説明

スルフィド変性弾性ポリマー

弾性ポリマーと式1:AS−Y−Zm(式1)によって表されるスルフィド変性剤との反応生成物を含む、骨格変性ポリマー[式中、Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;Sは、硫黄であり;Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;Mは、ケイ素またはスズであり;Nは、窒素であり;Oは、酸素であり;mは、数1、2または3であり;pは、数1、2、3、4または5であり;R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される]。本発明は、関連組成物、方法および物品も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2006年12月19日に出願された米国特許仮出願第60/876,070号の恩典を請求するものである。
【0002】
本発明は、一般に、「骨格変性剤」とブレンドした未架橋弾性ポリマー、エラストマー組成物の作製におけるそれらの使用、およびそれらから製造される物品に関する。具体的には、本発明は、未架橋弾性および架橋弾性ポリマーのための骨格変性剤としてのいわゆる「スルフィド」の使用に関する。「骨格変性剤」は、弾性ポリマー骨格の不飽和部分と、および/または弾性ポリマー組成物中に存在するフィラーもしくは他の成分と、反応することができる。これらの変性未架橋弾性ポリマーは、比較的低いヒステリシス損失を有する加硫および従って架橋エラストマー組成物の作製に有用である。このような組成物は、低い転がり抵抗に加えて、他の望ましい物理的および化学的特性、例えばウェットスキッド性、耐磨耗性および引張強度、の良好なバランスを有する、タイヤトレッドをはじめとする多くの物品において有用である。未架橋弾性ポリマーを含むコンパウンドは、バランスのとれた加工性を有する。
【背景技術】
【0003】
原油価格上昇が、タイヤおよびゴム製造業者に「燃料効率のよい」および従って省燃費型またはガソリン節約型のタイヤの製造への寄与を強いることは、一般に受け入れられている。低燃費のタイヤを得るための1つの一般的なアプローチは、ヒステリシス損失の低減に存する。架橋弾性ポリマー組成物のヒステリシス損失は、60℃でのそのTan δ値に関係づけられる(非特許文献1参照)。一般に、比較的小さい60℃でのTan δ値を有する加硫弾性ポリマー組成物は、より低いヒステリシス損失を有するので好ましい。タイヤの場合、これは、より低い転がり抵抗およびより良好な燃費ということになる。ヒステリシス損失を減少させる1つの方法は、未架橋弾性ポリマー鎖末端の変性である。ポリマー鎖末端を官能基化することができ、エラストマー組成物の成分と、例えばフィラーなどと、反応することができる、「カップリング剤」、例えば四塩化スズ、の使用をはじめとする様々な技術が、公開文献に記載されている。興味深い他の文献と共にそのような技術の例としては、特許文献1、特許文献2および特許文献3(例えば、テトラクロロシラン);特許文献4;特許文献5;特許文献6;特許文献7(ブロック化メルカプトシラン)および特許文献8(多ハロゲン置換炭化水素、例えば、1,3,5−トリ(ブロモメチル)ベンゼン);特許文献9(スズ化合物および有機アミノまたはアミン化合物)および特許文献10が挙げられる。
【0004】
非特許文献2には、シリルエーテルおよびシリルチオエーテル官能基を含有するハロアルカンとリビングポリマーを反応させることによって得られる、ヒドロキシ(−OH)およびメルカプト(−SH)官能基でエンドキャップされているポリスチレン含有およびポリイソプレン含有リビングポリマーの合成が記載されている。停止反応の際の前記−OHおよび−SH官能基のための保護基としては、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基が好ましい。対応するシリルエーテルおよびチオエーテルが、安定でもあり、アニオンリビングポリマーと相溶性でもあることが判明したからである。
【0005】
ヒステリシス損失を減少させるもう1つの方法は、ポリジエンの統計的骨格官能基化に存する。前記ゴムの骨格に沿った官能基化位置の数は、1本のベースポリマー鎖のほんの1または2箇所しか変性することができない連鎖末端変性と比較すると多いはずである。従って、ポリマー鎖とフィラー粒子の相互作用は、骨格変性の場合、多数の(2つより多くの)ポリマー骨格位置が変性されているときのほう強いはずである。従って、骨格官能基化ポリジエンは、より低いヒステリシス損失、およびフィラーとの、例えばカーボンブラックおよびシリカとの、より良好な相溶性の可能性を有する。
【0006】
ポリマーの骨格変性についての例。
ポリマー骨格変性についての幾つかの代表例が報告された。
【0007】
そのような技術の例としては、
(1)特許文献11、および
(2)特許文献12
が挙げられる。
【0008】
アニオン重合技術を用いることによって作製されるポリジエンは、通常、ブタジエン、イソプレンおよび場合によってはスチレンをモノマー源として製造される。多くの場合n−ブチルリチウムまたはs−ブチルリチウムによって代表される開始剤化合物とその官能基の相互作用が避けられるならば、官能基化共役ジエンまたはビニル芳香族モノマーを成長ポリマー鎖に組み込むことができる。置換スチレン(1、2)に相当する官能基化モノマーを下に示す。
【0009】
【化1】

【0010】
上の構造において、RおよびR’は、水素またはアルキル基であり;xは、数1から10であり;mおよびnは、数0から10である。置換イソプレン(1)を代表する官能基化モノマーを下に示す。
【0011】
【化2】

【0012】
上に示したような置換スチレンおよび置換イソプレン構造は、非官能基化共役ジオレフィンおよび場合によってはビニル芳香族モノマーと共重合させることによって、弾性ポリジオレフィンに組み込むことができる。前記官能基化ポリマーは、タイヤ中のゴムとフィラー、例えばカーボンブラックおよびシリカ、との相溶性を向上させた。特に、タイヤの転がり抵抗特性および従ってタイヤのヒステリシス特性を向上させたと述べられている。例えば、0.25、1、2および5重量百分率の4−(2−ピロリジノエチル)スチレン(PES)または3−(ピロリジノ−メチル−2−エチル)α−メチル−スチレンを、ブタジエン−スチレン骨格に組み込んだ。結果として生じた官能基化ポリマーを、シリカ−ゴムコンパウンドの作製に適用し、その転がり抵抗関連タンデルタ値を60℃で測定した。骨格官能基化を一切含まない参照ポリマーサンプルは、0.145のタンデルタ値という結果となり、一方、最高変性度(5重量%)は、0.073という低減されたタンデルタ値をもたらした。
【0013】
しかし、極性基含有化合物(本開示では極性コーディネーター化合物と呼び、定義する)が、重合反応速度に影響を及ぼす、ならびに従って、その(コ)ポリマー中のスチレンのみならず1,2−ポリブタジエンの組成分布および濃度に影響を及ぼすことは公知である。従って、官能基化ポリマーの当量ミクロ構造を望むならば、官能基化モノマーの適用のために新たな重合レシピの開発が必要である。従って、モノマー転化を本質的に完了させた後、そのポリマー骨格を変性するのが有益である。
【0014】
過酸化物の存在下、低分子量ジチオールでのポリジエンの加硫を記載している二、三の参考文献がある。
【0015】
そのような技術の例としては、
(3)非特許文献3、および
(4)特許文献13
が挙げられる。
【0016】
参考文献(3)(非特許文献3)によると、開始剤としてのジクミルペルオキシドまたはt−ブチルペルベンゾエートの存在下、100℃より下の温度で、液体ポリブタジエンを低分子量のジチオール、例えばヘキサン−1,6−ジチオールおよび3,4−ジメルカプトトルエンなど、で硬化させた。その硬化反応の生成物は、加水分解および空気酸化に対する改善された安定性を有した。伝えられるところによると、「破断点ひずみ」値は、ジチオール濃度上昇に伴って減少した。過酸化物不在で硬化は達成されなかった。同様に、参考文献(4)(特許文献13)には、ポリジチオール、ポリエポキシドおよびアミン化合物(後の2つの化合物は、ラジカル開始剤系の代表である)を使用して、50から84時間の期間、80から100℃の温度でポリジエンを硬化させる方法が記載されている。ジチオール付加の結果として、増加した加硫物伸び値が報告されている。このように、両方の参考文献にジチオールとポリジエンの過酸化物開始反応が記載されている。
【0017】
溶液中で作製されるポリジエンの骨格変性の場合、過酸化物開始剤の添加を避けることが有益であろう。過酸化物は、重合プロセスにおける追加成分の代表であり、これは、ポリマー骨格に沿ってラジカルを形成することによりポリマー鎖架橋も生じさせる。加えて、この過酸化物開始官能基化は余分な時間を必要とする。また、過酸化物開始剤の副生成物およびアミン成分の副生成物を考慮する必要があり、場合によってはそれらを除去する必要がある。従って、補助化合物の必要を有さない、チオールまたはスルフィド含有化合物とポリマー骨格の反応が有益であろう。
【0018】
他の参考文献には、低分子量ジオールの存在下での低分子量ポリブタジエンの硬化が記載されている。
【0019】
そのような技術の例としては、
(5)特許文献14、および
(6)特許文献15
が挙げられる。
【0020】
紫外線の存在下での低分子量(C2〜C6)アルキルポリチオールY(SH)n(n=2〜6)と液体ポリジエンの反応を含む透明固体ポリマーの製造方法が参考文献(5)(特許文献14)に記載されている。通常、前記液体ポリジエンの分子量は、蝋質になる50,000g/molより下であると考えられる。実施例として与えられている1500g/molの分子量は、液体ジエンポリマーについての推奨範囲内である。与えられている実施例によると、固体ポリマーは、それぞれ、15または30時間後に得られる。もう1つの参考文献(6)(特許文献15)では、「インサイチュー」で製造された2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールを液体ポリブタジエンと反応させて、固体ポリマー生成物を生成した。その混合物を例えば188℃の温度まで加熱することによって、硬化反応を開始させた。比較的長い期間、例えば具体例としては73時間、この温度を必要とする。
【0021】
参考文献(5)および(6)に提示されている硬化期間は非常に長い。タイヤのために作製されるコンパウンド加硫物は、例えば5から30分以内など、数分間での作製を必要とする。従って、そのような長い加硫期間は、弾性タイヤ成分の製造に適格でないであろう。加えて、タイヤ製造業者は、液体ポリマーを容易に加工できない。
【0022】
加えて、伝えられるところによると、低分子量ジチオール含有ポリジエンカーボンブラックコンパウンドから加硫物を製造する。前記ジチオールは、配合またはミルプロセスの過程で添加された。
【0023】
そのような技術の例としては、
(7)非特許文献4
が挙げられる。
【0024】
参考文献(7)(非特許文献4)では、低分子量ジチオールの存在下で作製されたエマルジョンブタジエン−スチレンゴム(GR−Sゴム)−カーボンブラックコンパウンド加硫物の特性が調査された。前記コンパウンド加硫物の300%モジュラスおよび引張強度は、異なるジチオールを添加すると、変化した。ジチオールを使用して製造された加硫物の引張強度は、無ジチオール加硫物のうちの1つの使用より高いと述べられている。ジチオール化合物のGR−Sセメントへの添加は、セメントをゲル化する結果となり、これは、ポリマー鎖架橋増進に起因すると見られた。上述のゲル化実験の他に、表IIIは、前記ジチオールを、常に、純粋な成分として加硫前にカーボンブラック混合物に添加したことを示唆している。これにより、配合中に前記低分子量ジチオールを未架橋弾性ポリマーと併せるだけである。このアプローチは、配合中にそのゴム混合物の全体にわたってジチオール化合物を分配することが難しいため、不利である。すなわち、大部分のアニオン重合に付随する典型的な低粘度溶剤系環境とは異なり、このゴム配合環境は、一般に高粘度で無溶剤であり、従って、その組成物全体にわたってカップリング剤のあまり均一でない分布をもたらす。結果として、前記官能基化ポリマーと、フィラー材料および/またはそのポリマー骨格の不飽和セグメントとの相互作用は、あまり平衡せず、従って、あまり完全でない。
【0025】
もう1つの例、特許文献16には、例えばアゾビスイソブチロニトリルまたはジラウロイルペルオキシドなどのラジカル開始剤と併用で、ジオレフィンから、およびヒドロキシメルカプタンおよびメルカプトカルボン酸エステルから生じさせたヒドロキシル基含有ゴムが記載されている。ポリジエンの骨格変性には、上で論じたようなラジカル形成性開始剤化合物の添加を避けることが有益であろう。
【0026】
およびさらに、多官能性チオールと一官能性チオールの混合物が、スチレンブタジエンラテックス製エマルジョンの作製において連鎖移動剤として適用された(8)。
【0027】
そのような技術の例としては、(8)特許文献17が挙げられる。
【0028】
第一重合段階においてシードラテックス粒子を形成した後、第二および第三段階において多官能性チオールを成分として添加した。前記第二および第三重合段階を行って、シードラテックス粒子を第一および第二の外皮で被覆した。結果として生じるラテックスは、コート紙の作製に適用したとき、改善された重合安定性、機械的安定性および接着を有したと報告されている。前記ジチオールは、この特許出願では、連鎖移動剤して作用するともっぱら述べられており、従って、この技術を用いて前記ジチオールが官能基化ポリマーを生じさせるとは思われない。
【0029】
下記一般式のさらなる骨格変性ポリブタジエンが、HIPSおよびワニスの作製のために、参考文献(9)特許文献18に記載されている。
【化3】

【0030】
参考文献(9)(特許文献18)によると、前記変性ポリブタジエンの作製は、例えばアゾジイソブチロニトリルなどの適するラジカル形成性開始剤化合物の存在下で、好ましくは低分子量ポリブタジエン(Mw<100,000g/mol)と低分子量アミノチオール(HS−R−NHおよびHS−R(COOH)−NH)を反応させることによって行われた。
【0031】
溶液中で作製されたポリジエンの骨格変性について上に述べたように、下記のうちの少なくとも1つを回避するために過酸化物開始剤を添加しないことが有益である。
a)さらなる変性段階のための追加の反応時間、および
b)ポリマー作製プロセスにおける追加成分に伴う問題、
c)炭素−炭素架橋形成。
【0032】
従って、補助化合物の必要を有さない、チオールまたはスルフィド含有化合物とポリマー骨格の反応が有益であろう。また、高い後処理プロセス温度を伴うことが多いポリマー後処理中、ポリマー変性前の骨格変性剤の部分的または完全除去を避けるために、十分に高い分子量のチオールまたはスルフィド含有化合物とそのポリマー骨格を反応させことは有益であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】米国特許第3,281,383号
【特許文献2】米国特許第3,244,664号
【特許文献3】米国特許第3,692,874号
【特許文献4】米国特許第3,978,103号
【特許文献5】米国特許第4,048,206号
【特許文献6】米国特許第4,474,908号
【特許文献7】米国特許第6,777,569号
【特許文献8】米国特許第3,078,254号
【特許文献9】米国特許第4,616,069号
【特許文献10】米国特許公開第2005/0124740号
【特許文献11】米国特許第6,933,358号
【特許文献12】米国特許第7,041,761号
【特許文献13】米国特許第3,876,723号
【特許文献14】米国特許第3,338,810号
【特許文献15】米国特許第2,964,502号
【特許文献16】米国特許第6,696,523号
【特許文献17】国際公開番号WO 02/50128
【特許文献18】ドイツ出願第1,910,177号
【非特許文献】
【0034】
【非特許文献1】ISO 4664-1:2005; Rubber, Vulcanized or thermoplastic; Determination of dynamic properties - part 1: General guidance
【非特許文献2】「Synthesis of end-functionalized polymer by means of living anionic polymerization」 Journal of Macromolecular Chemistry and Physics 197 (1996), 3135-3148
【非特許文献3】Strecker, R.A.H., Rubber Chemistry and Technology, 44/3, (1971), 657-689
【非特許文献4】Hull C.M. et al., Journal of Industrial and Engineering Chemistry, 40, (1948), 513-517
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
下で説明する骨格変性メカニズムは、ポリマーの分子量に制限を課さないが、高分子量ポリマーに特に有益である。高分子量ゴムの場合、末端基の重量比は小さく、従って、フィラーとゴムの間または異なるゴムポリマー鎖間の相互作用に対してほんの少しの影響しか及ぼし得ない。本発明は、フィラーと、および/またはポリマー鎖との相互作用に有効なポリマー結合基の濃度がはるかに高い弾性ポリマー組成物中のポリマー鎖を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明は、
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
とを含む第一の組成物から形成されるポリマーを含む組成物を提供し、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されており;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0037】
もう1つの態様において、本発明は、
1)フィラーと、
2)加硫剤と、
3)第一組成物から形成される変性ポリマー
とを含む第二組成物から形成される弾性ポリマーを含み、該第一の組成物が、
i)未架橋弾性ポリマー、および
ii)式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
を含む、架橋組成物を提供し、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、および(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;ならびに
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0038】
もう1つの態様において、本発明は、
1)フィラー;
2)加硫剤;および
3)i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)下記式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
との反応生成物である変性ポリマー、
を含む組成物を提供し、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0039】
もう1つの態様において、本発明は、
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)式3によって表されるスルフィド変性剤、
A−S−R’−S−A (式3)
とから形成されるポリマーを含む組成物を提供し、この式中、
R’は、線状であるもしくは分岐している(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキルまたは(C12〜C100)アリールであり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−S−(S)−R1または−SiR2R3R4であり;
pは、数1、2または3であり;ならびに
R1、R2、R3およびR4は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
もう1つの態様において、本発明は、
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
とを含む組成物を提供し、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2、3、4または5であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0040】
もう1つの態様において、本発明は、
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm(式1)
とを含む組成物または反応から形成される変性ポリマーを提供し、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0041】
もう1つの態様において、本発明は、式1の変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
を提供し、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
【0042】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0043】
もう1つの態様において、本発明は、式3の変性剤、
A−S−R’−S−A (式3)
を提供し、この式中、
R’は、線状であるもしくは分岐している(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキルまたは(C12〜C100)アリールであり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−S−(S)−R1または−SiR2R3R4であり;
pは、数1、2または3であり;ならびに
R1、R2、R3およびR4は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0044】
もう1つの態様において、本発明は、加硫弾性ポリマー組成物を製造するための方法を提供し、この方法は、以下の成分を併せることを含む。
1)フィラー;
2)加硫剤;および
3)変性ポリマー[これは、
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
とを含む第一の組成物から形成され、ならびにこの式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される]。
【0045】
もう1つの態様において、本発明は、変性ポリマー組成物を製造するための方法を提供し、該方法は、以下の成分を混合することを含む。
i)未架橋弾性ポリマー;および
ii)式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
[式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される]。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、未架橋弾性ジエンポリマーと、下に提示する式1、好ましくは式2、およびさらに好ましくは式3によって表されるスルフィドまたはチオール含有変性剤とを併せることでの生成物を含む、変性ポリマー組成物を含む。本発明は、骨格変性弾性ポリマーをさらに含む。本発明は、変性未架橋ジエンポリマーを使用することによる骨格変性弾性ポリマー組成物の製造方法、ならびに加硫および従って架橋弾性ポリマー組成物の作製におけるそれらの使用をさらに含む。本発明は、そのような変性エラストマー組成物から製造される物品、例えば、空気入りタイヤ、タイヤトレッド、ベルト、履物構成要素、ガスケット、シール、空気ばね、パイプ、ホース、コンベヤーベルト、建築および建設材料をさらに含む。
【0047】
本架橋弾性ポリマー組成物は、60℃でのより低いTan δ値、および物理的特性(耐摩耗性、引張強度、モジュラス、発熱および引裂抵抗のうちの1つまたはそれ以上を含む)の良好なバランスを示し、そして本弾性ポリマーを含むコンパウンド(加硫前のコンパウンド)は、良好な加工特性を維持する。本組成物は、良好なグリップ性および耐磨耗性を維持しながら、低い転がり抵抗を有するタイヤトレッドの作製に有用である。本組成物は、フィラー、例えばカーボンブラック、シリカ、カーボン−シリカ・デュアル・フェーズ・フィラー(dual phase filler)を含むタイヤの作製に特に有用である。
【0048】
詳細には、本発明は、
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
とを含む第一の組成物から形成されるポリマーを含む組成物を提供し、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0049】
1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキルまたは(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、飽和しているまたは不飽和であることがあり、および場合によっては、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていることがある。
【0050】
本発明は、
1)フィラーと、
2)加硫剤と、
3)第一組成物から形成される変性ポリマー
とを含む第二組成物から形成される弾性ポリマーを含み、該第一の組成物が、
i)未架橋弾性ポリマー、および
ii)式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
を含む、架橋組成物も提供し、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、および(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;ならびに
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0051】
1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキルまたは(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、飽和しているまたは不飽和であることがあり、および場合によっては、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていることがある。
【0052】
本発明は、
1)フィラー;
2)加硫剤;および
3)i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)下記式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
との反応生成物である変性ポリマー、
を含む組成物も提供し、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0053】
1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキルまたは(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、飽和しているまたは不飽和であることがあり、および場合によっては、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていることがある。
【0054】
本発明は、
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
とを含む組成物も提供し、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2、3、4または5であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0055】
1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキルまたは(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、飽和しているまたは不飽和であることがあり、および場合によっては、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていることがある。
【0056】
上の組成物に関するもう1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキル、または(C12〜C100)アリールであり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、および飽和しているまたは不飽和であることがあり;
Aは、水素、−(S)−R1またはSiR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−SiR2R3R4、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、または−COOR14であり;
mは、数1であり;
R1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0057】
本発明は、
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)式3によって表されるスルフィド変性剤、
A−S−R’−S−A (式3)
とから形成されるポリマーを含む組成物も提供し、この式中、
R’は、線状であるもしくは分岐している(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキルまたは(C12〜C100)アリール、および好ましくは、線状であるまたは分岐している(C15〜C50)アルキル、およびさらに好ましくは、線状である(C15〜C50)アルキルであり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−S−(S)−R1または−SiR2R3R4であり;
pは、数1、2または3であり;ならびに
R1、R2、R3およびR4は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0058】
もう1つの実施形態において、前記未架橋弾性ポリマーは、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、およびケイ素アルコキシドから成る群より選択される少なくとも1つのカップリング剤に由来する化学的部位を含む。
【0059】
もう1つの実施形態において、前記未架橋弾性ポリマーは、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、およびケイ素アルコキシドから成る群より選択される少なくとも1つのカップリング剤を含む混合物から作製される。
【0060】
もう1つの実施形態において、前記第一の組成物または第二組成物は、油をさらに含む。
【0061】
もう1つの実施形態において、前記組成物は、ポリスチレンをさらに含む。さらにもう1つの実施形態において、前記組成物は、スチレン/アクリロニトリルコポリマーをさらに含む。
【0062】
もう1つの実施形態において、前記組成物は、ポリエステルをさらに含む。
【0063】
もう1つの実施形態において、前記組成物は、ポリウレタンをさらに含む。
【0064】
もう1つの実施形態において、前記組成物は、5から60、好ましくは20から50重量パーセント(コポリマーの重量に基づく)のアクリロニトリルユニット含有量を有するブタジエン/アクリロニトリルコポリマーをさらに含み、この場合のブタジエン/アクリロニトリルコポリマーは、部分的に水素化されており、または完全に水素化されている。
【0065】
もう1つの実施形態において、前記組成物は、EPDMをさらに含む。
【0066】
もう1つの実施形態において、前記未架橋弾性ポリマーは、イソプレンホモポリマー、イソプレンコポリマー、イソプレンターポリマー、ブタジエンホモポリマー、ブタジエンコポリマー、ブタジエンターポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマーまたはブタジエン−スチレンターポリマーのうちの少なくとも1つから選択される。
【0067】
もう1つの実施形態において、前記第二組成物は、油をさらに含む。
【0068】
もう1つの実施形態において、前記フィラーは、カーボンブラックを含む。さらにもう1つの実施形態において、前記フィラーは、シリカを含む。もう1つの実施形態において、前記フィラーは、全弾性ポリマーの100重量部に基づき、10から100重量部の量で存在し、この場合、加硫剤は、全弾性ポリマーの100重量部に基づき、0.5から10重量部の量で存在する。
【0069】
本発明の組成物は、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の実施形態の組み合わせを含む場合がある。
【0070】
本発明は、
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm(式1)
とを含む反応から形成される変性ポリマーも提供し、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0071】
1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキルまたは(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、飽和しているまたは不飽和であることがあり、および場合によっては、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていることがある。
【0072】
本発明は、
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm(式1)
とを含む組成物から形成される変性ポリマーも提供し、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0073】
1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキルまたは(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、飽和しているまたは不飽和であることがあり、および場合によっては、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていることがある。
【0074】
上で論じたポリマーに関するもう1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキル、または(C12〜C100)アリールであり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、および飽和しているまたは不飽和であることがあり;
Aは、水素、−(S)−R1またはSiR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−SiR2R3R4、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、または−COOR14であり;
R1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0075】
もう1つの実施形態において、前記未架橋弾性ポリマーは、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、およびケイ素アルコキシドから選択される少なくとも1つのカップリング剤に由来する化学的部位を含む。
【0076】
もう1つの実施形態において、前記組成物は、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、またはケイ素アルコキシドから選択される少なくとも1つのカップリング剤をさらに含む。
【0077】
もう1つの実施形態において、前記反応は、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、およびケイ素アルコキシドから成る群より選択される少なくとも1つのカップリング剤をさらに含む。
【0078】
もう1つの実施形態において、前記未架橋弾性ポリマーは、イソプレンホモポリマー、イソプレンコポリマー、イソプレンターポリマー、ブタジエンホモポリマー、ブタジエンコポリマー、ブタジエンターポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマーまたはブタジエン−スチレンターポリマーのうちの少なくとも1つから選択される。
【0079】
前記変性ポリマーは、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の実施形態の組み合わせを含む場合がある。
【0080】
本発明は、式1の変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
も提供し、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0081】
1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキルまたは(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、飽和しているまたは不飽和であることがあり、および場合によっては、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていることがある。
【0082】
もう1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキル、または(C12〜C100)アリールであり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、および飽和しているまたは不飽和であることがあり;
Aは、水素、−(S)−R1またはSiR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−SiR2R3R4、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、または−COOR14であり;
mは、数1であり;
R1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
本発明は、式3の変性剤、
A−S−R’−S−A (式3)
も提供し、この式中、
R’は、線状であるもしくは分岐している(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキルまたは(C12〜C100)アリール、および好ましくは、線状であるまたは分岐している(C15〜C50)アルキル、およびさらに好ましくは、線状である(C15〜C50)アルキルであり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−S−(S)−R1または−SiR2R3R4であり;
pは、数1、2または3であり;ならびに
R1、R2、R3およびR4は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0083】
本発明の変性剤は、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の実施形態の組み合わせを含む場合がある。
【0084】
本発明は、加硫弾性ポリマー組成物を製造するための方法も提供し、この方法は、以下の成分を併せることを含む。
1)フィラー;
2)加硫剤;および
3)変性ポリマー[これは、
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
とを含む第一の組成物から形成され、ならびにこの式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される]。
【0085】
1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキルまたは(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、飽和しているまたは不飽和であることがあり、および場合によっては、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていることがある。
【0086】
本発明は、変性ポリマー組成物を製造する方法も提供し、該方法は、以下の成分を混合することを含む。
i)未架橋弾性ポリマー;および
ii)式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
[式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される]。
【0087】
1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキルまたは(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、飽和しているまたは不飽和であることがあり、および場合によっては、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていることがある。
【0088】
もう1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキル、または(C12〜C100)アリールであり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、および飽和しているまたは不飽和であることがあり;
Aは、水素、−(S)−R1またはSiR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−SiR2R3R4、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、または−COOR14であり;
mは、数1であり;
R1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。
【0089】
本発明の方法は、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の実施形態の組み合わせを含む場合がある。
【0090】
本発明は、本発明の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品も提供する。さらなる実施形態において、前記物品は、タイヤトレッドである。
【0091】
本発明は、本発明のポリマーから形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品も提供する。さらなる実施形態において、前記物品は、タイヤトレッドである。
【0092】
本発明の物品としては、タイヤ構成要素、自動車部品、履物構成要素、ベルト、ガスケット、シールおよびホースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
本発明の物品は、本明細書に記載するような2つまたはそれ以上の実施形態の組み合わせを含む場合がある。
【0094】
前記スルフィド変性剤は、本明細書に記載するような式のうちのいずれかによって表すことができる。
【0095】
頭字語「HIPS」は、ポリブタジエンまたはブタジエン−スチレンコポリマー変性ポリスチレンである、耐衝撃性ポリスチレンを表す。頭字語「ABS」は、ポリブタジエンまたはブタジエン−スチレンコポリマー変性アクリロニトリル/スチレンコポリマーを表す。頭字語「EPDM」は、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体を表す。
【0096】
用語「組成物」は、本明細書において用いる場合、その組成物を含む材料の混合物、ならびにその組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を包含する。
【0097】
弾性ポリマーは、2つのグループ、「架橋弾性ポリマー」および「未架橋弾性ポリマー」、に分けることができる。
【0098】
用語「架橋弾性ポリマー」は、加硫天然ゴム(cis−1,4−ポリイソプレン)について公知であるようなまたはそれと同様の性質、例えば、引張下での伸張、および開放時の比較的短時間でのほぼ原長への収縮、を有する、少なくとも部分的に架橋されているポリマーを表す、エラストマーまたはゴムを意味すると解釈する。ポリマー架橋は、例えば、硫黄を使用する加硫によって、またはラジカル形成性化合物、例えばアゾ含有もしくは過酸化物含有化合物、の適用によって、形成される。
【0099】
用語「未架橋弾性ポリマー」は、上で説明した架橋弾性ポリマーの未架橋前駆ポリマーを意味すると解釈する。「未架橋弾性ポリマー」は、未架橋形態のポリマーを優勢量含むが、架橋形態のポリマーも少量含むことがあることに留意する。例えば、未架橋弾性ポリマーには、その弾性ポリマーの総重量に基づき10重量パーセント未満、好ましくは5重量パーセント未満、およびさらに好ましくは2重量パーセント未満の架橋ポリマーが存在することがある。
【0100】
用語「弾性ポリマー」は、それ自体で用いられている場合、上で定義したグループ、「架橋弾性ポリマー」と「未架橋弾性ポリマー」、の両方を包含する。
【0101】
上で定義した骨格変性剤の存在下でコンパウンドに使用するための本発明の未架橋弾性ポリマーは、好ましくは、溶剤の存在下で配位触媒を使用する重合によって、またはアニオン重合によって、作製することができる。この関連での配位触媒は、チーグラー・ナッタ触媒、配位触媒および単一金属触媒系であると解釈される。配位触媒は、好ましくは、ニッケル、コバルト、チタン、バナジウム、クロムまたはネオジムに基づくものである。アニオン溶液重合のための触媒は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属に基づく。
【0102】
共役ジエン、トリエン、ならびにモノビニル脂肪族および芳香族モノマーを重合させるためのリチウム開始剤の使用は周知である(アニオン溶液重合)。これらの重合は、モノマーの反応が、求核的に開始してポリマー構造を形成し、増やしていく反応である、アニオン重合メカニズムによって進行する。重合を通して、ポリマー構造は、イオンまたは「リビング」ポリマー構造である。従って、このポリマー構造は、少なくとも1つの反応性または「リビング」末端を有する。これが、アニオン溶液重合技術によって作製される未架橋弾性ポリマーを記述するために本明細書で用いる用語「リビング」の背景である。
【0103】
本未架橋弾性ポリマーの作製に有用なモノマーとしては、共役オレフィン、ならびにα−オレフィン、内部オレフィン、環状オレフィン、極性オレフィンおよび非共役ジオレフィンを含む群から選択されるオレフィンが挙げられる。適する共役不飽和モノマーは、好ましくは、共役ジエン、例えば、1,3−ブタジエン、2−アルキル−1,3−ブタジエン、好ましくはイソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、2−メチル−2,4−ペンタジエン、シクロペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエンである。好ましいオレフィンは、長鎖高分子α−オレフィン、さらに特に芳香族ビニル化合物を含む(しかし、これらに限定されない)、C2〜20α−オレフィンである。好ましい芳香族ビニル化合物はスチレンであり、これは、C1〜4アルキル置換スチレン、例えば2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチルスチレンおよびスチルベン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、t−ブトキシスチレン、ビニルピリジン、およびそれらの混合物を含む。適する極性オレフィンとしては、アクリロニトリル、メタクリレート、メチルメタクリレートが挙げられた。適する非共役オレフィンとしては、C4〜20ジオレフィン、特に、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、4−ビニルシクロヘキセン、ジビニルベンゼン(1,2−ジビニルベンゼン、1,3−ジビニルベンゼンおよび1,4−ジビニルベンゼンを含む)、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましい共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレンおよびシクロペンタジエンが挙げられ、好ましい芳香族α−オレフィンとしては、スチレンおよび4−メチルスチレンが挙げられる。
【0104】
適切な未架橋弾性ポリマーの例としては、共役ジエン、特にブタジエンまたはイソプレン、のホモポリマー、ならびに少なくとも1つの共役ジエン、特にブタジエンまたはイソプレンと、少なくとも1つの共役ジエンとの、または少なくとも1つの芳香族α−オレフィン、特にスチレンおよび4−メチルスチレン、芳香族ジオレフィン、特にジビニルベンゼンとの、ランダムまたはブロックコ−およびターポリマーが挙げられる。少なくとも1つの共役ジエンと少なくとも1つの芳香族α−オレフィンとの、および場合によっては、少なくとも1つの芳香族ジオレフィンまたは脂肪族α−オレフィン、特にブタジエンまたはイソプレンとスチレン、4−メチルスチレンおよび/またはジビニルベンゼンとの、ランダム共重合、場合によっては三元共重合は特に好ましい。加えて、ブタジエンとイソプレンのランダム共重合は、特に好ましい。
【0105】
適切な弾性ポリマーの例としては、以下のものが挙げられる。
RB−ポリブタジエン、
ABR−ブタジエン/C1〜C4−アルキルアクリレートコポリマー、
HIPS−ブタジエン/スチレンコポリマー、
CR−ポリクロロプレン、
IR−ポリイソプレン、
SBR−そのコポリマーの総重量に基づき1から60重量パーセント、好ましくは20から50重量パーセントのスチレンユニット含有量を有する、スチレン/ブタジエンコポリマー、
IIR−イソブチレン/イソプレンコポリマー、
NBR−そのコポリマーの総重量に基づき5から60重量パーセント、好ましくは20から50重量パーセントのアクリロニトリルユニット含有量を有する、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、
HNBR−部分水素化または完全水素化NBRゴム、
EPDM−エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、
およびこれらのゴムの混合物。
【0106】
1つの実施形態において、弾性ポリマーは、ポリブタジエンである。
【0107】
もう1つの実施形態において、前記弾性ポリマーは、ブタジエン/C1〜C4−アルキルアクリレートコポリマーである。
【0108】
もう1つの実施形態において、前記弾性ポリマーは、ブタジエン/スチレンコポリマーである。
【0109】
もう1つの実施形態において、前記弾性ポリマーは、ポリクロロプレンである。
【0110】
もう1つの実施形態において、前記弾性ポリマーは、ポリイソプレンである。
【0111】
もう1つの実施形態において、前記弾性ポリマーは、そのコポリマーの総重量に基づき1から60重量パーセント、好ましくは20から50重量パーセントのスチレンユニット含有量を有する、スチレン/ブタジエンコポリマーである。
【0112】
もう1つの実施形態において、前記弾性ポリマーは、イソブチレン/イソプレンコポリマーである。
【0113】
もう1つの実施形態において、前記弾性ポリマーは、そのコポリマーの総重量に基づき5から60重量パーセント、好ましくは20から50重量パーセントのアクリロニトリルユニット含有量を有する、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーである。
【0114】
もう1つの実施形態において、前記弾性ポリマーは、部分水素化または完全水素化NBRゴムである。
【0115】
もう1つの実施形態において、前記弾性ポリマーは、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体である。
【0116】
車両用タイヤを製造するために、−50℃より上のガラス転移温度を有する天然ゴム、エマルジョンSBRおよび溶液SBRゴム;ニッケル、コバルト、チタンまたはネオジムに基づく触媒を使用して作製された、高いcis1,4含有量(>90%)を有するポリブタジエンゴム;および0から75%のビニル含有量を有するポリブタジエンゴム;ならびにそれらの混合物が、特に興味深い。
【0117】
さらに、車両用タイヤを製造するために、高いtrans−1,4含有量(>75%)を有するポリブタジエンゴム;またはSBR、好ましくは、5重量%と40重量%の間のスチレンと、trans−1,4−ポリブタジエン含有量が高い(>75%)そのコポリマーのポリブタジエン画分とを含有するSBR。これらそれぞれのタイプのポリマー(SBRまたはBR)を、例えば米国特許第6,693,160号、同第6,627,715号、同第6,489,415号、同第6,103,842号、同第5,753,579号、同第5,086,136号および同第3,629,213号(本明細書に参照として組み込まれる)に記載されているものなどのアルカリ土類金属化合物を含む1つもしくはそれ以上の開始剤を用いて、または例えば米国特許第6,310,152号、同第5,834,573号、同第5,753,761号、同第5,448,002号および同第5,089,574号、ならびに米国特許公開第20030065114号に記載されているものなどのコバルトに基づく触媒を使用することにより、または例えば欧州特許出願第1367069号、日本特許出願第11301794号および米国特許第3951936号に記載されているものなどのバナジウムに基づく触媒を使用することにより、または例えば、欧州特許出願番号EP0964008およびEP0924214ならびに米国特許第6,184,168号、同第6,018,007号、同第4,931,376号、同第5,134,199号および同第4,689,368号に記載されているものなどのネオジムに基づく触媒を使用することにより、作製されている。
【0118】
車両用タイヤを製造するために、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、およびさらにブタジエン変性アクリロニトリル−スチレンコポリマー(ABS)を製造するために、70重量%と90重量%の間の高いcis−1,4含有量、および5重量%と25重量%の間の1,2−ポリブタジエン含有量を有するポリブタジエンゴムを、クロムおよびバナジウムに基づく触媒を使用して作製した。例は、例えば、欧州特許出願番号EP0778291およびEP0841375ならびに米国特許第5,981,667号に記載されている。
【0119】
一般に、ジエンモノマー(単数もしくは複数)の重合、またはジエンモノマー(単数もしくは複数)とα−オレフィンモノマー(単数もしくは複数)の共重合は、アニオンリビング型重合反応のための、例えば、金属錯体触媒に基づく重合反応ためのまたはラジカル乳化重合反応ための、当分野において周知の条件で遂行することができる。そのような重合についての典型的な温度は、−50から250℃、好ましくは0から120℃である。この反応温度は、重合開始温度と同じ場合もある。前記重合は、大気圧で、大気圧より低い圧で、または500MPa以下の高圧もしくは500MPaより高い圧ででさえ、連続的にまたは不連続的に行うことができる。好ましくは、前記重合は、0.01から500MPaまで、さらに好ましくは0.01から10MPaまで、および最も好ましくは0.1から2MPaまでの圧で行われる。より高い圧をかけることもできる。そのような高圧プロセスにおいても、本発明の開始剤を良好な結果で使用することができる。溶液重合は、通常、低圧、好ましくは10MPa未満で行われる。前記重合は、液体反応媒質中でばかりでなく、気相で行うこともできる。前記重合は、一般に、バッチ、連続または半連続重合条件下で行われる。前記重合プロセスは、気相重合として(例えば、流動床もしくは攪拌床反応器において)、溶液重合として(この場合、形成されるポリマーは、その反応混合物に実質的に可溶である)、または懸濁/スラリー重合として(この場合、形成されるポリマーは、その反応媒質に実質的に不溶である)、またはいわゆる塊状重合プロセスとして(この場合、重合されるモノマーの過剰分が、反応媒質として使用される)、行うことができる。
【0120】
上述したモノマーの重合は、アニオンリビング型重合反応の場合、一般に、アニオン開始剤、例えば、少なくとも1つのリチウム、ナトリウムまたはカリウム原子を有する有機金属化合物(しかし、これらに限定されない)で開始され、ならびにこの場合の有機金属化合物は、1から約20個の炭素原子を含有する。好ましくは、前記有機金属化合物は、少なくとも1つのリチウム原子を有する;例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、ヘキシルリチウム、1,4−ジリチオ−n−ブタン、1,3−ジ−(2−リチオ−2−ヘキシル)ベンゼン、好ましくは、n−ブチルリチウムおよびs−ブチルリチウム。これらの有機リチウム開始剤は、単独で使用してもよいし、または2つもしくはそれ以上の異なる種類のものの混合物として併用してもよい。使用される有機リチウム開始剤の量は、重合させるモノマーに、および生成されるポリマーのターゲット分子量に基づいて変わるが、この量は、100グラムのモノマーにつき、典型的には0.1から5mmol、好ましくは0.3から3mmolである。
【0121】
極性コーディネーター化合物を、場合によっては重合混合物に添加して、ジオレフィン型ホモ−、コ−もしくはターポリマーの共役ジオレフィン部分のミクロ構造(ビニル結合の含有量)を調節することができ、またはコ−もしくはターポリマーを含有する共役ジエンモノマー中の芳香族ビニル化合物の組成分布を調節することができ、従って、例えばランダム化成分として役立つことができる。極性コーディネーター化合物は、例えば、エーテル化合物、例えば、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、アルキルテトラヒドロフリルエーテル(alkyltetrahydroforylethers)、例えば、メチルテトラヒドロフリルエーテル、エチルテトラヒドロフリルエーテル、プロピルテトラヒドロフリルエーテル、ブチルテトラヒドロフリルエーテル、ヘキシルテトラヒドロフリルエーテル、オクチルテトラヒドロフリルエーテル、テトラヒドロフラン、2,2−(ビステトラヒドロフルフリル)プロパン、ビステトラヒドロフルフリルホルマール、テトラヒドロフルフリルアルコールのメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのブチルエーテル、α−メトキシテトラヒドロフラン、ジメトキシベンゼン、およびジメトキシエタン、ならびに/または第三アミン化合物、例えば、トリエチルアミンのブチルエーテル、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、N,N−ジエチルエタノールアミンのメチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのエチルエーテル、およびN,N−ジエチルエタノールアミンであるが、これらに限定されない。一般に、前記極性コーディネーター化合物は、0.012:1から5:1、しかし典型的には0.1:1から4:1、好ましくは0.25:1から約3:1、およびさらに好ましくは0.5:1から3:2の範囲内の、該極性コーディネーター化合物のリチウム開始剤に対するモル比で添加される。
【0122】
前記重合は、場合によっては、オキソラニルアルカンオリゴマーを極性コーディネーター化合物として利用して行うことがある。そのような化合物の例は、米国特許第6,790,921号および同第6,664,328号に提供されている。
【0123】
前記重合は、開始剤の反応性を増大させるために、ポリマーに導入される芳香族化合物をランダムに割り付けるために、または芳香族ビニル化合物の単一の鎖を生じさせために、および従って、本発明の共役ジエン含有変性コ−またはターポリマーにおける芳香族ビニル化合物の組成分布に影響を及ぼすように、場合によっては促進剤を含むことがある。適切な促進剤の例としては、ナトリウムアルコキシドまたはナトリウムフェノキシド、およびカリウムアルコキシドまたはカリウムフェノキシド、好ましくは、カリウムアルコキシドまたはカリウムフェノキシド、例えば、カリウムイソプロポキシド、カリウムt−ブトキシド、カリウムt−アミルオキシド、カリウムn−ヘプタオキシド、カリウムベンジルオキシド、カリウムフェノキシド;カルボン酸、例えばイソ吉草酸、カプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレイン酸、安息香酸、フタル酸または2−エチルヘキサン酸、のカリウム塩;有機スルホン酸、例えばドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸またはオクタデシルベンゼンスルホン酸、のカリウム塩;および有機リン酸、例えばジエチルホスファイト、ジイソプロピルホスファイト、ジフェノルホスファイト、ジブチルホスファイトおよびジラウリルホスファイト、のカリウム塩が挙げられる。これらのカリウム化合物を、リチウム開始剤の1.0グラム原子当量に対して0.005から0.5モルの量で添加することができる。0.005モル未満を添加すると、一般には十分な効果が得られない。一方、カリウム化合物の量が約0.5モルより多いと、連鎖末端変性反応の生産性および効率が有意に低減される。
【0124】
アルカリ金属アルコキシド化合物を重合開始剤と一緒に添加して、重合反応性を増すこともできる。前記アルカリ金属アルコキシド化合物は、アルコールと有機アルカリ金属化合物の反応によって作製することができる。この反応は、炭化水素溶剤中、モノマー、好ましくは共役ジオレフィンモノマーおよび芳香族ビニル化合物モノマーの存在下で、これらのモノマーの共重合の前に行うことができる。テトラヒドロフルフリルアルコール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミンまたは1−ピペラジンエタノールアミンなどの金属アルコキシドに代表されるアルカリ金属アルコキシド化合物が好例である。有機アルカリ金属化合物、好ましくは有機リチウム化合物を、アルコール化合物に対する反応体として使用して、アルカリ金属アルコキシドを作製することもできる。例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、およびヘキシルリチウム、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。これらのうち、n−ブチルリチウムおよびs−ブチルリチウムが好ましい。アルコール化合物と有機リチウム化合物のモル比は、1:0.7から1:5.0、好ましくは1:0.8から1:2.0、およびさらに好ましくは1:0.9から1:1.2であるべきである。有機リチウム化合物のアルコール化合物に対するモル比が、5.0より大きいと、引張強度、耐摩耗性およびヒステリシスの改善に対する効果は損なわれる。一方、0.8より小さい有機リチウム化合物のモル比は、重合速度を遅らせ、生産性を有意に低下させ、低い連鎖末端変性反応効率を生じさせることとなる。
【0125】
ポリマーの分子量およびポリマーの特性をさらに制御するために、カップリング剤または連結剤(linking-agent)を利用してもよい。例えば、非対称カップリングを所望する場合には、重合中に、ハロゲン化スズ、ハロゲン化ケイ素、スズアルコキシド、ケイ素アルコキシド、または前述の化合物の混合物を連続的に添加することができる。通常、この連続添加は、重合の大半が発生しているゾーンとは別の反応ゾーンにおいて行われる。分配および反応のために適切に混合しながら、炭化水素溶液、例えばシクロヘキサン中のカップリング剤を重合混合物に添加することができる。典型的には、カップリング剤は、高い転化率が既に達成された後にのみ、添加される。例えば、通常、カップリング剤は、約85パーセントより大きいモノマー転化率が実現された後にのみ、添加される。典型的には、カップリング剤を添加する前にモノマーの転化率が少なくとも約90パーセントに達しているほうが好ましい。一般的なハロゲン化物カップリング剤としては、四塩化スズ、四臭化スズ、四フッ化スズ、四ヨウ化スズ、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四フッ化ケイ素、四ヨウ化ケイ素が挙げられ、三ハロゲン化スズおよびケイ素または二ハロゲン化スズおよびケイ素を使用することもできる。四ハロゲン化スズまたはケイ素とカップリングしたポリマーは、最大4つのアームを有し、三ハロゲン化スズおよびケイ素とカップリングしたポリマーは、最大3つのアームを有し、ならびに二ハロゲン化スズおよびケイ素とカップリングしたポリマーは、最大2つのアームを有する。ヘキサハロジシランまたはヘキサハロジシロキサンもカップリング剤として使用することができ、これは、最大6つのアームを有するポリマーを生じさせる。有用なハロゲン化スズおよびケイ素カップリング剤としては、SnCl、(RSnCl、(RSnCl、RSnCl、SiCl、(RSiCl、(RSiCl、RSiCl、ClSi−SiCl、ClSi−O−SiCl、ClSn−SnCl、ClSn−O−SnClが挙げられる。スズおよびケイ素アルコキシドカップリング剤の例としては、Sn(OMe)、Si(OMe)、Sn(OEt)またはSi(OEt)が挙げられる。最も好ましいカップリング剤は、SnCl、SiCl、Sn(OMe)およびSi(OMe)である。
【0126】
前に説明したようなスズまたはケイ素化合物を場合によっては併用して、ポリマーをカップリングすることができる。スズカップリング剤とケイ素カップリング剤のそのような併用により、タイヤゴムのための改善された特性、例えば、より低いヒステリシスを獲得することができる。シリカとカーボンブラックの両方を含有するタイヤトレッドコンパウンドではスズカップリング剤とケイ素カップリング剤の併用が、特に望ましい。そのような場合、未架橋弾性ポリマーをカップリングさせる際に利用されるスズ化合物のケイ素化合物に対するモル比は、通常、20:80から95:5、さらに典型的には40:60から90:10、および好ましくは60:40から85:15の範囲内である。最も典型的には、100グラムの未架橋弾性ポリマーにつき、0.001から4.5ミリ当量の範囲のカップリング剤(スズおよびケイ素化合物)が利用される。望ましいムーニー粘度を得るには、100グラムのポリマーにつき、0.01から1.5ミリ当量のカップリング剤の利用が、通常、好ましい。より多い量は、末端に反応性基を含有するポリマーまたは不十分なカップリングのポリマーを生成する傾向がある。1当量のリチウム開始剤につき、0当量と1当量未満の間のスズおよび/またはケイ素カップリング剤を使用して、残存リビングポリマー画分を後に官能基化することができる。例えば、四塩化スズもしくはケイ素またはこれらの化合物の混合物を、カップリング剤として使用する場合、生きているリチウムポリマー鎖末端の4.0モルごとに、0モルと1.0モル未満の間、好ましくは0モルと0.8モルの間、およびさらに好ましくは0モルと0.6モルの間のカップリング剤を使用する。分配および反応のために適切に混合しながら、炭化水素溶液中、例えばシクロヘキサン中のカップリング剤を、反応器内の重合混合物に添加することができる。
【0127】
溶液系重合プロセスの場合、重合は、適する溶剤、分散剤または希釈剤中で行われる。直鎖および分岐鎖炭化水素(例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン)、環状および非環状炭化水素(例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン)、芳香族およびアルキル置換芳香族化合物(例えば、ベンゼン、トルエンおよびキシレン、ならびに前述のものの異性体、ならびにそれらの混合物)、ならびにペンタメチルヘプタンまたは鉱物油留分(例えば、軽もしくはレギュラーガソリン、ナフサ、灯油または軽油)をはじめとする(しかし、これらに限定されない)、非配位性で不活性の液体が好ましい。フッ素化炭化水素液、例えば、過フッ素化C4〜10アルカンも適する。さらに、適する溶剤としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、シクロペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1−オクテン、1−デセン、スチレン、ジビニルベンゼン、エチリデンノルボルネン、アルキルベンゼン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−ビニルシクロヘキセン、およびビニルシクロへキサンをはじめとする、重合プロセスにおいてモノマーまたはコモノマーとして作用することができる液体オレフィンが挙げられる。これらの溶剤の混合物も適する。芳香族炭化水素、例えば、ベンゼンおよびトルエンを使用することもできる。
【0128】
用語骨格変性剤は、下の式1、2および3を参照して本明細書において説明する本スルフィド化合物を意味すると解釈する。用語「骨格変性架橋弾性ポリマー」は、未架橋弾性変性ポリマーの加硫または架橋反応生成物を意味すると解釈する。用語「変性未架橋弾性ポリマー」は、未架橋弾性ポリマーと本骨格変性剤の組み合わせ生成物を意味すると解釈する。
【0129】
本変性剤としては、式1の化合物、
AS−Y−Zm (式1)
が挙げられ、この式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、および(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、およびそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで場合によっては置換されていることがあり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数1、2または3であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択される。前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキルまたはトリアルキルシリルから選択される。
【0130】
1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキルまたは(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、飽和しているまたは不飽和であることがあり、および場合によっては、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていることがある。
【0131】
用語「アリール」は、本明細書において用いる場合、少なくとも1つの芳香族環を指し、および2つまたはそれ以上の芳香族環を指すこともある。本明細書に記載する際、「Y」として用いているアリール基は、少なくとも二価であると解釈する。
【0132】
用語「アルキル」は、本明細書において用いる場合、少なくとも1つの脂肪族基を指し、および2つまたはそれ以上の脂肪族基を指すこともある。アルキル基は、線状である、分岐している、環状である、またはそれらの組み合わせであることがあり、および飽和しているまたは不飽和であることがある。本明細書に記載する際、「Y」として用いているアルキル基は、少なくとも二価であると解釈する。
【0133】
用語「アルキル」は、直鎖脂肪族炭化水素基、(例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル(Pr)、n−ブチル(Bu)、n−ペンチル、n−ヘキシルなど)と分岐脂肪族炭化水素基(例えば、イソプロピル、t−ブチルなど)の両方、炭素系非芳香族環、脂肪族炭化水素基を包含すると解釈する。ここで、「アルキル」は、飽和線状、分岐、環状、またはそれらの組み合わせの脂肪族炭化水素基、および不飽和線状、分岐、環状、またはそれらの組み合わせの脂肪族炭化水素基を指す。
【0134】
用語「アラルキル」は、本明細書において用いる場合、少なくとも1つの芳香族環およびまた少なくとも1つのアルキル基を指す。本明細書に記載する際、「Y」として用いているアラルキル基は、少なくとも二価であると解釈する。用語「アラルキル」は、アルキル基に結合したアリール基を意味すると解釈する。
【0135】
式Iには示されていないが、本化合物が、それらの対応するルイス塩基付加体を含む(例えば、ケイ素原子に配位している、溶剤分子テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル(dieethylether)、ジメトキシエタンを伴う)ことは理解されるであろう。
【0136】
用語「アルコキシ」は、メトキシ(MeO)、エトキシ(EtO)、プロポキシ(PrO)、ブトキシ(BuO)、イソプロポキシ、イソブトキシ、ペントキシを包含すると解釈する。
【0137】
用語「アリール」は、フェニル、ビフェニルおよび他のベンゼノイド化合物(それぞれ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシまたは他のヘテロ原子、例えば窒素、硫黄およびリン、で、場合によっては置換されている)を包含すると解釈する。
【0138】
(C〜C)、例えば(C12〜C100)、という記号は、本明細書において用いる場合、aからbの炭素原子数の範囲を意味すると解釈し、aからbのすべての個々の値およびサブ範囲を包含する。
【0139】
さらに好ましくは、本変性剤は、式2、
AS−Y−Z (式2)
によって定義される類から選択され、この式中、
Yは、(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキル、または(C12〜C100)アリールであり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−SiR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−SiR2R3R4、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、または−COOR14であり;
pは、数1、2、3、4または5であり;および
R1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択される。前記ヒドロカルビル基は、それぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。好ましくは、R1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12およびR14は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキルまたは(C〜C16)トリアルキルシリルから選択され;ならびにアルキルは、特に、Me、Et、PrおよびBuを含む。式2には示されていないが、本化合物が、それらの対応するルイス塩基付加体を含む(例えば、ケイ素原子に配位している、溶剤分子テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル(dieethylether)、ジメトキシエタンを伴う)ことは理解されるであろう。
【0140】
1つの実施形態において、Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキルまたは(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、この場合、それぞれが、線状であるまたは分岐していることがあり、飽和しているまたは不飽和であることがあり、および場合によっては、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていることがある。
【0141】
さらにいっそう好ましくは、本変性剤は、式3、
A−S−R’−S−A (式3)
によって定義される類から選択され、この式中、
R’は、線状であるもしくは分岐している(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキルまたは(C12〜C100)アリール、好ましくは、線状であるまたは分岐している(C15〜C50)アルキル、およびさらに好ましくは、線状である(C15〜C50)アルキルであり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−S−(S)−R1または−SiR2R3R4であり;
pは、数1、2または3であり;ならびに
R1、R2、R3およびR4は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。好ましくは、R1、R2、R3およびR4は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、好ましくは(C〜C)アルキル、ならびにさらに好ましくは(C〜C)アルキル(特に、Me、Et、PrおよびBuを含む)から選択される。式3には示されていないが、本化合物が、それらの対応するルイス塩基付加体を含む(例えば、ケイ素原子に配位している、溶剤分子テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル(dieethylether)、ジメトキシエタンを伴う)ことは理解されるであろう。
【0142】
「R」は、本明細書に記載されている場合、少なくとも二価であると解釈する。
【0143】
もう1つの実施形態において、本変性剤は、式3a、
A−S−R’−S−A (式3a)
によって定義される類から選択され、この式中、
R’は、線状であるもしくは分岐している(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキルまたは(C12〜C100)アリール、好ましくは、線状であるまたは分岐している(C15〜C50)アルキル、およびさらに好ましくは、線状である(C15〜C50)アルキルであり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素であり;
pは、数1、2または3であり;ならびに
R1、R2、R3およびR4は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。好ましくは、R1、R2、R3およびR4は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、好ましくは(C〜C)アルキル、ならびにさらに好ましくは(C〜C)アルキル(特に、Me、Et、PrおよびBuを含む)から選択される。式3aには示されていないが、本化合物が、それらのルイス塩基付加体を含む(例えば、ケイ素原子に配位している、溶剤分子テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル(dieethylether)、ジメトキシエタンを伴う)ことは理解されるであろう。
【0144】
もう1つの実施形態において、本変性剤は、式3b、
A−S−R’−S−A (式3b)
によって定義される類から選択され、この式中、
R’は、線状であるもしくは分岐している(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキルまたは(C12〜C100)アリール、好ましくは、線状であるまたは分岐している(C15〜C50)アルキル、およびさらに好ましくは、線状である(C15〜C50)アルキルであり;
Sは、硫黄であり;
Aは、−S−(S)−R1であり;
pは、数1、2または3であり;ならびに
R1、R2、R3およびR4は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。好ましくは、R1、R2、R3およびR4は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、好ましくは(C〜C)アルキル、ならびにさらに好ましくは(C〜C)アルキル(特に、Me、Et、PrおよびBuを含む)から選択される。式3bには示されていないが、本化合物が、それらのルイス塩基付加体を含む(例えば、ケイ素原子に配位している、溶剤分子テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル(dieethylether)、ジメトキシエタンを伴う)ことは理解されるであろう。
【0145】
もう1つの実施形態において、本変性剤は、式3c、
A−S−R’−S−A (式3c)
によって定義される類から選択され、この式中、
R’は、線状であるもしくは分岐している(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキルまたは(C12〜C100)アリール、好ましくは、線状であるまたは分岐している(C15〜C50)アルキル、およびさらに好ましくは、線状である(C15〜C50)アルキルであり;
Sは、硫黄であり;
Aは、−SiR2R3R4であり;
pは、数1、2または3であり;ならびに
R1、R2、R3およびR4は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。好ましくは、R1、R2、R3およびR4は、同じであり、または異なり、およびそれぞれ、独立して、(C〜C16)アルキル、好ましくは(C〜C)アルキル、ならびにさらに好ましくは(C〜C)アルキル(特に、Me、Et、PrおよびBuを含む)から選択される。式3cには示されていないが、本化合物が、それらのルイス塩基付加体を含む(例えば、ケイ素原子に配位している、溶剤分子テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル(dieethylether)、ジメトキシエタンを伴う)ことは理解されるであろう。
【0146】
本変性剤の特定の好ましい種類としては、以下のの式によって表される化合物(および示されていないそれらの対応するルイス塩基付加体)が挙げられる。
MeSi−S−(CH18−S−SiMe、EtSi−S−(CH18−S−SiEt、(iPr)Si−S−(CH18−S−Si(iPr)、tBu(Me)Si−S−(CH18−S−Si(Me)tBu、nBu(Me)Si−S−(CH18−S−Si(Me)nBu、Ph(Me)Si−S−(CH18−S−Si(Me)Ph、Bz(Me)Si−S−(CH18−S−Si(Me)Bz、(Ph)Si−S−(CH18−S−Si(Ph)、H−S−(CH18−S−SiMe、H−S−(CH18−S−SiEt、H−S−(CH18−S−Si(iPr)、H−S−(CH18−S−Si(Ph)、H−S−(CH18−S−Si(Me)tBu、H−S−(CH18−S−Si(Me)nBu、H−S−(CH18−S−Si(Me)Ph、H−S−(CH18−S−Si(Me)Bz、H−S−(CH18−S−H、H−S−S−(CH18−S−S−H、Me−S−S−(CH18−S−S−Me、Et−S−S−(CH18−S−S−Et、iPr−S−S−(CH18−S−S−iPr、nBu−S−S−(CH18−S−S−nBu、tBu−S−S−(CH18−S−S−tBu、MeSi−S−C10−C(Me)−C10−S−SiMe、EtSi−S−C10−C(Me)−C10−S−SiEt、(iPr)Si−S−C10−C(Me)−C10−S−Si(iPr)、tBu(Me)Si−S−C10−C(Me)−C10−S−Si(Me)tBu、nBu(Me)Si−S−C10−C(Me)−C10−S−Si(Me)nBu、Ph(Me)Si−S−C10−C(Me)−C10−S−Si(Me)Ph、Bz(Me)Si−S−C10−C(Me)−C10−S−Si(Me)Bz、(Ph)Si−S−C10−C(Me)−C10−S−Si(Ph)、H−S−C10−C(Me)−C10−S−SiMe、H−S−C10−C(Me)−C10−S−SiEt、H−S−C10−C(Me)−C10−S−Si(iPr)、H−S−C10−C(Me)−C10−S−Si(Ph)、H−S−C10−C(Me)−C10−S−Si(Me)tBu、H−S−C10−C(Me)−C10−S−Si(Me)nBu、H−S−C10−C(Me)−C10−S−Si(Me)Ph、H−S−C10−C(Me)−C10−S−Si(Me)Bz、H−S−C10−C(Me)−C10−S−H、H−S−S−C10−C(Me)−C10−S−S−H、Me−S−S−C10−C(Me)−C10−S−S−Me、Et−S−S−C10−C(Me)−C10−S−S−Et、iPr−S−S−C10−C(Me)−C10−S−S−iPr、nBu−S−S−C10−C(Me)−C10−S−S−nBu、tBu−S−S−C10−C(Me)−C10−S−S−tBu、MeSi−S−C−C(Me)−C−S−SiMe、EtSi−S−C−C(Me)−C−S−SiEt、(iPr)Si−S−C−C(Me)−C−S−Si(iPr)、tBu(Me)Si−S−C−C(Me)−C−S−Si(Me)tBu、nBu(Me)Si−S−C−C(Me)−C−S−Si(Me)nBu、Ph(Me)Si−S−C−C(Me)−C−S−Si(Me)Ph、Bz(Me)Si−S−C−C(Me)−C−S−Si(Me)Bz、(Ph)Si−S−C−C(Me)−C−S−Si(Ph)、H−S−C−C(Me)−C−S−SiMe、H−S−C−C(Me)−C−S−SiEt、H−S−C−C(Me)−C−S−Si(iPr)、H−S−C−C(Me)−C−S−Si(Ph)、H−S−C−C(Me)−C−S−Si(Me)tBu、H−S−C−C(Me)−C−S−Si(Me)nBu、H−S−C−C(Me)−C−S−Si(Me)Ph、H−S−C−C(Me)−C−S−Si(Me)Bz、H−S−C−C(Me)−C−S−H、H−S−S−C−C(Me)−C−S−S−H、Me−S−S−C−C(Me)−C−S−S−Me、Et−S−S−C−C(Me)−C−S−S−Et、iPr−S−S−C−C(Me)−C−S−S−iPr、nBu−S−S−C−C(Me)−C−S−S−nBu、およびtBu−S−S−C−C(Me)−C−S−S−tBu。上の式において、記号「Bz」はベンジル(−CH−Phまたは−CH−C)を指す。
【0147】
本発明の変性剤は、例えば、式4のジハライド化合物をチオウレアと反応させて式5の反応生成物を得、その後、それを加水分解して式6の加水分解産物を得ることによって、作製することができる。
【化4】

【0148】
上の式において、記号R’は、式2に関して定義したのと同じ意味を有し、ならびに
Sは、硫黄であり、
Hは、水素であり、
Xは、フッ素、塩素または臭素原子であり、および
Nは、窒素である。
【0149】
式6の化合物を、場合によっては、式7の化合物と反応させて、1つまたは2つの水素原子を−SiR2R3R4基で置換することができる。
【0150】
QSiR2R3R4 (式7)
(この式中、
記号R2、R3およびR4は、式2に関して定義したのと同じ意味を有し、ならびに
Qは、フッ素、塩素または臭素原子であり、および
Siは、ケイ素である)。
【0151】
前記変性剤は、重合中に断続的に添加してもよいし、または連続的に添加してもよいが、好ましくは、90パーセントより大きい重合転化率で添加する。好ましくは、大部分のポリマー鎖末端を、骨格変性剤の添加前に停止させる;すなわち、リビングポリマー鎖末端は存在せず、ポリマー鎖末端変性反応において骨格変性剤と反応できない。骨格変性剤の添加は、カップリング剤(使用する場合)の添加前であってもよいし、添加後であってもよいし、添加中であってもよく、または連鎖末端変性剤(使用する場合)の添加前であってもよいし、添加後であってもよいし、添加中であってもよく、または停止剤(使用する場合)の添加前であってもよいし、添加後であってもよいし、添加中であってもよい。好ましくは、骨格変性剤は、カップリング剤(使用する場合)、連鎖末端変性剤(使用する場合)および停止剤(使用する場合)の添加後に添加する。一部の実施形態において、リビングポリマー鎖末端の三分の一より多くを、先ず、カップリング剤(単数または複数)と反応させ、その後、連鎖末端変性剤を添加し、その後、骨格変性剤を添加する。骨格変性剤を希釈せずにポリマー溶液に直接添加してもよいが、不活性溶剤(例えば、シクロヘキサン)などの溶液中の骨格変性剤の添加を施すことは有益であり得る。
【0152】
重合に添加する骨格変性剤の量は、モノマーの種類、骨格変性剤の種類、反応条件、および所望の末端特性に依存して変わるが、一般には、「乾燥」ポリマーの重量に基づき、0.005から10重量百分率、好ましくは0.04から5重量百分率、および最も好ましくは0.1から3重量百分率である。「乾燥」は、無溶剤、無油、無フィラーおよび無水のポリマーの特性を表す。骨格変性剤添加は、0℃から150℃、好ましくは15℃から100℃、およびさらにいっそう好ましくは25℃から80℃までの温度範囲で行うことができる。数秒から1時間、好ましくは1から15分にわたる期間、0℃から150℃、好ましくは15℃から100℃、およびさらにいっそう好ましくは25℃から80℃の温度範囲で、ポリマーを骨格変性剤と接触させることができる。
【0153】
骨格官能基化反応の継続期間およびモーメントについての制限はない。ポリマー骨格官能基化は、ポリマー溶液への骨格変性剤の添加後、ポリマー後処理プロセス中、ポリマー配合またはポリマー加硫プロセスの過程で、部分的にまたは完全に行うことができる。しかし、ポリマー後処理前にポリマー溶液に骨格変性剤化合物を分配することは必須である。骨格変性剤化合物は、比較的高い分子量を有し、従って、ポリマー後処理プロセス(例えば、ポリマー水蒸気ストリッピングプロセスなど(しかし、これに限定されない))の過程でポリマー溶液からまたは無溶剤ポリマーからそれを除去することはほとんどできない。
【0154】
骨格変性反応は、その弾性ポリマー鎖のオレフィン結合への式1の変性化合物の少なくとも1つの硫黄原子の付加により、少なくとも一部は、式8の骨格変性未架橋弾性ポリマーをもたらす結果となると考えられる。この変性反応は、参考文献(10)および(11)が提案しているものなどのチオニルラジカルの中間形成を伴うと思われる((10)Singer, H. et al., Plaste und Kautschuk, 26/2 (1979), 72-76;(11)Lebedev et al., Acta Polymerica, 30/8 (1979) 496-502)。
【0155】
(D)−(S−Y−Zm)o (式8)
(この式中、
Dは、未架橋弾性ポリマー鎖であり、
oは、骨格官能基の数を表し、1から2000まで様々であり、および
他の全ての記号は、式1に関して前に定義したとおりである)。
式8には示されていないが、本化合物(単数または複数)が、それらの対応するルイス塩基付加体を含むことは理解されるであろう。
【0156】
第二の反応段階において、または同時に、式8のZ基は、弾性ポリマー鎖の別のオレフィン結合と反応し、ならびに/あるいは存在するフィラー(例えば、シリカおよび/もしくはカーボンブラック)または弾性ポリマー組成物を構成する弾性ポリマー化合物中に存在する他の成分と反応する。この反応は、結合の形成を生じさせる、または一部のフィラーの場合、静電相互作用を生じさせ、その結果、弾性ポリマー組成物内にフィラー粒子をより均一に分布させると考えられる。
【0157】
一部の好ましい実施形態では、骨格変性剤の添加前に、ポリマー鎖末端を、反応により、上述のカップリング剤(単数または複数)と部分的にまたは完全にカップリングさせることができる。他の好ましい実施形態では、骨格変性剤の添加前に、ポリマー鎖末端を、反応により、一部は上述のカップリング剤(単数または複数)とカップリングさせ、一部はエンドキャップ剤に連結させることができる。他の好ましい実施形態においても、骨格変性剤の添加前に、ポリマー鎖末端を排他的に上述のエンドキャップ剤とカップリングさせることができる。
【0158】
式2のトリアルキルシリル(−SiR)基は、意図されたものでない後続の反応を防止する保護基として機能すると考えられる。この「保護」トリアルキルシリル(−SiR)基は、−OH基を含有する化合物、例えば水、無機酸または有機酸(例えば、塩酸、硫酸もしくはカルボン酸)に暴露することによって除去することができ、従って、「未保護」チオール(−SH)基にすることができる。このような条件は、典型的に、ポリマー配合またはポリマー加硫中に存在する。ポリマー「後処理」条件によっては、未保護の変性未架橋弾性ポリマーと保護された変性未架橋弾性ポリマーの両方が存在することがある。例えば、式3の変性ポリマーを含有するポリマー溶液の水蒸気ストリッピングによって、ある百分率の保護トリアルキルシリル基が除去され、その結果、露出したチオール(−SH)基を有する未保護形となるであろう。あるいは、「無水」後処理プロセスによって、式3の非常によく分配された変性化合物を含有する未変性ポリマーを作製することができる。
【0159】
式2のアルキルチオ(−S−(S)−R)基は、意図されたものでない後続の反応を防止する保護基として機能すると考えられる。「保護」アルキルジチオ(p=1)、アルキルトリチオ(p=2)またはアルキルテトラチオ(p=3)基(−S−(S)−R)の硫黄−硫黄結合が、熱不安定性であることは公知であり、従って、高温(例えば、ポリマー後処理、ポリマー配合中に、またはポリマー−フィラー化合物の加硫中に存在する高温)への暴露によって切断され得る。硫黄原子の数pに依存して、望ましい切断温度を選択することができる。
【0160】
保護基の使用は、溶液中のまたはポリマー後処理手順の過程での本発明の骨格変性剤と未架橋弾性ポリマー源の反応を望まないとき、有用であり得る。これは、ポリマー溶液の粘度増加、および無溶剤ポリマーの粘度増加をもたらすポリマー鎖架橋、または場合によっては、ゲル形成を回避する必要がある場合である。より低いポリマー粘度は、ポリマー後処理手順を単純にし、および未架橋弾性ポリマー−フィラー化合物の作製の場合にはポリマー加工を単純にする。従って、経済的なプロセス(速いポリマー後処理およびポリマー配合プロセスを意味する)に関して、例えば80より高い、好ましくは70より高いポリマームーニー粘度などの高いポリマー粘度を有するゴム材料は、望ましくない。従って、例えば、溶液中のポリマーの粘度が、骨格変性剤の添加前に、上述のムーニー値に既に近い場合には、保護基の使用を推奨する。
【0161】
架橋弾性ポリマーに、好ましくは、スルフィド基含有骨格変性剤(例えば、C18−ジチオール)を、0.0050から0.70mmol/(未架橋弾性ポリマーのグラム)、好ましくは0.0080から0.5mmol/グラム、およびさらに好ましくは0.010から0.35mmol/(ポリマーのグラム)の量で添加する。大部分の用途のために、共役ジオレフィンから誘導されたホモポリマー、共役ジオレフィンモノマーと芳香族ビニルモノマーから誘導されたコポリマー、および/または1つもしくは2つのタイプの共役ジオレフィンと1つもしくは2つのタイプの芳香族ビニル化合物のターポリマーを含むポリマーに、好ましくは、骨格変性剤を添加する。さらに好ましくは、共役ジオレフィンモノマーと芳香族ビニルモノマーのコポリマー、例えばブタジエンとスチレンのコポリマー、に代表されるポリマーに、骨格変性剤を添加する。
【0162】
前記弾性ポリマーの共役ジオレフィン部分の1,2−結合および/または3,4−結合(本明細書では、以後、「ビニル結合」と呼ぶ)の含有量に関して特別な制限はないが、ほとんどの用途において、ビニル結合含有量は、(弾性ポリマーの総重量に基づき)、好ましくは10から90重量百分率、および特に好ましくは15から80重量百分率である。弾性ポリマー中のビニル結合含有量が、10重量百分率未満であると、結果として生ずる生成物は、劣ったウェットスキッド抵抗を有し得る。弾性ポリマー中のビニル含有量が90重量百分率 ビニル結合を超えると、その生成物は、引張強度および耐摩耗性の減損、ならびに比較的大きいヒステリシス損失を示し得る。
【0163】
本変性弾性ポリマーにおいて使用する芳香族ビニルモノマーの量に関して特別な制限はないが、ほとんどの用途において、芳香族ビニルモノマーは、(弾性ポリマーの総重量に基づき)、総ビニルモノマー含有量の5から60重量百分率、およびより好ましくは10から50重量百分率を構成する。5重量百分率未満の値は、ウェットスキッド性、耐摩耗性および引張強度低減をもたらすことがあり、これに対して、60重量百分率より大きい値は、ヒステリシス損失増大をもたらす。前記変性弾性ポリマーは、ブロックコポリマーである場合もあり、またはランダムコポリマーである場合もあるが、好ましくは、芳香族ビニル化合物ユニットの40重量百分率またはそれ以上が単独で連結され、10重量百分率またはそれ以下が、8またはそれ以上の芳香族ビニル化合物が連続的に連結されている「ブロック」のものである。この範囲に入らないコポリマーは、多くの場合、ヒステリシス増大を示す。連続的に連結されている芳香族ビニルユニットの長さは、田中(Tanaka)ら(Polymer, Vol. 22, Pages 1721-1723 (1981))によって開発されたオゾン分解−ゲル透過クロマトグラフィー法により測定することができる。
【0164】
具体的なポリマーおよび所望される最終用途によるが、好ましくは、本発明の変性ポリマーは、Monsanto MV2000計測器を使用して20から150、および好ましくは30から100の範囲のムーニー粘度(ML 1+4、100℃、ASTM D 1646(2004)に従って測定したとき)を有する。ムーニー粘度(ML 1+4、100℃)が20未満であると、耐摩耗性およびヒステリシス損失特性は損なわれる。さらに、未架橋弾性ポリマーの粘着性およびコールドフローが増加され、その結果、取り扱いが難しくなり、未処理強度が不良となり、および保管中の寸法安定性が不良となる。ポリマーのムーニー粘度(ML 1+4、100℃)が150より大きいと、加工性(密閉式ミキサーへのフィラーの添合および該ミキサー内での発熱、ロール機での縞模様、押出速度、押出物のダイスウェル、平滑性など)が害され、加工コストが増加する。
【0165】
重量平均分子量の数平均分子量に対する比(Mw/Mn)によって表される、本変性ポリマーの好ましい分子量分布は、好ましくは、1.3から3.0の範囲である。前記ポリマーの加工性は、そのMw/Mnが1.3未満であると、損なわれる。加工性不良は、生産コストを増加させるばかりでなく、成分のブレンド特性も損なわせ(例えば、フィラーおよび他の添加剤の不十分な分散)、その結果、劣った物理的特性を生じさせる。Mw/Mnが3.0より大きいと、低分子量成分の含有量が増加し、ヒステリシス損失が増加する。
【0166】
エキステンダー油を本未架橋弾性ポリマーと併用して、粘度またはムーニー値を減少させることができる。適切なエキステンダー油としては、鉱物油が挙げられ、これらは、芳香族タイプの油と脂環式タイプの油と脂肪族タイプの油の混合物であり、および芳香族タイプエキステンダー油、脂環式タイプエキステンダー油または脂肪族タイプエキステンダー油として分類される。これらの中で、0.900〜1.049の粘度比重定数(V.G.C.値)を有する芳香族タイプの鉱物油(芳香族油)、および0.850〜0.899のV.G.C.値を有する脂環式タイプの鉱物油(ナフテン油)は、卓越したウェットスキッド抵抗をもたらす最適な低温ヒステリシス損失特性を保障するために特に好ましい。本発明の変性ポリマーのエキステンダー油でのそのような伸展は、ポリマーへのフィラー、例えばカーボンブラックおよびシリカ、の均一な分散を確実にし、ならびに加硫生成物の加工性および様々な特性を向上させる。本発明において使用されるエキステンダー油の量は、100重量部の変性未架橋弾性ポリマーに対して、0から100重量部、好ましくは0から80重量部、およびさらに好ましくは0から70重量部である。エキステンダー油をポリマー溶液に添加する場合、添加のタイミングは、ポリマー変性または重合停止後、例えば、変性剤または重合停止剤の添加後であるべきである。エキステンダー油の添加後、直接乾燥法または水蒸気ストリッピングによって溶剤からポリマーを分離し、真空乾燥機、熱風乾燥機またはローラーなどを使用してそのゴムを乾燥させることによって、油展ポリマーを得る。例として、米国特許公開2005/0159513は、ケイ素またはスズカップリング剤とカップリングした溶液重合未架橋弾性ポリマーと低多環式芳香族油とを含む油展ゴム組成物を開示している。
【0167】
本発明の重要な実施形態では、本変性弾性ポリマーを、フィラー(単数または複数)および加硫剤、ならびに場合によっては追加の成分と併せ、反応させる。前記追加の成分としては、促進剤、カップリング剤、および未変性未架橋弾性ポリマー(すなわち、本変性剤と反応していないが、当分野での慣例どおりに作製し、停止させた、従来の未架橋弾性ポリマー)が挙げられるが、これらに限定されない。用語「未架橋弾性ポリマー組成物」は、この併用の結果として生ずる反応生成物を記述するものと解釈する。一般に、その結果として生ずる未架橋弾性ポリマー組成物を、所望の構造または形状に成形し、加硫して、架橋弾性ポリマー組成物を含む架橋エラストマー物品、例えばタイヤ、を形成する。
【0168】
本変性弾性ポリマー(油展実施形態を含む)は、好ましくは、存在する全弾性ポリマーの少なくとも30重量百分率、およびさらに好ましくは少なくとも50重量百分率を構成する。その弾性ポリマーの残りの部分は、未変性弾性ポリマーである。好ましい未変性弾性ポリマーとしては、cis−1,4−イソプレンポリマー、天然ゴム、3,4−イソプレンポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマーポリマー、スチレン/イソプレン/ブタジエンターポリマー、cis−1,4−ブタジエンポリマー、trans−1,4−ブタジエンポリマー、低から高ビニルブタジエンポリマー(10〜90%のビニル含有量を有する)、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、およびクロロプレンポリマーが挙げられる。これらのうち、スチレン−ブタジエンコポリマー、天然ゴム、ポリイソプレンおよびポリブタジエンが好ましい。未変性ポリマーは、20から200、および好ましくは25から150の範囲のムーニー粘度(上に記載したとおり、ML 1+4、100℃(ASTM D 1646(2004))を有することが望ましい。上の範囲内の未変性ポリマーの添加により、その特性を実質的に損なうことなく、本発明のエラストマー組成物の低コストでの製造が保障される。
【0169】
本エラストマー組成物は、好ましくは、強化剤として役立つフィラーを含む。カーボンブラック、シリカ、カーボン−シリカ・デュアル・フェーズ・フィラー、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムが例である。勿論、カーボンブラックとシリカの併用、カーボン−シリカ・デュアル・フェーズ・フィラーの単独使用、またはカーボン−シリカ・デュアル・フェーズ・フィラーとカーボンブラックおよび/もしくはシリカとの併用は、好ましい。カーボンブラックは、ファーネス法によって製造され、ならびに50〜200m/gの窒素吸着比表面積、および80〜200mL/100グラムのDBP油吸着を有する。例えば、FEF、HAF、ISAFまたはSAFクラスのカーボンブラックが好ましい。高凝集型カーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックは、一般に、全弾性ポリマーの100重量部に対して、2から100重量部、好ましくは5から100重量部、さらに好ましくは10から100重量部、およびさらにいっそう好ましくは10から95重量部の量で添加される。
【0170】
シリカフィラーの例としては、次のものが挙げられる。湿式シリカ、乾式シリカ、および合成シリケート型シリカ。小さな粒径を有するシリカは、高い強化効果を示す。(大きな表面積および高い吸油力を有する)小径、高凝集型シリカは、弾性ポリマー組成物への卓越した分散性(これは、望ましい特性の代表である)および優れた加工性を示す。一次粒径でのシリカの平均粒径は、好ましくは、5から60μm、およびさらに好ましくは10から35μmである。さらに、シリカ粒子の比表面積(BET法により測定)は、好ましくは、45から280m/gである。シリカは、全弾性ポリマーの100重量部に対して、10から100重量部、好ましくは30から100重量部、およびさらにいっそう好ましくは30から95重量部の量で添加される。
【0171】
カーボンブラックとシリカを一緒に添加してもよく、この場合、添加するカーボンブラックとシリカの合計量は、全弾性ポリマーの100重量部に対して30から100重量部、および好ましくは30から95重量部である。そのようなフィラーがエラストマー組成物に均一に分散されるのであれば、(上に挙げた範囲内で)量を増やすことにより、卓越したロールおよび押出加工性を有する組成物、ならびに好適なヒステリシス損失特性、転がり抵抗性、改善されたウェットスキッド抵抗性、耐摩耗性および引張強度を示す加硫生成物が得られる。
【0172】
カーボン−シリカ・デュアル・フェーズ・フィラーは、本発明において、個別的に使用してもよいし、またはカーボンブラックおよび/もしくはシリカと併用してもよい。カーボン−シリカ・デュアル・フェーズ・フィラーは、これを単独で添加した場合でさえ、カーボンブラックとシリカの併用によって得られるものと同じ効果を示すことができる。カーボン−シリカ・デュアル・フェーズ・フィラーは、カーボンブラックの表面にシリカを被覆することによって製造された、いわゆるシリカ被覆カーボンブラックであり、商標CRX2000、CRX2002またはCRX2006(Cabot Co.の製品)で市販されている。カーボン−シリカ・デュアル・フェーズ・フィラーは、シリカに関して前に説明したのと同じ量で添加する。カーボン−シリカ・デュアル・フェーズ・フィラーは、他のフィラー、例えばカーボンブラック、シリカ、クレー、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウム、と併用することができる。これらのフィラーのうち、カーボンブラックおよびシリカの個別的使用または併用が好ましい。
【0173】
シリカまたはカーボン−シリカ・デュアル・フェーズ・フィラーを使用するとき、シランカップリング剤をそのポリマー組成物に添加するほうが好ましい。添加するシランカップリング剤の典型的な量は、シリカおよび/またはカーボン−シリカ・デュアル・フェーズ・フィラーの総量の100重量部に対して、1から20重量部、および好ましくは5から15重量部である。分子内にシリカ表面と反応する官能基(例えば、アルコキシシリル基など(しかし、これに限定されない))とポリマーの炭素−炭素二重結合と反応する官能基(例えば、ポリスルフィド基、メルカプト基またはエポキシ基)の両方を有するシランカップリング剤が好ましく、それらとしては、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス−(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス−(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリル−プロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(NXTシラン、著作権 Crompton Corporation)が挙げられる。このようなシランカップリング剤の使用は、カーボンブラックとシリカの併用またはカーボン−シリカ・デュアル・フェーズ・フィラーの使用によってもたらされる強化効果を増す。
【0174】
硫黄含有化合物および過酸化物は、最も一般的な加硫剤である。スルフェンアミド型、グアニジン型またはチウラム型の加硫促進剤を、必要に応じて、加硫剤と共に使用することができる。他の添加剤、例えば、亜鉛白、加硫助剤、老化防止剤、加工助剤、を場合によっては添加してもよい。加硫剤は、一般に、全弾性ポリマーの100重量部に対して、0.5から10重量部、および好ましくは1から6重量部の量で、ポリマー組成物に添加される。加硫剤に関する追加情報は、Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical technology 3rd, Ed, Wiley Interscience, N.Y. 1982, volume 20, pp. 365-468、特に、「Vulcanizing Agents and Auxiliary Materials」 pp.390-402 において見つけることができる。
【0175】
本発明の弾性ポリマー組成物は、上で説明した変性弾性ポリマー(油展された種類を含む)、未変性弾性ポリマー(油展された種類を含む)、フィラー(カーボンブラック、シリカ、カーボン−シリカ・デュアル・フェーズ・フィラーなど)、シランカップリング剤および他の添加剤を混練機において140から180℃で混練することによって作製することができる。冷却後、加硫剤、例えば硫黄、加硫促進剤を添加し、得られた混合物を、バンバリーミキサーまたは開放形ロール機を使用してブレンドし、所望の形状に成形し、140から180℃で加硫し、それによって加硫エラストマー生成物を得る。
【0176】
本発明の加硫弾性ポリマー組成物は、低い転がり抵抗、低い動的発熱および優れたウェットスキッド性能を示すので、本発明の弾性ポリマー組成物は、タイヤ、タイヤトレッド、サイドウォールおよびカーカス、ならびに他の工業製品、例えばベルト、ホース、制振材および履物を作製する際の使用によく適する。
【0177】
本発明を実施例によってより詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を限定するためのものではない。
【実施例】
【0178】
以下の実施例は、本発明をさらに例証するために提供するものであり、限定と解釈すべきではない。これらの実施例は、本変性剤と共に比較変性剤の調製、変性弾性ポリマーの調製および試験、ならびに未架橋弾性ポリマー組成物および架橋弾性ポリマー組成物の調製および試験を含む。相反する言明がない限り、すべての部および百分率は、重量ベースで表す。用語「一晩」は、約16〜18時間の時間を指し、「室温」は、約20〜25℃の温度を指す。重合は、窒素雰囲気で、湿分および酸素を排除して行った。様々な方法を用いて実施例を試験し、測定した。これらの技術の簡単な説明を提供する。
【0179】
ブタジエンまたはイソプレンポリマーの1,4−cis−、1,4−trans−および1,2−ポリジエン含有量の間の比率は、IR、H−NMR−および13C−NMR−分光法(NMR(Bruker Analytic GmbHのAvance 400装置(H=400MHz;13C=100MHz))によって決定した。加えて、共役ジオレフィン部分のビニル含有量をIR吸収スペクトル(Morello法、Bruker Analytic GmbHのIFS 66 FT−IRスペクトロメーター)によって決定した。IRサンプルは、膨潤剤としてCSを使用して調製した。
【0180】
結合スチレン含有量:較正曲線をIR吸収スペクトルによって作成した(IR(Bruker Analytic GmbHのIFS 66 FT−IRスペクトロメーター)。IRサンプルは、膨潤剤としてCSを使用して調製した)。あるいは、前記スチレン含有量をNMR技術によって決定した(Bruker Analytic GmbHのAvance 400装置(H=400MHz;13C=100MHz))。
【0181】
分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル透過クロマトグラフ(THF中、室温でのSECと粘度検出(ユニバーサル・キャリブレーション))によって測定した、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)から決定した。Mp1およびMp2は、カップリングしていない分子量画分の、それぞれ、GPC曲線の第一および第二最大ピークで測定した分子量に対応する。
【0182】
ガラス転移(T)温度は、DSC定量によって決定した。DSC(示差走査熱分析)は、TA InstrumentsのDSC 2920を使用して測定した。
【0183】
ムーニー粘度は、100℃の温度で1分の予熱時間および4分のローター動作時間[ML 1+4(100℃)]で、ASTM D 1646(2004)に従って測定した。
【0184】
引張強度、破断点伸び、および300%伸張時のモジュラス(モジュラス300)は、Zwick Z010を用い、ASTM D 412−98A(再認可2002)に従って測定した。
【0185】
発熱は、Doli「Goodrich」−Flexometerを用いて、ASTM D623、方法Aに従って測定した。
【0186】
Tan δ(60℃)は、Gabo Qualimeter Testanlagen GmbH(ドイツ)製の動的スペクトロメーター Eplexor 150Nを使用し、60℃で2Hzの周波数で0.2%の圧縮動的ひずみをかけて測定した。この指数が小さいほど、転がり抵抗が低い(より低い=より良好)。Tan δ(0℃)は、0℃で同じ計測器および負荷条件を用いて測定した。この指数が大きいほど、ウェットスキッド抵抗は良好である(より高い=より良好)。試験片は、380ccのバンバリーミキサーにおいて下の表4および7に記載する成分を併せ、配合し、160℃で20分間加硫することによって調製した加硫ゴムコンパウンドであった。加硫プロセスのデータを表5および8に提供する。詳細には、未加硫ポリマー化合物を60mmの内径および8mmの高さのディスクにプレスする。上の金属ディスクに前記ゴム化合物をプレスすること(約200barの圧力)により、空気が除去され、従って気泡の混入が避けられ、目に見える気泡のない均質なコンパウンド材料が形成されることとなる。加硫プロセス(160℃、TC95(95%の加硫転化率)を達成するために20分間、周囲大気)の完了後、60mmの直径および8mmの高さの均質なディスクが結果として得られる。前述の皿(dish)から試験片を打ち抜く。試験片は、10mmの直径および8mmの高さを有する。
【0187】
DIN摩耗は、DIN 53516(1987−06−01)に従って測定した。この指数が大きいほど、耐摩耗性は低い(より低い=より良好)。
【0188】
無ローター剪断レオメーター(MDR 2000 E)を使用してスコーチ時間(TS)および硬化までの時間(TC)を測定する、ASTM D 5289−95(再認可 2001)による未加硫レオロジー特性の測定。
【0189】
「TC 50」および「TC 90」は、加硫反応の50%および90%転化率を達成するために必要なそれぞれの時間である。「TS 1」および「TS 2」は、加硫中にそれぞれの最低トルク(ML)より上にトルクを1dNmまたは2dNm増加させるために必要な時間である。
【0190】
一般に、破断点伸び、引張強度、モジュラス300および0℃でのTan δについて値が高いほど良好であり、これに対して60℃でのTan δ、発熱、および磨耗は低いほど良好である。好ましくは、TS 1は>1.5分であり、TS 2は、>2.5分であり、TC 50は、3から8分であり、およびTC 90は、8から19分である。
【0191】
骨格変性剤の調製:4つの骨格変性剤を本実施例において使用した。構造式および調製方法(または得るための源)を下に提供する。変性剤2から5は、本発明の変性剤の代表であり、変性剤1は、連鎖末端変性剤を表す。変性剤1は、Aldrich GmbHから購入したn−メチルピロリドン(NMP)である。
【0192】
骨格変性剤の調製および構造:
骨格変性剤2は、下の式M1によって表されるものであり、以下のとおり調製した。
【化5】

【0193】
600mL中の154.6g(0.375mol)のα,ω−ジブロモオクタデカンおよび60g(0.78mol)チオウレアの溶液を2時間還流させた。その混合物に、250mLの水中の160gの水酸化ナトリウムの溶液を添加した。得られた混合物をさらに3時間還流させた。その反応混合物の酸性化、ならびに真空での溶剤および副生成物の蒸留除去によって、変性剤2を単離した。89.1(0.28mmol)の変性剤2を得た。
【0194】
骨格変性剤3は、下の式M2によって表されるものであり、以下のとおり調製した。
【化6】

【0195】
250mLのSchlenkフラスコに、100gのテトラヒドロフラン(THF)、0.87g(110mmol)の水素化リチウムおよび17.5g(55.0mmol)の変性剤2を充填した。その混合物を24時間、室温で攪拌し、その後、さらに2時間、50℃で攪拌した。t−ブチル−ジメチル−クロロシラン(16.6g、110mmol)を50gのTHFに溶解し、その後、その得られた溶液を前記Schlenkフラスコに1滴ずつ添加した。その混合物を24時間、室温で攪拌し、その後、さらに2時間、50℃で攪拌した。その反応混合物を濾過した。その後、すべての揮発性生成物を真空下で除去した。変性剤3(29.0g、53mmol)を回収した。
【0196】
骨格変性剤4は、下の式M3によって表されるものであり、参考文献:L. Rapoport, A. Smith, M. S. Newman, Journal of the American Chemical Society (1974) 69 (3) 693-694の694頁に記載されているとおり調製した。
【化7】

【0197】
骨格変性剤5は、式M4によって表されるものであり、50.3g(0.15mol)のω−ブロモヘキサデシル酸および12g(0.156mol)のチオウレアを使用して、参考文献:L. Rapoport, A. Smith, M. S. Newman, Journal of the American Chemical Society (1974) 69 (3) 693-694の694頁に記載されているとおりに、変性剤4と同様に調製した。
【化8】

【0198】
1,3−ブタジエンとスチレンの共重合(実施例1〜16)
有機溶剤、モノマー、極性コーディネーター化合物、開始剤化合物または他の成分の添加前に、先ず、窒素でパージした二重壁20リットルスチール反応器において、共重合を行った。この重合反応器は、別様に述べていない限り、40℃に調節した。その後、次の成分を次の順序で添加した。シクロヘキサン溶剤(表1に示すような、重合前または中の任意の時点での反応器内の重合成分(溶剤を含む)の総重量に基づき、84重量パーセントの溶剤);ブタジエンモノマー、スチレンモノマー、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)。その混合物を1時間攪拌し、その後、n−ブチルリチウムで滴定して、微量の湿分または他の不純物を除去した。追加のn−ブチルリチウムを添加して、重合反応を開始させた。重合温度が60℃を超えないようにして、重合を80分間行った。その後、別様に述べていない限り、全ブタジエンモノマー量の0.5重量%を添加し、続いて四塩化スズを添加した。その混合物を20分間攪拌した。その後、別様に述べていない限り、全ブタジエンモノマー量の1.8重量%を添加し、続いて連鎖末端変性剤(1)を添加した。その混合物を45分間攪拌した。その重合プロセスを停止させるために、その後、そのポリマー溶液を、1.5gのメタノールおよびポリマーの安定剤として5gのIrganox 1520が入っている別の二重壁スチール反応器に移した。この混合物を15分間攪拌した。その後、別様に述べていない限り、骨格変性剤(2、3、4または5)を添加した。この混合物をさらに5分間攪拌した。得られたポリマー溶液を水蒸気で1時間ストリップして溶剤および他の揮発成分を除去し、70℃のオーブンで30分間乾燥させ、さらに1から3日、室温で乾燥させた。
【0199】
得られたポリマーの組成および幾つかの特性を下の表1〜3に要約する。別様に述べていない限り、量はmmolで示す。同一重合条件下で(同じ重合反応器で、同じ日に、同じオペレーターが)調製した実施例は、その実施例番号に隣接する同一の文字で指定す(例えば、3A、4A)。
【0200】
下の表でのダッシュ「−」の使用は、成分を添加しなかったことを示す。略語「N.M.」は、測定を行わなかったこと、または対応するデータを入手できなかったことを意味すると解釈する。
【表1】

【0201】
【表2】

【0202】
【表3】

【0203】
380ccのバンバリーミキサーにおいて、下の表4に記載する成分を併せ、配合することによってポリマー組成物を調製し、160℃で20分間加硫した。それぞれのエラストマー組成物実施例についての加硫プロセスデータおよび物理的特性を表5および6に提供する。
【0204】
【表4】

【0205】
【表5】

【0206】
【表6】

【0207】
380ccのバンバリーミキサーにおいて、下の表7に記載する成分を併せ、配合することによって追加のポリマー組成物を調製し、160℃で20分間加硫した。それぞれのエラストマー組成物実施例についての加硫プロセスデータおよび物理的特性を表8および9に提供する。
【0208】
【表7】

【0209】
【表8】

【0210】
【表9】

【0211】
本変性未架橋弾性ポリマーの1つの重量な用途は、0℃でのTan δによって表されるような改善されたウェットスキッド特性を伴うまたは少なくともウェットスキッド特性の有意な低下を伴わない、60℃でのTan δについて比較的低い値を有する組成物によって代表されるような、低い転がり抵抗を有する架橋弾性ポリマー組成物および特にそれらから製造されるタイヤトレッドを作製する際のそれらの使用である。表9に示したように、本発明に従って(すなわち、変性剤2でまたは変性剤3で)変性した未架橋弾性ポリマーから調製した架橋弾性ポリマー組成物は、そのような変性なしで調製したそれらの対応実施例(同じ文字によって指定されているもの、例えば、3Bおよび4B)と比較したとき、より低い60℃でのTan δ値、および比較的安定した0℃でのTan δ値を有した。加えて、変性実施例の引張強度、モジュラス300、引裂抵抗が、一般に、改善され、または少なくとも有意に低下しなかった。変性剤3の場合、加硫物の改善されたウェットグリップ特性を表す0℃でのTan δの有意な増加が観察された(表9の実施例D9、D10およびD11を参照のこと)。
【0212】
本発明の実施例は、骨格変性反応を促進する追加の添加剤、例えばラジカル形成性開始剤化合物などの必要がないことを明示する。有益なことに、変性プロセスは比較的単純なままであり、ポリマー溶液への骨格変性剤化合物の均一な分配のみを必要とする。従って、連鎖末端変性と比較して、変性剤化合物とポリマー骨格の化学反応のための余分なプロセス時間を考慮に入れる必要がない。骨格変性反応は、変性剤添加後のプロセス段階(例えば、ポリマー後処理、配合、および/または加硫)において発生し、余分なプロセス所要時間を必要とせず、典型的プロセス段階を本質的に変化させることもない。有益なことに、例えば典型的ポリマー鎖末端変性(しかし、これに限定されない)などの任意の他のポリマー変性反応に加えて、骨格変性反応を行うことができる。例えば、非変性ポリマー含有加硫物1Aを、連鎖末端変性を伴わない骨格変性剤含有ポリマーを代表する加硫物2Aと比較することができる。あるいは、例えば連鎖末端変性ポリマー含有加硫物9Dを、骨格変性剤含有連鎖末端変性ポリマーを代表する加硫物11Dと比較することができる。2つの変性経路の併用、例えば連鎖末端変性と骨格変性の併用によって、加硫物の特性、例えば転がり抵抗、引張強度、モジュラス300および引裂抵抗が強化されることとなることが利点である。
【0213】
配合段階中にポリマー−フィラー組成物に本変性剤を単に添加するのではなく、本未架橋弾性ポリマーを重合し、停止させた後に本未架橋弾性ポリマーを本変性剤で変性させることが重要である。より具体的には、表9におけるデータが示すように、変性剤2それ自体(実施例9D)のポリマー−フィラー組成物への添加は、結果として生ずる加硫物の60℃でのTan δ値に極わずかな影響しか及ぼさなかったが、0℃でのTan δ値は、ウェットグリップコンパウンド加硫物特性低下に対応して減少した。
【0214】
表9に示したように、動的変形中の発熱は、本変性未架橋弾性ポリマーの使用により減少される。この減少は、全弾性の増加に起因して結果として生ずる組成物の耐久性を改善すると考えられる。同様に、引張強度およびモジュラス300が改善され、これは、安定したポリマー網の形成およびポリマー−フィラーの接触が、機械的応力下でのより高い抵抗力をもたらすことを示唆している。
【0215】
表5および8における実施例5Bおよび6Bは、スコーチ時間(TS)および硬化までの時間(TC)が、依然として、未変性ポリマーによって定義される範囲内であり、ならびに低骨格修飾剤濃度を選択すると良好な加工性を有することを示す。
【0216】
表3における実施例10Dおよび11Dは、本発明の変性剤が、ゲル形成をもたらさず、ならびに上で論じた加硫物の特性の改善を依然として生じさせることを示す。
【0217】
上述の特定の実施形態によってある程度詳細に本発明を説明したが、この詳細は、主として例証のためのものである。以下の特許請求の範囲に記載するような本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者は、多くの変形および変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)下記式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
とを含む第一組成物から形成されるポリマーを含む組成物。
[式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、ここでそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていてもよく;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数字の1、2または3であり;
pは、数字の1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。]
【請求項2】
Yが、(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキル、または(C12〜C100)アリールであり;
Aが、水素、−(S)−R1またはSiR2R3R4であり;
Zが、−SH、−S−SiR2R3R4、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、または−COOR14であり;
mが、数字の1であり;
R1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12およびR14が、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記未架橋弾性ポリマーが、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、およびケイ素アルコキシドから成る群より選択される少なくとも1つのカップリング剤に由来する化学的部位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ポリスチレンをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ポリスチレンをさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
ポリスチレンをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
スチレン/アクリロニトリルコポリマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
スチレン/アクリロニトリルコポリマーをさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
スチレン/アクリロニトリルコポリマーをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項10】
ポリエステルをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ポリエステルをさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
ポリエステルをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項13】
ポリウレタンをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
ポリウレタンをさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項15】
ポリウレタンをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項16】
コポリマーの重量に基づき5から60重量パーセントのアクリロニトリルユニットを含有するブタジエン/アクリロニトリルコポリマーをさらに含み、ここで該ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーが、部分的に水素化されているかまたは完全に水素化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
コポリマーの重量に基づき5から60重量パーセントのアクリロニトリルユニットを含有するブタジエン/アクリロニトリルコポリマーをさらに含み、ここで該ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーが、部分的に水素化されているかまたは完全に水素化されている、請求項2に記載の組成物。
【請求項18】
コポリマーの重量に基づき5から60重量パーセントのアクリロニトリルユニットを含有するブタジエン/アクリロニトリルコポリマーをさらに含み、ここで該ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーが、部分的に水素化されているかまたは完全に水素化されている、請求項3に記載の組成物。
【請求項19】
EPDMをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
EPDMをさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項21】
EPDMをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項22】
前記弾性ポリマーが、イソプレンホモポリマー、イソプレンコポリマー、イソプレンターポリマー、ブタジエンホモポリマー、ブタジエンコポリマー、ブタジエンターポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマーまたはブタジエン−スチレンターポリマーのうちの少なくとも1つから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
1)フィラーと、
2)加硫剤と、
3)第一組成物から形成される変性ポリマー
とを含む第二組成物から形成される弾性ポリマーを含み、該第一組成物が、
i)未架橋弾性ポリマー、および
ii)下記式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
を含む、架橋組成物。
[式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、および(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、ここでそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていてもよく;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数字の1、2または3であり;
pは、数字の1、2、3、4または5であり;ならびに
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。]
【請求項24】
Yが、(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキル、または(C12〜C100)アリールであり;
Aが、水素、−(S)−R1またはSiR2R3R4であり;
Zが、−SH、−S−SiR2R3R4、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、または−COOR14であり;
R1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12およびR14が、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記第一組成物または前記第二組成物が、油をさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記フィラーが、カーボンブラックを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
前記フィラーが、シリカを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
前記弾性ポリマーが、イソプレンホモポリマー、イソプレンコポリマー、イソプレンターポリマー、ブタジエンホモポリマー、ブタジエンコポリマー、ブタジエンターポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマーまたはブタジエン−スチレンターポリマーのうちの少なくとも1つから選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項29】
前記フィラーが、全弾性ポリマー100重量部を基準として10から100重量部の量で存在し、ここで前記加硫剤が、全弾性ポリマー100重量部を基準として0.5から10重量部の量で存在する、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
請求項23の組成物を含むタイヤトレッド(tire tread)。
【請求項31】
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)下記式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm(式1)
とを含む組成物から形成される変性ポリマー。
[式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、ここでそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていてもよく;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数字の1、2または3であり;
pは、数字の1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。]
【請求項32】
Yが、(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキル、または(C12〜C100)アリールであり;
Aが、水素、−(S)−R1またはSiR2R3R4であり;
Zが、−SH、−S−SiR2R3R4、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、または−COOR14であり;
R1、R2、R3、R4、R8、R9、R10、R11、R12およびR14が、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される、請求項31に記載のポリマー。
【請求項33】
前記組成物が、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、およびケイ素アルコキシドか選択される少なくとも1つのカップリング剤をさらに含む、請求項31に記載のポリマー。
【請求項34】
1)フィラーと、
2)加硫剤と、
3)i)未架橋弾性ポリマーおよびii)下記式1によって表されるスルフィド変性剤の反応生成物である変性ポリマー
AS−Y−Zm (式1)
とを含む組成物。
[式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、ここでそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていてもよく;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数字の1、2または3であり;
pは、数字の1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。]
【請求項35】
以下の成分を併せることを含む、加硫弾性ポリマー組成物を製造するための方法。
1)フィラー;
2)加硫剤;および
3)i)未架橋弾性ポリマーおよびii)下記式1によって表されるスルフィド変性剤を含む第一組成物から形成される変性ポリマー
AS−Y−Zm (式1)
[式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、ここでそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていてもよく;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数字の1、2または3であり;
pは、数字の1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。]
【請求項36】
下記式1で表される変性剤。
AS−Y−Zm (式1)
[式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、それぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていてもよく;
Sは、硫黄であり;
Aは、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数字の1、2または3であり;
pは、数字の1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。]
【請求項37】
下記式3で表される変性剤。
A−S−R’−S−A (式3)
[式中、
R’は、線状であるもしくは分岐している(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキルまたは(C12〜C100)アリールであり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−S−(S)−R1または−SiR2R3R4であり;
pは、数字の1、2または3であり;
R1、R2、R3およびR4は、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。]
【請求項38】
以下から形成されるポリマーを含む組成物。
i)未架橋弾性ポリマー;および
ii)下記式3によって表されるスルフィド変性剤
A−S−R’−S−A (式3)
[式中、
R’は、線状であるもしくは分岐している(C12〜C100)アルキル、(C12〜C100)アラルキルまたは(C12〜C100)アリールであり;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−S−(S)−R1または−SiR2R3R4であり;
pは、数字の1、2または3であり;
R1、R2、R3およびR4は、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。]
【請求項39】
以下の成分を溶液中で混合することを含む、請求項31に記載の変性ポリマー組成物を製造するための方法。
i)未架橋弾性ポリマー;および
ii)下記式1によって表されるスルフィド変性剤
AS−Y−Zm (式1)
[式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、ここでそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていてもよく;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数字の1、2または3であり;
pは、数字の1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。]
【請求項40】
i)未架橋弾性ポリマーと、
ii)下記式1によって表されるスルフィド変性剤、
AS−Y−Zm (式1)
とを含む組成物。
[式中、
Yは、(C12〜C100)アラルキル、(C12〜C100)アリール、(C12〜C100)アルキル、または(C12〜C100)ジアルキルエーテル(アルキル−O−アルキル)であり、ここでそれぞれが、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキル、ニトリル、アミン、NO、アルコキシまたはチオアルキルで置換されていてもよく;
Sは、硫黄であり;
Aは、水素、−(S)−R1または−MR2R3R4であり;
Zは、−SH、−S−MR5R6R7、−S−(S)−R8、−NR9R10、−NR11COR12、−O−CO−R13、−NCO、または−COOR14であり;
Mは、ケイ素またはスズであり;
Nは、窒素であり;
Oは、酸素であり;
mは、数字の1、2、3、4または5であり;
pは、数字の1、2、3、4または5であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、同じであるかまたは異なり、それぞれ独立して、水素(H)、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、(C〜C16)アラルキルまたは(C〜C30)トリ(ヒドロカルビル)シリルから選択され、前記ヒドロカルビル基は、それぞれ独立して、(C〜C16)アルキル、(C〜C16)アリール、または(C〜C16)アラルキルから選択される。]
【請求項41】
油をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項42】
油をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項43】
油をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項44】
前記未架橋弾性ポリマーが、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、またはケイ素アルコキシドから選択される少なくとも1つのカップリング剤を含む混合物から調製される、請求項1に記載の組成物。
【請求項45】
前記未架橋弾性ポリマーが、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、またはケイ素アルコキシドから選択される少なくとも1つのカップリング剤を含む混合物から調製される、請求項2に記載の組成物。
【請求項46】
前記未架橋弾性ポリマーが、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、またはケイ素アルコキシドから選択される少なくとも1つのカップリング剤を含む混合物から調製される、請求項3に記載の組成物。
【請求項47】
請求項1から29、34、38または40から46のいずれかに記載の組成物から形成された少なくとも1つの構成要素を含む物品。
【請求項48】
タイヤ構成要素、自動車部品、履物構成要素、ベルト、ガスケット、シールおよびホースから成る群より選択される、請求項47に記載の物品。
【請求項49】
請求項31から33のいずれかに記載のポリマーから形成された少なくとも1つの構成要素を含む物品。
【請求項50】
タイヤ構成要素、自動車部品、履物構成要素、ベルト、ガスケット、シールおよびホースから成る群より選択される、請求項49に記載の物品。

【公表番号】特表2010−513697(P2010−513697A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543101(P2009−543101)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/087564
【国際公開番号】WO2008/076875
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】