説明

セパレーター製造装置

【課題】所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置を提供する。
【解決手段】所定のポリマー材料から作製される第1繊維からなる第1繊維層と、所定のポリマー材料と同一の材料から作製される第2繊維からなる第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造するセパレーター製造装置であって、搬送機構19と長尺シート反転機構15とを備える長尺シート搬送装置10と、長尺シート110の一方面に第1繊維層を形成するメルトブロー紡糸装置20と、上向きノズルを用いて長尺シート110の一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置40とを備え、メルトブロー紡糸装置20と、長尺シート反転機構15と、電界紡糸装置40とがこの順序で長尺シート110の搬送方向に沿って配置されていることを特徴とするセパレーター製造装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレーター製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、性質の異なる繊維からなる2以上の繊維層が積層された構造を有するセパレーターを製造するセパレーター製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図24は、従来のセパレーター製造装置800を説明するために示す図である。図24中、符号810は基材を示し、符号842はノズルユニットを示し、符号843はノズルを示し、符号849は電源装置を示す。図25は、従来のセパレーター製造装置800によって製造されるセパレーター900の構成を示す図である。
【0004】
性質の異なる繊維からなる2以上の繊維層が積層された構造を有するセパレーターを図24に示す従来のセパレーター製造装置800を用いて製造する際には、まず、1台のセパレーター製造装置800を用いて、電界紡糸法により基材810の表面に所定の性質を有する繊維層910を形成し、その後もう1台のセパレーター製造装置800を用いて、電界紡糸法により繊維層910の表面に繊維層910とは性質の異なる別の繊維層920を形成する。これにより、性質の異なる繊維からなる2以上の繊維層(繊維層910及び別の繊維層920)が積層された構造を有するセパレーター900を製造することができる。
【0005】
従来のセパレーター製造装置800によれば、当該装置を複数台用いることにより、性質の異なる繊維からなる2以上の繊維層が積層された構造を有するセパレーターを製造することができるため、所望の性質を有するセパレーターを製造することが可能となる。例えば、繊維層910として、高い機械的強度を有する比較的厚い繊維層を形成し、別の繊維層920として、微細かつ均一な空隙を多数を有し、高い絶縁性、高いイオン伝導性及び高いデンドライト耐性を有する比較的薄い繊維層を形成することにより、高い機械的強度、高い絶縁性、高いイオン伝導性及び高いデンドライト耐性を兼ね備えたセパレーターを製造することが可能となると考えられる。このようなセパレーターは、電池(一次電池及び二次電池を含む。)やコンデンサー(キャパシターともいう。)等に好適に用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−103050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のセパレーター製造装置800においては、1台のセパレーター製造装置により基材の表面に所定の性質を有する繊維層910を形成した後に、繊維層910を他方のセパレーター製造装置に設置しなおす必要がある。そのため、時間と手間とがかかり、その結果、所望の性質を有するセパレーターを高い生産性をもって大量生産することが困難であるという問題がある。
【0008】
また、従来のセパレーター製造装置800においては、上方から繊維を堆積させて繊維層を形成するため、いわゆるドロップレット現象(下向きノズルから紡糸されなかったポリマー溶液の塊がそのまま基材層等に付着する現象)が発生し、高品質な繊維層を形成することが困難となり、ひいては高品質なセパレーターを製造することが困難となる場合があるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]本発明のセパレーター製造装置は、所定のポリマー材料から作製され所定の平均径を有する第1繊維からなる第1繊維層と、前記所定のポリマー材料と同一の材料から作製され前記第1繊維よりも小さい平均径を有する第2繊維からなる第2繊維層とを備え、少なくとも前記第1繊維層と前記第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造するセパレーター製造装置であって、長尺シートを搬送する搬送機構と、前記長尺シートが搬送されていく途中で前記長尺シートの一方面の向きと他方面の向きとが反対になるように前記長尺シートを反転させる長尺シート反転機構とを備える長尺シート搬送装置と、下向きノズルを用いて上方から前記第1繊維を堆積させて前記長尺シートの一方面に第1繊維層を形成するメルトブロー紡糸装置と、上向きノズルを用いて下方から前記第2繊維を堆積させて前記長尺シートの一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置とを備え、前記メルトブロー紡糸装置と、前記長尺シート反転機構と、前記電界紡糸装置とがこの順序又はこれとは逆の順序で前記長尺シートの搬送方向に沿って配置されていることを特徴とする。
【0011】
このため、本発明のセパレーター製造装置によれば、メルトブロー紡糸装置と長尺シート反転機構と電界紡糸装置とがこの順序又はこれとは逆の順序で長尺シートの搬送方向に沿って配置されているため、メルトブロー紡糸装置又は電界紡糸装置により長尺シートの一方面に第1繊維層又は第2繊維層を形成した後、電界紡糸装置又はメルトブロー紡糸装置によりそのまま連続して長尺シートの一方面に第2繊維層又は第1繊維層を形成することが可能となり、所望の性質を有するセパレーターを高い生産性で大量生産することが可能となる。
【0012】
また、本発明のセパレーター製造装置によれば、上向きノズルを用いて下方から第2繊維を堆積させて長尺シートの一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置とを備えるため、下向きノズルを用いたセパレーター製造装置に見られるようなドロップレット現象を発生させることがない。
【0013】
その結果、本発明のセパレーター製造装置は、所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置となる。
【0014】
また、本発明のセパレーター製造装置によれば、互いに同一の材料から作製された第1繊維からなる第1繊維層と第2繊維からなる第2繊維層が積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能であるため、第1繊維と第2繊維との親和性が高く、第1繊維層と第2繊維層との接合力が高く、その結果、信頼性の高いセパレーターを製造することが可能となる。
【0015】
なお、本発明において、第1繊維とは、ポリマー材料からなり、平均径が100nm〜10μmの繊維のことをいう。また、第2繊維とは、ポリマー材料からなり、平均径が数nm〜数千nmの繊維である、いわゆるナノ繊維のことをいう。
【0016】
[2]本発明のセパレーター製造装置においては、前記メルトブロー紡糸装置と、前記長尺シート反転機構と、前記電界紡糸装置とがこの順序で長尺シートの搬送方向に沿って配置されており、前記電界紡糸装置は、前記メルトブロー紡糸装置の上方又は下方に配置され、前記長尺シート反転機構は、前記電界紡糸装置の高さ位置に合わせて、前記メルトブロー紡糸装置からの前記長尺シートを反転させることが好ましい。
【0017】
このような構成とすることにより、セパレーター製造装置の設置面積をそれほど大きくすることなく、第1繊維層と第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能となる。
【0018】
[3]本発明のセパレーター製造装置においては、前記メルトブロー紡糸装置と、前記長尺シート反転機構と、前記電界紡糸装置とがこれとは逆の順序で長尺シートの搬送方向に沿って配置されており、前記メルトブロー紡糸装置は、前記電界紡糸装置の上方又は下方に配置され、前記長尺シート反転機構は、前記メルトブロー紡糸装置の高さ位置に合わせて、前記電界紡糸装置からの前記長尺シートを反転させることが好ましい。
【0019】
このような構成とすることによっても、セパレーター製造装置の設置面積をそれほど大きくすることなく、第1繊維層と第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能となる。
【0020】
[4]本発明のセパレーター製造装置においては、前記セパレーターは、前記第1繊維層と前記第2繊維層とが交互に積層された構造を有するセパレーターであり、前記メルトブロー紡糸装置と、前記電界紡糸装置とが、前記セパレーターの構造に対応して、長尺シートの搬送方向に沿って配置され、隣り合わせとなる前記メルトブロー紡糸装置と前記電界紡糸装置との間には、前記長尺シート反転機構が配置されていることが好ましい。
【0021】
このような構成とすることにより、第1繊維層と前記第2繊維層とが交互に積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能となる。
【0022】
[5]本発明のセパレーター製造装置においては、前記セパレーターが、前記第1繊維層と前記第2繊維層とから構成される積層体からなることが好ましい。
【0023】
このように、本発明のセパレーター製造装置によれば、第1繊維層と第2繊維層とから構成される積層体からなるセパレーターを製造することが可能となる。
【0024】
[6]本発明のセパレーター製造装置においては、前記セパレーターが、前記長尺シートを構成する基材層と、前記第1繊維層と前記第2繊維層とから構成される積層体とからなることが好ましい。
【0025】
このように、本発明のセパレーター製造装置によれば、長尺シートを構成する基材層と、第1繊維層と第2繊維層とから構成される積層体とからなるセパレーターを製造することが可能となる。
【0026】
[7]本発明のセパレーター製造装置は、所定のポリマー材料から作製され所定の平均径を有する第1繊維からなる第1繊維層と、前記所定のポリマー材料と同一の材料から作製され前記第1繊維よりも小さい平均径を有する第2繊維からなる第2繊維層とを備え、少なくとも前記第1繊維層と前記第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造するセパレーター製造装置であって、長尺シートを搬送する長尺シート搬送装置と、下向きノズルを用いて上方から前記長尺シートの一方面に前記第1繊維を堆積させて前記長尺シートの一方面に第1繊維層を形成するメルトブロー紡糸装置と、前記メルトブロー紡糸装置の後段に配置され、前記長尺シートと前記第1繊維層とを分離するシート分離装置と、前記シート分離装置の後段に配置され、前記シート分離装置で分離された前記第1繊維層を搬送する第1繊維層搬送装置と、搬送されていく前記第1繊維層の一方面に上向きノズルを用いて下方から前記第2繊維を堆積させて前記第1繊維層の一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置とを備えることを特徴とする。
【0027】
このため、本発明のセパレーター製造装置によれば、シート分離装置により長尺シートから分離された第1繊維層の一方面に第2繊維層を形成することができるため、第1繊維層と第2繊維層とが積層された構造を有し、所望の性質を有するセパレーターを高い生産性で大量生産することが可能となる。
【0028】
また、本発明のセパレーター製造装置によれば、上向きノズルを用いて下方から第2繊維を堆積させて第1繊維層の一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置とを備えるため、下向きノズルを用いたセパレーター製造装置に見られるようなドロップレット現象を発生させることがない。
【0029】
その結果、本発明のセパレーター製造装置は、所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置となる。
【0030】
また、本発明のセパレーター製造装置によれば、互いに同一の材料から作製された第1繊維からなる第1繊維層と第2繊維からなる第2繊維層が積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能であるため、第1繊維と第2繊維との親和性が高く、第1繊維層と第2繊維層との接合力が高く、その結果、信頼性の高いセパレーターを製造することが可能となる。
【0031】
[8]本発明のセパレーター製造装置においては、前記セパレーターは、前記第1繊維層における一方面と他方面とに前記第2繊維層が形成された構造を有するセパレーターであり、前記電界紡糸装置の後段に配置され、前記第1繊維層が搬送されていく途中で前記第1繊維層の一方面の向きと他方面の向きとが反対になるように前記第1繊維層を反転させる第1繊維層反転機構と、前記第1繊維層反転機構の後段に配置され、上向きノズルを用いて下方から前記第2繊維を堆積させて前記第1繊維層の他方面に第2繊維層を形成する第2電界紡糸装置とをさらに備えることが好ましい。
【0032】
このような構成とすることにより、第1繊維層における一方面と他方面とに第2繊維層が形成された構造を有するセパレーターを製造することが可能となる。
【0033】
[9]本発明のセパレーター製造装置においては、前記セパレーターは、前記第1繊維層の前記一方面には前記第2繊維層と前記第1繊維層とがこの順序で積層された構造を有するセパレーターであり、前記電界紡糸装置の後段に配置され、前記第1繊維層が搬送されていく途中で前記第1繊維層の一方面の向きと他方面の向きとが反対になるように前記第1繊維層を反転させる第1繊維層反転機構と、前記第1繊維層反転機構の後段に配置され、下向きノズルを用いて上方から前記第1繊維を堆積させて前記第1繊維層における前記第2繊維層が形成された面に第1繊維層を形成するメルトブロー紡糸装置とをさらに備えることが好ましい。
【0034】
このような構成とすることにより、第1繊維層の一方面に第2繊維層と第1繊維層とがこの順序で積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能となる。
【0035】
[10]本発明のセパレーター製造装置は、所定のポリマー材料から作製され所定の平均径を有する第1繊維からなる第1繊維層と、前記所定のポリマー材料と同一の材料から作製され前記第1繊維よりも小さい平均径を有する第2繊維からなる第2繊維層とを備え、少なくとも前記第1繊維層と前記第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造するセパレーター製造装置であって、長尺シートを搬送する長尺シート搬送装置と、上向きノズルを用いて下方から前記所定の平均径を有する第1繊維を堆積させて前記長尺シートの一方面に前記第1繊維層を形成する第1電界紡糸装置と、上向きノズルを用いて下方から前記第1繊維よりも小さい平均径を有する第2繊維を堆積させて前記長尺シートの一方面に前記第2繊維層を形成する第2電界紡糸装置とを備え、前記第1電界紡糸装置と、前記第2電界紡糸装置とが、長尺シート反転機構を介在することなく、かつ、この順序又はこれとは逆の順序で前記長尺シートの搬送方向に沿って配置されていることを特徴とするセパレーター製造装置。
【0036】
このため、本発明のセパレーター製造装置によれば、第1電界紡糸装置と、第2電界紡糸装置とが、この順序又はこれとは逆の順序で前記長尺シートの搬送方向に沿って配置されているため、第1電界紡糸装置又は第2電界紡糸装置により長尺シートの一方面に第1繊維層又は第2繊維層を形成した後、第2電界紡糸装置又は第1電界紡糸装置によりそのまま連続して長尺シートの一方面に第2繊維層又は第1繊維層を形成することが可能となり、所望の性質を有するセパレーターを高い生産性で大量生産することが可能となる。
【0037】
また、本発明のセパレーター製造装置によれば、上向きノズルを用いて下方から第1繊維及び第2繊維を堆積させて長尺シートの一方面に第1繊維層及び第2繊維層を形成する電界紡糸装置とを備えるため、下向きノズルを用いたセパレーター製造装置に見られるようなドロップレット現象を発生させることがない。
【0038】
その結果、本発明のセパレーター製造装置は、所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置となる。
【0039】
また、本発明のセパレーター製造装置によれば、互いに同一の材料から作製された第1繊維からなる第1繊維層と第2繊維からなる第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能であるため、第1繊維と第2繊維との親和性が高く、第1繊維層と第2繊維層との接合力が高く、その結果、信頼性の高いセパレーターを製造することが可能となる。
【0040】
また、本発明のセパレーター製造装置によれば、第1繊維層及び第2繊維層を形成する紡糸装置として、同種の電界紡糸装置(第1電界紡糸装置及び第2電界紡糸装置)を備えるため、第1繊維及び第2繊維の平均径、第1繊維層及び第2繊維層の厚さなどを、コレクターとノズルとの間隔、コレクターとノズルとの間に印加する電圧、雰囲気温度、雰囲気湿度、長尺シートの搬送速度、ポリマー材料の種類、ポリマー溶液の濃度・粘度、ポリマー溶液の抵抗などを適宜設定することにより、容易に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施形態1に係るセパレーター製造装置1の正面図である。
【図2】実施形態1におけるセパレーター100を説明するために示す図である。
【図3】実施形態1におけるメルトブロー紡糸装置20を説明するために示す図である。
【図4】実施形態1における電界紡糸装置40を説明するために示す図である。
【図5】実施形態1におけるセパレーターの製造方法を説明するために示す図である。
【図6】実施形態1におけるセパレーター100を説明するために示す図である。
【図7】実施形態2に係るセパレーター製造装置2の正面図である。
【図8】実施形態2におけるセパレーター100を説明するために示す図である。
【図9】実施形態3に係るセパレーター製造装置3の正面図である。
【図10】実施形態3におけるセパレーター100aを説明するために示す図である。
【図11】変形例1におけるセパレーター100bを説明するために示す図である。
【図12】実施形態4に係るセパレーター製造装置4の正面図である。
【図13】実施形態4におけるセパレーター100cの構成を示す図である。
【図14】実施形態5に係るセパレーター製造装置5の正面図である。
【図15】実施形態5におけるセパレーター100dの構成を示す図である。
【図16】実施形態6に係るセパレーター製造装置6の正面図である。
【図17】実施形態6におけるセパレーター100eの構成を示す図である。
【図18】実施形態7に係るセパレーター製造装置7の正面図である。
【図19】実施形態7におけるセパレーター100fの構成を示す図である。
【図20】変形例2におけるセパレーター100gの構成を示す図である。
【図21】実施形態8に係るセパレーター製造装置8の正面図である。
【図22】実施形態9に係るセパレーター製造装置9の正面図である。
【図23】実施形態9におけるセパレーター100hを説明するために示す図である。
【図24】従来のセパレーター製造装置800を説明するために示す図である。
【図25】従来のセパレーター製造装置800によって製造されるセパレーター900の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明のセパレーター製造装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0043】
[実施形態1]
1.セパレーター製造装置
まず、実施形態1に係るセパレーター製造装置1の構成を説明する。
図1は、実施形態1に係るセパレーター製造装置1の正面図である。なお、図1においては、一部の部材は断面図として示している。図2は、実施形態1におけるセパレーター100を説明するために示す図である。図3は、実施形態1におけるメルトブロー紡糸装置20を説明するために示す図である。図3(a)はメルトブロー紡糸装置20の正面図であり、図3(b)はメルトブロー紡糸装置20の平面図である。図4は、実施形態1における電界紡糸装置40を説明するために示す図である。図4(a)は電界紡糸装置40の正面図であり、図4(b)は電界紡糸装置40におけるノズルユニット42をコレクター44側から見た図である。なお、図4(b)においては、長尺シート110の下に配置されている構成要素(上向きノズル43等)も図示している。
【0044】
実施形態1に係るセパレーター製造装置1は、図1に示すように、長尺シート搬送装置10と、メルトブロー紡糸装置20と、電界紡糸装置40とを備える。セパレーター製造装置1は、図2で示すように、第1繊維層120と、第2繊維層130とが積層されたセパレーター100を製造するためのセパレーター製造装置である。
【0045】
実施形態に係るセパレーター製造装置1においては、図1に示すように、メルトブロー紡糸装置20と、後述する長尺シート反転機構15と、電界紡糸装置40とがこの順序で長尺シート110の搬送方向に沿って配置されている。
【0046】
長尺シート搬送装置10は、図1に示すように、メルトブロー紡糸装置20から電界紡糸装置40へ向けて基材層となる長尺シート110を搬送するように構成されている。長尺シート搬送装置10は、メルトブロー紡糸装置20が第1繊維層120を形成するときには長尺シート110を第1の方向(図1におけるA1の方向)に搬送し、メルトブロー紡糸装置20が第1繊維層120を形成した後にはメルトブロー紡糸装置20の高さ位置から電界紡糸装置40の高さ位置まで長尺シート110を第1の方向と略垂直な第2の方向(A2の方向)に搬送し、電界紡糸装置40が第2繊維層130を形成するときには長尺シート110を第1の方向と反対となる第3の方向(A3の方向)に搬送する。
【0047】
長尺シート搬送装置10は、長尺シート110を搬送する搬送機構19と、長尺シート110が搬送されていく途中で長尺シート110の一方面の向きと他方面の向きとが反対になるように長尺シート110を反転させる長尺シート反転機構15とを備える。
【0048】
長尺シート110を搬送する搬送機構19は、長尺シート110を繰り出す繰り出しローラー11と、長尺シート110を巻き取る巻き取りローラー12と、長尺シート110のテンションを調整するテンションローラー13と、長尺シート110を搬送する複数の駆動ローラー14と、長尺シートの搬送を補助する補助ローラー18とを備える。
複数の駆動ローラー14は、長尺シート110を搬送する駆動装置である。
【0049】
繰り出しローラー11、巻き取りローラー12、複数の駆動ローラー14は、図示しない駆動モーターによりそれぞれ回転駆動される構造となっている。なお、上記した以外のローラーも、駆動モーター等により回転駆動される構造としてもよい。
【0050】
長尺シート反転機構15は、メルトブロー紡糸装置20からの長尺シート110の搬送方向を上方に向ける第1反転ローラー16aと、第1反転ローラー16aからの長尺シート110の搬送方向を電界紡糸装置40の方に向ける第2反転ローラー16bとを備える。長尺シート反転機構15は、電界紡糸装置40の高さ位置に合わせて、メルトブロー紡糸装置20からの長尺シート110を反転させる。
【0051】
メルトブロー紡糸装置20は、図1及び図3に示すように、長尺シート反転機構15よりも前段に配置され、下向きノズル23(後述)を用いて上方から長尺シート110の一方面に第1繊維を堆積させて第1繊維層120を形成する。
【0052】
以下、メルトブロー紡糸装置20の構成について詳しく説明する。
メルトブロー紡糸装置20は、図3に示すように、ノズルユニット22と、高温気流供給機構24と、気流吸引機構27と、図示しない第1ポリマー溶液供給部とを備える。
【0053】
ノズルユニット22は、第1ポリマー溶液供給部から供給される第1ポリマー溶液(第1繊維の原料)を吐出口から下向きに吐出する複数の下向きノズル23と、複数の下向きノズル23から吐出された第1ポリマー溶液に向けて高温気流を流す高温気流供給経路(図示せず)を備える。本発明のセパレーター製造装置には様々な大きさ及び様々な形状を有するノズルユニットを用いることができる。
【0054】
高温気流供給機構24は、吸引ポンプ25により吸引した外部の空気をヒーター26により加熱する。このとき、加熱された空気は高温気流となってノズルユニット22に供給され、図示しない高温気流供給経路を通して複数の下向きノズル23から吐出する第1ポリマー溶液に向けて噴射される。第1ポリマー溶液は、高温気流によって引き伸ばされることにより第1繊維となり、当該第1繊維が長尺シート110上に堆積して第1繊維層120を形成する。
【0055】
気流吸引機構27は、網状部材28と、高温気流吸引部30と、高温気流放出装置31とを備える。気流吸引機構27は、第1ポリマー溶液へ向けて噴射された高温気流を、ノズルユニット22から見て長尺シート110の反対側の面に位置する網状部材28を通し高温気流吸引部30に吸引し、高温気流放出装置31により外部に放出する。
【0056】
電界紡糸装置40は、図1及び図4に示すように、長尺シート反転機構15よりも後段に配置され、上向きノズル43(後述)を用いて下方から長尺シート110の一方面に第2繊維を堆積させて第2繊維層130を形成する。
【0057】
以下、電界紡糸装置40の構成について詳しく説明する。
電界紡糸装置40は、図4に示すように、筐体41と、ノズルユニット42と、第2ポリマー溶液供給部(図示せず。)と、コレクター44と、電源装置49と、補助ベルト装置46とを備える。
【0058】
筐体41は、導電体からなる。
ノズルユニット42は、複数の上向きノズル43を有する。
本発明のセパレーター製造装置には様々な大きさ及び様々な形状を有するノズルユニットを用いることができる。
【0059】
上向きノズル43は、図示しないポリマー溶液供給部から供給される「第2繊維の原料である第2ポリマー溶液」を吐出口から上向きに吐出するノズルである。上向きノズル43を構成する材料としては、導電体を用いることができ、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム等を用いることができる。
【0060】
上向きノズル43は、所定のピッチ(例えば1.5cm〜6.0cmのピッチ)で配列されている。上向きノズル43の数は、例えば、36個(縦横同数に配列した場合、6個×6個)〜21904個(縦横同数に配列した場合、148個×148個)とすることができる。
【0061】
コレクター44は、ノズルユニット42よりも上方に配置されている。コレクター44は導電体からなり、図4に示すように、絶縁部材45を介して筐体41に取り付けられている。
電源装置49は、上向きノズル43と、コレクター44との間に高電圧を印加する。電源装置49の正極はコレクター44に接続され、電源装置49の負極は筐体41を介してノズルユニット42に接続されている。
【0062】
補助ベルト装置46は、長尺シート110の搬送速度に同期して回転する補助ベルト47と、補助ベルト47の回転を助ける5つの補助ベルト用ローラー48とを有する。5つの補助ベルト用ローラー48のうち1つ又は2つ以上の補助ベルト用ローラーが駆動ローラーであり、残りの補助ベルト用ローラーが従動ローラーである。コレクター44と長尺シート110との間に補助ベルト47が配設されているため、長尺シート110は、正の高電圧が印加されているコレクター44に引き寄せられることなくスムーズに搬送されるようになる。
【0063】
2.セパレーターの製造方法
以下、上記のように構成された実施形態1に係るセパレーター製造装置1を用いてセパレーターを製造する方法(実施形態1におけるセパレーターの製造方法)について説明する。
【0064】
図5は、実施形態1におけるセパレーターの製造方法を説明するために示す図である。図5(a)〜図5(d)は各工程図である。図6は、実施形態1におけるセパレーター100を説明するために示す図である。図6(a)は長尺シート110と分離する前の状態のセパレーター100を示す図である。図6(b)は長尺シート110とセパレーター100との分離の様子を示す図である。
【0065】
(a)紡糸準備
所定のポリマー材料から作製される第1ポリマー溶液と、第1ポリマー溶液を作製した所定のポリマー材料と同一のポリマー材料から作製される第2ポリマー溶液を準備し、これらをメルトブロー紡糸装置20及び電界紡糸装置40のノズルユニット22及び42へそれぞれ供給する。続けて、長尺シート110を長尺シート搬送装置10にセットし、長尺シート110(図5(a)参照。)を繰り出しローラー11から巻き取りローラー12に向けて搬送する。
【0066】
(b)メルトブロー紡糸
次に、長尺シート110を搬送しながら、メルトブロー紡糸装置20によって長尺シート110の一方面に第1繊維層120を形成する(図5(b)参照。)。
【0067】
(c)長尺シートの反転
次に、長尺シート反転機構15(反転ローラー16a,16b)により、長尺シート110の一方面が下側になるように長尺シート110の一方面の向きと他方面の向きとを反転させる。
【0068】
(d)電界紡糸
次に、第1繊維層120が積層された長尺シート110を搬送しながら、電界紡糸装置40によって長尺シート110の一方面に第2繊維層130を形成する。これにより、長尺シート110上に第1繊維層120と第2繊維層130とが積層された積層シートが製造される。その後、巻き取りローラー12より積層シートが巻き取られ、第1繊維層120及び第2繊維層130からなるセパレーター100と長尺シート110とが巻き取られた積層体ロール140が形成される(図5(c)及び図6(a)参照。)。
【0069】
(e)セパレーターと長尺シートとの分離
その後、積層体ロール140を繰り出しながらセパレーター100と長尺シート110とを分離してセパレーター100を製造する(図5(d)及び図6(b)参照。)。
【0070】
以上の方法により、セパレーター100を製造することができる。
【0071】
以下に、実施形態1におけるセパレーター製造方法について紡糸条件を例示的に示す。
長尺シート110としては、各種材料からなる不織布、織物、編物、紙などを用いることができる。長尺シート110の厚さは、例えば5μm〜500μmのものを用いることができる。長尺シート110の長さは、例えば10m〜10kmのものを用いることができる。
【0072】
第1繊維120及び第2繊維130の原料となるポリマーとしては、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリウレタン(PUR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)、シルク、セルロース、キトサンなどを用いることができる。
【0073】
ポリマー溶液に用いる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、クロロホルム、アセトン、水、蟻酸、酢酸、シクロヘキサン、THFなどを用いることができる。複数種類の溶媒を混合して用いてもよい。ポリマー溶液には、導電性向上剤などの添加剤を含有させてもよい。
【0074】
搬送速度は、例えば0.2m/分〜100m/分に設定することができる。ノズルとコレクター150とノズルユニット110に印加する電圧は、10kV〜80kVに設定することができ、50kV付近に設定することが好ましい。
【0075】
紡糸区域の温度は、例えば10℃〜40℃の範囲内にある所定の温度に設定することができる。また、紡糸区域の湿度は、例えば20%〜60%の範囲内にある所定の湿度に設定することができる。
【0076】
3.セパレーター製造装置の効果
実施形態1に係るセパレーター製造装置1によれば、メルトブロー紡糸装置20と長尺シート反転機構15と電界紡糸装置40とがこの順序で長尺シートの搬送方向に沿って配置されているため、メルトブロー紡糸装置20により長尺シートの一方面に第1繊維層を形成した後、電界紡糸装置40によりそのまま連続して長尺シートの一方面に第2繊維層を形成することが可能となり、所望の性質を有するセパレーターを高い生産性で大量生産することが可能となる。
【0077】
また、実施形態1に係るセパレーター製造装置1によれば、上向きノズルを用いて下方から第2繊維を堆積させて長尺シートの一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置とを備えるため、下向きノズルを用いたセパレーター製造装置に見られるようなドロップレット現象を発生させることがない。
【0078】
その結果、実施形態1に係るセパレーター製造装置1は、所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置となる。
【0079】
また、実施形態1に係るセパレーター製造装置1によれば、電界紡糸装置40がメルトブロー紡糸装置20の上方に配置されているため、セパレーター製造装置の設置面積をそれほど大きくすることなく、第1繊維層と第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能となる。
【0080】
また、実施形態1に係るセパレーター製造装置1によれば、互いに同一の材料から作製された第1繊維からなる第1繊維層と第2繊維からなる第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能であるため、第1繊維と第2繊維との親和性が高く、第1繊維層と第2繊維層との接合力が高く、その結果、信頼性の高いセパレーターを製造することが可能となる。
【0081】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係るセパレーター製造装置2の正面図である。図8は、実施形態2におけるセパレーター100を説明するために示す図である。
【0082】
実施形態2に係るセパレーター製造装置2は、基本的には実施形態1に係るセパレーター製造装置1と同様の構成を有するが、メルトブロー紡糸装置20及び電界紡糸装置40の配置順序が実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と異なる。すなわち、実施形態2に係るセパレーター製造装置2においては、図7に示すように、メルトブロー紡糸装置20と、長尺シート反転機構15と、電界紡糸装置40とが実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合とは逆の順序で長尺シート110の搬送方向に沿って配置されている
【0083】
実施形態2に係るセパレーター製造装置2は、図8に示すように、長尺シート110側から第2繊維層130と、第1繊維層120とがこの順序で積層したセパレーター100を製造するためのセパレーター製造装置である。
【0084】
このように、実施形態2に係るセパレーター製造装置2は、メルトブロー紡糸装置20、長尺シート反転機構15及び電界紡糸装置40の配置順序が実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合とは異なるが、メルトブロー紡糸装置と長尺シート反転機構と電界紡糸装置とがこれとは逆の順序で長尺シートの搬送方向に沿って配置されているため、電界紡糸装置40により長尺シートの一方面に第2繊維層を形成した後、メルトブロー紡糸装置20によりそのまま連続して長尺シートの一方面に第1繊維層を形成することが可能となり、実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と同様に、所望の性質を有するセパレーターを高い生産性で大量生産することが可能となる。
【0085】
また、実施形態2に係るセパレーター製造装置2によれば、上向きノズルを用いて下方から第2繊維を堆積させて長尺シートの一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置を備えるため、実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と同様に、下向きノズルを用いたセパレーター製造装置に見られるようなドロップレット現象を発生させることがない。
【0086】
その結果、実施形態2に係るセパレーター製造装置2は、実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と同様に、所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置となる。
【0087】
また、実施形態2に係るセパレーター製造装置2によれば、互いに同一の材料から作製された第1繊維からなる第1繊維層と第2繊維からなる第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能であるため、第1繊維と第2繊維との親和性が高く、第1繊維層と第2繊維層との接合力が高く、その結果、信頼性の高いセパレーターを製造することが可能となる。
【0088】
なお、実施形態2に係るセパレーター製造装置2は、メルトブロー紡糸装置20及び電界紡糸装置40の配置順序以外の点では実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と基本的には同様の構成を有するため、実施形態1に係るセパレーター製造装置1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0089】
[実施形態3]
図9は、実施形態3に係るセパレーター製造装置3の正面図である。図10は、実施形態3におけるセパレーター100aを説明するために示す図である。
【0090】
実施形態3に係るセパレーター製造装置3は、基本的には実施形態1に係るセパレーター製造装置1と同様の構成を有するが、メルトブロー紡糸装置の台数及び電界紡糸装置の台数が実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合とは異なる。すなわち、実施形態3に係るセパレーター製造装置3は、図9に示すように、2台のメルトブロー紡糸装置20,20aと、2台の電界紡糸装置40,40aとを備える。実施形態3に係るセパレーター製造装置3は、図10に示すように、長尺シート110側から第1繊維層120と、第2繊維層130と、第1繊維層120と、第2繊維層130とがこの順序で積層したセパレーター100aを製造するためのセパレーター製造装置である。
【0091】
実施形態3に係るセパレーター製造装置3は、セパレーター100aの構造に対応して、メルトブロー紡糸装置20と、電界紡糸装置40と、メルトブロー紡糸装置20aと、電界紡糸装置40aとがこの順序で長尺シート110の搬送方向に沿って配置されている。また、隣り合わせとなるメルトブロー紡糸装置20と電界紡糸装置40との間、電界紡糸装置40とメルトブロー紡糸装置20aとの間及びメルトブロー紡糸装置20aと電界紡糸装置40aとの間には、長尺シート反転機構15a,15b,15cがそれぞれ配置されている。
【0092】
このように、実施形態3に係るセパレーター製造装置3は、メルトブロー紡糸装置の台数及び電界紡糸装置の台数が実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と異なるが、メルトブロー紡糸装置と長尺シート反転機構と電界紡糸装置とがこの順序で長尺シートの搬送方向に沿って配置される部分と、メルトブロー紡糸装置と長尺シート反転機構と電界紡糸装置とがこれとは逆の順序で長尺シートの搬送方向に沿って配置される部分とを有するため、メルトブロー紡糸装置により長尺シートの一方面に第1繊維層を形成した後、電界紡糸装置によりそのまま連続して長尺シートの一方面に第2繊維層を形成することが可能となり、また、電界紡糸装置により長尺シートの一方面に第2繊維層を形成した後、メルトブロー紡糸装置によりそのまま連続して長尺シートの一方面に第1繊維層を形成することが可能となる。このため、実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と同様に、所望の性質を有するセパレーターを高い生産性で大量生産することが可能となる。
【0093】
また、実施形態3に係るセパレーター製造装置3によれば、上向きノズルを用いて下方から第2繊維を堆積させて長尺シートの一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置を備えるため、実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と同様に、下向きノズルを用いたセパレーター製造装置に見られるようなドロップレット現象を発生させることがない。
【0094】
その結果、実施形態3に係るセパレーター製造装置3は、実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と同様に、所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置となる。
【0095】
なお、実施形態3に係るセパレーター製造装置3は、メルトブロー紡糸装置の台数及び電界紡糸装置の台数以外の点では実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と基本的には同様の構成を有するため、実施形態1に係るセパレーター製造装置1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0096】
[変形例1]
上記した実施形態1〜3においては、長尺シート110を含まない構造を有するセパレーターを製造する場合を例にとって本発明のセパレーター製造装置を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図11は、変形例1におけるセパレーター100bの斜視図である。例えば、図11に示すように、長尺シート110を含む構造を有するセパレーターを製造する場合にも本発明のセパレーター製造装置を用いることができる。
【0097】
[実施形態4]
図12は、実施形態4に係るセパレーター製造装置4の正面図である。図13は、実施形態4におけるセパレーター100cの構成を示す図である。
【0098】
実施形態4に係るセパレーター製造装置4は、図12に示すように、長尺シート110を搬送する長尺シート搬送装置10と、第1繊維層122を形成するメルトブロー紡糸装置20と、長尺シート110と第1繊維122とを分離するシート分離装置60と、シート分離装置60で分離された第1繊維層122を搬送する第1繊維層搬送装置50と、搬送されていく第1繊維層122の一方面に上向きノズルを用いて下方から第2繊維を堆積させて第1繊維層122の一方面に第2繊維層130を形成する電界紡糸装置40とを備える。実施形態4に係るセパレーター製造装置4は、図13に示すように、第1繊維層122と、第2繊維層130とがこの順序で積層したセパレーター100cを製造するためのセパレーター製造装置である。
【0099】
長尺シート搬送装置10は、繰り出しローラー11と、テンションローラー13と、駆動ローラー14と、巻き取りローラー12aとを備える。シート分離装置60は、分離ローラー62,64を備え、長尺シート110と第1繊維層122とを分離する。長尺シート110は、メルトブロー紡糸装置20により長尺シート110上に第1繊維層122が形成された後に、シート分離装置60によって第1繊維層122と分離される。分離された長尺シート110は巻き取りローラー12aによって巻き取られる。
【0100】
第1繊維層搬送装置50は、第1繊維層搬送機構からなる。巻き取りローラー53、複数の駆動ローラー51及びテンションローラー52は、第1繊維層122を搬送する第1繊維層搬送機構(符号を図示せず。)を構成する。巻き取りローラー53には、第1繊維層122と第2繊維層130とが積層された構造のセパレーター100cが巻き取られる。
【0101】
実施形態4に係るセパレーター製造装置4は、シート分離装置60により長尺シート110から分離された第1繊維層122の一方面に第2繊維層130を形成することができるため、第1繊維層と第2繊維層とが積層された構造を有し、所望の性質を有するセパレーターを高い生産性で大量生産することが可能となる。
【0102】
また、実施形態4に係るセパレーター製造装置4によれば、上向きノズルを用いて下方から第2繊維を堆積させて第1繊維層の一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置を備えるため、下向きノズルを用いたセパレーター製造装置に見られるようなドロップレット現象を発生させることがない。
【0103】
その結果、実施形態4に係るセパレーター製造装置4は、所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置となる。
【0104】
また、実施形態4に係るセパレーター製造装置4によれば、互いに同一の材料から作製された第1繊維からなる第1繊維層と第2繊維からなる第2繊維層が積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能であるため、第1繊維と第2繊維との親和性が高く、第1繊維層と第2繊維層との接合力が高く、その結果、信頼性の高いセパレーターを製造することが可能となる。
【0105】
[実施形態5]
図14は、実施形態5に係るセパレーター製造装置5の正面図である。図15は、実施形態5におけるセパレーター100dの構成を示す図である。
【0106】
実施形態5に係るセパレーター製造装置5は、基本的には実施形態4に係るセパレーター製造装置4と同様の構成を有するが、長尺シート搬送装置の構成が実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と異なる。すなわち、実施形態5に係るセパレーター製造装置5においては、長尺シート搬送装置10aは、図14に示すように、送りローラー11a,11bによってエンドレスベルト状長尺シート17を一方方向に回転させる。この状態で、メルトブロー紡糸装置20によりエンドレスベルト状長尺シート17上に第1繊維層122を形成する。形成された第1繊維層122は、第1繊維層搬送装置50により後段に搬送される。なお、実施形態5においては、送りローラー11a,11bのうち、送りローラー11bがシート分離装置60を兼ねている。
【0107】
実施形態5に係るセパレーター製造装置5は、図15に示すように、第1繊維層122と、第2繊維層130とがこの順序で積層したセパレーター100dを製造するためのセパレーター製造装置である。
【0108】
第1繊維層搬送装置50は、第1繊維層搬送機構からなる。巻き取りローラー53、複数の駆動ローラー51及び補助ローラー52は、第1繊維層122を搬送する第1繊維層搬送機構(符号を図示せず。)を構成する。第1繊維層搬送装置50は、第1繊維層122を搬送する。巻き取りローラー53には、第1繊維層122と第2繊維層130とが積層された構造のセパレーター100dが巻き取られる。
【0109】
このように、実施形態5に係るセパレーター製造装置5は、長尺シート搬送装置の構成が実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合とは異なるが、シート分離装置11bにより長尺シート17から分離された第1繊維層122の一方面に第2繊維層130を形成することができるため、実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と同様に、第1繊維層と第2繊維層とが積層された構造を有し、所望の性質を有するセパレーターを高い生産性で大量生産することが可能となる。
【0110】
また、実施形態5に係るセパレーター製造装置5によれば、上向きノズルを用いて下方から第2繊維を堆積させて第1繊維層の一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置を備えるため、実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と同様に、下向きノズルを用いたセパレーター製造装置に見られるようなドロップレット現象を発生させることがない。
【0111】
その結果、実施形態5に係るセパレーター製造装置5は、実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と同様に、所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置となる。
【0112】
また、実施形態5に係るセパレーター製造装置5によれば、互いに同一の材料から作製された第1繊維からなる第1繊維層と第2繊維からなる第2繊維層が積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能であるため、第1繊維と第2繊維との親和性が高く、第1繊維層と第2繊維層との接合力が高く、その結果、信頼性の高いセパレーターを製造することが可能となる。
【0113】
なお、実施形態5に係るセパレーター製造装置5は、長尺シート搬送装置の構成以外の点では実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と基本的には同様の構成を有するため、実施形態4に係るセパレーター製造装置4が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0114】
[実施形態6]
図16は、実施形態6に係るセパレーター製造装置6の正面図である。図17は、実施形態6におけるセパレーター100eの構成を示す図である。
【0115】
実施形態6に係るセパレーター製造装置6は、基本的には実施形態4に係るセパレーター製造装置4と同様の構成を有するが、第1繊維層搬送装置の構成及び電界紡糸装置の構成が実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と異なる。すなわち、実施形態6に係るセパレーター製造装置6においては、図16に示すように、第1繊維層122が搬送されていく途中で第1繊維層122の一方面の向きと他方面の向きとが反対になるように第1繊維層122を反転させる第1繊維層反転機構54と、第1繊維層反転機構54の後段に配置された電界紡糸装置40bとをさらに備える。実施形態6に係るセパレーター製造装置6は、図17に示すように、第2繊維層130と、第1繊維層122と、第2繊維層130とがこの順序で積層されたセパレーター100eを製造するためのセパレーター製造装置である。
【0116】
第1繊維層搬送装置50は、第1繊維層反転機構54をさらに備え、第1繊維層122を搬送する。
第1繊維層反転機構54は、第1繊維層122の一方面の向きと他方面の向きとが反対になるように第1繊維層122を反転させる。図16中、第1反転ローラー55aと、第2反転ローラー55bが第1繊維層反転機構54を構成する。
【0117】
電界紡糸装置40bは、第1繊維層反転機構54の後段に配置され、上向きノズルを用いて下方から第2繊維を堆積させて第1繊維層122の他方面に第2繊維層130を形成する。電界紡糸装置40bは、電界紡糸装置40と同様の構成を有するものであってもよいし、異なる構成を有するものであってもよい。
【0118】
このように、実施形態6に係るセパレーター製造装置6は、第1繊維層搬送装置の構成及び電界紡糸装置の構成が実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と異なるが、シート分離装置60により長尺シート110から分離された第1繊維層122の一方面及び他方面に第2繊維層130を形成することができるため、実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と同様に、第1繊維層と第2繊維層とが積層された構造を有し、所望の性質を有するセパレーターを高い生産性で大量生産することが可能となる。
【0119】
また、実施形態6に係るセパレーター製造装置6によれば、上向きノズルを用いて下方から第2繊維を堆積させて第1繊維層122の一方面及び他方面に第2繊維層130を形成する電界紡糸装置40,40bを備えるため、実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と同様に、下向きノズルを用いたセパレーター製造装置に見られるようなドロップレット現象を発生させることがない。
【0120】
その結果、実施形態6に係るセパレーター製造装置6は、実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と同様に、所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置となる。
【0121】
なお、実施形態6に係るセパレーター製造装置6は、第1繊維層搬送装置の構成及び電界紡糸装置の構成以外の点では実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と基本的には同様の構成を有するため、実施形態4に係るセパレーター製造装置4が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0122】
[実施形態7]
図18は、実施形態7に係るセパレーター製造装置7の正面図である。図19は、実施形態7に係るセパレーター100fの構成を示す図である。なお、図19において、各符号の後に記載されたカッコの中の数字はそれぞれの繊維層を形成する順序を示す。
【0123】
実施形態7に係るセパレーター製造装置7は、基本的には実施形態4に係るセパレーター製造装置4と同様の構成を有するが、メルトブロー紡糸装置の台数及び電界紡糸装置の台数が実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と異なる。すなわち、実施形態7に係るセパレーター製造装置7は、図18に示すように、3台のメルトブロー紡糸装置20,20a、20bと、3台の電界紡糸装置40,40a、40bとを備える。実施形態7に係るセパレーター製造装置7は、図19に示すように、第1繊維層122と、第2繊維層130と、第1繊維層120と、第2繊維層130と、第1繊維層120と、第2繊維層130とがこの順序で積層されたセパレーター100fを製造するためのセパレーター製造装置である。
【0124】
実施形態7に係るセパレーター製造装置7は、図19に示すセパレーター100fの構造に対応して、メルトブロー紡糸装置20と、電界紡糸装置40と、メルトブロー紡糸装置20aと、電界紡糸装置40aと、メルトブロー紡糸装置20bと、電界紡糸装置40bとがこの順序で第1繊維層122の搬送方向に沿って配置されている。
また、最初のメルトブロー紡糸装置20と電界紡糸装置40との間を除き、隣り合わせとなる電界紡糸装置40とメルトブロー紡糸装置20aとの間、メルトブロー紡糸装置20aと電界紡糸装置40aとの間、電界紡糸装置40aとメルトブロー紡糸装置20bとの間、メルトブロー紡糸装置20bと電界紡糸装置40aとの間には、第1繊維層反転機構54a,54b,54c、54dがそれぞれ配置されている。
【0125】
ここで、「第1繊維層反転機構」とは、第1繊維層122のみを反転するではなく、第1繊維層122上に、第1繊維層120と、第2繊維層130とが積層されたものを反転するものをいう。
【0126】
このように、実施形態7に係るセパレーター製造装置7は、メルトブロー紡糸装置の台数及び電界紡糸装置の台数が実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と異なるが、シート分離装置により長尺シートから分離された第1繊維層の一方面に第2繊維層を形成することができるため、実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と同様に、第1繊維層と第2繊維層とが積層された構造を有し、所望の性質を有するセパレーターを高い生産性で大量生産することが可能となる。
【0127】
また、実施形態7に係るセパレーター製造装置7によれば、上向きノズルを用いて下方から第2繊維を堆積させて第1繊維層の一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置40a,40a,40bを備えるため、実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と同様に、下向きノズルを用いたセパレーター製造装置に見られるようなドロップレット現象を発生させることがない。
【0128】
その結果、実施形態7に係るセパレーター製造装置7は、実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と同様に、所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置となる。
【0129】
なお、実施形態7に係るセパレーター製造装置7は、メルトブロー紡糸装置の台数及び電界紡糸装置の台数以外の点では実施形態4に係るセパレーター製造装置4の場合と基本的には同様の構成を有するため、実施形態4に係るセパレーター製造装置4が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0130】
[変形例2]
図20は、変形例2におけるセパレーター100gの構成を示す図である。なお、図20において、各符号の後のカッコの中の数字はそれぞれの繊維層を形成する順序を示す。
【0131】
上記した実施形態7においては、メルトブロー紡糸装置20と電界紡糸装置40との間を除き、隣り合わせとなる電界紡糸装置とメルトブロー紡糸装置との間及びメルトブロー紡糸装置と電界紡糸装置との間に第1繊維層反転機構がそれぞれ配置されているセパレーター製造装置を例にとって本発明のセパレーター製造装置を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本変形例に係るセパレーター製造装置においては、図示は省略するが、電界紡糸装置とメルトブロー紡糸装置との間にのみ第1繊維層反転機構を設置するセパレーター製造装置に本発明を適用することもできる。
【0132】
このような構成とすることによっても、第1繊維層の一方面に第2繊維層と第1繊維層とがこの順序で積層され、さらには第1繊維層の他方面に第2繊維層と第1繊維層とがこの順序で積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能となる。
【0133】
[実施形態8]
図21は、実施形態8に係るセパレーター製造装置8を説明するために示す図である。
実施形態8に係るセパレーター製造装置8は、基本的には実施形態1に係るセパレーター製造装置1と同様の構成を有するが、加熱装置80をさらに備える点が実施形態1に係るセパレーター製造装置1とは異なる。すなわち、実施形態8に係るセパレーター製造装置8は、図21に示すように、巻き取りローラー12の前段に加熱装置80をさらに備える。
【0134】
加熱装置80は、巻き取りローラー12の前段に配置され、第1繊維層120と第2繊維層130とが積層された長尺シート110を加熱する。加熱温度は、長尺シート110や第1繊維120及び第2繊維130の種類によって異なるが、例えば50℃〜300℃の範囲内にある所定の温度に設定することができる
【0135】
このように、実施形態8に係るセパレーター製造装置8は、加熱装置80をさらに備える点が実施形態1に係るセパレーター製造装置1とは異なるが、メルトブロー紡糸装置と長尺シート反転機構と電界紡糸装置とがこの順序で長尺シートの搬送方向に沿って配置されているため、実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と同様に、メルトブロー紡糸装置により長尺シートの一方面に第1繊維層を形成した後、電界紡糸装置によりそのまま連続して長尺シートの一方面に第2繊維層を形成することが可能となり、所望の性質を有するセパレーターを高い生産性で大量生産することが可能となる。
【0136】
また、実施形態8に係るセパレーター製造装置8によれば、上向きノズルを用いて下方から第2繊維を堆積させて長尺シートの一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置を備えるため、実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と同様に、下向きノズルを用いたセパレーター製造装置に見られるようなドロップレット現象を発生させることがない。
【0137】
その結果、実施形態8に係るセパレーター製造装置8は、実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と同様に、所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置となる。
【0138】
また、実施形態8に係るセパレーター製造装置8によれば、加熱装置80を備えるため、第1繊維層及び第2繊維層に残存することがある溶媒を完全に蒸発させることが可能となり、残存溶媒量が極めて少なく高品質のセパレーターを製造することができる。
【0139】
なお、実施形態8に係るセパレーター製造装置8は、加熱装置80をさらに備える点以外の点では実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と基本的には同様の構成を有するため、実施形態1に係るセパレーター製造装置1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0140】
[実施形態9]
図22は、実施形態9に係るセパレーター製造装置9の正面図である。図23は、実施形態9におけるセパレーター100hを説明するために示す図である。
【0141】
実施形態9に係るセパレーター製造装置9は、基本的には実施形態1に係るセパレーター製造装置1と同様の構成を有するが、メルトブロー紡糸装置に換えて電界紡糸装置を備える点及び長尺シート搬送装置の構成が実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と異なる。すなわち、実施形態9に係るセパレーター製造装置9においては、図22に示すように、長尺シート110を搬送する長尺シート搬送装置10と、第1繊維層126を形成する第1電界紡糸装置としての電界紡糸装置40cと、第2繊維層130を形成する第2電界紡糸装置としての電界紡糸装置40とを備える。
【0142】
実施形態9に係るセパレーター製造装置9は、図23に示すように、長尺シート110側から第1繊維層126と、第2繊維層130とがこの順序で積層したセパレーター100hを製造するためのセパレーター製造装置である。
【0143】
実施形態9に係るセパレーター製造装置9は、電界紡糸装置40cと、電界紡糸装置40とが、長尺シート反転機構を介在することなく、かつ、この順序で長尺シート110の搬送方向に沿って配置されている。すなわち、長尺シート搬送装置10は、長尺シート反転機構を備えていない。
【0144】
電界紡糸装置40c及び電界紡糸装置40は、コレクターとノズルとの間隔、コレクターとノズルとの間に印加する電圧、雰囲気温度、雰囲気湿度、長尺シートの搬送速度、ポリマー材料の種類、ポリマー溶液の濃度・粘度、ポリマー溶液の抵抗などを適宜設定することにより、第1繊維層及び第2繊維層をそれぞれ形成する
【0145】
このように、実施形態9に係るセパレーター製造装置9は、メルトブロー紡糸装置に換えて電界紡糸装置を備える点及び長尺シート搬送装置の構成が実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合とは異なるが、電界紡糸装置40cと、電界紡糸装置40とが、この順序で長尺シート110の搬送方向に沿って配置されているため、電界紡糸装置40cにより長尺シートの一方面に第1繊維層を形成した後、電界紡糸装置40によりそのまま連続して長尺シートの一方面に第2繊維層を形成することが可能となり、所望の性質を有するセパレーターを高い生産性で大量生産することが可能となる。
【0146】
また、実施形態9に係るセパレーター製造装置9によれば、上向きノズルを用いて下方から第1繊維及び第2繊維を堆積させて長尺シートの一方面に第1繊維層及び第2繊維層を形成する電界紡糸装置40,40cを備えるため、下向きノズルを用いたセパレーター製造装置に見られるようなドロップレット現象を発生させることがない。
【0147】
その結果、実施形態9に係るセパレーター製造装置9は、所望の性質を有する高品質なセパレーターをドロップレット現象を発生させることなく高い生産性で大量生産することが可能なセパレーター製造装置となる。
【0148】
また、実施形態9に係るセパレーター製造装置9によれば、互いに同一の材料から作製された第1繊維からなる第1繊維層と第2繊維からなる第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造することが可能であるため、第1繊維と第2繊維との親和性が高く、第1繊維層と第2繊維層との接合力が高く、その結果、信頼性の高いセパレーターを製造することが可能となる。
【0149】
また、実施形態9に係るセパレーター製造装置9によれば、第1繊維層及び第2繊維層を形成する紡糸装置として、同種の電界紡糸装置(第1電界紡糸装置及び第2電界紡糸装置)を備えるため、第1繊維や第2繊維の平均径、第1繊維層や第2繊維層の厚さなどを、コレクターとノズルとの間隔、コレクターとノズルとの間に印加する電圧、雰囲気温度、雰囲気湿度、長尺シートの搬送速度、ポリマー材料の種類、ポリマー溶液の濃度・粘度、ポリマー溶液の抵抗などを適宜設定することにより、容易に調整することが可能となる。
【0150】
なお、実施形態9に係るセパレーター製造装置9は、メルトブロー紡糸装置に換えて電界紡糸装置を備える点及び長尺シート搬送装置の構成以外の点では実施形態1に係るセパレーター製造装置1の場合と基本的には同様の構成を有するため、実施形態1に係るセパレーター製造装置1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0151】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0152】
(1)上記各実施形態においては、電源装置49の正極がコレクター44に接続され、電源装置49の負極がノズルユニット42に接続された電界紡糸装置40を用いて本発明のセパレーター製造装置を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電源装置の正極がノズルユニットに接続され、電源装置の負極がコレクターに接続された電界紡糸装置を備えるセパレーター製造装置に本発明を適用することもできる。
【0153】
(2)上記実施形態においては、1つの電界紡糸装置に1つのノズルユニットが配設されたセパレーター製造装置を用いて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1つの電界紡糸装置に2つのノズルユニットが配設されたセパレーター製造装置に本発明を適用することもできるし、2つ以上のノズルユニットが配設されたセパレーター製造装置に本発明を適用することもできる。
【0154】
この場合、すべてのノズルユニットでノズル配列ピッチを同一にすることもできるし、各ノズルユニットでノズル配列ピッチを異ならせることもできる。また、すべてのノズルユニットでノズルユニットの高さ位置を同一にすることもできるし、各ノズルユニットでノズルユニットの高さ位置を異ならせることもできる。
【0155】
(3)本発明のセパレーター製造装置においては、長尺シートの幅方向に沿ってノズルユニットを所定の往復運動周期で往復運動させる機構を備えていてもよい。当該機構を用いてノズルユニットを所定の往復運動周期で往復運動させながら電界紡糸を行うことにより、長尺シートの幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することができる。この場合、ノズルユニットの往復運動周期や往復距離を、電界紡糸装置毎又はノズルユニット毎に独立して制御可能としてもよい。このような構成とすることにより、すべてのノズルユニットを同じ周期で往復運動させることもできるし、各ノズルユニットを異なる周期で往復運動させることもできる。また、すべてのノズルユニットで往復運動の往復距離を同一にすることもできるし、各ノズルユニットで往復運動の往復距離を異ならせることもできる。
【0156】
(4)上記各実施形態においては、長尺シートの幅方向に沿ってノズルが1列に配列したメルトブロー紡糸装置を用いて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ノズルが2次元状に配列したメルトブロー紡糸装置に本発明を適用することもできる。
【0157】
(5)上記実施形態1においては、メルトブロー紡糸装置20から上方に配置された電界紡糸装置40に向けて長尺シート110を搬送するセパレーター製造装置1を用いて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電界紡糸装置から下方に配置されたメルトブロー紡糸装置に向けて長尺シートを搬送するセパレーター製造装置に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0158】
1,2,3,4,5,6,7,8,9…セパレーター製造装置、10…長尺シート搬送装置11…繰り出しローラー、11a,11b…送りローラー、12,12a…巻き取りローラー、13,18…テンションローラー、14…駆動ローラー、15、15a、15b、15c、15d…長尺シート反転機構、16a,16c,16e…第1反転ローラー、16b,16d,16f…第2反転ローラー、17…エンドレスベルト状長尺シート、19…搬送機構、20,20a、20b…メルトブロー紡糸装置、21…(メルトブロー紡糸装置の)筐体、22…(メルトブロー紡糸装置の)ノズルユニット、23…(メルトブロー紡糸装置の)ノズル、24…高温気流供給機構、25…吸引ポンプ、26…ヒーター、27…気流吸引機構、28…網状部材、30…高温気流吸引部、31…高温気流放出装置、40,40a、40b,40c…電界紡糸装置、41…(電界紡糸装置の)筐体、42…(電界紡糸装置の)ノズルユニット、43…(電界紡糸装置の)ノズル、44…コレクター、45…絶縁部材、46…補助ベルト装置、47…補助ベルト、48…補助ベルト用ローラー、49…電源装置、50…第1繊維層搬送装置、51…駆動ローラー、52…補助ローラー、53…巻き取りローラー、54,54a、54b,54c,54d…第1繊維層反転機構、55a、55c,55e、55g…第1反転ローラー、55b,55d,55f,55h…第2反転ローラー、60…シート分離装置、62…第1繊維層繰り出しローラー、64…補助ローラー、80…加熱装置、100,100a,100b,100c,100d,100e,100f,100g,100h…セパレーター、110…長尺シート、120,122,124,126…第1繊維層、130…第2繊維層、140…積層体ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のポリマー材料から作製され所定の平均径を有する第1繊維からなる第1繊維層と、前記所定のポリマー材料と同一の材料から作製され前記第1繊維よりも小さい平均径を有する第2繊維からなる第2繊維層とを備え、少なくとも前記第1繊維層と前記第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造するセパレーター製造装置であって、
長尺シートを搬送する搬送機構と、前記長尺シートが搬送されていく途中で前記長尺シートの一方面の向きと他方面の向きとが反対になるように前記長尺シートを反転させる長尺シート反転機構とを備える長尺シート搬送装置と、
下向きノズルを用いて上方から前記第1繊維を堆積させて前記長尺シートの一方面に第1繊維層を形成するメルトブロー紡糸装置と、
上向きノズルを用いて下方から前記第2繊維を堆積させて前記長尺シートの一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置とを備え、
前記メルトブロー紡糸装置と、前記長尺シート反転機構と、前記電界紡糸装置とがこの順序又はこれとは逆の順序で前記長尺シートの搬送方向に沿って配置されていることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセパレーター製造装置において、
前記メルトブロー紡糸装置と、前記長尺シート反転機構と、前記電界紡糸装置とがこの順序で前記長尺シートの搬送方向に沿って配置されており、
前記電界紡糸装置は、前記メルトブロー紡糸装置の上方又は下方に配置され、
前記長尺シート反転機構は、前記電界紡糸装置の高さ位置に合わせて、前記メルトブロー紡糸装置からの前記長尺シートを反転させることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載のセパレーター製造装置において、
前記メルトブロー紡糸装置と、前記長尺シート反転機構と、前記電界紡糸装置とがこれとは逆の順序で前記長尺シートの搬送方向に沿って配置されており、
前記メルトブロー紡糸装置は、前記電界紡糸装置の上方又は下方に配置され、
前記長尺シート反転機構は、前記メルトブロー紡糸装置の高さ位置に合わせて、前記電界紡糸装置からの前記長尺シートを反転させることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のセパレーター製造装置において、
前記セパレーターは、前記第1繊維層と前記第2繊維層とが交互に積層された構造を有するセパレーターであり、
前記メルトブロー紡糸装置と、前記電界紡糸装置とが、前記セパレーターの構造に対応して、前期長尺シートの搬送方向に沿って配置され、
隣り合わせとなる前記メルトブロー紡糸装置と前記電界紡糸装置との間には、前記長尺シート反転機構が配置されていることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のセパレーター製造装置において、
前記セパレーターが、前記第1繊維層と前記第2繊維層とから構成される積層体からなることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のセパレーター製造装置において、
前記セパレーターが、前記長尺シートを構成する基材層と、前記第1繊維層と前記第2繊維層とから構成される積層体とからなることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項7】
所定のポリマー材料から作製され所定の平均径を有する第1繊維からなる第1繊維層と、前記所定のポリマー材料と同一の材料から作製され前記第1繊維よりも小さい平均径を有する第2繊維からなる第2繊維層とを備え、少なくとも前記第1繊維層と前記第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造するセパレーター製造装置であって、
長尺シートを搬送する長尺シート搬送装置と、
下向きノズルを用いて上方から前記長尺シートの一方面に前記第1繊維を堆積させて前記長尺シートの前記一方面に第1繊維層を形成するメルトブロー紡糸装置と、
前記メルトブロー紡糸装置の後段に配置され、前記長尺シートと前記第1繊維層とを分離するシート分離装置と、
前記シート分離装置の後段に配置され、前記シート分離装置で分離された前記第1繊維層を搬送する第1繊維層搬送装置と、
搬送されていく前記第1繊維層の一方面に上向きノズルを用いて下方から前記第2繊維を堆積させて前記第1繊維層の一方面に第2繊維層を形成する電界紡糸装置とを備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項8】
請求項7に記載のセパレーター製造装置において、
前記セパレーターは、前記第1繊維層における一方面と他方面とに前記第2繊維層が形成された構造を有するセパレーターであり、
前記電界紡糸装置の後段に配置され、前記第1繊維層が搬送されていく途中で前記第1繊維層の一方面の向きと他方面の向きとが反対になるように前記第1繊維層を反転させる第1繊維層反転機構と、
前記第1繊維層反転機構の後段に配置され、上向きノズルを用いて下方から前記第2繊維を堆積させて前記第1繊維層の他方面に第2繊維層を形成する第2電界紡糸装置とをさらに備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項9】
請求項7に記載のセパレーター製造装置において、
前記セパレーターは、前記第1繊維層の一方面には前記第2繊維層と前記第1繊維層とがこの順序で積層された構造を有するセパレーターであり、
前記電界紡糸装置の後段に配置され、前記第1繊維層が搬送されていく途中で前記第1繊維層の一方面の向きと他方面の向きとが反対になるように前記第1繊維層を反転させる第1繊維層反転機構と、
前記第1繊維層反転機構の後段に配置され、下向きノズルを用いて上方から前記第1繊維を堆積させて前記第1繊維層における前記第2繊維層が形成された面に第1繊維層を形成するメルトブロー紡糸装置とをさらに備えることを特徴とするセパレーター製造装置。
【請求項10】
所定のポリマー材料から作製され所定の平均径を有する第1繊維からなる第1繊維層と、前記所定のポリマー材料と同一の材料から作製され前記第1繊維よりも小さい平均径を有する第2繊維からなる第2繊維層とを備え、少なくとも前記第1繊維層と前記第2繊維層とが積層された構造を有するセパレーターを製造するセパレーター製造装置であって、
長尺シートを搬送する長尺シート搬送装置と、
上向きノズルを用いて下方から前記所定の平均径を有する第1繊維を堆積させて前記長尺シートの一方面に前記第1繊維層を形成する第1電界紡糸装置と、
上向きノズルを用いて下方から前記第1繊維よりも小さい平均径を有する第2繊維を堆積させて前記長尺シートの一方面に前記第2繊維層を形成する第2電界紡糸装置とを備え、
前記第1電界紡糸装置と、前記第2電界紡糸装置とが、長尺シート反転機構を介在することなく、かつ、この順序又はこれとは逆の順序で前記長尺シートの搬送方向に沿って配置されていることを特徴とするセパレーター製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−199036(P2012−199036A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61840(P2011−61840)
【出願日】平成23年3月20日(2011.3.20)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(508231821)トップテック・カンパニー・リミテッド (40)
【氏名又は名称原語表記】TOPTEC Co., Ltd.
【Fターム(参考)】