スレーブノード、及び、画像形成装置、及び、スレーブアドレス設定方法
【課題】スレーブノードとして共通デバイスを用いながらも、アドレスの設定や変更等の管理が容易に行なえるスレーブノードを提供する。
【解決手段】少なくとも一つのマスタノード9を備えたバス型シリアル通信システムに接続されるスレーブノード90(90a、90b、・・・)に、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて自己のスレーブアドレスを設定するアドレス生成部92(92a、92b、・・・)と、前記外部入力端子に入力されたアナログ電圧値を降圧して外部出力端子に出力する降圧回路93(93a、93b、・・・)と、前記アドレス生成部92に前記アナログ電圧値を前記スレーブアドレスに変換するアドレス変換テーブル94(94a、94b、・・・)を備え、前記外部出力端子と他のスレーブノードの外部入力端子を接続可能に構成する。
【解決手段】少なくとも一つのマスタノード9を備えたバス型シリアル通信システムに接続されるスレーブノード90(90a、90b、・・・)に、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて自己のスレーブアドレスを設定するアドレス生成部92(92a、92b、・・・)と、前記外部入力端子に入力されたアナログ電圧値を降圧して外部出力端子に出力する降圧回路93(93a、93b、・・・)と、前記アドレス生成部92に前記アナログ電圧値を前記スレーブアドレスに変換するアドレス変換テーブル94(94a、94b、・・・)を備え、前記外部出力端子と他のスレーブノードの外部入力端子を接続可能に構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに接続されるスレーブノード、及び、当該スレーブノードを搭載した画像形成装置、及び、当該スレーブノードのスレーブノードアドレス設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機などの画像形成装置を制御するために、高性能なCPUを備えた単一の制御部を備え、当該制御部により各部の制御を行うように構成すると、当該制御部の動作プログラムが非常に複雑なものとなり、プログラム開発期間が長くなるとともに、CPUが高価なために機器の製造コストや部品コストが上昇する。
【0003】
そこで、安価なCPUを備えた複数の制御部をシリアル通信ラインを介して接続し、夫々の制御部が像読取部や画像形成部等の被制御部を制御する分散制御システムを採用した画像形成装置が多く存在する。この場合、各制御部で実行されるプログラムが簡素になり、プログラムの開発期間の短縮を図ることができ、装置の製造コストや部品コストの上昇を抑えることができる。当該分散制御システムは、画像形成装置以外の多くの装置で頻繁に採用されている。
【0004】
このような分散制御システムに採用される通信システムの一つに、マスタノードと複数のスレーブノードがシリアルバスを介して接続され、マスタノードが各スレーブノードにポーリング処理して通信を行うバス型シリアル通信システムがある。
【0005】
バス型シリアル通信システムでは、各スレーブノードには事前に固有のスレーブアドレスが付与され、マスタノードがスレーブアドレスを指定して通信を許可するスレーブノードを選択し、選択したスレーブノードと通信を行ない、通信が終了するとマスタノードは他のスレーブノードのスレーブアドレスを指定して当該他のスレーブノードに通信を許可し、当該スレーブノードと通信を行なう。このような通信プロトコルに基づいてマスタノードと各スレーブノードは当該互いに通信しながら、システム全体の制御を実行する。
【0006】
特許文献1に記載されているように、従来、各スレーブノードのアドレスは、各スレーブノードにアドレスの桁数に応じたアドレス設定用の複数のアドレス設定端子をディップスイッチや抵抗を介してプルアップまたはプルダウンすることによって設定され、または、各スレーブノードに設けられたROM等に予め記憶されていた。
【0007】
前者の場合には、シリアル通信用の入出力端子の他にアドレス設定端子が数多く必要となり、コストの上昇を招き、後者の場合には、柔軟性に欠けるという問題があるため、特許文献1では、以下のアドレス設定方法が提案されている。
【0008】
つまり、第1乃至第Nのスレーブノードが接続された第1乃至第Nの主シリアルバスが第1乃至第(N−1)のノード制御回路によって隔てられ、バス型シリアル通信システムを初期電源投入することによって、第1乃至第Nのスレーブノードと第1乃至第(N−1)のノード制御回路とをパワーオンリセットし、第1のスレーブノードと第1のノード制御回路のみを第1の主シリアルバスを介して制御マスタノードに電気的に接続し、制御マスタノードが第1乃至第Nのスレーブノード用の第1乃至第Nのアドレス情報を、順次、第1の主シリアルバス上に送出し、それによって、第1乃至前記第(N−1)のノード制御回路が、それぞれ、第1乃至第(N−1)のアドレス情報を受けたときに、各自の入力と出力とを電気的に接続して、第2乃至第Nのスレーブノードを、順次、制御マスタノードに接続させ、第1乃至第Nのスレーブノードは、パワーオンリセット後に、最初に受信したアドレス情報を自己のアドレスとして設定することによって、第1乃至第Nのスレーブノードに、それぞれ、第1乃至第Nのアドレス情報が自己のアドレスとして設定されるアドレス設定方法である。
【特許文献1】特開平5−292098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された従来技術では、一度設定されたスレーブノードのアドレスを変更する必要が生じると、対応するアドレスデータが格納されたROMと交換したり、ディップスイッチを再度設定する必要があり、アドレスの変更設定等の管理が非常に煩雑である。さらに、スレーブアドレスを個別に設定する必要があるため、ハードウェア及びソフトウェアが共通のデバイスを用いて複数のスレーブノードを構成することが困難であるという問題もあった。
【0010】
他方、特許文献1で提案されたアドレス設定方法では、複数のノード制御回路を設ける必要があり、基板の大型化、実装部品の増大等に伴なうコストの上昇、信頼性の低下を招く虞がある点で従来と同様であり、電源投入後に全てのスレーブアドレスが設定されるまでの時間が長くなるという問題もあった。
【0011】
本発明の目的は、上述の問題に鑑み、スレーブノードとして共通デバイスを用いながらも、アドレスの設定や変更等の管理が容易に行なえるスレーブノード、及び、当該スレーブノードを搭載した画像形成装置、及び、当該スレーブノードのアドレス設定方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、本発明によるスレーブノードの第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに接続されるスレーブノードであって、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて自己のスレーブアドレスを設定するアドレス生成部を備えている点にある。
【0013】
上述の構成によれば、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて、アドレス生成部により自己のスレーブアドレスが設定されるので、スレーブノード側にアドレス設定のための個別の回路やROMを設け無くとも、外部入力端子に入力されるアナログ電圧値を適切に管理することにより、各スレーブノードを固有のアドレスに設定または変更することが極めて容易になる。その結果、複数のスレーブノードを共通に構成することも可能になる。
【0014】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記外部入力端子に入力されたアナログ電圧値を降圧して外部出力端子に出力する降圧回路を備え、前記外部出力端子と他のスレーブノードの外部入力端子が接続可能に構成されている点にある。
【0015】
上述の構成によれば、外部入力端子に入力されるアナログ電圧が降圧回路により降圧されて次のスレーブノードの外部入力端子に入力されるため、各スレーブノードのアドレス設定のための電圧を個別に調整する必要がなくなり、順次異なる電圧が入力される各スレーブノードでは、夫々のアドレス生成部により固有のアドレスが設定される。
【0016】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または二の特徴構成に加えて、前記アドレス生成部に前記アナログ電圧値を前記スレーブアドレスに変換するアドレス変換テーブルを備えている点にある。
【0017】
上述の構成によれば、アドレス生成部はアドレス変換テーブルを参照して、入力されるアナログ電圧値に対応するアドレスを設定することができる。
【0018】
本発明による画像形成装置の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに請求項1から3の何れかに記載のスレーブノードが複数接続され、各スレーブノードが前記マスタノードの指令に基づいて被制御部を制御するように構成されている点にある。
【0019】
上述の構成によれば、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて固有のアドレスが設定された各スレーブノードにより、マスタノードの指令のもと、被制御部の制御が分散して実行される。
【0020】
本発明によるスレーブアドレス設定方法の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに接続されるスレーブノードのスレーブアドレス設定方法であって、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて自己のスレーブアドレスを設定する点にある。
【0021】
上述の構成によれば、外部入力端子に入力するアナログ電圧値を適切に設定すれば、各スレーブノードのアドレスを容易に設定、または変更管理できる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明した通り、本発明によれば、スレーブノードとして共通デバイスを用いながらも、アドレスの設定や変更等の管理が容易に行なえるスレーブノード、及び、当該スレーブノードを搭載した画像形成装置、及び、当該スレーブノードのアドレス設定方法を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明にスレーブノードを用いた通信システムについて説明する。
【0024】
図1に示すように、マスタノード9に、シリアルバス8を介して複数のスレーブノード90(90a、90b、・・・)が接続されてバス型シリアル通信システムが構成されている。
【0025】
シリアルバス8は、マスタノード9と各スレーブノード90の間で送受信されるシリアルデータを伝送する双方向のデータライン80と、マスタノード9から送信されるクロック信号を伝送するクロック信号ライン81で構成されている。
【0026】
各スレーブノード90(90a、90b、・・・)はハードウェア及びソフトウェアが共通のデバイスで構成されている。以下、スレーブノード90aを例に説明する。スレーブノード90aは、シリアルバス8を介してマスタノード9とシリアル通信を行うシリアル通信部91aと、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて自己のスレーブアドレスを設定するアドレス生成部92aを備えている。
【0027】
アドレス生成部92aは、図2(a)に示すように、検出されたアナログ電圧値をスレーブアドレスに変換するアドレス変換テーブル94aを備え、アドレス変換テーブル94aを参照して、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づき、自己のアドレスを設定する。
【0028】
また、アドレス生成部92aは、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値を分圧抵抗により降圧して外部出力端子に出力する降圧回路93aを備え、外部出力端子と他のスレーブノードの外部入力端子が接続可能に構成されている。本実施形態では、あるスレーブノードの外部出力端子は、隣のスレーブノードの外部入力端子と接続されるように構成され、スレーブノード90aの外部出力端子は、スレーブノード90bの外部入力端子と接続されている。
【0029】
従って、マスタノード9の外部出力端子からスレーブノード90aの外部入力端子に入力されたアナログ電圧値Va1は降圧回路93aで降圧され、アナログ電圧値Va2がスレーブノード90bの外部入力端子に入力される。このように、各スレーブノード90の外部入力端子には異なるアナログ電圧値が入力され、各アドレス生成部92によって固有のアドレスが各スレーブノードに設定される。
【0030】
マスタノード9は、各スレーブノード90のアドレスが設定されたスレーブ属性テーブル900を備え、スレーブ属性テーブル900を参照してアドレスを指定し、ポーリング方式で各スレーブノード90とシリアル通信を行う。
【0031】
図2(b)に示すように、スレーブ属性テーブル900は、当該通信システムで各スレーブノード90が担う役割(例えば、スレーブノードが被制御部を制御する制御装置である場合、どの制御装置を制御するのかなど)を示すスレーブ属性に対応するアドレスが設定されたテーブルデータでなる。
【0032】
図3(a)に示すように、マスタノード9と各スレーブノード90の間でデータライン80を介して送受信されるデータにはヘッダが付加され、ヘッダには送信先のノードのアドレスが設定される。
【0033】
図3(b)に示すように、当該データは、クロック信号ライン81を伝送されるクロック信号に同期してデータライン80を介して送受信される。送信側のノードは、当該クロック信号の立上りエッジに同期してデータを送信し、受信側のノードは当該クロック信号の立下りエッジに同期してデータを受信する。
【0034】
マスタノード9とスレーブノード90間のデータ送受信について、マスタノード9とスレーブノード90a間のデータ送受信を例に説明すると、図3(c)に示すように、マスタノード9は、スレーブ属性テーブル900を参照してスレーブノード90aのアドレスをヘッダに設定した「送信確認」データをシリアルバス8に送信する。各スレーブノード90はシリアルバス8を介して受信した当該「送信確認データ」のヘッダに設定されたアドレスを確認し、自己のアドレスが設定していなければ破棄する。
【0035】
「送信確認データ」のヘッダに自己のアドレスが設定されていたスレーブノード90aは、シリアルバス8に「応答データ」を送信し、その後、送信すべきデータがあるときには、予め設定された所定時間以内に当該データをシリアルバス8に送信する。当該所定時間が経過すると、マスタノード9はヘッダにスレーブノード90aのアドレスが設定された「完了確認データ」をシリアルバス8に送信する。これにより、マスタノード9とスレーブノード90a間のデータ送受信は終了する。
【0036】
マスタノード9は、スレーブノード90aとの通信が終了すると、スレーブノード90bのアドレスをヘッダに設定した「送信確認データ」を送信して、スレーブノード90bとの通信を開始し、上述の手順の繰り返しにより、マスタノード9とスレーブノード90間のデータ送受信が行われる。
【0037】
図4に示すように、スレーブノード90aは、シリアル通信部91aが組み込まれたマイクロコンピュータ95aと、降圧回路93aや基準電圧生成回路99aや入出力インタフェース回路などの周辺回路を備えている。
【0038】
マイクロコンピュータ95aは、CPU96aと、CPU96aの動作プログラムが格納されたROMと、作業領域となるRAMと、シリアルバス8と接続され、マスタノード9とシリアル通信を行う通信制御部97aと、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値をA/D変換して取得し、CPU96aに入力するA/Dポート98a等を備える。
【0039】
マイクロコンピュータ95aは、ROMに格納された動作プログラムを実行して規定のアルゴリズムに従って動作し、自己のアドレスを設定し、マスタノード9とのシリアル通信を実行する。
【0040】
A/Dポート98aは、基準電圧生成回路99aから供給される基準電圧Vrefに基づいて、外部入力端子に入力されたアナログ電圧の値を取得する。
【0041】
ここで、各スレーブノード90には、同一の基準電圧Vrefが入力されるように、共通の基準電圧生成回路98が設けられ、各スレーブノード90に備えたA/Dポート98によるA/D変換値に誤差がないように構成されている。
【0042】
CPU96aは、ROMに記憶されたアドレス変換テーブル94aを参照して、A/Dポート98aから入力されたアナログ電圧値Va1に対応するアドレス「r」を自己のアドレス(ノードアドレス)としてRAMに記憶する。
【0043】
即ち、ROMに格納された動作プログラムとアドレス変換テーブル94aと、当該プログラムを実行するCPU96aと、A/Dポート98aにより、スレーブノード90aのアドレス生成部92aが構成される。
【0044】
通信制御部97aは、シリアルバス8を介して入力されたデータを受信バッファにセットしてCPU96aに割込みをかける。CPU96aは当該割込みにより受信バッファのデータのヘッダに設定されたアドレスを確認し、RAMに記憶された自己のアドレス「r」と一致すれば当該データを取り込み、一致しなければ破棄する。
【0045】
CPU96aは、送信すべきデータを送信バッファにセットして、通信制御部97aに対して送信コマンドを出力する。通信制御部97aは当該コマンドにより送信バッファにセットされたデータをシリアルバス8に送信する。
【0046】
即ち、ROMに格納された動作プログラムと、当該プログラムを実行するCPU96aと、通信制御部97aと、送信バッファと受信バッファにより、シリアル通信部91aが構成される。
【0047】
以下に、スレーブノード90aのアドレス設定方法について、図5に記したフローチャートを用いて説明する。
【0048】
スレーブノード90aに電源が投入されると、CPU96aは動作プログラムを実行してRAMの初期化や入出力ポート等のポート設定などの初期設定を実行する(S1〜S3)。
【0049】
CPU96aは、A/Dポート98aを介して外部入力端子に入力されたアナログ電圧値Va1を取得し、ROMに格納されたアドレス変換テーブル94aを参照して、当該アナログ電圧値Va1に対応するアドレス「r」を自己のアドレスとして設定し、RAMに記憶する(S4〜S6)。
【0050】
ここで、アドレス変換テーブル94aは、スレーブノード90aのROMに備えるものでなく、マスタノード9からシリアルバス8を介してスレーブノード90aにブロードキャストで送信されてRAMに格納されるものであってもよい。
【0051】
具体的には、例えば、全てのスレーブノード90(90a、90b、・・・)で受信可能なノードアドレスを予め設定しておき、マスタノード9は、当該ノードアドレスを設定したヘッダを付加して、アドレス変換テーブル94をブロードキャストで送信し、スレーブノード90aは、シリアルバス8を介して受信したアドレス変換テーブル94をアドレス変換テーブル94aとしてRAMに格納する。
【0052】
この場合、スレーブノード90aで予めROMにアドレス変換テーブル94aを設ける必要がないので、アドレス生成部92aにより設定される自己のアドレスの自由度が高まり、スレーブノード90aの汎用性が高くなる。
【0053】
また、マスタノード9は、各スレーブノード90のスレーブ属性に対応するアドレスが設定されたスレーブ属性テーブル900を備えるものとしたが、スレーブ属性テーブル900を備えず、通信システムへの電源投入時などに、シリアルバス8を介して、各スレーブノード90に夫々のスレーブ属性を問い合わせて、スレーブ属性テーブル900に対応するテーブルを生成するものであってもよい。
【0054】
具体的には、例えば、スレーブノード90が被制御部を制御する制御装置である場合、固有の信号を出力するポートを被制御部に備え、各スレーブノード90は、夫々の制御対象である被制御部から当該信号を受信して自らのスレーブ属性を取得することができるように構成することで、スレーブノード90が共通デバイスで構成される場合であっても、自らのスレーブ属性を取得することができる。
【0055】
この場合、例えば、被制御部が4つであるときには、2つのポートを用いることで、被制御部から固有の信号を出力させることができる。また、固有の信号を出力するポートに替えて、固有のコードを格納したROMを被制御部に備え、スレーブノードが当該ROMを参照することで自らのスレーブ属性を取得することができるものであってもよい。
【0056】
以下に、上述の通信システムを搭載した画像形成装置の実施形態について、カラーデジタル複写機を例に説明する。
【0057】
図6に示すように、電子写真方式を採用したタンデム式のカラーデジタル複写機100は、オペレータとのマンマシンインタフェースである操作部200と、原稿から原稿画像を光電変換して画像データとして読み取る画像読取部300と、画像読取部300によって読み取られた画像データに基づいてトナー像を形成し、用紙カセット430(431〜434)から搬送した用紙に当該トナー像を転写し、定着処理する画像形成部400などの機能ブロックを備え、各機能ブロックの動作は夫々に対応する制御部により制御される。
【0058】
上述したスレーブノード90は、現像制御部50として画像形成部400に複数配置され、マスタノードであるエンジンコントローラ5に制御される。エンジンコントローラ5に、シリアルバス6を介して各現像制御部50(50a、50b、50c、50d)が接続されてバス型シリアル通信システムが構成されており、エンジンコントローラ5は現像制御部50などを介して画像形成部400を統括制御する。
【0059】
画像形成部400は、図7に示すように、夫々がYMCKの何れかの色のトナー像を形成することで四色のトナー像を形成する四個の画像形成ユニット4(4a〜4d)を備える。画像形成ユニット4(4a〜4d)のハードウェアは同一に構成される。画像形成ユニット4のハードウェア構成について、画像形成ユニット4aを例に説明する。
【0060】
画像形成ユニット4aは、像担持体41aと、像担持体41aの周囲に順に配置され、像担持体41aに接触配置されて像担持体41aを帯電処理する帯電部材42aと、帯電された像担持体41aを露光して静電潜像を形成するプリントヘッド43aと、像担持体41aに形成された静電潜像にトナーを静電付着させてトナー像を顕像化する現像部44aと、像担持体41aに残留するトナーを除去して回収するクリーナ部45aと、像担持体41aの残留電位を落して均一にする除電ランプ46aを備えている。
【0061】
現像部44aは、像担持体41の静電潜像にトナーを静電付着させる現像ローラを備え、現像ローラは駆動用モータにより回転駆動される。また、現像部44aは、トナー濃度を検出するトナーセンサを備え、トナーセンサに検出されたトナー濃度に基づいて図示しないトナーカートリッジから現像部44aにトナーが供給される。
【0062】
駆動用モータの回転駆動制御とトナーセンサのトナー検出は、夫々に対応する現像制御部50(50a、50b、50c、50d)により制御される。各制御対象が同一デバイスであり、制御動作は共通であるため、各現像制御部50は共通の動作プログラムに基づき動作する共通デバイスで構成される。
【0063】
現像制御部50aを例に説明すると、図8に示すように、現像制御部50aは、マイクロコンピュータ53aと、周辺回路として、抵抗R540aでなる降圧回路54aと、マイクロコンピュータ53aからの制御信号に基づいて駆動用モータを回転駆動するモータ駆動回路71aと、トナーセンサから入力されるトナー濃度検出信号をマイクロコンピュータ53aに入力するセンサ信号入力回路70aを備える。即ち、現像制御部50aは本発明のスレーブノードである。現像制御部50aは、シリアル通信部55aとアドレス生成部56aを備える。
【0064】
カラーデジタル複写機100に電源が投入されると、現像制御部50aの外部入力端子には、エンジンコントローラ5から抵抗R51を介してアナログ電圧値Va1が入力される。アドレス生成部56aは、図9(a)に示すように、アナログ電圧の値と、当該電圧値に対応するアドレスが設定されたアドレス変換テーブル57aを参照して、アナログ電圧値Va1に基づき、自己のアドレスを設定する。また、アナログ電圧値Va1は降圧回路54aにより降圧されて外部出力端子から出力され、現像制御部50bの外部入力端子にアナログ電圧値Va2が入力される。
【0065】
他の現像制御部50b、50c、50dでも、同様に夫々のアドレス生成部56b、56c、56dにより、アドレスレス変換テーブル57b、57c、57dが参照されて、夫々の外部入力端子に入力されるアナログ電圧値Va2、Va3、Va4に基づき、固有のアドレスが設定される。
【0066】
エンジンコントローラ5は、図9(b)に示すように、各現像制御部50に設定されるアドレスと、当該アドレスが設定された現像制御部50に対応する画像形成ユニット4が備えるトナーの色をスレーブ属性とするスレーブ属性テーブル500を備えている。従って、エンジンコントローラ5は、スレーブ属性テーブル500を参照してアドレスを指定し、各現像制御部50と通信を行うことができる。
【0067】
以下に、別実施形態について説明する。
【0068】
上述の実施形態では、カラーデジタル複写機100は、各画像形成ユニット4の現像部44の駆動用モータの回転駆動制御とトナーセンサのトナー検出を行う4つの現像制御部を本発明のスレーブノードとして備えるものとして説明したが、図10に示すように、対応する画像形成ユニット4を固有に制御する4つの画像形成ユニット制御部40(40a〜40d)を本発明のスレーブノードとして備えるものであってもよい。
【0069】
上述の実施形態では、マスタノードであるエンジンコントローラ5は、スレーブノードである現像制御部50とバス型シリアル通信システムを構成するものとしたが、例えば、カラーデジタル複写機100の用紙カセット430(431〜434)の夫々に給紙制御部70(70a〜70d)を備え、給紙制御部70により各用紙カセット430の用紙の有無や用紙種別などを管理するように構成されるとき、図11(a)に示すように、エンジンコントローラ5は画像形成ユニットを統括制御する画像形成制御部5aと用紙カセット430(431〜434)からの用紙搬送を統括制御する搬送制御部5bの機能ブロックを備え、各機能ブロックがマスタノードとして機能して、画像形成制御部5aが現像制御部50とバス型シリアル通信システムを構成するとともに、同一のシリアルバスを用いて、搬送制御部5bが給紙制御部70とバス型シリアル通信システムを構成するものであってもよい。
【0070】
この場合、図12(a)に示すように、各現像制御部50と各給紙制御部70には、アナログ電圧の値と、当該電圧値に対応するアドレスが設定されたアドレス変換テーブル57(77)を備え、図12(b)に示すように、エンジンコントローラ5には、各現像制御部50と各給紙制御部70に設定される固有のアドレスと、当該アドレスが設定された現像制御部50または給紙制御部70のスレーブ属性が設定されたスレーブ属性テーブル500を備えることで、エンジンコントローラ5と各現像制御部50と各給紙制御部70の通信は可能となる。
【0071】
ここで、図12(b)では、現像制御部50に関しては、現像制御部50に対応する画像形成ユニット4が備えるトナーの色をスレーブ属性とし、給紙制御部70に関しては、給紙制御部70に対応する用紙カセット430が上から何段目であるのかをスレーブ属性としている。
【0072】
また、図11(b)に示すように、エンジンコントローラ5の備える画像形成制御部5aと搬送制御部5bが物理的に分離された2つの制御部から構成されるものであってもよい。
【0073】
これらの場合、各マスタノード(画像形成制御部5a及び搬送制御部5b)はシリアルバスの使用を所定時間毎に交代することで、夫々のスレーブノードとシリアル通信を行うことができ、夫々に対応する各スレーブノードの自己のアドレスを、本発明によるスレーブアドレス設定方法により設定することができる。ここで、図11(b)では、画像形成制御部5aと搬送制御部5bは、スレーブノードとのシリアル通信に使用するシリアルバスとは異なるバスラインで接続され、当該バスラインを用いて、夫々がシリアル通信に使用するシリアルバスの使用時間の交代タイミングを送受信すればよい。
【0074】
更には、図11(c)に示すように、各マスタノードに対応するスレーブノードは、夫々異なるシリアルバスにより夫々のマスタノードと接続されて個別のバス型シリアル通信システムを構成するものであってもよい。
【0075】
この場合、夫々のシステムで本発明のスレーブアドレス設定方法で各スレーブノードのアドレスを設定することができるため、夫々のシステムで各スレーブノードに対して同一のアドレスを設定するなど、設定するアドレスの自由度が向上するとともに、アドレスに対応するアナログ電圧値の電圧幅を大きく確保することができる。
【0076】
従って、スレーブノードに入力されるアナログ電圧値が、予期せぬノイズ等の発生などによって万が一、変動することがあっても、想定される電圧の変動幅を考慮してアドレスに対するアナログ電圧値の電圧幅を設定することで、スレーブノードに誤ったアドレスが設定されることを防止することができる。
【0077】
上述の実施形態では、現像制御部50(50a〜50d)が本発明のスレーブノードであり、エンジンコントローラ5がマスタノードであるものとして説明したが、例えば、画像読取部300でも画像形成部400と同様にバス型シリアル通信システムが構成され、当該システムのスレーブノードに本発明を適用するものであってもよい。
【0078】
具体的には、図13に示すように、画像読取部3に備えられたミラー走査機構を制御するミラー走査制御部30aや、原稿給紙台301に載置された原稿を搬送する原稿搬送機構を制御する原稿搬送制御部30bでなるスレーブノードと、それらを統括制御するスキャナコントローラ3によりバス型シリアル通信システムが構成され、画像読取部300と画像形成制御部400の夫々で本発明によるアドレス設定方法により各スレーブノードのアドレスが設定されるものであってもよい。
【0079】
ここで、共通な制御が可能な被制御部が制御対象である各現像制御部50は、ハードウェア及びソフトウェアが共通のデバイスで構成されるが、共通な制御が困難な被制御部が制御対象であるミラー走査制御部30aと原稿搬送制御部30bは、ハードウェアまたはソフトウェアを共通のデバイスで構成することはできない。しかし、何れのシステムであっても本発明を適用することは可能である。
【0080】
また、エンジンコントローラ5とスキャナコントローラ3は、夫々のシステムのマスタノードであるが、これらはカラーデジタル複写機100を統括制御するシステム制御部により制御されるため、システム制御部をマスタノードとするスレーブノードとしても動作する。
【0081】
上述のように、カラーデジタル複写機100で、複数のバス型シリアル通信システムが階層的に構成されている場合であっても、夫々のシステムで本発明のアドレス設定方法によりスレーブノードのアドレスを設定することができる。
【0082】
上述の実施形態では、本発明のスレーブノードを搭載した画像形成装置の一例として、カラーデジタル複写機100を例に説明を行ったが、マスタノードと、当該マスタノードの指令に基づいて被制御部を制御するスレーブノードにより構成されるバス型シリアル通信システムを採用するものであればカラーデジタル複写機100以外の画像形成装置に本発明のスレーブノードを搭載することができる。
【0083】
上述の実施形態では、各スレーブノード90に、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値を降圧して外部出力端子に出力する降圧回路93を備え、当該外部出力端子と他のスレーブノードの外部入力端子が接続可能に構成されているものとしたが、各スレーブノード90に降圧回路93を備えないものであってもよい。
【0084】
この場合、図14に示すように、例えば、マスタノード9から各スレーブノード90の外部入力端子に固有のアナログ電圧値を直接入力すればよく、更には、各スレーブノード90の外部入力端子に入力するアナログ電圧値は、マスタノード9からではなく、例えば、電源部などから入力されるものであってもよい。
【0085】
尚、上述した実施形態は何れも本発明の一実施例に過ぎず、当該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】スレーブノードを備えたバス型シリアル通信システムの説明図
【図2】(a)はアドレス変換テーブルの説明図、(b)はスレーブ属性テーブルの説明図
【図3】(a)はシリアル通信で送受信されるデータの説明図、(b)はシリアル通信で送受信されるデータとクロック信号の関係の説明図、(c)はマスタノードとスレーブノード間の通信の説明図
【図4】スレーブノードの構成図
【図5】スレーブノードでの自己のアドレス設定動作を説明するフローチャート
【図6】カラーデジタル複写機の機能ブロック図
【図7】画像形成部の説明図
【図8】現像制御部の説明図
【図9】(a)は現像制御部の備えるアドレス変換テーブルの説明図、(b)はエンジンコントローラの備えるスレーブ属性テーブルの説明図
【図10】別実施形態の画像形成部の説明図
【図11】(a)は別実施形態のカラーデジタル複写機の搭載するバス型シリアル通信システムの説明図、(b)は別実施形態のカラーデジタル複写機の搭載するバス型シリアル通信システムの説明図、(c)は別実施形態のカラーデジタル複写機の搭載するバス型シリアル通信システムの説明図
【図12】(a)は別実施形態の現像制御部と給紙制御部の備えるアドレス変換テーブルの説明図、(b)は別実施形態のエンジンコントローラの備えるスレーブ属性テーブルの説明図
【図13】別実施形態のカラーデジタル複写機の搭載するバス型シリアル通信システムの説明図
【図14】別実施形態のスレーブノードを備えたバス型シリアル通信システムの説明図
【符号の説明】
【0087】
8:シリアルバス
9:マスタノード
80:データライン
81:クロック信号ライン
90(90a、90b、・・・):スレーブノード
91(91a、91b、・・・)シリアル通信部
92(92a、92b、・・・):アドレス生成部
93(93a、93b、・・・):降圧回路
94(94a、94b・・・):アドレス変換テーブル
900:スレーブ属性テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに接続されるスレーブノード、及び、当該スレーブノードを搭載した画像形成装置、及び、当該スレーブノードのスレーブノードアドレス設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機などの画像形成装置を制御するために、高性能なCPUを備えた単一の制御部を備え、当該制御部により各部の制御を行うように構成すると、当該制御部の動作プログラムが非常に複雑なものとなり、プログラム開発期間が長くなるとともに、CPUが高価なために機器の製造コストや部品コストが上昇する。
【0003】
そこで、安価なCPUを備えた複数の制御部をシリアル通信ラインを介して接続し、夫々の制御部が像読取部や画像形成部等の被制御部を制御する分散制御システムを採用した画像形成装置が多く存在する。この場合、各制御部で実行されるプログラムが簡素になり、プログラムの開発期間の短縮を図ることができ、装置の製造コストや部品コストの上昇を抑えることができる。当該分散制御システムは、画像形成装置以外の多くの装置で頻繁に採用されている。
【0004】
このような分散制御システムに採用される通信システムの一つに、マスタノードと複数のスレーブノードがシリアルバスを介して接続され、マスタノードが各スレーブノードにポーリング処理して通信を行うバス型シリアル通信システムがある。
【0005】
バス型シリアル通信システムでは、各スレーブノードには事前に固有のスレーブアドレスが付与され、マスタノードがスレーブアドレスを指定して通信を許可するスレーブノードを選択し、選択したスレーブノードと通信を行ない、通信が終了するとマスタノードは他のスレーブノードのスレーブアドレスを指定して当該他のスレーブノードに通信を許可し、当該スレーブノードと通信を行なう。このような通信プロトコルに基づいてマスタノードと各スレーブノードは当該互いに通信しながら、システム全体の制御を実行する。
【0006】
特許文献1に記載されているように、従来、各スレーブノードのアドレスは、各スレーブノードにアドレスの桁数に応じたアドレス設定用の複数のアドレス設定端子をディップスイッチや抵抗を介してプルアップまたはプルダウンすることによって設定され、または、各スレーブノードに設けられたROM等に予め記憶されていた。
【0007】
前者の場合には、シリアル通信用の入出力端子の他にアドレス設定端子が数多く必要となり、コストの上昇を招き、後者の場合には、柔軟性に欠けるという問題があるため、特許文献1では、以下のアドレス設定方法が提案されている。
【0008】
つまり、第1乃至第Nのスレーブノードが接続された第1乃至第Nの主シリアルバスが第1乃至第(N−1)のノード制御回路によって隔てられ、バス型シリアル通信システムを初期電源投入することによって、第1乃至第Nのスレーブノードと第1乃至第(N−1)のノード制御回路とをパワーオンリセットし、第1のスレーブノードと第1のノード制御回路のみを第1の主シリアルバスを介して制御マスタノードに電気的に接続し、制御マスタノードが第1乃至第Nのスレーブノード用の第1乃至第Nのアドレス情報を、順次、第1の主シリアルバス上に送出し、それによって、第1乃至前記第(N−1)のノード制御回路が、それぞれ、第1乃至第(N−1)のアドレス情報を受けたときに、各自の入力と出力とを電気的に接続して、第2乃至第Nのスレーブノードを、順次、制御マスタノードに接続させ、第1乃至第Nのスレーブノードは、パワーオンリセット後に、最初に受信したアドレス情報を自己のアドレスとして設定することによって、第1乃至第Nのスレーブノードに、それぞれ、第1乃至第Nのアドレス情報が自己のアドレスとして設定されるアドレス設定方法である。
【特許文献1】特開平5−292098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された従来技術では、一度設定されたスレーブノードのアドレスを変更する必要が生じると、対応するアドレスデータが格納されたROMと交換したり、ディップスイッチを再度設定する必要があり、アドレスの変更設定等の管理が非常に煩雑である。さらに、スレーブアドレスを個別に設定する必要があるため、ハードウェア及びソフトウェアが共通のデバイスを用いて複数のスレーブノードを構成することが困難であるという問題もあった。
【0010】
他方、特許文献1で提案されたアドレス設定方法では、複数のノード制御回路を設ける必要があり、基板の大型化、実装部品の増大等に伴なうコストの上昇、信頼性の低下を招く虞がある点で従来と同様であり、電源投入後に全てのスレーブアドレスが設定されるまでの時間が長くなるという問題もあった。
【0011】
本発明の目的は、上述の問題に鑑み、スレーブノードとして共通デバイスを用いながらも、アドレスの設定や変更等の管理が容易に行なえるスレーブノード、及び、当該スレーブノードを搭載した画像形成装置、及び、当該スレーブノードのアドレス設定方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、本発明によるスレーブノードの第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに接続されるスレーブノードであって、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて自己のスレーブアドレスを設定するアドレス生成部を備えている点にある。
【0013】
上述の構成によれば、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて、アドレス生成部により自己のスレーブアドレスが設定されるので、スレーブノード側にアドレス設定のための個別の回路やROMを設け無くとも、外部入力端子に入力されるアナログ電圧値を適切に管理することにより、各スレーブノードを固有のアドレスに設定または変更することが極めて容易になる。その結果、複数のスレーブノードを共通に構成することも可能になる。
【0014】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記外部入力端子に入力されたアナログ電圧値を降圧して外部出力端子に出力する降圧回路を備え、前記外部出力端子と他のスレーブノードの外部入力端子が接続可能に構成されている点にある。
【0015】
上述の構成によれば、外部入力端子に入力されるアナログ電圧が降圧回路により降圧されて次のスレーブノードの外部入力端子に入力されるため、各スレーブノードのアドレス設定のための電圧を個別に調整する必要がなくなり、順次異なる電圧が入力される各スレーブノードでは、夫々のアドレス生成部により固有のアドレスが設定される。
【0016】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または二の特徴構成に加えて、前記アドレス生成部に前記アナログ電圧値を前記スレーブアドレスに変換するアドレス変換テーブルを備えている点にある。
【0017】
上述の構成によれば、アドレス生成部はアドレス変換テーブルを参照して、入力されるアナログ電圧値に対応するアドレスを設定することができる。
【0018】
本発明による画像形成装置の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに請求項1から3の何れかに記載のスレーブノードが複数接続され、各スレーブノードが前記マスタノードの指令に基づいて被制御部を制御するように構成されている点にある。
【0019】
上述の構成によれば、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて固有のアドレスが設定された各スレーブノードにより、マスタノードの指令のもと、被制御部の制御が分散して実行される。
【0020】
本発明によるスレーブアドレス設定方法の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに接続されるスレーブノードのスレーブアドレス設定方法であって、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて自己のスレーブアドレスを設定する点にある。
【0021】
上述の構成によれば、外部入力端子に入力するアナログ電圧値を適切に設定すれば、各スレーブノードのアドレスを容易に設定、または変更管理できる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明した通り、本発明によれば、スレーブノードとして共通デバイスを用いながらも、アドレスの設定や変更等の管理が容易に行なえるスレーブノード、及び、当該スレーブノードを搭載した画像形成装置、及び、当該スレーブノードのアドレス設定方法を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明にスレーブノードを用いた通信システムについて説明する。
【0024】
図1に示すように、マスタノード9に、シリアルバス8を介して複数のスレーブノード90(90a、90b、・・・)が接続されてバス型シリアル通信システムが構成されている。
【0025】
シリアルバス8は、マスタノード9と各スレーブノード90の間で送受信されるシリアルデータを伝送する双方向のデータライン80と、マスタノード9から送信されるクロック信号を伝送するクロック信号ライン81で構成されている。
【0026】
各スレーブノード90(90a、90b、・・・)はハードウェア及びソフトウェアが共通のデバイスで構成されている。以下、スレーブノード90aを例に説明する。スレーブノード90aは、シリアルバス8を介してマスタノード9とシリアル通信を行うシリアル通信部91aと、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて自己のスレーブアドレスを設定するアドレス生成部92aを備えている。
【0027】
アドレス生成部92aは、図2(a)に示すように、検出されたアナログ電圧値をスレーブアドレスに変換するアドレス変換テーブル94aを備え、アドレス変換テーブル94aを参照して、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づき、自己のアドレスを設定する。
【0028】
また、アドレス生成部92aは、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値を分圧抵抗により降圧して外部出力端子に出力する降圧回路93aを備え、外部出力端子と他のスレーブノードの外部入力端子が接続可能に構成されている。本実施形態では、あるスレーブノードの外部出力端子は、隣のスレーブノードの外部入力端子と接続されるように構成され、スレーブノード90aの外部出力端子は、スレーブノード90bの外部入力端子と接続されている。
【0029】
従って、マスタノード9の外部出力端子からスレーブノード90aの外部入力端子に入力されたアナログ電圧値Va1は降圧回路93aで降圧され、アナログ電圧値Va2がスレーブノード90bの外部入力端子に入力される。このように、各スレーブノード90の外部入力端子には異なるアナログ電圧値が入力され、各アドレス生成部92によって固有のアドレスが各スレーブノードに設定される。
【0030】
マスタノード9は、各スレーブノード90のアドレスが設定されたスレーブ属性テーブル900を備え、スレーブ属性テーブル900を参照してアドレスを指定し、ポーリング方式で各スレーブノード90とシリアル通信を行う。
【0031】
図2(b)に示すように、スレーブ属性テーブル900は、当該通信システムで各スレーブノード90が担う役割(例えば、スレーブノードが被制御部を制御する制御装置である場合、どの制御装置を制御するのかなど)を示すスレーブ属性に対応するアドレスが設定されたテーブルデータでなる。
【0032】
図3(a)に示すように、マスタノード9と各スレーブノード90の間でデータライン80を介して送受信されるデータにはヘッダが付加され、ヘッダには送信先のノードのアドレスが設定される。
【0033】
図3(b)に示すように、当該データは、クロック信号ライン81を伝送されるクロック信号に同期してデータライン80を介して送受信される。送信側のノードは、当該クロック信号の立上りエッジに同期してデータを送信し、受信側のノードは当該クロック信号の立下りエッジに同期してデータを受信する。
【0034】
マスタノード9とスレーブノード90間のデータ送受信について、マスタノード9とスレーブノード90a間のデータ送受信を例に説明すると、図3(c)に示すように、マスタノード9は、スレーブ属性テーブル900を参照してスレーブノード90aのアドレスをヘッダに設定した「送信確認」データをシリアルバス8に送信する。各スレーブノード90はシリアルバス8を介して受信した当該「送信確認データ」のヘッダに設定されたアドレスを確認し、自己のアドレスが設定していなければ破棄する。
【0035】
「送信確認データ」のヘッダに自己のアドレスが設定されていたスレーブノード90aは、シリアルバス8に「応答データ」を送信し、その後、送信すべきデータがあるときには、予め設定された所定時間以内に当該データをシリアルバス8に送信する。当該所定時間が経過すると、マスタノード9はヘッダにスレーブノード90aのアドレスが設定された「完了確認データ」をシリアルバス8に送信する。これにより、マスタノード9とスレーブノード90a間のデータ送受信は終了する。
【0036】
マスタノード9は、スレーブノード90aとの通信が終了すると、スレーブノード90bのアドレスをヘッダに設定した「送信確認データ」を送信して、スレーブノード90bとの通信を開始し、上述の手順の繰り返しにより、マスタノード9とスレーブノード90間のデータ送受信が行われる。
【0037】
図4に示すように、スレーブノード90aは、シリアル通信部91aが組み込まれたマイクロコンピュータ95aと、降圧回路93aや基準電圧生成回路99aや入出力インタフェース回路などの周辺回路を備えている。
【0038】
マイクロコンピュータ95aは、CPU96aと、CPU96aの動作プログラムが格納されたROMと、作業領域となるRAMと、シリアルバス8と接続され、マスタノード9とシリアル通信を行う通信制御部97aと、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値をA/D変換して取得し、CPU96aに入力するA/Dポート98a等を備える。
【0039】
マイクロコンピュータ95aは、ROMに格納された動作プログラムを実行して規定のアルゴリズムに従って動作し、自己のアドレスを設定し、マスタノード9とのシリアル通信を実行する。
【0040】
A/Dポート98aは、基準電圧生成回路99aから供給される基準電圧Vrefに基づいて、外部入力端子に入力されたアナログ電圧の値を取得する。
【0041】
ここで、各スレーブノード90には、同一の基準電圧Vrefが入力されるように、共通の基準電圧生成回路98が設けられ、各スレーブノード90に備えたA/Dポート98によるA/D変換値に誤差がないように構成されている。
【0042】
CPU96aは、ROMに記憶されたアドレス変換テーブル94aを参照して、A/Dポート98aから入力されたアナログ電圧値Va1に対応するアドレス「r」を自己のアドレス(ノードアドレス)としてRAMに記憶する。
【0043】
即ち、ROMに格納された動作プログラムとアドレス変換テーブル94aと、当該プログラムを実行するCPU96aと、A/Dポート98aにより、スレーブノード90aのアドレス生成部92aが構成される。
【0044】
通信制御部97aは、シリアルバス8を介して入力されたデータを受信バッファにセットしてCPU96aに割込みをかける。CPU96aは当該割込みにより受信バッファのデータのヘッダに設定されたアドレスを確認し、RAMに記憶された自己のアドレス「r」と一致すれば当該データを取り込み、一致しなければ破棄する。
【0045】
CPU96aは、送信すべきデータを送信バッファにセットして、通信制御部97aに対して送信コマンドを出力する。通信制御部97aは当該コマンドにより送信バッファにセットされたデータをシリアルバス8に送信する。
【0046】
即ち、ROMに格納された動作プログラムと、当該プログラムを実行するCPU96aと、通信制御部97aと、送信バッファと受信バッファにより、シリアル通信部91aが構成される。
【0047】
以下に、スレーブノード90aのアドレス設定方法について、図5に記したフローチャートを用いて説明する。
【0048】
スレーブノード90aに電源が投入されると、CPU96aは動作プログラムを実行してRAMの初期化や入出力ポート等のポート設定などの初期設定を実行する(S1〜S3)。
【0049】
CPU96aは、A/Dポート98aを介して外部入力端子に入力されたアナログ電圧値Va1を取得し、ROMに格納されたアドレス変換テーブル94aを参照して、当該アナログ電圧値Va1に対応するアドレス「r」を自己のアドレスとして設定し、RAMに記憶する(S4〜S6)。
【0050】
ここで、アドレス変換テーブル94aは、スレーブノード90aのROMに備えるものでなく、マスタノード9からシリアルバス8を介してスレーブノード90aにブロードキャストで送信されてRAMに格納されるものであってもよい。
【0051】
具体的には、例えば、全てのスレーブノード90(90a、90b、・・・)で受信可能なノードアドレスを予め設定しておき、マスタノード9は、当該ノードアドレスを設定したヘッダを付加して、アドレス変換テーブル94をブロードキャストで送信し、スレーブノード90aは、シリアルバス8を介して受信したアドレス変換テーブル94をアドレス変換テーブル94aとしてRAMに格納する。
【0052】
この場合、スレーブノード90aで予めROMにアドレス変換テーブル94aを設ける必要がないので、アドレス生成部92aにより設定される自己のアドレスの自由度が高まり、スレーブノード90aの汎用性が高くなる。
【0053】
また、マスタノード9は、各スレーブノード90のスレーブ属性に対応するアドレスが設定されたスレーブ属性テーブル900を備えるものとしたが、スレーブ属性テーブル900を備えず、通信システムへの電源投入時などに、シリアルバス8を介して、各スレーブノード90に夫々のスレーブ属性を問い合わせて、スレーブ属性テーブル900に対応するテーブルを生成するものであってもよい。
【0054】
具体的には、例えば、スレーブノード90が被制御部を制御する制御装置である場合、固有の信号を出力するポートを被制御部に備え、各スレーブノード90は、夫々の制御対象である被制御部から当該信号を受信して自らのスレーブ属性を取得することができるように構成することで、スレーブノード90が共通デバイスで構成される場合であっても、自らのスレーブ属性を取得することができる。
【0055】
この場合、例えば、被制御部が4つであるときには、2つのポートを用いることで、被制御部から固有の信号を出力させることができる。また、固有の信号を出力するポートに替えて、固有のコードを格納したROMを被制御部に備え、スレーブノードが当該ROMを参照することで自らのスレーブ属性を取得することができるものであってもよい。
【0056】
以下に、上述の通信システムを搭載した画像形成装置の実施形態について、カラーデジタル複写機を例に説明する。
【0057】
図6に示すように、電子写真方式を採用したタンデム式のカラーデジタル複写機100は、オペレータとのマンマシンインタフェースである操作部200と、原稿から原稿画像を光電変換して画像データとして読み取る画像読取部300と、画像読取部300によって読み取られた画像データに基づいてトナー像を形成し、用紙カセット430(431〜434)から搬送した用紙に当該トナー像を転写し、定着処理する画像形成部400などの機能ブロックを備え、各機能ブロックの動作は夫々に対応する制御部により制御される。
【0058】
上述したスレーブノード90は、現像制御部50として画像形成部400に複数配置され、マスタノードであるエンジンコントローラ5に制御される。エンジンコントローラ5に、シリアルバス6を介して各現像制御部50(50a、50b、50c、50d)が接続されてバス型シリアル通信システムが構成されており、エンジンコントローラ5は現像制御部50などを介して画像形成部400を統括制御する。
【0059】
画像形成部400は、図7に示すように、夫々がYMCKの何れかの色のトナー像を形成することで四色のトナー像を形成する四個の画像形成ユニット4(4a〜4d)を備える。画像形成ユニット4(4a〜4d)のハードウェアは同一に構成される。画像形成ユニット4のハードウェア構成について、画像形成ユニット4aを例に説明する。
【0060】
画像形成ユニット4aは、像担持体41aと、像担持体41aの周囲に順に配置され、像担持体41aに接触配置されて像担持体41aを帯電処理する帯電部材42aと、帯電された像担持体41aを露光して静電潜像を形成するプリントヘッド43aと、像担持体41aに形成された静電潜像にトナーを静電付着させてトナー像を顕像化する現像部44aと、像担持体41aに残留するトナーを除去して回収するクリーナ部45aと、像担持体41aの残留電位を落して均一にする除電ランプ46aを備えている。
【0061】
現像部44aは、像担持体41の静電潜像にトナーを静電付着させる現像ローラを備え、現像ローラは駆動用モータにより回転駆動される。また、現像部44aは、トナー濃度を検出するトナーセンサを備え、トナーセンサに検出されたトナー濃度に基づいて図示しないトナーカートリッジから現像部44aにトナーが供給される。
【0062】
駆動用モータの回転駆動制御とトナーセンサのトナー検出は、夫々に対応する現像制御部50(50a、50b、50c、50d)により制御される。各制御対象が同一デバイスであり、制御動作は共通であるため、各現像制御部50は共通の動作プログラムに基づき動作する共通デバイスで構成される。
【0063】
現像制御部50aを例に説明すると、図8に示すように、現像制御部50aは、マイクロコンピュータ53aと、周辺回路として、抵抗R540aでなる降圧回路54aと、マイクロコンピュータ53aからの制御信号に基づいて駆動用モータを回転駆動するモータ駆動回路71aと、トナーセンサから入力されるトナー濃度検出信号をマイクロコンピュータ53aに入力するセンサ信号入力回路70aを備える。即ち、現像制御部50aは本発明のスレーブノードである。現像制御部50aは、シリアル通信部55aとアドレス生成部56aを備える。
【0064】
カラーデジタル複写機100に電源が投入されると、現像制御部50aの外部入力端子には、エンジンコントローラ5から抵抗R51を介してアナログ電圧値Va1が入力される。アドレス生成部56aは、図9(a)に示すように、アナログ電圧の値と、当該電圧値に対応するアドレスが設定されたアドレス変換テーブル57aを参照して、アナログ電圧値Va1に基づき、自己のアドレスを設定する。また、アナログ電圧値Va1は降圧回路54aにより降圧されて外部出力端子から出力され、現像制御部50bの外部入力端子にアナログ電圧値Va2が入力される。
【0065】
他の現像制御部50b、50c、50dでも、同様に夫々のアドレス生成部56b、56c、56dにより、アドレスレス変換テーブル57b、57c、57dが参照されて、夫々の外部入力端子に入力されるアナログ電圧値Va2、Va3、Va4に基づき、固有のアドレスが設定される。
【0066】
エンジンコントローラ5は、図9(b)に示すように、各現像制御部50に設定されるアドレスと、当該アドレスが設定された現像制御部50に対応する画像形成ユニット4が備えるトナーの色をスレーブ属性とするスレーブ属性テーブル500を備えている。従って、エンジンコントローラ5は、スレーブ属性テーブル500を参照してアドレスを指定し、各現像制御部50と通信を行うことができる。
【0067】
以下に、別実施形態について説明する。
【0068】
上述の実施形態では、カラーデジタル複写機100は、各画像形成ユニット4の現像部44の駆動用モータの回転駆動制御とトナーセンサのトナー検出を行う4つの現像制御部を本発明のスレーブノードとして備えるものとして説明したが、図10に示すように、対応する画像形成ユニット4を固有に制御する4つの画像形成ユニット制御部40(40a〜40d)を本発明のスレーブノードとして備えるものであってもよい。
【0069】
上述の実施形態では、マスタノードであるエンジンコントローラ5は、スレーブノードである現像制御部50とバス型シリアル通信システムを構成するものとしたが、例えば、カラーデジタル複写機100の用紙カセット430(431〜434)の夫々に給紙制御部70(70a〜70d)を備え、給紙制御部70により各用紙カセット430の用紙の有無や用紙種別などを管理するように構成されるとき、図11(a)に示すように、エンジンコントローラ5は画像形成ユニットを統括制御する画像形成制御部5aと用紙カセット430(431〜434)からの用紙搬送を統括制御する搬送制御部5bの機能ブロックを備え、各機能ブロックがマスタノードとして機能して、画像形成制御部5aが現像制御部50とバス型シリアル通信システムを構成するとともに、同一のシリアルバスを用いて、搬送制御部5bが給紙制御部70とバス型シリアル通信システムを構成するものであってもよい。
【0070】
この場合、図12(a)に示すように、各現像制御部50と各給紙制御部70には、アナログ電圧の値と、当該電圧値に対応するアドレスが設定されたアドレス変換テーブル57(77)を備え、図12(b)に示すように、エンジンコントローラ5には、各現像制御部50と各給紙制御部70に設定される固有のアドレスと、当該アドレスが設定された現像制御部50または給紙制御部70のスレーブ属性が設定されたスレーブ属性テーブル500を備えることで、エンジンコントローラ5と各現像制御部50と各給紙制御部70の通信は可能となる。
【0071】
ここで、図12(b)では、現像制御部50に関しては、現像制御部50に対応する画像形成ユニット4が備えるトナーの色をスレーブ属性とし、給紙制御部70に関しては、給紙制御部70に対応する用紙カセット430が上から何段目であるのかをスレーブ属性としている。
【0072】
また、図11(b)に示すように、エンジンコントローラ5の備える画像形成制御部5aと搬送制御部5bが物理的に分離された2つの制御部から構成されるものであってもよい。
【0073】
これらの場合、各マスタノード(画像形成制御部5a及び搬送制御部5b)はシリアルバスの使用を所定時間毎に交代することで、夫々のスレーブノードとシリアル通信を行うことができ、夫々に対応する各スレーブノードの自己のアドレスを、本発明によるスレーブアドレス設定方法により設定することができる。ここで、図11(b)では、画像形成制御部5aと搬送制御部5bは、スレーブノードとのシリアル通信に使用するシリアルバスとは異なるバスラインで接続され、当該バスラインを用いて、夫々がシリアル通信に使用するシリアルバスの使用時間の交代タイミングを送受信すればよい。
【0074】
更には、図11(c)に示すように、各マスタノードに対応するスレーブノードは、夫々異なるシリアルバスにより夫々のマスタノードと接続されて個別のバス型シリアル通信システムを構成するものであってもよい。
【0075】
この場合、夫々のシステムで本発明のスレーブアドレス設定方法で各スレーブノードのアドレスを設定することができるため、夫々のシステムで各スレーブノードに対して同一のアドレスを設定するなど、設定するアドレスの自由度が向上するとともに、アドレスに対応するアナログ電圧値の電圧幅を大きく確保することができる。
【0076】
従って、スレーブノードに入力されるアナログ電圧値が、予期せぬノイズ等の発生などによって万が一、変動することがあっても、想定される電圧の変動幅を考慮してアドレスに対するアナログ電圧値の電圧幅を設定することで、スレーブノードに誤ったアドレスが設定されることを防止することができる。
【0077】
上述の実施形態では、現像制御部50(50a〜50d)が本発明のスレーブノードであり、エンジンコントローラ5がマスタノードであるものとして説明したが、例えば、画像読取部300でも画像形成部400と同様にバス型シリアル通信システムが構成され、当該システムのスレーブノードに本発明を適用するものであってもよい。
【0078】
具体的には、図13に示すように、画像読取部3に備えられたミラー走査機構を制御するミラー走査制御部30aや、原稿給紙台301に載置された原稿を搬送する原稿搬送機構を制御する原稿搬送制御部30bでなるスレーブノードと、それらを統括制御するスキャナコントローラ3によりバス型シリアル通信システムが構成され、画像読取部300と画像形成制御部400の夫々で本発明によるアドレス設定方法により各スレーブノードのアドレスが設定されるものであってもよい。
【0079】
ここで、共通な制御が可能な被制御部が制御対象である各現像制御部50は、ハードウェア及びソフトウェアが共通のデバイスで構成されるが、共通な制御が困難な被制御部が制御対象であるミラー走査制御部30aと原稿搬送制御部30bは、ハードウェアまたはソフトウェアを共通のデバイスで構成することはできない。しかし、何れのシステムであっても本発明を適用することは可能である。
【0080】
また、エンジンコントローラ5とスキャナコントローラ3は、夫々のシステムのマスタノードであるが、これらはカラーデジタル複写機100を統括制御するシステム制御部により制御されるため、システム制御部をマスタノードとするスレーブノードとしても動作する。
【0081】
上述のように、カラーデジタル複写機100で、複数のバス型シリアル通信システムが階層的に構成されている場合であっても、夫々のシステムで本発明のアドレス設定方法によりスレーブノードのアドレスを設定することができる。
【0082】
上述の実施形態では、本発明のスレーブノードを搭載した画像形成装置の一例として、カラーデジタル複写機100を例に説明を行ったが、マスタノードと、当該マスタノードの指令に基づいて被制御部を制御するスレーブノードにより構成されるバス型シリアル通信システムを採用するものであればカラーデジタル複写機100以外の画像形成装置に本発明のスレーブノードを搭載することができる。
【0083】
上述の実施形態では、各スレーブノード90に、外部入力端子に入力されたアナログ電圧値を降圧して外部出力端子に出力する降圧回路93を備え、当該外部出力端子と他のスレーブノードの外部入力端子が接続可能に構成されているものとしたが、各スレーブノード90に降圧回路93を備えないものであってもよい。
【0084】
この場合、図14に示すように、例えば、マスタノード9から各スレーブノード90の外部入力端子に固有のアナログ電圧値を直接入力すればよく、更には、各スレーブノード90の外部入力端子に入力するアナログ電圧値は、マスタノード9からではなく、例えば、電源部などから入力されるものであってもよい。
【0085】
尚、上述した実施形態は何れも本発明の一実施例に過ぎず、当該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】スレーブノードを備えたバス型シリアル通信システムの説明図
【図2】(a)はアドレス変換テーブルの説明図、(b)はスレーブ属性テーブルの説明図
【図3】(a)はシリアル通信で送受信されるデータの説明図、(b)はシリアル通信で送受信されるデータとクロック信号の関係の説明図、(c)はマスタノードとスレーブノード間の通信の説明図
【図4】スレーブノードの構成図
【図5】スレーブノードでの自己のアドレス設定動作を説明するフローチャート
【図6】カラーデジタル複写機の機能ブロック図
【図7】画像形成部の説明図
【図8】現像制御部の説明図
【図9】(a)は現像制御部の備えるアドレス変換テーブルの説明図、(b)はエンジンコントローラの備えるスレーブ属性テーブルの説明図
【図10】別実施形態の画像形成部の説明図
【図11】(a)は別実施形態のカラーデジタル複写機の搭載するバス型シリアル通信システムの説明図、(b)は別実施形態のカラーデジタル複写機の搭載するバス型シリアル通信システムの説明図、(c)は別実施形態のカラーデジタル複写機の搭載するバス型シリアル通信システムの説明図
【図12】(a)は別実施形態の現像制御部と給紙制御部の備えるアドレス変換テーブルの説明図、(b)は別実施形態のエンジンコントローラの備えるスレーブ属性テーブルの説明図
【図13】別実施形態のカラーデジタル複写機の搭載するバス型シリアル通信システムの説明図
【図14】別実施形態のスレーブノードを備えたバス型シリアル通信システムの説明図
【符号の説明】
【0087】
8:シリアルバス
9:マスタノード
80:データライン
81:クロック信号ライン
90(90a、90b、・・・):スレーブノード
91(91a、91b、・・・)シリアル通信部
92(92a、92b、・・・):アドレス生成部
93(93a、93b、・・・):降圧回路
94(94a、94b・・・):アドレス変換テーブル
900:スレーブ属性テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに接続されるスレーブノードであって、
外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて自己のスレーブアドレスを設定するアドレス生成部を備えているスレーブノード。
【請求項2】
前記外部入力端子に入力されたアナログ電圧値を降圧して外部出力端子に出力する降圧回路を備え、前記外部出力端子と他のスレーブノードの外部入力端子が接続可能に構成されている請求項1記載のスレーブノード。
【請求項3】
前記アドレス生成部に前記アナログ電圧値を前記スレーブアドレスに変換するアドレス変換テーブルを備えている請求項1または2記載のスレーブノード。
【請求項4】
少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに請求項1から3の何れかに記載のスレーブノードが複数接続され、各スレーブノードが前記マスタノードの指令に基づいて被制御部を制御するように構成されている画像形成装置。
【請求項5】
少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに接続されるスレーブノードのスレーブアドレス設定方法であって、
外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて自己のスレーブアドレスを設定するスレーブアドレス設定方法。
【請求項1】
少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに接続されるスレーブノードであって、
外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて自己のスレーブアドレスを設定するアドレス生成部を備えているスレーブノード。
【請求項2】
前記外部入力端子に入力されたアナログ電圧値を降圧して外部出力端子に出力する降圧回路を備え、前記外部出力端子と他のスレーブノードの外部入力端子が接続可能に構成されている請求項1記載のスレーブノード。
【請求項3】
前記アドレス生成部に前記アナログ電圧値を前記スレーブアドレスに変換するアドレス変換テーブルを備えている請求項1または2記載のスレーブノード。
【請求項4】
少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに請求項1から3の何れかに記載のスレーブノードが複数接続され、各スレーブノードが前記マスタノードの指令に基づいて被制御部を制御するように構成されている画像形成装置。
【請求項5】
少なくとも一つのマスタノードを備えたバス型シリアル通信システムに接続されるスレーブノードのスレーブアドレス設定方法であって、
外部入力端子に入力されたアナログ電圧値に基づいて自己のスレーブアドレスを設定するスレーブアドレス設定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−118155(P2009−118155A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288649(P2007−288649)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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