説明

スルホンアミド誘導体化合物

【課題】胃腸障害等の治療薬及び/又は予防薬の提供。
【解決手段】下記一般式(I)


[式中、Aは、置換可フェニレン基、Bは置換可C6-10アリール基、置換可C3-10シクロアルキル基、置換可複素環基、R1は水素原子又はC1-3アルキル基、R2は水素原子又はC1-3アルキル基、R3はC1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C1-3アルコキシC1-3アルキル基など、R4は水素原子C1-6アルキル基など、nは1乃至4の整数。]で表される化合物又はその薬理上許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬理活性を有する新規なスルホンアミド誘導体化合物、それらの製造方法、それらを含有する医薬組成物及びさまざまな傷害の治療におけるそれらの使用に関する。
【0002】
更に本発明は、上記化合物又はその薬理上許容される塩を有効成分として含有する運動性低下に伴う胃腸障害、特に胃食道逆流症(GERD)、機能性ディスペプシア(FD)、便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)のような機能性腸障害、糖尿病性胃不全麻痺、便秘(糖尿病性神経障害・慢性便秘)、オピオイド誘発性腸機能障害、麻痺性イレウス、術後腸閉塞等の治療薬及び/又は予防薬(好適には便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)のような機能性腸障害、糖尿病性胃不全麻痺、便秘の治療薬及び/又は予防薬である)に関する。
【0003】
更に、本発明は上記化合物を有効成分として含有する上記疾病の予防薬若しくは治療薬、上記化合物を有効成分として含有する上記疾病の予防若しくは治療のための組成物、上記疾病の予防若しくは治療のための医薬を製造するための上記化合物の使用、又は上記化合物の薬理的な有効量を哺乳動物(好適には人間である)に投与する上記疾病の予防若しくは治療方法に関する。
【背景技術】
【0004】
胃腸障害の治療への有用性について記載のある化合物は、特許文献1〜3などに記載がある。また、ウサギのマグヌスを用いた試験による胃腸障害の評価方法は、非特許文献1などに記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2008/729号パンフレット(対応する米国公開公報番号:第2008/27065号,第2009/192160号)
【特許文献2】国際公開第2007/144400号パンフレット(対応する米国公開公報番号:第2009/131453号)
【特許文献3】国際公開第2009/68552号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Pharmacology, 79(3), pp137-148, 2007年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、後記式(I)で表わされる化合物がその特異的な化学構造に基づいて、予想外にも優れた活性を有し、更に安定性等の医薬品としての物性においても優れた性質を有しており、胃腸障害等に関連する病態または疾患の予防・治療薬として安全でかつ有用な医薬となることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、運動性低下に伴う胃腸障害、特にGERD、機能性ディスペプシア(FD)、便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)のような機能性腸障害、糖尿病性胃不全麻痺、便秘(糖尿病性神経障害・慢性便秘)、オピオイド誘発性腸機能障害、麻痺性イレウス、術後腸閉塞などの疾患に対する予防・治療剤として有用である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
(1)下記一般式(I)
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、Aは、フェニレン基(C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、ハロゲン原子で1-3個置換されていてもよい)を示し、
BはC6-10アリール基(該アリール基は、置換基群αから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)、C3-10シクロアルキル基(該シクロアルキル基は、置換基群αから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)、窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基(該複素環基は、置換基群αから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)を示し、
R1は水素原子又はC1-3アルキル基を示し、
R2は水素原子又はC1-3アルキル基を示し、
R3はC1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C1-3アルコキシC1-3アルキル基又はC1-3ヒドロキシアルキル基を示し、
R4は水素原子、C1-6アルキル基又はハロゲン原子を示し、
nは1乃至4の整数を示す。
【0012】
(置換基群α)
ハロゲン原子、C1-C6アルキル基(該アルキル基は、カルボキシル基、C1-C6アルコキシカルボニル基又は窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基で1乃至3個置換されていてもよい)、C3-C10シクロアルキル基(該シクロアルキル基は、カルボキシル基、C1-C6アルコキシカルボニル基又は窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基で1乃至3個置換されていてもよい)、C1-C6ハロアルキル基(該ハロアルキル基は、カルボキシル基、C1-C6アルコキシカルボニル基又は窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基で1乃至3個置換されていてもよい)、C1-C6ヒドロキシアルキル基(該ヒドロキシアルキル基は、カルボキシル基、C1-C6アルコキシカルボニル基又は窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基で1乃至3個置換されていてもよい)、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル基(該アルコキシアルキル基は、カルボキシル基、C1-C6アルコキシカルボニル基は窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基で1乃至3個置換されていてもよい)、窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基、C1-C6アミノアルキル基、C1-C6アルコキシ基、C1-C6ハロアルコキシ基、C1-C6ヒドロキシアルコキシ基、C6-C10アリールオキシ基、C1-C6アルキルチオ基、カルボキシ基、C1-C6アルコキシカルボニル基、水酸基、C1-C6脂肪族アシル基、アミノ基、C1-C6アルキルアミノ基、C3-C10シクロアルキルアミノ基、C1-C6ジアルキルアミノ基、C1-C6アルコキシアミノ基、C1-C6脂肪族アシルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、C1-C6アルキルスルホニル基、C1-C6ジアルキルアミノスルホニル基、C6-C10アリール基]で表される化合物又はその薬理上許容される塩、
(2)AがC1-3アルキル基で1-3個置換されていてもよいフェニレン基である上記(1)に記載の化合物、
(3)BがC6-10アリール基(該アリール基は、置換基群αから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)である上記(1)又は(2)に記載の化合物、
(4)R1がC1-3アルキル基である上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の化合物又はその薬理上許容される塩、
(5)R2が水素原子である上記(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の化合物、
(6)R3がC1-6アルキル基である上記(1)乃至(5)のいずれか一つに記載の化合物、
(7)R4が水素原子又はC1-6アルキル基である上記(1)乃至(6)のいずれか一つに記載の化合物、
(8)nが1又は2の整数である上記(2)乃至(7)のいずれか一つに記載の化合物、
(9)1-(シクロヘキシルスルホニル)-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド、1-[(4-クロロフェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド、1-[(5-クロロ-2-チエニル)フェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド、N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)-1-(ピペリジン-1-イルスルホニル)ピペリジン-4-カルボキサミド、1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド、1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド、N-エチル-1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル] メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド。
(10)上記(2)乃至(9)のいずれか一つに記載の化合物の薬理上許容される塩
(11)上記(1)乃至(8)のいずれか一つに記載の化合物又は薬理上許容される塩を有効成分として含有する医薬である。
【0013】
本発明において、「C1-C3アルキル基」とは、炭素原子を1個乃至3個有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル若しくはn-プロピル基を挙げることができる。R1、R2及びAのフェニレン基の置換基においては、好適にはメチル基である。
【0014】
本発明において、「C1-C6アルキル基」とは、炭素原子を1個乃至6個有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、前記「C1-3アルキル基」の例として挙げた基又は、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、2-メチルブチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、イソヘキシル、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル若しくは2-エチルブチル基を挙げることができる。R3及びR4においては、好適にはメチル基である。置換基群αにおいては、好適には炭素数1乃至3個のアルキル基であり、最も好適にはメチル基である。
【0015】
本発明において、「C3-C10シクロアルキル基」とは、縮環していてもよい3乃至10員飽和環状炭化水素基であり、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル、アダマンチル、2,3-ジヒドロインデニル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[7]アヌレニル基を挙げることができる。Mにおいては、好適には3乃至7員飽和環状炭化水素基又はフェニル基と縮環したC3-C7シクロアルキル基であり、更に好適にはシクロヘキシル、2,3-ジヒドロインデニル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニル又は6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[7]アヌレニル基であり、B及び置換基群αにおいては、好適には3乃至7員飽和環状炭化水素基であり、更に好適にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル基である。
【0016】
本発明において、「C1-C6ハロアルキル基」とは、前記「C1-6アルキル基」にハロゲン原子が置換した基であり、例えば、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、フルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-ブロモエチル、2-クロロエチル、2-フルオロエチル、2-ヨードエチル、3-クロロプロピル、2,2-ジブロモエチル、4-フルオロブチル、6-ヨードヘキシル、2,2-ジブロモエチル基を挙げることができる。R1においては、好適にはトリフルオロメチル又はジフルオロエチル基であり、置換基群αにおいては、好適にはトリフルオロメチル又はジフルオロメチル基である。
【0017】
本発明において、「C1-C6アミノアルキル基」とは前記「C1-6アルキル基」にアミノ基が置換した基であり、例えば、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル基を挙げることができ、置換基群αにおいては好適にはアミノメチルである。
【0018】
本発明において、「C1-C3ヒドロキシアルキル基」とは前記「C1-3アルキル基」に水酸基が置換した基であり、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル基を挙げることができ、R3においては、好適にはヒドロキシメチル基又は1-ヒドロキシエチル基である。
【0019】
本発明において、「C1-C6ヒドロキシアルキル基」とは前記「C1-6アルキル基」に水酸基が置換した基であり、例えば、前記「C1-3ヒドロキシアルキル基」の例として挙げた基又は、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシヘキシル基を挙げることができ、置換基群αにおいては、好適にはヒドロキシメチル基又は1-ヒドロキシエチル基である。
【0020】
本発明において、「C1-C3アルコキシ基」とは、前記「C1-3アルキル基」が酸素原子に結合した基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシのような炭素数1乃至3個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基を挙げることができる。Aにおいては、好適にはメトキシ又はエトキシ基である。
【0021】
本発明において、「C1-C6アルコキシ基」とは、前記「C1-6アルキル基」が酸素原子に結合した基であり、例えば、前記「C1-3アルコキシ基」の例として挙げた基又は、n-ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソペントキシ、2-メチルブトキシ、ネオペントキシ、n-ヘキシルオキシ、4-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、2-メチルペントキシ、3,3-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、1,1-ジメチルブトキシ、1,2-ジメチルブトキシ、1,3-ジメチルブトキシ、2,3-ジメチルブトキシのような炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基を挙げることができる。置換基群αにおいては、好適にはメトキシ又はエトキシ基である。
【0022】
本発明において、「C1-C6ハロアルコキシ基」とは、前記「C1-6ハロアルキル基」が酸素原子に結合した基であり、例えば、トリフルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ジクロロメトキシ、ジブロモメトキシ、フルオロメトキシ、2,2,2-トリクロロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、2-ブロモエトキシ、2-クロロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2,2-ジブロモエトキシのような基を挙げることができ、置換基群αにおいては、好適にはトリフルオロメトキシ又はジフルオロメトキシ基である。
【0023】
本発明において、「C1-C3アルコキシC1-C3アルキル基」とは、前記「C1-3アルコキシ基」が前記「C1-3アルキル基」に結合した基であり、例えば、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、n-プロポキシメチル、n-プロポキシエチル、イソプロポキシメチル基を挙げることができる。R3においては、好適にはメトキシメチル基である。
【0024】
本発明において、「C1-C6アルコキシC1-C6アルキル基」とは、前記「C1-6アルコキシ基」が前記「C1-6アルキル基」に結合した基であり、例えば、前記「C1-C3アルコキシC1-C3アルキル基」の例として挙げた基又は、n-ブトキシメチル、イソブトキシメチル、s-ブトキシメチル、tert-ブトキシメチル、n-ペントキシメチル、イソペントキシメチル、2-メチルブトキシメチル、ネオペントキシメチル、n-ヘキシルオキシメチル、4-メチルペントキシメチル、3-メチルペントキシメチル、2-メチルペントキシメチル、3,3-ジメチルブトキシメチル、2,2-ジメチルブトキシメチル、1,1-ジメチルブトキシメチル基のような基を挙げることができる。置換基群αにおいては、好適にはメトキシメチル基である。
【0025】
本発明において、「C1-C6ヒドロキシアルコキシ基」とは、水酸基が前記「C1-6アルコキシ基」に結合した基であり、例えば、ヒドロキシメトキシ、ヒドロキシエトキシのような基を挙げることができ、置換基群αにおいては、好適にはヒドロキシメトキシ基である。
【0026】
本発明において、「C1-C6アルキルチオ基」とは、前記「C1-6アルキル基」が硫黄原子に結合した基であり、例えば、メチルチオ、エチルチオ、t-ブチルチオ基を挙げることができ、置換基群αにおいては、好適にはメチルチオ基である。
【0027】
本発明において、「C6-C10アリール基」とは、炭素数6乃至10個の芳香族炭化水素基であり、例えば、フェニル、インデニル、ナフチル、ビフェニル基を挙げることができ、B及び置換基群αにおいては好適にはフェニル基である。
【0028】
本発明において、「C6-C10アリールオキシ基」とは、上記「C6-C10アリール基」が酸素原子に結合した基であり、フェニルオキシ、インデニルオキシ、ナフチルオキシ基を挙げることができ、置換基群αにおいては好適にはフェニルオキシ基である。
【0029】
本発明において、「窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基」とは、硫黄原子、酸素原子又は窒素原子を1乃至3個含む4乃至10員複素環基であり、例えばフリル、チエニル、ピロリル、アゼピニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、 ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、テトラゾリルのような芳香族複素環基及びモルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルのようなこれらの基に対応する、部分若しくは完全還元型の基を挙げることができる。尚、上記「4乃至10員複素環基」は、他の環式基と縮環していてもよく、例えば、ベンゾフラニル、クロメニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、イソインドリニル、2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラニル、3,4-ジヒドロ-1H-イソクロメニル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル基を挙げることができる。Bにおいて好適には、窒素原子を少なくとも1個含み、酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよい4乃至10員複素環基であり、例えばピロリル、アゼピニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルのような芳香族複素環基及びモルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルのようなこれらの基に対応する、部分若しくは完全還元型の基を挙げることができ、さらに好適には、ピリジル、ピリミジル、ピラゾリル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル基である。Bにおいては好適には、芳香族複素環基である。置換基群α、置換基群αのC1-C6アルキル基の置換基、置換基群αのC3-C10シクロアルキル基の置換基、置換基群αのC1-C6ハロアルキル基の置換基、置換基群αのC1-C6ヒドロキシアルキル基の置換基及び置換基群αのC1-C6アルコキシC1-C6アルキル基の置換基においては、好適には芳香族複素環基である。
【0030】
本発明において、「C1-C6アルコキシカルボニル基」とは、前記「C1-6アルコキシ基」がカルボニル基に結合した基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n-プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n-ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、s-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、n-ペントキシカルボニル、イソペントキシカルボニル、2-メチルブトキシカルボニル、ネオペントキシカルボニル、n-ヘキシルオキシカルボニル、4-メチルペントキシカルボニル、3-メチルペントキシカルボニル、2-メチルペントキシカルボニル、3,3-ジメチルブトキシカルボニル、2,2-ジメチルブトキシカルボニル、1,1-ジメチルブトキシカルボニル、1,2-ジメチルブトキシカルボニル、1,3-ジメチルブトキシカルボニル、2,3-ジメチルブトキシカルボニルのような炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルコキシカルボニル基を挙げることができ、置換基群α及び置換基群αのC1-C6アルキル基の置換基、置換基群αのC3-C10シクロアルキル基の置換基、置換基群αのC1-C6ハロアルキル基の置換基、置換基群αのC1-C6ヒドロキシアルキル基の置換基、置換基群αのC1-C6アルコキシC1-C6アルキル基の置換基においては、好適にはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル又はイソプロポキシカルボニル基である。
【0031】
本発明において、「C1-C6脂肪族アシル基」とは、炭素数1乃至6個の脂肪族炭化水素基がカルボニル基に結合した基であり、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、ピバロイル、バレリル、イソバレリル基のようなアルキルカルボニル基、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチルのようなハロゲン化アルキルカルボニル基、メトキシアセチルのような低級アルコキシアルキルカルボニル基、(E)-2-メチル-2-ブテノイルのような不飽和アルキルカルボニル基等が挙げられる。置換基群αにおいて、好適にはホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基である。
【0032】
本発明において、「C1-C6アルキルアミノ基」とは、前記「C1-6アルキル基」がアミノ基に結合した基であり、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s-ブチルアミノ、tert-ブチルアミノ、n-ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ、2-メチルブチルアミノ、ネオペンチルアミノ、1-エチルプロピルアミノ、n-ヘキシルアミノ、イソヘキシルアミノ、4-メチルペンチルアミノ、3-メチルペンチルアミノ、2-メチルペンチルアミノ、1-メチルペンチルアミノ、3,3-ジメチルブチルアミノ、2,2-ジメチルブチルアミノ、1,1-ジメチルブチルアミノ、1,2-ジメチルブチルアミノ、1,3-ジメチルブチルアミノ、2,3-ジメチルブチルアミノ、若しくは2-エチルブチルアミノ基を挙げることができ、置換基群αにおいては、好適にはメチルアミノ基、エチルアミノ基、イソプロピルアミノ基である。
【0033】
本発明において、「C3-C10シクロアルキルアミノ基」とは、前記「C3-C10シクロアルキル」がアミノ基に結合した基であり、例えば、シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、シクロヘプチルアミノ、ノルボルニルアミノ、アダマンチルアミノ基を挙げることができる。置換基群αにおいては好適には3乃至7員飽和環状炭化水素アミノ基である。
【0034】
本発明において、「C1-C6ジアルキルアミノ基」とは、アミノ基に同一又は異なった前記「C1-6アルキル基」が2個置換した基であり、例えば、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、N,N-ジn-プロピルアミノ、N,N-ジイソプロピルアミノ、N,N-ジn-ブチルアミノ、N,N-ジイソブチルアミノ、N,N-ジs-ブチルアミノ、N,N-ジtert-ブチルアミノ、N,N-ジn-ペンチルアミノ、N,N-ジイソペンチルアミノ、N,N-ジ2-メチルブチルアミノ、N,N-ジネオペンチルアミノ、N,N-ジ1-エチルプロピルアミノ、N,N-ジn-ヘキシルアミノ、N,N-ジイソヘキシルアミノ、N,N-ジ4-メチルペンチルアミノ、N,N-ジ3-メチルペンチルアミノ、N,N-ジ2-メチルペンチルアミノ、N,N-ジ1-メチルペンチルアミノ、N,N-エチルメチルアミノ、N,N-イソプロピルメチルアミノ基を挙げることができ、置換基群αにおいては、好適にはジメチルアミノ又はジエチルアミノ基である。
【0035】
本発明において、「C1-C6アルコキシアミノ基」とは、前記「C1-6アルコキシ基」がアミノ基に結合した基であり、例えば、メトキシアミノ、エトキシアミノ、n-プロポキシアミノ、イソプロポキシアミノ、n-ブトキシアミノ、イソブトキシアミノ、s-ブトキシアミノ、tert-ブトキシアミノ、n-ペントキシアミノ、イソペントキシアミノ、2-メチルブトキシアミノ、ネオペントキシアミノ、n-ヘキシルオキシアミノ、4-メチルペントキシアミノ、3-メチルペントキシアミノ、2-メチルペントキシアミノ、3,3-ジメチルブトキシアミノ、2,2-ジメチルブトキシアミノ、1,1-ジメチルブトキシアミノ、1,2-ジメチルブトキシアミノ、1,3-ジメチルブトキシアミノ、2,3-ジメチルブトキシアミノのような炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルコキシアミノ基を挙げることができる。置換基群αにおいては、好適にはメトキシアミノ基、エトキシアミノ基、n-プロポキシアミノ基である。
【0036】
本発明において、「C1-C6脂肪族アシルアミノ基」とは、炭素数1乃至6個の脂肪族炭化水素基又は水素原子がカルボニルアミノ基に結合した基であり、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、イソブチリルアミノ、ペンタノイルアミノ、ピバロイルアミノ、バレリルアミノ、イソバレリルアミノ基のようなアルキルカルボニルアミノ基、クロロアセチルアミノ、ジクロロアセチルアミノ、トリクロロアセチルアミノ、トリフルオロアセチルアミノのようなハロゲン化アルキルカルボニルアミノ基、メトキシアセチルアミノのような低級アルコキシアルキルカルボニルアミノ基、(E)-2-メチル-2-ブテノイルアミノのような不飽和アルキルカルボニルアミノ基等が挙げられる。置換基群αにおいて、好適にはアセチルアミノ基である。
【0037】
本発明において、「C1-C6アルキルスルホニル基」とは、前記「C1-6アルキル基」がスルホニル基を介して結合する基であり、例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、n-プロパンスルホニル、イソプロパンスルホニル、n-ブタンスルホニル、イソブタンスルホニル、s-ブタンスルホニル、tert-ブタンスルホニル、n-ペンタンスルホニル、イソペンタンスルホニル、2-メチルブタンスルホニル、ネオペンタンスルホニル、n−ヘキサンスルホニル、4-メチルペンタンスルホニル、3-メチルペンタンスルホニル、2-メチルペンタンスルホニル、3,3-ジメチルブタンスルホニル、2,2-ジメチルブタンスルホニル、1,1-ジメチルブタンスルホニル、1,2-ジメチルブタンスルホニル、1,3-ジメチルブタンスルホニル、2,3-ジメチルブタンスルホニル基を挙げることができる。置換基群αにおいては、好適には炭素数1乃至4個の直鎖又は分枝鎖アルカンスルホニル基であり、最も好適にはメタンスルホニル基である。
【0038】
本発明において、「C1-C6ジアルキルアミノスルホニル基」とは、前記「C1-C6ジアルキルアミノ基」がスルホニル基を介して結合する基であり、例えば、N,N-ジメチルアミノスルホニル、N,N-ジエチルアミノスルホニル、N,N-ジn-プロピルアミノスルホニル、N,N-ジイソプロピルアミノスルホニル、N,N-ジn-ブチルアミノスルホニル、N,N-ジイソブチルアミノスルホニル、N,N-ジs-ブチルアミノスルホニル、N,N-ジtert-ブチルアミノスルホニル、N,N-ジn-ペンチルアミノスルホニル、N,N-ジイソペンチルアミノスルホニル、N,N-ジ2-メチルブチルアミノスルホニル、N,N-ジネオペンチルアミノスルホニル、N,N-ジ1-エチルプロピルアミノスルホニル、N,N-ジn-ヘキシルアミノスルホニル、N,N-ジイソヘキシルアミノスルホニル、N,N-ジ4-メチルペンチルアミノスルホニル、N,N-ジ3-メチルペンチルアミノスルホニル、N,N-ジ2-メチルペンチルアミノスルホニル、N,N-ジ1-メチルペンチルアミノスルホニル、N,N-エチルメチルアミノスルホニル、N,N-イソプロピルメチルアミノスルホニル基を挙げることができ、置換基群αにおいては、好適にはジメチルアミノスルホニル又はジエチルアミノスルホニル基である。
【0039】
本発明において、「ハロゲン原子」とは、弗素原子、塩素原子、臭素原子又は沃素原子であり、R4、Aのフェニレン基の置換基及び置換基群αにおいては、好適には、塩素原子又は弗素原子である。
【0040】
本発明において、「薬理上許容される塩」とは、アミノ基のような塩基性の基を有する場合には酸と反応させることにより、又、カルボキシル基のような酸性基を有する場合には塩基と反応させることにより、塩にすることができるので、その塩を示す。
【0041】
塩基性基に基づく塩としては、好適には、弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩のようなアリ−ルスルホン酸塩、酢酸塩、りんご酸塩、フマ−ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を挙げることができる。好適には、ハロゲン化水素酸塩又は無機酸塩である。
【0042】
一方、酸性基に基づく塩としては、好適には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩等の金属塩;アンモニウム塩のような無機塩、t-オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N-メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノ−ルアミン塩、N-ベンジルフェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン塩;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を挙げることができる。
【0043】
なお、前記一般式(I)を有するスルホンアミド誘導体化合物は、種々の異性体を有することがある。前記一般式(I)においては、これら異性体及びこれら異性体の等量及び非等量混合物がすべて単一の式で示されている。従って、本発明は、これらの異性体及びこれら異性体の種々の割合での混合物をすべて含むものである。また、本発明は、種々の放射性同位体[トリチウム(3H)、ヨウ素−125(125I)、炭素−14(14C)等]又は非放射性同位体[重水素(2H)等]でラベルされた化合物も含む。
【0044】
また本発明は、前記一般式(I)を有するシクロヘキサン誘導体化合物及びその塩が溶媒和物(例えば水和物)を形成する場合には、これらもすべて含むものである。
【0045】
更に本発明は、生体内において代謝されて前記一般式(I)を有するスルホンアミド誘導体化合物又はその塩に変換される化合物もすべて含むものである。
【0046】
Aは、好適にはC1-3アルキル基で1-3個置換されていてもよいフェニレン基である。
【0047】
Bは、好適にはC6-10アリール基(該アリール基は、置換基群αから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)である。
【0048】
R1は、好適にはC1-3アルキル基である。
【0049】
R2は、好適には水素原子である。
【0050】
R3は、好適にはC1-6アルキル基である。
【0051】
R4は、好適には水素原子又はC1-6アルキル基である。
【0052】
nは、好適には1又は2である。
【0053】
置換基群αは、BのC6-C10アリール基を置換する場合、好適にはハロゲン原子、C1-C6アルキル基(該アルキル基は、C1-C6アルコキシカルボニル基で1乃至3個置換されていてもよい)、C1-C6アルコキシ基、シアノ基であり、更に好適にはハロゲン原子である。
【0054】
置換基群αは、BのC3-C10シクロアルキル基を置換する場合、好適にはハロゲン原子、C1-C6アルキル基(該アルキル基は、C1-C6アルコキシカルボニル基で1乃至3個置換されていてもよい)、C1-C6アルコキシ基、シアノ基である。
置換基群αは、Bの窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基を置換する場合、好適にはハロゲン原子、C1-C6アルキル基(該アルキル基は、C1-C6アルコキシカルボニル基で1乃至3個置換されていてもよい)、C1-C6アルコキシ基、シアノ基であり、更に好適にはハロゲン原子である。
L5は、好適にはt-ブトキシカルボニル基である。
L1は、好適には置換ベンゼンスルホニル基である。
L2は、好適にはハロゲン原子であり、更に好適には、塩素原子である。
L3は、好適にはトリフルオロメタンスルフォニル基である。
L4は、好適には1-6アルキル基であり、更に好適にはメチルである。
【0055】
本発明の、下記一般式 (I)を有する化合物は、例えば、以下の方法により公知化合物を出発原料として用いて、製造することができる
【0056】
【化2】

【0057】
上記式中及び以下の記載において、A、B、n、R1、R2、R3及びR4は、前述したものと同意義を示す。
A法:中間体の製法
【0058】
【化3】

【0059】
B法:中間体の製法
【0060】
【化4】

【0061】
C法
C−1法
【0062】
【化5】

【0063】
C−2法
【0064】
【化6】

【0065】
C−3法
【0066】
【化7】



【0067】
上記工程中及び以下の記載において、L1及びL5はアミンの保護基を示し、L2はハロゲン原子等の脱離基を示し、L3はハロゲン化芳香族スルホニル基等の水酸基の保護基を示し、L4は1-6アルキル基等のカルボキシル基の保護基を示す。
【0068】
上記工程中及び以下の記載において、L1及びL5の定義におけるアミンの保護基とは、有機合成化学の分野で使用される基であれば特に限定はされないが、好適には2-ニトロベンゼンスルホニル等の置換ベンゼンスルホニル基、t-ブトキシカルボニル基が挙げられる。
【0069】
本発明の化合物(I)を製造する工程は、所望する化合物に応じて上記のC法から選択できる。
【0070】
以下、各工程につき、説明する。
(A法)
(第A-1工程)
塩基存在下、化合物(1)のピペリジニル基をハロゲン化芳香族スルホニル等により保護し、化合物(1a)を製造する工程である。
【0071】
溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンのようなケトン類、水又は、それらの混合溶媒が挙げられ、好適にはケトンと水の混合溶媒である。
【0072】
ハロゲン化芳香族スルホニルは、好適には、2-ニトロベンゼンスルホニルである。
【0073】
塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムのようなアルカリ金属炭酸塩類;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムのようなアルカリ金属炭酸水素塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物類;弗化ナトリウム、弗化カリウムのようなアルカリ金属弗化物類等の無機塩基類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド、リチウムメトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類;メチルメルカプタンナトリウム、エチルメルカプタンナトリウムのようなメルカプタンアルカリ金属類があげられ、好適にはアルカリ金属炭酸水素塩類である。
【0074】
反応温度は、0℃乃至100℃であり、好適には室温である。
【0075】
反応時間は、1時間乃至24時間であり、好適には、5時間ないし10時間である。
【0076】
(B法)
(第B-1工程)
塩基存在下、化合物(2)に化合物(3)を付加し、化合物(2a)を製造する工程である。
【0077】
溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類が好適である。
【0078】
塩基としては、通常の反応において塩基として使用されるものであれば、特に限定はないが、好適には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムのようなアルカリ金属炭酸塩類;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムのようなアルカリ金属炭酸水素塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物類;弗化ナトリウム、弗化カリウムのようなアルカリ金属弗化物類等の無機塩基類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド、リチウムメトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類;メチルメルカプタンナトリウム、エチルメルカプタンナトリウムのようなメルカプタンアルカリ金属類;N-メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、ピリジン、4-ピロリジノピリジン、ピコリン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、2,6-ジ(t-ブチル)-4-メチルピリジン、キノリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)のような有機塩基類又はブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミドのような有機金属塩基類を挙げることができ、更に好適には、有機塩基である。
【0079】
反応温度は、0℃乃至50℃であり、好適には室温である。
【0080】
反応時間は、0.5時間乃至24時間であり、好適には、1時間ないし5時間である。
【0081】
(第B-2工程)
塩基存在下、化合物(2a)をエノール化し、化合物(2c)を製造する工程である。
【0082】
使用される溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類を挙げることができ、好適には、テトラヒドロフランである。
【0083】
エノールの捕捉剤としては、好適にはN-フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)、2-[N,N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミノ]-5-クロロピリジンなどである。
【0084】
塩基としては、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミドのようなビストリメチルシリルアミド金属塩、リチウムジイソプロピルアミドのようなジイソプロピルアミド金属塩が好適であり、更に好適にはナトリウムビストリメチルシリルアミドである。
【0085】
反応温度は、-78℃乃至室温である。
【0086】
反応時間は、0.5時間乃至12時間であり、好適には、1時間ないし5時間である。
【0087】
(第B-3工程)
化合物(2b)を塩基及びパラジウム触媒の存在下、一酸化炭素を用いて増炭反応をおこない、化合物(2c)を製造する工程である。
【0088】
溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はないが、メタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコ−ル類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類またはアルコ−ル類とアミド類の混合溶媒が好適であり、更に好適にはメタノールとジメチルホルムアミドの混合溶媒である。
【0089】
塩基としては、好適には、N-メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、ピリジン、4-ピロリジノピリジン、ピコリン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、2,6-ジ(t-ブチル)-4-メチルピリジン、キノリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)のような有機塩基類が挙げられ、更に好適には、トリエチルアミンである。
【0090】
パラジウム触媒としては、好適には、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドなどである。
【0091】
反応温度は、室温乃至100℃である。
【0092】
反応時間は、1時間乃至24時間であり、好適には、1時間ないし5時間である。
【0093】
(第B-4工程)
化合物(2c)を還元し、化合物(2d)を製造する工程である。
【0094】
還元反応は、有機合成化学の分野で周知の還元方法に準じて達成することができる。好適には、触媒及び水素ガス存在下に行なう水素添加反応である。
【0095】
溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はないが、メタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコ−ル類が好適であり、更に好適にはメタノールである。
【0096】
使用される触媒としては、通常、接触還元反応に使用されるものであれば、特に限定はないが、好適には、パラジウム炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、ラネ−ニッケル、酸化白金、白金黒、ロジウム−酸化アルミニウム、トリフェニルホスフィン−塩化ロジウム、パラジウム−硫酸バリウムが用いられる。好適には、パラジウム炭素又は水酸化パラジウムである。
【0097】
圧力は、特に限定はないが、通常1乃至10気圧で行なわれる。
【0098】
反応温度は、室温乃至100℃である。
【0099】
反応時間は、1時間乃至24時間であり、好適には、1時間ないし5時間である。
【0100】
(第B-5工程)
塩基存在下、化合物(2d)のエステルを加水分解し、化合物(2e)を製造する工程である。
【0101】
エステルの加水分解は、有機合成化学の分野で周知の還元方法に準じて達成することができるが、好適には、酸存在下に行なう加水分解反応である。
【0102】
溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブのようなアルコール類、水又はそれらの混合溶媒が挙げられ、好適には、メタノールである。
【0103】
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物類が挙げられ、好適には水酸化ナトリウムである。
【0104】
反応温度は、室温乃至80℃である。
【0105】
反応時間は、1時間乃至12時間であり、好適には、1時間ないし5時間である。
【0106】
(C法)
(C-1法)
(第C-1-1工程)
化合物(4)と化合物(2e)を縮合し、化合物(5)を製造する工程である。
【0107】
縮合は、有機合成化学の分野で周知の方法に準じて達成することができるが、好適には、脱水縮合剤存在下に行なう反応である。
【0108】
溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブのようなアルコール類が挙げられ、好適には、ジメチルホルムアミド又はエタノールである。
【0109】
脱水縮合剤としては、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)- カルボジイミド塩酸塩、ジフェニルホスホリルアジド、塩化4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリウム水和物などが挙げられるが、好適には塩化4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリウム水和物である。
【0110】
反応温度は、0℃乃至50℃であり、好適には室温である。
【0111】
反応時間は、0.5時間乃至24時間であり、好適には10時間乃至20時間である。
【0112】
(第C-1-2工程)
化合物(5)のピペラジンの保護基であるL5を脱保護し、化合物(I)を製造する工程である。
【0113】
脱保護は、有機合成化学の分野で周知の方法に準じて達成することができるが、好適には、酸存在下に行なう加水分解反応である。
【0114】
溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類が好適である。
【0115】
酸としては、例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸のような有機酸が挙げられ、好適にはトリフルオロ酢酸である。
【0116】
反応温度は、0℃乃至50℃であり、好適には室温である。
【0117】
反応時間は、0.5時間乃至6時間であり、好適には1時間乃至2時間である。
(C-2法)
(第C-2-1工程)
化合物(2e)を酸ハロゲン化物とした後、塩基存在下で化合物(4a)と縮合し、化合物(5a)を製造する工程である。
【0118】
酸ハロゲン化物化は、有機合成化学の分野で周知の方法に準じて達成することができるが、好適には、チオニルクロライドやオキサリルクロライド等を用いた酸クロライド化である。酸ハロゲン化物化は、溶媒中で行なってもよく、好適には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類を溶媒として用いる。
【0119】
縮合時の溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類が挙げられ、好適には、芳香族炭化水素類である。
【0120】
塩基としては、好適には、N-メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、ピリジン、4-ピロリジノピリジン、ピコリン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、2,6-ジ(t-ブチル)-4-メチルピリジン、キノリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)のような有機塩基類が挙げられ、更に好適には、トリエチルアミンである。
【0121】
反応温度は、0℃乃至80℃であり、好適には0℃乃至室温である。
【0122】
反応時間は、0.5時間乃至3時間であり、好適には1時間乃至2時間である。
【0123】
(第C-2-2工程)
化合物(5a)を塩基存在下、アルキル化剤でアルキル化し、化合物(5)を製造する工程である。
【0124】
溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類が挙げられ、好適には、ジメチルホルムアミドである。
【0125】
塩基としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物類があげられ、好適には水素化ナトリウムである。
【0126】
アルキル化剤としては、好適には、ハロゲン化アルキルが挙げられ、更に好適には、ヨウ化アルキルである。
【0127】
反応温度は、0℃乃至100℃であり、好適には室温乃至60℃である。
【0128】
反応時間は、0.5時間乃至24時間であり、好適には1時間乃至4時間である。
(C-3法)
(第C-3-1工程)
化合物(4a)と化合物(1a)を縮合し、化合物(5c)を製造する工程である。
【0129】
縮合は、有機合成化学の分野で周知の方法に準じて達成することができるが、好適には、脱水縮合剤存在下に行なう反応である。
【0130】
溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブのようなアルコール類が挙げられ、好適には、ジメチルホルムアミド又はエタノールである。
【0131】
脱水縮合剤としては、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)- カルボジイミド塩酸塩、ジフェニルホスホリルアジド、塩化4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリウム水和物などが挙げられるが、好適には塩化4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリウム水和物である。
【0132】
反応温度は、0℃乃至50℃であり、好適には室温である。
【0133】
反応時間は、1時間乃至24時間であり、好適には6時間乃至12時間である。
【0134】
(第C-3-2工程)
化合物(5c)を塩基存在下、アルキル化剤でアルキル化し、化合物(5d)を製造する工程である。
【0135】
溶媒としては、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類が挙げられ、好適には、ジメチルホルムアミドである。
【0136】
塩基としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物類があげられ、好適には水素化ナトリウムである。
【0137】
アルキル化剤としては、好適には、ハロゲン化アルキルが挙げられ、更に好適には、ヨウ化アルキルである。
【0138】
反応温度は、0℃乃至100℃であり、好適には0℃乃至室温である。
【0139】
反応時間は、0.5時間乃至24時間であり、好適には1時間乃至5時間である。
【0140】
(第C-3-3工程)
化合物(5d)のピペリジンの保護基であるL1を脱保護し、化合物(5e)を製造する工程である。
【0141】
脱保護は、有機合成化学の分野で周知の方法に準じて達成することができるが、好適には、塩基存在下にチオール類を用いて行なう求核付加反応である。
【0142】
溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、例えば、アセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類が挙げられ、好適には、アセトニトリルである。
【0143】
塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムのようなアルカリ金属炭酸塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物類が挙げられ、好適にはアルカリ金属炭酸塩類である。
【0144】
チオール類としては、チオフェノールやチオグリコール酸などが挙げられる。
【0145】
反応温度は、室温乃至80℃であり、好適には室温である。
【0146】
反応時間は、1時間乃至24時間であり、好適には3時間乃至10時間である。
【0147】
(第C-3-4工程)
塩基存在下、化合物(5e)に化合物(3)を付加し、化合物(5)を製造する工程である。
【0148】
溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定はないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類が好適である。
【0149】
塩基としては、好適には、N-メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、ピリジン、4-ピロリジノピリジン、ピコリン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、2,6-ジ(t-ブチル)-4-メチルピリジン、キノリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)のような有機塩基類が挙げられ、更に好適には、トリエチルアミンである。
【0150】
反応温度は、0℃乃至50℃である。
【0151】
反応時間は、1時間乃至12時間である。
【0152】
上記各工程の反応終了後、目的化合物は常法に従って、反応混合物から採取される。例えば、反応混合物を適宜中和し、又、不溶物が存在する場合には濾過により除去した後、水と酢酸エチルのような混和しない有機溶媒を加え、水等で洗浄後、目的化合物を含む有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム等で乾燥後、溶剤を留去することによって得られる。
【0153】
得られた目的物は必要ならば常法、例えば再結晶、再沈殿、又は、通常、有機化合物の分離精製に慣用されている方法、例えば、吸着カラムクロマトグラフィー法、分配カラムクロマトグラフィー法等の合成吸着剤を使用する方法、イオン交換クロマトグラフィーを使用する方法、又は、シリカゲル若しくはアルキル化シリカゲルによる順相・逆相カラムクロマトグラフィー法を適宜組み合わせ、適切な溶離剤で溶出することによって分離、精製することができる。
【0154】
さらに、必要に応じて、キラルカラムにより光学活性体の分離、精製を行なうこともできる。
【0155】
本発明の前記一般式(I)を有するスルホンアミド誘導体化合物、その薬理上許容される塩は、種々の形態で投与される。その投与形態としては特に限定はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じて決定される。例えば錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤の場合には経口投与される。また注射剤の場合には単独であるいはぶどう糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更には必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与される。好適には経口投与である。
【0156】
これらの各種製剤は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、溶解剤、矯味矯臭、コーティング剤等既知の医薬製剤分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。
【0157】
錠剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ぶどう糖、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ぶどう糖液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤、乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、澱粉等の保湿剤、澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、硼酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が例示できる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
【0158】
丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えばぶどう糖、乳糖、澱粉、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナランカンテン等の崩壊剤等が例示できる。
【0159】
坐剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を挙げることができる。
【0160】
注射剤として調製される場合には、液剤および懸濁剤は殺菌され、且つ血液と等張であるのが好ましく、これら液剤、乳剤および懸濁剤の形態に成形するに際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されているものを全て使用でき、例えば水、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を挙げることができる。なお、この場合、等張性の溶液を調製するに十分な量の食塩、ぶどう糖、あるいはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
【0161】
更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有せしめてもよい。
【0162】
上記医薬製剤中に含まれる有効成分化合物の量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、通常全組成物中1〜70重量%、好ましくは1〜30重量%含まれる量とするのが適当である。
【0163】
その投与量は、症状、年令、体重、投与方法および剤型等によって異なるが、通常は成人に対して1日、下限として0.001mg/kg(好ましくは0.01mg/kg、更に好ましくは0.1mg/kg)であり、上限として200mg/kg(好ましくは20mg/kg、更に好ましくは10mg/kg)を1回ないし数回投与することができる。
【0164】
本発明の化合物は、前述の本発明が有効と考えられる疾患の種々の治療又は予防剤と併用することができる。当該併用は、同時投与或いは別個に連続して若しくは所望の時間間隔をおいて投与してもよい。同時投与製剤は、配合剤であっても別個に製剤化されていてもよい。
【発明の効果】
【0165】
本発明の化合物である、シクロヘキサン誘導体化合物及びその薬理上許容される塩は、優れた胃腸障害の介在胃作用等を有し、運動性低下に伴う胃腸障害、特に胃食道逆流症(GERD)、機能性ディスペプシア(FD)、便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)のような機能性腸障害、糖尿病性胃不全麻痺、便秘(糖尿病性神経障害・慢性便秘)、オピオイド誘発性腸機能障害、麻痺性イレウス、術後腸閉塞等の治療薬または予防薬として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0166】
次に実施例等をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0167】
<実施例1>1-(シクロヘキシルスルホニル)-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド
【0168】
【化8】

【0169】
(1A)1-[(2-ニトロフェニル)スルホニル]ピペリジン-4-カルボン酸
ピペリジン-4-カルボン酸(12.9 g、99.9 mmol)と炭酸水素ナトリウム(8.40 g、100 mmol)をアセトン(50 mL)と水(100 mL)に溶解し、2-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(22.2 g、100 mmol)を室温で加え、室温で6時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去し、得られた固体を水、アセトン、ヘキサンで洗浄し、標記目的化合物を白色固体(9.43 g、収率30%)として得た。
1H NMR(CDCl3, 400MHz) : δ 1.90-1.78 (2H, m), 2.07-1.98 (2H, m), 2.54-2.44 (1H, m), 3.02-2.92 (2H, m), 3.76 (2H, td, J = 8.6, 4.3 Hz), 7.64-7.60 (1H, m), 7.73-7.68 (2H, m), 8.03-7.98 (1H, m).
(1B)(2S)-2-メチル-4-{2-メチル-4-[メチル(ピペリジン-4-イルカルボニル)アミノ]ベンジル}ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
公知化合物である(2S)-4-[(4-アミノフェニル)メチル]-2-メチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(1.47 g、4.60 mmol)をジメチルホルムアミド(23 mL)に溶解し、(1A)で製造した1-[(2-ニトロフェニル)スルホニル]ピペリジン-4-カルボン酸(1.73 g、5.50 mmol)と塩化4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリウム水和物(1.73 g、約 5.52 mmol)を室温で加え、室温で終夜撹拌した。
【0170】
反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をジメチルホルムアミド(23 mL)に溶解し、水素化ナトリウム(60%、221 mg、5.53 mmol)を0℃で加えた。窒素雰囲気下、0℃で10分間撹拌した後、ヨウ化メチル(429 μL、6.89 mmol)を0℃で加え、窒素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。
【0171】
得られた粗生成物と炭酸セシウム(1.79 g、5.49 mmol)をアセトニトリル(25 mL)に溶解し、チオフェノール(760 mg、6.90 mmol)を室温で加え、室温で6時間撹拌した。
反応溶液に水を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:メタノール=100:0:0‐0:100:0‐0:80:20, v/v/v)で精製し、標記目的化合物を淡黄色油状物質(1.44 g、収率70%)として得た。
1H NMR(CDCl3, 400MHz) : δ 1.22 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.46 (9H, s), 1.57 (2H, d, J = 13.7 Hz), 1.77-1.63 (2H, m), 2.08-1.99 (1H, m), 2.21 (1H, dd, J = 11.3, 3.9 Hz), 2.41-2.31 (6H, m), 2.59 (1H, d, J = 11.0 Hz), 2.73 (1H, d, J = 10.2 Hz), 3.12-2.98 (3H, m), 3.23 (3H, s), 3.43 (2H, s), 3.82 (1H, d, J = 13.7 Hz), 4.26-4.16 (1H, m), 6.99-6.91 (2H, m), 7.30 (1H, d, J = 7.82 Hz).
(1C)1-(シクロヘキシルスルホニル)-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド
(1B)で製造した(2S)-2-メチル-4-{2-メチル-4-[メチル(ピペリジン-4-イルカルボニル)アミノ]ベンジル}ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(67.0 mg、0.151 mmol)とトリエチルアミン(23.0 mg、0.227 mmol)をジクロロメタン(1.5 mL)に溶解し、シクロヘキサンスルホニルクロリド(33.0 mg、0.181 mmol)を室温で加え、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をジクロロメタン(2 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1 mL)を室温で加え、室温で1時間撹拌した。
【0172】
反応液の溶媒を減圧留去して得られた残渣に、1N 水酸化ナトリウム水溶液を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー{シリカ表面シラノール基にアミノプロピルシランを化学結合させたシリカゲル(酢酸エチル:メタノール=100:0‐80:20, v/v)}で精製し、標記目的化合物を無色油状物質(39.0 mg、収率53%)として得た。
1H NMR(CDCl3, 400MHz) : δ 1.04 (3H, d, J = 6.3 Hz), 1.30-1.16 (3H, m), 1.52-1.38 (2H, m), 1.89-1.61 (8H, m), 2.13-2.02 (3H, m), 2.42-2.32 (4H, m), 3.01-2.62 (8H, m), 3.23 (3H, s), 3.45 (2H, s), 3.74-3.64 (2H, m), 6.96-6.91 (2H, m), 7.33 (1H, d, J = 7.4 Hz).
【0173】
<実施例2>1-[(4-クロロフェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド
【0174】
【化9】

【0175】
(2A)1-[(4-クロロフェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド
実施例(1B)で製造した(2S)-2-メチル-4-{2-メチル-4-[メチル(ピペリジン-4-イルカルボニル)アミノ]ベンジル}ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(67.0 mg、0.151 mmol)とトリエチルアミン(23.0 mg、0.227 mmol)をジクロロメタン(1.5 mL)に溶解し、4-クロロベンゼンスルホニルクロリド(38.0 mg、0.180 mmol)を室温で加え、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をジクロロメタン(2 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1 mL)を室温で加え、室温で1時間撹拌した。
【0176】
反応液の溶媒を減圧留去して得られた残渣に、1規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0‐80:20, v/v)で精製し、標記目的化合物を白色固体(60.0 mg、収率77%)として得た。
1H NMR(CDCl3, 400MHz) : δ 1.01 (3H, d, J = 6.3 Hz), 1.76-1.60 (3H, m), 1.96-1.83 (2H, m), 2.10-2.01 (1H, m), 2.27-2.12 (3H, m), 2.33 (3H, s), 2.74-2.67 (2H, m), 2.98-2.79 (3H, m), 3.19 (3H, s), 3.41 (2H, s), 3.72-3.63 (2H, m), 6.91-6.85 (2H, m), 7.29-7.26 (1H, m), 7.48-7.43 (2H, m), 7.67-7.62 (2H, m).
【0177】
<実施例3>1-[(5-クロロ-2-チエニル)フェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド
【0178】
【化10】

【0179】
(3A)1-[(5-クロロ-2-チエニル)フェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド
実施例(1B)で製造した(2S)-2-メチル-4-{2-メチル-4-[メチル(ピペリジン-4-イルカルボニル)アミノ]ベンジル}ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(67.0 mg、0.151 mmol)とトリエチルアミン(23.0 mg、0.227 mmol)をジクロロメタン(1.5 mL)に溶解し、5-クロロチオフェン-2-スルホニルクロリド(39.0 mg、0.180 mmol)を室温で加え、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。
反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。
得られた粗生成物をジクロロメタン(2 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1 mL)を室温で加え、室温で1時間撹拌した。
【0180】
反応液の溶媒を減圧留去して得られた残渣に、1規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0‐80:20, v/v)で精製し、標記目的化合物を無色油状物質(51.0 mg、収率64%)として得た。
1H NMR(CDCl3, 400MHz) : δ1.02 (3H, d, J = 6.3 Hz), 1.78-1.64 (3H, m), 2.00-1.87 (2H, m), 2.11-2.02 (1H, m), 2.33-2.22 (3H, m), 2.35 (3H, s), 2.76-2.68 (2H, m), 3.00-2.80 (3H, m), 3.20 (3H, s), 3.43 (2H, s), 3.73-3.64 (2H, m), 6.94-6.88 (3H, m), 7.25 (1H, d, J = 4.3 Hz), 7.30 (1H, d, J = 8.2 Hz).
【0181】
<実施例4>N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)-1-(ピペリジン-1-イルスルホニル)ピペリジン-4-カルボキサミド
【0182】
【化11】

【0183】
ピペリジン塩酸塩(1.10 g、9.05 mmol)をアセトニトリル(9 mL)に溶解し、塩化スルフリル(4.05 g、30.0 mmol)を室温で加え、窒素雰囲気下、加熱還流下、終夜撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去して得られた残渣にジエチルエーテルを加え、不溶成分を除去した後、溶媒を減圧留去し粗生成物を得た。
【0184】
次に、実施例(1B)で製造した(2S)-2-メチル-4-{2-メチル-4-[メチル(ピペリジン-4-イルカルボニル)アミノ]ベンジル}ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(67.0 mg、0.151 mmol)とトリエチルアミン(46.0 mg、0.454 mmol)をジクロロメタン(1.5 mL)に溶解し、得られた粗生成物(55.0 mg)を室温で加え、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。
【0185】
得られた粗生成物をジクロロメタン(2 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1 mL)を室温で加え、室温で1時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去して得られた残渣に、1規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0‐80:20, v/v)で精製し、標記目的化合物を無色油状物質(43.0 mg、収率58%)として得た。
1H NMR(CDCl3, 400MHz) : δ1.05 (3H, d, J = 6.3 Hz), 1.88-1.49 (11H, m), 2.13-2.04 (1H, m), 2.35-2.25 (1H, m), 2.37 (3H, s), 2.56-2.46 (2H, m), 2.79-2.70 (2H, m), 3.02-2.83 (3H, m), 3.19-3.13 (4H, m), 3.23 (3H, s), 3.45 (2H, s), 3.62-3.54 (2H, m), 6.96-6.90 (2H, m), 7.33 (1H, d, J = 7.4 Hz).
【0186】
<実施例5>1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド
【0187】
【化12】

【0188】
(5A) 2,2-ジメチルピペラジン-4-オン
2,2-ジメチル-4-オキソピペラジン-1-カルボン酸-tert-ブチル(1.0g、4.40mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液に室温にて、4規定塩酸のジオキサン溶液(10mL、40mmol)を加え、70℃にて1時間攪拌した。その後、室温に冷却し溶媒を減圧下留去し、標記化合物を油状物質として得た。
(5B) 1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-2,2-ジメチルピペリジン-4-オン
実施例(5A)で合成した2,2-ジメチルピペラジン-4-オン(764mg、4.67mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液に0℃にてトリエチルアミン(2.0mL、14.0mmol)、4-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(1.0g、5.14mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した。その後、反応液に水を加え、酢酸エチルで1回抽出し、得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20‐50:50、v/v)で精製することにより、標記化合物を油状物質(401mg、収率:30%)として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δppm: 7.86 (2H, m), 7.20 (2H, t, J=9.0Hz), 3.84 (2H, t, J=6.0Hz), 2.51 (2H, s), 2.49 (2H, s), 1.45 (6H, s).
(5C) 1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-2,2-ジメチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル トリフルオロメタンスルホン酸
実施例(5B)で合成した1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-2,2-ジメチルピペリジン-4-オン(402mg、1.40mmol)のテトラヒドロフラン(14mL)溶液に-78℃にてナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドの1Nテトラヒドロフラン溶液(1.69mL、1.68mmol)、N-フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(604mg、1.68mmol)を加え、同温にて1時間攪拌した。その後、反応液を室温まで昇温し1時間攪拌した。その後、反応液に飽和塩化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで1回抽出し、得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20‐50:50、v/v)で精製することにより、標記化合物を油状物質(429mg、収率:73%)として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δppm:7.83-7.80 (2H, m), 7.20-7.17 (2H, m), 5.86-5.84 (1H, m), 4.35 (2H, q, J=3.2Hz), 2.25-2.25 (2H, m), 1.36 (6H, s).
(5D) 1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-2,2-ジメチル-1,2,3,6-テトラヒロドピリジン-4-カルボン酸メチル
【0189】
実施例(5C)で合成した1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-2,2-ジメチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-イル トリフルオロメタンスルホン酸(429mg、1.03mmol)のメタノール(60mL)−N,N-ジメチルホルムアミド(40mL)溶液にトリエチルアミン(0.3mL、2.05mmol)、1,1′-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリド(25.2mg、0.03mmol)を加え、一酸化炭素雰囲気下で80℃にて5時間攪拌した。その後、反応液に水を加え、酢酸エチルで1回抽出し、得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20‐50:50、v/v)で精製することにより、標記化合物を油状物質(290mg、収率:82%)として得た。
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ: 7.83-7.80 (2H, m), 7.16 (2H, t, J = 9 Hz), 6.93-6.93 (1H, m), 4.32 (2H, q, J = 3 Hz), 3.75 (3H, s), 2.26-2.25 (2H, m), 1.29 (6H, s).
(5E) 1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-2,2-ジメチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-カルボン酸
【0190】
実施例(5D)で合成した1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-2,2-ジメチル-1,2,3,6-テトラヒロドピリジン-4-カルボン酸メチル(290mg、0.84mmol)のメタノール(10mL)溶液に10%水酸化パラジウム(30mg)を加え、水素雰囲気下で70℃にて5時間攪拌した。その後、反応液をセライト濾過をし、濾液を減圧下、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20‐50:50、v/v)で精製することにより、標記化合物を(290mg、収率:100%)油状物質として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δppm: 7.83-7.80 (2H, m), 7.17-7.15 (2H, m), 4.04 (1H, dt, J=13.1, 4.2Hz), 3.68 (3H, s), 3.14 (1H, ddd, J = 14.1,12.3,2.5Hz), 2.67-2.59 (1H, m), 2.06-2.03 (1H, m), 1.70-1.67 (3H, m), 1.43 (3H, s), 1.25 (3H, s).
(5F) 1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-2,2-ジメチルピペリジン-4-カルボン酸
【0191】
実施例(5E)で合成した1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-2,2-ジメチル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-4-カルボン酸(290mg、0.84mmol)のメタノール(10ml)溶液に2N水酸化ナトリウム(0.8mL、1.60mmol)を加え、60℃にて3時間攪拌した。その後、反応液に2N塩酸(1.0mL、2mmol)を加え、酢酸エチルで1回抽出し、得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20→50:50、v/v)で粗精製することにより、標記化合物を粗製物として得た。
(5G) (2S)-4-{4-[({1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-2,2-ジメチルピペリジン-4-イル}カルボニル)(メチル)アミノ]-2-メチルベンジル}-2-メチルピペラジン-1-カルボン酸-tert-メチル
【0192】
実施例(5F)で合成した1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-2,2-ジメチルピペリジン-4-カルボン酸(212mg、0.63mmol)および公知化合物である(2S)-2-メチル-4-[2-メチル-4-(メチルアミノ)ベンジル]ピペラジン-1-カルボン酸-tert-ブチル(200mg、0.63mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)溶液に4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホニウムクロリド水和物(224.2mg、0.76mmol)を室温にて加え、同温にて17時間攪拌した。その後、反応液に水を加え、酢酸エチルで1回抽出し、得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20‐50:50、v/v)で精製することにより、標記化合物を油状物質(192mg、収率:47%)として得た。
1H NMR(CDCl3,400MHz) δppm: 7.78 (2H, dd, J=9.0, 5.2Hz), 7.30 (1H, d, J=8.2Hz), 7.13 (2H, t, J=9.0Hz), 6.95-6.93 (2H, m), 4.20 (1H, brs), 4.05 (1H, s), 3.96 (1H, s), 3.84 (3H, m), 3.72 (1H, t, J =5.0Hz), 3.42-3.40 (2H, m), 3.22 (3H, s), 3.04 (1H, m), 2.88 (1H, m), 2.69 (1H, m), 2.56 (2H, m), 2.39 (3H, s), 2.19 (1H, m), 2.01 (1H, m), 1.76 (3H, m), 1.47 (9H, s), 1.19 (3H, dd, J=9.1, 7.4Hz), 0.88 (2H, d, J=5.2Hz).
(5H)1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド
【0193】
実施例(5G)で合成した(2S)-4-{4-[({1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-2,2-ジメチルピペリジン-4-イル}カルボニル)(メチル)アミノ]-2-メチルベンジル}-2-メチルピペラジン-1-カルボン酸-tert-メチル(192mg、0.30mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液に室温にて、トリフルオロ酢酸(10mL)を加え、室温にて30分攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0‐90:10、v/v)で精製することにより、標記化合物を油状物質(132mg、収率:81%)として得た。
1H NMR(CDCl3,400MHz) δppm: 7.77 (2H, dd, J=9.0, 5.5Hz), 7.29 (1H, d, J=8.2Hz), 7.13 (2H, t, J=9.1Hz), 6.96-6.94 (2H, m), 3.95 (1H, s), 3.85 (2H, t, J=5.0z), 3.73 (1H, t, J=5Hz), 3.51 (2H, s), 3.22 (3H, s), 3.15-3.12 (2H, m), 2.89-2.86 (1H, m), 2.78-2.75 (3H, m), 2.34 (3H, s), 2.07-2.04 (1H, m), 1.75-1.72 (3H, m), 1.34 (3H, s), 1.18 (3H, d, J=7.0Hz), 0.87 (3H, s).
【0194】
<実施例6>1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド 及びその塩酸塩
【0195】
【化13】

【0196】
(6A) (2S)-4-{4-[({1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]ピペリジン-4-イル}カルボニル)(メチル)アミノ]-2-メチルベンジル}-2-メチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]ピペリジン-4-カルボン酸(137 mg、0.476 mmol)をジクロロメタン(5 mL)に溶解し、オキサリルクロリド(130 μL、1.43 mmol)、触媒量のジメチルホルムアミドを0 ℃で加え、窒素雰囲気下、室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧留去して得られた残渣を、ジクロロメタン(15 mL)に溶解し、(2S)-2-メチル-4-[2-メチル-4-(メチルアミノ)ベンジル]ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(158 mg、0.474 mmol)とトリエチルアミン(200 μL、1.43 mmol)を0 ℃で加え、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。
【0197】
反応液に、室温で水を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0‐0:100, v/v)で精製し、標記目的化合物を無色油状物質(259 mg、収率90%)として得た。
1H NMR(CDCl3, 500MHz) :δ1.18(3H, d, J=6.8Hz), 1.47(9H, s), 1.64(2H, d, J=10.7Hz), 1.85-1.91(2H, m), 1.99-2.05(1H, m), 2.18-2.22(4H, m), 2.34(3H, s), 2.55(1H, d, J=11.2Hz), 2.69(1H, d, J=11.2Hz), 3.01-3.07(1H, m), 3.19(3H, s), 3.39(2H, s), 3.66-3.69(2H, m), 3.79-3.82(1H, m), 4.20(1H, br s), 6.88(1H, d, J=7.8Hz), 6.91(1H, s), 7.17(2H, t, J=8.8Hz), 7.27(1H, d, J=7.8Hz), 7.71-7.74(2H, m).
(6B) 1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド
実施例(6A)で製造した(2S)-4-{4-[({1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]ピペリジン-4-イル}カルボニル)(メチル)アミノ]-2-メチルベンジル}-2-メチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(259 mg、0.430 mmol)をジクロロメタン(2 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2 mL)を室温で加え、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応液にトルエン(10 mL)を加えた後、溶媒を減圧留去して得られた残渣に、2規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:メタノール=100:0:0‐0:100:0‐0:80:20, v/v/v)で精製し、標記目的化合物を白色固体(110 mg、収率51%)として得た。
1H NMR(CDCl3, 500MHz) :δ1.10(3H, d, J=6.3Hz), 1.64(2H, br d, J=16.1Hz), 1.72(1H, t, J=10.3Hz), 1.85-1.93(2H, m), 2.02-2.07(1H, m), 2.16-2.24(3H, m), 2.33(3H, s), 2.70(1H, d, J=11.2Hz), 2.83-2.95(3H, m), 3.19(3H, s), 3.41(2H, s), 3.66-3.69(2H, m), 6.88(1H, d, J=7.8Hz), 6.89(1H, s), 7.16(2H, t, J=8.8Hz), 7.28(1H, d, J=7.8Hz), 7.71-7.74(2H, m).
(6C) 1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド塩酸塩
(6B)で製造した1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド(450 mg、0.895 mmol)を酢酸エチル(10 mL)に溶解し、1規定塩酸ジエチルエーテル溶液(895μL、0.895 mmol)を室温で加えた後、固体をろ過により得た。得られた固体をメタノール(5 mL)に再溶解し、溶媒を減圧留去し、残渣をジエチルエーテルで洗浄し標記目的化合物を白色固体(286 mg、収率59%)として得た。
MS(ESI) m/z: 503 (M+H)+.
【0198】
<実施例7>N-エチル-1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル] メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド 及びその塩酸塩
【0199】
【化14】

【0200】
(7A) (2S)-4-{4-[({1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]ピペリジン-4-イル}カルボニル)アミノ]-2-メチルベンジル}-2-メチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]ピペリジン-4-カルボン酸(210 mg、0.731 mmol)をジクロロメタン(10 mL)に溶解し、オキサリルクロリド(200 μL、2.19 mmol)、触媒量のジメチルホルムアミドを0 ℃で加え、窒素雰囲気下、室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧留去して得られた残渣を、ジクロロメタン(15 mL)に溶解し、(2S)-4-(4-アミノ-2-メチルベンジル)-2-メチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(158 mg、0.474 mmol)とトリエチルアミン(200 μL、1.43 mmol)を0 ℃で加え、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。
【0201】
反応液に、室温で水を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0‐0:100, v/v)で精製し、標記目的化合物を無色油状物質(419 mg、収率97%)として得た。
1H NMR(CDCl3, 500MHz) :δ1.17(3H, d, J=6.8Hz), 1.45(9H, s), 1.89-2.04(5H, m), 2.12-2.15(1H, m), 2.18-2.24(1H, m), 2.34(3H, s), 2.49-2.55(3H, m), 2.66-2.68(1H, m), 2.98-3.04(1H, m), 3.35(2H, s), 3.75-3.80(2H, m), 4.16(1H, br s), 7.02(1H, s), 7.15-7.30(4H, m), 7.78-7.81(2H, m).
(7B) (2S)-4-{4-[エチル({1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]ピペリジン-4-イル}カルボニル)アミノ]-2-メチルベンジル}-2-メチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル
【0202】
実施例(7A)で製造した(2S)-4-{4-[({1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]ピペリジン-4-イル}カルボニル)アミノ]-2-メチルベンジル}-2-メチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(419 mg、0.712 mmol)をジメチルホルムアミド(10 mL)に溶解し、水素化ナトリウム(63%、35 mg、0.93 mmol)を0 ℃で加えた。窒素雰囲気下、室温で30分間撹拌した後、ヨウ化エチル(114μL、1.42 mmol)を室温で加え、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応溶液に水を加え、有機物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0‐0:100, v/v)で精製し、標記目的化合物を無色油状物質(370 mg、収率84%)として得た
1H NMR(CDCl3, 500MHz) :δ1.06(3H, t, J=7.3Hz), 1.18(3H, d, J=6.8Hz), 1.47(9H, s), 1.63(2H, d, J=13.2Hz), 1.84-2.00(2H, m), 2.00-2.05(1H, m), 2.12-2.21(4H, m), 2.34(3H, s), 2.55(1H, d, J=11.2Hz), 2.69(1H, d, J=11.2Hz), 3.02-3.08(1H, m), 3.39(2H, s), 3.64-3.68(4H, m), 3.80(1H, d, J=14.2Hz), 4.20(1H, br s), 6.85(1H, d, J=7.8Hz), 6.87(1H, s), 7.17(2H, t, J=8.3Hz), 7.27(1H, d, J=7.8Hz), 7.71-7.74(2H, m).
(7C) N-エチル-1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル] メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド
【0203】
実施例(7B)で製造した(2S)-4-{4-[エチル({1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]ピペリジン-4-イル}カルボニル)アミノ]-2-メチルベンジル}-2-メチルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル(370 mg、0.600 mmol)をジクロロメタン(2 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2 mL)を室温で加え、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応液にトルエン(10 mL)を加えた後、溶媒を減圧留去して得られた残渣に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機物をジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル:メタノール=100:0:0‐0:100:0‐0:80:20, v/v/v)で精製し、標記目的化合物を無色アモルファス状物質(242 mg、収率78%)として得た。
1H NMR(CDCl3, 400MHz) :δ1.11(3H, d, J=6.3Hz), 1.06(3H, t, J=7.0Hz), 1.61(2H, m), 1.71(1H, t, J=10.2Hz), 1.83-1.93(2H, m), 2.02-2.19(4H, m), 2.33(3H, s), 2.69-2.72(2H, m), 2.80-2.97(3H, m), 3.41(2H, s), 3.63-3.68(4H, m), 6.83-6.86(2H, m), 7.16(2H, t, J=8.6Hz), 7.28(1H, d, J=8.6Hz), 7.71-7.74(2H, m).
(7D)N-エチル-1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル] メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド塩酸塩
(7C)で製造したN-エチル-1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル] メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド(242 mg、0.468 mmol)を酢酸エチル(5 mL)に溶解し、1規定塩酸ジエチルエーテル溶液(460μL、0.468 mmol)を室温で加えた後、溶媒を減圧留去した。水(8 mL)に溶解させた後、-78 ℃に冷却し凍結させた。これを凍結乾燥機により凍結乾燥させることで、標記目的化合物を白色固体(240 mg、収率93%)として得た。
MS(ESI) m/z: 517 (M+H)+.
【0204】
<試験例1>[生理活性試験 (腸管収縮活性の測定)]
(1)使用動物
雄性NZWウサギ(体重2.5-3.0kg、北山ラベス(株)、長野)を使用した。
(2)試薬
カルバコール(塩化カルバミルコリン、シグマ-アルドリッチジャパン)は購入し使用した。社内化合物はジメチルスルホキシド(DMSO, シグマ-アルドリッチジャパン)で溶解し、生理食塩水で懸濁した。カルバコールは生理食塩水で溶解した。
(3)実験方法・結果
ウサギはペントバルビタールナトリウム(共立製薬(株)、大阪)を耳介静脈から投与し麻酔下で放血させ安楽死後、十二指腸部位を摘出し速やかにクレブス溶液(NaCl 120.0mM, KCl 4.7 mM, CaCl2 2.4 mM, KH2PO41.0 mM, MgSO4 1.2 mM, NaHCO3 24.5 mM, glucose 5.6 mM, pH 7.4)にて洗浄した。粘膜層を剥がした十二指腸平滑筋層を縦走筋方向の条片(10mm長、3mm幅)を作製し、その条片をマグヌス装置に取り付け、過度な自発運動を抑制するために31℃の95% O2 ,5% CO2含有クレブス液20mL中に浸し、1gの張力を付加した。条片が安定するまでクレブス溶液を15分毎に交換しながら1時間以上静置した。実験開始前にカルバコール10μM刺激で再現性のある収縮が得られるまで繰り返し刺激を行った。収縮活性はFDピックアップ(TB-611T、日本光電(株)、東京)にて測定し、ペンレコーダー(RECTI HORIZ-8K, Sanei、東京)で記録した。被験化合物は0.01nM-10μMになるようにクレブス液に添加し、累積投与によって条片を収縮させた。カルバコール10μM刺激時の収縮活性を100%として各濃度での収縮活性を求め、各被験化合物のEC50値を求めた。以下にEC50値を示す。
【0205】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)
【化1】


[式中、Aは、フェニレン基(C1-3アルキル基、C1-3アルコキシ基、ハロゲン原子で1-3個置換されていてもよい)を示し、
BはC6-10アリール基(該アリール基は、置換基群αから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)、C3-10シクロアルキル基(該シクロアルキル基は、置換基群αから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)、窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基(該複素環基は、置換基群αから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)を示し、
R1は水素原子又はC1-3アルキル基を示し、
R2は水素原子又はC1-3アルキル基を示し、
R3はC1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C1-3アルコキシC1-3アルキル基又はC1-3ヒドロキシアルキル基を示し、
R4は水素原子、C1-6アルキル基又はハロゲン原子を示し、
nは1乃至4の整数を示す。
(置換基群α)
ハロゲン原子、C1-C6アルキル基(該アルキル基は、カルボキシル基、C1-C6アルコキシカルボニル基又は窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基で1乃至3個置換されていてもよい)、C3-C10シクロアルキル基(該シクロアルキル基は、カルボキシル基、C1-C6アルコキシカルボニル基又は窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基で1乃至3個置換されていてもよい)、C1-C6ハロアルキル基(該ハロアルキル基は、カルボキシル基、C1-C6アルコキシカルボニル基又は窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基で1乃至3個置換されていてもよい)、C1-C6ヒドロキシアルキル基(該ヒドロキシアルキル基は、カルボキシル基、C1-C6アルコキシカルボニル基又は窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基で1乃至3個置換されていてもよい)、C1-C6アルコキシC1-C6アルキル基(該アルコキシアルキル基は、カルボキシル基、C1-C6アルコキシカルボニル基は窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基で1乃至3個置換されていてもよい)、窒素、酸素及び硫黄から選択される同一若しくは異なった1-4個のヘテロ原子を含む4-10員複素環基、C1-C6アミノアルキル基、C1-C6アルコキシ基、C1-C6ハロアルコキシ基、C1-C6ヒドロキシアルコキシ基、C6-C10アリールオキシ基、C1-C6アルキルチオ基、カルボキシ基、C1-C6アルコキシカルボニル基、水酸基、C1-C6脂肪族アシル基、アミノ基、C1-C6アルキルアミノ基、C3-C10シクロアルキルアミノ基、C1-C6ジアルキルアミノ基、C1-C6アルコキシアミノ基、C1-C6脂肪族アシルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、C1-C6アルキルスルホニル基、C1-C6ジアルキルアミノスルホニル基、C6-C10アリール基]で表される化合物又はその薬理上許容される塩、
【請求項2】
AがC1-3アルキル基で1-3個置換されていてもよいフェニレン基である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
BはC6-10アリール基(該アリール基は、置換基群αから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)であるである請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R1がC1-3アルキル基である請求項1乃至3のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項5】
R2が水素原子である請求項1乃至4のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項6】
R3がC1-6アルキル基である請求項1乃至5のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項7】
R4が水素原子又はC1-6アルキル基である請求項1乃至6のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項8】
nが1又は2の整数である請求項2乃至7のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項9】
1-(シクロヘキシルスルホニル)-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド、1-[(4-クロロフェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド、1-[(5-クロロ-2-チエニル)フェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド、N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)-1-(ピペリジン-1-イルスルホニル)ピペリジン-4-カルボキサミド、1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド、1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-メチル-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル]メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド、N-エチル-1-[(4-フルオロフェニル)スルホニル]-N-(3-メチル-4-{[(3S)-3-メチルピペラジン-1-イル] メチル}フェニル)ピペリジン-4-カルボキサミド。
【請求項10】
請求項2乃至9のいずれか一つに記載の化合物の薬理上許容される塩。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一つに記載の化合物又は薬理上許容される塩を有効成分として含有する医薬。

【公開番号】特開2012−67054(P2012−67054A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215402(P2010−215402)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(307010166)第一三共株式会社 (196)
【Fターム(参考)】