スリーブ固定キット及びそれを使用したスリーブの固定方法
【課題】並列した内外の基礎配筋に短時間で容易に正確にスリーブを固定できるスリーブ固定キット及びスリーブの固定方法を提供する。
【解決手段】本発明は、上記課題を解決するため、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部、前記上固定部の左右両端に直線状に連設する左右上枠よりなる上枠体と、前記上固定部の反対方向に拡張する下保持部、前記下保持部の左右両端に直線状に連設する左右下枠よりなる下枠体と、前記上下枠体の一端を連結する折返し部とからなることを特徴とするスリーブ固定部材と、基礎配筋を挟む上下挟持部と、前記上下挟持部の間に形成されるスリーブ固定部材を載せる受け部と、前記上下挟持部を同時に開閉させる摘み部とからなるクリップと、前記スリーブ固定部材に固定されるスリーブの中心が左右下枠の延長線上に位置することを特徴とするスペーサーとからなるスリーブ固定キットとそれを使用したスリーブの固定方法の構成とした。
【解決手段】本発明は、上記課題を解決するため、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部、前記上固定部の左右両端に直線状に連設する左右上枠よりなる上枠体と、前記上固定部の反対方向に拡張する下保持部、前記下保持部の左右両端に直線状に連設する左右下枠よりなる下枠体と、前記上下枠体の一端を連結する折返し部とからなることを特徴とするスリーブ固定部材と、基礎配筋を挟む上下挟持部と、前記上下挟持部の間に形成されるスリーブ固定部材を載せる受け部と、前記上下挟持部を同時に開閉させる摘み部とからなるクリップと、前記スリーブ固定部材に固定されるスリーブの中心が左右下枠の延長線上に位置することを特徴とするスペーサーとからなるスリーブ固定キットとそれを使用したスリーブの固定方法の構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物を建築する際の基礎配筋に配管や配線のためのスリーブを固定するスリーブ固定キット及びスリーブ固定キットを使用したスリーブの固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の基礎配筋に配管や配線のためのスリーブを固定するには、並列した内外の基礎配筋に2人の作業員が対峙し、各基礎配筋間に固定するスリーブの縦位置や横位置を合わせながら取付作業をしていた。
【0003】
しかしながら、従来の方法では、対峙した2人の作業員が各基礎配筋において、基礎配筋の縦軸に固定するスリーブの中心位置の目印を付け、その位置からスリーブの半径分下げた位置にスリーブの下側を固定するための横配筋を位置させてその横配筋を左右の基礎配筋と結束線で固定し、次にスリーブの横位置を決めてスリーブの両側を縦配筋で挟み各縦配筋を上下の基礎配筋と結束線で固定し、最後にスリーブの上側を固定するための横配筋を位置させてその横配筋を左右の基礎配筋と結束線で固定するため、1本のスリーブを固定するためにスリーブの中心となる位置やスリーブの下端となる位置又は左右端となる位置などいくつもの目印を基礎配筋にしなければならないため取り付けるまでに非常に時間がかかっていた。
【0004】
また、上記のように1本のスリーブを固定するために2人の作業員がそれぞれの基礎配筋で作業するためスリーブを綺麗に固定することが難しく、コンクリート打設後に穿設された孔が曲がっていることや、各孔の位置がずれること、更に穿設位置自体が他の孔と大きく異なり作業のやり直しを余儀なくされることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−47796号公報
【特許文献2】特開平11−336320号公報
【特許文献3】特開平8−42140号公報
【特許文献4】特開2003−105969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、並列した内外の基礎配筋に作業員1人で容易にスリーブを固定することができ、また基礎配筋の一方向から内外の基礎配筋にスリーブを固定することができるため短時間で固定することができ、更に従来よりもより正確な位置にスリーブを固定することができるスリーブ固定キット及びスリーブの固定方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部、前記上固定部の左右両端に直線状に連設する左右上枠よりなる上枠体と、前記上固定部の反対方向に拡張する下保持部、前記下保持部の左右両端に直線状に連設する左右下枠よりなる下枠体と、前記上下枠体の一端を連結する折返し部とからなり、前記上固定部と前記下保持部の間にスリーブを位置させることを特徴とするスリーブ固定部材と、
基礎配筋を挟む上下挟持部と、前記上下挟持部の間に形成されるスリーブ固定部材を載せる受け部と、前記上下挟持部を同時に開閉させる摘み部とからなり、前記スリーブ固定部材を基礎配筋に仮止めするためのクリップと、
前記スリーブ固定部材の上固定部又は下保持部の一方又は両方に取付けて、スリーブ固定部材に固定されるスリーブの中心が左右下枠の延長線上になるように調整することを特徴とするスペーサーと、
前記スリーブ固定部材、クリップ及びスペーサーを使用したスリーブの固定方法の構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明であるスリーブ固定キットは1人の作業員で並列している内外の基礎配筋の一方向からスリーブ固定作業をすることができるため、従来のように一つのスリーブを固定するために2人で作業する必要がなく、各作業員は別々の位置からスリーブ固定作業をすることができ、建築現場におけるスリーブ固定の行程を短くすることができる。
【0009】
また、基礎配筋に固定するスリーブの中心位置を記すだけで正確な位置にスリーブを固定することができるため、従来のようにスリーブの中心位置からスリーブの半径分の距離を計測して別の印を付す必要がない。
【0010】
また、一つのスリーブ固定部材でスリーブを固定することができるため、従来のように一つのスリーブを固定するために長さの異なる配筋を複数用意し、それぞれを基礎配筋に固定するという煩雑な作業が不要である。
【0011】
また、クリップによってスリーブ固定部材を簡単に仮止めすることができるため、従来のように結束線で基礎配筋に固定している最中にズレたりすることがなく、常に正確な位置にスリーブを固定することができる。
【0012】
また、配線や配管のために穿設する孔の径が同じであっても塩ビスリーブと紙製スリーブでは外径が異なるためスリーブ固定の際の目印付けに修正を加える必要があったが、本発明では専用のスペーサーをワンタッチで着脱することで塩ビスリーブにも紙製スリーブにも対応することができ、基礎配筋にスリーブの中心位置のみを記すだけで正確にスリーブを固定することができる効果は変わらない。
【0013】
更に、床面側の基礎配筋においても簡単にしっかりとスリーブを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の正面図である。
【図2】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第2実施例の正面図である。
【図3】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第3実施例の正面図である。
【図4】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第4実施例の正面図である。
【図5】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第5実施例の正面図である。
【図6】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第6実施例の正面図である。
【図7】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第7実施例の正面図である。
【図8】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第8実施例の正面図である。
【図9】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第9実施例の正面図である。
【図10】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第10実施例の正面図である。
【図11】本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップの斜視図である。
【図12】本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップの平面図である。
【図13】本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップの右側面図である。
【図14】本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップの背面図である。
【図15】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスペーサーの正面図である。
【図16】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスペーサーの右側面図である。
【図17】本発明であるスリーブ固定キットを使用した状態を示した斜視図である。
【図18】本発明であるスリーブ固定キットを使用した状態を示した拡大図である。
【図19】本発明であるスリーブ固定キットを使用した状態を示した拡大図である。
【図20】本発明であるスリーブ固定キットを使用した状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付図面に基づいて、本発明であるスリーブ固定キット及びそれを使用したスリーブの固定方法について詳細に説明する。先ず、図1から図10を使用してスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材を説明することとする。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の正面図である。尚、図1の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0017】
図1に示すように、本発明であるスリーブ固定部材1は、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2fと前記下保持部2gの間にスリーブを位置させる。
【0018】
図1に示すように、前記左上下枠2a、2cは前記右上下枠2b、2dよりも短く、基礎配筋に固定するスリーブが右よりの位置に取り付けるために左上下枠2a、2cの長さが足りない場合は、スリーブ固定部材1を左右逆向きに使用することができ、余計なスリーブ固定部材を用意する必要がない。
【0019】
前記上固定部2fは、3辺からなる台形状をしており、前記下保持部2gは略半円形をしている。このようにすることで相対する位置に上固定部2fと下保持部2gが位置しているために起こりうるスリーブ固定部材の上下の間違いを防ぐことができる。
【0020】
但し、この形状の違いは限定したものではなく、上固定部2f、下保持部2gともに3辺からなら台形状又は略半円形としてもよく、また、上固定部2fを略半円形とし下保持部2gを3辺からなる台形状としても構わない。
【0021】
前記下保持部2gの中央頂点部分には後に説明するスペーサーを取り付けるための平坦部2hが形成されている。但し、下保持部2gの形状によっては平坦部2hを設けない場合もある。
【0022】
図1(2)に示すように、上固定部2fと下保持部2gの中央同士を結ぶ線Bと左右下枠2c、2dの上面同士を結ぶ線Aの交差部2iは、スリーブ固定部材1に取り付ける塩ビスリーブ3の中心3bと同じ位置となる。
【0023】
また、図1(3)に示すように、紙スリーブ3aは塩ビスリーブ3より外径が小さいためスリーブ固定部材1をそのまま使用すると前記交差部2iと紙スリーブ3aの中心3bがずれるので、平坦部2hの位置にスペーサー4を取り付けて使用する。このようにスペーサー4をワンタッチで取り付けるだけで紙スリーブ3aの中心3bとスリーブ固定部材1の交差部2iを合わせることができる。
【実施例2】
【0024】
図2は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第2実施例の正面図である。尚、図2の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0025】
図2に示すように、本発明であるスリーブ固定部材1aは、実施例1で示したスリーブ固定部材1とほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2fと前記下保持部2gの間にスリーブを位置させる。
【0026】
図2に示すように、スリーブ固定部材1aは実施例1のスリーブ固定部材1で固定するスリーブよりも径の大きいスリーブを固定するため、上固定枠2fと下保持枠2gの形状が大きめに形成されている。また、左上下枠2a、2cと右上下枠2b、2dの長さはほぼ同じであるが、特に限定したものではなく実施例1のスリーブ固定部材1のように左上下枠2a、2cの方が右上下枠2b、2dよりも短くなっていても構わない。
【0027】
前記上固定部2fは、3辺からなる台形状をしており、前記下保持部2gは略半円形をしている。このようにすることで相対する位置に上固定部2fと下保持部2gが位置しているために起こりうるスリーブ固定部材の上下の間違いを防ぐことができる。
【0028】
但し、この形状の違いは限定したものではなく、上固定部2f、下保持部2gともに3辺からなら台形状又は略半円形としてもよく、また、上固定部2fを略半円形とし下保持部2gを3辺からなる台形状としても構わない。
【0029】
上記のようにスリーブ固定部材1aでは上固定枠2fが大きく形成されているため、上固定枠2fの3つの辺のうち、両辺には平坦部2hを設けてスペーサー4を取り付けることができる構造とした。
【0030】
また、図2に示すように、前記下保持部2gについても同様に大きく形成されているため、平坦部2hを2箇所設けてスペーサー4を取り付けることができる構造とした。
【0031】
前記上固定部2f及び下固定部2gに設けた平坦部2hの数及び位置については限定したものではなく、また取り付けない場合もある。
【0032】
また実施例1と同様に、上固定部2fと下保持部2gの中央同士を結ぶ線Bと左右下枠2c、2dの上面同士を結ぶ線Aの交差部2iは、スリーブ固定部材1aに取り付ける塩ビスリーブ3の中心3bと同じ位置となり、紙スリーブ3aを取り付ける場合は、図2(3)に示すように、平坦部2hの位置にスペーサー4を取り付けて紙スリーブ3aの中心3bと交差部2iの位置を同じにして使用する。
【実施例3】
【0033】
図3は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第3実施例の正面図である。尚、図3の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0034】
図3に示すように、本発明であるスリーブ固定部材1bは、実施例1及び実施例2で示したスリーブ固定部材1、1aとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2fと前記下保持部2gの間にスリーブを位置させる。
【0035】
図3に示すように、スリーブ固定部材1bは実施例1及び2のスリーブ固定部材1、1aで固定するスリーブよりも更に径の大きいスリーブを固定するため、上固定枠2fと下保持枠2gの形状が大きく形成されている。また、左上下枠2a、2cと右上下枠2b、2dの長さはほぼ同じであるが、特に限定したものではなく実施例1のスリーブ固定部材1のように左上下枠2a、2cの方が右上下枠2b、2dよりも短くなっていても構わない。
【0036】
前記上固定部2fは、3辺からなる台形状をしており、前記下保持部2gは略半円形をしている。このようにすることで相対する位置に上固定部2fと下保持部2gが位置しているために起こりうるスリーブ固定部材の上下の間違いを防ぐことができる。
【0037】
但し、この形状の違いは限定したものではなく、上固定部2f、下保持部2gともに3辺からなら台形状又は略半円形としてもよく、また、上固定部2fを略半円形とし下保持部2gを3辺からなる台形状としても構わない。
【0038】
上記のようにスリーブ固定部材1bでは上固定枠2fが大きく形成されているため、上固定枠2fの3つの辺のうち、両辺には平坦部2hを設けてスペーサー4を取り付けることができる構造とした。
【0039】
また、図3に示すように、前記下保持部2gについても同様に大きく形成されているため、平坦部2hを2箇所設けてスペーサー4を取り付けることができる構造とした。
【0040】
前記上固定部2f及び下固定部2gに設けた平坦部2hの数及び位置については限定したものではなく、また取り付けない場合もある。
【0041】
また実施例1及び2と同様に、上固定部2fと下保持部2gの中央同士を結ぶ線Bと左右下枠2c、2dの上面同士を結ぶ線Aの交差部2iは、スリーブ固定部材1bに取り付ける塩ビスリーブ3の中心3bと同じ位置となり、紙スリーブ3aを取り付ける場合は、図3(3)に示すように、平坦部2hの位置にスペーサー4を取り付けて紙スリーブ3aの中心3bと交差部2iの位置を同じにして使用する。
【実施例4】
【0042】
図4は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第4実施例の正面図である。尚、図4の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0043】
図4に示したスリーブ固定部材1cは、実施例1で示したスリーブ固定部材1とほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに略半円形をしており、左上下枠2a、2cが右上下枠2b、2dよりも短く、更に下保持部2gの中央に平坦部2hを形成している。
【実施例5】
【0044】
図5は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第5実施例の正面図である。尚、図5の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0045】
図5に示したスリーブ固定部材1dは、実施例2で示したスリーブ固定部材1aとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに略半円形をしており、左上下枠2a、2cと右上下枠2b、2dの長さがほぼ同じく、更に上固定部2fの中央に平坦部2hを形成している。
【実施例6】
【0046】
図6は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第6実施例の正面図である。尚、図6の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0047】
図6に示したスリーブ固定部材1eは、実施例3で示したスリーブ固定部材1bとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに略半円形をしており、左上下枠2a、2cと右上下枠2b、2dの長さがほぼ同じく、更に上固定部2fに複数の平坦部2hを形成している。
【0048】
上記実施例4、5及び6で示したスリーブ固定部材1c、1d、1eは実施例1のスリーブ固定部材1と同様に、上固定部2fと下保持部2gの中央同士を結ぶ線Bと左右下枠2c、2dの上面同士を結ぶ線Aの交差部2iは、スリーブ固定部材1c、1d及び1eに取り付ける塩ビスリーブ3の中心3bと同じ位置となり、紙スリーブ3aを取り付ける場合は、図4、5、6の(3)に示すように、平坦部2hの位置にスペーサー4を取り付けて紙スリーブ3aの中心3bと交差部2iの位置を同じにして使用する。
【実施例7】
【0049】
図7は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第7実施例の正面図である。尚、図7の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0050】
図7に示したスリーブ固定部材1fは、実施例1、4で示したスリーブ固定部材1、1cとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに2辺からなる角状をしており、左上下枠2a、2cが右上下枠2b、2dよりも短い。
【実施例8】
【0051】
図8は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第8実施例の正面図である。尚、図8の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0052】
図8に示したスリーブ固定部材1gは、実施例2、5で示したスリーブ固定部材1a、1dとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに2辺からなる角状をしており、左上下枠2a、2cと右上下枠2b、2dの長さがほぼ同じである。
【実施例9】
【0053】
図9は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第9実施例の正面図である。尚、図9の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0054】
図9に示したスリーブ固定部材1hは、実施例3、6で示したスリーブ固定部材1b、1eとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに2辺からなる角状をしており、左上下枠2a、2cと右上下枠2b、2dの長さがほぼ同じである。
【実施例10】
【0055】
図10は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第10実施例の正面図である。尚、図10の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0056】
図8に示したスリーブ固定部材1iは、実施例2、5、8で示したスリーブ固定部材1a、1d、1gとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに3辺からなる台形状をしており、左上下枠2a、2cの長さが右上下枠2b、2dの長さよりも短い。
【0057】
上記実施例7、8、9及び10で示したスリーブ固定部材1f、1g、1h、1iは実施例1のスリーブ固定部材1と同様に、上固定部2fと下保持部2gの中央同士を結ぶ線Bと左右下枠2c、2dの上面同士を結ぶ線Aの交差部2iは、スリーブ固定部材1f、1g及び1hに取り付ける塩ビスリーブ3の中心3bと同じ位置となり、紙スリーブ3aを取り付ける場合は、図7、8、9、10の(3)に示すように、スペーサー4を取り付けて紙スリーブ3aの中心3bと交差部2iの位置を同じにして使用する。
【0058】
尚、実施例7、8、9及び10に示したスリーブ固定部材1f、1g、1h、1iについては上固定部2f及び下保持部2gが全て直線の辺で構成されているため特に平坦部2hを設けずに各辺に直接スペーサー4を取り付けた状態を(3)に図示した。但し、実施例1から実施例6で示したように平坦部2hを別途設けてスペーサー4の取付位置を限定しても構わない。
【0059】
次に図11から図14を使用して本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップを説明することとする。
【0060】
図11は本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップの斜視図、図12はクリップの平面図、図13はクリップの右側面図、図14はクリップの背面図である。
【0061】
図11から図14に示すように、本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップ5は、基礎配筋を挟む上下挟持部5a、5bと、前記上下挟持部5a、5bの間に形成されるスリーブ固定部材を載せる受け部5dと、前記上下挟持部5a、5bを同時に開閉させる摘み部5cとからなり、前記スリーブ固定部材1〜1iを基礎配筋に仮止めする。
【0062】
前記上挟持部5aは、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置する左上挟持部6dを形成し、前記左上挟持部6dの前後上面に上湾曲部6fを凹んだ状態で形成し、先端部底面にストッパ突起6hを形成した左上アーム6aと、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置するた右上挟持部7dを形成し、前記右上挟持部7dの前後上面に上湾曲部7fを凹んだ状態で形成し、先端部底面にストッパ突起7hを形成した右アーム7aとからなる。
【0063】
また、前記左上挟持部6dの後部から左摘み6c前部にかけては補強部6jが形成されており、同様に右上挟持部7dの後部から右摘み7c前部にかけても補強部7jが形成されている。
【0064】
前記下挟持部5bは、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置する左下挟持部6eを形成し、前記左下挟持部6eの前後下面に下湾曲部6gを凹んだ状態で形成し、先端部上面にストッパ突起6hを形成した左下アーム6bと、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置する右下挟持部7eを形成し、前記右下挟持部7eの前後下面に下湾曲部7gを凹んだ状態で形成し、先端部上面にストッパ突起7hを形成した右下アーム7bとからなる。
【0065】
また、左下挟持部6eの後部から左摘み6c前部にかけては補強部6jが形成されており、同様に右下挟持部7eの後部から右摘み7c前部にかけても補強部7jが形成されている。
【0066】
尚、前記上下湾曲部6f、7f、6g、7gは略半円型状をしているが、特に限定したものではなく、数辺からなる角型状であっても構わない。
【0067】
前記摘み部5cは、孔6lを穿設した2つの外連結部6kを内壁面に形成した左摘み部6cと、孔7lを穿設し前記外連結部6k間に挿通される2つの内連結部7kを内壁面に形成した右摘み部7cと、前記孔6l、7l内に挿通し、回動可能に保持される連結軸8aと、前記内連結部7k間に位置し、前記連結軸を挿通するスプリング8とからなる。
【0068】
前記受け部5dは、左上下アーム6a、6b間に形成された左受け部6iと、右上下アーム7a、7b間に形成された右受け部7iとからなる。
【0069】
図11及び図12に示すように、前記左右上挟持部6d、7dの内壁面及び左右下挟持部6e、7eの内壁面は3辺からなる台形状の凹条が形成されており、左右上アーム6a、7aを閉じた状態及び左右下アーム6b、7bを閉じた状態を平面からみると略六角形上の孔となっている。
【0070】
図12及び図14に示すように、クリップ5の摘み部5cを摘んで左右摘み6c、7cを近づけると左右上アーム6a、7a間、左右下アーム6b、7b間、左右上挟持部6d、7d間及び左右下挟持部6e、7e間がそれぞれ開き、前記左右上挟持部6d、7dの間及び左右下挟持部6e、7eの間に基礎配筋を挟むことができる。
【0071】
次に図15、16を使用して本発明であるスリーブ固定キットのスペーサーを説明することとする。図15は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスペーサーの正面図、図16はスペーサーの右側面図である。
【0072】
図15及び図16に示すように、本発明であるスリーブ固定キットを構成するスペーサー4は、直方体の正面に左面から右面にかけて凹条4gを形成し、前記凹条4gの上辺と上面の厚みCと、前記凹条4gの下辺と底面4bの厚みDと、前記凹条4gの中央頂点部と背面4fの厚みEとがそれぞれ異なり、断面略コの字状をしている。
【0073】
前記スペーサー4を実施例1から実施例10で説明した各スリーブ固定部材1〜1iに取り付けるには凹条4gにスリーブ固定部材の一部をはめ込ませるだけでよく、後は固定する紙スリーブの径の大きさに応じてスペーサー4を回転させて厚みC、D、Eのいずれかを使用すればよい。
【0074】
尚、特に限定するものではないが、紙スリーブの径が50である場合は厚みD、径が75、100、125である場合は厚みE、径が150、200である場合は厚みCを使用するのが好ましい。
【0075】
次に図17から図20を使用して本発明であるスリーブ固定キットを使用したスリーブの固定方法を説明することとする。図17は本発明であるスリーブ固定キットを使用した状態を示した斜視図、図18及び図19はスリーブ固定キットを使用した状態を示した拡大図である。図20はスリーブ固定キットを使用した状態を示した斜視図である。
【0076】
図17に示すように、本発明であるスリーブ固定キットを使用して基礎配筋にスリーブを取り付けるには、まず(1)平行して並んだ格子状の基礎配筋上に、固定されるスリーブの中心位置に対応する固定位置をそれぞれ決め、次に(2)前記一方の固定位置にスリーブ固定部材の左右下枠の上面を合わせた状態で、前記スリーブ固定部材を保持し、前記スリーブ固定部材をクリップ5で基礎配筋に仮止めする。続いて(3)前記スリーブ固定部材を基礎配筋に仮止めした状態でスリーブ固定部材の左下枠と基礎配筋及び右下枠と基礎配筋を結束線で固定し、(4)同様の手順で相対する基礎配筋に同一方向から別のスリーブ固定部材を固定し、(5)前記一方のスリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の間からスリーブを挿通して相対する他方のスリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の間に前記スリーブの一端を挿通させ、(6)前記各クリップを外し、(7)前記各スリーブ固定部材の右上枠を挿通されたスリーブが上固定部と下保持部により締め付けられる状態となるまで下方に押し下げ、(8)前記右上下枠と基礎配筋を結束線で固定する。
【0077】
以上の手順で基礎配筋にスリーブを固定し終えたら、壁板等を配して通常のコンクリート打設を行えば良い。
【0078】
上記の手順(1)では、まず並列した基礎配筋のいずれかの一方において、縦方向の基礎配筋9に固定するスリーブの中心位置を決める。このとき、基礎配筋9に印等を付けるとよい。次に(1)の行程で印をつけた位置にあわせてスリーブ固定部材1を取り付けるが、このときにスリーブ固定部材の左右下枠2c、2dの上面と基礎配筋9に記した位置を合わせて左右上枠2a、2bをクリップ5で仮止めをする。また、スリーブ固定部材は基礎配筋間の内側から取り付けることが必要で、これを示した図が図18及び図19である。
【0079】
図18は、図17のF方向から見た状態を拡大したものである。図18に示すように、手前の基礎配筋においては、スリーブ固定部材1は内側から取り付けられているため図18の左側に位置しており、スリーブ固定部材1をクリップ5で仮止めするには、左右上アーム6a、7aと左右下アーム6b、7bの先端側を使用して(2)の行程である仮止めすることとなる。
【0080】
左右上アーム6a、7a及び左右下アーム6b、7bの各先端には前述の通りストッパ突起6h、7hが設けられているためスリーブ固定部材の左右上枠2a、2bがクリップ5から容易には滑り落ちることがなく、1人で簡単に(3)の行程である基礎配筋9と左下枠2c及び基礎配筋9と右下枠2dを結束線等により固定することができる。
【0081】
次に同様の(1)〜(3)の手順通りに他方の基礎配筋にスリーブ固定部材を取り付けるが、図17における奥側の基礎配筋9にスリーブ固定部材を取り付けた状態をG方向から拡大して示したのが図19である。
【0082】
他方のスリーブ固定部材も奥側の基礎配筋9に取り付ける際には、基礎配筋の内側から取り付けなければならないので、図19においてはスリーブ固定部材が基礎配筋9の右側に位置している。
【0083】
この場合、クリップ5の受け部5dに左右上枠2a、2bを予め充てた状態にし、そのままクリップ5を基礎配筋9に取り付ける。このようにクリップ5を取り付けることでスリーブ固定部材の左右上枠2a、2bはクリップ5の受け部5cと基礎配筋9に挟まれた状態となり、しっかり仮止め状態を維持することができ、1人で簡単に左右下枠2c、2dを基礎配筋9に結束線止めすることができる。
【0084】
次に(5)の行程で相対する各スリーブ固定部材において、一方のスリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の間からスリーブを挿通して相対する他方のスリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の間に前記スリーブの一端を挿通させる。
【0085】
使用するスリーブが紙スリーブである場合は、紙スリーブの中心3bと交差部2iがずれてしまうので、各平坦部2hにスペーサー4を取り付けてから紙スリーブを挿通する。
【0086】
以上の状態から(6)の行程で各クリップ5を外しながら、(7)前記各スリーブ固定部材の右上枠を挿通されたスリーブが上固定部と下保持部により締め付けられる状態となるまで下方に押し下げて(8)前記右上下枠と基礎配筋を結束線で固定する。
【0087】
(7)の行程のように、右上枠2bを押し下げることでスリーブがスリーブ固定部材によってしっかりと挟まれて固定状態が強化されるので、この状態を維持して右上枠2bと基礎配筋9を固定すればその後のコンクリート打設等を行ってもスリーブがズレる心配がない。尚、右上枠2bと基礎配筋9の固定については、右上枠2bと右下枠2dを一緒に基礎配筋9と固定することが望ましく、そのように一緒に固定することでスリーブ固定部材が緩む心配が軽減される。
【0088】
図20は床面の基礎配筋にスリーブ固定部材を使用した状態を示している。床面の基礎配筋にスリーブを固定する場合、枠板にスリーブを立てるため壁面の場合と違って固定はし易いが、従来の方法ではやはり無駄な手順が多く時間がかかっていた。
【0089】
本発明のスリーブ固定部材を使用して基礎配筋にスリーブを固定するには、枠板上に載置されたスリーブにスリーブ固定部材を取り付け、左上下枠を一方の基礎配筋9dに固定し、右上枠を右下枠に引き寄せた状態で右上下枠を他方の基礎配筋9dに固定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明であるスリーブ固定キットは、壁面、床面、或いは傾斜面の基礎配筋に作業員一人で簡単に正確にスリーブを固定することができるため、作業時間の短縮とコンクリート壁面、床面、傾斜面における孔の正確性等の向上に繋がり、建築現場において極めて有効である。
【符号の説明】
【0091】
1〜1i スリーブ固定部材
2 枠体
2a 左上枠
2b 右上枠
2c 左下枠
2d 右下枠
2e 折返し部
2f 上固定部
2g 下保持部
2h 平坦部
2i 交差部
2j 上枠体
2k 下枠体
3 塩ビスリーブ
3a 紙スリーブ
3b 中心
4 スペーサー
4a 上面
4b 底面
4c 左面
4d 右面
4e 正面
4f 背面
4g 凹条
5 クリップ
5a 上挟持部
5b 下挟持部
5c 摘み部
5d 受け部
6 左クリップ
6a 左上アーム
6b 左下アーム
6c 左摘み
6d 左上挟持部
6e 左下挟持部
6f 上湾曲部
6g 下湾曲部
6h ストッパ突起
6i 左受け部
6j 補強部
6k 外連結部
6l 孔
7 右クリップ
7a 右上アーム
7b 右下アーム
7c 右摘み
7d 右上挟持部
7e 右下挟持部
7f 上湾曲部
7g 下湾曲部
7h ストッパ突起
7i 右受け部
7j 補強部
7k 内連結部
7l 孔
8 スプリング
8a 連結軸
9 基礎配筋
9a 基礎配筋
9b 結束線
9c 基礎配筋
9d 基礎配筋
9e 板
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物を建築する際の基礎配筋に配管や配線のためのスリーブを固定するスリーブ固定キット及びスリーブ固定キットを使用したスリーブの固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の基礎配筋に配管や配線のためのスリーブを固定するには、並列した内外の基礎配筋に2人の作業員が対峙し、各基礎配筋間に固定するスリーブの縦位置や横位置を合わせながら取付作業をしていた。
【0003】
しかしながら、従来の方法では、対峙した2人の作業員が各基礎配筋において、基礎配筋の縦軸に固定するスリーブの中心位置の目印を付け、その位置からスリーブの半径分下げた位置にスリーブの下側を固定するための横配筋を位置させてその横配筋を左右の基礎配筋と結束線で固定し、次にスリーブの横位置を決めてスリーブの両側を縦配筋で挟み各縦配筋を上下の基礎配筋と結束線で固定し、最後にスリーブの上側を固定するための横配筋を位置させてその横配筋を左右の基礎配筋と結束線で固定するため、1本のスリーブを固定するためにスリーブの中心となる位置やスリーブの下端となる位置又は左右端となる位置などいくつもの目印を基礎配筋にしなければならないため取り付けるまでに非常に時間がかかっていた。
【0004】
また、上記のように1本のスリーブを固定するために2人の作業員がそれぞれの基礎配筋で作業するためスリーブを綺麗に固定することが難しく、コンクリート打設後に穿設された孔が曲がっていることや、各孔の位置がずれること、更に穿設位置自体が他の孔と大きく異なり作業のやり直しを余儀なくされることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−47796号公報
【特許文献2】特開平11−336320号公報
【特許文献3】特開平8−42140号公報
【特許文献4】特開2003−105969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、並列した内外の基礎配筋に作業員1人で容易にスリーブを固定することができ、また基礎配筋の一方向から内外の基礎配筋にスリーブを固定することができるため短時間で固定することができ、更に従来よりもより正確な位置にスリーブを固定することができるスリーブ固定キット及びスリーブの固定方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部、前記上固定部の左右両端に直線状に連設する左右上枠よりなる上枠体と、前記上固定部の反対方向に拡張する下保持部、前記下保持部の左右両端に直線状に連設する左右下枠よりなる下枠体と、前記上下枠体の一端を連結する折返し部とからなり、前記上固定部と前記下保持部の間にスリーブを位置させることを特徴とするスリーブ固定部材と、
基礎配筋を挟む上下挟持部と、前記上下挟持部の間に形成されるスリーブ固定部材を載せる受け部と、前記上下挟持部を同時に開閉させる摘み部とからなり、前記スリーブ固定部材を基礎配筋に仮止めするためのクリップと、
前記スリーブ固定部材の上固定部又は下保持部の一方又は両方に取付けて、スリーブ固定部材に固定されるスリーブの中心が左右下枠の延長線上になるように調整することを特徴とするスペーサーと、
前記スリーブ固定部材、クリップ及びスペーサーを使用したスリーブの固定方法の構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明であるスリーブ固定キットは1人の作業員で並列している内外の基礎配筋の一方向からスリーブ固定作業をすることができるため、従来のように一つのスリーブを固定するために2人で作業する必要がなく、各作業員は別々の位置からスリーブ固定作業をすることができ、建築現場におけるスリーブ固定の行程を短くすることができる。
【0009】
また、基礎配筋に固定するスリーブの中心位置を記すだけで正確な位置にスリーブを固定することができるため、従来のようにスリーブの中心位置からスリーブの半径分の距離を計測して別の印を付す必要がない。
【0010】
また、一つのスリーブ固定部材でスリーブを固定することができるため、従来のように一つのスリーブを固定するために長さの異なる配筋を複数用意し、それぞれを基礎配筋に固定するという煩雑な作業が不要である。
【0011】
また、クリップによってスリーブ固定部材を簡単に仮止めすることができるため、従来のように結束線で基礎配筋に固定している最中にズレたりすることがなく、常に正確な位置にスリーブを固定することができる。
【0012】
また、配線や配管のために穿設する孔の径が同じであっても塩ビスリーブと紙製スリーブでは外径が異なるためスリーブ固定の際の目印付けに修正を加える必要があったが、本発明では専用のスペーサーをワンタッチで着脱することで塩ビスリーブにも紙製スリーブにも対応することができ、基礎配筋にスリーブの中心位置のみを記すだけで正確にスリーブを固定することができる効果は変わらない。
【0013】
更に、床面側の基礎配筋においても簡単にしっかりとスリーブを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の正面図である。
【図2】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第2実施例の正面図である。
【図3】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第3実施例の正面図である。
【図4】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第4実施例の正面図である。
【図5】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第5実施例の正面図である。
【図6】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第6実施例の正面図である。
【図7】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第7実施例の正面図である。
【図8】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第8実施例の正面図である。
【図9】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第9実施例の正面図である。
【図10】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第10実施例の正面図である。
【図11】本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップの斜視図である。
【図12】本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップの平面図である。
【図13】本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップの右側面図である。
【図14】本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップの背面図である。
【図15】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスペーサーの正面図である。
【図16】本発明であるスリーブ固定キットを構成するスペーサーの右側面図である。
【図17】本発明であるスリーブ固定キットを使用した状態を示した斜視図である。
【図18】本発明であるスリーブ固定キットを使用した状態を示した拡大図である。
【図19】本発明であるスリーブ固定キットを使用した状態を示した拡大図である。
【図20】本発明であるスリーブ固定キットを使用した状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付図面に基づいて、本発明であるスリーブ固定キット及びそれを使用したスリーブの固定方法について詳細に説明する。先ず、図1から図10を使用してスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材を説明することとする。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の正面図である。尚、図1の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0017】
図1に示すように、本発明であるスリーブ固定部材1は、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2fと前記下保持部2gの間にスリーブを位置させる。
【0018】
図1に示すように、前記左上下枠2a、2cは前記右上下枠2b、2dよりも短く、基礎配筋に固定するスリーブが右よりの位置に取り付けるために左上下枠2a、2cの長さが足りない場合は、スリーブ固定部材1を左右逆向きに使用することができ、余計なスリーブ固定部材を用意する必要がない。
【0019】
前記上固定部2fは、3辺からなる台形状をしており、前記下保持部2gは略半円形をしている。このようにすることで相対する位置に上固定部2fと下保持部2gが位置しているために起こりうるスリーブ固定部材の上下の間違いを防ぐことができる。
【0020】
但し、この形状の違いは限定したものではなく、上固定部2f、下保持部2gともに3辺からなら台形状又は略半円形としてもよく、また、上固定部2fを略半円形とし下保持部2gを3辺からなる台形状としても構わない。
【0021】
前記下保持部2gの中央頂点部分には後に説明するスペーサーを取り付けるための平坦部2hが形成されている。但し、下保持部2gの形状によっては平坦部2hを設けない場合もある。
【0022】
図1(2)に示すように、上固定部2fと下保持部2gの中央同士を結ぶ線Bと左右下枠2c、2dの上面同士を結ぶ線Aの交差部2iは、スリーブ固定部材1に取り付ける塩ビスリーブ3の中心3bと同じ位置となる。
【0023】
また、図1(3)に示すように、紙スリーブ3aは塩ビスリーブ3より外径が小さいためスリーブ固定部材1をそのまま使用すると前記交差部2iと紙スリーブ3aの中心3bがずれるので、平坦部2hの位置にスペーサー4を取り付けて使用する。このようにスペーサー4をワンタッチで取り付けるだけで紙スリーブ3aの中心3bとスリーブ固定部材1の交差部2iを合わせることができる。
【実施例2】
【0024】
図2は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第2実施例の正面図である。尚、図2の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0025】
図2に示すように、本発明であるスリーブ固定部材1aは、実施例1で示したスリーブ固定部材1とほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2fと前記下保持部2gの間にスリーブを位置させる。
【0026】
図2に示すように、スリーブ固定部材1aは実施例1のスリーブ固定部材1で固定するスリーブよりも径の大きいスリーブを固定するため、上固定枠2fと下保持枠2gの形状が大きめに形成されている。また、左上下枠2a、2cと右上下枠2b、2dの長さはほぼ同じであるが、特に限定したものではなく実施例1のスリーブ固定部材1のように左上下枠2a、2cの方が右上下枠2b、2dよりも短くなっていても構わない。
【0027】
前記上固定部2fは、3辺からなる台形状をしており、前記下保持部2gは略半円形をしている。このようにすることで相対する位置に上固定部2fと下保持部2gが位置しているために起こりうるスリーブ固定部材の上下の間違いを防ぐことができる。
【0028】
但し、この形状の違いは限定したものではなく、上固定部2f、下保持部2gともに3辺からなら台形状又は略半円形としてもよく、また、上固定部2fを略半円形とし下保持部2gを3辺からなる台形状としても構わない。
【0029】
上記のようにスリーブ固定部材1aでは上固定枠2fが大きく形成されているため、上固定枠2fの3つの辺のうち、両辺には平坦部2hを設けてスペーサー4を取り付けることができる構造とした。
【0030】
また、図2に示すように、前記下保持部2gについても同様に大きく形成されているため、平坦部2hを2箇所設けてスペーサー4を取り付けることができる構造とした。
【0031】
前記上固定部2f及び下固定部2gに設けた平坦部2hの数及び位置については限定したものではなく、また取り付けない場合もある。
【0032】
また実施例1と同様に、上固定部2fと下保持部2gの中央同士を結ぶ線Bと左右下枠2c、2dの上面同士を結ぶ線Aの交差部2iは、スリーブ固定部材1aに取り付ける塩ビスリーブ3の中心3bと同じ位置となり、紙スリーブ3aを取り付ける場合は、図2(3)に示すように、平坦部2hの位置にスペーサー4を取り付けて紙スリーブ3aの中心3bと交差部2iの位置を同じにして使用する。
【実施例3】
【0033】
図3は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第3実施例の正面図である。尚、図3の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0034】
図3に示すように、本発明であるスリーブ固定部材1bは、実施例1及び実施例2で示したスリーブ固定部材1、1aとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2fと前記下保持部2gの間にスリーブを位置させる。
【0035】
図3に示すように、スリーブ固定部材1bは実施例1及び2のスリーブ固定部材1、1aで固定するスリーブよりも更に径の大きいスリーブを固定するため、上固定枠2fと下保持枠2gの形状が大きく形成されている。また、左上下枠2a、2cと右上下枠2b、2dの長さはほぼ同じであるが、特に限定したものではなく実施例1のスリーブ固定部材1のように左上下枠2a、2cの方が右上下枠2b、2dよりも短くなっていても構わない。
【0036】
前記上固定部2fは、3辺からなる台形状をしており、前記下保持部2gは略半円形をしている。このようにすることで相対する位置に上固定部2fと下保持部2gが位置しているために起こりうるスリーブ固定部材の上下の間違いを防ぐことができる。
【0037】
但し、この形状の違いは限定したものではなく、上固定部2f、下保持部2gともに3辺からなら台形状又は略半円形としてもよく、また、上固定部2fを略半円形とし下保持部2gを3辺からなる台形状としても構わない。
【0038】
上記のようにスリーブ固定部材1bでは上固定枠2fが大きく形成されているため、上固定枠2fの3つの辺のうち、両辺には平坦部2hを設けてスペーサー4を取り付けることができる構造とした。
【0039】
また、図3に示すように、前記下保持部2gについても同様に大きく形成されているため、平坦部2hを2箇所設けてスペーサー4を取り付けることができる構造とした。
【0040】
前記上固定部2f及び下固定部2gに設けた平坦部2hの数及び位置については限定したものではなく、また取り付けない場合もある。
【0041】
また実施例1及び2と同様に、上固定部2fと下保持部2gの中央同士を結ぶ線Bと左右下枠2c、2dの上面同士を結ぶ線Aの交差部2iは、スリーブ固定部材1bに取り付ける塩ビスリーブ3の中心3bと同じ位置となり、紙スリーブ3aを取り付ける場合は、図3(3)に示すように、平坦部2hの位置にスペーサー4を取り付けて紙スリーブ3aの中心3bと交差部2iの位置を同じにして使用する。
【実施例4】
【0042】
図4は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第4実施例の正面図である。尚、図4の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0043】
図4に示したスリーブ固定部材1cは、実施例1で示したスリーブ固定部材1とほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに略半円形をしており、左上下枠2a、2cが右上下枠2b、2dよりも短く、更に下保持部2gの中央に平坦部2hを形成している。
【実施例5】
【0044】
図5は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第5実施例の正面図である。尚、図5の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0045】
図5に示したスリーブ固定部材1dは、実施例2で示したスリーブ固定部材1aとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに略半円形をしており、左上下枠2a、2cと右上下枠2b、2dの長さがほぼ同じく、更に上固定部2fの中央に平坦部2hを形成している。
【実施例6】
【0046】
図6は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第6実施例の正面図である。尚、図6の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0047】
図6に示したスリーブ固定部材1eは、実施例3で示したスリーブ固定部材1bとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに略半円形をしており、左上下枠2a、2cと右上下枠2b、2dの長さがほぼ同じく、更に上固定部2fに複数の平坦部2hを形成している。
【0048】
上記実施例4、5及び6で示したスリーブ固定部材1c、1d、1eは実施例1のスリーブ固定部材1と同様に、上固定部2fと下保持部2gの中央同士を結ぶ線Bと左右下枠2c、2dの上面同士を結ぶ線Aの交差部2iは、スリーブ固定部材1c、1d及び1eに取り付ける塩ビスリーブ3の中心3bと同じ位置となり、紙スリーブ3aを取り付ける場合は、図4、5、6の(3)に示すように、平坦部2hの位置にスペーサー4を取り付けて紙スリーブ3aの中心3bと交差部2iの位置を同じにして使用する。
【実施例7】
【0049】
図7は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第7実施例の正面図である。尚、図7の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0050】
図7に示したスリーブ固定部材1fは、実施例1、4で示したスリーブ固定部材1、1cとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに2辺からなる角状をしており、左上下枠2a、2cが右上下枠2b、2dよりも短い。
【実施例8】
【0051】
図8は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第8実施例の正面図である。尚、図8の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0052】
図8に示したスリーブ固定部材1gは、実施例2、5で示したスリーブ固定部材1a、1dとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに2辺からなる角状をしており、左上下枠2a、2cと右上下枠2b、2dの長さがほぼ同じである。
【実施例9】
【0053】
図9は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第9実施例の正面図である。尚、図9の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0054】
図9に示したスリーブ固定部材1hは、実施例3、6で示したスリーブ固定部材1b、1eとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに2辺からなる角状をしており、左上下枠2a、2cと右上下枠2b、2dの長さがほぼ同じである。
【実施例10】
【0055】
図10は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスリーブ固定部材の第10実施例の正面図である。尚、図10の(1)はスリーブ固定部材の正面図、(2)は前記スリーブ固定部材の塩ビスリーブを取り付けた状態を示した正面図、(3)は前記スリーブ固定部材に紙製スリーブを取り付けた状態を示した正面図である。
【0056】
図8に示したスリーブ固定部材1iは、実施例2、5、8で示したスリーブ固定部材1a、1d、1gとほぼ同じ構造をしている。即ち、1本の枠体2を折り曲げて、スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部2f、前記上固定部2fの左右両端に直線状に連設する左右上枠2a、2bよりなる上枠体2jと、前記上固定部2fの反対方向に拡張する下保持部2g、前記下保持部2gの左右両端に直線状に連設する左右下枠2c、2dよりなる下枠体2kと、前記上下枠体2j、2kの一端を連結する折返し部2eとを形成してなり、前記上固定部2f及び下保持部2gがともに3辺からなる台形状をしており、左上下枠2a、2cの長さが右上下枠2b、2dの長さよりも短い。
【0057】
上記実施例7、8、9及び10で示したスリーブ固定部材1f、1g、1h、1iは実施例1のスリーブ固定部材1と同様に、上固定部2fと下保持部2gの中央同士を結ぶ線Bと左右下枠2c、2dの上面同士を結ぶ線Aの交差部2iは、スリーブ固定部材1f、1g及び1hに取り付ける塩ビスリーブ3の中心3bと同じ位置となり、紙スリーブ3aを取り付ける場合は、図7、8、9、10の(3)に示すように、スペーサー4を取り付けて紙スリーブ3aの中心3bと交差部2iの位置を同じにして使用する。
【0058】
尚、実施例7、8、9及び10に示したスリーブ固定部材1f、1g、1h、1iについては上固定部2f及び下保持部2gが全て直線の辺で構成されているため特に平坦部2hを設けずに各辺に直接スペーサー4を取り付けた状態を(3)に図示した。但し、実施例1から実施例6で示したように平坦部2hを別途設けてスペーサー4の取付位置を限定しても構わない。
【0059】
次に図11から図14を使用して本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップを説明することとする。
【0060】
図11は本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップの斜視図、図12はクリップの平面図、図13はクリップの右側面図、図14はクリップの背面図である。
【0061】
図11から図14に示すように、本発明であるスリーブ固定キットを構成するクリップ5は、基礎配筋を挟む上下挟持部5a、5bと、前記上下挟持部5a、5bの間に形成されるスリーブ固定部材を載せる受け部5dと、前記上下挟持部5a、5bを同時に開閉させる摘み部5cとからなり、前記スリーブ固定部材1〜1iを基礎配筋に仮止めする。
【0062】
前記上挟持部5aは、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置する左上挟持部6dを形成し、前記左上挟持部6dの前後上面に上湾曲部6fを凹んだ状態で形成し、先端部底面にストッパ突起6hを形成した左上アーム6aと、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置するた右上挟持部7dを形成し、前記右上挟持部7dの前後上面に上湾曲部7fを凹んだ状態で形成し、先端部底面にストッパ突起7hを形成した右アーム7aとからなる。
【0063】
また、前記左上挟持部6dの後部から左摘み6c前部にかけては補強部6jが形成されており、同様に右上挟持部7dの後部から右摘み7c前部にかけても補強部7jが形成されている。
【0064】
前記下挟持部5bは、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置する左下挟持部6eを形成し、前記左下挟持部6eの前後下面に下湾曲部6gを凹んだ状態で形成し、先端部上面にストッパ突起6hを形成した左下アーム6bと、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置する右下挟持部7eを形成し、前記右下挟持部7eの前後下面に下湾曲部7gを凹んだ状態で形成し、先端部上面にストッパ突起7hを形成した右下アーム7bとからなる。
【0065】
また、左下挟持部6eの後部から左摘み6c前部にかけては補強部6jが形成されており、同様に右下挟持部7eの後部から右摘み7c前部にかけても補強部7jが形成されている。
【0066】
尚、前記上下湾曲部6f、7f、6g、7gは略半円型状をしているが、特に限定したものではなく、数辺からなる角型状であっても構わない。
【0067】
前記摘み部5cは、孔6lを穿設した2つの外連結部6kを内壁面に形成した左摘み部6cと、孔7lを穿設し前記外連結部6k間に挿通される2つの内連結部7kを内壁面に形成した右摘み部7cと、前記孔6l、7l内に挿通し、回動可能に保持される連結軸8aと、前記内連結部7k間に位置し、前記連結軸を挿通するスプリング8とからなる。
【0068】
前記受け部5dは、左上下アーム6a、6b間に形成された左受け部6iと、右上下アーム7a、7b間に形成された右受け部7iとからなる。
【0069】
図11及び図12に示すように、前記左右上挟持部6d、7dの内壁面及び左右下挟持部6e、7eの内壁面は3辺からなる台形状の凹条が形成されており、左右上アーム6a、7aを閉じた状態及び左右下アーム6b、7bを閉じた状態を平面からみると略六角形上の孔となっている。
【0070】
図12及び図14に示すように、クリップ5の摘み部5cを摘んで左右摘み6c、7cを近づけると左右上アーム6a、7a間、左右下アーム6b、7b間、左右上挟持部6d、7d間及び左右下挟持部6e、7e間がそれぞれ開き、前記左右上挟持部6d、7dの間及び左右下挟持部6e、7eの間に基礎配筋を挟むことができる。
【0071】
次に図15、16を使用して本発明であるスリーブ固定キットのスペーサーを説明することとする。図15は本発明であるスリーブ固定キットを構成するスペーサーの正面図、図16はスペーサーの右側面図である。
【0072】
図15及び図16に示すように、本発明であるスリーブ固定キットを構成するスペーサー4は、直方体の正面に左面から右面にかけて凹条4gを形成し、前記凹条4gの上辺と上面の厚みCと、前記凹条4gの下辺と底面4bの厚みDと、前記凹条4gの中央頂点部と背面4fの厚みEとがそれぞれ異なり、断面略コの字状をしている。
【0073】
前記スペーサー4を実施例1から実施例10で説明した各スリーブ固定部材1〜1iに取り付けるには凹条4gにスリーブ固定部材の一部をはめ込ませるだけでよく、後は固定する紙スリーブの径の大きさに応じてスペーサー4を回転させて厚みC、D、Eのいずれかを使用すればよい。
【0074】
尚、特に限定するものではないが、紙スリーブの径が50である場合は厚みD、径が75、100、125である場合は厚みE、径が150、200である場合は厚みCを使用するのが好ましい。
【0075】
次に図17から図20を使用して本発明であるスリーブ固定キットを使用したスリーブの固定方法を説明することとする。図17は本発明であるスリーブ固定キットを使用した状態を示した斜視図、図18及び図19はスリーブ固定キットを使用した状態を示した拡大図である。図20はスリーブ固定キットを使用した状態を示した斜視図である。
【0076】
図17に示すように、本発明であるスリーブ固定キットを使用して基礎配筋にスリーブを取り付けるには、まず(1)平行して並んだ格子状の基礎配筋上に、固定されるスリーブの中心位置に対応する固定位置をそれぞれ決め、次に(2)前記一方の固定位置にスリーブ固定部材の左右下枠の上面を合わせた状態で、前記スリーブ固定部材を保持し、前記スリーブ固定部材をクリップ5で基礎配筋に仮止めする。続いて(3)前記スリーブ固定部材を基礎配筋に仮止めした状態でスリーブ固定部材の左下枠と基礎配筋及び右下枠と基礎配筋を結束線で固定し、(4)同様の手順で相対する基礎配筋に同一方向から別のスリーブ固定部材を固定し、(5)前記一方のスリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の間からスリーブを挿通して相対する他方のスリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の間に前記スリーブの一端を挿通させ、(6)前記各クリップを外し、(7)前記各スリーブ固定部材の右上枠を挿通されたスリーブが上固定部と下保持部により締め付けられる状態となるまで下方に押し下げ、(8)前記右上下枠と基礎配筋を結束線で固定する。
【0077】
以上の手順で基礎配筋にスリーブを固定し終えたら、壁板等を配して通常のコンクリート打設を行えば良い。
【0078】
上記の手順(1)では、まず並列した基礎配筋のいずれかの一方において、縦方向の基礎配筋9に固定するスリーブの中心位置を決める。このとき、基礎配筋9に印等を付けるとよい。次に(1)の行程で印をつけた位置にあわせてスリーブ固定部材1を取り付けるが、このときにスリーブ固定部材の左右下枠2c、2dの上面と基礎配筋9に記した位置を合わせて左右上枠2a、2bをクリップ5で仮止めをする。また、スリーブ固定部材は基礎配筋間の内側から取り付けることが必要で、これを示した図が図18及び図19である。
【0079】
図18は、図17のF方向から見た状態を拡大したものである。図18に示すように、手前の基礎配筋においては、スリーブ固定部材1は内側から取り付けられているため図18の左側に位置しており、スリーブ固定部材1をクリップ5で仮止めするには、左右上アーム6a、7aと左右下アーム6b、7bの先端側を使用して(2)の行程である仮止めすることとなる。
【0080】
左右上アーム6a、7a及び左右下アーム6b、7bの各先端には前述の通りストッパ突起6h、7hが設けられているためスリーブ固定部材の左右上枠2a、2bがクリップ5から容易には滑り落ちることがなく、1人で簡単に(3)の行程である基礎配筋9と左下枠2c及び基礎配筋9と右下枠2dを結束線等により固定することができる。
【0081】
次に同様の(1)〜(3)の手順通りに他方の基礎配筋にスリーブ固定部材を取り付けるが、図17における奥側の基礎配筋9にスリーブ固定部材を取り付けた状態をG方向から拡大して示したのが図19である。
【0082】
他方のスリーブ固定部材も奥側の基礎配筋9に取り付ける際には、基礎配筋の内側から取り付けなければならないので、図19においてはスリーブ固定部材が基礎配筋9の右側に位置している。
【0083】
この場合、クリップ5の受け部5dに左右上枠2a、2bを予め充てた状態にし、そのままクリップ5を基礎配筋9に取り付ける。このようにクリップ5を取り付けることでスリーブ固定部材の左右上枠2a、2bはクリップ5の受け部5cと基礎配筋9に挟まれた状態となり、しっかり仮止め状態を維持することができ、1人で簡単に左右下枠2c、2dを基礎配筋9に結束線止めすることができる。
【0084】
次に(5)の行程で相対する各スリーブ固定部材において、一方のスリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の間からスリーブを挿通して相対する他方のスリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の間に前記スリーブの一端を挿通させる。
【0085】
使用するスリーブが紙スリーブである場合は、紙スリーブの中心3bと交差部2iがずれてしまうので、各平坦部2hにスペーサー4を取り付けてから紙スリーブを挿通する。
【0086】
以上の状態から(6)の行程で各クリップ5を外しながら、(7)前記各スリーブ固定部材の右上枠を挿通されたスリーブが上固定部と下保持部により締め付けられる状態となるまで下方に押し下げて(8)前記右上下枠と基礎配筋を結束線で固定する。
【0087】
(7)の行程のように、右上枠2bを押し下げることでスリーブがスリーブ固定部材によってしっかりと挟まれて固定状態が強化されるので、この状態を維持して右上枠2bと基礎配筋9を固定すればその後のコンクリート打設等を行ってもスリーブがズレる心配がない。尚、右上枠2bと基礎配筋9の固定については、右上枠2bと右下枠2dを一緒に基礎配筋9と固定することが望ましく、そのように一緒に固定することでスリーブ固定部材が緩む心配が軽減される。
【0088】
図20は床面の基礎配筋にスリーブ固定部材を使用した状態を示している。床面の基礎配筋にスリーブを固定する場合、枠板にスリーブを立てるため壁面の場合と違って固定はし易いが、従来の方法ではやはり無駄な手順が多く時間がかかっていた。
【0089】
本発明のスリーブ固定部材を使用して基礎配筋にスリーブを固定するには、枠板上に載置されたスリーブにスリーブ固定部材を取り付け、左上下枠を一方の基礎配筋9dに固定し、右上枠を右下枠に引き寄せた状態で右上下枠を他方の基礎配筋9dに固定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明であるスリーブ固定キットは、壁面、床面、或いは傾斜面の基礎配筋に作業員一人で簡単に正確にスリーブを固定することができるため、作業時間の短縮とコンクリート壁面、床面、傾斜面における孔の正確性等の向上に繋がり、建築現場において極めて有効である。
【符号の説明】
【0091】
1〜1i スリーブ固定部材
2 枠体
2a 左上枠
2b 右上枠
2c 左下枠
2d 右下枠
2e 折返し部
2f 上固定部
2g 下保持部
2h 平坦部
2i 交差部
2j 上枠体
2k 下枠体
3 塩ビスリーブ
3a 紙スリーブ
3b 中心
4 スペーサー
4a 上面
4b 底面
4c 左面
4d 右面
4e 正面
4f 背面
4g 凹条
5 クリップ
5a 上挟持部
5b 下挟持部
5c 摘み部
5d 受け部
6 左クリップ
6a 左上アーム
6b 左下アーム
6c 左摘み
6d 左上挟持部
6e 左下挟持部
6f 上湾曲部
6g 下湾曲部
6h ストッパ突起
6i 左受け部
6j 補強部
6k 外連結部
6l 孔
7 右クリップ
7a 右上アーム
7b 右下アーム
7c 右摘み
7d 右上挟持部
7e 右下挟持部
7f 上湾曲部
7g 下湾曲部
7h ストッパ突起
7i 右受け部
7j 補強部
7k 内連結部
7l 孔
8 スプリング
8a 連結軸
9 基礎配筋
9a 基礎配筋
9b 結束線
9c 基礎配筋
9d 基礎配筋
9e 板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部、前記上固定部の左右両端に直線状に連設する左右上枠よりなる上枠体と、前記上固定部の反対方向に拡張する下保持部、前記下保持部の左右両端に直線状に連設する左右下枠よりなる下枠体と、前記上下枠体の一端を連結する折返し部と、からなり、前記上固定部と前記下保持部の間にスリーブを位置させることを特徴とするスリーブ固定部材。
【請求項2】
前記左上下枠を、前記右上下枠よりも短い左上下枠としたことを特徴とする請求項1に記載のスリーブ固定部材。
【請求項3】
前記上固定部を、略半円形、2辺からなる角状または3辺からなる台形状のいずれかとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスリーブ固定部材。
【請求項4】
前記下保持部を、略半円状、2辺からなる角状または3辺からなる台形状のいずれかとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材。
【請求項5】
前記上固定部を、1箇所または複数箇所に平坦部を形成した上固定部としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材。
【請求項6】
前記下保持部を、1箇所または複数箇所に平坦部を形成した下保持部としたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材。
【請求項7】
前記左右下枠を、左右下枠の上面同士を結ぶ線がスリーブ固定部材により固定されるスリーブの中心を通ることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材。
【請求項8】
前記上枠体、下枠体、折返し部を、1本の棒を折曲げて成型したことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材を、基礎配筋に仮止めするためのクリップ。
【請求項10】
基礎配筋を挟む上下挟持部と、前記上下挟持部の間に形成されるスリーブ固定部材を載せる受け部と、前記上下挟持部を同時に開閉させる摘み部と、からなることを特徴とする
請求項9に記載のクリップ。
【請求項11】
前記上挟持部を、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置する左上挟持部を形成し、前記左上挟持部の前後上面に上湾曲部を凹んだ状態で形成し、先端部底面にストッパ突起を形成した左上アームと、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置するた右上挟持部を形成し、前記右上挟持部の前後上面に上湾曲部を凹んだ状態で形成し、先端部底面にストッパ突起を形成した右アームと、からなる上挟持部としたことを特徴とする請求項10に記載のクリップ。
【請求項12】
前記下挟持部を、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置する左下挟持部を形成し、前記左下挟持部の前後下面に下湾曲部を凹んだ状態で形成し、先端部上面にストッパ突起を形成した左下アームと、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置する右下挟持部を形成し、前記右下挟持部の前後下面に下湾曲部を凹んだ状態で形成し、先端部上面にストッパ突起を形成した右下アームとからなる下挟持部としたことを特徴とする請求項10または請求項11に記載のクリップ。
【請求項13】
前記摘み部を、孔を穿設した2つの外連結部を内壁面に形成した左摘み部と、孔を穿設し前記外連結部間に挿通される2つの内連結部を内壁面に形成した右摘み部と、前記孔内に挿通し、回動可能に保持される連結軸と、前記内連結部間に位置し、前記連結軸を挿通するスプリングと、からなる摘み部としたことを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか1項に記載のクリップ。
【請求項14】
前記受け部を、左上下アーム間に形成された左受け部と、右上下アーム間に形成された右受け部とからなる受け部としたことを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載のクリップ。
【請求項15】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材の上固定部又は下保持部の一方又は両方に取付けて、スリーブ固定部材に固定されるスリーブの中心が左右下枠の延長線上になるように調整することを特徴とするスペーサー。
【請求項16】
前記スペーサーを、直方体の正面に左面から右面にかけて凹条を形成し、前記凹条の上辺と上面の厚みと、前記凹条の下辺と底面の厚みと、前記凹条の中央頂点部と背面の厚みとが、それぞれ異なる断面略コの字状であることを特徴とする請求項15に記載のスペーサー。
【請求項17】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材と、請求項9乃至請求項14のいずれか1項に記載のクリップと、請求項15又は請求項16に記載のスペーサーとからなり、基礎配筋にスリーブを仮止め及び固定することを特徴とするスリーブ固定キット。
【請求項18】
(1)平行して並んだ格子状の基礎配筋上に、固定されるスリーブの中心位置に対応する固定位置をそれぞれ決め、(2)前記一方の固定位置に請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材の左右下枠の上面を合わせた状態で、前記スリーブ固定部材を保持し、前記スリーブ固定部材を請求項9乃至請求項14のいずれか1項に記載のクリップ5で基礎配筋に仮止めし、(3)前記スリーブ固定部材を基礎配筋に仮止めした状態でスリーブ固定部材の左下枠と基礎配筋及び右下枠と基礎配筋を結束線で固定し、(4)同様の手順で相対する基礎配筋に同一方向から別の請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材を固定し、(5)前記一方のスリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の間からスリーブを挿通して相対する他方のスリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の間に前記スリーブの一端を挿通させ、(6)前記各クリップを外し、(7)前記各スリーブ固定部材の右上枠を挿通されたスリーブが上固定部と下保持部により締め付けられる状態となるまで下方に押し下げ、(8)前記右上下枠と基礎配筋を結束線で固定することを特徴とするスリーブの固定方法。
【請求項19】
スリーブ固定部材にスリーブを挿通する前に、スリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の一方又は両方に請求項15又は16に記載のスペーサーを取り付けることを特徴とする請求項18に記載のスリーブ固定方法。
【請求項20】
請求項18又は請求項19に記載のスリーブ固定方法によって、スリーブを配筋に固定した後、基礎配筋にコンクリートを打設して、コンクリートの壁面に貫通孔を形成する方法。
【請求項1】
スリーブを位置させる窪みを形成する上固定部、前記上固定部の左右両端に直線状に連設する左右上枠よりなる上枠体と、前記上固定部の反対方向に拡張する下保持部、前記下保持部の左右両端に直線状に連設する左右下枠よりなる下枠体と、前記上下枠体の一端を連結する折返し部と、からなり、前記上固定部と前記下保持部の間にスリーブを位置させることを特徴とするスリーブ固定部材。
【請求項2】
前記左上下枠を、前記右上下枠よりも短い左上下枠としたことを特徴とする請求項1に記載のスリーブ固定部材。
【請求項3】
前記上固定部を、略半円形、2辺からなる角状または3辺からなる台形状のいずれかとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスリーブ固定部材。
【請求項4】
前記下保持部を、略半円状、2辺からなる角状または3辺からなる台形状のいずれかとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材。
【請求項5】
前記上固定部を、1箇所または複数箇所に平坦部を形成した上固定部としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材。
【請求項6】
前記下保持部を、1箇所または複数箇所に平坦部を形成した下保持部としたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材。
【請求項7】
前記左右下枠を、左右下枠の上面同士を結ぶ線がスリーブ固定部材により固定されるスリーブの中心を通ることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材。
【請求項8】
前記上枠体、下枠体、折返し部を、1本の棒を折曲げて成型したことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材を、基礎配筋に仮止めするためのクリップ。
【請求項10】
基礎配筋を挟む上下挟持部と、前記上下挟持部の間に形成されるスリーブ固定部材を載せる受け部と、前記上下挟持部を同時に開閉させる摘み部と、からなることを特徴とする
請求項9に記載のクリップ。
【請求項11】
前記上挟持部を、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置する左上挟持部を形成し、前記左上挟持部の前後上面に上湾曲部を凹んだ状態で形成し、先端部底面にストッパ突起を形成した左上アームと、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置するた右上挟持部を形成し、前記右上挟持部の前後上面に上湾曲部を凹んだ状態で形成し、先端部底面にストッパ突起を形成した右アームと、からなる上挟持部としたことを特徴とする請求項10に記載のクリップ。
【請求項12】
前記下挟持部を、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置する左下挟持部を形成し、前記左下挟持部の前後下面に下湾曲部を凹んだ状態で形成し、先端部上面にストッパ突起を形成した左下アームと、中央付近に外方に向かって湾曲し基礎配筋が位置する右下挟持部を形成し、前記右下挟持部の前後下面に下湾曲部を凹んだ状態で形成し、先端部上面にストッパ突起を形成した右下アームとからなる下挟持部としたことを特徴とする請求項10または請求項11に記載のクリップ。
【請求項13】
前記摘み部を、孔を穿設した2つの外連結部を内壁面に形成した左摘み部と、孔を穿設し前記外連結部間に挿通される2つの内連結部を内壁面に形成した右摘み部と、前記孔内に挿通し、回動可能に保持される連結軸と、前記内連結部間に位置し、前記連結軸を挿通するスプリングと、からなる摘み部としたことを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか1項に記載のクリップ。
【請求項14】
前記受け部を、左上下アーム間に形成された左受け部と、右上下アーム間に形成された右受け部とからなる受け部としたことを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載のクリップ。
【請求項15】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材の上固定部又は下保持部の一方又は両方に取付けて、スリーブ固定部材に固定されるスリーブの中心が左右下枠の延長線上になるように調整することを特徴とするスペーサー。
【請求項16】
前記スペーサーを、直方体の正面に左面から右面にかけて凹条を形成し、前記凹条の上辺と上面の厚みと、前記凹条の下辺と底面の厚みと、前記凹条の中央頂点部と背面の厚みとが、それぞれ異なる断面略コの字状であることを特徴とする請求項15に記載のスペーサー。
【請求項17】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材と、請求項9乃至請求項14のいずれか1項に記載のクリップと、請求項15又は請求項16に記載のスペーサーとからなり、基礎配筋にスリーブを仮止め及び固定することを特徴とするスリーブ固定キット。
【請求項18】
(1)平行して並んだ格子状の基礎配筋上に、固定されるスリーブの中心位置に対応する固定位置をそれぞれ決め、(2)前記一方の固定位置に請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材の左右下枠の上面を合わせた状態で、前記スリーブ固定部材を保持し、前記スリーブ固定部材を請求項9乃至請求項14のいずれか1項に記載のクリップ5で基礎配筋に仮止めし、(3)前記スリーブ固定部材を基礎配筋に仮止めした状態でスリーブ固定部材の左下枠と基礎配筋及び右下枠と基礎配筋を結束線で固定し、(4)同様の手順で相対する基礎配筋に同一方向から別の請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のスリーブ固定部材を固定し、(5)前記一方のスリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の間からスリーブを挿通して相対する他方のスリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の間に前記スリーブの一端を挿通させ、(6)前記各クリップを外し、(7)前記各スリーブ固定部材の右上枠を挿通されたスリーブが上固定部と下保持部により締め付けられる状態となるまで下方に押し下げ、(8)前記右上下枠と基礎配筋を結束線で固定することを特徴とするスリーブの固定方法。
【請求項19】
スリーブ固定部材にスリーブを挿通する前に、スリーブ固定部材の上固定部及び下保持部の一方又は両方に請求項15又は16に記載のスペーサーを取り付けることを特徴とする請求項18に記載のスリーブ固定方法。
【請求項20】
請求項18又は請求項19に記載のスリーブ固定方法によって、スリーブを配筋に固定した後、基礎配筋にコンクリートを打設して、コンクリートの壁面に貫通孔を形成する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−242407(P2010−242407A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93235(P2009−93235)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(504103010)有限会社ビーンズコム (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(504103010)有限会社ビーンズコム (9)
【Fターム(参考)】
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