説明

セフジニルの製造方法

本発明は、そのカリウム及びセシウム塩を介するセフジニルを製造するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2005年10月31日出願の米国仮出願番号第60/732,097号の優先権の利益を主張し、その全内容を本願明細書中に援用する。
【0002】
本発明の分野
本発明は、そのカリウム、及びセシウム塩を介するセフジニルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
セフジニルは、経口投与用第3世代セファロスポリン抗生物質であり、他の経口投与用抗生物質よりも、一般的グラム陽性及びグラム陰性菌に対するより広い抗菌スペクトルを有する。現在OMNICEF(登録商標)として市場で売買されるセフジニルは、300mgの経口カプセル又は125mg/5mLの懸濁液として規定される抗生物質である。OMNICEF(登録商標)は、呼吸器感染、及び耳の感染のために規定される。セフジニルは、別名7−(Z)[2−(2−アミノチアゾル−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトイミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸として知られ、以下の構造:
【化1】

を有する。
【0004】
米国特許第4,559,334号の実施例14、及び16は、セフジニルの合成を開示する。実施例14において、セフジニルは、ジクロロメタン及び酢酸中のベンズヒドリル7−(4−ブロモアセトアセトアミド)−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボキシラートを、硝酸イソアミルと−3℃〜−5℃で反応させ、その後アセチルアセトンアセトンを添加することにより得られる。チオ尿素を添加し、そしてベンズヒドリル基をトリフルオロ酢酸で開裂させる。反応が進んだ後、有機層を酸性化し、そして0℃で冷却し、結晶性セフジニルを得る。実施例2の化合物9は、セフジニルのナトリウム塩を開示する。
【0005】
米国特許第4,935,507号は、結晶性セフジニルを得る2つの方法を開示する。結晶性セフジニルは、結晶性セフジニルA型を得るためにメタノールから結晶化され得る。あるいは、当該結晶型は段階的に精製される。当該段階的方法において、非晶形を水に溶解させ、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、酸性化し、カラムクロマトグラフィーを通過させ、そして活性炭で処理した。得られた溶液のpHを、35℃で1.8に調整し、そして得られた結晶性セフジニルを回収した。
【0006】
'507特許において得られたセフジニルは、セフジニルA型である。当該'507特許は、一人の'334特許と共通の発明者、及び同じ譲受人の共有である。当該'507特許は、結晶性製品ではなく非晶質製品のような結晶性として、当該'334特許の実施例14、及び16の製品を特徴付ける。当該'507特許は、「当該非晶質製品は、巨大で、純粋ではなく、不安定で、及びろ過速度において不十分であることにおいて不利であり、それ故、医薬品として適してなく、あるいは、大量生産又は保存において、医薬品として処理することが容易ではない」とさらに述べる。
【0007】
米国特許出願公開番号第2003/0204082号は、少なくとも1つの有機溶媒の存在下、10%を超過しない総パーセンテージ{体積(v)対水溶液中における体積(v)}、及び1.5〜3のpHで、セフジニルの希薄水性溶液から、0℃から6℃で、結晶性セフジニルを製造する方法を記載する。'082出願において得られるセフジニルは、セフジニルB型と言われる。
【0008】
米国特許第6,093,814号は、トリチル保護基を有する中間体、及び当該中間体の主要構造に結合するp−トルエンスルホン酸の1分子とN,N−ジメチルアセトアミドの2分子の使用を必要とするセフジニルの製造方法を開示する。当該'814特許には、セフジニルカリウムの記載もセフジニルセシウムの記載もない。
【0009】
国際特許公開第WO98/45299は、セフジニルジシクロヘキシルアミン塩を開示し、そしてセフジニルが、ジシクロヘキシルアミン塩を経由して精製され得ることを述べる。
【0010】
国際特許公開第WO02/098884号は、「セフジニル中間体を、ギ酸−硫酸混合物又はギ酸−メタンスルホン酸混合物で処理し、セフジニルの結晶塩を得て、そして当該結晶塩を溶媒中の塩基と反応させること」によるセフジニルの製造を記載する。
【0011】
国際特許公開第WO03/050124は、新規結晶性セフジニルカリウムジハイドラート、その製造方法、及びセフジニルの製造のためのその使用を記載する。
【0012】
米国特許出願公開第2004/0242556号は、セフジニルの結晶性形状、その製造方法、及び医薬組成物におけるその使用を開示する。
【0013】
セフジニルの如き複雑な有機分子の合成は、得られる最終生成物の量と質に作用する各ステップを有する多くのステップが従事するように取り組まれる。セフジニル、及びその塩の合成方法は知られているけれども、高い純度で、及び/又はより少ないステップでセフジニルを産生する経済的に有利な方法の継続的必要性がある。
【発明の開示】
【0014】
本発明の要約
ある態様において、本発明は、以下のステップ:
以下の式I:
【化2】

{式中、Zは、オキシム保護基を表す。}
の保護されたチオエステル、7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸、及び少なくとも1つの有機塩基を、水、及び水混和性有機溶媒の存在下で反応させ、保護されたセフジニルを形成し;
当該保護されたセフジニルを、セフジニルカリウム、及びセフジニルセシウムからなる群より選択されるセフジニル塩に転化し;そして
当該セフジニル塩を、セフジニルに転化する、
を含む、セフジニルの製造方法を含む。
【0015】
好ましくは、当該方法は、以下のステップ:
以下の式I:
【化3】

{式中、Zは、オキシム保護基を表す。}
のチオエステルと、7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸、及び少なくとも1つの有機塩基を、水、及び水混和性有機溶媒の存在下で反応させ、保護されたセフジニルを含む反応混合物を入手し;
緩衝液、及びカリウム又はセシウムイオン源の存在下、当該反応混合物を塩基で処理し、当該混合物を形成するセフジニルカリウム塩又はセシウム塩を入手し;
当該混合物から当該塩を回収し;
水又は水と水混和性有機溶媒の混合物中に当該塩を溶解し、溶液を形成させ;そして
当該溶液に酸を添加し、セフジニルを得る、
を含む、セフジニルの製造方法を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の詳細な説明
ある態様において、本発明は、以下のステップ:
(a)以下の式I:
【化4】

{式中、Zは、オキシム保護基を表す。}
の保護されたチオエステル、7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸、及び少なくとも1つの有機塩基を、水、及び水混和性有機溶媒の存在下で反応させ、保護されたセフジニルを形成し;
(b)前記保護されたセフジニルを、セフジニルカリウム、及びセフジニルセシウムからなる群より選択されるセフジニル塩に転化し;そして
(c)前記セフジニル塩を、セフジニルに転化する、
を含む、セフジニルの製造方法に関する。
【0017】
好ましくは、ステップb)において得られるセフジニル塩は、ステップc)に先立ち、回収される。
【0018】
好ましくは、式Iの化合物中のオキシム保護基、及び保護されたセフジニルが、アセチル、2−アミノチアゾール、及びテトラヒドロピラニルからなる群より選択される。
【0019】
好ましくは、当該水混和性有機溶媒は、テトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、N,Nジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、及びそれらの混合物からなる群より選択される。より好ましくは、当該水混和性有機溶媒は、テトラヒドロフランである。好ましくは、当該水混和性溶媒対水の比は、約1:1〜約10:1(v:v)であり、より好ましくは、約2.5:1(v:v)である。
【0020】
好ましくは、当該有機塩基は、アミン塩基である。好ましくは、当該アミン塩基は、C〜C12アミンであり、さらに好ましくは、当該アミン塩基は、C〜Cアミンである。好ましくは、当該C−C12アミンは、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエチレンジアミン、及びピリジンからなる群より選択される。さらに好ましくは、当該C〜Cアミンは、トリエチルアミンである。
【0021】
当該保護されたセフジニルを含む反応混合物は、撹拌され得る。好ましくは、当該反応混合物は、約2〜約8時間、より好ましくは約4〜約6時間、撹拌される。当該反応の適した温度は、約0℃〜約50℃、より好ましくは約20℃〜約30℃、最も好ましくは約25℃である。
【0022】
当該保護されたセフジニルを含む反応混合物を得るための反応の完了後、当該反応混合物は、水非混和性有機溶媒で抽出され、反応の間に消費されなかった反応物質の如き不純物を取り除く。好適な水非混和性有機溶媒は、ジクロロメタン、C〜Cエーテル、及びC〜Cエステル又はケトンである。抽出は、二相混合物を作成すること、かつ当該有機層への不純物の移動を促進するために当該二つの相を物理的に撹拌することにより実施され得る。
【0023】
当該二相混合物が得られた後、当該二相混合物は分離され、そして当該水相のpHが、塩基の添加により塩基性pHに調整される。好ましくは、当該pHは、約7〜約9、より好ましくは約8〜約8.5に調整される。好ましくは、当該緩衝液は、NHClである。
【0024】
好ましくは、Cs塩の回収に先立ち、塩基を含む水層は、緩衝液、及びカリウム又はセシウム源の存在下、セフジニルのカリウム塩又はセシウム塩を得るために、冷却され、及び/又は因子を供給される。
【0025】
好ましくは、当該冷却は、約5℃〜約15℃の温度までである。当該セフジニルカリウム塩又はセシウム塩の沈殿物は、慣習的方法により回収され得る。好ましくは、当該回収は、ろ過である。好ましくは、当該沈殿物は、結晶性セシウム/カリウム塩であり、それは、容易に処理され、そして商業的スケール(すなわち、0.5Kg又はそれ超のバッチ)おける製造方法において容易に使用され、セフジニルを製造し得る。
【0026】
場合により、結晶性カリウム塩は、セフジニルカリウム塩K型である。セフジニルカリウム塩K型は、8.2°、11.1°、22.4°、23.7°、24.2°、及び26.3°、2−シータ±0.2°シータで頂点を有するX線回折図形により特徴付けられる。K型は、13.5°、14.5°、15.4°、16.1°、18.2°、19.5°、20.8°、26.7°及び27.3°、2−シータ±0.2°シータで頂点を有するX線回折図形によりさらに特徴付けられる。
【0027】
当該セシウム又はカリウム塩は、次いで、酸の使用により、セフジニルに転化される。当該セシウム又はカリウム塩の溶液は、水中又は水と水混和性有機溶媒との混合物中に作成され得る。好ましくは、当該セシウム塩の溶液は、水中に作成される。当該溶液からの不純物は、活性炭、キレート剤、及びろ過器の使用により取り除かれ得る。好ましくは、酸を添加し、約1〜約4のpHを得る。
【0028】
好ましくは、当該酸は、塩酸、及び硫酸からなる群より選択される。好ましくは、当該塩がセシウム塩のとき、当該酸は硫酸である。当該溶液の温度は、低減もされ得、又は当該溶液は因子を供給され、結晶化をさらに誘導する。好適な温度は、約5℃〜約15℃である。
【0029】
好ましくは、得られたセフジニルは、結晶性である。場合により、当該得られたセフジニルは、結晶性セフジニルA型又は結晶性セフジニルB型である。
【0030】
得られたセフジニルは、好ましくは、HPLC面積比として、少なくとも約90〜約100%の純度、好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約97%、さらにより好ましくは少なくとも約99%、及び最も好ましくは少なくとも約99.5%の純度を有する。
【0031】
本発明は、特定の実施例、及び好ましい態様に関して記載されるが、本発明は、これらの実施例、及び態様に制限されないことが理解される。それ故、本発明は、請求のように、本明細書中に記載される特定の実施例、及び好ましい態様からの様々な変形を含み、それは当業者にとって明らかであろう。
【実施例】
【0032】
実施例1:そのカリウム塩を介する結晶性セフジニルの作成
7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(「7−AVNA」、100g、0.4419mol)を、テトラヒドロフラン(1000mL)に添加し、その後O−アセチルチオエステル(すなわち、Zがアセチルである式Iの化合物)(180g、0.4793mol)、及び水(500mL)を、撹拌しながら添加した。当該反応塊を、15℃〜20℃へ冷却した。この反応混合物に、トリエチルアミン(62mL)を、約8.0〜8.2のpHで、ゆっくりと添加した。
【0033】
撹拌を続け、そして当該反応の進展を、7−AVNAが1%未満になるまで、定性HPLCにより測定した。この段階で、メチレンジクロライド(1000mL)を添加し、そして当該反応混合物を、20℃〜25℃で15分間撹拌した。水(1000ml)を当該反応塊に添加し、そして、20℃〜25℃で15分間撹拌した。当該水層を分離し、そして、メチレンクロライド(500mL)で抽出した。その後、塩化アンモニウム(66g)を、20℃〜25℃で、一荷口で水性部分に添加し、そして、当該pHを、20%w/vの水性炭酸カリウム溶液の添加により、8.0〜8.2で維持した。当該反応の進展を、0−アセチルセフジニルが面積により0.5%未満になるまで、定性HPLCにより測定した。
【0034】
加水分解反応の完了後、結晶性セフジニルカリウム塩が沈殿した(因子の供給は、セフジニルカリウム塩を沈殿させるために必要となり得る。)。当該混合物を、1時間撹拌し、そしてその後、5℃〜10℃まで冷却し、そして、1時間、その温度で維持した。当該沈殿物をろ過により回収し、そして、当該結晶を、1:1のアセトン:水の溶液で洗浄した。当該作成物を、含水率が約14.7%w/wとなるまで、大気圧下で乾燥した。セフジニルカリウム塩K型(135.2g)を、99.0%純度(HPLCによる)において得た。
【0035】
当該セフジニルカリウム(15g)を、25℃〜30℃で、水(450ml)に溶解させた。当該溶液を、活性炭(1.5g)とEDTA(0.15g)で処理し、そして、当該混合物を15〜30分間撹拌した。当該溶液をセリットを通じてろ過し、そして当該pHを1.8〜2.4に調整した。形成された沈殿物を回収し、そして結晶性セフジニルA型(産生量11.3g、HPLC99.5%)として同定した。
【0036】
実施例2:そのカリウム塩を介する結晶性セフジニルの作成
7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(「7−AVNA」、100g、0.4419mol)を、テトラヒドロフラン(1000mL)に添加し、その後O−アセチルチオエステル(180g、0.4793mol)、及び水(500mL)を、撹拌しながら添加した。当該反応塊を、15℃〜20℃へ冷却した。この反応混合物に、トリエチルアミン(62mL)を、約8.0〜8.2のpHで、ゆっくりと添加した。
【0037】
撹拌を続け、そして当該反応の進展を、7−AVNAが1%未満になるまで、定性HPLCにより測定した。この段階で、メチレンジクロライド(1000mL)を添加し、そして当該反応混合物を、20℃〜25℃で15分間撹拌した。水(1000ml)を当該反応塊に添加し、そして、20℃〜25℃で15分間撹拌した。当該水層を分離し、そして、メチレンクロライド(500mL)で抽出した。その後、塩化アンモニウム(66g)を、20℃〜25℃で、一荷口で水性部分に添加し、そして、当該pHを、20%w/vの水性炭酸カリウム溶液の添加により、8.0〜8.2で維持した。当該反応の進展を、0−アセチルセフジニルが面積により0.5%未満になるまで、定性HPLCにより測定した。
【0038】
加水分解反応の完了後、結晶性セフジニルカリウム塩が沈殿した(因子の供給は、セフジニルカリウム塩を沈殿させるために必要となり得る。)。当該混合物を、1時間撹拌し、そしてその後、5℃〜10℃まで冷却し、そして、1時間、その温度で維持した。当該沈殿物をろ過により回収し、そして、当該結晶を、1:1のアセトン:水の溶液で洗浄した。当該作成物を、含水率が約14.7%w/wとなるまで、大気圧下で乾燥した。セフジニルカリウム塩K型(135.2g)を99.0%純度(HPLCによる)において得た。
【0039】
当該セフジニルカリウム(15g)を、25℃〜30℃で水(450ml)に溶解させた。当該溶液を、活性炭(1.5g)とEDTA(0.15g)で処理し、そして、当該混合物を15〜30分間撹拌した。当該溶液をセリットを通じてろ過し、そして当該pHを、8℃〜12℃で、1.8〜2.4に調整した。当該溶液を撹拌し、そして沈殿物を回収し、そして結晶性セフジニルB型(産生量11.3g、HPLC99.5%)として同定した。
【0040】
実施例3:そのセシウム塩を介する結晶性セフジニルの作成
100gの7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(7−AVNA、0.4419mol)を、テトラヒドロフラン(1000mL)に添加し、その後O−アセチルチオエステル(180g、0.4793mol)、及び水(500mL)を、撹拌しながら添加した。当該反応塊を15℃〜20℃に冷却した。この反応混合物に、トリエチルアミン(62mL)を、約8.0〜8.2のpHでゆっくりと添加した。
【0041】
撹拌を続け、そして当該反応の進展を、7−AVNAが1%未満になるまで、定性HPLCにより測定した。この段階で、メチレンジクロライド(1000mL)を添加し、そして当該反応混合物を、20℃〜25℃で、15分間撹拌した。水(250ml)を添加し、そして、当該反応塊を、20℃〜25℃で、15分間撹拌した。当該層を分離し、水層をメチレンクロライド(500mL)でさらに抽出した。その後、塩化アンモニウム(66g)を、20℃〜25℃で、一荷口で水性部分に添加し、そして、当該加水分解塊のpHを、40%w/vの水性炭酸セシウム溶液の添加により、7.8〜8.2で維持した。加水分解の完了により結晶性セフジニルの沈殿が一塊となった後、当該反応の進展を、0−アセチルセフジニルが面積により0.5%未満になるまで、定性HPLCにより測定した。
【0042】
セシウム塩が観察される(もし、反応液の澄明な溶液が一塊とした後、沈殿物が観察されなければ、当該塊にセフジニルセシウム塩で因子を供給する。その時点で、当該反応混合物をさらに1時間撹拌し、そして次いで、さらに1時間、5℃〜10℃に冷却する。)。
【0043】
当該スラリーをろ過し、そして当該作成物をアセトンで洗浄した。当該作成物を、含水率が7.9%w/wとなるまで、大気圧下で乾燥した。146gの作成物を、99.0%純度(HPLCによる)で得た。
【0044】
当該セフジニルセシウム塩(100g)を、25℃〜30℃で、水(2500ml)に溶解させた。得られた溶液に、活性炭(10g)とEDTA(1.0g)を添加し、そして、当該混合物を、25℃〜30℃で、15〜30分間撹拌した。当該作成物を、セリットを通じてろ過し、そして当該澄明な溶液のpHを、10%塩酸の添加により、25℃〜30℃で、2.2〜2.5に調整し、そして、その温度で撹拌し、結晶性セフジニルA型(産生量74g、HPLC99.8%)を得た。
【0045】
実施例4:そのセシウム塩を介する結晶性セフジニルの作成
100gの7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(7−AVNA、0.4419mol)を、テトラヒドロフラン(1000mL)に添加し、その後O−アセチルチオエステル(180g、0.4793mol)、及び水(500mL)を、撹拌しながら添加した。当該反応塊を、15℃〜20℃へ冷却した。この反応混合物に、トリエチルアミン(62mL)を、約8.0〜8.2のpHで、ゆっくりと添加した。
【0046】
撹拌を続け、そして当該反応の進展を、7−AVNAが1%未満になるまで、定性HPLCにより測定した。この段階で、メチレンジクロライド(1000mL)を添加し、そして当該反応混合物を、20℃〜25℃で、15分間撹拌した。水(250ml)を添加し、そして、当該反応塊を、20℃〜25℃で、15分間撹拌した。当該層を分離し、そして、当該水層をメチレンクロライド(500mL)でさらに抽出した。その後、塩化アンモニウム(66g)を、20℃〜25℃で、一荷口で水性部分に添加し、そして、当該加水分解塊のpHを、40%w/vの水性炭酸セシウム溶液の添加により、7.8〜8.2で維持した。加水分解の完了により結晶性セフジニルの沈殿が一塊となった後、0−アセチルセフジニルが面積により0.5%未満になるまで、当該反応の進展を、定性HPLCにより測定した。
【0047】
セシウム塩が観察される(もし、反応液の澄明な溶液が一塊とした後、沈殿物が観察されなければ、当該塊にセフジニルセシウム塩で因子を供給する。その時点で、当該反応混合物をさらに1時間撹拌し、そして次いで、さらに1時間、5℃〜10℃に冷却した。)。その温度をさらに1時間維持する。
【0048】
当該スラリーをろ過し、そして当該作成物をアセトンで洗浄した。当該作成物を、含水率が7.9%w/wとなるまで、大気圧下で乾燥した。146gの作成物を、99.0%純度(HPLCによる)において得た。
【0049】
当該セフジニルセシウム塩(100g)を、25℃〜30℃で、水(2500ml)に溶解させた。得られた溶液に、活性炭(10g)とEDTA(1.0g)を添加し、そして、当該混合物を、25℃〜30℃で、15〜30分間撹拌した。当該作成物を、セリットを通じてろ過し、そして当該澄明な溶液のpHを、10%塩酸の添加により、8℃〜12℃で、2.2〜2.5に調整し、そして、その温度で撹拌し、結晶性セフジニルB型(産生量74g、HPLC99.5%)を得た。
【0050】
実施例5:そのセシウム塩を介する結晶性セフジニルの作成
10gのセフジニルセシウム塩を、20℃〜30℃で、300mlの水に溶解させた。当該溶液に、1.0gの木炭と0.1gのEDTAを添加し、そして、当該溶液を、30分間撹拌した。その後、当該反応混合物を、水で洗浄されたハイフローベッドでろ過し、当該炭素を取り除いた。その後、当該澄明なろ液を、別のフラスコに移し、10℃〜15℃に冷却した。5%水性HClを当該溶液に添加し、0.5〜0.6のpHを得た。固体のセフジニルが当該溶液から沈殿した。当該溶液を、その時点で、1時間さらに撹拌し、スラリーを得た。その後、当該スラリーをろ過し、湿潤の一塊を得た。当該湿潤塊を、30℃〜35℃で、200mlの水に懸濁し、1時間撹拌しろ過した。次いで、当該塊を、母液内に塩化物が無くなるまで、水で洗浄した。当該湿潤塊を取り出し、恒量が得られるまで、減圧下、40℃で乾燥した。産出量:4.8グラム、純度:99.6%、水分含量:7.2%。
【0051】
実施例6:そのセシウム塩を介する結晶性セフジニルの作成
10gのセフジニルセシウム塩を、20℃〜30℃で、300mlの水に溶解させた。当該溶液に、1.0gの木炭と0.1gのEDTAを添加し、そして、当該溶液を、30分間撹拌した。当該炭素を、水で洗浄されたハイフローベッドにより、ろ過した。その後、当該澄明なろ液を、別のフラスコに移し、10℃〜15℃に冷却した。5%水性HClを当該溶液に添加し、0.5〜0.6のpHを得た。固体のセフジニルが当該溶液から沈殿した。その後、当該pHを、アンモニア水を添加することにより2.2〜2.5に調整し、そしてその時点で1時間撹拌し、スラリーを得た。当該スラリーをろ過し、湿潤の一塊を得、当該湿潤塊を、30℃〜35℃で200mlの水に懸濁し、1時間撹拌し、ろ過した。当該塊を、母液内に塩化物が無くなるまで、水で洗浄した。当該湿潤塊を取り出し、恒量が得られるまで、減圧下、40℃で乾燥した。産出量:6.1グラム、純度:99.3%、水分含量:6.9%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
(a)以下の式I:
【化1】

{式中、Zは、オキシム保護基を表す。}
の保護されたチオエステル、7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸、及び少なくとも1つの有機塩基を、水、及び水混和性有機溶媒の存在下で反応させ、保護されたセフジニルを形成し;
(b)前記保護されたセフジニルを、セフジニルカリウム、及びセフジニルセシウムからなる群より選択されるセフジニル塩に転化し;そして
(c)前記セフジニル塩を、セフジニルに転化する、
を含む、セフジニルの製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)において得られるセフジニル塩が、ステップ(c)に先立って回収される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下のステップ:
(a)以下の式I:
【化2】

{式中、Zは、オキシム保護基を表す。}
のチオエステルを、7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸、及び少なくとも1つの有機塩基と、水、及び水混和性有機溶媒の存在下で反応させ、保護されたセフジニルを含む反応混合物を得;
(b)緩衝液、及びカリウム又はセシウムイオン源の存在下、前記反応混合物を塩基で処理し、当該混合物を形成するセフジニルカリウム塩又はセシウム塩を得;
(c)前記混合物から前記塩を回収し;
(d)水又は水と水混和性有機溶媒の混合物中に前記塩を溶解し、溶液を形成させ;そして
(e)前記溶液に酸を添加し、セフジニルを得る、
を含む、セフジニルの製造方法。
【請求項4】
前記オキシム保護基が、アセチル、2−アミノチアゾール、及びテトラヒドロピラニルからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記水混和性有機溶媒が、テトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、N,Nジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記水混和性有機溶媒が、テトラヒドロフランである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記水混和性溶媒対水の比が、約1:1〜約10:1(v:v)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記水混和性溶媒対水の比が、約2.5:1(v:v)である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記有機塩基が、アミン塩基である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記アミン塩基が、C〜C12アミンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記C−C12アミンが、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエチレンジアミン、及びピリジンからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アミン塩基が、C〜Cアミンである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記C〜Cアミンが、トリエチルアミンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記保護されたセフジニルを含む反応混合物が撹拌される、請求項3〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応混合物が、約2〜約8時間、撹拌される、請求項3〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記反応混合物が、約4〜約6時間、撹拌される、請求項3〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(a)の反応が、約0℃〜約50℃で実施される、請求項3〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記温度が、約20℃〜約30℃である、請求項3〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記温度が、約25℃である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記保護されたセフジニルを含む反応混合物が、水非混和性有機溶媒で抽出される、請求項3〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記水非混和性有機溶媒が、ジクロロメタン、C〜Cエーテル、又はC〜Cエステル又はケトンである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抽出が、水相、及び有機相を有する二相混合物を作成すること、かつ当該有機層への不純物の移動を促進するために当該2つの相を物理的に撹拌すること、により実施される、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記水相が前記二相混合物から分離され、そして当該水相のpHが塩基の添加により調整される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記pHが、約7〜約9に調整される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記pHが、約8〜約8.5に調整される、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記緩衝液が、塩化アンモニウムである、請求項3〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記ステップ(b)の混合物が、前記セフジニルカリウム又はセシウム塩の結晶化を促進するために冷却される、請求項3〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記ステップ(b)の混合物が、約5℃〜約15℃の温度まで冷却される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ステップ(b)の混合物が、セフジニルカリウム又はセシウム塩の結晶化を促進するために因子を供給される、請求項3〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記回収された塩が、8.2°、11.1°、22.4°、23.7°、24.2°、及び26.3°、2−シータ±0.2°シータで頂点を有するX線回折図形により特徴付けられるセフジニルカリウム塩K型である、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記塩が、13.5°、14.5°、15.4°、16.1°、18.2°、19.5°、20.8°、26.7°及び27.3°、2−シータ±0.2°シータで頂点を有するX線回折図形によりさらに特徴付けられる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ステップ(d)における塩が、水中に溶解される、請求項3〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記ステップ(d)の溶液が、活性炭又はキレート剤で処理される、請求項3〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記酸が、約1〜約4のpHを得るために添加される、請求項3〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記酸が、塩酸、及び硫酸からなる群より選択される、請求項3〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記塩が、セシウム塩である、請求項3〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記酸が、硫酸である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ステップ(e)の溶液が、セフジニルの結晶化を促進するために冷却される、請求項3〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記ステップ(e)の溶液が、約5℃〜約15℃の温度まで冷却される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ステップ(e)の溶液が、セフジニルの結晶化を促進するために因子を供給される、請求項3〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記得られたセフジニルが、結晶性である、請求項1〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記得られたセフジニルが、結晶性セフジニルA型又は結晶性セフジニルB型である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記得られたセフジニルが、HPLC面積比として、少なくとも約90〜約100%の純度を有する、請求項1〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記得られたセフジニルが、HPLC面積比として、少なくとも約95%の純度を有する、請求項1〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記得られたセフジニルが、HPLC面積比として、少なくとも約97%の純度を有する、請求項1〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記得られたセフジニルが、HPLC面積比として、少なくとも約99%の純度を有する、請求項1〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記得られたセフジニルが、HPLC面積比として、少なくとも約99.5%の純度を有する、請求項1〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記塩が、セフジニルカリウム塩である、請求項1〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記塩が、セフジニルセシウム塩である、請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2008−524265(P2008−524265A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547065(P2007−547065)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/042745
【国際公開番号】WO2007/053723
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【出願人】(304064735)テバ ファーマシューティカルズ ユーエスエー,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】