説明

スルフィニルベンズイミダゾール化合物の塩およびそれらの結晶ならびに非晶質体

【課題】本発明は、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールについて、種々の塩およびそれらの結晶ならびに非晶質体を提供することを目的とする。
【解決手段】2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの塩およびそれらの結晶ならびに非晶質体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃酸分泌抑制剤として有用なスルフィニルベンズイミダゾール化合物の塩およびそれらの結晶ならびに非晶質体に関する。また本発明は、スルフィニルベンズイミダゾール化合物のフリー体の結晶および非晶質体にも関する。
【背景技術】
【0002】
胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍は、酸、ペプシンなどの攻撃因子と、粘液、血流などの防御因子とのバランスが崩れ、自己消化を引き起こす結果、発生すると考えられている。
【0003】
消化性潰瘍の治療は、内科的に実施するのが原則であり、種々の薬物療法が試みられている。特に最近、胃壁細胞に存在し、胃酸分泌の最終過程を司る酵素であるH+,K+-ATPaseを特異的に阻害し、酸分泌を抑え、結果、自己消化を防止する薬剤、例えば、オメプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール等が開発され、臨床で用いられている。
【0004】
これらの薬剤も、優れた治療効果を有するが、より胃酸分泌抑制作用の持続性に富み、より安全で、適度な物理化学的安定性を有する薬剤がさらに求められている。
【0005】
本出願時において、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(以下、化合物(1)ともいう。)が、優れた胃酸分泌抑制作用(特に胃酸分泌抑制作用の持続性に富み、胃内pHを長時間高く維持できる作用)を示し、特に、逆流性食道炎、症候性逆流性食道炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍の治療または予防剤として有用であることは開示されていない。
したがって、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの塩およびそれらの結晶の態様についても開示されていない。
【0006】
また、本発明に特に関連する化合物が、特許文献1または2に記載されているが、これらの特許文献に記載された具体的化合物と本願の具体的化合物とは化学構造において相違する。
【0007】
【特許文献1】国際公開第91/19712号パンフレット
【特許文献2】特開昭59−181277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
医薬品として有用な化合物およびその塩ならびにその結晶および非晶質体の物性は、薬物のバイオアベイラビリティー、原薬の純度、製剤の処方などに大きな影響を与えるため、医薬品開発においては、当該化合物に関し、どの塩・結晶形・非晶質体が医薬品として最も優れているかを、研究する必要がある。すなわち、それらの物性は、個々の化合物の属性に依存するため、一般的に、良好な物性を有する原薬用の塩・結晶形・非晶質体を予測することは困難であり、各化合物ごとに実際に種々検討することが求められる。
【0009】
そこで本発明は、化合物(1)について、種々の塩およびそれらの結晶ならびに非晶質体を提供することを目的とする。また本発明は、化合物(1)の結晶および非晶質体を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、化合物(1)について、各種の塩、結晶を合成、単離し、その物性や形態を把握し、種々検討を行った結果、良好な物性を有する原薬用もしくは原薬製造のための製造中間体としての化合物(1)の塩、結晶を見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、次の[1]〜[63]に関する。
[1] 2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの塩であって、上記塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、カルシウム塩または亜鉛塩からなる群より選ばれる、塩。
[1−2] 2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの塩であって、上記塩は、カリウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、カルシウム塩または亜鉛塩からなる群より選ばれる、塩。
[2] 上記塩は、ナトリウム塩である、[1]記載の塩。
[3] 13C固体NMRスペクトルにおいて、化学シフト(±0.5ppm)16.7ppmにピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のA型結晶)。
[4] 13C固体NMRスペクトルにおいて、さらに、化学シフト(±0.5ppm)62.8ppmにピークを有する、[3]記載の結晶。
[5] 13C固体NMRスペクトルにおいて、さらに、化学シフト(±0.5ppm)32.5、53.3、120.6、122.7、149.8および157.2ppmにピークを有する、[4]記載の結晶。
[6] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、波数(±2cm−1)827、1021および1295cm−1に吸収ピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のA型結晶)。
[7] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、さらに、波数(±2cm−1)739および1099cm−1に吸収ピークを有する、[6]記載の結晶。
[8] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、さらに、波数(±2cm−1)992cm−1に吸収ピークを有する、[7]記載の結晶。
[9] 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)5.0°、8.0°、9.9°、10.8°、11.7°および12.9°に回折ピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のA型結晶)。
[10] 13C固体NMRスペクトルにおいて、化学シフト(±0.5ppm)25.3ppmにピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のB型結晶)。
[11] 13C固体NMRスペクトルにおいて、さらに、化学シフト(±0.5ppm)21.7ppmにピークを有する、[10]記載の結晶。
[12] 13C固体NMRスペクトルにおいて、さらに、化学シフト(±0.5ppm)17.8および70.2ppmにピークを有する、[11]記載の結晶。
[13] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、波数(±2cm−1)829、1022および1289cm−1に吸収ピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のB型結晶)。
[14] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、さらに、波数(±2cm−1)738および1387cm−1に吸収ピークを有する、[13]記載の結晶。
[15] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、さらに、波数(±2cm−1)798cm−1に吸収ピークを有する、[14]記載の結晶。
[16] 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)5.0°、9.5°、9.9°、11.4°、13.6°、15.6°および16.5°に回折ピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のB型結晶)。
[17] 13C固体NMRスペクトルにおいて、化学シフト(±0.5ppm)137.7ppmにピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のC型結晶)。
[18] 13C固体NMRスペクトルにおいて、さらに、化学シフト(±0.5ppm)22.7ppmにピークを有する、[17]記載の結晶。
[19] 13C固体NMRスペクトルにおいて、さらに、化学シフト(±0.5ppm)144.0ppmにピークを有する、[18]記載の結晶。
[20] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、波数(±2cm−1)822および1022cm−1に吸収ピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のC型結晶)。
[21] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、さらに、波数(±2cm−1)1244cm−1に吸収ピークを有する、[20]記載の結晶。
[22] 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.9°、9.8°、11.4°、11.7°、14.6°、15.7°、16.2°、17.3°および18.9°に回折ピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のC型結晶)。
[23] 13C固体NMRスペクトルにおいて、化学シフト(±0.5ppm)159.8ppmにピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のD型結晶)。
[24] 13C固体NMRスペクトルにおいて、さらに、化学シフト(±0.5ppm)49.6および165.2ppmにピークを有する、[23]記載の結晶。
[25] 13C固体NMRスペクトルにおいて、さらに、化学シフト(±0.5ppm)27.8および72.2ppmにピークを有する、[24]記載の結晶。
[26] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、波数(±2cm−1)1077cm−1に吸収ピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のD型結晶)。
[27] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、さらに、波数(±2cm−1)830および1093cm−1に吸収ピークを有する、[26]記載の結晶。
[28] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、さらに、波数(±2cm−1)1264cm−1に吸収ピークを有する、[27]記載の結晶。
[29] 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.1°、10.4°、12.2°、12.7°、17.1°、18.5°および19.4°に回折ピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のD型結晶)。
[30] 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.4°、9.6°、10.3°、16.2°、17.5°、18.5°および19.7°に回折ピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のE型結晶)。
[31] 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.3°、8.6°、9.7°、10.3°、12.7°、13.2°、16.6°、17.5°、18.5°、19.2°および19.8°に回折ピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のF型結晶)。
[32] 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.1°、10.6°、16.9°、17.3°、17.9°、18.4°、19.4°および19.7°に回折ピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のG型結晶)。
[33] 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.4°、10.1°、10.3°、16.6°、17.7°、18.6°、19.8°、20.3°および21.3°に回折ピークを有する、[2]記載の塩の結晶(ナトリウム塩のH型結晶)。
[34] 13C固体NMRスペクトルにおいて、ブロードなピークの頂点を化学シフト
(1)116.5〜120.5ppm(該ピークの半値巾が4.0ppm以上である。)
に有する、[2]記載の塩の非晶質体。
[35] 13C固体NMRスペクトルにおいて、さらに、ブロードなピークの頂点を化学シフト
(2)145.5〜151.0ppm(該ピークの半値巾が5.5ppm以上である。)、
(3)125.0〜128.0ppm(該ピークの半値巾が3.0ppm以上である。)および
(4)10.5〜14.0ppm(該ピークの半値巾が3.5ppm以上である。)
にそれぞれ有する、[34]記載の非晶質体。
[36] 13C固体NMRスペクトルにおいて、さらに、ブロードなピークの頂点を化学シフト
(5)97.0〜98.5ppm(該ピークの半値巾が1.5ppm以上である。)および
(6)59.0〜62.0ppm(該ピークの半値巾が3.0ppm以上である。)
にそれぞれ有する、[35]記載の非晶質体。
[37] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、波数(±2cm−1)803および1269cm−1に吸収ピークを有する、[2]記載の塩の非晶質体。
[38] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、さらに、波数(±2cm−1)822および1248cm−1に吸収ピークを有する、[37]記載の非晶質体。
[39] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、さらに、波数(±2cm−1)1071cm−1に吸収ピークを有する、[38]記載の非晶質体。
[40] 上記塩はカリウム塩である、[1]記載の塩。
[41] 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)5.2°、10.4°、14.5°、16.2°および19.5°に回折ピークを有する、[40]記載の塩の結晶。
[42] 上記塩はマグネシウム塩である、[1]記載の塩。
[43] 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)5.4°、16.2°および19.9°に回折ピークを有する、[42]記載の塩の結晶。
[44] 上記塩はリチウム塩である、[1]記載の塩。
[45] 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.9°、9.9°、15.9°、および22.9°に回折ピークを有する、[44]記載の塩の結晶。
[46] 上記塩はカルシウム塩である、[1]記載の塩。
[47] 上記塩は亜鉛塩である、[1]記載の塩。
[48] 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)8.1°、12.5°および20.5°に回折ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの結晶(フリー体のA型結晶)。
[49] 粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)6.0°、9.0°および17.3°に回折ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの結晶(フリー体のB型結晶)。
[50] 13C固体NMRスペクトルにおいて、ブロードなピークの頂点を化学シフト
(1)119.0〜126.5ppm(該ピークの半値巾が7.5ppm以上である。)に有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの非晶質体。
[51] 13C固体NMRスペクトルにおいて、さらに、ブロードなピークの頂点を化学シフト
(2)110.5〜114.0ppm(該ピークの半値巾が3.5ppm以上である。)および(3)133.5〜136.0ppm(該ピークの半値巾が2.5ppm以上である。)にそれぞれ有する、[50]記載の非晶質体。
[52] 13C固体NMRスペクトルにおいて、さらに、ブロードなピークの頂点を化学シフト
(5)142.5〜145.0ppm(該ピークの半値巾が2.5ppm以上である。)および(6)147.5〜152.0ppm(該ピークの半値巾が4.5ppm以上である。)にそれぞれ有する、[51]記載の非晶質体。
[53] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、波数(±2cm−1)822、1269および1396cm−1に吸収ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの非晶質体。
[54] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、さらに、波数(±2cm−1)746cm−1に吸収ピークを有する、[53]記載の非晶質体。
[55] 赤外吸収スペクトル(ATR法)において、さらに、波数(±2cm−1)1010および1034cm−1に吸収ピークを有する、[54]記載の非晶質体。
[55−2] 非晶質である、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩。
[55−3] 非晶質である、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール。
[55−4] (S)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールまたはそのナトリウム塩。
(100%eeの光学純度を持つものだけでなく、(S)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールまたはそのナトリウム塩を含むもの全てを意味する。)
[55−5] (R)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールまたはそのナトリウム塩。
(100%eeの光学純度を持つものだけでなく、(R)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールまたはそのナトリウム塩を含むもの全てを意味する。)
[55−6] (S)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩。
(100%eeの光学純度を持つものだけでなく、(S)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩を含むもの全てを意味する。)
[55−7] (R)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩。
(100%eeの光学純度を持つものだけでなく、(R)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩を含むもの全てを意味する。)
[55−8] (S)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩((S)体)の含有量が1.5重量%以下((S)体と(R)体の合計重量に基づくパーセンテージ)である、(R)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩((R)体)。
(すなわち、97.0%ee以上の光学純度である(R)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩。)
[55−9] (S)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩((S)体)の含有量が1重量%以下((S)体と(R)体の合計重量に基づくパーセンテージ)である、(R)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩((R)体)。
(すなわち、98.0%ee以上の光学純度である(R)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩。)
[55−10] (S)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩((S)体)の含有量が0.5重量%以下((S)体と(R)体の合計重量に基づくパーセンテージ)である、(R)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩((R)体)。
(すなわち、99.0%ee以上の光学純度である(R)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩。)
[55−11] (S)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩((S)体)の含有量が0.25重量%以下((S)体と(R)体の合計重量に基づくパーセンテージ)である、(R)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩((R)体)。
(すなわち、99.5%ee以上の光学純度である(R)−2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩。)
[56] [1]〜[55−11]のいずれかに記載の塩、結晶または非晶質を含有する、医薬。
[57] [1]〜[55−11]のいずれかに記載の塩、結晶または非晶質を含有する、胃酸分泌抑制剤。
[58] [1]〜[55−11]のいずれかに記載の塩、結晶または非晶質を含有する、胃酸に起因する疾患の治療および/または予防剤。
[59] 胃酸に起因する疾患が、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎(再燃・再発を繰り返すものを含む)、Zollinger-Ellison症候群、症候性逆流性食道炎、内視鏡陰性逆流性食道炎、非びらん性逆流性食道炎、胃食道逆流症、NUD (Non-Ulcer Dyspepsia)(非潰瘍性消化不良)、咽喉頭異常、Barrett食道、NSAID潰瘍、胃炎、胃出血、出血性胃炎、消化管出血、消化性潰瘍、出血性潰瘍、ストレス潰瘍、胃過酸症、消化不良、胃不全、高齢者潰瘍、難治性潰瘍、急性胃粘膜病変、胸焼け、睡眠時無呼吸症時の胸焼け、歯ぎしり、胃痛、胃もたれ、むかつき、吐き気、顎関節症または胃びらんである、[58]の治療および/または予防剤。
[60] 胃酸に起因する疾患が、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群または症候性逆流性食道炎である、[58]の治療および/または予防剤。
[61] 胃酸に起因する疾患が、逆流性食道炎または症候性逆流性食道炎である、[58]の治療および/または予防剤。
[62] 胃酸に起因する疾患が、胃潰瘍または十二指腸潰瘍である、[58]の治療および/または予防剤。
[63] [1]〜[55−11]のいずれかに記載の塩、結晶または非晶質を含有する、胃内ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌剤または除菌補助剤。
【0012】
以下に、本明細書において記載する用語、記号等の意義を説明し、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本明細書中においては、化合物の構造式が便宜上一定の異性体を表すことがあるが、本発明には化合物の構造上生ずる総ての光学異性体および異性体混合物を含み、便宜上の式の記載に限定されるものではなく、いずれか一方の異性体でも混合物でもよい。従って、本発明の化合物には、光学活性体およびラセミ体が存在することがありうるが、本発明においては限定されず、いずれもが含まれる。また、結晶多形、非晶質が存在することもあるが同様に限定されず、いずれかの結晶形、非晶質の単一物であっても混合物であってもよく、そして、本発明に係る化合物には無水物、溶媒和物、溶媒が付着した態様(例えば付着水を含む結晶)、その他、固体中に溶媒が含まれる態様が包含される。
【0014】
本発明の「結晶」および「非晶質体」は、特に限定する規定がない限り、当該「結晶」または「非晶質体」含まれていれば特段限定されず、100%純粋な態様であってもよく、他の結晶多形や非晶質体を含む態様であってもよい。なお、当該「結晶」または「非晶質体」が微量含まれる態様に関しても、本発明の「結晶」または「非晶質体」に含まれる。
【0015】
本明細書における「塩」とは、化合物(1)と塩基との塩であれば特に限定されないが、上記化合物(1)中、ベンズイミダゾール骨格の1または3位のNH基において、塩基との塩を形成する。具体的には例えば、塩基は、当該化合物1分子に対し0.1〜5分子の適宜な比で塩を形成し、好ましくは一価の塩基(ナトリウムなど)との塩の場合には、塩基は、当該化合物1分子に対し約1分子の適宜な比で塩を形成し、二価の塩基(マグネシウムなど)との塩の場合には、塩基は、当該化合物1分子に対し約0.5分子の適宜な比で塩を形成する。
【0016】
本発明の「溶媒和物」は、塩、結晶の製造の際に用いられる溶媒であれば特に限定されないが、具体的には、水和物、エタノール和物、アセトン和物、トルエン和物、tert−ブチルメチルエーテル和物等があげられ、好適には、トルエン和物である。
【0017】
一般に、粉末X線回折における回折角度(2θ)は±0.2°の範囲内で誤差が生じ得るから、上記の回折角度の値は±0.2°程度の範囲内の数値も含むものとして理解される必要がある。したがって、粉末X線回折におけるピーク(回折角度)が完全に一致する結晶だけでなく、ピーク(回折角度)が±0.2°程度の誤差で一致する結晶も本発明に含まれる。
【0018】
本明細書において、例えば「回折角度(2θ±0.2°)4.9°に回折ピークを有する」とは、「回折角度(2θ)4.7°〜5.1°に回折ピークを有する」ということを意味する。
【0019】
一般に、赤外吸収スペクトル(ATR法(全反射測定法))における波数(cm−1)は±2cm−1の範囲内で誤差が生じ得るから、上記の波数の値は±2cm−1程度の範囲内の数値も含むものとして理解される必要がある。したがって、赤外吸収スペクトル(ATR法)における吸収ピーク(波数)が完全に一致する結晶だけでなく、吸収ピーク(波数)が±2cm−1程度の誤差で一致する結晶も本発明に含まれる。
【0020】
本明細書において、例えば「波数(±2cm−1)827cm−1に吸収ピークを有する」とは、「波数825〜829cm−1に吸収ピークを有する」ということを意味する。
【0021】
一般に、13C固体NMRスペクトルにおける化学シフト(ppm)はある程度の誤差が生じ得るから、13C固体NMRスペクトルにおけるピーク(化学シフト)が完全に一致する結晶だけでなく、通常の測定条件、もしくは本明細書と実質的に同一の条件にて13C固体NMRスペクトル測定を行い、化学シフトが実質的に同等なピークを有する結晶をも意味するが、具体的には±0.5ppm程度の範囲内の数値も含むものとして理解される。具体的には例えば、13C固体NMRスペクトルにおけるピーク(化学シフト)が完全に一致する結晶だけでなく、ピーク(化学シフト)が±0.5ppm程度の誤差で一致する結晶も本発明に含まれる。
【0022】
本明細書において、例えば「化学シフト(±0.5ppm)16.7ppmにピークを有する」とは、「通常の測定条件、もしくは本明細書と実質的に同一の条件にて13C固体NMRスペクトル測定を行い、化学シフト16.7ppmと実質的に同等なピークを有する」ことを意味するが、具体的には「化学シフト16.2〜17.2ppmにピークを有する」ということを意味する。
【0023】
本明細書において、「ピークの半値巾」とは、ピークの高さの半分の位置でピーク形状を横方向に切った時のピークの横幅(ppm)を意味する。すなわち(1)各ピークにおいてベースラインを引き、(2)ピークの最大値とベースラインの中間の位置に横線を引き、(3)この横線がスペクトルと交差する2点の幅が半値巾である。
【0024】
一般に、非晶質体の13C固体NMRスペクトルにおける化学シフト(ppm)は各ピークがブロードになり、誤差も大きく生じ得るから、13C固体NMRスペクトルにおけるピーク(化学シフト)が完全に一致する非晶質体だけでなく、通常の測定条件、もしくは本明細書と実質的に同一の条件にて13C固体NMRスペクトル測定を行い、化学シフトが実質的に同等なピークを有する非晶質体も本発明に含まれる。
具体的には例えば、「ブロードなピークの頂点を化学シフト116.5〜120.5ppm(該ピークの半値巾が4.0ppm以上である。)に有する」とは、「通常の測定条件、もしくは本明細書と実質的に同一の条件にて13C固体NMRスペクトル測定を行い、化学シフト116.5〜120.5ppmの間にピークの頂点を有し、かつ当該ピークの半値巾が4.0ppm以上であるピークと実質的に同等なピークを有する」ことを意味する。
【0025】
粉末X線回折、赤外吸収スペクトル(ATR法(全反射測定法))、13C固体NMRスペクトルまたは15N固体NMRスペクトルの各測定を適宜組み合わせて、製剤等の組成物中または原薬中に含まれる結晶もしくは非晶質体の態様(フリー体または塩における各結晶の多形、非晶質体、溶媒和物および無水物全てを含む。)を調べることができる。測定方法、条件は一般的に用いられている機器、条件であれば特段制限されないが、具体的には例えば、下記実施例に記載の機器、条件にて測定することができる。特に、15N固体NMRスペクトルでは、製剤等に使用される添加剤のピークが検出されないため、少量である場合にも、また結晶もしくは非晶質体が含まれる場合にも、感度よく各結晶もしくは非晶質体の態様を調べることができる。
このような方法によれば、本発明の化合物(1)もしくはその塩に限らず、あらゆる化合物において、製剤等の組成物中または原薬中に含まれる結晶もしくは非晶質体の態様を調べることができる。
【0026】
すなわち、次の[X1]および[X2]の方法により、製剤等の組成物中または原薬中に含まれる結晶もしくは非晶質体の態様を調べることができる。
[X1]粉末X線回折、赤外吸収スペクトル(ATR法(全反射測定法))、13C固体NMRスペクトルおよび/または15N固体NMRスペクトルの各測定を用いた、製剤等の組成物中または原薬中に含まれる結晶もしくは非晶質体の態様を調べる方法。
[X2]15N固体NMRスペクトル測定を用いた、製剤等の組成物中または原薬中に含まれる結晶もしくは非晶質体の態様を調べる方法。
【0027】
15N固体NMRスペクトルの測定条件としては、例えば以下のような条件が挙げられる。
測定装置:AVANCE 400MHz(ブルカー)
プローブ:7mm−CP/MAS(ブルカー)
NMRセル径:7mm
セル回転数:6000回転/秒
測定法:CPMASS法
観測核:15N(共鳴周波数:40.5568940MHz)
待ち時間:3秒
コンタクトタイム:3000マイクロ秒
積算回数:HOPE−DP:22217回、HOPE−DS:18984
外部標準:グリシンの窒素の化学シフトを10ppmとする。
【0028】
「胃酸に起因する疾患または症状」とは、胃酸に起因する疾患または症状であれば特に限定されないが、好適例としては、例えば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、症候性逆流性食道炎、内視鏡陰性逆流性食道炎、非びらん性逆流性食道炎または急性胃粘膜病変等をあげることができ、より好適な例としては、逆流性食道炎、症候性逆流性食道炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍をあげることができ、さらに好適な例としては、(1)逆流性食道炎もしくは症候性逆流性食道炎、または(2)胃潰瘍もしくは十二指腸潰瘍をあげることができる。
【0029】
本明細書において「予防剤」とは、疾患または症状の発症前に投与するものの他、治癒後の維持療法剤または再発防止剤も含まれる。
本明細書において「除菌補助剤」とは、酸性条件下では効果を奏し難い除菌剤が効果を奏するような環境を整える薬剤をいう。
【発明の効果】
【0030】
本発明の化合物(1)の塩、結晶、非晶質体は、優れた胃酸分泌抑制作用を有するとともに、医療用の薬剤として優れた物性を有し、逆流性食道炎、症候性逆流性食道炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍等の治療または予防剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の化合物(1)の塩は、以下に記載する方法により製造することができる。但し、本発明の化合物の製造方法は、これらに限定されるものではない。
【0032】
化合物(1)は、下記実施例に従い合成することができる。
塩の製造に使用する化合物(1)は、どのような形態であってもよい。すなわち、水和物でも無水物でもよく、非晶質体でも結晶質体(複数の結晶多形からなるものを含む)でもよく、これらの混合物であってもよい。
【0033】
化合物(1)の塩を製造する際、化合物(1)と塩基と溶媒を混合するが、化合物(1)と塩基と溶媒の加える順番は限定されず、また、加える際、何回かに分けて加えてもよい。
化合物(1)を加える際、化合物(1)の固体を加えても、化合物と溶媒との混合物(溶液、懸濁またはスラリー状態等)を加えてもよい。
【0034】
塩の製造に使用する塩基は、化合物(1)のフリー体と混ぜ、化合物(1)の塩を製造できる塩基であれば特に限定されないが、具体的には例えば、金属アルコキシド(例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどC1−6アルコールのナトリウムアルコキシド、マグネシウムメトキシドなどのマグネシウムアルコキシド、カリウムメトキシドなどのカリウムアルコキシド、リチウムメトキシドなどのリチウムアルコキシドなど)、水酸化ナトリウム、ハロゲン化金属化合物(例えば塩化亜鉛などのハロゲン化亜鉛)、金属硝酸塩(例えば硝酸カルシウムなど)などが挙げられ、固体であっても、溶媒(水、C1−6アルコールまたはこれらの混合溶媒)に溶かした溶液であってもよい。
【0035】
塩の製造に使用する塩基は、塩基性物質を溶液に溶かすことなく加えても、これら塩基性物質を水もしくは有機溶媒に溶かした塩基性溶液を加えてもよい。
【0036】
化合物(1)の塩を製造する際、通常用いられる操作方法であれば特に限定されないが、具体的には例えば、以下のように操作し、化合物(1)の塩を得ることができる。
化合物(1)と塩基と溶液を混合後、この混合液を撹拌、静置もしくは溶媒留去して化合物(1)の塩を析出させる。析出した塩を通常の濾過操作で分離し、必要に応じて適切な溶媒(通常は析出に用いた溶媒と同一)で洗浄し、さらに乾燥し、本発明の化合物の塩を得ることができる。
【0037】
また、上記のように、一度化合物(1)と塩基との塩を生成後、さらに再度溶媒と混合し、この混合液を撹拌、静置もしくは溶媒留去して化合物(1)の塩を析出させる。析出した塩を通常の濾過操作で分離し、必要に応じて適切な溶媒(通常は析出に用いた溶媒と同一)で洗浄し、さらに乾燥し、本発明の化合物の塩を得ることもできる。
【0038】
塩の製造に使用する溶媒として、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノールのようなアルコール類、酢酸エチル、酢酸メチルのようなエステル類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンのようなエーテル類、酢酸のようなカルボン酸類、もしくは水、あるいはこれらの混合溶媒が典型的に挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
溶媒の使用量は、化合物(1)と各塩基とが加熱により混合する量(例えば溶解、懸濁またはスラリー状態等)を下限とし、塩の収量が著しく低下しない量を上限として適宜選択することができる。化合物(1)と各塩基とを混合する温度は、溶媒に応じて適宜選択すればよい。また、最終的な冷却温度は、塩の収量と品質等から適宜選択することができるが、好ましくは室温〜0℃である。
【0040】
また、化合物(1)と各塩基とを混合した溶液に貧溶媒(ヘキサン、ヘプタン等)を加えることによって、本発明の塩を析出させてもよい。
【0041】
濾過操作で分離した塩の乾燥は、大気下に放置することでも可能であるが、大量に製造する場合には効率的でなく、加熱によって乾燥してもよい。
乾燥温度としては、製造量に応じて適宜選択することができる。乾燥時間は、残留溶媒が所定の量を下回るまでの時間を製造量、乾燥装置、乾燥温度等に応じて適宜選択すればよい。また、乾燥は通風下でも減圧下でも行うことができるが、減圧下で行うことが好ましい。減圧度は、製造量、乾燥装置、乾燥温度等に応じて適宜選択すればよい。
【0042】
[ナトリウム塩のA型結晶の一般製造方法(1)]
下記(A)〜(G)の操作を適宜選択、並び替え、化合物(1)のナトリウム塩のA型結晶を得ることができる。具体的には例えば、下記の実施例を参照し、化合物(1)のナトリウム塩のA型結晶を製造することができる。
(A) 化合物(1)のナトリウム塩と溶媒とを混合する。
(B) 化合物(1)のナトリウム塩と溶媒との混合物を、加熱攪拌および/またはソニケーションする。
(C) 化合物(1)のナトリウム塩と溶媒との混合物に、さらに別の溶媒(ヘキサン、ヘプタンなどのアルキル系溶媒、シクロヘキサンなどのシクロアルキル系溶媒、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒など)を加える。
(D) 化合物(1)のナトリウム塩と溶媒との混合物を冷却または同じ温度で放置する。
(E) 化合物(1)のナトリウム塩と溶媒との混合物中の析出物をろ取する。
(F) 得られた析出物を洗浄する。
(G) 析出物を乾燥する。
【0043】
晶析に使用する化合物(1)のナトリウム塩は、どのような形態であってもよく、溶媒和物でも無水物でもよく、非晶質でも結晶質でもよく、これらの混合物であってもよい。
【0044】
晶析に使用する溶媒は、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、アルキルケトン系溶媒およびアルキル系溶媒からなる群より選ばれる1の溶媒または2の溶媒の混合溶媒を挙げることができ、好ましくはエタノールおよびメチルt−ブチルエーテルの混合溶媒である。
エタノールおよびメチルt−ブチルエーテルの混合溶媒を使用する場合の混合比(容量比)は、好ましくは2:13〜1:7であり、より好ましくは1:9〜1:10である。
【0045】
また、溶媒の使用量は、化合物(1)のナトリウム塩が加熱により溶解する量を下限とし、結晶の収量が著しく低下しない量を上限として適宜選択することができるが、好ましくは化合物(1)のナトリウム塩の重量に対する容量比で15〜40倍量(v/w)であり、好ましくは、20〜35倍量(v/w)である。
【0046】
化合物(1)のナトリウム塩を加熱して溶解する温度は、溶媒に応じて化合物(1)のナトリウム塩が溶解する温度を適宜選択すればよいが、好ましくは結晶化溶媒の還流温度から室温であり、より好ましくは室温である。
晶析時、冷却しながらもしくは同温度で放置することにより結晶化するが、冷却しながら結晶晶析を行う場合、冷却速度を変えると、態様の異なる結晶(多形)を与えうるので、結晶の品質や粒度等への影響を考慮して適宜冷却速度を調整して実施することが可能である。
また、最終的な晶析温度は、結晶の収量と品質等から適宜選択することができるが、好ましくは0〜30℃である。
【0047】
結晶晶析において、種結晶(少量の化合物(1)のナトリウム塩のA型結晶)を加えても、加えなくても良い。
【0048】
晶析した結晶を通常の濾過操作で分離し、必要に応じて溶媒で洗浄し、さらに乾燥して目的の結晶を得ることができる。結晶の洗浄に使用する溶媒は、晶析溶媒と共通であるが、好ましくはエタノールおよびメチルt−ブチルエーテル(1:9〜1:10)の混合溶媒である。
【0049】
濾過操作で分離した結晶は、窒素気流下に室温にて放置することにより、または加熱下、乾燥することができる。また、乾燥は減圧下でも行うことができる。減圧度は、製造量、乾燥装置、乾燥温度等に応じて適宜選択すればよい。
乾燥時間は、残留溶媒が所定の量を下回るまでの時間を製造量、乾燥装置、乾燥温度等に応じて適宜選択すればよい。
【0050】
[ナトリウム塩のA型結晶の一般製造方法(2)]
下記(A)〜(I)の操作を適宜選択、並び替え、化合物(1)のナトリウム塩のA型結晶を得ることができる。
(A) 化合物(1)と溶媒(メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒)を混合し、化合物(1)を含む溶液を調製する。化合物(1)を含む溶液としては、実施例などによる化合物(1)の製造の際に得られる反応処理後の抽出液をそのまま用いることもできる。すなわち、化合物(1)の製造において、反応後の処理の際に、溶媒(メチルイソブチルケトンなどのアルキルケトン系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒など)にて抽出を行い、得られる化合物(1)を含む溶液を、化合物(1)を単離精製することなく、そのまま用いることもできる。
(B) ナトリウム塩を生成するための塩基(水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシドなど、またはこれらの水溶液あるいはアルコール溶液)を加える。
(C) 当該混合物を、撹拌および/またはソニケーションする。
(D) 当該混合物から溶媒を留去する。
(E) 当該混合物に、さらに別の溶媒(ヘキサン、ヘプタンなどのアルキル系溶媒、シクロヘキサンなどのシクロアルキル系溶媒、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒など)を加える。
(F) 当該混合物を冷却または同じ温度で放置する。
(G) 当該混合物中の析出物をろ取する。
(H) 得られた析出物を洗浄する。
(I) 析出物を乾燥する。
【0051】
晶析に使用する化合物(1)は、どのような形態であってもよく、溶媒和物でも無水物でもよく、非晶質でも結晶質でもよく、これらの混合物であってもよい。化合物(1)の製造後、化合物(1)を単離することなく、反応処理後の抽出液をそのまま使用することもできる。
【0052】
晶析に使用する溶媒は、エーテル系溶媒、エステル系溶媒およびアルコール系溶媒からなる群より選ばれる1の溶媒または2以上の溶媒の混合溶媒を挙げることができる。単独溶媒としては、メチルt−ブチルエーテル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチルが好ましい。また、混合溶媒としては、1−プロパノールとメチルt−ブチルエーテル、2−プロパノールとメチルt−ブチルエーテル、1−ブタノールとメチルt−ブチルエーテル、メチルイソブチルケトンとメチルt−ブチルエーテルまたはエタノールとメチルt−ブチルエーテルが好ましい。
これらの混合溶媒を使用する場合の混合比(容量比)は、好ましくは1:100〜1:1であり、より好ましくは1:60〜1:2である。
【0053】
また、溶媒の使用量は、フリー体が室温で溶解する量を下限とし、結晶の収量が著しく低下しない量を上限として適宜選択することができるが、好ましくは化合物(1)の重量に対する容量比で5〜50倍量(v/w)であり、好ましくは、8〜35倍量(v/w)である。
【0054】
結晶晶析において、種結晶(少量の化合物(1)のナトリウム塩のA型結晶)を加えてもよい。
【0055】
晶析した結晶を通常の濾過操作で分離し、必要に応じて溶媒で洗浄し、さらに乾燥して目的の結晶を得ることができる。結晶の洗浄に使用する溶媒は、晶析溶媒と共通であるが、好ましくはメチルt−ブチルエーテル、酢酸エチル、メチルイソブチルケトンの単独溶液あるいはメチルt−ブチルエーテルとメチルイソブチルケトンとの混合溶液である。
【0056】
濾過操作で分離した結晶は、適宜、窒素気流下放置することにより、または加熱によって乾燥することができる。乾燥は窒素気流でも減圧下でも行うことができる。減圧度は、製造量、乾燥装置、乾燥温度等に応じて適宜選択すればよい。
乾燥時間は、残留溶媒が所定の量を下回るまでの時間を製造量、乾燥装置、乾燥温度等に応じて適宜選択すればよい。
【0057】
[ナトリウム塩のC型結晶の一般製造方法]
下記(A)〜(H)の操作を適宜選択、並び替え、化合物(1)のナトリウム塩のC型結晶を得ることができる。具体的には例えば、下記の実施例を参照し、化合物(1)のナトリウム塩のC型結晶を製造することができる。
(A)化合物(1)と溶媒とを混合し、化合物(1)を含む溶液を調製する。化合物(1)を含む溶液としては、実施例などによる化合物(1)の製造の際に得られる反応処理後の抽出液をそのまま用いることもできる。すなわち、化合物(1)の製造において、反応後の処理の際に、溶媒(トルエンまたはトルエンを含む混合溶媒など)にて抽出を行い、得られる化合物(1)を含む溶液を、化合物(1)を単離精製することなく、そのまま用いることもできる。
(B)ナトリウム塩を生成するための塩基(水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシドなど、またはこれらの溶液)を加える。
(C)当該混合物を、加熱および/またはソニケーションする。
(D)当該混合物に、別の溶媒(ヘキサン、ヘプタンなどのアルキル系溶媒、シクロヘキサンなどのシクロアルキル系溶媒、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒など)を加える。
(E)当該混合物を冷却または同じ温度で放置する。
(F)当該混合物中の析出物をろ取する。
(G)得られた析出物を洗浄する。
(H)析出物を乾燥する。
【0058】
晶析に使用する化合物(1)のナトリウム塩は、どのような形態であってもよく、溶媒和物でも無水物でもよく、非晶質でも結晶質でもよく、これらの混合物であってもよい。化合物(1)の製造後、化合物(1)を単離することなく、反応処理後の反応抽出液をそのまま使用することもできる。
【0059】
晶析に使用する溶媒は、ベンゼン、トルエンなどのベンゼン系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどのアルキル系溶媒、シクロヘキサンなどのシクロアルキル系溶媒、エーテル系溶媒およびアルコール系溶媒からなる群より選ばれる1の溶媒または2以上の溶媒の混合溶媒を挙げることができ、好ましくはトルエン、メチルt−ブチルエーテルおよびメタノールの混合溶媒である。また、アルコール系溶媒(メタノールなど)を別途少量添加してもよい。
【0060】
トルエンやメチルt−ブチルエーテルの混合溶媒を使用する場合の混合比(容量比)は、好ましくは2:1〜1:2であり、より好ましくは9:6〜7:9である。また、メタノールの使用量(容量比)は、好ましくは0.2〜0.6であり、より好ましくは0.3〜0.5である。
【0061】
また、溶媒の使用量は、フリー体が室温で溶解する量を下限とし、結晶の収量が著しく低下しない量を上限として適宜選択することができるが、好ましくは化合物(1)の重量に対する容量比で10〜50倍量(v/w)であり、好ましくは、20〜35倍量(v/w)である。
【0062】
結晶晶析において、種結晶(少量の化合物(1)のナトリウム塩のC型結晶)を加えてもよい。
【0063】
晶析した結晶を通常の濾過操作で分離し、必要に応じて溶媒で洗浄し、さらに乾燥して目的の結晶を得ることができる。結晶の洗浄に使用する溶媒は、晶析溶媒と共通であるが、好ましくはトルエンおよびメチルt−ブチルエーテル(9:6〜7:8)の混合溶媒である。
【0064】
濾過操作で分離した結晶は、適宜、窒素気流下放置することにより、または加熱によって乾燥することができる。乾燥は窒素気流でも減圧下でも行うことができる。減圧度は、製造量、乾燥装置、乾燥温度等に応じて適宜選択すればよい。
乾燥時間は、残留溶媒が所定の量を下回るまでの時間を製造量、乾燥装置、乾燥温度等に応じて適宜選択すればよい。
【0065】
[ナトリウム塩の非晶質体の一般製造方法(凍結乾燥法)]
下記(A)〜(D)の操作を適宜選択、並び替え、化合物(1)のナトリウム塩の非晶質体を得ることができる。具体的には例えば、下記記載の実施例(凍結乾燥法)を参照し、化合物(1)のナトリウム塩の非晶質体を製造することができる。
(A)化合物(1)のナトリウム塩と溶媒を混合する。
(B)化合物(1)のナトリウム塩と溶媒との混合物を、加熱および/またはソニケーションする。
(C)化合物(1)のナトリウム塩と溶媒との混合物を冷却し、固化させる。
(D)この固化した化合物(1)のナトリウム塩と溶媒との混合物を減圧下、溶媒留去(凍結乾燥)する。
【0066】
製造に使用する化合物(1)のナトリウム塩は、どのような形態であってもよく、溶媒和物でも無水物でもよく、非晶質体でも結晶質体でもよく、これらの混合物であってもよい。
【0067】
使用する溶媒は、アルコール系溶媒および水からなる群より選ばれる1の溶媒または2の溶媒の混合溶媒を挙げることができ、好ましくは水である。
水を使用する場合の比(容量比)は、化合物(1)のナトリウム塩の重量に対する容量比で3〜20倍量(v/w)であり、好ましくは、5〜10倍量(v/w)である。
【0068】
濾過操作で分離した非晶質は、室温または加熱によって乾燥することができる。
乾燥は減圧下でも行うことができる。減圧度は、製造量、乾燥装置、乾燥温度等に応じて適宜選択すればよい。乾燥時間は、残留溶媒が所定の量を下回るまでの時間を製造量、乾燥装置、乾燥温度等に応じて適宜選択すればよい。
【0069】
[化合物(1)ナトリウム塩の非晶質体の一般製造方法(粉砕法)]
化合物(1)のナトリウム塩を粉砕することにより(例えば、乳鉢、ボールミルなどの粉砕機を用いた粉砕)、化合物(1)のナトリウム塩の非晶質体を得ることができる。製造に使用する化合物(1)のナトリウム塩は、どのような形態であってもよく、溶媒和物でも無水物でもよく、非晶質体でも結晶質体でもよく、これらの混合物であってもよい。
具体的には例えば、下記の実施例(粉砕法)を参照し、化合物(1)のナトリウム塩の非晶質体を製造することができる。
【0070】
[化合物(1)ナトリウム塩の非晶質体の一般製造方法(噴霧乾燥法)]
化合物(1)のナトリウム塩をスプレードライ法により、化合物(1)のナトリウム塩の非晶質体を得ることができる。製造に使用する化合物(1)のナトリウム塩は、どのような形態であってもよく、溶媒和物でも無水物でもよく、非晶質体でも結晶質体でもよく、これらの混合物であってもよい。用いる溶媒は、化合物(1)のナトリウム塩を溶解可能であれば水、有機溶媒、その混合物の何れであってもよい。
【0071】
本発明の塩または結晶を医薬として使用する場合、通常、本発明の塩または結晶と適当な添加剤とを混和し、製剤化したものを使用する。ただし、本発明の塩および結晶を原体のまま医薬として使用することを否定するものではない。
【0072】
上記添加剤としては、一般に医薬に使用される、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、矯味矯臭剤、乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤、吸収促進剤等を挙げることができ、所望により、これらを適宜組み合わせて使用することもできる。
【0073】
賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、ブドウ糖、コーンスターチ、マンニトール、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム等を挙げることができる。
【0074】
結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等を挙げることができる。
【0075】
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ポリエチレングリコール、コロイドシリカ等を挙げることができる。
【0076】
崩壊剤としては、例えば結晶セルロース、寒天、ゼラチン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム等を挙げることができる。
【0077】
着色剤としては、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カルミン、カラメル、β−カロチン、酸化チタン、タルク、リン酸リボフラビンナトリウム、黄色アルミニウムレーキ等、医薬品に添加することが許可されているものを挙げることができる。
【0078】
矯味矯臭剤としては、ココア末、ハッカ脳、芳香散、ハッカ油、竜脳、桂皮末等を挙げることができる。
【0079】
乳化剤または界面活性剤としては、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、モノステアリン酸グリセリン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。
【0080】
溶解補助剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、安息香酸ベンジル、エタノール、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド等を挙げることができる。
【0081】
懸濁化剤としては、前記界面活性剤のほか、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子を挙げることができる。
【0082】
等張化剤としては、ブドウ糖、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール等を挙げることができる。
【0083】
緩衝剤としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液を挙げることができる。
【0084】
防腐剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等を挙げることができる。
【0085】
抗酸化剤としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等を挙げることができる。
【0086】
安定化剤としては、一般に医薬に使用されるものを挙げることができる。
【0087】
吸収促進剤としては、一般に医薬に使用されるものを挙げることができる。
【0088】
また、製剤としては、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤のような経口剤;坐剤、軟膏剤、眼軟膏剤、テープ剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ剤、ローション剤のような外用剤または注射剤を挙げることができる。
【0089】
経口剤は、上記添加剤を適宜組み合わせて製剤化する。なお、必要に応じてこれらの表面をコーティングしてもよい。
【0090】
外用剤は、上記添加剤のうち、特に賦形剤、結合剤、矯味矯臭剤、乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤または吸収促進剤を適宜組み合わせて製剤化する。
【0091】
注射剤は、上記添加剤のうち、特に乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤または吸収促進剤を適宜組み合わせて製剤化する。
【0092】
本発明の化合物(1)の塩、結晶、非晶質体を含有する、人への治療または予防等に用いるための製剤は、製剤学的に一般的に用いられている方法または下記記載の製剤処方例によって得ることができる。
【0093】
本発明の化合物を医薬として使用する場合、その使用量は症状や年齢により異なるが、通常、経口剤の場合には、0.15乃至5000mg(好ましくは0.5乃至1500mg)、外用剤の場合には、0.5乃至1500mg(好ましくは1.5乃至500mg)、注射剤の場合には、0.3乃至5000mg(好ましくは1乃至500mg)を1日に1回投与または2乃至6回に分けて使用する。なお、上記経口剤および注射剤については、実際に投与する値を、また、外用剤については、実際に生体に吸収される値を示している。
【0094】
本発明の化合物(1)の塩、結晶、非晶質体は、例えば、以下の実施例に記載した方法により製造することができ、また、当該化合物の効果は、以下の試験例に記載した方法により確認することができる。ただし、これらは例示的なものであって、本発明は、如何なる場合も以下の具体例に制限されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0095】
以下の参考例、実施例中の「室温」は通常約10℃から35℃を示す。%は特記しない限り重量パーセントを示す。その他の本文中で用いられている略号は下記の意味を示す。
s : シングレット(singlet)
d : ダブレット(doublet)
t : トリプレット(triplet)
q : クァルテット(quartet)
m : マルチプレット(multiplet)
br : ブロード(broad)
J : カップリング定数(coupling constant)
Hz : ヘルツ(Hertz)
CDCl : 重クロロホルム
DMSO−d : 重ジメチルスルホキシド
O : 重水
CDOD : 重メタノール
NMR : 核磁気共鳴
【実施例】
【0096】
[製造例]
(製造例1)(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メタノール
【0097】
【化1】

【0098】
2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール(4.09g, 38.5mmol)、アセトン(130ml, 1768mmol)、および70%過塩素酸(1.37g, 9.55mmol)の混合物を室温にて21時間攪拌した。濃アンモニア水にて反応混合物をpH = 9に調整した後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:100g, 溶出溶媒:ヘプタン、ヘプタン/酢酸エチル = 1/3)により精製し、標記化合物(4.83g, 収率:85.8%)を無色油状物として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6)δppm; 1.29(3H, s), 1.30(3H, s), 1.64-1.74(1H, m), 3.35-3.41(2H, m), 3.61(2H, dd, J=7, 12Hz), 3.82(2H, dd, J=4, 12Hz), 4.54(1H, t, J=5Hz).
(製造例2)2,3,5−トリメチルピリジン 1−オキシド
【0099】
【化2】

【0100】
酢酸 (1.43kg, 23.83mol)に2,3,5-trimethylpyridine (1.43kg, 11.80mol)を15分間かけて加えた。15分後、35%過酸化水素水 (1.38kg, 14.2mol)を30分間かけて滴下した後に、90から95℃で終夜攪拌した。反応液に亜硫酸ナトリウム (220g)を投入した。反応混合液を、炭酸ナトリウム (2.5kg)と水 (12L)の混合物に投入し、クロロホルムで抽出した (3.0L x 4)。得られた有機層を結晶が析出するまで濃縮し、析出物にn-へキサン (2.5L)を加え、氷冷下で一晩攪拌した。得られた結晶を濾過し、目的物を1.53kg得た。
(製造例3)2,3,5−トリメチル−4−ニトロピリジン 1−オキシド
【0101】
【化3】

【0102】
98%硫酸 (4.93kg, 49.3mol)に2,3,5-trimethylpyridine 1-oxide (1.38kg, 10.1mol)を投入した。97%硝酸 (1.44kg)を50分間かけて滴下した後に、85℃で4時間加熱した。反応液を、炭酸水素アンモニウム (10.6kg)と水 (9.0L)の混合物に投入し、酢酸エチルで抽出した (3.0L x 3)。得られた有機層を濃縮し、終夜真空乾燥し、目的物を1.50kg得た。
(製造例4)4−クロロ−2,3,5−トリメチルピリジン 1−オキシド
【0103】
【化4】

【0104】
2,3,5-trimethyl-4-nitropyridine 1-oxide (850g, 4.67mol)に水 (400g)と36%濃塩酸 (1.69kg) を加え、70℃に加熱した。N,N-ジメチルホルムアミド (115mL)を加え、100℃に加熱した。反応終了後に20℃まで冷却し、炭酸カリウム (1.40kg)と水 (7L)の混合物中に投入し、クロロホルムで抽出し (1.0L x 3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥後に濃縮した。得られた粗体をジイソプロピルエーテル (500mL)とn-へキサン (1.0L)の混合液中で2時間攪拌した後に、吸引濾過を行った。得られた湿体を終夜真空乾燥し、目的物を666.4g得た。
(製造例5)4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−2,3,5−トリメチルピリジン 1−オキシド
【0105】
【化5】

【0106】
4-chloro-2,3,5-trimethylpyridine 1-oxide (840g)、(2,2-dimethyl-1,3-dioxan-5-yl)methanol (688g)およびトルエン (2.52L)の混合物を、水分を除去しながら加熱還流した。共沸脱水を続けながら、水酸化カリウム (0.58kg)を3時間45分間かけて投入し、さらに2.5時間共沸脱水を続けた。反応系を30℃以下に冷却し、酢酸エチル (2.5L)と17%食塩水 (3.5L)を加えて一晩静置した。酢酸エチル層を分取し、水層を酢酸エチルで抽出した (1.0L x 3)。合わせた酢酸エチル層をセライトで濾過後、減圧濃縮し、目的物を1.20kg得た。
(製造例6)[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メタノール 1水和物
【0107】
【化6】

【0108】
50℃〜60℃に加熱した4-(2,2-dimethyl-1,3-dioxane-5-yl)methoxy-2,3,5-trimethylpyridine 1-oxide (1.20kg)と酢酸ナトリウム (0.18kg)の混合物に、無水酢酸 (1.10kg)を1.5時間かけて滴下した。0.5時間経過後に、80℃にて4.5時間加熱し、内温30℃以下に冷却し放置した後に、減圧濃縮を行った。得られた残渣をメタノール (1.0L)に溶解し、48%水酸化ナトリウム水溶液 (0.71kg)と冷水 (2.85L)の混合物に1時間かけて加えた。室温にて5時間45分間攪拌した後に、減圧濃縮した。濃縮残渣に水 (3.0L)を加え、トルエンで抽出し (2.3L x 4)、合わせたトルエン層を水 (1.2L)で洗浄した。得られた有機層をセライト濾過した後に濃縮した。得られた残渣に、室温でジイソプロピルエーテル (1.15L)を加え、さらに温水 (45℃, 74mL)を加えた。結晶析出を確認後25℃で1時間攪拌し、ヘプタン (3.6L)を投入し、一晩攪拌を続けた。さらに氷冷下で5時間攪拌した後に濾過を行い、黄色結晶を得た。得られた黄色結晶にジイソプロピルエーテル (3.5L)を加え、50℃にて溶解した。不溶物を濾過で除去した後に、徐冷を行い、5℃にて終夜熟成した。得られた結晶を濾過し、ヘプタン (0.5L)にて洗浄し、風乾を行い、目的物を0.69kg得た。
(製造例7)2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}チオ)−1H−ベンズイミダゾール
【0109】
【化7】

【0110】
[4-(2,2-dimethyl-1,3-dioxan-5-yl)methoxy-3,5-dimethylpyridin-2-yl]methanol monohydrate (690g)にトルエンを加えて共沸脱水を行った (2.1L x 5, 1.75L x 1)。得られた濃縮物にトルエン (393mL)を加え、[4-(2,2-dimethyl-1,3-dioxan-5-yl)methoxy-3,5-dimethylpyridin-2-yl]methanolのトルエン溶液を921g得た。
窒素雰囲気下、[4-(2,2-dimethyl-1,3-dioxan-5-yl)methoxy-3,5-dimethylpyridin-2-yl]methanol のトルエン溶液 (845.7 g , 含有率 61.7%, 含量521.8 g, 1.855 mol)、テトラヒドロフラン (2609 mL)、トルエン (669 mL)、トリエチルアミン (375.3 g, 3.709 mol)を順次投入し、ドライアイス/エタノールで冷却下撹拌した。冷却開始後30分後からメタンスルフォニルクロリド (254.9 g, 2.226 mol)を42分間で滴下した。滴下終了後、氷水浴で冷却下撹拌した。約1.5時間後に2-メルカプトベンズイミダゾール (334.28 g, 2.226 mol)のテトラヒドロフラン (3653 mL)溶液を2分間で投入し、室温で約18時間撹拌を続けた。
反応液にトルエン (3653 mL)を投入した後に、20% w/w 水酸化ナトリウム水溶液 (1852.4 g)を投入し、さらにH2O (2322 mL)を加え、抽出と分液を行った。有機層を20% w/w 塩化アンモニウム水溶液 (4174 g)で2回洗浄、さらにH2O (4147 mL)で洗浄した。
得られた有機層を減圧濃縮(40℃)し、茶褐色油状物を得た(2.40kg, トルエン1446mL, テトラヒドロフラン168mL含有, 1H -NMRスペクトルから算出)。
得られた茶褐色油状物を晶析容器へ移し、トルエン (119 mL)で洗い込み、室温で撹拌した。10分後、tert-ブチルメチルエーテル (134 mL)を投入し、室温撹拌を継続した。20分後、さらにtert-ブチルメチルエーテル (127 mL)を投入し、室温撹拌を継続した。30分後、さらにtert-ブチルメチルエーテル (266 mL)を20分間で滴下し、室温撹拌を継続した。1分後、さらにtert-ブチルメチルエーテル (522 mL)を滴下していたところ、8分後に結晶析出を確認、計1時間20分かけて滴下を終了した。40分間室温撹拌した後、ヘプタン (2348 mL)を1時間17分かけて滴下し、室温で終夜撹拌した。
ヘプタンを滴下して約15.5時間後、析出した結晶を吸引濾取し、トルエン/ tert-ブチルメチルエーテル/ヘプタン (587 mL/391 mL/587 mL)でリンスした後、吸引乾燥した。得られた湿体結晶を通風乾燥(50℃)し、目的物を得た。
収量:619.0 g、含有率:96.5%、含有量:597.3 g、収率:77.8%(含有量ベース)、HPLC純度:98.0%
【0111】
<HPLC分析条件(反応チェック、HPLC純度測定、および定量)>
Column: YMC-Pack Pro C18 AS-302 (5μm, 4.6mm I.D. x 150mm I.D.)
Eluent: A solution (Acetonitrile/20mM Ammonium Acetate aq. = 100/900 (v/v)), B solution (Acetonitrile /20mM Ammonium Acetate aq. = 800/200 (v/v))
Flow rate: 1.0 mL/min
Detection: UV 254 nm
Oven temp.: 25 ℃
Sample temp.: 25 ℃
Gradient condition (time/B solution conc.): 0.01 min/0%, 25min/100%, 30 min/100%, 30.01 min/0%, 40 min/stop
【0112】
[実施例]
以下の実施例においては、2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}チオ)−1H−ベンズイミダゾール(別名:2-[4-(2,2-dimethyl-1,3-dioxan-5-ylmethoxy)-3,5-dimethylpyridin-2-yl-methyl-sulfanyl]-1H-benzoimidazole)を「化合物(2)」;(R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール(別名:2-[4-(2,2-Dimethyl-1,3-dioxan-5-yl-methoxy)-3,5-dimethylpyridin-2-yl-methane-sulfinyl]-1H-benzoimidazole)を「化合物(3)」;(R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール ナトリウム塩(別名:(+)-Sodium 2-[4-(2,2-dimethyl-1,3-dioxan-5-yl)methoxy-3,5-dimethylpyridin-2-yl]-methylsulfinyl-1H-benzimidazole)を「化合物(4)」ともいう。ただし、本明細書中において化合物(4)は、特に記載がない限り、下記記載の化合物(4)のいずれの結晶形、非晶質体またはこれらの混合物であってもよい。
【0113】
実施例1X (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ナトリウム塩のC型結晶)
窒素雰囲気下、2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}チオ)−1H−ベンズイミダゾール(化合物(2))(580.3g,含有率96.5%,含量560.0g,1.354mol)、トルエン(3864mL)、HO(2.81g,0.156mol)を順次投入し、60℃で加熱下撹拌した。6分後、この懸濁液へL−(+)−酒石酸ジエチル(122.9g,0.596mol)を投入し、トルエン(560mL)で洗い込んだ。30分後、溶解を確認した。8分後、チタン(IV)テトライソプロポキシド(77.0g,0.271mol)を投入し、トルエン(56mL)で洗い込み、同温で約1時間加熱撹拌した。8℃冷却に変更し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(56.01g,0.742mol)を投入、トルエン(280mL)で洗い込んだ。10分後、クメンヒドロペルオキシド(259.2g,1.422mol)のトルエン(840mL)溶液を47分間で滴下し、8℃で約18.5時間後攪拌した。冷却した30%w/wチオ硫酸ナトリウム水溶液(2240g)を投入し、12分間攪拌し、水層を廃棄した。有機層に4%w/w水酸化ナトリウム水溶液(2240g)を投入し、攪拌、静置後、水層を分取し、(R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール(化合物(3))の水酸化ナトリウム水抽出液を茶黄色懸濁液として得た。トルエン(7840mL)に、この化合物(3)を含む水酸化ナトリウム水抽出液(2.98kg)を投入、撹拌した。この混合物へ、攪拌下に20%w/w酢酸水溶液(400mL)、8%NaOH水溶液(50mL)、20%w/w酢酸水溶液(8mL)を順次投入しpH8.64に調整し、静置、分液、水層を廃棄した。有機層を5%w/w食塩水溶液(2240g)で洗浄、分液し、化合物(3)のトルエン抽出液(7.31kg,化合物(3)の含有量567.7g,1.322mol)を茶黄色溶液として得た。
得られたトルエン抽出液に、室温で撹拌しながら28.3%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液(245.6g,1.286mol)を1分間で投入した。次いで、この溶液に、tert−ブチルメチルエーテル(1120mL)を3分間で滴下、室温で撹拌、6分後に結晶析出を確認、そのまま約30分間撹拌した。さらに、tert−ブチルメチルエーテル(7840mL)を2時間40分間かけて滴下し、室温で終夜撹拌を継続した。
tert−ブチルメチルエーテルを滴下して約13時間後に、析出した結晶を吸引濾取、トルエン/tert−ブチルメチルエーテル(1047mL/1193mL)でリンスした後、吸引乾燥を15分間行った。得られた湿体結晶を減圧乾燥(40℃)し、標記化合物の結晶(以下、「ナトリウム塩のC型結晶」と称す。)を得た。
収量:546.8 g、含有率:101.7%、含有量:546.8 g(含有率100%として)、収率:90.9%(収量ベース)、HPLC純度:98.2%、鏡像体過剰率:99.5% ee以上
【0114】
<HPLC分析条件(反応チェック、HPLC純度測定、および定量)>
Column: YMC-Pack Pro C18 AS-302 (5μm, 4.6mm I.D. x 150mm I.D.)
Eluent: A solution (Acetonitrile/20mM Ammonium Acetate aq. = 100/900 (v/v)), B solution (Acetonitrile/20mM Ammonium Acetate aq. = 800/200 (v/v))
Flow rate: 1.0 mL/min
Detection: UV 254 nm
Oven temp.: 25 ℃
Sample temp.: 25 ℃
Gradient condition (time/B solution conc.): 0.01 min/0%, 25min/100%, 30 min/100%, 30.01 min/0%, 40 min/stop
<HPLC分析条件(鏡像体過剰率)>
Column: DAICEL CHIRALPAK IA (4.6mm I.D. x 250mm I.D.)
Eluent: ethanol/tert-buthylmethylether = 150/850 (v/v)
Flow rate: 1.0 mL/min
Detection: UV 284 nm
Oven temp.: 25 ℃
Sample temp.: 25 ℃
【0115】
上記、「(R)2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール ナトリウム塩」は、上記HPLC分析条件(鏡像体過剰率)にて分析した際、より早く溶出した光学活性体であった。
【0116】
実施例2X (R)2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ナトリウム塩のA型結晶)
2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(実施例1Xと同様のナトリウム塩のC型結晶、12.41kg,net11.6kg)にエタノール(18.30kg)を加え、さらにtert−ブチルメチルエーテル(17.20kg)を加えた。
混合物を、ハイフロスーパーセル(和光純薬社製、コード:534-02315)[2.30kg、エタノール(13.70kg)とtert−ブチルメチルエーテル(12.90kg)の混合液で洗浄し、次いでtert−ブチルメチルエーテル(17.20kg)で洗浄したものを使用した。]にてろ過し、エタノール(4.60L)とtert−ブチルメチルエーテル(4.60L)の混合液でハイフロスーパーセルを洗浄した。
合わせたろ液を、ろ過し、次いでエタノール(1.2L)とtert−ブチルメチルエーテル(1.2L)の混合液で洗いこんだ。
合わせたろ液に、撹拌下20℃でtert−ブチルメチルエーテル(25.80kg)を14分間かけて滴下した。この混合物をさらに1時間1分間撹拌後、tert−ブチルメチルエーテル(145.93kg)を2時間46分間かけて滴下し、その後、20℃で17時間45分間攪拌した。
混合物中に生成した析出物をろ取し、エタノール(2.30L)とtert−ブチルメチルエーテル(15.50kg)の混合液で洗浄し、次いでtert−ブチルメチルエーテル(17.23kg)で洗浄し、その後、50℃で約36時間減圧乾燥し、さらに篩(目開き1.00mm)に通して、標記化合物の白色結晶(以下、「ナトリウム塩のA型結晶」と称す。)(10.02kg)を得た。
【0117】
HPLC純度:99.2%、含有率:97.6%、鏡像体過剰率:99.5%以上
【0118】
<HPLC条件(反応チェック、HPLC純度測定、および定量)>
Column: YMC-Pack Pro C18 AS-302, (5μm, 4.6mm I.D. x 150mm I.D.)
Mobile phase:
A: Acetonitrile/20mM Ammonium Acetate aq. = 100/900 (v/v)
B: Acetonitrile/20mM Ammonium Acetate aq.= 800/200 (v/v)
Time (min.): B Conc., 0.01:0 25.00:100 30.00:100 30.01:0 35.00: stop
Detection: 254nm
Flow rate: 1.0mL/min
Oven: 25℃
Measuring time: 40min
<HPLC条件(鏡像体過剰率)>
Column: CHIRALPAK IA, 4.6mm I.D. x 250mm I.D.
Mobile phase: tert-buthylmethylether/ethanol = 85/15 (v/v)
Detection: 284nm
Flow rate: 1.0mL/min
Oven: 25℃
Measuring time: 30min
【0119】
実施例3X(粉砕法) (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ナトリウム塩の非晶質体)
実施例2Xで得られた、2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(化合物(4) ナトリウム塩のA型結晶)を、窒素気流下で約40分間乳鉢にて粉砕し、標記化合物の非晶質体を得た。
【0120】
実施例4X (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ナトリウム塩のB型結晶)
ナス型コルベンに化合物(4)(ナトリウム塩のA型結晶、1.5g)を入れ、エバポレーター間欠回転(1min./pause:3se./rotation)下、減圧下(1mmHg)60℃(外温)で2時間加熱し、その後、常圧下、密栓し一夜23から25℃で保管した。
続いて、同様に化合物(4)を、エバポレーター間欠回転(1min./pause:3se./rotation)下、減圧下(1mmHg)80℃(外温)で2時間加熱し、次いで、減圧下(1mmHg)100℃(外温)で6時間加熱し、その後、常圧下、密栓し23から25℃で保管した。
さらにその後、同様に化合物(4)を、エバポレーター間欠回転(1min./pause:3se./rotation)下、減圧下(1mmHg)100℃(外温)で4時間加熱し、標記化合物の結晶(以下、「ナトリウム塩のB型結晶」と称す。)(1.0g)を得た。
【0121】
<HPLC条件(反応チェック、HPLC純度測定、および定量)>
固定相:YMC-Pack Pro C18 AS-302(4.6mm I.D.x 150mm I.D., 5μm)
移動相:A液 Acetonitrile:20mM Ammonium Acetate aq.=200:1800(v:v)
B液 Acetonitrile:20mM Ammonium Acetate aq.=1600:400(v:v)
流速 :1.0mL/min.
温度 :25℃
検出器:UV 254nm
Gradient条件:time(min)/B液濃度(%), 0.01/0, 25/100, 30/100, 30.01/0, 35/stop
【0122】
実施例5X (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ナトリウム塩のD型結晶)
化合物(4)(ナトリウム塩のA型結晶)(1.31g)にtert−ブチルメチルエーテル(26mL)とエタノール(1.3mL)を加えた。次いでこの混合物へ室温で攪拌しながら水(209mg)を加え、次いでエタノール(0.65mL)を加え、続いて、水(52mg)を加え、さらにその後エタノール(0.65mL)を加え、2時間29分間攪拌した。この混合物中の析出物をろ取し、その後減圧下で乾燥し、標記化合物の結晶(以下、「ナトリウム塩のD型結晶」と称す。)(857mg、白色固体)を得た。
【0123】
実施例6X (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ナトリウム塩のG型結晶)
窒素雰囲気下、化合物(2)(520mg)にL−(+)−酒石酸ジエチル(95μL)とトルエン(2.60mL)を加え、57℃で加熱した。反応混合物にチタニウム(IV)イソプロポキシド(73.7μL)を加え、同温度で1時間加熱撹拌した後に、反応混合物を33.5℃まで冷却した。反応混合物にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(69.9μL)を加え、次いでクメンヒドロペルオキシド(80%、232μL)を5分間以上かけて加え、室温で17時間攪拌した。
反応混合物へ、室温で30%チオ硫酸ナトリウム水溶液(2.0mL)を加え、十分撹拌した後、有機層を分取した。次いで、有機層へ1N 水酸化ナトリウム水溶液(2.0mL)を加え、十分撹拌した後、水層を分取した。得られた水層にメチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」という。)(2.0mL)を加え、攪拌しながらpHが9.71になるように20%酢酸水を徐々に加えた。有機層を分取し、この有機層にtert−ペントキシドナトリウム(146mg)のMIBK(1.40mL)懸濁液を滴下し、その後15時間50分間攪拌した。その後、混合物にさらにMIBK(2.0mL)を加え、精製した析出物をろ取し、標記化合物の結晶(以下、「ナトリウム塩のG型結晶」と称す。)(328mg、白色固体)を得た。
【0124】
実施例7X (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ナトリウム塩のH型結晶)
実施例6Xで得られた化合物(4)(ナトリウム塩のG型結晶)を約60℃にて1週間保存し、標記化合物の結晶(以下、「ナトリウム塩のH型結晶」と称す。)を得た。
【0125】
実施例8X (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ナトリウム塩のE型結晶)
化合物(2)(2.5g)とトルエン(15mL)との混合物に、L−(+)−酒石酸ジエチル(550mg)のトルエン(2.5mL)溶液を加えた。50℃にて加熱、撹拌し、チタニウム(IV)イソプロポキシド(344mg)およびトルエン(2.5mL)を加え、1時間10分間加熱、撹拌した。
反応混合物に19.8℃(内温)にてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(337μL)を加えた。−5℃(外温)にてクメンヒドロペルオキシド(80%,1.15g)およびトルエン(5.0mL)を−0.2から−3.1℃にて5分間かけて加えた。
その後、反応混合物を撹拌しながら、20℃まで昇温させ、20℃で4時間40分保持し、その後に−1.1から0.3℃で15時間、撹拌した。
反応混合物を−5℃(外温)に冷却し、30%チオ硫酸ナトリウム水(10g)を加え、十分撹拌した後、有機層を分取した。有機層に1N水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を加え、十分撹拌した後、水層を分取した。得られた水層にMIBK(20mL)を加え、pHが7.3になるように、20%酢酸水溶液を徐々に加えた。混合液を十分撹拌した後、有機層を分取し、その有機層にtert−ペントキシドナトリウム(701mg)のトルエン(7mL)溶液を滴下した。次いでこの混合物に種結晶(化合物(4)(ナトリウム塩のD型結晶))を加え、21時間攪拌しtert−ブチルメチルエーテル(20mL)を加えた。混合物中に生成した析出物をろ取した。得られた析出物をtert−ブチルメチルエーテルおよびMIBK(3:7)混合溶液(5mL)にて洗浄し、窒素気流下で乾燥を行い、淡黄色結晶(ナトリウム塩のD型結晶)(1.9g)を得た。
この淡黄色結晶をさらに60℃にて10日間保存し、標記化合物の結晶(以下、「ナトリウム塩のE型結晶」と称す。)を得た。
【0126】
実施例9X(凍結乾燥法) (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ナトリウム塩の非晶質体)
2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(化合物(4) ナトリウム塩のA型結晶)(1.52g)を蒸留水(10mL)に溶解し、減圧下に溶媒留去した。得られた残渣(4.5mL)に蒸留水(4mL)を加え、この溶液をドライアイス−アセトン浴で凍結させた。この凍結物を14時間46分間、室温減圧下で溶媒留去し、標記化合物の非晶質体(1.43g、黄白色固体)を得た。
【0127】
実施例10X (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ナトリウム塩のF型結晶)
化合物(4)(4g)を氷浴冷却下でエタノール(8mL)を加え、次いで1N水酸化ナトリウム水溶液(9.31mL)を10分間かけて滴下した。この混合物にエタノール(4mL)を加え、減圧下溶媒を留去した。次いでさらに、この混合物にエタノール(8mL)を加え、減圧下溶媒を留去した。さらにその後、この混合物にエタノール(8mL)を加えて減圧下溶媒を留去した。得られた残渣に、酢酸エチル(80mL)を加え、次いでこの混合物中へ種結晶(化合物(4)(ナトリウム塩のF型結晶))を投入し、室温で14時間、4℃で25時間静置した。混合物中に生成した析出物をろ過し、酢酸エチル(30mL)で洗浄し、標記化合物の結晶(以下、「ナトリウム塩のF型結晶」と称す。)(1.097g、淡黄色結晶)を得た。
【0128】
実施例1Y (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール(フリー体のA型結晶)
窒素雰囲気下、化合物(2)(10g)とトルエン(50mL)の混合物に、室温でL−(+)−酒石酸ジエチル(1.83mL)と水(52.5μL)を加え、56℃で加熱撹拌した。反応混合物に、同温度でチタニウム(IV)イソプロポキシド(1.42mL)を加え、50から60℃で1時間攪拌した。反応混合物を冷却し、その後28℃でN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.35mL)を加えた。反応混合物を−3℃に冷却し、次いで、−1.0から0.6℃にて20分間かけて、クメンヒドロペルオキシド(80%,4.47mL)を加えた後、反応混合物を−1℃から1℃の間で21時間35分間攪拌した。
反応混合物に、30%チオ硫酸ナトリウム水溶液(38.4mL)を0.6℃から2.7℃にて加え、十分撹拌した後、有機層を分取した。有機層に1N水酸化ナトリウム水溶液(38.4mL)を加え、十分撹拌した後、水層を分取した。得られた水層にtert−ブチルメチルエーテル(38.4mL)を加え、攪拌しながらpHが9.87になるように、20%酢酸水溶液を徐々に加えた。
3層に分離したうちの最上層(有機層1)を分取した。下の2層にtert−ブチルメチルエーテル(40mL)を加えた後に、攪拌しながらpHが9.17になるように20%酢酸水溶液を徐々に加えた。上層(有機層2)を分取し、残った水層を酢酸エチル(30mL)を加え、十分撹拌した後、有機層(有機層3)を分取した。有機層1〜3を合わせて無水硫酸マグネシウム(15g)で乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下溶媒を留去した。得られた残渣(9.9g)をシリカゲルカラムクロマト(NHシリカゲル、展開溶媒:酢酸エチルおよびメタノールの混合液(10:0, 9:1))にて精製し、標記化合物の結晶(以下、「フリー体のA型結晶」と称す。)(7.4g、白色結晶)を得た。
【0129】
実施例2Y (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール(フリー体のB型結晶)
化合物(2)(500mg)、トルエン(2.5mL)および水(2.62μL)の混合物に、L−(+)−酒石酸ジエチル(91μL)を加え、50℃で加熱、撹拌した。この反応混合物中にチタニウム(IV)イソプロポキシド(71.5μL)を添加し、1時間20分間加熱撹拌した。
反応混合物に、撹拌しながら−2℃でN,N−ジイソプロピルエチルアミン(225μL)を加え、次いで−3.3℃から−2.2℃でクメンヒドロペルオキシド(80%、224μL)を加えた。
反応混合物を17時間20分間撹拌後、30%チオ硫酸ナトリウム水溶液(2mL)を加え、十分撹拌した後、有機層を分取した。この有機層に1N水酸化ナトリウム水溶液(2mL)を加え、十分撹拌した後水層を分取した。得られた水層にtert−ブチルメチルエーテル(2mL)を加え、次いでpHが8.5になるように20%酢酸水溶液を徐々に加えた。混合液を十分撹拌した後、有機層を分取し、その後その有機層に種結晶(化合物(3))を加え、室温で3時間攪拌した。混合物中に生成した析出物をろ取し、tert−ブチルメチルエーテル(2mL)で洗浄し、標記化合物の結晶(以下、「フリー体のB型結晶」と称す。)(318mg)を得た。
【0130】
実施例3Y (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール(フリー体の非晶質体)
2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール(320mg)をt-ブチルアルコール(7mL)と蒸留水(5mL)の混合液に溶解させ、この溶液をドライアイス−メタノール浴で凍結させた。この凍結させた溶液を21時間10分間、室温減圧下で溶媒留去し固体を得た。得られた固体を3日間室温減圧乾燥し、標記化合物の非晶質体(324mg、白色粉末)を得た。
【0131】
実施例1Z (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのカリウム塩
化合物(3)(100mg)のトルエン(0.36mL)溶液に、カリウムメトキシド(24.5mg)のメタノール(0.24mL)溶液を加え、室温で73時間28分間攪拌した。この混合物中に生成した析出物をろ取した。析出物をトルエンおよびメタノール(3:2)の混合液(0.4mL)にて洗浄し、乾燥し、標記化合物(84mg)を得た。
【0132】
実施例2Z (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのマグネシウム塩
化合物(3)(112mg)のメタノール(250μL)溶液に、マグネシウムメトキシド(6%,229μL)を室温で加え攪拌した。tert−ブチルメチルエーテル(4.0mL)を添加し、1時間25分間攪拌した後、混合物中に生じた析出物をろ取した。この析出物をtert−ブチルメチルエーテルおよびメタノール(9:1)の混合液(約3mL)で洗浄し、減圧下で乾燥し、標記化合物(78mg、白色固体)を得た。
【0133】
実施例3Z (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのリチウム塩
リチウムメトキシド(18.3mg)のエタノール (1mL)溶液に、化合物(3)(156mg)を加え、その後振とうした。混合物をろ過し、ろ液にt−ブチルメチルエーテル(10mL)を加えた。混合物中に生成した析出物を吸引ろ取し、析出物をt−ブチルメチルエーテル(1mL)で洗浄した。得られた析出物を一晩減圧乾燥し、標記化合物(白色固体 53mg)を得た。
【0134】
実施例4Z (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールの亜鉛塩
塩化亜鉛(608mg)と精製水(1mL)の混合物に化合物(4)(468mg)を加え、その後振とうした。この混合物に精製水(2mL)を加え、さらに超音波照射下(バス型ソニケーター)で振とうした。混合物中に生成した析出物を吸引ろ取し、析出物を精製水(2mL)で洗浄した。得られた析出物を一晩減圧乾燥し,標記化合物(淡黄色固体 458mg)を得た。
【0135】
実施例5Z (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのカルシウム塩
硝酸カルシウム(892mg)と精製水(1mL)の混合物に化合物(4)(526mg)を加え、その後振とうした。この混合物に精製水(3mL)を加え、さらに超音波照射下(バス型ソニケーター)で振とうした。混合物中に生成した析出物を吸引ろ取し、析出物を精製水(1mL)で洗浄した。得られた析出物を一晩減圧乾燥し,標記化合物(白色固体 430mg)を得た。
【0136】
実施例1Q (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ナトリウム塩のA型結晶)
【0137】
【化8】

【0138】
実施例1Xで得られた、2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(化合物(4) ナトリウム塩のC型結晶) (536.8 g, 1.189 mol)にエタノール (1074 mL)を加え、室温で溶解させ、さらにtert-ブチルメチルエーテル (1074 mL)を投入した。得られた溶液を、ハイフロスーパーセル[107.4g, エタノール/ tert-ブチルメチルエーテル (1074 mL/1074 mL)、tert-ブチルメチルエーテル (537 mL)で順次洗浄したもの]で吸引濾過し、ハイフロスーパーセルをエタノール/ tert-ブチルメチルエーテル (215 mL/ 215 mL)で洗浄した。
得られた濾液を晶析容器へ移し、エタノール/ tert-ブチルメチルエーテル (54 mL/54 mL)で洗い込んだ後、室温で撹拌を開始した。tert-ブチルメチルエーテル (1610 mL)を6分間で滴下し、室温撹拌を継続した。11分後、tert-ブチルメチルエーテル (268 mL)を2分間で滴下し、撹拌継続、1分後に結晶析出を確認した。そのまま31分間室温撹拌した後、tert-ブチルメチルエーテル (268 mL)を9分間で滴下した。8分間室温撹拌後、さらにtert-ブチルメチルエーテル (8589 mL)を1時間10分かけて滴下し、室温で撹拌を続けた。
tert-ブチルメチルエーテルを滴下終了してから約22時間後に、窒素を吹きつけながら、析出した結晶を吸引濾取、エタノール/ tert-ブチルメチルエーテル (107 mL/966 mL)、tert-ブチルメチルエーテル (1074 mL)で順次洗浄し、8分間吸引乾燥した。得られた湿体結晶(584.54 g)のうち、531.10gを、減圧乾燥(50℃)し、目的物を得た。
収量:419.6 g、HPLC純度:99.4%
粉末X線結晶回折データから、上記実施例2Xと同一の結晶(ナトリウム塩のA型結晶)であることが確認された。
【0139】
<HPLC分析条件(HPLC純度測定、および定量)>
Column: YMC-Pack Pro C18 AS-302 (5μm, 4.6mm I.D. x 150mm I.D.)
Eluent: A solution (Acetonitrile/20mM Ammonium Acetate aq. = 100/900 (v/v)),
B solution (Acetonitrile/20mM Ammonium Acetate aq. = 800/200 (v/v))
Flow rate: 1.0 mL/min
Detection: UV 254 nm
Oven temp.: 25 ℃
Sample temp.: 25 ℃
Gradient condition (time/B solution conc.): 0.01 min/0%, 25min/100%, 30 min/100%, 30.01 min/0%, 40 min/stop
【0140】
実施例2Q 2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール(ラセミ体)
【0141】
【化9】

【0142】
化合物(2)(424mg, 1.03mmol)のトルエン(20ml)-メタノール(2ml)溶液に、窒素雰囲気下、-65℃にて3-クロロ過安息香酸(246mg, 含量65%として0.927mmol)のトルエン(1ml)-メタノール(1ml)溶液を5分かけて滴下し、その混合物を同条件下で45分撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。その混合物を酢酸エチルにて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、濾過、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル: 20g, 溶出溶媒: ジクロロメタン、ジクロロメタン/メタノール = 10/1)により精製した。標記化合物を含むフラクションを酢酸エチルを用いて集め、濃縮した。残渣にジエチルエーテルを加えた。生じた沈殿物を濾取、ジエチルエーテルにて洗浄し、標記化合物(274mg, 収率:61.9%)を白色固形物として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6)δppm; 1.32(3H, s), 1.36(3H, s), 2.02-2.13(1H, m), 2.16(3H, s), 2.20(3H, s), 3.74-3.84(4H, m), 4.00(2H, dd, J=4, 12Hz), 4.70(1H, d, J=14Hz), 4.79(1H, d, J=14Hz), 7.26-7.33(2H, m), 7.60-7.70(2H, m), 8.18(1H, s).
【0143】
実施例3Q 2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ラセミ体)
【0144】
【化10】

【0145】
2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール(274mg, 0.638mmol)のエタノール(10ml)溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液(635μl, 濃度1.004Mとして0.638mmol)を室温にて加え、その混合物を濃縮した。残渣をエタノールにて2回共沸した。残渣をジエチルエーテルにて懸濁、超音波をかけた後、濃縮し、標記化合物(260mg, 収率:90.3%)を白色固形物として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6)δppm; 1.33(3H, s), 1.36(3H, s), 2.03-2.14(1H, m), 2.20(3H, s), 2.21(3H, s), 3.76-3.87(4H, m), 4.00(2H, dd, J=4, 11Hz), 4.39(1H, d, J=13Hz), 4.75(1H, d, J=13Hz), 6.81-6.91(2H, m), 7.40-7.48(2H, m), 8.23(1H, s).
【0146】
実施例4Q (S)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0147】
【化11】

【0148】
2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}チオ)−1H−ベンズイミダゾール(化合物(2))(444mg, 1.07mmol)およびD-(-)-酒石酸ジエチル(80.6μl, 0.471mmol)のトルエン(脱水)(2.22ml)-水(2.3μl, 0.128mmol)溶液を窒素雰囲気下、50℃にて10分撹拌した。チタニウム(IV)イソプロポキシド(63.2μl, 0.214mmol)を加え、その混合物を同条件にて1時間撹拌した。室温まで冷却した後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(59.6μl, 0.342mmol)を加え、0℃まで冷却した。0℃から2℃にてクメンヒドロペルオキシド(611μl, 含量80%として3.31mmol)を5分かけて滴下した後、その混合物を窒素雰囲気下、0℃から7℃にて3時間35分撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、その混合物を酢酸エチルにて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、濾過、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル: 20g, 溶出溶媒: ジクロロメタン、ジクロロメタン/メタノール = 20/1)により精製した。標記化合物を含むフラクションを酢酸エチルを用いて集め、濃縮し、標記化合物(388mg, 収率:84.4%)を無色泡状物として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6)δppm; 1.32(3H, s), 1.36(3H, s), 2.02-2.13(1H, m), 2.16(3H, s), 2.20(3H, s), 3.74-3.85(4H, m), 4.00(2H, dd, J=4, 12Hz), 4.70(1H, d, J=14Hz), 4.79(1H, d, J=14Hz), 7.26-7.34(2H, m), 7.59-7.70(2H, m), 8.18(1H, s).
HPLC;
(条件) カラム: CHIRALPAK AD-H(ダイセル化学工業社製)(0.46cmφX25cm)、溶離液: ヘキサン/エタノール = 1/1(v/v)、流速: 0.6ml/min.、検出: UV(254nm)
(分析結果) 保持時間: 17.8分、鏡像体過剰率: 94.4%ee
【0149】
上記、「(S)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール」は、上記HPLC分析条件(鏡像体過剰率)にて分析した際、より遅く溶出した光学活性体であった。
【0150】
実施例5Q (S)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール ナトリウム塩
【0151】
【化12】

【0152】
(S)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール(379mg, 0.882mmol)のエタノール(10ml)溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液(878μl, 濃度1.004Mとして0.882mmol)を室温にて加え、その混合物を濃縮した。残渣をエタノールにて共沸した。残渣をジエチルエーテルにて懸濁、超音波をかけた後、濃縮し、標記化合物(365mg, 収率:91.7%)を白色固形物として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6)δppm; 1.33(3H, s), 1.36(3H, s), 2.03-2.13(1H, m), 2.20(3H, s), 2.21(3H, s), 3.76-3.88(4H, m), 4.00(2H, dd, J=4, 12Hz), 4.38(1H, d, J=13Hz), 4.75(1H, d, J=13Hz), 6.81-6.90(2H, m), 7.40-7.47(2H, m), 8.23(1H, s).
HPLC;
(条件) カラム: CHIRALPAK AD-H(ダイセル化学工業社製)(0.46cmφX25cm)、溶離液: ヘキサン/エタノール = 1/1(v/v)、流速: 0.6ml/min.、検出: UV(254nm)
(分析結果) 保持時間: 17.0分、鏡像体過剰率: 94.9%ee
比旋光度:[α]27.4 = -76.29 (c =0.5, ethanol).
【0153】
上記、「(S)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール ナトリウム塩」は、上記HPLC分析条件(鏡像体過剰率)にて分析した際、より遅く溶出した光学活性体であった。
【0154】
実施例6Q (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール
【0155】
【化13】

【0156】
2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}チオ)−1H−ベンズイミダゾール(化合物(2))(591mg, 1.43mmol)およびL-(+)-酒石酸ジエチル(108μl, 0.629mmol)のトルエン(脱水)(2.96ml)-水(3.09μl, 0.172mmol)溶液を窒素雰囲気下、50℃にて5分撹拌した。チタニウム(IV)イソプロポキシド(84.4μl, 0.286mmol)を加え、その混合物を同条件にて1時間撹拌した。室温まで冷却した後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(79.7μl, 0.458mmol)を加え、0℃まで冷却した。0℃から1℃にてクメンヒドロペルオキシド(816μl, 含量80%として4.42mmol)を10分かけて滴下した後、その混合物を同条件にて3時間10分撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、その混合物を酢酸エチルにて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、濾過、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル: 20g, 溶出溶媒: ジクロロメタン、ジクロロメタン/メタノール = 20/1)により精製した。標記化合物を含むフラクションを酢酸エチルを用いて集め、濃縮し、標記化合物(498mg, 収率:81.1%)を無色泡状物として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6)δppm; 1.32(3H, s), 1.36(3H, s), 2.02-2.12(1H, m), 2.16(3H, s), 2.20(3H, s), 3.74-3.84(4H, m), 4.00(2H, dd, J=4, 12Hz), 4.70(1H, d, J=14Hz), 4.79(1H, d, J=14Hz), 7.26-7.34(2H, m), 7.58-7.70(2H, m), 8.18(1H, s).
HPLC;
(条件) カラム: CHIRALPAK AD-H(ダイセル化学工業社製)(0.46cmφX25cm)、溶離液: ヘキサン/エタノール = 1/1(v/v)、流速: 0.6ml/min.、検出: UV(254nm)
(分析結果) 保持時間: 14.6分、鏡像体過剰率: 95.4%ee
【0157】
上記、「(R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール」は、上記HPLC分析条件(鏡像体過剰率)にて分析した際、より早く溶出した光学活性体であった。
【0158】
実施例7Q (R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール ナトリウム塩
【0159】
【化14】

【0160】
(R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール (480mg, 1.12mmol)のエタノール(10ml)溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液(1.12ml, 濃度1.004Mとして1.12mmol)を室温にて加え、その混合物を濃縮した。残渣をエタノールにて共沸した。残渣をジエチルエーテルにて懸濁、超音波をかけた後、濃縮し、標記化合物(447mg, 収率:88.4%)を白色固形物として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6)δppm; 1.33(3H, s), 1.36(3H, s), 2.03-2.14(1H, m), 2.21(6H, s), 3.76-3.87(4H, m), 4.00(2H, dd, J=4, 12Hz), 4.39(1H, d, J=13Hz), 4.74(1H, d, J=13Hz), 6.82-6.90(2H, m), 7.40-7.48(2H, m), 8.23(1H, s).
HPLC;
(条件) カラム: CHIRALPAK AD-H(ダイセル化学工業社製)(0.46cmφX25cm)、溶離液: ヘキサン/エタノール = 1/1(v/v)、流速: 0.6ml/min.、検出: UV(254nm)
(分析結果) 保持時間: 14.4分、鏡像体過剰率: 95.4%ee
【0161】
(試験例1)慢性胃瘻管装着犬における胃酸分泌抑制効果
(1)方法
慢性胃瘻管を装着した大型犬(体重約14〜19kg)を用い、実施例化合物の胃酸分泌抑制作用および胃酸分泌抑制作用持続を検討した。実験は2日間にわたって実施した。第1日目はヒスタミン(50または75μg/kg/h)を3時間静脈内持続投与した条件下で20分毎に胃液を回収した。ヒスタミン投与開始1時間後、0.5%メチルセルロース溶液に懸濁または溶解した実施例化合物を0.1ml/kgの容量で十二指腸内に留置したカテーテルを介して投与した。その後2時間にわたり実施例化合物の胃酸分泌抑制作用を検討した。第2日目(実施例化合物投与24時間後)はヒスタミンを2時間静脈内持続投与した条件下で、20分毎に胃液を回収し胃酸分泌抑制作用持続を検討した。胃液量を測定後、0.5mlの胃液をサンプリングし、0.04mol/lの水酸化ナトリウム溶液でpH7.0まで中和滴定し酸濃度を測定した。胃液量に酸濃度を乗じ胃酸排出量を求めた。胃酸分泌抑制作用は第1日目の胃酸分泌抑制率(%)で評価した。以下に示す式より胃酸分泌抑制作用(%)を求めた。例数2以上の場合、全ての例数の平均値を求め示した。
胃酸分泌抑制作用(%)=(A-B)/A × 100
[A]:ヒスタミン投与開始40分後から1時間後までの20分間の胃酸排出量
[B]:実施例化合物投与1時間40分後から2時間後までの20分間の胃酸排出量
胃酸分泌抑制作用持続は第2日目の胃酸分泌抑制率(%)で評価した。以下に示す式より胃酸分泌抑制作用持続(%)を求めた。
胃酸分泌抑制作用持続(%)=(C-D)/C × 100
[C]:第1日目のヒスタミン投与開始から1時間後までの総胃酸排出量
[D]:第2日目のヒスタミン投与開始から1時間後までの総胃酸排出量
(2)結果
【0162】
【表1】

化合物A:(R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ナトリウム塩のA型結晶)
【0163】
(製剤例1)カプセル剤
化合物A 30.0g、エチルセルロース(商品名:エトセル、ダウケミカル社)8.1gおよびヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC−L、信越化学工業)16.2gを、489gの無水エタノールに溶解した。この溶液をワースター型流動層造粒コーティング機(商品名:マルチプレックス、パウレック)を使用して、核物質であるノンパレル108(商品名、フロイント産業)500.1gにコーティングし乾燥させ、顆粒を得た。
次にエチルセルロース(商品名:エトセル、ダウケミカル社)48.6gおよびヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC−L、信越化学工業)291.9gを、6860gの無水エタノールに溶解させ、さらにステアリン酸マグネシウム(マリンクロット社)136.8gを分散させたコーティング液で、上記の顆粒554.4gにコーティングし乾燥させ、中間層被覆顆粒を得た。
さらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(商品名:HP−55S、信越化学工業)460.2gおよびジアセチル化モノグリセリド(商品名:マイバセット、クエスト・インターナショナル社)45.3gを、11045gの80%エタノール水溶液に溶解させ、さらにタルク(商品名:タルク、松村産業(株))42.3g、酸化チタン(商品名:Titanium(IV)Oxide、MERCK)24.3gを分散させた後、上記の中間層被覆顆粒1031.7gにコーティングし乾燥させ、腸溶性顆粒を得た。
上記の腸溶性顆粒1603.8gに、軽質無水ケイ酸(商品名:日本薬局方 AEROSIL−200、日本アエロジル(株))15.0gおよびタルク(商品名:ハイフィラー#17、松村産業(株))15.0gを加え、容器型混合機(商品名:2/5L容器型混合機、東洋パッキング(株))を使用して混合し、化合物Aとして1カプセル当たり1mgとなるようにカプセルに充填した。
【0164】
(製剤例2)カプセル剤
製剤例1と同様の方法で、下記の処方により顆粒を製造し、1カプセル当たり化合物Aとして10mgとなるようにカプセルに充填した。
【0165】
【表2】

ノンパレル108(商品名、フロイント産業)
【0166】
13C固体NMRスペクトルの測定
各実施例で得られた結晶(ナトリウム塩のA、B、CおよびD型結晶)および非晶質体の13C固体NMRスペクトルは、以下の条件による測定で得られた。
測定装置:AVANCE 400MHz(ブルカー)
プローブ:7mm−CP/MAS(ブルカー)
NMRセル径:7mm
セル回転数:6000回転/秒
測定法:CPTOSS法
観測核:13C(共鳴周波数:100.6248425MHz)
待ち時間:5秒
コンタクトタイム:1000マイクロ秒
積算回数:各結晶:1024回、非晶質:18296
外部標準:グリシンのカルボニル炭素の化学シフトを176.03ppmとした。
【0167】
実施例2Xで得られたナトリウム塩のA型結晶の13C固体NMRスペクトルを図1,2に;実施例4Xで得られたナトリウム塩のB型結晶の13C固体NMRスペクトルを図3,4に;実施例1Xで得られたナトリウム塩のC型結晶の13C固体NMRスペクトルを図5,6に;実施例5Xで得られたナトリウム塩のD型結晶の13C固体NMRスペクトルを図7,8に;実施例9Xで得られたナトリウム塩の非晶質体の13C固体NMRスペクトルを図9,10に;実施例3Yで得られたフリー体の非晶質体の13C固体NMRスペクトルを図11に、それぞれ示した。
【0168】
また、実施例2X,4X,1X,5Xで得られたナトリウム塩の結晶(A、B、CおよびD型結晶)および実施例9Xで得られたナトリウム塩の非晶質体、3Yで得られたフリー体の非晶質体の13C固体NMRスペクトルにおける主なピークの化学シフトを表3〜8に、それぞれ示す。なお表中、カッコ内の数字の範囲は、この化学シフトの範囲でピークがブロードになっていることを表す。
【0169】
【表3】

【0170】
【表4】

【0171】
【表5】

【0172】
【表6】

【0173】
【表7】

【0174】
【表8】

【0175】
赤外吸収スペクトルの測定
各実施例で得られた結晶(ナトリウム塩のA、B、CおよびD型結晶)および非晶質体の赤外吸収スペクトルは、日本薬局方の一般試験法に記載された赤外スペクトル測定法のATR法に従い、以下の条件による測定で得られた。
測定装置:日本分光株式会社製FT/IR−620
測定法:ATR法
測定範囲:4000cm−1〜650cm−1
分解能:4cm−1
【0176】
実施例2Xで得られたナトリウム塩のA型結晶の赤外線吸収スペクトル(ATR法)を図12に;実施例4Xで得られたナトリウム塩のB型結晶の赤外線吸収スペクトル(ATR法)を図13に;実施例1Xで得られたナトリウム塩のC型結晶の赤外線吸収スペクトル(ATR法)を図14に;実施例5Xで得られたナトリウム塩のD型結晶の赤外線吸収スペクトル(ATR法)を図15に;実施例9Xで得られたナトリウム塩の非晶質体の赤外線吸収スペクトル(ATR法)を図16に;実施例3Yで得られたフリー体の非晶質体の赤外線吸収スペクトル(ATR法)を図17に、それぞれ示した。
【0177】
また、実施例2X,4X,1Xおよび5Xで得られた結晶(ナトリウム塩のA、B、CおよびD型結晶)および実施例9Xで得られたナトリウム塩の非晶質体および3Yで得られたフリー体の非晶質体の赤外線吸収スペクトル(ATR法)における主な吸収ピークの波数(cm−1)を表9〜12に示した。
【0178】
【表9】

【0179】
【表10】

【0180】
【表11】

【0181】
【表12】

【0182】
粉末X線回折パターンの測定
各実施例で得られた結晶の粉末X線回折測定は、日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法に従い、以下の測定条件で行った。
(装置)
理学X線DTAシステム:RINT−2000(株式会社リガク製)
粉末X線回折装置:RAD−1R(株式会社リガク製)(実施例1Z:カリウム塩)
DISCOVER D8 with GADDS(実施例4Z(亜鉛塩)、5Z(カルシウム塩))
(操作方法)
試料について10mm径銅板、16mm×20mmガラス板(実施例1Z:カリウム塩)またはスライドガラス(実施例4Z:亜鉛塩,実施例5Z:カルシウム塩)にサンプリングし、以下の条件で測定を行った。
使用X線:CuKα線
管電圧:40kV
管電流:200mA
発散スリット:1/2deg
受光スリット:0.3mm
散乱スリット:1/2deg
走査速度:2゜/分、
10゜/分(実施例10X:ナトリウム塩のF型結晶)、
5゜/分(実施例6X:ナトリウム塩のG型結晶,実施例2Z:マグネシウム塩)
走査ステップ:0.02゜
測定範囲(2θ):2〜40゜
【0183】
(実施例1Z記載のカリウム塩 測定条件)
使用X線:CuKα線
管電圧:40kV
管電流:20mA
発散スリット:1deg
受光スリット:0.15mm
散乱スリット:1deg
走査速度:2゜/分
走査ステップ:0.02゜
測定範囲(2θ):2〜40゜
【0184】
(実施例4Z記載の亜鉛塩、実施例5Z記載のカルシウム塩 測定条件)
使用X線:CuKα線
管電圧:40kV
管電流:20mA
コリメーター;0.8mm ダブルスリット
試料−検出器距離;15cm
測定時間:3分間
測定方法:反射法
測定範囲(2θ):3〜25°
分解能:0.02゜
【0185】
実施例2Xで得られたナトリウム塩のA型結晶の粉末X線回折パターンを図18に;実施例4Xで得られたナトリウム塩のB型結晶の粉末X線回折パターンを図19に;実施例1Xで得られたナトリウム塩のC型結晶の粉末X線回折パターンを図20に;実施例5Xで得られたナトリウム塩のD型結晶の粉末X線回折パターンを図21に;実施例8Xで得られたナトリウム塩のE型結晶の粉末X線回折パターンを図22に;実施例10Xで得られたナトリウム塩のF型結晶の粉末X線回折パターンを図23に;実施例6Xで得られたナトリウム塩のG型結晶の粉末X線回折パターンを図24に;実施例7Xで得られたナトリウム塩のH型結晶の粉末X線回折パターンを図25に;実施例3Xで得られたナトリウム塩の非晶質体の粉末X線回折パターンを図26に;実施例9Xで得られたナトリウム塩の非晶質体の粉末X線回折パターンを図27に;実施例1Yで得られたフリー体のA型結晶の粉末X線回折パターンを図28に;実施例2Yで得られたフリー体のB型結晶の粉末X線回折パターンを図29に;実施例3Yで得られたフリー体の非晶質体の粉末X線回折パターンを図30に;実施例2Zで得られたマグネシウム塩の結晶の粉末X線回折パターンを図31に;実施例1Zで得られたカリウム塩の結晶の粉末X線回折パターンを図32に;実施例3Zで得られたリチウム塩の結晶の粉末X線回折パターンを図33に;実施例4Zで得られた亜鉛塩の結晶の粉末X線回折パターンを図34に;実施例5Zで得られたカルシウム塩の結晶の粉末X線回折パターンを図35に、それぞれ示した。
【0186】
また、各実施例で得られた、(R)−2−({[4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル]メチル}スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩(ナトリウム塩のA,B,C,D,E,F,GおよびH型結晶)、フリー体(フリー体のAおよびB型結晶)、マグネシウム塩およびカリウム塩の結晶の粉末X線回折パターンにおける主なピークの回折角(2θ)を以下に示した。
【0187】
ナトリウム塩のA型結晶(実施例2X)
4.9°、8.0°、9.9°、10.8°、11.7°、12.9°、15.9°、17.7°
【0188】
ナトリウム塩のB型結晶(実施例4X)
5.0°、9.5°、9.9°、11.5°、13.6°、15.6°、16.5°、17.6°、18.1°
【0189】
ナトリウム塩のC型結晶(実施例1X)
4.9°、9.8°、11.4°、11.7°、14.6°、15.7°、16.2°、17.3°、18.9°、22.6°
【0190】
ナトリウム塩のD型結晶(実施例5X)
4.1°、10.4°、12.2°、12.7°、17.1°、18.4°、19.5°
【0191】
ナトリウム塩のE型結晶(実施例8X)
4.4°、9.6°、10.3°、16.2°、17.5°、18.5°、19.7°
【0192】
ナトリウム塩のF型結晶(実施例10X)
4.2°、8.6°、9.7°、10.3°、12.7°、13.2°、16.5°、17.5°、18.5°、19.2°、19.7°
【0193】
ナトリウム塩のG型結晶(実施例6X)
4.1°、10.6°、17.0°、17.3°、17.9°、18.4°、19.4°、19.7°、24.8°
【0194】
ナトリウム塩のH型結晶(実施例7X)
4.4°、10.1°、10.3°、16.6°、17.8°、18.6°、19.8°、20.3、21.3
【0195】
フリー体のA型結晶(実施例1Y)
8.1°、12.5°、14.5°、14.8°、20.5°、24.8°
【0196】
フリー体のB型結晶(実施例2Y)
6.0°、9.0°、14.7°、17.2°、18.9°
【0197】
カリウム塩結晶(実施例1Z)
5.2°、10.4°、14.5°、16.2°、19.5°、20.9°、25.0°
【0198】
マグネシウム塩結晶(実施例2Z)
5.4°、6.6°、9.4°、16.2°、18.0°、19.9°
【0199】
リチウム塩結晶(実施例3Z)
4.9°、9.9°、15.9°、22.9°
【産業上の利用可能性】
【0200】
本発明の化合物(1)の塩、結晶、非晶質体は、優れた胃酸分泌抑制作用を有するとともに、さらに、医療用の薬剤として優れた物性を有し、逆流性食道炎、症候性逆流性食道炎、胃潰瘍または十二指腸潰瘍等の治療または予防剤として有用な医薬となりうる。すなわち、本発明によれば、原薬用もしくは原薬製造のための製造中間体として利用することができる、化合物(1)の種々の塩、結晶、非晶質体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】図1は、実施例2Xで得られたナトリウム塩のA型結晶の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
【図2】図2は、実施例2Xで得られたナトリウム塩のA型結晶の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
【図3】図3は、実施例4Xで得られたナトリウム塩のB型結晶の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
【図4】図4は、実施例4Xで得られたナトリウム塩のB型結晶の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
【図5】図5は、実施例1Xで得られたナトリウム塩のC型結晶の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
【図6】図6は、実施例1Xで得られたナトリウム塩のC型結晶の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
【図7】図7は、実施例5Xで得られたナトリウム塩のD型結晶の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
【図8】図8は、実施例5Xで得られたナトリウム塩のD型結晶の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
【図9】図9は、実施例9Xで得られたナトリウム塩の非晶質体の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
【図10】図10は、実施例9Xで得られたナトリウム塩の非晶質体の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
【図11】図11は、実施例3Yで得られたフリー体の非晶質体の13C固体NMRスペクトルを表す図である。
【図12】図12は、実施例2Xで得られたナトリウム塩のA型結晶の赤外線吸収スペクトル(ATR法)を表す図である。
【図13】図13は、実施例4Xで得られたナトリウム塩のB型結晶の赤外線吸収スペクトル(ATR法)を表す図である。
【図14】図14は、実施例1Xで得られたナトリウム塩のC型結晶の赤外線吸収スペクトル(ATR法)を表す図である。
【図15】図15は、実施例5Xで得られたナトリウム塩のD型結晶の赤外線吸収スペクトル(ATR法)を表す図である。
【図16】図16は、実施例9Xで得られたナトリウム塩の非晶質体の赤外線吸収スペクトル(ATR法)を表す図である。
【図17】図17は、実施例3Yで得られたフリー体の非晶質体の赤外線吸収スペクトル(ATR法)を表す図である。
【図18】図18は、実施例2Xで得られたナトリウム塩のA型結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図19】図19は、実施例4Xで得られたナトリウム塩のB型結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図20】図20は、実施例1Xで得られたナトリウム塩のC型結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図21】図21は、実施例5Xで得られたナトリウム塩のD型結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図22】図22は、実施例8Xで得られたナトリウム塩のE型結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図23】図23は、実施例10Xで得られたナトリウム塩のF型結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図24】図24は、実施例6Xで得られたナトリウム塩のG型結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図25】図25は、実施例7Xで得られたナトリウム塩のH型結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図26】図26は、実施例3Xで得られたナトリウム塩の非晶質体の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図27】図27は、実施例9Xで得られたナトリウム塩の非晶質体の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図28】図28は、実施例1Yで得られたフリー体のA型結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図29】図29は、実施例2Yで得られたフリー体のB型結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図30】図30は、実施例3Yで得られたフリー体の非晶質体の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図31】図31は、実施例2Zで得られたマグネシウム塩の結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図32】図32は、実施例1Zで得られたカリウム塩の結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図33】図33は、実施例3Zで得られたリチウム塩の結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図34】図34は、実施例4Zで得られた亜鉛塩の結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。
【図35】図35は、実施例5Zで得られたカルシウム塩の結晶の粉末X線回折パターンを表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの塩であって、
前記塩は、カリウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、カルシウム塩または亜鉛塩からなる群より選ばれる、塩。
【請求項2】
13C固体NMRスペクトルにおいて、化学シフト(±0.5ppm)16.7ppmにピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項3】
赤外吸収スペクトル(ATR法)において、波数(±2cm−1)827、1021および1295cm−1に吸収ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項4】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)5.0°、8.0°、9.9°、10.8°、11.7°および12.9°に回折ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項5】
13C固体NMRスペクトルにおいて、化学シフト(±0.5ppm)25.3ppmにピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項6】
赤外吸収スペクトル(ATR法)において、波数(±2cm−1)829、1022および1289cm−1に吸収ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項7】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)5.0°、9.5°、9.9°、11.4°、13.6°、15.6°および16.5°に回折ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項8】
13C固体NMRスペクトルにおいて、化学シフト(±0.5ppm)137.7ppmにピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項9】
赤外吸収スペクトル(ATR法)において、波数(±2cm−1)822および1022cm−1に吸収ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項10】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.9°、9.8°、11.4°、11.7°、14.6°、15.7°、16.2°、17.3°および18.9°に回折ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項11】
13C固体NMRスペクトルにおいて、化学シフト(±0.5ppm)159.8ppmにピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項12】
赤外吸収スペクトル(ATR法)において、波数(±2cm−1)1077cm−1に吸収ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項13】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.1°、10.4°、12.2°、12.7°、17.1°、18.5°および19.4°に回折ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項14】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.4°、9.6°、10.3°、16.2°、17.5°、18.5°および19.7°に回折ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項15】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.3°、8.6°、9.7°、10.3°、12.7°、13.2°、16.6°、17.5°、18.5°、19.2°および19.8°に回折ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項16】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.1°、10.6°、16.9°、17.3°、17.9°、18.4°、19.4°および19.7°に回折ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項17】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.4°、10.1°、10.3°、16.6°、17.7°、18.6°、19.8°、20.3°および21.3°に回折ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩の結晶。
【請求項18】
非晶質である、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのナトリウム塩。
【請求項19】
非晶質である、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール。
【請求項20】
前記塩はカリウム塩である、請求項1記載の塩。
【請求項21】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)5.2°、10.4°、14.5°、16.2°および19.5°に回折ピークを有する、請求項20記載の塩の結晶。
【請求項22】
前記塩はマグネシウム塩である、請求項1記載の塩。
【請求項23】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)5.4°、16.2°および19.9°に回折ピークを有する、請求項22記載の塩の結晶。
【請求項24】
前記塩はリチウム塩である、請求項1記載の塩。
【請求項25】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)4.9°、9.9°、15.9°、および22.9°に回折ピークを有する、請求項24記載の塩の結晶。
【請求項26】
前記塩はカルシウム塩である、請求項1記載の塩。
【請求項27】
前記塩は亜鉛塩である、請求項1記載の塩。
【請求項28】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)8.1°、12.5°および20.5°に回折ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの結晶。
【請求項29】
粉末X線回折において、回折角度(2θ±0.2°)6.0°、9.0°および17.3°に回折ピークを有する、2−[({4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシ]−3,5−ジメチルピリジン−2−イル}メチル)スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールの結晶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2008−115173(P2008−115173A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266918(P2007−266918)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】