幅器35−1〜35−6とで構成される部分を読み出し回路30−1〜30−6と呼ぶ。
【0016】
また、図示する例は、積分回路部B10−1〜B10−6が備える画素31−1〜31−6が、紫色、青色、緑色、黄色、赤色、橙色の6色を検出する例を示している。具体的には、積分回路部B10−1が備える画素31−1は紫色の光を検出する画素である。また、積分回路部B10−2が備える画素31−2は青色の光を検出する画素である。また、積分回路部B10−3が備える画素31−3は緑色の光を検出する画素である。また、積分回路部B10−4が備える画素31−4は黄色の光を検出する画素である。また、積分回路部B10−5が備える画素31−5は赤色の光を検出する。また、積分回路部B10−6が備える画素31−6は橙色の光を検出する。
【0017】
カラーセンサ200は、被写体からの光を、画素31−1〜31−6に入射して、基準電圧端子32−1〜32−6に印加された基準電圧を基準にスイッチ素子33−1〜33−6で積分時間を制御し、容量素子34−1〜34−6で光電流に応じた電圧変化として積分し、演算増幅器35−1〜35−6の出力端子に出力する。
【0018】
また、カラーセンサ200は、演算増幅器35−1〜35−6の出力端子の出力変化をゲイン回路36−1〜36−6で増幅して読み出す。なお、積分回路部B10−1〜B10−6のそれぞれの積分時間は、駆動制御回路310から送られた情報により、積分時間演算部38−1〜38−6が計算する。また、ゲイン回路36−1〜36−6のそれぞれのゲインは、駆動制御回路310から送られた情報により、ゲイン演算部39−1〜39−6が計算する。これにより、積分時間演算部38−1〜38−6と、ゲイン演算部39−1〜39−6とにより設定された積分時間とゲインとで、出力端子37−1〜37−6から出力信号が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2007−336157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
次に、マルチバンドカラーセンサの分光特性について説明する。図11は、試料のスペクトル情報を検出するために、光センサの受光素子(フォトダイオード、画素)の前面にカラーフィルタを塗布して構成したマルチバンドカラーセンサの分光特性を示したグラフである。図示するグラフは、紫色の光を検出する光センサの前面に塗布されたカラーフィルタの透過率を示した曲線2001と、青色の光を検出する光センサの前面に塗布されたカラーフィルタの透過率を示した曲線2002と、緑色の光を検出する光センサの前面に塗布されたカラーフィルタの透過率を示した曲線2003と、黄色の光を検出する光センサの前面に塗布されたカラーフィルタの透過率を示した曲線2004と、赤色の光を検出する光センサの前面に塗布されたカラーフィルタの透過率を示した曲線2005とを示している。このように、検出する光の色に応じて、各カラーフィルタを透過する光の波長は異なる。
【0021】
図12は、従来知られている固体撮像装置を応用したカラーセンサ200の動作タイミングを示したタイミングチャートである。図12(1)は、カラーセンサ200が正常にスペクトル情報を取得できたときのタイミングチャートである。図12(2)は、カラーセンサ200に一定光量以上の光が入射した場合のタイミングチャートである。
【0022】
カラーセンサ200に入射する光が一定光量未満であれば、図9に示した従来知られている固体撮像装置100の動作タイミングを示したタイミングチャートを使って述べた説明と同様に、図12(1)に示したようにカラーセンサ200は、正常にスペクトル情報を取得することができる。
【0023】
しかしながら、図11に示したような分光特性をもったセンサで、特定の画素に一定光量以上の光が入射する場合、図12(2)に示したようにT2の期間でV1が飽和してしまう。このとき、最終的な出力電圧V2は、T3の期間に電圧変化がないためゼロになり、誤った値になる。これでは、入射した波長成分が少なくて電圧変化がゼロで基準電圧の出力がでてくるのか、一定光量以上の光が入射したことでT2期間に飽和して基準電圧の出力が出てくるのを判別することは出来ない。
【0024】
図13は、カラーセンサ200に一定光量以上の光が入射したときに、ゲイン回路36−1〜36−6の出力がゼロになってしまう場合の光量と出力との関係を示したグラフである。図示するグラフの横軸は光量を示し、縦軸はゲイン回路36−1〜36−6の出力を示す。図示するように、カラーセンサ200のある画素に入射した波長成分の光の量が一定光量以上になると、ゲイン回路36−1〜36−6の出力は、点線で示した飽和レベルの出力は得られずに、実線で示したように飽和出力ではなく入射光量がゼロになってしまう。そのため、カラーセンサ200はスペクトル情報を誤って取得してしまい、正確なスペクトル情報を取得することができないという問題がある。
【0025】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、被写体のスペクトル情報をより正確に取得することができるスペクトル情報測定方法、カラーセンサおよびバーチャルスライド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素に、前記電荷を所定の測定時間蓄積するように制御するステップと、前記試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて前記電荷を蓄積する複数の測定画素に、前記電荷を前記所定の測定時間蓄積するように制御するステップと、前記所定の測定時間に前記基準画素が蓄積する前記電荷の変化量から、基準信号を生成し出力するステップと、前記所定の測定時間に前記複数の測定画素が蓄積する前記電荷の変化量から、複数の測定信号を生成し出力するステップと、前記複数の測定信号のいずれか1つ以上が前記基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定するステップと、を有することを特徴とするスペクトル情報測定方法である。
【0027】
また、本発明は、前記基準信号と前記複数の測定信号とが全て所定の値以下の場合、前記複数の測定信号はいずれも最小値出力であると判定するステップを有することを特徴とするスペクトル情報測定方法である。
【0028】
また、本発明のスペクトル情報測定方法において、前記所定の値はゼロであることを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、前記複数の測定信号に前記飽和出力が含まれると判定された場合、前記基準信号および前記複数の測定信号を破棄し、前記基準画素および前記複数の測定画素の感度を下げるステップを有することを特徴とするスペクトル情報測定方法である。
【0030】
また、本発明は、前記複数の測定信号に前記最小値出力が含まれると判定された場合、前記基準信号および前回複数の測定信号を破棄し、前記基準画素および前記複数の測定画素の感度を上げるステップを有することを特徴とするスペクトル情報測定方法である。
【0031】
また、本発明は、試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素と、前記試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて電荷を蓄積する複数の測定画素と、前記電荷を所定の測定時間蓄積するように前記基準画素と前記複数の測定画素とを制御する駆動制御回路と、前記所定の測定時間に前記基準画素が蓄積する前記電荷の変化量から、基準信号を生成し出力する基準信号生成回路と、前記所定の測定時間に前記複数の測定画素が蓄積する前記電荷の変化量から、測定信号を生成し出力する複数の測定信号生成回路と、前記複数の測定信号生成回路が出力する複数の前記測定信号のいずれか1つ以上が前記基準信号生成回路が出力する前記基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定する飽和判定部と、を備えることを特徴とするカラーセンサである。
【0032】
また、本発明は、試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素と、前記試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて電荷を蓄積する複数の測定画素と、前記電荷を所定の測定時間蓄積するように前記基準画素と前記複数の測定画素とを制御する駆動制御回路と、前記所定の測定時間に前記基準画素が蓄積する前記電荷の変化量から、基準信号を生成し出力する基準信号生成回路と、前記所定の測定時間に前記複数の測定画素が蓄積する前記電荷の変化量から、測定信号を生成し出力する複数の測定信号生成回路と、前記複数の測定信号生成回路が出力する複数の前記測定信号のいずれか1つ以上が前記基準信号生成回路が出力する前記基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定する飽和判定部と、を備えるカラーセンサと、前記試料から入射される入射光に基づいて、当該試料の画像を撮像するイメージセンサと、前記カラーセンサが取得した複数の前記測定信号に基づいて、前記イメージセンサが撮像する前記試料の画像の画像処理を行う画像処理部と、を備えたことを特徴とするバーチャルスライド装置である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素に、電荷を所定の測定時間蓄積するように制御する。また、試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて電荷を蓄積する複数の測定画素に、電荷を所定の測定時間蓄積するように制御する。そして、基準画素に蓄積される電荷の所定の測定時間の変化量から、基準信号を生成し出力する。また、複数の測定画素に蓄積される電荷の所定の測定時間の変化量から、複数の測定信号を生成し出力する。そして、複数の測定信号のいずれか1つ以上が基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定する。これにより、測定信号に飽和出力が含まれているか否かを判定することができるため、被写体のスペクトル情報をより正確に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるカラーセンサの構成を示した概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるカラーセンサが備える画素の配置を示した概略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における画素の分光特性を示したグラフである。
【図4】本発明の第1の実施形態における積分回路部の出力電圧値と出力電圧値の変化を示したグラフである。
【図5】本発明の第1の実施形態における飽和判定部の飽和判定処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態における飽和判定部の飽和判定処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図7】本発明の第5の実施形態におけるバーチャルスライド装置の構成を示したブロック図である。
【図8】従来知られている固体撮像装置の構成を示した概略図である。
【図9】従来知られている固体撮像装置の動作タイミングを示したタイミングチャートである。
【図10】従来知られている固体撮像装置を応用したカラーセンサの構成を示した概略図である。
【図11】従来知られているマルチバンドカラーセンサの分光特性を示したグラフである。
【図12】従来知られている固体撮像装置を応用したカラーセンサの動作タイミングを示したタイミングチャートである。
【図13】従来知られているカラーセンサに一定光量以上の光が入射したときに、ゲイン回路の出力がゼロになってしまう場合の光量と出力との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態におけるカラーセンサ1の構成を示した概略図である。図示する例では、カラーセンサ1は、積分回路部11−1〜11−6と、ゲイン回路12−1〜12−6と、積分時間演算部13−1〜13−6と、ゲイン演算部14−1〜14−6と、駆動制御回路15と、飽和判定部16と、出力端子17−1〜17−6とを備えている。
【0036】
また、積分回路部11−1〜11−5は、被写体のスペクトル情報をそれぞれの波長透過帯にわけて検出する画素111−1〜111−5(測定画素)と、基準電圧端子112−1〜112−5と、スイッチ素子113−1〜113−5と、容量素子114−1〜114−5と、演算増幅器115−1〜115−5とを備えている。また、積分回路部11−6は、被写体からの光を検出する画素111−6(基準画素)と、基準電圧端子112−6と、スイッチ素子113−6と、容量素子114−6と、演算増幅器115−6とを備えている。なお、基準電圧端子112−1〜112−6と、スイッチ素子113−1〜113−6と、容量素子114−1〜114−6と、演算増幅器115−1〜115−6とで構成される部分を読み出し回路110−1〜110−6と呼ぶ。
【0037】
また、積分回路部11−1が備える画素111−1は、紫色の光を検出するように紫色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、積分回路部11−2が備える画素111−2は、青色の光を検出するように青色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、積分回路部11−3が備える画素111−3は、緑色の光を検出するように緑色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、積分回路部11−4が備える画素111−4は、黄色の光を検出するように黄色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、積分回路部11−5が備える画素111−5、赤色の光を検出するように赤色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、積分回路部11−6が備える画素111−6は、全ての光を検出するように、フィルタが塗布されていない画素である。
【0038】
カラーセンサ1は、被写体(試料)からの光を、画素111−1〜111−6に入射して、基準電圧端子112−1〜112−6に印加された基準電圧を基準にスイッチ素子113−1〜113−6で積分時間(所定の測定時間)を制御し、容量素子114−1〜114−6で光電流に応じた電圧変化として積分し、演算増幅器115−1〜115−6の出力端子に出力する。この出力は、画素111−1〜111−5に入射した光量に応じた電圧の変化である。
【0039】
また、カラーセンサ1は、演算増幅器115−1〜115−5の出力端子の出力変化を、ゲイン回路12−1〜12−5(測定信号生成回路)でスイッチングノイズを除去しつつ出力変化を増幅して読み出す。また、カラーセンサ1は、演算増幅器115−6の出力端子の出力変化を、ゲイン回路12−6(基準信号生成回路)でスイッチングノイズを除去しつつ出力変化を増幅して読み出す。
【0040】
なお、積分回路部11−1〜11−6のそれぞれの積分時間は、駆動制御回路15から送られた情報により、積分時間演算部13−1〜13−6が計算する。また、ゲイン回路12−1〜12−6のそれぞれのゲインは、駆動制御回路15から送られた情報により、ゲイン演算部14−1〜14−6が計算する。これにより、積分時間演算部13−1〜13−6と、ゲイン演算部14−1〜14−6とにより設定された積分時間とゲインとに応じた出力信号が、出力端子17−1〜17−6から出力される。
【0041】
また、ゲイン回路12−1〜12−6の出力端子は飽和判定部16に接続され、ゲイン回路12−1〜12−6の出力信号が飽和判定部16に入力される。飽和判定部16は、入力されたゲイン回路12−1〜12−5の出力信号(測定信号)と、ゲイン回路12−6の出力信号(基準信号)とに基づいて、積分回路部11−1〜11−6は飽和状態であるか否かを判定する飽和判定処理を行う。なお、飽和状態とは、カラーセンサ1に入射した波長成分の光の量が一定光量以上であり、積分回路部11−1〜11−6が検知できる光量を超え、積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値が飽和した状態である。また、このときの積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値を飽和出力とする。また、飽和判定処理の処理手順については後述する。駆動制御回路15は、カラーセンサ1が備える各部の制御を行う。この構成により、カラーセンサ1は、ゲイン回路12−1〜12−5の出力信号に基づいて被写体のスペクトル情報を取得することができる。
【0042】
図2は、本実施形態のカラーセンサ1が備える画素111−1〜111−6の配置を示した概略図である。図示する例では、全ての光を検出するようにフィルタが塗布されていない画素111−6が上段左に配置されている。また、紫色の光を検出するように紫色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−1が上段右に配置されている。また、青色の光を検出するように青色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−2が上段中央に配置されている。また、緑色の光を検出するように緑色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−3が下段中央に配置されている。また、黄色の光を検出するように黄色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−4が下段右に配置されている。また、赤色の光を検出するように赤色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−5が下段左に配置されている。なお、画素111−1〜111−6の配置は図示する配置に限らず、任意の配置としてもよい。
【0043】
次に、画素111−1〜111−6の分光特性について説明する。図3は、本実施形態の画素111−1〜111−6の分光特性を示したグラフである。図示するグラフは、紫色の光を検出する画素111−1に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1001と、青色の光を検出する画素111−2に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1002と、緑色の光を検出する画素111−3に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1003と、黄色の光を検出する画素111−4に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1004と、赤色の光を検出する画素111−5に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1005と、フィルタが塗布されていない場合の光の透過率を示した曲線1006とを示している。このように、各カラーフィルタを透過する光の波長は異なる。また、フィルタが塗布されていない場合の光の透過率は、フィルタが塗布されている場合の透過率よりも全ての波長帯にわたって高い。そのため、フィルタが塗布されていない画素111−6の出力は、フィルタが塗布されている画素111−1〜111−5の出力と比較して、どの波長の光が入射されても最も高い出力変化を示す。
【0044】
次に、本実施形態において、積分回路部11−1〜11−6のうち、いずれかの出力電圧値が飽和した場合における積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値について説明する。図4は、本実施形態において、期間T2および期間T3での積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値と、期間T3での積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値の変化を示したグラフである。なお、期間T2および期間T3は、図9に示した期間T2および期間T3と同様の期間である。また、期間T3での積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値の変化は、ゲイン回路12−1〜12−6の出力電圧値に対応する。
【0045】
図4(1)は、全ての色の光を検出する画素111−6を有する積分回路部11−6の出力電圧値を示したグラフである。図4(2)は、赤色の光を検出する画素111−5を有する積分回路部11−5の出力電圧値を示したグラフである。図4(3)は、青色の光を検出する画素111−2を有する積分回路部11−2の出力電圧値を示したグラフである。図4(4)は、紫色の光を検出する画素111−1を有する積分回路部11−1の出力電圧値を示したグラフである。図4(5)は、緑色の光を検出する画素111−3を有する積分回路部11−3の出力電圧値を示したグラフである。図4(6)は、黄色の光を検出する画素111−4を有する積分回路部11−4の出力電圧値を示したグラフである。
【0046】
背景技術で説明したとおり、特定の画素111−1〜111−5に一定光量以上の光が入射する場合、期間T2において、積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値は飽和レベルに達するため、期間T3における出力変化がゼロとなる。そのため、ゲイン回路12−1〜12−6の出力電圧値がゼロとなる。なお、ゼロはゼロ近辺の値を含む。
【0047】
図示する例では、図4(1)に示した、全ての色の光を検出する画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化と、図4(5)に示した、緑色の光を検出する画素111−3を有する積分回路部11−3の出力変化とがゼロとなっており、その他の出力変化はゼロとはなっていない。この場合、全ての色の光を検出する画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化を読み出すゲイン回路12−6の出力電圧値はゼロとなる。また、緑色の光を検出する画素111−3を有する積分回路部11−3の出力変化を読み出すゲイン回路12−3の出力電圧値とはゼロとなる。また、その他の画素111−1,111−2,111−4,111−5を有する積分回路部11−1,11−2,11−4,11−5の出力変化を読み出すゲイン回路12−1,12−2,12−4,12−5の出力電圧値はゼロとはならない。すなわち、ゲイン回路12−6の出力電圧値よりも、ゲイン回路12−1,12−2,12−4,12−5の出力電圧値の方が大きな値となる。
【0048】
しかしながら、図3に示したとおり、フィルタが塗布されていない場合の光の透過率は、フィルタが塗布されている場合の透過率よりも全ての波長帯にわたって高い。そのため、飽和が起きていない場合では、フィルタが塗布されていない画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化を読み出すゲイン回路12−6の出力電圧値は、フィルタが塗布されている画素111−1〜111−5を有する積分回路部11−1〜11−5の出力変化を読み出すゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と比較して、どの波長の光が入射されても最も高い出力変化を示す。
【0049】
このことにより、図4に示した例では、期間T3での積分回路部11−1,11−2,11−4,11−5の出力電圧値の変化、すなわちゲイン回路12−1,12−2,12−4,12−5の出力電圧値がゼロではないため、カラーセンサ1には光が入射していることが分かる。従って、図4に示した例では、期間T2において、積分回路部11−6の出力電圧値は飽和レベルに達したため、期間T3における積分回路部11−6の出力変化がゼロとなり、ゲイン回路12−6の出力電圧値がゼロとなったことが分かる。すなわち、積分回路部11−6に入射した光量がゼロという誤った結果を出力していることが分かる。同様に、期間T3におけるゲイン回路12−3の出力がゼロであるため、期間T2において積分回路部11−3の出力電圧値は飽和している可能性があることが分かる。
【0050】
次に、本実施形態における飽和判定部16の飽和判定処理の処理手順について説明する。図5は、本実施形態における飽和判定部16の飽和判定処理の処理手順を示したフローチャートである。
(ステップS101)飽和判定部16は、フィルタが塗布されている画素111−1〜111−5を有する積分回路部11−1〜11−5の出力変化を読み出すゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、フィルタが塗布されていない、全ての色の光を検出する画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化を読み出すゲイン回路12−6の出力電圧値とを取得する。その後、ステップS102の処理に進む。
(ステップS102)飽和判定部16は、ステップS101で取得した、ゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、ゲイン回路12−6の出力電圧値とを比較する。その後、ステップS103の処理に進む。
(ステップS103)飽和判定部16は、ステップS102で比較した結果に基づいて、ゲイン回路12−6の出力電圧値よりも、ゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値のいずれかの値の方が大きい場合、飽和出力が含まれており飽和状態であると判定する。その後、飽和状態判定処理を終了する。また、飽和判定部16は、飽和判定処理において飽和状態であると判定した場合には、このときに取得したスペクトル情報は無効であると判定する。
【0051】
上述したとおり、本実施形態によれば、飽和判定部16は、フィルタが塗布されている画素111−1〜111−5を有する積分回路部11−1〜11−5の出力変化を読み出すゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、フィルタが塗布されていない画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化を読み出すゲイン回路12−6の出力電圧値とを比較する。そして、飽和判定部16は、ゲイン回路12−6の出力電圧値よりも、ゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値のいずれかの値の方が大きい場合、飽和状態であると判定する。また、飽和判定部16は、飽和判定処理において飽和状態であると判定した場合には、このときに取得したスペクトル情報は無効であると判定する。これにより、カラーセンサ1は、正確にスペクトル情報を取得することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、本実施形態では飽和判定処理の際に、フィルタが塗布されている画素111−1〜111−5を有する積分回路部11−1〜11−5の出力変化を読み出すゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値がゼロの場合、この出力電圧値は正しい出力電圧値であるか否かを判定する点である。なお、本実施形態のカラーセンサ1の構成は、第1の実施形態におけるカラーセンサ1の構成と同様の構成である。
【0053】
次に、本実施形態における飽和判定部16の飽和判定処理の処理手順について説明する。図6は、本実施形態における飽和判定部16の飽和判定処理の処理手順を示したフローチャートである。
ステップS201〜ステップS202の処理は、第1の実施形態におけるステップS101〜ステップS102の処理と同様である。
【0054】
(ステップS203)飽和判定部16は、ステップS202で比較した結果に基づいて、フィルタが塗布されている画素111−1〜111−5を有する積分回路部11−1〜11−5の出力変化を読み出すゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、フィルタが塗布されていない画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化を読み出すゲイン回路12−6の出力電圧値とが全てゼロであるか否かを判定する。飽和判定部16が、ゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、ゲイン回路12−6の出力電圧値とは全てゼロであると判定した場合にはステップS204の処理に進み、それ以外の場合にはステップS205の処理に進む。
【0055】
(ステップS204)飽和判定部16は、ゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、ゲイン回路12−6の出力電圧値とが全てゼロ(最小値出力)であると判定する。すなわち、ゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、ゲイン回路12−6の出力電圧値とは正しい値であると判定する。その後、処理を終了する。
ステップS205の処理は、第1の実施形態におけるステップS103の処理と同様である。
【0056】
上述したとおり、本実施形態によれば、フィルタが塗布されていない画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化を読み出すゲイン回路12−6の出力電圧値がゼロである場合、カラーセンサ1に入射する光の光量が大きくて飽和したため出力電圧値がゼロとなったのか、カラーセンサ1に入射する光の光量が小さくて出力電圧値がゼロとなったのかを誤り無く判定するため、より正確にスペクトル情報を取得することができる。
【0057】
(第3の実施形態)
次に、本実施形態の第3の実施形態について説明する。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、本実施形態では、飽和判定部16が飽和判定処理にて飽和状態であると判定した場合には、駆動制御回路15は、各積分回路部11−1〜11−6の受光感度を低くして飽和状態とならないようにし、再度スペクトル情報を取得する。各積分回路11−1〜11−6の受光感度を低くする方法としては、例えば、ゲイン演算部14−1〜14−6が算出するゲイン値が小さくなるように制御する。
【0058】
上述したとおり、本実施形態によれば、飽和判定部16が飽和判定処理にて飽和状態であると判定した場合には、駆動制御回路15は、各積分回路部11−1〜11−6の受光感度を低くして飽和状態とならないようにし、再度スペクトル情報を取得する。これにより、カラーセンサ1は、より正確にスペクトル情報を取得することができる。
【0059】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態と第2の実施形態とで異なる点は、本実施形態では、飽和判定部16が飽和判定処理にて、カラーセンサ1に入射する光の光量が小さくて出力電圧値がゼロとなったと判定した場合には、駆動制御回路15は、各積分回路部11−1〜11−6の受光感度を高くし、再度スペクトル情報を取得する。各積分回路11−1〜11−6の受光感度を高くする方法としては、例えば、ゲイン演算部14−1〜14−6が算出するゲイン値が大きくなるように制御する。
【0060】
上述したとおり、本実施形態によれば、飽和判定部16が飽和判定処理にて、カラーセンサ1に入射する光の光量が小さくて出力電圧値がゼロとなったと判定した場合には、駆動制御回路15は、各積分回路部11−1〜11−6の受光感度を高くし、再度スペクトル情報を取得する。これにより、カラーセンサ1は、より正確にスペクトル情報を取得することができる。
【0061】
(第5の実施形態)
次に、本実施形態の第5の実施形態について説明する。図7は、本実施形態におけるバーチャルスライド装置の構成を示したブロック図である。図示する例では、バーチャルスライド装置500は、カラーセンサ1と、対物レンズ81と、ハーフミラー82と、RGBイメージセンサ83と、画像処理部84とを備える。
【0062】
カラーセンサ1は、第1の実施形態〜第4の実施形態に記載されたカラーセンサ1のうち、いずれかのカラーセンサ1と同様であり、より正確にサンプルのスペクトル情報を取得することができる。対物レンズ81は、サンプルに照射された光を集光する。ハーフミラー82は、対物レンズからの光をカラーセンサ1とRGBセンサ83との方向に分割する。RGBイメージセンサ83は、対物レンズ81とハーフミラー82とを介して投影された被写体像に基づいた画像を生成する。画像処理部84は、カラーセンサ1が取得したサンプルのスペクトル情報に基づいて、RGBイメージセンサ83が取得した画像に対して補正等の画像処理を行う。
【0063】
上述したとおり、本実施形態によれば、カラーセンサ1は、より正確に被写体のスペクトル情報を取得することができる。そのため、画像処理部84は、RGBイメージセンサ83が取得した画像に対して補正等の画像処理をより正確に行うことができる。
【0064】
以上、この発明の第1の実施形態から第5の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0065】
例えば、上述した例では、カラーセンサ1は、フィルタが塗布されている画素として5個の画素111−1〜111−5を備えているが、これに限らず、カラーセンサは、フィルタが塗布されている画素を複数個備えていればよい。
【符号の説明】
【0066】
1・・・カラーセンサ、11−1〜11−6・・・積分回路部、12−1〜12−6・・・ゲイン回路、13−1〜13−6・・・積分時間演算部、14−1〜14−6・・・ゲイン演算部、15・・・駆動制御回路、16・・・飽和判定部、17−1〜17−6・・・出力端子、81・・・対物レンズ、82・・・ハーフミラー、83・・・RGBイメージセンサ、84・・・画像処理部、110−1〜110−6・・・読み出し回路、111−1〜111−6・・・画素、112−1〜112−6・・・基準電圧端子、113−1〜113−6・・・スイッチ素子、114−1〜114−6・・・容量素子、115−1〜115−6・・・演算増幅器、500・・・バーチャルスライド装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル情報測定方法、カラーセンサおよびバーチャルスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料のスペクトル情報を取得するためのカラーセンサの読み出し回路の例として、スイッチングノイズを除去しながら高感度で読み出す読み出し回路の例が知られている(例えば、特許文献1参照)。以下、図8を参照して、従来知られている固体撮像装置の構成を説明する。図8は、従来知られている固体撮像装置の構成を示した概略図である。図示する例では、固体撮像装置100は、積分回路部B1と、CDS(Correlated Double Sampling)回路部B2と、S/H(Sample Hold)回路部B3とから構成されている。
【0003】
積分回路部B1は、光を受光して光電流を生成するためのフォトダイオード10のアノードを演算増幅器50の非反転入力端子に、カソードを反転入力端子に接続し、演算増幅器50の非反転入力端子は基準電圧源20に接続する。また、演算増幅器50の反転入力端子と出力端子の間に光電流を蓄積するための積分コンデンサ40と積分時間を制御するためのスイッチング手段30を並列に接続する。
【0004】
CDS回路部B2は、容量素子60の一端を、画素部B1を構成する演算増幅器50の出力端子に、他端を演算増幅器90の反転入力端子に接続し、演算増幅器90の非反転入力端子を基準電圧源70に接続する、また、容量素子80の一端を演算増幅器90の反転入力端子に、他端をスイッチング手段120の一端とスイッチング手段140の一端とに接続する。また、スイッチング手段120の他端を基準電圧源130に接続し、スイッチング手段140の他端を演算増幅器90の出力端子に接続する。また、スイッチング手段110の一端を容量素子80の一端と演算増幅器90の反転入力端子と容量素子60の接続点に、他端を演算増幅器90の出力端子に接続する。
【0005】
S/H回路部B3は、スイッチング手段150の一端を、CDS回路部B2を構成する演算増幅器90の出力端子に、他端を演算増幅器170の非反転入力端子に接続し、サンプルホールド用の容量素子160の一端を演算増幅器170の非反転入力端子に、他端を接地する。また、演算増幅器170の反転入力端子と出力端子に接続し、演算増幅器170の出力端子には信号出力端子180を接続する。
【0006】
次に、図9のタイミングチャートを参照しながら、固体撮像装置の動作について説明する。図9は、従来知られている固体撮像装置100の動作タイミングを示したタイミングチャートである。このタイミングチャートのスイッチング手段のチャート上では、Highの区間で各スイッチング手段を導通状態にし、Lowレベルで非導通状態にする。また、φRはスイッチング手段30のスイッチ制御タイミングを示し、φRCはスイッチング手段110、120のスイッチ制御タイミングを示し、φTはスイッチング手段140のスイッチ制御タイミングを示し、φSHはスイッチング手段150のスイッチ制御タイミングを示す。また、電圧V1は演算増幅器50の出力端子の電圧を示し、電圧V2は演算増幅器90の出力端子の電圧を示し、電圧Voutは信号出力端子180の電圧を示す。また、時間軸方向には期間T1〜T4の4つの期間に区分されている。
【0007】
期間T1はリセット期間であり、φR、φRC、φSHはHigh状態に設定し、φTはLow状態に設定する。期間T1では、電圧V1は基準電圧源20の電圧Vr1になり、電圧V2は基準電圧源70の電圧Vr2になり、電圧VoutはCDS回路部B2の出力端子の電圧Vr2に等しくなる。
【0008】
期間T2では、φRC、φSHはHigh状態に設定し、φR、φTはLow状態に設定する。フォトダイオード10で発生した光電流を容量素子40に蓄積する。この時、φRCをHigh状態に設定し始めた時間からの経過期間をTINTGWとすると、画素部B1の出力端子の電圧V1は下式(1)で示される。
V1=Vr1+(Ipd×TINTGW)/C0 ・・・(1)
ここで、容量素子40の容量値をC0、フォトダイオード10で発生した光電流量をIpd、基準電圧源20の電圧をVr1とした。
【0009】
しかし、実際にはスイッチング手段30のスイッチ動作に起因するクロックフィールドスルーが画素部B1の出力端子の電圧V1に重畳される。結果として電圧V1は式(2)のようになる。
V1=Vr1+(Ipd×TINTGW)/C0+Vn ・・・(2)
ここで、クロックフィールドスルー分の電圧変化をVnとした。
【0010】
期間T3では、φT、φSHはHigh状態に設定し、φR、φRCはLow状態に設定する。このとき、画素部B1の出力端子の電圧V1は式(3)で表すことができる。
V1=Vr1+(Ipd×TINTG)/C0+Vn ・・・(3)
ここで、φR、φRCをLow状態に設定し始めた時間からの経過期間をTINTとした。
【0011】
この期間で、スイッチング手段140、150が導通状態、スイッチング手段110、120が非導通状態になり、CDS回路部B2の出力端子の電圧V2は一旦、基準電圧源130の電圧Vr3になる。その後、演算増幅器90、容量素子60、80により電荷増幅回路が構成されているためCDS回路部B2の出力端子の電圧V2は式(4)で表すことができる。
V2=Vr3−(C1/C2)×(Ipd×TINTG)/C0 ・・・(4)
ここで、容量素子60の容量値をC1、容量素子80の容量値をC2とした。
【0012】
この期間、スイッチング手段150が導通状態となり演算増幅器170はボルテージフォロワ回路を構成し、信号出力端子180の電圧VoutはCDS回路部B2の出力端子の電圧V2と同じ電圧になる。よって、信号出力端子180の電圧Voutは下式(5)のようになる。
Vout=Vr3−(C1/C2)×(Ipd×TINTG)/C0 ・・・(5)
この期間の動作により、スイッチング手段30のスイッチ動作に起因するクロックフィードスルー電圧Vnを除去することができる。
【0013】
期間T4では、φR、φRCはHigh状態に設定し、φT、φSHはLow状態に設定する。スイッチング手段150が非導通状態となり、信号出力端子180に式(5)で示した電圧が保持される。CDS回路部B2の容量素子の容量比で増幅して信号を読み出すことが出来る。また、CDS回路部B2の相関二重読出しにより画素部B1の容量素子40に接続されたスイッチング手段30のスイッチ動作に起因するリセットノイズを除去することができる。
【0014】
また、従来知られている固体撮像装置をカラーセンサに応用することができる。図10は、従来知られている固体撮像装置を応用したカラーセンサの構成を示した概略図である。図示するカラーセンサ200において、従来知られている固体撮像装置100の積分回路部B1に対応する回路を積分回路部B10として示しており、従来知られている固体撮像装置100のCDS回路部B2に対応する回路をゲイン回路B20として示している。なお、従来知られているS/H回路部B3に対応する回路については図示していない。
【0015】
図示する例では、カラーセンサ200は、積分回路部B10−1〜B10−6と、ゲイン回路B20−1〜B20−6と、積分時間演算部38−1〜38−6と、ゲイン演算部39−1〜39−6と、駆動制御回路310とを備えている。また、積分回路部B10−1〜B10−6は、被写体のスペクトル情報をそれぞれの波長透過帯にわけて検出する画素31−1〜31−6と、基準電圧端子32−1〜32−6と、スイッチ素子33−1〜33−6と、容量素子34−1〜34−6と、演算増幅器35−1〜35−6とを備えている。なお、基準電圧端子32−1〜32−6と、スイッチ素子33−1〜33−6と、容量素子34−1〜34−6と、演算増幅器35−1〜35−6とで構成される部分を読み出し回路30−1〜30−6と呼ぶ。
【0016】
また、図示する例は、積分回路部B10−1〜B10−6が備える画素31−1〜31−6が、紫色、青色、緑色、黄色、赤色、橙色の6色を検出する例を示している。具体的には、積分回路部B10−1が備える画素31−1は紫色の光を検出する画素である。また、積分回路部B10−2が備える画素31−2は青色の光を検出する画素である。また、積分回路部B10−3が備える画素31−3は緑色の光を検出する画素である。また、積分回路部B10−4が備える画素31−4は黄色の光を検出する画素である。また、積分回路部B10−5が備える画素31−5は赤色の光を検出する。また、積分回路部B10−6が備える画素31−6は橙色の光を検出する。
【0017】
カラーセンサ200は、被写体からの光を、画素31−1〜31−6に入射して、基準電圧端子32−1〜32−6に印加された基準電圧を基準にスイッチ素子33−1〜33−6で積分時間を制御し、容量素子34−1〜34−6で光電流に応じた電圧変化として積分し、演算増幅器35−1〜35−6の出力端子に出力する。
【0018】
また、カラーセンサ200は、演算増幅器35−1〜35−6の出力端子の出力変化をゲイン回路36−1〜36−6で増幅して読み出す。なお、積分回路部B10−1〜B10−6のそれぞれの積分時間は、駆動制御回路310から送られた情報により、積分時間演算部38−1〜38−6が計算する。また、ゲイン回路36−1〜36−6のそれぞれのゲインは、駆動制御回路310から送られた情報により、ゲイン演算部39−1〜39−6が計算する。これにより、積分時間演算部38−1〜38−6と、ゲイン演算部39−1〜39−6とにより設定された積分時間とゲインとで、出力端子37−1〜37−6から出力信号が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2007−336157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
次に、マルチバンドカラーセンサの分光特性について説明する。図11は、試料のスペクトル情報を検出するために、光センサの受光素子(フォトダイオード、画素)の前面にカラーフィルタを塗布して構成したマルチバンドカラーセンサの分光特性を示したグラフである。図示するグラフは、紫色の光を検出する光センサの前面に塗布されたカラーフィルタの透過率を示した曲線2001と、青色の光を検出する光センサの前面に塗布されたカラーフィルタの透過率を示した曲線2002と、緑色の光を検出する光センサの前面に塗布されたカラーフィルタの透過率を示した曲線2003と、黄色の光を検出する光センサの前面に塗布されたカラーフィルタの透過率を示した曲線2004と、赤色の光を検出する光センサの前面に塗布されたカラーフィルタの透過率を示した曲線2005とを示している。このように、検出する光の色に応じて、各カラーフィルタを透過する光の波長は異なる。
【0021】
図12は、従来知られている固体撮像装置を応用したカラーセンサ200の動作タイミングを示したタイミングチャートである。図12(1)は、カラーセンサ200が正常にスペクトル情報を取得できたときのタイミングチャートである。図12(2)は、カラーセンサ200に一定光量以上の光が入射した場合のタイミングチャートである。
【0022】
カラーセンサ200に入射する光が一定光量未満であれば、図9に示した従来知られている固体撮像装置100の動作タイミングを示したタイミングチャートを使って述べた説明と同様に、図12(1)に示したようにカラーセンサ200は、正常にスペクトル情報を取得することができる。
【0023】
しかしながら、図11に示したような分光特性をもったセンサで、特定の画素に一定光量以上の光が入射する場合、図12(2)に示したようにT2の期間でV1が飽和してしまう。このとき、最終的な出力電圧V2は、T3の期間に電圧変化がないためゼロになり、誤った値になる。これでは、入射した波長成分が少なくて電圧変化がゼロで基準電圧の出力がでてくるのか、一定光量以上の光が入射したことでT2期間に飽和して基準電圧の出力が出てくるのを判別することは出来ない。
【0024】
図13は、カラーセンサ200に一定光量以上の光が入射したときに、ゲイン回路36−1〜36−6の出力がゼロになってしまう場合の光量と出力との関係を示したグラフである。図示するグラフの横軸は光量を示し、縦軸はゲイン回路36−1〜36−6の出力を示す。図示するように、カラーセンサ200のある画素に入射した波長成分の光の量が一定光量以上になると、ゲイン回路36−1〜36−6の出力は、点線で示した飽和レベルの出力は得られずに、実線で示したように飽和出力ではなく入射光量がゼロになってしまう。そのため、カラーセンサ200はスペクトル情報を誤って取得してしまい、正確なスペクトル情報を取得することができないという問題がある。
【0025】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、被写体のスペクトル情報をより正確に取得することができるスペクトル情報測定方法、カラーセンサおよびバーチャルスライド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素に、前記電荷を所定の測定時間蓄積するように制御するステップと、前記試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて前記電荷を蓄積する複数の測定画素に、前記電荷を前記所定の測定時間蓄積するように制御するステップと、前記所定の測定時間に前記基準画素が蓄積する前記電荷の変化量から、基準信号を生成し出力するステップと、前記所定の測定時間に前記複数の測定画素が蓄積する前記電荷の変化量から、複数の測定信号を生成し出力するステップと、前記複数の測定信号のいずれか1つ以上が前記基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定するステップと、を有することを特徴とするスペクトル情報測定方法である。
【0027】
また、本発明は、前記基準信号と前記複数の測定信号とが全て所定の値以下の場合、前記複数の測定信号はいずれも最小値出力であると判定するステップを有することを特徴とするスペクトル情報測定方法である。
【0028】
また、本発明のスペクトル情報測定方法において、前記所定の値はゼロであることを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、前記複数の測定信号に前記飽和出力が含まれると判定された場合、前記基準信号および前記複数の測定信号を破棄し、前記基準画素および前記複数の測定画素の感度を下げるステップを有することを特徴とするスペクトル情報測定方法である。
【0030】
また、本発明は、前記複数の測定信号に前記最小値出力が含まれると判定された場合、前記基準信号および前回複数の測定信号を破棄し、前記基準画素および前記複数の測定画素の感度を上げるステップを有することを特徴とするスペクトル情報測定方法である。
【0031】
また、本発明は、試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素と、前記試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて電荷を蓄積する複数の測定画素と、前記電荷を所定の測定時間蓄積するように前記基準画素と前記複数の測定画素とを制御する駆動制御回路と、前記所定の測定時間に前記基準画素が蓄積する前記電荷の変化量から、基準信号を生成し出力する基準信号生成回路と、前記所定の測定時間に前記複数の測定画素が蓄積する前記電荷の変化量から、測定信号を生成し出力する複数の測定信号生成回路と、前記複数の測定信号生成回路が出力する複数の前記測定信号のいずれか1つ以上が前記基準信号生成回路が出力する前記基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定する飽和判定部と、を備えることを特徴とするカラーセンサである。
【0032】
また、本発明は、試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素と、前記試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて電荷を蓄積する複数の測定画素と、前記電荷を所定の測定時間蓄積するように前記基準画素と前記複数の測定画素とを制御する駆動制御回路と、前記所定の測定時間に前記基準画素が蓄積する前記電荷の変化量から、基準信号を生成し出力する基準信号生成回路と、前記所定の測定時間に前記複数の測定画素が蓄積する前記電荷の変化量から、測定信号を生成し出力する複数の測定信号生成回路と、前記複数の測定信号生成回路が出力する複数の前記測定信号のいずれか1つ以上が前記基準信号生成回路が出力する前記基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定する飽和判定部と、を備えるカラーセンサと、前記試料から入射される入射光に基づいて、当該試料の画像を撮像するイメージセンサと、前記カラーセンサが取得した複数の前記測定信号に基づいて、前記イメージセンサが撮像する前記試料の画像の画像処理を行う画像処理部と、を備えたことを特徴とするバーチャルスライド装置である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素に、電荷を所定の測定時間蓄積するように制御する。また、試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて電荷を蓄積する複数の測定画素に、電荷を所定の測定時間蓄積するように制御する。そして、基準画素に蓄積される電荷の所定の測定時間の変化量から、基準信号を生成し出力する。また、複数の測定画素に蓄積される電荷の所定の測定時間の変化量から、複数の測定信号を生成し出力する。そして、複数の測定信号のいずれか1つ以上が基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定する。これにより、測定信号に飽和出力が含まれているか否かを判定することができるため、被写体のスペクトル情報をより正確に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるカラーセンサの構成を示した概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるカラーセンサが備える画素の配置を示した概略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における画素の分光特性を示したグラフである。
【図4】本発明の第1の実施形態における積分回路部の出力電圧値と出力電圧値の変化を示したグラフである。
【図5】本発明の第1の実施形態における飽和判定部の飽和判定処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態における飽和判定部の飽和判定処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図7】本発明の第5の実施形態におけるバーチャルスライド装置の構成を示したブロック図である。
【図8】従来知られている固体撮像装置の構成を示した概略図である。
【図9】従来知られている固体撮像装置の動作タイミングを示したタイミングチャートである。
【図10】従来知られている固体撮像装置を応用したカラーセンサの構成を示した概略図である。
【図11】従来知られているマルチバンドカラーセンサの分光特性を示したグラフである。
【図12】従来知られている固体撮像装置を応用したカラーセンサの動作タイミングを示したタイミングチャートである。
【図13】従来知られているカラーセンサに一定光量以上の光が入射したときに、ゲイン回路の出力がゼロになってしまう場合の光量と出力との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態におけるカラーセンサ1の構成を示した概略図である。図示する例では、カラーセンサ1は、積分回路部11−1〜11−6と、ゲイン回路12−1〜12−6と、積分時間演算部13−1〜13−6と、ゲイン演算部14−1〜14−6と、駆動制御回路15と、飽和判定部16と、出力端子17−1〜17−6とを備えている。
【0036】
また、積分回路部11−1〜11−5は、被写体のスペクトル情報をそれぞれの波長透過帯にわけて検出する画素111−1〜111−5(測定画素)と、基準電圧端子112−1〜112−5と、スイッチ素子113−1〜113−5と、容量素子114−1〜114−5と、演算増幅器115−1〜115−5とを備えている。また、積分回路部11−6は、被写体からの光を検出する画素111−6(基準画素)と、基準電圧端子112−6と、スイッチ素子113−6と、容量素子114−6と、演算増幅器115−6とを備えている。なお、基準電圧端子112−1〜112−6と、スイッチ素子113−1〜113−6と、容量素子114−1〜114−6と、演算増幅器115−1〜115−6とで構成される部分を読み出し回路110−1〜110−6と呼ぶ。
【0037】
また、積分回路部11−1が備える画素111−1は、紫色の光を検出するように紫色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、積分回路部11−2が備える画素111−2は、青色の光を検出するように青色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、積分回路部11−3が備える画素111−3は、緑色の光を検出するように緑色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、積分回路部11−4が備える画素111−4は、黄色の光を検出するように黄色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、積分回路部11−5が備える画素111−5、赤色の光を検出するように赤色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、積分回路部11−6が備える画素111−6は、全ての光を検出するように、フィルタが塗布されていない画素である。
【0038】
カラーセンサ1は、被写体(試料)からの光を、画素111−1〜111−6に入射して、基準電圧端子112−1〜112−6に印加された基準電圧を基準にスイッチ素子113−1〜113−6で積分時間(所定の測定時間)を制御し、容量素子114−1〜114−6で光電流に応じた電圧変化として積分し、演算増幅器115−1〜115−6の出力端子に出力する。この出力は、画素111−1〜111−5に入射した光量に応じた電圧の変化である。
【0039】
また、カラーセンサ1は、演算増幅器115−1〜115−5の出力端子の出力変化を、ゲイン回路12−1〜12−5(測定信号生成回路)でスイッチングノイズを除去しつつ出力変化を増幅して読み出す。また、カラーセンサ1は、演算増幅器115−6の出力端子の出力変化を、ゲイン回路12−6(基準信号生成回路)でスイッチングノイズを除去しつつ出力変化を増幅して読み出す。
【0040】
なお、積分回路部11−1〜11−6のそれぞれの積分時間は、駆動制御回路15から送られた情報により、積分時間演算部13−1〜13−6が計算する。また、ゲイン回路12−1〜12−6のそれぞれのゲインは、駆動制御回路15から送られた情報により、ゲイン演算部14−1〜14−6が計算する。これにより、積分時間演算部13−1〜13−6と、ゲイン演算部14−1〜14−6とにより設定された積分時間とゲインとに応じた出力信号が、出力端子17−1〜17−6から出力される。
【0041】
また、ゲイン回路12−1〜12−6の出力端子は飽和判定部16に接続され、ゲイン回路12−1〜12−6の出力信号が飽和判定部16に入力される。飽和判定部16は、入力されたゲイン回路12−1〜12−5の出力信号(測定信号)と、ゲイン回路12−6の出力信号(基準信号)とに基づいて、積分回路部11−1〜11−6は飽和状態であるか否かを判定する飽和判定処理を行う。なお、飽和状態とは、カラーセンサ1に入射した波長成分の光の量が一定光量以上であり、積分回路部11−1〜11−6が検知できる光量を超え、積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値が飽和した状態である。また、このときの積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値を飽和出力とする。また、飽和判定処理の処理手順については後述する。駆動制御回路15は、カラーセンサ1が備える各部の制御を行う。この構成により、カラーセンサ1は、ゲイン回路12−1〜12−5の出力信号に基づいて被写体のスペクトル情報を取得することができる。
【0042】
図2は、本実施形態のカラーセンサ1が備える画素111−1〜111−6の配置を示した概略図である。図示する例では、全ての光を検出するようにフィルタが塗布されていない画素111−6が上段左に配置されている。また、紫色の光を検出するように紫色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−1が上段右に配置されている。また、青色の光を検出するように青色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−2が上段中央に配置されている。また、緑色の光を検出するように緑色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−3が下段中央に配置されている。また、黄色の光を検出するように黄色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−4が下段右に配置されている。また、赤色の光を検出するように赤色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−5が下段左に配置されている。なお、画素111−1〜111−6の配置は図示する配置に限らず、任意の配置としてもよい。
【0043】
次に、画素111−1〜111−6の分光特性について説明する。図3は、本実施形態の画素111−1〜111−6の分光特性を示したグラフである。図示するグラフは、紫色の光を検出する画素111−1に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1001と、青色の光を検出する画素111−2に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1002と、緑色の光を検出する画素111−3に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1003と、黄色の光を検出する画素111−4に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1004と、赤色の光を検出する画素111−5に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1005と、フィルタが塗布されていない場合の光の透過率を示した曲線1006とを示している。このように、各カラーフィルタを透過する光の波長は異なる。また、フィルタが塗布されていない場合の光の透過率は、フィルタが塗布されている場合の透過率よりも全ての波長帯にわたって高い。そのため、フィルタが塗布されていない画素111−6の出力は、フィルタが塗布されている画素111−1〜111−5の出力と比較して、どの波長の光が入射されても最も高い出力変化を示す。
【0044】
次に、本実施形態において、積分回路部11−1〜11−6のうち、いずれかの出力電圧値が飽和した場合における積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値について説明する。図4は、本実施形態において、期間T2および期間T3での積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値と、期間T3での積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値の変化を示したグラフである。なお、期間T2および期間T3は、図9に示した期間T2および期間T3と同様の期間である。また、期間T3での積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値の変化は、ゲイン回路12−1〜12−6の出力電圧値に対応する。
【0045】
図4(1)は、全ての色の光を検出する画素111−6を有する積分回路部11−6の出力電圧値を示したグラフである。図4(2)は、赤色の光を検出する画素111−5を有する積分回路部11−5の出力電圧値を示したグラフである。図4(3)は、青色の光を検出する画素111−2を有する積分回路部11−2の出力電圧値を示したグラフである。図4(4)は、紫色の光を検出する画素111−1を有する積分回路部11−1の出力電圧値を示したグラフである。図4(5)は、緑色の光を検出する画素111−3を有する積分回路部11−3の出力電圧値を示したグラフである。図4(6)は、黄色の光を検出する画素111−4を有する積分回路部11−4の出力電圧値を示したグラフである。
【0046】
背景技術で説明したとおり、特定の画素111−1〜111−5に一定光量以上の光が入射する場合、期間T2において、積分回路部11−1〜11−6の出力電圧値は飽和レベルに達するため、期間T3における出力変化がゼロとなる。そのため、ゲイン回路12−1〜12−6の出力電圧値がゼロとなる。なお、ゼロはゼロ近辺の値を含む。
【0047】
図示する例では、図4(1)に示した、全ての色の光を検出する画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化と、図4(5)に示した、緑色の光を検出する画素111−3を有する積分回路部11−3の出力変化とがゼロとなっており、その他の出力変化はゼロとはなっていない。この場合、全ての色の光を検出する画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化を読み出すゲイン回路12−6の出力電圧値はゼロとなる。また、緑色の光を検出する画素111−3を有する積分回路部11−3の出力変化を読み出すゲイン回路12−3の出力電圧値とはゼロとなる。また、その他の画素111−1,111−2,111−4,111−5を有する積分回路部11−1,11−2,11−4,11−5の出力変化を読み出すゲイン回路12−1,12−2,12−4,12−5の出力電圧値はゼロとはならない。すなわち、ゲイン回路12−6の出力電圧値よりも、ゲイン回路12−1,12−2,12−4,12−5の出力電圧値の方が大きな値となる。
【0048】
しかしながら、図3に示したとおり、フィルタが塗布されていない場合の光の透過率は、フィルタが塗布されている場合の透過率よりも全ての波長帯にわたって高い。そのため、飽和が起きていない場合では、フィルタが塗布されていない画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化を読み出すゲイン回路12−6の出力電圧値は、フィルタが塗布されている画素111−1〜111−5を有する積分回路部11−1〜11−5の出力変化を読み出すゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と比較して、どの波長の光が入射されても最も高い出力変化を示す。
【0049】
このことにより、図4に示した例では、期間T3での積分回路部11−1,11−2,11−4,11−5の出力電圧値の変化、すなわちゲイン回路12−1,12−2,12−4,12−5の出力電圧値がゼロではないため、カラーセンサ1には光が入射していることが分かる。従って、図4に示した例では、期間T2において、積分回路部11−6の出力電圧値は飽和レベルに達したため、期間T3における積分回路部11−6の出力変化がゼロとなり、ゲイン回路12−6の出力電圧値がゼロとなったことが分かる。すなわち、積分回路部11−6に入射した光量がゼロという誤った結果を出力していることが分かる。同様に、期間T3におけるゲイン回路12−3の出力がゼロであるため、期間T2において積分回路部11−3の出力電圧値は飽和している可能性があることが分かる。
【0050】
次に、本実施形態における飽和判定部16の飽和判定処理の処理手順について説明する。図5は、本実施形態における飽和判定部16の飽和判定処理の処理手順を示したフローチャートである。
(ステップS101)飽和判定部16は、フィルタが塗布されている画素111−1〜111−5を有する積分回路部11−1〜11−5の出力変化を読み出すゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、フィルタが塗布されていない、全ての色の光を検出する画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化を読み出すゲイン回路12−6の出力電圧値とを取得する。その後、ステップS102の処理に進む。
(ステップS102)飽和判定部16は、ステップS101で取得した、ゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、ゲイン回路12−6の出力電圧値とを比較する。その後、ステップS103の処理に進む。
(ステップS103)飽和判定部16は、ステップS102で比較した結果に基づいて、ゲイン回路12−6の出力電圧値よりも、ゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値のいずれかの値の方が大きい場合、飽和出力が含まれており飽和状態であると判定する。その後、飽和状態判定処理を終了する。また、飽和判定部16は、飽和判定処理において飽和状態であると判定した場合には、このときに取得したスペクトル情報は無効であると判定する。
【0051】
上述したとおり、本実施形態によれば、飽和判定部16は、フィルタが塗布されている画素111−1〜111−5を有する積分回路部11−1〜11−5の出力変化を読み出すゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、フィルタが塗布されていない画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化を読み出すゲイン回路12−6の出力電圧値とを比較する。そして、飽和判定部16は、ゲイン回路12−6の出力電圧値よりも、ゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値のいずれかの値の方が大きい場合、飽和状態であると判定する。また、飽和判定部16は、飽和判定処理において飽和状態であると判定した場合には、このときに取得したスペクトル情報は無効であると判定する。これにより、カラーセンサ1は、正確にスペクトル情報を取得することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、本実施形態では飽和判定処理の際に、フィルタが塗布されている画素111−1〜111−5を有する積分回路部11−1〜11−5の出力変化を読み出すゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値がゼロの場合、この出力電圧値は正しい出力電圧値であるか否かを判定する点である。なお、本実施形態のカラーセンサ1の構成は、第1の実施形態におけるカラーセンサ1の構成と同様の構成である。
【0053】
次に、本実施形態における飽和判定部16の飽和判定処理の処理手順について説明する。図6は、本実施形態における飽和判定部16の飽和判定処理の処理手順を示したフローチャートである。
ステップS201〜ステップS202の処理は、第1の実施形態におけるステップS101〜ステップS102の処理と同様である。
【0054】
(ステップS203)飽和判定部16は、ステップS202で比較した結果に基づいて、フィルタが塗布されている画素111−1〜111−5を有する積分回路部11−1〜11−5の出力変化を読み出すゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、フィルタが塗布されていない画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化を読み出すゲイン回路12−6の出力電圧値とが全てゼロであるか否かを判定する。飽和判定部16が、ゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、ゲイン回路12−6の出力電圧値とは全てゼロであると判定した場合にはステップS204の処理に進み、それ以外の場合にはステップS205の処理に進む。
【0055】
(ステップS204)飽和判定部16は、ゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、ゲイン回路12−6の出力電圧値とが全てゼロ(最小値出力)であると判定する。すなわち、ゲイン回路12−1〜12−5の出力電圧値と、ゲイン回路12−6の出力電圧値とは正しい値であると判定する。その後、処理を終了する。
ステップS205の処理は、第1の実施形態におけるステップS103の処理と同様である。
【0056】
上述したとおり、本実施形態によれば、フィルタが塗布されていない画素111−6を有する積分回路部11−6の出力変化を読み出すゲイン回路12−6の出力電圧値がゼロである場合、カラーセンサ1に入射する光の光量が大きくて飽和したため出力電圧値がゼロとなったのか、カラーセンサ1に入射する光の光量が小さくて出力電圧値がゼロとなったのかを誤り無く判定するため、より正確にスペクトル情報を取得することができる。
【0057】
(第3の実施形態)
次に、本実施形態の第3の実施形態について説明する。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、本実施形態では、飽和判定部16が飽和判定処理にて飽和状態であると判定した場合には、駆動制御回路15は、各積分回路部11−1〜11−6の受光感度を低くして飽和状態とならないようにし、再度スペクトル情報を取得する。各積分回路11−1〜11−6の受光感度を低くする方法としては、例えば、ゲイン演算部14−1〜14−6が算出するゲイン値が小さくなるように制御する。
【0058】
上述したとおり、本実施形態によれば、飽和判定部16が飽和判定処理にて飽和状態であると判定した場合には、駆動制御回路15は、各積分回路部11−1〜11−6の受光感度を低くして飽和状態とならないようにし、再度スペクトル情報を取得する。これにより、カラーセンサ1は、より正確にスペクトル情報を取得することができる。
【0059】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態と第2の実施形態とで異なる点は、本実施形態では、飽和判定部16が飽和判定処理にて、カラーセンサ1に入射する光の光量が小さくて出力電圧値がゼロとなったと判定した場合には、駆動制御回路15は、各積分回路部11−1〜11−6の受光感度を高くし、再度スペクトル情報を取得する。各積分回路11−1〜11−6の受光感度を高くする方法としては、例えば、ゲイン演算部14−1〜14−6が算出するゲイン値が大きくなるように制御する。
【0060】
上述したとおり、本実施形態によれば、飽和判定部16が飽和判定処理にて、カラーセンサ1に入射する光の光量が小さくて出力電圧値がゼロとなったと判定した場合には、駆動制御回路15は、各積分回路部11−1〜11−6の受光感度を高くし、再度スペクトル情報を取得する。これにより、カラーセンサ1は、より正確にスペクトル情報を取得することができる。
【0061】
(第5の実施形態)
次に、本実施形態の第5の実施形態について説明する。図7は、本実施形態におけるバーチャルスライド装置の構成を示したブロック図である。図示する例では、バーチャルスライド装置500は、カラーセンサ1と、対物レンズ81と、ハーフミラー82と、RGBイメージセンサ83と、画像処理部84とを備える。
【0062】
カラーセンサ1は、第1の実施形態〜第4の実施形態に記載されたカラーセンサ1のうち、いずれかのカラーセンサ1と同様であり、より正確にサンプルのスペクトル情報を取得することができる。対物レンズ81は、サンプルに照射された光を集光する。ハーフミラー82は、対物レンズからの光をカラーセンサ1とRGBセンサ83との方向に分割する。RGBイメージセンサ83は、対物レンズ81とハーフミラー82とを介して投影された被写体像に基づいた画像を生成する。画像処理部84は、カラーセンサ1が取得したサンプルのスペクトル情報に基づいて、RGBイメージセンサ83が取得した画像に対して補正等の画像処理を行う。
【0063】
上述したとおり、本実施形態によれば、カラーセンサ1は、より正確に被写体のスペクトル情報を取得することができる。そのため、画像処理部84は、RGBイメージセンサ83が取得した画像に対して補正等の画像処理をより正確に行うことができる。
【0064】
以上、この発明の第1の実施形態から第5の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0065】
例えば、上述した例では、カラーセンサ1は、フィルタが塗布されている画素として5個の画素111−1〜111−5を備えているが、これに限らず、カラーセンサは、フィルタが塗布されている画素を複数個備えていればよい。
【符号の説明】
【0066】
1・・・カラーセンサ、11−1〜11−6・・・積分回路部、12−1〜12−6・・・ゲイン回路、13−1〜13−6・・・積分時間演算部、14−1〜14−6・・・ゲイン演算部、15・・・駆動制御回路、16・・・飽和判定部、17−1〜17−6・・・出力端子、81・・・対物レンズ、82・・・ハーフミラー、83・・・RGBイメージセンサ、84・・・画像処理部、110−1〜110−6・・・読み出し回路、111−1〜111−6・・・画素、112−1〜112−6・・・基準電圧端子、113−1〜113−6・・・スイッチ素子、114−1〜114−6・・・容量素子、115−1〜115−6・・・演算増幅器、500・・・バーチャルスライド装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素に、前記電荷を所定の測定時間蓄積するように制御するステップと、
前記試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて前記電荷を蓄積する複数の測定画素に、前記電荷を前記所定の測定時間蓄積するように制御するステップと、
前記所定の測定時間に前記基準画素が蓄積する前記電荷の変化量から、基準信号を生成し出力するステップと、
前記所定の測定時間に前記複数の測定画素が蓄積する前記電荷の変化量から、複数の測定信号を生成し出力するステップと、
前記複数の測定信号のいずれか1つ以上が前記基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定するステップと、
を有することを特徴とするスペクトル情報測定方法。
【請求項2】
前記基準信号と前記複数の測定信号とが全て所定の値以下の場合、前記複数の測定信号はいずれも最小値出力であると判定するステップ
を有することを特徴とする請求項1に記載のスペクトル情報測定方法。
【請求項3】
前記所定の値はゼロである
ことを特徴とする請求項2に記載のスペクトル情報測定方法。
【請求項4】
前記複数の測定信号に前記飽和出力が含まれると判定された場合、前記基準信号および前記複数の測定信号を破棄し、前記基準画素および前記複数の測定画素の感度を下げるステップ
を有することを特徴とする請求項1に記載のスペクトル情報測定方法。
【請求項5】
前記複数の測定信号に前記最小値出力が含まれると判定された場合、前記基準信号および前回複数の測定信号を破棄し、前記基準画素および前記複数の測定画素の感度を上げるステップ
を有することを特徴とする請求項2に記載のスペクトル情報測定方法。
【請求項6】
試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素と、
前記試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて電荷を蓄積する複数の測定画素と、
前記電荷を所定の測定時間蓄積するように前記基準画素と前記複数の測定画素とを制御する駆動制御回路と、
前記所定の測定時間に前記基準画素が蓄積する前記電荷の変化量から、基準信号を生成し出力する基準信号生成回路と、
前記所定の測定時間に前記複数の測定画素が蓄積する前記電荷の変化量から、測定信号を生成し出力する複数の測定信号生成回路と、
前記複数の測定信号生成回路が出力する複数の前記測定信号のいずれか1つ以上が前記基準信号生成回路が出力する前記基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定する飽和判定部と、
を備えることを特徴とするカラーセンサ。
【請求項7】
試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素と、
前記試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて電荷を蓄積する複数の測定画素と、
前記電荷を所定の測定時間蓄積するように前記基準画素と前記複数の測定画素とを制御する駆動制御回路と、
前記所定の測定時間に前記基準画素が蓄積する前記電荷の変化量から、基準信号を生成し出力する基準信号生成回路と、
前記所定の測定時間に前記複数の測定画素が蓄積する前記電荷の変化量から、測定信号を生成し出力する複数の測定信号生成回路と、
前記複数の測定信号生成回路が出力する複数の前記測定信号のいずれか1つ以上が前記基準信号生成回路が出力する前記基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定する飽和判定部と、
を備えるカラーセンサと、
前記試料から入射される入射光に基づいて、当該試料の画像を撮像するイメージセンサと、
前記カラーセンサが取得した複数の前記測定信号に基づいて、前記イメージセンサが撮像する前記試料の画像の画像処理を行う画像処理部と、
を備えたことを特徴とするバーチャルスライド装置。
【請求項1】
試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素に、前記電荷を所定の測定時間蓄積するように制御するステップと、
前記試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて前記電荷を蓄積する複数の測定画素に、前記電荷を前記所定の測定時間蓄積するように制御するステップと、
前記所定の測定時間に前記基準画素が蓄積する前記電荷の変化量から、基準信号を生成し出力するステップと、
前記所定の測定時間に前記複数の測定画素が蓄積する前記電荷の変化量から、複数の測定信号を生成し出力するステップと、
前記複数の測定信号のいずれか1つ以上が前記基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定するステップと、
を有することを特徴とするスペクトル情報測定方法。
【請求項2】
前記基準信号と前記複数の測定信号とが全て所定の値以下の場合、前記複数の測定信号はいずれも最小値出力であると判定するステップ
を有することを特徴とする請求項1に記載のスペクトル情報測定方法。
【請求項3】
前記所定の値はゼロである
ことを特徴とする請求項2に記載のスペクトル情報測定方法。
【請求項4】
前記複数の測定信号に前記飽和出力が含まれると判定された場合、前記基準信号および前記複数の測定信号を破棄し、前記基準画素および前記複数の測定画素の感度を下げるステップ
を有することを特徴とする請求項1に記載のスペクトル情報測定方法。
【請求項5】
前記複数の測定信号に前記最小値出力が含まれると判定された場合、前記基準信号および前回複数の測定信号を破棄し、前記基準画素および前記複数の測定画素の感度を上げるステップ
を有することを特徴とする請求項2に記載のスペクトル情報測定方法。
【請求項6】
試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素と、
前記試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて電荷を蓄積する複数の測定画素と、
前記電荷を所定の測定時間蓄積するように前記基準画素と前記複数の測定画素とを制御する駆動制御回路と、
前記所定の測定時間に前記基準画素が蓄積する前記電荷の変化量から、基準信号を生成し出力する基準信号生成回路と、
前記所定の測定時間に前記複数の測定画素が蓄積する前記電荷の変化量から、測定信号を生成し出力する複数の測定信号生成回路と、
前記複数の測定信号生成回路が出力する複数の前記測定信号のいずれか1つ以上が前記基準信号生成回路が出力する前記基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定する飽和判定部と、
を備えることを特徴とするカラーセンサ。
【請求項7】
試料から入射される入射光量に応じて電荷を蓄積する基準画素と、
前記試料から入射される入射光のうち特定の波長の入射光量に応じて電荷を蓄積する複数の測定画素と、
前記電荷を所定の測定時間蓄積するように前記基準画素と前記複数の測定画素とを制御する駆動制御回路と、
前記所定の測定時間に前記基準画素が蓄積する前記電荷の変化量から、基準信号を生成し出力する基準信号生成回路と、
前記所定の測定時間に前記複数の測定画素が蓄積する前記電荷の変化量から、測定信号を生成し出力する複数の測定信号生成回路と、
前記複数の測定信号生成回路が出力する複数の前記測定信号のいずれか1つ以上が前記基準信号生成回路が出力する前記基準信号より大きい場合、当該測定信号に飽和出力が含まれると判定する飽和判定部と、
を備えるカラーセンサと、
前記試料から入射される入射光に基づいて、当該試料の画像を撮像するイメージセンサと、
前記カラーセンサが取得した複数の前記測定信号に基づいて、前記イメージセンサが撮像する前記試料の画像の画像処理を行う画像処理部と、
を備えたことを特徴とするバーチャルスライド装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−73035(P2012−73035A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215905(P2010−215905)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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