説明

スライス状物の容器収容装置

【課題】スライス状物を効率良く収容することができる容器収容装置を提供する。
【解決手段】収容装置本体4と、スライス状物Sを容器に収容するための第1及び第2回動受け部材12、14とを備え、第1及び第2回動受け部材12、14は、スライス状物Sを受け取る受け角度位置と、スライス状物Sの両端部を内側に曲げる曲げ角度位置との間を回動自在である。第1及び第2回動受け部材12,14は、スライス状物Sを受け取る支持受部16と、支持受部16に一体的に設けられた曲げ保持部18とを備えている。受け角度位置においては、スライス状物Sが第1及び第2回動受け部材12,14の支持受部16と曲げ保持部18との間に挿入され、受け角度位置から曲げ角度位置に回動されると、第1及び第2回動受け部材12,14の曲げ保持部18がスライス状物Sの両端部に下側から作用して支持受部16を中心として内側に曲げて保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層状態のスライス状物を容器に収容する容器収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スライス状に切った肉(例えば、豚肉)などは、トレイ状の容器に収容して販売されている。即ち、作業者は、積層状態のスライス状肉の長手方向略中央部を細長い収容棒ですくい上げ、収容棒に保持されたスライス状肉の垂れ下がった両端部をトレイ状の容器に載せ、これら両端部を覆うように残りの部分を載せて収容している。このように収容した状態においては、積層状態のスライス状肉のきれいな部分がトレイ状の容器の開口側(上面側)となり、購入者に購入意欲を出させるように収容することができる。尚、販売するときには、トレイ状の容器に上述したように収容した後、薄い樹脂製シートで覆って衛生面も安全を図っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような収容作業は、作業者が一つ一つ行っており、それ故に、作業効率が悪く、積層状態のスライス状肉を効率良く収容することができる容器収容の実現が望まれていた。作業者によるこのような作業は、肉のみならずベーコン、ハムなどの肉類、またそば、ラーメン、焼きそばなどの麺類などの収容にも行われており、これらの分野においても効率良く収容することができる容器収容装置の実現が望まれていた。
【0004】
本発明の目的は、スライス状物を効率良く収容することができる容器収容装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載のスライス状物の容器収容装置は、スライス状物を容器に収容するために用いるスライス状物の容器収容装置であって、
収容装置本体と、前記収容装置本体に装着され、スライス状物を受け取って前記容器に収容するための一対の受け部材とを備え、前記一対の受け部材の少なくとも一方は、スライス状物を受け取る受け角度位置と、受け取ったスライス状物を内側に曲げる曲げ角度位置との間を回動自在であり、この回動受け部材は、スライス状物を受け取る支持受部と、スライス状物を内側に曲げるために前記支持受部に一体的に設けられた曲げ保持部とを備え、前記回動受け部材においては、前記受け角度位置のときにスライス状物が前記回動受け部材の前記支持受部と前記曲げ保持部との間に挿入され、この挿入状態において前記受け角度位置から前記曲げ角度位置に回動されると、前記回動受け部材の前記曲げ保持部がスライス状物に下側から作用して前記支持受部を中心として内側に曲げて保持することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載のスライス状物の容器収容装置では、前記一対の受け部材は、前記受け角度位置と前記曲げ角度位置との間を回動自在である第1及び第2回動受け部材から構成され、スライス状物の一端側は、前記第1回動受け部材の前記支持受部と前記曲げ保持部との間に挿入され、その他端側は、前記第2回動受け部材の前記支持受部と前記曲げ保持部との間に挿入され、前記第1及び第2回動受け部材が前記受け角度位置から曲げ角度位置まで回動すると、前記第1回動受け部材の前記曲げ保持部がスライス状物の一端側に下側から作用して前記支持受部を中心として内側に曲げて保持し、前記第2回動受け部材の前記曲げ保持部がスライス状物の他端側に下側から作用して前記支持受部を中心として内側に曲げて保持することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項3に記載のスライス状物の容器収容装置では、前記収容装置本体には、前記第1及び第2回動受け部材に保持されたスライス状物を支持するための中央支持部材が設けられ、前記中央支持部材は、前記第1及び第2回動受け部材の間に配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項4に記載のスライス状物の容器収容装置では、前記収容装置本体には、前記一対の受け部材に受け取られたスライス状物に作用して前記容器に収容するための押し部材が設けられており、前記押し部材は、前記押し部材と前記一対の受け部材との相対的移動によって前記一対の受け部材に保持されたスライス状物に作用して前記容器に向けて押し出すことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項5に記載のスライス状物の容器収容装置は、スライス状物を受け取る受け域とスライス状物を容器に収容する収容域との間を旋回自在であるスライス状物移送装置を具備し、前記スライス状物移送装置は、スライス状物を受け取って保持するための受取り保持手段と、前記受取り保持手段を前記受け域と前記収容域との間を旋回移動させるための保持移送手段とを備えており、
前記受取り保持手段は、保持器本体と、スライス状物を受け取って前記容器に収容するための第1及び第2受け部材とを備え、前記第1及び第2受け部材は、スライス状物を受け取る支持受部と、積スライス状物を内側に曲げるために前記支持受部に一体的に設けられた曲げ保持部とを有し、スライス状物を受け取る受け角度位置と、受け取ったスライス状物を内側に曲げる曲げ角度位置との間を回動自在であり、
スライス状物の一端側は、前記第1回動受け部材の前記支持受部と前記曲げ保持部との間に挿入され、その他端側は、前記第2回動受け部材の前記支持受部と前記曲げ保持部との間に挿入され、前記第1及び第2回動受け部材が前記受け角度位置から曲げ角度位置まで回動すると、前記第1回動受け部材の前記曲げ保持部がスライス状物の一端側に下側から作用して前記支持受部を中心として内側に曲げて保持し、前記第2回動受け部材の前記曲げ保持部がスライス状物の他端側に下側から作用して前記支持受部を中心として内側に曲げて保持することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項6に記載のスライス状物の容器収容装置では、前記受け域に関連して、スライス状物を搬送方向に前記受け域に向けて搬送するための搬送手段が設けられ、前記搬送手段は、スライス状物を搬送する複数の無端状部材を備え、前記複数の無端状部材が前記搬送方向に対して垂直な方向に間隔をおいて配設され、前記受け域においては、前記第1及び第2回動受け部材の前記支持受部は前記複数の無端状部材の間に挿入され、前記搬送手段により搬送されたスライス状物は、前記受け域にて挿入された前記第1及び第2回動受け部材の前記支持受部と前記曲げ保持部との間に挿入されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項7に記載の容器収容装置では、前記収容域に関連して、前記第1及び第2回動受け部材に保持されたスライス状物に作用して前記容器に収容するための押し部材が設けられ、前記押し部材には、前記第1及び第2回動受け部材の前記支持受部及び前記曲げ保持部に対応して、これらを受け入れるための受けスリットが間隔をおいて設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項8に記載の容器収容装置では、前記収容域には、スライス状物が位置する側とは反対側に、スライス状物が外れた前記第1及び第2回動受け部材の前記支持受部に向けてアルコールを噴霧するための噴霧手段が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項9に記載の容器収容装置では、前記受取り保持手段には、前記第1及び第2回動受け部材に保持されたスライス状物を支持するための中央支持部材が設けられ、前記中央支持部材は、前記第1及び第2回動受け部材の間に配置されていることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明の請求項10に記載のスライス状物の容器収容装置では、前記第1及び第2回動受け部材の前記支持受部には、その周面に複数のスプライン溝が設けられ、前記複数のスプライン溝は前記第1及び第2回動受け部材の前記支持受部の長手方向に直線状に延びていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載の容器収容装置によれば、収容装置本体に一対の受け部材が装着され、一対の受け部材の少なくとも一方は、スライス状物を受け取る受け角度位置と、受け取ったスライス状物を内側に曲げる曲げ角度位置との間を回動自在に構成されているので、スライス状物を一対の受け部材に受け取って持ち上げることができ、そして持ち上げた状態にて回動受け部材を受け角度位置から曲げ角度位置に回動することによって、スライス状物の端部を内側に曲げることができ、この曲げた状態にて容器に収容することによって、スライス状物を外観的にきれいな状態に保って容器に収容することができる。
【0016】
また、回動受け部材は、スライス状物を受け取る支持受部と、スライス状物を内側に曲げるための曲げ保持部とを備えているので、スライス状物は、回動受け部材の支持受部と曲げ保持部との間に挿入され、この挿入状態において受け角度位置から曲げ角度位置に回動することによって、回動受け部材の曲げ保持部がスライス状物に下側から作用して支持受部を中心として内側に曲げ、このようにしてスライス状物を内側に所要の通りに曲げて保持することができる。
【0017】
尚、本明細書において、用語「スライス状物」は、豚肉、牛肉、ベーコン、ハムなどのように薄くスライスしたものに加えて、そば、ラーメン、焼きそばなどのように細長いものも含む意味で用いており、この容器収容装置は、豚肉、牛肉などの肉類、ベーコン、ハムなどの肉加工品類、そば、うどん、ラーメン、焼きそばなどの麺類などを容器に収容するのに適用することができる。
【0018】
また、本発明の請求項2に記載のスライス状物の容器収容装置によれば、一対の受け部材が受け角度位置と曲げ角度位置との間を回動自在である第1及び第2回動受け部材から構成されているので、スライス状物の一端側は、第1回動受け部材が受け角度位置から曲げ角度位置に回動することによって、その曲げ保持部がスライス状物の一端側に下側から作用して支持受部を中心として内側に曲げて保持し、またスライス状物の他端側は、第2回動受け部材が受け角度位置から曲げ角度位置に回動することによって、その曲げ保持部がスライス状物の他端側に下側から作用して支持受部を中心として内側に曲げて保持し、このようにしてスライス状物を外観的に一層きれいな状態を保って保持することができる。
【0019】
また、本発明の請求項3に記載のスライス状物の容器収容装置によれば、収容装置本体に中央保持部材が設けられているので、第1及び第2回動受け部材の支持受け部に受け取られたスライス状物の中間部は、この中央保持部材に保持され、これによって、第1及び第2回動受け部材に保持された状態で、スライス状物の中央部が垂れ下がるのを防止することができる。
【0020】
また、本発明の請求項4に記載のスライス状物の容器収容装置によれば、収容装置本体に押し部材が設けられているので、この押し部材の作用によって、一対の受け部材に受け取られスライス状物を容器に収容することができる。例えば、収容装置本体に押し部材を固定的に設ける一方、この収容装置本体に一対の受け部材を移動可能に設け、一対の受け部材の移動によってスライス状物を押し部材に作用させて対してスライス状物を容器に収容するようにしてよい。また、これとは反対に、収容装置本体に一対の受け部材を固定的に設ける一方、この収容装置本体に押し部材を移動可能に設け、押し部材の移動によってスライス状物を押し部材に作用させてスライス状物を容器に収容するようにしてもよい。
【0021】
また、本発明の請求項5に記載のスライス状物の容器収容装置によれば、スライス状物移送装置は、スライス状物を受け取って保持するための受取り保持手段と、受取り保持手段を受け域と収容域との間を旋回移動させるための保持移送手段とを備えているので、受け域にて受取り保持手段に保持されたスライス状物を収容域に移送して容器に所要の通りに収容することができ、スライス状物を容器に収容する自動化装置に好都合に適用することができる。また、受取り保持手段の第1及び第2受け部材が、スライス状物を受け取る支持受部と、スライス状物を内側に曲げるための曲げ保持部とを有し、受け角度位置及び曲げ角度位置の間を回動自在であるので、スライス状物の一端側は、第1回動受け部材が受け角度位置から曲げ角度位置まで回動することによって、その曲げ保持部がスライス状物の一端側に下側から作用して支持受部を中心として内側に曲げて保持し、またスライス状物の他端側は、第2回動受け部材が受け角度位置から曲げ角度位置まで回動することによって、その曲げ保持部がスライス状物の他端側に下側から作用して支持受部を中心として内側に曲げて保持し、このようにしてスライス状物の両端部を内側に曲げて外観的にきれいな状態にして容器に保って容器に収容することができる。
【0022】
また、本発明の請求項6に記載のスライス状物の容器収容装置によれば、搬送手段はスライス状物を搬送する複数の無端状部材を備え、これら無端状部材が搬送方向に対して垂直な方向に間隔をおいて配設されているので、受け域においては、第1及び第2回動受け部材の支持受部はこれら無端状部材の間に挿入され、この受け域にて挿入された前記第1及び第2回動受け部材の前記支持受部と前記曲げ保持部との間に挿入されることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の請求項7に記載の容器収容装置によれば、収容域に関連して押し部材が設けられているので、収容域にて容器に収容するときには、この押し部材が第1及び第2回動受け部材に保持されたスライス状物に作用し、これによって、スライス状物を容器に所要の通りに収容することができる。また、この押し部材には、第1及び第2回動受け部材の支持受部及び曲げ保持部に対応して受けスリットが設けられているので、第1及び第2回動受け部材の支持受部及び曲げ保持部をこれら受けスリットに挿入した状態にて受取り保持手段を所要の通りに移動させることによって、押し部材がスライス状物に作用して第1及び第2回動受け部材から外して容器に収容することができる。
【0024】
また、本発明の請求項8に記載の容器収容装置によれば、スライス状物が位置する側とは反対側に、アルコールを噴霧するための噴霧手段が設けられているので、この噴霧手段から第1及び第2回動受け部材の支持受部に向けてアルコールを噴霧してこれら支持受部を消毒することができる。尚、肉などの油成分はアルコールに溶解するので、アルコールを拭き取ることによって、付着した油成分を除去することができる。
【0025】
また、本発明の請求項9に記載の容器収容装置によれば、受取り保持手段に中央支持部材が設けられているので、第1及び第2回動支持部材間に支持されたスライス状物の中間部はこの中央支持部材に支持され、これによって、スライス状物の中間部の垂れ下がりを防止して外観的にきれいな状態に保つことができる。
【0026】
更に、本発明の請求項10に記載のスライス状物の容器収容装置によれば、第1及び第2回動受け部材の支持受部の周面に複数のスプライン溝が設けられているので、これら支持受部とスライス状物の接触面積が少なくなり、これによって、スライス状物の支持受部への付着力(例えば、スライス状物の油成分による付着力)を抑えて、第1及び第2回動受け部材からのスライス状物の離脱を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に従う容器収容装置の第1の実施形態を示す側面図。
【図2】図1の容器収容装置を示す正面図。
【図3】図1の容器収容装置を示す背面図。
【図4】図1の容器収容装置の第1及び第2回動受け部材間にスライス状物を保持した状態を示す側面図。
【図5】図1の容器収容装置の第1及び第2回動受け部材間に保持したスライス状物を容器に収容するときの状態を示す側面図。
【図6】第2の実施形態の容器収容装置を示す正面図。
【図7】本発明に従う容器収容装置の第3の実施形態を簡略的に示す平面図。
【図8】図7の容器収容装置における受取り保持手段を、回動受け部材を受け角度位置に保持した状態で示す側面図。
【図9】図7の容器収容装置における受取り保持手段を、回動受け部材を曲げ角度位置に保持した状態で示す側面図。
【図10】図7の容器収容装置における受け域の構造を示す平面図。
【図11】図7の容器収容装置における収容域の構造を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0029】
〔第1の実施形態〕
まず、図1〜図5を参照して、本発明に従う容器収容装置の第1の実施形態について説明する。この第1の実施形態の容器収容装置は、作業者が手で持って使用してスライス状物を容器に収容するものである。
【0030】
図1〜図3において、図示の容器収容装置2は、作業者が手で持つところの収容装置本体4を備えている。実施形態の収容装置本体4は、断面コ字状の本体部材6を備え、この本体部材6の開放された上面の一部を覆うように上カバー8が設けられ、固定ボルト10によって、上カバー8が本体部材6に取り付けられている。作業者は、収容装置本体4の基部側の本体部材6の一端部(図1において左端部、図2において紙面に対して裏面側の端部、図3において紙面に対して表面側の端部)と上カバー8を把持して使用する。
【0031】
容器収容装置2は、スライス状物S(図4及び図5参照)を受け取って容器11(図5参照)に収容するための一対の受け部材、即ち第1及び第2回動受け部材12,14を備えている。第1及び第2回動受け部材12,14は実質上同一の構成であり、以下、第1回動受け部材12(又は第2回動受け部材14)について説明する。
【0032】
第1回動受け部材12(第2回動受け部材14)は、細長い棒状の支持受部16と、この支持受部16と実質上平行に延びる細長い棒状の曲げ保持部18とを備え、この曲げ保持部18の基部が接続部20を介して支持受部16に接続されている。支持受部16及び曲げ保持部18は、例えば、断面円形状の棒状部材から形成される。このように構成されているので、曲げ保持部18は支持受部16と一体的に構成され、この曲げ保持部18は支持受部16と一体的に回動する。
【0033】
この形態では、収容装置本体2に関連して支持プレート22が設けられ、この支持プレート22の片側(図1において右側)に支持部材24が取り付けられ、この支持部材24に支持受部16の基部が回動自在に支持されている。また、この支持部材24の他側(図1において左側)には、第1駆動源(又は第2駆動源)としての第1ロータリーアクチュエータ26(又は第2ロータリーアクチュエータ28)が取り付けられ、この第1ロータリーアクチュエータ26(又は第2ロータリーアクチュエータ28)の出力部が第1回動受け部材12(又は第2回動受け部材14)の支持受部16に一体的に回動するように連結されている。
【0034】
第1ロータリーアクチュエータ26(又は第2ロータリーアクチュエータ28)は、それ自体周知のものから構成され、圧力流体(例えば、圧力空気)によって作動される流体アクチュエータから構成することができる。第1ロータリーアクチュエータ26(又は第2ロータリーアクチュエータ28)の片側のポートに圧力流体が供給されると、この第1ロータリーアクチュエータ26(又は第2ロータリーアクチュエータ28)が第1の状態となり、第1回動受け部材12(又は第2回動受け部材14)は図2において時計方向(又は反時計方向)に回動されて受け角度位置(図1に示すとともに、図2に実線で示す位置)に位置付けられ、かかる受け角度位置においては、支持受部16と曲げ保持部18とが上下方向に平行となる位置関係に保持される。また、第1ロータリーアクチュエータ26(又は第2ロータリーアクチュエータ28)の他側のポートに圧力流体が供給されると、この第1ロータリーアクチュエータ26(又は第2ロータリーアクチュエータ28)が第2の状態となり、第1回動受け部材12(又は第2回動受け部材14)は図2において反時計方向(又は時計方向)に回動されて曲げ角度位置(図2に二点鎖線で示す位置であって、図4及び図5に示す位置)に位置付けられ、かかる曲げ角度位置においては、支持受部16と曲げ保持部18とが略横方向に平行となる位置関係に保持される。
【0035】
この実施形態では、第1及び第2駆動源として圧力流体によって作動される第1及び第2ロータリーアクチュエータから構成しているが、このようなロータリーアクチュエータに代えて、それ自体周知の電磁式ロータリーアクチュエータ、例えばステップピングモータなどの電動モータなどから構成することもできる。
【0036】
この形態では、第1及び第2回動受け部材12,14が装着された支持プレート22は、流体圧シリンダ機構30(例えば、空圧シリンダ機構から構成される)を介して収容装置本体4に装着されている。即ち、収容装置本体4の本体部材6の内面には流体圧シリンダ機構30のシリンダ本体32が取り付けられ、その出力ロッド34の取付部36に支持プレート22の上端部が装着されている。従って、流体圧シリンダ機構30が収縮した状態においては、図1〜図4に示すように、第1及び第2回転受け部材12,14は、収容装置4の下方に位置する作用位置に位置し、この状態において、容器11に収容すべきスライス状物Sを後述するようにして受け取る。また、流体圧シリンダ機構30が伸張した状態においては、図5に示すように、第1及び第2回動受け部材12,14は、収容装置本体4の後方側に移動した後退位置に位置し、このように移動することによって、第1及び第2回動受け部材12,14に保持されたスライス状物Sが容器11に収容される。
【0037】
この形態では、収容装置本体4の本体部材6の下面に押し部材38が取り付けられている。この押し部材38は略L字状のプレート状部材から構成され、その作用部40が本体部材6の下面から垂直下方に延びている。押し部材30の作用部40の両端部には、第1及び第2回動受け部材12,14の支持受部16に対応してスリット42,44が設けられ、これら支持受部16は、かかるスリット42,44内に受け入れられて上記受け角度位置と上記曲げ角度位置との間を回動することができる。尚、スリット42,44に代えて、開口を設けるようにしてもよく、この場合、第1及び第2回動受け部材12,14の支持受部16は、対応する開口を通して前面側に延びるように構成される。
【0038】
また、上述したことに関連して、押し部材30の両端部は、図2に示すように、円弧状に形成され、第1及び第2回動受け部材12,14の接続部20は、押し部材38の背面側(図1において左側)にて支持受部20から径方向外方に延び、それらの曲げ保持部28は、接続部20の先端部から押し部材38を越えて前面側に延び、押し部材38の径方向外方にて上記受け角度位置と上記曲げ角度位置との間を回動することができる。
【0039】
尚、上述した実施形態では、収容装置本体4に押し部材38を固定的に設け、この押し部材38に対して第1及び第2回動受け部材12,14を移動させているが、これとは反対に、第1及び第2回動受け部材12,14を収容装置本体4に固定的に設け(但し、受け角度位置と曲げ角度位置との間を回動自在に構成する)、押し部材38を移動自在に設けてこの移動部材38の移動によって、第1及び第2回動受け部材12,14に保持されたスライス状物Sを押し出すようにして容器11に収容するようにすることもできる。
【0040】
この形態では、更に、上カバー8の上面に第1及び第2操作スイッチ46,48が設けられている。第1操作スイッチ46は、第1及び第2ロータリーアクチュエータ26,328を作動させるためのもので、第1操作スイッチ46を操作すると、第1及び第2ロータリーアクチュエータ26,28が作動して第1の状態に保持され、第1及び第2回動受け部材12,14が上記受け角度位置に保持され、再度操作すると、第1及び第2ロータリーアクチュエータ26,28が作動して第2の状態に保持され、第1及び第2回動受け部材12,14が上記曲げ角度位置に保持される。また、第2操作スイッチ48は、流体圧シリンダ機構30を作動させるためのもので、第2操作スイッチ48を操作すると、流体圧シリンダ機構30が作動して収縮され、第1及び第2回動受け部材12,14が上記作用位置に位置付けられ、再度操作すると、流体圧シリンダ機構30が伸張して第1及び第2回動受け部材12,14が上記後退位置に位置付けられる。
【0041】
第1及び第2回動受け部材12,14を移動させるのに流体圧シリンダ機構30を用いているが、このような構成に限定されず、ボールネジ機構、ラック及びピニオンの組合せ機構などを用いた電動式駆動様式を採用することもできる。
【0042】
また、第1及び第2操作スイッチ46,48を操作することによる制御は、後述する作動が達成されるように適宜設定することができる。例えば、第1操作スイッチ46を押圧操作する間第1及び第2ロータリーアクチュエータを第2の状態に保持する(即ち、第1及び第2回動受け部材12,14を上記曲げ角度位置に保持する)ように構成してもよく、また第2第2操作スイッチ48を押圧操作する間流体圧シリンダ機構30を伸張状態に保つ(即ち、第1及び第2回動受け部材12,14を上記後退位置に保持する)ように構成してもよい。
【0043】
次に、主として図1とともに図4及び図5を参照して、上述した容器収容装置2を用いたスライス状物S(又はその積層状態のもの)の収容作業について説明する。スライス状物S(例えば、薄く切った豚肉の数枚を積層状態にしたもの)を容器に収容するには、例えば、第1及び第2回動受け部材12,14の支持受部16に対応したスリット(図示せず)が設けられた載置テーブル台(図示せず)にスライス状物Sを載置する。また、容器収容装置2の第1操作スイッチ46を押圧し、第1及び第2ロータリーアクチュエータ26,28を第1状態にして第1及び第2回動受け部材12,14を上記受け角度位置に保持する。この受け角度位置においては、図1及び図2に示すように、第1及び第2回動受け部材12,14の支持受部16と曲げ保持部18とが上下方向に間隔をおいて位置する。
【0044】
そして、第1及び第2回動受け部材12,14の支持受部16がテーブル台の下側に、それらの曲げ保持部18がテーブル台の上側となるように位置付け、このように位置付けることによって、スライス状物Sは、第1及び第2回動受け部材12,14の支持受部16と曲げ保持部18との間に受け入れられるようになる。
【0045】
その後、第1及び第2回動受け部材12,14の支持受部16を対応するスリット(図示せず)を通して上方に持ち上げる。このように持ち上げると、スライス状物Sの両端部が第1及び第2回動受け部材12,14の支持受部6に支持され、第1及び第2回動受け部材12,14の支持受部16から外側のスライス状物Sの部分は、下方に垂れるように保持される。
【0046】
次いで、第1操作スイッチ46を再度押圧する。かくすると、第1及び第2ロータリーアクチュエータ26,28が第1の状態か第1の状態から第2の状態になり、図2に示すように、第1回動受け部材12が図2において反時計方向に回動し、かかる回動に伴ってその曲げ保持部18がスライス状物Sの垂れ下がった部分に作用してその支持受部16を中心として内側に曲げて保持し、また第2回動受け部材14が図2において時計方向に回動し、かかる回動に伴ってその曲げ保持部18がスライス状物Sの垂れ下がった部分に作用してその支持受部16を中心として内側に曲げて保持し、このようにしてスライス状物Sは、図4に示すように、第1及び第2回動受け部材12,14間にその両端部が内側に曲げた状態に保持される。
【0047】
その後、第2操作スイッチ48を操作して流体圧シリンダ機構30を伸張させる。かくすると、図5に示すように、流体圧シリンダ機構30が伸張し、かかる伸張によって、支持プレート22を介して第1及び第2回動受け部材12,14が図4に示す作用位置から図5に示す後退位置に移動し、かかる移動に伴って押し部材38が第1及び第2回動受け部材12,14の保持されたスライス状物Sに作用し、このスライス状物Sは押し部材38により押し出されるようにしてトレイ状の容器11に収容される。このように収容された状態では、上述した記載から理解されるように、スライス状物Sは、両端部が内側に曲がった状態で、且つ曲がった両端部が下側に隠れる状態で容器11に収容され、かくして、外観的にきれいな状態で容器11に収容される。尚、このように収容した後、必要に応じて、スライス状物Sが収容された容器11全体を樹脂製シート(図示せず)で覆って販売される。
【0048】
〔第2の実施形態〕
次に、図6を参照して、本発明に従う容器収容装置の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態においては、第1及び第2回動受け部材などに改良が施されている。
【0049】
図6において、この形態では、第1及び第2回動受け部材12A,14Aは、第1及び第2ロータリーアクチュエータ(図示せず)の出力部に連結された支持受部16と、この支持受部16Aと一体的に回動するように設けられた一対の曲げ保持部18Aとを備え、一対の曲げ保持部18Aが接続部20Aを介して支持受部16Aに接続され、一対の曲げ保持部18Aは、支持受部16に対して実質上平行に間隔をおいて配置される。このように曲げ保持部18Aの数を増やすことによって、第1及び第2回動受け部材12A,14Aの支持受部16Aからのスライス状物の垂れ下がりがある程度長くなっても、スライス状物の垂れ下がった部分に第1及び第2回動受け部材12A,14Aの一対の曲げ保持部18Aが作用し、これによって、スライス状物の両端部を支持受部16Aを中心として内側にきれいに曲げて保持することができる。尚、このように構成することによって、一対の曲げ保持部18Aと押し部材38Aとの干渉を回避するために、押し部材38Aの両端部が小さく形成される。
【0050】
また、容器収容装置2Aの収容装置本体4に取付ブラケット(図示せず)が取り付けられ、この取付ブラケットに中央支持部材52が装着されている。この中央支持部材52は、細長いプレート状部材から構成され、第1及び第2回動受け部材12A,14Aの支持受部16A間の中間部に配設され、これら支持受部16Aに対して実質上平行に前側に延びている。尚、この中央支持部材52は、プレート状部材に代えて、細長い棒状部材から構成するようにしてもよく、また2つ以上設けるようにしてもよい。
【0051】
この中央支持部材52の上面は、第1及び第2回動受け部材12A,14Aの上端と実質上同一レベルとなるように構成され、このように構成することによって、第1及び第2回動受け部材12A,14Aの支持受部16Aと曲げ保持部18Aとの間にスライス状物を受けるときには、このスライス状物は中央支持部材52の上側に位置するようになる。従って、第1及び第2回動受け部材12A,14A間にスライス状物が保持された状態では、保持されたスライス状物の中央部がこの中央支持部材52に支持され、これによって、スライス状物の下方への垂れ下がりを防止して第1及び第2回動支持部材12A,14A間に安定して保持することができる。
【0052】
中央支持部材52を設けることに関連して、押し部材38Aの対応する部位に開口54が設けられ、中央支持部材52は、かかる開口54を通して前側に延びている。この第2の実施形態の容器収容装置2Aのその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一でよく、この第2の実施形態のものにおいても、第1の実施形態と同様の作用効果が達成される。
【0053】
〔第3の実施形態〕
次に、図7〜図11を参照して、本発明に従う容器収容装置の第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態では、スライス状物が容器に自動的に収容されるように構成されている。
【0054】
図7において、この形態の容器収容装置2Bは、スライス状物Sを受け域Pから収容域Qに移送するためのスライス状物移送装置102を具備している。このスライス状物移送装置102は、スライス状物Sを受け取って容器に収容するための受取り保持手段104と、この受取り保持手段104を受け域Pと収容域Qとの間を旋回移動させるための保持移送手段106とを備えている。
【0055】
保持移送手段106は、作業場の床面などに設置される設置本体108と、この設置本体108に装着された移送アーム110を備え、この移送アーム110の先端部に受取り保持手段104が装着される。移送アーム110は複数の関節部を有するロボットアームから構成され、受取り保持手段104が後述する如く移送されるように制御される。
【0056】
受取り保持手段104は、第1の実施形態の容器収容装置2と基本的構成が略同一であって、図8及び図9に示す構造を有している。図8及び図9において、図示の受取り保持手段104は、断面略L字状のプレート部材から構成された保持器本体112を備え、この保持器本体112の垂直壁部114の両端部の内面に第1及び第2支持部材114,1116が装着され、第1支持部材114に第1回動受け部材118が回動自在に支持され、第2支持部材116に第2回動受け部材120が回動自在に支持されている。
【0057】
第1回動受け部材118及び第2回動受け部材120は実質上同一の構成であり、以下、第1回動受け部材118(第2回動受け部材120)の構成について説明する。第1回動受け部材118(又は第2回動受け部材120)は、細長い棒状の支持受部124を備え、この支持受部124が第1支持部材114(又は第2支持部材116)に回動自在に支持されている。第1回動受け部材118(又は第2回動受け部材120)は、更に、一対の曲げ保持部126を備え、かかる一対の曲げ保持部126は細長い棒状に形成され、一対の曲げ保持部126が接続部128を介して支持受部124に一体的に回動するように接続されている。この形態では、支持受部124に取付スリーブ130が装着され、この取付スリーブ130に接続部128が挿入固定されている。
【0058】
また、保持器本体112の垂直壁部114の両端部の外面には、第1及び第2回動受け部材118,120に対応して第1及び第2ロータリーアクチュエータ132,134が取り付けられ、第1及び第2ロータリーアクチュエータ132,134の出力部が第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124に一体的に回動するように連結されている。
【0059】
この第3の実施形態においては、上述した第1の実施形態と同様に、第1及び第2ロータリーアクチュエータ132,134の片側のポートに圧力流体が供給されると、第1及び第2ロータリーアクチュエータ132,134が第1の状態となり、第1及び第2回動受け部材132,134は、図8に示す受け角度位置に保持され、支持受部124と一対の曲げ保持部126とが上下方向に実質上平行となる位置関係に保持される。また、第1及び第2ロータリーアクチュエータ132,134の他側のポートに圧力流体が供給されると、第1及び第2ロータリーアクチュエータ132,134が第2の状態となり、第1及び第2回動受け部材118,120が、図9に示す曲げ角度位置に位置付けられ、係る曲げ角度位置においては、支持受部124と一対の曲げ保持部126とが略横方向に平行となる位置関係に保持される。
【0060】
この形態では、第1及び第2回動受け部材118,120間に中央支持部材136が配設されている。この形態では、保持器本体112の天壁部138の下面に取付支持部材140が取り付けられ、この取付支持部材140に中央支持部材136の基端部が装着され、中央支持部材136は、第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124に対して実質上平行に前側に延びている。
【0061】
この保持器本体112の天壁部138の上面には取付部142が設けられ、この取付部142に保持移送手段106の移送アーム110が取り付けられ(図8参照)、この移送アーム110によって保持器本体112、換言すると受取り保持手段104が後述する如く移送される。
【0062】
次に、図7及び図10を参照して、容器収容装置2Bの受け域Pの構成及びそれに関連する構成について説明する。図7及び図10において、この形態では、受け域Pに対応して、スライス状物Sを搬送するための搬送機構152が設けられ、この搬送機構152の上流側に上流側ベルト搬送機構154が設けられている。上流側ベルト搬送機構154は無端状搬送ベルト156を備え、かかる無端状搬送ベルト156の上走行部が矢印158で示す方向に移動され、スライス状物Sは、無端状搬送ベルト156の上走行部に載置されて矢印158で示す下流側に搬送機構152に向けて搬送される。
【0063】
図示の搬送機構152は、所定方向(図10において上下方向)に間隔をおいて配設された一対の側壁160,162を備え、この一対の側壁160,162の両端部に駆動軸164及び従動軸166が回転自在に支持され、駆動軸164に駆動源としての駆動モータ167が駆動連結されている。駆動軸164には、その軸方向に間隔をおいて複数の駆動プーリ168が装着され、従動軸166には、その軸方向に間隔をおいて複数の従動プーリ170が装着され、これら駆動プーリ168と従動プーリ170との間に無端状部材172(例えば、無端状ワイヤ、細い無端状ベルトなどから構成される)が巻き掛けられている。
【0064】
このように構成されているので、駆動モータ167が駆動されると、駆動軸164を介して複数の駆動プーリ168が搬送方向に回動され、これによって、複数の無端状部材172の上走行部が矢印158で示す方向に移動され、ベルト搬送機構154によって下流側に搬送されたスライス状物Sは、これら無端状部材172によって更に下流側に受け域Pに向けて搬送される。
【0065】
搬送機構152と受取り保持手段104とは、次の通りの位置関係になるように構成される。搬送機構152の複数の無端状部材172は、矢印158で示す搬送方向に対して垂直な方向(図10において上下方向)に間隔をおいて配置され、スライス状物Sを受け取る際には、これら無端状部材172間のスペースを利用して受取り保持手段104の第1及び第2回動受け部材118,120並びに中央支持部材136が所要の通りに位置付けられる。
【0066】
受取り保持手段104の第1及び第2回動受け部材118,120は上記受け角度位置に保持され、このような状態で、それらの支持受部124及び一対の曲げ保持部126は、駆動軸164の外側(即ち、図10において右側)から駆動軸164の上方を通って無端状部材172間を上流側に延びる。このとき、第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124は、無端状部材172の上走行部の下側に位置し、それらの一対の曲げ保持部126は、無端状部材172の上走行部の上側に位置し、このような位置関係になるので、受け域Pに搬送されたスライス状物Sは、第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124と一対の曲げ保持部126との間に受け入れられてそれらの支持受部124間に支持される。
【0067】
また、中央支持部材136は、第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124と同様に、駆動軸164の外側からその上方を通って無端状部材172間を上流側に延びる。このとき、中央支持部材136は、無端状部材172の上走行部の下側に位置し、このような位置関係になるので、受け域Pに搬送されたスライス状物Sは、中央支持部材136の上側に載置される。
【0068】
次に、図7及び図11を参照して、容器収容装置2Bの収容域Qの構成及びそれに関連する構成について説明する。図7及び図11において、収容域Qに対応して、受取り保持手段104に保持されたスライス状物Sを容器182に収容するための収容手段184が設けられ、この収容手段184に関連して、収容域Qにトレイ状の容器182を供給するための容器供給手段186が設けられているとともに、収容手段184の下流側に、スライス状物Sが収容された容器182を下流側に搬送するための下流側ベルト搬送機構190が設けられている。容器供給手段186は、収容域Qにトレイ状の容器182を一つずつ供給し、かく供給された容器182に受取り保持手段104に保持されたスライス状物Sが後述するように収容される。また、下流側ベルト搬送機構190は、無端状搬送ベルト192を備え、かかる無端状搬送ベルト192の上走行部が矢印194で示す方向に移動され、スライス状物Sが収容された容器182は、無端状搬送ベルト194の上走行部に載置されて矢印194で示す下流側に搬送される。
【0069】
図示の収容装置184は載置テーブル196を備え、容器供給手段186から供給された容器182は、この載置テーブル196のテーブル台198に載置される。この載置テーブル196の一側部(図7において右側部)には押し部材200が配設され、押し部材200の両端部が、テーブル台198に装着された一対の取付ブラケット202間に取り付けられている。この押し部材200には間隔をおいて複数(この形態では、7つ)の受けスリット204が設けられ、これらスリット204は押し部材200の上端から下方に向けて直線状に延び、図11に示すように、第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124及び一対の曲げ保持部126並びに中央支持部材136が、対応する受けスリット204に上方から受け入れられる。かく受け入れられた状態においては、第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124及び一対の曲げ保持部126並びに中央支持部材136の先端側の大部分(換言すると、スライス状物Sを保持する部分)が押し部材200の前面側(図11において紙面に対して表面側)に位置する。
【0070】
この収容域Qには、更に、アルコールを噴霧するための噴霧手段206が配設されている。図示の形態では、噴霧手段206は、押し部材200の両端部に対応して設けられ、一方の噴霧手段206は第1回動受け部材118に対応して配設され、他方の噴霧手段206は第2回動受け部材120に対応して配設されている。これら噴霧手段206は、スライス状物Sが位置する側とは反対側(即ち、押し部材200の外側)に配置され、スライス状物Sが外れた第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124に向けて噴霧する。尚、これらの支持受部124に加えて一対の上げ保持部126に向けて噴霧するようにすることもできる。このようにアルコールを噴霧することにより、第1及び第2回動受け部材118,120を消毒して衛生上の安全を保つことができる。
【0071】
噴霧手段206に関連して拭取り手段(図示せず)を設けるのが望ましい。拭取り手段は、例えばスポンジ、布などから構成され、第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124及び曲げ保持部126に作用する作用位置とこれらから上方に後退する後退位置との間を移動自在に構成され、噴霧手段206から噴霧されたアルコールを拭き取るときには上記作用位置に保持される。このように拭取り手段によりアルコールを拭き取ることにより、アルコールに溶解された油成分(肉類などの油成分)も一緒に除去することができ、第1及び第2回動受け部材118,120をきれいな状態に保つことができる。
【0072】
スライス状物Sの外れを容易にするために、第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124の周面に、複数のスプライン溝(図示せず)を設けるのが好ましい。複数のスプライン溝は、それらの支持受部124の長手方向(軸方向)に直線状に延びるように設けることができ、このようにスプライン溝を設けることによって、スライス状物Sとの接触面積を小さくすることができ、これら支持受部124とこれらに曲げて保持されたスライス状物Sとの間の摩擦を小さくすることができ、スライス状物Sの外れが一層容易となる。
【0073】
この容器収容装置2Bによるスライス状物Sの収容は、例えば、次のようにして行われる。主として、図7、図10及び図11を参照して、収容すべきスライス状物S(例えば、スライス状の肉類)は、上流側搬送ベルト機構154の無端状搬送ベルト156及び搬送機構152の複数の無端状部材172によって受け域Pに搬送され、受け域Pに搬送されると、スライス状物Sの上述した搬送が一時的に停止される。
【0074】
スライス状物Sが受け域Pに搬送されると、保持移送手段106の移送アーム110が受け域Pに向けて移動し、この移送アーム110の動きによって、受取り保持手段104が受け域Pに所要の通りに移動される。即ち、受取り保持手段104は、搬送機構152の駆動軸164側から従動軸166側に(図10において左から右に)向けて移動され、複数の無端状部材172上に保持されたスライス状物Sは、上記受け角度位置に保持された第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124と一対の受け保持部126との間に挿入される。
【0075】
このようにスライス状物Sが挿入されると、移送アーム110は受取り保持手段104を上方に持ち上げられた後に、収容域Qに向けて移送する。受取り保持手段104が上方に持ち上がると、スライス状物Sの両端部が第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124に支持され、それより外側の部分は、支持受部124から下方に垂れ下がるようになり、またスライス状物Sの中央部が中央筋部材136に支持され、これによって、スライス状物Sの中間部(支持受部124間に位置する部分)が下方に垂れ下がるのを防止することができる。
【0076】
受取り保持手段104が上方に持ち上げられた後収容域Qに移送される間に、スライス状物Sの垂れ下がった両端部の曲げ保持が行われる。第1及び第2ロータリーアクチュエータ132,134が第1の状態から第2の状態に切り換えられ、第1及び第2回動受け部材132,134は、それらの支持受部24を中心として上記曲げ角度位置に位置付けられ、それらの一対の曲げ保持部126は、スライス状物Sの垂れ下がった両端部に下側から作用して支持受部124を中心として内側に曲げた状態に保持する。
【0077】
収容域Qにおいては、容器供給手段186からトレイ状の容器182が供給され、供給された容器182は載置テーブル196のテーブル台198の上面に載置される。また、受取り保持手段104は、移送アーム110の動きによって、第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124並びに曲げ保持部126と中央支持部材136とが押し部材200の受けスリット204内に受け入れながら上記収容域Qに移動され、かく移動された状態では、図11から理解されるように、第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124並びに曲げ保持部126の基部側と中央支持部材136の基部側とが押し部材200の外側に位置し、それらの支持受部124及び曲げ保持部126の先端部側並びに中央支持部材136の先端部側(換言すると、スライス状物Sが保持された部分)が押し部材200の内側(容器182が位置する側)に位置する。
【0078】
その後、移送アーム110の動きによって、受取り保持手段104が押し部材200から離れる方向(図11において紙面に対して裏面側)に移動される。かくすると、押し部材200が第1及び第2回動受け部材118,120間に保持されたスライス状物Sを押し出すように作用し、スライス状物Sは、それらの支持受部124及び曲げ保持部126並びに中央支持部材136に沿って滑りながら移動してこれらから外れて容器182内に収容される。この収容状態では、スライス状物Sは、その両端部が内側に曲げられ且つ下側に隠れているので、上から見たときの外観はきれいで、購入者に購入意欲を起こさせるように収容することができる。尚、噴霧手段206からのアルコール噴霧は、スライス状物Sが外れた後の第1及び第2回動受け部材118,120の支持受部124に向けて行われるので、これら支持受部124に付着した油成分などを除去することができる。
【0079】
スライス状物Sが収容された容器182は、例えば、作業者によって収容域Qから下流側搬送ベルト機構190の無端状搬送ベルト194上に運ばれ、その後、この無端状搬送ベルト190の移動によって矢印194で示す方向に更に下流側に搬送される。
【0080】
以上、本発明に従う容器収容装置の各種実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の修正乃至変更が可能である。
【0081】
例えば、上述した実施形態では、一対の受け部材を回動受け部材(即ち、第1及び第2回動受け部材)から構成しているが、このように構成する必要はなく、一対の受け部材のいずれか一方のみを回動受け部材から構成することによっても上述したと略同様の作用効果を達成することができる。
【0082】
また、例えば、上述した実施形態では、第1及び第2回動受け部材の支持受部及び曲げ保持部を断面円形状の部材から形成しているが、断面三角状、四角状、六角状の適宜の形状の棒状部材から形成することができる。
【符号の説明】
【0083】
2,2A,2B 容器収容装置
4 収容容器本体
10,182 容器
12,12A,14,14A,118,120 回動受け部材
16,16A,124 支持受部
18,18A,126 曲げ保持部
26,28,132,134 ロータリーアクチュエータ
38,38A,200 押し部材
52,136 中央支持部材
102 スライス状物移送装置
104 受取り保持手段
106 保持移送手段
152 搬送機構
172 無端状部材
P 受け域
Q 収容域
S スライス状物




















【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライス状物を容器に収容するために用いるスライス状物の容器収容装置であって、
収容装置本体と、前記収容装置本体に装着され、スライス状物を受け取って前記容器に収容するための一対の受け部材とを備え、前記一対の受け部材の少なくとも一方は、スライス状物を受け取る受け角度位置と、受け取ったスライス状物を内側に曲げる曲げ角度位置との間を回動自在であり、この回動受け部材は、スライス状物を受け取る支持受部と、スライス状物を内側に曲げるために前記支持受部に一体的に設けられた曲げ保持部とを備え、前記回動受け部材においては、前記受け角度位置のときにスライス状物が前記回動受け部材の前記支持受部と前記曲げ保持部との間に挿入され、この挿入状態において前記受け角度位置から前記曲げ角度位置に回動されると、前記回動受け部材の前記曲げ保持部がスライス状物に下側から作用して前記支持受部を中心として内側に曲げて保持することを特徴とするスライス状物の容器収容装置。
【請求項2】
前記一対の受け部材は、前記受け角度位置と前記曲げ角度位置との間を回動自在である第1及び第2回動受け部材から構成され、スライス状物の一端側は、前記第1回動受け部材の前記支持受部と前記曲げ保持部との間に挿入され、その他端側は、前記第2回動受け部材の前記支持受部と前記曲げ保持部との間に挿入され、前記第1及び第2回動受け部材が前記受け角度位置から曲げ角度位置まで回動すると、前記第1回動受け部材の前記曲げ保持部がスライス状物の一端側に下側から作用して前記支持受部を中心として内側に曲げて保持し、前記第2回動受け部材の前記曲げ保持部がスライス状物の他端側に下側から作用して前記支持受部を中心として内側に曲げて保持することを特徴とする請求項1に記載のスライス状物の容器収容装置。
【請求項3】
前記収容装置本体には、前記第1及び第2回動受け部材に保持されたスライス状物を支持するための中央支持部材が設けられ、前記中央支持部材は、前記第1及び第2回動受け部材の間に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のスライス状物の容器収容装置。
【請求項4】
前記収容装置本体には、前記一対の受け部材に受け取られたスライス状物に作用して前記容器に収容するための押し部材が設けられており、前記押し部材は、前記押し部材と前記一対の受け部材との相対的移動によって前記一対の受け部材に保持されたスライス状物に作用して前記容器に向けて押し出すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスライス状物の容器収容装置。
【請求項5】
スライス状物を受け取る受け域とスライス状物を容器に収容する収容域との間を旋回自在であるスライス状物移送装置を具備し、前記スライス状物移送装置は、スライス状物を受け取って保持するための受取り保持手段と、前記受取り保持手段を前記受け域と前記収容域との間を旋回移動させるための保持移送手段とを備えており、
前記受取り保持手段は、保持器本体と、スライス状物を受け取って前記容器に収容するための第1及び第2受け部材とを備え、前記第1及び第2受け部材は、スライス状物を受け取る支持受部と、積スライス状物を内側に曲げるために前記支持受部に一体的に設けられた曲げ保持部とを有し、スライス状物を受け取る受け角度位置と、受け取ったスライス状物を内側に曲げる曲げ角度位置との間を回動自在であり、
スライス状物の一端側は、前記第1回動受け部材の前記支持受部と前記曲げ保持部との間に挿入され、その他端側は、前記第2回動受け部材の前記支持受部と前記曲げ保持部との間に挿入され、前記第1及び第2回動受け部材が前記受け角度位置から曲げ角度位置まで回動すると、前記第1回動受け部材の前記曲げ保持部がスライス状物の一端側に下側から作用して前記支持受部を中心として内側に曲げて保持し、前記第2回動受け部材の前記曲げ保持部がスライス状物の他端側に下側から作用して前記支持受部を中心として内側に曲げて保持することを特徴とするスライス状物の容器収容装置。
【請求項6】
前記受け域に関連して、スライス状物を搬送方向に前記受け域に向けて搬送するための搬送手段が設けられ、前記搬送手段は、スライス状物を搬送する複数の無端状部材を備え、前記複数の無端状部材が前記搬送方向に対して垂直な方向に間隔をおいて配設され、前記受け域においては、前記第1及び第2回動受け部材の前記支持受部は前記複数の無端状部材の間に挿入され、前記搬送手段により搬送されたスライス状物は、前記受け域にて挿入された前記第1及び第2回動受け部材の前記支持受部と前記曲げ保持部との間に挿入されることを特徴とする請求項5に記載の容器収容装置。
【請求項7】
前記収容域に関連して、前記第1及び第2回動受け部材に保持されたスライス状物に作用して前記容器に収容するための押し部材が設けられ、前記押し部材には、前記第1及び第2回動受け部材の前記支持受部及び前記曲げ保持部に対応して、これらを受け入れるための受けスリットが間隔をおいて設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の容器収容装置。
【請求項8】
前記収容域には、スライス状物が位置する側とは反対側に、スライス状物が外れた前記第1及び第2回動受け部材の前記支持受部に向けてアルコールを噴霧するための噴霧手段が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の容器収容装置。
【請求項9】
前記受取り保持手段には、前記第1及び第2回動受け部材に保持されたスライス状物を支持するための中央支持部材が設けられ、前記中央支持部材は、前記第1及び第2回動受け部材の間に配置されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載のスライス状物の容器収容装置。
【請求項10】
前記第1及び第2回動受け部材の前記支持受部には、その周面に複数のスプライン溝が設けられ、前記複数のスプライン溝は前記第1及び第2回動受け部材の前記支持受部の長手方向に直線状に延びていることを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載のスライス状物の容器収容装置。






















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−250748(P2012−250748A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126151(P2011−126151)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(511136980)株式会社馬場鐵工所 (2)
【出願人】(511137127)タカミ機械株式会社 (1)
【出願人】(591076028)株式会社なんつね (27)
【Fターム(参考)】