説明

スープ類小分け供給装置

【課題】鍋内のスープ類を、レードル受け機構なしでもこぼすことなく、容器状食器に供給することのできるスープ類小分け供給装置の提供。
【解決手段】上記課題は、レードルが鍋の正面側に向って移動する際、そのレードルの掬い口側外周を鍋の内底面に摺動させながら鍋内のスープ類をレードルにより掬い取るとともに、レードルを重量バランスで容器状食器に向かって回動傾斜させることでスープ類を容器状食器に供給するスープ類供給装置において、レードルを鍋の正面側の開口上端面上方に向って案内し、かつ、その案内されたレードルを容器状食器に向かって傾斜するように回動させる案内突出体22を、鍋の正面側の開口上端面から離して鍋の内壁に設けるとともに、容器状食器に向かって回動傾斜したレードルの外周底面と鍋の開口上端面との間に隙間G2を形成することで、解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スープ類を小分けして鍋の外に設置された容器状食器に供給するのに好適なスープ類小分け供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスープ類小分け供給装置としては、本体ケースと、この本体ケース内に出し入れ可能に設置されたスープ類用収容容器と、このスープ類用収容容器に収容された具入りのスープ類を小分けしてその小分けした具入りスープ類を前記スープ類用収容容器の正面に設けられた供給口から前記スープ類用収容容器の外に設けられる容器状食器に供給する供給手段と、前記供給口を覆うドアと、このドアを開閉させるドア開閉手段と、前記スープ類用収容容器を加熱するための加熱手段とを備え、前記供給手段を、電動機と、この電動機の正逆転によって正逆転するように前記本体ケースの側面に設けた作動軸と、この作動軸に取り付けられて前記スープ類用収容容器内を回動するリンク式アームと、このリンク式アームの自由端に回転自在に取り付けたレードルとから構成するとともに、前記リンク式アームを、前記作動軸に取り付けた第1アーム部材と、一端を前記第1アーム部材の自由端に回転自在に取り付け、かつ、他端に前記レードルを回転自在に取り付けてなる第2アーム部材と、第1アーム部材と第2アーム部材との取り付け角度を一定の角度に保持するための弦巻ばね機構とから構成したものが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記従来のスープ類小分け供給装置には、次のような問題を有していることがわかった。
【0004】
(1)レードルをリンク式アームでスープ類用収容容器内を回動させるようにしているため、リンク式アームを構成する第1アーム部材と第2アーム部材との接続部分に、スープ類に混入されている具が付着しやすい。そして、その接続部分にスープ類の具が付着すると、そのスープ類の具が取りにくくなるので、清掃作業を円滑に行うことができなかった。
【0005】
(2)スープ類用収容容器内を回動するところの第1アーム部材と第2アーム部材とを一定の角度に保持するための弦巻ばね機構部分にスープ類に混入されている具が絡みやすいとともに、その弦巻ばね機構部分に絡んだ具が取りにくくなるので、弦巻ばね機構部分の清掃作業を円滑に行うことができなかった。
【0006】
(3)レードルの外周上面に設けた取り付け軸に第2アーム部材を取り付けるようにしているため、その取り付け軸部分にスープ類に混入されている具が絡みやすい。したがって、スープ類小分け供給装置を使用した後の、レードル及びリンク式アームの清掃がやりにくい。
【0007】
(4)スープ類用収容容器の正面に設けられた供給口からレードルを突出させてそのレードルから直接、スープ類用収容容器の外に設けられる容器状食器に落下させるようにしているため、レードルの掬い口からスープ類が容器状食器内以外の部分にこぼれやすくなる。
【0008】
そこで、上記(1)乃至(4)の問題点を解決するために、図29に示すように、本体ケース100内に収納されたスープ類用収容容器101の正面に設けられた供給口101Aからスープ類用収容容器101の外に設けられる容器状食器102に供給する供給手段103を、電動機104の正逆転によって正逆転するように本体ケース100の内側面に設けられた作動軸105と、この作動軸105に取り付けられてスープ類用収容容器101内を往復動するアーム106と、このアーム106の自由端に回動可能に取り付けたレードル107と、このレードル107からのスープ類を容器状食器102に案内するためのレードル受け機構108とから構成し、しかも、アーム106を、一本のL字状の金属部材としてその金属部材の上端を作動軸105に着脱自在に取り付け、かつ、その金属部材の下端にレードル107を回動自在に取り付ける構成とするとともに、レードル受け機構108を、スープ類用収容容器101の鍋109の正面開口端に着脱自在に取り付ける構成とし、さらに、アーム106を図29の矢印P1方向に所定角度回動させると、ドア開閉手段110によってドア111を開かせた後に、レードル107及びレードル受け機構108を、重心バランスによってレードル受け機構108の注ぐ口側を供給口101Aから外方に突出させるように回動させる構成としたスープ類小分け供給装置が開発されている。
【0009】
【特許文献1】特開2001―278391号公報(段落番号0019〜0025、図2〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図29に示すスープ類小分け供給装置では、レードル受け機構108を、スープ類を受ける樋状受け部材112と、この樋状受け部材112をスープ類用収容容器101の鍋109の正面開口端に形成した膨出段部109Aに着脱自在に装着するための装着部材113と、装着部材113に対して樋状受け部材112を回動自在に取り付けるための軸ピン114と、樋状受け部材112及び装着部材113がスープ類用収容容器101の鍋101Aの正面開口端から外れるのを阻止する外れ阻止部材115を少なくとも含む部品点数の多い複雑な構成としているために、使用後のレードル受け機構108の清掃作業に手間を要すると同時に、生産性が悪いという問題点があった。それゆえに、レードル受け機構108を設けることなく、鍋の外に設置された容器状食器102に鍋101A内のスープ類を円滑に供給することのできるスープ類小分け供給装置の出現が望まれていた。また、膨出段部109Aに具が堆積してしまう危険性があった。
【0011】
本発明の目的は、上記の問題点にかんがみ、レードル受け機構なしでも、鍋内のスープ類をこぼすことなく、鍋の外に設置された容器状食器に鍋内のスープ類を円滑に供給することを可能にする構造簡単なスープ類小分け供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、内壁面を円弧状としたスープ類を収納する鍋と、この鍋の上端開口を覆う蓋と、前記鍋の内壁面の円弧状に沿って往復回動する回動アームと、この回動アームの自由端側に回動可能となるように設けたレードルと、前記鍋の正面側の外に設置される容器状食器とを備え、前記レードルが前記鍋の正面側に向って回動する際、そのレードルの掬い口側の外周底面を前記鍋の内壁面に摺動させながら前記鍋内のスープ類を前記レードルにより掬い取るとともに、前記レードルを重量バランスで前記容器状食器に向かって回動傾斜させることにより前記レードルによって掬い取ったスープ類を前記容器状食器に供給するようにしたスープ類供給装置において、前記レードルを前記鍋の正面側の開口上端面上方に向って案内し、かつ、重量バランスにより前記容器状食器に向かって回動傾斜した前記レードルを支える案内突出体を、前記鍋の正面側の開口上端から離して前記鍋の内壁面に設けるとともに、前記レードルが前記容器状食器に向かって回動傾斜した際、その傾斜した前記レードルの外周に付着したスープ類が前記鍋の開口上端面に付着するのを阻止する隙間を、前記レードルの外周底面と前記鍋の開口上端面との間に保持してなることを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明は、前記案内突出体を、上方に向って円弧状に延びる1個以上の個の円弧状リブとして、この円弧状リブの先端部分に掻き落とし部材を装着してなることを特徴としている。
【0014】
さらに、本発明は、前記鍋の正面側の開口上端面に切り欠き凹部を形成し、この切り欠き凹部の幅寸法を前記レードルの左右幅寸法よりも大きく設定するとともに、前記切り欠き凹部の深さ寸法を前記レードルが前記容器状食器に向かって傾斜した状態のときにそのレードルの外周底面が前記切り欠き凹部に接触しないように設定してなることを特徴としている。
【0015】
さらに、本発明は、前記レードルの掬い口側の形状を、先端に向うにしたがって先細りとなり、かつ、掬い口の断面形状がその掬い口の中央部が最も低くなるようにしてなることを特徴としている。
【0016】
さらに、本発明は、前記容器状食器を、前記レードルから供給されたスープ類が前記容器状食器の内側面に衝突するとその衝突したスープ類が前記容器状食器の内底に向って跳ね返るように、前記鍋の外に設けられる載置台に設置してなることを特徴としている。
【0017】
さらに、本発明は、前記レードルを、スープ類を掬い取るための掬い口を有する筒状本体ケースと、この筒状本体ケースの掬い口に取り外し可能に取り付けた液体通過仕切体とからなり、前記筒状本体ケースを、前記回動アームに対して、回動自在に取り付けるための取り付け片を、前記筒状本体ケースの後方外周壁に設けてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、レードル受け機構なしでも、鍋内のスープ類をこぼすことなく、鍋の外に設置された容器状食器に鍋内のスープ類を円滑に供給することができ、使用後の清掃作業が簡単になると同時に、部品点数が少なくなって生産性が向上するとともに、レードルの外周に付着したスープ類を鍋内に戻すことのできるスープ類小分け供給装置が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係るスープ類小分け供給装置の実施形態を、図1〜図28に基づいて説明する。
【0020】
図1〜図2に示す一実施形態スープ類小分け供給装置1は、上面全体及び正面全体を開口させた鋼板製の本体ケース2と、この本体ケース2の上面開口を覆う開閉可能な鋼板製の上面パネル3と、本体ケース2の正面開口を覆う開閉可能な鋼板製の正面パネル4と、本体ケース2の側面に着脱可能に設けた鋼板製の制御箱5とを備えている。本体ケース2の底板2Aには、複数個の高さ調整脚2Bが設けられている。
【0021】
本体ケース2には、図1に示すように、この本体ケース2内に出し入れ可能に設置されるスープ類用収容容器6と、このスープ類用収容容器6に収容されたスープ類を小分けしてその小分けしたスープ類をスープ類用収容容器6の正面に設けられた供給口6Aからスープ類用収容容器6の外に設けられる容器状食器7に供給する供給手段8と、供給口6Aを覆う扉9と、この扉9を開閉させる扉開閉手段10と、スープ類用収容容器6を加熱するための加熱手段11とを、少なくとも備えた構成にしてある。容器状食器7は、小分けしたスープ類を収納できる容器であればよく、紙コップ、缶コップなども含まれる。スープ類用収容容器6に収容されたスープ類としては、カレー、みそ汁、コーンスープなどが含まれる。
【0022】
上面パネル3は、図1に示すように、一端側が本体ケース2の背面上端部にヒンジ3Aにより回転自在に支持され、かつ、他端側に係止用フランジ3Bが形成されている。正面パネル4は、一端側が本体ケース2の左端部をヒンジ(図示せず)により回動自在に支持され、かつ、他端側の下面にラッチ式施錠装置(図示せず)が設けられている。本体ケース2からスープ類用収容容器6を取り出すには、正面パネル4を開いた後、上面パネル3を開くことによって、行われる。
【0023】
供給手段8は、図1及び図2に示すように、電動機12と、この電動機12の正逆転によって正逆転する作動軸13と、この作動軸13に着脱可能に取り付けられてスープ類用収容容器6内を前後に往復回動する回動アーム14と、この回動アーム14の自由端に取り付けられてスープ類用収容容器6の内壁面に沿って前後に円弧運動するレードル15とを包含する構成とし、このレードル15によって掬い取ったスープ類用収容容器6のスープ類を容器状食器7に案内する構成にしてある。そして、電動機12が正逆回転すると、その正逆回転が伝達ベルト16を介して、作動軸13に伝達されるようにしてある(図2参照)。作動軸13を正逆回転させることで、回動アーム14がスープ類用収容容器6内を前後に往復回動させることにより、レードル15がスープ類用収容容器6内を前後に円弧運動するようにしてある。作動軸13は、図2に示すように、制御箱5が設けられる本体ケース2の側面側に軸受13Aによって略水平に支持されている。伝達ベルト16は、図2に示すように、電動機12の回転軸に設けた第1のプーリ12Aと作動軸13に設けた第2のプーリ13Bに巻装されている。
【0024】
スープ類用収容容器6は、図1及び図2に示すように、アルミニュウム製の鍋17とステンレス製の蓋18の二分割構成としてある。鍋17は、側面方向から見てその鍋17の内面全体形状が円弧状となるようにするとともに、正面方向若しくは背面方向から見てその鍋17の内面下部形状が逆ハ状となるようにその鍋17の左右側面の下部を傾斜させてある。蓋18は、下端開口の細長箱状であって、図1及び図2に示すように、正面に供給口6Aが形成され、かつ、上面に蓋用把手18Aが一体的に設けられている。蓋18の下端部分には、図1に示すように、鍋17の上端縁に載置される段部18B及び鍋17の上端内方に挿入される挿入フランジ部18Cが設けられている。蓋18の下端部には、図1に示すように、回動アーム14の水平片14Aを蓋18の側面外方に突出させるためのアーム取り付け開口18Dが形成されている。
【0025】
回動アーム14は、一本の金属板をプレス加工などによって略L状に形成させるものであって、図1及び図9に示すように、作動軸13に取り付けるための水平片14Aと、自由端に取り付け軸19が溶接等により固定される垂直片14Bとからなっている。回動アーム14の垂直片14Bに固定された取り付け軸19には、レードル15が、着脱可能に、かつ、自重で回動可能となるように取り付けられる。回動アーム14の水平片14Aは、図2に示すように、連結筒体14Cによって作動軸13に着脱自在に取り付けられている。
【0026】
レードル15は、図5に示すように、掬い口20Aを有する合成樹脂製の筒状本体ケース20と、この筒状本体ケース20の掬い口20A側に取り外し自在に設けたステンレス製の液体通過仕切体21とを含む構成としてある。レードル15の筒状本体ケース20には、液体通過仕切体21によって、鍋17内に収容されたスープ類を、スープ液と具に分離されて、筒状本体ケース20内にスープ液が、かつ、筒状本体ケース20の掬い口20A部分の空間Sに具が、それぞれ分離されて収容されるようにしてある。
【0027】
筒状本体ケース20には、図6及び図7に示すように、その筒状本体ケース20の前方に設けた掬い口20Aと、その筒状本体ケース20の後方外周壁に設けられて取り付け軸19を取り付けるための一対の取り付け片20Bと、掬い口20Aの左右上方側に配設されて液体通過仕切体21を取り付けるための一対の取り付け溝20Cとが形成されている。一対の取り付け片20Bは、筒状本体ケース20の後方外周壁の上部に位置させることが好ましい。液体通過仕切体21は、図5に示すように、一対の挿入片部21Aと、くの字状折り曲げ部21Bと、このくの字状折り曲げ部21Bの略全体に均一に設けた多数の液体通過孔21Cとから構成されており、筒状本体ケース20の掬い口20A部分にスープ類の具を載せる空間Sを形成するようにしている。空間Sの大きさは、鍋17内に収容されたスープ類を、レードル15によって小分け供給を、所定の規定回数行っても、始めから規定回数の最後まで、スープ類の具とスープ液の比率が略一定となるように設定されている。
【0028】
スープ類用収容容器6を構成する鍋17の内壁面には、図3及び図4に示すように、レードル15を鍋17の正面側の開口上端面上方に向って案内し、かつ、重量バランスにより容器状食器7に向かって回動傾斜したレードル15を支える案内突出体22が設けられている。案内突出体22は、鍋17の正面側の開口上端から内方に離して鍋17の内壁に一体成形されており、上方に向って円弧状に延びる2個の円弧状リブ22A、22Bからなっている。2個の円弧状リブ22A、22Bの円弧面は、鍋17の内壁面に連続する面としてある。なお、2個の円弧状リブ22A、22Bの先端形状(頂面形状)は、本実施形態では、円弧状としているが、三角形状若しくは平坦形状であってもよい。
【0029】
鍋17の正面側の開口上端面には、図2〜図4に示すように、切り欠き凹部17Aが形成されている。この切り欠き凹部17Aの幅寸法L1は、レードル15の左右幅寸法L3よりも大きく設定してある。案内突出体22は、図1及び図3に示すように、鍋17の正面側の開口上端面の切り欠き凹部17Aから離して、すなわち、案内突出体22の側面と鍋17の開口上端面の切り欠き凹部17Aとの間に隙間G1が形成されるように、鍋17の内壁に一体的に設けられている。切り欠き凹部17Aの深さ寸法L2と、この切り欠き凹部17Aから案内突出体22の先端部までの高さ寸法Hとは、案内突出体22の先端部分でレードル15が容器状食器7に向かって傾斜するように回動した際、その傾斜したレードル15の外周底面に付着したスープ類が鍋17の開口上端面の切り欠き凹部17Aに付着するのを阻止する隙間G2が、レードル15の外周底面と鍋17の開口上端面の切り欠き凹部17Aとの間に形成されるように設定されている。本実施形態では、案内突出体22の先端部(頂面部)を、切り欠き凹部17Aの無い部分における鍋17の開口上端面よりも上方に突出させるようにしている。なお、隙間G2の大きさは、レードル15の外周底面を伝わってくるスープ液によって作られるスープ玉の直径よりも大きくしてある。
【0030】
レードル15の掬い口20A側の形状は、図7及び図8の(a)、(b)、(c)、(d)に示すように、先端に向うにしたがって先細りとなり、かつ、掬い口20Aの断面形状がその掬い口20Aの中央部が最も低くなるようにしてある。レードル15の掬い口20Aは、図7に示すように、レードル15の掬い口20Aの奥部の厚さ寸法T1を、レードル15の掬い口20Aの最先端部の厚さ寸法T2よりも大きく設定するとともに、掬い口20Aの奥部から掬い口20Aの最先端部に向うにしたがって徐々に傾斜するように掬い口20Aの下面部の厚さを変えるようにしてある。
【0031】
レードル15に設けた一対の取り付け片20Bには、図6、図7及び図9に示すように、回動アーム14の取り付け軸19が嵌合する嵌合穴20Dが設けられている。回動アーム14の取り付け軸19には、図9に示すように、係合ピン19Aが設けられている。一対の取り付け片20Bに設けた嵌合穴20Dのうち一方の嵌合穴20Dには、図9に示すように、係合ピン19Aが嵌合可能な嵌合切り欠き20Eが設けられている。
【0032】
回動アーム14にレードル15を取り付けるには、まず、回動アーム14の取り付け軸19の係合ピン19Aを、取り付け片20Bの嵌合穴20Dの嵌合切り欠き20Eに合わせることにより、図10に示すように、その取り付け軸19を取り付け片20Bの嵌合穴20Dに挿入する。その後、レードル15を、取り付け軸19を軸にして回動させれば、係合ピン19Aと嵌合切り欠き20Eとの位置がずれることで、レードル15が回動アーム14に対して回動自在に取り付けられる。因みに、図11は、レードル15を、取り付け軸19を軸にして約180度回動させた状態を示している。
【0033】
回動アーム14の水平片14Aから取り付け軸19までの距離寸法S1(図2参照)及び取り付け片20Bの嵌合穴20Dの中心から掬い口20Aの先端までの距離寸法S2(図7参照)は、重量バランスで回動可能となるように回動アーム14に取り付けてなるレードル15が、そのレードル15の掬い口20A側の外周底面を鍋17の内壁面に摺動させながら、スープ類用収容容器6内を円弧運動することが可能となるように設定されている。
【0034】
回動アーム14を鍋17の正面側に向って(回動アーム14を供給口6Aに向う方向に)回動させると、レードル15によって、鍋17内のスープ類が掬い取られる。その後、さらに、回動アーム14を鍋17の正面側に向って回動させると、レードル15が案内突出体22を構成する2個の円弧状リブ22A、22Bの円弧面によって案内されて、そのレードル15の掬い口20A側が円弧状リブ22A、22Bの先端上方に達すると、レードル15が重量バランスにより、円弧状リブ22A、22Bの先端を支えにして、容器状食器7に向かって傾斜する方向に回動させられて、レードル15が供給口6Aから外方に突出する。そのために、レードル15によって掬い取られた鍋15内のスープ類が、容器状食器7に向って流下するようになる。そして、レードル15の容器状食器7に向かって傾斜した状態を一定時間維持させることで、粘性の高いコーンスープ等のスープ類であっても、容器状食器7に向って流下させることができる。
【0035】
レードル15によって掬い取られた鍋17内のスープ類を容器状食器7内に供給後、レードル15が供給口6Aから離れる方向に回動アーム14を回動させると、円弧状リブ22A、22Bの先端を支えにして、レードル15が重量バランスにより、反転しつつレードル15が供給口6A内に引っ込む。その後、さらに、回動アーム14を供給口6Aから離れる方向に回動させて、レードル15を鍋17内のスープ類内に沈めてレードル15内の空気を逃すことにより、レードル15の掬い口20A側の外周底面を鍋17の内壁面に再び摺動させながら、鍋17の背面側に向って回動させる。その後、回動アーム14を鍋17の正面側に向って(回動アーム14を供給口6Aに向う方向に)回動させて、レードル15を鍋15内の略中央に位置させたならば、回動アーム14の回動動作を停止させることで、1回の小分け供給動作(小分け抽出動作)を終了させる。
【0036】
鍋17内のスープ類が、その鍋17の内壁面に焦げ付くのを防止するためには、作動軸13を所定の回動角度の範囲で正逆回転させることで、回動アーム14をスープ類用収容容器6内で前後に往復回動させることにより、レードル15がスープ類用収容容器6内を前後に所定の回動角度の範囲で円弧運動するようにすればよい。このレードル15の円弧運動によって、鍋17の内壁面の底に沈んでいるスープ類が攪拌されるので、スープ類の焦げ付きを防ぐことができる。
【0037】
レードル15の回動角度調整及び正逆転は、作動軸13に設置した回動角度制御機構23によって行われる。回動角度制御機構23は、図12及び図13に示すように、回転円板24と、この回転円板24を作動軸13に取り付けるための筒状軸体24Aと、この筒状軸体24Aを作動軸13に固定する回転円板用螺子25と、回転円板24に外周に配置した3個の正面位置用光センサー26、中央位置用光センサー26A及び背面位置用光センサー26Bと、これら光センサー26、26A、26Bを制御箱5内の所定の場所に固定してなる支持板27に固定する光センサー用螺子28とを備えている。3個の正面位置用光センサー26、中央位置用光センサー26A及び背面位置用光センサー26Bは、それぞれ、図13に示すように、回転円板24を挟んで、発光部Dと受光部Zとが配置させる構造としてある。
【0038】
3個の正面位置用光センサー26、中央位置用光センサー26A及び背面位置用光センサー26Bによって、回転円板24の周端に設けたスリット24Bを検出することで、レードル15の回動角度及び正逆転を制御するようにしてある。すなわち、電動機12の正回転により作動軸13及び回転円板24が正転して正面位置用光センサー26がスリット24Bを検出すると、電動機12の正回転が停止させられて回動アーム14の矢印P1方向への回動が停止させられるので、レードル15が重量バランスにより回動して容器状食器7に向かって傾斜した状態が維持される。
【0039】
そして、電動機12の回転を所定時間停止させることで、レードル15が容器状食器7に向かって傾斜した状態を所定時間維持させたならば、電動機12を逆回転させて作動軸13及び回転円板24を逆転させることで、中央位置用光センサー26Aがスリット24Bを検出すると、電動機12の逆回転が停止させられて回動アーム14の矢印Q1方向への回動が停止させられるので、回動アーム14及びレードル15を鍋17内の略中央に停止させられる。
【0040】
また、電動機12を逆回転させて作動軸13及び回転円板24を逆転させた際に、中央位置用光センサー26Aを非通電状態としておけば、中央位置用光センサー26Aによってスリット24Bが検出されることなく、作動軸13及び回転円板24がさらに逆転して背面位置用光センサー26Bによってスリット24Bが検出されることになる。背面位置用光センサー26Bがスリット24Bを検出すると、電動機12の回転が逆回転から正回転に切り替えられて作動軸13及び回転円板24が正転させられるために、回動アーム14の回動方向が矢印Q1方向から矢印P1方向に切り替えられるので、回動アーム14及びレードル15が鍋17内の略中央に向って回動させられる。
【0041】
さらに、作動軸13及び回転円板24が正転して、中央位置用光センサー26Aによってスリット24Bが検出されると、電動機12の正回転が停止させられて回動アーム14の矢印P1方向への回動が停止させられるので、回動アーム14及びレードル15を鍋17内の略中央に停止させられる。
【0042】
レードル15が容器状食器7に向かって傾斜した状態におけるレードル15の傾斜角度は、回転円板24における正面位置用光センサー26の配置位置を、図12の矢印Nのように左右に移動させて変えることで、調整することができる。また、レードル15の鍋17内の背面側への回動位置は、回転円板24における背面位置用光センサー26Bの配置位置を、左右に移動させて変えることで、調整することができる。また、レードル15の鍋17内の中央停止位置は、回転円板24における中央位置用光センサー26Aの配置位置を、左右に移動させて変えることで、調整することができる。
【0043】
扉9は、扉開閉手段10によって、レードル15の掬い口20Aが供給口6Aから突出する前に開き、かつ、レードル15の掬い口20Aが供給口6A内に引っ込んだ後に、閉じるようにしてある。なお、扉9が閉じた状態では、鍋17の正面側の開口上端面に形成された切り欠き凹部17Aが、その扉9の下端側で確実に覆われるように、扉9の大きさが設定されている。
【0044】
制御箱5の正面には、操作盤及び小分け動作開始釦(図示せず)が設けられている。その操作盤には、供給手段8によるスープ類の小分け供給回数を表示する小分け供給回数表示部、その小分け供給回数表示部に表示された小分け供給回数を加減修正する修正釦、小分け供給回数表示部に表示された小分け供給回数を零にするリセット釦、電源スイッチ、運転表示部及びエラー表示部などを配設するようにしている。制御箱5内には、電動機12と一緒に、制御基板、漏電ブレーカー、メンテナンス用操作盤などを配設するようにしている。
【0045】
正面パネル4には、図1に示すように、供給口6Aの前方を覆う縦長凸状の覆い体4Aと、この覆い体4Aの下方に隙間G3をおいて本体ケース2の正面底部まで略延在させ、かつ、容器状食器7を載置するための縦長凸状の載置台4Bとが一体的に設けられている。正面パネル4若しくは本体ケース2の正面開口の端縁には、その正面パネル4を閉じるとその状態を保持するための閉状態保持用磁石(図示せず)が設けられている。正面パネル4の覆い体4Aの上面には、円状の透明窓4Cが設けられている。上面パネル3には、スープ類用収容容器6を本体ケース2内に入れた状態で上面パネル3を閉じると蓋18の外周端部を鍋17の外周端部に押圧させる複数個の押圧手段(図示せず)が設けられている。
【0046】
載置台4B上には、鉛直方向のドア用回転軸を軸として回転する回転ドア4Dが設けられている。回転ドア4Dは、その回転ドア4Dに設けた把手(図示せず)を持って手動で一方向に回転させると、載置台4Bの外方に突出して開き、かつ、把手を持って手動で他方向に回転させると載置台4B上に収納されて閉じるようにしてある。回転ドア4Dは、載置台4B上の容器状食器7内に外部から塵埃が浸入するのを阻止するとともに、載置(図示せず)台4B上の容器状食器7に供給されたスープ類が万一、飛散しても、正面パネル4の前方にスープ類が飛散して、スープ類小分け供給装置1を載置したテーブルを汚すのを阻止する機能を有している。また、回転ドア4Dは、透明部材からなり、閉じた状態でも、載置台4B上の容器状食器7へのスープ類の供給状況を確認することができる機能を有している。
【0047】
載置台4B上には、図1に示すように、容器状食器7を載置するための食器トレイ4Eを取り出し可能に設置してある。食器トレイ4Eの中央部には、容器状食器7からこぼれたスープ類を流下させる流下口4Fを設ける。この流下口4Fの下方には、回収容器29を設けるようにしてある。回収容器29は、正面パネル4を開けることで、載置台4B内から取り出せるようにしてある。食器トレイ4E上には、図1に示すように、傾斜トレイ30が着脱可能に設置されるようにしてある。容器状食器7は、鍋17側に向って容器状食器7が傾いた状態で食器トレイ4Eに容器状食器7を設置させる傾斜トレイ30によって、レードル15から供給されたスープ類が容器状食器7の内側面に衝突するとその衝突したスープ類が容器状食器7の内底に向って跳ね返る(図1の矢印X1で示す)ように、鍋17の外に設けられる載置台4Bに設置される。
【0048】
上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1のレードル15によるスープ類の供給動作(小分け抽出動作)を、図14〜図22に基づき、詳説する。
【0049】
まず、図14に示すように、回動アーム14及びレードル15を鍋17の中央に位置させた状態から回動アーム14を供給口6Aに向う方向(矢印P1方向)に回動させると、レードル15の掬い口20Aの外周底面側が鍋17の内壁面を摺接しながら回動アーム14及びレードル15が回動して、図15に示す状態となり、レードル15によってスープ類用収容容器6のスープ類が掬い取られる。この場合、スープ液が、液体通過仕切体21を通過してレードル15の筒状本体ケース20内に溜められ、かつ、具が、筒状本体ケース20の掬い口20A部分に載置させるとともに、レードル15が、案内突出体22に案内されて鍋17の正面側の開口上端面上方に向って案内される。この場合、レードル15が回動アーム14の取り付け軸19を回動軸として、矢印R2方向に回動可能であるので、レードル15の掬い口20Aが案内突出体22を構成する2個の円弧状リブ22A、22Bの円弧面に引っ掛かることなく、レードル15の掬い口20Aが、鍋17の正面側の開口上端面上方に向って、円滑に案内される。
【0050】
その後、さらに、回動アーム14を供給口6Aに向う方向(矢印P1方向)に回動させると、図16に示すように、レードル15の掬い口20A側が案内突出体22に案内されてその案内突出体22の先端よりも上方に達して、その案内突出体22の先端でレードル15の外周底面が擦られながらレードル15の取り付け軸19を軸として、レードル15が、重量バランスにより、矢印R1方向に回動し、そのレードル15の掬い口20A側が供給口6Aより外方に突出する。このとき、レードル15の外周底面に付着していたスープ類は、案内突出体22の先端でレードル15の外周底面が擦られることによって、鍋17内に流下する。この場合、案内突出体22の先端で擦られて流下したスープ類は、鍋17の開口上端面の切り欠き凹部17Aと案内突出体22の側面との間に隙間G1が形成されているため、鍋17の開口上端面に付着することなく、案内突出体22を伝わって、確実に鍋17内に流下する。なお、供給口6Aを覆う扉9は、その扉9にレードル15の掬い口20Aが接触することがないように、供給口6Aからレードル15の掬い口20A側が外方に突出する前に、扉開閉手段10によって開かれている。
【0051】
その後、さらに、回動アーム14を供給口6Aに向う方向(矢印P1方向)に回動させると、図17に示すように、案内突出体22の先端を支えにして、レードル15及びそのレードル15に掬われたスープ類の重量バランスにより、回動アーム14の取り付け軸19を軸としてレードル15がさらに回動(矢印R1方向)することで、レードル15の掬い口20A側が供給口6Aから外に大きく突出すると同時に、レードル15が傾斜した状態となる。その結果、レードル15により掬われたスープ類用収容容器6のスープ類が、傾斜したレードル15における掬い口20Aの最先端中央に導かれて容器状食器7に円滑に供給される。この場合も、レードル15の外周底面に付着していたスープ類が案内突出体22の先端でレードル15の外周底面が擦られることによって、鍋17内に流下させられているとともに、レードル15の外周底面に付着していたスープ類が掬い口20Aの外周先端側に伝わってきた場合であっても、レードル15の外周底面と鍋17の開口上端面の切り欠き凹部17Aとの間に隙間G2が保持されているため、掬い口20Aの外周先端側に伝わってきたスープ類が、鍋17の開口上端面の切り欠き凹部17Aに付着して鍋17の外周を伝わって流下することがなく、掬い口20Aの先端から容器状食器7内に供給される。なお、レードル15が容器状食器7に向って回動した時点では、回動角度制御機構23によって電動機12の回転を停止させて、レードル15の傾斜した状態を所定時間維持するようにしている。
【0052】
容器状食器7へのスープ類の供給が終了したならば、電動機12を逆転させて、回動アーム14を供給口6Aから離れる方向(矢印Q1方向)に回動させると、レードル15が、取り付け軸19を軸として重量バランスにより、矢印R2方向に回動しながら、レードル15が供給口6A内に引っ込み、図18に示す状態となる。
【0053】
その後、さらに、回動アーム14を供給口6Aから離れる方向(矢印Q1方向)に回動させると、図19に示すように、レードル15の筒状本体ケース内の空気により、レードル15の掬い口20Aが鍋17の内壁面から離れて、レードル15が容器状食器7のスープ類内に浮かんだ状態となる。
【0054】
その後、さらに、回動アーム14を供給口6Aから離れる方向(矢印Q1方向)に回動させて、レードル15の筒状本体ケース内の空気が逃げて筒状本体ケース内がスープ液で満たされるまでは、図20に示すように、レードル15が容器状食器7のスープ類内に浮かんだ状態が維持される。
【0055】
その後、さらに、回動アーム14を供給口6Aから離れる方向(矢印Q1方向)に回動させて筒状本体ケース内の空気が逃げると、レードル15がスープ類内に沈むとともに、図21に示すように、レードル15が、取り付け軸19を軸として重量バランスにより、矢印R1方向に回動させられてレードル15の掬い口20Aが鍋17の内壁面に摺接しながら、回動アーム14及びレードル15が鍋17の中央に位置した状態となる。
【0056】
その後、さらに、回動アーム14を供給口6Aから離れる方向(矢印Q1方向)に
回動させると、図22に示すように、鍋17内の背面側に回動アーム14及びレードル15が位置した状態となる。この場合にも、レードル15の掬い口20Aの外周底面が鍋17の内壁面に摺接している。しかも、図21に示すように、レードル15の後部外周底面と鍋17の内壁面との間には10mm〜15mm程度の隙間G4が保持されている。そのため、スープ類内の具は、図22に示すように、レードル15が鍋17の背面側に回動しても、そのレードル15によって鍋17の背面側に掻き寄せられずにレードル15の左右側面側等に逃げるため、レードル15で鍋17の背面側に多量に集中して掻き寄せられることがない。
【0057】
その後、電動機12を正転させることにより、再び、回動アーム14を供給口6Aに向う方向(矢印P1方向)に回動させて、回動アーム14及びレードル15を、図21に示すように、鍋17内の略中央に位置させることで、一回のスープ類の供給動作(小分け抽出動作)が終了する。
【0058】
上述のスープ類の供給動作(小分け抽出動作)では、図14の状態から図15の状態に移行するようにしているが、これに限定されない。図14の状態から図22の状態とした後に、図15の状態に移行するようにしてもよい。また、スープ類の供給動作(小分け抽出動作)を実行しない時間帯に、鍋17内の略中央に位置させたレードル15を、前後に複数回移動させることで、鍋17の底にあるスープ類が焦げるのを阻止するようにしてもよい。
【0059】
以上のように、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1によれば、鍋17の開口上端面の内方に隙間G1を置いて鍋の内壁面に設けられた案内突出体22の先端を支えにして、レードル15及びそのレードル15に掬われたスープ類の重量バランスにより、回動アーム14の取り付け軸19を軸としてレードル15が回動することにより、レードル15の掬い口20A側が供給口6Aから外に大きく突出すると同時に、レードル15が傾斜した状態となるので、レードル受け機構なしでも、鍋17の外に設置された容器状食器7に鍋内のスープ類を円滑に供給することができる。
【0060】
しかも、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1によれば、鍋17の開口上端面の内方に隙間G1を置いて鍋17の内壁面に設けられた案内突出体22の先端で、レードル15の外周底面が擦られながらレードル15が容器状食器7に向かって傾斜するために、レードル15の外周底面に付着したスープ類が案内突出体22の表面を伝わって鍋17内に流下してしまい、その流下したスープ類が、鍋17の正面側の開口上端面から鍋17の外壁側に流出することないとともに、容器状食器7に向かって傾斜したレードル15の外周底面と鍋17の開口上端面との間に隙間G2が保持されているため、レードル15の掬い口20Aの外周先端側に伝わってきたスープ類が鍋17の開口上端面に付着して鍋17の外壁側に流出することないので、鍋17の正面側の外壁や載置台4Bにスープ類が付着して見栄えが悪くなってしまうことを阻止できる。
【0061】
また、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1では、レードル受け機構が不要となり、鍋の正面側にレードル受け機構を設置するための膨出段部を形成しなくともよくなるので、スープ類の供給動作(小分け抽出動作)時に鍋内の正面側に具が堆積してしまうという不具合の発生を阻止することができる。
【0062】
さらに、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1によれば、鍋17の正面側の開口上端面に切り欠き凹部17Aを形成し、この切り欠き凹部17Aの幅寸法L1をレードル15の左右幅寸法L3よりも大きく設定し、かつ、案内突出体22の先端を鍋17の正面側の開口上端面より上方に位置させるとともに、切り欠き凹部17Aの深さ寸法L2をレードル15が容器状食器7に向かって傾斜した状態のときにそのレードル15の外周底面が切り欠き凹部17Aに接触しないように設定してあるので、傾斜したレードル15の外周底面が切り欠き凹部17Aに接触することがないため、レードル15の外周底面に付着したスープ類を、切り欠き凹部17Aから鍋17の外壁側に流出させることなく、しかも、案内突出体22の先端で回動するところのレードル15の傾斜角度を大きく設定することが容易となり、レードル15の掬い口20Aを容器状食器7に近づけることができるので、スープ類を容器状食器7内に確実に供給させることができる。
【0063】
さらに、図19及び図20に示すように、回動アーム14を供給口6Aから離れる方向(矢印Q1方向)に回動させた場合、レードル15が容器状食器7のスープ類内に浮かんだ状態となって、レードル15が取り付け軸19を軸として揺動とするともに、レードル15の筒状本体ケース内から逃げた空気によって容器状食器7のスープ類が攪拌された状態になることで、レードル15によって鍋17内の背面側に、スープ類内の具が大量に集められることがなくなる。
【0064】
さらに、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1によれば、レードル15の掬い口20A側の形状を、先端中央に向うにしたがって先細りとなり、かつ、掬い口20Aの断面形状がその掬い口20Aの中央部が最も低くなる形状にしたため、掬い口20Aの先端中央部にスープ類が集められるので、スープ類を容器状食器7内に向って、円滑に供給することができる。
【0065】
さらに、上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1によれば、容器状食器7を、レードル15から供給されたスープ類が容器状食器7の内側面に衝突するとその衝突したスープ類が容器状食器7の内底に向って跳ね返るように、鍋17の外に設けられる載置台4Bに設置したので、レードル15から供給されたスープ類の、容器状食器7外への飛散を阻止することができる。
【0066】
上記一実施形態のスープ類小分け供給装置1では、レードル15を、スープ類を掬い取るための掬い口20Aを有する筒状本体ケース20と、この筒状本体ケース20の掬い口20Aに取り外し可能に取り付けた液体通過仕切体21とからなり、筒状本体ケース20を、回動アーム14に対して、回動自在に取り付けるための取り付け片20Bを、筒状本体ケース20の後方外周壁に設けるようにしたので、レードル15の回転モーメントを大きく設定することができ、レードル15の案内突出体22上での回動を円滑に行わせることができる。すなわち、スープ類を掬った状態でのレードル15全体の重心とレードル15の回動中心となる取り付け軸19とをできるだけ離すことによって、レードル15の回転モーメントを大きく設定することができるので、レードル15の回動傾斜を円滑に行わせることができる。
【0067】
次に、本発明の他実施形態例を、図23〜図18に基づき説明する。本発明の他実施形態例では、案内突出体31を、上方に向って円弧状に延びる2個の円弧状リブ32、33と、この2個の円弧状リブ32、33の先端部分に装着される細長状の掻き落とし部材34により構成するようにしたものであり、他の点は図1〜図13に示し本発明の一実施形態例と同一である。
【0068】
掻き落とし部材34は、合成樹脂製若しくは硬質ゴム製であって、図25及び図26に示すように、円弧状リブ32、33の頂部に圧入固定するための圧入穴34Aを有している。掻き落とし部材34の頂面の断面形状は、図26に示すように、山形状(略三角状)としてある。掻き落とし部材34の長さ寸法L4は、レードル15の左右幅寸法L3と同一か若しくは左右幅寸法L3より大きく設定してある。掻き落とし部材34には、その掻き落とし部材34の外周に、レードル15の外底面が接触すると倒れる弾性ブレードを設けるようにしてもよい。
【0069】
2個の円弧状リブ32、33は、図23に示すように、同一形状としてある。円弧状リブ32、33の先端内側には、段差部32A、33Aが形成されている。この段差部32A、33Aによって、円弧状リブ32、33に圧入固定した掻き落とし部材34と円弧状リブ32、33の内側面32B、33Bとの間に段差ができないようにしている。なお、本発明の他実施形態例では、鍋17の開口上端面と案内突出体34の側面と鍋17の開口上端面との間に形成される隙間G1とは、鍋17の開口上端面に形成される切り欠き凹部17A部分の側面と掻き落とし部材34の側面との間に形成されるものとしている。また、本発明の他実施形態例では、切り欠き凹部17Aから案内突出体34の先端部までの高さ寸法Hとは、切り欠き凹部17Aの内底から掻き落とし部材34の先端部までの高さとしている。
【0070】
上記本発明の他実施形態例の掻き落とし部材34によれば、レードル15が重量バランスにより、回動した際に、レードル15の外底面の左右幅全体に亘って、掻き落とし部材34によって擦られるので、レードル15の外底面に付着したスープ類を、鍋17内に、確実に掻き落とすことができる。なお、掻き落とし部材34の頂面の断面形状は、山形状としているが、円弧状若しくは平坦状であってもよい。
【0071】
上記実施形態のスープ類小分け供給装置1では、供給口6Aを覆う扉9を扉開閉手段10で開閉させるようにしているがこれに限定されない。扉9を、レードル15の筒状本体ケース20の動作によって、直接開閉させるようにすることも可能である。また、上記実施形態のスープ類小分け供給装置1のスープ類は、具入りのスープとしているがこれに限定されない。具なしの粘性の高いスープ液にも、本発明を適用することができる。
【0072】
上記実施形態例の案内突出体22、31では、2個の円弧状リブ22A、22B若しくは2個の円弧状リブ32、33としているが、これに限定されない。案内突出体22を、3個以上の円弧状リブとすることも可能であり、かつ、幅広の円弧状リブとすることによって1個の円弧状リブとすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態に係り、レードルで容器状食器にスープ類を供給している状態におけるスープ類小分け供給装置の正面中央要部縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係り、レードルがスープ類用収容容器の略中央に位置している状態におけるスープ類小分け供給装置の側面中央要部縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置の鍋の上方斜視面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置の鍋に設けた案内突出体の拡大斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置のレードルの要部斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置におけるレードルの筒状本体ケースのみの平面図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】(a)は、図6のC1−C1断面図、(b)は、図6のC2−C2断面図、(c)は、図6のC3−C3断面図、(d)は、図6のC4−C4断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置のレードルの取り付け片の取り付け穴にアームの取り付け軸を挿入しない前の状態を示す要部斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態に係り、レードルの取り付け片の取り付け穴にアームの取り付け軸を挿入した状態を示す要部斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態に係り、レードルの取り付け片の取り付け穴にアームの取り付け軸を挿入した後、レードルを180度回転させた状態を示す要部斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置の回動角度制御機構の要部拡大平面図である。
【図13】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置の回動角度制御機構の要部拡大断面図である。
【図14】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードルが鍋内の略中央に位置している場合の動作説明図である。
【図15】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードルが案内突出体によって案内されている場合の動作説明図である。
【図16】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードルの掬い口が案内突出体よりも上方に位置している場合の動作説明図である。
【図17】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードルを容器状食器に向かって傾斜するように回動してスープ類を容器状食器に供給している場合の動作説明図である。
【図18】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置におけるアームを供給口から離れる方向に回動させた状態であってレードルが供給口から鍋内に入った状態の動作説明図である。
【図19】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置におけるアームを供給口から離れる方向に回動させた状態であってレードルが鍋内のスープ類に浮いている状態の動作説明図である。
【図20】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置におけるアームを供給口から離れる方向に回動させた状態であってレードルが鍋のスープ類内に沈んだ状態の動作説明図である。
【図21】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置におけるアームを供給口から離れる方向に回動させた状態であってレードルが鍋内の中央に位置している場合の動作説明図である。
【図22】本発明の一実施形態に係り、スープ類小分け供給装置におけるアームを供給口から離れる方向に回動させた状態であってレードルが鍋内の背面側に位置している場合の動作説明図である。
【図23】本発明の他実施形態に係り、スープ類小分け供給装置の鍋に設けた案内突出体に掻き落とし部材を取り付ける前の状態を示す要部拡大斜視図である。
【図24】本発明の他実施形態に係り、スープ類小分け供給装置の鍋に設けた案内突出体を構成する掻き落とし部材の拡大斜視図である。
【図25】本発明の他実施形態に係り、スープ類小分け供給装置の鍋に設けた案内突出体を構成する掻き落とし部材の拡大底面図である。
【図26】図25のB−B断面図である。
【図27】本発明の他実施形態に係り、スープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードルの掬い口側が案内突出体よりも上方に位置している場合の動作説明図である。
【図28】本発明の他実施形態に係り、スープ類小分け供給装置におけるアームを供給口に向う方向に回動させた状態であってレードルを容器状食器に向かって傾斜するように回動してスープ類を容器状食器に供給している場合の動作説明図である。
【図29】開発中に係るところのスープ類小分け供給装置の正面中央要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 スープ類小分け供給装置
2 本体ケース
4 正面パネル
4A 覆い体
4B 載置台
4C 透明窓
4D 回転ドア
4E 食器トレイ
4F 流下口
5 制御箱
6 スープ類用収容容器
6A 供給口
7 容器状食器
8 供給手段
9 扉
10 扉開閉手段
11 加熱手段
12 電動機
12A 第1のプーリ
13 作動軸
13A 軸受
13B 第2のプーリ
14 回動アーム
14A 水平片
14B 垂直片
14C 連結筒体
15 レードル
16 伝達ベルト
17 鍋
17A 切り欠き凹部
18 蓋
18A 蓋用把手
18B 段部
18C 挿入フランジ部
18D アーム取り付け開口
19 取り付け軸
19A 係合ピン
20 筒状本体ケース
20A 掬い口
20B 取り付け片
20C 取り付け溝
20D 嵌合穴
20E 嵌合切り欠き
21 液体通過仕切体
22 案内突出体
22A、22B 円弧状リブ
23 回動角度制御機構
24 回転円板
24A 筒状軸体
25 回転円板用螺子
26 光センサー
27 支持板
28 光センサー用螺子
29 回収容器
30 傾斜トレイ
31 案内突出体(他実施形態)
32、33 円弧状リブ
32A、33A 段差部
34 掻き落とし部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁面を円弧状としたスープ類を収納する鍋と、この鍋の上端開口を覆う蓋と、前記鍋の内壁面の円弧状に沿って往復回動する回動アームと、この回動アームの自由端側に回動可能となるように設けたレードルと、前記鍋の正面側の外に設置される容器状食器とを備え、前記レードルが前記鍋の正面側に向って回動する際、そのレードルの掬い口側の外周底面を前記鍋の内壁面に摺動させながら前記鍋内のスープ類を前記レードルにより掬い取るとともに、前記レードルを重量バランスで前記容器状食器に向かって回動傾斜させることにより前記レードルによって掬い取ったスープ類を前記容器状食器に供給するようにしたスープ類供給装置において、
前記レードルを前記鍋の正面側の開口上端面上方に向って案内し、かつ、重量バランスにより前記容器状食器に向かって回動傾斜した前記レードルを支える案内突出体を、前記鍋の正面側の開口上端から離して前記鍋の内壁面に設けるとともに、前記レードルが前記容器状食器に向かって回動傾斜した際、その傾斜した前記レードルの外周に付着したスープ類が前記鍋の開口上端面に付着するのを阻止する隙間を、前記レードルの外周底面と前記鍋の開口上端面との間に保持してなることを特徴とするスープ類小分け供給装置。
【請求項2】
前記案内突出体を、上方に向って円弧状に延びる1個以上の個の円弧状リブとして、この円弧状リブの先端部分に掻き落とし部材を装着してなることを特徴とする請求項1記載のスープ類小分け供給装置。
【請求項3】
前記鍋の正面側の開口上端面に切り欠き凹部を形成し、この切り欠き凹部の幅寸法を前記レードルの左右幅寸法よりも大きく設定するとともに、前記切り欠き凹部の深さ寸法を前記レードルが前記容器状食器に向かって傾斜した状態のときにそのレードルの外周底面が前記切り欠き凹部に接触しないように設定してなることを特徴とする請求項1若しくは2記載のスープ類小分け供給装置。
【請求項4】
前記レードルの掬い口側の形状を、先端に向うにしたがって先細りとなり、かつ、掬い口の断面形状がその掬い口の中央部が最も低くなるようにしてなることを特徴とする請求項1、2若しくは3記載のスープ類小分け供給装置。
【請求項5】
前記容器状食器を、前記レードルから供給されたスープ類が前記容器状食器の内側面に衝突するとその衝突したスープ類が前記容器状食器の内底に向って跳ね返るように、前記鍋の外に設けられる載置台に設置してなることを特徴とする請求項1、2、3若しくは4記載のスープ類小分け供給装置。
【請求項6】
前記レードルを、スープ類を掬い取るための掬い口を有する筒状本体ケースと、この筒状本体ケースの掬い口に取り外し可能に取り付けた液体通過仕切体とからなり、前記筒状本体ケースを、前記回動アームに対して、回動自在に取り付けるための取り付け片を、前記筒状本体ケースの後方外周壁に設けてなることを特徴とする請求項1、2、3、4若しくは5記載のスープ類小分け供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2007−302266(P2007−302266A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−130093(P2006−130093)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(500333567)株式会社亀屋工業所 (28)
【Fターム(参考)】