説明

セグメントユニットのローリング修正構造及びローリング修正用セグメントユニット

【課題】セグメントリングのローリングを修正すると共にローリング修正による段差を上部に形成しないようにした。
【解決手段】傾斜部の矩形セグメントリング1Aにローリングが発生した場合に、トンネル部2Bの端部に敷設されるローリングした矩形セグメントリング1Aに隣接して略U字形断面からなるローリング修正用略U字形セグメント15を敷設してローリングを解消する。ローリング修正用略U字形セグメント15は、ローリングした矩形セグメントリング1Aに接合する第一接合面7aのリング間継手13を、第二の接合面7bのリング間継手3からローリング角度θだけ偏移した位置に設定する。アプローチ部2Aにおいて、ローリング修正用略U字形セグメント15をローリングした矩形セグメントリング1Aに接合させてローリングを解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線路や道路等と立体交差するアンダーパストンネルの覆工部を構成するセグメントリング敷設時にローリングが発生した際のセグメントユニットのローリング修正構造及びローリング修正用セグメントユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
線路や道路等と立体交差するアンダーパストンネルは、地中に埋設されたトンネル部と、トンネル部及び地上をつなぐアプローチ部とから構成されており、地上からシールド掘削機を発進させてアンダーパストンネル全線を連続施工することが可能である(例えば、特許文献1参照)。なお、アンダーパストンネルでは、トンネル部はセグメントリングが接合されて構成され、アプローチ部はセグメントリングの上方が地上に開口するために切除されてなる略U字形断面のセグメントが接合されて構成される。本書では、これらセグメントリングと略U字形断面のセグメントを総称してセグメントユニットという。
シールド工法によれば、線路や道路等を開削することなく、アンダーパストンネルを構築することができるので、工期および工費の縮減が可能となり、交通網が遮断されることもない。
【特許文献1】特開2005−248546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、アンダーパストンネルでは、覆工部を構成するセグメントリングが、施工誤差あるいは幾何学的要因により、トンネル軸回りに回転移動(傾斜)するローリングと呼ばれる現象が発生することがある。
例えばローリングが発生する幾何学的要因について図8に基づいて説明する。図8は断面矩形型のアンダーパストンネルのアプローチ部を含む傾斜部を示しており、(a)が平面図、(b)が縦断面図である。この例では、傾斜部が下方または上方に傾斜しながら左右方向にカーブする構造になっている。
このように、トンネルが傾斜部でカーブする場合、カーブ箇所、即ち、矩形セグメントリングS0と矩形セグメントリングS1の間に、両側部の長さが異なる矩形テーパセグメントリングTが挿入される。しかし、矩形テーパセグメントリングTの両側部の長さが異なっているため、次に接合される矩形セグメントリングS1との接合面における下端面両角部P、Qは矩形セグメントリングS0からの長さが異なるために高低差Hが生じる。この接合面は高低差H分だけ傾斜する即ちローリングすることになる。
【0004】
そのため、矩形テーパセグメントリングTの接合面に接合させる新たな矩形セグメントリングS1を同一高低差Hだけローリング(傾斜)させなければ両者のリング間継手同士を接合できなくなる。矩形セグメントリングの場合、ローリングによって後続のセグメントリングS1、…も傾斜するため、トンネル内面に建築限界を超えるローリングが発生した場合には車輌等の運行に支障を生じる欠点が生じる。
図8に示す例では矩形テーパセグメントリングTに対して下り方向に配設されるセグメントリングS1にローリングが発生するようになっているが、上がり傾斜の場合でも同様であり、トンネル部のアプローチ部方向のセグメントリングにローリングが発生することになる。矩形セグメントリングのローリングの修正は困難であり、仮に修正できるとしても隣接する矩形セグメントリング間の接合部全周に角度差による段差が発生する欠点が生じる。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、セグメントリングのローリングを修正すると共にローリング修正による段差を上部に形成しないようにしたセグメントユニットのローリング修正構造及びローリング修正用セグメントユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明によるセグメントユニットのローリング修正構造は、アンダーパストンネルの覆工部を構成する矩形セグメントリングの敷設時に一の矩形セグメントリングにローリングが発生した際、ローリング修正用セグメントユニットを接合することでローリングを修正するようにしたセグメントユニットのローリング修正構造であって、ローリング修正用セグメントユニットは上方が開放する略U字形断面を有していて第一及び第二の接合面を対向配置してなり、一の矩形セグメントリング側に位置する第一の接合面に設けたリング間継手が、一の矩形セグメントリングのローリング量に応じて第二の接合面に設けたリング間継手の位置から偏移した位置に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、ローリングした矩形セグメントリングに対して、直接または他のセグメントユニットを介してアプローチ部に設ける略U字形断面のローリング修正用セグメントユニットを接合することによって矩形セグメントリングで生じたローリングを修正する。その際、ローリング修正用セグメントユニットは、第一の接合面のリング間継手がローリング量に応じて偏移した位置に設けられているため、ローリング修正用セグメントユニットをローリングを解消した姿勢で接合でき、更に第二の接合面のリング間継手によって接合される他の略U字形セグメントユニットはローリングを解消した状態で接合できる。
そのため、ローリングした矩形セグメントリングに対してローリング修正用セグメントユニットは上部が開放されているから上部に段差を生じることはなく、内面上部にコンクリートからなる二次覆工を逆打ちで施す必要がなく、後打ちコンクリートが崩落するおそれもない。
【0007】
また、ローリング修正用セグメントの第一の接合面はリング間継手を介して一の矩形セグメントリングに接合していることが好ましい。
略U字形断面からなるローリング修正用セグメントをローリングした矩形セグメントリングに隣接して敷設することで、アプローチ部でローリングを解消できる。
【0008】
本発明によるローリング修正用セグメントユニットは、対向する第一及び第二の接合面にそれぞれ設けたリング間継手を介して他のセグメントユニットにそれぞれ接合するようにしたローリング修正用セグメントユニットであって、上方が開口する略U字形断面とされ、第一の接合面に設けたリング間継手の位置が、ローリングを生じた一の矩形セグメントリングのローリング量に応じて、第二の接合面に設けたリング間継手の位置から偏移していることを特徴とする。
本発明によれば、ローリングした一の矩形セグメントリングに対して、アプローチ部に設ける略U字形断面のローリング修正用セグメントユニットを接合することによって矩形セグメントリングで生じたローリングを解消できるため、ローリングした一の矩形セグメントリングとローリング修正用セグメントユニットとの間には上部に段差が生じない。そのため、これらの接合部について内面にコンクリートからなる二次覆工を逆打ちで施す必要がなく、後打ちコンクリートが崩落することもない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるセグメントユニットのローリング修正構造及びローリング修正用セグメントユニットは、略U字形断面のローリング修正用セグメントで矩形セグメントリングによるローリングを解消でき、しかもローリング修正用セグメントユニットは上方が開放するU字形断面であるから、上部の二次覆工作業を必要とせず、逆打ちによるコンクリートの二次覆工に起因する崩落等の不具合を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態による矩形セグメントリングのローリング修正構造及びローリング修正用略U字形セグメントについて図1乃至図7により説明する。なお、以下の説明では、セグメントリング、U字形セグメントを総称してセグメントユニットと呼ぶことがある。
図1に示すように、線路や道路等と立体交差するアンダーパストンネル2は、地中に構築されるトンネル部2Bと、地上GL及びトンネル部2Bをつなぐ上方が開放するアプローチ部2Aとから構成されており、アプローチ部2Aとアプローチ部2Aにつづくトンネル部2Bの端部は傾斜部2Cになっている。即ち、地上GLから地中に向けて徐々に深度を増していく傾斜部2Cが形成され、所定の深さで略水平となり、さらに所定の地点で地上に向けた上り勾配の傾斜部2Cが形成されている。
【0011】
アンダーパストンネル2の施工に当たっては、周知の種々の工法を採用できるが、本実施形態では、断面の有効利用や工期および工費の縮減といった観点から矩形断面シールド掘削機(図示省略)が使用され、この矩形断面シールド掘削機の後方で矩形セグメントリングが組み立てられる。
トンネル部2Bの覆工部を構成するセグメントユニットは、図2に示すような矩形セグメントリング1からなり、トンネル周方向に配設された複数のセグメントピース4、5から構成されている。
矩形セグメントリング1は図2に示す基本構成において断面略四角形枠形状に形成され、その四隅の角部には略L字形セグメントピース4が配設され、矩形の各辺を構成する各L字形セグメントピース4、4間にはブロック状、例えば直方体形状のセグメントピース5がセグメント間継手によって接合されている。特に上辺における両側のL字形セグメントピース4、4間には例えば平面視略台形をなすくさびブロック形状のセグメントピース5a(5)が配設され、このセグメントピース5aを最後に挿入することで1組の矩形セグメントリング1が構築される。
矩形セグメントリング1の対向する端面である第一及び第二の接合面6a、6bには、所定の間隔をおいて複数のリング間継手3…が設けられている。リング間継手3としては、施工が容易なプッシュグリップ式継手やコーンコネクターなどが用いられる。
なお、プッシュグリップ式継手は、楔を応用したピン方式の継手で、挿入側のピンボルトを受入側の孔部に挿入して締結力を得る継手であり、ピンボルトと受入れ孔部にはそれぞれ噛み合い可能な鋸歯状の突部と凹部が連続して形成されている。コーンコネクターは、先端に爪が設けられた多数のスリットを有する円錐台形の雄継手を、爪格納用の雌継手に挿入することで係合して締結力を得るものである。
【0012】
一方、アプローチ部2Aの覆工部を構成するセグメントユニットは、図3に示すようにセグメントリング1の上方が切除された断面略U字状の略U字形セグメント8からなり、矩形セグメントリング1と同様に、トンネル周方向に配設された複数のセグメントピース4、5から構成されている。略U字形セグメント8は矩形の底辺角部には略L字形セグメントピース4、4が配設され、その間にブロック状のセグメントピース5が接合されている。そして各L字形セグメントピース4、4の両側部にはブロック状のセグメントピース5、5がそれぞれ接合されている。
略U字形セグメント8の対向する端面である第一及び第二の接合面7a、7bには、所定の間隔をおいて上述した複数のリング間継手3…が設けられている。
この略U字形セグメント8は地上GLに対して傾斜するアプローチ部2Aに配列されているために、図4(b)に示すように両側部におけるブロック状のセグメントピース5の長さが配列方向に沿って順次調整され、上端が地上GLとほぼ一致するように形成されている。
上述の各セグメントピース4、5は、鋼製セグメント、鉄筋コンクリート製セグメント、コンクリート中詰め鋼製セグメントのいずれでもよい。
【0013】
図4に示すように、本実施形態では、トンネル部2Bからアプローチ部2Aに向けて矩形断面シールド掘削機を掘進させる際に、トンネル部2Bの傾斜部2Cに敷設される矩形セグメントリング1にローリングが発生した場合について説明する。これは、例えば前述した幾何学的要因によりカーブした傾斜部2Cにおいてローリングが発生することによる。
図4に示す傾斜面2Cで説明すると、傾斜部2Cに設けた矩形セグメントリング1に続いて上り傾斜しながらカーブする場合、矩形テーパセグメントリングTの両側部の長さが異なっているため、次に接合される矩形セグメントリング1(これを符号1Aで示す)との接合面T1における下端面両角部P、Qは矩形セグメントリング1からの長さが異なるために高低差Hが生じる。この接合面T1は高低差H分だけ傾斜する即ちローリングすることになる。
そのため、矩形テーパセグメントリングTの接合面T1にリング間継手3を以て接合されたローリングする矩形セグメントリング1Aは図5に示す、トンネル軸Cを中心軸にして或る角度θ(例えばθ=3°)だけ回転移動(傾斜)する。
本実施形態では、矩形テーパセグメントリングTの接合面T1にローリングが発生した場合、トンネル部2Bの端部までローリングした状態で矩形セグメントリング1を敷設するものとし、アプローチ部2Aにおいてローリングを解消する。図4に示す例では、トンネル部2Bの端部にはローリングした矩形セグメントリング1Aが接合されている。
【0014】
本実施形態では、矩形セグメントリング1Aのローリングを解消するために、図6に示すように、隣接するアプローチ部2Aの端部に、上方が開放するU字形断面からなるローリング修正用略U字形セグメント15を接合している。
ローリング修正用略U字形セグメント15は、上述した通常の略U字形セグメント8と同大同形状であるが、ローリングした矩形セグメントリング1Aに接合するために設けられる第一接合面7aにおけるリング間継手13の位置が通常の略U字形セグメント8と異なっている。ローリング修正用略U字形セグメント15は通常の略U字形セグメント8と中心軸Cに一致させ、基準線Lを中心にしてローリング角度θ=0°に設置した状態で、リング間継手13は通常の略U字形セグメント8におけるリング間継手3の位置(二点鎖線で示す)からローリング角度θだけ偏移した位置に設けられている。
【0015】
ローリング角度θは、幾何学的要因の場合、セグメントリングT、1A、15やトンネルの傾斜部2Cの幾何学的形状から予め計算することができ、ローリング角度θがわかれば、トンネル軸Cからリング間継手3までの距離とローリング角度θからローリング変位R(周方向の距離)を求めることができる。従って、略U字形セグメント8の製造段階において、リング間継手3の本来の位置(二点鎖線で示す)からローリング変位Rだけ偏移した位置に予めリング間継手13を設けておけばローリング修正用略U字形セグメント15が得られる。また、鋼製セグメントの場合には、リング間継手13の位置を現場合わせで決定して形成してもよい。
図6において、ローリング修正用略U字形セグメント15に接合される矩形セグメントリング1Aが二点鎖線で示されている。ローリング状態の矩形セグメントリング1Aの他方の接合面6bに設けたリング間継手3は、ローリング修正用略U字形セグメント15の第一の接合面7aに設けたリング間継手13と位置が一致する。
なお、ローリング修正用略U字形セグメントリング15の他方の接合面7bに設けられるリング間継手3の位置は、図2に示す通常の略U字形セグメント8のリング間継手3と同位置である。
【0016】
本実施形態によるローリング修正用略U字形セグメント15は上述の構成を備えており、次にアンダーパストンネル2のトンネル部2Bで発生する矩形セグメントリングのローリング修正方法について図4、図6を中心に説明する。
アンダーパストンネル2の傾斜部2Cにおいて幾何学的要因によってローリングが発生する場合を例にとって説明する。図4において、傾斜部2Cが例えば上方に傾斜しながら右または左方向にカーブする構造になっている。
傾斜部2Cにおいて、矩形セグメントリング1をリング間継手3によって順次接合し、トンネルが途中でカーブする箇所で、両側部の長さが異なる矩形テーパセグメントリングTが接合される。この場合、上述のように矩形テーパセグメントリングTの両側部の長さが異なっているため、次に接合される矩形セグメントリング1Aとの接合面T1、6aにおいて接合面T1の両側に高低差Hが生じる。
【0017】
そのため、矩形テーパセグメントリングTの接合面T1にリング間継手3をもって接合させる矩形セグメントリング1Aは、矩形テーパセグメントリングTより前に接合された矩形セグメントリング1に対して例えば図5に示すようにローリング角度θだけ傾斜した状態で接合される。このローリング状態における矩形セグメントリング1Aはトンネル部2Bの端部であり、アプローチ部2Aの始端であるローリング修正用略U字形セグメント15を接合する場合、図6に示すようにこのローリング修正用略U字形セグメント15はローリング角度θ=0°となるように中心軸C回りに位置調整して、その第一の接合面7aを矩形セグメントリング1Aの接合面6bに接合すると、ローリング修正用略U字形セグメント15の偏移したリング間継手13は角度θローリングした状態の矩形セグメントリング1Aのリング間継手3に一致するため、雄雌嵌合される。
これによって、矩形テーパセグメントリングTを接続することで発生するトンネル部2Bのローリングをアプローチ部2Aで修正することができる。そしてローリング修正用略U字形セグメント15の接合面7aに対向する接合面7bにおけるリング間継手3は通常の略U字形セグメント8のリング間継手3と同一位置に設けられているから、次の略U字形セグメント8を接続することで、その後の略U字形セグメント8はローリングを解消した状態で順次接合できてアプローチ部2Aを構成する。
【0018】
ここで、ローリング修正用略U字形セグメント15を、上方が開放するU字形断面からなるセグメントとする理由について説明する。
トンネル部2Bでローリングが発生した場合、トンネル部2Bに敷設される矩形セグメントリング1をローリング修正用セグメントとすると、ローリングした矩形セグメントリング1とローリング修正用の矩形セグメントリングとの間の修正量が大きい場合は段差が発生するため、矩形セグメントリング1の内側にコンクリートからなる二次覆工20を施して段差をなくさなければならない(図7参照)。特に、覆工部を構成するセグメント4,5が鋼製セグメントである場合には必ず二次覆工が必要となる。
しかし、この場合、上部の二次覆工20が逆打ちとなるため、コンクリートの未充填部ができやすく、気泡が混入したりするおそれがあり、ボルトボックス21内や天井部分等の後打ちコンクリート22が崩落するおそれもある。これに対し、本実施形態では、ローリング修正用のセグメントユニットをアプローチ部に設け、上方が開放するU字形断面からなるローリング修正用略U字形セグメント15としたことで上部に段差が生じないため、上部の二次覆工作業を省略して上記の不具合が生じないようにすることができる。
【0019】
上述のように本実施形態による矩形セグメントリング1Aのローリング修正構造及びローリング修正用略U字形セグメント15によれば、トンネル部を構築する際に幾何学的または施工的要因等によってローリングが発生しても、アプローチ部2Aにローリング修正用略U字形セグメント15を介在させて接合することで、セグメントリングT、1Aのローリングを改善でき、ローリングによってトンネル内面の空間範囲が建築限界を越えることを防止できる。しかも、ローリング修正用略U字形セグメント15は上方が開放されているために隣接するローリングした矩形セグメントリング1との間に上部に段差が発生しないので、上部のコンクリートによる二次覆工を省略でき、ボルトボックス21内や天井部分等の後打ちコンクリート22が崩落するおそれをなくすことができる。
【0020】
なお、上述の実施形態では、ローリングを発生させる矩形テーパセグメントリングTに続けて(1または複数の)矩形セグメントリング1Aをローリング状態で接合した後で、ローリング修正用略U字形セグメントリング11を接合したが、矩形セグメントリング1Aを省略して矩形テーパセグメントリングTの接合面T1に直接ローリング修正用略U字形セグメント15を接合してもよい。
またトンネル部2Bの端部に設けたローリング状態の矩形セグメントリング1Aに対してローリング修正用略U字形セグメント15を隣接して配設しなくてもよく、1または複数の通常の(第一及び第二の接合面7a、7bにおけるリング間継手3の位置が略同一または偏移していない)略U字形セグメント8を介してローリング修正用略U字形セグメント15を接合してローリングを解消するようにしてもよい。
また、施工誤差等の施工的要因によってローリングが発生した場合も、同様にしてローリング修正用略U字形セグメントリング15を介在・接合させることによってローリングを修正できる。この場合、ローリング角度θを必ずしも事前に算出できないので、ローリング修正用略U字形セグメントリング15の一方の接合面7aに形成するリング間継手13はトンネル構築現場で形成してもよい。
【0021】
以上、本発明の実施形態によるセグメントの修正構造およびそれに用いられるローリング修正用略U字形セグメントについて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、一つのローリング修正用略U字形セグメント15、25でローリングを解消しているが、ローリングが大きい場合には、複数のローリング修正用略U字形セグメントを用いて徐々にローリングを解消してもよい。要は、本発明において所期の機能が得られればよいのである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】アンダーパストンネルの概略全体図である。
【図2】アンダーパストンネルのトンネル部に用いる矩形セグメントリングの正面図である。
【図3】アプローチ部に用いる略U字形セグメントの正面図である。
【図4】本発明の実施形態による、傾斜部におけるトンネル部とアプローチ部の境界付近のセグメントユニットを示すものであり、(a)は要部平面図、(b)はその側断面図である。
【図5】ローリングした矩形セグメントリングの正面図である。
【図6】実施形態によるローリング修正用略U字形セグメントとローリングした矩形セグメントリングとによるローリング修正構造を示す正面図である。
【図7】矩形セグメントリングをローリング修正用セグメントにした場合の欠点を説明するための縦断面図である。
【図8】アンダーパストンネルの傾斜部において矩形セグメントリングがローリングする幾何学的要因を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
【0023】
1、R0、R1、S0、S1 矩形セグメントリング
2 アンダーパストンネル
2A アプローチ部
2B トンネル部
2C 傾斜部
3、13、26 リング間継手
4 略L字形セグメントピース
5 ブロック状セグメントピース
15、25 ローリング修正用略U字形セグメント
T 矩形テーパセグメントリング
C トンネル軸
θ ローリング角(ローリング量)
R ローリング変位(ローリング量)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンダーパストンネルの覆工部を構成する矩形セグメントリングの敷設時に一の矩形セグメントリングにローリングが発生した際、ローリング修正用セグメントユニットを接合することでローリングを修正するようにしたセグメントユニットのローリング修正構造であって、
前記ローリング修正用セグメントユニットは上方が開放する略U字形断面を有していて第一及び第二の接合面を対向配置してなり、前記一の矩形セグメントリング側に位置する前記第一の接合面に設けたリング間継手が、前記一の矩形セグメントリングのローリング量に応じて前記第二の接合面に設けたリング間継手の位置から偏移した位置に設けられていることを特徴とするセグメントユニットのローリング修正構造。
【請求項2】
前記ローリング修正用セグメントユニットの前記第一の接合面はリング間継手を介して前記一の矩形セグメントリングに接合していることを特徴とする請求項1に記載のセグメントユニットのローリング修正構造。
【請求項3】
対向する第一及び第二の接合面にそれぞれ設けたリング間継手を介して他のセグメントユニットにそれぞれ接合するようにしたローリング修正用セグメントユニットであって、
上方が開口する略U字形断面とされ、前記第一の接合面に設けたリング間継手の位置が、ローリングを生じた一の矩形セグメントリングのローリング量に応じて、前記第二の接合面に設けたリング間継手の位置から偏移していることを特徴とするローリング修正用セグメントユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−2156(P2008−2156A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172623(P2006−172623)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000198307)石川島建材工業株式会社 (139)
【Fターム(参考)】