説明

セメント硬化体の体積含水率測定方法

【課題】非破壊的であって、測定時間が短時間であり、かつ安全にセメント硬化体の体積含水率を測定する方法を提供する。
【解決手段】セメント硬化体の体積含水率を測定する方法は、セメント硬化体に周波数0.05〜0.3THzの光を照射し、セメント硬化体を透過した光の透過率に基づいてセメント硬化体の体積含水率を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント硬化体の体積含水率を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメント硬化体、モルタル、コンクリート等のセメント系材料中に存在する水は、セメントの水和反応に欠かせないものではあるが、その一方で、鉄筋コンクリートの場合には、内部に存在する鉄筋の腐食を助長する要因ともなる。また、セメント系材料における含水率(体積含水率)は、セメント系材料の中性化、塩分浸透等に大きく影響を及ぼすものである。このため、セメント系材料中の水の分布、移動等を把握することは、セメント系材料の耐久性を検討する上で極めて重要である。
【0003】
コンクリート等のセメント系材料内部の水分量やその分布を定量的に把握する方法としては、コンクリート内部にセンサを埋め込む方法や、コンクリート硬化体を作製し、当該硬化体を切断し、乾燥させて水分逸散量に基づいて推定する方法等が知られている。しかしながら、前者の方法では、コンクリート内部に埋め込まれたセンサが水の移動の障害となる問題があり、後者の方法では、測定しようとしたときに瞬時に推定することが困難であるとの問題がある。
【0004】
このような問題を解決することができ、非破壊的に水分移動を定量可能な方法として、中性子ラジオグラフィを用いた方法が提案されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】丸山一平,兼松学,寺本篤史,早野博幸,飯倉寛,野口貴文,「中性子ラジオグラフィによる骨材とセメントペースト間における水分挙動評価」,日本建築学会構造系論文集,2009年,第645号,p.1905−1912
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記非特許文献1に記載の方法であれば、非破壊的に短期間でセメント硬化体の体積含水率を推定することができるものの、中性子は人体にとって危険であり、原子炉を有する特定の場所でしか使用することができない等の問題がある。
【0007】
上記課題に鑑みて、本発明は、非破壊的であって、測定時間が短時間であり、かつ安全にセメント硬化体の体積含水率を測定する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、セメント硬化体に周波数0.05〜0.3THzの光を照射し、前記セメント硬化体を透過した光の透過率に基づいて前記セメント硬化体の体積含水率を算出することを特徴とするセメント硬化体の体積含水率測定方法を提供する(請求項1)。
【0009】
上記発明(請求項1)によれば、セメント硬化体の切断等の必要がなく、非破壊的に、短期間に、かつ安全にセメント硬化体の体積含水率を測定することができる。
【0010】
上記発明(請求項1)おいては、前記セメント硬化体に周波数0.05〜0.1THzの光を照射するのが好ましい(請求項2)。かかる発明(請求項2)によれば、より高精度にセメント硬化体の体積含水率を測定することができる。
【0011】
上記発明(請求項1,2)においては、前記セメント硬化体を透過した光の時間波形を取得し、当該時間波形をフーリエ変換して前記透過率を算出することができる(請求項3)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、非破壊的に短期間で、かつ安全にセメント硬化体の体積含水率を測定する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係るセメント硬化体の体積含水率測定方法を実施し得る分光装置を示す概略構成図である。
【図2】実施例において測定した試料1〜9のセメント硬化体における所定周波数のテラヘルツパルス光の透過率と当該セメント硬化体の体積含水率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るセメント硬化体の体積含水率を測定する方法においては、まず、体積含水率を測定する対象であるセメント硬化体に所定の周波数の光を照射する。
【0015】
体積含水率の測定対象であるセメント硬化体は、セメントと水とを含み、骨材(粗骨材及び細骨材)を含まないセメント材料を硬化させてなるものである。
【0016】
セメント硬化体中のセメントの種類としては特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント;高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメント;都市ゴミ焼却灰及び/又は下水汚泥焼却灰を原料として製造した焼成物の粉砕物と石膏とからなるセメント(エコセメント)等が挙げられる。
【0017】
なお、セメント硬化体には、通常のセメント硬化体を製造する際に用いられる混和剤が含まれていてもよく、例えば、リグニン系、ナフタリンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE剤(空気量調整剤)、消泡剤、凝結調整剤、防錆剤等が含まれていてもよい。これらの混和剤が含まれていても、光の減衰のおそれがなく、光の透過率にほとんど影響を与えないと考えられる。
【0018】
セメント硬化体の大きさは、セメント硬化体に照射された光が透過し得る厚さである限り特に限定されるものではなく、セメント硬化体に照射される光の周波数等に応じて適宜設定することができる。
【0019】
セメント硬化体に照射する光の周波数は、0.05〜0.3THzであり、0.05〜0.1THzであるのが好ましい。当該周波数が0.05THz未満又は0.3THzを超えると、セメント硬化体の体積含水率と光の透過率との相関性が低く、体積含水率の測定が困難となってしまう。
【0020】
具体的には、図1に示す分光装置を用いて、セメント硬化体に所定の光を照射することができる。図1は、当該分光装置を示す概略構成図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態における分光装置は、所定のパルス幅(例えば、100フェムト秒)のレーザ光を放射し得るフェムト秒レーザ1と、フェムト秒レーザ1から放射されたパルスレーザ光をポンプパルス光とプローブパルス光とに分岐する、ハーフミラー型ビームスプリッタ、偏光ビームスプリッタ等のビームスプリッタ2と、ポンプパルス光が入射し、周波数0.05〜0.3THzのテラヘルツパルス光を発振し得る第1の光スイッチ31と、第1の光スイッチ31から発振されたテラヘルツパルス光を集光し、集光されたテラヘルツパルス光をセメント硬化体10に照射し得る第1の軸外放物面鏡41及び第2の軸外放物面鏡42と、セメント硬化体10に照射され、セメント硬化体10を透過したテラヘルツパルス光を集光する第3の軸外放物面鏡43及び第4の軸外放物面鏡44と、第3及び第4の軸外放物面鏡43,44により集光されたテラヘルツパルス光及びビームスプリッタ2により分岐されたプローブパルス光が入射される第2の光スイッチ32と、ビームスプリッタ2により分岐されたプローブパルス光が第2の光スイッチ32に入射する時間を遅延させ得る可動鏡5と、ポンプパルス光の光路に設けられ、ポンプパルス光を反射するミラー61と、プローブパルス光の光路に設けられ、プローブパルス光を反射するミラー62,63,64,65と、第2のスイッチ32の回路上に設けられた電流計7と、電流計7に直列に接続された電流アンプ8と、電流アンプ8に直列に接続されたロックインアンプ9とを備える。
【0022】
上記分光装置において、第1の光スイッチ31としては、例えば、低温成長ガリウム・ヒ素(LT−GaAs)上に金属アンテナを形成した半導体等の光伝導アンテナ、インジウム・ヒ素(InAs)基板等のバルク半導体、半導体量子井戸、テルル化亜鉛(ZnTe)等の非線形光学結晶、高温超伝導体等を用いることができる。なお、第2の光スイッチ32としては、第1の光スイッチ31と同様のものを用いることができる。
【0023】
上述したような分光装置を用い、フェムト秒レーザ1からパルスレーザ光を放射すると、ビームスプリッタ2によりポンプパルス光とプローブパルス光に分岐される。
【0024】
ビームスプリッタ2により分岐されたポンプパルス光は、ミラー61で反射し、集光レンズ(図示せず)を通過して集光されて、第1の光スイッチ31に入射される。
【0025】
ポンプパルス光が第1の光スイッチ31に入射されると、第1の光スイッチ31から周波数0.05〜0.3THzのテラヘルツパルス光が放射され、当該テラヘルツパルス光が第1及び第2の軸外放物面鏡41,42にて集光されて、セメント硬化体10に照射される。
【0026】
そして、セメント硬化体10を透過したテラヘルツパルス光は、第3及び第4の軸外放物面鏡43,44にて集光されて、シリコンレンズ(図示せず)を通過して第2の光スイッチ32に入射される。
【0027】
一方、ビームスプリッタ2により分岐されたプローブパルス光は、ミラー62で反射し、可動鏡5によりビームスプリッタ2から第2の光スイッチ32までの光学的距離が延長されることにより時間遅延が与えられた後、ミラー63,64,65のそれぞれで反射し、集光レンズ(図示せず)で集光されて第2のスイッチ32に入射される。
【0028】
このように、セメント硬化体10を透過したテラヘルツパルス光及びプローブパルス光がともに第2の光スイッチ32に入射される。このとき、第2の光スイッチ32は、プローブパルス光が入射されたときにのみ作動するように構成されているため、テラヘルツパルス光とプローブパルス光とが第2のスイッチ32に同時に入射すると、受信回路が閉じ、テラヘルツパルス光の振幅に比例した電位差が生じて瞬間的に電流が流れる。
【0029】
上記振幅を電流計7によって計測し、電流アンプ8により増幅した後、ロックインアンプ9によって計測する。これにより、セメント硬化体10を透過したテラヘルツパルス光の時間波形を取得することができる。
【0030】
次に、セメント硬化体を透過したテラヘルツパルス光の透過率を算出する。後述する実施例において明らかなように、セメント硬化体を透過した光の透過率とセメント硬化体の体積含水率との間には相関性があるため、当該透過率を算出することにより、セメント硬化体の体積含水率を容易に測定することができる。これは、テラヘルツパルス光がセメント硬化体を透過する場合における当該光の減衰量は、セメント硬化体における単位空間当たりの水の量に相関すると考えられることに基づくものである。
【0031】
セメント硬化体を透過したテラヘルツパルス光の透過率を算出するために、まず、上述のようにして得られた、セメント硬化体10を透過したテラヘルツパルス光の時間波形をフーリエ変換することにより、周波数ごとの振幅と位相とを得る。
【0032】
その一方で、セメント硬化体10を配置しない以外は上述した方法と同様にしてテラヘルツパルス光の時間波形を取得し、当該時間波形をフーリエ変換することにより、周波数ごとの振幅と位相とを得る。
【0033】
このようにして得られた振幅及び位相からテラヘルツパルス光の透過率を算出する。具体的には、下記のようにしてテラヘルツパルス光の透過率を算出することができる。
【0034】
セメント硬化体10にテラヘルツパルス光が垂直に入射し、透過した後のテラヘルツパルス光の実時間応答E(t)は、下記式(1)により表される。
【0035】
【数1】

【0036】
上記式(1)によって、実時間応答E(t)をフーリエ変換することにより、テラヘルツパルス光の透過後の電界スペクトルE(ω)及び位相φ(ω)が得られることが示されている。なお、電界スペクトルE(ω)と位相φ(ω)とは、下記式(2)及び(3)により定義される。
【0037】
【数2】

【0038】
【数3】

【0039】
上記分光装置において、セメント硬化体10を配置していない状態(リファレンス状態)とセメント硬化体10を配置している状態における光電界をそれぞれEref(ω)、Esmpl(ω)、位相をそれぞれφref(ω)、φsmpl(ω)とおいた場合、複素透過率(フレネル透過係数)



を実験的に求めることができる。なお、複素透過率



と透過率T(ω)とは、下記式(4)の関係を満たすと考えられる。
【0040】
【数4】

【0041】
そして、透過率T(ω)と位相差Δφ(ω)とは、下記式(5)及び(6)を満たすと考えられる。
【0042】
【数5】

【0043】
【数6】

【0044】
ここで、セメント硬化体10の複素屈折率は、下記式(7)で表されるものと仮定する。
【0045】
【数7】

【0046】
式(7)中、実部nは屈折率そのもので、虚部κ(消衰係数)は減衰に対応している。このとき、複素透過率



は下記式(8)で表すことができる。
【0047】
【数8】

【0048】
式(8)中、



及び



は、それぞれ「大気からセメント硬化体10に入射する場合及びセメント硬化体10から大気に放射される場合の透過率」であり、cは「光速」、dは「セメント硬化体10の厚さ」を表す。
【0049】
上記式(4)及び式(8)は等しいので、それぞれ実部と虚部とが等しいとする二つの連立方程式を解くことで、複素屈折率と複素透過率との関係が得られ、透過率T(ω)を算出することができる。
【0050】
上述のようにして算出されたテラヘルツパルス光の透過率は、図2に示すように、セメント硬化体の体積含水率との間で高い相関性を有することが明らかである。したがって、テラヘルツパルス光の透過率に基づいて、セメント硬化体の体積含水率を測定することができる。
【0051】
上記実施形態に係るセメント硬化体の体積含水率測定方法によれば、セメント硬化体を切断等することがなく、テラヘルツパルス光の透過率の測定時間が短時間でよく、かつ中性子等を用いることがないため安全にセメント硬化体の体積含水率を測定することができる。
【0052】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0053】
上記実施形態においては、体積含水率の測定対象であるセメント硬化体に所定の周波数の光を照射しているが、セメント硬化体に照射した光の透過が困難な程度にセメント硬化体の厚さが厚い場合には、セメント硬化体の一部を切り欠いて測定用切片を作製し、光が透過し得る厚さの切片を用いて光の透過率を算出するようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態においては、体積含水率の測定対象であるセメント硬化体と同一条件(配合、材料、養生条件等が同一)のセメント供試体を作製し、当該セメント供試体に照射した光の透過率を算出するようにしてもよい。これにより、当該セメント供試体の光の透過率から体積含水率を求めることで、セメント硬化体の体積含水率を正確に推定することができる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0056】
〔セメント硬化体の作製〕
表1に示す物性及び化学組成を有する普通ポルトランドセメント(N)、中庸熱ポルトランドセメント(M)及び低熱ポルトランドセメント(L)を用い、表2に示す水セメント比になるように水を配合し、オムニミキサで混練してセメントペーストを調製した。なお、水セメント比が55%及び40%のセメント硬化体に関しては、ブリーディングがなくなるまで約30分間隔で練り返しを行った。
【0057】
得られたセメントペーストを型枠に打設した後、封緘養生を行い、20℃の恒温室に静置した。水セメント比55%のセメント硬化体は材齢7日、40%のセメント硬化体は材齢4日、30%のセメント硬化体は材齢2日において脱型した。脱型後のセメント硬化体を、水酸化カルシウムの溶脱を防止する目的で、飽和水酸化カルシウム水溶液による水中養生を行い、材齢91日以上は湿布養生を行い、セメント硬化体を作製した(試料1〜9)。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
〔含水率調整及び密度測定〕
上記各セメント硬化体(試料1〜9)について、材齢1年を経過した時点で含水率の調整を開始した。セメント硬化体の含水率の調整は、飽水状態及び105℃で24時間乾燥させた状態(絶乾状態)のほか、水酸化ナトリウム水溶液を用いて相対湿度90%(NaOH濃度:9.83%)、70%(NaOH濃度:20.80%)、50%(NaOH濃度:28.15%)及び30%(NaOH濃度:35.29%)、温度25℃の条件下で2ヶ月以上行った(合計6水準)。絶乾状態のセメント硬化体の質量を測定するとともに、飽水状態のセメント硬化体及び各相対湿度で含水率を調整したセメント硬化体の質量を測定し、各6水準のセメント硬化体の含水率を算出した。
【0061】
飽水状態のセメント硬化体(試料1〜9)について、アルキメデス法により見かけの密度を測定するとともに、上述のようにして105℃で24時間乾燥させたセメント硬化体(試料1〜9)の含水率を用いて、セメント硬化体の真密度を算出した。そして、算出された真密度と含水率とから、含水率が調整された各セメント硬化体(試料1〜9)の体積含水率を算出した。各セメント硬化体(試料1〜9)の体積含水率を表3に示す。
【0062】
【表3】

【0063】
〔透過率の測定〕
図1に示す分光装置を用い、上述のようにして含水率を調整したセメント硬化体(試料1〜9,各6水準)におけるテラヘルツパルス光の透過率を測定した。1回の測定は約2分で行い、セメント硬化体から水分が逸散しないように、当該セメント硬化体をポリ塩化ビニリデン製ラップフィルムで包んだ。なお、テラヘルツパルス光の周波数は、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4及び0.5THzとした。このようにして測定した各セメント硬化体におけるテラヘルツパルス光の透過率と体積含水率との関係を図2に示す。なお、図2中、試料1〜9をそれぞれ「N55」、「N40」、「N30」、「M55」、「M40」、「M30」、「L55」、「L40」、「L30」と示すこととする。
【0064】
図2は、テラヘルツパルス光の周波数ごとのセメント硬化体における透過率と、上記のようにして算出した体積含水率との関係を示すグラフである。図2に示すように、周波数0.05〜0.3THzのテラヘルツパルス光をセメント硬化体に照射した場合、透過率と体積含水率とは高い相関性を示すことが明らかとなった。特に、0.05〜0.1THzのテラヘルツパルス光を照射することで、透過率と体積含水率とがより高い相関性を示すことが明らかとなった。一方、テラヘルツパルス光の周波数が0.3THzを超えると、透過率と体積含水率との相関性が低くなることが確認された。
【0065】
この結果から、本発明(上記実施形態)の方法によれば、体積含水率を測定しようとするセメント硬化体に所定周波数(0.05〜0.3THz)のテラヘルツパルス光を照射し、当該光の透過率を測定することで、セメント硬化体の体積含水率を高精度で測定することができる。
【0066】
また、本発明(上記実施形態)の方法によれば、中性子等を用いることなく、所定周波数の光(パルス光)をセメント硬化体に照射するだけでよいため、安全にセメント硬化体の体積含水率を測定することができる。
【0067】
さらに、本発明(上記実施形態)の方法によれば、約2分間で所定周波数(0.05〜0.3THz)のテラヘルツパルス光の透過率を測定することができるため、短時間にセメント硬化体の体積含水率を測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係るセメント硬化体の体積含水率測定方法によれば、コンクリート等のセメント硬化体内部の水分量や水分の分布・移動等を非破壊的に、安全に、かつ短時間で定量的に把握することができるため、セメント硬化体の耐久性等の検査方法として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント硬化体に周波数0.05〜0.3THzの光を照射し、前記セメント硬化体を透過した光の透過率に基づいて前記セメント硬化体の体積含水率を算出することを特徴とするセメント硬化体の体積含水率測定方法。
【請求項2】
前記セメント硬化体に周波数0.05〜0.1THzの光を照射することを特徴とする請求項1に記載のセメント硬化体の体積含水率測定方法。
【請求項3】
前記セメント硬化体を透過した光の時間波形を取得し、当該時間波形をフーリエ変換して前記透過率を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載のセメント硬化体の体積含水率測定方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−252736(P2011−252736A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125396(P2010−125396)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【出願人】(510151669)
【出願人】(510151256)
【Fターム(参考)】