説明

スポーツゲーム装置及びスポーツゲームのプレー制御方法

【課題】一方のチームの選手キャラクタがボールをキープしている相手チームの選手キャラクタに対しボールを強制的に奪うプレーを行うときに、遊技者が高い臨場感を味わうことができるようにする。
【解決手段】ボールをキープしている相手チームの選手との距離を詰めることができたときは、スライディングタックルは弱タックルとなるよう弱く蹴るとよい。この場合は、扇形の中心角が大きいコリジョン領域36が適用される。ボールをキープしている相手チームの選手との距離を十分に詰められないがスライディングタックルを行うときは、強タックルとなるよう強く蹴る。この場合、強タックル用のコリジョン領域35の半径は大きいので、相手チームの選手との距離が大きくてもタックルが成功する可能性はあるが、扇形の中心角が小さいので、タックルを成功させるにはレバー11を倒す方向に高い正確さが要求される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の選手キャラクタが二つのチームに分かれ、ボールを伴って相手チームのゴールに攻撃する球技スポーツをシミュレートするスポーツゲーム装置及び当該スポーツゲームのプレー制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用ゲーム装置やアーケードゲーム装置においては、各種の球技をシミュレートするスポーツゲームが広く受け入れられている。その中でも、サッカーあるいはサッカーを小規模化したフットサルをシミュレートするゲームの人気は高く、これらを楽しむことができる種々の業務用ゲーム装置、家庭用ゲーム装置、家庭用ゲームソフトウェアが広く各市場に流通している。そして、ゲーム装置の性能向上に伴って、画面に表示される選手キャラクタの外見や動きのリアルさが以前と比べて格段にアップしてきている。
【0003】
さらに、最近では、同一のゲーム装置二台を通信回線(ケーブル回線又は無線回線)で接続し、複数の遊技者のうち、たとえば同じゲーム装置上でプレーする遊技者を同一チームとして、二つのチームの間で対戦ゲームを行うことが可能なものがある。このようなゲーム装置は、複数の遊技者が敵と味方に分かれ、遊技者同士で対戦することができるという点で、CPUとの間だけで対戦する従来のゲーム装置にはない、新たな楽しみ方を提供している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−113471号公報
【特許文献2】特開昭64−040080号公報
【特許文献3】特開平08−305891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フットサルやサッカーには、ボールをキープしている相手チームの選手からボールを強制的に奪うプレーとして、スライディングタックルがある。このプレーは、成功すればその時点から形勢が逆転する可能性があるが、そのためには、相手のすきを突いてタイミングよく実行しなければならないなど、高度な技術が要求される。このため、このようなプレーをゲーム装置上で仮想的に実現し、しかも現実の試合におけるプレーに類似した感覚(臨場感)を遊技者に味わせるのは難しい。
【0006】
本発明は、このような技術的背景に基づいてなされたものである。すなわち、その目的は、フットサルにおけるスライディングタックル等のように、一方のチームの選手キャラクタがボールをキープしている相手チームの選手キャラクタに対しボールを強制的に奪うプレーを行うときに、遊技者が高い臨場感を味わうことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のスポーツゲーム装置は、複数の選手キャラクタが二つのチームに分かれボールを伴って相手チームのゴールに攻める球技スポーツをシミュレートするスポーツゲーム装置において、前記球技スポーツはフットサル又はサッカーであり、一方のチームの選手キャラクタがボールをキープしている相手チームの選手キャラクタに対しボールを強制的に奪うスライディングタックルのプレーを行うときに、当該プレーの成否判定を行うために適用する複数のコリジョン領域を用意し、操作対象の選手キャラクタにスライディングタックルをさせるために、入力手段を操作して入力する入力値に応じて適用するコリジョン領域を変更することを特徴とする。
【0008】
本発明のスポーツゲーム装置は、複数の前記コリジョン領域はいずれも扇形であり、前記入力値が所定レベルを越えるときは半径r1、中心角θ1である第一のコリジョン領域を適用し、前記入力値が前記所定レベル以下のときは半径r2(<r1)、中心角θ2(≧θ1)である第二のコリジョン領域を適用することを特徴とする。
【0009】
本発明のスポーツゲームのプレー制御方法は、複数の選手キャラクタが二つのチームに分かれボールを伴って相手チームのゴールに攻める球技スポーツをシミュレートするスポーツゲームのプレー制御方法において、前記球技スポーツはフットサル又はサッカーであり、一方のチームの選手キャラクタがボールをキープしている相手チームの選手キャラクタに対しボールを強制的に奪うスライディングタックルのプレーを行うときに、当該プレーの成否判定を行うために複数のコリジョン領域を用意し、操作対象の選手キャラクタにスライディングタックルをさせるために、入力手段を操作して入力する入力値に応じて適用するコリジョン領域を変更することを特徴とする。
【0010】
本発明のスポーツゲームのプレー制御方法は、複数の前記コリジョン領域はいずれも扇形であり、前記入力値が所定レベルを越えるときは半径r1、中心角θ1である第一のコリジョン領域を適用し、前記入力値が前記所定レベル以下のときは半径r2(<r1)、中心角θ2(≧θ1)である第二のコリジョン領域を適用することを特徴とする。
【0011】
本発明のコンピュータ読取可能な記憶媒体は、複数の選手キャラクタが二つのチームに分かれボールを伴って相手チームのゴールに攻めるフットサル又はサッカーの球技スポーツをシミュレートするスポーツゲームのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体において、一方のチームの選手キャラクタがボールをキープしている相手チームの選手キャラクタに対しボールを強制的に奪うスライディングタックルのプレーを行うときに、当該プレーの成否判定を行うために複数のコリジョン領域を用意し、操作対象の選手キャラクタにスライディングタックルをさせるために、入力手段を操作して入力する入力値に応じて適用するコリジョン領域を変更する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、ボールをキープしている相手チームの選手キャラクタに対しボールを強制的に奪うプレーを行うときに、当該プレーの成否判定を行うために複数のコリジョン領域を用意し、前記プレーのレベルに応じて適用するコリジョン領域を変更することにより、当該プレーを行うときに遊技者に要求される動作や、それに伴うリスクの大きさなどが、現実のスポーツにおけるプレーとかなり類似したものとなり、その結果、ゲームのプレー中において遊技者が味わう臨場感がより高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。図1は、スポーツゲーム装置の全体を示した斜視図、図2は、図1に示したスポーツゲーム装置のキック入力部12の構造を示した断面図である。
【0014】
本発明の主要部分を説明する前に、まず、このゲーム装置全体の概略を説明する。図1に示したゲーム装置1は、サッカーを小規模化した「フットサル」に特化したものである。フットサルのルールは、人数が少ない点を除くと、サッカーとほぼ同じであり、遊技者は、サッカーと同じ感覚でプレーすることができる。
【0015】
ゲームは、画面の右側のゴールに攻めるチーム(右攻めチーム)と、画面の左側のゴールに攻めるチーム(左攻めチーム)が対戦する。画面上の選手キャラクタが着ているユニフォームはチームによって異なり、ユニフォームによってチームを区別することができる。各チームは5人の選手キャラクタから構成され、このうち遊技者の操作対象となりうるのは、ゴールキーパーを除く4人の選手キャラクタである。ゲーム装置1を一台だけで使う場合は、最大4人の遊技者でゲームをプレーできる。遊技者の操作対象となっていない選手キャラクタについては、CPUが所定のアルゴリズムに従って、その動作を制御する。なお、ゴールキーパーについては、常時CPUが制御する。
【0016】
さらに、ゲーム装置1は、同じもの二台を通信ケーブルで接続し、最大8人の遊技者で同時にプレーすることができる。この場合、同じゲーム装置を操作する遊技者は同じチームに属することになり、二つのゲーム装置を操作する遊技者同士の間で、対戦ゲームを行うことができる。
【0017】
試合継続中におけるフィールドの画像は、原則として、フィールドの横から斜め下を見おろした状態が表示される。ただし、視点を大きく引いて両方のゴールが表示されるような広い範囲を表示する場合から、フィールド内にいる選手キャラクタのごく狭い周囲だけを拡大して表示する場合まで、状況に応じて拡大率をさまざまに変化させることができる。
【0018】
ゲーム装置1には、遊技者の目の高さを考慮した位置に、フットサルゲームの内容その他必要な事項を動画や静止画で表示できるCRTのスクリーン10が設けられている。その下の操作部には、4人でプレーする場合を考慮して、四つの操作パネルa、b、c、dが用意され、それぞれにレバー11(11a,11b,11c,11d)、キック入力部12(12a,12b,12c,12d)、ボタン13(13a,13b,13c,13d)が設けられている。各遊技者は、自分用の操作パネルの前に立って、その操作パネルのレバー11、キック入力部12、ボタン13を操作する。各操作パネルは色分けされており、一例として操作パネルaには「赤」、操作パネルbには「黄」、操作パネルcには「青」、操作パネルdには「緑」の各色が割り当てられている。
【0019】
レバー11を操作して行う指示内容は、操作している選手キャラクタが単純に移動する場合や自分でボールをキープしてドリブルしている場合は、選手キャラクタの移動方向及び移動速度である。また、操作している選手キャラクタがボールをキープしている場合は、パスやシュートのために選手キャラクタがボールを蹴ったときにボールが飛んで行く方向である。さらに、後述のように、近くにボールをキープしている相手チームの選手キャラクタがいて、その選手キャラクタに対してスライディングタックルを行ってボールを奪おうとする場合には、レバー11を倒している方向が、スライディングをする方向を示す。
【0020】
本実施形態では、レバー11として、アナログレバーを使用する。アナログレバーは、軸を回すと抵抗値が変わる二つのボリューム(これらをxボリューム、yボリュームとする)が互いの軸が直交するように配置され、レバー11のシャフトの根元部分がギヤなどで各ボリュームの軸と接続されていて、レバー11を倒す方向と倒した傾斜角に応じてxボリューム、yボリュームそれぞれの軸が回転する。レバー11を任意の方向に倒すとxボリュームとyボリュームの両方が、それぞれの方向に倒された分だけ回転する。
【0021】
ゲーム全体を制御するCPUは、xボリューム、yボリュームの抵抗値を、一定の周期で常時検出している。CPUは、これらの抵抗値に基づいてベクトル計算を行い、レバー11が倒されている方向及び倒された角度を認識する。レバー11を倒す方向及び倒す角度を連続的に変化させると、xボリューム、yボリュームの各軸の回転角も連続的に変化し、各ボリュームの抵抗値は連続的に変化する。したがって、CPUが認識する方向及び倒す角度も、連続的なものとなる。
【0022】
ゲーム装置1の下部には、キック入力部12が設けられている。キック入力部12で操作する内容は、主として操作している選手キャラクタが行うパス、シュート、スライディングタックルといったプレーの開始の指示、パスやシュートによって蹴り出されるボールの速度の調節である。キック入力部12には、遊技者が実際のフットサルのようにボールを足で蹴るための擬似ボール20が設けられている。擬似ボール20は、半径が実際のフットサル用のボールとほぼ同じ半球で、表面をフットサル用のボールと同じかもしくは類似した素材とし、模様も一目でそれとわかるように同じにしてある。
【0023】
図2に示すように、擬似ボール20の奥には、棒状のシャフト21が設けられており、この左側の先端に半球の擬似ボール20が固定されている。シャフト21は軸受け22によって支持されており、矢印pで示すように横方向に移動可能とされている。シャフト21が挿入されているバネ23は、一方がゲーム装置本体に固定され、他方がシャフト21に固定されている。このバネ23によって、シャフト21は図の左向きに付勢され、通常の状態では、擬似ボール20およびシャフト21は最も左側に位置する。このとき、擬似ボール20の半球は、図1に示すように、ゲーム装置の下部から遊技者のつま先と対向するように突き出ている。
【0024】
遊技者が擬似ボール20を蹴ると、擬似ボール20は蹴られた力に応じた速度で図2の右方向(ゲーム装置の奥に向かう方向)に移動する。このとき擬似ボール20と一体的に設けられているシャフト21は軸受け22に支えられながら右側に移動するが、ある程度移動するとバネ23の反発力が強くなって左側に付勢され、擬似ボール20とシャフト21は再び元の位置に押し戻される。
【0025】
キック入力部12には、シャフト21の変位速度を検出する速度センサ24が設けられている。速度センサ24は、シャフト21に取り付けられた反射部材25と、シャフト21の長手方向に沿って設けられた二つの光センサ26a、26bからなり、反射部材25が光センサ26a、26bの間を通過する時間から、シャフト21の変位速度を算出する。この変位速度が大きいほど、擬似ボール20が強く蹴られたことを意味する。CPUは、算出された変位速度に基づいて、パスやシュートの際に画面上で蹴り出されるボールの速度を制御する。
【0026】
ボタン13は、主として、ゲームの進行中において、遊技者がその操作対象とする選手キャラクタを変更する場合に用いる。かかる機能により、例えば、遊技者が操作している選手キャラクタがボールから遠ざかった場合などに、ボールの近くにいる味方チームの選手キャラクタ(CPU制御の選手キャラクタ)を新たに当該遊技者の操作対象とすることができる。これにより、限られたゲーム時間を有効に使うことができる。
【0027】
次に、本発明の主要部について説明する。前述のように、ゲーム装置1では、実際のフットサルやサッカーと同様に、近くにボールをキープしている相手チームの選手キャラクタがいる場合には、スライディングタックルを行って相手チームからボールを奪うことが可能である。遊技者が、自分の操作している選手キャラクタにスライディングタックルをさせる場合、スライディングする方向は、レバー11を倒す方向によって指示し、その動作の開始は、キックと判定される最小レベルを超える強さで擬似ボール20を蹴ることによって指示する。ボールをキープしていない選手キャラクタについて、遊技者が所定レベルを超える強さで擬似ボール20を蹴ると、スライディングタックルをする旨のリクエストが発せられ、タックルの成否にかかわらず、画面上ではその選手キャラクタが、レバー11が倒されている方向にスライディングする画像が表示される。
【0028】
遊技者が自分の操作している選手キャラクタにスライディングタックルをさせた場合、相手チームの選手キャラクタがキープしているボールとの距離、レバーを倒した方向、そして擬似ボール20を蹴る強さが適当であれば、スライディングタックルは成功し、それ以後は、スライディングタックルを行った選手キャラクタが新たにボールをキープする。一方、これらの条件が満たされない場合にはスライディングタックルは失敗に終わり、ボールはこれまで通り元の選手キャラクタがキープし続ける。
【0029】
次に、スライディングタックルの成否判定を行うための具体的な方法について説明する。図3は、スライディングタックルの成否判定を行うためのコリジョン領域35、36を示した図である。図3において、符号30は、これからスライディングタックルをしようとする選手キャラクタを示しており、矢印31は、この選手キャラクタについて、遊技者がレバーを11を倒している方向を示している。「コリジョン領域」とは、遊技者が擬似ボール20を蹴ってスライディングタックルをする旨の指示を行ったときに、相手チームの選手キャラクタがキープしているボールが当該領域に入っていればスライディングタックルが成功とされ、入っていなければ不成功とされる領域である。
【0030】
図3に示した二つのコリジョン領域35、36は、いずれも選手キャラクタ30を中心とする扇形であり、コリジョン領域35は、半径がr1、中心角がθ1、コリジョン領域36は、半径がr2(<r1)、中心角がθ2(≧θ1)である。これらのコリジョン領域は、遊技者がレバー11を平面内で回転させると、それに伴って回転する。コリジョン領域35は強タックル用のコリジョン領域であり、特許請求の範囲に記載した「第一のコリジョン領域」に対応する。一方、コリジョン領域36は弱タックル用のコリジョン領域であり、特許請求の範囲に記載した「第二のコリジョン領域」に対応する。
【0031】
強タックルと弱タックルの違いは、遊技者が擬似ボール20を蹴るときの強さもしくは速さの違いであり、ゲーム装置1は、予め設定されている所定レベルを境にして、擬似ボール20をこれ以下の強さで弱く蹴ったときは弱タックル、これを越える強さで蹴ったときは強タックルと判定する。スライディングタックルが弱タックルの場合は、画面上で選手キャラクタがタックル動作を行う再生時間を短くしてあり、このためタックルに失敗した場合でも、次の動作に移行するまでの時間は短い。一方、スライディングタックルが強タックルの場合は、画面上で選手キャラクタがタックル動作を行う再生時間を長くしてあり、タックルに失敗した場合には、起き上がって次の動作に移行するまでの時間は長くなる。
【0032】
図3に示したように、弱タックル用のコリジョン領域36の扇形は、中心角は大きいが半径は小さい。このため、ボールをキープしている相手チームの選手との距離をかなり詰めることができたときに行うスライディングタックルは、弱タックルとなるよう擬似ボール20を前述の所定レベルよりも弱く蹴るとよい。この場合は、扇形の中心角が大きいコリジョン領域36が適用されるため、タックルが成功するのに必要なレバー11を倒す方向の正確さは、それほど高くは要求されない。
【0033】
一方、強タックル用のコリジョン領域35の扇形は、半径は大きいが中心角は小さい。このため、ボールをキープしている相手チームの選手との距離を十分に詰めることはできないがどうしてもスライディングタックルをしたいというときは、そのスライディングタックルが強タックルとなるよう、擬似ボール20を前述の所定レベルを越えるよう強く蹴る。この場合、適用される強タックル用のコリジョン領域35の半径が大きいので、相手チームの選手との距離がかなりあるときでもタックルが成功する可能性はあるが、中心角が小さいので、タックルが成功するためには、レバー11を倒す方向により高い正確さが要求される。
【0034】
なお、図3では、コリジョン領域35とコリジョン領域36は一部重なっているが、この部分では、擬似ボール20を強く蹴っても弱く蹴っても、スライディングタックルは成功と判定される。
【0035】
このように、図3のような形状の異なる複数のコリジョン領域35、36を設定してスライディングタックルの成否判定を行うようにすると、スライディングタックルを行うときに遊技者に要求される動作や、それに伴うリスクの大きさなどが、現実のフットサルやサッカーの試合においてスライディングタックルを行う場合に選手に要求される動作やリスクとかなり類似したものとなる。このため、ゲーム装置1上でスライディングタックルを行う場合に遊技者が感じる臨場感がより高まる。
【0036】
図4は、スライディングタックルの動作がリクエストされた場合に、上で説明した状況を判断して所定のコリジョン領域を適用する処理を示したフローチャートである。CPUがスライディングタックルを行う旨のリクエストを受け取ると、まず、擬似ボール20が蹴られた強さからそのスライディングタックルが強タックルか弱タックルかを判定する(step10)。step10の判定結果がYesであれば(弱タックルであれば)、弱タックル用のコリジョン領域36を適用することを決定し(step11)、step10の判定結果がNoであれば(強タックルであれば)、強タックル用のコリジョン領域35を適用することを決定する(step12)。
【0037】
次に、スライディングタックルをしようとしている選手キャラクタと、タックルして奪おうとしているボールとの距離が、適用されるコリジョン領域の半径以下であるか否かを判定する(step13)。この判定結果がNoであれば、スライディングタックルを成立させず(step14)、その場合に必要な処理を行って終了する。ここで、「必要な処理」とは、たとえばスライディングをした選手キャラクタを起き上がらせるなどの処理である。
【0038】
一方、step13の判定結果がYesであれば、続いて、タックルして奪おうとしているボールが、適用されるコリジョン領域の扇形の中心角の範囲内に存在するか否かを判定する(step15)。この半径結果がNoであれば、スライディングタックルを成立させず(step16)、その場合の必要な処理を行って終了する。一方、step15の判定結果がYesであれば、スライディングタックルを成功させ(step17)、それに必要な処理を行って終了する。ここでいう「必要な処理」とは、たとえばスライディングタックルを行った選手キャラクタを起き上がらせ、新たにボールをキープさせるなどの処理である。
【0039】
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記では、スライディングタックルの成否判定に用いるコリジョン領域の形状を扇形とし、強タックルと弱タックルでその半径と中心角を異ならせた。しかし、コリジョン領域の形状は扇形に限定されない。要は、複数のコリジョン領域を用意し、遊技者が行う操作内容に応じて適用するコリジョン領域を変更する点が重要である。また、コリジョン領域を扇形にした場合でも、強タックルの場合と弱タックルの場合の違いを、例えば扇形の半径だけとし、中心角は同じにしてもよい。また、二つのコリジョン領域が重なった部分については、いずれか一方のタックルのためだけのコリジョン領域として使用することもできる。
【0040】
さらに、上記では、スポーツゲーム装置をフットサルゲームに特化したものとして説明したが、これ以外にもサッカー、バスケットボール、ハンドボールなど、複数の選手キャラクタが敵と味方に分かれ、ボールを伴って相手ゴールに向かって攻撃するスポーツを主題とするゲームであって、一方のチームの選手キャラクタがボールをキープしている相手チームの選手キャラクタに対しボールを強制的に奪うプレーをシミュレートするものであれば、任意のゲームに本発明を適用することができる。
【0041】
また、本発明は、上で説明したゲーム内容もしくは機能を実現するためのコンピュータプログラムを、記録媒体に記録するという形態で実施することもできる。当該記録媒体には、磁気テープ、フレキシブルディスク、CD-ROM又はDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスクなどが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上説明したように、本発明のスポーツゲーム装置では、ボールをキープしている相手チームの選手キャラクタに対しボールを強制的に奪うプレーを行うときに、当該プレーの成否判定を行うために複数のコリジョン領域を用意し、前記プレーのレベルに応じて適用するコリジョン領域を変更することにより、当該プレーを行うときに遊技者に要求される動作や、それに伴うリスクの大きさなどが、現実のスポーツにおけるプレーとかなり類似したものとなり、その結果、ゲームのプレー中において遊技者が味わう臨場感がより高まる。したがって、本発明は、複数の選手が二つのチームに分かれ、ボールを伴って相手チームのゴールに攻撃する球技スポーツをシミュレートするスポーツゲーム装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の一形態に係るスポーツゲーム装置の全体の外観を示した斜視図である。
【図2】図1に示したスポーツゲーム装置のキック入力部の構造を示した断面図である。
【図3】スライディングタックルの成否判定を行うためのコリジョン領域35、36を示した図である。
【図4】スライディングタックルの動作がCPUにリクエストされた場合に、状況を判断して所定のコリジョン領域を適用する処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1…スポーツゲーム装置, 10…スクリーン, 11(11a,11b,11c,11d)…スティック, 12(12a,12b,12c,12d)…キック入力部, 13(13a,13b,13c,13d)…ボタン, 30…選手キャラクタ, 31…矢印, 35…強タックル用コリジョン領域, 36…弱タックル用コリジョン領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の選手キャラクタが二つのチームに分かれボールを伴って相手チームのゴールに攻める球技スポーツをシミュレートするスポーツゲーム装置において、
前記球技スポーツはフットサル又はサッカーであり、
一方のチームの選手キャラクタがボールをキープしている相手チームの選手キャラクタに対しボールを強制的に奪うスライディングタックルのプレーを行うときに、当該プレーの成否判定を行うために適用する複数のコリジョン領域を用意し、
操作対象の選手キャラクタにスライディングタックルをさせるために、入力手段を操作して入力する入力値に応じて適用するコリジョン領域を変更することを特徴とするスポーツゲーム装置。
【請求項2】
複数の前記コリジョン領域はいずれも扇形であり、前記入力値が所定レベルを越えるときは半径r1、中心角θ1である第一のコリジョン領域を適用し、前記入力値が前記所定レベル以下のときは半径r2(<r1)、中心角θ2(≧θ1)である第二のコリジョン領域を適用することを特徴とする請求項1記載のスポーツゲーム装置。
【請求項3】
複数の選手キャラクタが二つのチームに分かれボールを伴って相手チームのゴールに攻める球技スポーツをシミュレートするスポーツゲームのプレー制御方法において、
前記球技スポーツはフットサル又はサッカーであり、
一方のチームの選手キャラクタがボールをキープしている相手チームの選手キャラクタに対しボールを強制的に奪うスライディングタックルのプレーを行うときに、当該プレーの成否判定を行うために複数のコリジョン領域を用意し、
操作対象の選手キャラクタにスライディングタックルをさせるために、入力手段を操作して入力する入力値に応じて適用するコリジョン領域を変更することを特徴とするスポーツゲームのプレー制御方法。
【請求項4】
複数の前記コリジョン領域はいずれも扇形であり、前記入力値が所定レベルを越えるときは半径r1、中心角θ1である第一のコリジョン領域を適用し、前記入力値が前記所定レベル以下のときは半径r2(<r1)、中心角θ2(≧θ1)である第二のコリジョン領域を適用することを特徴とする請求項3記載のスポーツゲームのプレー制御方法。
【請求項5】
複数の選手キャラクタが二つのチームに分かれボールを伴って相手チームのゴールに攻めるフットサル又はサッカーの球技スポーツをシミュレートするスポーツゲームのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体において、
一方のチームの選手キャラクタがボールをキープしている相手チームの選手キャラクタに対しボールを強制的に奪うスライディングタックルのプレーを行うときに、当該プレーの成否判定を行うために複数のコリジョン領域を用意し、
操作対象の選手キャラクタにスライディングタックルをさせるために、入力手段を操作して入力する入力値に応じて適用するコリジョン領域を変更する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−183439(P2008−183439A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117163(P2008−117163)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【分割の表示】特願平11−353802の分割
【原出願日】平成11年12月14日(1999.12.14)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】