セルサーチ装置及び方法並びに移動局
【課題】 受信帯域切り替えの過渡状態によるセルサーチ性能の劣化を回避する。
【解決手段】 所定の周波数で一のセル200aと通信し、特定の時間区間において所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて一のセルとは異なる他のセル200bのセルサーチを行うセルサーチ装置1であって、特定の時間区間において、他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信部10と、第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出部50と、特定の時間区間内における第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、受信信号に含まれる他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択部60と、決定される受信タイミングに基づいて取得した他のセルの特定に用いる特定信号を用いて他のセルの特定を行う第2検出部70とを備える。
【解決手段】 所定の周波数で一のセル200aと通信し、特定の時間区間において所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて一のセルとは異なる他のセル200bのセルサーチを行うセルサーチ装置1であって、特定の時間区間において、他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信部10と、第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出部50と、特定の時間区間内における第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、受信信号に含まれる他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択部60と、決定される受信タイミングに基づいて取得した他のセルの特定に用いる特定信号を用いて他のセルの特定を行う第2検出部70とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行う移動局等において、通信先の基地局等のセルサーチを行うセルサーチ装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
セルサーチ装置に係る技術として、移動局が通信中の基地局の周波数帯域とは異なる帯域の基地局についてセルサーチや受信電力の測定などを行なう場合に、通信中の基地局によって設定されるMeasurement Gapと呼ばれる所定の時間区間を用いた異周波セルサーチが知られている。
【0003】
Measurement Gapとは、通信中の基地局によって設定され、基地局から移動局へのデータ送信が停止する、いわゆる無送信区間とされる区間である。Measurement Gapにおいて、移動局は、受信周波数帯域(以下、単に受信帯域と記載する)を通信中の基地局の通信周波数帯域(以下、単に通信帯域と記載する)から、セルサーチを行う他の基地局の通信帯域に変更して、セルサーチを行い、該他の基地局から送信されるSCH(Synchronization Channel:同期チャネル)のデータを検出する。
【0004】
SCHは、下り方向の共通チャネルであって、P−SCH(Primary Synchronization Channel)とS−SCH(Secondary Synchronization Channel)とを含む。例えば、後述する先行技術文献では、LTE(Long Term Evolution)等の通信システムにおけるP−SCH及びS−SCHについて説明されている。
【0005】
例えば、LTEシステムのFrame structure type 2においては、P−SCHにおける同期信号PSS(Primary Synchronization Signal)は、全セル共通の系列を含む。この系列のデータは、移動局において、セルサーチ時のタイミング同期に用いられる。また、S−SCHにおける同期信号SSS(Secondary Synchronization Signal)は、セル番号やスクランブリングコード情報等の各セル固有の送信パラメータを含む。移動局は、基地局との通信を開始するに当たって、PSSを受信することによりタイミングの同期を行い、該同期タイミングに基づいてSSSを受信することによりセル毎に異なる送信パラメータを取得する。具体的には、PSSとSSSは、システム毎のフレーム構造や送信フォーマットに応じた所定のシンボル数離隔した共通の周期において送信されるため、移動局はPSSを受信することで、SSSを受信するための同期が可能となる。これにより移動局は、基地局との通信を開始することが出来る。
【0006】
下記に示す先行技術文献には、PSSから取得した受信タイミングを用いてSSSの複数候補に対する相関演算を行ってセル固有の番号を検出する方法や、PSSから取得したチャネル推定値を用いてS−SCHのチャネル補償を行なう方法について説明されている。
【0007】
このようなチャネル推定やチャネル補償では、移動局は、正確にS−SCHのチャネル状態を推定することで、セルサーチ性能を向上させることが出来る。このため、フェージング等の影響により、時間に応じてチャネル状態が変化する場合、周期的に送信されるPSSのうち、検出処理の対象としたSSSにより近いものを用いてチャネル推定を行う事が望ましいとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−89185
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】3GPP TS36.211 v8.9.0
【非特許文献2】3GPP TS36.133 v8.10.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した異周波セルサーチを行うために、移動局は、Measurement Gapにおいて、受信帯域を通信中の基地局の通信帯域からセルサーチを行う基地局の通信帯域に切り替えてSCHデータを検出し、その後再び、受信帯域を通信中の基地局の通信帯域に切り替える必要がある。このとき、Measurement Gapの先頭及び末尾等、受信帯域を変更する期間においては、移動局が帯域切替の過渡状態となり、信号の受信レベルが劣化する可能性がある。
【0011】
基地局において設定されるMeasurement Gapと、異周波セルサーチのためのSCHデータの送信タイミングとの関係によっては、このようなMeasurement Gapの先頭や末尾近傍の期間に移動局がSCHデータを受信する可能性がある。このとき、帯域切替の過渡状態の影響で移動局でのセルサーチ性能が劣化するという技術的な問題が考えられる。
【0012】
この様な帯域切替時間や切替後の帯域の安定度は、移動局におけるRF性能に依存する場合が多く、高い性能を実現するためには、高価な部品を利用することによるコスト増加や、複雑な処理を利用することによる消費電力の増加等のデメリットが生じることがある。
【0013】
本発明は、上述した技術的な問題点に鑑み、比較的簡単な処理で異周波セルサーチを可能とするセルサーチ装置及び方法並びに移動局を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、開示のセルサーチ装置は、所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行う移動局におけるセルサーチ装置である。セルサーチ装置は、受信部と、第1検出部と、同期信号選択部と、第2検出部とを備える。
【0015】
受信部は、特定の時間区間において、他のセルの特定に用いる信号の候補となる第1の同期信号を含む信号を受信する。第1検出部は、第1の同期信号の受信タイミングを検出する。同期信号選択部は、特定の時間区間内における第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、信号に含まれる他のセルの特定に用いる信号の受信タイミングを決定する。第2検出部は、決定される受信タイミングに基づいて取得した他のセルの特定に用いる信号を用いて他のセルの特定を行う。
【発明の効果】
【0016】
上述の構成によれば、異周波セルサーチを行う移動局において、特定の時間区間の先頭及び末尾において受信周波数を切り替える際の過渡状態によるセルサーチ性能の劣化を回避し、適切なセルサーチが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】セルサーチ装置を有する移動局と、基地局とを含む無線通信ネットワークを示す図である。
【図2】セルサーチ装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】PSS検出部の構成を示すブロック図である。
【図4】SSS検出部の構成を示すブロック図である。
【図5】Measurement Gapを用いた異周波セルサーチの態様を示す図である。
【図6】Measurement Gapにおける受信信号内の同期信号を示す図である。
【図7】同期信号の選択の様子を示す図である。
【図8】同期信号の選択の様子を示す図である。
【図9】同期信号の選択の様子を示す図である。
【図10】同期信号の選択の様子を示す図である。
【図11】セルサーチ装置の変形例を示すブロック図である。
【図12】チャネル変動推定部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0019】
(1)構成例
図を参照して、開示のセルサーチ装置の構成例について説明する。図1は、開示のセルサーチ装置の構成例であるセルサーチ装置1を有する移動局100と、基地局200a、200bとを含む無線通信ネットワークを示す図である。
【0020】
図1に示されるように、セルサーチ装置1は、基地局200a又は200bとの間で無線通信が可能な移動局100の内部に備えられる。移動局100と基地局200a、200bとは、例えば3GPP − LTE(Third Generation Partnership Project - Long Term Evolution)等の通信システムを用いて、互いに無線通信が可能である。図1に示される例では、基地局200a、200bの夫々が配下のサービスエリアに電波を送信することでセルを形成し、移動局100が基地局200aのセル内に在圏して基地局200aと通信している。基地局200a、200bは、不図示のゲートウェイ等の上位装置を介してコアネットワークに接続される。
【0021】
ここでは、移動局100が通信中の基地局200aとは異なる通信帯域を有する基地局200bに対してハンドオーバを行う場合等、基地局200bに対してMeasurement Gap区間(以降、GAP区間と記載する)を用いた異周波セルサーチを行う場合の処理について説明する。
【0022】
セルサーチ装置1は、GAP区間において、基地局200bから送信される2種類の同期信号PSS及びSSSを参照して、基地局200bを特定するセルID等の情報の検出を行う。例えば、3GPP − LTE等の無線通信システムでは、PSSとして用いられる同期信号には3種類の候補があるが、以下に示す例では説明を単純化するためにPSSの候補は1種類としている。SSSは、基地局のセルIDに対応してNsss個の候補がある。またSSSとPSSのシンボル末尾の位置は、ΔT(m)だけ離れているとする。ここで番号mは、フレームフォーマットとして複数のフォーマットが定義されている場合を想定し、それらを区別するための番号である。
【0023】
セルサーチ装置1の具体的な構成例及び機能について、図2を参照して説明する。図2は、セルサーチ装置1が備えるハードウェア及び該ハードウェアが有する機能を便宜的に表す機能部を示したブロック図である。
【0024】
セルサーチ装置1は、図2に示されるように、RF10、周波数設定部20、GAP制御部30、受信信号バッファ40、PSS検出部50、同期信号選択部60及びSSS検出部70の各機能部を備える。各機能部は、独自のハードウェア構成により機能を実現するものであってもよく、また、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の処理によって機能を実現するものであってもよい。例えば、図2に示される例では、GAP制御部30及び同期信号選択部60は、CPUの処理により実現される機能として示される。尚、該CPU等やその他の機能部に対応するハードウェアは、セルサーチ装置1が独自に備えるものであってもよく、移動局100が有するハードウェアを共用するものであってもよい。
【0025】
RF10は、周波数設定部20により設定される受信帯域に基づいて、基地局200a又は200bから送信される信号を受信する高周波回路である。RF100は、受信した受信信号を受信信号バッファ40に出力する。
【0026】
周波数設定部20は、GAP制御部30により指示されるGAP区間に応じて、RF10が受信信号の受信に用いる受信帯域を、通信中の基地局200aとの通信における受信帯域f1と、基地局200bとの通信における受信帯域f2との間で適宜切り替える。例えば、周波数設定部20は、GAP区間の開始時には受信帯域をf1からf2に変更し、GAP区間の終了時には受信帯域をf2からf1に変更する。尚、後述するように受信帯域の切り替えには所定の時間がかかり、切り替え中には、受信帯域がf1とf2との間の過渡状態となる。受信帯域の切替の様子については、図5を参照して後述する。
【0027】
GAP制御部30は、移動局100が受信した基地局200aにより送信される信号からGAP区間情報を取得して、周波数設定部20及び受信バッファ40に通知する。
【0028】
受信信号バッファ40は、RF10より入力される受信信号をバッファリングした上で、GAP制御部30より通知されるGAP区間に基づいて、PSS検出部50及びSSS検出部70に出力するバッファメモリである。例えば、受信信号バッファ40は、GAP制御部30より通知されるGAP区間のタイミングに応じて、GAP区間に受信した信号のみを保持してもよい。
【0029】
PSS検出部50は、PSSの時間領域波形と受信信号の時間相関に基づいてPSSの受信タイミングTPSSを検出する。図3は、PSS検出部50の構成を示すブロック図である。上述の処理を実施するために、PSS検出部50は、時間相関演算部51と、ピーク検出部52とを備える。
【0030】
尚、図1に示した例とは異なり、移動局100が基地局200aと通信中に他の複数のセルからの受信信号を受信することで、受信信号が混在する場合には、PSS検出部50は、セル毎に受信タイミングT1を検出し、以降のセルサーチ動作を各セルについて個別実行してもよい。
【0031】
同期信号選択部60は、検出された受信タイミングT1に基づいて、セルIDの検出に用いる同期信号PSS及びSSSを選択する。言い換えれば、同期信号選択部60は、同期信号PSSを用いて、SSS検出部70の処理のために用いる信号SSSの受信タイミングを決定する。より詳細な同期信号選択部60の動作については後述する。
【0032】
SSS検出部70は、同期信号選択部60により選択された同期信号PSS及びSSSを用いて基地局200bのセルIDを検出する。図4は、SSS検出部70の構成を示すブロック図である。上述の処理を実施するために、SSS検出部70は、FFT部71a、71bと、チャネル推定部72と、等価部73と、複数の相関演算部74と、セルID判定部75とを備える。
【0033】
FFT部71a及び72bは、同期信号選択部60の選択した同期信号PSS及びSSSのシンボル位置に対してFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を行い、サブキャリア信号を生成する。FFT部71aは、PSSタイミングにおいて受信信号に対してFFTを行い、生成したサブキャリア信号をチャネル推定部72に出力する。
【0034】
チャネル推定部72は、PSSのサブキャリア信号を用いて、PSSのサブキャリアkについてチャネル推定を行なうことで、チャネル推定値h(k)を取得する。チャネル推定値h(k)は、例えば、PSSのサブキャリアkに対する受信サブキャリア信号rPSS(k)と、既知パターンであるPSSのサブキャリアパターンレプリカPPSS(k)を用いて、以下の数式1により示される。
【0035】
【数1】
また、チャネル推定部72は、ノイズの影響を除去するためにサブキャリアkの周辺のサブキャリアで上記式(1)により特定されるチャネル推定値h(k)を重み付け平均化した上でチャネルの推定を行ってもよい。このような場合、チャネルの推定値h(k)は、重み係数をa(l)とすると、以下の数式2により示される。
【0036】
【数2】
FFT部71bは、SSSのシンボル位置において、受信信号に対してFFTを行い、生成したサブキャリア信号を等価部73に出力する。尚、1つのPSSに対して複数のSSSのシンボル位置候補が存在する場合、つまり、受信信号を規定するフレームフォーマットが複数通り(例えば、m通り)あって、PSSとSSSとの夫々のシンボル末尾の間隔ΔT(m)がフレームフォーマットmに応じて複数通り(m通り)存在する場合には、FFT部71bは、夫々のSSSのシンボル位置に対してFFTを行う。
【0037】
等価部73は、チャネル推定部72から出力されたチャネル推定値h(k)を用いて重み係数w(k)を生成する。等価部73は、SSSシンボルに対する受信サブキャリア信号rSSS(k)に生成した重み係数w(k)を乗算することで等価処理を行い等価サブキャリア信号y(k)を生成する。重み係数w(k)の乗算は、以下の数式3を用いて行われる。
【0038】
【数3】
また、重み係数w(k)は、例えば、以下の数式4を参照して生成される。
【0039】
【数4】
尚、重み係数w(k)は、以下の数式5に示されるように、受信サブキャリア信号rSSS(k)の位相だけを補正するように生成されてもよい。
【0040】
【数5】
その他、重み係数w(k)は、雑音電力σ2を用いて、以下の数式6に示されるようにMMSE(minimum mean-square-error:最小二乗誤差)係数を用いるものであってもよく、その他の方法を用いて生成されるものであってよい。
【0041】
【数6】
相関演算部74は、等価サブキャリア信号y(k)について、複数のSSSパターン#n(n=0,1,2,・・・,Nsss−1)に対する相関を演算する。具体的には、以下の数式7に示されるように相関値の電力C(n)を算出する。
【0042】
【数7】
セルID判定部75は、算出された相関値の電力|C(n)|が最大となるnを検出し、該nに基づいてSSS番号(つまり、セルIDを示す情報)を検出する。尚、上述のように複数のフレームフォーマットmに対応してΔT(m)の値が複数通り存在し、各ΔT(m)に対応して対してブラインドでmを判定する場合、上記の相関演算を各mに対して個別に行う。相関演算部74は、このような複数のフレームフォーマットmに対応して個別の相関演算を行えるよう、複数設けられていてよい。相関演算の結果、セルID判定部75は、相関値の電力|C(m,n)|が最大となるm及びnに基づいて、所望のフレームフォーマットm(format #m)と、SSS番号(#n)とを検出する。
【0043】
(2)同期信号選択処理例
図5に基地局200aから送信される信号のGAP区間を用いて、基地局200bに対して異周波セルサーチを行う場合の各基地局からの受信信号の様子を示す。
【0044】
また、基地局200bからの受信信号については、該受信信号に含まれるPSSとSSSとが示される。図5では、基地局200bからの受信信号の一例として、3GPP − LTEシステムのFrame structure type 2における同期信号の送信パターンが示される。Frame structure type 2における同期信号の送信パターンでは、1フレームは10msであって、PSSとSSSとを含む同期信号は、5ms周期で送信されている。LTEシステムでは、フレームを1msの区間に区切ってサブフレームと呼び、各サブフレーム内には、その他のデータや共通パイロットと呼ばれるパイロット信号が配置されて送信される。また、SSSとPSSとの間は3シンボル離れている。
【0045】
尚、LTEシステム等、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式が採用される場合、マルチパスフェージングの影響を避けるため、各シンボルに対して遅延波の遅延時間に応じたガードインターバル、又はサイクリックプレフィックス(CP)が付加される。一方で、CPは、データの復調に寄与しないため、付加することでデータの伝送効率が低下することが考えられる。このため、CP長は、遅延波の遅延時間や送信信号の伝送効率等を考慮して決定されることが好ましい。
【0046】
このようにCPは状況に応じて複数のCP長を取り得るため、フレームフォーマットmも夫々のCP長に応じて複数定義される。このため、上述した同期信号内のPSSとSSSとの間隔が3シンボルであっても、CP長に応じて実際の時間間隔が変化することが考えられる。
【0047】
図5中の点線は、移動局100の受信帯域を切り替える様子を示している。移動局100の受信帯域は、GAP区間に応じて基地局200aの通信帯域f1と基地局200b通信帯域f2との間で切り替えられる。受信帯域の切替時、具体的にはGAP区間の開始後の所定期間と、終了前の所定期間では、移動局100の受信帯域がf1とf2との間で変化する過渡状態となるため、セルサーチの性能が劣化する。
【0048】
図6に、GAP区間と、セルサーチの対象となる基地局200bからの同期信号の受信タイミングとの関係について複数の例を示す。例えば、図6(a)のように、同期信号PSS又はSSSの受信タイミングがこのような過渡状態に係る期間に含まれる場合、同期信号の一部又は全部のシンボルが劣化の大きい領域に含まれる。このため、これらの同期信号を利用してセルサーチを行なう場合、検出性能が劣化する。他方で、図6(b)のように同期信号の受信タイミングが過渡状態に係る期間に含まれない場合、セルサーチ装置1は、同期信号を用いて適切なセルサーチを実行出来る。
【0049】
同期信号選択部60は、検出されたPSSの受信タイミングTPSSとGAP区間の相対的な位置関係とに基づいて、セルIDの判定に用いるPSSとSSSとを選択する。尚、正確には、PSS及びSSSは、夫々信号そのものを示す名称であって、同期信号選択部60は、同期信号PSS及びSSSそのものではなく、夫々の信号の検出に用いる受信信号の時間区間、又は先頭タイミングを選択する。しかしながら、本実施例においては、「PSS又はSSSを選択する」との文言を、同期信号選択部60の動作に関連して、PSS又はSSSの検出に用いる受信信号中のタイミング又はシンボル位置を選択する処理を示す趣旨として記載する。具体的には、所定の周期で送信される同期信号について、どの周期、言い換えれば、シンボル位置のPSS又はSSSを用いてセルサーチを行うかを選択する処理を示す。
【0050】
(2−1)PSSとSSSとの間隔が一通りに決定される場合の同期信号選択方法
図7を参照して、同期信号選択部60による、PSSの受信タイミングTPSSとGAP区間の相対的な位置関係とに基づく、セルIDの判定に用いるPSSとSSSとの選択方法において、PSSとSSSとの間隔ΔTが決定されている場合の動作について説明する。
【0051】
図7は、基地局200aのGAP区間における基地局200bからの同期信号の受信タイミングを示す図である。図7では、GAP区間の先頭タイミングをT0、終了タイミングをT’、基地局200aから送信されるPSS検出タイミングをT1としている。図7に示す例では、同期信号がある所定のフレームフォーマットmに基づいて送信されるため、PSSとSSSとの間隔が一意のΔT(m)に決定される。
【0052】
同期信号選択部60は、SSS検出に用いるPSSシンボルの先頭位置TPSSを決定することで、フレームフォーマットmにおけるSSSシンボルの先頭位置TSSS(m)を決定する。具体的には、TSSS(m)=TPSS−ΔT(m)とする。また、PSSシンボルの先頭位置TPSSは、セルサーチ装置1におけるPSS受信タイミングをT1とすると、TPSS=T1となることが考えられる。
【0053】
しかしながら、上述したようにGAP区間の先頭部分と末尾部分とは、受信帯域切替の過渡状態によるセルサーチ性能の劣化が生じている場合がある。このため、同期信号選択部60は、PSS受信タイミングT1に応じて、以下に示すように、TPSS及びTSSSを選択する。
【0054】
先ず、同期信号選択部60は、図7(a)に示されるように、GAP区間T’−T0を所定の閾値A1、A2、A3、A4を設定して分割する。ここで、各時間は、T0<A1<A2<A3<A4<T’となる。GAP区間において、T0からA1の区間及びA4からT’の区間は、上述した過渡状態の影響によりセルサーチ性能の劣化が大きく、該当区間において検出される同期信号を用いた適切なセルサーチが行えない可能性がある。同期信号選択部60は、PSS受信タイミングT1とA1、A2、A3、A4の各タイミングとを比較して、PSS及びSSSとして用いる信号の検出タイミングを選択する。
【0055】
図7(b)に示されるように、PSS受信タイミングT1がT0からA1の区間である場合(T1−T0<A1)、同期信号選択部60は、PSSシンボルの先頭位置TPSSの候補であるPSSのシンボル位置候補(具体的には、上述したように、PSS検出タイミングT1に一致)及びSSSシンボルの先頭位置TSSS(m)の候補であるSSSのシンボル位置候補(具体的には、上述したように、T1−ΔT(m)に一致)が両方ともGAP区間の先頭部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断する。このとき、同期信号選択部60は、各信号について、T0からA1の区間外のものを用いるように、TPSS=T1+5ms、TSSS(m)=T1−ΔT(m)+5msとする。ここに、5msとは、上述したようにFrame structure type 2における同期信号の送信周期である。つまり、同期信号選択部60は、PSSがT0からA1の区間に検出される場合、PSS及びPSSよりもΔT早い時刻に配置されるSSSが共に劣化の大きい領域に含まれると判断し、次の周期に送信されるPSS及びSSSを用いることで、劣化の少ない同期信号を選択する。
【0056】
図7(c)に示されるように、PSSがA1からA2の区間に検出される場合(A1≦T1−T0<A2)、同期信号選択部60は、PSSについては、T1のシンボル位置において過渡状態に起因する劣化が生じないと判断して、TPSS=T1とする。他方で、同期信号選択部60は、PSSの配置位置よりも前の時刻に配置されるSSSは、GAP区間の先頭部分に近く、過渡状態により劣化が生じる領域に配置される可能性があることから、5ms後の配置の方が劣化が少ないと判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)+5msとする。
【0057】
図7(d)に示されるように、PSSがA2からA3の区間に検出される場合(A2≦T1−T0<A3)、同期信号選択部60は、PSSについては、T1のシンボル位置において過渡状態に起因する劣化が生じないと判断して、TPSS=T1とする。また、SSSについても、過渡状態による劣化が生じないと判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)とする。
【0058】
図7(e)に示されるように、PSSがA3からA4の区間に検出される場合(A3≦T1−T0<A4)、同期信号選択部60は、PSSについては、T1のシンボル位置ではGAP区間末尾に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、PSSの受信タイミングを1周期前の位置、つまりTPSS=T1−5msとする。他方で、PSSの配置位置よりも前の時刻に配置されるSSSは、過渡状態による劣化の影響がないと判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)とする。
【0059】
図7(f)に示されるように、PSSがA4からT’の区間に検出される場合(A4≦T1−T0<T’)、同期信号選択部60は、PSSについては、T1のシンボル位置ではGAP区間の末尾に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、PSSの受信タイミングをTPSS=T1−5msとする。また、PSSの配置位置よりもΔT前の時刻に配置されるSSSについても、過渡状態による劣化の影響が生じ得ると判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)−5msとする。
【0060】
尚、A1、A2、A3、A4の各閾値については、移動局100における受信帯域切替に要する時間等を考慮して設定されるものである。特にRF部品の個体差についても考慮する必要がある場合には、装置毎に個別に最適化した値が設定されることが好ましい。例えば、A1、A2、A3、A4の各閾値には、GAP区間内で、受信帯域切替の過渡状態によるセルサーチ性能の劣化が生じている可能性がある区間とそれ以外の区間とを区別することができるように適切な値が設定されてもよい。また、図7は、4つの閾値A1、A2、A3、A4を用いてGAP区間を5つに分割する例を示している。しかしながら、任意の数の閾値を用いてGAP区間を任意の数に分割してもよい。但し、GAP区間内で、受信帯域切替の過渡状態によるセルサーチ性能の劣化が生じている可能性がある区間とそれ以外の区間とを区別するという観点からは、少なくとも2つの閾値を用いてGAP区間を少なくとも3つに分割することが好ましい。
【0061】
(2−2)PSSとSSSとの間隔が複数通り設定される場合の同期信号選択方法
PSSとSSSとの間隔ΔTについて、複数通りのフレームフォーマット(例えば、m通り)に対応して、複数のΔT(例えば、m個)が設定される場合、同期信号選択部60は、ΔT(m)についても考慮した上で、PSS及びSSSの検出タイミングを選択する。
【0062】
図8は、PSSとSSSとの間隔ΔT(m)が複数通り設定される場合において、PSSの受信タイミングT1と閾値との関係に基づいて同期信号の選択を行う様子を示す図である。
【0063】
同期信号選択部60は、図8(a)に示されるように、T0からT’のGAP区間の先頭部分及び末尾部分であって、過渡状態による劣化が生じると判断される領域を区別する閾値A1PSS、A2PSSを設定する。つまり、T0からA1PSSの区間及びA2PSSからT’の区間は、同期信号選択部60が過渡状態による劣化が生じると判断した領域である。
【0064】
同期信号選択部60は、図8(a)に示されるように、PSSがT0からA1PSSの区間に検出される場合(T1−T0<A1PSS)、T1のシンボル位置がGAP区間の先頭部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、TPSS=T1+5msとする。
【0065】
図8(b)に示されるように、PSSがA1PSSからA2PSSの区間に検出される場合(A1PSS≦T1−T0<A2PSS)、T1のシンボル位置において過渡状態に起因する劣化が生じないと判断して、TPSS=T1とする。
【0066】
図8(c)に示されるように、PSSがA2PSSからT’の区間に検出される場合(A2PSS≦T1−T0<T’)、T1のシンボル位置がGAP区間の末尾部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、TPSS=T1−5msとする。
【0067】
また、同期信号選択部60は、図8(d)に示されるように、PSSの受信タイミングT1に応じてSSSのタイミングTSSS(m)を選択するための閾値A1SSS(m)、A2SSS(m)をフレームフォーマットm毎に設定する。
【0068】
ここに、閾値A1SSS(m)、A2SSS(m)は、夫々T1に係る閾値であって、PSSの受信タイミングT1から特定されるSSSの受信タイミングT1−ΔT(m)について、過渡状態による劣化が生じると判断される領域を区別するための閾値である。つまり、フレームフォーマットmの同期信号について、T0からA1SSS(m)の区間及びA2SSS(m)からT’の区間においてT1が受信される場合、特定されるSSSの受信タイミングT1−ΔT(m)が過渡状態による劣化が生じる領域に含まれる。尚、SSSの候補となる受信信号上のタイミングは、PSSの受信タイミングより早いため、A1PSS<A1SSSであり、且つA2PSS<A2SSS(m)である。
【0069】
同期信号選択部60は、図8(d)に示されるように、PSSがT0からA1SSSの区間に検出される場合(T1−T0<A1SSS(m))、SSSの候補となるT1−ΔT(m)のシンボル位置がGAP区間の先頭部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)+5msとする。
【0070】
図8(e)に示されるように、PSSがA1SSS(m)からA2SSS(m)の区間に検出される場合(A1SSS(m)≦T1−T0<A2SSS(m))、T1−ΔT(m)のシンボル位置において過渡状態に起因する劣化が生じないと判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)とする。
【0071】
図8(f)に示されるように、PSSがA2SSSからT’の区間に検出される場合(A2SSS(m)≦T1−T0<T’)、T1−ΔT(m)のシンボル位置がGAP区間の末尾部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)−5msとする。
【0072】
尚、同期信号選択部60は、閾値A1SSS(m)、A2SSS(m)をフレームフォーマットm毎に設定し、実際の受信信号のフレームフォーマットmに応じて、適用する閾値を選択する。
【0073】
上述したTSSSの選択方法では、同期信号選択部60は、フレームフォーマットm毎に閾値A1SSS(m)、A2SSS(m)を設定して、夫々をPSSのシンボル位置候補となるT1と比較している。他方で、同期信号選択部60は、PSSのシンボル位置候補の代わりに、SSSのシンボル位置候補を設定して、閾値との比較からSSSのシンボル位置を選択してもよい。
【0074】
例えば、同期信号選択部60は、フレームフォーマットm毎に仮のSSSのシンボル位置Ttmp(m)を設定する。また、フレームフォーマットmに依存しない共通の閾値A1SSS及びA2SSSを設定し、このTtmp(m)を、各閾値と比較することでSSSのシンボル位置TSSSを選択する。この態様では、閾値についてフレームフォーマット毎に個別に設定しなくともよくなり、より簡易にTSSSを選択可能となる。
【0075】
具体的には、同期信号選択部60は、フレームフォーマットm毎に仮のSSSのシンボル位置として、Ttmp(m)=T1−ΔT(m)を設定する。ΔT(m)はフレームフォーマットmに応じたCP長等を考慮したPSSとSSSとの間の時間長を示すものである。同期信号選択部60は、複数のフレームフォーマットmに対応して適切なΔT(m)を選択出来るよう、予めメモリ等に各種データを保持していてもよい。
【0076】
図9(a)に示されるように、同期信号選択部60は、SSSのシンボル位置候補であるTtmp(m)がT0からA1SSSの区間に検出される場合(T1−T0<Ttmp(m))、Ttmp(m)のシンボル位置がGAP区間の先頭部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、TSSS=Ttmp(m)+5msとする。
【0077】
図9(b)に示されるように、SSSのシンボル位置候補であるTtmp(m)がA1SSSからA2SSSの区間に検出される場合(A1SSS≦T1−T0<A2SSS)、Ttmp(m)のシンボル位置において過渡状態に起因する劣化が生じないと判断して、TSSS=Ttmp(m)とする。
【0078】
図9(c)に示されるように、SSSのシンボル位置候補であるTtmp(m)がA2SSSからT’の区間に検出される場合(A2SSS≦T1−T0<T’)、Ttmp(m)のシンボル位置がGAP区間の末尾部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、TSSS=Ttmp(m)−5msとする。
【0079】
セルサーチ性能への影響が時間変化するフェージング等を考慮する場合、フレームフォーマットmに対応してΔT(m)の値が変化することで、セルサーチ性能が変化することが考えられる。このような場合には、SSSの検出処理に用いるシンボルの選択時に各フレームフォーマットmに対して個別の閾値A1SSS(m)、A2SSS(m)を用いることで、各フレームフォーマットmに対して、セルサーチ性能を好適に調整できる。他方で、実際のフレームフォーマットでは、夫々に対応するΔT(m)の値の差は、それほど大きいものではないため、共通の閾値A1SSS、A2SSSを用いる場合でも性能に大きな低下はないと言える。
【0080】
(2−3)同期信号検出タイミングを予め限定する場合の同期信号選択方法
上述の例では、PSS検出部50は、GAP区間内の任意のタイミングでPSSを検出し、検出タイミングT1に応じてセルサーチに用いるPSS及びSSSの選択を行っている例について説明した。しかしながら、例えば、上述したT0からA1PSSの区間及びA2PSSからT’の区間において検出されるPSSは、過渡状態の影響を受けると判断されるため、このような区間のシンボルについてはセルサーチに用いるものとしては選択されない。
【0081】
そこで、同期信号の好適な選択のために、予めPSS検出タイミングを限定した上で、T1の検出を行ってもよい。具体的には、図10に示すように、この態様のセルサーチ装置1では、受信信号バッファ40が保持する受信信号の区間、又はPSS検出部50のピーク検出部52のピーク検出区間が予めA1PSSからA2PSSの区間に限定される。従って、PSSの検出タイミングT1は、常にA1PSS≦T1<A2PSSとなる。
【0082】
上述のように、この区間においてはT1のシンボル位置に対する過渡状態の影響はないと判断されるため、同期信号選択部60は、TPSS=T1とする。
【0083】
他方、同期信号選択部60は、TSSSを上述のようにTtmp(m)と、A1SSS及びA2SSSとの比較から選択する。T1の検出位置によっては、A1PSS≦T1<A2PSSが成立していても、SSSのシンボル位置候補となるTtmp(m)=T1−ΔT(m)が過渡状態の影響を受ける位置に配置される可能性があるからである。
【0084】
(3)変形例
図を参照して、開示のセルサーチ装置の変形例であるセルサーチ装置1’について説明する。
【0085】
上述した構成例では、PSSの検出タイミングT1とGAP区間先頭タイミングT0の関係に基づいてセルサーチに用いるシンボル位置を選択している。このため、例えば、TPSS=T1であるのに対して、TSSSについて、T1から最も近いT1−ΔTのシンボル位置でなく、T1−ΔT−5ms又はT1−ΔT+5msが選択される場合がある。このとき、従来用いられるT1から最も近いT1−ΔTと比較して、よりPSSの検出タイミングから離れたタイミングのSSSを用いてチャネル等価を行うことになる。このような場合には、タイミングの差が広がることにより、フェージングの影響がより顕著に表れることになり、セルサーチ性能が劣化することが考えられる。そこで、GAP区間の先頭部分及び末尾部分等、受信帯域切替の過渡状態による性能劣化と、このようなフェージングによる性能劣化とのトレードオフを考慮して、セルサーチに用いるシンボル位置を選択することにより、より高精度にセルサーチ性能を実現することが出来る。
【0086】
開示のセルサーチ装置の変形例では、従来知られている技術等を用いて、時間的なチャネル変動の大きさを推定し、推定結果を考慮した上で上述したPSS及びSSSの選択の態様を調整することで、より高精度なセルサーチを実現可能なシンボル位置を選択する。
【0087】
図11は、セルサーチ装置1’が備えるハードウェア及び該ハードウェアが有する機能を便宜的に表す機能部を示したブロック図である。図11に示されるように、セルサーチ装置1’は、セルサーチ装置1の構成に加えて、チャネル変動推定部80を備える。チャネル変動推定部80は、例えば、GAP区間以外の区間において、既に検出済みのセルの共通パイロットの入力を受け、該共通パイロットに対してチャネル推定を行なう。このとき、チャネル変動推定部80は、サブフレーム毎にチャネル推定を行い、算出されるチャネル推定値からチャネル変動の時間的な相関を計算する。算出された時間的な相関に対して、所定の閾値を設定し、チャネル変動の大小を複数の段階に分けて判別したものをチャネル変動の推定結果として、同期信号選択部60に出力する。同期信号選択部60は、チャネル変動の推定結果に基づいて、上述したPSS及びSSSの選択に係る閾値A1、A2等を選択する。
【0088】
図12は、チャネル変動推定部80の構成を示すブロック図である。上述の処理を実施するために、チャネル変動推定部80は、FFT部81と、パイロット抽出部82と、チャネル推定部83と、変動推定部84とを備える。
【0089】
FFT部81は、入力される受信信号に対してFFTを行い、生成したサブキャリア信号をパイロット抽出部82に出力する。
【0090】
パイロット抽出部82は、受信信号から既に検出済みのセルの各サブフレームの先頭シンボルに配置されるパイロットのサブキャリア成分を抽出する。
【0091】
チャネル推定部83は、セルサーチ対象の基地局200bのサブフレーム#nの先頭シンボルに配置されるパイロットパターンをキャンセルして、チャネル推定値を算出する。サブフレーム#nにおける共通パイロットのサブキャリアkに対するチャネル推定値h(n,k)は、例えば、共通パイロットの受信サブキャリア信号rPilot(n,k)と、既知パターンである共通パイロットのサブキャリアパターンレプリカPPilot(k)を用いて、以下の数式8のように算出される。
【0092】
【数8】
チャネル推定値h(n,k)について、kの周辺のパイロットサブキャリアで平均化してもよい。チャネル推定部83は、このように算出された周波数軸上でk番目のパイロットについてのチャネル推定値h(n,k)を複数のkについて算出し、サブフレーム間の時間相関値を算出する。時間相関値Ctは、以下の数式9に示されるように算出される。
【0093】
【数9】
変動推定部84は、このように算出される時間相関値Ctを、予め設定した閾値と比較することで、チャネル変動の大きさの判別を行う。例えば、変動推定部84は、閾値B(x)について、x=0乃至Nmaxのように複数通り設定する。ここで、B(0)=0≦B(1)≦B(2)≦・・・≦B(Nmax)とする。変動推定部84は、時間相関値Ctと閾値とを比較し、例えば、B(Nmax)≦Ctの場合は、Δh=Nmaxとし、Ct<B(Nmax)の場合、B(n)≦Ct<B(n+1)に対して、Δh=nとするように同期信号選択部60において用いる閾値の決定に係る要素Δhを設定する。
【0094】
同期信号選択部60は、このようにして推定されたチャネル変動の大きさに応じて、SSSのシンボル位置を検出するための閾値を調整する。例えば、閾値A1SSS(m)、A2SSS(m)を夫々A1SSS(Δh、m)、A2SSS(Δh、m)として、チャネル変動の大きさΔh毎に係数を変える。
【0095】
チャネル変動推定部80は、時間方向のチャネル変動の大きさを推定する。前述の様に、チャネル変動の大きさを推定する方法は、従来用いられる様々な技術を流用することが可能であり本発明の要点ではないため、詳細な説明を省略する。
【0096】
以上、説明したように、変形例に係るセルサーチ装置1’の同期信号選択部60は、時間に対するチャネル変動が大きい場合のセルサーチ性能の劣化と、GAP区間の先頭部分及び末尾部分での過渡状態によるセルサーチ性能の劣化とのトレードオフを考慮した上で、同期信号の選択動作を変更する。このため、状況に応じてより高精度なセルサーチを実現可能な同期信号の選択が可能となる。
【0097】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うセルサーチ装置及び方法、並びに移動局もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0098】
以上、本明細書で説明した実施形態について、以下の付記を更に記載する。
(付記1)
所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において前記所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて前記一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行うセルサーチ装置であって、
前記特定の時間区間において、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信部と、
前記第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出部と、
前記特定の時間区間内における前記第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択部と、
決定される前記受信タイミングに基づいて取得した前記他のセルの特定に用いる特定信号を用いて前記他のセルの特定を行う第2検出部と
を備えることを特徴とするセルサーチ装置。
(付記2)
前記受信部は、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第2の同期信号を更に含む前記信号を受信し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び前記特定の時間区間の相対的な関係に基づいて、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、前記特定の時間区間において受信する受信信号のうち、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方と、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとして決定することを特徴とする付記1に記載のセルサーチ装置。
(付記3)
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングが、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間に含まれる場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングと、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとなるように決定し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングが、前記過渡期間に含まれない場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミングと、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとなるように決定することを特徴とする付記2に記載のセルサーチ装置。
(付記4)
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングが、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間に含まれる場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方と、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングとの組み合わせとなるように決定し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングが、前記過渡期間に含まれない場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方と、(ii)前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとなるように決定することを特徴とする付記2又は3に記載のセルサーチ装置。
(付記5)
検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングは、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを、当該第1の同期信号の送信周期に応じた期間だけ進ませる又は遅らせることで得られるタイミングであり、
検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングは、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングを、当該第2の同期信号の送信周期に応じた期間だけ進ませる又は遅らせることで得られるタイミングであることを特徴とする付記2から4のいずれか一項に記載のセルサーチ装置。
(付記6)
前記受信部は、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第2の同期信号を更に含む前記信号を受信し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び前記特定の時間区間の相対的な関係に基づいて、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、前記特定の時間区間において受信する受信信号のうち、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方として決定することを特徴とする付記1に記載のセルサーチ装置。
(付記7)
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングが、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間に含まれる場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングとなるように決定し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングが、前記過渡期間に含まれない場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングとなるように決定することを特徴とする付記6に記載のセルサーチ装置。
(付記8)
検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングは、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングを、当該第2の同期信号の送信周期に応じた期間だけ進ませる又は遅らせることで得られるタイミングであることを特徴とする付記6又は7に記載のセルサーチ装置。
(付記9)
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び前記特定の時間区間の相対的な関係に基づいて、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、前記特定の時間区間において受信する受信信号のうち、前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号の受信タイミング及び前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方として決定することを特徴とする付記1又は2に記載のセルサーチ装置。
(付記10)
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングが、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間に含まれる場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングとなるように決定し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングが、前記過渡期間に含まれない場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングとなるように決定することを特徴とする付記9に記載のセルサーチ装置。
(付記11)
検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングは、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを、当該第1の同期信号の送信周期に応じた期間だけ進ませる又は遅らせることで得られるタイミングであることを特徴とする付記9又は10に記載のセルサーチ装置。
(付記12)
前記同期信号選択部は、前記特定の時間区間を複数の区間に分割する複数の閾値を設定し、前記複数の閾値と、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングとを比較することで、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定することを特徴とする付記1から11のいずれか一項に記載のセルサーチ装置。
(付記13)
前記同期信号選択部は、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間と当該過渡期間以外の他の期間とを区別することができるように、前記特定の時間区間を前記複数の区間に分割する前記複数の閾値を設定することを特徴とする付記12に記載のセルサーチ装置。
(付記14)
前記受信部は、相異なる複数のフレームフォーマットで送信される前記受信信号を受信し、
前記同期信号選択部は、前記フレームフォーマットに応じて、前記複数の閾値を設定することを特徴とする付記12又は13に記載のセルサーチ装置。
(付記15)
前記信号の時系列的なチャネル変動を推定するチャネル変動推定部を更に備え、
前記同期信号選択部は、推定される前記チャネル変動に応じて、前記複数の閾値を設定することを特徴とする付記12から14のいずれか一項に記載のセルサーチ装置。
(付記16)
所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において前記所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて前記一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行うセルサーチ方法であって、
前記特定の時間区間において、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信工程と、
前記第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出工程と、
前記特定の時間区間内における前記第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択工程と、
決定される前記受信タイミングに基づいて取得した前記他のセルの特定に用いる特定信号を用いて前記他のセルの特定を行う第2検出工程と
を備えることを特徴とするセルサーチ方法。
(付記17)
所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において前記所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて前記一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行うセルサーチ装置を備える移動局であって、
前記セルサーチ装置は、
前記特定の時間区間において、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信部と、
前記第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出部と、
前記特定の時間区間内における前記第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択部と、
決定される前記受信タイミングに基づいて取得した前記他のセルの特定に用いる特定信号を用いて前記他のセルの特定を行う第2検出部と
を備えることを特徴とする移動局。
【符号の説明】
【0099】
1 セルサーチ装置
10 RF、
20 周波数設定部、
30 GAP制御部、
40 受信信号バッファ、
50 PSS検出部、
60 同期信号選択部、
70 SSS検出部、
80 チャネル変動推定部、
100 移動局
200a、200b 基地局。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行う移動局等において、通信先の基地局等のセルサーチを行うセルサーチ装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
セルサーチ装置に係る技術として、移動局が通信中の基地局の周波数帯域とは異なる帯域の基地局についてセルサーチや受信電力の測定などを行なう場合に、通信中の基地局によって設定されるMeasurement Gapと呼ばれる所定の時間区間を用いた異周波セルサーチが知られている。
【0003】
Measurement Gapとは、通信中の基地局によって設定され、基地局から移動局へのデータ送信が停止する、いわゆる無送信区間とされる区間である。Measurement Gapにおいて、移動局は、受信周波数帯域(以下、単に受信帯域と記載する)を通信中の基地局の通信周波数帯域(以下、単に通信帯域と記載する)から、セルサーチを行う他の基地局の通信帯域に変更して、セルサーチを行い、該他の基地局から送信されるSCH(Synchronization Channel:同期チャネル)のデータを検出する。
【0004】
SCHは、下り方向の共通チャネルであって、P−SCH(Primary Synchronization Channel)とS−SCH(Secondary Synchronization Channel)とを含む。例えば、後述する先行技術文献では、LTE(Long Term Evolution)等の通信システムにおけるP−SCH及びS−SCHについて説明されている。
【0005】
例えば、LTEシステムのFrame structure type 2においては、P−SCHにおける同期信号PSS(Primary Synchronization Signal)は、全セル共通の系列を含む。この系列のデータは、移動局において、セルサーチ時のタイミング同期に用いられる。また、S−SCHにおける同期信号SSS(Secondary Synchronization Signal)は、セル番号やスクランブリングコード情報等の各セル固有の送信パラメータを含む。移動局は、基地局との通信を開始するに当たって、PSSを受信することによりタイミングの同期を行い、該同期タイミングに基づいてSSSを受信することによりセル毎に異なる送信パラメータを取得する。具体的には、PSSとSSSは、システム毎のフレーム構造や送信フォーマットに応じた所定のシンボル数離隔した共通の周期において送信されるため、移動局はPSSを受信することで、SSSを受信するための同期が可能となる。これにより移動局は、基地局との通信を開始することが出来る。
【0006】
下記に示す先行技術文献には、PSSから取得した受信タイミングを用いてSSSの複数候補に対する相関演算を行ってセル固有の番号を検出する方法や、PSSから取得したチャネル推定値を用いてS−SCHのチャネル補償を行なう方法について説明されている。
【0007】
このようなチャネル推定やチャネル補償では、移動局は、正確にS−SCHのチャネル状態を推定することで、セルサーチ性能を向上させることが出来る。このため、フェージング等の影響により、時間に応じてチャネル状態が変化する場合、周期的に送信されるPSSのうち、検出処理の対象としたSSSにより近いものを用いてチャネル推定を行う事が望ましいとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−89185
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】3GPP TS36.211 v8.9.0
【非特許文献2】3GPP TS36.133 v8.10.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した異周波セルサーチを行うために、移動局は、Measurement Gapにおいて、受信帯域を通信中の基地局の通信帯域からセルサーチを行う基地局の通信帯域に切り替えてSCHデータを検出し、その後再び、受信帯域を通信中の基地局の通信帯域に切り替える必要がある。このとき、Measurement Gapの先頭及び末尾等、受信帯域を変更する期間においては、移動局が帯域切替の過渡状態となり、信号の受信レベルが劣化する可能性がある。
【0011】
基地局において設定されるMeasurement Gapと、異周波セルサーチのためのSCHデータの送信タイミングとの関係によっては、このようなMeasurement Gapの先頭や末尾近傍の期間に移動局がSCHデータを受信する可能性がある。このとき、帯域切替の過渡状態の影響で移動局でのセルサーチ性能が劣化するという技術的な問題が考えられる。
【0012】
この様な帯域切替時間や切替後の帯域の安定度は、移動局におけるRF性能に依存する場合が多く、高い性能を実現するためには、高価な部品を利用することによるコスト増加や、複雑な処理を利用することによる消費電力の増加等のデメリットが生じることがある。
【0013】
本発明は、上述した技術的な問題点に鑑み、比較的簡単な処理で異周波セルサーチを可能とするセルサーチ装置及び方法並びに移動局を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、開示のセルサーチ装置は、所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行う移動局におけるセルサーチ装置である。セルサーチ装置は、受信部と、第1検出部と、同期信号選択部と、第2検出部とを備える。
【0015】
受信部は、特定の時間区間において、他のセルの特定に用いる信号の候補となる第1の同期信号を含む信号を受信する。第1検出部は、第1の同期信号の受信タイミングを検出する。同期信号選択部は、特定の時間区間内における第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、信号に含まれる他のセルの特定に用いる信号の受信タイミングを決定する。第2検出部は、決定される受信タイミングに基づいて取得した他のセルの特定に用いる信号を用いて他のセルの特定を行う。
【発明の効果】
【0016】
上述の構成によれば、異周波セルサーチを行う移動局において、特定の時間区間の先頭及び末尾において受信周波数を切り替える際の過渡状態によるセルサーチ性能の劣化を回避し、適切なセルサーチが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】セルサーチ装置を有する移動局と、基地局とを含む無線通信ネットワークを示す図である。
【図2】セルサーチ装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】PSS検出部の構成を示すブロック図である。
【図4】SSS検出部の構成を示すブロック図である。
【図5】Measurement Gapを用いた異周波セルサーチの態様を示す図である。
【図6】Measurement Gapにおける受信信号内の同期信号を示す図である。
【図7】同期信号の選択の様子を示す図である。
【図8】同期信号の選択の様子を示す図である。
【図9】同期信号の選択の様子を示す図である。
【図10】同期信号の選択の様子を示す図である。
【図11】セルサーチ装置の変形例を示すブロック図である。
【図12】チャネル変動推定部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0019】
(1)構成例
図を参照して、開示のセルサーチ装置の構成例について説明する。図1は、開示のセルサーチ装置の構成例であるセルサーチ装置1を有する移動局100と、基地局200a、200bとを含む無線通信ネットワークを示す図である。
【0020】
図1に示されるように、セルサーチ装置1は、基地局200a又は200bとの間で無線通信が可能な移動局100の内部に備えられる。移動局100と基地局200a、200bとは、例えば3GPP − LTE(Third Generation Partnership Project - Long Term Evolution)等の通信システムを用いて、互いに無線通信が可能である。図1に示される例では、基地局200a、200bの夫々が配下のサービスエリアに電波を送信することでセルを形成し、移動局100が基地局200aのセル内に在圏して基地局200aと通信している。基地局200a、200bは、不図示のゲートウェイ等の上位装置を介してコアネットワークに接続される。
【0021】
ここでは、移動局100が通信中の基地局200aとは異なる通信帯域を有する基地局200bに対してハンドオーバを行う場合等、基地局200bに対してMeasurement Gap区間(以降、GAP区間と記載する)を用いた異周波セルサーチを行う場合の処理について説明する。
【0022】
セルサーチ装置1は、GAP区間において、基地局200bから送信される2種類の同期信号PSS及びSSSを参照して、基地局200bを特定するセルID等の情報の検出を行う。例えば、3GPP − LTE等の無線通信システムでは、PSSとして用いられる同期信号には3種類の候補があるが、以下に示す例では説明を単純化するためにPSSの候補は1種類としている。SSSは、基地局のセルIDに対応してNsss個の候補がある。またSSSとPSSのシンボル末尾の位置は、ΔT(m)だけ離れているとする。ここで番号mは、フレームフォーマットとして複数のフォーマットが定義されている場合を想定し、それらを区別するための番号である。
【0023】
セルサーチ装置1の具体的な構成例及び機能について、図2を参照して説明する。図2は、セルサーチ装置1が備えるハードウェア及び該ハードウェアが有する機能を便宜的に表す機能部を示したブロック図である。
【0024】
セルサーチ装置1は、図2に示されるように、RF10、周波数設定部20、GAP制御部30、受信信号バッファ40、PSS検出部50、同期信号選択部60及びSSS検出部70の各機能部を備える。各機能部は、独自のハードウェア構成により機能を実現するものであってもよく、また、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の処理によって機能を実現するものであってもよい。例えば、図2に示される例では、GAP制御部30及び同期信号選択部60は、CPUの処理により実現される機能として示される。尚、該CPU等やその他の機能部に対応するハードウェアは、セルサーチ装置1が独自に備えるものであってもよく、移動局100が有するハードウェアを共用するものであってもよい。
【0025】
RF10は、周波数設定部20により設定される受信帯域に基づいて、基地局200a又は200bから送信される信号を受信する高周波回路である。RF100は、受信した受信信号を受信信号バッファ40に出力する。
【0026】
周波数設定部20は、GAP制御部30により指示されるGAP区間に応じて、RF10が受信信号の受信に用いる受信帯域を、通信中の基地局200aとの通信における受信帯域f1と、基地局200bとの通信における受信帯域f2との間で適宜切り替える。例えば、周波数設定部20は、GAP区間の開始時には受信帯域をf1からf2に変更し、GAP区間の終了時には受信帯域をf2からf1に変更する。尚、後述するように受信帯域の切り替えには所定の時間がかかり、切り替え中には、受信帯域がf1とf2との間の過渡状態となる。受信帯域の切替の様子については、図5を参照して後述する。
【0027】
GAP制御部30は、移動局100が受信した基地局200aにより送信される信号からGAP区間情報を取得して、周波数設定部20及び受信バッファ40に通知する。
【0028】
受信信号バッファ40は、RF10より入力される受信信号をバッファリングした上で、GAP制御部30より通知されるGAP区間に基づいて、PSS検出部50及びSSS検出部70に出力するバッファメモリである。例えば、受信信号バッファ40は、GAP制御部30より通知されるGAP区間のタイミングに応じて、GAP区間に受信した信号のみを保持してもよい。
【0029】
PSS検出部50は、PSSの時間領域波形と受信信号の時間相関に基づいてPSSの受信タイミングTPSSを検出する。図3は、PSS検出部50の構成を示すブロック図である。上述の処理を実施するために、PSS検出部50は、時間相関演算部51と、ピーク検出部52とを備える。
【0030】
尚、図1に示した例とは異なり、移動局100が基地局200aと通信中に他の複数のセルからの受信信号を受信することで、受信信号が混在する場合には、PSS検出部50は、セル毎に受信タイミングT1を検出し、以降のセルサーチ動作を各セルについて個別実行してもよい。
【0031】
同期信号選択部60は、検出された受信タイミングT1に基づいて、セルIDの検出に用いる同期信号PSS及びSSSを選択する。言い換えれば、同期信号選択部60は、同期信号PSSを用いて、SSS検出部70の処理のために用いる信号SSSの受信タイミングを決定する。より詳細な同期信号選択部60の動作については後述する。
【0032】
SSS検出部70は、同期信号選択部60により選択された同期信号PSS及びSSSを用いて基地局200bのセルIDを検出する。図4は、SSS検出部70の構成を示すブロック図である。上述の処理を実施するために、SSS検出部70は、FFT部71a、71bと、チャネル推定部72と、等価部73と、複数の相関演算部74と、セルID判定部75とを備える。
【0033】
FFT部71a及び72bは、同期信号選択部60の選択した同期信号PSS及びSSSのシンボル位置に対してFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を行い、サブキャリア信号を生成する。FFT部71aは、PSSタイミングにおいて受信信号に対してFFTを行い、生成したサブキャリア信号をチャネル推定部72に出力する。
【0034】
チャネル推定部72は、PSSのサブキャリア信号を用いて、PSSのサブキャリアkについてチャネル推定を行なうことで、チャネル推定値h(k)を取得する。チャネル推定値h(k)は、例えば、PSSのサブキャリアkに対する受信サブキャリア信号rPSS(k)と、既知パターンであるPSSのサブキャリアパターンレプリカPPSS(k)を用いて、以下の数式1により示される。
【0035】
【数1】
また、チャネル推定部72は、ノイズの影響を除去するためにサブキャリアkの周辺のサブキャリアで上記式(1)により特定されるチャネル推定値h(k)を重み付け平均化した上でチャネルの推定を行ってもよい。このような場合、チャネルの推定値h(k)は、重み係数をa(l)とすると、以下の数式2により示される。
【0036】
【数2】
FFT部71bは、SSSのシンボル位置において、受信信号に対してFFTを行い、生成したサブキャリア信号を等価部73に出力する。尚、1つのPSSに対して複数のSSSのシンボル位置候補が存在する場合、つまり、受信信号を規定するフレームフォーマットが複数通り(例えば、m通り)あって、PSSとSSSとの夫々のシンボル末尾の間隔ΔT(m)がフレームフォーマットmに応じて複数通り(m通り)存在する場合には、FFT部71bは、夫々のSSSのシンボル位置に対してFFTを行う。
【0037】
等価部73は、チャネル推定部72から出力されたチャネル推定値h(k)を用いて重み係数w(k)を生成する。等価部73は、SSSシンボルに対する受信サブキャリア信号rSSS(k)に生成した重み係数w(k)を乗算することで等価処理を行い等価サブキャリア信号y(k)を生成する。重み係数w(k)の乗算は、以下の数式3を用いて行われる。
【0038】
【数3】
また、重み係数w(k)は、例えば、以下の数式4を参照して生成される。
【0039】
【数4】
尚、重み係数w(k)は、以下の数式5に示されるように、受信サブキャリア信号rSSS(k)の位相だけを補正するように生成されてもよい。
【0040】
【数5】
その他、重み係数w(k)は、雑音電力σ2を用いて、以下の数式6に示されるようにMMSE(minimum mean-square-error:最小二乗誤差)係数を用いるものであってもよく、その他の方法を用いて生成されるものであってよい。
【0041】
【数6】
相関演算部74は、等価サブキャリア信号y(k)について、複数のSSSパターン#n(n=0,1,2,・・・,Nsss−1)に対する相関を演算する。具体的には、以下の数式7に示されるように相関値の電力C(n)を算出する。
【0042】
【数7】
セルID判定部75は、算出された相関値の電力|C(n)|が最大となるnを検出し、該nに基づいてSSS番号(つまり、セルIDを示す情報)を検出する。尚、上述のように複数のフレームフォーマットmに対応してΔT(m)の値が複数通り存在し、各ΔT(m)に対応して対してブラインドでmを判定する場合、上記の相関演算を各mに対して個別に行う。相関演算部74は、このような複数のフレームフォーマットmに対応して個別の相関演算を行えるよう、複数設けられていてよい。相関演算の結果、セルID判定部75は、相関値の電力|C(m,n)|が最大となるm及びnに基づいて、所望のフレームフォーマットm(format #m)と、SSS番号(#n)とを検出する。
【0043】
(2)同期信号選択処理例
図5に基地局200aから送信される信号のGAP区間を用いて、基地局200bに対して異周波セルサーチを行う場合の各基地局からの受信信号の様子を示す。
【0044】
また、基地局200bからの受信信号については、該受信信号に含まれるPSSとSSSとが示される。図5では、基地局200bからの受信信号の一例として、3GPP − LTEシステムのFrame structure type 2における同期信号の送信パターンが示される。Frame structure type 2における同期信号の送信パターンでは、1フレームは10msであって、PSSとSSSとを含む同期信号は、5ms周期で送信されている。LTEシステムでは、フレームを1msの区間に区切ってサブフレームと呼び、各サブフレーム内には、その他のデータや共通パイロットと呼ばれるパイロット信号が配置されて送信される。また、SSSとPSSとの間は3シンボル離れている。
【0045】
尚、LTEシステム等、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式が採用される場合、マルチパスフェージングの影響を避けるため、各シンボルに対して遅延波の遅延時間に応じたガードインターバル、又はサイクリックプレフィックス(CP)が付加される。一方で、CPは、データの復調に寄与しないため、付加することでデータの伝送効率が低下することが考えられる。このため、CP長は、遅延波の遅延時間や送信信号の伝送効率等を考慮して決定されることが好ましい。
【0046】
このようにCPは状況に応じて複数のCP長を取り得るため、フレームフォーマットmも夫々のCP長に応じて複数定義される。このため、上述した同期信号内のPSSとSSSとの間隔が3シンボルであっても、CP長に応じて実際の時間間隔が変化することが考えられる。
【0047】
図5中の点線は、移動局100の受信帯域を切り替える様子を示している。移動局100の受信帯域は、GAP区間に応じて基地局200aの通信帯域f1と基地局200b通信帯域f2との間で切り替えられる。受信帯域の切替時、具体的にはGAP区間の開始後の所定期間と、終了前の所定期間では、移動局100の受信帯域がf1とf2との間で変化する過渡状態となるため、セルサーチの性能が劣化する。
【0048】
図6に、GAP区間と、セルサーチの対象となる基地局200bからの同期信号の受信タイミングとの関係について複数の例を示す。例えば、図6(a)のように、同期信号PSS又はSSSの受信タイミングがこのような過渡状態に係る期間に含まれる場合、同期信号の一部又は全部のシンボルが劣化の大きい領域に含まれる。このため、これらの同期信号を利用してセルサーチを行なう場合、検出性能が劣化する。他方で、図6(b)のように同期信号の受信タイミングが過渡状態に係る期間に含まれない場合、セルサーチ装置1は、同期信号を用いて適切なセルサーチを実行出来る。
【0049】
同期信号選択部60は、検出されたPSSの受信タイミングTPSSとGAP区間の相対的な位置関係とに基づいて、セルIDの判定に用いるPSSとSSSとを選択する。尚、正確には、PSS及びSSSは、夫々信号そのものを示す名称であって、同期信号選択部60は、同期信号PSS及びSSSそのものではなく、夫々の信号の検出に用いる受信信号の時間区間、又は先頭タイミングを選択する。しかしながら、本実施例においては、「PSS又はSSSを選択する」との文言を、同期信号選択部60の動作に関連して、PSS又はSSSの検出に用いる受信信号中のタイミング又はシンボル位置を選択する処理を示す趣旨として記載する。具体的には、所定の周期で送信される同期信号について、どの周期、言い換えれば、シンボル位置のPSS又はSSSを用いてセルサーチを行うかを選択する処理を示す。
【0050】
(2−1)PSSとSSSとの間隔が一通りに決定される場合の同期信号選択方法
図7を参照して、同期信号選択部60による、PSSの受信タイミングTPSSとGAP区間の相対的な位置関係とに基づく、セルIDの判定に用いるPSSとSSSとの選択方法において、PSSとSSSとの間隔ΔTが決定されている場合の動作について説明する。
【0051】
図7は、基地局200aのGAP区間における基地局200bからの同期信号の受信タイミングを示す図である。図7では、GAP区間の先頭タイミングをT0、終了タイミングをT’、基地局200aから送信されるPSS検出タイミングをT1としている。図7に示す例では、同期信号がある所定のフレームフォーマットmに基づいて送信されるため、PSSとSSSとの間隔が一意のΔT(m)に決定される。
【0052】
同期信号選択部60は、SSS検出に用いるPSSシンボルの先頭位置TPSSを決定することで、フレームフォーマットmにおけるSSSシンボルの先頭位置TSSS(m)を決定する。具体的には、TSSS(m)=TPSS−ΔT(m)とする。また、PSSシンボルの先頭位置TPSSは、セルサーチ装置1におけるPSS受信タイミングをT1とすると、TPSS=T1となることが考えられる。
【0053】
しかしながら、上述したようにGAP区間の先頭部分と末尾部分とは、受信帯域切替の過渡状態によるセルサーチ性能の劣化が生じている場合がある。このため、同期信号選択部60は、PSS受信タイミングT1に応じて、以下に示すように、TPSS及びTSSSを選択する。
【0054】
先ず、同期信号選択部60は、図7(a)に示されるように、GAP区間T’−T0を所定の閾値A1、A2、A3、A4を設定して分割する。ここで、各時間は、T0<A1<A2<A3<A4<T’となる。GAP区間において、T0からA1の区間及びA4からT’の区間は、上述した過渡状態の影響によりセルサーチ性能の劣化が大きく、該当区間において検出される同期信号を用いた適切なセルサーチが行えない可能性がある。同期信号選択部60は、PSS受信タイミングT1とA1、A2、A3、A4の各タイミングとを比較して、PSS及びSSSとして用いる信号の検出タイミングを選択する。
【0055】
図7(b)に示されるように、PSS受信タイミングT1がT0からA1の区間である場合(T1−T0<A1)、同期信号選択部60は、PSSシンボルの先頭位置TPSSの候補であるPSSのシンボル位置候補(具体的には、上述したように、PSS検出タイミングT1に一致)及びSSSシンボルの先頭位置TSSS(m)の候補であるSSSのシンボル位置候補(具体的には、上述したように、T1−ΔT(m)に一致)が両方ともGAP区間の先頭部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断する。このとき、同期信号選択部60は、各信号について、T0からA1の区間外のものを用いるように、TPSS=T1+5ms、TSSS(m)=T1−ΔT(m)+5msとする。ここに、5msとは、上述したようにFrame structure type 2における同期信号の送信周期である。つまり、同期信号選択部60は、PSSがT0からA1の区間に検出される場合、PSS及びPSSよりもΔT早い時刻に配置されるSSSが共に劣化の大きい領域に含まれると判断し、次の周期に送信されるPSS及びSSSを用いることで、劣化の少ない同期信号を選択する。
【0056】
図7(c)に示されるように、PSSがA1からA2の区間に検出される場合(A1≦T1−T0<A2)、同期信号選択部60は、PSSについては、T1のシンボル位置において過渡状態に起因する劣化が生じないと判断して、TPSS=T1とする。他方で、同期信号選択部60は、PSSの配置位置よりも前の時刻に配置されるSSSは、GAP区間の先頭部分に近く、過渡状態により劣化が生じる領域に配置される可能性があることから、5ms後の配置の方が劣化が少ないと判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)+5msとする。
【0057】
図7(d)に示されるように、PSSがA2からA3の区間に検出される場合(A2≦T1−T0<A3)、同期信号選択部60は、PSSについては、T1のシンボル位置において過渡状態に起因する劣化が生じないと判断して、TPSS=T1とする。また、SSSについても、過渡状態による劣化が生じないと判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)とする。
【0058】
図7(e)に示されるように、PSSがA3からA4の区間に検出される場合(A3≦T1−T0<A4)、同期信号選択部60は、PSSについては、T1のシンボル位置ではGAP区間末尾に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、PSSの受信タイミングを1周期前の位置、つまりTPSS=T1−5msとする。他方で、PSSの配置位置よりも前の時刻に配置されるSSSは、過渡状態による劣化の影響がないと判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)とする。
【0059】
図7(f)に示されるように、PSSがA4からT’の区間に検出される場合(A4≦T1−T0<T’)、同期信号選択部60は、PSSについては、T1のシンボル位置ではGAP区間の末尾に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、PSSの受信タイミングをTPSS=T1−5msとする。また、PSSの配置位置よりもΔT前の時刻に配置されるSSSについても、過渡状態による劣化の影響が生じ得ると判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)−5msとする。
【0060】
尚、A1、A2、A3、A4の各閾値については、移動局100における受信帯域切替に要する時間等を考慮して設定されるものである。特にRF部品の個体差についても考慮する必要がある場合には、装置毎に個別に最適化した値が設定されることが好ましい。例えば、A1、A2、A3、A4の各閾値には、GAP区間内で、受信帯域切替の過渡状態によるセルサーチ性能の劣化が生じている可能性がある区間とそれ以外の区間とを区別することができるように適切な値が設定されてもよい。また、図7は、4つの閾値A1、A2、A3、A4を用いてGAP区間を5つに分割する例を示している。しかしながら、任意の数の閾値を用いてGAP区間を任意の数に分割してもよい。但し、GAP区間内で、受信帯域切替の過渡状態によるセルサーチ性能の劣化が生じている可能性がある区間とそれ以外の区間とを区別するという観点からは、少なくとも2つの閾値を用いてGAP区間を少なくとも3つに分割することが好ましい。
【0061】
(2−2)PSSとSSSとの間隔が複数通り設定される場合の同期信号選択方法
PSSとSSSとの間隔ΔTについて、複数通りのフレームフォーマット(例えば、m通り)に対応して、複数のΔT(例えば、m個)が設定される場合、同期信号選択部60は、ΔT(m)についても考慮した上で、PSS及びSSSの検出タイミングを選択する。
【0062】
図8は、PSSとSSSとの間隔ΔT(m)が複数通り設定される場合において、PSSの受信タイミングT1と閾値との関係に基づいて同期信号の選択を行う様子を示す図である。
【0063】
同期信号選択部60は、図8(a)に示されるように、T0からT’のGAP区間の先頭部分及び末尾部分であって、過渡状態による劣化が生じると判断される領域を区別する閾値A1PSS、A2PSSを設定する。つまり、T0からA1PSSの区間及びA2PSSからT’の区間は、同期信号選択部60が過渡状態による劣化が生じると判断した領域である。
【0064】
同期信号選択部60は、図8(a)に示されるように、PSSがT0からA1PSSの区間に検出される場合(T1−T0<A1PSS)、T1のシンボル位置がGAP区間の先頭部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、TPSS=T1+5msとする。
【0065】
図8(b)に示されるように、PSSがA1PSSからA2PSSの区間に検出される場合(A1PSS≦T1−T0<A2PSS)、T1のシンボル位置において過渡状態に起因する劣化が生じないと判断して、TPSS=T1とする。
【0066】
図8(c)に示されるように、PSSがA2PSSからT’の区間に検出される場合(A2PSS≦T1−T0<T’)、T1のシンボル位置がGAP区間の末尾部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、TPSS=T1−5msとする。
【0067】
また、同期信号選択部60は、図8(d)に示されるように、PSSの受信タイミングT1に応じてSSSのタイミングTSSS(m)を選択するための閾値A1SSS(m)、A2SSS(m)をフレームフォーマットm毎に設定する。
【0068】
ここに、閾値A1SSS(m)、A2SSS(m)は、夫々T1に係る閾値であって、PSSの受信タイミングT1から特定されるSSSの受信タイミングT1−ΔT(m)について、過渡状態による劣化が生じると判断される領域を区別するための閾値である。つまり、フレームフォーマットmの同期信号について、T0からA1SSS(m)の区間及びA2SSS(m)からT’の区間においてT1が受信される場合、特定されるSSSの受信タイミングT1−ΔT(m)が過渡状態による劣化が生じる領域に含まれる。尚、SSSの候補となる受信信号上のタイミングは、PSSの受信タイミングより早いため、A1PSS<A1SSSであり、且つA2PSS<A2SSS(m)である。
【0069】
同期信号選択部60は、図8(d)に示されるように、PSSがT0からA1SSSの区間に検出される場合(T1−T0<A1SSS(m))、SSSの候補となるT1−ΔT(m)のシンボル位置がGAP区間の先頭部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)+5msとする。
【0070】
図8(e)に示されるように、PSSがA1SSS(m)からA2SSS(m)の区間に検出される場合(A1SSS(m)≦T1−T0<A2SSS(m))、T1−ΔT(m)のシンボル位置において過渡状態に起因する劣化が生じないと判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)とする。
【0071】
図8(f)に示されるように、PSSがA2SSSからT’の区間に検出される場合(A2SSS(m)≦T1−T0<T’)、T1−ΔT(m)のシンボル位置がGAP区間の末尾部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、TSSS(m)=T1−ΔT(m)−5msとする。
【0072】
尚、同期信号選択部60は、閾値A1SSS(m)、A2SSS(m)をフレームフォーマットm毎に設定し、実際の受信信号のフレームフォーマットmに応じて、適用する閾値を選択する。
【0073】
上述したTSSSの選択方法では、同期信号選択部60は、フレームフォーマットm毎に閾値A1SSS(m)、A2SSS(m)を設定して、夫々をPSSのシンボル位置候補となるT1と比較している。他方で、同期信号選択部60は、PSSのシンボル位置候補の代わりに、SSSのシンボル位置候補を設定して、閾値との比較からSSSのシンボル位置を選択してもよい。
【0074】
例えば、同期信号選択部60は、フレームフォーマットm毎に仮のSSSのシンボル位置Ttmp(m)を設定する。また、フレームフォーマットmに依存しない共通の閾値A1SSS及びA2SSSを設定し、このTtmp(m)を、各閾値と比較することでSSSのシンボル位置TSSSを選択する。この態様では、閾値についてフレームフォーマット毎に個別に設定しなくともよくなり、より簡易にTSSSを選択可能となる。
【0075】
具体的には、同期信号選択部60は、フレームフォーマットm毎に仮のSSSのシンボル位置として、Ttmp(m)=T1−ΔT(m)を設定する。ΔT(m)はフレームフォーマットmに応じたCP長等を考慮したPSSとSSSとの間の時間長を示すものである。同期信号選択部60は、複数のフレームフォーマットmに対応して適切なΔT(m)を選択出来るよう、予めメモリ等に各種データを保持していてもよい。
【0076】
図9(a)に示されるように、同期信号選択部60は、SSSのシンボル位置候補であるTtmp(m)がT0からA1SSSの区間に検出される場合(T1−T0<Ttmp(m))、Ttmp(m)のシンボル位置がGAP区間の先頭部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、TSSS=Ttmp(m)+5msとする。
【0077】
図9(b)に示されるように、SSSのシンボル位置候補であるTtmp(m)がA1SSSからA2SSSの区間に検出される場合(A1SSS≦T1−T0<A2SSS)、Ttmp(m)のシンボル位置において過渡状態に起因する劣化が生じないと判断して、TSSS=Ttmp(m)とする。
【0078】
図9(c)に示されるように、SSSのシンボル位置候補であるTtmp(m)がA2SSSからT’の区間に検出される場合(A2SSS≦T1−T0<T’)、Ttmp(m)のシンボル位置がGAP区間の末尾部分に近く、過渡状態による劣化が生じる可能性があると判断して、TSSS=Ttmp(m)−5msとする。
【0079】
セルサーチ性能への影響が時間変化するフェージング等を考慮する場合、フレームフォーマットmに対応してΔT(m)の値が変化することで、セルサーチ性能が変化することが考えられる。このような場合には、SSSの検出処理に用いるシンボルの選択時に各フレームフォーマットmに対して個別の閾値A1SSS(m)、A2SSS(m)を用いることで、各フレームフォーマットmに対して、セルサーチ性能を好適に調整できる。他方で、実際のフレームフォーマットでは、夫々に対応するΔT(m)の値の差は、それほど大きいものではないため、共通の閾値A1SSS、A2SSSを用いる場合でも性能に大きな低下はないと言える。
【0080】
(2−3)同期信号検出タイミングを予め限定する場合の同期信号選択方法
上述の例では、PSS検出部50は、GAP区間内の任意のタイミングでPSSを検出し、検出タイミングT1に応じてセルサーチに用いるPSS及びSSSの選択を行っている例について説明した。しかしながら、例えば、上述したT0からA1PSSの区間及びA2PSSからT’の区間において検出されるPSSは、過渡状態の影響を受けると判断されるため、このような区間のシンボルについてはセルサーチに用いるものとしては選択されない。
【0081】
そこで、同期信号の好適な選択のために、予めPSS検出タイミングを限定した上で、T1の検出を行ってもよい。具体的には、図10に示すように、この態様のセルサーチ装置1では、受信信号バッファ40が保持する受信信号の区間、又はPSS検出部50のピーク検出部52のピーク検出区間が予めA1PSSからA2PSSの区間に限定される。従って、PSSの検出タイミングT1は、常にA1PSS≦T1<A2PSSとなる。
【0082】
上述のように、この区間においてはT1のシンボル位置に対する過渡状態の影響はないと判断されるため、同期信号選択部60は、TPSS=T1とする。
【0083】
他方、同期信号選択部60は、TSSSを上述のようにTtmp(m)と、A1SSS及びA2SSSとの比較から選択する。T1の検出位置によっては、A1PSS≦T1<A2PSSが成立していても、SSSのシンボル位置候補となるTtmp(m)=T1−ΔT(m)が過渡状態の影響を受ける位置に配置される可能性があるからである。
【0084】
(3)変形例
図を参照して、開示のセルサーチ装置の変形例であるセルサーチ装置1’について説明する。
【0085】
上述した構成例では、PSSの検出タイミングT1とGAP区間先頭タイミングT0の関係に基づいてセルサーチに用いるシンボル位置を選択している。このため、例えば、TPSS=T1であるのに対して、TSSSについて、T1から最も近いT1−ΔTのシンボル位置でなく、T1−ΔT−5ms又はT1−ΔT+5msが選択される場合がある。このとき、従来用いられるT1から最も近いT1−ΔTと比較して、よりPSSの検出タイミングから離れたタイミングのSSSを用いてチャネル等価を行うことになる。このような場合には、タイミングの差が広がることにより、フェージングの影響がより顕著に表れることになり、セルサーチ性能が劣化することが考えられる。そこで、GAP区間の先頭部分及び末尾部分等、受信帯域切替の過渡状態による性能劣化と、このようなフェージングによる性能劣化とのトレードオフを考慮して、セルサーチに用いるシンボル位置を選択することにより、より高精度にセルサーチ性能を実現することが出来る。
【0086】
開示のセルサーチ装置の変形例では、従来知られている技術等を用いて、時間的なチャネル変動の大きさを推定し、推定結果を考慮した上で上述したPSS及びSSSの選択の態様を調整することで、より高精度なセルサーチを実現可能なシンボル位置を選択する。
【0087】
図11は、セルサーチ装置1’が備えるハードウェア及び該ハードウェアが有する機能を便宜的に表す機能部を示したブロック図である。図11に示されるように、セルサーチ装置1’は、セルサーチ装置1の構成に加えて、チャネル変動推定部80を備える。チャネル変動推定部80は、例えば、GAP区間以外の区間において、既に検出済みのセルの共通パイロットの入力を受け、該共通パイロットに対してチャネル推定を行なう。このとき、チャネル変動推定部80は、サブフレーム毎にチャネル推定を行い、算出されるチャネル推定値からチャネル変動の時間的な相関を計算する。算出された時間的な相関に対して、所定の閾値を設定し、チャネル変動の大小を複数の段階に分けて判別したものをチャネル変動の推定結果として、同期信号選択部60に出力する。同期信号選択部60は、チャネル変動の推定結果に基づいて、上述したPSS及びSSSの選択に係る閾値A1、A2等を選択する。
【0088】
図12は、チャネル変動推定部80の構成を示すブロック図である。上述の処理を実施するために、チャネル変動推定部80は、FFT部81と、パイロット抽出部82と、チャネル推定部83と、変動推定部84とを備える。
【0089】
FFT部81は、入力される受信信号に対してFFTを行い、生成したサブキャリア信号をパイロット抽出部82に出力する。
【0090】
パイロット抽出部82は、受信信号から既に検出済みのセルの各サブフレームの先頭シンボルに配置されるパイロットのサブキャリア成分を抽出する。
【0091】
チャネル推定部83は、セルサーチ対象の基地局200bのサブフレーム#nの先頭シンボルに配置されるパイロットパターンをキャンセルして、チャネル推定値を算出する。サブフレーム#nにおける共通パイロットのサブキャリアkに対するチャネル推定値h(n,k)は、例えば、共通パイロットの受信サブキャリア信号rPilot(n,k)と、既知パターンである共通パイロットのサブキャリアパターンレプリカPPilot(k)を用いて、以下の数式8のように算出される。
【0092】
【数8】
チャネル推定値h(n,k)について、kの周辺のパイロットサブキャリアで平均化してもよい。チャネル推定部83は、このように算出された周波数軸上でk番目のパイロットについてのチャネル推定値h(n,k)を複数のkについて算出し、サブフレーム間の時間相関値を算出する。時間相関値Ctは、以下の数式9に示されるように算出される。
【0093】
【数9】
変動推定部84は、このように算出される時間相関値Ctを、予め設定した閾値と比較することで、チャネル変動の大きさの判別を行う。例えば、変動推定部84は、閾値B(x)について、x=0乃至Nmaxのように複数通り設定する。ここで、B(0)=0≦B(1)≦B(2)≦・・・≦B(Nmax)とする。変動推定部84は、時間相関値Ctと閾値とを比較し、例えば、B(Nmax)≦Ctの場合は、Δh=Nmaxとし、Ct<B(Nmax)の場合、B(n)≦Ct<B(n+1)に対して、Δh=nとするように同期信号選択部60において用いる閾値の決定に係る要素Δhを設定する。
【0094】
同期信号選択部60は、このようにして推定されたチャネル変動の大きさに応じて、SSSのシンボル位置を検出するための閾値を調整する。例えば、閾値A1SSS(m)、A2SSS(m)を夫々A1SSS(Δh、m)、A2SSS(Δh、m)として、チャネル変動の大きさΔh毎に係数を変える。
【0095】
チャネル変動推定部80は、時間方向のチャネル変動の大きさを推定する。前述の様に、チャネル変動の大きさを推定する方法は、従来用いられる様々な技術を流用することが可能であり本発明の要点ではないため、詳細な説明を省略する。
【0096】
以上、説明したように、変形例に係るセルサーチ装置1’の同期信号選択部60は、時間に対するチャネル変動が大きい場合のセルサーチ性能の劣化と、GAP区間の先頭部分及び末尾部分での過渡状態によるセルサーチ性能の劣化とのトレードオフを考慮した上で、同期信号の選択動作を変更する。このため、状況に応じてより高精度なセルサーチを実現可能な同期信号の選択が可能となる。
【0097】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うセルサーチ装置及び方法、並びに移動局もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0098】
以上、本明細書で説明した実施形態について、以下の付記を更に記載する。
(付記1)
所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において前記所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて前記一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行うセルサーチ装置であって、
前記特定の時間区間において、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信部と、
前記第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出部と、
前記特定の時間区間内における前記第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択部と、
決定される前記受信タイミングに基づいて取得した前記他のセルの特定に用いる特定信号を用いて前記他のセルの特定を行う第2検出部と
を備えることを特徴とするセルサーチ装置。
(付記2)
前記受信部は、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第2の同期信号を更に含む前記信号を受信し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び前記特定の時間区間の相対的な関係に基づいて、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、前記特定の時間区間において受信する受信信号のうち、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方と、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとして決定することを特徴とする付記1に記載のセルサーチ装置。
(付記3)
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングが、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間に含まれる場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングと、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとなるように決定し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングが、前記過渡期間に含まれない場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミングと、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとなるように決定することを特徴とする付記2に記載のセルサーチ装置。
(付記4)
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングが、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間に含まれる場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方と、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングとの組み合わせとなるように決定し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングが、前記過渡期間に含まれない場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方と、(ii)前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとなるように決定することを特徴とする付記2又は3に記載のセルサーチ装置。
(付記5)
検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングは、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを、当該第1の同期信号の送信周期に応じた期間だけ進ませる又は遅らせることで得られるタイミングであり、
検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングは、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングを、当該第2の同期信号の送信周期に応じた期間だけ進ませる又は遅らせることで得られるタイミングであることを特徴とする付記2から4のいずれか一項に記載のセルサーチ装置。
(付記6)
前記受信部は、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第2の同期信号を更に含む前記信号を受信し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び前記特定の時間区間の相対的な関係に基づいて、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、前記特定の時間区間において受信する受信信号のうち、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方として決定することを特徴とする付記1に記載のセルサーチ装置。
(付記7)
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングが、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間に含まれる場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングとなるように決定し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングが、前記過渡期間に含まれない場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングとなるように決定することを特徴とする付記6に記載のセルサーチ装置。
(付記8)
検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングは、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングを、当該第2の同期信号の送信周期に応じた期間だけ進ませる又は遅らせることで得られるタイミングであることを特徴とする付記6又は7に記載のセルサーチ装置。
(付記9)
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び前記特定の時間区間の相対的な関係に基づいて、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、前記特定の時間区間において受信する受信信号のうち、前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号の受信タイミング及び前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方として決定することを特徴とする付記1又は2に記載のセルサーチ装置。
(付記10)
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングが、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間に含まれる場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングとなるように決定し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングが、前記過渡期間に含まれない場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングとなるように決定することを特徴とする付記9に記載のセルサーチ装置。
(付記11)
検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングは、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを、当該第1の同期信号の送信周期に応じた期間だけ進ませる又は遅らせることで得られるタイミングであることを特徴とする付記9又は10に記載のセルサーチ装置。
(付記12)
前記同期信号選択部は、前記特定の時間区間を複数の区間に分割する複数の閾値を設定し、前記複数の閾値と、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングとを比較することで、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定することを特徴とする付記1から11のいずれか一項に記載のセルサーチ装置。
(付記13)
前記同期信号選択部は、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間と当該過渡期間以外の他の期間とを区別することができるように、前記特定の時間区間を前記複数の区間に分割する前記複数の閾値を設定することを特徴とする付記12に記載のセルサーチ装置。
(付記14)
前記受信部は、相異なる複数のフレームフォーマットで送信される前記受信信号を受信し、
前記同期信号選択部は、前記フレームフォーマットに応じて、前記複数の閾値を設定することを特徴とする付記12又は13に記載のセルサーチ装置。
(付記15)
前記信号の時系列的なチャネル変動を推定するチャネル変動推定部を更に備え、
前記同期信号選択部は、推定される前記チャネル変動に応じて、前記複数の閾値を設定することを特徴とする付記12から14のいずれか一項に記載のセルサーチ装置。
(付記16)
所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において前記所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて前記一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行うセルサーチ方法であって、
前記特定の時間区間において、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信工程と、
前記第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出工程と、
前記特定の時間区間内における前記第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択工程と、
決定される前記受信タイミングに基づいて取得した前記他のセルの特定に用いる特定信号を用いて前記他のセルの特定を行う第2検出工程と
を備えることを特徴とするセルサーチ方法。
(付記17)
所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において前記所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて前記一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行うセルサーチ装置を備える移動局であって、
前記セルサーチ装置は、
前記特定の時間区間において、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信部と、
前記第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出部と、
前記特定の時間区間内における前記第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択部と、
決定される前記受信タイミングに基づいて取得した前記他のセルの特定に用いる特定信号を用いて前記他のセルの特定を行う第2検出部と
を備えることを特徴とする移動局。
【符号の説明】
【0099】
1 セルサーチ装置
10 RF、
20 周波数設定部、
30 GAP制御部、
40 受信信号バッファ、
50 PSS検出部、
60 同期信号選択部、
70 SSS検出部、
80 チャネル変動推定部、
100 移動局
200a、200b 基地局。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において前記所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて前記一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行うセルサーチ装置であって、
前記特定の時間区間において、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信部と、
前記第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出部と、
前記特定の時間区間内における前記第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択部と、
決定される前記受信タイミングに基づいて取得した前記他のセルの特定に用いる特定信号を用いて前記他のセルの特定を行う第2検出部と
を備えることを特徴とするセルサーチ装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第2の同期信号を更に含む前記信号を受信し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び前記特定の時間区間の相対的な関係に基づいて、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、前記特定の時間区間において受信する受信信号のうち、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方と、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとして決定することを特徴とする請求項1に記載のセルサーチ装置。
【請求項3】
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングが、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間に含まれる場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングと、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとなるように決定し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングが、前記過渡期間に含まれない場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミングと、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとなるように決定することを特徴とする請求項2に記載のセルサーチ装置。
【請求項4】
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングが、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間に含まれる場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方と、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングとの組み合わせとなるように決定し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングが、前記過渡期間に含まれない場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方と、(ii)前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとなるように決定することを特徴とする請求項2又は3に記載のセルサーチ装置。
【請求項5】
検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングは、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを、当該第1の同期信号の送信周期に応じた期間だけ進ませる又は遅らせることで得られるタイミングであり、
検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングは、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングを、当該第2の同期信号の送信周期に応じた期間だけ進ませる又は遅らせることで得られるタイミングであることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のセルサーチ装置。
【請求項6】
前記同期信号選択部は、前記特定の時間区間を複数の区間に分割する複数の閾値を設定し、前記複数の閾値と、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングとを比較することで、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のセルサーチ装置。
【請求項7】
前記同期信号選択部は、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間と当該過渡期間以外の他の期間とを区別することができるように、前記特定の時間区間を前記複数の区間に分割する前記複数の閾値を設定することを特徴とする請求項6に記載のセルサーチ装置。
【請求項8】
前記受信部は、相異なる複数のフレームフォーマットで送信される前記受信信号を受信し、
前記同期信号選択部は、前記フレームフォーマットに応じて、前記複数の閾値を設定することを特徴とする請求項6又は7に記載のセルサーチ装置。
【請求項9】
前記信号の時系列的なチャネル変動を推定するチャネル変動推定部を更に備え、
前記同期信号選択部は、推定される前記チャネル変動に応じて、前記複数の閾値を設定することを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載のセルサーチ装置。
【請求項10】
所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において前記所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて前記一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行うセルサーチ方法であって、
前記特定の時間区間において、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信工程と、
前記第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出工程と、
前記特定の時間区間内における前記第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択工程と、
決定される前記受信タイミングに基づいて取得した前記他のセルの特定に用いる特定信号を用いて前記他のセルの特定を行う第2検出工程と
を備えることを特徴とするセルサーチ方法。
【請求項11】
所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において前記所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて前記一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行うセルサーチ装置を備える移動局であって、
前記セルサーチ装置は、
前記特定の時間区間において、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信部と、
前記第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出部と、
前記特定の時間区間内における前記第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択部と、
決定される前記受信タイミングに基づいて取得した前記他のセルの特定に用いる特定信号を用いて前記他のセルの特定を行う第2検出部と
を備えることを特徴とする移動局。
【請求項1】
所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において前記所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて前記一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行うセルサーチ装置であって、
前記特定の時間区間において、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信部と、
前記第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出部と、
前記特定の時間区間内における前記第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択部と、
決定される前記受信タイミングに基づいて取得した前記他のセルの特定に用いる特定信号を用いて前記他のセルの特定を行う第2検出部と
を備えることを特徴とするセルサーチ装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第2の同期信号を更に含む前記信号を受信し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び前記特定の時間区間の相対的な関係に基づいて、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、前記特定の時間区間において受信する受信信号のうち、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方と、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとして決定することを特徴とする請求項1に記載のセルサーチ装置。
【請求項3】
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングが、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間に含まれる場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングと、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとなるように決定し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングが、前記過渡期間に含まれない場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミングと、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとなるように決定することを特徴とする請求項2に記載のセルサーチ装置。
【請求項4】
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングが、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間に含まれる場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方と、(ii)検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングとの組み合わせとなるように決定し、
前記同期信号選択部は、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングが、前記過渡期間に含まれない場合、前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを、(i)検出された前記第1の同期信号の受信タイミング及び検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方と、(ii)前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミング及び前記第1検出部により検出される前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングのいずれか一方との組み合わせとなるように決定することを特徴とする請求項2又は3に記載のセルサーチ装置。
【請求項5】
検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングは、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングを、当該第1の同期信号の送信周期に応じた期間だけ進ませる又は遅らせることで得られるタイミングであり、
検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングを修正することで得られる修正後タイミングは、検出された前記第1の同期信号と対になって送信される前記第2の同期信号の受信タイミングを、当該第2の同期信号の送信周期に応じた期間だけ進ませる又は遅らせることで得られるタイミングであることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のセルサーチ装置。
【請求項6】
前記同期信号選択部は、前記特定の時間区間を複数の区間に分割する複数の閾値を設定し、前記複数の閾値と、検出された前記第1の同期信号の受信タイミングとを比較することで、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のセルサーチ装置。
【請求項7】
前記同期信号選択部は、前記特定の時間区間のうちの前記周波数の切り替えを開始してから完了するまでの間の過渡期間と当該過渡期間以外の他の期間とを区別することができるように、前記特定の時間区間を前記複数の区間に分割する前記複数の閾値を設定することを特徴とする請求項6に記載のセルサーチ装置。
【請求項8】
前記受信部は、相異なる複数のフレームフォーマットで送信される前記受信信号を受信し、
前記同期信号選択部は、前記フレームフォーマットに応じて、前記複数の閾値を設定することを特徴とする請求項6又は7に記載のセルサーチ装置。
【請求項9】
前記信号の時系列的なチャネル変動を推定するチャネル変動推定部を更に備え、
前記同期信号選択部は、推定される前記チャネル変動に応じて、前記複数の閾値を設定することを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載のセルサーチ装置。
【請求項10】
所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において前記所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて前記一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行うセルサーチ方法であって、
前記特定の時間区間において、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信工程と、
前記第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出工程と、
前記特定の時間区間内における前記第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択工程と、
決定される前記受信タイミングに基づいて取得した前記他のセルの特定に用いる特定信号を用いて前記他のセルの特定を行う第2検出工程と
を備えることを特徴とするセルサーチ方法。
【請求項11】
所定の周波数で一のセルと通信し、特定の時間区間において前記所定の周波数とは異なる周波数に受信周波数を切り替えて前記一のセルとは異なる他のセルのセルサーチを行うセルサーチ装置を備える移動局であって、
前記セルサーチ装置は、
前記特定の時間区間において、前記他のセルの特定に用いる特定信号の候補となる第1の同期信号を含む受信信号を受信する受信部と、
前記第1の同期信号の受信タイミングを検出する第1検出部と、
前記特定の時間区間内における前記第1の同期信号の受信タイミングに基づいて、前記受信信号に含まれる前記他のセルの特定に用いる特定信号の受信タイミングを決定する同期信号選択部と、
決定される前記受信タイミングに基づいて取得した前記他のセルの特定に用いる特定信号を用いて前記他のセルの特定を行う第2検出部と
を備えることを特徴とする移動局。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−191444(P2012−191444A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53429(P2011−53429)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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