スロットル制御装置
【課題】ハンドルを左または右に回転したときに、左右回転状態でアクセルグリップの操作感が異なることのないスロットル制御装置を提供する。
【解決手段】グリップ7の一方側で該グリップを回動操作するアクセル操作部21と、一端が前記アクセル操作部に他端がアクセルポジションセンサに連結されたワイヤを介してアクセル操作部21の回動操作量をアクセルポジションセンサに伝達するスロットルワイヤ22と、アクセル操作部21の操作量を検出してスロットバルブを駆動する駆動信号を出力するアクセルポジションセンサユニット23と、アクセルポジションセンサユニット23からの駆動信号によってスロットルバルブを駆動する駆動モータユニットと、を有するスロットル制御装置20である。そして、アクセルポジションセンサユニット23が、ステアリング6と一体に回動するように取付けられている。
【解決手段】グリップ7の一方側で該グリップを回動操作するアクセル操作部21と、一端が前記アクセル操作部に他端がアクセルポジションセンサに連結されたワイヤを介してアクセル操作部21の回動操作量をアクセルポジションセンサに伝達するスロットルワイヤ22と、アクセル操作部21の操作量を検出してスロットバルブを駆動する駆動信号を出力するアクセルポジションセンサユニット23と、アクセルポジションセンサユニット23からの駆動信号によってスロットルバルブを駆動する駆動モータユニットと、を有するスロットル制御装置20である。そして、アクセルポジションセンサユニット23が、ステアリング6と一体に回動するように取付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関のスロットル制御装置に関し、特に、鞍乗型車両に適用して好適なスロットル制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍載型車両には、スロットルグリップとエンジンの吸入空気量を制御するスロットル弁とをスロットルワイヤを介して接続し、スロットルグリップの操作に応じてスロットル弁を連動動作する車両がある。そして、近年では、スロットルグリップの操作をアクセルポジションセンサ(APS)で検出し、この検出信号に基づいてスロットル弁を駆動モータで駆動する構成が採用されている。
【0003】
この種のスロットル弁をモータ駆動する鞍載型車両では、エンジンに連結されたスロットルボディ内のスロットル弁の一方の軸端にアクセルポジションセンサを配設しているため、アクセルポジションセンサがスロットルボディの横に配置されている。
従来のスロットル弁をモータ駆動する構成では、スロットル弁を手動操作する車両とほぼ同じ位置にスロットルワイヤを接続するので、スロットルワイヤの引き回しを同様にすることができ、スロットルの操作感をほぼ同じにすることができるというメリットがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−274925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前掲の特許文献1に開示された構造においては、アクセルポジションセンサ(APS)ユニットが車体フレームの一側に取付けられている。
そして、この構造においては当然のことながら、アクセルグリップとアクセルポジションセンサユニットとを連結しているスロットルワイヤが一側に延出している。
したがって、ハンドル操作において、ハンドルを左または右に回転する際に、スロットルワイヤの撓み状態が異なる状態が生じる。このことからスロットルワイヤにおけるワイヤ摺動の摩擦力がハンドル左右の回転状態で異なり、アクセルグリップの操作感が異なることがあった。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハンドルを左または右に回転したときに、左右回転状態でアクセルグリップの操作感が異なることのないスロットル制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ステアリングは、ステアリングシャフトの下部に前輪が取付けられ、前記ステアリングシャフトの上部に左右に延出するハンドルバーが取付けられて、前記前輪を操舵可能に構成されており、前記ハンドルバーの左右端部の一端側にはアクセル操作部を備え、前記アクセル操作部がスロットルワイヤを介してアクセルポジションセンサユニットに連結され、前記アクセル操作部のアクセル操作量を前記アクセルポジションセンサユニットに伝達し、前記アクセルポジションセンサユニットの駆動信号に基づいてスロットルバルブの駆動を制御する駆動モータユニットを備えるスロットル制御装置において、
前記アクセルポジションセンサユニットが、前記ステアリングと一体に回動するように取付けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記アクセルポジションセンサユニットは前記ハンドルバーに取り付けられ、かつ前記ハンドルバーを覆うハンドルカバーの内側に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記アクセルポジションセンサユニットは前記ステアリングシャフトに取り付けられ、かつ前記ステアリングシャフトを覆うフロントトップカバーの内側に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の構成に加えて、前記アクセルポジションセンサユニットは前記ステアリングシャフトの上方延長上に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1または2に記載の構成に加えて、前記ハンドルバーは、その左右両端側に延出する左右バー部が車両後方に延出してハンドルバー凹部が形成されており、前記アクセルポジションセンサユニットが、前記ハンドルバー凹部に配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の構成に加えて、前記スロットルワイヤは、前記ハンドルバーに巻き付つくように設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の構成に加えて、前記ヘッドパイプから車両の後下方に延出されたメインフレームの下方にエンジンが支持され、かつエアクリーナが前記エンジンよりも車両前方に位置されており、さらに、前記エアクリーナと前記エンジンとの間に前記スロットルバルブを駆動する前記駆動モータユニットが吸気通路の上方に配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の構成に加えて、前記吸気通路が前記メインフレームの下方側で該メインフレームに沿う向きに配置されており、前記駆動モータユニットの駆動モータが前記メインフレームと前記吸気通路との間に、モータ回転軸を上下方向にほぼ沿うように設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項7または8に記載の構成に加えて、前記スロットルバルブのスロットル回転軸が車体上下方向に沿って配置され、かつ前記駆動モータのモータ回転軸が前記スロットル回転軸と平行に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、アクセルポジションセンサユニットが、ステアリングと一体に回動するように配置されたことにより、スロットルワイヤは、ステアリングの右左への回動が行われた場合において、その取付け状態は常に変化することが無く、スロットルワイヤ自体に曲げ力や伸ばし力が作用しない。したがって、インナーケーブルとこのインナーケーブルを包むアウターケーブルとの間の摩擦力に変化が生じることはなく、アクセル操作用のグリップの回動操作感が常に安定した操作感を得ることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、ハンドルカバーがアクセルポジションセンサユニットを覆うように構成されているので、アクセルポジションセンサユニットを保護するための特別な保護部材を不要とすることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、フロントトップカバーがアクセルポジションセンサユニットを覆うように構成されているので、アクセルポジションセンサユニットを保護するための特別な保護部材を不要とすることができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、アクセルポジションセンサユニットがステアリングシャフトの上方側の延長上に配置されていることで、該アクセルポジションセンサユニットの重量がハンドルの回転中心部分に位置させることができるので、ハンドル操作性を良好に維持できる。
【0020】
請求項5の発明によれば、ハンドルバーの曲がった形状で凹部を有している構造において、その凹部のスペースにアクセルポジションセンサユニットが設けられるので、アクセルポジションセンサユニットを設けることによる車体の突出部分を無くすことができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、スロットルワイヤがハンドルバーに巻き付けられていることにより、インナーケーブルとこのインナーケーブルを包むアウターケーブルとの間の摩擦力を調整することができる。したがって、スロットルワイヤが短い場合でも、スロットル操作用グリップの回転操作時の摩擦力を大きくでき、スロットル操作時の操作感を良好にできる。
【0022】
請求項7の発明によれば、駆動モータユニットが吸気通路の上方に配置されることにより、アクセルポジションセンサユニットと駆動モータユニットの距離を近づけることができ、スロットル制御装置を構成する構成部材間の距離を近づけて配線を短くすることが可能となる。
【0023】
請求項8の発明によれば、吸気通路とメインフレームとの上下方向のスペースに駆動モータユニットのモータ回転軸が縦になるように配置されることにより、駆動モータユニットによる車幅方向の突出を抑えることができる。
【0024】
請求項9の発明によれば、スロットルバルブのスロットル回転軸が駆動モータのモータ回転軸と平行に配置されているので、駆動モータユニットの駆動系の歯車に平歯車を使用でき、駆動モータユニットの構成の簡素化、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るスロットル制御装置を適用した自動二輪車の第1実施形態における左側面図である。
【図2】図1に示す自動二輪車のステアリングの一部を示す概略斜視図である。
【図3】図1に示す自動二輪車におけるアクセルポジションセンサユニットの取付け状態を示す部分斜視図である。
【図4】図1に示す自動二輪車におけるステアリングにおいてヘッドライトを取り外した状態を示す正面図である。
【図5】図1に示す自動二輪車におけるアクセルポジションセンサユニットの取付け状態を車両正面方向から見た正面図である。
【図6】本発明に係る第1実施形態における駆動モータを制御するためのブロック図である。
【図7】本発明に係る第1実施形態における吸気系ならびに駆動モータユニットの要部を拡大した概略側面図である。
【図8】図7におけるX−X線に沿った部分の概略端面図である。
【図9】本発明に係る第2実施形態におけるステアリングを車両正面方向から見て、ヘッドライトを取り外した状態を示す正面図である。
【図10】本発明に係る第3実施形態におけるステアリングにおいて、ハンドルのアッパーカバーを取り外した状態で車両上面側から見た平面図である。
【図11】本発明に係る第4実施形態におけるステアリングを正面側から見るとともに、要部を強調した概略正面図である。
【図12】本発明に係る第5実施形態におけるステアリングにおいて、ハンドルのトップカバーを取り外した状態で車両上面側から見た平面図である。
【図13】図12に示す第5実施形態における要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るスロットル制御装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、図面は符号の向きに見るものとし、図中におけるFrは車両前方を、Rrは車両後方を、Upは車両上方を、Dwは車両下方を、Rは車両右側を、Lは車両左側を示すものとする。
まず、図1〜図8を用いて本発明に係るスロットル制御装置を自動二輪車に適用した第1実施形態について説明する。
【0027】
(第1実施形態)
本実施形態における自動二輪車1は、図1に示すように、前部に前輪72を備え、後部に後輪73を備え、中央下部にエンジン9を備え、中央上部にシート76を備え、このシート76の前方に跨ぎ空間65を備えた構成である。
そして、乗員は乗り降りの際には、跨ぎ空間65を介して足を通過させるようにしてシート76に跨り乗車し、運転の際には、ステップ85,85に足を載せて、シフトペダル86を操作し、グリップ7a,7bを握りながら走行させる鞍乗型車両である。
【0028】
また、この自動二輪車1は、停車中においては、車両下方側に設けられたセンタースタンド88が起立されることで、後輪73を地面から浮かせるようにして保持される。
【0029】
本実施形態における自動二輪車1は、車体フレーム2並びにエンジン9やその他各種部材を覆うようにカバー部材により適宜覆われている。
このカバー部材は、各部をそれぞれ覆う複数の部材から構成されている。例えば、ハンドルバー5(図4等を参照)においては、その両端のグリップ7a,7bおよびその近傍の部材を残してハンドルカバー10で適宜覆われている。また、このハンドルカバー10の前部の中央にはヘッドライト15が設けられている。
また、前輪72は、その上方側がフロントフェンダ84により覆われており、後輪73についても同様にその上方側がリアフェンダ85によって覆われている。
【0030】
本実施形態においては、エンジン9から後輪73への駆動力伝達には、チェーンケース79内に収納されたチェーンによって行われる。すなわち、チェーンケース79は、スイングアーム74の先端側に設けられた後輪側のスプロケットおよびチェーンを覆うように該スイングアーム74に沿って設けられている。
なお、スイングアーム74の後端と荷台の下方側の車体フレーム2との間には、クッションユニット75,75が設けられている。
【0031】
また、カバー部材は、前掲のもの以外に、シート76の下に設けられたサイドカバー83と、シート前方に設けられたフロントカバー81と、このフロントカバー81の前に設けられたフロントトップカバー11等を有して構成されている。また、フロントカバー81は、乗員の脚を前から囲うレッグシールド部82を備えている。
【0032】
本実施形態においては、車体フレーム2は、ステアリングシャフト4を保持するヘッドパイプ3と、このヘッドパイプ3から車両後方(図右)に斜め下方へ延びているメインフレーム8と、このメインフレーム8の後部から後方へ斜め上に延びているリアフレーム(図示せず)と、このリアフレームとメインフレーム8とを繋ぐサブフレーム等(図示せず)からなる。
【0033】
そして、メインフレーム8によって、車体のほぼ中央部においてエンジン9はシリンダボディ30が前方へ略水平に延びた状態で支持されている。また、シリンダヘッド39の斜め上方にはエアクリーナ40等の吸気系がフロントカバー81の内側に配置されている。
なお、シート76の下側には燃料タンク78が配置されている。また、エンジン9にて燃焼された排気ガスは、車体下方の排気管91およびマフラー92を介して車体後方に排出される。
【0034】
本実施形態においては、ハンドルカバー10は、ステアリング6の上方側を覆うように構成されている。このハンドルカバー10は、ステアリングシャフト4の上端部分およびこのステアリングシャフト4に対して左右に立ち上がるように適宜湾曲して水平方向に延出するハンドルバー5(図2および図4参照)を覆うように構成されている。なお、ヘッドライト15は、その前面及び前方側外周縁部分を残してハンドルカバー10によって覆われている。
【0035】
このハンドルカバー10は、図4に示すように、ハンドルバー5およびヘッドライト15の上方を覆うように構成されたアッパーカバー10aと、ハンドルバー5およびヘッドライト15の下方を覆うように構成されたロアカバー10bとを有して構成されている。また、ハンドルカバー10は、ヘッドライト15の両側方に設けられたウィンカーライト13,13の一部を覆うように構成され,さらに、ハンドルパイプ左右両側に設けられたグリップ7a,7bを残して覆うように構成されている。
【0036】
なお、アッパーカバー10aは、ハンドルバー5の上面側を覆うと共にハンドル中央に配置されるメータが装着されるメータ用の開口部やバックミラー14,14用の開口が適宜設けられた構成となっている。
【0037】
一方、ロアカバー10bは、ハンドルバー5の下面側を覆い、その中央にはステアリングシャフト4が貫通可能な開口や側面には例えばスロットルワイヤ22が貫通可能な開口10e(図2および図4参照)等を備えた構造となっている。
【0038】
このハンドルカバー10は、アッパーカバー10aとロアカバー10bとがその合わせ部10cにて上下方向から合わせられてなる構成であり、その内側には、ハンドルバー5およびその周辺の電装品を内装可能に構成されている。すなわち、ハンドルカバー10の周辺に設けられるヘッドライト15,ウィンカーライト13,13、メータ等の電装品であるコンビネーションメータカプラ19a,19b、ヘッドライトカプラ15a、スタータスイッチ18ならびにそれらを接続する配線13a,18aやハーネス17a、さらにはフロントブレーキ12に接続されたブレーキケーブル12a等を内装するように構成されている。
【0039】
本実施形態においては、スロットバルブ35(図7及び図8参照)を駆動制御するスロットル制御装置20が設けられている。
このスロットル制御装置20は、後述するアクセル操作部21(図2参照)、スロットルワイヤ22(図2参照)、アクセルポジションセンサユニット23(図3参照)、駆動モータユニット24(図7及び図8参照)および駆動モータユニット24を制御する電子制御装置200(図6参照)等を有して構成されている。
【0040】
本実施形態におけるアクセル操作部21は、左右グリップ7a,7bの一方側の回動可能な右グリップ7aとスロットルワイヤ22の接続部分である連結部7dとを備えた構造である。また、このアクセル操作部21とスロットルワイヤ22を介して接続されたアクセルポジションセンサユニット23は、図4に示すように、ヘッドライト15(図4においてはヘッドライト15が削除されている)の後方かつ若干下方側に配置されている。
なお、本実施形態においては、スロットルワイヤ22は、右グリップ7aの連結部7dの下方側に延出されて、ロアカバー10bの下方寄りに設けられた開口10eを通ってアクセルポジションセンサユニット23に接続されている。
【0041】
以下、アクセルポジションセンサユニット23について説明する。
アクセルポジションセンサユニット23(以下、「APSユニット」とも云う)は、図3に示すように、例えば、ハンドルバー5の左側バー5Lの下方に湾曲した部分にブラケット23kを介してねじ5b,5bで固定されている。
このAPSユニット23は、板状のセンサ本体であるセンサ支持板23jがブラケット23kの先端側に固定されている。そして、このセンサ支持板23jには、スロットルドラム23dが回転自在に取り付けられている。
【0042】
このスロットルドラム23dには、アクセル操作部21から引き出されたスロットルワイヤ22内の2本のスロットルケーブル22a,22bが連結されている。そして、一方のスロットルケーブル22aは、例えば、右グリップ7aが開き側に回動するのに応じて牽引される開き側スロットルケーブルとして機能し、他方のスロットルケーブル22bは、右グリップ7aが閉じ側に回動するのに応じて牽引される閉じ側スロットルケーブルとして機能する。なお、スロットルケーブル22aのみを設け、不図示のスプリングの付勢力で右グリップ7aを閉じ側に回動させても良い。
【0043】
APSユニット23について、図5を参照して更に詳しく説明する。
図5に示すように、これらスロットルケーブル22a,22bは、アウターケーブル122a、122b内にインナーケーブル123a、123bが移動自在に挿通されたプッシュプルケーブルが使用されている。
このスロットルワイヤ22は、各スロットルケーブル22a,22bが、例えば、外被覆22c(図3参照)によって外観上一本に束ねられており、グリップ7aの連結部7dの下方側(図2参照)からハンドルバー5のほぼ中央付近に向けて引き回されている。そして、図3および図5に示すように、アウターケーブル122a、122bの端部が、センサ支持板23jの前端部に形成されたケーブル支持板部23bに支持、固定されている。
【0044】
本実施形態においては、図5に示すように、開き側スロットルケーブル22aのアウターケーブル122aから引き出されたインナーケーブル123aは、その一端に設けられた係合駒23iが、スロットルドラム23d(図3参照)に係合しつつスロットルドラム23dの外周に巻き掛けられる。この開き側スロットルケーブル22aの巻き掛け方向は、牽引時にスロットルドラムが、図5において矢印で示す開き方向Mに回動駆動する方向に設定される。
また、閉じ側スロットルケーブル22bのアウターケーブル122bから引き出されたインナーケーブル123bは、その一端に設けられた係合駒23hが、スロットルドラム23dに係合しつつスロットルドラム23dの外周に巻き掛けられ、この巻き掛け方向は、牽引時にスロットルドラム23dが、図5に矢印で示す閉じ方向Nに回動駆動する方向に設定される。
【0045】
スロットルドラム23dは、図3に示すように、スロットルケーブル22a,22bが巻き掛けられる回動円板23eを有しており、この回動円板23eは、そのドラム軸111を中心に回動自在に軸支されると共に、捻りばねである戻しばね23fによって閉じ方向Nに回転付勢される。
このため、右グリップ7aが開くと、戻しばね23fの付勢力に抗して回動円板23eが開き方向Mに回動し、右グリップ7aが戻されると、戻しばね23fの付勢力により回動円板23eが閉じ方向Nに回動する。
【0046】
本実施形態において、APSユニット23は、前掲のごとくブラケット23kを介してハンドルバー5に固定されており、ハンドルカバー10の内側に配置されている。したがって、APSユニット23を保護するための別途特別な保護部材が不要である。
【0047】
本実施形態においては、図3および図5に示すように、APSユニット23が、ハンドルバー5に固定されていることで、ステアリング6と一体に回動することができる。
このように、APSユニット23が、ステアリング6と一体に回動するように配置されていることにより、スロットルワイヤ22は、ステアリング6の右または左への回動が行われた場合でも、当然のことながら、右グリップ7a側のワイヤ取付け部7eとAPSユニット23のケーブル支持板部23bとの位置関係は常に変化することが無い。
【0048】
したがって、ハンドル操作によって、スロットルワイヤ22そのものに曲げ力や伸ばし力が作用しない。
このように、本実施形態においては、インナーケーブル123a,123bとこのインナーケーブルを包むアウターケーブル122a,122bとの間の摩擦力に変化が生じることはなく、アクセル操作用の右グリップ7aの回動操作感は常に安定した操作感を得ることができる。
【0049】
本実施形態にけるセンサ支持板23jには、このスロットルドラム23dよりも車体前方側のところにスロットル操作量センサとして機能するアクセルポジションセンサ23aが連結されている。すなわち、このアクセルポジションセンサ(APS)23aは、スロットルドラム23dの回動円板23eの回転量を検出することにより、右グリップ7aの回転操作量、つまり、乗員のスロットル操作量を検出する。
【0050】
このアクセルポジションセンサ23aには、その電気的接続を可能にするコネクタ130が設けられ、このコネクタ130には、ケーブル(不図示)を介して自動二輪車1の各部を制御する電子制御装置(ECU)200(図6参照)が接続されている。そして、このアクセルポジションセンサ23aによって検出されたスロットル操作量が電子制御装置200に通知され、他の諸情報とともに処理されて、後述する駆動モータ25を制御するように構成されている。
【0051】
図6は本実施形態におけるスロットル制御系を示すブロック図である。
電子制御装置200は、車体の各部を中枢的に制御する装置である。そして、例えば、スロットル制御においては、アクセルポジションセンサ23aによって検出されたスロットル操作量に基づいて駆動モータユニット24内の駆動モータ25を駆動する。
【0052】
また、この電子制御装置200には、スロットルバルブ35の開度を検出するスロットル開度センサ210、車速を検出する車速センサ220、エンジン9への吸気圧を検出する吸気圧センサ230及び吸気温度を検出する吸気温センサ240からの出力信号が入力され、これらのセンサの検出結果に基づいて、駆動モータ25を動作させることにより、スロットルボディ32内のスロットルバルブ35を駆動してスロットル開度を制御する。
本実施形態におけるスロットル制御装置20は、このようにスロットル開度を適宜補正して制御し、スロットル操作により乗員の期待に添った加速、或いは、減速が得られるように、適切なスロットル開度に制御される。
【0053】
本実施形態における駆動モータユニット24について、以下、図7および図8を参照して説明する。
駆動モータユニット24は、前掲のように、APSユニット23からの駆動信号によってスロットルバルブ35を適宜駆動する。
この駆動モータユニット24は、駆動モータ25と、車両上下方向に延びたスロットルバルブ35のスロットル回転軸35aの一端に取付けられた第1ギヤ36と、駆動モータ25のモータ回転軸38の一端に取付けられたモータギヤ37と、両ギヤ間に介在するピニオンギヤ(図示せず)等から構成されている。また、スロットルバルブ35のスロットル回転軸35aの下端側には、角度センサ35dが設けられている。
【0054】
また、本実施形態においては、ヘッドパイプ3から車両の後下方に延出されたメインフレーム8の下方にエンジン9が保持されており、エアクリーナ40はこのメインフレーム8の前方寄りに設けられて、エンジン9よりも車両前方に位置されている。このエアクリーナ40は、例えば、その上端側に吸入開口(図示せず)を有し、該開口の下側にフィルタ40aを有し、さらに、フィルタ40aの後方側にファンネル40bを備える縦型構造である。
そして、ファンネル40bに連続する吸気通路31内のスロットルバルブ35に連結するように、エアクリーナ40とエンジン9との間に駆動モータユニット24が配置されている。
なお、スロットルボディ32には燃料噴射装置41が設けられ、吸気通路31を通過する吸気に燃料を噴霧して混合気を吸気ポート31aに供給する。
【0055】
この駆動モータユニット24は、例えば、スロットルボディ32と一体的に構成されたハウジング33に収納された構成とすることができる。また、このハウジング33は、エアクリーナ40に接するような位置に配置され、ハウジング33の上端部取付け部33aがビス8aによりメインフレーム8に固定されている。この構成によれば、エンジン9とメインフレーム8との上下方向のスペースで且つエアクリーナ40の後方側に駆動モータユニット24が配置されているので、省スペース化が図れる。
【0056】
この駆動モータユニット24は、図7および図8に示すように、スロットルバルブ35が配置されたスロットルボディ32(吸気通路31)の上方に配置されている。そして、さらに駆動モータ25がその軸が縦になるように配置されている。したがって、駆動モータ25はその接続線の端子がメインフレーム8に接近した位置とすることができるので、APSユニット23に可能な限り近づいた構成となっている。これにより、APSユニット23と駆動モータユニット24の距離を近い構成となることから、スロットル制御装置20全体のコンパクト化を可能にし、配線を短くすることができる。
【0057】
また、本実施形態においては、前掲したように、図7および図8に示すごとく、スロットルバルブ35のスロットル回転軸35aが車体上下方向に向いて配置され、このスロットル回転軸35aと平行に駆動モータ25のモータ回転軸38が配置されている。
このように、駆動モータ25が縦に配置されることで、駆動モータユニット24が車幅方向の突出するのを抑えることができる。さらにまた、スロットルバルブ35のスロットル回転軸35aと駆動モータ25のモータ回転軸38とが平行に配置された構造であるので、駆動モータ25の駆動力の伝達に平歯車を採用することができ、駆動系の簡素化ならびに軽量化を図ることができる。
【0058】
(第2実施形態)
以下、本発明に係るスロットル制御装置20の第2実施形態について、図9を参照して説明する。
なお、本実施形態において、第1実施形態と略同一の構成については同一の符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
本実施形態は、図9に示すように、APSユニット23がステアリングシャフト4に固定された構造である。この実施形態におけるスロットルワイヤ22は、ワイヤ取付け部7eから開口10eを通って更に下方に向けて引き出されてケーブル支持板部23bに取付けられている。したがって、APSユニット23は前掲の第1実施形態とは上下逆向きに取付けられている。
【0059】
本実施形態においても、スロットルワイヤ22は、ステアリング6の左右の回動が行われても、ワイヤ取付け部7eとケーブル支持板部23bとの位置関係は変化することが無く、ハンドル操作によって、スロットルワイヤ22そのものに曲げ力や伸ばし力が作用しない。
このことから、第1実施形態と同様に、開き側スロットルケーブル22aおよび閉じ側スロットルケーブル22bにおけるアウターケーブル(図5のアウターケーブル122a,122bを参照)とインナーケーブル(図5のインナーケーブル123a,123bを参照)との間の摩擦力に変化が生じることがなく、アクセル操作用の右グリップ7aの回動操作感が常に安定した操作感が得られる。
【0060】
また、本実施形態においては、APSユニット23は、ステアリングシャフト4の周辺に配置された例えばウィンカーリレー13aや各種配線と共にフロントトップカバー11の内側に配置されている。
したがって、APSユニット23を保護するための別途特別な保護部材が不要である。
【0061】
(第3実施形態)
以下、本発明に係るスロットル制御装置20の第3実施形態について、図10を参照して説明する。
なお、本実施形態においも、第1実施形態と略同一の構成については同一の符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
本実施形態は、図10に示すように、APSユニット23がステアリングシャフト4の上方延長上に配置されていることが特徴である。本実施形態においては、APSユニット23の取付け向きは、例えば、APSユニット23のスロットルドラム23d(図3参照)におけるドラム軸111がステアリングシャフト4の軸線とほぼ一致するような向きに取付けられている。このようは位置に取付けられていることで、APSユニット23の重量は、ステアリングシャフト4の軸心に近い位置となる。
なお、本実施形態におけるAPSユニット23の取付け構造の詳細は図示しないが、適宜取付けブラケットを用いて、ハンドルバー5あるいはステアリングシャフト4に固定することができる。
また、本実施形態におけるスロットルワイヤ22は、ワイヤ取付け部7e(図2参照)からハンドルバー5に沿うようにしてハンドルカバー10内を通ってケーブル支持板部23bに取付けられている。したがって、本実施形態においては、スロットルワイヤ22は、ハンドルバー5の半分以下の長さになっており、従来よりも非常に短くすることができる。
【0062】
一方、本実施形態においても、スロットルワイヤ22は、ステアリング6の左右の回動が行われても、ワイヤ取付け部7eとケーブル支持板部23bとの位置関係は変化することが無く、ハンドル操作によって、スロットルワイヤ22そのものに曲げ力や伸ばし力が作用することはない。このことから、前記各実施形態と同様に、開き側スロットルケーブル22aおよび閉じ側スロットルケーブル22bにおけるアウターケーブル(図5のアウターケーブル122a,122bを参照)とインナーケーブル(図5のインナーケーブル123a,123bを参照)との間の摩擦力に変化を生じることはなく、アクセル操作用の右グリップ7aの回動操作感が常に安定した操作感が得られる。
【0063】
また、本実施形態においては、APSユニット23がステアリングシャフト4の上方側の延長上に配置されていることで、APSユニット23の重量がハンドルの回転中心部分に位置するので、ハンドル操作性を良好にできる。
【0064】
(第4実施形態)
以下、本発明にかかるスロットル制御装置20の第4実施形態について、図11を参照して説明する。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と略同一の構成については同一の符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
本実施形態においては、図11に示すように、APSユニット23は、ヘッドライト15の後方でハンドルバー5の右バー部5Rの後方側に配置されている。また、スロットルワイヤ22が、右バー部5Rに巻き付つくように設けられている。すなわち、本実施形態におけるスロットルワイヤ22は、ワイヤ取付け部7eからハンドルバー5の右バー部5Rにほぼ2周巻き付けるように設けられていることで、スロットルワイヤ22が従来よりも短く構成されているが、スロットルワイヤ22の曲がりによって、アウターケーブル(図5のアウターケーブル122a,122bを参照)とインナーケーブル(図5のインナーケーブル123a,123bを参照)との間の摩擦力を大きくすることができる。
【0065】
このように、本実施形態によれば、スロットルワイヤ22がハンドルバー5に巻き付けられ構成が採用されていることにより、このスロットルワイヤ22の巻き付け回数等を適宜調整することで、発生する摩擦力を調整することができスロットル操作時の操作感を良好に設定することが容易である。
【0066】
(第5実施形態)
以下、本発明にかかるスロットル制御装置20の第5実施形態について、図12および図13を参照して説明する。
なお、本実施形態において、第1実施形態と略同一の構成については同一の符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
本実施形態は、図12に示すように、ハンドルバー5は、車両上方から見て、その両端側に延出する左右バー部5R,5Lが車両後方に傾斜するように延出されている。この構成によって、ハンドルバー5の中央部分が車両上方から見て、ハンドルバー凹部5aが形成されている。そして、このハンドルバー凹部5aに、APSユニット23が配置されている。
本実施形態におけるAPSユニット23は、例えば、図13に示すように、ブラケット23kを介してステアリングシャフト4に固定されて、ハンドル中央部に位置するコンビネーションメータの下側に配置される。また、スロットルワイヤ22は、第4実施形態と同様にハンドルバー5に巻き付けた構成となっている。
【0067】
このように、本実施形態においては、ハンドルバー5の曲がったハンドルバー凹部5aを利用して、その凹部にAPSユニット23が設けられているので、APSユニット23を設けることによる車体の突出部分を無くすことができる。
【0068】
以上、本発明について、第1〜第5実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨に沿って種々変更可能である。例えば、APSユニットの取付け位置や向き等は、ステアリングと一体に回動する構成であれば良く、種々変更することができる。
また、前掲の実施形態においては、本発明を自動二輪車に適用したが、三輪車(三輪バギー)や四輪バギーを含む鞍乗型車両、その他の内燃機関に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
2 車体フレーム
3 ヘッドパイプ
4 ステアリングシャフト
5 ハンドルバー
6 ステアリング
7a,7b 左右グリップ
8 メインフレーム
10 ハンドルカバー
11 フロントトップカバー
20 スロットル制御装置
21 アクセル操作部
22 スロットルワイヤ
22a,22b スロットルケーブル
23 アクセルポジションセンサユニット(APSユニット)
23a アクセルポジションセンサ
24 駆動モータユニット
25 駆動モータ
35 スロットルバルブ
40 エアクリーナ
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関のスロットル制御装置に関し、特に、鞍乗型車両に適用して好適なスロットル制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍載型車両には、スロットルグリップとエンジンの吸入空気量を制御するスロットル弁とをスロットルワイヤを介して接続し、スロットルグリップの操作に応じてスロットル弁を連動動作する車両がある。そして、近年では、スロットルグリップの操作をアクセルポジションセンサ(APS)で検出し、この検出信号に基づいてスロットル弁を駆動モータで駆動する構成が採用されている。
【0003】
この種のスロットル弁をモータ駆動する鞍載型車両では、エンジンに連結されたスロットルボディ内のスロットル弁の一方の軸端にアクセルポジションセンサを配設しているため、アクセルポジションセンサがスロットルボディの横に配置されている。
従来のスロットル弁をモータ駆動する構成では、スロットル弁を手動操作する車両とほぼ同じ位置にスロットルワイヤを接続するので、スロットルワイヤの引き回しを同様にすることができ、スロットルの操作感をほぼ同じにすることができるというメリットがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−274925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前掲の特許文献1に開示された構造においては、アクセルポジションセンサ(APS)ユニットが車体フレームの一側に取付けられている。
そして、この構造においては当然のことながら、アクセルグリップとアクセルポジションセンサユニットとを連結しているスロットルワイヤが一側に延出している。
したがって、ハンドル操作において、ハンドルを左または右に回転する際に、スロットルワイヤの撓み状態が異なる状態が生じる。このことからスロットルワイヤにおけるワイヤ摺動の摩擦力がハンドル左右の回転状態で異なり、アクセルグリップの操作感が異なることがあった。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハンドルを左または右に回転したときに、左右回転状態でアクセルグリップの操作感が異なることのないスロットル制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ステアリングは、ステアリングシャフトの下部に前輪が取付けられ、前記ステアリングシャフトの上部に左右に延出するハンドルバーが取付けられて、前記前輪を操舵可能に構成されており、前記ハンドルバーの左右端部の一端側にはアクセル操作部を備え、前記アクセル操作部がスロットルワイヤを介してアクセルポジションセンサユニットに連結され、前記アクセル操作部のアクセル操作量を前記アクセルポジションセンサユニットに伝達し、前記アクセルポジションセンサユニットの駆動信号に基づいてスロットルバルブの駆動を制御する駆動モータユニットを備えるスロットル制御装置において、
前記アクセルポジションセンサユニットが、前記ステアリングと一体に回動するように取付けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記アクセルポジションセンサユニットは前記ハンドルバーに取り付けられ、かつ前記ハンドルバーを覆うハンドルカバーの内側に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記アクセルポジションセンサユニットは前記ステアリングシャフトに取り付けられ、かつ前記ステアリングシャフトを覆うフロントトップカバーの内側に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の構成に加えて、前記アクセルポジションセンサユニットは前記ステアリングシャフトの上方延長上に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1または2に記載の構成に加えて、前記ハンドルバーは、その左右両端側に延出する左右バー部が車両後方に延出してハンドルバー凹部が形成されており、前記アクセルポジションセンサユニットが、前記ハンドルバー凹部に配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の構成に加えて、前記スロットルワイヤは、前記ハンドルバーに巻き付つくように設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の構成に加えて、前記ヘッドパイプから車両の後下方に延出されたメインフレームの下方にエンジンが支持され、かつエアクリーナが前記エンジンよりも車両前方に位置されており、さらに、前記エアクリーナと前記エンジンとの間に前記スロットルバルブを駆動する前記駆動モータユニットが吸気通路の上方に配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の構成に加えて、前記吸気通路が前記メインフレームの下方側で該メインフレームに沿う向きに配置されており、前記駆動モータユニットの駆動モータが前記メインフレームと前記吸気通路との間に、モータ回転軸を上下方向にほぼ沿うように設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項7または8に記載の構成に加えて、前記スロットルバルブのスロットル回転軸が車体上下方向に沿って配置され、かつ前記駆動モータのモータ回転軸が前記スロットル回転軸と平行に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、アクセルポジションセンサユニットが、ステアリングと一体に回動するように配置されたことにより、スロットルワイヤは、ステアリングの右左への回動が行われた場合において、その取付け状態は常に変化することが無く、スロットルワイヤ自体に曲げ力や伸ばし力が作用しない。したがって、インナーケーブルとこのインナーケーブルを包むアウターケーブルとの間の摩擦力に変化が生じることはなく、アクセル操作用のグリップの回動操作感が常に安定した操作感を得ることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、ハンドルカバーがアクセルポジションセンサユニットを覆うように構成されているので、アクセルポジションセンサユニットを保護するための特別な保護部材を不要とすることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、フロントトップカバーがアクセルポジションセンサユニットを覆うように構成されているので、アクセルポジションセンサユニットを保護するための特別な保護部材を不要とすることができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、アクセルポジションセンサユニットがステアリングシャフトの上方側の延長上に配置されていることで、該アクセルポジションセンサユニットの重量がハンドルの回転中心部分に位置させることができるので、ハンドル操作性を良好に維持できる。
【0020】
請求項5の発明によれば、ハンドルバーの曲がった形状で凹部を有している構造において、その凹部のスペースにアクセルポジションセンサユニットが設けられるので、アクセルポジションセンサユニットを設けることによる車体の突出部分を無くすことができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、スロットルワイヤがハンドルバーに巻き付けられていることにより、インナーケーブルとこのインナーケーブルを包むアウターケーブルとの間の摩擦力を調整することができる。したがって、スロットルワイヤが短い場合でも、スロットル操作用グリップの回転操作時の摩擦力を大きくでき、スロットル操作時の操作感を良好にできる。
【0022】
請求項7の発明によれば、駆動モータユニットが吸気通路の上方に配置されることにより、アクセルポジションセンサユニットと駆動モータユニットの距離を近づけることができ、スロットル制御装置を構成する構成部材間の距離を近づけて配線を短くすることが可能となる。
【0023】
請求項8の発明によれば、吸気通路とメインフレームとの上下方向のスペースに駆動モータユニットのモータ回転軸が縦になるように配置されることにより、駆動モータユニットによる車幅方向の突出を抑えることができる。
【0024】
請求項9の発明によれば、スロットルバルブのスロットル回転軸が駆動モータのモータ回転軸と平行に配置されているので、駆動モータユニットの駆動系の歯車に平歯車を使用でき、駆動モータユニットの構成の簡素化、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るスロットル制御装置を適用した自動二輪車の第1実施形態における左側面図である。
【図2】図1に示す自動二輪車のステアリングの一部を示す概略斜視図である。
【図3】図1に示す自動二輪車におけるアクセルポジションセンサユニットの取付け状態を示す部分斜視図である。
【図4】図1に示す自動二輪車におけるステアリングにおいてヘッドライトを取り外した状態を示す正面図である。
【図5】図1に示す自動二輪車におけるアクセルポジションセンサユニットの取付け状態を車両正面方向から見た正面図である。
【図6】本発明に係る第1実施形態における駆動モータを制御するためのブロック図である。
【図7】本発明に係る第1実施形態における吸気系ならびに駆動モータユニットの要部を拡大した概略側面図である。
【図8】図7におけるX−X線に沿った部分の概略端面図である。
【図9】本発明に係る第2実施形態におけるステアリングを車両正面方向から見て、ヘッドライトを取り外した状態を示す正面図である。
【図10】本発明に係る第3実施形態におけるステアリングにおいて、ハンドルのアッパーカバーを取り外した状態で車両上面側から見た平面図である。
【図11】本発明に係る第4実施形態におけるステアリングを正面側から見るとともに、要部を強調した概略正面図である。
【図12】本発明に係る第5実施形態におけるステアリングにおいて、ハンドルのトップカバーを取り外した状態で車両上面側から見た平面図である。
【図13】図12に示す第5実施形態における要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るスロットル制御装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、図面は符号の向きに見るものとし、図中におけるFrは車両前方を、Rrは車両後方を、Upは車両上方を、Dwは車両下方を、Rは車両右側を、Lは車両左側を示すものとする。
まず、図1〜図8を用いて本発明に係るスロットル制御装置を自動二輪車に適用した第1実施形態について説明する。
【0027】
(第1実施形態)
本実施形態における自動二輪車1は、図1に示すように、前部に前輪72を備え、後部に後輪73を備え、中央下部にエンジン9を備え、中央上部にシート76を備え、このシート76の前方に跨ぎ空間65を備えた構成である。
そして、乗員は乗り降りの際には、跨ぎ空間65を介して足を通過させるようにしてシート76に跨り乗車し、運転の際には、ステップ85,85に足を載せて、シフトペダル86を操作し、グリップ7a,7bを握りながら走行させる鞍乗型車両である。
【0028】
また、この自動二輪車1は、停車中においては、車両下方側に設けられたセンタースタンド88が起立されることで、後輪73を地面から浮かせるようにして保持される。
【0029】
本実施形態における自動二輪車1は、車体フレーム2並びにエンジン9やその他各種部材を覆うようにカバー部材により適宜覆われている。
このカバー部材は、各部をそれぞれ覆う複数の部材から構成されている。例えば、ハンドルバー5(図4等を参照)においては、その両端のグリップ7a,7bおよびその近傍の部材を残してハンドルカバー10で適宜覆われている。また、このハンドルカバー10の前部の中央にはヘッドライト15が設けられている。
また、前輪72は、その上方側がフロントフェンダ84により覆われており、後輪73についても同様にその上方側がリアフェンダ85によって覆われている。
【0030】
本実施形態においては、エンジン9から後輪73への駆動力伝達には、チェーンケース79内に収納されたチェーンによって行われる。すなわち、チェーンケース79は、スイングアーム74の先端側に設けられた後輪側のスプロケットおよびチェーンを覆うように該スイングアーム74に沿って設けられている。
なお、スイングアーム74の後端と荷台の下方側の車体フレーム2との間には、クッションユニット75,75が設けられている。
【0031】
また、カバー部材は、前掲のもの以外に、シート76の下に設けられたサイドカバー83と、シート前方に設けられたフロントカバー81と、このフロントカバー81の前に設けられたフロントトップカバー11等を有して構成されている。また、フロントカバー81は、乗員の脚を前から囲うレッグシールド部82を備えている。
【0032】
本実施形態においては、車体フレーム2は、ステアリングシャフト4を保持するヘッドパイプ3と、このヘッドパイプ3から車両後方(図右)に斜め下方へ延びているメインフレーム8と、このメインフレーム8の後部から後方へ斜め上に延びているリアフレーム(図示せず)と、このリアフレームとメインフレーム8とを繋ぐサブフレーム等(図示せず)からなる。
【0033】
そして、メインフレーム8によって、車体のほぼ中央部においてエンジン9はシリンダボディ30が前方へ略水平に延びた状態で支持されている。また、シリンダヘッド39の斜め上方にはエアクリーナ40等の吸気系がフロントカバー81の内側に配置されている。
なお、シート76の下側には燃料タンク78が配置されている。また、エンジン9にて燃焼された排気ガスは、車体下方の排気管91およびマフラー92を介して車体後方に排出される。
【0034】
本実施形態においては、ハンドルカバー10は、ステアリング6の上方側を覆うように構成されている。このハンドルカバー10は、ステアリングシャフト4の上端部分およびこのステアリングシャフト4に対して左右に立ち上がるように適宜湾曲して水平方向に延出するハンドルバー5(図2および図4参照)を覆うように構成されている。なお、ヘッドライト15は、その前面及び前方側外周縁部分を残してハンドルカバー10によって覆われている。
【0035】
このハンドルカバー10は、図4に示すように、ハンドルバー5およびヘッドライト15の上方を覆うように構成されたアッパーカバー10aと、ハンドルバー5およびヘッドライト15の下方を覆うように構成されたロアカバー10bとを有して構成されている。また、ハンドルカバー10は、ヘッドライト15の両側方に設けられたウィンカーライト13,13の一部を覆うように構成され,さらに、ハンドルパイプ左右両側に設けられたグリップ7a,7bを残して覆うように構成されている。
【0036】
なお、アッパーカバー10aは、ハンドルバー5の上面側を覆うと共にハンドル中央に配置されるメータが装着されるメータ用の開口部やバックミラー14,14用の開口が適宜設けられた構成となっている。
【0037】
一方、ロアカバー10bは、ハンドルバー5の下面側を覆い、その中央にはステアリングシャフト4が貫通可能な開口や側面には例えばスロットルワイヤ22が貫通可能な開口10e(図2および図4参照)等を備えた構造となっている。
【0038】
このハンドルカバー10は、アッパーカバー10aとロアカバー10bとがその合わせ部10cにて上下方向から合わせられてなる構成であり、その内側には、ハンドルバー5およびその周辺の電装品を内装可能に構成されている。すなわち、ハンドルカバー10の周辺に設けられるヘッドライト15,ウィンカーライト13,13、メータ等の電装品であるコンビネーションメータカプラ19a,19b、ヘッドライトカプラ15a、スタータスイッチ18ならびにそれらを接続する配線13a,18aやハーネス17a、さらにはフロントブレーキ12に接続されたブレーキケーブル12a等を内装するように構成されている。
【0039】
本実施形態においては、スロットバルブ35(図7及び図8参照)を駆動制御するスロットル制御装置20が設けられている。
このスロットル制御装置20は、後述するアクセル操作部21(図2参照)、スロットルワイヤ22(図2参照)、アクセルポジションセンサユニット23(図3参照)、駆動モータユニット24(図7及び図8参照)および駆動モータユニット24を制御する電子制御装置200(図6参照)等を有して構成されている。
【0040】
本実施形態におけるアクセル操作部21は、左右グリップ7a,7bの一方側の回動可能な右グリップ7aとスロットルワイヤ22の接続部分である連結部7dとを備えた構造である。また、このアクセル操作部21とスロットルワイヤ22を介して接続されたアクセルポジションセンサユニット23は、図4に示すように、ヘッドライト15(図4においてはヘッドライト15が削除されている)の後方かつ若干下方側に配置されている。
なお、本実施形態においては、スロットルワイヤ22は、右グリップ7aの連結部7dの下方側に延出されて、ロアカバー10bの下方寄りに設けられた開口10eを通ってアクセルポジションセンサユニット23に接続されている。
【0041】
以下、アクセルポジションセンサユニット23について説明する。
アクセルポジションセンサユニット23(以下、「APSユニット」とも云う)は、図3に示すように、例えば、ハンドルバー5の左側バー5Lの下方に湾曲した部分にブラケット23kを介してねじ5b,5bで固定されている。
このAPSユニット23は、板状のセンサ本体であるセンサ支持板23jがブラケット23kの先端側に固定されている。そして、このセンサ支持板23jには、スロットルドラム23dが回転自在に取り付けられている。
【0042】
このスロットルドラム23dには、アクセル操作部21から引き出されたスロットルワイヤ22内の2本のスロットルケーブル22a,22bが連結されている。そして、一方のスロットルケーブル22aは、例えば、右グリップ7aが開き側に回動するのに応じて牽引される開き側スロットルケーブルとして機能し、他方のスロットルケーブル22bは、右グリップ7aが閉じ側に回動するのに応じて牽引される閉じ側スロットルケーブルとして機能する。なお、スロットルケーブル22aのみを設け、不図示のスプリングの付勢力で右グリップ7aを閉じ側に回動させても良い。
【0043】
APSユニット23について、図5を参照して更に詳しく説明する。
図5に示すように、これらスロットルケーブル22a,22bは、アウターケーブル122a、122b内にインナーケーブル123a、123bが移動自在に挿通されたプッシュプルケーブルが使用されている。
このスロットルワイヤ22は、各スロットルケーブル22a,22bが、例えば、外被覆22c(図3参照)によって外観上一本に束ねられており、グリップ7aの連結部7dの下方側(図2参照)からハンドルバー5のほぼ中央付近に向けて引き回されている。そして、図3および図5に示すように、アウターケーブル122a、122bの端部が、センサ支持板23jの前端部に形成されたケーブル支持板部23bに支持、固定されている。
【0044】
本実施形態においては、図5に示すように、開き側スロットルケーブル22aのアウターケーブル122aから引き出されたインナーケーブル123aは、その一端に設けられた係合駒23iが、スロットルドラム23d(図3参照)に係合しつつスロットルドラム23dの外周に巻き掛けられる。この開き側スロットルケーブル22aの巻き掛け方向は、牽引時にスロットルドラムが、図5において矢印で示す開き方向Mに回動駆動する方向に設定される。
また、閉じ側スロットルケーブル22bのアウターケーブル122bから引き出されたインナーケーブル123bは、その一端に設けられた係合駒23hが、スロットルドラム23dに係合しつつスロットルドラム23dの外周に巻き掛けられ、この巻き掛け方向は、牽引時にスロットルドラム23dが、図5に矢印で示す閉じ方向Nに回動駆動する方向に設定される。
【0045】
スロットルドラム23dは、図3に示すように、スロットルケーブル22a,22bが巻き掛けられる回動円板23eを有しており、この回動円板23eは、そのドラム軸111を中心に回動自在に軸支されると共に、捻りばねである戻しばね23fによって閉じ方向Nに回転付勢される。
このため、右グリップ7aが開くと、戻しばね23fの付勢力に抗して回動円板23eが開き方向Mに回動し、右グリップ7aが戻されると、戻しばね23fの付勢力により回動円板23eが閉じ方向Nに回動する。
【0046】
本実施形態において、APSユニット23は、前掲のごとくブラケット23kを介してハンドルバー5に固定されており、ハンドルカバー10の内側に配置されている。したがって、APSユニット23を保護するための別途特別な保護部材が不要である。
【0047】
本実施形態においては、図3および図5に示すように、APSユニット23が、ハンドルバー5に固定されていることで、ステアリング6と一体に回動することができる。
このように、APSユニット23が、ステアリング6と一体に回動するように配置されていることにより、スロットルワイヤ22は、ステアリング6の右または左への回動が行われた場合でも、当然のことながら、右グリップ7a側のワイヤ取付け部7eとAPSユニット23のケーブル支持板部23bとの位置関係は常に変化することが無い。
【0048】
したがって、ハンドル操作によって、スロットルワイヤ22そのものに曲げ力や伸ばし力が作用しない。
このように、本実施形態においては、インナーケーブル123a,123bとこのインナーケーブルを包むアウターケーブル122a,122bとの間の摩擦力に変化が生じることはなく、アクセル操作用の右グリップ7aの回動操作感は常に安定した操作感を得ることができる。
【0049】
本実施形態にけるセンサ支持板23jには、このスロットルドラム23dよりも車体前方側のところにスロットル操作量センサとして機能するアクセルポジションセンサ23aが連結されている。すなわち、このアクセルポジションセンサ(APS)23aは、スロットルドラム23dの回動円板23eの回転量を検出することにより、右グリップ7aの回転操作量、つまり、乗員のスロットル操作量を検出する。
【0050】
このアクセルポジションセンサ23aには、その電気的接続を可能にするコネクタ130が設けられ、このコネクタ130には、ケーブル(不図示)を介して自動二輪車1の各部を制御する電子制御装置(ECU)200(図6参照)が接続されている。そして、このアクセルポジションセンサ23aによって検出されたスロットル操作量が電子制御装置200に通知され、他の諸情報とともに処理されて、後述する駆動モータ25を制御するように構成されている。
【0051】
図6は本実施形態におけるスロットル制御系を示すブロック図である。
電子制御装置200は、車体の各部を中枢的に制御する装置である。そして、例えば、スロットル制御においては、アクセルポジションセンサ23aによって検出されたスロットル操作量に基づいて駆動モータユニット24内の駆動モータ25を駆動する。
【0052】
また、この電子制御装置200には、スロットルバルブ35の開度を検出するスロットル開度センサ210、車速を検出する車速センサ220、エンジン9への吸気圧を検出する吸気圧センサ230及び吸気温度を検出する吸気温センサ240からの出力信号が入力され、これらのセンサの検出結果に基づいて、駆動モータ25を動作させることにより、スロットルボディ32内のスロットルバルブ35を駆動してスロットル開度を制御する。
本実施形態におけるスロットル制御装置20は、このようにスロットル開度を適宜補正して制御し、スロットル操作により乗員の期待に添った加速、或いは、減速が得られるように、適切なスロットル開度に制御される。
【0053】
本実施形態における駆動モータユニット24について、以下、図7および図8を参照して説明する。
駆動モータユニット24は、前掲のように、APSユニット23からの駆動信号によってスロットルバルブ35を適宜駆動する。
この駆動モータユニット24は、駆動モータ25と、車両上下方向に延びたスロットルバルブ35のスロットル回転軸35aの一端に取付けられた第1ギヤ36と、駆動モータ25のモータ回転軸38の一端に取付けられたモータギヤ37と、両ギヤ間に介在するピニオンギヤ(図示せず)等から構成されている。また、スロットルバルブ35のスロットル回転軸35aの下端側には、角度センサ35dが設けられている。
【0054】
また、本実施形態においては、ヘッドパイプ3から車両の後下方に延出されたメインフレーム8の下方にエンジン9が保持されており、エアクリーナ40はこのメインフレーム8の前方寄りに設けられて、エンジン9よりも車両前方に位置されている。このエアクリーナ40は、例えば、その上端側に吸入開口(図示せず)を有し、該開口の下側にフィルタ40aを有し、さらに、フィルタ40aの後方側にファンネル40bを備える縦型構造である。
そして、ファンネル40bに連続する吸気通路31内のスロットルバルブ35に連結するように、エアクリーナ40とエンジン9との間に駆動モータユニット24が配置されている。
なお、スロットルボディ32には燃料噴射装置41が設けられ、吸気通路31を通過する吸気に燃料を噴霧して混合気を吸気ポート31aに供給する。
【0055】
この駆動モータユニット24は、例えば、スロットルボディ32と一体的に構成されたハウジング33に収納された構成とすることができる。また、このハウジング33は、エアクリーナ40に接するような位置に配置され、ハウジング33の上端部取付け部33aがビス8aによりメインフレーム8に固定されている。この構成によれば、エンジン9とメインフレーム8との上下方向のスペースで且つエアクリーナ40の後方側に駆動モータユニット24が配置されているので、省スペース化が図れる。
【0056】
この駆動モータユニット24は、図7および図8に示すように、スロットルバルブ35が配置されたスロットルボディ32(吸気通路31)の上方に配置されている。そして、さらに駆動モータ25がその軸が縦になるように配置されている。したがって、駆動モータ25はその接続線の端子がメインフレーム8に接近した位置とすることができるので、APSユニット23に可能な限り近づいた構成となっている。これにより、APSユニット23と駆動モータユニット24の距離を近い構成となることから、スロットル制御装置20全体のコンパクト化を可能にし、配線を短くすることができる。
【0057】
また、本実施形態においては、前掲したように、図7および図8に示すごとく、スロットルバルブ35のスロットル回転軸35aが車体上下方向に向いて配置され、このスロットル回転軸35aと平行に駆動モータ25のモータ回転軸38が配置されている。
このように、駆動モータ25が縦に配置されることで、駆動モータユニット24が車幅方向の突出するのを抑えることができる。さらにまた、スロットルバルブ35のスロットル回転軸35aと駆動モータ25のモータ回転軸38とが平行に配置された構造であるので、駆動モータ25の駆動力の伝達に平歯車を採用することができ、駆動系の簡素化ならびに軽量化を図ることができる。
【0058】
(第2実施形態)
以下、本発明に係るスロットル制御装置20の第2実施形態について、図9を参照して説明する。
なお、本実施形態において、第1実施形態と略同一の構成については同一の符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
本実施形態は、図9に示すように、APSユニット23がステアリングシャフト4に固定された構造である。この実施形態におけるスロットルワイヤ22は、ワイヤ取付け部7eから開口10eを通って更に下方に向けて引き出されてケーブル支持板部23bに取付けられている。したがって、APSユニット23は前掲の第1実施形態とは上下逆向きに取付けられている。
【0059】
本実施形態においても、スロットルワイヤ22は、ステアリング6の左右の回動が行われても、ワイヤ取付け部7eとケーブル支持板部23bとの位置関係は変化することが無く、ハンドル操作によって、スロットルワイヤ22そのものに曲げ力や伸ばし力が作用しない。
このことから、第1実施形態と同様に、開き側スロットルケーブル22aおよび閉じ側スロットルケーブル22bにおけるアウターケーブル(図5のアウターケーブル122a,122bを参照)とインナーケーブル(図5のインナーケーブル123a,123bを参照)との間の摩擦力に変化が生じることがなく、アクセル操作用の右グリップ7aの回動操作感が常に安定した操作感が得られる。
【0060】
また、本実施形態においては、APSユニット23は、ステアリングシャフト4の周辺に配置された例えばウィンカーリレー13aや各種配線と共にフロントトップカバー11の内側に配置されている。
したがって、APSユニット23を保護するための別途特別な保護部材が不要である。
【0061】
(第3実施形態)
以下、本発明に係るスロットル制御装置20の第3実施形態について、図10を参照して説明する。
なお、本実施形態においも、第1実施形態と略同一の構成については同一の符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
本実施形態は、図10に示すように、APSユニット23がステアリングシャフト4の上方延長上に配置されていることが特徴である。本実施形態においては、APSユニット23の取付け向きは、例えば、APSユニット23のスロットルドラム23d(図3参照)におけるドラム軸111がステアリングシャフト4の軸線とほぼ一致するような向きに取付けられている。このようは位置に取付けられていることで、APSユニット23の重量は、ステアリングシャフト4の軸心に近い位置となる。
なお、本実施形態におけるAPSユニット23の取付け構造の詳細は図示しないが、適宜取付けブラケットを用いて、ハンドルバー5あるいはステアリングシャフト4に固定することができる。
また、本実施形態におけるスロットルワイヤ22は、ワイヤ取付け部7e(図2参照)からハンドルバー5に沿うようにしてハンドルカバー10内を通ってケーブル支持板部23bに取付けられている。したがって、本実施形態においては、スロットルワイヤ22は、ハンドルバー5の半分以下の長さになっており、従来よりも非常に短くすることができる。
【0062】
一方、本実施形態においても、スロットルワイヤ22は、ステアリング6の左右の回動が行われても、ワイヤ取付け部7eとケーブル支持板部23bとの位置関係は変化することが無く、ハンドル操作によって、スロットルワイヤ22そのものに曲げ力や伸ばし力が作用することはない。このことから、前記各実施形態と同様に、開き側スロットルケーブル22aおよび閉じ側スロットルケーブル22bにおけるアウターケーブル(図5のアウターケーブル122a,122bを参照)とインナーケーブル(図5のインナーケーブル123a,123bを参照)との間の摩擦力に変化を生じることはなく、アクセル操作用の右グリップ7aの回動操作感が常に安定した操作感が得られる。
【0063】
また、本実施形態においては、APSユニット23がステアリングシャフト4の上方側の延長上に配置されていることで、APSユニット23の重量がハンドルの回転中心部分に位置するので、ハンドル操作性を良好にできる。
【0064】
(第4実施形態)
以下、本発明にかかるスロットル制御装置20の第4実施形態について、図11を参照して説明する。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と略同一の構成については同一の符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
本実施形態においては、図11に示すように、APSユニット23は、ヘッドライト15の後方でハンドルバー5の右バー部5Rの後方側に配置されている。また、スロットルワイヤ22が、右バー部5Rに巻き付つくように設けられている。すなわち、本実施形態におけるスロットルワイヤ22は、ワイヤ取付け部7eからハンドルバー5の右バー部5Rにほぼ2周巻き付けるように設けられていることで、スロットルワイヤ22が従来よりも短く構成されているが、スロットルワイヤ22の曲がりによって、アウターケーブル(図5のアウターケーブル122a,122bを参照)とインナーケーブル(図5のインナーケーブル123a,123bを参照)との間の摩擦力を大きくすることができる。
【0065】
このように、本実施形態によれば、スロットルワイヤ22がハンドルバー5に巻き付けられ構成が採用されていることにより、このスロットルワイヤ22の巻き付け回数等を適宜調整することで、発生する摩擦力を調整することができスロットル操作時の操作感を良好に設定することが容易である。
【0066】
(第5実施形態)
以下、本発明にかかるスロットル制御装置20の第5実施形態について、図12および図13を参照して説明する。
なお、本実施形態において、第1実施形態と略同一の構成については同一の符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
本実施形態は、図12に示すように、ハンドルバー5は、車両上方から見て、その両端側に延出する左右バー部5R,5Lが車両後方に傾斜するように延出されている。この構成によって、ハンドルバー5の中央部分が車両上方から見て、ハンドルバー凹部5aが形成されている。そして、このハンドルバー凹部5aに、APSユニット23が配置されている。
本実施形態におけるAPSユニット23は、例えば、図13に示すように、ブラケット23kを介してステアリングシャフト4に固定されて、ハンドル中央部に位置するコンビネーションメータの下側に配置される。また、スロットルワイヤ22は、第4実施形態と同様にハンドルバー5に巻き付けた構成となっている。
【0067】
このように、本実施形態においては、ハンドルバー5の曲がったハンドルバー凹部5aを利用して、その凹部にAPSユニット23が設けられているので、APSユニット23を設けることによる車体の突出部分を無くすことができる。
【0068】
以上、本発明について、第1〜第5実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨に沿って種々変更可能である。例えば、APSユニットの取付け位置や向き等は、ステアリングと一体に回動する構成であれば良く、種々変更することができる。
また、前掲の実施形態においては、本発明を自動二輪車に適用したが、三輪車(三輪バギー)や四輪バギーを含む鞍乗型車両、その他の内燃機関に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
2 車体フレーム
3 ヘッドパイプ
4 ステアリングシャフト
5 ハンドルバー
6 ステアリング
7a,7b 左右グリップ
8 メインフレーム
10 ハンドルカバー
11 フロントトップカバー
20 スロットル制御装置
21 アクセル操作部
22 スロットルワイヤ
22a,22b スロットルケーブル
23 アクセルポジションセンサユニット(APSユニット)
23a アクセルポジションセンサ
24 駆動モータユニット
25 駆動モータ
35 スロットルバルブ
40 エアクリーナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリング(6)は、ステアリングシャフト(4)の下部に前輪(72)が取付けられ、前記ステアリングシャフト(4)の上部に左右に延出するハンドルバー(5)が取付けられて、前記前輪(72)を操舵可能に構成されており、前記ハンドルバー(5)の左右端部の一端側にはアクセル操作部(21)を備え、前記アクセル操作部(21)がスロットルワイヤ(22)を介してアクセルポジションセンサユニット(23)に連結され、前記アクセル操作部(21)のアクセル操作量を前記アクセルポジションセンサユニット(23)に伝達し、前記アクセルポジションセンサユニット(23)の駆動信号に基づいてスロットルバルブ(35)の駆動を制御する駆動モータユニット(24)を備えるスロットル制御装置(20)において、
前記アクセルポジションセンサユニット(23)が、前記ステアリング(6)と一体に回動するように取付けられたことを特徴とするスロットル制御装置(20)。
【請求項2】
前記アクセルポジションセンサユニット(23)は前記ハンドルバー(5)に取り付けられ、かつ前記ハンドルバー(5)を覆うハンドルカバー(10)の内側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項3】
前記アクセルポジションセンサユニット(23)は前記ステアリングシャフト(4)に取り付けられ、かつ前記ステアリングシャフト(4)を覆うフロントトップカバー(11)の内側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項4】
前記アクセルポジションセンサユニット(23)は前記ステアリングシャフト(4)の上方延長上に配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項5】
前記ハンドルバー(5)は、その左右両端側に延出する左右バー部(5R,5L)が車両後方に延出してハンドルバー凹部(5a)が形成されており、前記アクセルポジションセンサユニット(23)が、前記ハンドルバー凹部(5a)に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項6】
前記スロットルワイヤ(22)は、前記ハンドルバー(5)に巻き付つくように設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項7】
前記ヘッドパイプ(3)から車両の後下方に延出されたメインフレーム(8)の下方にエンジン(9)が支持され、かつエアクリーナ(40)が前記エンジン(9)よりも車両前方に位置されおり、さらに、前記エアクリーナ(40)と前記エンジン(9)との間に前記スロットルバルブ(35)を駆動する前記駆動モータユニット(24)が吸気通路(31)の上方に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項8】
前記吸気通路(31)が前記メインフレーム(8)の下方側で該メインフレーム(8)に沿う向きに配置されており、前記駆動モータユニット(24)の駆動モータ(25)が前記メインフレーム(8)と前記吸気通路(31)との間に、モータ回転軸(38)を上下方向にほぼ沿うように設けられていることを特徴とする請求項7に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項9】
前記スロットルバルブ(35)のスロットル回転軸(35a)が車体上下方向に沿って配置され、かつ前記駆動モータ(25)のモータ回転軸(38)が前記スロットル回転軸(35a)と平行に配置されていることを特徴とする請求項7または8に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項1】
ステアリング(6)は、ステアリングシャフト(4)の下部に前輪(72)が取付けられ、前記ステアリングシャフト(4)の上部に左右に延出するハンドルバー(5)が取付けられて、前記前輪(72)を操舵可能に構成されており、前記ハンドルバー(5)の左右端部の一端側にはアクセル操作部(21)を備え、前記アクセル操作部(21)がスロットルワイヤ(22)を介してアクセルポジションセンサユニット(23)に連結され、前記アクセル操作部(21)のアクセル操作量を前記アクセルポジションセンサユニット(23)に伝達し、前記アクセルポジションセンサユニット(23)の駆動信号に基づいてスロットルバルブ(35)の駆動を制御する駆動モータユニット(24)を備えるスロットル制御装置(20)において、
前記アクセルポジションセンサユニット(23)が、前記ステアリング(6)と一体に回動するように取付けられたことを特徴とするスロットル制御装置(20)。
【請求項2】
前記アクセルポジションセンサユニット(23)は前記ハンドルバー(5)に取り付けられ、かつ前記ハンドルバー(5)を覆うハンドルカバー(10)の内側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項3】
前記アクセルポジションセンサユニット(23)は前記ステアリングシャフト(4)に取り付けられ、かつ前記ステアリングシャフト(4)を覆うフロントトップカバー(11)の内側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項4】
前記アクセルポジションセンサユニット(23)は前記ステアリングシャフト(4)の上方延長上に配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項5】
前記ハンドルバー(5)は、その左右両端側に延出する左右バー部(5R,5L)が車両後方に延出してハンドルバー凹部(5a)が形成されており、前記アクセルポジションセンサユニット(23)が、前記ハンドルバー凹部(5a)に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項6】
前記スロットルワイヤ(22)は、前記ハンドルバー(5)に巻き付つくように設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項7】
前記ヘッドパイプ(3)から車両の後下方に延出されたメインフレーム(8)の下方にエンジン(9)が支持され、かつエアクリーナ(40)が前記エンジン(9)よりも車両前方に位置されおり、さらに、前記エアクリーナ(40)と前記エンジン(9)との間に前記スロットルバルブ(35)を駆動する前記駆動モータユニット(24)が吸気通路(31)の上方に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項8】
前記吸気通路(31)が前記メインフレーム(8)の下方側で該メインフレーム(8)に沿う向きに配置されており、前記駆動モータユニット(24)の駆動モータ(25)が前記メインフレーム(8)と前記吸気通路(31)との間に、モータ回転軸(38)を上下方向にほぼ沿うように設けられていることを特徴とする請求項7に記載のスロットル制御装置(20)。
【請求項9】
前記スロットルバルブ(35)のスロットル回転軸(35a)が車体上下方向に沿って配置され、かつ前記駆動モータ(25)のモータ回転軸(38)が前記スロットル回転軸(35a)と平行に配置されていることを特徴とする請求項7または8に記載のスロットル制御装置(20)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−180762(P2012−180762A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43081(P2011−43081)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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