説明

セルフインジェクションロッキングを用いた波長分割多重方式の受動型光通信システム、それに用いられる中央基地局、およびデータ伝送方法

【課題】セルフインジェクションロッキングを用いた波長分割多重方式の受動型光通信システム、それに用いられる中央基地局、およびデータ伝送方法を提供する。
【解決手段】本発明の波長分割多重方式の受動型光通信システムは、マルチプレクサの入力側に位置して所定波長の光信号を反射する反射体と、多重モードの光信号を発生させて反射体を通してマルチプレクサに伝達し、反射体によって反射される反射光の入力を受け、入力された反射光が有する波長で主発振する光源とを備える中央基地局を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長分割多重方式の受動型光通信システム(WDM−PON System)、それに用いられる中央基地局、およびデータ伝送方法に関し、特にブラッグ格子のように特定波長を反射する反射体と反射光によってセルフインジェクションロッキングされる光源を用いた超高速大容量のWDM−PONシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
波長分割多重化(wavelength−division multiplexing、WDM)方式とは、互いに異なる信号を伝達するために互いに異なる波長を有するレーザを用い、単一光ファイバーにおいて光キャリア信号を多重化する通信方式を意味する。これは、通信データの容量の増大を可能にし、1つの光ファイバーラインに沿って双方向通信を行うことを可能にする。
【0003】
WDM−PON(Wavelength Division Multiplexing−Passive Optical Network)は、上向データ伝送に用いられる光信号の波長を光加入者(Optical Network Unit、ONU)に応じて区別し、下向データ伝送に用いられる光信号の波長を中央基地局(Optical Line Terminal)に応じて区別し、複数の光加入者をグループ化してアクセスを提供するネットワークを意味する。WDM−PONシステムでは、光信号分配器(デマルチプレクサ)を用いてカップリングされた多波長の光信号をそれぞれの物理的リンクに分配し、WDMマルチプレクサを通して上/下向チャネルの多重化がなされる。
【0004】
従来の波長分割多重方式の光通信システムは、複数のチャネル(例えば、16個のチャネル)の信号を各々発振する光送信機からなる光送信端、光送信端の各チャネル信号を多重化するマルチプレクサ(MUX:multi−plexer)、光信号を伝達する光ファイバー、多重化された信号をチャネル別の信号に分離するためのデマルチプレクサ(DEMUX:demulti−plexer)、各チャネル信号を検出する複数の光受信機からなる光受信端を含む。このようなWDM−PONシステムにおいて、中央基地局(OLT)内の光送信端から多チャンネル光加入者用下向チャネル信号は遠隔地に位置する光加入者(ONU)の通過波長に合うように発振され、発振された信号はマルチプレクサを通して多重化される。
【0005】
一般的な受動型光通信網において、中央基地局から地域基地局までは1つの光ファイバーで連結し、地域基地局から光加入者までは独立した光ファイバーで連結する。この時、中央基地局と地域基地局にはいくつかの波長を合わせたり分離したりするマルチプレクサとデマルチプレクサを必ず設けなければならない。このような波長分割マルチプレクサ/デマルチプレクサとしては主にアレイ導波路型回折格子(Arrayed Waveguide Grating:AWG)が用いられる。
【0006】
しかし、地域基地局と光加入者は互いの温度を一定に維持させる装置が備えられないために地域基地局と光加入者との間には温度差が発生する。マルチプレクサ/デマルチプレクサとして用いられるアレイ導波路型回折格子は温度に応じて分割する波長が変わる。シリカ材料で作られた場合、温度による波長の変化率は約0.01nm/℃である。
【0007】
波長分割多重方式の受動型光通信網において、地域基地局の温度が時間に伴って変化するとアレイ導波路型回折格子の分割波長も変化するようになる。つまり、データ伝送のための光源の波長と地域基地局に位置するアレイ導波路型回折格子の波長が互いに食い違うため、それによる出力損失と隣接するチャネルに対するノイズの発生などの伝送性能を低下させる問題がある。特に、ファブリ・ペローレーザのようなセルフインジェクションロッキング型光源は波長分割用低価の光源であって温度変化による波長変位が大きいため、中央基地局(OLT)から遠隔で地域基地局(RN)の温度変化を感知できる別途の附加装置が必要である。
【0008】
大韓民国特許公開第2001−19017号には、多重化された上向信号の一部分を抽出して基準電圧を生成し、デマルチプレクサから出力される逆多重化された上向チャネルの一部分を抽出して監視電圧を生成した後、基準電圧と監視電圧の差に応じて逆多重化の温度を増加または減少させる波長追跡方法が開示されている。前記特許によれば、すべての光加入者に対する温度モニタリングがなされないため、光加入者の各々に応じて温度を個別的に調節する附加装置が別途に要るので、システムの具現上、複雑性と効率性の側面から不利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、光加入者に応じて光源の温度を個別的に調節する従来技術の問題を考慮し、マルチプレクサの入力側に特定波長の光信号を反射する反射体を備え、反射体によって反射される反射光が有する波長でセルフインジェクションロッキングされた状態で主発振する新規構造の中央基地局を含む、セルフインジェクションロッキングを用いた波長分割多重方式の受動型光通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術的課題を解決するための本発明に係るセルフインジェクションロッキングを用いた波長分割多重方式の受動型光通信システムは、光信号を多重化して下向伝送するマルチプレクサ、前記マルチプレクサの入力側に位置して所定波長の光信号を反射する反射体、および多重モードの光信号を発生させて前記反射体を通して前記マルチプレクサに伝達し、前記反射体によって反射される反射光が注入され、前記注入された反射光が有する波長で主発振する光源を備える中央基地局;および前記多重化された光信号を逆多重化して単一モードの光信号を発生させるデマルチプレクサを備える地域基地局を含む。
【0011】
前記他の技術的課題を解決するための本発明に係るセルフインジェクションロッキングを用いた波長分割多重方式の受動型光通信システムに用いられる中央基地局は、光信号を多重化して下向伝送するマルチプレクサ、前記マルチプレクサの入力側に位置して所定波長の光信号を反射する反射体、および多重モードの光信号を発生させて前記反射体を通して前記マルチプレクサに伝達し、前記反射体によって反射される光信号の入力を受け、前記入力された光信号が有する波長で主発振する光源を含むことを特徴とする。
【0012】
前記他の技術的課題を解決するための本発明に係る波長分割多重通信網の下向データ伝送方法は、注入される光信号が有する波長で主発振する光源から多重モードの光信号を生成するステップ;特定波長の光信号を反射する反射体が備えられたマルチプレクサ側に前記生成された光信号を伝達するステップ;前記反射体によって反射される反射光が前記光源に注入されるステップ;および前記注入された反射光が有する波長で主発振して下向データを伝送するステップを含む。
【発明の効果】
【0013】
波長分割多重方式の受動型光通信システムにおいて、マルチプレクサの入力側に特定波長の光信号を反射する反射体を備え、反射体によって反射される反射光が有する波長でセルフインジェクションロッキングされた状態で主発振する新規構造の中央基地局を導入することにより、下向信号用光源の温度または波長を別途に調節する必要がなく、マルチプレクサの温度調節を通して下向チャネルのためのチャネル各々の光信号が有する波長を一括して制御することによって安定した通信が可能な長所がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では本発明の図面と実施形態を参照して本発明のセルフインジェクションロッキングを用いた波長分割多重方式の受動型光通信システム、それに用いられる中央基地局、およびデータ伝送方法について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るセルフインジェクションロッキングを用いた波長分割多重方式の受動型光通信システム10を示すブロック図である。
【0015】
本実施形態に係る波長分割多重方式の受動型光通信システム10は、光送受信機110、マルチプレクサ120、反射体130を備える中央基地局100と、デマルチプレクサ210を備える地域基地局200とを含む。中央基地局100と地域基地局200はフィーダーファイバー(feeder fiber)によって接続される。特に、本実施形態の光通信システム10は既存とは異なり、マルチプレクサの入力側に反射体を備える。
【0016】
中央基地局100は地域基地局(RN)200内のデマルチプレクサ210に下向チャネル光信号を提供し、デマルチプレクサ210からの上向チャネル光信号を受信する。光送受信機110は光通信のための光源として多重モードの光信号を発生させ、光加入者からの単一モード光信号を受信する。
【0017】
中央基地局100は光加入者数Nに応じたN個の光送受信機(110−1,110−2…110−N)を備え、それぞれの光送受信機110はN個のRSOA(112−1,112−2…112−N)とN個のROSA(114−1,114−2…114−N)を備える。
【0018】
本実施形態において、RSOA(reflective semiconductor optical amplifier)は閾値以上の電流または光の入力を受けて広帯域の光信号を生成する光増幅型光源として用いられる。RSOA112は反射体130によって反射される反射光の注入を受け、注入入力された反射光が有する波長で主発振して下向チャネルの光信号を生成する。
【0019】
本実施形態においてRSOA112によって発振された広帯域の光信号は単一モードの光ファイバーに沿ってマルチプレクサ120に入力される。本実施形態の場合、マルチプレクサ120の入力側に特定波長の光信号を反射させる互いに異なるN個の反射体(130−1,130−2…130−N)が備えられるが、それぞれのRSOA112から生成されてマルチプレクサ120に入力される光信号のうちの前記特定波長に一致する光信号は反射体130に反射されて再びRSOA112に入力され、RSOA112は入力された波長帯域で主発振するセルフインジェクションロッキング(self−injection locking)状態となる。セルフインジェクションロッキングされたRSOA112は単一波長のレーザダイオードと類似するスペクトルを有する光信号を生成し、生成された光信号を変調して単一モード形態でマルチプレクサ120に伝送する。
【0020】
本実施形態では、自ら変調できる反射型半導体光増幅器(RSOA)を光源として採択しているが、RSOAの他にもファブリ・ペローレーザダイオード(FP−LD)、垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)を用いることもできる。
【0021】
一方、WDMフィルタ116は光信号を波長に応じて区分するフィルタであり、ROSA(receiver optical subassembly)112から送信した光信号とROSA114が受信する光信号を区別して通過させる。
【0022】
マルチプレクサ(MUX)120はRSOA112から生成された光信号を多重化して下向伝送する。例えば、NХ1導波路列格子(AWG:Arrayed Waveguide Grating)、導波路格子ルータ(WGR;Waveguide Grating Router)などを用いることができる。本来導波路列格子のようなマルチプレクサはデマルチプレクサとしても用いることができるが、本実施形態では下向データ伝送を考慮してマルチプレクサと称する。
【0023】
本実施形態において、マルチプレクサ120はその入力側に特定波長の光信号だけを反射する反射体130が接続または一体に形成される。反射体130は、例えばブラッグ格子(BG:Bragg Grating)が好ましい。ブラッグ格子はRSOA112から入力される多重モードの光信号のうちの特定波長だけを逆反射させ、逆反射された光信号は再び光源に注入される。
【0024】
特に、ブラッグ格子とマルチプレクサのベースは同一材料または温度特性が類似する材料を用いることが好ましい。例えば、ブラッグ格子とマルチプレクサはシリカ(silica)材料で作ることができるが、同一材料を用いることによってブラッグ格子とマルチプレクサの温度変化を同一に維持することができる。ここで、温度特性が類似するということはブラッグ格子とマルチプレクサの熱伝導特性または比熱差が所定の基準値以内であることを意味する。
地域基地局200は中央基地局100と光加入者から各々受信される光信号を反対側に伝送し、地域基地局200は多重化された光信号を逆多重化するデマルチプレクサ210を備える。
【0025】
デマルチプレクサ(DEMUX)210は多重化された光信号を逆多重化する。デマルチプレクサ210の種類は特に制限されず、例えば1ХN導波路列格子や導波路格子ルータ(WGR;Waveguide Grating Router)を挙げることができる。特に、導波路型格子はルータの温度変化を誘導するために熱電冷却器(TEC:Thermo−Electric Cooler)が導波路格子ルータを装着することができる。ここで、内装されたTECは波長分配器の役割をする導波路格子ルータの温度が周期的に変化するように設定することができ、本実施形態ではデマルチプレクサとして用いることができる。
【0026】
デマルチプレクサ210の温度が変わると各チャネルに割り当てられた光信号の中心波長が移動するが、これは光伝送におけるエラーと光損失を増加させる原因になる。よって、中央基地局110は地域基地局200の温度変化に対するモニタリングリングによって温度変化に応じて補正された光信号を生成する必要がある。本実施形態において、反射体130はマルチプレクサ120における温度変化とそれによる中心波長の移動結果をRSOA112側に伝達する。反射体によって反射された光信号はマルチプレクサ120における温度変化に応じて中心波長が移動した光信号であるため、RSOA112は反射体120の温度変化を反映して主発振するようになるのでRSOA端において別途の温度調節は必要ない。つまり、本実施形態によれば、中央基地局100のマルチプレクサ120に対する温度調節を通じて下向チャネルのためのチャネル各々の波長情報を一度に制御することによって安定した通信が可能である。また、レーザ光源の個別的な温度調節のための別途の工夫が要らないという点で効率的である。
【0027】
本実施形態の光通信システムはマルチプレクサ120の温度を調節する温度同期化部(図示せず)をさらに含むことが好ましい。温度同期化部は地域基地局200、特にデマルチプレクサ210の温度とマルチプレクサ120の温度を同一に維持する。温度同期化器はデマルチプレクサ210の温度情報の入力を受け、加熱/冷却装置を用いてマルチプレクサ120の温度を調節する。温度同期化部によってマルチプレクサ120とデマルチプレクサ210の温度を同期化させ、マルチプレクサの入力側に位置する反射体を用いてRSOAが主発振する中心波長を制御すると光通信エラーと光損失の問題をさらに改善することができる。
【0028】
図2は、本発明のまた他の実施形態に係るセルフインジェクションロッキングを用いた波長分割多重方式の受動型光通信システム1000を示すブロック図である。
図2に係る受動型光通信システム1000は、光送受信機1110、マルチプレクサ1120、反射体1130を備える中央基地局1100と、デマルチプレクサ1210を備える地域基地局1200とを含む。
【0029】
中央基地局1100は地域基地局1200内のデマルチプレクサ1210に下向チャネル光信号を提供し、デマルチプレクサ1210を通して光加入者側から生成された上向チャネル光信号を受信する。中央基地局1100は光加入者数Nに応じたN個の光送受信機(1110−1,1110−2..1110−N)を備え、前記それぞれの光送受信機1110は光検出器(1111−1,1111−2…1111−N)、ファブリ・ペローレーザダイオード(1112−1,1112−2…1112−N)と変調器(1113−1,1113−2…1113−N)を備える。
【0030】
図1とは異なり、図2の光送受信機1110は光源としてファブリ・ペローレーザダイオード(FP−LD)1112を備える。ファブリ・ペローレーザダイオード1112は、マルチプレクサ1120の入力側に位置するブラッグ格子1130によって反射される波長の光信号の入力を受け、入力された波長で主発振する。反射光によって特定波長で主発振された光信号は光パワー分配器1114を通して変調器1113に入力される。光パワー分配器1114は反射光の注入でセルフインジェクションロッキングされた光パワーを分岐する。変調器1113は、ファブリ・ペローレーザダイオード1112から入力された単一モードの光信号に、変調器1113に入力される制御信号を載せて変調した後、変調された光信号を単一モードの光ファイバー(SMF)を通してマルチプレクサに伝達する。
【0031】
光検出器(photo diode)1111は上向チャネルの光信号を波長選択結合器1115を通して受信する。波長選択結合器(WSC:Wavelength Selective Coupler)は光信号を波長に応じて分岐する。光カプラー1116はファブリ・ペローレーザダイオード1112からの光信号と変調器1113の光信号を結合する。また、入力光効率を上げるために波長選択結合器1115と光パワー分配器1114との間に偏光コントローラが位置し得る。
【0032】
マルチプレクサ1120はファブリ・ペローレーザダイオード1112と変調器1113によって生成された下向チャネルの光信号の入力を受けて多重化して下向伝送する。マルチプレクサ1120と反射体1130は図1に記載されたマルチプレクサ120と反射体130に共通するものであるため、それに対する説明は省略する。
【0033】
地域基地局1200は中央基地局1100と光加入者から各々受信される光信号を反対側に伝送する。地域基地局1200は多重化された光信号を逆多重化するデマルチプレクサ1210を備える。図2の地域基地局1200とデマルチプレクサ1210は図1の地域基地局200とデマルチプレクサ210に共通するものであるため、それに対する説明も省略する。
【0034】
図3は、本発明のまた他の実施形態に係るセルフインジェクションロッキングを用いた波長分割多重方式の両方向対称受動型光通信システム2000を示すブロック図である。
本実施形態に係る両方向対称受動型光通信システム2000は、第1光送受信機2110、マルチプレクサ2120、第1反射体2130を備える中央基地局2100、デマルチプレクサ2210と第2反射体2220を備える地域基地局2200、および第2光送受信機2310を備える光加入者2300を含む。
【0035】
中央基地局2100は下向チャネルの光信号を生成し、生成された光信号を地域基地局2200を通して光加入者2300に伝達する。本実施形態において、中央基地局2100は、光加入者数Nに応じたN個の反射型半導体光増幅器(RSOA)2112と光受信機(ROSA:Receiver Optical Subassembly)2114を備える光送受信機2110、マルチプレクサ2120、およびマルチプレクサの入力側に位置する反射体2130を含む。本実施形態では、光加入者2300側にある光送受信機2310と区別するために前者を第1光送受信機と称する。図3の中央基地局2100と図1の中央基地局100は互いに同一であるため、共通する説明は省略する。
【0036】
地域基地局2200は中央基地局2100から生成された下向チャネルの光信号を光加入者2300に伝達し、また光加入者2300から生成された上向チャネルの光信号を中央基地局2100に伝達する。地域基地局2200は多重化された光信号を逆多重化するデマルチプレクサ2210とデマルチプレクサ2210の出力側に位置する反射体2220とを備える。
【0037】
反射体2220は光加入者2300から生成された多重モードの光信号のうちの特定波長の光信号を反射させる。ブラッグ格子(Bragg Grating)は光加入者2300のRSOA2312から入力される多重モードの光信号のうちの特定波長の光信号を反射させる。本実施形態において、ブラッグ格子はデマルチプレクサと同一材料または温度特性が類似する材料を用いることが好ましい。デマルチプレクサとブラッグ格子のベース材質としてはシリカを用いることができ、この場合、ブラッグ格子とデマルチプレクサの温度は同一に維持することができる。
【0038】
光加入者2300は地域基地局2200内のデマルチプレクサ2210に上向チャネルの光信号を提供し、デマルチプレクサ2210からの下向チャネル光信号を受信する。光加入者2300は光加入者数Nに応じた第2光送受信機2310を含み、第2光送受信機2310は各々RSOA2312とROSA2314およびWDMフィルタ2316を備える。光加入者側のRSOA2312は上向チャネルのデータ伝送のために多重モードの光信号を発生させる。多重モードの光信号は反射体2220を通してデマルチプレクサ2210に入力されるが、この時、反射体2220は入力された光信号のうちの特定波長の光信号を反射させる。反射された反射光は再びRSOA2312に注入され、RSOAは注入された光信号の波長を中心波長として発振する。
【0039】
ROSA2314は中央基地局2100から発生された下向チャネルの光信号を受信する。WDMフィルタ2316は光信号を波長によって区分することにより、上向チャネルの光信号と下向チャネルの光信号を区分する。
【0040】
図3に示された両方向対称形光通信システムは、地域基地局の温度変化に応じて中央基地局のマルチプレクサの温度を調節し、光加入者のセルフインジェクションロッキングされる波長が調節されるため、地域基地局の温度変化に関係のないカラーレス光源の構造を有し、光伝送エラーと光損失を最小化することができる。また、本実施形態の光通信システムは上下向対称形構造を有し、中央基地局と光加入者の光送受信機を同一モジュールで用いることができるため、大量生産およびシステム単価の節減の面で好ましい。
【0041】
図4は、本発明の一実施形態に係る波長分割多重通信網の下向データ伝送方法を示すフローチャート図である。本発明の下向データ伝送方法は、波長分割多重方式の受動型光通信システム10において時系列的に処理される下記のステップを含む。
3100ステップにおいてRSOA112は多重モードの光信号を生成する。RSOAは注入される光が有する波長で主発振するセルフインジェクションロッキング型光源であり、RSOAの他にもファブリ・ペローレーザダイオードを光源として用いることもできる。
【0042】
3200ステップにおいて、RSOA112は特定波長の光信号を反射する反射体が備えられたマルチプレクサ側に前記生成された光信号を伝達する。
3300ステップにおいて、RSOA112には前記反射体によって反射される反射光が注入される。反射体130はRSOA112から生成された多重モードの光信号のうちの特定波長の光信号を反射させる。
【0043】
3400ステップにおいて、RSOA112は注入された反射光が有する波長で主発振して下向データを送信させる。RSOA112は反射体によって反射され注入される光信号が有する波長でセルフインジェクションロッキングされ、前記波長を中心波長として主発振する。図4には示されていないが、セルフインジェクションロッキングされた状態で主発振する光源と光変調のための制御信号の入力を受けて変調器(図示せず)を通して変調された光信号はマルチプレクサと地域基地局を通して光加入者に伝送される。
【0044】
上記では本発明に関する好ましい実施形態に基づいて説明した。本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明の本質的な特性から脱しない範囲内において変形した形態で本発明を具現できることを理解しなければならない。よって、上記で開示された実施形態は限定的な観点ではなく説明的な観点から考慮しならなければならない。本発明の範囲は前述した説明ではなく特許請求の範囲に示されており、それと同じ範囲内にある全ての差異点は本発明に含まれると解釈しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係るセルフインジェクションロッキングを用いた波長分割多重方式の受動型光通信システムを示すブロック図である。
【図2】本発明のまた他の実施形態に係るセルフインジェクションロッキングを用いた波長分割多重方式の受動型光通信システムを示すブロック図である。
【図3】本発明のまた他の実施形態に係るセルフインジェクションロッキングを用いた波長分割多重方式の両方向対称形受動型光通信システムを示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る波長分割多重通信網の下向データ伝送方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
10:光通信システム
100:中央基地局
110:光送受信機
120:マルチプレクサ
130:反射体
200:地域基地局
210:デマルチプレクサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長分割多重方式の受動型光通信システムであって、
光信号を多重化して下向伝送するマルチプレクサ、前記マルチプレクサの入力側に位置して所定波長の光信号を反射する反射体、および多重モードの光信号を発生させて前記反射体を通して前記マルチプレクサに伝達し、前記反射体によって反射される光信号の入力を受け、前記入力された光信号が有する波長で主発振する光源を備える中央基地局;および
前記多重化された光信号を逆多重化して単一モードの光信号を発生させるデマルチプレクサを備える地域基地局を含む波長分割多重方式の受動型光通信システム。
【請求項2】
前記反射体はブラッグ格子であり、前記ブラッグ格子は前記マルチプレクサに接続されるかまたは前記マルチプレクサと一体に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の波長分割多重方式の受動型光通信システム。
【請求項3】
前記マルチプレクサの材料と前記反射体の材料は同一であるかまたは温度特性が所定の類似範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の波長分割多重方式の受動型光通信システム。
【請求項4】
前記光源はファブリ・ペローレーザダイオード(FP−LD)または反射型半導体光増幅器(RSOA)または垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)であることを特徴とする、請求項1に記載の波長分割多重方式の受動型光通信システム。
【請求項5】
前記デマルチプレクサの出力側には所定波長の光信号を反射させる反射体がさらに備えられ、
多重モードの光信号を発生させ、前記反射体によって反射される光信号の入力を受け、前記入力された光信号が有する波長で主発振する光加入者をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の波長分割多重方式の受動型光通信システム。
【請求項6】
前記デマルチプレクサの温度をモニタリングし、前記デマルチプレクサとマルチプレクサの温度を同一に維持させる温度同期化部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の波長分割多重方式の受動型光通信システム。
【請求項7】
波長分割多重方式の受動型光通信システムに用いられる中央基地局であって、
光信号を多重化して下向伝送するマルチプレクサ、前記マルチプレクサの入力側に位置して所定波長の光信号を反射する反射体、および多重モードの光信号を発生させて前記反射体を通して前記マルチプレクサに伝達し、前記反射体によって反射される光信号の入力を受け、前記入力された光信号が有する波長で主発振する光源を含むことを特徴とする波長分割多重方式の受動型光通信網に用いられる中央基地局。
【請求項8】
前記反射体はブラッグ格子であり、前記ブラッグ格子は前記マルチプレクサに接続されるかまたは前記マルチプレクサと一体に形成されることを特徴とする、請求項7に記載の波長分割多重方式の受動型光通信網に用いられる中央基地局。
【請求項9】
デマルチプレクサの温度をモニタリングし、前記デマルチプレクサとマルチプレクサの温度を同一に維持させる温度同期化部をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の波長分割多重方式の受動型光通信網に用いられる中央基地局。
【請求項10】
波長分割多重通信網の下向データ伝送方法であって、
注入される光信号が有する波長で主発振する光源から多重モードの光信号を生成するステップ;
特定波長の光信号を反射する反射体が備えられたマルチプレクサに前記生成された光信号を伝達するステップ;
前記反射体によって反射される反射光が前記光源に注入されるステップ;および
前記光源は前記注入された反射光が有する波長で主発振して下向データを伝送するステップを含む波長分割多重通信網の下向データ伝送方法。
【請求項11】
前記反射体はブラッグ格子であり、前記ブラッグ格子は前記マルチプレクサに接続されるかまたは前記マルチプレクサと一体に形成されることを特徴とする、請求項10に記載の波長分割多重通信網の下向データ伝送方法。
【請求項12】
前記光源はファブリ・ペローレーザダイオード(FP−LD)または反射型半導体光増幅器(RSOA)または垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)であることを特徴とする、請求項10に記載の波長分割多重通信網の下向データ伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−283683(P2008−283683A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116895(P2008−116895)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(507373508)クヮンジュ・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー (28)
【Fターム(参考)】